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夢見る戦闘人形

#UDCアース #【Q】 #UDC-P #REM

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#UDCアース
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●Re-Boot
『――――対象、破壊――――』
 耳を劈く轟音と振動が私を襲い、身を起こす。どうやら今まで眠っていたらしい。
 目を覚ました私はワタシ達に囲まれて、ワタシ達は巨大な銃を手に人を撃っていた。
『――ここ、は?』
 ぼやけた視界、目を凝らすと随分と広い応接間の様な部屋だという事が分かる。
 そして黒いスーツの男の人が、私に拳銃を向けながら言うのだ。
『……何でだ、何で死なねえんだよ!』
 乾いた銃声と共に弾丸が私の心臓を――貫かなかった。
 甲高い金属音と共に地面に転がった殺意の塊を見て、私は膝をついた。
『――敵性反応、消失』
 違う……。
 これは一体、何だというの?
 こんなの――消えてしまいたいのは、私の方だ。

●シンギュラリティ
「殺し屋人形って知ってるか?」
 グリモアベースの会議室、虻須・志郎(第四の蜘蛛・f00103)は電子式の血液パック吸入器を片手で弄びながら、集まった猟兵達を前に淡々と語り始めた。
「ネットから一回数十万円で殺しの依頼を請け負うって奴だ。しかもオプション付き」
 それは対象が増える毎に十万円、施設破壊は規模により最大数百万、絶対に証拠は残さず、依頼主の正体が割れる事は無いという、都市伝説めいた誠に胡散臭い情報だった。
「……で、その殺し屋人形の正体と出所が判明した訳だが、なぁ」
 溜息をついて、背後のスクリーンに詳細な情報を映す。一つは7階建てくらいの窓一つ無いビル、そして鎧装騎兵の様な重武装を纏った、少女型サイボーグだった。
「こいつら、オブリビオンなんだよ。そして……本題はここからだ」
 型式はRe-E-Mp、ひたすら交戦記録を収集する壊れた戦闘人形。彼女らは連携戦闘に特化して、手にした重機関砲や各種重火器による射撃戦を得意とする。量産されたそのサイボーグが骸の海から続々と姿を現し、UDCアースで汚れ仕事を請け負っているというのだ。しかし事はそれだけでは済まない。続いて彼女らがヤクザの事務所らしき場所を襲撃した戦闘記録が動画で流される。その中に、明らかに様子がおかしい個体がいた。
「この中に一人『破壊の意志』を持たなかった奴がいる」

 映像の中にただ一人、その場で立ちすくみ……膝をついて、顔を伏せている少女がいる。悲鳴と怒号と銃声と炸裂音が響く中で、その存在は一際異様に映っていた。
「それはオブリビオンとして生まれたのに、その使命を忘れちまった存在、らしい」
 オブリビオンは過去の残滓たる骸の海より出でて、現世を滅ぼさんとする存在だ。しかし中には稀に、何らかの異常でその『使命』を忘れてしまうモノがいる。例えばUDCアースにいるシャーマンズゴーストも元を質せばオブリビオン――破滅の使者だったのだ。
「昔からコードネーム『UDC-P』と識別されてる。以後呼称はそれに統一するぜ」
 猟兵が本格的に活動を開始する前、彼等はそう呼ばれていたのだ。そして再び、人類に与する可能性のあるオブリビオンが最近になって確認された。今回の異常なRe-E-Mpもその内の一人である可能性が極めて高い。
「作戦内容は敵の殲滅とUDC-Pの保護――何、同じ姿をしていても見れば分かるさ」
 故に施設のオブリビオンを殲滅し、彼女を救出しなければならない。もしかしたら彼女が、UDC-Pが我々に有益な情報を保有している可能性もあるのだから。
「場所は首都圏、機械系メーカーの開発拠点だったビルだ」
 スクリーン上に異様なビルが大写しになる。入口は四か所、正面エントランスにトレーラーの搬入口、職員用の裏口に地下の下水用通路だ。開発拠点だった――こんな立派な建物がどうして、オブリビオンの巣窟になっているんだと誰かが尋ねた。
「潰れたんだよ、不況でな。その物件を邪教とが居抜いて秘密基地にしたって訳だ」
 昨今、国内の開発拠点はより低コストな海外に拠点を移されるケースが相次いでいる。外資系に買い取られたメーカーなどは、そうやって幾つもの拠点を閉鎖させられた。だから、ここのエントランスにいる者は邪教のシンパであることは間違いない。遭遇したら可能な限り無力化して欲しいと志郎は告げる。

「そしてこのビルのどこかに……保護対象と、敵がいる」
 続いてそのビルが悪の秘密基地になる前の立体図面が映し出される。開発の為の実験を行っていたくらいだ。分厚い壁の断面図が、その秘匿性を静かに示した。
「機械系の開発拠点ってだけあって結構頑丈に作られてる。それでもまあ」
 まあ、暴れるなら程々に。近隣を封鎖してもどこまで流れ弾の面倒を見れるかは分からない。戦闘行動は考えて行って欲しいとの事だ。
「で、UDC-Pを保護したらUDC組織に引き渡すんだが……その前に頼みたい事がある」
 やや面倒そうに、志郎がスクリーンにプレゼン用の資料めいたモノを映す。それには『友好的UDC存在に対するアプローチマニュアル作成の手引き』と題が打たれていた。
「組織に引き渡す前に、可能な限り正確な『UDC-P対処マニュアル』を作成してほしい」
 幾ら破壊の使命を忘れたUDC-Pとは言え、一般人にしてみれば危険な存在である事に変りは無い。だからこそ初期接触を猟兵達の手で安全に行い、その要綱をUDC組織に引き継がせる事で、円滑な保護活動を進めようというのだ。
「何せどんなヤバい特性があるか分からねえ。オブリビオンじゃないとはいえ相手はUDCだ。安全かつ確実に引き渡す為に、ちょっくら皆の経験と知恵を拝借したいんだよ」
 確かに猟兵達ならば常日頃からオブリビオンと接触している。万が一の事が起こってもリカバリーは格段に容易であろうし、一般人では思いもよらないアプローチでUDC-Pと友好関係を築ければ、より良好な状態でUDC組織に引き渡すことも可能だ。
「そういう訳でよろしく頼むぜ。幸運を祈る」
 志郎が額に手を当てて敬礼し、解いた掌から蜘蛛の糸を――顕現したグリモアがゲートを開く。悪しき運命の糸を断ち切るべく、新たな戦いの幕が開いた。


ブラツ
 ブラツです。
 今回のシナリオはUDCアースにおいて、
 サイボーグのUDC-Pを保護する事が目的です。

 アドリブや連携などがOKな方は文頭に●とご記載下さい。
 サポートに関しては状況により採用出来ない場合があります。

 第1章は冒険です。フラグメントはあくまで参考です。
 敵の拠点と化したビルへ、自由なプレイングで乗り込んで下さい。
 拠点情報についてはオープニングにある通り、四つの入り口が判明していますが、
 他にも気付いた侵入経路があればどんどん送ってみてください。
 侵入後はUDC-Pを探してビル内を探索しますが、手段は問いません。

 第2章は集団戦です。UDC-Pを保護しつつ敵オブリビオンを掃討して下さい。
 屋内戦闘となりますが、交戦場所については幕間で改めて説明致します。
 敵は射撃戦闘や集団連携戦術を得意とする強敵です。
 敵の得意分野を切り崩せれば、優位に戦闘を運ぶ事が出来るでしょう。

 第3章は日常です。救出したUDC-PをUDC組織に引き渡す前に、
 猟兵達で可能な限り正確な『UDC-P対処マニュアル』を作成しましょう。
 こちらも追加情報は幕間で改めて説明致します。

 プレイングの募集は10/27(日)8:31以降になります。
 それ以前に頂いたプレイングは流れる可能性が高くなりますのでご注意ください。
 プレイング締め切りは最初の失効に合わせ策定致します。

 それでは、よろしくお願い致します。
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第1章 冒険 『幽霊会社の怪』

POW   :    正面のエントランスから堂々と潜入だ

SPD   :    非常階段やダクトの中から侵入だ

WIZ   :    バレないように身分を偽装して潜入だ

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

御形・菘

生まれ方も、与えられた使命も実にどーでもよい!
今やりたい事をやり、やりたくない事はやらない、それが大切なのよ!

やはり妾は、堂々と正面エントランスからカチコミ…するのは今回はやめておこう
たまには力押しだけでなく、溢れ出る知性も見せんとな?(カメラ目線)
とゆーことで、換気ダクトから侵入するとしようか
秘匿性が高かろうが、この類ばかりはビルの構造上必ず存在するのでな
屋上へと上り、翼は畳んで、するするっと侵入!

中の人間との接触は後回し、まずはダクト内を行き来して、現在のビル内部見取り図を作るとしよう
天地も飛ばして手広くいくぞ!
怪しい部屋、人員の配置などに目星をつけ、皆の手持ちの端末に情報を送ってやるぞ


東雲・一朗
▷アドリブ歓迎です

▷服装と武装
帝都軍人の軍服、少佐の階級章付き。
刀と対魔刀の二刀流、2振りとも腰に帯刀。

▷戦術行動
UDC-P…救済可能な影朧のような存在、という訳か。
ならば私は帝都軍人として全力でその者を救済するまでの事。
「この場は我々の保護下となった、無関係の者は速やかに退去願いたい」
私は正面より乗り込み【威厳】ある声で退去勧告を行う、これで邪教シンパが退けばよし、向かって来るなら二刀の錆とするまで。
「私は貴殿らとは違う世界から来た、ゆえに貴殿らの知る軍人とはまるで違うという事を肝に命じておけ」
私が正面で目立てば後続の仲間達は隠密、正面突破のどちらもし易くなる…矢面に立つのが軍人の務めだ。


河原崎・修羅雪姫
【全世界サイボーグ連盟】で参加・アドリブ歓迎
「邪教の信徒も、職員って言うのかしらねぇ? ま、出来るだけ生け捕りで行きましょう」

職員用の裏口を見張り、そこから逆侵入をかける。

搬入口やエントランスで仲間たちが騒ぎを起こし、
慌てて裏口から職員(?)が逃げ出してくるところを、
奇天烈武器「う」を無数の触手のように展開させて、
一網打尽に取り押さえる(『吹き飛ばし・範囲攻撃・気絶攻撃』)
反撃を受けたら『盾受け』で防御する。

捕らえた職員(?)から、建物内部の様子などを聞き出す。
(『誘惑・存在感』)

騒ぎが起きて1分経っても職員(?)が出てこないときは、
『鍵開け』技能を使って裏口を開け、密かに内部に侵入する。


ユエイン・リュンコイス

破壊の意思を持たぬ、自我を得た人形か…他人事とは思えないし、一つ協力させて貰おうか。

で、だ。壁は何処も分厚く、故に四つの出入り口から侵入しなければならない、と。
なら、まずはその前提を潰そう。事前に内部地図を確認、人の寄り付かなそうな部屋をピックアップ。 UCを起動、範囲を狭め、壁の部分のみを抉り取って侵入を試みる。
流石に壁の厚さは50mも無いだろうし、これなら音も静かだ。相手の意表もつけるだろう。侵入後は解除し元に戻す。

【水月の識眼、叡月の欠片】による『情報収集』を行いつつ探索。シンパがいれば機人の『グラップル』で無力化しよう。目指すはオブリビオンの待機場、または…ひとりぼっちの人形の元へ。


八坂・操
●【SPD】

殺し屋人形って響きがもうB級スプラッター映画な臭いがするよね♪
たった一人が殺し屋稼業から足を洗いたいって考えに至るのも、物語が始まりそうな予感がして好きだなー操ちゃんは☆

「おっ邪魔っしまーす♪」
そんな訳で、操ちゃんは『忍び足』で『目立たない』よう地下の下水用通路から忍び込もう!
一番下から順繰りに探していった方が、面倒も少なくて済むだろうしね♪

「さてさて、B級映画のスクリーンから救い上げる御嬢様はどこかな?」
肝心のお人形ちゃん探しだけど……サイボーグってコトは、当然管理が必須だろうし、『聞き耳』を立てながら邪教徒の皆を『追跡』すれば、ある程度の場所ぐらいは特定出来るんじゃないかな?


宙夢・拓未
【全世界サイボーグ連盟】で参加

UDC-Pの少女型サイボーグか……放っておけないな
全サ連のメンバーと力を合わせて、気合入れていくぜ

俺は正面エントランスから堂々と乗り込む
バイクを、派手なブレーキ音と共にドアの前に停めて
【フォームG-O-S】を発動し、防御力を高めながら
【勇気】を出してずかずか中に入っていく

『アンバーアイズ』の【視力】で【情報収集】
中の邪教徒の人数、武器の有無などを素早く把握

遠距離攻撃はキリンの籠手で弾く
近づいてくる邪教徒には、雷の【属性攻撃】
『チクタクエンジン』からの電流を制御し、俺の四肢に纏わせて格闘
スタンガンの要領で無力化してゆく

裏口に逃げる邪教徒は、修羅雪姫たちに任せよう


ルパート・ブラックスミス
UDC-Pか。さして驚きはない。
ヤドリガミという概念除けば、己も死してなお動く亡霊騎士、過去の残滓のようなもの。
さて、迎えに行くぞニクス。

正面エントランスより突入。
他方面から他の猟兵が潜入し易いよう、敵を【おびき寄せ】るべく堂々と乗り込む。
防衛設備があるなら【怪力】や短剣【投擲】で破壊。
邪教のシンパが現れるならUC【映す心断ち割る呪剣】で気絶させる。

並行してニクスこと爆槍フェニックスを鳥形態で放し、拠点内を探索させる。
事前に【武器改造】でRe-E-Mpの姿を覚えさせ、その中でも襲撃の報せに戦闘態勢を取ろうとしない個体、すなわちUDC-Pを【失せ物探し】の要領で探させよう。

【共闘・アドリブ歓迎】


トリテレイア・ゼロナイン
映像では逃げも反発するでもなく、見せかけの同調も出来ず
まるで子供ではありませんか…
確かに早急の保護が必要ですね

妖精ロボをダクト等から密かに侵入
●操縦しセキュリティや電気経路、非常電源に●ハッキングや●破壊工作
全て掌握出来れば最上ですが侵入の一瞬だけ無力化することを目標

巨体だと気休めですが●防具改造で駆動音の消音処置を施し搬入口から密かに侵入
振動センサー等での●情報収集で敵配置を先んじて●見切り●怪力●だまし討ちで無力化しつつビル奥に潜入し保護対象を捜索

この手の作業は私の仮想敵の領分
ですが救出の為、不得手と嘆く暇はありません

沢山の「不得手」との対面に
戦いしか知らぬ少女を送り出すことになろうとも…


リズ・ルシーズ
●【全世界サイボーグ連盟】で参加

【SPD】

Re-E-Mp……Re-E Mass Production type、データが正しければボクの姉妹機になるのかな

独り言を呟き、遠くビルの屋上から様子を見ている

誰かが暴れだしたのかな、じゃ、ボクもそろそろ行こうかな

【指定UC】で、猟兵がいれば一緒にクネウスの所にテレポート、営業活動のお手伝いだよ

ZEN-3RENでは、こんな品物も用意してるよ!

ネイルの電撃【属性攻撃】で【先制攻撃・気絶攻撃】で【恐怖を与え】つつ、ワイヤーによる【ロープワーク】で動けなくしておいてRe-E-Mpについて【情報収集】

爪先で放電し)ね、ボクに似てるのが居るって聞いたんだけど?


ウィンディ・アストレイ
【全世界サイボーグ連盟】で参加
アドリブ&連携OK

「討ち漏らしは、こちらで処理します。好きに暴れて下さい」

拓未さんと共に、正面エントランスから突入
ボクは拓未さんの討ち漏らしを処理します

装備は普段着の下にナノウェアだけを纏った軽装で
自分に直接向かってくるか、拓未さんの討ち漏らしに
UCで強化した『第六感&見切り』で攻撃回避しつつ無造作に近づき
同じく強化した『グラップル&気絶攻撃』で
当て身や投げ技を使い、気絶させて回ります

裏口含めて粗方片づけたら、アクセスツールを呼び出し
気絶した上位職員の脳にアクセス
Re-E-Mpの情報収集を試みます
(ハッキング&医術&情報収集)

「備えあれば、といった所でしょうか」


クネウス・ウィギンシティ
【全世界サイボーグ連盟】で参加
アドリブ&絡み歓迎
「お世話になっております。ZEN-3RENグループです。本日は、武器・弾薬販売の件で訪問致しました」

【POW】

事前の顧客リサーチ(【メカニック&情報収集】)済みです。
サンプルとして武器を持ち込み、光学【迷彩】を施し一般車両に偽装した『ホバー戦車』で搬入口から堂々と入ります。

テレポートしてきたリズ(f11009)さん達の紹介。
「当グループのスタッフです」

侵入後は戦車を降り、顧客へ挨拶替わりにゴム弾を放ちます。
「例えば、このような商品は如何でしょうか」
「弾薬の品質はこの通り保証いたします」
電脳ゴーグルをかけ、地道に訪問販売(物理)を行います。


リオ・ブレンナー
【全世界サイボーグ連盟で参加】
アドリブ&絡み希望
リズ(f11009)と同行(テレポート)

派手に暴れられて、しかもそれが他のルートの仲間の助けになるってなぁお得な話だぜ
ま、得だろーと損だろーとオレはこの拳で暴れるしか能がないからよ
派手にヤらせて貰うぜェッ!

リズのテレポートで突入次第、自慢の【怪力】で施設内の扉を鍵開け(物理)したり、邪魔な壁をUCでぶち抜いたりして保護対象を探して回るぜ
派手に探し回って敵が来たら、自慢の拳を叩き込んで黙らせてやる
極力殺すなって話だから、死なねーように加減して打ち込むが……まぁ不器用だからよ
当たりどころ悪かったら勘弁な!アッハッハ!


ミハエラ・ジェシンスカ

隠蔽を考えねばならんとは面倒な事だ
他の世界とは勝手が違うな

『使命』を忘れた人形
些か興味深くはあるが
尤も私がファーストコンタクトに向いているとは思わん
UDC-Pへの接触は他の猟兵に任せ、シンパどもの無力化を優先する
【念動変異】で我が身を不可視のサイキックエナジーへと変異
そのまま正面エントランスへと侵入しつつ
フォースレーダーによる【情報収集】も併用してエントランスにいる者の位置、総数を把握
物質・非物質を切り替えながら攻撃と移動を行い、敵が状況を把握する前に無力化しよう
必要なら【制圧用電撃杖】も使用する

最低でも一人は意識があるまま残し【催眠術】で情報を引き出すとしよう
その情報は他の猟兵と共有する


サブナ・ダディ
【全世界サイボーグ連盟】で参加・アドリブ&絡み歓迎 //「邪教徒に持ち合わせている慈悲はないんで始めから全力で行きますかねぇ」//【POW】//『ど~も壁殴り代行です』とエントランスに拓未とウィンディで突入、UC『タケミカヅチ』発動、【怪力】と合わせて『タケミカヅチ』で右腕には巨大化した金砕棒を使いエントランスの風通しを良くしながら左腕で【グラップル】で敵勢力の無力化に努める


ドロレス・コスタクルタ
【全世界サイボーグ連盟】で参加。アドリブ&絡み歓迎。

WIZ対抗

いかにも馬鹿っぽい感じのピザ配達員ギャルに変装。厚化粧をして、配達員の衣装をだらしなく着崩す。
職員用裏口のインターホンから「あーっとドーモ。ピザ屋っス。お待たせしまっしたー毎度アリガトウゴザイマス」と声をかける。断られても「受け取ってもらわねーと帰れねーんスよねー」とドアを腐食させて壊す。

邪教徒が出て来たら「こんちわっス。ピザどうぞー」とピザケースに擬装したサイエンスフィクションを投げ渡し即起爆。攻撃力を極限まで下げて殺さず無力化を狙う。

爆弾攻撃後は裏口から攻める仲間と合流。UCにより地面を液状化させ深みに嵌めて敵の動きを封じる。


絡繰・ビリー

助けを求められたら応えるよ!
お任せあれ!

・SPD行動
職員用の裏口から入ろうかな
事務室か警備室か、PC機器のある部屋を探すよ
見つけ次第、使えるか調べて、ダメそうなら【メカニック】らしく直すなりして使う
スーパービリータイムいくよー!
ガジェットギアで【ハッキング】して【情報収集】
監視カメラ生きてるかな?地図もいただき!敵はシャッターで遮断分断!目標を探して、最短ルートを構築!

「カタカタカタ、タンッ。ふふふ、決まったね」

あ、味方がいたら扉開けたり誘導したり援護するよ
通信機器を持っててくれればギアファンで連絡できるんだけどね
ま、即席のバックアップだけど、役に立つと思うよ

「さあて、詰めていこうか!」


七瀬・麗治
⚫️
破壊の意思を持たないオブリビオン……UDC-Pか。詳しく
調べてみる価値はありそうだな。

事前に現場となるビルのセキュリティーについて、【UDCネットワーク】を使い、調べる。
組織のスタッフや旧知の外部協力者にコンタクトを取り、〈情報収集〉で入場証やIDカードの偽造調達を依頼。
おそらく外部との交流はほとんど無いだろうから……内部のスタッフ(邪教徒)に〈変装〉して施設の奥を目指すぜ。戦闘はなるべく避けたいが、不信感を抱かれたり、物理的に通過できない場合は警備員を〈グラップル〉でシメたり、記憶消去銃による〈気絶攻撃〉で制圧し、強行突破だ。一般人でないなら、多少手荒にやっても構わんだろう!


荒谷・つかさ
(潜入方法考え中)
……
…………
………………やめた。
やっぱり正々堂々正面からが王道よね。
(結局どこまでも脳筋だった!)

【超★筋肉黙示録】発動しつつ、正面エントランスから堂々侵入
邪神のシンパが何らかの抵抗をしてくる場合、防御態勢も取らずに(※何故って私の筋肉は無敵だから)のしのし接近し、武器を取り上げ縛り上げて無力化する

進入成功したら、建物の端から舐めるように順番に捜索開始
鍵のかかった扉があれば無理やり筋力でこじ開け
見取り図に不自然な空白があれば壁や床、天井を筋力で叩き割って中を確認するわ
(つかさの通過した痕跡はまるで大型重機が破壊活動を行ったようになります)


祓戸・多喜

類の味方になるかもしれないオブリビオン?
そーいうのもいるんだね、世界の神秘すごい!
でもまずは救出、頑張って助ける!

