アースクライシス2019②〜殺戮道化の笑う日は
●Clown's day
道化た足取りで、歩む姿が在る。
「サァサァご照覧!ここにありマスは、ミナサマが楽しい時間のはじまりデスよ!」
その男は、おどけた口調と共にカッと瞳を輝かせた。
ぎゃーぎゃーと悲鳴と怒号と誰かの決意が、祈りが叫びが入り乱れるロサンゼルス海岸付近で、乱戦模様を笑う道化が如く。
「オロロロロ、ここまで騒いだら良い的になってシマイますね!」
ひょいと誰かの銃弾を避け、尚も道化風の男は独り言を続ける。
「いやいやワタクシ一人がお客サマの独占はよくありませんねェ、拍手の準備はまだまだお早い!」
やや巨体な風貌とは全く異なるその仕草。
「ワタクシは誰からしたら何人目のワタクシか、そんなことはどーでもよろしい!」
勝つか負けるか突破されるか、ギリギリのショウの幕は既に上がっている。
「今はこの通り!愉快で痛快な心躍る血塗れた殺戮祭が、こうして始まっているのデスから!」
●Brave Day
「……戦争、なんだって?」
そう言葉を発したのは、ソウジ・ブレィブス(天鳴空啼狐・f00212)。
見回した猟兵が頷くのを見て、とても複雑そうな表情で、苦笑しながらそうなんだ、と返した。
「……あぁじゃあ、見間違いというわけじゃあないんだねぇ…………」
ううん、ただの独り言だよ、とその話は打ち切って、仕事の話を持ちかける。
「予知で皆に向かって欲しいのは、ざっくり言って戦闘中のロサンゼルス、その防衛戦の最前線さ」
ヒーローズアース、アメリカ西海岸。
その、辺境ともいえる場所に防衛戦の陣営は押され押されに苦戦を強いられている。
「敵兵力は、なんだっけ……アトランティスとやらの洪水兵器を操るオブリビオンの軍団なんだけど」
ん、洪水兵器?と誰かが小声で呟くのを、聞き届けて頷く。
「洪水を兵器化してるんだよ。全く、誰がそんなことをするんだか……!」
洪水なので、野放しであると世界全土が水害により没することもあるかも知れず、恐ろしいものであるといえるだろう。
「コレに対して立ち上がった防衛軍の顔ぶれは、種族や思想を越えたユウジョウによるものだよ」
オブリビオンに対し、果敢に立ち向かうヒーロー達がギリギリで侵攻を食い止めている。敵意の攻撃手段のせいで、どんどん後退を余儀なくされているというのだ。
「ほらオブリビオン軍だけで彼らは手一杯だからさ、【指揮官】まで抑えきれないんだ」
だからこそ、彼らの助けとなるべく、猟兵たちがボスを討つ事。
それも、砲撃やユーベルコードが飛び交う戦場をくぐり抜けて、だ。
「大丈夫、きっと君たちなら出来るよ。……雑兵の攻撃を、砲撃を色々をかわす対策を忘れてくれなければね」
おまじない、と呟いてもう一つ、と言葉を追加する。
「彼の名はジェスター。なんらかの方法で複製されたクローンみたいだよ。決して本物ではないだろうね。まぁ彼って…………常に本物みたいなものだしぃ、油断しないように」
彼は、その風貌のごとく、――道化のように君たちを惑わしてくるだろうから。
タテガミ
こんにちは、タテガミです。
寄ってらっしゃい見てらっしゃい。愉快な……なんでもないです。
この依頼は、【一章で完結する】戦争の依頼です。
グリモア猟兵がしれっと告げている通りですので、よぉく読んでからご参加頂けるとまぁおかしなことにはならないでしょう。猟兵が相手にするは基本的にボスだけです。
すげぇ超パワーアップされた投石、とか色々飛び交ってると思いますけど、猟兵ならそれくらいの対策、できちゃいますよ、ね?と淡く期待し、タテガミは送り出します。
もう一度改めて言いますが、OPをよく読んでから、参加をお願いします。
第1章 ボス戦
『ジェスターのクローン』
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POW : クリムゾンハウンド
自身の【流した血液】を代償に、【血の猟犬の群れ】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【生命力を奪い取る牙や爪】で戦う。
SPD : ジェスターズバルーン
自身の肉体を【ゴム毬のような跳躍力を持つ状態】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ : デモニックエクリプス
【己の影】から、【あらゆるものを飲み込む影】の術を操る悪魔「【完全なる夜(デモン)】」を召喚する。ただし命令に従わせるには、強さに応じた交渉が必要。
イラスト:シャル
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
レフティ・リトルキャット
※詠唱省略やアドリブOK
ふふん、猫の手も借りたいかにゃ?。これだけの攻撃の中を潜り抜けるのもドキドキものにゃね。
ミュージックエナジーで戦場に音楽をかけて己を鼓舞、レフティは子猫に変身し常に風を纏う【猫風の陣】を発動。
自身の速度を引き上げつつ髭感知で動きを見切り、攻撃の中を舞う様に回避。避け切れないものは盾や剣と同等性能の呪われた肉球や爪で受け捌き、肉球によるシールドバッシュで弾くよ。
