スイート・レイン
●蒸気機関と甘い雨
アルダワ魔法学園の中、そこは文字通り素敵なパーティタイムの真っ最中。
広々とした空間に入ればお喋りの邪魔にならないよう音楽が流れていて、いつもと違う装いの生徒たちがあちこちにいる。
獣耳カチューシャに付け尻尾。ちょっぴり派手なフェイスペイントでピエロ風に。
ティアラを付ければプリンスプリンセス、またはキングにクイーン。
そんな彼らは皆、天井近くをふわふわ漂う厚い蒸気の層に期待の眼差しを注いでいた。
「あっ、始まった!」
表情がぱっと明るくなれば、メインイベント開始の合図。
沸き上がった歓声を受け止めるのは、蒸気に投影されたスイーツの姿。
渦巻きやころりと丸いキャンディ。南瓜やお化けのアイシングクッキー。チョコレートにマドレーヌ、プチカップケーキと、次から次へと映ったその向こうから、ふんわりふわふわ“降ってくる”スイーツたちに、歓声が波のように生まれては広がっていく。
「ひゃっほー大漁だぁ! 次は!? ねえ次は!?」
胸躍らせていた生徒はスイーツを受け止められるよう、つぎはぎエプロンの端を掴んで広げて準備万端。さあバッチコイ! と鼻息をフスンッとさせ――仰天する。
「えっ、災魔!?」
スイーツシルエットをふわんと抜けて下りてきたのは、体の端をぴろぴろとさせた、そして何やら怒り顔のユキウサギウミウシだった。
●スイート・レイン
「ハロウィンですね。そして一大事です!」
両手を挙げたシーツお化けの下からルル・ミール(賢者の卵・f06050)が顔を出す。
発見された古文書によって、かつてアルダワ世界では10月31日に『装魔封災戦(そうまふうさいせん)』という大規模奇襲を行い、大量の災魔を封印した事が判明した。
当時の人類は侵入の際、災魔の仮装をしており、作戦の成功と勝利を祝って始まったのがアルダワ世界のハロウィンなのだという。
「そして今年もハロウィン到来なんですけど……当時の記憶が残ってるんでしょうか。今も本能的にハロウィンを嫌う災魔が多いみたいで、学園に現れるのが視えたんです」
しかしパーティ会場に現れる災魔は理性が低下しており、仮装した者を優先的に狙う性質がある。これも本能に刻まれた敗戦の記憶か――。
しかし、現れるのならばその性質を利用しない手はない!
ルルは再びシーツを被り、ジャジャーンと両手を挙げる。
「皆さんも仮装して、ハロウィンパーティを楽しんじゃいましょう!」
生徒たちも仮装しているが、それほど派手なものではない――というより、猟兵の仮装が圧倒的凄まじさを誇るだろう。仮装した猟兵たちがパーティを楽しんでいれば、災魔は生徒ではなく猟兵まっしぐら間違いなしだ。
「……流石です、皆さん……!」
ルルは集まった猟兵たちを見て(目の部分からちゃんと見えているらしい)バフバフとシーツお化けであるが故の拍手をした。そして告げた災魔の名は『ユキウサギウミウシ』。数と逃げ足の速さが光る災魔だが、ほぼ無害と言われている。
――集団行動された場合は若干手間取るかもしれない。
――倒す時にぷるぷるするので、罪悪感が湧くかもしれない。
そんなユキウサギウミウシは「みんなしてハロウィン、ハロウィンって!」と、大変ぷんすかぴろぴろしているが、落ち着いて対処しなければならない。なぜなら。
「上からスイーツが降ってくるんです……スイーツが!!」
シーツお化けがぴょこぴょこ跳ねた。
落ちてくるスイーツは蒸気の層に投影されたものと同じ種類で、袋詰めされたそれはいくつ手に入れても良いルール。故に、甘味好きの生徒は大変熱い情熱でもってパーティに参加しているのだとか。
「甘さ控えめのものもあるみたいですよ。スイーツの雨……夢みたいな光景ですね……」
はぁ、とうっとり両手を組んだルルがもぞもぞ動き、シーツをマントのように羽織る。
掌の上でグリモアが輝き始めれば、向かうべき世界への扉が開かれて。
「それでは皆さん、後はよろしくお願いします。パーティ、楽しんできてくださいね♪」
東間
ハロウィンの平和を守る時! 東間(あずま)です。
●プレイング受付期間
31日の8:31から11月3日の24:00までの受付予定です。
導入場面の公開はありません。
受付期間外に届いたプレイングは公平さを保つ為に一度流していますが、お気持ちに変わりなければ、再度送っていただけますと幸いに思います。
●このシナリオについて
一章のみの集団戦となっております。
仮装して、降ってくるスイーツをキャッチしましょう。
しこたま集めたり、厳選したり、踊りながらキャッチしたりと楽しんでいれば、ユキウサギウミウシが向かってきます。
基本無害な災魔なので、メインとなるのは戯れつつスイーツをキャッチしたり、ユキウサギウミウシをつんつんぷにぷに……となりますので、ガチ戦闘プレイングは採用率が下がります。ご了承ください。
戦闘についてはプレイングの最後に 戦 の一文字があれば大丈夫です。
●スイーツについて
チョコが投影されればチョコ詰め合わせ。クッキーならクッキー。
オープニングにあるもの以外も降ってくるでしょう。
好きに設定して大丈夫です、食べたいと思うスイーツをどうぞ!
魔法の力でふわふわ降ってくるので、キャッチした衝撃で形が崩れるといった心配はありません。
●仮装について
ハロウィンパレードイラストの場合は、プレイング文頭に ★ と、お願いします。
二文字分勿体ないので全角スペースは不要です……!
ハロウィンパレードイラストはない、もしくは別の仮装をする、という方は「こんな仮装」と書いて頂ければ。
版権ネタはご遠慮ください。
●お願い
同行者がいる方はプレイングに【共通のグループ名もしくは旅団名】の明記をお願い致します。
複数人参加はキャパシティの関係で三人まで。
プレイング送信日=失効日がバラバラだと、納品に間に合わず一度流さざるをえない可能性がある為、送信日の統一をお願い致します。
日付を跨ぎそうな場合は、翌8:31以降の送信だと〆切が少し延びてお得。
以上です。
それでは皆様のご参加、お待ちしております。
第1章 集団戦
『ユキウサギウミウシ』
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POW : あそんで
【ミニぷにぷに】【ミニもちもち】【ミニつるつる】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
SPD : ともだち
自身の身長の2倍の【めっちゃ移動が早いシロイルカ】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ : ぶんしん
レベル×1体の、【背中】に1と刻印された戦闘用【自分の分身】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
👑11
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クロヴィス・オリオール
★
え、スイーツ取り放題?
うっわ行く行く、超行く、マジかよアルダワ最高だな
フェアリーサイズのも降ってくりゃいいンだけど……ま、でっかくてもそれはそれで。
何とかキャッチも持ち運びもできるだろ……た、多分。
それにオレにはこの手があるしな。(指パッチンでユベコ発動、懐から取り出した普通のトランプがトランプ兵に変身)
手数が増えりゃ、それだけキャッチにも持ち運びにも使えンだろ。
そォら、ご主人様のために働け働け!
…ん?
ぁー、そンな派手な格好してたつもりもねェけど、一応こっちにも来るのか、あのぴろぴろ。
人畜無害そうな顔してンの攻撃すンのは、流石にちっと気が引けるなぁ……トランプ兵どもに適当に相手してもらうか。
――スイーツ取り放題のハロウィンパーティ開催!
――うっわ行く行く、超行く、マジかよアルダワ最高だな。
という事で、クロヴィス・オリオール(GamblingRumbling・f11262)はアルダワ学園のハロウィンパーティに参加していた。
あっちでふわり。こっちでふわり。
蒸気にスイーツが映る度、透き通った四色の翅と頭の黒い兎耳がかすかに揺れる。
(「ドーナツ……あっちはマシュマロか。……でかいな」)
生徒たちの歓声を浴びるスイーツは人間が食べるのに丁度良いサイズ。
時折現れる小さめのものは、ケットシーの作か。
マシュマロ詰め合わせを受け止めた生徒が物凄い勢いで足踏みする様に、クロヴィスは青春してンなと笑った後、天井付近でふよふよとたわむ蒸気を見つめた。
(「フェアリーサイズのも降ってくりゃいいンだけど……ま、でっかくてもそれはそれで」)
フェアリーサイズなら丁度良し。大きければ、甘い物好きである自分にとっては特別無料サービスが付いてくるようなもの。
それに多少大きくともキャッチする、持ち運ぶといった事は出来るだろう。
多分、とつい心の中で添えてしまうが、ギャンブラーであるクロヴィスに抜かりはない。
「お」
蒸気に映ったごく一般的なキャンディをふんわり通過した、キャンディ詰め合わせ。クロヴィスの目にキラッと映り込んだそれは、女神の横顔が掘られた七色コインだった。
フルーツ味か、それとも花が香るのか。疑問と興味が浮かぶ間にも、プレーンとココアのボックスクッキーや、金塊形パウンドケーキも追加されて。
――雨の数が増えたなら、こちらの手札も増やしてしまえばいい。
パチンッ!
トランプが宙を舞い、クロヴィスの指先から音が弾ければ、生徒たちがわぁっと歓声を上げる。
「そォら、ご主人様のために働け働け!」
ズラリ並んだトランプ兵軍団は、ハートの女王陛下ならぬクロヴィスの命を受けた瞬間きびきびとお仕事開始。
一枚が重ねた両手を足場にもう一枚がジャンプしてキャンディをキャッチ。肩車をしてぽすっとパウンドケーキをキャッチ。雪山のようなプチクグロフ、カラースプレー纏ったドーナツ、南瓜型のグミもと、トランプ兵によって甘い雨が次々に献上されて。
「……ん?」
ふわんっと蒸気を抜け、ぴろぴろと降りてきた白い災魔が見えた。
こちらへ一直線、という事はつまり。
「ぁー、そンな派手な格好してたつもりもねェけど……」
動けば頭上で揺れる兎耳に、ふかふかとした丸い尻尾。トランプマークのイヤリングにボタン。落ち着いた色合いにボルドー色のリボンが華を添えるブラックバニー・ディーラーだ。
そして“スイーツ詰め合わせというお宝を抱えている”。
しかし、まあるい体に円らな目をした災魔はどこまでも人畜無害な顔立ちで。
「流石にちっと気が引けるなぁ……おい、お前ら。そう、お前からお前まで」
他の奴にスイーツ預けて、適当に相手してこい。
ボスの命令にトランプ兵はすぐさま動きだし――バレーボールよろしく、ユキウサギウミウシがぴろぴろぽよよんっ! と跳ねるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
御影・龍彦
百(f22759)さんと
仮装は鴉天狗モチーフ
天狗装束に鴉の面を付けて
流石、百さんの見立てだね。丈もぴったりだ
と、彼女へと視線を送ると
其処にあるのは竹製の筒
え、何で?百さーん?
あ、出てきた。えっと、それ何モチーフ?
なるほど、管狐か…狐?
と、首を傾げてる場合じゃないね
自前の翼を広げ
軽く宙を飛びお菓子を確保に向かうよ
百さんが示す竹筒に入れては、また飛翔
さて、敵は…思いのほか可愛らしいね?
でも影朧と違って転生の可能性も無いし
【降魔憑装】を発動し群れに突っ込む
退治しないと、と普段の調子だったのは最初だけ
あ、ぷにぷにしてる
ちょっとだけ罪悪感が
…百さん、それ筒から出して!
お菓子が入らなくなっちゃうじゃないか
鉄・百
龍彦様(f22607)と
管狐の仮装で参加
いつもよりちょっと華やかな着物を着て、大きな竹製の筒に収まって…
この空間落ち着きますねぇ
リラックスしかけたところで龍彦様の声に我に返ります
龍彦様の烏天狗は見惚れるほど素敵
ふふ、見立て大成功ですね
私は管狐でございますよ
空からお菓子が降るなんて夢のよう
さあ、張り切って参りましょうか!
竹筒から出てお菓子を狙います
龍彦様、お菓子はこの竹筒に入れて行ってくださいませ
降ってくるお菓子を竹筒に入れていたら…
あら?今ぷにっとした感触が
ウミウシさんを追うのも楽しそう
ふふ、前世の血が騒ぎますねぇ
夢中になって捕まえていたら、竹筒がウミウシさんでぷにっぷに
あらま、私ったらつい
戦
ふわふわと揺らぐ雲のような蒸気。映し出されるスイーツと、そこから降ってくるスイーツ詰め合わせ。生徒たちの笑顔とお喋り、歓声。
賑やかなそこに――鴉天狗が、一人。
アルダワ学園では珍しいだろう天狗装束に擦れ違う生徒たちが「イケてる!」「なんてやつ?」と興味津々だ。その度に御影・龍彦(廻る守護龍・f22607)は鴉面の下で礼を言うと共に微笑みを浮かべる。
「動いても違和感がないよ。流石、百さんの見立てだね。丈もぴったり――……」
隣の鉄・百(もふもふもふもふ・f22759)を見た――つもりだった。
だが、そこにあったのは竹製の筒だった。
え、何で?
