作家センセの悩みの種
#サクラミラージュ
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一年中桜吹雪の降りやまぬサクラミラージュ。春の陽気に浮かされて、いつも賑やかな帝都ではございますが、さて今日の様子はといえばそんな、陽気だなんて生易しいものじゃございませんで…。
「新刊だよ新刊!!桜田栗饅頭大先生の新刊だァ!」
「きゃあ!1冊くださいな!」
「ちょっと!私のも残しておいてよね!」
「押すない押すない!ぺぇじが折れ曲がっちまうぞ!」
とまあえらい騒ぎで。それも当然の話、桜田栗饅頭先生といえば押しも押されもせぬ大文豪。サクラミラージュで大人気、冒険活劇小説の第一人者でございます。
その栗饅頭先生の最新作が発売されたというわけで、帝都もそこら中まるでお祭り騒ぎ。
…とまぁ大勢の人が熱狂する影では、妬み嫉みなんかの淀んだ感情も湧き出し始めるのが世の常でございまして、帝都の暗がりにて何やら怪しげな人影が動き始める。
その姿は暗がりにいるせいか、それとも存在が薄ぼんやりとしているせいか、人型という以外判別がつきません。きゃあきゃあと騒ぐ人混みを遠目に見ながら、何やらぶつぶつと呟いております。
それもたいそう不気味。聴いたものを卒倒させるような…世にも恐ろしい怨嗟の声でございます。
「おのれ桜田……妬ましい…妬ましいぞおおお……」
そうしてずいぶんと長い間嘆いていたかと思うと、…掻き消えるようにしてフッと姿を消してしまう。
消えたって?一体どこに?
こんなことができるんだ。現実に存在する人では無いんでございましょう。恨みを抱いたままこの世を去った「もの」の残滓。
つまり……『影朧』でございます。
。。。。。。。。。
「…と、そういうわけで。このままじゃあ作家の先生が殺されてしまうかもしれないんですのよ…」
グリモア猟兵、ペパシア・ドロキペは周りをぐるりと見渡して、今回のサクラミラージュで起こる事件について話しだします。
「この影朧はつよい『恨み』を糧にして動いていますわ。ただし、狙われている作家さんとは直接関係がないようで…。どうやら影朧さんは元々持っていた恨みとはかけ離れた方向に暴走してしまったようですの。つまりー…えーと…逆恨みということですわねー…」
そう言ってペパシアは沈鬱そうに俯きます。あんまりですわ…とため息をひとつ。
「なんでもこの作家さん、今帝都で大人気で大層有名だそうですから。恨みの矛先も向けやすかったのだと思われますわ。…皆さま!なんとか作家さんを助けてあげてくださいまし!」
助けてください…と言われたはいいものの、どうやって助けるかってのがやはり問題です。
とにかくまずは作家─桜田栗饅頭先生に接触しなくてはいけません。なにしろ影朧はずいぶんこのお方に執着をしてますから。
そして世間話をするなり挑発するなり行動していれば、焦れて影朧の方から姿を現すかもしれません。
「なので今回のミッションはまず先生を探すこと!…ここに帝都の雑誌から持ってきた先生の顔写真があります。これを参考にして合流してくださいな。……そして影朧が出てくるまで護衛するのよ!皆さま!頼みましたわよ! !」
森の人
はじまりはじまり。どうも、森の人です。
今回はサクラミラージュで人助けでございます。
1章はまず栗饅頭先生を探して護衛する予定の章となっております。へのへのもへじみたいな顔をした男性です。
自然な流れで接触してサインをねだるなりお話をするなりしてください。もしくは護衛として密かに追跡しつつサクラミラージュを満喫してもらっても結構です。
2章は尖兵との戦い、3章はボス戦となってます。逆恨みで暴れる影朧、しっかり一喝してやりましょう。
それでは、よろしくお願いします。
第1章 日常
『ハイカラ街巡り』
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POW : チョコレートやガム等お菓子を買い、食べながら散歩を楽しむ
SPD : モダンな洋服や装飾品の店を見て回る
WIZ : 書店やレコオド店を巡り、掘り出し物を探す
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
モッチ・モチ
とりあえず、先生を探して見つけたら護衛という流れデスネ!ガッテン承知!
町を回って美味しいスイーツを堪能しつつ、作家先生を探しマス♪
いきなり本人にお会い出来れば姿を見せず追跡。
本人が見つからなくても、何か居場所の手がかりを探しマス!
和菓子店で聞き込みでもしてみましょう♪
「栗饅頭先生をご存知デスカ?」といった具合に。
それにしても、このモチモチのおだんご、美味しいデスネ♪
「とりあえず、先生を探して見つけたら護衛という流れデスネ!ガッテン承知!」
という、頼もしい返事で早速出発してくれたのは元気な青髪のバーチャルキャラクター、モッチ・モチ(ボス専門バスター・f09023)。
帝都へと足を踏み入れた彼女は、顔写真片手にキョロキョロとそれらしい人影を探しに参ります。
「特徴的な顔立ちデスシ、すぐ見つかればいいんデスガ…」
写真に移っているのはへのへのもへじによく似たお顔の人物、桜田栗饅頭先生。これだけ個性的ならばなぁにすぐ見つかるだろう、と高を括ったモッチ・モチは足早に気になる方向へとかけていきます。
「聞き込みをするなら甘味処と相場が決まっているのデス♪…えーと、有名な和菓子店はアソコとアソコとアソコと〜…」
実益半分趣味半分。モッチは一番近くの茶屋へ鼻歌を歌いながら駆け込むと、人気メニューのみたらし団子を注文致します。
香ばしい甘辛タレと柔らかで弾力のある白いお餅。一番人気というのも伊達ではありません。
モッチは顔をほころばせて甘いお菓子をもぐもぐと。味を堪能しながらしきりに舌づつみをうちます。
「う〜ん、このモチモチのお団子、美味しいデスネ♪…店員さん、持ち帰りってできマスカ?」
「…いいお店デシタ!ご贔屓にするとしまショウ!」
実に満足そうな表情でモッチ・モチ、お土産片手に往来へ出てまいります。
お腹を満たしたわけでございますが…、今回の目的は人探し。もちろん彼女も忘れてはおりません。聞き込み調査をこまめに行っておりました。
『…店員さん、ところでこのお方をご存知デスカ?』
すると誰もが目を輝かせ、『あなたも栗饅頭先生の愛読者でありますか!!』と知っている話をペラペラ話してくれるわけでございます。
聞き込みとしてこんなに楽な部類もなかなかないというもので。
…それによりますと、先生がよく出没するスポットというのがファンの間で広がっているようでございます。『栗饅頭すぽっと』なんて愛称を込めて呼ばれているようでして、早速モッチ・モチ、その中のひとつへと歩き出す。
「…あれあれ、あの横顔は…?まさか一発ビンゴデスカ?」
なんと、遠目に見えるのは写真と同じ顔、桜田栗饅頭その人でございます。…しかもその周りには見かけた顔もチラホラと。もう既にほかの猟兵がたどり着いていたようで、様々にアクションを起こしております。
「ワタシも合流しませんト。皆サン待っててくださいネ〜!」
そうしてモッチは追跡するべく駆け足で近寄って行きました。
さて、これからが依頼の本番です。
頑張って護衛をこなさナキャ!と、手元の菓子折りを見つめながらモッチ・モチは気合を入れるのでした。
大成功
🔵🔵🔵
西方寺・鞍馬
【WIZ】にて。アドリブ歓迎。
作家の先生であるのだから当然、縁深いと言えば書店ではなかろうか?
という【第六感】に誘われて、僕は本屋に向かうとしよう。
店には、何時ものように客も来ないしね。仕方ないね。
掘り出し物も悪くないけれど、その作家先生の本を探してみよう。
本はいいね。
お手軽に未知の世界を垣間見る事が出来る。
書かれた文章を読めば何となくではあるけど、先生の人となりも分かるかもしれない。
ついでに店主あたりから、作家の先生の情報でも仕入れられないか試してみよう。
「作家の先生であるのだから当然、縁深いのは書店ではなかろうか?うん、僕の第六感が間違いないと叫んでいるね。」
帝都出身の骨董屋店主、西方寺・鞍馬(帝都の昼行燈・f22626)は予見めいた閃きに誘われて真っ直ぐ書店へと歩き出しました。向かうのは帝都で一番大賑わいな大書店…ではなく、骨董屋からちょっと歩いたところの小さな古本屋です。
「まさか本人はいないでしょうが、いろいろ情報は手に入るだろう。……桜華堂にもっとお客が来てくれればこう遠出しなくても情報が手に入るんだがねぇ。うん、考えても詮無いね…。」
さて、帝都に住んでいれば家でも耳に入ってくる名前ではありますが、鞍馬さんどうやら桜田栗饅頭先生の本には手をつけたことがないようでして。
古本屋の主人に軽く会釈をして店の中へと入りますと、冒険小説の棚へとやってまいります。
人気のジャンルでございますから古いものから新しいものまでずらりと並んでおります。鞍馬さん、少し昔に書かれた桜田先生の1冊を手に取ると、パラパラとページをめくって目を通し始めます。
大事に扱われてはいたのでしょうが歴史を感じさせるくたびれ具合です。何度も読み返された1冊なのでございましょう。
「本はいいね。お手軽に未知の世界を垣間見ることが出来る。」
未知の世界での大冒険、悪い敵役との戦い、うっすらとした恋愛模様。お手本のような冒険小説であります。そして、スルスルと読み進めるうちに、ついに冒険も終わりを告げます。
「悪くありませんね」と呟いて鞍馬は棚へと本を戻します。軽く目を通しただけですが、とても丁寧な作風で、作者の真面目な人柄を感じさせます。
「…ときに店主さん、古本屋ってものは本好きの人達が集まるものだよね。この本の作者さんについての情報なんか何か知らないかい?ほら、よく行くカフェーだの好きな劇場だのさ」
うとうとと船を漕ぎ出していた店主さん、その声にパチリと目を開けると大あくびをひとつ。そして鞍馬の方へ顔を向けると、眠そうな口調で話出します。
「……なんだね、お客さん『栗饅頭すぽっと』の話をしているのかい?」
「『栗饅頭すぽっと』…?」
「なんだい、知らないで話をしていたのかね。先生の追っかけが作った、栗饅頭先生のよく出没する場所情報をまとめたものだよ。」
「はぁ…そんなものを作られて……人気が出るというのもなかなか大変だね。」
こうしてあっさり『栗饅頭すぽっと』の情報を手に入れた西方寺・鞍馬。礼を言って古本屋を後にすると、急いでうわさの場所へと走って行くのでした。
大成功
🔵🔵🔵
雨宮・いつき
大人気の!冒険活劇小説の作家さん!
…失礼、少し興奮してしまいました
桜田先生の居場所を探す為、本屋さんに集う愛読者の方達にお声を掛けて先生のお住まいやお勤め先を知っているか伺ってみます
これだけ大人気の作家さんなら、知ってる方もいらっしゃるはず
頂いた情報を元に八咫烏達にその周辺を探らせ、その間に僕は既刊を買って読んでおきます
…先生をお護りするなら、影朧達に怪しまれぬよう愛読者を装って近付くのが得策です
その為にはこれまでどんな作品を書かれているのか知っておく必要がありますから
これも御勤めですからね、仕方ないですよね!