折角の攻撃、ただ避けるだけじゃ勿体ないよね。2代目様のUCの真価はここから。僕が回避や防御に成功した攻撃(戦場に飛び交う砲撃やユーベルコード)と同じ力を再構成し、全てまんまる指揮官のジェスターに放つにゃ。
セゲル・スヴェアボルグ
ショーと言うには些か面白みにかける内容だな。
観客のいないショーなど無意味に等しい。
もっとマシなプログラムを組むべきだったな。
さて……ゴム毬ならば穴を開ければ跳躍力は落ちるが……まぁ、物は試しだな。
仮に落ちなくとも、針山にしてしまえば飛べはせんだろう。
槍ならいくらでも具現化できる。
そこらへんから飛んでくる障害物も撃ち落とすとしよう。
まぁ、飛べるおかげで空中でも距離があるなら十分避けられるしな。
伸縮距離も加味すれば、接近戦をこちらから挑む理由はないしな。
仮に近付かれても、やり投げではなく、付きや薙ぎ払いで対処すればいい。
ジェスター・アルルカン
おっとすまない、ジェスターの追加と馳せ参じたよ。
道化なら拍手喝采よりも嘲笑を受けるべきさ、スポットライトを浴びるのはスターに任せるのが一番だろうに。
戦場を弾が飛び交うというならば、全てを打ち落とす勢いで魔の音色を奏でて行こう。
情けなく走って転び、打ち落とせずに攻撃を食らいズタボロになってでも指揮官へたどり着く。
そうなったらあとは根競べだ。ただひたすらに体力の限り演奏を続けよう。それ以外の芸事なんて難しくて覚えられない愚か者、最初から手段なんてないのさ。
華麗に全て躱すなんてのは無縁の僕らだ。醜い姿を晒さずしてどうするってお話だよ。勝てなくても傷さえつければ十分、失敗して元々の道化なのだからね。
●その腹に、愉快な大穴を
オブリビオン軍の砲撃が、激しく一斉掃射される。
指揮官に準じ、砲台を構える者共は過去の凶悪なヴィランや正義を歪められたヒーローたち。紛れもなく、悪に染まった者たちだ。
そんな彼らだからこそ、攻撃に一切の迷いはない。
洪水、と冠する言葉の通り、濁流のような色をした水流すらある。
それらが空を地表を覆わんと飛ぶ――。
「正しいヒーロー、正しく悪で在るヴィラン。そして殆ど無能な国連軍!混ざり混ざったこの場所で!」
ジェスターだけが、耳障りなほど楽しげな声で笑っていた。
どんどん後退していく無能の集まりに、手応えのなさすら感じながら。
「……強烈な視線をワタクシに投げかけるはさてドチラ様?」
わざとらしく傾げて戯けてみせて、視線の主に問いかける。
魔法の力を乗せたビームキャノンが入り乱れ、国連軍の一部が、ほんの僅かな人数が、動くのが見えた。
「ショウという些か面白みにかける内容だな」
誰よりも早く、指揮官の姿を捉えて声を掛けたセゲル・スヴェアボルグ(豪放磊落・f00533)。大声で、目立つ風貌で笑い声まで独特に放っていれば、誰もが直ぐに見つけられただろうが。
「観客のいないショーなど、無意味に等しい」
乱戦である以上、指揮官を常に見ていられるものなど身内と呼ぶべきオブリビオン軍しかいない。青いドラゴニアンが金の瞳を細めてそう言えば、ジェスターはわざとらしく肩を竦めて大げさな溜息。
「ホホゥこれは手厳しい。ワタクシなりに、コレ以上無いほどのサプラァイズのつもりだったのデスが……」
「もっとマシなプログラムを組むべきだったな」
セゲルは更にジェスターの返答を切り捨てる。
「ほう?ではもっと道化が必要かな?」
セゲルとジェスターの他に、誰かが何処からともなく声を届けてきた。
「おっとすまない、ジェスターの追加と馳せ参じたよ」
演じる言葉を表すように、スッ……と姿を現したジェスター・アルルカン(本日絶賛公演中!・f19068)。
「おやおやァ貴方も『ジェスター』?ではワタクシ、『殺戮道化』と名称変更をいたしまショウか」
「そんなことより、道化なら拍手喝采よりも嘲笑を受けるべきさ。スポットライトを浴びるのはスターに任せるのが一番だろうに」
ジェスターの提案を、そんなこと、で否定する道化。
フフフと互いに笑う声が上がるが本当に笑っているかは、セゲルには察しようがない。それを証拠に道化が在るのはその先に輝く者があるからだ、とジェスターが自身の仮面をとんとんと指で示して大げさな身振りでアピールする。
「ほらご覧、ここに在るジェスターは……決して舞台の真ん中には居ないのさ!」
こんな会話のさなかにも、周囲は轟音弾丸、色んな物が飛び交っている。
『物語の主役は君達だ!存分に苦痛を踊るがいい!』
ジェスターによる魂震わせる音楽が、大げさなほど大音量で周囲に、無差別に鳴り響く。ぽとりぽとりと音楽による圧力で弾丸が落ちるが、ジェスターの音楽はあまりに遠くへは響かせる事が出来ない。
「その音楽で、暴れるワタクシも停められると?ではどうぞこの殺戮道化に魅せて頂きまショウ!」
やや巨体が大きく大きく息を吸い、勢いよく大地を踏みしめればその体はふわりと軽い足取りで、跳ね上がる。
「ジェスター、アナタが撃ち落とせなければ、敵味方関係なく周囲へ被害が広がってしまいマスねぇ!」
――ただひたすらに体力の限り演奏を続けよう。
――それ以外の芸事なんて難しくて覚えられない愚か者、最初から手段なんてないのさ……!?
