Pazifistischer Vogel
●異端にして純粋
自殺の名所として名高い樹海の奥深く。
其処ではセキセイさま達が群がり、ぶちぶちと音を響かせ、夢中で何かを啄ばんでいた。
『ニク、ニク。ゴチソウ!!』
『ソレハオレノダ!!』
セキセイさま達が啄ばんでいたのは、元は人間だったモノだった。
今や無残に啄ばまれ、人間としての原型は取り留めていなかったが。
『ピギャ! オスナッテバ!!』
『イチバンウマイトコ、ヒトリジメスンナ!!』
今や肉塊でしかないそれを、セキセイさま達は押し合い圧し合い啄ばんで。その羽毛と嘴を赤く汚していた。
その群がりから一羽だけ、勢いよく弾き出されてしまっていたセキセイさまがいた。
『…………』
――シニタクナイッテ、イッテイタノニ。
弾き出されたセキセイさまは、静かに仲間達を見つめた後に。傍に実っていた山葡萄の実を啄ばみ始めた。
●純粋にして異端
グリモアベースの片隅。淡い空色の髪の青年が、猟兵達が訪れたのを確認すると軽く手を振った。
「集まったな。早速で悪ィけど説明に入るぞ」
青年――ルイは纏めておいた資料を捲ると説明に入る。
「UDCアースにある……まぁ、自殺の名所として名高い樹海でだ。其処に入り込んだ自殺志願者を、UDCのセキセイさまの群れが食い殺す事件が起こることを予知したんだけどさ」
ルイは妙に歯切れが悪かった。何か、いつもと違うことがあるみたいに。
「ま、普段だったらそのセキセイさま達を全部倒してこいって頼むとこなんだけどな。今回はちっとばかし違うトコがある」
ちょっとこれを見ろと、ルイが資料のとあるページを示す。そこには『UDC-P』という存在についての説明が書かれていた。
その『UDC-P』という存在は。何らかの異常により、オブリビオンとしての『破壊の意志』を持っていない存在だという。
かつてのシャーマンズゴーストがそう呼ばれていたそうだ。
「これまで『UDC-P』って存在はシャーマンズゴースト以外には確認されていなかったが、ここ最近になって他の存在もぼちぼちと確認されるようになった。今回のオレの予知にも、その個体の存在が引っ掛かったワケで」
今回はその『UDC-P』個体であるセキセイさまを群れから救出、保護し、UDC組織に引き渡す事が主になるのだそうだ。
「まずは樹海に向かって、セキセイさま達の群れを見つけて貰わにゃいけねぇ。その群れの中に『UDC-P』の個体が紛れているからな」
見た目は他の個体と何も変わらないが、猟兵が見れば『UDC-P』かそうでないかは一目で判別できる故、間違えることは無い。
そしてその個体を見つけたならば、庇いながら行く手を阻むセキセイさまの群れを倒してほしいとルイは言う。
「あと、だ。『UDC-P』をUDC組織に引き渡す前に、お前達の可能な範囲で、正確な説明書を作ってやれよ」
救出した『UDC-P』は猟兵達に協力的ではあるが、何かしらの難点を持っている可能性が非常に高い。しかし、猟兵がつきっきりで見てやれる訳でもない。
保護先であり、研究する機関となるのはUDC組織だ。その職員の為に『UDC-P対処マニュアル』を作ってほしいとのこと。
「ああ、組織は人道的範囲で研究を進めるそうだから安心しろよ。その成果は先の未来で役立ててくれる筈だ」
最後にルイはそう言って笑うと、猟兵達を送り出した。
雪月キリカ
お目にとめて頂き有難うございます。はじめまして、もしくはまたお会いしました。雪月です。
これまで確認されなかった『UDC-P』という、平和的なUDCの存在が確認されました。
さて、ざっくりまとめをば。
一章は冒険です。樹海に潜む、セキセイさまの群れを探し出しましょう。
尚、駆けまわっているだけでも、セキセイさまはエサと認識して出てきやすくなります。
つまり成功度が溜まれば大丈夫です。
二章は集団戦です。『UDC-P』であるセキセイさまを見つけ、保護したなら。行く手を阻む他のセキセイさまを倒しましょう。
『UDC-P』の個体を庇いながら戦ったならば、『UDC-P』の個体からの信頼度が上がるでしょう。
三章は日常です。『UDC-P対処マニュアル』を作りましょう。
保護した『UDC-P』は猟兵に協力的です。コミュニケーションを取ったり、観察するなどして情報収集したり特性を見つけましょう。
第1章 冒険
『不帰の樹海』
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POW : ヤマカンで探す
SPD : 痕跡を辿って探す
WIZ : 霊的な力を借りて探す
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
樹海へと繋がる遊歩道には、経年劣化で腐食した自殺防止の看板が所々に立っていた。
しかし最近は、それらは逆効果であるとして減っているらしい。現在立っている看板らは、そのうち消え去ってしまうのかもしれない。
遊歩道から逸れて、敢えて樹海の奥へと足を踏み入れたならば。其処はうねうねと張り巡った木の根で足場は悪く。
中空を見上げれば、伸び放題の枝の間隙から陽の光が差してはいるが、それでもほんのりと寒かった。
その時。ざぁっ、と。風に吹かれて、木々が寂しく鳴いた。
パルピ・ペルポル
友好的なもふもふは保護しなければならないと思います(きりっ)
樹海含めた周辺地図を入手して、まずは上空からざっくり当たりをつけてみましょ。
人間が入り込める範囲なら最深部じゃないだろうし、かと言って入り口近くでもないでしょうし。
まぁそれでも十分広いけど…。
森の中では人の歩いた痕跡や明らかに大きな鳥の痕跡とかないか調べつつ。
動物や普通の鳥がいたら、彼らにも見たことないか尋ねてみましょう。
時々空から現在地確認してマッピングもしておきましょ。
今回の件とは関係ない「人」を見かけたら…手を合わせるくらいしかできないわね。
●forest
『HDDの中身は消したのかい?』
そんな、見る人によってはUターンしそうな立て看板の上で。パルピ(見た目詐欺が否定できない・f06499)は樹海とその周辺の地図を広げ眺めていた。
「友好的なもふもふは、保護しなければならないと思います」
地図から顔を上げると。パルピはきりりとした表情で、誰に言うともなくそう言ちる。もふりすととしては、今回の件は見逃せなかったのだろう。
パルピは看板から飛び立つと、セキセイさまが現れそうな場所の当たりを付けるべく
樹海の上空へと昇る。
その目的で人間が入り込める範囲だとするならば、それは最深部ではない。かと言って入り口付近でそんな事をする筈も無い。
(「まぁ、それでも十分広いけど……」)
如何せん樹海というのは広大だった。パルピはこの辺かなと当たりをつけると、高度を下げて樹海の内部へと潜る。
樹海というのは、言い換えれば広大な自然。なれば、様々な野生動物が暮らしている。彼等は何か知っているかもしれないと、聞き込みを始める。
そうして出会ったネズミや鳥たちから、『人語を話す変な鳥』についての話を聞くことが出来て。変な鳥とは、セキセイさまのことだろうと推測を立てる。
パルピは現在位置の確認をしつつ、セキセイさま目撃地点の印も地図に描き入れ、行動範囲を絞り込む。
描き入れた点を線で繋いで、セキセイさまが現れそうな地点を巡る最中に。白い落とし物を目にしてしまったが、それはとても古いものだったので今回の件には無関係のモノだろう。南無と手を合わせ、足早にその場から離れようとしたその時。
背後でぎしりと、樹の枝が軋む音がした。
大成功
🔵🔵🔵
木常野・都月
アドリブ・アレンジ可
ずっと野生の狐として生きてきた俺にとって、森は慣れ親しんだ場所だ。
住んでた森とは違う森だけれど、森。
狐の姿に戻って…遊びたい…
でも今は猟兵の仕事中だから、荒ぶってる尻尾はガッと掴んで落ち着かせる。
まずは風と草木の精霊様にオブリビオン…セキセイさま?の匂いを探して貰って[情報収集]したい。
人の姿をしていると出てくるらしいから、そんなに苦労はしないかも?
しかし…。
狐の姿で遊び回れないのが、本当に…本当に惜しい。
でも、俺は狐だ。
ここで我を忘れて遊んでしまったら、全国に住む狐の皆に顔向けが出来ない。
妖狐の先輩方の沽券にも関わるかもしれない。
我慢。今は我慢。
我を忘れたらダメだ。
●Wald
風がさわさわと樹の枝を鳴らす音、少し湿った土の匂い。足の裏に伝わる、土へと還る途中の落ち葉の柔らかい感触。
長く野性の狐として生きてきた都月(妖狐の精霊術士・f21384)にとって、『森』は慣れ親しんだ場所だった。
今訪れているこの森は、住んでいた森とは違う。けれども、森である事には変わりない。
(「狐の姿に戻って……遊びたい……」)
狐の姿になり、思うままに駆けることが出来たなら。どんなに楽しいだろうと都月は思う。
けれども今は猟兵の仕事中なのだ。ぱたぱたぶんぶんと荒ぶる尻尾を手でガッと掴み、どうにか落ち着かせる。
まずは情報を集めなければと、都月は精霊の石から風と草木の精霊様を喚び出すと。セキセイさまの匂いを探し出すようお願いをする。
セキセイさまは予知情報から肉食であることは判っている。おそらくその身には血肉の匂いがこびり付いているであろうことも精霊様に伝えた。少し時間を置けば、その匂いを見つけ出してくれることだろう。
森の深くへと散る精霊様たちを見送った後、都月は人の姿で森の中を探索する。セキセイさまは人の姿の方が、釣られやすいからだ。
(「狐の姿で遊び回れないのが、本当に……本当に惜しい」)
落ち葉を踏みしめ、樹の根を越えながら。都月は狐の姿で遊びまわれない事をとても惜しんでいた。
けれども。
(「でも、俺は狐だ」)
狐の誇りと私情を混在させてしまう訳にはいかない。
ここで我を忘れて遊んでしまったら、全国に住まう狐の皆に顔向けが出来なくなってしまう。
そして同時に妖狐でもある。
私情のままに行動してしまったら。妖狐の先輩方の沽券にも、関わるかもしれないのだ。
(「我慢。今は我慢。我を忘れたらダメだ」)
感情と理性に挟まれ、葛藤していたその時。都月の嗅覚を、精霊さまが運んできた微かな血の匂いがつついた。
大成功
🔵🔵🔵
樹神・桜雪
【WIZで判定】※アドリブ・アレンジ歓迎
『UDC-P』のセキセイさまかあ。大人しくて良い子だと良いな。
一人で歩き回るのも手が足りなそうだから、UCを使って相棒を呼び出して手伝って貰うよ。
セキセイさま達を探して、見つけたらすぐに戻ってきて。
…近寄りすぎて、つつかれたりしないように気をつけて。
相棒が探してくれている間、ボクも『追跡』で痕跡を探しながら動き回ろう。
セキセイさまって可愛いけど肉食なんだよね…。ボク、人形だけどやっぱりエサだって思われちゃうのかな。
食べるにしても固いと思うんだけど…。
にしても、樹海は広いね。相棒は大丈夫なのかな。
●silva
(「『UDC-P』のセキセイさまかあ。大人しくて良い子だと良いな」)
まだ見ぬ『UDC-P』のセキセイさまに思いを馳せながら。桜雪(己を探すモノ・f01328)は苔と枯れ葉に覆われた地面を踏みしめる。
樹海は、広かった。
一人で探し、歩き回るのには手が足りない。桜雪は長い付き合いであるシマエナガの『相棒』を喚び出すと、己の指を止まり木代わりにさせる。華奢な脚が、指を確りと掴む感覚が伝わった。
そして桜雪は、小首を傾げる白き相棒へとお願いをする。
「セキセイさま達を探して、見つけたらすぐに戻ってきて」
その際に近寄りすぎて、つつかれたりしない様に気を付けてと注意を促せば。相棒はひと鳴きして樹海の奥へ飛び立つ。
相棒が樹海を飛び回り、セキセイさま達を探してくれている間。桜雪もセキセイさま達の痕跡を探す為に、その更に奥へと足を踏み入れる。
ぱきり、枯れ枝を踏み砕いて。いつ倒れたのかもわからない倒木を横目にしながら。
立ち並ぶ樹々の間を、かき分けるように進めば。足元にこつり、楢の実が落ちてきた。
桜雪は楢の実を手に取ると、じっと眺める。
(「セキセイさまって可愛いけど、肉食なんだよね……」)
予知で聞いた内容から。探しているセキセイさま達は、ヒトを襲う程の凶暴性を持つ肉食の存在であることは知っていた。
けれども桜雪は人形。セキセイさまが好む身体ではなくて。
(「ボク、人形だけどやっぱりエサだって思われちゃうのかな」)
この身体は、仮に食べるにしても硬い。
「……にしても、樹海は広いね」
過った考えを、振り払うように独り言ちて。桜雪はゆるりと、かぶりを振る。
この広い樹海の中。相棒は大丈夫なのだろうかと、そう思った時。見慣れた白い鳥が近づいてくるのが、桜雪の視界に入った。
大成功
🔵🔵🔵
亜儀流野・珠
UDC-P、か。
なぜ突然出てきたか。それが今後にどう影響するか。
俺もその辺は気になる所だ。セキセイ達とも笑って語り合える日が来るんだろうか。
まあ現時点では何もわからんな!ともかく俺にできることをしていこう!