ロープ準備。
トレーラーの搬入口から潜入。
真正面から行くのもいいけど間口が広い方が色々やり易いし!
他の猟兵来ててこっそり潜入してるなら、それ見送ってから殴り込み。
表にシンパがいるなら道を訊ねるふりして近づいて、掴んで投げ飛ばし奇襲!
武器持ってるなら怪力活かしてくしゃくしゃに。
無力化した相手はロープで拘束しておくね。
抵抗なんて無駄無駄、さっさと降伏してお縄につきなさーい。
暴れるなら腕の一本位は覚悟して貰わないと!
探索は地下ありそうなら其方を目指し、なければ上へ力業で進んでいくよ。

🐘



●誰がために
「Re-E-Mp……Re-E Mass Production type、データが正しければボクの姉妹機になるのかな」

 首都圏某所、林立するビルの中、一際高いその屋上で銀髪の少女が眼下を見据える。まるで場違いなその情景は映画のワンシーンの様。しかし彼女は世界を見渡す為だけにここにいた。それは決して風景映えなどという暢気な理由などではない。

「誰かが暴れだしたのかな」

 ふと、ビル群が生み出す強風の轟音と車が行き交う喧騒に紛れて、破裂音の様な音が聞こえた。無論普通の人には聞こえない――聞き取れたのは彼女が埒外のサイボーグだからだ。
 視線の先には窓一つ無い、七階建て程の武骨なビルが。その一階付近で僅かに煙が上がっている。どうやら作戦が始まったらしい。

「じゃ、ボク達もそろそろ行こうかな」

 そう呟くと共に、彼女は――彼女達は忽然と姿を消した。
 辺りには空を裂く風の音が、相変わらず響いていた。

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●エントランス――I
『ご、ご用件は何でしょうか……?』
 破裂音の響く僅かに前、そのビルのエントランスには明らかに場違いな風体の男が乗り込んでいた。
「この場は我々の保護下となった、無関係の者は速やかに退去願いたい」
 時代掛かった勇壮な軍服に身を包み、東雲・一朗(帝都の老兵・f22513)は声高らかに宣告する。
『無関係、あの、一体どちら様で』
「私は貴殿らとは違う世界から来た、ゆえに貴殿らの知る軍人とはまるで違うという事を肝に命じておけ」
 二振りの軍刀をかちゃりと鳴らして、ただの脅しでは無い事を強調する。そのまま歩を進める姿はこの世界の桜の代紋よろしく、悪を許さぬ強烈な視線と相まって、受付嬢をじわりと圧迫した。
『おっさんよぉ、仮装パーティなら駅前でやってくんねえか?』
「成程、貴殿は――」
 その異様な光景を目の当たりにして出てきたのは、スーツを着崩した職員か、生意気そうな若者が一朗の前にいきりながら大股で近寄ってきた。だがそれこそが一朗の狙い、顔色一つ変えずに斑模様の頭を睨みつけ、静かに言い放つ。
「関係者だな、確保する」
『え、ちょっと』
 目で追うよりも早く一朗が職員の腕を押さえつけ、いつの間にか抜かれた軍刀の刃筋を首筋に向ける。一歩でも動けばその首を切り落とすという無言の威圧。
『だ、誰か!』
 床にへたり込んだ受付嬢の振り絞った悲鳴がエントランスに微かに響いて――しかし現れたのは更なる闖入者だった。その悲鳴をかき消すように内燃機関の爆音と、タイヤとホイールの摩擦が生み出す甲高いスキール音が建物の入り口の前に響く。
「呼んだか?」
 焦茶の長髪をなびかせて自動ドアより現れたのは宙夢・拓未(未知の運び手・f03032)、琥珀色の瞳が辺りを一瞥し――内臓解析演算デバイスが一旦の安全を確認すると、座り込んだままの受付嬢の腕をつかんでひょいと起こした。
「早く逃げろ。ここは戦場になるぜ」
『……はい』
 即座に退避を推奨、恐らくは無関係のパートか何かだろう。武器も持たずここで折れるだなんて、どう考えても巻き込まれる側だ。受付嬢にそっと耳打ちすると、そのまま解析を続行――情報を全て仲間に共有する為に。受付嬢と入れ替わる様に入ってきたのはまたも場違いな小柄な少女。一般的な私服に身を包み――ただ一つ違うのは、耳元にアンテナを立てた機械的なデバイスを装着している事。
「討ち漏らしは、こちらで処理します。好きに暴れて下さい」
 ウィンディ・アストレイ(W-ASTRAY・f09020)は拓未が齎した情報をざっと確認し、両の拳を握って戦闘態勢を整える。更に。
「UDC-Pか。さして驚きはない」
 漆黒の鎧に身を包み――職員からは逞しい肉体を誇る黒スーツの男に見えていた――ルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)は既に戦闘態勢、片手に短剣、片手に長槍を構えて、悠々とエントランスに侵入する。
「己も死してなお動く亡霊騎士、過去の残滓のようなもの――さて、迎えに行くぞニクス」
 ルパートが長槍に一声掛けると、長槍はたちまち青いヨタカへと変貌する。現れた猛禽はそのまま悠々と施設の中を飛び回り、扉の奥へと消えていった。
「貴殿らも猟兵か? ならば――助太刀させてもらう」
「助かるぜ。それじゃあ」
 当て身で無力化した職員を捨て置いて軍刀を構える一朗に、片手で合図を送る拓未。解析の結果、通路の奥には短銃で武装した同じ様な輩が三名。だがこちらも出迎えの準備は整った。
「始めるとするか!」
 盛大に放たれた短銃の暴威が猟兵達を襲った。しかし彼らは知る事になる。世界の埒外が如何に恐るべき存在であるかを。

●施設二階――I
「生まれ方も、与えられた使命も実にどーでもよい!」
 暗くて狭くて細長い――排気ダクトの中をにゅるりと巨大な蛇が前進する。
「今やりたい事をやり、やりたくない事はやらない、それが大切なのよ!」
 高尚な、いやそうでもない様な……兎角、誰かに向かって説法を続ける蛇はようやく見えてきた明かりに向かって全速前進、その巨体をぶつけて、ようやく日の当たる世界へ――ビルの内部通路へその姿を曝け出す。
「たまには力押しだけでなく、溢れ出る知性も見せんとな?」
「わーすっごーい! 今のどうやったの? ねえ!」
「ギャァァァァァァァ!!!!!!」
 ドヤ顔で撮影用ドローンにバッチシ決めたはずの御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)は、舞い降りた先にいつの間にか居た白いワンピースの美女の無邪気なツッコミに驚いた。心底驚いた。台無しだ、堂々と正面エントランスからカチコミするのをやめて晒したのは、溢れる知性じゃなくて残念な醜態。どうしてこうなった。

『なあ工藤ちゃーん、まだ終わんないのぉ?』
『あ、はい……もう少しで』
 一方、同じフロアの事務エリアでは作業服の男達が――上司と部下だろうか、片方がデスクに腰を掛けて、眼下の部下を文字通りいびっていた。
『もう少しもう少しってさっきからさ、遅くね?』
 部下の男は上司に視線も合わせずに一心不乱にパソコンのキーボードを叩いている。その時奇声が――何者かの叫び声がフロアのどこかから響いてきた。
『何だ、昼間から飲んでんのか? クソ……』
 上司の男はいびるのをやめて、舌打ちしながら声のする方へと歩き出した。それでもまだ、部下は一心不乱に業務を止めない。まるで何かに憑りつかれたかの様に。

「おっ邪魔っしまーす♪」
「なな、何者だチミは!?」
 片手を揚げて元気良く挨拶をした八坂・操(怪異・f04936)は、キョロキョロと辺りを見渡して呼びかけられた対象が自分であると確かめた。
「魑魅魍魎じゃあないですよー操ちゃんは♪」
 小首をかしげてキョトンとする操。彼女は今まで下水路を通ってこのビル内部に潜入し、フラフラと密やかに一階、二階フロアを散策していた所だった。
「大きな声出すと見つかっちゃいますよー?」
「グヌヌ」
 最早知性などという言葉は何処吹く風、完全にペースを攫われ、それでも撮れ高的にはオッケーかと高度な思考を巡らす菘は、こちらへ近づく足音と――それを制したであろう鈍い音に気付いて身構える。
「何事かと思えば――」
 虚空から声が、その主がゆらりと姿を現す。漆黒の装甲を纏った巨体。しかしながら痩せぎすな骨格がある種の異様さを醸し出す。
「隠蔽を考えねばならんというのに……面倒な事だ」
 手にした制圧用電撃杖を収納し、痩躯のウォーマシン――ミハエラ・ジェシンスカ(邪道の剣・f13828)は嘆息する。超常で身を隠し正面から潜入したはいいものの、想定以上に広い建物を静かに進んで、ようやく二階へと辿り着いた所だったのだ。

●施設外郭――I
「壁は何処も分厚く、故に四つの出入り口から侵入しなければならない、と」
 異様に張り出たビルの壁面に向かい、色白の小柄な少女がその手を静かに当てる。
「なら、まずはその前提を潰そう」
 ユエイン・リュンコイス(黒鉄機人を手繰るも人形・f04098)が瞳を閉じれば、顕現した超常がその壁を抉る様に半球状の穴を少しずつ広げて、その背後から徐々に漆黒の装甲が姿を現していった。
「これなら音も静かだ。相手の意表もつけるだろう」
 無機物を媒介に機神を召喚する超常を限定使用、穴だけ開ければ静かに侵入出来るだろうという目論見。そして己の解析演算デバイスが導き出した結論、この場所ならば誰にも知られず密やかにビルの内部へと侵入出来る。その筈だった。
「ど~も壁殴り代行です」
 突如威勢の良い男の声が背後から――サブナ・ダディ(サイボーグの破戒僧・f21228)が巨大な超常の化身を引き連れて、事もあろうに大きな足音を響かせながらこっちへ向かってきたのだ。更に。
「やっぱり正々堂々正面からが王道よね」
 一見インテリジェントなグラスをオンした知的な美女が、その手に巨大な丸太を抱えてこちらへ近寄ってくるではないか。荒谷・つかさ(風剣と炎拳の羅刹巫女・f02032)は綺麗な黒髪を靡かせて、颯爽とユエインのいる方へ近寄ってくる。
「…………二つあるんだ」
 訳が分からないよ。静かに潜入するという前提が音を立てて崩れるのがよく分かる。大体ここは入り口じゃないし。
「一つ、ボクは代行を頼んだ覚えはない」
 頼んでないし殴るつもりも無いんだよ、ボクは。
「二つ、ここは正面じゃない」
 ここが正面に見えるなんてそのメガネは飾りか。飾りだろうね。本体は絶対に角だ。
「いいえ、それは違う」
 呆れてかつ多少の怒気を含んだユエインの言葉に、それでも、とつかさが返す。
「私は道を切り拓く――真正面から堂々と」
 その思いに嘘偽りはない。だが彼女の超常は常識を覆し万象を冒涜する筋肉の理。故に手段や過程など、どうでもよかろうなのだ。
「つまり切り拓かれたそこが正面」
 無ければ作ればいい。それだけの事よと微笑を湛えても、溢れる脳筋は最早隠せない。
「そういう事。エントランスはどったんばったん大騒ぎだ。俺達はクールに行くぜ」
 白い歯を見せて豪快に笑うサブナを見つめて、ユエインは諦めた。
「……クールって言葉の意味、知ってる?」
「知ってるぜ、最高にカッコイイって奴だろう?」
 つまりパワーイズクール! 横で満足げに頷くつかさ。神も仏も無い事を嘆くユエイン。しかしこれ以上、ここで足止めを喰らう訳にはいかない。
「狂ってるよ色々と。まあ、いいか」
 中に入ってしまえば後は同じだ。壁を壊す事には変わりないし、ここはユエインの見立てでは一番人が寄り付かない区画だ。いきなり職員とばったり出くわす可能性も限りなく低いだろう。
「それじゃあ行くわよ。丸太も万全」
「我が招来せしは戦場の神――その威を示し道を開かん!」
「……穴が開いてるからね、崩れやすいと思うよ」
 三者三様の超常が轟音を立てて(一人除く)、壁殴りは成就した。崩された壁の奥、薄暗くだだっ広い部屋に外からの光が差して、その輪郭が露わとなる。
「…………これは」
 そこで三人が目にしたものは、尋常ならざる異様だった。
 錆びた鉄と火薬の臭い、立ち込めるイオン臭と据えた埃の様な臭い。
 人型の何かが丘の様に積み重なって、血の様なオイルが床一面を濡らしている。
 まるで廃棄物処理場――否、そこは名も無き戦闘人形の墓場だった。

●搬入口――I
「お世話になっております。ZEN-3RENグループです。本日は、武器・弾薬販売の件で訪問致しました」
 ビルの裏手の搬入口、地味目なペイントが施されたトラックが静かに車体をシャッター前へと寄せる。
『……今開ける。ちょっと待て』
 その様子を確認し職員がガラガラとシャッターを開けると、見えるのはがら空きの台車だけという、閑散とした荷受け口がその姿を曝け出した。
『……一人じゃねえのか』
「当グループのスタッフです」
 トラックから降りたのは作業服の優男。その横には明らかに普通の私服姿の少女が二人、一見アンバランスな組み合わせに職員は首を傾げる。
「こんにちは!」
『今立て込んでるんだ。さっさとブツを出してくれ』
 元気よく挨拶したショートカットの少女を一睨みして、職員が荷受けを催促した。出来れば一秒でも早くこんな作業は終わらせたい所だ。誰かに見られるという事は無いだろうが、今日の取引はこの一件だけ。さっさと終わらせて次のヤマまで休んでいたい。
「ええ、それでは……」
 愛想よく笑みを湛えて優男がアタッシュケースの中身を出す。
「このような商品は如何でしょうか」
 取り出された武骨な銃口を職員に向けて、優男――クネウス・ウィギンシティ(鋼鉄のエンジニア・f02209)は何のためらいも無くトリガーを引く。
『な、テメェらまさかUDCの!』
 放たれたゴム弾の直撃を鳩尾に受けて、衝撃が意識を奪う寸での所で……職員は非常事態のコールを鳴らした。
「ZEN-3RENでは、こんな品物も用意してるよ!」
 響き渡る警報の中、少女が――リズ・ルシーズ(Re-Z・f11009)が職員を蹴り飛ばし、ワイヤーを天井に引っ掛けて、強引に搬入口の中へと侵入した。
「へッ、早速キレちまったってか……上等だぜ」
 喚き散らすような警報の中、リオ・ブレンナー(スクラップフィスト・f23265)がそれに続く。音につられて出てきた警備員を一睨みして、両の拳を打ち鳴らしながら前進……その姿は獰猛な肉食獣の様であった。
「派手に暴れられて、それが仲間の助けになるってなぁお得な話だ」
 そして疾走――短銃を構えようとする警備員の顎に掌打を喰らわせて、吹き飛ばされた身体が回転しながら縦積みの台車を崩す。
「だからよ、早速……派手にヤらせて貰うぜェッ!」
 ガラガラと派手な音を立てながら、荒ぶる拳闘士は次の獲物を目掛けて跳ねた。

『警備は、警備は何やってんだ!』
『分からねえ! さっきから連絡が通じねえんだ!』
 搬入口の管理区画、警報と轟音が響く荷受け口の方を恐る恐る眺めながら、職員は必死の形相で援軍を要請していた。しかし何故か、どこにも連絡が通じない。同じ建物の中でありながら搬入口だけ取り残された様に、完全に分断されていたのだ。
『ここはヤバい! 早く出ないと……』
「おっと、慌てて逃げなくても大丈夫ですよ」
 迎撃を諦めて逃げ出そうとする職員を、いつの間にか現れた巨体が制する。
『誰だ! いつの間に――』
 人並外れたその巨体が職員の首を鷲掴みして、その意識をゆるりと落とした。
「大人しくしていてくださいね」
 先立って潜入していたトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は、この機に乗じて管理区画を完全に掌握した。彼等の連絡が通じなかったのは全てトリテレイアの超常――小型の電子戦機が搬入口の通信系統を遮断していた為である。しかしもう一人の職員は辛くもトリテレイアの手から逃れ、息を切らせて外へと向かった。その先に何が待ち構えるとも知らずに。

『こ……ここまで来れ、ば……』
 管理区画から搬入口へ。奥へ奥へと進んでいく敵とは逆方向へ向かえば、これ以上鉢合わせる事も無いだろうと踏んだ職員だが――考えが浅かった。
「抵抗なんて無駄無駄、さっさと降伏してお縄につきなさーい」
 彼方より甲高い可愛らしい声色が――目を凝らせば、どう見ても身長2mを越す大柄どころでは無い巨大な存在が、職員が進む先で待ち構えている事が分かった。
『この、女子高生……? デカすぎるだろ!?』
 その一言は巨大な女子高生こと祓戸・多喜(白象の射手・f21878)を激怒させるに十分な言葉であった。一般人に猟兵の正体は分からない。本来は巨象の顔だとしても、遠目には巨大な女子高生にしか見えないのである。
「あ、今のはちょっとカチーンと来ちゃったな」
 それは疑問形か、あるいは大きさに対してか。手にした剛弓をギリリと引き絞りながら、多喜はパワフルに前進を始める。
「乙女にその言い草は、無いでしょー!」
 大地を揺らしながら進みつつ剛弓を斉射――但し急所は外して。闘志が篭った風圧が作業服を鋭く裂いて、余りの威力に動転し職員はその場で倒れ込んだ。
『な、何なんだお前……』
「もちろん、正義の味方よ!」
 ビシィと職員を指差して高らかに勝利を宣言する多喜。そのままロープで縛り上げ、まるで言う事を聞かない飼い犬の様に引き摺られ、搬入口へと連行される。
「さあ、あなた達が隠しているモノはどこ!?」
 このまま前進してターゲットへ辿り着く! 鼻息荒く歩みを進める多喜であった。

●施設裏口――I
「あーっとドーモ。ピザ屋っス。お待たせしまっしたー毎度アリガトウゴザイマス」
 エントランスと搬入口の丁度間くらいの位置、破壊された壁の反対側に裏口はあった。現れたのはだらりと衣装を着崩した色黒ギャル風の、ピザの配達員だった。
『いや、頼んでないですけど……』
 インターホンでさも面倒そうに応対するビルの職員は、モニタ越しに映るギャルを凝視しながら、どうやって追い払おうか思案していた。が。
「受け取ってもらわねーと帰れねーんスよねー。ったく困ったなー」
 つーか暑っちーな今日――などと喚きながら、開けた胸元を手で仰ぐギャル。その時職員に電流が走った。どうせ昼飯はまだだし、貰えるものなら貰っておこう、と。
『ちょ、まあ……そっち行くわ……』
 ブツリとインターホンが切れて暫く、裏口の奥からドタドタと走る音が近づいてきた。
「あざーっす」
 チョロい。思考は頭脳に秘めて、ギャルは――ドロレス・コスタクルタ(ルビーレッド・f12180)はピザを包んだカバーをそっと開く。そしてガチャリと大仰な音が立てられて鍵が外されるのは同時だった。どれだけ急いで来たのでしょう。
「こんちわっス。ピザどうぞー」
『何だこぎゃッ!?』
 開かれたピザの中身は特製のナノサイエンティフィックスマートボム。至近距離から放たれた殆ど不可視の散弾は、監視カメラから見てても何だか分かるまい。賢く敵を無力化――張り付いた粘着質のスタンショックが職員の自由を奪い、ドロレスの意のままに操られる傀儡がこの場に誕生した。
「じゃあちゃっちゃと……ご案内下さいませ」
 スルリと配達服を脱ぎ畳み、戦闘服に着替えて乗り込もうとした矢先――異常を察知した他の職員が、開かれた扉の奥よりのっそりと姿を現す。
『おい、一体何だ――』
「レディの着替えを覗くのは重罪よぉ?」
 瞬間、ドロレスの背後から漆黒の触手が飛び出した。異世界で凄絶な戦いを果たしたという『う』印の奇天烈な武装は、容赦なく職員の意識を奪う。その触手の主、漆黒の衣を纏った長身の美女がゆらりとドロレスの前に現れた。その姿にドロレスは恭しく頭を垂れる。

「河原崎様、ごきげんよう」
「ごきげんよう。邪教の信徒も、職員って言うのかしらねぇ? ま、出来るだけ生け捕りで行きましょう」
 河原崎・修羅雪姫(プリンセス・スノーブラッド・f00298)は戦場の女王、此度は自ら有する旅団『全世界サイボーグ連盟(全サ連)』を率いて直の出陣である。総勢八名の実働部隊が、囚われた同胞と成り得る存在を救出すべく、完全包囲の下で当該施設への強襲を敢行――そして作戦は第一段階の半分を完了する所であった。
「生け捕るけど、無事でとは言ってないわぁ」
 びしびし、ばしん。ばちん。鞭のようにしなった黒い触手が気絶した職員を締め上げて、無理矢理意識を取り戻させる。
「答えなさい、ここに何があるのかを」
 修羅雪姫が目覚めた職員の尋問を始めた刹那――小さな黒い影が二人の間を通り過ぎて、瞬く間に裏口からビルの中へと侵入した。
「河原崎様、今……」
 今、何者かが――言葉を続けようとするドロレスの口に、そっと人差し指を当てる修羅雪姫。
「大丈夫、仲間よぉ」
 放っておきましょうと言い放ち、締め上げた職員を宙にぶら下げたまま中へと入る。目指すべき場所はただ一つなのだから、と。

「助けを求められたら応えるよ! お任せあれ!」
 裏口から颯爽と侵入した絡繰・ビリー(スクラップギア・f04341)は、そのまま出てきた職員が元居た場所――警備室へと向かった。
「丁度みーんな出て行ったね。これはチャーンス!」
 幸いエントランス、搬入口、裏口を同時多発的に襲撃されて、常駐の警備員も職員も全て、そちらの防衛に駆り出されていた。
「それじゃあこっからギアマックス! テンションは最高にハイ! カッコいいとこ見せてやるよ!」
 小さな身体で椅子に乗っかり、膝立ちで目を見開いたビリー――超常の発露があらゆる妨害や誘惑を無力化し、成すべきを成す為に己の頭脳をフル回転させる。掌握したコンソールを打鍵する音が機関銃の様に響けば、モニタに映し出される十重二十重の雑多の情報から必要な物のみを抽出し、蒸気で動く己の端末に片っ端からその情報を流し込んだ。
「監視カメラ生きてるかな? 地図もいただき!」
 カメラ画像を覗けば半分ほどノイズが――恐らく、先に侵入した猟兵の手によるものだろう。やるなぁ。そして建物内部の詳細な地図を入手し、先の情報と合わせて各猟兵の端末へと即座に流す。
「目標を探して、最短ルートを構築! シャッターで交通整理だよ!」
 通路の防火扉を遠隔で開閉し、現状の交戦地帯から目標が眠る上階――三階の開発実験施設への直通ルートを整理した。これで物理的にも情報としても、進むべき道が開かれたという訳だ。
「カタカタカタ、タンッ。ふふふ、決まったね」
 滑らかな手付きで作業を締めて、ストンと着地したビリー。後は先へ進むだけ――戦闘だけが戦いじゃない。
「さあて、詰めていこうか!」
 少年は未知のエリアへ進んでいく。救いの手を差し伸べる為に、前へ、前へと。

●施設裏口――II
「思った程反撃が無いわねぇ。まあいいんだけど」
 触手で拘束した職員を持ち上げたまま、散発的に仕掛けてくる警備員の攻撃を無手で制する修羅雪姫。改造強化された肉体は鉛玉を片手で弾き返し、平手打ちが通路の端まで警備員を吹き飛ばす。
 奇襲を仕掛けようにも黒い触手が影の中から這い寄って、向けた殺意をそっくりそのまま返される――泡を吹き倒れる警備員達。
「それもクネウス様やウィンディ様、それぞれ入口から奇襲を仕掛けた皆様が敵を引き付けているからこそ、でしょうね」
 ドロレスは周りの地形をナノマシンで底無し沼の様に作り替え、行く手を阻む雑多な設備を飲み込みながら、操った職員を先頭に優雅な身のこなしで進んでいく。
「そうねぇ。それに、先に中へ入った人達もいるみたいだものねぇ」
 修羅雪姫もドロレスも全サ連の仲間から送られてくる情報をリアルタイムで把握している。それに加えて、断続的に猟兵専用の通信周波数からこの施設の情報が送られて来ていた。それによれば、一階フロアはエントランスと搬入口で交戦中、壁を突き破って入った廃棄場からは直通エレベーターが、そして詳細は不明だが二階フロアにも既に仲間がおり、その制圧はほぼ完了しているらしい。
「さぁて、何が出てくるかしらねぇ?」

 進んだ先は三階へ続く非常階段。ここを通れば目的地まであと僅か。二人が捕まえた職員を生体認証に使い扉を開けば、その奥から溢れ出る焼け焦げた鉄と火薬の匂いが鼻を突いた。
「やはり、只事ではないとは想定していましたが……」
 三階開発実験棟、邪教徒らに買い上げられるまでは風洞実験設備だった場所だ。全方位にセンサと人工流体発生装置を仕込んでおり、気圧を維持する為に壁も厚く作られている。そんな施設から戦場の臭いが漏れて来たのだ。彼等の行っている『開発』と『実験』が如何なるものであるか。
「もしも想像通りなら、お仕置きどころじゃ済まないわねぇ」
 にこやかに笑みを湛えながら階段を登る修羅雪姫。
「ええ、そうだとしたら――」
 縛り上げた職員を引き寄せて、その目を睨みつけ言い放つ。
「貴方達にも同じ事、して貰おうかしらぁ?」

●搬入口――II
「弾薬の品質はこの通り保証いたします……まあ、聞こえてないでしょうが」
 鎮圧用のゴム弾、非致死性のスタンショック、ワイヤーネット弾、電磁警棒――持てる数々の手配した商売道具で、襲い来る職員達を次々と無力化していったクネウス。その背後には屍累々――気絶した人々が山の様に重なって、転がっていた。
「流石の品質です。やはり出来が違いますね」
 重たい足音を響かせて近付いてきたのはトリテレイア、その肩には生け捕りにした職員が拘束されて担がれていた。
「この手の作業は私の仮想敵の領分。ですが救出の為、不得手と嘆く暇はありません」
「十分です。それに先程の一時的な短絡はトリテレイアさんでしたか」
 施設内のインフラを電脳ゴーグルで監視していたクネウスには、何故か警備員が一向に集まらない原因を目の前の機械騎士に求めた。
「はい。本職ではありませんがこれ位ならば。それに」
 先に通気ダクトへ放った電子戦機は、上階で既に活動を始めている仲間と情報共有し、更に上の階――UDC-Pを含むオブリビオンが潜む階へと潜り込んでいた。
「仲間は既に上階にいます。我々も急ぎ合流しましょう」
 それによれば目標は三階の機密区画の中――ご丁寧に中身を探れない様、頑丈な扉と壁が覆っているらしい。
「あの映像、逃げも反発するでもなく、見せかけの同調も出来ず――まるで子供ではありませんか」
 トリテレイアの脳裏を過るのは、抗う事も従う事も出来ない哀れなUDC-Pの姿。だからこそ直ちに向かう必要がある。直接行けば機密区画だろうと、猟兵の力なら何とでもなるだろう……それに。
「だからこそ、早急の保護が必要です」
「そうだね、トリテレイア!」
 ぴょこんと巨大な機械騎士の傍から小柄な少女が――リズが顔を出した。目的はトリテレイアが担いでいる職員。無言で手招きしてそれを下ろし、口元だけ拘束を解いてやる。そして項垂れた職員の頭を片手でポンポンと叩き、静かに問い質す。
「ね、ボクに似てるのが居るって聞いたんだけど――何か知ってるかな?」
 しかし職員は視線を逸らして、決して口を割ろうとしない。むしろリズの顔を見ようともしない――まるで何かを恐れる様に。
「知ってるよね?」
 あくまでも口を割らない職員へ、にこやかな笑みを浮かべながらその顔面に爪を突き立てるリズ。
『アアッ! 痛い! 熱い! 分かった、分かったから!』
 瞬間、バチリとその爪先から放電が――静かに湛えた怒りの発露か、気絶する事も許されぬ僅かながら苛烈な尋問は遂に、彼らの所業の一端を露わにした。
『お、俺は仕事がある時にそこのエレベーターから出てきた奴らを……』
 職員の視線の先には分厚い鉄板が――それが資材搬入用のエレベーターなのだろう。恐らく人が二十人くらい平気で入れそうな、非常に巨大な設備だった。
『出てきた奴をトラックに積んだだけだ! それ以上の事は知らねえ!』
 それ以上――この職員はそれが何であるかも、何に使われるかも知らされていなかった。
「ふーん……積んだ、ねえ」
 幾らオブリビオンとは言え、姉妹に連なる存在をまるでモノの様に扱った。それだけでも到底許される所業では無い。
「テメェも積んでやろうか、ええ?」
 静かに怒りを湛えるリズの後ろから、今度はリオが語気を荒げて前へ出た。行先は地獄だがな、などと恐ろし気な事を口走りながら、その目つきは本気だった。
「ちょっと待ってー! どうせならこの人も、積んで!」
 幸い搬出用の偽装タンクはここにあるし、どちらにせよUDC組織に引き渡す必要はある……一行が思案している所に現れた象頭の巨大な猟兵――多喜の手にはリードの様に頑丈なロープが――先に縛り上げた職員が犬の様に結ばれて。どうせ積むなら一人も二人も一緒、纏めてやってくれないかと。だが今はそれが目的では無かった。
「この荷物は置いて行きましょう。我々の行き先はこの上です」
 冷静にクネウスが次の行動を皆へと伝える。目指すべきは三階、囚われのUDC-Pの保護が最優先事項だ。
「ああ。ならアイツをブチ破って先に進みゃいいんだろ?」
 当たりどころ悪かったら勘弁な!――言うよりも早く、リオが早速飛び掛かり、正面の分厚い鉄扉を拳で粉砕する。中には剥き出しの籠ががらんと配されているが、全てのランプが消灯していた。
「電気が来ていませんか。ですが、動かすだけならば問題無いでしょう。行先は三階直通、分かりやすくていいですね」
 エレベーターの電気系統や制御系統も、ここにいる一行ならば悩む類の事ではない。破壊された前扉を押し退けて、先入りしたトリテレイアが制御ボックスにハッキング用の端子を差し込めば、轟音と共に機械は息を吹き返す。
「この様な沢山の『不得手』との対面――ですが」
 戦いしか知らぬ少女を送り出すことになろうとも……騎士として、やるべきを果たしに私は存在しているのだと、トリテレイアは自身に強く言い聞かせた。
「そうだよ。先へ進まなきゃ、ね!」
 後ろからリズがエレベーターに飛び乗って上を見上げる。本当に姉妹機なら、呪縛から逃れたモノがいるならば、会ってみたい。そして助けたいと――祈りにも似た思いを胸に。
「問題ありません。偽装タンクも自動迎撃モードで待機、邪教徒は誰一人逃したりはしませんよ」
 縛り上げた職員は既にタンクの荷台に放り投げた。逃げ出す事など出来ないだろうし、他の気絶した連中だって、この施設から逃れる事は叶わない。
「人類の味方になるかもしれないオブリビオンなんでしょ。まずは救出、頑張って助ける!」
 やる気十分、大きな鼻が天を仰いで、多喜もどっしりとエレベーターに乗り込んだ。UDC-Pは世界の神秘だ。そんな凄いモノを放っておく訳にはいかないから。
「さぁ、派手にヤろうぜェッ!」
 最後にリオが乗り込んで、トリテレイアのセンサが明滅すれば、ガラガラとワイヤが巻き上げられてエレベーターが上昇する。
 その先に待ち構えるモノに期待と不安を抱き、猟兵達は更に奥へと進んでいった。

