痛みと苦しみの先に
「皆さん、集まっていただきありがとうございます。
今回はUDCアースで一つの困りごとを解決していただきます。」
笑顔で猟兵達を迎えたアトは、プリントアウトされた漫画を猟兵達へ差し出した。
「皆さんには、この漫画に描かれた出来事をなんとかしてもらおうと思います。
とあるWEBページの一つ、作者不明で不定期連載の漫画が公開されているのですが……これが、数日後に起こる事件を予言しているという噂が立っています。
それも、予言の精度は100%とか……ふふ、私たちの予知よりも高そうです。」
くすくすと笑いながら話すアトに促され、漫画に目を通す。
戯画化された悪の組織、幹部たちは組織のしもべを簡単に生み出す方法はないか?と頭をひねる。
幹部の一人の思い付きで生み出されたのは、仮面の形の洗脳装置……それを街にばらまくという物。
時はハロウィン、自分の仮装をどうしようか?と考えている人に仮面を渡していく。
仮装パーティーが始まるとともに人々は仮面をかぶり、数人の組織のしもべたちを作り出すことに成功する。
しかし、そのうちの一人の少女の様子がおかしい。
洗脳されたにもかかわらず意識を保ち、ほかのしもべたちを体を張って止めようとする。
……ここで漫画は終わっていた。
「気になる終わり、ですよね?
ところで最近、UDC-Pと呼ばれる存在が話題に上がっています。
皆さんも知っているところですと、シャーマンズゴーストというUDCがいますよね?
UDC、アンディファインド・クリーチャーでありながら、世界を滅ぼすという意志の抜け落ちた存在……それを、平和のPeaceをつけてUDC-Pと呼称しています。
この漫画がその通りになるのならば、描かれた少女はUDC-Pである可能性が高いです。
彼女を救い出し、ほかのしもべたちについては、いつも通りに排除してください。
残念ながら、仮面をつける被害者が出る……という部分を変えることはできないようです。
一人の仮面を奪ったとしても、ほかの人へ新たに仮面が渡され……そのような形で、必ず漫画の通りになってしまいます。」
困ったもので……と言いつつ、話を続ける。
「というわけで、皆さんには事件の起こるハロウィンの会場で、不審な仮面を持つ者たちを隔離してもらいたいんです。
会場はそれなりに広い商店街なので、そこで仮面をつけて暴れさせるわけにはいきません。
共通の仮面を持つ人達を何とかしておびき出し、UDC組織の用意した一つの店舗へ隔離してください。
いわゆるファミリーレストランなので、例えば仮面の持ち主だけはタダで料理や飲み物を出してもらえる、などというといいでしょう。
それでは皆さん、よろしくお願いします。」
そう言ってアトがゲートを開くと、商店街につながる路地へ繋がる。
表の通りからは、楽し気な音楽が聞こえ……一部の人の手に、不審な仮面があるのが見えた。
ヨグ
ヨグです、UDC-Pに関わる物語となります。
扉絵に立つ女の子が被る仮面、これを持った人々をなんとかしてもらいます。
過去に起きた事件と照らし合わせて、どの程度正確に書き記されているのでしょうか?
そして、これから起きる事件は漫画の通りに起こるのでしょうか?
どう考えるかは、猟兵の方々にかかっています。
※誠に勝手ながら、11月の3、5、6日は私用により執筆ができません。
もし、その時期にプレイングが流れた場合、再度送信していただけると幸いです。
第1章 冒険
『コミックブックの憂鬱』
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POW : 過去に予告された事件の調査
SPD : これから起きる事件の調査
WIZ : 漫画の情報についての調査
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
波狼・拓哉
予知率100%の漫画ねぇ…グリモア猟兵の誰かが書いてるんじゃないのか。なんかそれはそれで怖いな。
まあ、今はこれのおかげで先手打てるんだ、気にせずやりますか。
取り敢えず化け透かしなっと…いやつけませんけど仮面を模倣するのなら作るよりミミック利用の方が早いですからね。同じの持ってりゃ信用性も上がるでしょう。多分。
後は適当に現場を回って仮面持ってる人にコミュ力使って話しかけて回ろう。その仮面!あの店の…え?確かその仮面が割引券代わりで…自分は美味しく頂いてきましたといった感じで言って回ろう。後回る場所はコミックの背景見て決めよう。予知率100%ならそういったヒントもありそうだしね。
アドリブ絡み歓迎)
霧島・絶奈
◆心情
的中率100%、其れは本当に『予知』なのでしょうか?