「はぁ、この空間落ち着きますねぇ」
大変リラックスした、それでいてとても聞き覚えのある声が竹筒から聞こえた。
「百さーん?」
「……はい? 何ですか?」
我に返った声の後、竹筒からまず覗いたのは猫の耳。続いて猫の顔。
龍彦の手を借り外に出たケットシー・百の装いは、いつも羽織と合わせて纏っている古典柄より、少し華やかなものだった。
人間と比べ大変小柄な百だが、鴉天狗と並べば周りの話題を自然とさらっていく存在感がある。と同時に「あの筒なんだろうね!」と興味津々の囁きも聞こえてくるが、鴉天狗姿の龍彦を見る百の意識には入ってこない。見惚れるほどに素敵な鴉天狗に、ふふ、と微笑が零れる。
「見立て大成功ですね」
「うん、流石だよ。百さんは、えっと……それ何モチーフ?」
「私は管狐でございますよ」
成る程、管狐――『狐』?
鴉天狗が不思議そうに見つめてくるが、管狐はそれに気付かない。先がこんがり狐色の尻尾を、ゆらり。煌めく瞳の先には、様々なスイーツを映す蒸気の空がある。
「ねえ龍彦様、空からお菓子が降るなんて夢のようじゃありません?」
さあ、張り切って参りましょうか!
弾む声に龍彦が広げた翼の音が続く。軽やかに空もとい宙を行けば、ふわり降ってきたスイーツは鴉天狗の腕の中。一つ二つと増えていくそれに肉球クッキー詰め合わせを手に入れた百は、気付いてすぐ「龍彦様、龍彦様」と手を振った。
「お菓子はこの竹筒に入れて行ってくださいませ」
ついリラックスしかけていた竹筒なら容量はバッチリ。沢山持ち帰れるだろう。
「了解。……ふふ、すぐいっぱいになってしまうかな」
「それは私たちの頑張り次第ですね。何せライバルが沢山いますもの」
数で勝る生徒に、このパーティ会場へやって来た他の猟兵たち。
くすりと笑い合えば、鴉天狗は再び宙へ。管狐は軽やかに跳ぶ。
手に入れては竹筒に仕舞うのを繰り返す中、百は視界に飛び込んだ影へ思わず手を伸ばし――ぷにっ。ぴろろ。
「あら?」
お菓子にしては随分と柔らかな感触。
瞬きする目とぱちぱちぶつかったのは、円らな紫の目。白い体に、兎耳のような黄色い触覚。ああ、これがと納得した百の手から、ユキウサギウミウシが端をぴろろっとさせて抜け出した。
すると他の個体も降りてきて、熱心にぴろぴろさせる様は「ぼくたちにかてると、おもうな!」と頑張っているようで。ああ、大変可愛らしい。そして。
「あらあら。ふふ、前世の血が騒ぎますねぇ」
追えば楽しそう、と思ってしまうのは前世が猫だった――ような気がするから。
楽しそうな百と警戒している様子のユキウサギウミウシ軍団。後者にとっては緊迫感ある対峙の図だが、可愛らしい者同士が見つめ合う光景に、鴉天狗の翼がばさりと音を立てた。
思いの外、可愛らしい。
しかしサクラミラージュの影朧と違い、転生の可能性は無い。
ざわり。滲み出た悪魔の魔力纏った翼が滑空し、いざ災魔対峙――と、普段の調子だったのは最初だけ。突っ込んだ龍彦の顔に、ユキウサギウミウシ軍団がぶつかったのだが。
「あ、ぷにぷにしてる」
「ええ、素敵な触り心地です龍彦様」
改めて手を伸ばせば、ぷにっ。少しばかり罪悪感を覚えた龍彦を余所に、百はぷにっと確保しては竹筒へ、再びぷにっと捕まえては竹筒へすぽっ! と捕まえていた。
夢中になってしまったのは――仕方がない。何せ、前世猫疑惑があるのだ。前世のせいなら仕方がない。結果、竹筒の中はユキウサギウミウシでぷにっぷに大フィーバー……いや待って。
「……百さん、それ筒から出して!」
「え?」
「お菓子が入らなくなっちゃうじゃないか」
「あらま、私ったらつい」
ごめんなさいねと一匹すぽんっと取り出して。
さあさ、ハロウィンパーティからご退場願いましょ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ウルウ・エイシィ
藍色のレインコートに猫のお面と尻尾をつけて
水猫『レテ』の仮装だよ
大きめのレインコートの裾を広げて
いっぱい甘いアメを受け止めるんだ
あっ、レテ!あの猫型のやつを取ってきて!
あの宝石みたいなのも!
(星を閉じ込めたステンドグラスクッキー)
お面と同じ顔、二ィっと笑う本物が僕から飛び出す
『ったく、ネコ使いが荒い奴だぜ』
…せんせにあげる分をラッピングしたら、
この記憶も食べていいから
大好きなせんせへのプレゼントをゲットするのが、
今回の目的なんだ
隙あらば袋ごとお菓子をパクついてるレテ
全く食いしん坊なんだから
あれ、あれはマシュマロ…じゃなくて、災魔か…あ、
レテが降ってきたお菓子と一緒に食べちゃった…
蒸気の層と甘い雨の下、艶々とした藍色レインコートが翻る。フードから覗くひらひら跳ね髪も藍色で、その下から楽しげに上を見る顔は揺らめく水を固めたような青い猫。
生徒たちの間を縫って行く勢いでぴこりと揺れた猫尻尾――その身に宿すオウガの水猫『レテ』に扮したウルウ・エイシィ(忘レモノ・f19531)は、ふわっふわの蒸気に映し出された物を見て慌ててレインコートの裾を摘んだ。
本日の天気は雨模様。とびきり甘い雨を受け止める為、ちゃあんと大きめのレインコートをチョイスと受け止め準備は万端。しかし甘い雨はあっちこっちに映っては降るものだから、どうしても自分だけでは足りなくて。
そんな状況だから、スイーツシルエットを抜けてきた物に思わず「あっ」と声が出る。
「レテ! あの猫型のやつを取ってきて! あの宝石みたいなのも!」
『ったく、ネコ使いが荒い奴だぜ』
ぱしゃんっ。
左肩から飛び出したレテが早速文句を言い、しかし宙を翔て猫型スイーツと宝石を抱いたようなスイーツを見事にキャッチ。しかし、ウルウに向けられる大きな三日月口が、とってもニヤニヤしていて。
「……せんせにあげる分をラッピングしたら、この記憶も食べていいから」
『へーぇ』
大好きな『せんせ』へのプレゼントを手に入れる。それが、ウルウの今回の目的だった。
レインコートを大きいサイズにした事も。
大切な記憶が食べられる事を受け入れるのも。
全部全部、自分を拾ってくれたあの人の為。いっぱいの甘い雨を、贈る為。
だから、と続けかけた視界にキラキラとした星が飛び込んできた。
「えっ――わ、ステンドグラスクッキーだ……!」
広げたままだったレインコートの上でクッキーに閉じ込められた星が艶々キラリ。甘い苺色、鮮やかなオレンジ、淡いグリーン――ピンクからイエローのグラデーションまで!
『ほらよ』
続いて放り投げられたのは猫の形をしたマドレーヌ。色からして味はプレーンとココアと抹茶の予感がする。一つだけあった肉球形はもしかしてもしかして、シークレットというやつでは?
ウルウは「ありがとう」と言い――かけて、ぽかん。
取ってきてもらったスイーツに心ときめかせていたウルウを前に、レテはいつ手に入れたのかわからないパウンドケーキを袋ごとムシャムシャパクパク。あっという間に平らげたら、次のスイーツをバクッ!
「全く食いしん坊なんだから。……あれ?」
今、レテが食い付いたふわわんとした白いスイーツは。
もしかしてもしかして。
マシュマロ――ではなく。
「災魔か……あ、降ってきたお菓子と一緒に食べちゃった……」
ムシャムシャ、ペロリ。
――ごちそうさま?
――いいえ、おかわりはまだまだありますとも!
大成功
🔵🔵🔵
ザザ・クライスト
【狼鬼】
仮装は侍(浴衣にキセルと刀)だが、見る人が見ると完全に任侠者
「気合い入ってンなァ、たしかにイケてるぜ、そのスーツ」
メイクはいつも通りだと言いかけて口を押さえる
ガキがいたら泣き出すだろ
自分の事は棚上げでパイを齧る
ツッコミには無言でゲンコツ
「オレはもう喰ってる!」
刀を振るい落ちてくるものをイイサイズにしてキャッチ
「今宵の虎徹はスイーツに飢えてるぜ」
ジャスパーにフォークでケーキを差し出して餌付け
こーゆーのもイイだろ、サービス精神さ
「アーンだよ、アーン」
ウサギはマシュマロみてェだが、モフモフしたらヤベェかね?
ジャスパー、オマエさんがまず試してみろ
はしゃぐコイツを見るのは悪かねェ、平和万歳だぜ
ジャスパー・ドゥルジー
★
【狼鬼】
モチーフは死者の日さ
このメイクいつもより一時間早起きして仕込んで来たんだぜ
スーツも特注さ
何てったって「派手にやれ」って言われてッからなぁ
ザザは……(暫し考え)
ヤクザか?似合ってんな!(屈託のない笑顔)
俺まず南瓜のモンブラーンっ
なあ、ザザは?
ザザはどれ行く?
パイもいいなァ
タルトにプリンに……
スイーツにはしゃぐ
普段のクールな俺(※自称)とは程遠いのは自覚済み
折角の機会だ
愉しまなきゃ損だぜ
「素直にアーンするような間柄かよ」
笑いながらもフォークに刺さったケーキの誘惑に負け
素直に餌付けされる
やり返そうとしてスルーされる
そういやウサギ倒さねえとか(手を伸ばし
わっぷるぷるした
喰えねェかなこいつ
「気合い入ってンなァ、たしかにイケてるぜ、そのスーツ」
上から下までじっくり見て、ニヤリ。
ほのかに鋭くもある笑み浮かべたザザ・クライスト(人狼騎士第六席・f07677)に「だろぉ?」と嬉しそうに返したジャスパー・ドゥルジー(Ephemera・f20695)は、ザザの言葉通り気合い満点、仮装度も満点。
「このメイクいつもより一時間早起きして仕込んで来たんだぜ」
メイクはいつも通りだ。
ザザは言いかけた口をさり気ない動作で押さえ、誤魔化した。
(「ガキがいたら泣き出すだろ」)
片目を細め笑うジャスパーの仮装モチーフは、UDCアースのメキシコで近年世界的に脚光を浴びている『死者の日』だ。
淡い虹色で彩られ、うすら煌めく目蓋。眉間のピンクパープルなハートから、眉、目尻、頬へと華咲くように広がる紫のペイント。それと繋がる、唇を目立たせるリップメイク。額にもサークレットのようなメイク入り。
スーツも特注さと軽く回ればチェーンのあばらがジャラジャラ鳴って、宿すオウガの骨思わすがヒールがカツンと鳴る。
「何てったって“派手にやれ”って言われてッからなぁ。ザザは……」
そのパイいつ取ったんだと思いながら、パイを齧るザザの仮装をじぃーっ。
浴衣、煙管、刀。シンプルだが、だからこそ洋風の仮装が目立つそこではハッキリとした印象を残す侍姿。しかし、見る者が見れば完全に――。
「ヤクザか? 似合ってんな!」
ゴンッ。
屈託のない笑顔に無言のツッコミが落ち、しかしその痛みにすぐ笑顔が浮かんだ時、天井を隠すように広がる蒸気に新たなスイーツが映し出された。細い渦を巻いたそれにジャスパーの目が爛々と輝く。
「俺まず南瓜のモンブラーンっ。なあ、ザザは? ザザはどれ行く?」
「オレはもう喰ってる!」
「ンだよ、パイに続いてまたかよ!」
ジャスパーは真っ赤な翼を広げ、左胸のマリーゴールドに似たモンブラン詰め合わせをキャッチ。その姿を悠々と見上げて笑む任侠系――ではなく、粋な装いの侍・ザザは刀を揮って降ってきたものをズバズバッ。
おぉっ。
生徒たちのどよめきと心配を余所に、ザザは“イイサイズ”にしたスイーツを見事に受け止めて。するりと下ろした刃がライトを反射し鋭く煌めいた。
「今宵の虎徹はスイーツに飢えてるぜ」
むしゃむしゃ。
「あー、パイもいいなァ……あとタルトにプリンに……おいザザ、アレ美味そうじゃねえか!?」
「あァ悪くねェ。頂くとするか」
「見つけたのは俺だぞ」
そう言ってふわふわ降ってくるスイーツのもとへ馳せ参じようとする自分が、普段のクールな自分(自称)と程遠いなんて事はとっくに自覚済み。そしてそれでイイと思っていた。
アルダワ学園のハロウィンパーティ。
蒸気の雲とスイーツの雨。
――折角の機会だ、愉しまなきゃ損だぜ?