よく見れば踊るように敵軍の間を跳ね、滞空時間をわずかに置いて、また別の場所で跳ね上がる。殺戮道化が弾みながらジェスター目掛けて降り注ごうとするのが見えて、慌てて、情けなく走ってジェスターは間一髪で避けきった。
あまりに驚いて顔面からころんだが、道化で在る限りジェスターは素晴らしい笑顔で笑って殺戮道化を見据えた。
――華麗に全て躱すなんてのは無縁の僕らだ。
――醜い姿を晒さずしてどうするってお話だよ。それでも、この近辺への単純な攻撃は封じさせて貰った。
当の殺戮道化は完全に挑発的で、手を降ってアピールしている。猟兵相手に遊ぶ姿にしか、誰の目にも映らなかった。
「まるで弾力のある……ゴム毬。ならば穴を開ければ跳躍力は落ちるが…………」
――まぁ、物は試しだな。
セゲルが翼を大きく広げ空へと飛び上がると同時に声を聞く。
「ふふん、猫の手も借りたいかにゃ?これだけの攻撃の中を潜り抜けるのもドキドキものにゃね」
レフティ・リトルキャット(フェアリーのリトルキャット・f15935)がジェスターの音楽にミュージックエナジーでより壮大な音楽として援護しながら、自らを鼓舞して現れたのだ。声の主は子猫の姿で、風を纏ってふわりふわりと空を疾走っていたが、セゲルの肩に乗っかってふうふうと乱れた息を正した。
「少し肩を借りるにゃ?」
即座にピン、とヒゲを立てて感知に専念するレフティ。
セゲルが攻撃に動くと踏んで、空旅に同行したようだ。
「……むむむ、数秒後に右と左が同時にぴかっと来るにゃ!」
「そうか、振り落とされるなよ?」
セゲルは急激に下降しどちらのビームかすら分かりにくい光の奔流を交わす。その間ににゃああああと声が響いたが、レフティは無事に吹き飛ばされずに済んでいた。
「面白い遊びを為さってるんデスねぇ?ワタクシとも遊びまショウ、何なら飛ぶ鳥落として差し上げマスよ!」
一部始終を跳ね回りながら殺戮道化は微笑ましげに見ていたのだ。
「ほう。それより早く盛大に穿って欲しいようだ」
――針山にしてしまえば、飛べはせんだろう?
迫力ある顔で笑い、セゲルは電脳プログラムを起動し槍を出し、握る。
『義を見てせざるは勇無きなり。巨城すら穿つ一撃をくれてやろう!』
大きく振りかぶる動作よりも早く、その槍は疾走る。
「にゃにゃっと僕も、後押ししちゃう、にゃっ!」
先程レフティが回避に成功した分の力が、レフティの体の傍に展開される。
つまり、光の奔流を再構成し……放つのだ。
光より早い突撃槍と、槍より早く轟こうとする光がどちらも浮遊する殺戮道化……ジェスターに、刺さった。
ぷしゅううという気の抜けた音が、何処からともなく聞こえる。
セゲルは悲鳴すら聞こえないのをいい事に、槍を幾つも具現化し、投げつけた。
槍が落下した様子がないことで、それらは全て、『刺さっている』と思ったのだ。
「うにゃぁっ!」
レフティが飛び跳ねて、流れ弾を肉球と爪で受けさばき威力を殺して、受け流す。
そうしてようやく、殺戮道化の声が聞こえたのだ。
「お見事お見事!何というテクニック!道化師を真に的にする遊びとは恐れ入りマシタ!」
ばぁああんと劈く音がひとつ。
大きな物が落下するような、音と気づいたオブリビオン軍のどよめき。
張りのある毬が、割れるような、音。
――勝てなくても傷さえつければ十分、失敗して元々の道化なのだからね。
誰よりもボロボロで肩で息をする『ジェスター』が、おどける様に失敗し、醜く落ちた道化を、――笑った。
大成功
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ルネ・プロスト
人形達は死霊憑依&自律行動
森の友達に戦場を観測させて流れ弾や雑兵の攻撃に警戒
当たりそうなら回避行動
開幕UC
敵に当たらないようUC乱射して周囲の地形を再構築
全面鏡張りの戦場に作り直して敵UCの発動条件である影を消すよ
光量不足ならビショップ2体の雷撃魔法(属性・マヒ攻撃)で攻撃ついでに光量水増し
クイーンは全力魔法で上空に光球形成してさらに光量水増し、敵が隙見せたら光球落として敵の全身を灼く(全力魔法&属性・範囲攻撃))
敵の攻撃はルークの盾受けで防御
足りなければビショップ1体分のオーラ防御も追加
うん、君みたいなろくでなし相手だと実にやりやすい
特に何も考えることなくぶん殴ってやればいいだけなんだからね
樹神・桜雪
【WIZで判定】※連携・アドリブ歓迎
洪水を兵器に転用ってまたすごい事を考えるね
ヒーロー達が頑張ってくれている間に僕たちもやる事やろう
司令官をしっかりキッチリ倒さないと、ね
飛び交う砲弾やUCは『第六感』で回避を試みて、回避しきれないものは『なぎ払い』で振り払ってみる
どうしても避けきれない、振り払えないのならユーベルコードも使うよ
ボスに対しては『2回攻撃』とユーベルコードで攻撃を仕掛ける
出来ることなら一気に仕掛けたいとこだけど、悪魔の相手もしなくちゃだね
変幻自在な攻撃手段に惑わされないように、慎重に動くよ
…指揮官に気を取られて飛び交うものに当たらないようにだけはしなくちゃ
あれ、当たったら痛そう
グラナト・ラガルティハ
サムライエンパイアでは火山を噴火させようとするものがいたが今度は洪水か。
本当に世界そのものを壊すつもりなのだな。
まったく度し難い愚か者だ。