それから先生の元へ向かってお話と護衛です!
あのあの、良ければこの本に御名前を一筆…!
大きな本屋で平積みにされている大人気小説を手にした雨宮・いつき(歌って踊れる御狐様・f04568)は、興奮した様子でそれを会計へと持っていきます。
「大人気の!冒険活劇小説の作家さん!すごく楽しみです…!」
帝都に着いてすぐ聞き込みをおこない、『栗饅頭すぽっと』の情報を手にしていたいつきは、使い魔の八咫烏を飛ばして捜索を続けておりました。そして待ち時間を有効に使うためには…。
『…先生をお護りするなら、影朧達に怪しまれぬよう愛読者を装って近付くのが得策です』
…というわけで、いつきはこうして本屋にやってきているのです。
そうして買い込んだ何冊もの小説を近くのベンチへとどさりと置くと、自らもベンチへと腰掛けて読書を満喫し始めます。
そして広がる無限の栗饅頭ワールド!
読書というのはなんて楽しい時間なのでしょうね。冒険活劇小説の魅力にのめり込んだ少年は、目をキラッキラにさせて読みふけります。
「かぁ!かぁかぁ!」
そのうちバサバサと飛んできた使い魔の八咫烏がベンチに止まり、主人に向かって報告をしますが……それどころではございません。
懸命にページをめくるいつきの指目掛けて、苛立った烏はクチバシで甘く噛みつきます。そうしてはじめて少年は報告に気付き、驚いた表情で顔を上げました。
できればもう少し読んでから…と少年心に思ういつきですが、報告の内容というのが『栗饅頭先生を見つけた』というものですから行かないわけには参りません。
むしろさっきまで読みこんでいた小説の作者に会えるわけですから、楽しい気持ちで走って行きます。
どうやらたどり着いたのは自分が最初のようです。
場所はこじんまりとした洋菓子屋さん。手元の顔写真と同じ顔、桜田栗饅頭先生が菓子を選んでるのが目に入ります。
用意周到にもいつき君は愛読者としての勉強をしてきてますから、ファンの一人のフリをして会話をしながら最も身近で護衛をすることが可能でございます。これもベテランの猟兵としては当然の準備です。
そう、偶然を装って話しかけましょう。ファンのフリをしてごく自然に近寄って、たまたま気付いたようなリアクションで、クールに話しかけるのです。
「く、く、栗饅頭先生!!! あのあの!!良ければこの本に御名前を一筆!!」
大成功
🔵🔵🔵
依神・零奈
……大文豪の桜田先生ね
人の文学というものには興味を惹かれる
いい機会だし文豪の日常とやらを覗いてみるのもいいかもね
……どうにも直接世間話というのは苦手だし柄でもない
サクラミラージュの往来を漫喫しつつ付かず離れずの距離を保って
桜田先生を追いかけてみよう
【情報収集】【第六感】で周囲の状況に気を配りつつ
桜田先生の動向を見守るとしようかな
ついでに桜田先生の作品についても見てみよう
立ち寄った書店で買って後で読んでみようかな
依神・零奈(忘れ去られた信仰・f16925)はつかず離れずの距離を保ちながら桜田栗饅頭先生を追跡して行きます。
「………どうにも直接世間話というのは苦手だし柄でもない。私はここから影朧の警戒をしていようかな。」
先生は猟兵と思わしき人達と会話をしながら、ファンの人々にサインを贈りながら、てくてくと往来を進んでいきます。
どこか目的地があるのかな?と考えながらひっそり動向を見守る零奈でございますが、そうしながらも街歩きを楽しむことも忘れません。
帝都の大通りの店構えというのはなかなか面白いものが揃っておりますから、パーラーから漂う甘いデザートやコーヒーの香り、色鮮やかな呉服屋の店構え、そして歩く人々の様々な笑顔を楽しみながら、零奈は楽しく歩いて行きます。
ふと横を見ますと、ちょうど書店が賑わっているのが目にとまりました。
「……大文豪の桜田先生ね…。」
思わず一冊手に取ると、新しい本の良い匂いが鼻をくすぐります。
「人の文学というものには興味を惹かれるね。…いい機会だし、後で読んでみようかな。」
早速一冊お買い上げ。ペラペラとページをめくってみます。
「冒険小説か。人気のある文豪というのはどのような話を書くのだろうね。」
神として帝都の人々を見守っている依神・零奈。守護対象の『人』が書く物語というものには強く興味をそそられずにはおれません。
「…………おっと」
なーんて眺めていたら護衛対象が遠く離れてしまっております。神サマ、小走りで追いかけて行くのでした。
大成功
🔵🔵🔵
ルパート・ブラックスミス
あ、自分も桜田先生の新刊頂きたい。
UC【現を彷徨う幽騎】で姿を隠蔽、青く燃える鉛の翼で【空中浮遊】。
上空より桜田栗饅頭を探し、発見以降は見守る形で密かに【追跡】。
猟兵以外にも彼のおっかけ、さらに件の影朧もつられて出てくるかもしれん。
上空から【失せ物探し】の要領で【地形の利用】で潜んでいるであろう、それらしい人影を探す。
直接の護衛として、ニクスこと爆槍フェニックスを鳥形態で桜田氏の傍に付かせ何時でも【かばう】ことができるようにさせる。
それはそれとして、先程の新刊も拝見しておこう。
サボりではないぞ。まだこの世界はろくに見聞していないからな。
【世界知識】の【情報収集】の一環だ、うむ。
【アドリブ歓迎】
「自分にも新刊を一冊頂きたい。幾らだ?ふむ、ありがとう」
人混みに紛れて桜田栗饅頭の新刊を手に入れたルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)は、甲冑姿のヤドリガミ。和風の雰囲気漂うサクラミラージュでは目立つようで、あちらこちらからチラチラと視線を感じます。
「ふむう…、目立つだけならともかく、襲ってくる影朧を刺激させたくはないな。…あれを使うとしよう。」
こういう時にもってこいのユーベルコードがあります。【現を彷徨う幽騎】は自信を透明にし隠蔽する能力。…早速それを発動させると、ルパートは瞬く間に姿を消してしまいます。
「これでよし。…さて、作家先生が来たようだぞ」
前方を見ると、丁度護衛対象がこちらに向かって歩いてくるのが目に入ります。穏やかな表情でてくてくと、散歩でございましょうか。度々帝都の人々に声をかけられ、その都度親しげに手を振っております。
やれ困るのは、この人混みの中で護衛をしなきゃいけないということでございまして、なかなか厳しいものがあります。
ルパートはどうしようかと少しの間逡巡しておりましたが、直ぐに考えが纏まりました。
「作家先生もその追っかけも件の影朧も…、全部に目を光らせるのならばこれが一番だろう。」
ルパートは青く燃える鉛で出来た翼を大きく広げると、帝都の上空へと飛び上がります。
空からならば先生を見失うこともございません。暗がりに潜む影朧や不埒な悪漢などがいたとしても見つけやすいでしょう。
桜吹雪の中神々しく舞い上がる天使めいた甲冑騎士……実に絵になる様子でございますが、透明になっておりますのでもちろん人々の目には写っておりません。
「さあゆけ、爆槍ニクスよ」
空中を旋回しながらルパートは1匹のヨタカを先生に向けて飛び立たせます。ニクスは鳥の姿をしておりますが、戦いの時は手元に戻り愛用の武器となる頼れる相棒でございます。
彼ならば、先生がたとえ突然影朧に襲われる事態になっても確実に守ってくれることでしょう。何よりも信頼のおける相手であります。
「…よし、それじゃあ後はニクスに任せて………先程の新刊を拝見しておくとしよう。まだこの世界はろくに見聞出来ていないからな。世界知識の情報収集は猟兵の大事な職務である。うむ。」
サボりじゃない。サボりじゃないぞ。と誰に弁明する訳でもなく呟くと、空中をふわふわと歩きながらなんとも器用に、ルパートはページをめくるのでございました。
大成功
🔵🔵🔵
鏡島・嵐
判定:【WIZ】
桜田栗饅頭……美味そうな名前だな。
多分ペンネームだとは思うけど……まさか本名ってことは無い、よな?
顔がわかってるんなら《彷徨える王の影法師》使ってまず居場所だけは特定。
んで、栗饅頭センセの状況を《影法師》で片手間に監視しつつ、ファンの人から話を聞くなり、雑誌で栗饅頭センセについてのコラムを読み漁るなりして、情報を仕入れておく。いきなり「護衛しに来ました」ってのもアレだし、接触するにしても警戒心を解いてもらうための土産とか用意してえな。
……まあ、本音を言えば帝都で流行りの美味い菓子とかが知りてえってのもあるんだけど! 良い機会だから、依頼遂行がてらにそういうのも知っときてえしさ。
「はい、先生は洋菓子が好きなようですよ。よくパーラーに出没するとかしないとか…」
「へぇ、栗饅頭が好物なわけじゃないのか…。本名ってわけじゃないんだよな?」
「はっはっは、当たり前でしょう」
などと先生のファン達と話をしているのは鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)、情報収集中の猟兵でございます。
こうしてゆっくりと情報を集めている嵐ですが、というのも、実は既に先生の居場所は突き止めております。【彷徨える王の影法師】は自身と感覚を共有できる、ぼやけた印象の人型の影。戦闘には使えませんが、どこまでも相手を追跡するユーベルコードです。
これを先程から栗饅頭先生の元へと放っておりますから、嵐はその間安心して情報集めに精を出せるというわけです。
いきなり「護衛しに来ました」と現れて警戒されるのもあれですから、先生の情報を調べておくのも大事な任務というわけです。
早速影朧についての聞き込みをしてみるとしましょう。
「あー…、その栗饅頭先生なんだけどよ、変な噂とか聞かないかい?誰かに恨まれてるとか、悪い人相のやつがうろちょろしてるとかさ。」
「…うーん、聞いたことありませんねえ。近頃の帝都じゃあ知っての通り、いい噂しか聞きませんよ。」
「…まあそうだよなぁー」
いちファンから得られるような情報はここらが限度でございましょう。影朧についての有力な話は得られそうにありません。
しかし嵐の表情にはがっかりした感情はございません。なぜなら、本当に聞きたい話はもう聞くことが出来ましたから。
嵐はファンの人達にお礼を言うと、そそくさとその場を去ります。得られた情報を早速確かめに行かなくてはいけません。嵐は足をはやめます。
「栗饅頭先生お気に入りの洋菓子店………合流する時の手土産にしてもいいし、自分用に持ち帰ってもいいし……とにかく楽しみだな!」
わくわくした表情を顔いっぱいに浮かべ、嵐は走っていくのでした。
大成功
🔵🔵🔵
小口・霧人
桜田栗饅頭センセイですか。何冊か読んだ事はありましたねぇ。
ご本人の作品にも似た様な状況があったような?