さて広い樹海を探すのも大変だ。
笛でも吹いて此方の存在を知らせてみるか!
普段あまり吹かないからな。丁度良い機会だ、練習させて貰おう!
笛「夢笛」を演奏、曲は和音階で適当に即興を。
……此処は少し寂しい場所だからな。この音が少しでも安らぎになるよう願いつつ演奏しよう。
折角だ、笛でセキセイさまが歌う声を再現できないか少し試してみよう。
まあ恐らく微妙な結果になるがな!そうなったら大人しく演奏に戻ろう!
●bosque
「『UDC-P』、か」
何故、突然現れたのか。
それが、今後にどう影響するのか。
「セキセイ達とも、笑って語り合える日が来るんだろうか」
その辺は気になる所ではあるが、現時点では何もわからない。ともかく自分に出来ることをしていこうと、珠(狐の恩返し・f01686)は樹海の奥へと入り込む。
うねる樹の根に足を取られぬ様に。苔生す岩石から滑らぬ様に。どんどん、どんどん奥へと進む。
しかし、広い樹海の中を探し回るのは大変であった。このまま駆けずり回っても良いが、それだと少しばかり体力的に効率が悪い。
少し考え、敢えてこちらの存在を知らせて誘き寄せてみようかと珠は思いつく。
手元には『夢笛』がある。これを吹いてアピールをしてみようと、決めて。
それに、普段あまり吹くことも無い。これは丁度良い機会だと、練習も兼ねていた。
丁度良さそうな岩石に腰かけ、唄口から空気を吹き込めば。樹海に竹笛の音色が拡がって。
此処は少し、寂しい場所。この音が少しでも安らぎになるように願いを込めながら、珠は演奏を続ける。
その音は、樹海に染みるように。そして浮かばれぬモノたちを癒すように響き渡る。
演奏中。ふと珠は、笛でセキセイさまが囀る声を再現できないか思い立ち、試してみることにした……のだが、セキセイさま達が顔を出す気配はなく。
セキセイさまは鳥の様に囀るだけの集団も居れば、ヒトの様にお喋りばかりする集団も居る。今回はたまたまその音が合わなくて不発に終わっただけだと、珠は前向きに捉えると。また『夢笛』で音を奏でる。
けれども、単に距離的な都合だっただけで。遠くからばさばさと、羽音が珠に近付いていた。
大成功
🔵🔵🔵
木元・杏
まつりん(祭莉・f16554)と
少し風変わりなセキセイさま
……もふもふしたあと、抱き潰さなくてもいい(うれしそうにそわそわ)
まつりんと一緒に、保護する(ぐっと拳を上げて気合い入れ)
樹海……木の海
見渡す木々にくらくらして溺れてしまいそう
でも、ぐっとこらえて
戻る時に道を間違えないように、木の幹に赤いリボンをつけて歩いてく
奥へ奥へ……
まつりん、鳥のにおい辿れる?
森の迷宮、面白そうで駆け回りたい
どきどきわくわく、冒険気分ね?
ふふ、楽しい……(手を置いた所を見る)(がいこつドクロ)
………!!(思わずダッシュで逃げる)
闘いやすい場所に着いたら【うさみみメイドさんΩ】
さあ皆、歌って踊って楽しもう?
木元・祭莉
双子の妹、アンちゃん(f16565)と。
敵じゃないセキセイさまー。
どんな子かな、会ってみたいなー♪
樹海かー。
上空から、だと下見えなさそうだよね。
来た道わかるように……あ、りぼん。
うん、お菓子撒いていくより、確実かも!
アンちゃんエラいー♪(ナデナデ)
におい……鳥のにおい……?
(飼い雌鶏の記憶を呼び起し)←凶暴
あー、うん。
だいじょぶ、野性の勘でね、だいたいは!
(ちょっと怯えてきょろきょろ)
あれ、アンちゃんドコ行くのー!?
(迷子なりかけの妹を捕獲)
ん、他の猟兵さんが先に来てるかもだし。
少し賑やかに行こうかー♪
樹海の歌(即興)歌いながら、踊るようにステップ。
やぶさか2、オンステージだー!(2ピン参照)
●bois
『緑色の海のようにも見えることから、樹海です』
至って普通の、樹海についての説明がされている看板の前。小さな二人組がそれを見上げていた。
それは双子の兄妹である、祭莉(白い最強生物(になった)(つもり)・f16554)と杏(料理(物理)の達人・f16565)で。
「敵じゃないセキセイさまー。どんな子かな、会ってみたいなー♪」
兄である祭莉はもふもふ尻尾を嬉しそうに揺らして、妹である杏も心踊らせそわそわとしていた。
「少し風変わりなセキセイさま……もふもふしたあと、抱き潰さなくてもいい」
今までは『敵』であった為に、どうしたって最後はむぎゅっと倒してしまわなければならなかった。
しかし今回は違う。倒さなくてもよい『UDC-P』という個体が現れたのだ。
杏は祭莉と一緒に保護しなきゃと、拳を上げ気合を入れれば。「おー」と、祭莉も後に続いて拳を上げる。
さぁ、冒険のはじまりだ。
「樹海かー。空から、だと、下見えなさそうだよね」
見渡す樹々は、何処までも同じに見えて。方向感覚を失ってしまいそうになる。
来た道がわかるようにするにはどうしたらいいだろうと、祭莉は首を傾げて。杏はぐるりと辺りを見渡す。
広がるは、似通った樹、樹、樹。
思わず陸で溺れてしまいそうになる感覚が、杏へと覆い被さって。くらくらと眩暈を起こしてしまいそうになるけれど、それをぐっと堪える。
そして杏は傍に立つ一本の樹の幹に、赤いリボンを結び付けた。
戻る時に、道を間違えない様に。そして誰かが辿れるように。
「……あ、りぼん。うん、お菓子撒いていくより、確実かも!」
それを見た祭莉は杏の頭をなでなでとする。リボンならば、動物に食べられてしまう心配も無い。
「アンちゃんエラいー♪」
祭莉のその手は、杏の眩暈を和らげた。
二人は樹の幹に赤い彩りを添えながら。さくさく、さくさくと。奥へ、奥へと進んで行く。
「まつりん、鳥のにおい辿れる?」
樹海を進む最中。祭莉へと訊ねる杏。
此処は森の迷宮だ。駆け回ったらきっと面白いだろう。そしてセキセイさまを探す目的を同時に達する為に『匂いを追いかける』ことを思いついたのだ。
「におい……鳥のにおい……?」
鳥と聞いて祭莉の脳裏に呼び起されるは、飼っている雌鶏の記憶。凶暴で、時には鋭い嘴が唸ることもあるけれど。双子に恵みを齎す守り鶏。
「……あー、うん。だいじょぶ、野性の勘でね、だいたいは!」
自信ありげに答えつつ少し怯えながら、きょろきょろと辺りを見渡す祭莉。守り鶏が樹の陰から顔を出してきたりしないだろうかと心配したけれども、それは杞憂で。ほっと胸をなでおろす。
祭莉は改めて鳥類の匂いを辿れないか、嗅覚へと神経を集中させる。
そうしたなら、嗅ぎ慣れた鶏の匂いに似た匂いを掴むことが出来た。
「あっちからだ!!」
その匂いを見失わぬ内に、駆けて辿る祭莉。その後を、杏は逸れない様について行く。
倒木乗り越え、茂みを越えて。どきどきわくわく、冒険気分。
「ふふ、楽しい……」
呟いた杏が何気なく手のひらを置いた場所を見たならば。一体何処から転がって来たのか。そして何時から存在していたのかもわからぬ、苔で彩られたしゃれこうべが御座していた。
「………!!」
杏は最初、手のひらを置いた場所にあったものが何であるかは理解が出来なかった。しかし数秒の間を置いて。それを理解した杏は脱兎の如く駆け出す。
「あれ、アンちゃんドコ行くのー!?」
祭莉はいきなり別の方向へと駆け出してしまった杏の後を、急いで追う。このままでは、樹海で迷子になってしまう。
緑の海で逸れて迷子になることは避けなければと、祭莉は必死に追いかけた。
走って、追いかけ、手を伸ばして。
「アンちゃん!!」
祭莉がぎゅっと杏の腕を掴めば、はっとしたように杏は動きを止める。
走って走って、二人がたどり着いた場所は開けた場所。
この場所は、セキセイさま達を誘き出すにはうってつけで。そして戦闘となった場合に戦いやすい。
杏は『うさみみメイドさん』を複製すると、『場』を賑やかにさせて行く。舞台となる場所は賑やかであればあるほど楽しくなるのだ。
「さあ皆、歌って踊って楽しもう?」
杏の意図を理解した祭莉は笑顔で頷いて。『花狼咆哮』を用意する。
「ん、他の猟兵さんが先に来てるかもだし。少し賑やかに行こうかー♪」
二人はくるんと、楽し気に回る。
「やぶさか2、オンステージだー!!」
舞うようにステップ踏んで、即興で作った樹海の歌を歌えば。賑やかさにつられたように、ばさばさ、がさがさとした音が二人に近付いてきた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
榛・琴莉
UDC-P…突然変異的なものなんですかね。
まぁその辺の解明は、組織の方たちに任せれば良いとして。
【武器改造】で分散させたHaroldを使い、UCで痕跡を探します。
群れで木の実とかを食い荒らした跡や、羽ばたく音。