●施設外郭――II
「何なの、これ……」
 無造作に積み上げられた人形から血の様なオイルが滴る。
「邪教徒に持ち合わせている慈悲はない……所じゃねえな」
 戦場の残り香――死の臭いが辺りを満たしている。
「これが、人が寄り付かない理由だったのか」
 それとは知らず、あるいは分かって目を背ける――そんな連中が相手だったとは。三者三様に言葉は違えど、こみ上げる思いは一つ……敵とは言え、これは死者への冒涜。そして戦士への侮辱――数多の鉄火場を潜り抜けてきた者達にとって、到底許されざる所業だった。
「オブリビオン、だけど」
 ユエインはだらりと伸びた人形の腕を手に取って、じっくりと検分した。力は入らなくとも、駆動系や制御系のハーネスは少し手を加えれば使えなくもない。腐り落ちた生身の部分が見当たるが、洗浄し剥がせば機械部品は容易に修理が出来る状態。
「形状が残っているって事はつまり――」
 装甲も全て使えないという訳でもなさそうだ。板金で修理すれば新品同様の形状だって復元出来る。つまり、ここにある人形は魂だけが無い状態。
「これは部品取り用、だね」
 死体から装備を剥ぎ取る所ではない。肉体も何もかもが無造作に投げ捨てられた挙句、必要とあれば腕ごと、脚ごと、外して付け替える為だけに放られている。現にそうやってもぎ取られたであろう形跡が、そこかしこに残っていた。これらは全てスペアの部品として、生身の部分を除けば再び使えるのだ。
「ふざけやがって……邪教徒が、人間がこれを管理してるんだろう?」
 サイボーグであり一時は仏の道に入っていたサブナにしてみれば、この行いは地獄絵図そのものだった。そもそもどうして、こんな大量の――恐らく百には至らない程度の人形が、こうも無慈悲に、無造作に棄てられなければならないのだ。静かに手を合わせ目を瞑ったサブナの横で、つかさも同じく手を合わせる。
「多分これが、何かすら分かってないと思うわ」
 人間は理解出来ないモノに対しては、幾らでも残酷になる事が出来る。痛みも苦しみも無いであろう戦闘人形だと、勝手に規定し勝手に扱い勝手に捨てる――そんな人の傲慢さが形となったような、正に地獄の丘だった。
「狂ってるよ、本当に」
 手に取った人形の腕をそっと戻して僅かに目を瞑ったユエインは、再び目を開くとすたすたと進んでいった。
「――先に行くよ」
 破壊の意思を持たぬ、自我を得た人形――それを助けに来ただけの筈だった。だが、最早事はそれだけでは済まされない。
「考えた所でどうにかなる訳じゃないし。それにね」
 それは他人事とは思えないし、一つ協力させて貰おう――そんな、奥底より湧き上がる善意がここへ足を向けただけ。だった筈なのに。
「こうなる前に助けなきゃ、だよね?」
 今ユエインの心を占めるのは、自覚無き悪意に対する明確な怒りだ。本当に、人間に心があるのならば、正しく道具として扱うのならば、こんな所業はありえない。
「そうだな。仲間の姉妹かもしれねえんだ。もたついてる場合じゃねえよ」
 意を決した様にサブナもユエインに続く。がらんと巨大な金砕棒を担いで、向かう先は悪意の根源。始めから全力で行くという意志に一点の曇りもない。
「姉妹――」
 続いて進み始めたつかさが、サブナの言にふと歩みを止める。
「何だ、どうした?」
「いや、ちょっとね……」
 姉妹、なのか。そういう事――そういう事を、奴らはしているのか。
「神様――邪神? どっちでもいいけど」
 そういう事をしている、あるいはさせている大元がこの世界を包む悪意そのものだというのならば……最早容赦をする理由は一片も無くなった。
「張り倒す理由が一つ増えたかな、ってだけ」
 片手に手甲を、片手に太刀を担いで、つかさは再び歩を進める。その先にはユエインが――どうやら廃棄用エレベーターがあるらしい。
「準備はいいみたいだね。それじゃ、行こうか」
 このふざけた茶番を全てぶち壊す為に。
 そして救いを待つ、無垢なる意思を守る為に。

●施設二階――II
「それにしても、殺し屋人形って響きがもうB級スプラッター映画な臭いがするよね♪」
 白いワンピースがひらひらと舞う。廊下を踊りながら進む操は、この先に待ち受けるであろう展開に心をときめかせながら、軽やかなステップを踏んで三階への階段へ向かっていた。
「たった一人が殺し屋稼業から足を洗いたいって考えに至るのも、物語が始まりそうな予感がして好きだなー操ちゃんは」
 二階には最早敵の――職員の影は無かった。ここにいるのは猟兵だけ。蛇神、機人、怪異に――あと、一人。
「だからと言って……」
 その後をのそりのそりと続く菘は、ため息交じりに操の後を追う。肩を落として這う姿は、どことなく一抹の哀愁を感じさせた。
「さてさて、B級映画のスクリーンから救い上げる御嬢様はどこかな?」
 そんな菘の様子など何処吹く風――操は愉快そうにくるくると回りながら、片目を薄く開けて辺りを見渡す。サイボーグならどこかで管理されてる筈。きっとデトロイドの殉職警官みたいに棺のような巨大なマシンの中で眠っているんだろうなと想像を巡らせて――そして。
「だからと言ってここで惨劇を起こす奴があろうかッ!?」
 菘が叫ぶ。二人は飛び散ったケチャップの様な血の跡を避けて、ゆるり、ゆるりと階段の前に到着した。
「えーだって五月蠅かったんだもんコレ」
 コレ――職員の邪教徒と不意にばったり出くわした操は、音も無く鳩尾を強打、古式拳法の様な形で職員を通路の先へと吹き飛ばしたのだ。その衝撃で内臓破裂、だばだばと口元から真っ赤な血潮が溢れ出て、廊下はスプラッタな状態に――それでも、誰も出てこないというのだから問題は無いのだろう。多分。
「……まあ、無力化には成功したんだ。このフロアにはそもそも人は少ないしな」
 不意に虚空が揺らめいて大柄なウォーマシンが――全周警戒を行っていたミハエラが姿を現す。フォースレーダーでこのフロアの全てを子細に把握したミハエラは、最早ここには用が無いと言わんばかりに階段の方へと向かっていった。
「随分冷静だのう、お主」
 その様子を背後から伺って、改めて安全なのだと実感する菘。ここに至るまで施設のあらゆる排気管内を通り抜け、詳細なマッピングデータを既に共有していた事と、ダクトから現れた仲間の電子戦機と交換した情報から、他の仲間も併せて三階へ向かっている事が分かっていた。
「私がファーストコンタクトに向いているとは思わん。それに、残りのやるべき事はこの女が果たしてくれた」
 自身の成すべき事を承知しているミハエラが念には念をと、このフロアをくまなく調べていたのだ。万が一背後から撃たれたり、敵に逃げられるような事があれば殊更厄介であるからだ。
「そいう事ー♪ いぇい!」
「いぇい! じゃないわ! 妾より目立つな!」
 そしてミハエラが陰ながら職員を無力化していたことも相まって、操が最後の一撃を喰らわせた事で、進路のクリアという目的は確保されていたのだ。
「おい」
「血が! 血が飛び散って! ああレンズが……スプラッタに……」
 何より菘は、先程飛散した血が自身の撮影用ドローンにちょびっと掛かってしまい、それによって望まれぬスプラッタ映像が出来上がった事に頭を抱えていた。妾の動画は全年齢対象だというのに……。
「ハァイジョージィって換気口から出てきたら間違いないよっ!」
「色々間違えとるわ! そもそもここには……」
 これ以上いけない。それに妾はオリジナリティで勝負するのだ! 鼻息荒く目的の階段を登ろうとした時、ふと呼びかける声にようやく気付いた。
「おい」
「そろそろ聞いてやれ。職員じゃないぞこいつは」
 肩をすくめるミハエラの前に職員の格好をした誰か――『工藤』という名札を付けた彼は、猟兵だった。七瀬・麗治(悪魔騎士・f12192)は余りにも気付かれない己の変装を喜んでいいのやらどうなのやら、複雑な表情で菘と操にこれまでの苦労を嘆きながら、状況の説明を淡々と始める。
「……ったく、時間稼いで誤魔化すの、結構大変だったんだぞ」
 組織のスタッフや旧知の外部協力者にコンタクトを取り、邪教組織『殺し屋人形組合』の一スタッフとしてその本拠地へ先立って潜入。敵の目的と施設の情報をかき集めて外部へリークさせつつ、ようやく今日この日を迎えられたのだ。
「破壊の意思を持たないオブリビオン……UDC-P」
 そのUDC-Pはイレギュラー……本来ならばありえない、人類の同胞となる可能性を秘めた存在は、組織内でもその存在が問題となっていたらしい。
「詳しく調べてみる価値はありそうだ。だから前もってここへ侵入していたんだ」
 そもそもこの『殺し屋人形』の実態を知っているものは数少ない。現に組織の上層部の人間はここにはおらず、あくまでこの施設は殺し屋人形――Re-E-Mpの管理・運用拠点に過ぎなかった。依頼を受ければ彼女らを現場へ手配し、どこからか新しい彼女らを迎え入れては、これから向かう三階より上の階層で厳重に管理しているのだという。
「一般人でないなら、多少手荒にやっても構わんと思っていたが……」
 そんな中に一人で潜入するのだ。もしもの事も想定していたが、ここの職員は思いのほか何も出来ず、何にも気付かず――それもその筈、完全に分業されている職員らは、他の区画の人間が何をしているかなど、全く把握してはいなかったのだから。故に麗治も最後の方は、適当にパワハラをやり過ごしながらより深い情報を淡々と漁って――そして、遂にはUDC-Pが隔離されている場所へと辿り着いたのだ。
「それよりもだ、七瀬」
 淡々と状況を報告する麗治に、業を煮やしたミハエラが語り掛ける。今やるべき事は会議ではない、ここは事件の現場なのだ。
「ここは一体、何の施設だ?」
 嫌に厳重な作りになってはいるが、少なくともここまでは正直碌な抵抗も受けていない。にも関わらず、先へ進めば進む程に戦場の臭いが強くなってくるのだ。ウォーマシン故、過敏なセンサの気のせいならばと思ってもいたが、どうやらそうでもない様だった。
「ああ……それは先へ進めば分かる。分かるが」
 やけに歯切れの悪い言い回しをする麗治。ふと血に染まった撮影用ドローンが目に入り、菘へぼそりと警告する。
「カメラは回さない方がいい。ろくでもない真実を納めたくなければな」
 気づけば四人は階段を登り切り、三階正面扉の前へと辿り着いていた。
 少なくともそこからは、血と硝煙の臭いが漂っている。
 まだ猟兵達は到着していないにも関わらず――その先の地獄の蓋が開くまで、あと僅か。

●エントランス――II
 飛び交う銃弾を躱して、先ず敵陣へ飛び込んだのは拓未だった。
『Giraffe』
 演算デバイスが即座に弾道を解析、流れるような動作で射線を回避しながら、腕に嵌めたガジェットブレスに力あるカードを装填していく。
『Ostrich』
 眼前に立ち塞がった警備員の足元をしゃがみながら蹴り飛ばす。そして拓未の背後からウィンディが飛び蹴りを――吹き飛ばされた警備員はそのまま気を失い、首を垂れた。
『Snake-like creature』
 拓未の前進は止まらない。三枚のカードを装填し、ガジェットが豪快な電子音を立てながら輝きを放つ。その閃光に目が眩んだ隙を猟兵は逃さない。ルパートの短剣が空を裂き、警備員の膝を貫く。闘気を纏った一朗の当て身が、警備員を即座に無力化する。最初の三名は瞬く間に、無力化されたのだ。
『Enhanced-Foam【G-O-S】!!』
「準備完了だ……こっからエンジン飛ばして行くぜ!」
 通路の奥からは続々と武装した警備員が。その数は十名を下らない。
「些か骨の無い相手だが、成程――影朧でもなければ、こんなものか」
 先程の一撃、一朗は敵の戦力を把握した。この者達に抜刀は過剰武装だ。
「人の身が相手なれば刃は不要。帝都軍人の戦い方を見せてやろう」
『な、舐めるなよジジイ!』
 カチンと滑らかな所作で納刀した一朗は、そのまま片手を前に軽く突き出し、組打ちの構えを取る。それと同時に激高した警備員が短銃の引き金を引いて、無造作に弾丸をばらまいた。
「一つ、射撃は正確に急所を捉え、必中の心を以って引き金を引けい」
 しかし所詮は生兵法、幾多の実戦を潜り抜けてきた歴戦の大隊長には、生半な覚悟の攻撃では掠り傷すら負わせられない。舞う様に射線を避けて、その拳が獰猛な肉食獣の牙の様に警備員の顎を打ち崩す。
「遊びで弾をばらまくな、その一発一発が臣民の血税によって賄われている事を心せよ」
 外套を翻し、いつの間にか詰められた間合い――ぐらりと崩れた警備員に止めの直蹴りを浴びせて。後ろに控えた警備員を巻き込んで通路の奥へと吹き飛ばされた醜態を流し見つつ、次の敵と対峙する一朗。
「少佐殿、彼奴等は臣民でも兵卒でもありません」
 そして張り詰めた熟練の闘気を背に、ウィンディは淡々と『こちらの世界』の情報を伝える。ここは花の帝都では無い、邪神と悪意が蔓延るUDCアースなのだ。
「精々、この世界でいうチンピラという生き物です」
『テメェ、誰がチンピラだテメェゴルァ!』
 その痛烈な煽りに、再び警備員は激高した。訳も分からぬ言葉を叫びながら手にした銃火器を振り回す。しかしそんなものが規格外のサイボーグに当たる訳も無い。
「あなたでは役が足りません。上位職の者を出しなさい」
 不意に風が――風圧を纏って眼前に迫ったウィンディが警備員の首を捉える。華奢な体からは想像も出来ない超握力、高々と掲げられ弾避け代わりにされる警備員、口から泡を吐きつつ、その意識は最早風前の灯火となった。
『だ……何……職……?』
「お前のボスは何処だと聞いているのです」
 事切れる間際、正確な日本語から彼らの言語に合わせ改めて問い直すも間に合わず――次の獲物を射程に入れてウィンディは再び疾駆した。

「その程度の鉛玉で……この黒騎士の鎧を貫けると思うな」
 一方、やや広い会議室めいた部屋に警備員を追い込んだルパートは、全身に彼らの火線を集めながら、一歩も引かずにじりじりと距離を詰めていく。
『な……なんで効かないんだ……この』
「こうはなりたくないだろう。さもなくば降伏しろ」
 ドサリと音を立てて崩れ落ちたのは警備員。ルパートの超常が音も無く――短剣を向けた相手の意識を断ち切り、気を失った肉体が力無く倒れたのだ。
『ち、畜生! 一体何が起こってるんだ……!』
「何を信奉しているかは興味がない。ただ――」
 祈る様に銃を撃ちルパートへ立ち向かう警備員。まるで殉教者の様な悲壮な決意を面に出して――しかし。
「そうだとしても、無垢なる者に戦いを強制するなど言語道断、恥を知れ」
 彼らの所業が赦されるわけがない。そして許せるわけがない――再び刃を眼前の敵へと向けるルパート。この場の悪意が潰える迄、戦いは終わらない。
「それがどうしたってんだ、ええ?」
 会議室から出た通路、派手な音を立てて警備員が一人、通路の端まで吹き飛ばされる。全身が帯電し――それは拓未の内蔵電撃による裁きの一撃。野生と知性を秘めた鋼鉄のサイボーグは、恐れる事を知らず勇敢に全身を続ける。
『この野郎、当たってるのにどうして――!』
「だから効かねえよ。俺を倒したきゃ――」
 放たれた弾丸を超常で変異したキリンの籠手で弾き、ダチョウの加速とツチノコの伸縮で放たれた鉄拳が、別の警備員を大きく吹き飛ばした。
「俺を倒したきゃ、戦車でも持ってくるんだなッ!」
 それは誇張ではない紛れもない事実。最早普通の人では、サイボーグを止める事など敵わないのだ。

「上位職の者はいない……というよりも」
 抵抗を試みた警備員を全て鎮圧し、一階フロアの制圧を完了した猟兵達は、続けてUDC-Pに関する情報を探っていた。しかし。
「ここの職員は皆、誰も差は無いみたいですね」
 ウィンディが狙っていた上位権限者はここには存在せず、どの警備員からも当たり障りのない情報しか手に入れる事は出来なかった。それでも、とウィンディは続ける。
「Re-E-Mpの情報は……残念ながら。ですが」
 ナノウェアから取り出した端末の画面を広げ、これまで手に入れた情報を整理し、全員と共有する。
「彼女らの居場所は把握しました。そこで皆と合流しましょう」
 それは彼女達だけではない。全サ連の皆と、潜入した他の仲間達がかき集めた情報。そこに表示された内容は、三階開発実験棟――そこにRe-E-Mpは集められて、来たる仕事に備えて待機しているとの事だった。
「ご苦労だったな、ニクス」
 そしてルパートの相棒が雄々しく羽ばたきながら猟兵達の元へと戻ってきた。
「――こちらも同じくだ。敵は上にいる」
 ニクスが見てきたもの、それは三階への進路。このまま階段を登れば直ぐに――他の仲間達ともそこで合流出来るだろう。であれば、やる事は一つ。
「それじゃあ行こうぜ、なぁ」
 バチバチと帯電した力の余韻を残して、拓未が力強く拳を打ち付けた。本番はこの先――三階にいる量産型との邂逅だ。
「うむ。UDC-P……救済可能な影朧のような存在、ならば」
 すっくと立ちあがった一朗は、再び率先して前へ進む。
「私は帝都軍人として全力でその者を救済するまでの事」
 それは帝都第十七大隊長としての矜持――救える命がそこにあるのならば、迷わず手を差し伸べるのが軍人の務め。
 その思いは皆同じく、猟兵達はまだ見ぬ上を目指して進み始めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『リエ・デッドコピー・ルシーズ』

POW   :    Re-Inicienteration
自身の【残存動力と一定時間後の自壊】を代償に、【再起動させた破損した量産型】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【遠距離からのガトリングガンの一斉発射】で戦う。
SPD   :    Re-Connect
【眼帯を経由した量産型統合戦術システム】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
WIZ   :    Re-Location
自身が【ダメージ・UCによる機能不全の危機】を感じると、レベル×1体の【リエ・デッドコピー・ルシーズ】が召喚される。リエ・デッドコピー・ルシーズはダメージ・UCによる機能不全の危機を与えた対象を追跡し、攻撃する。

イラスト:柿坂八鹿

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●Response
 猟兵達が辿り着いた三階開発実験棟――分厚い鋼鉄に囲まれたそこは風洞実験設備だった筈だが、辺りに漂う火薬と饐えた鉄錆の臭いが、最早その様な場所では無い事を暗に示す。

 Re-E-Mp――人体をベースとしたサイボーグR-Seriaseの量産型。オリジナルのRe-Eについては詳細不明。長期のメンテ不足によりほぼ暴走状態のまま出現し、戦闘データの収集という使命に殉じて、終わりの無い戦いを繰り返すだけの存在。
 殺し屋人形――個人から組織、施設までもが対象。受けた依頼に従って破壊の限りを尽くす心無き戦闘人形。対価として与えられるものは相応の金銭と戦いの記録。
 邪教徒らは何処から湧き出たRe-E-Mp――オブリビオンを回収して組織化、邪神が望む世の破滅の片棒を人形へ託し、現実を侵食していた。ここは彼等の秘密基地、言ってしまえば倉庫に過ぎない。だが戦闘人形は、彼女らは戦闘データの収集が目的だ。故に戦いの場を常として用意しなければならなかった。

 正面の扉が強引にこじ開けられる。この程度の物理的な障害など物の数ではない。バリバリと軋む鋼鉄が悲鳴の様な音を立てて、剥がされた残骸ががらんと大きな音を響かせ落ちる。ここから先は局外者(アウトサイダー)の領域――立ち向かえるのは同じ埒外、猟兵だけ。

 まるでライブハウスの様な耳をつんざく轟音が猟兵達を襲う。吹き飛ばされた人形がもげた腕の奥からロケット砲を放ち、生み出された爆風が死の臭いを運ぶ。アクチュエータが甲高い音を立てて、鋼鉄の軍靴が重苦しい音を響かせれば、整然と放たれた機関砲の合唱が、立ち並ぶ人形をバラバラの鉄屑に作り替える。
 人形は誰一人声も上げず、ひたすらに戦闘を繰り返していた。立つ者も、絶たれる者も、等しく誰一人不満も漏らさずに。それこそがRe-E-Mpの存在理由――戦闘データの収集。ただ一人を除いて。
 まるで共食いの様な演習場の奥、数多のチューブやコードに繋がれて磔にされた一人の人形――閉ざされた瞳から一筋の液体が頬に跡を残して、際限ない悪夢にうなされる様に、時折頭を振るう彼女は、ただ一人この狂った世界に異を唱える象徴のようであった。間違い無い、彼女がUDC-Pだ。
 不意に稼働中の人形が一斉に動きを止める。刹那の後――赤いアイセンサを灯して、一斉に猟兵達の方へその顔を向けた。
『――作業中断、オペレーション更新』
 一人の人形が事務的な口調で、淡々と他の人形へ確かめる様に言葉を紡ぐ。
『猟兵の存在を確認、総員戦闘配置』
 そして銃口が向けられて――紛れもなく人形らはオブリビオン。排斥された過去の残滓は破壊の意志に従い、世界を塗り潰さんとその威を示す。周囲には大小様々な残骸が転がって、高い天井――恐らく七階近い高さは、その為に造り替えられたのだろう――には硝煙と粉塵が舞い上がり、灰色の空を形作っていた。よく見れば四方から稼働を止めていた人形達もわらわらと列を成してやってくる。その総数は計り知れない、圧倒的な数だった。

 作戦目的はUDC-Pの保護。
 その為には全ての人形を倒さなければならない。
 それは地形を利用し、連携を分断し、敵群を蹂躙すればいいだけの事。
 そう、いつも通り――いつも通り、戦えばいいのだ。
 新たな希望を手にする為の戦いが、幕を開ける。

※プレイングは11/3(日)8:30より募集致します。締切は初回失効に合わせます。
七瀬・麗治

※()内は闇人格「ロード」の台詞です

戦いの気配を感じ取り、闇の人格が目覚める
自動的に【オルタナティブダブル】が発動し、
影の中からロードが出現。
(お前、あの娘に自分を重ね合わせているんだろう。お見通しだぞ)

基本戦法は麗治とロードの即席コンビネーション。
手当たり次第に斬りかかるロードを、<武器改造>で銃に寄生体を
纏わせた麗治が<援護射撃>でサポートする。
ロードは遊びのつもりなので、<グラップル>で手足を捥ぎ取ったり
蹴飛ばして頭を<踏みつけ>たりとやりたい放題です。
UDC-Pへの攻撃は麗治がカバーに入り<零距離射撃>で応戦します。
「頼む、無事でいてくれ……君だけが、この狂った世界に遺された希望だ」



●影は踊る
 群れ成す人形が続々と集結し、その右目の眼帯がチカチカと明滅する。何らかのセンサだろうか――途端にバラバラだった各機が急に、手にした重機関砲を斉射した。
「早速かよ……だが!」
 七瀬・麗治(悪魔騎士・f12192)はコートを翻し、迫る火線の中へと飛び込む。
(あのUDC-P、今はまだ巻き込まれはしないだろうが……)
 手にした銃に寄生体を纏わせ、強化された外殻で致命弾を避けながら人形の懐へ。
「これ以上悲劇を、続けさせるかよ!」
『フフ……フハハハハハ!!!!』
 装甲の隙間に銃口を捻じ込んで、内側に破壊の衝撃をぶち当てる。それと共に麗治の影から自身と同じ顔が、ロードがぬらりと姿を現した。その表情はあくまで不遜。
『随分と滾っているようだな、え?』
「お喋りしている暇はない!」
 爆ぜた装甲から機械部品が飛び散って、一体の人形が機能停止する。だが。
「囲まれたか……それでも」
『それでも、か。お前なあ』
 人形の数はむしろ増えている――背中合わせに人形達と対峙する麗治とロードは、眼帯を点滅させながら間を詰める人形を睨み、反撃の機会を伺った。そして。
『あの娘に自分を重ね合わせているんだろう。お見通しだぞ』
「だったら――分かっているんだろう!」
 無論――と。ロードが動く。重い風を纏って悪魔の化身が眼前の人形の腕を掴み、振り解こうと足掻く人形の斉射をものともせずに力を加える。
「あれを救出する。その為に俺達は来た」
 ガキン、と金属がへしゃげる音を立てて。もがれた人形の腕が鋼鉄の地面にがらんと落ち、その隙を麗治が光線銃で畳みかける。
『まあ精々気張るがいい。久方ぶりの表だ、こちらも勝手にやらせてもらうぞ!』
 装甲ごと砕かれた光線が人形の機能を止める。そのまま倒れた人形の顔面を踏み潰して、次の獲物に飛び掛かるロード。その動きに合わせて援護を続ける麗治。ちらりとUDC-Pの方を見れば、幸い戦闘に巻き込まれてはいない様だった。
「頼む、無事でいてくれ……君だけが、この狂った世界に遺された希望だ」
 硝煙が立ち込める偽りの戦場で、悪魔騎士は何かに祈った。

成功 🔵​🔵​🔴​

八坂・操
●【SPD】

ワォ! 戦闘人形で蠱毒ごっこだ!
操ちゃんも混ぜて欲しいな☆
お人形遊びなら操ちゃんも得意なんだ♪

「にーんぎょーちゃーん♪ あっそびーましょー♪」
という訳で、【子供の遊び】で鬼ごっこでもしよっか♪
玩具とはいえ貼り付けば機動力は削がれるし、もたもたしてたら一気にバーン☆
ヒヒヒッ、気を付けよーね♪
「おーにさーんこーちら♪ てーのなーるほーへ♪」
そんな感じに玩具をばら撒きつつ矢面に立とっか♪
飛んで来る攻撃は怪糸で『敵を盾にする』事で防ぐよ☆
人形ちゃんは沢山いるみたいだし、盾には困らないね!
上手く防げればご喝采♪ 盾ごと『串刺し』貫手のサービスだ☆
「*Knock* *Knock*」
お客様だよ!