何者かの作為すら感じますね
とはいえ、其れで救えるものがあるのなら、乗ってみるのも一興でしょう
◆行動
『偶然同じ様な仮装をした人に声を掛けている』という体で仮面持ちの人物をファミレスへ誘導
先程から同じ様な仮面をお持ちの方を多く見掛けます。これは一種のシンクロニシティでしょうか?
何となく似ている程度ではなく、此処まで同じ仮装が揃うのも面白い
一体どれ程の数が集まるのか…興味がわいてきませんか?
是非貴女もご協力を
…とでも言ってファミレスまで誘導しましょう
例の漫画に依れば、件のUDC-Pは『少女』と形容されていましたね
該当者はマークしておきましょう
「予知率100%の漫画ねぇ……グリモア猟兵の誰かが書いてるんじゃないのか?」
プリントアウトされたものを手に呟く、波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)。
「なんか、それはそれで怖いな。」
「ふふ、確かに。人によっては書けるでしょうけども、まずやらないでしょうね。」
身震いするジェスチャーを取る波狼にクスリと笑いながら、隣で話を聞いていた霧島・絶奈(暗き獣・f20096)。
「それにしても、的中率100%……其れは本当に『予知』なのでしょうか? 何者かの作為すら感じますね。」
「同感、なんかあるのは間違いない。まぁなんにせよ、」
漫画をぺらりとめくると、仮面を配る悪の幹部の場面。
「今はこれのおかげで先手打てるんだ、気にせずやりますか。」
「ええ、其れで救えるものがあるのなら、乗ってみるのも一興でしょう。」
二人は商店街を歩きながら、奇妙な仮面を持つ人へ声をかけていった。
「この背景……おそらくここ、かな?」
小さな薬局の前に立つ、錠剤をモチーフにした人形の前で足を止める波狼。
仮面を受け取った人物が次に映るコマ、その隅に同様の人形が立っていた。
「変な仮面~!」
「でも、これはこれでいいんじゃない?」
あはは! と笑い声と共に歩いてくる、中学生くらいの少年と少女の集団。
特に仮装の道具は持たず、奇妙な仮面を手にした4人。
「本当に、来ましたね。」
「予言とは違うだろ、これ……まぁいいや。ミミック、化け透かしな。」
霧島の見ている前で、波狼の持つミミックは同じ仮面へと変わっていく。
そのまま彼らの前へ出ていき、
「お、その仮面! あの店のかな?」
奇妙な仮面を手に、話しかけていく。
彼らは一瞬不審な顔をするが、
「あの店、って?」
「あぁ、この仮面を持ってると割引するよって言われてさ、この先のファミレスで。」
裏のなさそうな明るい笑顔の波狼に、すぐに警戒を解いていた。
「へー、そうなんだ!」
「タダ同然にしてくれたのに、結構美味しかったよ。君たちもお腹空いてるならオススメかな。」
「いいね、行こう!」
と、あっさりと店へ誘導していくのだった。
少し離れたところに、また同じ仮面を持った少女が歩くのを見つけた霧島。
「どうも、初めまして。少し、話をしても?」
「え……あ、はい。」
高校生らしき少女は、素直に霧島へ言葉を返す。
「先程から同じ様な仮面をお持ちの方を多く見掛けます。これは一種のシンクロニシティでしょうか?」
「あぁ、これですか? あの、そこで……。」
と振り返ると、少女は顔をしかめて、
「……あれ? そこで配ってる人がいたんですが。」
「おや、そうだったのですね。いえ、何となく似ている程度ではなく、此処まで同じ仮装が揃うのも面白い、と思っていたのです。」
クスリと笑いながら、言葉を紡ぐ。
「なんとなく見ていると、そこのお店へ入っていくのですよね。中には一体どれ程の数が集まっているのか……興味がありませんか?」
「へぇ、なるほど……。」
「是非貴女もご協力を。ふふ、何か特典もあるのでしょうから。」
「そうですね、ちょっと行ってみます。」
ひらひらと手を振る霧島へ頭を下げ、少女も店へ向かう。
長い茶髪を後ろで結んだ髪型……。
「確か、漫画での少女もそのような髪型でしたか。」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
九重・灯
漫画の目的は、UDCの存在を知る者に対する何らかのメッセージなのでしょう。
今はただ、目の前の犠牲を止められない事が心苦しいです。
ファミレスの制服を着て、お店の呼び込みのフリします。
一通り漫画で描かれた場所を歩くと組織の構成員らしき人物も見かけるかも知れませんが、ぐっとこらえる。
UC【まどろむ仔猫の匣・影写し】。例の仮面の幻影体を作り出して被る。
「ハッピーハロウィーン! 当店では特別キャンペーンとして、こちらの仮面を持っていらっしゃる方にケーキやドリンクバーを無料サービス中です!」
ランチも超特別価格! イベントも開催されますのでどうぞお越しください!