彼らお喋りでしたし、声も聞こえるかもしれません。
あとは…件の個体以外のセキセイさまは通常のUDCのようですし、最近喰われた人や獣、というのも、手掛かりにはなりそうですが。
あまり有っては欲しくない痕跡ですね。
UDC関係であれば、見つけてしまった場合に連絡するのは警察より組織でしょうか。
その場は手を合わせるのみで、捜索続行を。
個体で行動するセキセイさまがいたら、とりあえず挨拶してみます。
●лес
(「『UDC-P』……突然変異的なものなんですかね」)
その辺りの解明は、組織の者に任せれば良い。
今はセキセイさまの群れの捜索が優先事項だと、琴莉(ブライニクル・f01205)は『Harold』を分裂させた。
ぷちり、ころころと。水銀のようなHarold達の身は、其々が鳥にも似た、けれども歪な姿を模る。
集団で木の実を食い荒らした痕跡や、羽ばたき音。そしてセキセイさまはお喋りなことから、その話し声を掴むことが出来れば上々だろう。
「それでは、お願いします」
増殖したHarold達へとセキセイさま達の痕跡を探すよう伝え、樹海の方々へと分散させる。陽の光を反射し煌めいたHarold達は、直ぐに見えなくなった。
今回『UDC-P』以外の個体は、通常のUDCであるという事が解っている。
つまりは、最近喰われたヒトや獣の残骸も手掛かりになる。
(「あまり有っては欲しくない痕跡ですね」)
胸中だけでそう、琴莉は呟いて。だがそれらも掴むことが出来たならば、セキセイさま達を探し出すことが更に容易になるだろう。
琴莉も周辺の捜索をするべく、樹海の奥へと足を踏み入れた。
そうしてどれ位進んだ時だっただろうか。変わり映えしない樹々の中に、赤黒く汚れた白を見つける。
近付いてみれば。其れは比較的新しい、ヒトだったモノの残骸で。明らかに肉を喰い尽くされた様から、セキセイさまの仕業だろうと推察できた。
この場合。報せるのは警察よりUDC組織が適任だろうかと、琴莉は思惟する。
遺体へと手を合わせ、静かにその場を離れようとしたその時。Harold達が数羽がかりで何か……丸くて黄緑色をした、見たことがあるもっふいモノを嘴で咥え、または脚で掴んで運んできた。
(「……鳥」)
そしてHarold達が運んできたモノは。今まで見た事がある個体とは違うモノだというのが、ガスマスク越しにでも判った。
「あー……こんにちは」
Harold達によって地に転がされたモノを前にして。琴莉は屈むと、とりあえず挨拶をしてみるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『セキセイさま』
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POW : ガブリジャス
【嘴で噛み付くこと】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : あわだまおいしい
戦闘中に食べた【あわだま】の量と質に応じて【全身の羽毛】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ : セキセイまみれ
【沢山のセキセイインコ】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
イラスト:橡こりす
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ころん、と。セキセイさまがうつ伏せで、地面に転がっていた。
『…………』
最初にはっきりとさせる。このセキセイさまは死んでいない。
単に死んだ振りをしているのだ。
そして、地に転がるそのセキセイさまが、『UDC-P』の個体であることはどの猟兵が見ても明らかであった。
猟兵としての直感諸々。様々な要因があるが、このセキセイさまは他者に危害を加える心算は毛頭無いのだ。
やろうと思えば今すぐにでも猟兵達に攻撃を仕掛けることが出来るのに、死んだフリをしているのその証明にもなっているだろう。
その時。がさがさ、ばさばさと。
ぎしり、ばきっ、と。何者かが猟兵達に近付いている音が、はっきりと聞こえた。
『ジャァカシィイワァアアアアー!!』
『ナカマラチッタンドコノドイツジャワレェ!!』
『アッ、ニクダ!』
『ニク、ニク!!』
言いたい事をがやがやと口にしながら、セキセイさま達は猟兵達に敵意、もしくはご馳走を前にした子供のような視線を向ける。
……まぁ、このような荒くれセキセイさま達の中で、平和的セキセイさまはよく暮らせていたなと思うかもしれないが。そこはうまくやっていたのだろう。
木常野・都月
死んだフリ…
野生の狐も死んだフリをして狩りをするけれど、まさかオブリビオンが死んだフリするとは思わなかった。
通じるか分からないけど[動物に話す]で声をかけよう。
「俺は都月。猟兵です。
信じられないかもしれないけど…貴方を保護しにきました。
少なくとも俺から貴方に危害を加える気はありません。」
…と伝えてみよう。
あと、この子を[かばう]様に[オーラ防御]を。
俺の火の粉がかからないように。
他の荒くれセキレイさまは、燃やしたい。
UC【狐火】を使用、荒くれセキレイさまを焼きたい。
火力強め。
燃え広がらないように、焼けたら速やかに火を消したい。
敵のUCは[カウンター、範囲攻撃、氷の属性攻撃]で対処したい。
●Vogel
目の前に転がっているセキセイさまは、ピクリとも動こうとしていなかった。これは明らかに死んだフリをしている。
(「死んだフリ……」)
野性の狐も、死んだフリをして狩りをする。しかしまさか、オブリビオンが死んだフリをするとは思っていなかった。
都月(妖狐の精霊術士・f21384)は保護対象であるそのセキセイさまへと歩み寄ると、屈んで。
「俺は都月。猟兵です。信じられないかもしれないけど……貴方を保護しにきました」
都月は動かぬセキセイさまに話しかける。セキセイさまはきろりと、視線だけを都月へ向けた。やはり死んだフリだったのだ。
「少なくとも、俺から貴方に危害を加える気はありません」
『…………』
けれどもセキセイさまは只じっと、都月を見つめているだけだった。何もしないといきなり言われても、そう簡単には信じられないのだろう。
だから、見定めているのだ。
『オレタチヲムシスルナ!!』
『ナンカミミトシッポハクイヅラソウダナ』
背後では目の前のセキセイさまとは対照的に。荒くれ達が、がやがやと野次を飛ばす。
そして後者の野次は都月にとっていただけなかった。耳と尻尾は狐としてのアイデンティティ。それを食そうとするのは、何事だろうか。
(「……燃やしたい」)
湧き上がるは怒り。けれども、それを表情に表すことは無く。その代わりに尻尾をぼわっと膨らませていた。
そうだ。焼いてしまおうと、都月は自身の周囲に狐火を召喚する。ぽうと燈った様に見えた狐火は、次第にめらめらと勢いを増加させていた。
それらを、荒くれ達の群れへと放って。都月の意のままに舞う狐火は荒くれ達を灰へと、骸の海へと還す。
荒くれの一羽が爆ぜた拍子に、火の粉が平和的セキセイさまへと跳ねた。都月はすかさずその間へと割り込むと、『Scutum animi』からシールドを展開させ、跳ねる火の粉から平和的セキセイさまを庇う。
『ピギャギャ!!』
『ミガワリ、ミガワリ!!』
さらりと灰と化す仲間を見た荒くれ達は、数多のセキセイインコを都月へと放った。それは盾を兼ねた目晦ましのつもりなのだろう。
ばさばさと、けたたましい羽搏き音が都月へと近付いてくる。都月は鳥達をギリギリまで惹きつけたところで、氷結の魔法式を杖から放った。
放たれた魔法式は、鳥達を凍らせて。羽搏けなくなった鳥達は、皆地へと墜ちるしかなかった。
――コウゲキカラ、カバッテクレテイタ?
平和的なセキセイさまは。猟兵達を少し信用してみてもいいかなと、思い始めていた。
成功
🔵🔵🔴
亜儀流野・珠
奥義「透珠魂」!透明な俺よ、その丸いの確保だ!
確保しつつ分身による耳打ちだ。
「傷付けるつもりは無い」「お前を保護しに来た」「突然になるが群れを、この地を離れ組織に来てくれないか」「研究に協力して貰うが嫌な事は何もしない」「あわだま食べ放題」と伝えよう。最後のは組織に掛け合っておこう!
同意が得られたらそのまま連れてくるぞ!
取り敢えず今は後ろに隠れていてくれ!頭の上でも尻尾の上でもいいぞ?
あとはPを庇いつつ戦闘だ!
嘴で突かれんように薙刀「狐の爪」の長さを活かし攻撃だ!
分身はPの安全確保を、不要そうなら戦闘補助だ!
んん、何と呼んだらいいか分からんな。P、名前はあるのか?