別の作家さんでしたかな。
妬み憎しみ逆恨み。事件の華ではありましょうが、お話としてだけで十分ですよ。
【POW】
文豪な方は煙草を嗜まれますでしょうし、その辺りでお話を聞いてみましょうかね。過去の作品のお蔵入り話など聞いてみましょう。
喫煙可能なサロン等に行った場合、そこで先生と会話する。
興味を引くなら、過去の事件も話題の種に。
作品の好みや先生の近況。筆を競った相手、その近況。
職業柄、どうでも良い事が気になるものでして、ね。
先生からの情報だけで影朧に近づけると良いのですが。
「桜田栗饅頭センセイですか。何冊か読んだことはありましたねぇ…」
小口・霧人(切腹探偵・f22653)は椅子にもたれ掛かり、今回の事件について思いを馳せております。
「妬み憎しみ逆恨み…。ご本人の作品にも似たような状況があったような?……別の作家さんでしたかな。」
どちらにせよ、お話としてだけで十分ですよ。と、霧人は独りごちます。
そんな彼が今いるのは、タバコの煙が静かにゆれる、居心地の良いサロン。文豪の方は煙草を嗜まれるでしょうし、待っていればきっと先生の方からここにやってくるでしょう。ということで、少し前からここで待っているわけでございます。
「ああ、きたきた。先生、こちらにいらっしゃい。」
「…えーと、どこかでお会いしましたっけ?」
「いえいえ、初めてですよ。私、あなたのファンでしてね。少し座ってお話をしませんか?」
数時間後、予想通り、栗饅頭先生がやって参りました。ぞろぞろとお供を連れ添って(何人かは猟兵の皆々様なのでございましょう。)胡散臭げにこちらを見ております。
それを上手いこと霧人は同じテーブルへと誘導しますと、世間話をし始めます。最初は少し警戒していた先生でございましたが、話をするうちにだんだんとリラックスしてきたようでありまして。
好きな物の話、新作についての話題、筆を競った相手の話やその近況……探偵の話術によって様々な話が引き出されていきます。そして、そのうち話は最近の出来事についての話になっていきます。
「お陰様で新作もよく売れてまして、嬉しい限りなんですけども…。変な話なんですがね、最近妙な声に悩まされているんですよ。」
「ほう、どんな声です?」
「暗がりから急にあたしに向かって声が話しかけてくるんですよ。『恨めしい、恨めしい』って憎たらしげにねえ…。人違いをしてるんじゃないかと思ってるんですけどね。」
「人違い。…果たしてそうでしょうか?」
…と、話をしてますと急に、サロンのブレーカーがバチりと急に落ちて一面真っ暗けに。ざわざわと不気味な声が先生の周りを取り囲みます。
間違いありません、影朧の出現でございます。
『恨めしい…恨めしい…!』
と、影朧たちは怨嗟の声を投げかけます。
突然の出来事に怯えて、不安そうにキョロキョロ辺りを見回す栗饅頭先生。
「心配することはありません」
霧人はゆらり、立ち上がると懐から武器の刃物を取り出して構えます。
「悩み事はこれにて、解決致しました。」
──戦闘の始まりでございます。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『注文の多い料理人』
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POW : 試食の時間
戦闘中に食べた【自らが調理した料理】の量と質に応じて【更なる食欲と料理への探求心が膨れ上がり】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD : こだわりの調理道具
いま戦っている対象に有効な【プロ仕様の調理道具】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ : 注文の多いレストラン
戦場全体に、【高級レストランを模した幻影】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
イラスト:蛭野摩耶
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
サロンに到着した桜田栗饅頭先生と護衛の猟兵面々。それを取り囲むように現れたのは猫の料理人としか言いようのない見た目の影朧、「注文の多い料理人」であります。
「ニャゴニャゴ、こいつらが『恨めしい』奴らニャゴね」
「ニャゴ、『恨めしい』ってどんな味ニャゴか」
「『憎らしい』ってどんな味ニャゴか」
「「「料理させろっ!!美味そうな栗饅頭っ!!!」」」
おや、どうやら恨みを持つ本体ではないらしいということがわかります。
恨みを持つ影朧に雇われた傭兵…、もしくは栗饅頭って名前に惹かれてやってきた食いしん坊影朧といったところでしょうか。
とにかく倒して護衛対象を守らなければいけません。さぁ、やってしまいましょう。
雨宮・いつき
恨み辛みよりも己の食の探求心に従って動く妖…
どのような未練を持って影朧となったのかは知りませんが、人に害成すなど言語道断
ましてや大先生の御前ですよ!控えおろう!
さあ、先生は必ず御守り致しますから、どうか僕らから離れずに
構えて放つのは木行の術
彼岸の花の幻惑で、影朧達には自らの迷路の中で迷って頂きます
迷い惑い、右も左も分からなくなった所で幻惑の料理の山を出現させます
影朧達の【自らが調理した料理】の記憶から生み出した幻惑の正体は雷撃符
もちろん只の幻惑ではなく、食欲を【誘惑】する術を施しています
彼らが倒れればこの迷路も消えるはず
恨みや憎みは給仕できませんが、痺れる雷の味でしたらどうぞご堪能下さいませ
「ニャゴニャゴ、美味しく調理してやるニャゴー!」
影朧、注文の多い料理人は自分の顔よりも大きな包丁をブンブンと威勢よく振るうと、地面をまな板に見立ててか思い切り突き刺します。
すると不思議なことが起こります。先程まで間違いなく、皆がいるのはくつろげる雰囲気のサロンでございました。それがみるみるうちに姿を変えてゆき、いかにも高級レストランといった内装を施された迷宮になっていきます。
「注文の多いレストラン」と看板を作り替えられたこの迷宮は、中にいる人々をゆっくりと調理するために作られたものでございます。決して逃がさないという意志の元、出口は迷い迷った先のひとつだけ。その出口も、猫の料理人たちが意気揚々と出ていくために作られただけにすぎません。
料理人たちは大きく舌なめずりをして、こちらへとにじり寄ってきました。
怯えるサロンの人々の前に、雨宮・いつきが立ちはだかります。
「恨み辛みよりも己の食の探求心に従って動く妖…。どのような未練を持って影朧となったのかは知りませんが、人に害成すなど言語道断です!…ましてや大先生の御前ですよ!控えおろう!」
この印籠が目に入らぬかー!といった勢いでどどんと栗饅頭先生を指差すいつき。栗饅頭先生怖いやら嬉しいやら恥ずかしいやらでなんとも絶妙な表情です。
「ニャニャニャ、大先生ってうまいのか?食わせろニャゴ!」
「ええい、なんという狼藉者!覚悟しろ!……さあ、先生。必ず御守り致しますから、どうか僕らから離れずに。」
バババッと懐から取り出したるは護符の束、前方に撒き散らしたかと思いますと、それは花吹雪へと変わっております。
一年中桜舞い散るこの世界でもなかなか見ることの無い、世にも珍しい彼岸花の花吹雪でございます。
突然の光景に呆気に取られる料理人たち。その瞬間、彼らの命運は決まりました。
「木行の術……抱心艶狐。」
狐の術はそうと悟られず動き出します。料理人たちの心をがしりと掴んだいつきの花、もはや彼らの視線は思うがままです。
「ニャー!!とんでもなく美味しそうな料理が見えるニャ!」
「ニャニャニャ、こっちはヨダレが出そうなほどうまそうなネズミのスパゲッティニャ!」
「この料理は俺が貰ったニャゴ!」
幸せそうな幻覚を見て唾液をちょちょ切らせるとろんとした目付きの料理人たち。彼らの目に映るのは彼岸花の花吹雪ではなく、幻覚の料理の山。
逃げ惑う料理のまぼろしを追いかけて、自信がつくりあげた迷路の奥へ奥へと追いかけていきます。
「いっただっきまーす!!」
がぶりっ。幻覚の料理に食いつきますが…もちろんそれは本物の料理などではありません。しかし、無味無臭というわけでもありません。なぜならこの花吹雪の元は、いつきの投げた雷撃符なのですから。
がしりと噛み締められると同時に込められた霊力はほとばしり…雷撃となって対象を射抜きます。
「グニャニャニャニャーーーーー!?!?!?」
ビリビリビリビリビリッ…。あわれ料理人、黒焦げの丸焼き料理と慣れ果ててしまいました。
「まず一体…。恨みや憎みは給仕できませんが、痺れる雷の味でしたらどうぞご堪能下さいませ。」
まるで高級レストランのウェイターのように丁寧なお辞儀をひとつ。いつきは優雅な動作で、追加の符を投げ入れるのでした。
大成功
🔵🔵🔵
西方寺・鞍馬
『栗饅頭すぽっと』とは……。
熱狂的支持者という奴は、探偵顔負けの追跡力を発揮するのか。
私的な時間くらい自由に過ごしたいだろうな、作家の先生。
おかげで間に合ったけどね。
【SPD】にて。アドリブはいつも歓迎。
【先制攻撃】を狙いつつ【ダッシュ】で影朧に接近。
【高速詠唱】で【悪魔召喚『神の毒』(UC)】を使用して全方位の影朧を攻撃するよ。勿論、先生や御同輩巻き込まないようにね。
あとは、【戦闘知識】を駆使しながら、【フェイント】しつつ悪魔の【呪詛】交じりの【二回攻撃】だね。僕は、基本的に速度と手数重視。
相手の攻撃は、【第六感】で予測して【残像】や【見切り】で回避、【カウンター】を叩きこむ。
「『栗饅頭すぽっと』…とは。熱狂的支持者というのは探偵顔負けの追跡力だね。私的な時間くらい自由に過ごしたいだろうにな。……おかげで間に合ったけどね。」
西方寺・鞍馬はちらりと作家先生を盗み見ます。怯えている様子ではありますが…どことなく興奮しているような?作家心が疼くシチュエーションなのでございましょうか。ひょっとしたら次回作に活かされるかもしれません。
そんなことを言うためにも、とにかく生きて帰らなければ。鞍馬は刀片手に颯爽と飛び出します。
「ニャゴニャゴ、お前から料理して欲しいという意思表示ニャゴか?お望み通りビーフシチューにしてやるニャゴ!」
注文の多い料理人はどこから取り出したのか大きな肉たたきハンマーを振り上げると、向かってくる猟兵目掛けて叩き下ろします。
「調理されるのはどちらだろうね?とりあえず、料理をするなら僕が先にさせてもらうよ。」
ハンマーが振り下ろされる前に…と料理人の懐へと高速移動する鞍馬。顔をがしりと鷲掴みにすると、そのまま床へと引き倒します。
ぐぎゃあ!と叫び声を上げて背中から倒れ込む料理人。
「料理人なら知ってるよね?…死は平等だよ、何者に対しても。」
にこりと笑いかける鞍馬。妖刀をするりと振るうと、一切の容赦なく対象へと刺し込む。面白いほど容易く料理人の体内へと妖刀は吸い込まれていきます。
「悪魔召喚、『神の毒』。サマヱル、頼んだよ。」
契約悪魔…サマヱルは翼を持った赤い大蛇の見た目をした強力な悪魔。彼の力を借りて鞍馬は様々な技を使用できます。
『神の毒』はその中でも凶悪な部類の必殺技。全方向に死の呪いを振り撒きます。…このような狭い室内では本来仲間たちにも被害が出てしまうのですが、今回はお誂え向きに呪いが閉じ込められるような迷路を料理人たち自身が作り上げてしまっております。
ならば容赦など必要ありません。思う存分に『神の毒』を振り撒いてやりましょう。
「にゃ…ニャゴガッ!?」
倒れていた料理人一人が『死』に飲み込まれて蒸発するかのように消えていきます。
さらに追撃を加えようとしていた一人が即死。恐ろしい力でございますが、これが仲間なのですから実に頼もしい。
それを遠巻きから眺めていた料理人一人、怯んだ様子でこちらを見ておりましたが…鞍馬はすぐに目の前に現れます。即座に一刀両断……!ばっさばっさと斬り倒します。
「とにかく数を減らしてしまおう。僕の目の黒いうちは、誰一人逃がしはしないよ。」
大成功
🔵🔵🔵
モッチ・モチ
相手が料理人であるなら、フードファイターであるワタシが遅れを取る訳にはいきまセンネ! どちらが食べ物への情熱が強いか勝負デス!