【戦闘知識】で戦場を把握。それに適した行動を。
UC【炎の外套】を纏う。【属性攻撃】炎で纏った外套を強化。これである程度の攻撃は防げるはずだ。傷を負っても戦闘力の強化と生命力吸収能力もつくしな。
神銃にて【属性攻撃】炎と【呪殺弾】を込めて攻撃。
残念だが貴様ではトリックスターにはなれんよ。
道化は道化らしく賑やかしで帰ってもらおうか。
アドリブ連携歓迎
鎧坂・灯理
これのどこがショーだというやら
道化ぶった出来損ないめ
視線も殺意も独り占めじゃないか
特に恨みはないんだが、貴様はこの世界の敵だからな
焼け死んでくれ
UCを使い、己周囲を囲うように小さな太陽の群を公転させる
直径59mだが、まあ本物に比べれば小さいだろ
私は自分のUCなので熱の影響は受けない
飛んでくる砲弾も攻撃も太陽で焼き溶かし蒸発させる
その状態で「白虎」にまたがり、オーラ防御を纏って指揮官へ突入
ゴムは熱に弱い。なので小太陽群をぶつけて焼く
念動力で「白虎」ごと浮いて空中をかけて追いかけて焼く
念動力で相手の攻撃をねじ曲げ食い止めて太陽をぶつけて焼く
再度言おう。灼けて死ね
勘違いするなよ、お願いじゃないんだ
●夜が覚醒めて嗤う前に
腹に大穴を開けたジェスターが、むくりと起き上がる。
ぺたぺたぺたと、今もまだ跳躍力を持つ体に触れて。傷と穴の数をひぃふぅみぃとジェスチャーで数えてみせた。
「おやまぁこれは見事な風穴がひとつふたつ……しかし、ナーンテネ!この程度で消えるほど、道化心は死に絶えてはおりまセーン!」
流れ落ちる流血も、感じる痛みもないようにジェスターが振る舞うのだ。
オブリビオン軍の勢いは、指揮官死なずで留まる所を知らない。
――これのどこがショーだというのやら。
「……道化ぶった出来損ないめ。見事に視線も殺意も独り占めじゃないか」
鎧坂・灯理(不死鳥・f14037)はそんなジェスターを睨む。
開いた穴の分だけ減らず口が減ったものかと思うが、実にそうでもない。
「私もさして特に恨みはないんだが、貴様はこの世界の敵だからな。そのまま焼け死んでくれ」
力ある言葉とともに、灯理の周囲に小さな熱光球が術具により作り出され複製され、浮かぶ。激しい熱量のある、直径59メートルの小さな太陽と呼ぶべきそれらをふわりふわりと公転させて。
「ワァオ攻撃的な熱い歓声が!今のワタクシを燃え焦がすおつもりデスね!?なんて積極的!」
じゅうと熱量に焼かれ蒸発するように消える弾丸、光線などを思えば近づけばジェスターですら焦がすだろう。
「跳ねて避けても、余波で焼く!なんてデンジャラスな日の輪くぐり!でも、それではアナタも熱いのでは?」
熱量から逃げるように、跳躍力を生かしてジェスターが灯理から距離を取ろうとするのを見逃さない。
「これは私の扱うものだから、熱の影響は受けない」
――そう強く確信しているから。意思が傷つく事も、現実に齎される事もない。
白塗りの大型二輪、白虎にまたがり、逃げるジェスターを灯理は着地地点を狙い速度を上げて突っ込む。
「その力はいわゆるゴム質だろう?ならば熱に弱い」
断言する。小さな太陽の群れを連れて、ジェスターの落下地点で待ち構えたら、どうなるか。
「そりゃあよくよく燃えてちぎれてシマイます!」
伸縮と弾力の合間を最小に抑えてリズムを崩し、狙いを逸らそうと画策するジェスターが何とも小賢しい。
「ちぎれるなんてヌルい。再度言おう、焼けて死ね」
堂々巡りになると、灯理は考え念動力で白虎ごと空中を疾走りバイクはかっ飛び追いかける。
「勘違いするなよ、お願いじゃないんだ」
正確に、ジェスターの巨体目掛けて太陽がぶつかり肉の焼ける匂いを撒き散らし、燃え上がるようにゴムは殺されて。
再度地面に転がり落ちるジェスター。
痛みがない、など、誰の目にも思えないほどの燻る煙を立ち上げている。
「イタタタタ。一人のお客様とばかり共演していたら、他のお客様にご立腹で席を立たれてしまいイマス。道化の名折れ……デスカラァ?」
巨体が地面を陰らせる影に、ぱちんと一つ。
所々でむせているが、それには一切触れない。
手を叩くとズズズと歪な形容しがたい闇が、夜が影から溢れて滲んで――伸びる。
「酔いしれまショウ?……素敵な夜を、案内はワタクシ大得意ですから。どうぞお任せくっだサーイ!」
「ねぇ……女帝人形(ママ)、悪い子がいるよ」
ママ、と豪華絢爛なドレスを装備した人形に声を掛けるルネ・プロスト(人形王国・f21741)。
宝杖の携えた女帝人形が、ジェスターの悪事が完全に召喚され切る前に、無作為に周囲を攻撃する……なんども、なんども。
炸裂する魔法は、周囲の乱戦模様さながらにガンガン撃ち込まれていく。
「はて、はて?お人形アソビをはじめられたのでショウか?エー、拍手はこのタイミングで?」
「どうかな、上手にできてたら褒めてよ」
ルネがそう口にすると同時に、ジェスターは気がついた。
周囲が、地形が海岸付近ではなくなっていたのだ。
全面がキラリとひかり、何故か眩しい。目の前で左右反対の血まみれの道化が、道化を『見ている』。
ルネによる周辺の地形の改変が、撃ち込まれた攻撃の分だけ広がったのだ。
ジェスターの影は、小さく縮小し、召喚する布陣が小さくなりすぎて、門(ゲート)から夜(デモン)が飛び出せずにいる。