●踊る怪異
「ワォ! 戦闘人形で蠱毒ごっこだ!」
 潰れた人形の顔面を嬉々として眺める八坂・操(怪異・f04936)は、ステップを踏みながら戦場を闊歩する。
「操ちゃんも混ぜて欲しいな☆」
 白いワンピースをひらりと舞わせ、無邪気に跳ねては火線を避ける。硝煙の中を踊る姿は戦場に現れた死神の様。まるで冥府に誘う魂を選定するかの如く、操は人差し指を立てて、その中心で声を上げた。
「にーんぎょーちゃーん♪ あっそびーましょー♪」
 謡う様な旋律が暗雲を呼び起こし、その頭上に不気味な玩具の群れが、渦を巻いて姿を現した。それらにはタイマーめいたセグメント表示が。あたかも爆弾の様に殺意を秘めた玩具が、操を囲む人形の方へふわりと散っていった。
「おーにさーんこーちら♪ てーのなーるほーへ♪」
 手の鳴る方へ――纏わりつく玩具が射線を遮り、迂闊に撃ち落とせば盛大に爆破……巻き込まれた人形が吹き飛ばされて、壁の方へと叩きつけられる。
「ヒヒヒッ、気を付けよーね♪」
 人形は囮。射線を爆弾に遮られて、最早重機関砲による射撃は無意味と悟った人形達が、今度は徒手のまま操の行く手を塞ぐように殺到した。しかし
「うふふ、それじゃー遅いなー♪ つーかまーえた♪」
 みしり、と鉄板が歪む音が響く。目を凝らせば空間を何かが煌いている――怪しげな鋼鉄の糸が人形の首にめり込んで、いつの間にかその自由を奪われていた。
「あれー? 鬼に触ったら操ちゃんが鬼になっちゃうのかー」
 困ったような仕草。そのまま足を止めた操に対して、好機と見た人形が再び射撃を再開する。それを捕まえた人形を盾にしてやり過ごす操。
「ひっどーい! お友達ごと撃っちゃうのー? それじゃあ、そんな悪い子は」
 お仕置きだ。突如操が疾走する。華奢な体躯から想像も出来ない速さで、持ち上げた人形を盾にして、正面で対峙していた別の人形の元へと。
「*Knock* *Knock*」
 ぐちゃり。怪音と共に盾にした人形を貫いた操の貫手が、もう一体の人形の腹を突き破り、僅かに残った生身の腸を無造作に引き抜き、潰す。
「お客様だよ! ここを開けて♪」
 開かれた風穴から漏れた紫電が、流れるオイルに火をつけた。
 それはまるで地獄の様相。
 照り返す爆炎を背後に、躍る怪異は嗤い続ける。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルパート・ブラックスミス
この数だ、乱戦になるだろう。序盤は他の猟兵に任せまずは【救助活動】。
UC【現を彷徨う幽騎】で姿を消して敵陣を抜け、UDC-Pに接近し【怪力】で拘束を破壊。

戦えとは言わん。だが生きろ。
使命に背くならば魂を、理由が無いなら想いを、尚の事手放すな。
…『俺』は、そうしている。

味方がUDC-Pの護衛につく場合は後を託し、青く燃える鉛の翼で飛翔、【空中戦】だ。
UCを断続的に起動・停止し敵を【挑発】し引きつけつつ、燃える鉛で発火させた【武器改造】短剣【誘導弾】を【投擲】。
ダークセイヴァーにも銃はある。銃火器は熱で砲身が歪めば暴発するのだろう?
短剣に宿した炎で【武器落とし】を試みよう。

【共闘・アドリブ歓迎】


東雲・一朗
▷アドリブ歓迎です

▷服装と武装
帝都軍人の軍服、少佐の階級章付き。
刀と対魔刀の二刀流、2振りとも腰に帯刀。

▷戦術行動
「なるほど、かの個体がUDC-P…その他は獣と変わらぬ破壊人形か」
ならば容赦の必要もなし、戦争の作法に則り殲滅する。
「第十七大隊…構え!」
私が陣頭に立ち、二刀で【武器受け】の構えを取り、霊気を放ち【オーラ防御】を展開し守りを固めた上で【戦闘知識・団体行動】を用いて味方や保護目標に誤射しないよう射撃統制の指揮を執り【大隊指揮戦術『壱』】を発令。
「怯むな、撃て!我ら帝都軍が人形などに遅れをとらぬ事を示すのだ!」
味方猟兵をサポートするように火線を奔らせ、敵の連携を分断し戦場を支配する。



●異界の士道
「なるほど、かの個体がUDC-P……その他は獣と変わらぬ破壊人形か」
 撒き散らされた鉄屑の嵐を払い、東雲・一朗(帝都の老兵・f22513)が凛と戦場を見渡す。世界は違えどやるべき事は同じ。二振りの軍刀を鮮やかに抜いて、鉄火場へと一歩足を踏み入れた。
「この数だ、乱戦になるだろう」
「ならば容赦の必要もなし」
 その側にはルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)が。腕を組んで乱舞する鋼鉄を見据えて、その奥のUDC-Pを一瞥――自身が成すべきは、囚われた魂の開放と置いて。
「第十七大隊……構え!」
 漆黒の甲冑の思いを察し、一朗が檄を飛ばす。瞬間、揺らいだ空間がカーテンの様にはらりと裂けて、長大な軽機関銃を担いだ一団が姿を現す。整然と並んだ彼ら――第十七大隊は、火線を振りまく人形達へと狙いを定めた。獣と変わらぬ……ならば人の理に従い、その闇を払うのみだ。
「任せた……自分は先に行かせて貰う」
 そしてルパートがゆらりと――超常がその存在を透明の物体へと置換して。不可視の騎士はそのまま、囚われの彼女目指して戦火の中を突き進んだ。
「彼を止めるな、総員撃て!」
 眼帯のセンサがルパートを捉えようと明滅――しかしその暇は与えない。一朗が従えた圧倒的な火力が人形達を蹂躙し、鋼鉄の四肢をバラバラに引き裂いた。
『対象脅威判定高――目標変更』
 圧倒的な火力に反応した人形が一体、攻撃対象の変更を伝える。通信機能が破壊されたか遂に口を開いたそれは、最早ガラクタと化した同胞を無理矢理に稼働させて、セントリーガンの様に地べたから反撃の応射を行う。
「させんよ。私の目が黒いうちに、この陣を突破する事など」
 携えた二刀が八の字を描き双円が弾丸を叩き落す。発した気の防壁と合わせて第十七大隊を狙う暴風を正面から受け止めた。
「怯むな、撃て! 我ら帝都軍が人形などに遅れをとらぬ事を示すのだ!」
 その威を示せ、例え異界であろうと我らが使命はただ一つ。堕ち行く魂を救う事なのだから。

 一朗率いる第十七大隊の奮戦により開かれた道を駆け抜けたルパート。幸いUDC-Pの周りに敵の直衛はいない。あるいは初めから、戦以外の事に興味がない様に。
「間に合ったか……しかし、これは一体」
 超常を解除したルパートの漆黒の甲冑が顕現する。UDC-Pに繋がれたチューブやコードは、彼女の何がしかのデータを取る為の物なのか、あるいは生命維持、洗脳――今その正体は分からない。だからこそ先ずは彼女の拘束を解く。ルパートが手にした短剣が、磔にされた彼女の手枷足枷を器用に切断した。
「――聞こえるか」
 ルパートが静かに語り掛ける。僅かに上下する状態から息はある。意識も恐らく――余り時間を掛ける事も出来ない。だからこそ、思いの丈を伝えなければ。
「戦えとは言わん。だが生きろ」
 あるいは己にも言い聞かせる様に。生前の肉体も記憶も喪った、だが俺は生きている。生きているからこそ、得る物もあるという意志を込めて。
「使命に背くならば魂を、理由が無いなら想いを、尚の事手放すな」
 何故お前は『戦う事を恐れた』のだと問いかける様に。オブリビオンの絶対の意志――破壊の意志を失くしたのだ。その心や覚悟が如何なるものであろうと、それは不可侵の神聖な魂に他ならない。
「……『俺』は、そうしている」
 故にその魂を決して離してはならないと、祈る様に彼女へ向かって――その時、殺意が甲冑の姿を捉えた。
「――!」
 背中から青白い鉛の炎を吐いて、漆黒の甲冑は飛翔する。間一髪殺到する鉛玉を躱して。狙いは自身に向けられたまま。このままあの場所にいれば、眠る彼女を巻き込んでいただろう。
「あくまで猟兵を狙うか……ならば」
 敵の射線を避けながら、ルパートは空中より青白い炎を纏った短剣を人形へ投げつける。狙うは人形が持つ重機関砲――ダークセイヴァーにも銃はある。銃火器は熱で砲身が歪めば暴発するのだろう?
「この場で片付けるだけだ、一体でも多く」
 銃身に挟まった短剣がそれを赤熱化――歪んだ連装バレルが放たれるべき殺意を飲み込んで、連鎖的に巨大なユニットを爆発させる。
「『俺』が決めたのだ、『俺』自身の未来の為に」
 それが己に課した使命。
 無垢なる魂を救う為に『闇の救済者』は空を舞う。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユエイン・リュンコイス

蠱毒、とでも言えばいいのかな。ある種彼女らも被害者かも知れないけれど。戦う為に在るのであれば、せめて戦いの中で終わらせよう。

先の機械神でフロアごと削り取る…のは止めておこう。救出対象が居るのだしね。
相手の戦術は集団連携による統制射撃、か。それなら手はある。
【水月の識眼】で敵群を捕捉し、【叡月の欠片】で事後行動を予測。UCを起動し、『援護射撃、範囲攻撃』で敵陣突破を試みよう。
数の漸減は元より、囚われのUDC-Pの確保も優先課題だ。救出に手間取りそうなら『時間稼ぎ』での足止めや、『メカニック』技術を生かしての拘束解除も行えるよ。

意志を、自我を得たのは幸か不幸か。でも決して無為ではないはずだから。


荒谷・つかさ
自我に目覚めた戦闘人形……
彼女の見る夢は如何なものなのやら、ね。
まあいいわ、眠り姫の救出と行きましょうか。

【XGG00『機煌炎神』スルト】を発動しつつ突入
持ち前の重装甲(防具改造、武器受け、オーラ防御)・高火力な内臓火器(属性攻撃、なぎ払い、範囲攻撃、衝撃波、クイックドロウ、制圧射撃)・圧倒的パワー(怪力、グラップル、鎧砕き)を活かし、部屋のど真ん中に躍り出てタゲを取りつつ暴れ回る
ガトリングと大砲は両肩に固定し自動照準で乱射、近接戦闘は大斧と大剣を其々片手で振り回し、纏まってるなら胸部熱線砲をぶちかますわ

このスルト、伊達ではなくてよ。
メンテ不足のスクラップ如き、相手になると思わない事ね。



●士道の魂
「蠱毒、とでも言えばいいのかな」
 硝煙に塗れ、鋼鉄の骸が積み重なる此処は、地獄の底か。ただ只管に生き延びる為でも無く、戦いの記録の為だけに死を積み重ねる存在を横目に、ユエイン・リュンコイス(黒鉄機人を手繰るも人形・f04098)は嘆息した。
「ある種彼女らも被害者かも知れないけれど」
 自らも、ある意味同じ人の形をした絡繰仕掛けの存在。魂の形が違うだけ――だからこそ、狂った使命に邁進する彼女らを見て憐憫の情が浮かぶのかもしれないと。だからこそ、自分が出来る事はただ一つ。
「――戦う為に在るのであれば、せめて戦いの中で終わらせよう」
「そうね。それじゃ眠り姫の救出と行きましょうか」
 それが戦士としての情けか――不遜に戦場を眺める鬼が、荒谷・つかさ(風剣と炎拳の羅刹巫女・f02032)が手にした大太刀を足元の鋼鉄に突き刺すと共に、噴き上がる爆炎と共に巨大な人型――超常の機煌炎神がその産声を上げた。
「それが君の器かい。興味深いね」
 涼やかな声でユエインが感嘆の声を上げると、いつの間にか手繰り寄せた十指の先には鈍く煌く黒鉄の機人が姿を現す。
 突如として戦場に姿を現し、並び立つ二体の巨兵に人形達は最大の警戒を――再び骸と化した四肢を砲台代わりに先制の弾幕を浴びせ始める。その音は死出の誘いか、乙女の叫び声の様な炸裂音が戦場に響き渡った。

「このスルト、伊達ではなくてよ」
 しかしそんなモノが通じる相手では無い。如何に強力な速射砲と言えど、黄昏が産み落とした炎の巨神には届かない。張り巡らされた闘気のフィールドと絶対の超重装甲は尽くを弾き返し、返す刃で振るわれた大斧と大剣を鋼鉄の腕ごと飛ばして、列を成して迎撃に転じる人形達を、正面から豪快に吹き飛ばす。
「集団連携による統制射撃、か」
 殺到する殺意は既にユエインの瞳が須らく掌握した。月の叡智の導きに従って、黒鉄機人は正面から突破すべく迎撃と強襲の弾幕を形成する。手にした二丁の拳銃は濛々と蒸気を吐きながら、鉛玉の群を高速で放つ弾丸で打ち落とす。正に神業、速度を緩めずUDC-Pへ向かうユエインに合わせて、黒鉄機人の前進は止まらない。
「随分と演習を繰り返してたみたいだけど、こういうのは知らないのかしら?」
 その背後――突撃するユエインに気を取られた人形の一群を、スルトの胸部熱線砲が焼き尽くした。横薙ぎに振るわれた炎に飲まれる人形達、しかし足を止めたスルトの四方から、好機と言わんばかりにスラスターを噴かして突撃を敢行する。
「ふん――メンテ不足のスクラップ如き、相手になると思わない事ね」
 視線同軸対空機銃、腰部対装甲ロケット――スルトの五体にはあらゆる武威が仕込まれている。同じ所、同じ物、同じ相手との戦闘だけでは得られないイレギュラーな反撃。それこそが戦士たる所以、単なる戦闘マシンとは一線を画す、つかさとスルトの歴戦の連携が織りなす戦いの一端である。

「まだ邪魔をするのかい……懲りないな」
 それはユエインと黒鉄機人も同じ。けたたましい機関砲の炸裂音と、耳を劈く蒸気の噴射音が周囲に響き、立ち込める硝煙と蒸気に身を隠しながら――不意に黒鉄機人が飛び出した。その手に拳銃は無く、替わりに備えるは赤熱化した昇華の鉄拳。赤く発光した右拳がめらめらと蒸気を掻き消して、伸びた剛腕が人形の顎を捉える。
「その邪悪を、昇華と銃火を以て討ち滅ぼすッ!」
 放たれた拳が顎ごと人形の顔面を溶かし、抉り、機械化した脳髄ごと一撃の元に散華させる。ユエインが手首をくるりと返せば、黒鉄機人はその拳に火を灯したまま、隊列を組んだ人形を横殴りに吹き飛ばした。
「いいね、道が開けた。このまま突破するよ」
 駆けだしたユエイン。印を組む様に十指を動かせば、そのまま機人はユエインの背後を守る様に、人形の前に立ち塞がる。目標は遂に、目の前に迫った。

 拘束は既に解かれている。自身がやるべきは状況の解析、しかし長居は出来ないだろう。敵は確実に、猟兵のみを狙っているのだから。
「意志を、自我を得たのは幸か不幸か。でも決して無為ではないはずだから」
 即座に水月の識眼で検分を始めるユエイン。繋がれているチューブやコードは生命維持と情報収集を兼ねたもの。洗脳の類では無かった事が唯一の幸いだ。意識は残っているのだろうか――いや、恐らくは異常と化した彼女の生体データを根こそぎ奪い、それらを自らの強化へと役立てる為、つまりは戦闘データの収集に他ならない。
「成程、異常を来した精神を調べて同種の耐性を得る為のモノか」
 壊れた心をワクチンにでもするつもりか――胸糞悪い。ならば先ず、その情報とやらを断ち切ってやろう。煉獄の名を冠した一刀をスラリと抜いた直後――時間切れだ。容赦の無い弾幕が再びユエインを襲う。
「――自我に目覚めた戦闘人形……彼女の見る夢は如何なものなのやら、ね」
 それを庇ったのはつかさの巨神。聳え立つ鋼が弾丸の雨を無為に帰して、射線に合わせて放たれた大小の火器が人形を撃ち落とす――されど敵の手勢は止まず。どうやら我々は極上の獲物と判断されたらしい。
「――一旦引こうか。幸い生命は無事だ」
 残りは後続が何とかしてくれるだろう。そう信じて、ユエインも黒鉄機人を矢面に立てて、反撃に転じる。
 そうだ。猟兵は決して一人で戦っている訳ではない。群がる敵を引付けて、二体の鋼鉄が戦場を跳ねる。戦線は徐々に収束しつつあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

絡繰・ビリー

予想以上に熱烈な歓迎だね
君らも、そろそろお休みの時間だよ!行くよ!

・SPD行動
ガチンコ上等な戦いは皆に任せて、私はバックアップ!
適当な残骸の山に隠れて、ガジェットギアとギアフォンを展開
カメラドローンを飛ばして周りを【撮影】して【情報収集】
こっちへの意識が薄いと感じたらギアバット召喚!

「今のうちに散って。出来るだけ落ちないようにね!」

ギアバットを介して敵の戦術システムに【ハッキング】
メンテ不足に乱戦とくれば介入の余地はあるはず
狙いをズラす、協調を乱す、動きを鈍らせる、小さな障害でも結構効くからね!
後はギアバットの【援護射撃】かな

「フフン、楽勝!って流れ弾危な!?」

早々に決着つけてね!皆!


御形・菘
そこらで盾用の分厚い鉄板を調達しておこう
眼前の空間をコンコンコンっと
はーっはっはっは! 最強の力の根源の一端、エモさについて学習させてやろう!
防御力を上げ、オーラを全身に纏い、此度は盾まで用意した妾は、まさに最高にして最硬!

妾の戦法は至ってシンプルよ
怪人どものド真ん中に突っ込んで、足並みを乱す!
妾に銃口が向き、ついでに連携が崩れれば、その隙を皆がうまいことやるであろうよ
さあ、いくらでも撃ってこい!
だがな、妾が接近するのを止められなければ、全力の左腕の一撃をプレゼントだ!

遠距離からチクチク撃つだけでは面白くないぞ!
花畑の真ん中で殴り合うシチュエーションの素晴らしさ、存分にその身で学ぶがよい!


祓戸・多喜
うわっ…これは引くなー。
オブリビオン同士だけども流石に見てて気分いいものじゃないし。
ええっと、目標の子はあの奥の子かな。
アタシ達が戦う姿は怖いかもだけども、ちょっとだけ我慢してね…!

基本は後方から弓で支援。
集中して狙い定め、一機ずつ確実に射って落としていく。
その間ちょっとずつ移動し、UDC-Pの子から十分…UCの射程外になる位距離を取るね!
十分距離取れたら早撃ちで遠くの機体を狙って意識を惹きつけ、
十分寄ってきたら大声で味方に警告後UC発動!
天に向かって光の矢を射って再起動した量産型ごと針鼠に!
もし範囲内に味方がいるなら念動力で当たりそうな矢を外れるよう軌道をずらすね。

※アドリブ絡み等お任せ🐘



●魂の情熱
「うわっ……これは引くなー……」
「うん。予想以上に熱烈な歓迎だねー」
 祓戸・多喜(白象の射手・f21878)と絡繰・ビリー(スクラップギア・f04341)は飛び込んだ鉄火場の苛烈さに舌を巻く。四方八方から伸びる火線が鋼鉄を穿ち、爆ぜた人形が虚ろな表情を浮かべて宙を舞う。鋼鉄の交響楽団は休む間も無く、戦場の臭気をこれ見よがしに振りまいて一帯を地獄絵図へと塗り替える。
「オブリビオンだけども、流石に見てて気分いいものじゃないし」
「うむ。確かにそこかしこでああも鉛玉を飛ばされてはな……」
 生身の人だったら、とても耐えられない――そんな光景を横目に、蛇神は、御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)は高らかに声を上げた。
「というわけで、そこらで盾用の分厚い鉄板を調達しておこう!」
 全てはいいねの為にある。菘の超常が地獄の様相に美しき花畑を上書いて――大破壊の産物、異世界を統べた全能のシステムの一端がここに顕現した。
「そしてコンコンコンっとな」
 万物を創生する禁断の果実すら菘にとっては動画のスパイス。突如現れた色取り取りの花々をちょいと叩けば――何故か現れた鈍色の鉄板が菘の盾となった。
「凄い器用……」
「はーっはっはっは! 最強の力の根源の一端、エモさについて学習させてやろう!」
「乗った! それじゃあ私はバックアップ!」
 化物も電脳も須らく、この世は盛り上げる為にある。かくして団結した超常の集団は蛇神を先頭に、雄々しく地獄への一歩を踏みしめた。
「……って、こっち来たよ!?」
「フフン、来るがいい。防御力を上げ、オーラを全身に纏い、此度は盾まで用意した妾は、まさに最高にして最硬!」
「サイコー! いいね! 仕上がってるよ! もっと視線ちょうだい!」
 しかしそんな目立つ――危険な存在を人形達が見逃す訳が無い。十重二十重に張り巡らされた弾幕の射線が一斉に菘達の方へ。しかし最高に最硬と化したスタアは最強。ビリーが放ったドローンと合わせて全周から撮影されたバトルは最初からクライマックス。正面から集中する火線を受け止めて、その隙に多喜が目標の――UDC-Pの位置を確認する。
「それより! ええっと、目標の子はあの奥の子かな?」
 対象は遥か彼方、されど迂闊に近寄れば人形達の攻撃の餌食となる事はこれまでの戦いで分かり切っている事。ならば辿り着くまで、一体でも多く人形の動きを止める。それこそが猟兵たる自分達に課せられた使命。
「アタシ達が戦う姿は怖いかもだけども、ちょっとだけ我慢してね……!」
 手にした剛弓を引き絞り正確に狙いをつける。幸い攻撃は蛇神が一手に受けているのだから、この機を逃さぬ手は無い。放たれた矢が空を裂いて、こちらに銃口を向ける無機質な表情の人形を音よりも早く貫いた。眼帯ごと顔面に風穴を開けられたそれは、あらぬ方向に弾薬をばら撒いて機能を停止する。
「ゴメンね。でもアタシ達は――戦わなきゃならないの!」
 残酷な運命を乗り越えて象頭の巨大な少女は次の獲物を狙う。全ては名も知らぬ罪無き魂を救う為に。

「さあ、いくらでも撃ってこい!」
 殺到する火線を一切物怖じせずに受けきる菘。ストロングスタイルで全軍突撃(一人)――背後でビリーと多喜が、その進撃を援護して。
「アタシはここから支援するよ!」
 再び矢を射る象頭の巨大な少女。それに続いて超常を解放したビリーが、溢れる周囲の残骸から三十五機のドローンめいた自律兵器を創造した。
「いいね! いいね! おまけにこれも付けちゃうよ!」
 蝙蝠を模ったそれらは腹部に仕込んだ機銃から反撃の鉛玉をばら撒いて、前進する菘に付き従い蹂躙を開始する。
「フハハ、怖かろう! 正に百鬼夜行!」
「夜じゃないし鬼でもない!?」
 圧倒的な威力がその進軍を加速して、通った後には草一つ残さない豪快な突撃は、きっと無数のいいねを生み出している筈だ。
「さあさあ、今のうちに散って。出来るだけ落ちないようにね!」
 集結と散開――交互に陣を組みなおして、蝙蝠兵器は人形達との集団戦を乗り越える。明滅する眼帯のセンサがその挙動を解析しようにも、いきなり近づいた蛇神の無慈悲な一撃が、鋼鉄の肉体ごと遠くへと吹き飛ばしてしまうのだ。そして二度と、立ち上がる事は叶わない。
「――チャンス! みんな離れて! 纏めて撃ち抜く!」
 余りの突進力に人形達も集って、正に力と力のぶつかり合いが幕を開けようとした刹那――冷静に状況を見定めていた多喜が遂に己の超常を解き放った。
「おお、矢の雨が流星の様に……遂にエモさの権化と化した妾」
 多喜が天に目掛けた放った矢は超新星の如く膨れ上がり、光と共に流星と化した矢の雨が密集陣形を取った人形達の頭上へと降り注ぐ。
「これこそ本当のスタア誕生! 近くば寄って目にも見よと……遠距離からチクチク撃つだけでは面白くないぞ!」
 非常にエモーショナルな情景――ならば願いは叶えよう、力技で! 距離を取り対空迎撃を繰り返す人形達へ高速で近寄って、自慢の尻尾が大きく薙ぎ払う。
「花畑の真ん中で殴り合うシチュエーションの素晴らしさ、存分にその身で学ぶがよい!」
 パシンと両の拳を打ち付け、ファイティングスタイルを取る菘。ガリガリとアクチュエータが異音を放ちながら、鋒鋩の体で立ち上がる人形達。
「フフン、これなら楽勝だね! ――って流れ弾危な!?」
 不意に放たれた機関砲がビリーの肌を掠める。しかしその一撃が命取り、上空で待機していた蝙蝠兵器が、弾薬の豪雨で反撃する。
「絶対に助けるからね……ここはアタシ達が引き受ける!」
 鳴り止まない砲火の交響曲を背景に再び矢を射る多喜。あと少し、あと少しであの子の元へ――だからこそ、辿り着くまで倒れる訳にはいかないのだ。
 いいねの為に、生命の為に。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

花咲・桜華(サポート)
人狼の王子様 × サウンドソルジャー
アドリブ共演可

<キャラ概要>
感情豊かな男の娘(成人済)
皆を笑顔にするためにアイドルをしている
感情豊かで敵にも同情することはあるが、油断しない集中力を持つ
潜入などの場合は耳と尻尾はしまっている

<戦闘関連>
ナイフとワイヤーフックを使って、SPDを活かす。
ヒット&アウェイを主体に、回避重視で奇跡の破壊者(光、鎖、雷でUC封印)やHot Blood(歌で見える範囲の相手を魅了攻撃)
保護対象がいるなら必死に守るよ!