『演技3』して仮面の所持者を店に誘導します。
「ハッピーハロウィーン! 皆さま、楽しんでいますでしょうか?」
ファミレスの前、そう呼び込みをしている九重・灯(多重人格者の探索者・f17073)。
制服を着て、笑顔で道行く人へ声をかける姿は、看板娘と言ってもいいほど堂に入っている。
「当店では特別キャンペーンとして、こちらの仮面を持っていらっしゃる方にケーキやドリンクバーを無料サービス中です!」
途中、レプリカである例の仮面を付けて通りを見渡していると……それを頼りに、仮面を手にした人物が寄ってきた。
「その仮面って、これですよね?」
「はい、そうです! こちらのメニューを楽しんでいただけますよ!」
「わー、そうなんだ! もらってよかったー、なんか変な仮面だと思ってたけど。」
手にしたメニューボードを見せれば、笑顔でお店に入っていく少女達……。
(漫画の目的は、UDCの存在を知る者に対する何らかのメッセージなのでしょう。ただ……、)
仮面の下で、九重は奥歯をかみしめる。
(目の前の犠牲を止められない事、嬉しそうに店に入っていく彼らの事が、)
「……あのー、この仮面って?」
「あ、はい! お客様、その仮面をお持ちの方にサービスで」
……思案していて反応が少し遅れた、その時。
通りの先、視界の端に、仮面をいくつも持った女性の姿が見えた……気がした。
「……こちらのメニューを、無償提供して、おります。」
飛び出し、それを止めたい……九重はその気持ちをこらえ、案内を続けていた。
大成功
🔵🔵🔵
虚偽・うつろぎ(サポート)
UDCアースのみで活動中なので
UDCアース希望
連携等ご自由にどぞー
登場即自爆
ただこれを実行するのみ
台詞、作戦?そんなものは必要なし
速攻で自爆するだけだよ
何かいきなり自爆するただの自爆装置と思ってね
敵がいなくてもとりあえず自爆するよ
情報収集?自爆すればどうにかなるよ
技能:捨て身の一撃を用いてのオウサツモードによる広範囲自爆
対象は範囲内の敵全て
強化は攻撃力重視
オウサツモードの攻撃範囲内に1体でも敵がいれば速攻で自爆
敵の数は関係なし
自爆することに意味があるのだよ
なので敵がいなくても自爆するかもね!
一歩も動くことなく自爆さ
自爆は1回のみ
自爆後はボロボロになってその辺に転がってるね
消し炭になってるかも
氷川・権兵衛(サポート)
名は氷川権兵衛。見た目通り人狼だ。職業はUDC組織に属する生物学者だ。主にUDC生物の解剖と解析を担当している。医術の心得もある為、事件現場で被害者の治療を任されることもあるが、よく顔を怖がられるな。現地民の認識にフィルターが掛かっているとはいえ、一体どんな風に映っていることやら。
戦闘面での実力を知りたいのか?基本的にタンクとして動く。自慢に聞こえるかもしれないが、私は素早い。攻撃される味方の前へ躍り出て、ショットガンで敵を吹き飛ばす。牽制に毒を含ませたメスを投擲したりもする。ドーピング薬を腕に刺せば、狂戦士に早変わりだ。燃える左腕を振り回し、敵に恐怖を植え付けてやろう。
「おや、その仮面は……。」
商店街を歩いていた氷川・権兵衛(狼頭の生物学者・f20923)。
例の仮面を見つけ、持ち主の少年に語り掛けると、
「え、な、なんです……か?」
「あぁ、いや……その仮面を持っているなら、あちらの店でサービスを受けられるようだ。」
妙におびえる少年を見ながら、努めて優しく語り掛ける。
「あ、ありがとう、ございます。」
「もうすぐサービスの時間も終わる。急いだほうがいい。」
「は、はい!」
頭を下げて逃げるように去っていく少年を見送り、
(威圧する気はないのだが、彼らにはどのように見えているのだろうか。)
人狼である証、氷川の顔である狼の頬を掻きながら、ほかに仮面を持っている者がいないか見て歩く。
「……これで大体、か。」
それほど広くもない商店街を氷川が見る限り、例の仮面を持つ者はいなかった。
外に掛けられた時計を見上げれば、漫画で示された事件の時間まで、あと10分ほど。
「行くとするか。」
と、ファミレスへ向けて歩き出した時……。
「鏖殺領域展開……。」
「……ん?」
物騒なつぶやきに目を向けると、そこにあるのは『うつろぎ』という文字。
「一爆鏖殺執行!」
「おい! まっ」
ドーン!