「鏡……デショウか?おぉこれは見事。完全に出鼻挫かれた思いです、トホホ」
「サムライエンパイアでは火山を噴火させようとするものが居たが、今度は洪水……」
――本当に世界そのものを壊すつもりで動いているのだな。
グラナト・ラガルティハ(火炎纏う蠍の神・f16720)は、今しがた改変された戦場に、頷きながら考える。
大規模で、塗替え染めて行動しなければ、止められない流れも確かにある、と。
「そして今此処では、闇を閉ざす光が煌々と……全く、度し難い愚か者ばかりだ」
「こんなに変わっていたら、洪水の流用も難しいんじゃないかな?」
――水が、必ずしも海から齎されるものであるのなら、だけど。
樹神・桜雪(己を探すモノ・f01328)が武器への流用に関心を示しながら、キッチリと指揮官に言葉を言い放つ。
「少し離れた所でヒーローたちが頑張っているからね、ボクたちもやる事をやらせて貰うよ」
「やることをやる、ウーンなんて綺麗な志!いいデスネ、ではワタクシもやりたいことをやらせて頂きます。――ショウタイム、再開デス」
ジェスターの言葉に、グラナトが炎の外套で全身を覆い攻撃に備える。
鏡張りの空間と化したこの場でさえ、ジェスターが意欲を失わなかったのだ。
――道化であると言う以上、欺く事もある……。
「はてさて何をお考えで?いいえいいえ、喋らずとも結構!」
ジェスターが俯くように骨みのある顔のその中から、闇を吐き出し別の方法で、失敗した門(ゲート)を生み出し完全なる夜が流れ出る。
光の強さで、鏡の地形で影は確かに無くなった。だが、彼の装飾に隠れた影は……消せていなかったのだ。
仮面のような、彼の頭部、その内部に生じた闇までは。
「あらゆるものを飲み込むそれは!真に強い光の方を好むんデスよ、オロロロロ!」
夜(デモン)と喚ばれた影が、角を生やした悪魔のような形状をとるとグラナトの目掛けてその手を伸ばす。
憎悪悪意、それらの強い意思を昏睡を齎さんばかりの夜の到来をグラナトは感じた。ギリギリと実体を持った影の爪が深く突き刺さる。
「……っ!」
神銃を抜き放ち、呪殺弾として得意とする炎の属性を付与し、いち早くデモンではなく、ジェスター目掛けてうち放つ。
「残念だが、貴様ではトリックスターにはなれんよ」
「こんなに場を、力あるモノを魅せつけてやまないワタクシは十分役割を果たしているとも言えまセンカ?」
返答代わりの二発、三発。
躱す気力より会話を気にするのか、ジェスターは避けない。
「……道化は道化らしく、賑やかしで帰ってもらおうか」
「あれ?少し感傷的な顔してる?表情よく分からないけど」
桜雪が夜を告げる這い寄る魔の手を薙ぎ払いながら、影である為に捉えられないと苦戦する。
――物理がダメなら環境から変えれば、さてどうだろう。
「おいで、おいで……冷たきもの。彼らはきっと、凍りつくよ」
色とりどりの炎と熱と光と闇の属性と、桜雪が武器を更に氷の花びらと変えた事でその場に舞い踊る。
パキリパキリと悪魔は氷の冷気に充てられて攻撃が鈍り、その場に留まった。
「みんなのおかげで飛び交うものに当たりそうにないけど、あれ……当たったらすごく痛そう」
「アレじゃなくても、全てが痛いデスヨ!?ワタクシの姿が見えてナイんです?」
あぁ、君まだ動けるんだ、と冷たい視線で道化を見る桜雪。
「君の影は縫い付けたつもりだけど、君自身も縫い留めないと、だよねぇ?」
――ほら、早く。その身を覆い凍てつかせて?
吹き付ける二度目の氷の花びらを、ジェスターは飛び退いて避ける。
「……ガッ!?!?」
飛び退いた先に、待ち受けていたルネ。ジェスターのボロボロの体が、不意打ちで宙を舞った。最小限の影出現を許したが、彼女が上空に光球を飛ばしていた為に、出現できた総数はかなり制限されていた。
桜雪が凍らせた夜(デモン)たちも、ルークとビショップによってダメージを最小で済ませている。
「うん、……君みたいなろくでなし相手だと、実にやりやすい」
ルネはそう言い放つ。
「特に何も考えることなくぶん殴ってやればいいだけなんだからね」
ルーク、と呼ばれた大型の盾を装備した重歩兵が、突進してきて跳ね飛ばした事を、殴るというのだから。
道化にとっても、予想外な襲撃であった事は確かであった。
大成功
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グラファイル・パランニウム
【絡み・アドリブ歓迎】洪水兵器ですか。海岸線付近で使用するとは厄介を究めてますねぇ。あと、砲撃も来るということは、敵は船舶の兵器も使用してるということでしょうか。とりあえず、海岸線付近なら小型船舶くらいあるでしょから。ビルドロボットで船と合体しましょうか。ですが、タダ船と合体しただけでは、洪水…波に逆らえないので。他の船、6隻分のエンジンをスクラップビルダーの能力で使わせてもらいましょう。これで、水上戦は対応できます。あとは、砲撃をエンジン6隻分の機動力でよけつつ、殺戮の道化師へ戦いを挑みます。そうですね、せっかくです。全エンジンをフル回転させ、ラムアタックのように体当たりしましょうか。
ユースティ・アストライアー
◇アドリブ、絡みOK
◇一人称「私」、二人称以上「名前+さん」
スーパーウィッシュガール、ここに参上です!
私の故郷で悪事はさせません!
正義は負けません!