<交流関連>
アイドルをやっているから歌やダンス、あとベースもできるよ
ロックも童謡も、激しくも優しくも歌えるんだ
老若男女問わず、皆を笑顔にするために頑張るよ!



●この情熱を鋼鉄に
「随分と盛り上がってるみたいだね」
 鋼鉄と花弁が舞う混沌とした戦場に、想定外(イレギュラー)が舞い降りる。桃色の髪をなびかせて、手にした黒曜石の刃が妖しく光を放った。
「援護するよ、さあ行こうか!」
 可憐の少女の様な――その男は、舞い散る花弁を背後に颯爽と鉄火場を駆け抜けた。戦線を構築する一団から逸れ、並み居る猟兵の背後を狙った人形にワイヤーを絡ませて、不意を打たれ体勢を崩した隙を一刺し――黒曜石に返り血の様なオイルが掛かって、瞬く間にその機能を停止させた。
「こういうセッションも悪くないね」
 ターゲットは無数、護衛対象は一つ。それでも多くの仲間が守るべき者から脅威を引き剥がし、蹂躙し、反撃し、最早原形を留めていない演習場のそこかしこで、火花を散らして爆発を巻き起こしていた。
「まるでフェスみたいだ。それに」
 それにフェスなら、飛び入りが場を盛り上げたっていいでしょう? 何故ならボクはアイドルだから――花咲・桜華(桃色王子様・f04874)は面を上げて、次の獲物を見定める。
「あの娘を守らなきゃならないんでしょ、だったら!」
 飛び入りらしく好きな様にやらせてもらう! 疾風の様に軽やかに、ステップを踏む様に間合いを詰めれば放たれるのは超常。
「ここから先は、絶対に通さないよ!」
 閃光が人形の眼帯センサを焼き切って、鈍色の鎖が鋼鉄の床に五体を縛り上げる。そして天井より放たれた雷が人形の心臓――ジェネレータに過負荷を与えて、瞬く間に絶命させた。
「さあ、フィナーレはもうすぐだ」
 アンコールはいらない。荒れ狂う稲光が桜華の周りを彩って――敵はここにいるぞと威を示す。こっちへ来い、道を拓く為に。
 あと僅か、あの娘が目覚める迄……ボク達が倒れる訳にはいかないのだから。

成功 🔵​🔵​🔴​

リズ・ルシーズ
●【全世界サイボーグ連盟】で参加

さ、行くよ、ボクはルシーズ、ボク達はルシーズ。姉妹機の不始末はボク達がしないとね!

【SPD】

【指定UC】で量産型を召喚。各自光学【迷彩】で姿を隠し仲間の情報を受けながら【スナイパー】として戦うよ

戦闘用じゃないからまともに戦えばボク達の方が不利だけど、他の猟兵もいるからね

量産型と疑似刻印の光【属性攻撃】のレーザーで【援護射撃・時間稼ぎ】だよ

Re-Eには悪いけど、量産型を壊させて貰うね

足を止めた敵を再起動出来ないように【一斉発射】で個別に完全破壊を狙うよ

戦闘後、薄い自我を持つRe-Z量産型達が、UDC-Pの無事な姿を見てどこか羨ましそうな笑みを浮かべ消えていく


河原崎・修羅雪姫
【全世界サイボーグ連盟】で参加。アドリブ&絡み歓迎

「戦場の爆炎、轟音……。良いハコねぇ、気に入ったわ!」
※ハコ=ホール、ライブハウス
この事件に対してこう感じ、猟兵として参加します。

 戦闘中は、UC「ヘビーメタル・シャウト」を使うことで、
まず敵の注意を引きつける【存在感】とともに、
歌【歌唱】と演奏【楽器演奏】で仲間を【鼓舞】します。

『全世界サイボーグ連盟』の戦旗を戦場にはためかせて、
エレキギターから火炎放射しながらギャロンギャロンと演奏します。

最大の目的は、仲間全体の戦闘力をパワーアップして、いち早く敵の群れを殲滅すること。
そして『夢見る戦闘人形』に、思い(ハート)を歌にのせて伝えることです。


クネウス・ウィギンシティ
【全世界サイボーグ連盟】で参加
アドリブ&絡み歓迎

敵の通信回線を【ハッキング】し、Re-E(リエ)に直接語りかけます。
「救いを求めるならば、それを誰かに伝えねばなりません」

【WIZ】

●制圧射撃
『AF』を自動【操縦】し、【制圧射撃】し拓未さん(f03032)のミサイル展開を援護します。

●訪問販売
味方がある程度の安全を確保次第、訪問販売(【メカニック】)。
「GEAR:DEUS EX MACHINA。機械仕掛けの神話は此処から始まる」
重力制御ユニットとブースターを彼女に追加し脱出能力を付与。
「当グループの製品はユーザをお守りします」

付与後、彼女との通信回線をリズ(f11009)さんに回します。


宙夢・拓未

【全世界サイボーグ連盟】で参加

天井が高いな
なら、この戦法でイケるか?

【ヴァリアブル・ウェポン】攻撃回数重視
両肩からミサイルポッドを展開
上を狙って発射して、その【誘導弾】を、正面の敵群の頭上から無数に降らせる

敵がミサイルを狙って射撃したら、敵に隙が出来るし
そうでなければミサイルが落ちるって寸法だ

爆風での【範囲攻撃】に成功したら
その煙幕を利用して、俺自身が【ダッシュ】で突っ込む
接近できたら『オブリビオン・キラー』を振るい、装甲を破壊する【鎧砕き】を行う

ある程度敵の数が減ったら、UDC-Pの前へ向かい
流れ弾から【かばう】ように、彼女を背にして戦闘続行
「安心しな、助けに来たぜ」と、肩越しに声を掛ける


ドロレス・コスタクルタ
【全世界サイボーグ連盟】で参加
アドリブ&絡み歓迎

「システムだけでは真似できない連携をお見せしますわ!」
煙幕に乗じてワイヤークローを壁に撃ち込み、跳躍と巻き上げ機構の合わせ技で敵の視界から離脱。愛用の大型拳銃で上方から人形たちの頭部を狙い射撃。上方を跳び回りながら高速回避と通常の跳躍ではあり得ない角度からの射撃を織り交ぜて戦う。また、三角飛びの要領で壁や構造物を蹴り、跳躍方向を無理やり変えたり、跳躍の高度を更に稼ぐ。

「隙あり! 一気に決めます!」
隙を見せた敵に対しては間合いを詰めアッパーで打ち上げる。UC発動に際しては天井を蹴って反動のパワーを得て破壊力を生み出し、全力のキックで一撃破壊を狙う。


ウィンディ・アストレイ
【全世界サイボーグ連盟】で参加
アドリブ&他猟兵との絡み連携OK

「さて…視界が狭まった所で、ボクの『仕事』を始めましょうか」

拓未さんの弾幕煙幕が発生した所で【妖精の舞】を起動
複合センサをアクティブモードに移行して、非接触広域電子戦を開始します

戦域内の味方の索敵デバイスやセンサ関係に情報連結(ハッキング)して
自身が収集・解析(情報収集)した敵味方位置情報を常時送信する事で
味方の作戦行動を支援

同時に敵のセンサや情報処理機関に『ハッキング』して
彼我位置情報の処理と認識を阻害(破壊工作&罠使い)
敵の組織的行動や連携を阻害して、敵撃破を援護します

「別に覚えて頂かなくても構いませんが…戦闘の要は、情報です」


トリテレイア・ゼロナイン
【全世界サイボーグ連盟】で参加
アドリブ&絡み連携OK

この環境は戦いを拒否する少女には酷に過ぎますね…

拓未様の初動援護の為UCのバリアを壁として戦場に一時的に展開
ミサイルを低空で落とされぬ様●かばいます

その後自身のセンサーの●情報収集で●見切った敵味方の位置データをウィンディ様に送信し(ハッキング)彼女の「目」の一つとして補助しつつ、クネウス様の直援としてUDC-Pに接近
改造終了まで格納銃器での●スナイパー射撃で応戦
再度展開したバリアと●武器受け●盾受けで●かばいます

見知らぬ装備、見知らぬ人…不安かと思われます
ですが私達は貴女を受け入れる為此処へ参りました
顔を上げて、一歩を踏み出してみてください


リオ・ブレンナー
【全世界サイボーグ連盟】で参加
アドリブ&絡み歓迎

一般人相手じゃ殴り合いってわけにゃいかねーからな
ようやくマトモな喧嘩ができるってもんだ
とりあえず銃口向けてるヤツらは、皆殴り倒していいんだろ?
じゃぁ遠慮なく…戴くぜぇッ!

同僚達の爆風煙幕や情報連携の支援はありがたく使わせてもらうぜ
貰えるものは病気と借金以外はなんだって貰うのが信条だからな

んでもってオレのやることはシンプルに殴る!
見た感じ射撃がお得意みたいだがよ、オレの流儀にも付き合ってくれや
手近な瓦礫を【怪力】で掴み上げ即席の盾にして、強引に懐に突っ込んで「スクラップフィスト」を叩き込むぜ!
数が多かろうと知ったことか、一体一体殴り倒してやるよ!


サブナ・ダディ
【全世界サイボーグ連盟】で参加
アドリブ&絡み歓迎
「狭いなら狭いなりに使い道はあるんだよ!」
【POW】//UC【タケミカヅチ】発動し、【武器受け】込みで後衛陣の盾になりながら前進、敵軍の陣地を削りながら一斉放火のタイミングを見計らい解除、解除と同時に特攻を仕掛ける//「俺に構わず全員俺ごとぶち抜けぇ!!」


ミハエラ・ジェシンスカ
戦闘の為にデータを収集するのではなく、ただデータの為だけに戦闘を繰り返す
それが今のこいつらの使命というわけか
哀れなどとは言うまい
そのまま終わりなき使命に殉じるが良い。最期までな

他の猟兵が展開した煙幕に便乗して行動を開始する
フォースレーダーの照射による【情報収集】で敵の位置を把握しつつ
煙幕をブラインドに各個撃破を狙っていく
【邪剣開帳】や私自身へ意識を向けた隙にドローンによる意識外からの【暗殺】
さらには【催眠術】による情報欺瞞も織り交ぜる
悪いが「危機を感じる」暇などは与えん

煙幕が晴れた、ないしはこちらの手の内が看破された後は
4刀とドローン2基による【2回攻撃】の手数を武器に立ち回るとしよう



●鋼鉄の祈り
「この戦場の爆炎、轟音……。良いハコねぇ、気に入ったわ!」
 三階開発実験棟という名の演習場は最早、入ってきた時の跡形も無くなっていた。炎が渦を巻き、硝煙と噴煙が舞い上がり、紫電と爆炎がそこかしこを埋め尽くす。積み重なる人形の骸を前に、河原崎・修羅雪姫(プリンセス・スノーブラッド・f00298)は堂々と戦場を睥睨した。
「報告。戦況は猟兵が優勢、されど敵の兵力は無尽蔵――どうやら」
 電脳ゴーグルに映し出されるリアルタイムの戦況報告に目を通し、仲間の猟兵から刻々と送られてくる戦況を読み上げるクネウス・ウィギンシティ(鋼鉄のエンジニア・f02209)は、姫に付き従う従者の様に、恭しく修羅雪姫に言葉を尽くす。
「俺が通ってきた廃棄場から、死にかけが続々と這い上がってきてるみてえだな。まるで地獄の亡者さね……」
 廃棄場から直接上がってきたサブナ・ダディ(サイボーグの破戒僧・f21228)が、自ら目にしてきたものとクネウスの報告を合わせて、この惨状の原因に深い悲しみの念を抱いた。敵とは言え、使い捨ての道具として続々と投入される彼女らに、果たして救いはあるのだろうかと。
「暫定的にこの戦場を三つのエリアに分けました。既に仲間達が両翼に敵をかき集めて応戦。完全に圧倒してはいますが、物量差だけはどうにもなりませんね」
 その状況を淡々と、ウィンディ・アストレイ(W-ASTRAY・f09020)が整理する。投入された全戦力は自分達『全世界サイボーグ連盟』と二人を除いて十名、その何れもが一騎当千の猟兵であれば、規模としては一個師団にも比肩する。その戦力を以てしても、無尽蔵に湧き上がるオブリビオンが相手となっては、いつまでも優勢を保っていられる訳ではない。
「それでも、皆様のおかげで中央は比較的空いてますわ。攻め込むならば今が好機かと」
 だがその威力は、保護対象のUDC-Pへ向かう中央を境に左右に分断されたと、ドロレス・コスタクルタ(ルビーレッド・f12180)が凛と返す。無論敵もまだ残ってはいるが、最大戦力を今すぐ回すことなど不可能だ。
「ああ。それにこっちも援軍と合流してんだ。物量だって負けちゃいねえよ」
 全身の武装をくまなくチェックして、次の戦いに備える宙夢・拓未(未知の運び手・f03032)。こちらも総勢十名の大所帯、中央の突破だけならば十分過ぎる戦力を誇っているのだ。
「いいからよ、さっさと殴りに行こうぜ、なあ?」
 両の拳を打ち付けてリオ・ブレンナー(スクラップフィスト・f23265)が叫ぶ。どちらにせよやる事はシンプルなのだ。目の前の敵をぶん殴ってブッ飛ばす。これまでみたいに一般人が相手ではない。全力で叩ける相手を前に、リオの感情は最高潮に昂っていた。
「はい。私も直ちに戦闘を終息させる事には賛成です」
 リオの背後から巨大な影が――騎士然とした歴戦のウォーマシン、合流したトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)が早期の決着に賛同する。戦いを拒否する少女には余りにも酷な環境……故に騎士として、早々に悪夢を拭い去ってやりたいのだと。
「無論、私もだ。哀れな連中だが、いや……哀れなどとは言うまい」
 その傍には痩躯の巨体――同じくウォーマシン、されど邪道の剣士ミハエラ・ジェシンスカ(邪道の剣・f13828)が。戦闘の為にデータを収集するのではなく、ただデータの為だけに戦闘を繰り返す存在。手段と目的が逆転したような呪われた存在に己の内心を重ねたか、ミハエラは静かに言葉を紡ぐ。
「それじゃ、行こう。Re-Eには悪いけど――量産型は壊させて貰うよ」
 そして眼前の人形『リエ・デッドコピー・ルシーズ』に酷似した――されどその美しい髪は眩い白銀に彩られたリズ・ルシーズ(Re-Z・f11009)が、決意を秘めた強い口調で作戦の開始を告げる。僅かな希望、UDC-Pとなった姉妹を救う為に。
「はーい、じゃあ行くわよぉ。全サ連特攻っ!」
 修羅雪姫が巨大な戦旗を掲げ、声高らかに宣言する。重厚にして壮麗、血とオイルと硝煙の香りがする、鋼の団結を示す御旗のもとに集いし十人の戦鬼が、血煙の中へと駆け出した。

「私は半人半機のメタルモンスター! 心臓はビス止めで、クロームの3重構造で出来ている!」
 魂の律動が戦場に木霊する。電気仕掛けの重厚なギターが修羅雪姫のタッピングに合わせて断続的に、アームが唸ればそれに合わせて登り竜の如き火炎を四方へと吐き散らす。
「血管に流れるケロシンが、ハートを熱く焼き焦がし! 私は歌う、燃え尽きるまで!」
 修羅雪姫の超常――鋼鉄の咆哮が戦場というライブハウスを激しく揺らして、仲間達の魂を芯から強く奮わせる。その荒々しくも繊細な音色は祈りにも似た狂奔、圧倒的な存在感が放つ調べは、正に戦場の支配者の風格を示していた。
「来たぜ来たぜ、修羅雪姫のウォークライが!」
 そして魂を奮わされた仲間が一人、また一人と己の力を解放する。
「こっちも一丁、おっ始めるとするか!」
 拓未が己の超常――内蔵火器の超強化を発現、脳裏に浮かんだセレクターが全てアクティブの位置を表示して。
「アームドセレクト、クラスターミサイル!」
 攻撃回数増強、開幕のどデカい花火を打ち上げてやる――全身を駆け巡る電流がFCSの制御機構を加速させて、倍加した演算速度が瞬く間に敵群をその目に捉えた。
『Enhanced weapon...power! power! power!』
「マルチロック! 掻き鳴らすぜッ!」
 唸る電子音は必殺の証。両肩に仕込まれたミサイルが一斉に火を噴いて、天井目掛けて一直線に弾体を加速させる。
「データリンク、着弾予想地点に敵を追い込みます」
「防壁展開、この中へは入れさせません――!」
 その動きに合わせてクネウスが己の鎧装を解き放ち、追い込み漁の様に人形達を算出された地点へと誘い出す。反撃と迎撃の銃火器はトリテレイアが張り巡らせた超常のバリアが、檻の様に射線を囲ってその威力を封じ込める。自由を奪われた人形達、そして拓未が放ったミサイルが急降下――弾頭から無数の小型ミサイルを一斉に解き放った。その威力は足場の鉄板を歪めて、足を取られた人形達が続々と雪崩のように倒れ込む。
「着弾確認。さて……視界が狭まった所で、ボクの『仕事』を始めましょうか」
 更に立ち込めたミサイルの爆炎が煙幕となって、遮られた視界は物理的に人形達の連携を崩していった。それに乗じてウィンディが放つ超常――範囲内に封じ込めた敵群の電子的探知能力を一斉に無効化。ビリビリと紫電を纏ったウィンディが片手を上げれば、その動きに釣られた人形が内側から侵食される。高威力のハッキング、人形達の統御システムそのものを乗っ取って、本命への布石を着々と積み重ねていくのだ。
「先に出るぞ――この機に乗じさせてもらう」
 煙幕は動きを封じるだけではない。動きを止めた今こそが強襲の好機。念動探知で敵の位置を把握したミハエラは静かに速く、手にした光剣で人形の首を無慈悲にも切り落とした。
「そのまま終わりなき使命に殉じるが良い。最期までな」
 位置は全て把握している。遠隔で動き回るドローンに、隠し腕に仕込んだ邪剣――容赦の無い四刀流が、密集した人形を物言わぬ骸へ変えるのに、さして時間はかからなかった。
「悪いが『危機を感じる』暇などは与えん」
 ドローンが光剣を発振すれば、そのまま急所を刺し貫いて――超常の邪剣は僅かな間に、骸の山を続々と築いていった。
「システムだけでは真似できない連携をお見せしますわ!」
 強襲はミハエラだけの技ではない。着弾地点外縁部、直撃を免れた人形達が地獄のアギトから逃れようとしても、直上より迫るドロレスの一撃を避ける事は叶わなかった。
「バランサーアクティブ――これを見切れまして?」
 壁に打ち込んだワイヤークローを一気に巻き上げ、高所からの三次元戦闘。勢いをつけた膝蹴りが人形の後頭部を砕き、その反動で更に上の天井へと飛翔する。
「隙あり! 一気に決めます!」
 欺瞞されたセンサでは超高速で動き回るサイボーグ戦士を捉える事など不可能だ。超常の一撃――神速の急降下蹴りが人形の脳天を打ち砕いて、その衝撃が巨大なクレーターを形作る。それに続々と飲み込まれた人形が、放たれたドロレスの大口径銃弾でオイル塗れの骸へと変えた。
「へッ、ようやくマトモな喧嘩ができるってもんだ」
 まるで酩酊したかの様にふらつく人形の前に、全身に紫電を纏ったリオが姿を現す。肉食獣の様な獰猛な殺気を放つリオに対し、無意識に銃口を向ける人形達。それは恐れからか、あるいはそういうプログラムからか。
「お前、ソレを向けてるってことは、殴り倒していいんだろ?」
 そんなのはどちらでもいい。お前が向けた、だから殴る――徹底的にだ。不敵な笑みを浮かべてリオは、足場の鋼鉄を怪力で強引に引き剥がす。バリバリと落雷のような音を響かせて、手にしたそれは即席の盾。これで撃って来ようが来まいが、強引に突っ込むだけだ。
「じゃぁ遠慮なく……戴くぜぇッ!」
 恐慌状態の人形が悲鳴のような銃弾をリオに浴びせる。しかしそのどれもが分厚い鉄塊に阻まれて、懐に入られた人形は一人ずつ、丁寧に、正面から鉄拳がぶち抜いた。ガシンと大きな足音を響かせて、全身のシリンダーからプラズマを吐いたリオは満足げに、倒れ伏せる骸を一瞥するのだった。

「よろしいですか、リズ様」
 煙幕に紛れUDC-Pへ向かう者達――リズ、トリテレイア、クネウス、サブナはこれまでの戦闘で歪に曲がった鉄板と鉄板の間を、身を隠すように進んでいた。己が姉妹機に下された運命の悪戯――しかし救いの手を差し伸べるまで、立ち塞がるのは同じ姉妹。その境遇をトリテレイアは、幾度も宇宙で剣を交えた兄弟と姿を重ね、リズに尋ねたのだ。自ら手を下し続ける事に、異論は無いのかと。
「うん。姉妹機の不始末はボク達が片付けないとね!」
 しかしトリテレイアの心配をよそに、リズの心は決まっていた。倒すべきを倒し、救うべきを救う。それだけの事なんだと。
「心配してくれてアリガト! ボクは大丈夫だから。だから――」
 リズが礼を述べた刹那、不意に正面から銃弾が叩き込まれる。間一髪電磁障壁を展開したトリテレイアがそれを防いで、後続と全軍管制を行っているウィンディに状況を伝える。
「何としても突破するんだ。アーカイブ接続、ブループリント読込、圧縮展開」
 空間が歪む。そして鋼鉄の通路の前方に人形と同じ――否、現れたのはリズの超常。己自身の量産型が群れを成して、円形の刻印から一斉にレーザーを放つ。
「ボクはルシーズ、ボク達はルシーズ。ボク達の本質、見せてあげるよ!」
 あどけなさの中に秘めた芯の強さが、ルシーズを統べるモノの誇りが、戦闘人形にあるべき姿を示さんとして。黒と銀は勇ましく悪しき可能性と対峙した。

「まるで塹壕戦だな……だがまあ、道はある」
 RとR――同型機同士の激しい銃撃戦は止む事無く、防御に全力を注ぐトリテレイアはウィンディと共にUDC-Pへのハッキングを試みるクネウスを守る為、身動きが取れない状況でいた。このままではジリ貧だ――意を決したサブナはリズ達の側へ、その巨体を曝け出す。
「どんなに狭かろうと、狭いなら狭いなりに使い道はあるんだよ!」
 左右が鉄板に塞がれた道ならば、ここより逃れる術は無いという事。それが既にボロボロの人形であれば尚更――故にサブナは己の超常をここに解禁した。
「我が招来せしは戦場の神――薙ぎ払えッ、タケミカヅチ!」
 轟雷と共に顕現するは超常の戦神。荒ぶる雷を身に纏い、手にするは巨大な金棒と退魔の長銃。大口径弾を放ちながらゆっくりと前進する戦神は、重機関砲の乱舞を金棒で打ち払い、返す一撃が人形をひしゃげた鉄板にめり込ませる。正しく八面六臂の威容は、押し止まらんと固まった人形達を蹴散らして、続く仲間達への活路を切り開く。
「俺に構わず、全員俺ごとぶち抜けぇ!!」
 呪われた骸なれど、その運命には同情を禁じ得ない。ならばこそ、僧籍の末端に身を置いた自分こそが、この場を収める要石となろうぞ。戦神に続いて獲物を振り回すサブナの咆哮を耳にした三者は、彼を置いて更に先へと進んでいく。
「さあ来い人形ども、俺が須らく救ってやるからよ」
 だからこれ以上、邪魔をするな。

「進路クリア。行きましょう」
 殿を務めるトリテレイアが全走査、続くリズの量産型が進路を確保し、ハッキングを続けるクネウスを護衛しながらUDC-Pの元へと進む。
「聞こえますか、Re-E-Mp……」
 問いかけるクネウス。ウィンディの支援があるとはいえ、正規ルートが遮断された異端の存在と化したUDC-Pに、果たして自身の声は届いているのだろうか。
「救いを求めるならば、それを誰かに伝えねばなりません」
 だから、この声が届いているのならば、その声を聞かせてほしいと。
「クネウス、着いたよ!」
 不意にリズが嬌声を上げる。旅路の終点――UDC-Pが座するその場所には、磔の拘束を解かれ、精神への強制介入を破壊され、生命維持のチューブのみが繋がれた、力無き少女が目を閉じて佇んでいた。
「ウィンディ様、到着しました。こちらの護衛はお任せを」
「了解です。敵回線への直接侵入攻撃は継続、時間は稼ぎましょう」
 トリテレイアが通信でウィンディに報告する。電子攻撃と管制を一手に引き受けているウィンディに掛かる負荷は想像を絶する。それに人形達も徐々に、学習し対抗パターンを構築し電子戦に適応し始めていた。
「はい。物理的な障害は……私が」
 故に余り時間を掛けられる状態ではない。既に一騎当千の兵達が人形どもを引付けているとはいえ、いつここまで奴らが辿り着くとも限らないからだ。
「問題ありません。必ずや救い出してみせます」
 そして電磁障壁を展開したトリテレイアがその場に陣を張り、作戦は最終段階を迎えたのだった。

 ――声が、聞こえる。それは知らない声。

 ――もう私をそっちへ呼ばないで。私は、私は。

 ――Re-E-Mp、リエ、ルシーズ。違う、私は。

 ――私は、誰?