「……で、何だソレ」
ザザは「ンン?」と疑問符を付けながらも、大変愉しそうなニヤリ顔。フォークでケーキをぶすり、それをジャスパーに差し出して餌付けの図というソレを、「こーゆーのもイイだろ」と笑ってツッコミをいなす。
「サービス精神さ。アーンだよ、アーン」
「素直にアーンするような間柄かよ」
「タピった仲じゃねェか。遠慮は無しだ」
そらそらと迫る笑みとケーキに同じく笑うも、ケーキの誘惑には抗いがたく。素直に食い付けば女子生徒数名が「きゃあ」と小さな歓声を零した。確かにサービスだ。
だったらとリベンジ・アーン――は、残念ながらスルー。
ザザの目は甘い雨の出所である上の方に注がれていた。
仮装して、楽しそうにスイーツをムシャムシャリ。そんな二人目指して、ユキウサギウミウシ様ご一行入ります――である。
「マシュマロみてェだが、モフモフしたらヤベェかね? ジャスパー、オマエさんがまず試してみろ」
「そういやウサギ倒さねえとか」
手を伸ばしてガシリ――のつもりが、全く違う感触に「わっ」と声が出る。
「ぷるぷるした。なあザザ、喰えねェかなこいつ」
ぴろろっ!?
ビックリ仰天な表情で全身を震わせた災魔を、ジャスパーは両手でぺたぺたもみもみ、ぷるぷるる。無邪気にはしゃぐ姿にザザは「腹下すなよ」と笑い、チーズタルトを華麗に一閃。
(「はしゃぐコイツを見るのは悪かねェ、平和万歳だぜ」)
それに、甘くて美味いスイーツもまだまだ降ってくる。
今宵は虎徹だけでなく、狼と鬼も、腹が充ち満ちる予感。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
日隠・オク
★
栴さん(f00276)と
仮装はハロウィンのメイド衣装
栴さんとお揃いな感じですね
トリックオアトリート……!です
ハロウィンパーティ、とても楽し気です
上から……?
南瓜の籠を持って上を見てそわそわ羽ぱたぱた
ふってきましたよ……!
ふってきたクッキーやチョコをかごでキャッチしようと
えっと……
籠にいくつかのお菓子を入れられて少し嬉しそう
ふわふわ降りてくるお菓子が不思議です
栴さんのキャッチしたお菓子も入って南瓜の籠にお菓子が入っていくのが嬉しい
災魔は攻撃しようとしてぷにっとしていて
た、食べるんですか?
寄ってきた災魔は攻撃します
生浦・栴
うさすずの(f10977)と
合わせて包帯&執事服でお邪魔するとしよう
折角だ、屋敷で二次パーティができるようにスイーツは充分に貰って行こうか
極甘そうなチョコやケーキはそっとうさすずのの籠に入れて
クッキーやサブレは自分の鞄に入れておこう
スイーツも喜んでくれる者の方へ行くのが幸せであろう?
まあ降って来るのが菓子のみならば可愛いものだが数が来ると面倒そうだな?
近寄る災魔をキャンディステッキでつついてみる
こうもぷにぷるされると喰えるのではと疑ってしまうぞ
このサイズのケーキとなれば何人分であろうか(真顔
いや今回は喰わぬので安心して欲しい
ひとまず盆で殴って戦っておくか
うさすずの、其方はは何匹ほど落とした?
トリック・オア・トリート!
男子生徒が数名、スイーツを盃のように掲げて、笑いながら肩を組んで揺れている。
それをじぃ~、と見つめる包帯メイドが一人。左の兎耳に黒雫の飾りを揺らし、ふわり翻るエプロンは仕事熱心なのか穴が開いている。
「トリックオアトリート……! です」
日隠・オク(カラカラと音が鳴る・f10977)は、隣を行く『執事さん』を見る。
オクと合わせた仮装でやって来た生浦・栴(calling・f00276)が優しく頷けば、頭に緩く巻いた包帯がひらりと揺れた。
「折角だ、屋敷で二次パーティができるようにスイーツは充分に貰って行こうか」
上から届くとはな。
静かな声に、オクは「上から……?」と目をパチリ。持ってきた南瓜の籠をしっかり抱えて、上を見て。そわそわで羽がぱたぱたし始めた時、ほわ、ほわわ、と蒸気の雲にスイーツが映し出された。
「わ、」
そっと丸くなった目に本物が映れば、ぱたたっ。羽が先程よりも大きめに揺れる。
「ふってきましたよ……!」
あれはアイシングクッキーの詰め合わせ。
向こうはお化けの形をした白や黒のゴーストチョコレート詰め合わせ。
南瓜の籠に収めなくてはと励む包帯メイド・オクの後ろで、包帯執事・栴も優雅に優美にスイーツを回収し――キャッチしたスイーツの一つをそっとオクの籠に入れた。
(「極甘そうなチョコだったな」)
今度はどうかと受け止めたのはプチケーキ詰め合わせ。白やピンク、オレンジとカラフルなチョコレートを纏い、アラザンなどで着飾った見目麗しい詰め合わせだ――が。それからも極甘の気配がして。
(「……なんだか、南瓜の籠が重くなったよう、な?」)
上から手元へ。不思議そうに視線移したオクの双眸が、ぱちり。
覚えのない、そしてとっても美味しそうなケーキにチョコレートが、南瓜の籠からこんにちは。ぱち、ぱちと瞬きを繰り返した目が、少しだけ表情を変えた。
「えっと……」
ふわふわ降りてくる不思議なお菓子。
一つ二つと集めていくその中に、栴が受け止めた物も加わって。一緒に南瓜の籠の中。それが何だか嬉しくて――まるで、しあわせを集めていくような。
ぱた、と動いた羽に栴は大人びた微笑を向け、再び上を見る。
スイーツも、喜んでくれる者の方へ行くのが幸せだろう?
「まあ、降って来るのが菓子のみならば可愛いものだが」
来たぞ。
栴の言葉にオクの兎耳がぴくっと揺れた。
蒸気の雲を抜けて降ってくる災魔の雨粒が、一つ、二つ――ふわふわぴろぴろと降ってきているが、あまり速くない。しかし。
「数が来ると面倒そうだな?」
その言葉にユキウサギウミウシのお目々が、キリッ!
ゆだんたいてきだー、と言いたげな目付きでぴろろとやって来た一匹を、栴はキャンディステッキで――つんっ。つん、つん。
「……成る程。こういう感触か」
オクも災魔を攻撃すべく両手を伸ばし――!
ぷにっ。
「……ぷにぷに……ですね」
思わず両手でもにゅもにゅぷにぷに。
うわあなにをするー、と端をぴろぴろさせるユキウサギウミウシだが、栴はそんな様子もどこ吹く風。あまりにもぷにぷるされるものだから、喰えるのでは――と疑い始めていた。
「このサイズのケーキとなれば何人分であろうか」
ぴろっ?!
「た、食べるんですか?」
「いや今回は喰わぬので安心して欲しい」
ぴろろ……。
驚き、そして安堵。ボディランゲージからユキウサギウミウシの感情はよく見えた――が、やはりこれもどこ吹く風。
「ひとまず盆で殴って戦っておくか」
ゴンッ。
甘い雨は受け止めて。
災魔は猟兵的に対処して。
そして南瓜の籠が重くなった頃――。
「うさすずの、其方は何匹ほど落とした?」
「ええと……」
いち、にい、さん――。
増えていく撃破数。
それを聞く南瓜籠の中のスイーツも、なかなかの数を誇っていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アリア・モーント
★
きゃあ!
甘い雫、降り注ぐ飴…スイーツが降って来るなんて素敵なのだわ?素敵なのよ!
ふふ、わたし知ってるのだわ、知ってるのよ?
こういう時は帽子が籠なの
あまぁいキャンディーもさくさくおばけクッキーも
かぼちゃな見た目のカップケーキもとってもとってもおいしそう!
たくさん集めてお土産にするの♪
ああ、でも
わたし…かわいくて美味しいももまんが、食べたいのだわ!
だから、魔法の蒸気さん
かわいいももまんの雨をくださいな?
あら、あらあら?
かわいいうみうしさんが降ってきたのだわ?
うふふ、ひらひらで、つるつるで
ぽよぽよしてて、とってもかわいいのね?かわいいのだわ!
最後には倒さないといけないなら今のうちに堪能するのよ
戦
御札と三つ編みお下げを、ぴょんぴょんぱたぱたと踊らせて。
貴石のような双眸をきらきらさせて。
キョンシー娘、アリア・モーント(四片の歌姫・f19358)は生徒たちの間をするり、ひらりと軽やかに駆けていく。
「きゃあ! スイーツが降って来るなんて素敵なのだわ? 素敵なのよ!」
ふわふわ分厚い蒸気を、ふわんっ、とたわませて落ちる甘い雫――降り注ぐスイーツの雨。ギモーヴ、ドーナツ、それに――あれはなあに、知らないスイーツだわ。
アリアは笑顔で首を傾げると立ち止まり、くるりとターン。おさげと一緒に、かすかにプリズムが踊る黒のチャイナスカートがゆったりと舞って――あら不思議。被っていた帽子がいつの間にか頭から手へと瞬間移動。
「ふふ、わたし知ってるのだわ、知ってるのよ? こういう時は帽子が籠なの」
あまぁいキャンディー。
さくさくおばけクッキー。
かぼちゃな見た目のカップケーキ。
ああ、どれもこれも、とってもとってもおいしそう!
アリアは歌うように笑い、あれもいいわ、これもすてきねと惹かれるままに甘い雨を受け止めていく。黒い帽子の中は、あっという間に華やかスイーツの集会場へ早変わり。
「ふふ、たくさんのお土産ができたわ♪」
ご機嫌ハミングも流れ出して――ああ、でも。
(「わたし……かわいくて美味しいももまんが、食べたいのだわ!」)
ほのかな桃色に染まった、ほっかほかの白い生地に緑の葉っぱが二枚。
かわいいその中身は当然、甘くて美味しい餡がぎゅうっといっぱい詰まったももまんが!
(「だから、魔法の蒸気さん。かわいいももまんの雨をくださいな?」)
秘密のおねだりはキラキラ輝く眼差しと共に上へ注がれて。パッ、と映ったスイーツは丸みを帯びた――何か、だった。
何、と認識する前に“向こう”からやって来たものがスイーツの形をふわわん、と、とかしてしまった。映ったのが何だったのかはわからないまま。しかしアリアの目は楽しげに瞬いて。
「あら、あらあら? かわいいうみうしさんが降ってきたのだわ?」
なんて白くて丸いのかしら。まるでバニラアイスなのだわ!
ふふっと笑うアリアの手には――スイーツがむぎゅっと大集合しているチャイナ帽子。それを見たユキウサギウミウシの目が、きゅっと吊り上がる。
あんなにおかしをあつめて、かそうもして!
すごくすごく、ハロウィンしてるな!?
空中で怒りのぽよぽよ動作を見せ、ぴろろろと向かってきたその一匹をアリアはしっかりばっちり――受け止めた。沢山のお土産は近くにいた親切そうな生徒に預け済み。折角なのだわと長い袖をまくって、真っ白な災魔をぺたぺたり。
「うふふ、ひらひらで、つるつる。それからぽよぽよしてて、とってもかわいいのね? かわいいのだわ!」
真っ白だから“お願い”したももまんとは違うけれど。
仮装して、スイーツを集めて。そして触れ合って。災魔との対峙もハロウィンパーティの一部のように、ころころ笑って楽しそうにしているアリアに、ユキウサギウミウシは全身をぽよぽよ跳ねさせて怒りを表現中。
怒るのに一生懸命で攻撃の気配はゼロ。
ああ、とっても隙だらけ。
(「でもでも、倒す前にもう少し堪能するのだわ!」)
素敵なパーティで出会った可愛い子。
すぐにお別れだなんて、とっても“もったいない”のだわ!
大成功
🔵🔵🔵
小宮・あき
すずちゃん(f02317)と。
すずちゃんの仮装に似せたパーティドレス。
紫色がベース、差し色にオレンジ。スカート丈が少し長いの。
グレイのストッキング、黒いハイヒール。
取付チャームに南瓜があったから、靴や髪飾りに刺して。
お菓子が降ってくるなんて。キャッチします。いっぱいとります!
ああでも、持って帰れる量は決まっていますものね。
キャンディが好き。可愛い色、可愛い形のキャンディは無いかな。
ユキウサギウミウシが近づいてきたら、覗き込むように近づきます。
初めて見ました…なんて可愛い…!
私、こういう、丸いフォルムをした生き物に弱くって。
つんつん、ぷにぷに。
あ、やだ、逃げないで~っ
戦
アマネさん、お願いします!
コイスル・スズリズム
★
お世話になってるホテルのオーナーさん(f03848)と参加。
オーナーさんの衣装、私服姿はレア!