敵が調理した料理を横取り(技能:盗み)、ワタシが食べる事で(技能:大食い)こちらが逆にパワーアップデス!!
美味♪ ごちそうさまデスヨ♪
ユーベルコード【フードファイト・ワイルドモード】で戦闘力あっぷ♪
投擲ナイフと大型ナイフを駆使して遠距離主体で戦い、敵の両手+二本の尻尾を使った攻撃をさばきマス!
わー、集団な上に手数も多い>< これは、猫の手も借りたいくらいデスネッ♪(キメ顔
「ニャゴニャゴー!!エビフライを食べてパワーアップ。蹴散らしてやるニャゴー!」
戦闘の傍ら、料理を始める猫の料理人たち。戦場で何を遊んでいるんだ…などと言うことなかれ。これが料理人の戦い方。
モッチ・モチもフードファイター。それがわかっているからこそ、料理の出来栄えに緊張した表情で目を光らせているのです。
「…ゴクリ。猫さん達、なかなかやりマスネ。ワタシも腰を据えてかかりマセント…。」
フードファイターと料理人……つまりこの戦い、食べ物の情熱が高い方が勝つ!
「さーあ、ローストビーフが出来上がったニャゴよー」
「待ってました、早速食べて強くなるニャゴ」
「お皿配るニャゴよ。………あれ?ローストビーフはどこに行ったニャゴか?」
先程まで手元にあった力作のローストビーフが見当たらない。一体どこに行ったんだ………と、キョロキョロ辺りを見回すと…犯人が見つかりました。
一心不乱にローストビーフを貪るその犯人は青髪のフードファイター、ご存知モッチ・モチです。
「もぐもぐもっぐ!もぐごっくん!!ウーン、美味♪ご馳走様デスヨ♪」
「お、お前!俺たちの料理をつまみ食いするとはいい度胸ニャ!」
「はい!とっても美味しかったデス!」
山盛りの料理をペロリと平らげたモッチ・モチは、その効能に従ってみるみるうちにパワーアップ!これぞフードファイターのフードファイターたる理由。【フードファイト・ワイルドモード】です!
「「「許さないニャゴー!!!」」」
怒り狂った料理人たち、四方八方から猟兵目掛けて飛びかかってきます。
それをパワーアップした脚力で跳び逃げると、ロンダートを決めながら距離を離します。
距離さえ取れればこっちのものです。モッチ・モチは腰に付けていたホルスターからナイフを取り出すと流れるような動きですぐに投擲。ひとつ、ふたつ、みっつ!眉間へと華麗に命中、急所を撃ち抜かれた料理人はその場で崩れ落ちます。
ところが敵は集団です。一人二人欠けたくらいじゃあ勢いは止まりません。怒りをむき出しにして攻めかかってきます。
料理人としての技術と獣としてのスピード、力強さ。一人ひとりも決して弱くはありません。ナイフの投擲を掻い潜って、包丁を猟兵へと振り落とします。
「ミンチになるニャー!」
「わー、集団の上に手数も多い…!」
右から左から、襲ってくる包丁を大型ナイフで受けながら、避けて避けて避けまくる!斬って捌いて投げて転がって、大立ち回りでございます。
「…ハッ!これはまさに…猫の手も借りたいくらいデスネッ!」
上手いことを言ってやったぞ!という表情でモッチモチ、一人キメ顔を放ちます。
「喰らえニャー!」
投擲には投擲だとばかりに包丁を投げつけてくる料理人。それをキメ顔のフードファイター、パシリと柄の部分をキャッチして……お返しダヨ!と投げ返します。
とまぁ、ドッタンバッタン。
…長い長い大立ち回り。最後に立っていたのは孤高のフードファイター、モッチ・モチです。
勝敗の決め手はお腹の満たされ具合であったに違いありません。モッチ・モチ、爽やかな笑顔で額の汗を拭いました。
大成功
🔵🔵🔵
依神・零奈
これは中々に可愛い……じゃなかった
厄介そうな猫たちだね、飢えた山猫は恐ろしいと聞くけど
さて、キミ達はどうなんだろうか
幻影迷路ね……抜け出すのは骨が折れそうだけれども
私の役目は桜田先生の護衛、害をなす敵を討ち祓う事
言葉さえ届けば問題ない
UCを発動し舌禍による【呪詛】で周囲の敵に
災いを引き寄せ呪いで体を蝕みその行動を阻害する
「口は災いの元、不吉な言葉を口にした故に運命は確定した」
「味が知りたければその身をもって味わうがいい」
動きを鈍らせた敵に対して遠距離の相手には【破魔】の力を込めた霊符を
近距離の敵には【破魔】の力を込めた無銘刀で攻撃を仕掛けていく
「迷え迷え、無駄に迷い続けるほどお前の味は美味しくなるニャー」
戦場となったエリアから離れるべく、移動を始めた栗饅頭御一行。その後をゆっくりと、ニタニタ笑みを浮かべながら料理人が追いかけてきます。
その言葉通り、迷路を歩かせることが彼らの言う『味』を高めることに繋がるのでしょう。付かず離れずの位置を保ったまま、恐怖を煽るように包丁を振り回します。
「さーて、そっちの道は行き止まり…。そろそろ調理してやるニャー………ァン?」
追いかけられている御一行、突然迷路の角で突然Uターン、別の小道へと走って行きました。
猫の料理人、やれやれと呟いて道を曲がり、諦めの悪い食材達を追いかけます。
「…これはこれは、中々に可愛い……じゃなかった。厄介そうな猫たちだね。」
すると、目の前にすっと現れたのはお目当ての食材…ではなく依神・零奈。最も調理の難しい食材、猟兵のひとりでございます。
「飢えた山猫は恐ろしいと聞くけど…さて、キミ達はどうなんだろうか」
「ぐぬぬぬ…そこをどくニャ!食材が逃げちまうニャ!」
「させないよ。私の役目は桜田先生の護衛、害を成すものは…討ち祓う。」
「…だったらお前から料理してやるニャー!!」
ニャース!という掛け声と共に料理人、包丁で切りかかって参ります。それを零奈、無銘刀で受け止めて…鍔迫り合いの体勢です。
「…ニャニャニャ、これで栗饅頭を逃がすつもりだろうがそうはいかないニャゴ。お前たちを追っているのは俺だけじゃない。後ろを見るにゃー!」
自信満々な様子にちらりと後ろを見ますと、隅に固まって座らせておいた護衛対象たちの背後から、近づいてくる他の山猫共の気配を確かに感じます。
「挟み撃ちニャゴ!みんなまとめてお陀仏だニャゴー!」
ニャゴニャゴニャゴと高笑いする料理人。恐怖に顔をひきつらせる栗饅頭先生たちを見て、大きく舌なめずりをします。…なぜか全員が耳を手で強く塞いでいるのが気になりましたが……そんなこと今は関係ありません。
「お前たち!やっちまえニャゴー!」
………。
仲間たちにゴーサインを出した料理人ですが…、誰一人、その場から動こうとはしません。いや、動こうとしない訳じゃあありません。動けないのです。目を食いしばり、毛を怒らせて、一生懸命に襲おうとするのですが、その場から一歩も動く事ができません。
「…口は災いの元、不吉な言葉を口にした故に運命は確定した。」
「ま、まさか!何をしたニャゴ!」
零奈はんべーっとあかんべーをしてみせます。舌なめずりをし返したわけではございません。零奈のユーベルコード、【舌禍「七羽鴉」】。口は災いの元、という言葉の通りに、言葉によって災いを振り撒く呪詛でございます。
呪いに体を蝕まれた料理人たちは指ひとつ自由に動かせません。まるでなにかに体を乗っ取られてしまったかのような感覚に苦しめられております。
さっきまで鍔迫り合いをしていた零奈の相手も、もはやその体制のまま停止しています。
さて、零奈はその敵から離れますと、まずは背後の敵を仕留めにかかります。霊符を遠距離から投げつける。込められた破魔の力により浄化されるは悔しそうな顔をした料理人たち…。
そのまま視線を前に戻しますと、構えていた無銘刀で先程の料理人をぶすりと刺し穿ちます。
同じく込められていた破魔の威力により、猫の料理人は蒸発するようにして消えてゆきます。
「…恨みの味を知りたいと言っていたな。味が知りたければ、その身をもって味わうがいい。」
大成功
🔵🔵🔵
小口・霧人
荒事は苦手なんですけどねぇ。
腹を裂くのは兎も角。
ところで、栗饅頭とはデザァトの様なな物と思いますがどう思われます?
つまりはまずはしっかりと食べてからの方が宜しいのでは?