……突然、うつろぎの文字こと虚偽・うつろぎ(名状しやすきもの・f01139)が、商店街の真ん中で自爆した。
爆発する場所は選んだのか、通行人に被害が出ている様子はない。
「何を考えて……いや、まてよ。」
ぴくぴくと震えるフォント……そして、それに集まる通行人たち。
救急車を呼べ! 火は大丈夫か! ……などの声が響き、騒然となる通りを見ながら、
「……なるほど、目を逸らしたか。」
ハロウィンの催し、その会場で爆発などが起こればそちらへ目が行き……これからの戦いを一般人に見られる可能性が減る。
氷川は口元に笑みを浮かべ、野次馬の人波をかき分けてファミレスへと向かう。
そして扉を開けると……中には、仮面を付けたものたちの姿があった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 集団戦
『黄昏の冠』
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POW : 痛い痛い痛いイタイイタイイタイ――きもち、いい
【黄昏の救済による教義】に覚醒して【いく段階に応じて、肉体の素質に応じた化物】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD : 嗚呼。救済の教えが、導きが、肉から溢れ出ていく
対象の攻撃を軽減する【為の痛覚鈍麻と、肉体が即時再生する状態】に変身しつつ、【肉体の損傷を顧みない肉弾戦】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : 呼んでいる。何もかも、全部、救われる、呼び声が
自身に【邪神の寵愛による耳障りな歌声】をまとい、高速移動と【聞いた者の脳内に反響し続ける悲痛な絶叫】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
イラスト:純志
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「痛い、痛い、イタイよぉ……!」
「ぐぅ……剥がれ、ない!」
ファミレスの中には、顔に張り付く仮面に苦しむ少年少女達。
だが、少し経つと……雰囲気が変わってきた。
「ふ……ふふふフフフ……!」
「アア……導きの声ガ、聞こえル!」
それぞれの者たちは、姿を変えていく。
痛みを訴える身体を、無理やり再生し……骨が、筋肉が悲鳴を上げ、怪物じみた姿へと変わる。
「こ、これはどういう……痛っ!」
その中に一人だけ、怯えた様子の少女がいた。
付けた仮面に痛む頭を押さえて周囲を見れば、怪物と化した者たちの姿、姿、姿。
「な、なんなのこれ……!」
……ふと気が付けば、頭を押さえる自身の右手が、石のように固く変わっている。
いつの間にか、痛みは引いていた。
そして、周囲の怪物たちは出口へ向かっていることに気が付く。
「だめ……止めなきゃ。」
沸き起こる衝動に駆け出せば、普段よりも体が軽い……すぐに出口へたどり着き、立ちふさがる。
導きを、神の施しを……そう呟く者たちが少女を見るが、
「行かせない!」
睨み返し、その石と化した腕を振り回して留めていた。
九重・灯
人格が入れ替わる。「オレ」の出番だ。
出口を守るように立ち、装備の黒縄カゲツムギで扉を縛って封鎖する。
「外に出られては困ります、お客サマってな」
首から外した桜柄のマフラー桜花演舞を硬化させて、外に出ようと近づいてきたヤツらをなぎ払って吹っ飛ばす。
『なぎ払い5』『吹き飛ばし3』『範囲攻撃3』
UC【朱の浄火】。左腕を切り裂いて、血を代償に魔炎を纏う。
右手の桜花演舞で相手の攻撃を絡め取り、捌く。
『武器受け5』
魔炎を纏う左手で元凶の仮面を中心に狙う。
『属性攻撃8』『部位破壊5』
これで助かれば良いんだがな。
戦闘中UDC-Pの姿をチラリと確認する。
人の意識があるのか。この炎で元に戻してやれるか・・・・・・?