そしてドレス似合う!南瓜お姉さんって感じ!
すずのほうが年上なんだけど……
すずは板チョコ狙うよ!
両手いっぱい広げ
UCを用いて
ぐるぐるダンスしながら自分の袖の中へ
とにかく量を優先で入れていくよ!
オーナーさん飴が好きなんだね!あ、厳選してる
こういうの性格出るよね……
オーナーさんの国の言葉では
“キャンディ”
お菓子って意味だったね!
ウミウシさんとは
つついたり一緒にダンスしたり
慎重にウミウシさんと戯れてるオーナーさんの姿は
いつも凛々しい分、どこか年齢相応の少女の様で
そんな姿をとても珍しいお菓子みたいに思ったよ
戦
大きなリボンと花飾り。たっぷりふわりとしたツインテールをグリーンとオレンジのそれらで彩って、同じ色合いの石が煌めくコームタイプティアラはシンプルに黒。
けれどそれが、コイスル・スズリズム(人間のシンフォニア・f02317)の豊かな髪や今日の装いとぴたり似合っている。
「わぁ……!」
歓声上げたコイスルの仮装は花飾りと同じオレンジとグリーン。膝丈プリンセスラインのドレスは活き活きと、そして可愛らしくて。もしかしてカボチャの国のお姫様? と、擦れ違った生徒たちが目を輝かせるが、小宮・あき(人間の聖者・f03848)を見つめるコイスルの目はもっと輝いていた。
「オーナーさんの衣装、私服姿だなんてすっごくレア! そしてドレス似合う! 南瓜お姉さんって感じ!」
すずのほうが年上なんだけど――コイスルは心の中で、えへへと笑う。
「ありがとう、すずちゃん。すずちゃんの仮装に合わせてみたんだけど……」
コイスルと比べて丈が少し長いドレスは紫色ベース。差し色にオレンジを取り入れたハロウィンらしさ溢れるカラーリングで、グレイのストッキングに黒のハイヒール、ふわり揺れる髪と靴は南瓜のチャームが彩っている。
普段の春の花と空を思わす装いとはガラリと違い――けれどコイスルが言った通り、とてもよく似合う姿はハロウィンパーティを訪れたもう一人のお姫様。
「それじゃあ行こ、オーナさん!」
「ええ、いっぱいとりましょうねすずちゃん……!」
降ってくるスイーツの種類は複数。しかしコイスルの狙いは板チョコ一つ。
「来た……!」
見えたのは、絵の具パレットのようにカラーバリエーション豊かな板チョコ詰め合わせ。生徒たちも狙っていたが、両手いっぱい広げたコイスルがぐるぐるとダンスを始めれば、その華やかな動きに目を奪われ――板チョコ詰め合わせはコイスルの袖の中へ、すぽっ。
あきも降ってくるスイーツをキャッチすべくキリリ顔。けれど取り放題とはいえ自分が持って帰れる量は決まっているから、何を取るか選ばなくてはならない。あきの場合は――。
(「……キャンディ。キャンディが、いいわ」)
可愛い色をした可愛い形のキャンディよ、来たれ。
真剣に上を見つめ、キャンディが映る度にあきの肩はそわっと揺れて。
えいっとキャッチしたキャンディをじっ。その次にゲット出来たキャンディもじぃっ。
パステルカラーのウサちゃんキャンディ。――好き。
紫からイエロー、グラデーションの月と星のキャンディ。――これも好き。
板チョコをぐるぐるすぽんっと収集し続けていたコイスルは、あきの様子に気付き笑顔を綻ばす。オーナーさん、飴が好きなんだ。
(「厳選してる。こういうの性格出るよね……確かオーナーさんの国の言葉では……」)
キャンディ。UDCアースの日本では飴を指す言葉だが、彼女の母国では“甘い菓子”全般を指す。甘いチョコ、アイス、ケーキ――その全部が“キャンディ”だなんて、可愛い!
ぴょんっとステップひとつ。尻尾のようにツインテールがふわんと踊って、ハロウィン仕様の個包装がされた板チョコ詰め合わせは袖の中に消え――ぴろろろ。
スイーツではないけれど可愛い災魔に、プリンセス二人の目はキラキララ。
災魔たちの目はハロウィンへの怒りでメラメラリ。
そんな彼らがぶつかれば――コイスルの指先が向かってきた災魔を、ぷにっ。勢い余ってふわっと上昇した災魔にそっと手を伸ばし、ドレスの裾をふんわり踊らせる。あきはぴろぴろ近付いてきた災魔を覗き込むようにして――ぽっ。
「初めて見ました……なんて可愛い……!」
丸いフォルムをした生き物にすこぶる弱い為、そんなフォルムをした災魔を前に、あきの指は意識しないまま伸びて――つんつん。ぷにぷに。つんっ。ぷに、ぷににっ。
「あ、やだ、逃げないで~っ」
戯れる姿は普段凛々しい分どこか年相応の少女のようで、そしてとても珍しい“キャンディ”のようにも思えて。コイスルはダンスを止め、それっと災魔を上へ“トス”した。
「ハロウィンパーティ、楽しいままで終わりにしないとね!」
「名残惜しいですけど……アマネさん、お願いします!」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
泉宮・瑠碧
僕はとんがり帽子とマントで魔法使いの格好
仮装がよく分からず…とりあえずで違う格好を
…地味なので光の精霊達に近くで浮いていて貰うか
降ってくる様子は面白いな…プリンは降るだろうか
他の菓子は落ちるなら取るが
上手く取れない生徒や欲しい者へ渡そう
ユキウサギウミウシは初めて会うな
怒りが拗ねている様にも見える…
…彼らもお菓子は食べるのだろうか
マドレーヌでも差し出して食べるか訊いてみよう
他のが良ければ取るし…或いは自分で取ってみるか?
是なら掌へ乗せて、降るお菓子の下へ
自分で取るともっと美味しいと思う
少しでも彼らも楽しめたり落ち着けば
撫での許可を得てから撫でて子守唄に乗せて永遠揺篭
どうか楽しい夢になりますように
とんがり帽子とマント。その仮装はどこからどう見ても立派な魔法使い――なのだが、本人は少し不安そうだった。
(「仮装がよく分かず、とりあえずで違う格好をしてみたが……」)
これで大丈夫だろうか。
泉宮・瑠碧(月白・f04280)は自分の装いをちら、ちら。もしかしたら地味かもしれないと思い、光の精霊たちに近くで浮いてもらう事にして、生徒たちにぶつからないよう歩く事にする。
歓声の上がった方を見れば、雲のような蒸気からスイーツがゆっくりと降ってきていた。本当に降るんだな、と呟き、暫し足を止めて周りと同じように上を見る。
(「面白いな……プリンは降るだろうか」)
それ以外のスイーツは。落ちてくるなら、取ろうか。
そんな心が幸運の女神の微笑を呼んだらしい。ふわふわ、ふわ~んと降ってきたミニプリン詰め合わせは、ハロウィン仕様のスプーン付き。すると今度は南瓜色の蒸しパン詰め合わせが瑠碧のいる方へ揺れながら降ってきて。
「あ、わわ……!」
どうやらそれを狙っていたらしい。高下駄に似たものを履いていた男子生徒が一瞬バランスを崩し駆けた。その頭には、先端が星になった角カチューシャがピカピカ点滅中。
何の仮装だろうと思いながら、瑠碧は自分の所へ降ってきたスイーツを差し出して。え、と目を丸くする生徒へ静かに微笑んだ。
「良かったら」
「あ、ありがとう魔法使いさん!」
声を響かせどこかへと駆け出した後ろ姿は、他の生徒たちに紛れてすぐに見えなくなった。友人か、仲間か。それとも独り占めか。何であれ良きひとときとなるなら、と瑠碧は心に温かなものを抱え――。
「ユキウサギウミウシ……」
ほわっ、と蒸気を抜けて降りてきた災魔の名を口にする。
プリンを抱えた魔法使い・瑠碧を見る紫の目はちょっぴり厳しく、鋭くて。初めて会う災魔が見せた怒りは、何だか拗ねているようにも見えた。
可愛らしい突撃をそっと躱しても根気強くぴろぴろと追いかけてくる。瑠碧は少し考える顔をした後、懐からある物を取り出した。ぴゃ、と空中で停止した災魔が見つめるソレは貝殻型で狐色の――。
「マドレーヌ、食べないか?」
他のが良ければ代わりに取ろう、と言い終わらないうちに災魔が控えめに、しかし目をキラキラさせてマドレーヌに飛びついた。夢中で食べる様子に瑠碧はやわらかに微笑み――なんかたべてる! と集まってきた他の災魔にも分けていく。
ほんのいっときでも。
苦い思い出が刻まれたハロウィンが少しでも楽しめれば、心が落ち着けば。
そして。
「……撫でても、良いだろうか?」
ハッ。ぱちりと瞬きした一匹が暫し瑠碧を見つめて。目を逸らしながら、そよよっ、と近寄ってきた。
「ありがとう」
そして。
姿無き眠りの精霊よ――彼らに楽しい夢を、見せてあげて。
大成功
🔵🔵🔵
コノハ・ライゼ
★
なびきちゃん(f02050)と
降ってくるンだって、お菓子が!
アラビアンな格好で薄紫のストールばさっと広げ
準備万端、期待に満ちた目でミイラを見る
なびきちゃんはどんなお菓子狙い?
聞きながらもそわそわぐるぐる、子供じみて落ち着きなく
チョコにミニシュー、あ、和菓子っぽいのきた!芋や栗の食べたーい
キャッチしては取りそびれたお菓子を勝手にどんどこシェア
なびきちゃん、食べ盛りのお子サン居るんでしょ?(語弊)とちょいと多めに放り込んで
え、超甘党じゃんとさらに追加
降ってくるユキウサギウミウシはお菓子と間違えそうだよねぇ
ぷにぷにに思わずあーんと齧りつきかけて
あ、大丈夫だいじょーぶ、摘まみ食いシマセン、タブン
戦
揺歌語・なびき
コノハ(f03130)さんと
仮装は包帯ぐるぐるミイラだよぉ
降ってくるの!?お菓子が!?(ぱぁあ
準備万端の隣でわくわくにこにこ
沢山取って帰ろうねぇ
おれはやっぱり砂糖菓子がいいなぁ
とびきり甘々のがいいよ、アイシングクッキーも捨てがたい
はいはーい栗羊羹ほしいです!あっタルトー!
普段よりも俊敏に動いてゲットしつつ
バスケットにひょいひょいシェアされてくお菓子にはわわ
うんうんそう、でもその子よりおれの方がデザート食べちゃうんだよねぇ
あっコノハさんチョコ入りビスケットと海苔煎餅どうぞ(シェア
ウミウシ、マシュマロやゼリーっぽいよねぇってわーストップストップ!
齧ってない?ほんと?毒とかあるかもしれないからね!
戦
「ちょっと聞いたなびきちゃん。降ってくるンだって、お菓子が!」
「コノハさんそれ本当? 降ってくるの!? お菓子が!?」
コノハ・ライゼ(空々・f03130)が薄紫のストールをばさっと広げれば、準備万端かつ期待に満ちた眼差しのアラビアン・イェーガーに包帯をぐるぐる巻いたミイラもとい、揺歌語・なびき(春怨・f02050)の桜色をした目も期待でぱぁあ! と輝いた。
少し待てばコノハの言葉通り様々なスイーツの雨が降り始め、なびきの狼耳は抑えられないワクワクでぴこぴこ。表情は勿論にこにこと、幸せいっぱいの笑顔だ。
「沢山取って帰ろうねぇ」
「そりゃもう大漁よ。なびきちゃんはどんなお菓子狙い?」
「おれはやっぱり砂糖菓子がいいなぁ。とびきり甘々のがいいよ、アイシングクッキーも捨てがたい」
ああ、それも魅力的。コノハはうんうん頷き、チョコにミニシュー、と狙いを口にして――蒸気に映った物をみて、あ、とニヤリ。
「和菓子っぽいのきた! 芋や栗の食べたーい」
「はいはーい栗羊羹ほしいです! あっタルトー!」
こっちに落ちておいでーとストール広げて迎えに行くコノハと、バスケットを抱えて普段よりも俊敏に動くなびき。千夜一夜の魔法から抜け出してきたような二人は、それはもう見事な動きでスイーツの雨を受け止めていって。
「ハイなびきちゃんこれアゲル」
「えっ、わわ、ありがとうコノハさん! これ欲しかったやつだぁ……!」
可愛らしいデビルのアイシングクッキーに、ユメカワパステルカラーのメレンゲ。コノハはそれらを勝手にどんどこシェアしながら、いーのいーのと手をひらひら振る。
「なびきちゃん、食べ盛りのお子サン居るんでしょ?」
「え、うんうんそう……」
トゥンク。
幸せそうに頬を染めたなびきだが、でもね、とへらり笑顔を浮かべた。
「その子よりおれの方がデザート食べちゃうんだよねぇ」
「え、超甘党じゃん。じゃあもっといるデショ?」
これも持ってってよと更に追加すれば、なびきの“はわわ”も同じく追加されて。
しかし「あっ」と“はわわ”が蹴り出される。伸ばした手で掴んだ物になびきは桜色の目を細め、はいどうぞと差し出した。
「コノハさんチョコ入りビスケットと海苔煎餅どうぞ」
「アラ嬉し~♪」
学園と生徒たちの安全の為、そして自分たちの為。求めるままにスイーツを追いかけ、手に入れ、時にシェアをし合ってと、二人は存分に楽しんだ。それはもう楽しんだので――ユキウサギウミウシが一匹二匹、三匹……と引き寄せられていく。
「ナンかお菓子と間違えそうだよねぇ」
真っ白で丸くて、つるつるでぷにぷにで。
「そうだよねぇ。ウミウシ、マシュマロやゼリーっぽいよねぇってわーストップストップ! コノハさんストップ」
「……?」
何が? 何で?