●pájaro
「その丸いのを確保だ!」
珠(狐の恩返し・f01686)は透珠魂で透明なもう一人の珠を召喚すると、平和的セキセイさまを確保する様に命じる。
透明な珠は平和的セキセイさまを確保すると。傷つけるつもりはないこと、保護しに来たこと等々を耳打ちする。
『…………』
しかし、平和的セキセイさまからは何の反応も得られなかった。
いきなりの目に見えぬ何者かによる確保。そしていきなりたくさんの耳打ち。
おそらく、平和的セキセイさまの理解が追い付かなかったのだろう。全く反応が無い。相変わらず死んだフリを続けていた。
拒否も、同意するアクションも得られず。只管に沈黙を貫く平和的セキセイさまに、珠は少し苦笑いをしてしまう。けれども、それならばこの場は観測するモノになって貰おうと決める。
平和的セキセイさまと透明な珠を自身の後ろに退避させ、珠は荒くれ達との戦闘へと突入する。
『ナカマヲドコニヤッタンジャオンドリャァアア!!』
『ソノフエ、オマエガアンミンボウガイシテタンカァアアア!!!』
荒くれ達は、キレていた。しかし口にしたその言葉から、平和的セキセイさまの事を仲間として認識していたのだろうというのがわかった。
その御蔭で平和的セキセイさまは今まで酷く害されずに済んでいたのかもしれない。
後者の言葉は……おそらく寝ていた個体が居たのだろう。
珠は薙刀である『狐の爪』を握ると、振り回して荒くれ達を薙いで行く。
『ブッソウナモンフリマワスナヤ!!』
『カミツイテニクチギリクッテヤラァー!!』
荒くれ達はその嘴で肉を引き千切ってやらんと、珠へと突撃してくる。
けれどもその嘴が届く前に。『狐の爪』の刃が、荒くれ達を貫き骸の海へと還していた。
ある程度荒くれ達を片付けて、少し余裕が出来た時。珠は平和的セキセイさまに、名が無いのか訊ねてみる。
「んん、何と呼んだらいいか分からんな。P、名前はあるのか?」
――ナマエ? セキセイサマシカナイ。
それは、平和的セキセイさまの心の言葉。実際は相変わらず無言であった。
平和的セキセイさまは、セキセイさまの中の一体でしかなくて。きちんとした『個』としての名前を持っていないのだった。
成功
🔵🔵🔴
パルピ・ペルポル
死んだ振りするのはやりすごすためか、油断させて隙をつくためか…。
今回のこれは…前者かしらね?動かないならもふりたいけど、それどころじゃないわね。
念動力で空中に雨紡ぎの風糸を張り巡らせて、敵の行動を阻害兼盾としても使用するわ。
UDC-Pのそばにもこっそり念入りに張り巡らせておくわ。
いくら仲間とて、死んだら餌として認識しないとも限らないし…まだ死んではないけれどね。
まぁわたしも食べられてあげる気はないから、火事場のなんとやらを使って荒くれセキセイさまを一網打尽に締め上げて、穢れを知らぬ薔薇の蕾も使って、余裕があればついでにちょっともふって倒すわ。
●bird
未だ動かず転がったままの平和的セキセイさまを眺めながら、パルピ(見た目詐欺が否定できない・f06499)は思惟していた。
動かないと言っても、瞬きだけはしていた。流石にずっと見開いたままは辛いのだろう。
――死んだフリをするのは、やり過ごす為か。それとも油断させ隙をつく為か。
「今回のこれは……前者かしらね?」
いくら眺めていても、全く攻撃してくる気配が無いのだ。動かないならばもふりたいところではあるが、それどころでは無かった。
『オ? ガンツケトンノカ?』
『アンマリクウトコナサソウダナ』
動かぬ平和的セキセイとは正反対のこの荒くれ達をどうにかしなければ、ゆっくりともふることすら出来ない。
「まぁ、わたしも食べられてあげる気はないから」
パルピは念動力で宙に『雨紡ぎの風糸』を張り巡らせる。蜘蛛の糸よりも細く透明なその糸は、少し見ただけでは存在しているとは分らないものだった。
(「いくら仲間とて、死んだら餌として認識しないとも限らないし……まだ死んではないけれどね」)
平和的セキセイさまの周囲にも、こっそりと同じように糸を張る。何かの拍子に荒くれ達が近付く事が無いように、それは念入りに張り巡らせる。
そうしてパルピは『穢れを知らぬ薔薇の蕾』を手に取った。白い薔薇の蕾からは茨が伸び、荒くれ達へと向かって伸びる。
荒くれ達は、捕まってたまるかと逃げ惑うも。既に張り巡らされていた糸に絡め捕られてしまう。
『ンナァアア!!』
じたばたと、絡む糸から逃れようとする荒くれ達。けれども、そんな荒くれ達に茨はだんだんと。そして確実に伸びて。
しゅるんと、もふもふとした荒くれ達のその身へと絡みつく。
『アワダマクッテタイセキフヤセバナントカァア!!』
『マッスルゥウウ!!』
だが茨に縛られようと、荒くれ達は諦めなかった。仲間同士で出現させたあわだまを食み合い、羽毛と戦闘力の底上げを図る。
一気にぼわっと膨らんだ羽毛が、茨が締め上げる力を上回ってしまいそうになる。
けれども。
「火事場のなんとやら……ってね」
『ピギャギャッ』
パルピは小さな見た目からは想像もできない怪力で、荒くれ達を纏めて締めなおす。
締め上げついでに、こっそり膨らんだ羽毛をもふもふとして。
ぎゅうぎゅうと。更に、更に締め上げて。ついには限界が来て嘴から魂が抜けた荒くれ達は、さらりと灰になって骸の海へと還っていった。
――チイサイケレド、スゴイツヨイ。
パルピの戦う姿を見つめていた平和的セキセイさまは、素直に感心するのだった。
成功
🔵🔵🔴
樹神・桜雪
【WIZで判定】※連携、アドリブ歓迎
…死んだふりしてる…。この子みたいだね。
やろうと思えば不意打ちも出来たのに寝たままだもの
そういえば、楢の実を拾っていたっけ
君、これ食べる?って、先にあっちを片付けないとお話もできないか。少し待っててね
この子は守らなきゃだけど、お肉が大好きなセキセイさまは良くない
振り払う火の粉は払わせてもらう
ボクは美味しくない
『2回攻撃』と『なぎ払い』を適宜使ってセキセイさまたちを攻撃するよ
相手のUCにはこちらもUCで対処
もふもふ一杯で楽しいでしょ?
UDC-Pの子に対する攻撃は『かばう』させて貰うね
助けにきた…と言っても信じられないか
そうだね楢の実でも食べて、ゆっくりしようか
●avem
「死んだふりしてる……この子みたいだね」
微動だにしない平和的セキセイさまの前で、桜雪はぽつり、呟く。
やろうと思えば、不意打ちが出来るタイミングはいくらでもあったのだ。なのに、ずっところんと転がったまま。危害を加えてくる気配が一切無かった。
ふと桜雪は、樹海を探索した際に楢の実を拾っていたことを思い出す。
それを数粒手に取ると、平和的セキセイさまの前に差し出して。
「君、これ食べる? ……って、先にあっちを片付けないとお話もできないか」
少し待っててねと、平和的セキセイさまへと囁いた後。荒くれ達へと桜雪は向き直る。今はこっちの相手が先だ。
平和的セキセイさまは、全く動こうとしなかったけれども。その視線は、しっかりと楢の実へと向いていた。
荒くれ達は、桜雪の事を品定めしていた。おそらく好みがあるのだ。
『キレイケイナニクダ!!』
『アッサリメナアジカ!!』
やっぱりエサだと思われてしまった。桜雪は人形なのだが、荒くれ達は見ただけでは分からなかったのだろう。
「……ボクは美味しくない」
平和的セキセイさまは守らなければいけない。けれど、お肉大好きセキセイさまは良くない。
降り掛かる火の粉は払わなければならない。払わねば自身へと燃え移り、その身を燃やし尽くす炎となってしまうのだ。
桜雪は『華桜』をその手に握ると、荒くれ達を一気に薙ぐ。陽光を反射した薄桃の刃がきらり、煌めく。
その刃に身を裂かれた荒くれ達は、さらさらと灰になった。
『チョ、アブネェ!!』
『ダイジナウモウガ!!』
辛くもその刃から逃れた一部の荒くれ達は、口々に文句を向けると。数多のセキセイインコを桜雪へ放つ。
向かい来る鳥達は、意志持つ靄の様にも見えた。その鳥達へと桜雪は『透空』を放つ。放たれた札は宙で、荒くれ達が放った鳥達と同じ鳥達の群れと化した。
「もふもふ一杯で楽しいでしょ?」
宙でぶつかり合う鳥と鳥。もふん、ぽすんと。ぶつかり弾け合う。
その時。ぱり、ぽりぽりと。何かの殻を割り砕く音が聞こえて。
桜雪がその音の方を窺えば。平和的セキセイさまが楢の実を食べていたのが目に入った。
やっと初めて、平和的セキセイさまは自発的に動いた。もしかしたら空腹だったのかもしれない。
「助けにきた……と言っても信じられないか。そうだね。楢の実でも食べて、ゆっくりしようか」
ぽりぽりと楢の実を食む平和的セキセイさまを、桜雪は静かに見守る。
――タベルノモ、ジャマシナイ。シンジラレル。
平和的セキセイさまは、何となく。いつもよりも楢の実を美味しく感じていた。
成功
🔵🔵🔴
ロロ・ゼロロ
死んだふり……ふむ。これが平和的セキセイさまか。
確かに他の小さき鳥の使徒(=普通のセキセイさま)と異なり、平和を愛するオーラをまとっている、なー。
「平和的セキセイさまよ。余が来たからには最早案ずることはない。安寧の地へと導こう」
そう語り掛けるとしよう、ぞ。出来る限り優しめに。
「他者を害する事に愉悦を覚えられぬは、そなたの欠点ではない。美徳だ」
ふむ、同朋の奪還の手が伸びて来たか。
特異なる存在とて蔑ろにせぬとは、なかなか見上げた心がけである、ねー。
UC【ガラスのラビリンス】発動。
小さき鳥の使徒どもよ。余の精神世界を顕現せし迷宮にて永劫の迷子となるがよい。
さあ行こう、心優しき鳥の使徒よ。
●fugl
「死んだふり……ふむ。これが平和的セキセイさまか。確かに他の小さき鳥の使徒と異なり、平和を愛するオーラをまとっている、なー」
平和的セキセイさまは、ぽわぽわとした光の様なオーラを発しているのがロロ(ゆるチュウニ王子・f23416)には見えていた。
それは他のセキセイさま達には見られない温かなオーラだった。ロロは平和的セキセイさまへと近付くと、優しく話しかける。
「平和的セキセイさまよ。余が来たからには最早案ずることはない。安寧の地へと導こう」
『…………』
無言で転がる平和的セキセイさまは、視線だけをロロに向けた。その様子に、ロロは後押しの言葉を続ける。
「他者を害する事に愉悦を覚えられぬは、そなたの欠点ではない。美徳だ」
その言葉に平和的セキセイさまはしゅたっと起き上がり、ロロを見つめる。
……が。平和的セキセイさまの視線の更に向こう。ロロの背後では、荒くれ達がいきり立ち、何やら息巻いていた。
『ナニナカマヲソソノカシテンジャコラァアア!!』
『オマエモオレラノニクニシテヤロウカァア!!』
すっ、と。平和的セキセイさまはロロの陰に隠れる。少し気まずくなったらしい。
「ふむ、同朋の奪還の手が伸びて来たか」
変わった性格の個体であっても蔑ろにしないのは、中々に見上げた心がけではある。だが、それはそれ。ロロ自身が肉として見られるならば、話は変わる。
「小さき鳥の使徒どもよ。余の精神世界を顕現せし迷宮にて永劫の迷子となるがよい」
ロロのその言葉により、展開されるは透明なラビュリント。しかし荒くれ達には、何が展開されたのか理解出来ていなくて。真直ぐにロロへと突進する。
『ウォオン? ナニモナイノニマイゴニナルカァ!』
べちんっ!
『ッダ?!』
ロロへと突進していた荒くれ達は、それは素直に見えぬ壁に衝突した。衝撃で思い切り跳ね返って、荒くれ達は地面に転がる。
何がどうなっているのか解らず、荒くれ達は方々へ無数の鳥達を放つも。そのラビュリントの中で、鳥達は見えぬ壁にぶつかっては行ったり来たりと飛び回る事しかできなかった。
「さあ行こう、心優しき鳥の使徒よ」
荒くれ達がぐるぐると迷子になっている間に。ロロは平和的セキセイさまに向き直って、優しい笑みで手を差し出す。
――ダレカガキズツクノ、モウミナクテイイノ?