アテネソードやアテネランスで近距離攻撃
アームドフォートで遠距離攻撃
敵の足をとにかく止めようと攻撃を繰り出す
飛び交う弾丸や砲弾、攻撃はアイギスシールドやマントでかわしたり防御したり
避けられそうもないときは【怪力】を用いて地面にパンチ畳返しの要領土煙を発生させてけむに巻く
猟犬の群れは【怪力】で千切っては投げ千切っては投げ
また巨大な岩石で押しつぶす
接敵したら【怪力】とUCの『スーパーウィッシュ・ジャスティススロー』でボコボコに
ネメシス・インフィニー
【心境】
「洪水とは自然を兵器にできる強敵ということか。アトランティスおそるべしうさ~」
おいらウサギだから泳げないうさ~…多分。泳いだことないから知らないうさ~
【行動】
どーやっていこうかなー。ソーダ、クリームソーダ―
おいらにいい考えがある。
ユーベルコード:スーパージャスティス発動うさ~。
文字通り飛び越えて行けばいいのさ~。
えっ?撃墜される…。う~ん『存在感』を隠してこそこそと素早く飛びぬけるうさ~>ささささささ
【戦闘】
空からお邪魔します。
UCで強化を維持しつつ、『グラップル』によるパンチとキックで『マヒ攻撃』うさ~
正義はパンチを読んでるぜー
【その他】
他猟兵との絡みアドリブOK
アララギ・イチイ
さて、この印刷用紙の出番かしらねぇ
複数の行動を同時処理する為に、装備品の効果で思考を複数に分割しておくわぁ
【選択UC】使用よぉ
周囲にばら撒いた紙の強度と柔軟性を最大値に特性変更させて、【念動力】で操作、周囲の砲撃や雑兵の攻撃を【見切り】、強化した紙で【盾受け】させるわぁ
ボスの攻撃にはこっちも紙をまとめて無数の紙の猟犬を作り出し、敵の猟犬にぶつけるわぁ
紙だから生命力は無いし、多少破れた所で、無事な所を繋ぎ合わせて修復、血を紙が吸い込んだりするから善戦はしてくれるでしょぉ
で、上記の行動で【時間稼ぎ】している間に私は敵に射撃戦、チェーンガンの弾幕で【範囲攻撃】の【制圧射撃】でボス本体を攻撃するわぁ
兎乃・零時
アドリブ絡み大歓迎
ヒィ…ッ!?
(何あのめっちゃやばそうなやつ―!?骨!?骨なのピエロなのどっちなの!?)
(見えるジェスターに震える)
でもなんでクローンなんだ…?
迫ってくる投石やら飛び交う攻撃諸々は
「紙兎パル」に【念動力・援護射撃】で攻撃を逸らして貰ったり【拠点防御・オーラ防御】で防いで貰ったり
後、俺様自身は【逃げ足・ダッシュ】で避けつつ、ジェスターの下へ行く!
痛いのは【激痛耐性・気合】で我慢!!
基本的な攻撃は光属性の魔力の塊をビームっぽい感じにどばーッとぶつける形で【属性攻撃】!
タイミングを見て
【覚悟】を決め【捨て身の一撃・零距離射撃:全力魔法】な感じにUC!!
柔らかい体だろうがぶっ飛ばすぜ!
ナミル・タグイール
どんぱちしすぎにゃ!避けるなんてめんどくさいにゃー!
ナミルは賢い猫だからずるしちゃうデスにゃー。
UCで呪詛のもやもや化するにゃ!
これでナミルは無敵デスにゃ。弾丸もなにもきかないにゃ。
ボスまでビューンと一直線にゃー!
ついでに【呪詛】ばら撒いて雑魚敵の妨害もしようかにゃ。
ボス見つけたら体包み込むように取り付いて呪ってやるにゃー!
逃げてももやもやしながら追いかけるにゃ。逃さないにゃー
犬の生命吸収なんていつも纏ってる【呪詛】に比べれば痛くもないにゃ!
生命と一緒に呪詛も奪って苦しめにゃ
殺戮祭じゃなくてもっと楽しい祭りしにこいデスにゃ!
金ぴか祭りとかにゃー!
●それはもう濁流のように
「指揮官殿が危ない!一斉砲撃準備構え!」
「おう、充填完了まで5分!水量魔術変換が足りません!」
「おい馬鹿急げ!!ヒーロー共がくるぞ!!」
オブリビオン軍が、一斉にざわめきだって援護の洪水をかき集めに奔走し始める。
「あぁ、水兵器ですか。海岸線付近で使用するとは厄介を究めてますねぇ」
グラファイル・パランニウム(サイボーグの戦場傭兵・f18989)はその奔流を、まるで他人事のように受け取っていた。
言葉だけでは現実味がどうも足りず、しかし確かに危険な水量でもあると分かるのだが。アイツ誰だ、と敵軍から声があがるが、誰も彼を知らない。
いつから居たのかも、どこから紛れ込んだのかも。オブリビオンたちがグラファイルの存在感に気が付かなかったのは、彼に戦う色が見えなかったからか。
「……海から給水、とか勿論しているんでしょう?ということは…………」
呟きながら、可能性の芽を潰したいと首位を見回す。
――あぁ確かにある。敵陣営の中に確かに。小型な船舶の団体が。
「一つ二つ無くなった程度では、給水も砲撃もきっと止まらないですよね……」
グラファイルは特に苦労する事無く、船の元にたどり着く。
そして、敵戦力の一部であろう船に手を当てて目を閉じる。
――あれとこれとそれと、まぁ6つもあれば足りるだろうね。
触れられていた船は無機物として呼応。グラファイルにより合体融合を果たし、身の丈二倍のビルドロボットが立ち上がった。
……そう、敵の陣営内の真っ只中に。
「その辺周囲のエンジンを、なんやかんやで6隻分お借りしましたので、船での逃走は諦めてくださいね」
スクラップビルダーの能力を活かし、ビルドロボットの出力上昇にエンジン部分だけ抜き出してはめ込んでいた。
借りた、と言いながら返す気は毛頭ない。
「準備完了!5秒でいけます!」
「おうそのままカウント!5,4,3,2,……ファイア!」
若干出力が、充填時間と質量が物理的に落ちた洪水砲撃だと、誰も気づかかない。
そう、――グラファイルを除いては。
「せっかくです借りだ装備ですから、直接……ラム(衝角)アタックを狙いましょう」