齧ろうとした状態で一応停止したコノハの手からスイーツ――ではなく、災魔がウンショヨイショとぴろぴろ抜け出した。あ~あ、と名残惜しそうに見送るコノハの口周り等をなびきは心配そうに見る。
「齧ってない?」
「あ、大丈夫だいじょーぶ、摘まみ食いシマセン、タブン」
「ほんと? 毒とかあるかもしれないからね!」
綺麗な薔薇には刺があると言うし。
派手な色合いの魚や、美しいキノコの中には危ないものもいるし。
けれど――。
「ま、放置してはおけないデショ」
「そうだねぇ。まだまだお菓子欲しいし……」
ハロウィンパーティの参加は学園関係者及び猟兵のみ。
甘い雨降るひとときが、この後も嬉しく楽しく満喫出来るよう、災魔には――。
「ねえあれミニシューじゃない!?」
「!!」
しゅばっ。
周りの災魔は一瞬で綺麗に華麗に蹴散らされ、チョコで南瓜顔が描かれたタイプと可愛い髑髏が描かれたミニシュー二種は、見事二人の腕の中。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
クーデリア・カトラリエ
★
ひゃっはーお菓子食べ放題の楽園だぁ!いまのクーちゃんはひな鳥!口を開けて空から降ってくるお菓子を受け止めるひな鳥!ケーキにチョコにクッキーにプディングぜーんぶお口にINしちゃえ!
かぼちゃマントを風呂敷代わりに、おみやげの準備もばっちりね!
戦闘はお菓子食べてる間にフォークがなんか勝手にやってくれます
あら?お菓子に夢中になってたらなんかクーちゃんのフォークに白いのがいっぱい刺さってるわ
これは大福ね!その証拠に白いしプニプニしてる!
もっちゃもっちゃ。‥‥思いの外ネトネトしてる!ちょっと変わったおモチね!これも美味しい!
あっちにもいっぱいあるから食べに行こうっと!
「ひゃっはーお菓子食べ放題の楽園だぁ!」
「イェーーーーイ!」
身の丈ほどもあるフォークを掲げたクーデリア・カトラリエ(三度の飯より飯が好き・f20874)の叫びに、周りにいた生徒たちも歓声と共に拳を振り上げる。
「初対面だけど応援してる、頑張って!」
「めちゃくちゃ食べて楽しもうぜ!」
生徒たちからのエールにクーデリアはぐっと親指を立て、ジャック・オー・ランタンなヘルムをくいっとやって上を見た。
蒸気の雲にスイーツが映れば、それと同じ種類のスイーツ詰め合わせが降ってくる。つまりそれは――クーデリアが雛鳥になる、という事!
ケーキ、チョコレート、クッキーにプディング――どんなスイーツがどれだけ降ってこようとも、お菓子を受け止める雛鳥・クーデリアが全部ぜーんぶお口に入れていけばいい。
早速映ったクッキーを食べる為に走れば、きらきらの白星とジャック・オー・ランタンの顔浮かぶ南瓜パンツも一緒にぽよぽよ、跳ねるように揺れて。少し横にふわふわ落ちていくのを見た瞬間、青と白のボーダータイツ履いた足が「流石は時計ウサギ!」と喝采を浴びそうな脚力を見せる。
「いっただっきまーす!」
フォークがしゅばっと閃き、溢れたクッキーを大きく開けた口で見事にキャッチ!
ザクザクむしゃむしゃ。噛み始めた時から香ばしい味わいが広がって――。
「美味し~~~~い! あ、これも大事!」
南瓜マントを外して、せっせ、せっせ。
風呂敷代わりにしたそこに、口にインさせなかったスイーツを詰めていく。
「うんうん、おみやげの準備もばっちりね!」
ふっくら丸くなるまで纏めたら、背負ってしっかり縛って――再出陣。
称号の通り『三度の飯より飯が好き』なクーデリアを止められる者はいない。蒸気の雲の下、南瓜ガールことクーデリアの脚力とフォーク捌きは幾度も閃いた。
紫チョコレートにオレンジ蜘蛛の巣が張られたケーキ。蝙蝠型チョコレート。南瓜プディング。次々に食べて、食べて、食べて――その間に、手にしていたフォークがクーデリアの知らない所で大奮闘。していた、らしい。
「……あら? クーちゃんのフォークに白いのがいっぱい刺さってるわ」
じぃっ。
「ハッ、これは大福ね! その証拠に白いしプニプニしてる!」
ぱくっ!
もっちゃもっちゃ。
「……思いの外ネトネトしてる! ちょっと変わったおモチね! これも美味しい!」
うんうんと頷いたクーデリアは、新たなスイーツシルエットを見つけるとすぐに駆け出した。
あっちにもいっぱいあるならそれも食べに行く。
それが、クーデリア・カトラリエという猟兵なのだ――!
大成功
🔵🔵🔵
ヨシュカ・グナイゼナウ
【薬】★
ふふ、ロカジさまもその様なかわいらしい頃があったのですね
大丈夫今もかわいいです。色合いとか
お菓子の王さま…!
そういうことなら負けられません!わ、エンジさま、はやい!
困りました、わたしも何か持って来ればよかったです。そうだ。
ウェストコートを脱いで、それを両手で広げてお菓子をキャッチ
ふふふ、待っているだけでお菓子がもう山みたいに…!
はあい、沢山取れました!
はんぶんこ。良い言葉ですよね
そっちの方が倍美味しいって誰かが言っていました
こっそり甘さ控えめの菓子を見繕って、ガトーショコラとかどうだろう?
素知らぬ顔して端っこに置いておこう
?お山の中に何か有りますね?
HAPPY HELLOWEEN!
戦
エンジ・カラカ
【薬】★
賢い君、賢い君、空からお菓子が降ってくる降ってくる。
ロカジン、ヨシュカ、アレ。アレ取って山作ろう。
一番たーくさん取ったヤツがお菓子の王様。
よーいドン!
ぬいぐるみは頭と背中に背負ってー
それからお菓子はぬいぐるみ入れの中
鞄があるってイイネ。
口を大きく開いてキャッチ。
ロカジンとヨシュカもたーくさん取れたカ?
おー。ヨシュカくらいの山。すごいすごい
アァ……甘いのは苦手なンだよなァ……。
二人にあげようそうしよう。
二人のお菓子の山から甘くないのをこっそり奪おう。
すみっこに苦いの!
二人の山にぬいぐるみを入れておこう
お菓子をくれてもイタズラするぞ!
結局だれが一番だったのカ。
美味しいからいーや
戦
ロカジ・ミナイ
【薬】★
ふーん?これはこれは…まるで雨だ
ちいちゃい頃に
雨が砂糖水だったらいいのにと思ったのを思い出すねぇ
可愛いって?照れるじゃないの
シーシャと薬壺を放り出し、
…分かってるって、後で蛇にもあげるからそこで見ておいで
ハハハハ!お菓子の入れ食いだ!
風呂敷を広げておけば、落ちてくるやつ全部僕のもの!僕一番!
あっちこっちに落ちたお菓子も拾って
風呂敷の上に積み上げていく
そうすりゃあっという間にヨシュカくらいのお山が出来るよ
エンジくんは甘いの苦手なの?
そんじゃあ甘いの全部僕のものにしてあげよう!カカカ!
ヨシュカ、半分こしよう
奪っていく黒い背中を背中で見守る
それが彼流の半分この仕方だからね
おや?何だいこれは
戦
いち、にい、さん――カウントに使われているのは、ぬいぐるみたちをチクチクはりはりした赤い糸を辿った先。きらり輝く金の針。
「賢い君、賢い君。空からお菓子が降ってくる降ってくる」
ぬいぐるみたちと赤い糸でくるくる結ばれたエンジ・カラカ(六月・f06959)は、緩やかに笑ってカラシ色と苔色のツギハギ猫ぐるみに針を沈ませる。
遠くに降っていった甘い雨は、丁度その辺りにいた別の猟兵が華麗にキャッチしたようだ。すると新たなスイーツが顔を覗かせて。
「ふーん? これはこれは……」
中東からアルダワ学園へ出張――ではなく、皆と遊びに来たロカジ・ミナイ(薬処路橈・f04128)は、摩訶不思議に飛べそうな煙をぷかぁ、とさせて目を細めた。金平糖、ゼリービーンズ、クッキー。本当に色々と降ってきている。
「まるで雨だ。ちいちゃい頃に、雨が砂糖水だったらいいのにと思ったのを思い出すねぇ」
キャスケット帽の下、満月のような目が甘い雨とロカジを順に見る。
「ふふ、ロカジさまもその様なかわいらしい頃があったのですね」
「可愛いって? 照れるじゃないの」
ミイラ少年? いえいえ、透明人間のヨシュカ・グナイゼナウ(一つ星・f10678)ですとも。ほら包帯が解けている左足はこの通り――ん? それはどういう仕掛け? 不思議そうに見る大人たちにヨシュカは秘密ですよと微笑んだ。
「大丈夫今もかわいいです。色合いとか」
「おや、色合いだけ?」
ピンクからビビットパープルに変化する煙が、吐き出された瞬間モクモクとうねりながら上昇して。ふわぁ。消えたのを見送ったエンジの目が、今度は蒸気雲に映ったスイーツを捉えてにまり笑った。
「ロカジン、ヨシュカ、アレ。アレ取って山作ろう。一番たーくさん取ったヤツがお菓子の王様」
おかしのおうさま……!
ヨシュカの瞳にある星がより強く煌めいた。そういう事なら負けられな――。
「よーいドン!」
「わ、エンジさま、はやい!」
たたーっと行ったエンジの後をヨシュカが追いかける。ロカジはそれじゃあ僕もとシーシャと薬壺を放り出し――。じっ。薬壺からこちらを見る七つの白蛇を指先で順にするると撫でた。
「……分かってるって、後であげるからそこで見ておいで」
誰がお菓子の王様になれのるかをね。なーんて。
一番手は行動が早かったエンジだ。頭と背中にぬいぐるみを背負い、降ってきたものを空になったぬいぐるみ入れへ上手く収めていく。
鞄があるってイイネ。ずるり落ちかけた子をよいしょと背負い直し、うん、と笑って口を大きく開いてぱくっとキャッチ。どうだい賢い君、なかなかだろう。
“なかなか”といえばロカジもだ。何せ風呂敷を広げておけば降ってきたスイーツを受け止めるなんて容易い容易い。
「ハハハハ! お菓子の入れ食いだ! 落ちてくるやつ全部僕のもの! 僕一番!」
キャッチされそびれ落ちたものも拾って風呂敷の上に積み上げれば、願い叶える魔神の魔法が掛かったように素敵なお山(ヨシュカ大)の出来上がり。
どうだいと笑って次へ行く姿に、赤い鞄をスイーツでどんどん埋めていく姿。自分も何か持って来ればと困り顔だったヨシュカだが、はっと閃いた。グレートブラックを合わせたウェストコードを脱いで広げれば――ぽんっ。降ってきたスイーツ受け止めるアイテムの出来上がり。
「ふふふ、待っているだけでお菓子がもう山みたいに……!」
「ロカジンとヨシュカもたーくさん取れたカ?」
「はあい、沢山取れました!」
待っているだけで出来たお山は立派なもので、エンジは「おー。すごいすごい」と拍手して――アァ。憂鬱そうな呟きにロカジとヨシュカは顔を見合わせる。
「甘いのは苦手なンだよなァ……」
「そんじゃあ甘いの全部僕のものにしてあげよう! カカカ! ヨシュカ、半分こしよう」
「はんぶんこ。良い言葉ですよね。そっちの方が倍美味しいって誰かが言っていました」
エンジマウンテンから甘いものだけがぽいぽいとお引っ越し。ヨシュカマウテンから、しっとりとガトーショコラがこっそり旅立った? 端っこに? いえいえ知りませんね。見繕ってたとは何のお話で?