霧島・絶奈
◆心情
姿がどれ程変わろうと…
ヒトとしての想いを捨てず、ヒトであろうと願う限り、貴女は「人」です
◆行動
歌声を迂闊に聞かない様、ノイズキャンセラー付のヘッドフォンを装着
大音量でお気に入りの曲を聴きながら「踊る」としましょう
『暗キ獣』を使用
軍勢の一部を「UDC-Pの少女」の直掩に回し、槍衾による防御陣を形成
残る軍勢は敵の機動力を殺す為、面制圧による【範囲攻撃】を重視
私は軍勢に紛れ【目立たない】様に行動
【罠使い】の技能を活かし「魔法で敵を識別する虎挟みやトリモチ」を設置
此方でも機動力を奪います
設置後は【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】
負傷は【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復
「コノ教エ、外ノ人ニモ……。」
「くっ、この!」
少女は変異した腕で殴り掛かるが、相手は完全に人間であることを辞めた者たち。
仮面によって身体能力は格段に上がっているとはいえ、格闘技の心得もない少女に勝てる相手ではなく……、
「きゃっ!」
あっさりと、出口へと吹き飛ばされる。
そのまま外へ飛び出すかに見えたが……ふわりと優しく黒いワイヤーが絡み付き、受け止めていた。
少女の前に立ちふさがったのは、鮮やかな桜の柄のマフラーをしたウェイトレス姿の九重。
「当店では、乱闘を大いに推奨しております。よって、」
黒いワイヤーで出口の扉を封印しつつ、眼鏡を外した左腕に炎を纏って言葉を放つ。
「存分に中で暴れてくださいませ……外に出られては困ります、お客サマってな!」
「オオオ! 痛ミヲ知レ!」
殴り掛かってくる異形達の視界が桜で埋まる。
九重がばさりとマフラーを広げると一気に硬化、まとめて薙ぎ払って押しとどめる。
「あ、あなた達は?」
「貴女の味方、ですよ。」
少女には、すぐ横でそう答える霧島の姿に覚えがあった。
蒼白い猫耳のフード、ここに案内した人物……。
「どういう事、ですか……?」
「仮面を付けた皆さんが変異を起こす、という情報を得ていました。ですので……ここに集め、人に知られずに倒すつもりで。しかし、」
言葉を遮るように、耳障りな歌声を上げ始めた怪物。
そこへ襲い掛かるのは、霧島の足元から生み出される屍獣たち……喉元に喰らいつき、黙らせていく。
「姿がどれ程変わろうと……ヒトとしての想いを捨てず、ヒトであろうと願う限り、貴女は『人』であり、保護対象です。」
「そういうこった、だから少し大人しくしてろよ!」
そう言って、向かってくる怪物が振り上げる爪を、マフラーで絡めて逸らす九重。
体勢を崩した怪物の顔を、燃えさかる左腕で掴み上げ、
「オレたちも、アンタのように異形の力を手に入れちまった人間なのさ!」
「ガアアアアア!」
そのまま仮面を焼き尽くすと、怪物は悲鳴と共に力を失い、動かなくなった。
(ちっ、マジか……仮面だけ焼いても元に戻るどころか、そのまま死ぬのかよ。)
心の中で舌打ちをしながら、九重は別の怪物へ殴り掛かっていった。
「そういう、こと。」
「……ええ、納得できないかもしれませんが。」
ヘッドフォンを付けながら、霧島はさらに屍人の兵士を生み出して少女を護るように立たせ、
「貴女を護る事、これで信用してもらえれば。」
お気に入りの曲を聞きながら、耳障りな歌声を響かせる怪物へ屍獣を向かわせる。
そして、先ほどまでそこにいた霧島が姿を消したと思えば、怪物のすぐ横へ現れて武骨な黒剣で首を刎ねていく。
「……。」
少女はその戦いを見つめていた。
しかし、呆然としているというよりは……。
「わたしも、倒さないと……。」
内なる衝動……暴力を振るいたい、という思念が沸き起こっていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
波狼・拓哉
…えっぐいなぁ。あれ。今度からUDC組織にあのタイプの仮面出たらぶっ壊すシナリオでも作ってもらった方がいいんじゃねぇかなぁ。
さて。…助けんのは無理だったっけ。一応仮面だけ部位破壊を狙って撃ってみますけど…まあ、一応ね?形だけでもね?