平和的セキセイさまは。他者を傷付けることに抵抗があるのは、群れの中でも異端であると思っていて。あまり目立たない様に過ごしていた。
けれども、それを良いものとしてはっきりと認めてくれる存在が現れたのは。嬉しい事だった。
成功
🔵🔵🔴
木元・祭莉
アンちゃん(f16565)と。
わあ!
よいセキセイさま、死んでる!?
え、違う?
あー、狸寝入りみたいな?
わかった! 見なかったことにしておくね!(にぱ)
えーと、残りは全部悪いセキセイさまだね?
それじゃいつもどおり、もふもふっと骸の海に戻ってもらおうー♪
いでよ!
プリンセス・メカたまこ!!(赤リボンつけたロボが56体)
悪いセキセイさまをやっつけろー!
よいセキセイさまは、たまことお揃い!(赤リボンつけ)
あ、外しちゃダメだよ、たまこが襲ってくるから。
……ホラね?(蹴られて涙目)
危なくなったら、キュイって呼んでね!
お肉嫌い?
お菓子食べる?
かぼちゃクッキー、あげる!
じゃ、ちょっと待っててー♪(拳握って戦闘へ)
木元・杏
まつりん(祭莉・f16554)と
ん……、セキセイさまがたぬき?(じっと見つめ)
ふと、けたたましい鳴き声の方を見返せば
……わたしたち、お肉認定されてる?
たぬきなセキセイさま、あなたもわたしたち食べる?
違うの?なら少しお話しよう?
ちょっと待ってて
食べられないように反撃する
(こくんと頷き、そっと頭を撫でて安心させようと
UC発動
皆、うさみみメイドさんの踊りを楽しんで?覇気もマシマシ!
踊りながらメイドさん、あわだま撒いて攻撃を誘発する
ん、踊りより食い気、まつりん、動きが鈍くなったところを狙って?
まつりんはつついちゃだめ
まつりんをつついていい鳥は、たまこ(飼い鶏)だけ
攻撃は灯る陽光で一突き
海に戻ろうね?
●oiseau
「わあ! よいセキセイさま、死んでる!?」
ぴくりとも動かず、ころんと転がる平和的セキセイさまを見て祭莉(オオカネコミミレッドメイド・f16554)は驚いてしまう。まさか初接触時に死んだフリしているとは、夢にも思わない。
驚かせてしまった事に少し悪い気がしたのか。平和的セキセイさまはころころと転がって顔を見せると、祭莉の方へと視線を向けた。死んでいないよアピールなのかもしれない。
「え、違う? あー、狸寝入りみたいな? わかった!」
それを受けた祭莉は、本当は死んでいなかったんだとほっとして。
見なかったことにしておくねと、向日葵の様な明るい笑顔を平和的セキセイさまへと向けた。
「ん……、セキセイさまがたぬき?」
平和的セキセイさまをじっと見つめて、杏(料理(物理)の達人・f16565)はたぬきがセキセイさま? それとも逆? と、少しだけ首を傾げる。
その双子の背後では、荒くれ達が騒がしくしていた。
『ヤワニク! ヤワニク!』
『レア、レア!』
杏はそのけたたましい話し声の方を見返すと、自分たちが荒くれ達に食料認定されている事に気が付く。
「……わたしたち、お肉認定されてる? たぬきなセキセイさま、あなたもわたしたち食べる?」
直ぐに平和的セキセイさまの方へと向き直ると、杏は訊ねて。けれども、平和的セキセイさまは何も答えなかった。
「違うの? なら少しお話しよう?」
祭莉と杏は屈んで、なるべく目線を平和的セキセイさまと近い位置にするる。
「お肉嫌い? お菓子食べる?」
祭莉は平和的セキセイさまにそう訊ねてみる。肉には反応しなかったが、お菓子にはころりと転がり反応した。反応したという事は肯定だろう。
「かぼちゃクッキー、あげる!」
にぱっと顔を輝かせ、祭莉はかぼちゃクッキーを平和的セキセイさまへと差し出して。杏は安心させる為に頭を撫でようと、その手を黄色い頭に伸ばす。
平和的セキセイさまはそっと伸ばされた杏の手を、甘んじて受け入れて。のっそりとクッキーをつつき始めた。
双子はその様子を見て安心すると、ちょっと待っててねと荒くれ達の方に改めて向き直る。
「えーと、残りは全部悪いセキセイさまだね? それじゃいつもどおり、もふもふっと骸の海に戻ってもらおうー♪」
危なくなったらキュイって呼んでねと、祭莉は少しだけ振り返って声をかける。それに対して平和的セキセイさまは、祭莉の瞳をじっと見返した。
『ヤンノカワレェ!!』
『ヨウシャセェヘンゾ!!』
とんでもなく口の悪い荒くれ達である。たぬきなセキセイさまとは正反対ねと思いながら、杏は『うさみみメイドさん』を十指で操る。
「皆、うさみみメイドさんの踊りを楽しんで? 覇気もマシマシ!」
杏の意のままに動くうさみみメイドさんは、踊りながら粟玉を振り撒く。その腰に巻かれる桜色のリボンが、ひらり靡いた。
『アワダマ! アワダマ!』
自分で粟玉を取り出せることを忘れて。ぱらぱらと撒かれるあわだまに、荒くれ達は反射的に反応した。それはダンスよりも食欲を選んだという事で。まるで魔法にかかったみたいに、撒かれた粟玉を啄ばもうとする動きがゆっくりになった。
「ん、踊りより食い気、まつりん、動きが鈍くなったところを狙って?」
杏の言葉に、祭莉は笑顔で頷いて。守護神でもあり、天敵でもある存在を喚ぶ。
「いでよ! プリンセス・メカたまこ!!」
その掛け声に応えて現れるは。真っ赤なリボンを付けた、機械の身体を持つ鶏達。その数は56体にも及んだ。
「悪いセキセイさまをやっつけろー!」
随分と緩慢に動く荒くれ達をびしりと指差し、メカたまこ達を突撃させる。
『『『コケェーーーーッ!!!』』』
メカたまこ達はダッシュすると。鋭い爪の付いた足で、思い切り荒くれ達を蹴り飛ばす。
ごすっ、どかっ、ばきっ、と。あまり平和的でない音が、樹海に響いた。
とはいえ平和的セキセイさまも、荒くれ達とは見た目が同じ。何かの間違いでメカたまこに攻撃されぬよう、祭莉は平和的セキセイさまの襟元(黄色と黄緑の境目辺り)にメカたまことお揃いの真っ赤なリボンをしゅっと結ぶ。
「よいセキセイさまは、たまことお揃い!」
明るく笑う祭莉を、不思議そうに見やる平和的セキセイさま。
「あ、外しちゃダメだよ、たまこが襲ってくるか……らっ!?」
その時、ごすっ!! っと。メカたまこが、祭莉の横っ腹へと蹴りを入れた。
「……ホラね?」
ちょっぴり涙目になりながらも、祭莉は平和的セキセイさまへと笑いかける。
そんな時。荒くれの1羽が、祭莉を突いてやろうとゆっくりながらも忍び寄っていた。
「まつりんはつついちゃだめ。まつりんをつついていい鳥は、たまこだけ」
杏はそれに気が付くと、その荒くれに近付いて見下ろす。
「海に戻ろうね?」
『ピエッ』
そしてぷすりと『灯る陽光』で荒くれを突けば。さらり、灰となって骸の海へと還っていった。
――テガ、アタタカカッタ。ソレトアノコワイトリタチ、タマコッテイウンダ……。
杏の手の温かさを、平和的セキセイさまは思い出していた。そしてどうやら、メカたまこは怖かったらしい。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
榛・琴莉
なんかその…すみません、怖がらせたみたいで
お話ししたいところですが、まずはあのアラクレさま達をどうにかしないと
肉扱いするのやめてもらえません?
セキセイさまはHaroldで覆って木の上に【投擲】
【物を隠す】のに適した葉や枝の影に潜んでください
攻撃されたら【武器受け】で防御、お願いしますねHarold
念のため、呼吸を考慮して酸素を取り込める様に
向かって来るアラクレさまをUCで迎撃
【先制攻撃】できればいいんですけど
あちらの攻撃は【見切り】回避したいですね…
今回Haroldにはセキセイさまの防御に徹してもらってますし
すみません、私、毒を持ってるタイプの肉なんですけど
なんて嘘で【騙し討ち】狙えますかね?
●птица
「なんかその……すみません、怖がらせたみたいで」
琴莉(ブライニクル・f01205)は今も動かずに転がる平和的セキセイさまへ、先刻の『Harold』の事を詫びる。
未知の存在にいきなり捕獲されたら、恐怖のあまり死んだフリをしてもおかしくないかもしれない。
平和的セキセイさまは、少し転がって顔を見せると。じろっとその瞳を琴莉へと向ける。その瞳は「コワカッタンダカラネ!!」と、訴えているようだった。
『リョウシツナタンパクシツ!!』
『ビタミン! チアミン!』
そんな静かな平和的セキセイさまとは反対に。背後ではがやがやと、荒くれ達が騒いでいて。
静かにさせなければ、平和的セキセイさまと意思疎通を取り辛くなるのが目に見えた。
「……お話ししたいところですが、まずはあのアラクレさま達をどうにかしないと」
何故アラクレさま達は、肉の主成分を知っているのだろう。だが今は、そんなことはどうでも良い。
琴莉は平和的セキセイさまを『Harold』で球形に覆い、それを持つと。ひょいと樹の枝葉へ向け投擲する。
「攻撃されたら防御、お願いしますねHarold」
呼吸できる様に隙間も空けてある。平和的セキセイさまの護衛については『Harold』に任せておけば大丈夫だろうと判断して。
琴莉は、アラクレさま達の方へと向き直る。食べられるのも、肉として見られるのも御免だ。
「肉扱いするのやめてもらえません?」
『エッ、ニクダロ?!』
一羽のアラクレさまが反論する。何処までも肉扱いをしたいらしい。それならばと。琴莉は、肉は肉でもと一つ嘘を吐く。
「すみません、私、毒を持ってるタイプの肉なんですけど」
『ンナッ?!』
『イヤ、タベテスコシシビレルクライガウマイッテキイタ!!』
毒と聞いて、アラクレさま達は少し躊躇う。それでもまだ、食い意地を張っている個体もいるけれども。
食い意地の張ったアラクレさまの言うそれは、河豚の事なのではないかと琴莉は推測した。
その時、『鳥の巣』のレンズに『Ernest』が検索した河豚毒についてのデータが映し出される。やはり、麻痺を起こす神経毒だった。
『トリアエズカジラナキャハジマラヌ!!』
『アッ、マテハヤマルナ!!』
アラクレさまの一羽が、琴莉へと向かって跳ねて。その嘴を大きく開き迫る。しかしその嘴が齧ったのは、琴莉の持つ『Mikhail』の銃口。
「……なんて嘘ですけれど」
がちんと、それはしっかりと齧っているのを琴莉は認めると、独り言ちる。
そして躊躇う事無く、引き金を引いた。放たれた弾丸は冷気を纏い、容赦無くアラクレさまを貫き灰に還す。それでもまだ威力の落ちぬ弾丸は、引き留めようとしていたアラクレさま達をも巻き込んで一直線に進むと。巨木の一本に命中してやっと止まる。
その跡に残っていたのは。氷霜に覆われた樹々達と、元はアラクレさま達であった灰だけだった。
――アヤマッテクレタ。アヤマレルヒトハ、イイヒト。
『Harold』の隙間から、銃身と腕に纏わる氷を掃う琴莉を眺めて。平和的セキセイさまは琴莉のことをそう判断していた。
成功
🔵🔵🔴
第3章 日常
『UDC-P対処マニュアル』
|
POW : UDC-Pの危険な難点に体力や気合、ユーベルコードで耐えながら対処法のヒントを探す
SPD : 超高速演算や鋭い観察眼によって、UDC-Pへの特性を導き出す
WIZ : UDC-Pと出来得る限りのコミュニケーションを図り、情報を集積する
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●とりせつ
あらくれセキセイ達を撃退し、無事に『UDC-P』個体であるセキセイさまを保護した猟兵達は。引き渡し場所である廃墟の一室にやって来ていた。
『…………』
ちょこんと。長机の上に座るセキセイさまは、非常に大人しかった。暴れないのは元々平和主義である事と、猟兵達に信用を置いたからではある、が……。
このセキセイさま。遭遇してから一言も、何も発さないのだ。
もしかすると、喋らないのではなくて、喋れないのだろう。
言葉を理解している様子はあるが、お互いきちんと意思疎通が出来なければ一方通行の押しつけになりえる。
他にも探れば問題点は出てくるだろう。それらに対処する為のマニュアルを作るのが、今回最後の仕事となる。
レポート用紙も、引き渡しまでの時間もたっぷりとある。猟兵達は其々、マニュアル作成の為にセキセイさまと向き合うのだった。
--------------------------------------------
【MSより】
現段階ではっきりと判っている問題点は、
喋ること(鳴くこと)が出来ない点。
驚くと、死んだフリをしてしまう点です。
以上の点を踏まえて、どう解決すれば良いかプレイングをかけていただくと良いと思われます。
他にも、セキセイさまとして使えるUCをこのセキセイさまも使えるので、それらを使う前に何か予備動作が無いかを探ったりするのも有りです。
(危害を加える危険性がないとはいえ、何らかのアクシデントでUCを使用してしまうことが無いとは言えないので)
廃墟なので、ある程度の設備破壊は許容範囲内です。
勿論他にも考察していただいても構いません。『UDC-P』もお腹は空きますし、ね。
--------------------------------------------
亜儀流野・珠
まずはお疲れ様だ、セキセイさまよ!