そうサそうとも。ロカジとヨシュカのお山から甘くないものがこっそり奪われて、赤い鞄の隅っこにいたりなんて、全然これっぽっちも知らない話。二人のお山にぬいぐるみ? ハロウィンだもの動きもするさ。
――お菓子をくれてもイタズラするぞ! なんて声が聞こえたらご用心。
ビター系を奪う黒い背中は、エンジ流の半分こを知るオレンジ衣の背中だけが見守っていて――おや? 詰め合わせと比べ大きめの、白くてぷにぷにしたものが顔を覗かせている。
「お山の中に何か有りますね?」
「何だいこれは」
「随分と大きなお菓子だなァ。甘いかな、苦いかな。賢い君、知ってるかい?」
知ってるかといえば――結局誰が一番だったのカ。
エンジはガトーショコラの封を開けて、ぱくり。
(「美味しいからいーや」)
何であれスイーツの山は三つ出来上がっている。
甘いの、苦いの、しょっぱいの。
嗚呼、HAPPY HELLOWEEN! パーティはまだまだ終わらない!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
甘利・梓
腹ペコフレンズのミラちゃん(f09057)と
仮装:ポケットいっぱいエプロンドレスのアリス!(いっぱいお菓子を回収するため!)
ミラちゃん、スイーツレインですって!
お菓子の雨、なんて夢のような響き…!!
勿論です、たくさんたっくさん、ゲットしましょう!
然らばミラちゃんと
スイーツゲット!
ジャンプしてはゲットして
ポケットがいっぱいなのは当然です!
チョコレートを一口食めば、んー美味しい!
おっきな大福ゲットですー!
ってあら?この子がオブリビオンですか?
わぁ、連れて帰りたいくらい魅惑のぷにぷに…!(ぷにぷにもっちもっち)
倒すのは気が引けますけども。ごめんね!
ミラちゃんと合わせてライオンライドでどかーん!
ミラ・パーチェ
腹ぺこフレンズ、梓さん(f12881)と!
仮装:赤ずきん(手提げ籠で回収効率化の為)
梓さんー!甘味の雨だってー!
しかも、チョコレートとかマドレーヌ以外にも色々降って来る!
これは是非、山盛りテイクアウト待ったなしよね……!
然らば、梓さんと
回収したお菓子の数々を確保しては
籠に入れてを繰り返すわ!……籠が大きいのは御愛嬌って事で?
良い匂いだから、我慢出来ずに味見を……んーっ、おいひい!
あらら?雨じゃないけど、大福がこっちに――ウミウシ発見!
わーっ、ぷにぷにー!可愛いー!(ぷにぷに
もちもちお肌で、お月見団子にも見え……るけども!
食べられないなら
Happy Halloween!ドッカーン!(神の怒りで戦
スイーツレイン。
甘味の雨。
そんなものが降ってくるパーティ情報を、腹ペコフレンズが拾わないわけがなく。
「ミラちゃん、見て! なんて夢のような光景
……!!」
「梓さんー! しかも、チョコレートとかマドレーヌ以外にも色々降って来る! これは是非、山盛りテイクアウト待ったなしよね……!」
「勿論です、たくさんたっくさん、ゲットしましょう!」
ガシッ! ポケットでいっぱいのエプロンドレスを揺らすアリスな甘利・梓(腹ペコ乙女・f12881)と、空の手提げ籠を持った赤頭巾なミラ・パーチェ(夢追い人・f09057)は熱く堅い握手を交わす。
――然らば!
バッ、と上を見た二人を歓迎するようにスイーツが映った瞬間、御伽噺のヒロインたちは夢の世界へといざ出陣。先手必勝とジャンプをすれば、チョコレートのような髪がくるり。イエローとパープルサファイアをとけあわせたような結晶髪が、しゃらり。
甘い戦場で成果を得る度に声を上げて喜び、飛び跳ねて腹ペコフレンズを探して身振り手振りで戦果を讃え合う。そしてまた次へと、二人のステップは止まらない。止まるとしたら――。
「……この籠、ちょっと大きい?」
ミラは回収したスイーツをしっかりと抱える手提げ籠を見つめ、むむむ。確保しては収納を繰り返していたので、既に籠の底は見えなくなっている。
「ううん、大きいのは御愛嬌って事でいいわよね」
「勿論ですよ、ミラちゃん!」
そこにいたのは、エプロンドレスをスイーツ専用不動産状態にした梓だった。
ジャンプしては手に入れていた為、これは当然かつ幸せな結果。早速、苺香るピンク色のチョコレートを一つ取り出して、ぱくっ。
「んー美味しい!」
隣にいてもわかる苺の香りにミラはごくり、からのチラリ。自分の籠からも、大変素晴らしい匂いが漂っているのだ。うっ、つらい。
「だめっ、我慢出来な――いいえ我慢なんてとんでもないわ!」
バリッ。ガサッ。ひょいっ。ぱくー! フィナンシェがアーモンドバターの香りを豊かに広げて、ミラの顔を幸せに染めていく。
「んーっ、おいひい! ……あらら? 雨じゃないけど、大福がこっちに――」
「おっきな大福ゲットですー! ってあら? この子がオブリビオンですか?」
ぴろっ! ぴろろ!
梓に両手で捕まえられた災魔が白い体の縁を激しく震わせる。ハロウィンなんてーと送れてやって来た他の災魔も目をつり上げ、激しくぴろぴろしている――のだが。
「わぁ、連れて帰りたいくらい魅惑のぷにぷに……!」
「わーっ、ぷにぷにー! 可愛いー!」
どこからどう見ても可愛くて、梓は両手で頬でとぷにぷにもっちもっち。ミラも籠をしっかり抱えたまま抱き締め、ぷにぷに愛でて――はあ、とうっとり。
「もちもちお肌で、お月見団子にも見え……」
ビクッ。
「――るけども!」
「うん、ごめんね!」
美味しそうで可愛くて、倒すのは気が引けるけれど。
梓とミラは顔を見合わせ、こくりと頷いた。
「食べられないならこうよね。“Happy Halloween!”」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
冴島・類
★
【花筏】
これは、素敵な魔法ですね
真珠さんが指した先に降る、金平糖のお星様
こんな雨なら広げるのは傘じゃなく、受け止める為の羽
おや、直に口とは食いしん坊だね
こっちには、蝶々や蝙蝠の形をしたラングドシャに
滴形の琥珀糖
勿論、沢山受け止めるから交換しましょう
競争ですか!
如月さん相手でも負けず嫌いの心がむくり
今日は同じく羽を飾った外套纏ってる相棒の瓜江を起こし
彼の腕を借り跳んで、ふわっと広げて雨捕まえに
メトロ君、そっちはどんな雨模様だい
こちらは飴時々くっきー、稀に白ぷに
混じったウミウシ君はむにと摘んで
ましゅまろ?もっとつるつるかな
真珠さんが怖いものって、想像つかないな
食べれ…ええ、味を想像してしまうよ
戦
雅楽代・真珠
★
【花筏】
見て、金平糖の雨だ
知らない菓子も多く降ってきている
類、僕の分も滴形の琥珀糖を捕まえて
…メトロ、喉に詰まってしまってもしらないよ?
誰が一番多く取れるかな
僕は籠が山盛りになるくらい欲しい
如月、取ってきて
狼執事の腕から降りれば如月が跳び上がり、僕の好きな菓子を捕まえてくれる
ふふ、類と瓜江が鳥のよう
僕も負けない
籠に入るようにして游ぐんだ
薔薇ちょこ
食べると口が赤くなる吸血鬼飴
黒猫かっぷけぇき
戦利品は見せあって、持っていない物の交換もしよう
ウミウシは僕に触れる前に如月が庇う
…あれは食べられると思う?
牛乳ぷりんみたいにぷるぷるだ
ちょっとメトロ、突いてみてよ
怖くはないよ
触ると僕の手が汚れそうでしょ
戦
メトロ・トリー
★
【花筏】
わーわー
何をしてるのかって?勿論お口キャッチさ
すぐ食べれちゃうんだあ
もしもし、類くん、真珠くん
こっちの雨は紅茶スコーンに南瓜マフィン
ぼくのだ〜いすきな人参ケーキだよ!
ふむふむ金平糖に、ラングドシャ?
わあわ全部おいしそ〜
ぼくこの世界も好きになっちゃいそうだよ
む!競争!?
誰よりもぴょーん!と高く跳ねてみせるとも〜
だってぼくはうさぎだからねえ
あーでっかい南瓜クッキー!
イタイ!大きすぎるよもう!割っちゃうゾ!
あれれこの子はお菓子じゃあないのかい?
食べちゃだめ?えぇぼくが突くの?
あ!真珠くんたら…
こんな小さいのに怖いのかなあ〜?
任せておくれ
ぼくがぜーんぶ潰しちゃおー!
えーい!戦
「見て、金平糖の雨だ」
「これは、素敵な魔法ですね」
普段通り絡繰人形・如月に抱えられて。けれど華模様舞う深紅の頭巾に赤い衣を纏った雅楽代・真珠(水中花・f12752)が指した先。蒸気雲を通過した金平糖がふわふわほろろ、星のように降っていった。
それ以外のスイーツも映っては降るそこには、真珠の知らない菓子も多い。
あの菓子は何という名前なの。あれは。向こうの菓子は。人形に抱かれ訊ねる赤頭巾人魚に、白翼の法師に扮した冴島・類(公孫樹・f13398)は知る名を優しく伝えていく。
こんな雨なら避ける為の傘を広げるのではなく、受け止める為の羽を開いて過ごす方がいい。袋詰めされていない甘い雫そのものが降っていたら、その時は雨合羽を重ねて、逆さまにした傘にいっぱい溜めてしまうのもいいだろう。
「それだったら、わーってお口キャッチできていいよねえ」
名のあるホテルに務めていそうな装いのメトロ・トリー(時間ノイローゼ・f19399)は楽しそうに舌をペロリ。髪と揃いの白と赤が目を惹く仮装でとんっと軽やかに歩き、黒い羽根とハートの輝石が華麗さ加えるドゴール帽のつばを摘んで、くいっ。ぱっと両手を広げた瞬間、そこにぽす、ぽすぽすとスイーツが収まって。
「もしもし、類くん、真珠くん。こっちの雨は紅茶スコーンに南瓜マフィン、ぼくのだ~いすきな人参ケーキだよ!」
二人のとこのお天気はどう?
常に身に付けている時計をしゃらりと揺らしたメトロに、そうだねと類は雨粒を探るように白翼を宙へと伸ばした。翼が向いた先には、蒸気雲を抜けてきたばかりのスイーツ詰め合わせがふわ、ふわわ。
「こっちには、蝶々や蝙蝠の形をしたラングドシャに、滴形の琥珀糖」
「類、僕の分も滴形の琥珀糖を捕まえて」
「勿論、沢山受け止めるから交換しましょう」
「わあわ全部おいしそ~。ぼくこの世界も好きになっちゃいそうだよ」
メトロが林檎のような双眸を艶々輝かせたそこに飛び込んだ真珠の言葉、“誰が一番多く取れるかな”にメトロの兎耳がぴこんっと跳ね、類も若草色の目を子供のように輝かす。
今、“競争”って!
「僕は籠が山盛りになるくらい欲しい。如月、取ってきて」
「これはまた手強い方が……では此方も。瓜江」
「それはどうかなあ。ぼくは誰よりもぴょーん! と高く跳ねてみせるとも~。だってぼくはうさぎだからねえ」
そうら、どうだい! メトロがジャンプした瞬間、生徒たちからワアッと歓声が弾けた。
しかし腕から主が降りた瞬間、狼執事・如月が風のように駆け出して。負けず嫌いの心覗かせた類は翼めいた外套纏った絡繰人形・瓜江の腕を借り、宙へとふわり、羽ばたくように跳ぶ。
まるで鳥のよう。類と瓜江の行く様に真珠は花のように微笑んで――しかし、次の瞬間には手にしていた籠へ入るようにして、白華と真珠を煌めかせながら游いでいく。
「僕も負けない」
だって僕は、雅楽代・真珠。ひめねえさまに愛されたのだから、一番になるのは当たり前。そして僕が口にするのだから、当然素晴らしいものを選ぶに決まってるでしょ?
「薔薇ちょこ。こっちは食べると口が赤くなる吸血鬼飴。それと黒猫かっぷけぇき。類と瓜江はどんな雨を捕まえたの?」
「先程見つけたものと、ふっくらとした星形の飴や歯車の形をしたくっきーを」
それと。類は何かを抱えた瓜江を振り返り――もしもしメトロ君、そっちはどんな雨模様だい? と穏やかに、楽しく訊ねた。届いた声にメトロは笑顔で振り返り、こっちはねえ、と言い――かけ、ハッとする。
「あーでっかい南瓜クッキー!」
袋が破れてしまいそうなほど。これは絶対手に入れなくてはと、ぴょーん! 見事なジャンプで南瓜のすぐ傍まで辿り着き――けれどビッグクッキーはメトロの丁度頭の上。あ、と思った時には甘い衝撃が頭にゴツン!