【POW】
料理作りを薦める。
助言する振りや、雑談を装い依頼主の情報収集。
【部位破壊】を仕掛けて料理の味付けやコンセプトをご破算し、【自らが調理した料理】ではなくしてしまう。
恨めしい味、憎らしい味は、あなた達を焚きつけた者がしていた顔になる様な味ですよ。
少なくとも美味しい物ではなさそうですねぇ。
そう、ちょうど、こんな味かと。
色々注文つけつつ、【UC】にて攻撃
最後は、自分の腹を裂く。(寿命縮)
さて物語の先は読めますかね。
アド絡歓
「荒事は苦手なんですけどねぇ…。…腹を裂くのはともかく。」
小口・霧人は煙草をひと飲みすると、渋い顔つきで煙を吐き出します。
ヨダレをだらだら垂らし、栗饅頭先生求めてゾンビのように動き回る料理人たちを、陰に隠れて霧人はじーっと観察しておりました。
奴らは情け容赦ない影朧ではありますが、同時にプロの料理人であります。
ならば動かない手はございません。霧人、料理人たち相手に弁舌で勝負を挑みます。
「さて、皆様方。先程から話を聞いていますと、どうやら栗饅頭を食すのがお目当てのご様子。」
「もちろんだニャ!バリバリ頭から食ってやるニャ!」
「…はて、私の記憶では栗饅頭というのはデザァトであったような。つまりは、まずはしっかり腹を満たしてからの方が宜しいのでは?どう思われますか?」
霧人の腹の底からの疑問のようなたずねかけに対し、料理人たち顔を見合わせます。
確かに、デザァトは最後の最後に取っておくのが1番美味しく食べられます。
そこですかさず探偵殿。どうです?お腹を満たすためのディナァを先に作るというのは。と畳み掛けます。
「ニャゴニャゴ、お前の言う通りだニャ。フルコースを作るとするニャゴ!」
「それは結構。私も微力ながら手伝い致しますよ。」
「ニャハハ、食材にしては殊勝な態度だニャ。食べる前に手伝うことを許してやるニャ!」
…というわけでクッキングが始まります。今日のメニューはビーフストロガノフ。コトコト煮込んで実にいい感じです。
「猫様方、隠し味にチョコレエトなどいかがでしょう。」
「助かるニャー、気が利くニャー。」
「…ところで猫様方、興味本位なんですが…あなたがたを寄越した主人というのはどのような方で?栗饅頭先生になにやらご執心のようでございますが。」
「変なことを気になるやつだニャ…。ニャゴニャゴ、俺達もよく知らないんだニャ。ただ…あいつ、本に対してずっとぶつくさ文句を言っている奴だったニャゴ。」
「なるほど…いや、参考になりました。おっと、ちょっと火加減を見てきます。」
と、霧人さん話を切り上げると、ビーフストロガノフの鍋の前にやってきます。
そして隙をついて鍋に流し込むは大量の唐辛子…。これで、味も何もめちゃくちゃでございます。料理がめちゃくちゃになったということは…、それを食べても料理人たちのパワーアップは見込めません。
これこそが霧人の目的でございました。弱体化した敵の方へくるりと振り返ると、その表情はもうさっきまでのような人懐っこいものではございません。冷ややかな目線で、霧人は口を開きます。
「さて、恨めしい味、憎らしい味を知りたいと仰りましたな。あなた方を焚き付けた主人がしていた顔になる様な味こそ、あなた方の求める味ですよ。少なくとも美味しいものでは無さそうですねぇ…。」
突然様子の変わった食材の物言いに、猫たちぽかんと口を開けます。急に何を言い出したんだ、と思わず口に出しますと…。
「そもそも味を知りたいならば、ここに来るべきではなかったと言いたいのですよ。いえ、知りたいのならば教えましょう。…そう、ちょうど、このような味かと。」
霧人は殺戮刃物を抜き放つと同時に、目を爛々と光らせます。「探偵」小口・霧人ではなく、「殺人鬼」小口・霧人の登場です。
殺戮刃物を振り回し、料理人たちへばっさばっさと斬りかかります。その身のこなしの素早いこと素早いこと。まるで獣のような、狂気さえ覚える有様です。
瞬く間に切り刻まれる猫たち、目を光らせ、血飛沫に塗れる探偵殿。悪鬼の如くの立ち回りは、見た者を心底から怯えさせたことでしょう。
そうして、霧人は目の前の猫たちを殺戮し終えます。
さて、これだけの破壊力を持つユーベルコード。その力を出すだけの代償を、何かで支払わなければなりません。
切腹探偵にとっては、その手段は切腹に他なりません。その場で座り込み、上半身をはだけると、早速ぶすりと腹をかっさばきます。苦痛に身を捩りながら、霧人は大きく息を吐き出しました。
「…くぅっ……うぅぅ……さて、物語の先は読めますかね…。」
大成功
🔵🔵🔵
ルパート・ブラックスミス
上空から急降下し【先制攻撃】。大剣でまずは一匹、両断する。
桜田先生、お下がりを。我らが貴殿をお守りする。
心配無用、貴殿の冒険活劇が如く殺陣振る舞って見せよう。
UC【理異ならす凍炎】。氷結【属性攻撃】で敵に斬りかかる。
敵の料理や道具も氷漬けにして【武器落とし】。その様では到底食える料理は作れまい?
ニクス(爆槍フェニックス)はそのまま桜田氏の護衛だ。いざという時は爆槍に変身して【誘導弾】として迎撃させよう。
生憎、口もないこの身体で食事はできんのでな。お引き取り願おうか。
【共闘・アドリブ歓迎】
さて、上空で透明化しじっと護衛対象を見守っていたルパート・ブラックスミスが動き出します。
じりじりと後ろから先生に詰め寄る猫の料理人。他の猟兵も気付いておらず、このままでは一口にして食べられてしまいます。
やはり上空に待機していたのは正解だった。ルパートさん透明化を解除すると、急降下して奇襲します。
着地と同時に大剣を振り下ろすと、袈裟懸けに料理人を両断します。
「桜田先生、お下がりを。我らが貴殿をお守りする。…心配ご無用、貴殿の冒険活劇が如く殺陣振る舞って見せよう。」
同じく姿を表すは、ずっと影から護衛を続けていました愛槍のニクス鳥でございます。護衛対象を安心させるかのような動きでバサバサ羽ばたくと、鋭い目付きで敵集団を睨みつけます。
「ニクス、そのまま先生の護衛を頼む。これより自分の傍には近寄るでないぞ。」
轟々と燃ゆる鉛を鎧の隙間からほとばしらせて、ルパートは大剣を構えます。
そんな騎士に対して料理人たちの反応はと言えば…、案外怯んだ様子はございません。べろりと舌なめずりをして、やる気満々でございます。
なるほど、料理人とは得てして炎に強いものだ。我が体内の高熱の血液に対し、高を括っているのだろう。
ルパートは現状をそう判断すると、ならば彼奴らの肝を抜いてお目にかけよう。…と、半ば悪戯心にも似た心中でユーベルコードを発動します。
バシューーッ………。
そして体から吹き出すは高熱の水蒸気。ユーベルコード、【理異ならす凍炎】の準備段階です。特殊な冷却装置によって体内の獄炎を急速冷却。漲る血潮たる燃える鉛を凝固させ、個体へと変えていきます。
目の前に立つ戦士の異様な行動に目を見張る料理人たち。辺りの温度が段々と下がっていくのを感じて毛を逆立てます。…いやしかし、だからどうしたというのだニャ。気を取り直した料理人たちは料理を再開。異様な騎士を血祭りにしようと接近してまいります!
「我が血はもはや栄光なく……されど、未だ歩みは冷厳に。」
ルパートの体内、凍りついた炎が、兜の隙間からギラリと光ります。
近づいてきた相手に向かって足を踏み出すと、大剣を八相に構え直して斬りかかり…軽い傷を料理人に負わせる。と同時に、大剣から流れ出るは地獄の川を思わせる極寒の冷気!
冷気は瞬く間に猫の料理人を包み込むと、心の臓の動きまでをも凍りつかせ、その命を忽ち奪い去ります。
それどころではございません。凍炎は止まらず。床を通じて走るように前方を凍らせながら、敵集団の方向へと向かっていきます。
「ま、まずい!退避するニャゴ!」
思わず上空へと跳び上がり氷の余波を回避した料理人ですが…。
「残念ながら…自分の狙いは貴殿ではない。」
氷の波は料理人が用意していた様々な料理道具、そして料理の数々を凍りつかせていきます。どれも影朧の強力な戦闘装備。これら無くして猟兵の蹂躙はままなりません。
「ギニャ!?なんてことを!!」
「そしてこうだ。」
ルパートさん、大剣をもうひと振り。凍りついた武器料理を粉々に砕き散らしてしまいます。
「き、貴様ーー!!!」
武器をなくし、食料をなくし、破れかぶれで襲いかかってくる料理人たち。それらを危うげなく、騎士様斬り伏せていきます。もはや勝負は一方的でございました。
冷気の白い煙を立ち昇らせる漆黒の騎士様、間もなく料理人の一集団を壊滅させるに至りました。
「生憎、口のないこの体では食事はできんのでな。お引き取り願おうか。」
大成功
🔵🔵🔵
鏡島・嵐
判定:【SPD】
既に栗饅頭の時点で料理として出来上がってるもんをもう一回料理とか意味わかんねーよ!
だいたいこの人は名前が美味そうなだけでただの人間だっつーの。いや、名前だけじゃなくて文章も美味い……じゃない、巧いんだろうけどさ。
ああもう、怖ぇけど料理にされるんもヤだから、全力で蹴散らすぞ!
《我が涅槃に到れ獣》でクゥを呼び出して、一緒に戦う。
クゥの背中からクゥや他の仲間が戦いやすくなるよう〈援護射撃〉を飛ばしたり、ネコ料理人どもを〈目潰し〉で足止めしたりする。
調理道具を持ち出して来たら〈武器落とし〉で叩き落して、その隙にクゥに奪わせるか踏ませるかして使わせねえようにする。
「既に栗饅頭の時点で料理として出来上がってるものをもう一回料理とかわけわかんねーよ!!」
思わずそんな言葉が口から飛び出す。鏡島・嵐は冷や汗をだらだら流して、恐怖に顔をひきつらせながら敵の攻撃から逃げ回ります。
「だいたいこの人は名前が美味そうなだけでただの人間だっつーの。いや、名前だけじゃなくて文章も美味い……じゃない、巧いんだろうけどさ!」
嵐の渾身のツッコミに、影朧・注文の多い料理人達は顔を見合せます。
「…つまり味付けなしでそのまま食べていいってことニャゴね?」
「違うっつーの!!」
「ニャゴニャゴ、さっきからうるさいニャゴ!お前から料理してやるから大人しくするニャゴよ!」
「ああもう!逃げ回っていても埒が明かない!」
覚悟を決めて嵐は料理人の群れに相対します。目をギラギラと輝かせてこちらを見定めする山猫たち。恐ろしいですが、逃げるわけにはいきません。
頼りになる仲間を呼び出しましょう。【我が涅槃に到れ獣】にて呼び出すは焔を纏う黄金のライオン。
「我ら光と影。共に歩み、共に生き、共に戦うもの。その証を此処に、その連理を此処に。……力を貸してくれ!クゥ!」
その詠唱と思いに呼応して、光り輝くは足元にいた仔ライオンです。高らかに遠吠えをひとつすると同時に、その姿は嵐の黄金の体毛を持つ雄々しきライオンへと変わっていきます。
「ありがとう、クゥ!」
嵐は相棒の背中へと飛び乗ると、その毛並みを優しく搔き撫でます。相棒もその行為に対し、嬉しげに喉をならしております。
少しの間そうしてじゃれておりましたが、すぐに1人と1匹の視線は正面の料理人たちへと戻ってまいります。
…そして、風よりも早くライオンは走り出しました。
嵐の今回の立ち位置は、撹乱部隊に他なりません。騎乗しながら手に構えているのは愛用のスリングショットです。戦場のあちこちに転がっているフォークだのナイフだの卵だのを拾い集めつつ、それを弾として撃ち出していきます。
狙いは目、武器を持つ手、足元。山猫だから鼻も弱点だろうということで、胡椒の袋を顔に撃ち込んだ時にはライオンのクゥ…辛さがわかるのでしょう、見たこともないようなしかめっ面を浮かべておりました。
「クゥ!全力で蹴散らせ!」
嵐の号令に従って、焔を纏うライオンは猫の群れへと飛び込みます。そして猫の一体を首根っこを噛みつかんで軽々と振り回しますってぇと、炎の渦が出来上がりまして辺りを包み込みます。なんともはや、まさに嵐そのものの暴れっぷりでございます。
「なんて凶暴な猫だニャ!」
「火を纏ってるけどどう料理したらいいんだニャ!」
猫の料理人達、右往左往と大騒ぎです。
……こうして、長い間戦いを続けておりましたが。そのうち他の猟兵の活躍もあって敵が殲滅される時がやって参ります。
嵐さん、スリングショットで弾を撃ちまくり、手が腱鞘炎になるほど暴れておりましたが…、今打ち倒したのが最後の1匹だったのでございましょう。
どさっと床に倒れ伏せる料理人を最後に敵の迷路を作る能力も解除され……部屋の内装は元のサロンへと戻って行きます。
…緊張が解けた安堵と、戻ってきた恐怖の震えに、嵐は大きく息を吐き出すのでした。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『成金影朧』
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POW : 其れが欲しいなら呉れて遣るぞ?