見切りは早めに付けて化け刻みなっと。数が多いからね、リロード面倒だし…何やら自壊してるしね。時を冒涜して飛ばしましょう。
秒針弾はどこ当てても問題ないから…戦闘知識、視力、第六感で確実に当たる箇所に撃ち込みつつ地形を利用しつつ逃げまわろう。一定数当てたなら…パッチンして終わらせよう。
UDC-Pの方に行ってるのがいるなら衝撃波込めたキックで薙ぎ払うか
(アドリブ絡み歓迎)
「……えっぐいなぁ、あれ。」
目の前の仮面を付けた怪物、その姿を見ながら呆れた様子で呟く波狼。
「今度からUDC組織に、あのタイプの仮面出たらぶっ壊す作戦でも考えてもらった方がいいんじゃねぇかなぁ……。」
「ギ、ギザマニモ……キュウサイ、ヲ!」
「おっと、ミミック!」
自身の倍もある怪物が迫ってくるのを見て、波狼の声に呼ばれたミミックがモデルガンへと吸い込まれていく。
狙い違わず仮面に当たる、時間を消し飛ばす秒針の弾……その仮面は時の流れに朽ち果てるが、
「グゥ、ァァアアア!」
「……助けんのは無理だったっけ。」
顔を押さえてのたうち回り、静かになる怪物。
「……まあ、一応ね? 形だけでもね?」
誰が見ているというわけではないが、言い訳をしながら周囲を見渡すと……UDC-Pの少女が怪物と対峙していた。
「グルルゥ……通セ!」
「……させない!」
今にも飛び掛かる姿勢の怪物に、少女は扉の前で変異した拳を握りしめて迎撃の構え。
怪物の足に力が入った瞬間……後ろから波狼が蹴りかかり、その衝撃で怪物が前のめりに倒れる。
「この!」
そして、少女は殴り掛かり、殴り、また殴り……。
「……その辺で、いいんじゃない?」
「……え?」
波狼の声に気が付くまで、少女は怪物を殴りつけていた。
事切れ、動かなくなり、その形が変わるまで……その拳が赤く血に染まっても、楽しそうに笑みを浮かべて。
「わ、わた……私……なんて、ことを」
「君が悪いわけじゃない……仮面のせいさ、多分。」
自分の手を、血に染まった手を見て呆然と呟く少女を背に、波狼は向かってくる怪物たちへ銃口をむける。
大成功
🔵🔵🔵
アレクシア・アークライト
装着した者を黄昏秘密倶楽部の信徒へと作り変える仮面。
大を助けるため、私達は彼女達がこうなることを見過ごすことしかできなかった。
でも、あの仮面で信徒にされた人を救うことができた事例が一つ、UDCに記録されていることを私は知っている。
私はあの人ほど精神操作に長けていないけど、試してみる価値はあるわよね。
・3層の力場を情報収集用に展開し、信徒の動きを把握。残りの力場は防御用に展開。
・UCで精神に介入し、信徒としての意識や記憶を失わせてから、念動力により細心の注意をもって仮面を引き剥がす、又は雷霆により仮面を破壊することを試みる。
・救助が無理な場合は、教義の痛みを感じる暇すら与えないよう一撃で屠る。
気が付けば、怪物もあと1人。
レストランにいた中でも変異が少ない個体が、アレクシア・アークライト(UDCエージェント・f11308)の操る力場に捕らわれ、身動きが出来なくなっていた。
「装着した者を、黄昏秘密倶楽部の信徒へと作り変える仮面。大を助けるため、私達は彼女達がこうなることを見過ごすことしかできなかった。……でも、」
「ハナ、セ!」
もがく怪物を、身動きができないほどに幾重にも、力場で阻む。
「あの仮面で信徒にされた人を救うことができた事例が1つ、UDCに記録されていることを……私は知っている。」
それは、1人のエージェントの記録。
催眠術に記憶消去の光や薬物すらも用いて、信徒としての教義……その記憶を取り除き、痛みによる支配を再び受ける前に仮面を外すことで、1人を人に戻したという執念の記録。
「私はあの人ほど精神操作に長けていないけど、試してみる価値はあるわよ、ね?」
アレクシアは怪物の瞳を覗き込み……持ち前の催眠術で精神を支配していった。
記憶を消し、それに伴って変異が戻り……、
「うぅ……ぐぅああああ!」
「さて、ここからね。」
仮面からもたらされる痛みに、装着者が苦しみはじめる。
ここまでは報告にあった通り……アレクシアは慎重に、念動力を操り仮面を引きはがす。
「……どういう生活をしてたら、こんなの思い浮かぶのかしらね。」
仮面から伸びる針状の器官が顔に突き刺さり、固定されている。
「でも、無理じゃない。」
慎重に解き、切り離し……ぽとりと仮面が落ちる。
……仮面の下の顔は疲れたように、ゆっくりと息をしている。
「よし……これで一安心。」
「あの、お疲れ様、です。」
待機していたUDCのエージェントたちに、怪物だった人物を預ける。
その様子を大人しく見ていた、UDC-Pとみられる少女。
彼女に視線を移し……はたと気が付く。
「……あなたの仮面も取り外したいところだけど、一つ聞かせてもらえる?」
「えっと……はい、なんでも。」