「別に覚えて頂かなくても構いませんが……戦闘の要は、情報です」

 ――誰の声、なの?

「見知らぬ装備、見知らぬ人……不安かと思われます」

 ――不安、そうよ。装備? 何の事?

「……パターン解析完了。時間がありません、荒療治となりますがお許しを」

 ――ああそうだ、私がかつて私だった時。
 ――私は私達にされる為に、肉体を作り替えられたのだ。

「対象の自発的な脈動を確認。心拍微弱、特殊外骨格の再起動を確認」
「やったねクネウス! でももう、こっちも持たないかもしれないよ!」
 度重なるハッキングによる強制コンタクト、生命維持装置を逆解析して行った再起動シーケンス、データ取得用のコード接合部より古い統御コードのリムーブコマンド実行、全てを行い、紙一重のタイミングで彼女は目を覚ました。
「…………」
「私達が、分かりますか?」
 大盾を構え人形の度重なる砲火を凌いだトリテレイアは、彼女にそっと手を伸ばす。
「…………」
 その手をそっと、お伽噺の姫と騎士の様に取り、彼女は自身が架けられていた寝台より身を起こした。
「よかった」
 そして騎士はその場に倒れる。最後まで仲間を守り通した機械の巨体は大きな音を立てて、その場で横になった。
「トリテレイア! クネウス! トリテレイアが!」
 量産型を指揮するリズが悲鳴を上げて仲間を呼ぶ。徐々に攻勢を増していく人形達の砲火にかろうじで耐えてきたが、防御の要が倒れた今、ここの陥落も時間の問題だった。
「――恐らく電磁障壁の使い過ぎによる、一時的なエネルギーダウンでしょう」
 冷静に状況を検分したクネウスは、静かに仲間へ状況を伝える。
「こちらクネウス、彼女は目覚めた。これより直ちに合流します」
 話しながら背負った道具を手際よく組み付けて、即席の筏の様な漆黒の飛翔体を建造した。
「GEAR:DEUS EX MACHINA。機械仕掛けの神話は此処から始まる」
 超常を秘めた言葉と共に、筏が宙を浮く。そして彼女を手招きして筏へ乗る様にと示して。
「歩けない? だったら」
 ひょいとリズが彼女に肩を貸して、そのまま一緒に筏へと乗り込んだ。同じくらいの背格好、重量も1トンは軽く支えられる特注の筏だ。二人乗りでも問題は無い。
「当グループの製品はユーザをお守りします。さて」
 にこりと笑みを浮かべたクネウスは全装備を展開、砲火に対して正確無比な反撃を喰らわして。先に彼女を送り届ける事が出来れば、後はどうにでもなる。
「リズさん、どうやら彼女は喋れないようです。このチャンネルで直接、語り掛けてみてください」
「え?」
 そしてそのまま筏の推進機に火を入れて、二人を元居た場所へと強引に押し返した。これまでの戦いで敵の射撃統制、精密さ、射程は把握した。あれの速度なら追いつかれる事もあるまいと、トリテレイアを背にしてその場で三度陣を敷く。
「随分と大盤振る舞いをしてくれましたね。誠心誠意お返ししましょう」
 ターゲットロック――狙撃銃、エネルギーランチャー、ミサイル、機関銃、ありとあらゆる兵装のセーフティを解除。ここから先は『技術者』ではない『狙撃手』の時間だ。群がる人形達を前に、クネウスは静かに反撃のタクトを振るった。

「奴が倒れただと。全く、無茶をする――」
 言うより早く、ミハエラが四刀を仕舞い風の様にクネウスが控える最奥へ駆け出した。煙幕が晴れて尚、電子攻撃によりまともに動けない人形達を斬り伏せ続けて、最早幾つの敵を葬ったかすら定かではない。作戦の本懐は済んだのならば、後は全員無事で撤退するだけ。故に仕上げに向かっただけの事だと、後に彼女は述回した。そもそもが邪道の剣、正面から正々堂々相手にするのは他の奴に任せればよいのだから。
「って、リズとその子はこっちに向かってるんだろ。大丈夫なのか?」
「クネウス様の事です。心配は無用かと。ただ……」
 拓未とドロレスの不安。それは未だ眼前で繰り広げられてる戦いにあった。
「なあ、こいつ等いつまで出てくるんだよ。流石に飽きたぜ!」
 愚痴るリオの言う通り、倒しても倒しても次から次へと人形体はいずこから湧いて出てくる。それら全てが五体満足という訳ではない。にも拘らず、殺意を剥き出しにして重機関砲をガラガラと撃ち続けてくるのだ。
「これら全てを葬る方法は――これらが生まれる場所を破壊するしか」
 そんな場所がここにあるのか。いや、一つだけ……一つだけ、人形達がここ以外に、無数に重なる場所があった。
「ああ、そういう事だったのか……」
 焼け焦げた金棒を担いで、ふらりと現れたサブナが呟く。あそこは捨てる場所ではない。生まれ出ずる場所でもあったのだ。
「それじゃあ行きましょう。フィナーレよぉ」
 ギターを肩に掛け、戦旗を担いだ修羅雪姫がにたりと笑って一同を眺める。
「いいぜ、俺はまだまだ暴れられる!」
「って、どこ行くのかな?」
 鼻息を荒げるリオ。そしてリズが彼女を連れて皆の元へ戻ってきた。まだ歩けない彼女に肩を貸して、集う面々にきょとんとした表情で状況を伺う。
「お疲れ様ぁ。ちょっとね、最後の仕上げを――」
 ふと修羅雪姫は一人で歩けない彼女に気付く。そして、その頭をそっと撫でる。
「安心なさい。あなたはここでフィナーレの凱歌を聞いていればいいわぁ」
 撫でたその手をそのまま上げて、修羅雪姫は廃棄場へ続くエレベータの方へと姿を消した。
「そうだ。安心しな、俺達はお前を助けに来たんだ」
「大丈夫です。私達の団結の力、見せて御覧に入れましょう」
 リズの肩越しに声を掛けて、拓未とドロレスも修羅雪姫に続いた。そして続々と、彼女らを守れる最低限の戦力を残して猟兵達は廃棄場へ向かう。
「随分と凄い事になってたんだねぇ」
 声を出して彼女に話しかけるリズ――ああそうだ、この子は喋れないのだった。
(うん、絶対に君を守るから――安心して欲しいんだ)
 彼女に伝わる唯一の周波数――この子はリエとは違う。でも、リエと同じ様に作り替えられたんだ。それはきっと、ボクらと同じ。気が付くと目の前には、自身と同じ姿の面々、量産型のルシーズが心配そうにリズ達を見守っていた。
「――みんなお疲れさん。自爆しなかったんだね」
 不意に物騒な事を宣うリズ。その言に僅かに笑みを浮かべる量産型達。そして。
『――あ、りが――と――――』
「君、今……?」
 彼女が、喋った。同時に鉛玉をばら撒いていた無数の人形達がその姿を消す。遅れて伝わる振動が、修羅雪姫達の最後の作戦が成功した事を、暗に示していた。
「…………歌?」
 その振動に乗って聞こえた調べは、熱くも儚い情熱の音色。
 それは祈りにも似た、鋼鉄の歌。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『UDC-P対処マニュアル』

POW   :    UDC-Pの危険な難点に体力や気合、ユーベルコードで耐えながら対処法のヒントを探す

SPD   :    超高速演算や鋭い観察眼によって、UDC-Pへの特性を導き出す

WIZ   :    UDC-Pと出来得る限りのコミュニケーションを図り、情報を集積する

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●××区UDC-P案件に関する報告書

【概要】
 2019年10月末日、×××自動車××技術研究所跡地にてUDC事案発生。
 以降、邪教組織「殺し屋人形」(以下、甲)本拠地強襲と、それに伴うUDC-P保護の作戦を承認。迅速に事態を収拾すべく秘関連(以下、乙)の戦力投入を実施。
 同日正午、当該施設に潜伏していた甲の構成員の拘束、及び対UDC事案の終息を確認。
 併せて保護されたUDC-Pへの回復措置、並びに初期接触の記録を以下に記す。

【当該UDC-Pの詳細情報】
・登録名『リエ・デッドコピー・ルシーズ』
・個体名『Re-E-Mp No.005-03-21-1109』(以降REMと呼称)
・備考
 ・REMの構成部材は脳組織と一部臓器を除き凡そ機械部品である
 ・骨格及び一部臓器にナノマシンによる分子強化措置を確認
 ・REMの声帯組織に著しい欠損が見られた。再生機能が低下している模様
 ・REMの運動機能について正常な制御が不可能な状態
 ・REMに内蔵されている各種兵装は健在。及び安全装置の欠落を確認
 ・REMと何らかの因果関係のある乙の接触を確認
 ・保護時点でのREMとの対話手段は特定周波数での無線通信のみ

【当該UDC-Pとの接触に関する注意事項】
・優先してREMの諸機能の回復を実施し、尚且つ安全な状態で引き渡す事を試みる
・可能な限り対話による接触を試み、以降の精神的抵抗を和らげる事を試みる
・取得すべき情報については乙に一任するが、甲に関する情報は聞きださない事
 ・これは既に捕らえた甲の構成員が多数いるので、時間を有効に使う為
・アプローチ内容による差異を記録する為、接触手段に規制は設けない
 ・REMへ呼びかける際の呼称も乙個人に一任する
・REMに対して意図した精神的な威嚇、並びに物理的な攻撃は厳禁とする
 ・但し自衛手段としての行使についてはその限りではない

――続いて、乙による当該UDC-Pへの初期接触に関する映像記録を報告する。

※恐れ入りますが、サポート以外のプレイングは11/10(日)8:30より募集致します
高階・茉莉(サポート)
『貴方も読書、いかがですか?』
 スペースノイドのウィザード×フォースナイト、25歳の女です。
 普段の口調は「司書さん(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、時々「眠い(私、キミ、ですぅ、ますぅ、でしょ~、でしょお?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

読書と掃除が趣味で、おっとりとした性格の女性です。
戦闘では主に魔導書やロッドなど、魔法を使って戦う事が多いです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


キア・レイス(サポート)
大得意 隠密・潜入・暗殺・遠距離攻撃・籠絡
得意 偵察・探索・支援・制圧・集団戦・時間稼ぎ
不得意 目立つ・コミュニケーション・ボディタッチ・格闘戦
特技(アイテム装備時)ピアノ演奏・歌唱・二輪車操縦

幼い頃から吸血鬼に飼われていた奴隷
吸血鬼の魔力を少量ながら持ち一部UCはそれを元に発動している
現代火器による戦闘と斥候・諜報・盗賊行為が得意な他、色香を使った誘惑が得意技
反面普通の人と関わったことが少なく踏み込んだ会話が苦手、他に不用意に身体を触られると不快感を覚え一瞬身体が動かなくなる

アドリブ歓迎
UCや装備品の説明文は読んで頂くと書きやすいと思います
また一部UC使用時の口調は覚醒時を使用してください



●CASE:1 来訪者
「私はな、戦闘があると聞いて来たのだぞ」
「そうですねえ。終わってて良かったですねえ」
 未だ硝煙が晴れぬ三階開発実験棟――遊撃部隊として呼ばれたキア・レイス(所有者から逃げだしたお人形・f02604)と高階・茉莉(秘密の司書さん・f01985)は、幸か不幸か戦火に巻き込まれる事無く、先ずは体勢を立て直している猟兵達に代わってREMの護衛についていた。
「良くない。全く良くない。挙句の果てにしばらくここで護衛とは」
「非常に貴重な体験ですよぉ。UDC-Pとの接触は私も初めてですし」
 非正規戦闘を本分とするキアにしてみれば拍子抜けもいい所、まさかの立ちんぼ業務に憮然としつつ、再び目を閉じたままのREMを横目で見る。それとは対照的に、あからさまな争いごとに巻き込まれなかった事に安堵する茉莉は、思いもよらぬ貴重な未知との遭遇に胸を高鳴らせ、REMが眠る磔の様な作業台を舐めるように見回した。
「む……せめてこれの戦闘記録でも」
 暇を持て余したキアが痺れを切らして、REMに接続されている記録端末をガチャガチャと弄りだす。そこにはこれまでREMが――Re-E-Mpが戦い、蓄積されてきた戦闘データの数々が整然と残されていた。その戦いぶりはどれも勇猛にして苛烈。むしろ無謀――己の命すら顧みない、それは戦いというより闘争の儀式の様であった。
「……まるで戦いの奴隷だ」
 キアの感じ取った気味の悪い感触。まるで戦いの為の戦い、己の意思ではない――何か別の、悍ましい意図に仕組まれて、終わりなき戦いを繰り返すだけの存在と化した、彼女と彼女達の悲しい記憶。自由など無い、戦闘人形の呪われた出自が、延々とモニタに映し続けられる。
「余り、いい思い出は無さそうですね」
 ちらりとモニタに移る凄惨な映像を覗いた茉莉が、悲しそうに吐息を漏らす。それしか知らない、戦う事しか出来なかったという事実。それに抗おうとも、それしか知らぬというのでは、このまま目を覚ましても意思が記憶に押し潰されてしまうだろうという哀れみを秘めて。
「せめてこれから先の人生? いやサイボーグ生? に実りある記憶があれば」
 だから一筋の、未来への道を照らす事が出来ればと――茉莉は自らの超常を解き放ち、REMの前に捧げるのだった。それは茉莉が開けた本より溢れる、光の奔流。
「貴方も読書、いかがですか?」
「痛くないのだろうな、それは」
 眩い光が、邪悪を退ける無限の文字列が煌々と、眠るREMを明るく照らす。
「大丈夫です。この光が退けるのは、悪しきモノだけですから」
 既にその環から外れた彼女なら、きっと大丈夫と信じて。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ユエイン・リュンコイス

自己紹介をしてから対話と作業を開始。怖がらせないよう『コミュ力、優しさ』で気を遣いながらね。
問題としてはハードとソフト両面共に状態が宜しくない、と。まずはこれらを修理してしまおう。
【水月の識眼】で損傷具合を『情報収集』しつつ、ソフト面は有線接続した【叡月の欠片】の『ハッキング』でデバック。最低でも問題個所の把握はしたい。
並行して、声帯部と武器にも手を付ける。なに、ボク自身人形だし、機人の整備でそのあたりのノウハウには聡いつもりだ。『メカニック、武器改造』で共食い整備して、発話能力と安全装置を取り付けてしまおう。

我らは見るために生まれ、だ。これから世界を歩むキミに不備が在ったら忍びないからね?


絡繰・ビリー

REMかー、じゃあレムって呼ぼう!

・SPD行動
ガジェットギアとギアフォン展開、接続、無線を音声出力!まずは検査と治療だね
安全装置も付けよう

「大丈夫、痛くないよ。君を治療させてほしいんだ」

【メカニック】技能で物理的な損傷を、【ハッキング】技能でデータの損傷を治す!
あ、厄い記憶はコピーしてロックしとくよー

「身長足らない!カモン、ギアホーン!足場になるのだ!」

あ、驚いた?ゴメンね
この子は私が作った!撫でてもいいよ?大人しいからね
ついでに身体能力も調整するよ

最後に一緒に写真を撮ろう!
辛くても迷っても、思い出があればなんとかなる

「はい、スマイル!」

ドローンで【撮影】したデータを送信!
うん、いい顔だよ!


祓戸・多喜
何とか救出はできたけども、あの子はこれから。
色んな難しい事もあるけれどできる事なら今のうちにやっておきたいよね!
誰かに強いられて戦うばかりの日々でなく、穏やかな日々を望むなら猶更。

そんな訳でまずは普通にお喋りしてみる!
最初は無線で、できるなら直接声で話せるように。
もし喋り慣れてないだけなら練習して良くなるかもだし…とにかく人に伝える練習今のうちにやっておいた方がいいと思うんだ。
そうすればこれからもやり易いだろうし。
話す内容はまずお互いに自己紹介。それからやりたい事!
アタシはあなたと友達になりたいけど…いいかな?
色々お互いに知る事、それがきっと友好には大切だと思うから。

※アドリブ絡み等お任せ🐘



●CASE:2 人形遣いと少年少女
 REMが眠る作業台の前に、小柄な色白の少女が近づく。
「こんにちはREM、気分はどう?」
 その少女は目を瞑るREMの手をそっと取ると無線を繋ぎ、柔らかい声色で話を続ける。
「ボクはユエイン・リュンコイス。猟兵で――人形だ」
 ユエイン・リュンコイス(黒鉄機人を手繰るも人形・f04098)はミレナリィドールだ。それは人の形をした生ある絡繰。更にユエインは人形遣い――人型に精通した自分の知識と経験で、REMを救えないかと率先して現場に現れたのだ。
「そういう意味ではキミと一緒だ。だから安心して欲しい」
 自己紹介を済ませながら、眼球に着けたARデバイスでREMの状態を検分する。表面上徐々に治癒している様だが、どこか歪な――特に外骨格部分と肉体の合わせがずれている気がする。そのまま自身の演算デバイスを有線接続し、今度は内側からデバッグを続ける。
「……少しだけ、話を聞いてくれるかい?」
「REMかー、じゃあレムって呼ぼう!」
 ざっくり判明した問題として、ハードとソフト両面共に状態が宜しくない、と。まずはこれらを修理してしまおう――そう考えていた矢先に現れたのは絡繰・ビリー(スクラップギア・f04341)。仮想生命体の少年はニコニコと笑顔を振りまいて、いつの間にかユエインの側にいた。
「…………」
 突然の闖入者を咎める事も無く、起動しているデバイスでビリーの様子を伺った。この子もエンジニアか。ならば、人手は多い方がいい。
「丁度いい、今治療中なんだ。手伝ってもらおうか」
「オッケー! じゃあちゃっちゃと始めちゃおう!」
 その喧しさにREMが閉じた片目をうっすらと開く。いつの間にか繋がれたケーブル、見知らぬ顔、動けない――変化している自分に恐怖し、僅かに体をこわばらせた。
「大丈夫、痛くないよ。君を治療させてほしいんだ」
 その様子をそっと宥めて、ユエインとREMの手に自身の手を重ねるビリー。自分達は敵じゃないと彼女に分かって貰う為に。
「我らは見るために生まれ、だ」
 不意にREMの頭に声が響く。それはユエインからの無線。
「これから世界を歩むキミに不備が在ったら忍びないからね?」
 だから安心して欲しい。キミはボク達が救うから。

「身長足らない! カモン、ギアホーン! 足場になるのだ!」
 ビリーはまずREMの右腕の修理を試みたが、如何せん作業台が高かった。故に超常が――辺りに散らばるガラクタが獣の姿を成して、ひょいとビリーをその背に乗せる。これで届いた、早速作業をと手を伸ばしたビリーの視線が、不思議そうにこちらを除くREMの視線と交わる。
「あ、驚いた? ゴメンね」
 この子は私が作った鋼鉄の動物さ! 撫でていいよ、などと言うが肝心の腕は修理中。早く直してあげなきゃとビリーは躍起になって作業に勤しんだ。
「あの、無線じゃないとお話出来ないんだよね?」
「そうだ。少しだけ相手をして貰えると助かる」
 その反対、左腕から心臓部、喉にかけて検分と修理を続けるユエインの背後に、巨大な象の女子高生――祓戸・多喜(白象の射手・f21878)がゆっくりと姿を現した。「よかった。やっぱりこの子が、心配で……」
 心から未知の世界に放り出されたREMを心配していた多喜。機械の事は分からなくても、それでも対話くらいなら自分だって出来るし、何より早く彼女を安心させてあげたい。その一心でやって来たのだ。早速備え付けの無線機でREMと会話を始める多喜。その様子を顔色一つ変えず――内心安堵した様子で眺めてユエインは作業に戻った。少しでもREMを安心させられれば、気を張るリソースを一つ減らす事が出来る。
(オブリビオンになる前からなのか――随分とブラックボックスの多い)
 何故ならば調査が難航――交戦したRe-E-Mpの中身とは明らかに違う構造になっているのだ。結果、当初の想定よりやるべき事が多い。事前想定タスクが既に23回も改められている。
(あるいは、UDC-Pとなる事で……進化? 馬鹿な、そんな現象は)
 つまりREMはRe-E-Mpとは全く別の存在へ変わろうとしているのか? ならばやるべき事は大きく変わる。共有している仮構造図を一旦破棄し、最低限の解析部分以外は迂闊に手を付けない方がいい。
「あ、厄い記憶はコピーしてロックしとく……んん?」
「迂闊にアクセスしない方がいい。ボク達は彼女の全てを知っている訳じゃない」
 ビリーがREMの記憶領域に手を出そうとした時、そのコマンドが急に遮られる。それは彼女の意志か――無論、乙女の秘密を暴くのは、可能であれば避けるのが賢明だ。

「あの、好きな食べ物は何かな? 今はタピオカが」
『タピオカ……何……?』
 無線で楽し気にREMと対話を続ける多喜。その側でユエインがぼそりと告げる。
「何を話してるんだ。声帯の仮組が終わったんだ。ちょっと試したい」
 多少時間は掛かったが、両腕と声帯の処置は完了した。これである程度の感情表現は出来る筈だ。
「レム、喋れる?」
 額の汗を拭いながら、恐る恐るビリーが尋ねる。おどけながらも必死に修理を行ったのだ。それもガラクタなどではない、意識のある生ける機械を修理したのだから、流石に疲労感を隠す事は出来なかった。
『……た……ぴ……』
 その呼びかけに応えて、REMがゆっくりと声を出す。先程の戦闘後とは違う、はっきりとした声色で――それでも。
「分かるの? 聞こえる!?」
 それでも、長く声を出す事は難しい様だ。表情も変わらない。無線ではあれ程軽快なやり取りをしていたのだ……意識ははっきりとしているのに、そのもどかしさから両手を握ったり、開いたりと繰り返すREM。
「もう少し掛かりそうだな。矢張り身体の構造が大きく変わっている」
 合わせて危険な武装の封印も試みたが、内蔵ロケットの撤去など実体弾の排除は出来ても、戦闘用アクチュエータの安全装置や光学照準器などの火器管制系は未だに手が出せない状態だった。それもREMが、Re-E-Mpでは無くなろうとしている為か。残骸からの共食い整備では、基礎的な構造物以外に手を出す事が殆ど出来なかったのだ。
「声変わりの亜種だよ。同じじゃ駄目なんだ。ここから先は――」
「そうだよね! オブリビオンから変わったんだもの、同じなんかじゃない」
 両手を握って、多喜が嬉しそうに叫ぶ。何とか救出はできたけども、この子はこれからだ。誰かに強いられて戦うばかりの日々でなく、穏やかな日々を望むなら猶更――今出来る事を全て、やっておきたい。喋り慣れてないだけなら練習して良くなるかもしれない。だから。
「REMちゃん、アタシはあなたと友達になりたいけど……いいかな?」
 それで一杯お話したい。もう一度ちゃんと自己紹介して、好きな事とか、やりたい事とか、行きたい所とか――沢山、沢山。身体が治ったら一緒にどこかへ。もう戦わなくていいんだから、と。
 そんな多喜の手をゆっくりと、REMの両手がしっかりと握って。
『……タピオカ……気に、なる……』
 はっきりと自分の声で、多喜へ言葉を伝えたREM。その口元が僅かに綻んで。
「はい、スマイル!」
 パシャリと、いつの間にかビリーが展開したドローンが、咄嗟に振り向いた二人の顔を写真に収める。その顔は少し恥ずかしそうな、驚いたような――それでも、希望を感じさせるに十分な、初めての微笑だった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

御形・菘
※ソロ希望
こんにちは、レムちゃんと呼んでもいいかな?
初めましてではないけれど…メイク落として普段着だしね
UDCの報告にしか、この記録を残す気はないから

私からは、喋り方だとか文字を覚えるだとかのもっと前、
これから出会う人たちとの、コミュニケーションの基本のレクチャーだよ
鏡を持ってきたから、自分の顔を見ながら表情を作り方を覚えよっか
嬉しい顔、怒った顔、悲しい顔、そして笑顔
どんな気持ちの時に、顔の筋肉をどう動かすか、それがどう思われるのかをね

レムちゃんの心はまだ子供、ゆっくり覚えていけばいいよ
この時期にちゃんと人の温かさを知らないと、後々どうしようもなく歪んで取り返しが付かなくなるかもしれないから…



●CASE:3 女神の休日
「こんにちは、レムちゃんと呼んでもいいかな?」
 一通りの検査と修理を終えて再び孤独に佇んでいたREMの前に現れたのは、花柄のワンピースを着飾った長髪の女性。スラリとした長身に赤みがかった滑らかな肌、少なくとも先程までこの戦場にいた人物とは思えなかった。
「初めましてではないけれど……メイク落として普段着だしね」
 僅かに口元を緩ませて、かの邪神……御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)はいつもと違う格好でREMの前に現れた。彼女なりの気遣いだろう、過分な威容を示す相手ではない。だからこそ、ありのままの自分の姿を曝け出すに至ったのだ。
 それにUDCの報告にしか、この記録を残す気はないから――いつもの妾はちょっとだけ休憩ね、と。不思議そうに首を傾げるREMに対して、菘はその横に座って子供をあやす様にREMの顔を覗き込んで破顔した。大丈夫、怖がらないでと。