言葉は理解してくれているようだが……
一先ず返事ができるようにこれを渡しておこう!(〇と×が書かれた紙を渡す)これを突いて肯定否定、好き嫌いの意思表示をするといい!
さていきなりだがお前のUCを、力を使い壁を攻撃してくれないか?前兆はあるか、もし発動してしまった場合どれ程の威力でどれ程の範囲なのか、を知っておきたいからな!
色々あって疲れてるだろうが頼むぞ!
力を見たら威力と影響範囲を纏めよう。
あと死んだふりをするという事と、あまり驚かせないように、と付け加えておこう。
あとお前、飛べるか?
あとはやはり呼び名があると便利だな。
P太郎なんてどうだ!強そうだろう!
●とりせつ。1ぺーじめ
「まずはお疲れ様だ、セキセイさまよ!」
保護したセキセイさまへと、珠(狐の恩返し・f01686)は労りの言葉を掛ける。
さて。このセキセイさま、言葉は理解してくれている様ではあるが、喋れない様子で。
珠は肯定、否定の意思表示が出来るように、『◯』と描かれた紙と『×』と描かれた紙を、セキセイさまの前に置く。
「これを突いて肯定否定、好き嫌いの意思表示をするといい!」
じっと紙を見るセキセイさまに、肯定であれば『◯』を突き、否定であれば『×』を突くように伝える珠。セキセイさまはそれを早速理解し『◯』を突いた。
「さて。いきなりだがお前のUCを、力を使い壁を攻撃してくれないか?」
セキセイさまがUCを発動する時に前兆はあるか。そしてもし発動してしまった時。その威力はどれ程のもので、どれ位の範囲に及ぶのかを知る為だ。
例えこのセキセイさまにのみ適用される前兆であっても、知らないよりは知っておいた方が対応策をとりやすい。
セキセイさまは『◯』を突くと机から飛び降り、壁へと向かって歩を進める。
「色々あって疲れてるだろうが頼むぞ!」
壁まで辿り着くと。セキセイさまは嘴を開いて、わなわなと震えてから壁へと噛み付く。嘴を受け止めた壁には、直径50センチ、深さ10センチ程のクレーターが開いた。これは所謂『ガブリジャス』と呼ばれるUCだ。
レポート用紙に『ガブリジャス発動前は嘴を開いてわなわなと震える』事と、その威力と被害範囲の程を書き込む。
他にも粟玉を取り出す時は、翼の隙間から羽繕いをするみたいに嘴を埋めて取り出すこと。沢山のセキセイインコを召喚する時は、まず初めに何処からともなく沢山の羽搏き音がすること等も書き込んだ。
その様子を、黙ってセキセイさまは見つめていた。そして珠はそこまで書き込んだところで、ひとつ気になっていたことをセキセイさまに確認する。
「お前、飛べるか?」
その問いにセキセイさまは『◯』を突くと、軽く羽搏きをして宙に浮いた。何故その翼で飛べるのかという物理法則は気にしてはいけない。
珠はそこでいきなりはっとした。『お前』や『セキセイさま』呼びは『UDC-P』のセキセイさまなのか、一般UDCのセキセイさまなのか。諸々区別がつかなくて紛らわしい。
そこで呼び名があれば便利だろうなと、即興で思いついた名前をセキセイさまへと提案する。
「P太郎なんてどうだ! 強そうだろう!」
その提案に。セキセイさまは『×』と描かれた紙へ向けて嘴を勢いよく振り下ろした。
轟音と共に、紙の置かれた机に直径20センチ程のクレーターが開く。
手加減をしたみたいではあるが、紙は字の如く粉砕されていた。
『…………』
セキセイさまの真っ黒な瞳は、珠へ向けて無言で圧力を掛けていた。
おそらく。このセキセイさまは、女の子なのだろう。
珠はレポート用紙に、『性別は多分女の子』と書き加えた。
大成功
🔵🔵🔵
木常野・都月
俺も、じいさんに保護された時、意思の疎通が難しかった。
鳴く事が出来ないなら、動作で返事するように教えてみよう。
そうだな、質問された事に「はい」なら「うなずく」。
「いいえ」なら「首を左右に振る」。
よくわからなかったり、答えようがないなら「首を傾げる」。
これで、少なくとも最低限答える事はできるはずだ。
時間をかければ、文字盤やキーボードを使って、言いたい事を伝えられるようになるかも。
あとは…驚くと死んだフリする事か。
これは…容赦なく伝えよう。
ヒトに死んだフリは通用しない。
驚いた時に別のリアクション取れればいいんだが…
俺の尻尾みたいに、全身の毛が逆立ったりしないか?
後は羽をバッと広げるとか。
●とりせつ。2ぺーじめ
『…………』
じーっと。セキセイさまは都月(妖狐の精霊術士・f21384)の事を見つめていた。都月も、セキセイさまの事をじっと見つめ返す。
「…………」
かつて自分が年老いた男性に保護された時の事を、都月は思い出していた。
まだ『狐』として生きていた頃だ。当時はどうやって自分の意思を伝えればよいのか、解らなくて。
都月はその時の自分と、目の前のセキセイさまが重なって見えた。
どうやらこのセキセイさまは、鳴く事が出来ない様子。つまり、声で自分の意思を伝えることが出来ない。
それならばと、都月は声の代わりに動作で返事をするように教えてみようと思い立つ。
「そうだな、質問された事に『はい』なら『うなずく』」
セキセイさまの目を見て、頷く動作をする都月。
続いて『いいえ』ならば『首を左右に振る』こと。よく解らなかったり等で『答えようがない』ならば『首を傾げる』ようにと教える。
これで少なくとも、質問には答えを返すことが出来る筈である。覚えたかと問うてみれば、セキセイさまは頷き応えた。
もっと時間をかけることが出来たならば、文字盤やキーボードを使いセキセイさま自身が言いたいことを伝えられるようになるかもしれない。
それは保護先のUDC組織に任せるとして。今は、これで十分だろう。
そして都月は。セキセイさまに伝えておかねばならぬことを無慈悲に、容赦なく口にする。これは大事なことだ。
「ヒトに死んだフリは通用しない」
『……!!』
それを聞いたセキセイさまは、衝撃を受けた。死んだフリをしていれば相手は興味を失くして立ち去るか、仮に捕まっても食料貯蔵の穴倉に放られる(そしてセキセイ仲間たちに捜索されるまでがセット)程度で済んでいたからだ。それは単に運良く食べられなかっただけとも言えるが。
セキセイさまは、猟兵達に死んだフリが通じなかったことを思い出して。それで納得すると、こくんと頷いた。
これでもう、セキセイさまが驚いた時に死んだフリをすることは無い筈だ。
死んだフリの代わりに、驚いた時に何か別のリアクションを取れないかと、都月はセキセイさまに訊ねてみる。
「俺の尻尾みたいに、全身の毛が逆立ったりしないか? 後は羽をバッと広げるとか」
実際に、都月は自身の尻尾の毛をぶわっと逆立たせ、セキセイさまに見せる。
するとセキセイさまは、真っ黒な目を白目がちにし、刺々しく羽毛を膨らませた。
おそらく、このリアクションがこのセキセイさまの本来の驚き方なのだろう。それが驚いた時の反応かと確認を取れば、セキセイさまは素直に頷く。
都月はレポート用紙に、簡単な意思疎通の方法と驚いた時のリアクションを書き込んで。セキセイさまのふわふわ頭を撫でた。
大成功
🔵🔵🔵
パルピ・ペルポル
いろいろ調べたいことはあるけれど、まずは全身もふってみましょうか。
ほら、のちのち検査とかするときに身体に触れるでしょうし。
身体のどこを触られたら喜ぶor嫌がるかを調べておくのは必要だと思うのよ。
わたしがもふりたいからだけじゃないのよ…はーこれはよいもふもふ(もふもふしつつ)
とはいえ現時点で喜んでるか嫌がっているかのサインがよくわからないから、後で見返せるように銀色の円盤状のすごい機械で動画撮影しておきましょ。
むしろサイン決めたほうがいいのかしらねぇ。嫌なときは頭横にふってもらうとか。
あとは餌の好み…今の手持ちが干し肉と鮭とばとドライフルーツしかないんだけど、この中だとどれが好きかしら?