「イタイ! 大きすぎるよもう! 割っちゃうゾ!」
けれど割るなら頂きますの瞬間がいい。それもしっかり抱えてぱたぱた戻れば、赤頭巾人魚も白翼法師も絡繰人形を従え、たっぷりのスイーツを抱えて――あれれ。不思議なお菓子を抱えてるなあとメトロは目をぱちぱち。
「これが例の災魔のようで。ましゅまろ? いや、もっとつるつるかな」
「へえ」
真珠が伸ばした手の前に、如月の手がそっと壁を作る。その動きにメトロはまた首を傾げた。
「あれれこの子はお菓子じゃあないのかい? 食べちゃだめ?」
「……あれは食べられると思う? 牛乳ぷりんみたいにぷるぷるだ」
食べ――? 類は目をきょとんとさせ、瓜江にしっかり確保されてなお必死にぴろぴろしている災魔を見た。ああ、つい味を想像してしまう。
「ちょっとメトロ、突いてみてよ」
「えぇぼくが突くの?」
どうしてぼくが、と思ったメトロだが、ハッ、と思い至った事がひとつ。
ハハーン……?
「真珠くんたら……こんな小さいのに怖いのかなあ~?」
高確率で違うだろう。しかし類は黙っていた。と、いうか。
(「真珠さんが怖いものって、想像つかないな」)
「怖くはないよ」
(「ほら、やっぱり」)
「それに、触ると僕の手が汚れそうでしょ」
「ふうん。それじゃあ任せておくれ、ぼくがぜーんぶ潰しちゃおー!」
え? と言いたげな顔で災魔が目をぱちくり。
しかし動き出したメトロは止まらない。元気な「えーい!」の後、他の近寄ってきた災魔も、ぷちっとぷにっと退治されるのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
境・花世
★
綾(f01786)と
血塗れベリーの裾をふんわり広げれば
降る雨はきっと抱えきれないほど
欲張りすぎてころんと転げてしまっても、
きみがいるからだいじょうぶ
待ってて、今、一番甘いのをあげるね
コク深いプラリネに愛らしいマカロン、
栗鼠みたいにちょっぴりずつ味見しながら
ふと手のひらのキャンディに閃いて
晴れ空ソーダに秘密の呪文をちちんぷい
さあ、これできみもお菓子を欲しがる子どもだ
そのくちびるにそっと呑み込ませたら、
ふたりしてくすくすと笑いが止まらない
次に降るのはきっとチョコだよ、
そしてきみに悪戯するのはこのわたし!
軽やかに駆け出して次を掴まえにいこう
ウミウシと戦うさなかにも
お菓子へ手を伸ばすのは忘れずに、ね
都槻・綾
f11024/かよさん
仮装:
傘持つ魔法使いの物語をイメージ
大道芸人風の明るい彩りのスーツ姿
甘い雨を集める為にパッと開いたのは
内側が晴れ空になっている傘
幸せが沢山降ってくるのですから
二人でめいっぱい掴まえましょ、と
片目をぱちり
転がりそうになる彼女を支え
ふくふく笑んで
一緒に「一番」選び
疾うに童心へ返って居るのだとは思うけれど
唇に添えられた飴は己を破願させるに充分で
蒸気の空には
黒猫の影
チョコクッキーか、チョコレートか
何方だと思います?
落下する迄の当てっこ遊びも
楽しさにプラス
勝者が悪戯できる、なんて賞品は如何?
やがて
降るウミウシの影はグミかゼリーか
彼らにも菓子を分けてからの、戦
美味しい夢に眠れますよう
甘い血を頬に付けたシスターが裾をふんわりと広げ、笑う。
降ってくる甘い雨目がけて駆ければ、頬に付いているのと同じ血塗れベリー色のそこにぽすっ、とスイーツ詰め合わせが落ちて、コロン。
欲張り過ぎて転げてしまう事があるかもしれないけれど。
でも、きみという魔法使いがいるから大丈夫。
境・花世(*葬・f11024)は新たに降ってきたスイーツ目指し、欲張る心を抱え駆け出して、くるり。振り返った先、明るい彩りのスーツ纏った魔法使いへ笑いかける。
「待ってて、今、一番甘いのをあげるね」
華やかな笑みに、魔法使いの都槻・綾(夜宵の森・f01786)は、くすり。
頭上にパッと晴れ空を開き、その鮮やかさな魔法に花世が笑った瞬間、何かが血塗れベリーのシスターに悪戯を仕掛けたらしい。転げそうになった花世を支えた綾は開いたばかりの晴れ空――傘をくるりと逆さまにして、片目をぱちり。
「幸せが沢山降ってくるのですから、二人でめいっぱい掴まえましょ」
ふくふく笑う魔法使いに血塗れベリーのシスターが頷けば、最強タッグが誕生する。
二人一緒に“一番”選び。
見る目と心が増えれば、増えた分だけ素敵な一番が見つかっていく。
ハンモックの上で揺られるように、シスター服の裾に広がる詰め合わせスイーツの封が一つ、二つと開けられて。含んだ瞬間コク深い味わいが広がるプラリネに、見目も色も愛らしいマカロンたち。リスのようにちょっぴりずつ味見していた花世は、手のひらのキャンディを見た瞬間閃いた。
「綾」
名を呼んで、指先ひらり。
晴れ空を閉じ込めたようなソーダに、シスターが秘密の魔法をちちんぷい。
「さあ、これできみもお菓子を欲しがる子どもだ」
唇に添えられた一粒に、綾はきょと、と目を丸くする。
とうに童心へ返って居るのだと思うけれど。それを言ってしまうような、野暮な魔法使いではないし――それに爽やかな甘みは、たった一粒でありながら己を破顔させるに充分。
魔法をかけられたキャンディがそっと呑み込まれれば、二人のくすくす笑いが止まらない。
綾は肩を揺らしながら蒸気雲を見上げ、かよさん、と呼んで上を指す。
うん? と見上げたそこに映るのは――おや。スイーツではなく、黒猫の影だ。
「チョコクッキーか、チョコレートか。何方だと思います?」
スイーツそのものが降ってくるまで、少しだけだが時間がある。それまでの当てっこ遊びも綾は一番選びの楽しさに組み込んで、少し考える仕草をした。
賞品は――勝者が悪戯出来る、なんて如何?
悪戯っぽく微笑む綾に、花世の左目がキラッと輝く。
「次に降るのはきっとチョコだよ、そしてきみに悪戯するのはこのわたし!」
甘い雨を抱える為に裾を広げ、軽やかに駆けるシスターの後。魔法使いも晴れ空たたえた傘を手に続いた。黒猫の影を霞のようにとかして二人のもとに降った黒猫スイーツの正体、もとい正解に、二人は顔を見合わせ笑い合う。
――それでは正解の方、悪戯の内容について発表を!
しかし楽しげな思案の後、発表に“待った”をかけた影、複数。
「まるでグミやゼリーですね」
「水饅頭にも似てるよ」
楽しく言葉を交わしたら、ぷりぷり怒ってぴろぴろやって来た彼らをおもてなし。
その間も当然、二人の手は甘い雨にも伸びていて。
そうして美味しい雨は降り積もり、夢の寝床へと変わっていく。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
雲烟・叶
【涙雨】
お嬢さん方と出掛けるのも慣れましたね
生憎とハロウィンより百鬼夜行の方が馴染んでるもんで、手持ちの仮装はあまり西洋の催しらしくねぇんですよ
今夜はネムリアのお嬢さんに合わせて吸血鬼にでもしておきますか
ベタですかね?
ネムリアのお嬢さんの帽子をリボンで飾り付け
愛らしい魔女さんですねぇ
さゆりのお嬢さんもネムリアのお嬢さんと揃いのリボンは如何です?
洋装はどうにも慣れませんねぇ、動き易くはあるんですが
南瓜クッキーやチョコレートの袋を受け止めて、お嬢さん方と食べましょうか
……お嬢さん方、小柄ですからねぇ
降って来るのを待ち構える姿が妙に和みますね
戦いも忘れてませんよ、一応
四・さゆり
【涙雨】
ネムリア。
おまじない、してあげる。
魔女のケープにリボンを結んで、
ほら、かわいい。
あなたは魔女なのだから、ふふ、
覚えなくてはだめね。また、教えてあげるわ。
わたし?悪魔よ。
わたしも合わせたの。角も似合うでしょう?
あら、色男はどう飾ってもいいものね、叶。
ふふ、ネムリアも気に入ったみたいね。
良い案ね。勿論、あなたが結んでちょうだい。
叶のリボンはわたしが結んであげる。
お揃いよ、決まってるじゃない。
屈みなさい。
あら、わたしは血よりお菓子の方がすきよ。
わけっこ、しましょ。
魔女の杖きゃんでぃ
輸血パック入りいちごぜりー
‥‥面白いじゃない。
お次は‥‥ばばろあ、みたい。
うみうし?食べれそうね、‥‥冗談よ。
戦
ネムリア・ティーズ
【涙雨】
これがはろうぃん…にぎやかな夜は好き
みんな色んな姿に変身してて面白いね
さゆり、結ぶの上手。その仮装はなんていうの?すごくかわいいね
ケープのリボンを整えてもらいながら首を傾げて
わあ、叶も上手だ。見て。ぼうしがステキになったよ
ふたりに手伝ってもらってボクは魔女に変身
叶はバンパイアだよね
そういう格好、はじめて見たけど…すごくかっこいい
ちょっと見とれちゃった
ふたりに血はあげられないから
ボクもお礼にお菓子、いっぱいとる
ウミウシをぷにぷにしながら時々ぴょんと跳ねてみたり
好きなお菓子はとれた?…ふふ、はろうぃんって楽しいね
抱えた中から、おばけのマシュマロを見せながら
いつもより、ふわりと笑って
戦
南瓜頭。骸骨。猫に犬に、狼などなど。
そこは“ちょっと不思議な誰か”で溢れていた。
「これがはろうぃん……にぎやかな、夜だね」
色んな姿に変身した生徒たちや猟兵を見たネムリア・ティーズ(余光・f01004)の表情が、かすかに動く。こういう夜は、好き。ぽそりと零れた声に四・さゆり(夜探し・f00775)はそうっと目を細め、手を伸ばす。
今日はハロウィンパーティ。
魔法をひとつ、かけてあげるわ。
「ネムリア。おまじない、してあげる
……、……、ほら、かわいい」
ふわふわくるりとした黒髪に包まれた瞳が、ふふ、と笑う。
「あなたは魔女なのだから、覚えなくてはだめね。また、教えてあげるわ」
「ありがとう。さゆり、結ぶの上手。その仮装はなんていうの? すごくかわいいね」
「わたし? 悪魔よ。わたしも合わせたの。角も似合うでしょう?」
ええ、ええ。本当に。
頷いた雲烟・叶(呪物・f07442)手で、ひらりと揺れる物があった。
「愛らしい魔女さんですねぇ。さゆりのお嬢さんもネムリアのお嬢さんと揃いのリボンは如何です?」
「良い案ね。勿論、あなたが結んでちょうだい。叶のリボンはわたしが結んであげる」
「え?」
「お揃いよ、決まってるじゃない。屈みなさい」
さあ、と促されてしまったら「否」なんて出てきやしない。
ネムリアの帽子を叶が飾り、叶の白い銀髪をさゆりが結う。そうしてより華を増した装いに、ネムリアの口から「わあ」と喜びが零れた。
「見て。ぼうしがステキになったよ」
素敵かつ上手な二人の手でネムリアは魔女に変身完了。叶は自分に合わせバンパイアにしたと言っていた。生憎ハロウィンより百鬼夜行の方が馴染んでるもんで――そういった叶の手持ち仮装はあまり西洋の催しらしくないのだとか。
「叶のそういう格好、はじめて見たけど……すごくかっこいい。ちょっと見とれちゃった」
「あら本当、色男はどう飾ってもいいものね、叶」
いつもは幻想的な和の装いでいる叶だが、今日は洋装バンパイア。
弘法筆を――ならぬ、叶着る物を選ばず。
「お嬢さん方にそう言って頂けるとは、有り難いですねぇ」
身支度を調え終えたら、いざ菓子の雨へ。
二人に血をあげられないからお礼にいっぱい取る、と意気込む魔女・ネムリアは、やって来た災魔も何のその。手こずる事なくぷにぷにと対処し、時々ぴょんと跳ねてと大奮闘。
「あら、わたしは血よりお菓子の方がすきよ。わけっこ、しましょ」
やさしい魔女の肩に触れた悪魔少女はそう言って、さあ次が来るわよと上を見る。
降って来るのを待ち構える小柄な姿ふたつ。妙に和むその光景に、叶は静かに目を細めて軽く体を捻った。動き易くはあるのだが、洋装はどうにも慣れない。
それでもしっかり受け止めたスイーツ詰め合わせは、南瓜クッキーにチョコレート。ふわふわ降ってきたおかげで、どちらも綺麗な形のまま。
ネムリアも受け止めたスイーツを両手で抱え、いつもよりふわりと表情を綻ばす。
「好きなお菓子は取れた?」
「ご覧の通り。ネムリアのお嬢さんは如何です?」
「……ふふ、はろうぃんって楽しいね」
これ、と見せたのは、おばけマシュマロ詰め合わせ。まるで悪戯ばかりするから袋に閉じ込められたようにも見える。さゆりは――。
「魔女の杖きゃんでぃ。輸血パック入りいちごぜりー。……面白いじゃない」
後者など輸血パックの作りが大変凝っている。よく見ると赤ではなく緑や紫色をした輸血パックもあった。メロン味とブドウ味? 不思議そうなネムリアにさゆりは「たぶんね」と言い、次なるスイーツに目を向け――。
「ねえ、お客様よ」
しかしその姿は思わず「ばばろあ、みたい」と呟いてしまったほど。ぷるぷるぴろぴろ、列を成してやって来る真っ白な災魔たちも、もしかしたら。
「食べれそうね」
「……一応訊きますけど、冗談ですよねぇ」
「……冗談よ。当たり前でしょ」
「ババロア……あると、いいね」
じっくり探すには、災魔の数が少々多い。
スイーツ集めの手は暫し止めて――“お菓子をくれなきゃ、悪戯するぞ”。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アルバ・アルフライラ
★
ジジ(f00995)と
菓子の雨とはまた面妖な
…ジジ、おいジジ?