【自身が所有物と認識する金品】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD : ほうら、拾え!拾え!
【高額紙幣のばら撒き】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : どうだ明るくなったろう?
【懐から取り出した札束】が命中した対象を燃やす。放たれた【大尽の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
イラスト:すねいる
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「八乙女・櫻子」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
注文の多い料理人たちを蹴散らした猟兵達。感激の涙を流しながら栗饅頭先生、感謝の言葉を伝えます。
「ありがとう、ありがとう。君たちがいなければどうなったことやら…本当に恐ろしい体験だった…。」
…いいえ。いいえ。猟兵達は知っております。
恐怖の一日はこれで終わりではございません。
派遣した尖兵達がやられてしまったことを悟った黒幕の影朧が、ついに姿を現します。
「恨めしい…妬ましい…、桜田栗饅頭…妬ましくてたまらんぞぉーー!!」
そうして現れたのは…金ピカのスーツに金の束を抱えて、悔しそうに歯ぎしりする影朧。成金影朧です。
「本当は小説家になりたかったわしは…執筆の途中無念にも死んでしまった。だからわしは、お前のような苦労もせず人気者な小説家が憎くて憎くて堪らんのだ!!ここで死んでもらうぞ栗饅頭ーー!!」
……思った以上に逆恨みでした。栗饅頭先生、目をぱちくりしております。
しかし、逆恨みと言えどもその恨みは本物。そしてやつの影朧としての実力も本物です。
成金影朧は暗い笑顔を浮かべると、呪いと悪意の篭った金品を猟兵立ちに向けて飛ばしてくるのでした。
戦闘の…始まりです!
西方寺・鞍馬
逆恨みにも程がある。
真似事でも執筆経験があるなら、物語を作るまでどれ程苦しむかは分かるでしょう?
……仕事だよ、サマヱル。
不出来な物語は、ここで終わらせよう。
【WIZ】で戦闘。アドリブはいつでも大歓迎
御同業との連携重視。
【高速詠唱】で【悪魔喚起『赤蛇』(UC)】を使用し、契約悪魔を召喚。
死の呪いを敵に振り撒く。
その中を【ダッシュ】で接近して【残像】と【フェイント】で攪乱しつつ、悪魔の【呪詛】交じりの【二回攻撃】を繰り出す。
相手の攻撃に対して、【戦闘知識】と【第六感】で予測し【残像】と【見切り】で回避。その後【呪詛】付き【カウンター】。
終わったら、先生の本を買おうかな?
勿論、中古本だけど。
「逆恨みにも程がある。」
西方寺・鞍馬は呆れた表情で影朧を見つめます。
「真似事でも執筆経験があるなら、物語を作るまでどれ程苦しむかは分かるでしょう? 思考を放棄し、腕を磨くこともせず、挙句の果てに逆恨みとは……ほとほと救えませんね。」
「なんだとぉーー貴様! よくも、真似事などと!!何も知らぬくせに!!」
「それこそこちらの台詞なのですがね……。……仕事だよ、サマヱル。 不出来な物語はここで終わらせよう。」
鞍馬は目の前で構えた刀型ダイモンデバイス、大蛟国景を抜き放つ。
怪しく輝く刀身が露わになると同時に呼ばれて飛び出て参りました赤き大蛇。サマヱルでございます。
死呪の術を操る蛇の悪魔は空中にて体を器用にくねらせ…とぐろを巻くと、影朧に向かって威嚇の声をあげます。
こちらはとにかく猟兵達のことが腹に据えかねている成金影朧。憎き栗饅頭を殺すためにも、まずは彼奴らを殺してやらねばなりません。にやりと大きく笑みを浮かべますと、ポケットから札束を取り出します。
ええ、札束でございます。お金の方。
成金影朧にとってはもっとも情念の大きなこれこそが武器。それにマッチ棒で火を付けますってぇと戦場へと無差別にばら撒きます。
「そぅれ、明るくなぁーれ!」
忽ち立ち昇る真っ赤な火柱。大尽遊びはとにかく派手に行われていきます。
「避けろ、サマヱル。」「シャー!」
それら火柱を素早いステップで駆け抜けながら接近する鞍馬さん。頭上から降ってくる火炎は斬り裂いて、横から襲ってくる火炎は呪いの力で掻き消して、高速で影朧へと近付きます。
そして、呪詛を込めた刀でもって影朧へと初撃を打ち込みます。…憎々しげに体を翻す影朧を、返す刀でさらに追撃。逃がすつもりは無いという意思表示です。
「うぬぬ、姑息なヤツめ。成敗してくれるわ!」
影朧、新たに取りだした札束にマッチ棒で火をつけると「そーれっ」とばかりにばら撒きます。
猟兵は目の真ん前にいるのですからこれを避けられる道理はございません。……ただし、見当があってさえいればですが。
「どこを見ている。それは残像だ。」
体を揺らがせ、残像を残して移動する特殊な歩行法です。目論見通り、成金影朧は残像に引っかかってくれました。呪詛で影朧の意識を通常より低下させていたというのも大きい。
そうして生まれた僅かな隙を逃すはずもありません。死呪をたっぷり込めた刀による渾身の一撃…、無防備な背中に浴びせてやりました。
苦悶に顔をひきつらせて走り出す成金影朧。距離を取られてしまいましたが…、呪いは今も奴の体を蝕んでいる最中です。焦ることはありません。
「戦いが終わったら先生の本を買おうかな。もちろん中古本だけど。」
鞍馬はそっと呟きます。
戦いを終わらせるのが楽しみです。
大成功
🔵🔵🔵
モッチ・モチ
・心情
なんという逆恨みっ。放ってはおけまセンネ!
・戦闘行動
大型ナイフで切りかかえりマス!
「ふっ、そ、そんなもの全然欲しくないデスヨ……?」相手が落とした紙幣を、戦闘中にこっそりネコババしようとしマス。
「うぅ、体が勝手に動いてしまいまシタ……」
(瀕死の時に発動できるユーベルコード「モッチビ軍団大行進」が自動発動
。チビモッチが現れ、相手の髪の毛や服を引っ張ったり、叩いたりの大暴れして、しばらくすると、帰っていきます)
「け、結果オーライ、デス……(サムズアップ」
「なんという逆恨みっ!放ってはおけまセンネ!」
同じく憤りに身をふるわせておりますのは青髪の猟兵モッチ・モチ。大型ナイフをブンブン振り回し、臨戦態勢でございます。
「わっはっは!金だ金だー!!」
当の影朧はと言いますとこちらもまだまだやる気十分。武器である金品を四方八方に撒き散らし、こちらを牽制しています。
ただの煌びやかな散財(文字通り)に見えますが、これが単純なばら撒きでないことは先程見た通り。モッチ・モチ、警戒しつつやって参ります。
「ヤッ!トッ!ホッ!」
手にした大型ナイフで大判小判を弾きつつ、じりじりと距離を詰めて行きます。
敵の弾数は尽きる様子がありません。生前持っていた財はどれだけのものだったのでしょうか…。懐やポケットから、およそ無限に金品を放ってきます。
「ヤッ!トッ!ホッ!…あっ、金の延べ棒!初めて見まシタ。……アイタッ!」
ついついよそ見をしてしまったモッチは、ほっぺたを札束で叩かれてしまいました。はずみで札束は解け、紙幣の紙吹雪となって辺りに振り撒かれます。
「ぐふふふふ……おっと、全部わしの金だ。『拾うんじゃないぞぉ?』」
そんなモッチを目ざとく見つけると、影朧は怪しい声色で注意をしてきます。
…拾うなと言われれば拾いたくなるのが人情でございまして。モッチ・モチはナイフを振り回すのをやめると、辺りを見回します。たくさんのお金やら金品やらが散らばっていて……なんだかドキドキしてきました。
「ふっ、そ、そんなもの全然欲しくないデスヨ……?」
ちらちらと先程の紙幣の山を盗み見るモッチ・モチ。…こんなに沢山あるのなら、ちょっとだけ盗んでもバレないんじゃなかろうか?邪な考えが頭に浮かびます。
ひらり、ひらり、枯葉のように舞い落ちる1枚の紙幣。モッチ・モチはそれをついつまみ上げると…誰も見ていないことを確認して、ポケットにしまっちゃいました!
途端に紙幣から迸る高圧電流がモッチを襲います。先程成金影朧が宣告した『ルール』を破ってしまったことによる処罰の電撃でございます。
成金影朧は狙い通りの行動をとったモッチを見てニンマリと笑います。
「ハ、ハ、ハ! 浅ましいことよ。」
「うぅ、体が勝手に動いてしまいまシタ……。出来心…出来心なんデス…ヨ?」
なんということでしょう……。モッチは電撃の威力にて半死半生です。もう身動きひとつとることができません。
半死半生…?
半死半生だって!?
出番だ出番だモッチ達!!
どどどどどどどど……。
何やらすごい地響きが聞こえてきます。
「な、なんだ?」
成金影朧も気になるのか当たりをキョロキョロ見回していましたが……見つけてしまいました。
モッチ・モチより一回り小さいちびモッチ達。その軍団でございます。
砂ぼこりを上げて、奇声をあげて、何十体ものモッチの軍団が、成金影朧目掛けて押し寄せます。
「「「「「「もっちもっちもっちもっちもっちもっちもっちもっち」」」」」」
「なんだこれはーー!?」
説明致しましょう。モッチには瀕死になった時だけ発動できる奥の手のユーベルコードがひとつございました。それこそこの【モッチビ軍団大行進】。ギャグ時空から召喚される、洒落にならない規模の軍勢でございます。
「「「「もっちもっち?もっち!もっちもっちもっちもっち!!!」」」」
「うわ、なんだっ!やめろ貴様ら!まとわりつくな!」
なんということでしょう。あの成金影朧が何も出来ず軍団のおもちゃとなっております。
髪の毛を引っ張ったり服を叩いたり、やりたい放題の大暴れです。
「痛たたたたっ!!やめろ貴様ら、この服高いのだぞっ!髪はやめろ髪は本当にやめろっ!!」
もっちもっちのぼっこぼこ。
好き放題やったモッチたち。しばらく暴れておりましたが、満足したのかそのうち退散致します。
……嵐のような暴れ様でした。
「け、結果オーライ、デス……。」
グッとサムズアップをするモッチ。そして体力が尽きたのか、がくりと崩れ落ちました。
成功
🔵🔵🔴
雨宮・いつき
志半ばで逝ってしまわれたその無念、察するに余りあります
ですが仮初の生を受ける程の熱意を持ちながら、それを執筆ではなく逆恨みに向けようとは
…妬みと尊敬は紙一重
貴方が小説家になりたいと思った理由…先生のような小説を書きたいと思ったからなんじゃないですか?