●とりせつ。3ぺーじめ
色々と調べたいことはある。あるけれども、まずは全身をもふってみよう。
UDC組織が後々検査等をする時に、確実にセキセイさまの身体に触れるはずだ。身体の何処を触られたら喜び、嫌がるのか。それを調べ、知っておくのは必要なことなのだ。
決して自分がもふもふと、もふりたいからだけではない。だけではないのだからと。パルピ(見た目詐欺が否定できない・f06499)は自分に言い聞かせていた。
そしてパルピは意を決すると、セキセイさまへと身体に触れて良いか訊ねて。セキセイさまはそれに頷いて了承する。
頷いたのを確認すると、パルピはもふんと、セキセイさまへとその身を埋める。
ちなみにセキセイさまの大きさは約40センチで、パルピよりも大きい。
全身でセキセイさまの羽毛を感じることが出来るのは、フェアリーの特権と言えるだろう。
「……はー、これはよいもふもふ」
パルピがセキセイさまのそのもふもふに陥落するのに、時間は掛からなかった。それ以前に柔らかく心地よいその羽毛に包まれ、陥落しない者は居るのだろうか。
思わず意識が彼方へと行きそうになった時、パルピははっと思い出す。
何処を触られると喜び、そして嫌がるか調べなければ。けれども、現時点でそのサインはよく判らない。加えてパルピの視点からはセキセイさまの表情が窺いにくかった。
少し考えて。動画で撮って見返せばいいじゃないかと至るパルピ。
色々と高性能な『銀色の円盤状のすごい機械』を取り出すと、セキセイさまの全身が入る位置に置き録画を開始する。
「サインとか決めたほうがいいのかしらねぇ……?」
決めておけば、見返した際にわかりやすい。嫌な場所に触れられたならば、頭を横に振ってくれるようにセキセイさまに伝えれば。セキセイさまは縦に頷いた。
そうして存分にもふ……調べたところで、名残惜しいがパルピはセキセイさまから離れる。気になることがあったのだ。
パルピはセキセイさまの前に『鮭とば』、『干し肉』、『ドライフルーツ』を並べた。全て干物なのは偶々だろう。
「この中だとどれが好きかしら?」
セキセイさまの食性が気になっていたのだ。とりあえずはと、並べた食べ物でどれが好物か訊ねれば。セキセイさまは真っ先にドライフルーツを突き齧る。
どうやら樹海のセキセイさま達とは好みが違い、果実系が好きな様子。
セキセイさまがドライフルーツを齧っている間。パルピは動画を見返し、セキセイさまが触れられて嫌がる場所、喜ぶ場所が何処なのか目星を付ける。
一般的な鳥と好みが同じなのか。目の斜め下辺りにある耳付近を触られると、セキセイさまは目を細め喜び、逆に尾羽付近を触られると首を振って嫌がっていた。
それをレポート用紙に書き込んで、追記に肉よりは果物が好みであることを書き込むと。パルピはセキセイさまの隣に座り、干し肉を齧るのだった。
大成功
🔵🔵🔵
榛・琴莉
【WIZ】
てっきり、怖がって喋らないのだと…
こちらの言葉は理解しているようですし、
『はい』『いいえ』とメモに書いて、それで質問に答えてもらいましょうか
協力してもらうんですから、保護環境は整えなくては
まずは食性を
UDCの生命維持に食事が必要なのかは分かりませんが…
日々の楽しみに美味し物を食べたくもなるでしょうし
始めに大体の方向性を絞ります
肉食か草食か、雑食か
…食べようと思えば、人間も食べられるんですか?
すみません、一応知っておきたいので
あとは温かいのとか冷たいのとか
スマホで画像を見ながらでも良いですね
嫌いな物とか、食べられない物も聞いておかなくては
やっぱりネギとかチョコはマズイんでしょうか?
●とりせつ。4ぺーじめ
「てっきり、怖がって喋らないのだと……」
琴莉(ブライニクル・f01205)目の前で、セキセイさまは『いいえ』のメモを突いていた。
セキセイさまは廃墟までの移動中、果ては現在に至るまで。猟兵達を怖がる様子は無かったのに、一言も何も発さなかった。
猟兵達の言葉を理解している様子はあるのに、それは流石に何かおかしいと感じて。琴莉は『はい』、『いいえ』と書いたメモをセキセイさまの前に置き、訊ねてみたのだ。
――『言葉を話せるのか』と。
そこで話は冒頭に戻る。セキセイさまは、喋らないのではなく、喋れなかったのだ。
……とはいえ、言葉を発せないから意思疎通が不可能という訳ではない。現に『はい』、『いいえ』のメモや、簡単なリアクションでやり取りが出来ている。
意思疎通の方法については他の猟兵達が纏めている様子だったので、改めて教えなくとも大丈夫だろう。
これからセキセイさまには、UDC組織の協力者となって貰うのだ。そこから考えるなら、まずは保護環境を整えなければならない。
となれば。人間であれ、動物であれ。生きる為に必要なのは『食』。
「UDCの生命維持に食事が必要なのかは分かりませんが……」
セキセイさまの食性を探ることにする琴莉。美味しいものを食べることが、保護先で過ごす日々の楽しみとなればこの上ない。
琴莉はメタリックブルーのスマートフォンを取り出すと、好きな食べ物が目に入ったら、『はい』を。嫌いな食べ物が目に入ったら『いいえ』突くようにセキセイさまに言う。
そして好みの方向性を大体絞る為に、画面に肉類、葉物、木の実等の画像を順々に映し出した。
『……!』
セキセイさまは。木の実の画像が映し出された時に、こつこつと『はい』を突いた。逆に葉物や肉類には殆ど反応を示さなくて。『いいえ』を突いたのは画面に「唐辛子」が映し出された時だった。辛いものはダメらしい。
UDCでも一応鳥類。鳥にあげてはいけない食べ物の代表格である『ネギ』と『チョコレート』を見せてみたら、セキセイさまはネギを見た時に『いいえ』を突いた。兎に角、辛味があるものは好きではないのだろう。
このセキセイさまはどうやら雑食性の様。その中でも木の実が好きな様子だった。
雑食性であると分かったところで、琴莉はセキセイさまへと問わねばならない事があった。
「……食べようと思えば、人間も食べられるんですか?」
その問いに、セキセイさまは顔を俯かせ悩んでいる様子だった。即答が出来ないという事は、少なからず可能性はあるのだろう。
「すみません、一応知っておきたいので」
少し間を置き、セキセイさまは躊躇いがちに『はい』を突く。それは平和主義の個体とはいえ、他のUDCと同じなのだという事だった。
――雑食性。常温の木の実を好み、唐辛子など辛味のあるものは嫌う気有り。
――加えて人間を食する可能性は皆無ではあるが、食べられないわけではない。
そう、琴莉がレポート用紙に書き込んだところで。いきなりセキセイさまが琴莉の腕へと顎を乗せて、そのまま餅のように溶けた。
直感的に動いてはいけないと判断した琴莉は、暫く腕を動かすことが出来なかったのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ロロ・ゼロロ
※アドリブ・連携歓迎
WIZで
声、発せられぬのか。
それはそれで神より賜りし個性であるが、ぶっちゃけ不便である、なー。
ならば、身体言語……ボディランゲージの法則を定めてみよう。
たとえば『はい』なら右手を上げ、『いいえ』なら左手を上げる、という風に。
それで平和的セキセイさまが了承してくれそうなら、次々と法則を考案しよう、ぞー。
たたんとステップを踏んだら『ご機嫌』。
『お腹空いた』も必要か。ではこう両手でお腹を押さえるポーズである(自分でもやってみせる)
かような調子で平和的セキセイさまの反応を見ながら法則を決め、レポート用紙に一覧として記そう。
余の考案せし意思疎通術、気にいってくれたであろう、か?
●とりせつ。5ぺーじめ
「声、発せられぬのか」
ずっと黙したままのセキセイさまと見つめ合いながら、ロロ(ゆるチュウニ王子・f23416)はぽつりと、零す。
『…………』
現在まで一言も、何も発さねば。その推論に至るのにそう時間は掛からなかった。
樹海に居た他のセキセイさま達は言葉を、声を発することが出来ていた。だが、目の前のセキセイさまは、それが出来ない様子。
それはそれで、神から賜った個性ではある。が……。
(「ぶっちゃけ不便である、なー」)
会話が出来れば、手っ取り早く意思疎通が出来るけれども。
だが、意思疎通の方法は何も言葉だけではない。目からだって意思を受け取ることは可能である。
そう、ロロは思いついたのだ。ボディランゲージの法則を定めれば良いと。
これがかなり役に立つ。言葉が通じない地で、ボディランゲージの世話になった者も多いだろう。
幸いにも、このセキセイさまは言葉を理解している。身体言語を教え、法則を定めれば言葉に代わる意思疎通が可能になる筈だ。
早速ロロはセキセイさまに『はい』ならば右羽、『いいえ』ならば左羽を上げるように言い、意思疎通の方法としてボディランゲージを定めてもいいかと問えば。セキセイさまは右羽をぱさっと上げた。右羽は了承の意だ。
「では、次々と法則を考案しよう、ぞー」
ロロが拳を上げて見せれば、セキセイさまは右羽を上げ飛び跳ねた。
そうしてロロはセキセイさまと共に、意思疎通に必要な身体言語を創り上げて行く。
――気分が良い、つまり『ご機嫌』であれば、『たたんとステップを踏む』。
――反対に『とっても怒っている』時は、飛ばない程度に『ばさばさと羽搏き』。
……等々。セキセイさまの反応を伺いながら形を創ると、レポート用紙に一覧にして書き記す。
その途中。文字だけでなく、絵も付ければ更に分かりやすいだろうと。デフォルメ調のセキセイさまのイラストを空白部分に描き込んで、『こんな感じの動き』と矢印線を引っ張った。
他に創る身体言語は……と、顎に指を当てたところで。樹海のセキセイさまがロロの脳裏に過った。あのセキセイさま達は、『肉、肉』と連呼していたことを思い出す。
「お腹空いた、も。必要になるか」
樹海に生息していたセキセイさま達は、ロロ達猟兵を食料として見ていた。つまりそれは、セキセイさまは何も食べないわけではないということで。
「何か食べたくなった時は、こう、両手でお腹を押さえるポーズである」
ロロは両手で自身の腹部を押さえ、セキセイさまに見せる。セキセイさまはそれに倣い、両羽を自身の腹部に当てて見せた。
キリの良いところでペンを置くと、ロロはレポート用紙に書き込む様子を眺めていたセキセイさまへと問いかける。
「余の考案せし意思疎通術、気にいってくれたであろう、か?」
その問いにセキセイさまは。右羽を上げると、たたんとステップを踏んで答えた。
大成功
🔵🔵🔵
木元・杏
まつりん(祭莉・f16554)と
たぬセキセイさま…名前、何がいいかな
名は大切。自分が自分だと知る印だから
…ん、鳴くこともないのは、まだリラックス出来てない?
粟穂、どうぞ?
何が1番好きなのかな
食べてる間に、そっと頬をわしゃわしゃしてみる
ここ、気持ちいい?
鳥さんは目でもちゃんと表情わかる
目、細めてたら気持ちいい
怒ったらちょっとツリ目になるし
まだどきどきしてる?