斯様に目の色を変えんでも…おい!
這い寄るウミウシを杖で突きつつ
菓子集めに精を出す従者を眺め…やれ何と尾癖の悪い
哀れに吹き飛んだ塊から、自ずと視線は降り来る菓子へ
我が従者ならば如何様な菓子を好むであろうな
宝石の様な、綺麗な物だろうか
思索に耽っていると、こつんと頭に何かが当たった
痛…何だこれは、飴か?
砕かれた宝石にも似た青いそれ
ジジ、どうやらこれも菓子らしい
試しに食ろうてみよ
ほう、甘いか…それは重畳
ジジが気に入ったとなれば確と集めねば
…はっ、あちらを見てみよ
南瓜を模した菓子が落ちておる
拾わぬ手はあるまい
ほれ、全て拾われる前に往くぞジジ
ジャハル・アルムリフ
師父(f00123)と
降り来たる無数の甘味
師の茶菓子を充実させる又と無い機会
全力にて参ろう
しかし何でも良いわけではない
師の好物で、特に日保ちのよき物を狙わねば
視力と第六感使い見極め
高い位置で素早く掴んで確認、大切に革袋へ――よし
足元に触れる塊たちは
爪先や踵、尾で弾いて遠くへ飛ばす
菓子と紛らわしい故、あちらで遊んでいろ
食われたいか
…む、これは
半透明の菓子に思わず師の姿を確認
不思議な歯応えと素朴な甘さ
斯様な菓子があろうとは
うむ、気に入った
逃せぬぞ師父よ
師父、屈み込んでは危険だ
まだ上からも次々と
大袈裟に盾となりながら
は、あれは
果物に目が無い師には垂涎の品であろう
赤い星が如く輝く、林檎飴へと手を伸ばす
太陽の飾りをしゃらりと鳴らし、アルバ・アルフライラ(双星の魔術師・f00123)は蒸気雲に映ったパウンドケーキを見る。
数秒の後、その向こうからやって来たのは、鮮やかなオレンジ色に雪化粧めいた砂糖を被った南瓜パウンドケーキ詰め合わせ。それが、ふわふわ、ゆらゆらと降ってきている。
「菓子の雨とはまた面妖な」
それ以外のスイーツも、映っては降り、映っては降りの繰り返し。
無数にあるのではと思えるほどの光景に、アルバとは対の――月の飾り鳴らしたジャハル・アルムリフ(凶星・f00995)は、オパールめいた彩映す目に鋭さを帯びる。これは、師の茶菓子を充実させる又と無い機会。
「全力にて参ろう」
「……ジジ、おいジジ? 斯様に目の色を変えんでも……おい!」
太陽神の制止の声。しかし月の精止める事叶わず。
“雨”までの距離、“雨”の動き。双方を捉えた黒き竜の星が跳ぶ。かすかに揺れる間も与えず掴み、師の好物か否か、日持ちする物か否か――中身を確認し、そっと革袋へ仕舞い込んだ。
「――よし」
しかしその周りには月夜の星が如く災魔たちが群がっていて。
たのしんでるな! いやなハロウィン、たのしんでるな!
喧しくぴろぴろしている白い塊を――ぺしっ、ぴしっ、ぱしっ。
「菓子と紛らわしい故、あちらで遊んでいろ。食われたいか」
爪先、踵、竜尾で弾き遠くへ飛ばす様子に、同じく這い寄ってきた災魔を杖でぷにぷに突いていたアルバは溜息ひとつ。
「……やれ何と尾癖の悪い」
周りをスッキリさせた従者は再び甘味集めに勤しんでいる。目線を追えば、降り来るそれがアルバの瞳にも映り込んだ。
(「我が従者ならば如何様な菓子を好むであろうな」)
これまでかの従者が見せた表情を思い浮かべ、思い至ったのは宝石のような、美しく煌めく綺麗な菓子。しかし宝石の様な菓子か――思索に耽るアルバの頭に、天からの使者がこつんっ。
「痛……何だこれは、飴か?」
目の前に落ちてきたそれが床へ落ちる寸前に受け止める。まるで砕かれた宝石だ。透き通った青いそれをアルバは「ふむ」と見つめ――。
「ジジ、どうやらこれも菓子らしい。試しに食ろうてみよ」
「……む、これは」
初めて見る半透明のそれにジャハルは思わずアルバの姿を確認し、密かに安堵する。どこも欠けてはいない。という事は、あれは師の一部ではなく本当に菓子なのだ。
口に放れば不思議な歯応えと素朴な甘さが広がった。それの名は、UDCアース・日本の菓子に詳しい猟兵であれば『琥珀糖』と口にしただろう。
「うむ、気に入った。逃せぬぞ師父よ」
「ほう、甘いか……それは重畳」
従者が気に入ったとなれば確と集めねば。最初とは逆に今度は師が目の色を変えて視線を巡らせ――燃ゆる星宿した宙の瞳を、はっ。
「あちらを見てみよ。南瓜を模した菓子が落ちておる」
受け止められそびれたのか。しかし周りの者は気付いていない――つまり、誰の物でもないのならば、美味の気配漂わすあれを拾わない手はなく。
「ほれ、全て拾われる前に往くぞジジ」
「師父、屈み込んでは危険だ。まだ上からも次々と来ている」
太陽隠す雲のように、ジャハルは大袈裟にアルバの盾となりながら付いていき――。
(「は、あれは」)
視線奪われたのは艶々と煌めく真っ赤な星。宝石の如き美しさを放つ林檎飴は、果物に目がないアルバには垂涎の品だろう。素早く手を伸ばし――。
「ジジ、宝石の様な菓子がまたも降ってきたぞ。まるで向日葵の欠片だ」
「ならばそれも」
赤い宝石を転がし入れたそこに、天より来た陽色の宝石も。
来る茶のひとときに備え、革袋の中身は順調に、豊かに満たされていく。
大成功
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オズ・ケストナー
【桜薔】
★オズの魔法使い
クロバ、クロバっ
はしゃいで
おかしの雨だっ
くろねこのカップケーキ
クロバのところはなにがふってきた?
わたしがふってきたの?
きょとりと覗き込めば
わあ、ひまわりだっ
わたしだと言ってみせてくれたのがうれしくて
食べようっ
これおいしいよ
クロバの口元にクッキーを寄せ
わたしもクロバがすきなもの見つけたい
袋の中に桜色が見えたら
クロバ、あれっ
空を指す
降ってきた桜の花びら型チョコ
クロバなら、自分で受け止めたいかなって
なんとなく思ったから
受け止めたらにこにこ
わたしも、もうちょっとだけっ
めいっぱい手を伸ばして
あ、きたよ
ユキウサギウミウシっ
おいでおいでーと手招いて
ぷにぷに、ふふ
だいふくににてるよね
戦
華折・黒羽
【桜薔】
★童話・星の王子さま
…すごい
本当に落ちるのでなく降ってくるんですね
ふわふわと
手を伸ばせばふわり乗るお化け型のホワイトチョコレート
俺の所は白いちょこれーとが降ってきましたよ
ぱくり広がる甘さにほわり綻ぶ雰囲気
揺れる尾のまま彼の言葉に頷いて
再度手を広げればふわり収まったのは
中心に丸いチョコレートの向日葵型クッキー
!
オズさん、オズさん、これ
向日葵と言えば彼の事が浮かぶ
オズさんが降ってきたと彼に見せる手の上
差し出されたクッキーには素直に口を開いてぱくり
また尾が揺れる
声と共に指差された先から
降りてきた桜の花弁手に取れば
宝物の様に眺め綻ぶ表情
大福…
流石にこれは食べられませんよ?
なんて冗談紡ぎながら
戦
映っては降るスイーツの雨。
それはパーティが終わるまで止まらない、素敵な魔法。
「クロバ、クロバっ、おかしの雨だっ!」
はしゃぐオズ・ケストナー(Ein Kinderspiel・f01136)がぴょんぴょんジャンプする度、帽子や首元の蒲公英飾りがふわふわ揺れる。
今日のオズは、カカシとブリキとライオン、そして素敵な女の子を連れた優しい魔法使い。
「……すごい。本当に落ちるのでなく降ってくるんですね」
柔らかに咲く桜を秘めた硝子ケースを抱え、沢山の星々で彩られた王子様――華折・黒羽(掬折・f10471)はふわふわ降ってきたスイーツへ手を伸ばす。
「クロバのところはなにがふってきた?」
オズがニコニコと見せたそこには黒猫カップケーキご一行。ぴょこんと立つ猫耳はきっとチョコレート。表情は一つずつ違ってぼんやりしていたりクールだったり――。
(「ふふ、なんだかクロバみたいっ」)
「俺の所は白いちょこれーとが降ってきましたよ」
「わぁっ、すてきだね……!」
これです、とスイーツ詰め合わせを見せた途端、オズの双眸にきらりと流れ星めいた光が走る。笑顔、ウインク、スヤスヤ。色んな顔のお化け形ホワイトチョコレートの封を解けば、まろやかで甘い、良い香りがふわんと鼻をくすぐった。
ぱくり。一つ食べた瞬間広がる甘さは色の通り優しく甘い。黒羽はほわりと雰囲気綻ばせ、揺れる尾のままオズの言葉に頷いて――。
「!」
再度広げた手に、ふわり穏やかに収まったそれに、今度は黒羽の目に流れ星の光が走る。
「オズさん、オズさん、これ。オズさんが降ってきました」
「わたしがふってきたの?」
大きく、そしてふかふかとした手の上。つやっと透明な袋の中に咲くのは太陽を愛する夏の花。中心に丸いチョコレートを抱いた、可愛らしい向日葵形クッキーたち。それを見た瞬間、黒羽は真っ先にオズの事を浮かべていて。
「わあ、ひまわりだっ」
そしてそれが――ひまわりをわたしだと言ってみせてくれたのが、うれしくて。
「食べようっ、これおいしいよ」
はい。オズは向日葵のような笑顔で黒羽の口元にクッキーを寄せ、差し出された一つを黒羽は素直に口を開いて、ぱくり。もぐもぐ噛んでいる間の言葉はないけれど、長い尾はまた揺れていた。
(「わたしも、クロバがすきなもの見つけたい」)
向日葵のように、黒羽に幸せをくれるものが。
すると蒸気雲にチョコレートがふわっと映された。どんなチョコレートが降ってくるだろう。見つめていたオズの双眸に――ひらり。春の色が射した。
「クロバ、あれっ」
「え……?」
オズが指した先、雲を抜けて降ってきたのは春の欠片を集めた袋。白に薄桃、撫子――清らかな色をした桜の花びらチョコレートを、オズは一生懸命指差すばかり。だって、自分で受け止めたいかなって――なんとなく、思ったから。
降りてきた桜の花弁は、春風で揺れるようにひらひら、ふわり。そっと受け止めた黒羽の表情は静かに綻んでいき、沢山の春色を宝物のように眺めるその眼差しに、オズもあたたかいものを覚えながらにこにこと。
「わたしも、もうちょっとだけっ」
気になったスイーツへ届けとめいっぱい手を伸ばし――あ、と、目をぱちり。
「きたよ。ユキウサギウミウシっ、おいでおいでー」
歓迎の手招きをするオズと、その隣で災魔を見つめる黒羽。二人のもとへ白い災魔たちが馳せ参じ――もとい、ぷんすかと集まれば、周りはあっという間にぷにぷにぷるんっ。
スイーツを抱えた魔法使いと王子様な二人に、災魔たちは何かを訴えるように夢中でぴょんぴょん跳ねている。
「ぷにぷに、ふふ。……だいふくににてるよね」
「大福……」
確かに。
「ですが、流石にこれは食べられませんよ?」
なんて冗談を紡いでしまうのも、きっとハロウィンの魔法のせい。
大成功
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