「仮面を付ける前と比べて、あなたの考えが変わったとか、ある?」
少女はアレクシアから問われた意味を考え……首を振り、
「あの、特には。」
「そう、か。」
この少女は、何も変わっていないのだ……仮面のもたらす激痛があったはずだが、黄昏秘密倶楽部の教義に目覚めることもなく。
「破壊衝動は増してるようには見えるけど……それだけなのね。」
「……そのよう、です。」
今までの被害者たちは、元の人格とは全く違う、教義に目覚めた人格へと変わっていた。
新たに生まれた人格を記憶操作で消すことで、元の人格をとり戻し、仮面を取り外す……という方法では、
「今のやり方だと、最悪の場合……あなた自身の記憶とか全部、消えるかもしれない。」
「そん、な……。」
戻る方法はない……しかし、
「今は、戻す方法が解らないけど……あなた自身や、つけている仮面を調べれば、外すことができるようになるかもしれない。」
「そう、なんですか?」
「私達の組織であるUDC……アンダーグラウンド・ディフェンス・コープに協力してくれるなら、そのための処置を行えるわ。元の普通の生活はできなくなるけどね。」
「えっと……もし、協力しないって言ったら……?」
「私達の信念は大多数の普通の人を護る事よ。それを脅かす可能性があるなら……残念だけど。」
「……解りました。」
少女は深々と頭を下げ、
「よろしくお願い、します。」
顔をあげた時にはしっかりと覚悟を決めた目で、猟兵達を見つめていた。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 日常
『UDC-P対処マニュアル』
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POW : UDC-Pの危険な難点に体力や気合、ユーベルコードで耐えながら対処法のヒントを探す
SPD : 超高速演算や鋭い観察眼によって、UDC-Pへの特性を導き出す
WIZ : UDC-Pと出来得る限りのコミュニケーションを図り、情報を集積する
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
仮面を付けた少女はUDCへと行くことを了承したが、問題はいくつかある。
人間としての生活はできるが、奇妙な仮面に異形と化した右手を人目にさらすことは、できれば避けたい。
そして、戦いの中で見せた彼女自身の破壊衝動……今は落ち着いているが、何かしらの発散法を考える必要があるだろう。
幸い、彼女は元々の性格なのか、素直に話を聞いてくれるタイプだ。
身体を治す方法を考えるよりも、異形の力を使いこなす方法を考えるのも、いいかもしれない。
霧島・絶奈
◆心情
以前もUDC-PをUDC組織に預けましたが…
その内一大勢力を築けそうですね
…まさかとは思いますが、件の漫画は「そういう事」なのでしょうか?
◆行動
【優しさ】を籠めてUDC-Pの少女と話をしようと思います
破壊衝動をぶつける対象として、貴女自身もUDC組織の活動に参加する…と言うのは如何でしょうか?
無理に抑える事は余計なストレスを生むでしょうし、恐らく抑え続ける事は不可能でしょう
戦術を学び、戦技を磨く必要はあるでしょうけれど、貴女の行いが人の為となる
其れは破壊者ではなく守護者としての道です
繰り返しますが、姿が変わろうともヒトとしての想いを捨てず、そうあろうと願う限り、貴女は「人」なのですから…
波狼・拓哉
……あ、そうか。普通は仮面してれば人目気にするよね。ヒーローマスクとかいるしおにーさん的に違和感なかったわ。右腕も同上。
んー…フードとか被れば見た目は見えなくなるけど…仮面を飾り付けたりします?
いや、剥がすのは駄目っぽいけど新たに飾り付けんのは行けるんじゃねーかなと。あみあみだし間を塞いで鉄ぽくすれば唾の長い兜みたいで格好よさそうじゃない?後まあ、コスプレって言い張れれば街中歩く時色々楽だしね。
問題は右腕だよなぁ。おにーさん手袋するくらいしか思いつかねーや。ギプスとかは別の意味で目立ちますからねぇ。…いっその事それもコスプレの1種ですって言い張ります?
(アドリブ絡み歓迎)
アレクシア・アークライト
彼女のこれからは、最終的にUDCが決定することになるわね。
確かに彼女の意思によるところもあるかもしれない。
だけど、彼女にできるのはUDCが提示した選択肢の中から選ぶことだけ。
彼女がこれからどのように……人として生きていくのか、貴重なサンプルとして生きていくのか、その決定権はUDCが持っていると言える。
私にできるのは、UDCに希望を伝えることくらい。
私達は“彼女”がこうなることを止めることもできたけど、そうはしなかった。
そのことを前提に、未来を提示してほしいということを。
……あと、任務の前後に顔を覗いたり、声を掛けることくらいはできるかしら?