そうであるなら…いえ、そうでなかったとしても貴方のような者を捨ておくわけにはいきません
放たれる札束を冷撃符で生んだ【破魔】の氷の壁で受け止めその火を浄化し、
稲荷符から放った術で僕らがここへ持ち込んだ先生の小説をヤドリガミ化
さあ皆さん、心躍る冒険譚を、胸が締め付けられる恋物語を、手に汗握る活劇を
物語を書く楽しさを今一度、彼に思い起こさせて下さい!
「く、くそう…。わしはこのままじゃあ終わらんぞ。」
猟兵達の活躍によって徐々に弱りつつも、そのギラつく瞳は陰りを見せません。
溜まり溜まった恨みつらみはそうやすやすとは消えないのでございましょう。栗饅頭先生を憎らしげに睨みつける成金影朧。げに恐ろしきは人の情念でございます。
「待ってください!」
雨宮・いつきはその前へと立ちはだかります。
「影朧さん……志半ばで逝ってしまわれたその無念、察するに余りあります。ですが、仮初の生を受ける程の熱意を持ちながら…それを執筆ではなく逆恨みに向けるなんて勿体ないとは思いませんか!」
真剣な眼差しから発せられる真摯な問いかけに……、然しもの影朧もピタリ。動くのをやめ、耳を傾けます。
「妬みと尊敬は紙一重…。貴方が小説家になりたいと思った理由は……先生のような小説を書きたいと思ったからなんじゃないですか?」
成金影朧、いつきの言葉に顔を歪ませ、なにやら苦しんでいる様子であります。刺さるところがあるのでしょう、しばらくの間目を閉じ、何かを考えているようでございました。
そして、目を開くとおどろおどろしい声で話しはじめます。
「わしは……冒険活劇が書きたかった。」
「ならっ…書きましょう!読みますよ、僕は!」
「…書いたのだ。書いたのだよ。自費で本も出した。金ならいくらでもあった。時間もあった。書きたいことはいくらでもあった!小説の材料になるならとどこへでも行ったし多くのものを見た!」
成金影朧、目をくわっと見開きます。メラメラと目の奥で燃えるものがある。情熱、欲望、そして怨嗟の炎です。
「……才能だけがなかった。才能は!金では買えん!!」
影朧、懐から大量の札束を取り出します。そしてマッチで火を起こすと、それらを燃やしていく…。
「…金などいらぬ。…憎い。憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い!!……才能あるものが死ぬほど憎い!」
成金影朧、メラメラと燃える瞳から血の涙を流し始めます。
ぽた、ぽた、と床へと落ちる涙の雫。すると、落ちたところからも火柱が立ち昇り……、影朧の姿は情念の炎に包まれて見えなくなってしまいます。
「全て、全て燃えてしまえ!!」
四方八方にばら撒かれる炎の札束。忽ち辺りは火炎でいっぱい。大変な事態となってしまいました。
「…貴方のような人を捨ておくわけにはいきません。」
札束はこちらの方にも大量に飛ばされて来ておりました。いつきは素早く冷撃符を取り出すと、込められた霊力を前方へと解き放ちます。
すると現れるのは氷の壁。破魔の霊力により形作られるそのシールドは、火炎を消し止めるだけでなく、感情の炎を浄化しクールダウンさせる狙いがございます。
無傷で場を凌いだいつきは、続いて稲荷符を取り出します。
「万物に宿りし仮初の神々よ。今一時その力、我らが為に振るい給え!」
──【禁術・偽神創生】。器物に仮初の命を与え、極わずかな時間だけヤドリガミ化させる術です。
禁術、の名が示す通り、普段使いするような類のユーベルコードではございません。だがしかし、これほどうってつけのユーベルコードも他にはないでしょう。
ヤドリガミ化させる対象は…栗饅頭先生の書いた冒険小説です。先程いつき自身が買い、どんどんのめり込んでいったあの本です。
「さあ皆さん、心躍る冒険譚を、胸が締め付けられる恋物語を、手に汗握る活劇を! ……物語を書く楽しさを今一度、彼に思い起こさせて下さい!」
お調子者でかっこいい冒険野郎な主人公がおりました。
お転婆で可愛い射撃自慢なヒロインがおりました。
頼りがいがあって甘えん坊で、いざって時にはいつもそばに居る相棒の犬がおりました。
悪辣非道で強敵、凶悪、だけどちょっぴり憎めない悪役がおりました。
それらが光り輝く帯となって本から溢れ出していきます。夢と希望と、とびっきりのロマンを乗せて。
ヤドリガミとなった小説の登場人物たちは力を合わせてある方向に飛んで行きます。
そこには、我々の読者がいます。
何か声をかけてやらねばいけません。何か一言、言ってやらねばなりません。
光の帯は、火炎の向こう側へと消えて行きます。
そして………!
大成功
🔵🔵🔵
小口・霧人
【POW】
切腹継続中(激痛耐性)
【UC】にて読み取った先は彼の恨みの矛先を変える一手に必要な切欠。
やっと真犯人の登場ですか。
その姿を見て、最後の紙片が揃いましたよ。
未完成な作品集…にいた人ですね。その煌びやかな著者近影は印象的でしたね。
えぇ、思い出しました。
あの作品集の中でもそれなりに…、まぁ、はい。悪くはない?
ところで一つお聞きしても?
せっかくこの世に舞い戻ったのですから、続きは書かないのですか?
ほら、今のあなたは死んで蘇ったという苦労をしているのですから、いま先生を殺してしまうと、結局追い抜かれたままになりますよ?
推理が結果がどうあれ彼は突如いつもの病院の関係者に怒られるのだ。
アドアレ歓迎
いつの間にか、炎は消えておりました。
再び猟兵たちの前に姿を現した成金影朧でございますが、その目は虚ろ。何かをぶつぶつと考えているようでございます。
「…ああ、なるほど。どこかで見たような姿だと思えば……、ようやく最後の紙片が揃いましたよ。」
切腹探偵、小口・霧人。先程の戦闘にて腹を綺麗に掻っ捌いた探偵でありますが(自傷)、むしろ思考は冴え渡っている様子であります。
人呼んで【切腹推理】。なんでも腹を切り開くことで見えてくるもの…があるそうでございます。
「あなた、未完成な作品集…ってのに載ってた人ですね。死ぬ前に遺した最後の作品を集めたもので…。確か、古本屋で読んだことがあります。」
成金影朧、興味を引かれたのか此方へ顔を向けてくる。霧人はその反応に満足して言葉を続けます。
「随分煌びやかな著者近影でしたから…印象に残っています。…えぇ、思い出しました。あの作品集の中でもそれなりに……まぁ、はい。…悪くはない?」
そう、あれは確かに生き生きとした冒険小説でありました。
滲み出る野心や高飛車な文体が粗であったものの、今考えるとそここそがこの作者の味であったのでしょう。……だから人気は出なかったんでしょうが。
「わしの本を読んだのか…?……悪くなかったと言ってくれるのか?」
「え?…ええ、はい。腹部の傷に誓って本当です。」
「そうか…。そうなのか……。」
「……ところで一つお聞きしても?」
切腹探偵、心底疑問そうな口調で指を一本立てます。
「せっかくこの世に戻ったのですから、続きは書かないのですか?」
成金影朧、この言葉に虚ろな目をぱちくりさせます。何か言いたげに口をもごもごと動かしますが……そのまま閉じてしまいます。
「ほら、今のあなたは死んで蘇ったという苦労をしているのですから、いま先生を殺してしまうと、結局追い抜かれたままになりますよ?…いいんですか?追い抜かれたままで。」
骸の海を何年も漂い、やっとこさ影朧として現界できた成金文豪。なぜこのチャンスを恨みのために浪費してしまうのか、探偵には疑問で仕方ありません。
恨みつらみが影朧としてのエネルギーで、その衝動には逆らえないのだとしても……我慢はできるのです。「衝動」に逆らうテクニックを、霧人はよく知っています。自分の腹を切れば良いのです。
成金影朧においての切腹は、文章を書くことなのです。書いて書いて書きまくれば、恨みなど忘れてしまうことでしょう。
「そもそも、私も続きが読みたいですしね。」
大成功
🔵🔵🔵
「う、うおおおお。わからぬ。わしにはもう何が正解かはわからぬ。」
様々な感情が体内に溢れかえり……そのあまりのエネルギーに混乱し、慟哭する成金影朧。
そのエネルギーの氾濫は、暴走という形で表に出てまいります。
「ぐ、ぐおおおおおおおおお!!」
影朧としての生存意義と、生前の思いが彼の中でぶつかり合い、今、戦っております。
そして今、影朧としての本能が表に出てしまっているのでございましょう。思考力は落ち、もはや栗饅頭先生と猟兵の区別もつきません。
「グオオオオオオオオ!!」
暴走した成金影朧は辺りを無差別に攻撃し始めます。金が舞い、宝石が銃弾のように飛び交い、炎が走ります。
荒ぶる魂をなんとか鎮めてやらねばなりません。
猟兵達は散開し、それぞれやるべきことをし始めました。
依神・零奈
……やっぱり人間は分からないね
夢に生きて夢に死ぬ、才能に生かされ才能に殺される
ま、今は彼を止める事が先決かな
紙幣のばら撒きによる攻撃ね、周辺に及ぶのはめんどうだけれど
ならばその範囲ごと吹き飛ばしてしまおう
UCによる抜刀による【破魔】の力を込めた一撃でばら撒かれた
紙幣を吹き飛ばしてしまおう
それに彼に聞きたい事もあるしね
執筆途中で命を落としたのが惜しいと思えるのならば
なんでまだここで恨みを募らしてくすぶっているのか
死んでまでも、生まれ変わってでも執筆してやるとは思えないのか
とかそんな感じの事をね
それに彼は才能が無かったなんて言うけれど
執筆途中で命を落としたのなら断定するのは
まだ早計だと思うけど
暴走する影朧。人間だった頃の自我を守るように、隠すように。荒れ狂う金品が彼を取り囲み、まるで嵐のように渦巻いております。
「夢に生きて夢に死ぬ、才能に生かされ才能に殺される。……やっぱり人間は分からないね。」
依神・零奈はそんな光景を前に、ため息をひとつつきます。
「ま、今は彼を止めることが先決かな。」
刀を抜き放つと零奈は、影朧に向かって歩きだします。すると影朧、両手から放つは高額紙幣の紙吹雪……紙吹雪はぐるぐると渦を書くようにその場で回り続けると、そのうち巨大な竜巻へと成長致します。
触れるもの全てを紙幣の切れ味で粉微塵にする恐怖の金竜巻。てくてくと歩いておりました零奈を獲物と定め、轟々と音を立てて襲いかかってまいります。
「範囲攻撃か……めんどうね。」
面倒なものは薙ぎ払ってしまうことにしましょう。
零奈は強く念じると、強力な結界をその身に纏います。生半可な悪霊を近寄らせない、破魔の結界でございます。
そしてそれを、手に構えていた無銘刀へも纏わせる。…神剣の完成でございます。
【零の太刀「白鷺は塵土の穢れを禁ぜず」】は、周囲全ての害あるものを浄化する強力な破魔の斬撃。命を削るほどの集中を要して行われる一太刀は、紙吹雪など吹き飛ばしてしまいます。
───一閃。
ゴウッ!ブワワワッ!