目線を合わせて、気持ちいいところをかきかき♪
……口笛はどう?一緒に歌いたくなるといいな
粟穂を食べて羽毛がぶわっとなるなら
気持ち良さそうにしたところをもふっとかきかき
もふられの気持ちよさで攻撃力下げれない?
鳴き声が聞こえたら
名前の参考にしたい
木元・祭莉
アンちゃん(f16565)と!
そっか、そういえば声聞いてないね?
恥ずかしいのー?
んー、声聞いてみたいけど……難しいなら仕方ないなあ。
でも、意志疎通はしたいなあー。
そだ。
OKだったら、翼をはたりはたり。
ヤダヤダだったら、尻尾をぶんぶん。
これでどうかなぁ?
ん、お煎餅もあげる!
かりんとうは固すぎるかな?
あ、食べるんだ。
ガブリしたくなったら、こっち先にね!
(大量にお渡し)(手作り品)
死んだふりしたら、撫でモフれば治るかな?
あ、アンちゃんじょうずー♪
喋れなくても、キュイって言える?
よしよしー♪(もふもふっと)
同じトリなのになあ。
キミ可愛いよね。……なんでかなあ。
(遠いめ)
名前……コロリン、とかどう?
●とりせつ。6と7ぺーじめ
『…………』
長机の上でじーっと。セキセイさまは杏(たれあん・f16565)と祭莉(オオカネコミミレッドメイド・f16554)を見つめていた。
「……ん、鳴くこともないのは、まだリラックス出来てない?」
鳴かずにずっと黙しているセキセイさまに、杏は首を傾げる。
「そっか、そういえば声聞いてないね?」
恥ずかしいのだろうかと、祭莉も杏と対になるように首を傾げる。
「んー、声聞いてみたいけど……」
それが今は難しいならば、無理強いはしない。けれど、意思疎通はしたい。
「あ、そだ!」
そこで、祭莉は言葉に代わる意思疎通の方法を思いつく。OKだと『肯定』の意であったならば『両翼を羽搏かせる』。嫌だと『否定』の意であったならば『尾羽をぶんぶんと振る』というようにしようと、セキセイさまに提案する。
「これでどうかなぁ?」
その提案にセキセイさまは早速、はたはたと両翼を羽搏かせて答えた。
少しでもリラックスできればと。双子は手持ちの中から、セキセイさまが食べそうな食物を与えてみることにした。
「粟穂、どうぞ?」
「ん、お煎餅もあげる! ……かりんとうは硬すぎるかな?」
杏は粟穂を。祭莉は煎餅とかりんとうをセキセイさまの目の前に置けば。セキセイさまはじっとそれらを見た後に、まずはかりんとうから齧り始めた。
かりんとうは硬いかもと思ったが、そうでもなかった様で。セキセイさまはばり、ばきと。嘴で砕いて飲みこむ。
勿論煎餅もばりばりと砕く。セキセイさまの嘴は、硬いものでも容赦なく砕くことが出来るのだ。
その頑丈なる嘴でガブリとされたら、ただでは済まないのが容易に想像できた。
「ガブリしたくなったら、こっち先にね!」
ガブリとされた場合を考えてしまって、それを振り払うように。祭莉は手作りなんだよと、追加でどーんとセキセイさまに煎餅とかりんとうを差し出す。
だが差し出されたものは一通り食したいのか、セキセイさまは杏の粟穂に嘴を伸ばしてぱりぽり食した。
そして、もふんと。セキセイさまの羽毛の質量が増えた。セキセイさま自前の粟穂でなくとも、羽毛の質量は増える様だ。
増えた羽毛をふわふわと揺らしながら、ぽりぽりと粟穂を食べ進めているセキセイさまへ、杏はそっと手を伸ばすと。その頬をわしゃわしゃと撫でてみる。
温かく、ふわふわとした感触が手に伝わる。触れられた場所が心地良かったのか、セキセイさまは目を細めて顔周辺の羽毛を膨らませた。
「鳥さんは、目でもちゃんと表情わかる」
鳥は気持ち良ければ、目を細め。怒ったならば、目を吊り上げる。それを杏は知っていた。
「まだどきどきしてる?」
セキセイさまと目線を合わせて、セキセイさまの耳付近をカキカキとする杏。カキカキされたセキセイさまは目を閉じてうっとりとし、されるがままとなる。
一般の鳥と同じように。気持ちの良いところに触れられたならば、ほぼ無力化出来る様子だった。
「……口笛はどう? 一緒に歌いたくなるといいな」
だいぶセキセイさまがリラックスしたところで、ぴゅいと口笛を吹く杏。
「あ、アンちゃんじょうずー♪ ね、喋れなくても、キュイって言える?」
だが。セキセイさまは申し訳なさそうに尾羽を振って答えた。つまりそれは否である。もしかすると、声を発する器官に何か問題があるのかもしれない。双子は声を聴けなくてしょんもりとしてしまった。
それを受けたセキセイさまは双子を元気づける為か、ぐりぐりと頭を押し付ける。その様はとても愛らしく、双子は思わず笑顔となる。
「同じトリなのになあ。キミ可愛いよね」
フッと遠い目をする祭莉の脳裏に浮かぶは、守り鶏の『たまこ』。
――なんでかなあ。なんで、たまことセキセイさまはこんなに違うんだろう。
少なくとも目の前のセキセイさまは何もしてない時に、突いてきたり蹴ってきたりはしない。けれど、たまこは……と思い返した祭莉は、思わずため息をつかずにはいられなかった。
そこでふと、杏は大切なことを忘れていたことを思い出す。
「たぬセキセイさま……名前、何がいいかな」
名は『自分』が『自分』であると知る『印』だ。他との区別がつかないと、境界があやふやとなって自分を見失ってしまう。
「名前……コロリン、とかどう?」
ころころと丸いその姿から思いついたのか、祭莉はそう提案をする。
するとセキセイさま『コロリン』という響きを気に入ったのか、飛び跳ねると両翼をはたはたと羽搏かせた。
顔を輝かせた杏と祭莉は。レポート用紙に、セキセイさまは普通の鳥と同じように表情があること。
耳付近をカキカキすれば、大人しくされるがままとなること等を書きこむ。
そして最後に。セキセイさまの名前は『コロリン』ですと書き込んで締め括ると、笑い合った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
樹神・桜雪
※絡み・アドリブ歓迎
(他の人の報告書を見ながら考える)
ええと、UC発動時の予備動作は調べてくれたんだね
あとは…君、女の子…だったの?あ、疑ってるわけじゃないんだよ?お願いだから噛みついたりするのやめよう?
そういえば、ボクがあげた楢の実食べてたね
お肉よりやっぱり木の実とか野菜とかの方が好きなのかな
楢の実と、イチゴやバナナとか果物を並べてみるよ
どれが一番好きなのか教えてもらえるかな
ここに絵描いたからつついてね
うん、ゆっくり食べてて良いんだよ
…あとは、そうだね。
女の子だもんね
他の人も何かあげてるかもしれないけど、これあげる
可愛い青いリボン
個体の区別もつくから良いかなって思うんだ
どこにつけようか?
●とりせつ。8ぺーじめ
「……君、女の子……だったの?」
他の猟兵達が纏めたレポートに記載されていた一文に、桜雪(己を探すモノ・f01328)は思わずセキセイさまへと訊ねる。
長机の上でもこもこと膨ら鳥と化していたセキセイさまは、その問いを耳にした瞬間。わなわなと震え、嘴を開いた。
この動作の意味を桜雪は知っていた。先ほど目を通したレポートに書いてあった、『ガブリジャス』の前兆だ。どうやら怒っている様子。
「あ、疑ってるわけじゃないんだよ? お願いだから噛みついたりするのやめよう?」
疑っているのではなく、確認の為に訊ねたのだと宥めれば。セキセイさまは納得したのか、わなわなモードを解除した。
「そういえば、ボクがあげた楢の実食べてたね」
樹海でこのセキセイさまに会った時、探索中に拾った楢の実を差し出したら。いつの間にか死んだフリをやめて、殻を割りぽりぽりと食べていたことを桜雪は思い出した。
このセキセイさまは、肉よりも木の実や野菜の方が好きなのだろうか。
疑問を抱いた桜雪は、セキセイさまの前に。楢の実をはじめ、苺やバナナ、葡萄等を並べる。
セキセイさまは並べられたそれらに、目を輝かせる。木の実や果実類は、樹海でも見慣れた食糧なのだろう。
「どれが一番好きなのか、教えてもらえるかな」
ここに絵を描いたから、一番好きだったものをつついてねと、桜雪はレポート用紙の絵を指差す。
どれから食べようかと、セキセイさまは視線を行ったり来たりとさせると。まずは苺に齧りついた。木苺に似た色合いと見た目だからだろうか。
だが、苺は樹海には存在しない果物。木苺とは違う味に衝撃を受け、そして気に入ったセキセイさまは、次々と苺の粒を平らげる。
「ゆっくり食べてて良いんだよ」
苺の次はバナナだと言わんばかりに、バナナへと跳ねたセキセイさま。
あんまり急いで、詰まらせたりしないでねと言った桜雪の言葉は、聞こえていただろうか。
……そうして。並べられた食べ物を一通り堪能したセキセイさまは、桜雪が絵を描いたレポート用紙の前に来ると、苺の絵を突く。
「そっか。苺が一番だったんだね」
桜雪の顔を見つめ、もふんと顔の羽毛を膨らませるセキセイさま。桜雪はレポート用紙に、このセキセイさまは楢の実や果物類が好きなことと、その中でも特に苺が好きであることを書き込んだ。
紙にペンを走らせる腕を止めて、桜雪はひとつ、思い立つ。
(「――女の子、だもんね」)
「他の人も何かあげてるかもしれないけど、これあげる」
そう言って。桜雪がセキセイさまに見せたのは、可愛らしい青いリボンだった。
このリボンを付ければ、他に保護されたセキセイさまの個体とも区別がつくから良いだろうと。そして、また会う時の目印になると思ってのことだった。
「どこにつけようか?」
軽く首を傾げる桜雪へと、セキセイさまは自身の右羽の付け根を突いて見せた。ここならば邪魔にならないとセキセイさまは言っているのだ。
その意を受け取った桜雪は、きゅっとリボンを右羽の付け根に結んであげる。
青の彩りを戴いたセキセイさまは、もふんと羽毛に空気を含ませると、桜雪へ一礼するのだった。
●とりせつ。おくづけ
猟兵達のモノではない足音が、廃墟に響く。
UDCの職員達がやって来たのだ。それはつまり、引き渡しの刻限が来たということ。
セキセイさまとはここで別れることになる。だが、今生の別れになるわけではない。
会いたいと思ったなら、UDCの研究所に行けば会える。研究が進めば、セキセイさまが声を発することが出来るようになっているかもしれない。
だから。
猟兵達は『さよなら』ではなく『またね』と告げて。UDC職員に抱えられたセキセイさまを見送るのだった。
大成功
🔵🔵🔵