「私からは、喋り方だとか文字を覚えるだとかのもっと前、これから出会う人たちとの、コミュニケーションの基本のレクチャーだよ」
 そう言い、眼帯に隠された目元をそっと撫でる。やはり完調ではないらしい――やや硬い頬の骨格につうと指を這わせて、そして自分の膝の上に戻す。
「鏡を持ってきたから、自分の顔を見ながら表情を作り方を覚えよっか」
 嬉しい顔、怒った顔、悲しい顔、そして笑顔。どんな気持ちの時に、顔の筋肉をどう動かすか、それがどう思われるのかをね――触診した所、重要保安部品たる頭部については十章ではないものの、顔の筋肉が緊張したままだった。先程も僅かに笑みを見せてはいたが、それしか分からない、出来ないのだろう。だからこそ自分の表情を覚える事は、これから世界に生まれ出でるREMにとって、大事なミッションだった。喋りながら手持ちのバッグより手鏡を出して、REMの前に出す。映る表情はマシンの様な堅い顔。これを少しずつ解きほぐす事が、私に出来る事だろう。何故なら私は――妾はその道のプロフェッショナルだから。

「レムちゃんの心はまだ子供、ゆっくり覚えていけばいいよ」
 通信機越しに心を解きほぐす様に、これまでの色んな冒険譚を語り聞かせる菘。その多くは辛い戦いもあったが、少なくともそれだけじゃあない。自分の動画が齎した沢山の笑顔の事、暗く苦しい宇宙での冒険の事、己のアイデンティティを賭けて巨大な敵と対峙した事、そのどれもが、感情豊かに表現されて、REMの心に少しずつ響いていく。
「そう、そんな顔よ。やっぱり可愛いじゃない」
 最後に軽くREMの頬にメイクを施して――年頃の娘に優しく教える様に。
 この時期にちゃんと人の温かさを知らないと、後々どうしようもなく歪んで取り返しが付かなくなるかもしれないから……だから覚えてほしい、信じてほしいと。世界も貴女も、こんなにも美しいという事を。

大成功 🔵​🔵​🔵​

河原崎・修羅雪姫
【全世界サイボーグ連盟】で参加・アドリブ歓迎

「REM……『レム』ね。可愛い名前を付けてもらったのねぇ」
「あとは、優しい心と。生き抜く意思を与えてあげたいわね」
 この事件に対してこう感じ、猟兵として参加します。

「UDC-Pと出来得る限りのコミュニケーションを図り、情報を集積する(WIZ)」に挑戦します。
UC「ヘビーメタル・シャウト」を使い、
エレキギターをアコースティックギターモードに切り替えて演奏。
優しく切ない旋律で、『レム』の生きる力を増大させます。
 
「はい、あーん」
そして【料理】技能でウサギさんリンゴ(リンゴの飾り切り)を作り、
彼女に食べさせてあげます。

リンゴ、それは知恵の実。
禁断の果実。


クネウス・ウィギンシティ
【全世界サイボーグ連盟】で参加
アドリブ&絡み歓迎

「アフターサポートは万全です」

【WIZ】

回収した朽ちた機体の『パーツ』、リズさんに提供頂いた『設計情報』を用いて食事機能と兵装改修に努めます。
【情報収集&メカニック&武器改造】

「部品も手本もある以上、後は手を動かすだけですね」
声帯組織は拓未さん、自律系と身体制御系はウィンディさんが担当。

「機械部位は交換、生体部位は復旧した食事機能による自然治癒に期待……」
「兵装は持ち込んだ商材と非致死性ゴム弾で改修、安全装置は思考制御型に……」

最後にマニュアルに以下を追記します。
・REMの危険レベル低下を確認、以後は可能な限り人間と同様に扱うことを強く推奨する。


宙夢・拓未

【全世界サイボーグ連盟】で参加

直接会い【優しさ】を持って語りかける
「まだ声は出さなくていいぜ。手を出してくれ」
手をとって【電気仕掛けの願い】
エネルギーを送り込み、声帯組織の回復を試みる
「どうだ? うまく喋れるか?」
成功時は微笑みかける

あとは対話を
「邪教徒に体を作り変えられたのは俺も同じだ。悩んだり苦しんだりもしたが、一つ分かったことがある」
「それは、どんな体だろうと、俺は……俺たちは、『生きてる』ってことだ」
「他の誰かと心を通じ合わせることができる。それが、『生きてる』証明なんだ」

最後に差し入れ
自分で【料理】してきて、可愛くラッピングしたバタークッキー
「自信作だぜ、良かったら後で食べてくれ」


リズ・ルシーズ
●【全世界サイボーグ連盟】で参加、アドリブ・連携歓迎

【SPD】

ん……ホントはボクも色々としてあげたいんだけど、ボクじゃ知識が足りないから

困ったような笑みを浮かべ【指定UC】で体の管理を生命維持装置【Re-A】に委任

任されました。REMさんはじめまして、リアと言います。貴女にとっては、そうですね……姉のような存在になるのでしょうか

優しくREMの頭を軽く撫で、同時に全身をスキャンし【情報収集】。副脳から外部記憶装置のRe-E-Mpの機密部の黒塗りされた設計図を取得、REMとの差分とともに皆さんに連携

退化も進化と言いますし劣化も変化でしょうか。結果的に貴女が産まれた事は喜ばしいことなのでしょうね


リオ・ブレンナー
【全世界サイボーグ連盟】で参加
アドリブ&絡み歓迎

【POW】

うーん、荒事じゃねーとオレ何していーかわかんねーや
まぁ、皆の手伝いといちおー警護でも買って出るかね

仲間連中は修理をするって話なんで、それに必要な器具類とかで重いヤツはオレが運搬するぜ
力仕事はお手の物ってな……あ、接続やら設置やらはわからんからソコは任せた

準備が終わったら修理の様子と外の様子がどちらも見える場所で、壁に背を預けて警護に当たるぜ
まぁこんなとこに攻めてくるヤツもいねーと思うが、ああいう人助け的なことはオレの出番ねーしな
こっそり持ち込んだウィスキー入りのスキットルを呷りながらのんびり眺めるぜ
だいじょーぶ、酔ってても仕事はできるさ


ウィンディ・アストレイ
【全世界サイボーグ連盟】で参加
アドリブ&チーム外猟兵との絡み連携OK

【妖精の舞】を起動して
REM―レム、零夢…麗夢?さんの
恐らく自律系と断絶した身体制御系にアクセス
破損状況確認後、物理破損はクネウスさんに任せ
歌を口ずさみつつ、電子的或いは伝達系の修復を行います
(ハッキング&情報収集&メカニック&医術)

瓦礫の街に咲く、一輪の花 哀しみを湛え、震えてる
…だけど再び 命は芽吹く
小さな鼓動 僅かな温もり 託された想い
紛れもなく、ここにある 全ては未来に、繋げる為…

また、多少無茶したトリテレイアさんの破損装甲を
苦笑しつつ交換します
「これ位ならすぐ直せますが…
あまり『壊れる事』前提で、動かないで下さいね」


ドロレス・コスタクルタ
【全世界サイボーグ連盟】で参加
アドリブ&絡み歓迎

WIZ対抗

通信機能を介して真摯にゆっくりと語りかける。
「驚かず、見てくださいね。いいですか」
そう言って腕内部に格納されているレーザー発振器を見せる。

「ご覧の通りです。ですが、わたくしたちは、強制されたからでも命令されたからでもなく、自分の意思によってこれらの戦う力を制御し、使うべき時を決めています」
「しかし現状の貴方は、武器の制御機能が損傷して暴発の危険がある状態です。今から順番に治していきますので、どうか受け入れてください」

UCはREM様の武装が暴発した際にその発射孔間近に展開。攻撃を飲み込んで周囲に被害を与えないようにする。


サブナ・ダディ
【全世界サイボーグ連盟】で参加
アドリブ&絡み歓迎
【POW】
「ここからは破戒僧じゃなく大将タイムだな」
クネウスのホバー戦車から簡易キッチンを引っ張り出し、出張膳茶簾を臨時開店、簡素な具材しか持ってきて無いから、握り飯、玉子焼き、味噌汁を【料理】対象『REM』に対し
「元は俺たちにとって敵だろうが何だろうが腹が減ることはいけねぇよな、大丈夫、毒なんか入れてねぇよ」
と言い、一つ握り飯を頬張りながら、周りの仲間達同様に振る舞う。
多少暴れた結果、攻撃を受けようとも根気よく料理を差し出す。


トリテレイア・ゼロナイン
【全世界サイボーグ連盟】で参加・アド歓迎

こんにちは、REM様
倒れてしまいご心配をおかけしました

お願いがあるのですが
私の手を「貴女の手が壊れない程度の全力」で握って頂けますか?

(差し出した自分の手が損傷)

貴女に備わった力は強大です
制御を誤れば得たいと思った物すら壊しかねない程に

それを防ぐ為の訓練を行いましょう
大丈夫、今度は壊れませんよ
(もう片方の手を差し出し)

これは御手間を…
ウィンディ様、悪癖への忠告感謝いたします
REM様も真似をしてはいけませんよ

UC装備で彼女の運動機能を●情報収集しモニター
己の全力の把握と力の制御の確立までリハビリ補助と助言に集中

やがて出来る大切な物をその手に掴めますように



●CASE4:Present from Sisters
「ん……ホントはボクも色々としてあげたいんだけど、ボクじゃ知識が足りないから」
 リズ・ルシーズ(Re-Z・f11009)は作業台で眠るREMを見やり、そっと目を閉じる。ボクで難しいなら――任せればいいのだから。
「任されました。REMさんはじめまして、リアと言います」
 再び目を開いた時、先程までの快活な口調とは変わって、落ち着いた声色で再び言葉を紡ぎ始めた。
「貴女にとっては、そうですね……姉のような存在になるのでしょうか」
 リズは――リアは眼科で静かに眠るREMに無線で語り掛ける。まるで幼い妹を優しくあやす様に。そして優しくREMの頭を軽く撫で、同時に全身をスキャンする。
「うん。当初とは違う、みたいですね」
 先の戦闘記録で得た情報と比較――その中であてにならない部品がざっと216個はある。構造の変化、進化……だろうか。
「大丈夫です。貴女は必ず救います。Re-Aの名に懸けて」
 凛と言葉を発しながら、副脳より外部記憶装置のRe-E-Mpの機密部の黒塗りされた設計図を取得。そして現状のスキャンしたREMの差分情報と共に仲間達へ連携を進める。流石に一人で全てをどうにか出来る状況ではない。しかしこういう事を専門とする集団が『全世界サイボーグ連盟』だ。揺るぎない信頼を背に、リアはそのまま解析作業に没頭した。

「REM……『レム』ね。可愛い名前を付けてもらったのねぇ」
 その様子を遠目に見やる河原崎・修羅雪姫(プリンセス・スノーブラッド・f00298)は傍らのウィンディ・アストレイ(W-ASTRAY・f09020)に語り掛けて、再び自慢のギターを手に取った。
「REM――レム、零夢……麗夢?さん」
 確かに可愛らしい名前だ。シリーズ名の頭文字を繋げただけ――それでも、名前には古来魔力が宿るもの。きっと彼女は、そういう星の元に生まれたのだ。それだけがせめてもの救いにならぬよう、後は最善を尽くすだけと心に誓って。
「それじゃあ皆、始めちゃってぇ」
 再び戦場だった場所に音楽が鳴り響く。それは先程までとは違う、苛烈なヘビィメタルではない、切ないアコースティックな旋律だった。
「あとは、優しい心と。生き抜く意思を与えてあげたいわね」
 それもきっと大丈夫。頼れる仲間がこれだけ揃っているのだから。旋律を奏でながら、修羅雪姫は薄く目を閉じた。

「こんにちは、REM様。倒れてしまいご心配をおかけしました」
 既にエネルギーも回復したトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は精力的にREMへのコンタクトを試みる。先の戦いで僅かながら心が通じた――そう信じているからこそ、無線で再び声を掛けるのだった。
「お願いがあるのですが。私の手を『貴女の手が壊れない程度の全力』で握って頂けますか?」
 この中で随一の巨体からすっと鋼鉄の腕が伸ばされる。チカチカと眼帯部センサが明滅すれば、そのままゆっくりと上がったREMの腕が、正確にトリテレイアの大きな掌を掴んだ。そしてそのまま、ミシリと音を立てて機械部品が辺りに飛び散る。
「――貴女に備わった力は強大です。制御を誤れば得たいと思った物すら壊しかねない程に」
 矢張り、制御系の修復は完璧ではない。先行して修理を行った猟兵によれば、REM自身の身体構造が徐々に変化している様だったとの事。最早共食い整備だけではその身体を戻す事が出来ない程――彼女自身も、その変化を御する事が出来ない状態だ。
「貴女の身体が直ったら、それを防ぐ為の訓練を行いましょう」
 そう伝えゆっくりとその場から離れるトリテレイア。その横にウィンディがそっと近づいて、破損したマニピュレータを手早く取り外す。
「これ位ならすぐ直せますが……あまり『壊れる事』前提で、動かないで下さいね」
 苦笑しつつトリテレイアの同規格モジュールを取り出して、あっという間に交換した。そして鼻歌を歌いながら、断絶したREMの制御系にアクセスし、丁寧に破損個所を走査する。

 瓦礫の街に咲く、一輪の花 哀しみを湛え、震えてる
 ――だけど再び 命は芽吹く
 小さな鼓動 僅かな温もり 託された想い
 紛れもなく、ここにある 全ては未来に、繋げる為――

 修羅雪姫が奏でるメロディに合わせて、涼やかな声色が辺りに響く。まるで妖精のステージの様。その妖精のお仕事は、眠り姫を呪いから解放する事だ。
「クネウスさん、内部電装系は大体OKです。お待たせしました」
 幸いREMの体内のナノマシンを活性化させ、新たなコードを上書きする事で、大まかな修復は完了したのだ。これならば体内に無用なダメージを与える事無く、新しく再生した神経系統が彼女の運動をしっかりと受け止めてくれるだろう。
「了解です。部品も手本もある以上、後は手を動かすだけですね」
 その報を聞き、クネウス・ウィギンシティ(鋼鉄のエンジニア・f02209)は己の超常を解放――無数の専用工具がREMの眠る作業台の横に出現したのだ。ここからが技術者の本分。情報も素材も十分。文字通り、最後の大仕事が幕を開ける。
「全サ連はアフターサポートも万全ですから」

「部品も手本もある以上、後は手を動かすだけですね」
 リアが手配した設計図情報を投影しつつ、クネウスは作業に没頭する。
「機械部位は交換、生体部位は復旧した食事機能による自然治癒に期待……」
 素材は戦闘人形の残った残骸から。規格が変わっていればその場のアドリブで合わせればいい。そういう即席の応急作業は何も初めてではないのだ。視覚、聴覚系の部品は生機融合型の再生可能素材に。せめてそこは人間らしくと、祈りを込めた処置を行う。
「兵装は持ち込んだ商材と非致死性ゴム弾で改修、安全装置は思考制御型に……」
 UDC組織へ引き渡す際に特に問題になるであろう武装部分は全て安全なものへと変えて――動力炉直結型の光学兵器などが搭載されていなくて本当に良かった、とクネウスは思った。淡々と組付け用の武装を並べれば、その横から快活な少女がそれを手にREMへ説明を始める。
「驚かず、見てくださいね。いいですか」
 ドロレス・コスタクルタ(ルビーレッド・f12180)は優し気な声色で無線を介してREMに語り掛ける。そう言って自身の腕に内蔵されたレーザー発振器をしっかりと見せ、言葉を続けた。
「ご覧の通りです。ですが」
 ご覧の通り、ここにいる者は皆五体の何れかに武装を仕込んだサイボーグが大半だ。それが望むべくして手に入れたものもあれば、そうでは無いものもある。それでも。
「わたくしたちは、強制されたからでも命令されたからでもなく、自分の意思によってこれらの戦う力を制御し、使うべき時を決めています」
 それでも彼女達は、己の威力を己の意思でしっかりと制御している。それこそが殺戮兵器では無い、戦士としての矜持だから。
「しかし現状の貴方は、武器の制御機能が損傷して暴発の危険がある状態です。今から順番に治していきますので、どうか受け入れてください」
 だからこそ、その状況を治す事が絶対に必要なのだと力説するドロレス。それはREMに再び、今までの様な悲劇に見えて欲しくない故に。
『……わかった。お願いする』
 その熱意にREMも、あるべき自身の未来の為に、その全てを曝け出す事に同意した。既に幾つかの武装は組み替えられてはいるが、まだ完全では無い。だからこそドロレス達の力を借りて、悲劇の戦闘人形ではなく新たな自分として再生する為に、覚悟を決めたのだ。
「不便だろう? ああ、まだ声は無理して出さなくていいぜ。手を出してくれ」
 クネウスとドロレスが作業を始めてしばらく、宙夢・拓未(未知の運び手・f03032)が調整の終わった片手に自らの手をそっと当てる。そのまま放たれるのは拓未の超常――触れたモノの生命力を活性化させる電気仕掛けの願いだ。
「どうだ? うまく喋れるか?」
 その威力は全身の調整を進めていた皆の工程に波及する。不整脈の様に乱高下するバイタルを無理やり調整していたクネウスが目を見張るほど、REMの生体電流の活性は凄まじいモノになった。
『……これで、どう、かな?』
 眼帯に覆われていない片目が輝きを取り戻し、角の様なセンサを外して桃色の髪に隠れた聴覚センサが鮮やかな色を取り戻し、そして涼やかな声色が作業台の近くに凛と通ったのだ。
「ああ、中々いい声じゃないか」
 その様子に拓未は親指を立てる。REMの修復までもう少し――その兆しが見えてきたのだ。

「うーん、荒事じゃねーとオレ何していーかわかんねーや」
 わちゃわちゃと全サ連メカニックが作業を繰り広げるREMから離れて、リオ・ブレンナー(スクラップフィスト・f23265)はゆったりとその状況を眺めていた。
「まぁ、皆の手伝いといちおー警護でも買って出るかね」
 敵なんていないだろうけど――万が一アレが暴れるようなら、即座に止めてやると拳を打ち鳴らして。だがまあ大丈夫だろうと、暇そうに鋼鉄の天井をぼうっと眺めていた時。
「おう、リオ。手が空いてるならちょっと手伝ってくれ」
 豪快な声が遠くより聞こえてきた。サブナ・ダディ(サイボーグの破戒僧・f21228)がどこから調達してきたのか、長机を抱えてリオの方へ向かってくる。
「大丈夫、難しい事はしねえからよ」
 そりゃー机を抱えるくらい、難しい事じゃ無かろうよと。しかしよく見ればもう片方の腕にはでっかい鋼鉄のタンクを抱えて。そして何やら美味そうな匂いが漂ってくる。
「何だ、酒のつまみにしちゃ随分と豪勢だな」
 破顔してその様子を眺めるリオは、頼まれ事を察してサブナの元へと駆け寄った。
「つまみじゃねえよ。ここからは破戒僧じゃなく大将タイムだ」
 無言でリオへと長机を渡すサブナ。それをREMの作業場からちょっと離れた所に持って行き、適当に並べてくれと指示を出す。
「後はクネウスのホバー戦車から持ってこねえと……」
 簡易キッチンがな、と独り言ちて。それは大将タイムの必需品、たった今よりこの場は戦場でも工房でも無い、全サ連名物のお食事処『膳茶簾』となるのだ。
「そういうのなら任せてくれ。力仕事はお手の物ってな」
 では早速と一階へ向かうリオの背中を眺めて、壊しやしないだろうかとちょっと心配になるサブナであった。

「全神経系再接続、致死性武装の撤去及び自衛武装の交換、完了」
 投影したREMのコンディションモニタを朗々と読むウィンディ。
「こちらでも確認しました。流石の手際ですね」
 それを追確認するトリテレイア。ダブルチェックで抜け漏れを無くすのは当然の行いである。
「骨格系のチューニングも完了しましたわ。ある意味デチューンですが」
 自身が担当した修理部分をモニタリングし、正常を確認したドロレス。
「もう戦う必要は無えんだ。だからせめて、ヒトに近づけてやりたいじゃんよ」
 願いは一つ、争いの無い新たな生を与える事、と拓未。
「外装の交換も完了。強化プラスチックですが、拳銃弾くらいは問題ありません」
 古錆びた壊れかけの装甲は真新しい真っ白な樹脂装甲に。その出来栄えを淡々と開設するクネウス――勿論戦う為ではない。自身の身を守る為だ。
「やっぱり、そうなっちゃうわよねぇ……」
 ギターを置いて合流した修羅雪姫が溜息を漏らす。出来るだけ物騒な装備は排除したい所だったが、全サ連の手練れを以てしても完全な撤去は難しかったのだ。
「仕方ありません。余り元のバランスを崩しては、動く事もままなりませんから」
 つまり素寒貧の肉体になってしまえば、武装前提で組まれているREMの基本骨格や運動プログラムが機能不全を起こすリスクがある。だからこそ、限られた時間で最大限の成果を発揮する為、UDC組織へ引き渡す為に“分かり易い安全性”を示す必要があったのだ。その為の装甲と自衛武装である。
「おーい、飯の準備が出来たぞー」
 REMを囲み難しい顔をする面々の元へ、支度が出来たサブナが声を掛ける。
「先に一杯やってるぜ。ああだいじょーぶ、酔ってても仕事はできるさ」
 その後にはリオが。口の空いたスキットルを片手に、既に出来上がり始めているようだ。
「それじゃあ、火を入れましょうか」
 同胞の帰還を祝う為にと、修羅雪姫が高らかに宣言した。

「聞こえますか、REMさん」
 ――聞こえる。何だか懐かしい様な、安心する声色だ。
「全身の人工皮膚のクラスを戦闘用から作業用に、電子機器の冗長性を三重から五重に」
 ――ああ、そうだ。私はこの人達に修理してもらっていたんだ。
「武装を暴徒鎮圧用の非致死性兵装群に交換。火器慣性系をRシリーズ最新型準拠に更新」
 ――随分と、難しい事を言われている気が。でも。
「制御系の人工神経系統をリフレッシュして、各人工臓器を同じく最新型準拠に」
 ――でも、これでもう、あんな事をしなくて済むのなら。
「動力炉の――心臓部分は戦闘出力にリミッターを掛けました」
 ――戦う事はもう、無いのであれば。
「人工声帯は特別製の生機融合型モデルに。プログラムは私が――」
 ――私は、これからどうすればいいの?
「私達の、思いを込めて」
 ――思い。声の主の言う事が――ああ、そうなんだ。
「おかえりなさい、REM」
 ――続きじゃないんだ。ここからが、私の始まり。
『――ただいま、お姉ちゃん』

「それじゃあ皆、揃ったわねぇ」
 なみなみと透明の液体が注がれたグラスを片手に持って、修羅雪姫が周囲を見渡す。
「フッ……出張膳茶簾を臨時開店だ。お替りはたらふくあるぜ」
 自信満々のサブナは簡易キッチンの奥で同じく、グラスを片手にその時を待ちわびる。
「さっさと始めようぜー。もう一本開けちまう所だ」
 リオがスキットルを振れば、ちゃぷんと心許ない音が鳴る。大分飲んでいるようだ。
「剛毅ねえ。それじゃあ新しい仲間と一緒に――」
 乾杯! 凛とした高らかな発声と共にグラスを重ねる音が響き渡る。
 REMの修復祝いと歓迎会を兼ねた宴が、元戦場のど真ん中で始まったのだ。
「自信作だぜ、良かったら後で食べてくれ」
 目覚めてすぐのどんちゃん騒ぎに面食らったのも無理はないREMの元へ、拓未が可愛らしいラッピングを手にやって来た。その中身は手作りのバタークッキー。早速開いた包み中から芳醇なバターの香りが漂って、後でとは言わずにその場で食べ始めるREM。
『美味しい……』
「だろう? 味わってくれよ。まあ色々とこれからだ」
 REMの反応に満足げな笑みを返す拓未。味覚の機能は正常に働いているようだ。いや働いててくれ――違ったら居た堪れない。
「――邪教徒に体を作り変えられたのは俺も同じだ。悩んだり苦しんだりもしたが、一つ分かったことがある」
 クッキーを頬張るREMを満足げに眺めながら、拓未は語り始めた。それは自身もREMと同じ、過去を壊された存在であった事。
「それは、どんな体だろうと、俺は……俺たちは、『生きてる』ってことだ」
 それでも今は与えられた生を精一杯楽しんでいる。たとえ機械の身体になったとしても。
「他の誰かと心を通じ合わせることができる。それが、『生きてる』証明なんだ」
 決して心を失わない限り――それはREMも一緒だと、強く語り掛けて。
「そういう事ですわ」
 その言葉に同意して、横からドロレスがひょっこりと顔を出す。
「もう戦う必要はありません。もしそんな事があれば――」
 にこりと笑って拳を突き出す。その身をナノマテリアルの技術の結晶と化した令嬢も、望まぬ戦いを決して認めはしない。
「わたくしたちが、全て引き受けますわ」
 REMはもう戦わなくて良いという意志を込めて、その拳を彼女の拳に重ねるのであった。
「そうだよ、REM!」
 そしてリズが、熱々の握り飯を片手にREMの前に。リアは既に引いているようだが、二人は一心同体――その思いは変わらない。
「もう君は自由なんだ。何をしたっていい、何を望んだって」
 戦いの運命から解放されたREMに優しく微笑みかけて、言葉を続ける。
「それがボク達からの、君への贈り物だよ」
 姉妹として、これから世界を共に生きる同志として――リズは心からREMの誕生を祝福したのだった。

「食ってるか?」
 宴もたけなわ、味噌汁を啜り卵焼きをつつくREMに、サブナが嬉しそうに声を掛ける。
「元は俺たちにとって敵だろうが何だろうが腹が減ることはいけねぇよな、大丈夫、毒なんか入れてねぇよ」
 そう言いながら自らも握り飯を頬張り、思い切り料理を堪能するREMに優しく伝える。食事は平等なのだ、どんな立場であろうと。
「……暴れるなよ?」
 だから楽しんで欲しいと
 REMの方を叩き、その場を退けようとした時。
「それでは訓練をしましょう」
 巨大な影がREMに迫る。トリテレイアだ。彼は今の所食べていない。
「ちょっと待て!? 今そういう空気か?」
 確かにウォーマシン用の食事は……無かったっけ? 怒ってる?
「大丈夫です、今度は壊れませんよ」
 ――という訳ではない様だった。そっと交換したばかりの腕をREMの前に出して、それを掴めと優しく伝えた。さっきの様に壊す訳にはいかない……REMも緊張した面持ちでその手を掴んで。
「流石のチューニングです。それに貴女の意志も」
 今度は、壊れなかった。握力を強めてもREMの意志は、もう二度と世界を壊さないという強い決意は、しっかりとトリテレイアの手を握るに留まったのだ。これでもう、迂闊に何かを傷つける事も無いだろう。
「はい、あーん」
 その結果を満足げに見届けて去ったトリテレイアと入れ替わる様に、修羅雪姫がウサギ型にカットしたリンゴを携えて、それをそっとREMの口元へ運ぶ。突然のデザートにぱくりとそれを口に含み、そして。
「美味しいかしらぁ?」
 口中に溢れる蜜の甘みが、サクッとした食感がREMの表情を綻ばせる。こくりと頷いて、その味を肯定するREM。
「フフ……良かった」
 リンゴ、それは知恵の実。禁断の果実――その味を知ったREMは、もう人と変りは無い、なんてね。