ばしゃあああああんとその洪水は盛大に弧を描いて猟兵の上に降りかからんと放たれていた。それと同時に、空をロボがエンジン全開で飛んでいく。
「洪水と自然を兵器にできる強敵ということかぁ。アトランティスおそるべしうさ~」
攻撃の手段を、実際にその目で見て、敵の在り方を掴まんとするネメシス・インフィニー(時計ウサギの王子様・f21907)。
――おいら、ウサギだから泳げないうさ~……多分。
流れる洪水の行く先を、眺めながらのんびりとした考えが紡がれて。
――泳いだことないから知らないうさ~。
敵めがけての移動手段もまた、彼はその場で考える。
「どーやっていこうかなぁー。ソーダ、ソーダ♪クリームソーダ――♪」
――おいらにいい考えが、ある。
不思議の歌を歌いながら、彼は思いつきを実行する……そのふわふわな体に、黄金のオーラを身に纏う。
『行こう』という意思を強めて文字通りに飛び越え作戦に挑むのだ。
「……な、なんだあれは!?」
「あちらの攻撃手段か!?撃ち落せ!」
オブリビオン軍から上がる声に、ネメシスは徐々に存在感を潜めて、飛翔する。
見失った、どこいった、と怒号が上がるが聞こえないふり。
――ささ、ささささっとうさ~。
次に見つかった時は、きっと必要なタイミングであるとウサギならではの機動力で素早く空を滑り、走りながら。
「ああああどんぱちしすぎにゃ!」
周囲にある轟音、怒号、笑い声何もかもが煩いと感じたナミル・タグイール(呪飾獣・f00003)。水分なんてもってのほか、と勿論飛び退いて、水しぶきなんて当たることを赦さない。
「こうも全方位だと避けるなんてめんどくさいにゃー!」
でっかい猫科は本心を全力で叫ぶ。実際、避ける対処するのは面倒なのだ。
ジェスターを追い回すにも、少量の手間が掛かってしまうから。
――でも、ナミルは賢い猫だから、ずるしちゃうデスにゃー。
自身を飾る呪われた装飾品のうち、耳を飾る巨大な牙な黄金と同様に。
ナミルの姿が霞となってその場から強い呪詛だけを残し、実体がかき消える。
――これでナミルは無敵デスにゃ。ビューンと一直線にゃー!
迷う心は持ち得ない。ただ、霞と化したナミルには弾丸もビームも被弾しないのだ。そよぐ風は髪を、ふわふわな毛並みを揺らすだけ。
――ボスは目立ってマスからにゃー。よぉしついで。……ついで、にゃ!
砲撃準備と構えるオブリビオン軍の中をナミルは霞のまま進んでいく。
気まぐれに、呪詛の断片を肩や腹、すれ違う敵に置き土産と残しながら。数秒経たずに突如バタバタ倒れていく雑魚敵のことなど、彼女が気にすることはない。
「ハアハア流石に、ワタクシを中心に……流血祭を開催しすぎ、マシたかね…………!?」
ビルドロボットが横たわったジェスター目掛けて飛来し、その攻撃を慌てて避けたが、踏み砕かれた反動でその体が飛ぶ。
ジェスターの至るところが千切れて焦げて、だくだくとその場を濡らした血の量とで、逃走困難で在ることを猟兵たちは確信していた。
ゆるりとジェスターは立ち上がり、敵対の意志を消しては居ないがもはや、オブリビオン軍に別命令を下す時間も彼にはおそらく、ない。
「……まだまだお客様はお越しになる様子、ただワタクシもエンターテイナーとしてオタノシミ頂かないと笑えませんので」
ああ人気者は辛いです、と感無量と言わんばかりな口調だが、おどける余裕も無さそうである。
「スーパーウィッシュガール、ここに参上です!」
ばぁんと大きめな音と共に飛来するユースティ・アストライアー(スーパーウィッシュガール・f16665)。
「私の故郷で悪事はさせません!えぇ、正義は負けませんので!」
宣言すると同時に、ジェスターは大きく笑って応えた。
「正義在る所に悪が道化が在るでショウ?まぁどうぞ、お戯れを」
ジェスターから流れ出た分の血の海にむくりと起き上がる血液の猟犬。
単眼、など奇抜な赤黒い猟犬の群れが、ユースティに牙を剥いた。
「数には数を、さ。この印刷用紙が出番かしらねぇ」
アララギ・イチイ(ドラゴニアンの少女・f05751)は血液の猟犬の群れを見るなり、衣服の中から特殊な耐久力を持つ戦闘用特殊印刷紙をバサバサバサァと誰もが振り向く音を立てながら、自分の扱いやすい空間へと、染め上げていく。
「それらは柔軟性と強度を最大値にしてあるの、そう簡単には」
右から左から、血液の猟犬が走り迫るが、念動力で操作された印刷用紙が牙の貫通を、爪の引き裂きを拒絶する。
「守りをアララギさんが行うのでしたら、こちらはお任せを!」
眼前まで迫った猟犬を黄金に輝く大剣の、アテネソードで切り裂き瞬時に両断。
「……とそこで、一斉にBON!」
切り裂かれた猟犬が突如爆ぜ、粘り気のある血の雨がユースティを襲った。
「晴れ時々洪水あるナラバ!血の雨もありえマスよ」
顔にまで飛んだ血を払いながら、飛んでくる猟犬たちの襲撃を、ぐっと握り込んだ拳を全力で地面に叩きつけて猟犬達の追跡を拒絶した。
砕けた地面の分だけ、猟犬たちの追撃は時間を要するだろう。
「紙とは思えぬその強度!故郷と言いながら全力破壊のその根性!」
「褒められても油断なんてしないのよぉ?」
念動力で紙を集めてアララギが無数のペーパーウルフを創造すると紙と血が牙をぶつけ合いながら獣の戦闘が始まる。
紙が破かれれば即座に別の紙がその役割を補い、血の雨に襲われても紙は水分として吸い取りしぶとい生物と化す。
「ヒィイ!?」
紙兎パルの援護をして貰いながら共に、最前線まで逃げの一手を輝かせ。
全力で此処まで走ってきた兎乃・零時(そして少年は断崖を駆けあがる・f00283)。彼はあまりに複雑な最前線の混戦模様に悲鳴を上げた。
――何あのめっちゃやばそうなやつ――!?