今回の私達の判断に意味があったことを願うわ。
「以前もUDC-PをUDC組織に預けましたが……その内、一大勢力を築けそうですね?」
「能力のある人が集まるのは、悪いことじゃないわ。とはいえ、」
楽し気に話す霧島に対し、アレクシアは神妙な面持ちで続ける。
「彼女のように不幸な目にあってというのは、あまり歓迎できないところよ。」
「だからこそ、救いの手を差し伸べられる人になるのではないですか?」
「……それでも、よ。」
「ふふ……そうですね、失礼しました。」
頭を下げた霧島は少女の方へ向き直り、仮面に包まれた顔を覗き込みながら優しく語り掛けていく。
「さて……見た限り、貴女は普通の人とはかわらない様子。あえて言うなら、破壊衝動でしょうか?」
「あの、はい……そう、ですね……。」
霧島の問いに、怪物を動かなくなるまで殴りつけた記憶がよぎり、少女の表情が翳る。
「いえ、貴女を責めるつもりはありませんよ。私にもあるものですから。」
「それにあれだ、殴りつけてた時は君も必死だったしね。知らなかったんだから仕方ないさ。」
その時を横で見ていた波狼も、フォローを入れていた。
「そこで、破壊衝動をぶつける対象として、貴女自身もUDC組織の活動に参加する……と言うのは如何でしょうか?」
「活動、に?」
「無理に抑える事は余計なストレスを生むでしょうし、恐らく抑え続ける事は不可能でしょう。戦術を学び、戦技を磨く必要はあるでしょうけれど、貴女の行いが人の為となる……其れは破壊者ではなく、守護者としての道です。」
「なる、ほど……。」
石のように固くなった右手を握りつつ、それを見ながら少女は呟く。
「この手でも、できることが。」
「そうね……UDC組織としても、手が増えるのは歓迎すると思う。」
組織の一員であるアレクシアも、その考えには同意しつつ、
「私からも、そうするように伝えるわ。なるべく期待に添うように。」
「ありがとう、ございます。」
「繰り返しになりますが、心に留めておいて欲しいことがあります。」
霧島は少女の顔を覗き込み、言葉を続ける。
「姿が変わろうともヒトとしての想いを捨てず、そうあろうと願う限り、貴女は『人』なのですから……。」
「……はい。」
少女はしっかりと頷いていた。
「さて、そうなると……当面の問題は、その仮面でしょうか?」
「あ……そう、ですね。」
「……あ、そうか。普通は仮面してれば、人目気にするよね。」
今気が付いた、とばかりに言葉を漏らす波狼。
「似たような恰好の人とか知り合いにいるし、おにーさん的に違和感なかったわ。その右腕も。」
「そう、なんですか?」
「うん。まーでも、君の場合はそれを外せないからなぁ……。ちょっと触っていいかい?」
「あ、どうぞ。」
波狼が仮面に手を伸ばす。
触った限りでは、金属のような材質で……、
「んー……フードとか被れば見た目は見えなくなるけど……仮面を飾り付けたりします?」
「……例えば、どんな感じに?」
「あみあみだし、間を塞いで鉄っぽくすれば、唾の長い兜みたいで格好よさそうじゃない?」
「なるほど……。」
少女もわりと乗り気な様子。
「まあ、コスプレって言い張れれば街中歩く時色々楽だしね。問題は右腕だよなぁ……おにーさん手袋するくらいしか思いつかねーや。」
「こう……包帯を巻く、とか?」
「そーね。目立つことは目立つけど、コスプレなら多少は許される……かな?」
うーむ……と唸りつつ、視線でほかの女性二人に問いかける波狼。
「問題はないのではないですか? 外では着ぐるみを着ていてください、とは言えませんし。」
「実際、組織の人間として動くときは、今回のようになるべく人目に触れないようにすることが多いしね。多少なら誤魔化せるわ。」
霧島もアレクシアも、出ている案に問題を感じていなかった。
「……っていう事のようだし、後で少し仮面に細工してみようか。」
「はい、そうしましょう。」
店内の鏡をちらりと見つつ、少女は頷いていた。
そろそろ、店を引き上げようかというときになって、
「……あなたの未来は、UDC組織が握ることになるわ。あなたが人として生きていくのか、貴重なサンプルとして生きていくのか……。」
アレクシアの呟きが続く。
「私は、なるべくあなたの意思を優先するように、組織へ伝えることしかできない。悪いようにはしないつもりだけど、ね。」
「はい……。」
「大変かもしれないけれど、これからもよろしくね。」
「……こちらこそ、よろしくお願い、します。」
アレクシアの伸ばした右手を、少女は変化した手でとり……軽く握手を交わして、少女は組織へと引き取られていった。
UDC-P報告書 NoXXより抜粋
元個体識別名:黄昏の冠
現状況:要観察
黄昏秘密倶楽部の作成した仮面を着けたまま、自我を保つ被験者。
その外見から人目を避ける必要はあるが、現在は組織の一員として、主にUDCの鎮圧を補助している。
定期的な破壊衝動の発散を行う限り、被験者の精神は安定しているもよう。
最近は仮面を鉄仮面のような外見へと偽装し、兜として活用している。
仮面については現在研究中。
大成功
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