「これでもう、大丈夫でしょう」
 遠目にそれらの様子を眺めていたクネウスが、REMが正常に稼働していることを見届けて安堵した。
「食事機能も問題無く……コミュニケーション機能も、いや、機能ではありませんね」
 突然産み落とされ、大勢の人達に声を掛けられたのだ。それでも取り乱す事無く、一つ一つ応じる姿を見て、彼女が持つポテンシャルを、決して危険な存在では無い事を改めて確認出来たのだから。
「彼女の生きる意志は、オブリビオンの呪いを越えました」
 最大の懸念だった破壊衝動も、忘却した過去からの怨嗟も、最早恐れる事は無い。だからこそ。
「マニュアルに追記事項を申請しましょう」
 REMの危険レベル低下を確認、以後は可能な限り人間と同様に扱うことを強く推奨する、と。
「退化も進化と言いますし、劣化も変化でしょうか。結果的に貴女が産まれた事は喜ばしいことなのでしょうね」
 その傍らにリズ――いや、リアが姿を現した。
「これからの彼女の生に幸多からんことを祈って」
 グラスをクネウスに。僅かに乾いた音の後、楽し気に仲間の輪に加わったREMを見やり微笑んだ。
「過去は、乗り越えられる――彼女の様に」
 それこそが、終わりなき戦いに終止符を打つ希望になると祈って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルパート・ブラックスミス
精神面から友好反応を引き出せないか試みる。出番だ、ニクス。

ニクス(爆槍フェニックス)を鳥形態でREMに戯れさせる。所謂アニマルセラピーだ。
他者を害意にて傷つけるのではなく、【優しさ】にて触れる対象としてのコミュニケーションを経験させよう。

良い反応が引き出せたら伝える。


ニクスは鳥になれる槍、武器だ。ある意味で貴殿の身体と同じ。
だが見ての通りニクスは他を傷つけるだけではない。他と平穏を共にすることが出来る。
わかるか。ニクスが出来ることは当然、貴殿にも出来る。

REM殿、他と平穏を過ごす欲求、夢を持て。
それは、その身に科せられた殺戮の使命と力に背かんとする貴殿の「生きる理由」となる。

【アドリブ歓迎】



●CASE:5 黒騎士と青い鳥
『あれは……鳥?』
 再び自由に動く五体を取り戻したREMが施設を散策していると、何処から現れた青い鳥がREMの頭上をくるりと旋回した。
『フフ、何処から来たのかしら?』
 その軌跡を目で追って――羽ばたいた先には黒い影が。全身甲冑の武威を示す姿が、ゆっくりとREMUの方へと近付いて来る。
「自分はルパート・ブラックスミスだ。これはニクス――自分の相棒」
 甲冑は、ルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)はゆっくりと自己紹介を。その肩にひらりと青い鳥が止まれば、淡い光と共にその姿を鋭い槍へ変えていく。
『鳥……じゃなかったのね』
「ニクスは鳥になれる槍、武器だ。ある意味で貴殿の身体と同じ」
 武器として生を受け、鎧と共にある青い鳥――ニクスはルパートの手の内で微動だにせず、爆槍フェニックスとしての真の姿をREMへと示した。
「だが見ての通りニクスは他を傷つけるだけではない。他と平穏を共にすることが出来る」
 淡々と語るルパートの言葉に耳を傾け、興味深げにその姿を覗き込むREM。武器でありながら決して自ら何かを傷つける存在ではない。先程の様に自由気ままに空を飛ぶ姿を思い浮かべ、REMは羨ましそうにニクスを、そしてルパートに視線を移す。
(私も欲しいわ……)
「わかるか。ニクスが出来ることは当然、貴殿にも出来る」
 不意に放たれたルパートの言葉に、REMがこくりと頷く。言う通り、自身も今迄そういう存在だったのだから。そしてその力は、微塵も失われた訳ではない。
『分かるわ。傷つけるのは道具じゃなくて、意思だから』
 だからその力は使わないと、決意した矢先なのだ。あの鳥の様に、私だって。
『ルパートさん、私は――戦うより、世界を知りたいわ。世界を楽しみたいの』
 私だって、手に入れた自由をニクスみたいに謳歌したい。そう願っているのだから。
「REM殿、その気持ち――他と平穏を過ごす欲求、夢を忘れるな」
 再び爆槍が青い鳥の姿に代わり、今度はREMの側へひらりと舞った。
「それは、その身に科せられていた殺戮の使命と、力に背かんとする貴殿の『生きる理由』となる」
 腕を伸ばしたREMの手の甲にゆっくりと止まるニクス。その翼を優しく撫でて、満足げにREMは微笑んだ。
『うん。私、絶対に忘れない』
 ニクスみたいに、争いじゃなくて安らぎを齎せる様な――世界の一員になれる様に。
『ありがとう、騎士様』
 そして三度ニクスが舞う。REMの言葉を受けてゆっくりと頷いたルパートは、青い鳥と共に元来た道へと戻っていった。己も同じ、戦い以外の生きる道を得た者として、彼女の行く道に幸多からんことを祈って。

成功 🔵​🔵​🔴​

八坂・操
操ちゃん書類作成とかわかんなーい☆
という訳で、操ちゃんは皆の邪魔しないようにREMちゃん眺めつつ、落ち着いたら話しかけてみよっかな?
何せ彼女はスクリーンから日常へ飛び出てきた主人公!
映画好きとしては、お近付きになりたい存在第一位とも言えるからね☆

「ハァイREMちゃん、映画に興味ない?」
映画は良いよー? 日常も恋愛もSFも、何だってあるんだから。
REMちゃんは戦闘以外に何も知らないっぽいしね。まずはこういう作り物から入るっていうのも良いと思うよ?
登場人物が何故笑うのか、怒るのか、喜ぶのか、嘆くのか。
知識への記録ではなく、鑑賞という経験を経て、自己を培うんだ。
「操ちゃん流主人格の作り方だけどね♪」



●CASE:6 スクリーン・レディ
「操ちゃん書類作成とかわかんなーい☆」
 仮設のパイプ椅子に腰かけて、両手で頬杖をついている八坂・操(怪異・f04936)は、与えらえた職務を堂々と放棄して明るく宣った。麦わら帽子を目深にかぶり、裂けたつばの隙間からREMの様子をちらりと覗いて、彼女が一人きりになるタイミングを見計らう業務の方が大事だもん♪
「お話するんならー♪ この機を逃すなー♪」
 丁度猟兵も職員も席を外した。急に立ち上がった操は、軽やかなステップでREMの下へと駆け寄る。何せ彼女はスクリーンから日常へ飛び出てきた主人公! 映画好きとしては、お近付きになりたい存在第一位とも言えるからね☆ 悲劇のヒロインが新たな世界に望むのは、果たして何だろう?

「ハァイREMちゃん、映画に興味ない?」
『……映画?』
 突如REMの眼前ににゅっと現れた白いワンピースの美女は、事もあろうに直球で本題を投げかける。きょとんと操の表情を覗く様に屈んで、この場にいるという事はきっと大丈夫な人だろうと、REMはその言葉をゆっくりと反芻した。
「映画は良いよー? 日常も恋愛もSFも、何だってあるんだから」
『日常……恋愛……』
 そういうジャンルがある事は知識として知っている。SFは――つい先日まで自身がそうだった様なもの。だが所詮は偽り、作り物に過ぎないという事も。
「どんなミラクルも起き放題! REMちゃんは戦闘以外に何も知らないっぽいしね。まずはこういう作り物から入るっていうのも良いと思うよ?」
『…………』
 作り物、それでもいいから入る。入るというのは――見るという事だろうか?
『映画も、どういうモノかは知ってるつもり。でも、それを見てどうするの?』
 作り物は本物にはなれない。いや――そんな事はない。私は、私達の中の一人だった私は、造られたモノから私自身になれた。だから、そういう事は問題では無いのだろう。
「えっとね、登場人物が何故笑うのか、怒るのか、喜ぶのか、嘆くのか――」
 ニコニコと八重歯を覗かせながら操は語る。鑑賞は見学じゃない。表現された感情を一身に受けるのだと。
「知識への記録ではなく、鑑賞という経験を経て、自己を培うんだ」
 経験した感情は偽りではない本心なのだ。そこに作り物であるとか、そういった無粋な話が出る幕はない。その経験の積み重ねが己の内面を培うと、操は声高らかに宣うのだ。
『知識じゃなくて、経験』
「そそ。人伝に聞いたり、そいった情報だけを切り取るのと全然違うんだよ♪」
 それこそが己の心の在り様を養うのだ。心を得たならば先ずは育てないと、と結んで。
「操ちゃん流主人格の作り方だけどね♪」
『主人格?』
 最後に悪戯っぽく、人差し指を口に当てながら操は呟いた。
「みんなには、ナイショだよ☆」
 ニコリと唇を歪ませて、一仕事終えた(終えてない)操はそのままくるりと身を翻し、いつの間にか姿を消した。まるで都市伝説の怪異の様に、不思議な余韻を場に残して。

成功 🔵​🔵​🔴​

荒谷・つかさ
機能回復と対話、か。
……私の回復系コード、コレしか無いけど大丈夫かしら。

【破邪入魂拳】を発動
殴り抜くのではなく、優しくマッサージ風に拳を触れさせるイメージで当てて「故障」という概念のみを攻撃しての治療を行う
なお、不必要であったり注意事項に抵触する行為と判断されるなら自粛する

接触時はUDCアースのアニメーション作品を持ち込んで、一緒に解説しながら見るわね。
(内容は「戦場しか知らない傭兵の少年が一般学校に編入されて騒ぎを起こしまくる」というドタバタギャグコメディもの)
主人公の少年に自身を投影して貰って、この世界で考えなしに兵装を使うのはいけない、ということを、楽しみながら学んでもらえればと思うわ。



●CASE:7 鬼教官の海兵隊式××××
「機能回復と対話、か」
 私の回復系コード、コレしか無いけど大丈夫かしら。と若干の不安に駆られる荒谷・つかさ(『風剣』と『炎拳』の羅刹巫女・f02032)はゆっくりとREMの元へ。
「こんにちは。気分はどう?」
 今日は丸太も太刀も無い。身一つでREMの前に現れたつかさは、軽く自己紹介を終えると、その『コレ』を放つべくREMの方へ早足で近寄った。
『大分良くなったの。身体もほら、ちゃんと動くし』
「そう。それなら良かった……でも」
 確かに見た所異常は感じられない。しかし元はといえばオブリビオン、念には念を入れる必要がある。
「一拳入魂……大丈夫、ちょっとくすぐったいかもだけど」
 右の拳をゆっくりと開き、僅かに前へと突き出してREMの肌をなぞる様に翳す――その指先から暖かな薄緑の光が。それはつかさの意思がREMへと流れ込むような、神々しい奇跡。
『キャッ……あれ?』
「これであなたに憑いた悪いモノは大分払えたわ。それじゃ」
 放たれたのは悪しきを払う超常の拳。ただ殴り倒すのが目的では無いのだから、その掌を開いた不殺の構えで応じたまでだ。そしてつかさは懐からごそごそと、何かの光ディスクを取り出す。
「これからこの世界に生きるあなたの為に、プレゼントを用意したの」
 幸いREMを当初から測定していた端末に光学ディスク用のドライブがあった。そこにガチャリとディスクを入れれば、モアイ像の映像の後にアニメーションが始まった。
『これは、映画かしら?』
「映画……そうね、劇場版を私は待っているわ」
 つかさが用意したのは日常系のコメディ作品。戦場しか知らなかった少年が市井の人と触れ合って、平和な世界の素晴らしさを視聴者に伝えるハートフルな作品だ。その筈だ。
「こほん。ええと、この作品の……」
 この作品の主人公の少年に自身を投影して貰って、この世界で考えなしに兵装を使うのはいけない、ということを、楽しみながら学んでもらえればと思うわ。そう言おうとした矢先、モニタを指さしてREMが叫ぶ。
『知ってる! これはラグビーね!』
「え」
 おいちょっと待ってよりによってどうしてこの回なのよそもそもレンタルした時は確か部室争い合コン決戦の回だったはずなのにそれがどうして男○塾長の声で喋るラグビー部主将がスクール☆ウォーズする話にすり替わってるのよ誰よパッケージと中身を入れ替えたのは!!!!!!!! このままでは!!!!!!! 争いが!!!!!!!!
『やっぱり……戦いはむなしいのね』
「そ、そう。それを伝えたかったのよ、本当よ」
 良かった。彼女の戦闘マシンとしての記憶は目覚めなかった。あのツ○ヤ後で丸太持って乗り込んでやるわ。それにしても。
『ねえ、他にも何かあるかしら?』
「勿論よ。今度こそ大丈夫――」
 外の世界に興味を持って、物語に感動して――REMはもう、心を閉ざした戦闘マシンなんかじゃないって、よく分かったから。
 続きは何故かモミアゲが足りない回だったわ。

成功 🔵​🔵​🔴​

東雲・一朗
▷アドリブ歓迎です

▷服装と武装
帝都軍人の軍服、少佐の階級章付き。
刀と対魔刀の二刀流、2振りとも腰に帯刀。

▷行動
UDC-P…そうか、彼女らを救うのは影朧の転生とはまるで違う…言うなれば影朧を影朧のまま保護するようなものか…。
「私の声が聞こえるかね?
私は東雲、君を救いに来た者の1人だ」
まずは何にせよ声かけし『破魔』の霊気を纏わせた右手で優しく肩に触れ、揺する。
「君の名はREM…君は今日生まれた、今日から君は君だけの人生を歩む。
恐る事はない、不安も悲しみももはや必要ないのだから」
そう諭しながら【強制改心刀】で彼女の不安や混乱、心に残る負の感情を消し去り、万が一にも彼女が人に害なす事がないようにする。



●CASE8:活人剣
 UDC-P……そうか、彼女らを救うのは影朧の転生とはまるで違う。言うなれば影朧を影朧のまま保護するようなものか……顎に手を当てて東雲・一朗(帝都の老兵・f22513)はゆらりとREMの前に現れた。
「私の声が聞こえるかね? 私は東雲、君を救いに来た者の1人だ」
 既に身体の修復は終わったと聞いている。であれば自分が為すべき事は一つ、彼女を縛っていた悪縁の退散だ。

『東雲少佐殿! お勤めご苦労様であります!』
「いや、敬礼はいい。一体どうしたというのか……」
 全部鬼のせいだ。兎も角、REMは既に五体満足、精神状態も良好。しかし念のため、一朗はその肩に手を当てて、REMの内側の気の流れをじっくりと探った。
「ふむ……中々の使い手がいたと見える」
 どうやら一朗と同じ考えの者がいたらしい。見事な処置ではあったが、幾度も死線を駆け抜けた一朗は、残された僅かな綻びすら絶対に見逃さない。
「君の名はREM……君は今日生まれた、今日から君は君だけの人生を歩む」
 ゆっくりと肩から手を外し、彼女の視線を己の顔へと向けさせる。緊張した面持ちから不思議そうな表情、随分と豊かな感情を示すものだ。それ故に、その深淵に潜む悪意を必ずや断たねばならない。
「恐る事はない、不安も悲しみももはや必要ないのだから」
 刹那――白刃が僅かに宙を舞う。神業の居合。高精度のREMの視覚センサにすら、その起こりを察する事は出来なかった。かちりと鯉口が締まる音だけが響いて、一陣の風が二人の間を駆け抜ける。

『これ、は……』
「君と骸との縁を斬った。安心したまえ」
 それは帝都第十七大隊を率いる長の妙技、肉体を傷つけずに対象の邪心のみを払う桜の都に伝わる超常の業だった。直立のまま鍛えられた体幹によって、下げた愛用の退魔刀を僅かに傾ければ、まるで散歩をする様な極自然な動作で抜かれた刃が、REMを縛る不可視の糸をぷつりと切り落としたのだ。気付いた時には既に刃は納められ――尋常であれば何をされたかすら気付き様も無い達人の一手である。
「君はUDC-Pと言うのだろう。私の世界でも『影朧』という存在がいる」
 本来は影朧を転生させる心の刃。だが、今この時においてはREMに潜むオブリビオンとしての縁を断つ為の必生の刃であった。
「私はその救い手だ。その為に来たのだ」
 世界は変われど帝都軍人が為すべき事に変りは無い。その誇りを胸に、一朗は颯爽と外套を翻してその場を後にした。
『ありがとう、少佐』
 その後ろ姿を見送って、片手を額に掲げるREM。
 心からの敬礼の意味を、この時に知ったのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミハエラ・ジェシンスカ
これだけ技術屋が揃っているんだ
マニュアルの作成に私の手なぞは不要だろうが
だが、そうだな。興味がないと言えば嘘になる
らしくないという自覚もあるがな
接触は他の猟兵に任せるが、見届けさせて貰うとしよう

何らかの使命を持って生み出され、それを果たす為だけに生きる
そういう意味では私のようなウォーマシンも、あいつらのようなオブリビオンもそう変わりはしない
だが、当初の使命を果たし、あるいは棄却して新たな使命を見つけるウォーマシンはそう珍しいものではない
猟兵になるような我の強い連中であれば尚更な

……まったく、羨ましい話だ
持って生まれたものではない、自身の為に探す事のできる使命
きっと、それを夢と言うのだろうさ



●CASE9:戦闘人形
「これだけ技術屋が揃っているんだ。マニュアルの作成に私の手なぞは不要だろうが」
 ミハエラ・ジェシンスカ(邪道の剣・f13828)はREMから離れた場所で、壁に寄りかかり彼女の動向をずっと眺めていた。
「……まったく、羨ましい話だ」
 ぼそりと、徐々に活気を取り戻すREMをみて漏らした言葉が、REMの聴覚センサに引っかかった。
『何が、ですか?』
 ひょこひょことミハエラの前に現れたREM。頭一つ以上違うミハエラをきょとんと見上げて、その瞳には『知りたい』という欲求がキラキラと色を放っていた。
「お前がここに生を受けた事が、だよ」

 最後まで見届けるだけのつもりだったが、興味がないと言えば嘘になる。体を起こしてREMを正面から見据えて、淡々とミハエラは語り始めた。
「私もお前と同じ、戦う為に生み出された戦闘人形――ウォーマシンだ」
 何らかの使命を持って生み出され、それを果たす為だけに生きる。そういう意味では私もREMもそう変わりの無い存在だった筈。
「与えられた指令は『銀河帝国の悪であれ』……それが結果として世界の味方だ」
 だが、当初の使命を果たし、あるいは棄却して新たな使命を見つけるウォーマシンはそう珍しいものではない。そういう奴を何人も知っているし、そうならなかった者も知っている。ふと宇宙要塞で胡乱な生物(なまもの)と戯れる古き戦友を思い起こして、らしくもなくミハエラはクスリと笑った。
「それでも、私を縛るのは銀河帝国への忠誠心。これは変わらない」
 猟兵になるような我の強い連中であれば尚更、どちらかに傾く傾向が非常に強いのだ。現に自分自身、そういった過去にずっと縛られているのだから。

「だがお前は、そういう軛から解放されたんだ」
 だからこそ、同じ様な存在の――オブリビオンだったREMがその運命から解放されたという事は、他人事では無かったのだ。だからこそこうして、興味が尽きないのだろう。
「持って生まれたものではない、自身の為に探す事のできる使命――」
 自ら定義してそれを成す、そんな事が出来ればどれほど楽だろうか、どれほど苦しいだろうか。そんな想像すら、私には許されていないのだ。
『私はまだ、何をしたいかなんてはっきりと分かりません。でも』
 口を噤んだミハエラの様子を見やり、REMが口を開いた。もう声帯も無事に定着したのだろうか、声の張りがより鮮明になって。
『だから、色んな事をやってみたいと思うの』
 祈る様に言葉を紡いだ。未来は無限だ。過去と違い、永遠に変わり続けるのだから。だからこそあらゆる可能性に手を出したいと、生まれ変わった少女は願ったのだ。
「フン。きっと、それを夢と言うのだろうさ」
 ぐわんと面を上げて、ミハエラは出口へ向かう。欲しい答えは聞けた――そんな充足感が彼女の胸の内を満たして。
「お前がこれからどんな夢を見るのか、楽しみだな」
 戦士は戦場へ還る。この日常を守る為に。

成功 🔵​🔵​🔴​

七瀬・麗治
さて、ここからは対策マニュアルの作成か……。
実際、どうやって向き合うべきなのかな、『彼女』と。

【UDCネットワーク】を利用し、UDC協力者や信頼できる
古い知人とコンタクトをとる。
また、UDC-Phoneでエージェント用のSNSにアクセスし、
サイボーグ関連の<情報収集>を行う。
戦闘用サイボーグのメンタルケア。メンテナンスというか……治療施設
のようなものは無いのか。しばらくはそこへ身を寄せるのもいいだろう

オレはUDC組織・K県支部の七瀬麗治。君がオブリビオンではなく
UDC-Pとしてオレと出会ったのは何かの縁だろう……
君が「破壊」以外の手段で存在を証明したいというなら、
いつでも力になろう



●CASE10:夢見る
「さて、ここからは対策マニュアルの作成か……」
 一連の流れを全て書き留めた七瀬・麗治(悪魔騎士・f12192)は溜息を吐いて、これから起こるであろう激務に思いを馳せる。
「しかし実際、どうやって向き合うべきなのかな、『彼女』と」
 彼女――REMは幾多の猟兵との関わり合いを経て、最早危険なオブリビオンとしての可能性を全て摘み取られた後である。予めUDCネットワークを利用して類似事例の確認、協力者の確保、今後の収容先の手配など事務方の作業を猟兵視点で行っていたのだ。
(随分と張り切っていたな。満足か貴様?)
「満足……いいや、最後の詰めが残っている」
 内に秘めた人格のロードが、わざとらしく麗治を煽る。幸い専門家達が万全のメンテナンスを施し、危険な火器はその一切が封印された。そして彼女の精神も、オブリビオンとの縁も綺麗さっぱり――ほとんど無害な状態にまで磨き上げられたのだ。武骨な武装が無ければ最早、そこいらにいる女学生らと何ら変わらない、極めて安全なUDC-Pに他ならないのだ。だからこそ、最後の一手を違える訳にはいかない。
「それに、こうして分かり合えUDCがいるってのは、励みになるからな」
(うむ。誰もが私の様に物分かりがいい訳ではないしな)
「よく言うよ……まあ温泉卓球する様なUDCなんて、他に見たことないのは確かだ」
『あの……』
 ロードとやり取りを続けていた麗治の前に、いつの間にかREMがひょっこり姿を現していた。そして何か不穏な眼差しで麗治に問いかける。
『あの、大丈夫ですか? さっきから誰と喋っているんでしょうか?』

(ひ、独り言! 独り言が止まらない可哀想な青年!)
「何が可哀想だ! ああ、いや。オレもね――ちょっと普通と違うんだ」
 REMには軽く事情を説明し、ロードには釘を刺して。丁度こっちから話しかけようと思っていた所だった。気を取り直して麗治はREMに自己紹介を始めた。
「オレはUDC組織・K県支部の七瀬麗治。よろしく」
 そして猟兵――は、言うまでも無いか。すっと手を出して握手を――どうやら握力の調整も上手くいっているようだ。この分なら脅威度はかなり低い階級で登録出来るだろう。
『私はREM――レムって呼ばれる事もあります!』
(何で敬礼なんだ……)
 ビッと片手を額に掲げ麗治に敬礼を捧げるREM。少し愉快な所があるのだろうか……だが従順なら、尚更問題無い。
「ま、まあ、君がオブリビオンではなく、UDC-Pとしてオレと出会ったのは何かの縁だろう……」
 勿論、自分達が必死の思いで彼女を救い出したからこそ、であるが。そもそもの覚醒は彼女自身のモノであるのだから、それは縁と呼ぶ他無いだろう。
『縁。少佐もそう仰ってました。私とあなたの縁は、良いモノなのでしょうか?』
 少佐――猟兵の一人か。既に縁といった概念すら理解しているとあれば、最早子供騙しでは十全な確保は不可能だろう。つまり彼女の自我と理性を認めた上で、適切な場所に連れて行かなければならない。
「ああ、きっといい縁だ。その為にオレ達は来たんだからな」
 それは紛れもない本心だ。そうならずに堕ちた――オブリビオンと化した存在と幾度も対峙した麗治にとって、顔を合わせて対話出来るだけで十分、これまでと比べたら奇跡にも等しいのだから。

「君が「破壊」以外の手段で存在を証明したいというなら、いつでも力になろう」
『そんな事、もうしません!』
 不意に語気を荒げたREMに麗治は一瞬たじろいだ。こんなにも明確に武力を否定してくる。それも、演技などでは無い……嘘をついているような眼には、とても見えなかった。
『戦いはむなしいのです……』
「そ、そう……」
 その芝居がかった仕草に苦笑して、麗治は確信した。彼女は安全だと。
『決めました!』
 そして急に声を上げてREMは宣言する。堂々と、自らの存在を誇示する様に。
『私はこの世界と縁を結びます!』
 これが悪意のあるオブリビオンだったら即刻別の意味で収容案件だが、とりあえず話を聞いてみよう。
『タピオカとか、ラグビーとか、世界には色んな知りたい事が一杯です!』
 ああ、そういう事か。彼女は世界との関わりを持ちたがっているのだ、良い意味で。
「分かった。大丈夫だ。オレが保証しよう」
 一つだけ注意すべき事は、彼女をヒトらしく扱う――ヒトとして認める事。
「君が諦めなかったから、世界は」
 そしてマニュアルの最後にはこう記そう。
「世界は、きっと君を歓迎するよ」

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年11月14日


挿絵イラスト