浄化され、ただの高額紙幣へと戻った紙切れがひらひらと舞い上がります。先程まであった巨大な竜巻はといえば、影も形もありません。
零奈の一太刀によって起こった斬撃の風圧によって、全て霧散してしまったのです。
阻むものがいなくなった道を、零奈はスタスタと進みます。
「やっと会えたね、影朧。私からも聞かせて欲しいな。どうして本の続きを書かないんだい?」
暴走している成金影朧は話に答えてはくれません。紙幣を投げつけてきたのは、質問を終わらせたかったからでしょうか。
もちろんその紙幣も、零奈が纏っている破魔の結界を越えることはできません。はらりと力なく落ちていきます。
「ここで恨みを燻らせていても勿体ないとは思わないかい?」
「ぐおおおおお!!」
「執筆途中で命を落としたんだろう。どんな本でも傑作だなんだと評価ができるのは最後まで完成させてだと思うんだ。…私にはキミが才能がなかったなんて、断定できないと思うけどね。」
「ぐ、ぐおおおおおおお!!」
「いい加減、聞こえてないふりは止めるんだ。」
零奈がすっと右手を近付けると、彼の纏っていた怨嗟のオーラが浄化され消えていきます。このまま触れさえすれば、きっと彼も人間だった頃の心を取り戻してくれることでしょう。
「グ、グ、グオオオオオオオオオオ!!」
突然、影朧は天高く絶叫すると、彼女から身を引き剥がします。浄化などされてなるものかと、憎々しげに睨みつけ…、そしてくるりと背を向けると逃げ出します。
……逃げ出した先では、またもや暴れ回る影朧の姿がありました。
「…やれやれ。」
ため息をひとつついて、零奈はその後を追いかけるのでした。
大成功
🔵🔵🔵
鏡島・嵐
判定:【WIZ】
いや、わざわざ人に吹聴しねえだけで栗饅頭センセも苦労はしてると思うぞ。
毎回違う物語を巧く纏めるとかすげえ大変なんはアンタも物書き志したんならわかるだろ?
人気を保つんも結構努力しないといけねえわけだしさ。
ともかくセンセに危害を加えさせるわけにはいかねーので、《二十五番目の錫の兵隊》を呼び出して相手させる。
おれは後ろから《兵隊》や他の仲間に〈援護射撃〉を飛ばしたり、相手の行動を〈フェイント〉や〈目潰し〉〈武器落とし〉で妨害したりする。
もし攻撃を受けそうなら〈見切り〉や〈第六感〉で躱すなり、〈オーラ防御〉でダメージを抑えるなりして被害を防ぐかな。
「上手く行きそうだったのになんで暴走してんだよ!!」
スリングショットを駆使して金や宝石を撃ち落としながら鏡島・嵐は戦場を走り回ります。
火柱をひょいひょいと飛び越え、護衛対象の先生の元へ。…もっとも、暴走する敵影朧は既に先生と猟兵との区別なく暴れております。恨みの感情をエネルギーとして、消費しきるまで見境なく暴れ続けることでしょう。
いや、だからこそ、先生には護衛が必要でしょう。彼への関心が薄まったということは、注目されなくなるということであり、流れ弾やなんやで呆気なく死ぬ可能性も高くなったということです。
「胸に燃ゆるは熱き想い、腕に宿るは猛き力。その想いを盾に、その力を刃に! …………頼んだ!」
よく通る声で叫ぶと、嵐は護衛を召喚します。【二十五番目の錫の兵隊】は武装した兵士の霊です。片足を義足で補っており、歴戦の勇士然とした姿をしております。両足を揃えて敬礼すると、護衛任務に駆けていきます。
召喚された兵士は銃剣を胸の前に構えると、栗饅頭先生を手招きし、背後に隠します。
「センセー、そいつ強いから安心して隠れててくれ!…よっと!」
飛来してきた火炎球を撃ち落としながら、嵐は先生に笑いかけます。
敵の攻撃は激しくなるばかりです。
しかしこうなってくると……影朧に対してえも言われぬむかっ腹が立ってきます。
好き勝手やるだけやって、解決しそうになると暴走かよ!だいたいさぞ苦労してきたみたいな口調で被害者ぶってたけど、本当の被害者の先生にごめんも無し。
栗饅頭センセだって十分苦労してきたと思うぞ!毎回物語を巧く纏めるとかすげえ大変だろうし、人気を保つのだって結構努力しなきゃ無理だろ!
「なぁ!どう思うんだよアンタ!」
嵐は影朧に向かって思いをぶつけます。暴走してても多分耳は聞こえてるんじゃないでしょうか。
成金影朧、聞こえているのかいないのか。とにかく反応はしてくれました。奇声を上げながらこちらに突撃をしてきます。
錫の兵隊は銃剣を構えると、向かってくる相手に何発か撃ち込みます……が、勢いは止まらず。仕方なく銃の持ち方を変えると、その体を受け止めます。
片足な分、分が悪いかと思えましたが…、そこは流石の兵隊さん。ぐっと堪えて押さえ込みます。
そしてこれだけ接近しているのならばと、渾身の電撃攻撃を影朧に浴びせかけます。
こちらは錫ですし、相手は大量の貴金属を身につけております。電気がよく通ること通ること。成金影朧、苦悶の呻きをあげて苦しみます。
「いいぞ、兵隊さん!……ほら影朧、見ろ!目の前にアンタがご執心だった栗饅頭センセがいるぜ。いつまでも意識を失ってないで、ちゃんと相手しろよ!」
ぐあああ…。影朧、電流で痺れた体ではございますが、こちらに顔を向け悲痛そうな表情です。
「わかってるんだろ、センセはただの物書きだよ。人気はあるけど……アンタと同じだ。苦労してきた物書き同士、仲間じゃねーか!」
ぺしり。気付けの意味を込めて、その額にスリングショットで弾を撃ち込みます。
「いつまでも意地張ってんじゃねーぞ!!」
…キラリ。影朧の瞳に光が戻ったように嵐には見えました。
大成功
🔵🔵🔵
ルパート・ブラックスミス
郷に入っては郷に従え。駄目もとで『転生』を試みる。
翼で敵の攻撃射程外へ飛翔。短剣【投擲】でUC【命を虚ろにせし亡撃】。
身動き封じたら【言いくるめ】で【精神攻撃】。
で?その手の金品はなんだ?
小説家を志したと宣うなら筆を片手に、己の作品の方が面白いと叩きつけてみせるが道理だろう。
判っているのだろう?今の貴様は桜田先生に敵わないと。
UCの呪いと合わせて心折ったら【優しさ】混ぜた声色で諭そう。
そう、「今の貴様」では無理だ。
次へ逝け。今度こそ小説家と成れ。この世界はそれを許す。
転生してなお残る情熱あらば、必ずや届くだろう。
聞き入れない場合?【怪力】込めて鉄拳制裁だ、消えるがいい。
【共闘・アドリブ歓迎】
「左様。意地を張るのはよせ。」
ぶすり。成金影朧の背中に何かが刺さります。
背後に接近していたルパート・ブラックスミスが投擲したナイフです。
途端、成金影朧の体の力は失われます。ルパートのユーベルコード、【命を虚ろにせし亡撃】の初撃は肉体・霊体の自由を封じる呪いの一撃。
ナイフに込められた呪いの力はただでさえ弱っていた影朧の体を縛り、その場に楔止めます。
「貴様はもう動けん。命の判断はこちらが握っているということを忘れるな。」
「ぐおおおおお……く、くそう。わしも年貢の納め時か。」
「話せるようだな。暴れ回って気が済んだか。」
成金影朧、暴走状態から解放されたようです。その目には意思ある輝きが戻り、弱々しいですが情熱の炎が灯っております。
力なく握っていた右手を解くと、クシャクシャの紙幣や貴金属がこぼれ落ちて、床に当たっていい音を鳴らしました。
「…で、その手の金品はなんだ? 小説家を志す者なら金ではなく筆を手にして、己の作品の方が面白いと叩きつけるのが道理だろうに。」
「わ、わしは……」
「判っているのだろう?今の貴様では桜田先生には到底敵わないと。」
その言葉を聞いて、成金影朧がくりと肩を落とします。始めからわかってはいたのです。わかってはいたのですが、どうしようもありませんでした。
既に死んでいるこの身では文章を書くことなど叶わない。影朧として舞い戻ることができたものの、できることといえば恨みを募らせることだけでした。
栗饅頭先生の方をちらりと見ると、難しい表情でこちらを見つめておいでです。
成金影朧、完全に項垂れてしまいました。
「……そうだ。どう足掻いてもわしは敵わなかったのだ。あわれな奴と笑ってくれ…。」
「そう、どう足掻いても無理だ。……『今の貴様』にはな。」
「……何?」
ルパート、打って変わって優しい声色で話しだします。
「次へ行け。転生して今度こそ小説家と成れ。」
この世界は、それを許す。そうだろう?
「転生してなお残る情熱あらば、必ずや届くだろう。」
ルパートは兜の奥の炎をチロチロ揺らして、優しく微笑みかけました。
。。。。。。。。。。。。。。。。。
こうして、長かった戦いは終わりを告げました。
成金影朧は満足そうな表情で事切れると同時に、無数の桜の花びらへと姿を変えました。
そしてどこかから吹いてきた風に乗って……サクラミラージュの果てへと消えていきます。
どこか安らかな場所で桜の精の癒しを受け、いつかきっと、小説への世界へと帰ってくることでしょう。
桜田栗饅頭先生は、命が危うかったとはいえ、冒険活劇作家としてはなかなかできない経験が出来たことに満足している様子でございます。早速今回の経験を書き留めておきたいということで、自宅へと足早にお帰りになられました。
猟兵達はといえば、全員一冊ずつサイン本を貰ってしまいました。先生からの、頑張ってくれたお礼だということです。売っちゃダメですよ。
家に帰ってから、素晴らしい文学の世界へと浸ることにしましょう。きっと面白いに違いありません。
なんたってあの、桜田栗饅頭先生の作品なのですから。
大成功
🔵🔵🔵