――骨!?骨なのピエロなのどっちなの!?
遠くで見たら、どちらとも分からなかったが近づいて見える距離でも分からない。
骨のような何か、顔の様なそれはカタカタと寒々しく揺れているだけ。
加えて超血塗れ。しかし実際近づいてみれば、ほかの猟兵の善戦で余計に奇妙で恐怖で歪な対象にしか見えなかった。
「……でもなんでクローンなんだ?」
迫る繰るクリムゾンハウンドを、零時は自身としてやや自信のある光属性の魔力の塊をビームのように飛ばして、消し飛ばす。
一部だけじゃ可哀想に思うので、ひとおもいに。いっきに、どばーっと。
血という闇から生まれた血液の猟犬に光属性は大いに利いた。
「そりゃあアナタそうでショウ?『万一の死を避けるため』に決まってるじゃないデスかー!」
なんども遊ぶためには必要なことです、と言い切るように、零時の問いに応えるジェスター。
「お話中、空からお邪魔しますうさ~」
気の抜けた声は、空から決定的な速さと威力を持ってジェスターに降って湧いた。
ピンク色の大柄なそれの接近に気が付かず、どごぉと激しい一撃を、もろに正義の制裁として叩き込む事に成功したのだ。
「不意打ちだなんてヒドイですよ!?」
「そんなこと言いっ子無しにゃ。捕まえたにゃー!」
ふんわりとした毛並みが、ジェスターにのしかかる。
ナミルは捕まえるタイミングを見つめていたこともあり、満足気にふふんと、笑う。途中、血の猟犬に捕捉されて噛まれもした……というか、現在進行形で噛まれている。がぶがぶ。
「犬の生命吸収なんていつも纏ってる【呪詛】に比べれば痛くもないにゃ!」
ふしゃー、と威嚇のような声色を上げて、直に触れたジェスターを呪詛で侵す。
「生命と一緒に呪詛も奪って苦しめにゃ」
赤黒い血液の獣が吸収した呪詛で溶けるように血に戻ってしまった。
声すら持たぬ獣ですら、呪詛に悶えて存在を維持出来なくなるほどに。
「呪詛味とは悪趣味な味付けをなさるんデスネ?」
「あらぁ、道化師が次々に不意打ちされてどうするのかしらぁ?」
猟犬の群れで誰もを近づかせないようにしているジェスターの壁が一人、また一人と突き破っていく。
アララギが言葉と同時にチェーンガンの弾幕を打ち込むことで、更に攻撃意志を反らし続ける。
所により霞と存在を曖昧にするナミルに、銃弾は一つも当たっていないようだが。
「正々堂々という意味でも、隙だらけになっていますよ!」
よろよろ、っと足元が覚束ないジェスターの目掛けてユースティは接敵し、気合の限りに言い切る。
ナミルは言葉の強さに何かを察してのしかかるのをやめた。
「今こそ、その身に喰らいなさい!正義の重い一撃を、なんどもです!」
ジェスターの足を狙い、容赦なくガッと掴み、彼女の背丈より大きな巨体を掴んで持ち上げ振り回す。
ぶんぶんぶんと遠心力の限りの音と、鮮血が飛ぶが全く気に留めない。
そのままの勢いで、まるで足元の蟻を叩き潰さんばかりに地面に叩きつける。
――ここ、かな!?
地面に沈んた巨体目掛けて、おっかなびっくり紙兎パルと共に倒れた体に、膨大な魔力を集中させる。
動かれたらひとたまりもないが、骨がカタカタ鳴る音すらしない。
「今までのはただのビームだ!―――そして、これは!」
――全力全開、最大出力の……光だ!!
その場に居た全員の目を奪わんばかりの光源は発生し、光の奔流が全てを飲み込み闇の存在を。
ジェスターという闇の塊の如き道化師を、殺戮の宴の終焉を告げる。
はぁああ、とへたり込む零時と、何が起こった、と戦場全てが無音に染まった時。
ずっと思っていた一言を、欲望に塗れたその虜は、まもなくクローン人生終幕を迎えるだろう道化に投げかける。
「殺戮祭じゃなくてもっと楽しい祭りしにこいデスにゃ!」
「……その、心は…………?」
「金ぴか祭りとかの方が、ナミルも皆嬉しいにゃー!」
想像すれば想像するほど元気になる、とナミルが尾を揺らせば。
大きな風船がバチン、と弾けてるように、殺戮道化は――消え去った。
指揮官の消失を合図に、オブリビオン軍の衰退は著しく巻き起こった。
あんなに愉快な指揮官が、と嘆き膝を折ったものすらある始末。
そんな喜ばしい出来事に、ロサンゼルス防衛軍は一気に防衛ラインを解除。
――各個撃破へと動き出したのだった。
大成功
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