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偽物の愛は溶けるように甘く

#アリスラビリンス

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#アリスラビリンス


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 甘くて冷たくて美味しいアイス。
 魔女様に気に入られたなら、ずっとずっと美味しく食べれる。
 お城の中はぽかぽかで、なんだかくらくらしてくるな。
 くらくらするなら冷たいアイス。ひんやりあまくて元気になるよ。
 だから魔女様、アイスをください。
 愛しているから、アイスをください。


「集合お疲れ様。今回はアリスラビリンスでアリスの救出をお願いしたいんだ」
 グリモア猟兵のレン・デイドリーム(白昼夢の影法師・f13030)は集まった猟兵達へと一礼し、猟兵達へ笑顔を向ける。
「オウガが作った宮殿に数人のアリスが囚われているから、彼らの救出をお願いしたいんだ。その後オウガの討伐もお願いしたいんだけど……今のままだとアリスの救出も難しい」
 その宮殿の主――魔女『クリーメル』は甘い嘘と配下の魔術でアリス達を縛り付けているようだ。
 アリス達はクリーメルに魅了され、彼女の提案をすっかり受け入れてしまっているようで。
 その提案とは『最もクリーメルに気に入られた者が、美味しいアイスと共にずっと幸せに過ごす事が出来る』というもの。勿論これは真っ赤な嘘だ。
「クリーメルはアリス達を愛してなんかいない。自分の作るアイスの材料くらいにしか思っていないよ」
 クリーメルは気に入った者をアイスにしてしまうオウガだ。
 彼女はアリス達が自分の作るアイス……嘗てはアリスだったアイスを求めて争う様を楽しんでいる。
 そんな悪辣な宴は早々に潰してしまわなくてはならない。
「このままだとアリス達もクリーメルを庇うだろうしね。まずは皆の目を覚まさせてあげて欲しい」
 少々困ったような笑顔を浮かべて、レンは説明を続けていく。

「宮殿にはクリーメルの配下、『くらくらびっと』達によって妙な魔術がかけられているんだ。どうやら内部に入るとなんだかくらくらしちゃうみたいだね」
 宮殿への魔術は猟兵達にとっては些細なものだが、アリス達にとっての効果は絶大だ。
 宮殿の室温も少々高めで、それがくらくらに拍車をかけている。
 アリス達は吐き気や目眩に見舞われており、暑さと気分の悪さを和らげるべくアイスを求めてもいるようだ。
 けれどそれは付け入る隙にもなっている、とレンは推測する。
「アリス達がクリーメルの寵愛を求めるのは『単純に彼女に愛されたいから』というのと『具合の悪さをアイスで回復したいから』という2つの理由からで……このどちらかを解消するのがいいんじゃないかなって思うよ」
 クリーメルの愛を奪う方向なら『彼女より猟兵達の方が魅力的だと示す』『彼女が嘘を吐いていると真摯に説得する』などの手段が考えられる。
 アイスを食べる気をなくさせるなら『アイスよりも良いものを提案する』『体調を回復させるなり悪化させるなりで意識をアイスから遠ざける』などの手段も考えられる。
「とにかくアリス達からクリーメルやアイスに対する関心をなくさせればいいから、良さそうな手段があるならどんどん試して欲しいな」
 命さえ助かればあとはどうにでもなるのだ。
 とにかくアリス達の目を覚まさせてあげなくては。

「アリス達が自分に関心を無くしたと分かれば、クリーメルは『くらくらびっと』達をけしかけてくるよ」
 宮殿への術は弱いものだが、らびっと自身の術は猟兵達にも的確にダメージを与えてくるだろう。注意が必要だ。
「そして『くらくらびっと』も倒せばクリーメルが直接相手をしてくるだろうね。彼女を倒せば依頼は完了だ」
 一通り説明を終え、レンは再び猟兵達へと頭を下げる。
「相変わらずオウガのやる事は悪趣味で……だからこそしっかり企みは潰さないとね。それじゃあ今回もよろしくお願いするよ」
 話が終わると同時に転移の準備も整ったようだ。
 グリモアの光が猟兵達を包み込み、オウガの宮殿への道を繋いでいく。


ささかまかまだ

 こんにちは、ささかまかまだです。
 今回はアリスラビリンスでの事件です。
 風邪を引いたらアイスが食べたくなります。

 1章は「アリス達の目を覚まさせる冒険パート」です。
 宮殿の内部にいるアリスは5名程、全員オウガ『クリーメル』に魅了されています。
 また、宮殿内部の環境により彼らは吐き気と目眩、体温の上昇に苛まされています。
 それらが合わさった結果「クリーメルに気に入られ、アイスを貰いたい」という精神状態にされているので、それを解消してあげましょう。
 魅了が解ければアリス達は猟兵の言う事に従います。

 2章は「『くらくらびっと』との集団戦」
 3章は「『アイスメーカー『クリーメル』』とのボス戦」です。
 アリス達は体調が芳しくないので戦いは後ろで見守ります。
 その代わり守る必要もないので、思い切りオウガと戦って下さい。

 どの章からでも参加していただいて大丈夫ですし、特定の章だけ参加していただくのも歓迎です。
 進行状況や募集状況はマスターページに適宜記載していく予定です。

 それでは今回もよろしくお願いします。
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第1章 冒険 『愛欲のハーレムパレス』

POW   :    オウガと正面から勝負をして勝利する事で、アリス達の愛を奪います

SPD   :    オウガの欠点を探り当てて公開する事で、アリス達の愛を覚まさせます。

WIZ   :    一人の愛を奪い合う愚かさを解いて、目を覚まさせます。

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 転移を終えた猟兵達は早速オウガの宮殿へと足を踏み入れた。
 宮殿内部はじんわりと暑く、甘ったるい香りが漂っている。
 中では5名程のティーンエイジャーが言い争いの真っ最中だ。
 彼らが助けるべきアリス達だろう。

「俺こそが魔女様のアイスを貰うのに相応しい」
「私が一番美味しくアイスを食べられるのに」
 アリス達は口々に魔女とアイスを称え、褒美を求めている様子。
 彼らの語気は強いものの、どうにも体調が優れずにフラフラしてもいるようだ。

 アリスの周囲にはバニーガールの格好をした女達の姿も見える。彼女達は魔女の配下の『くらくらびっと』だ。
 そして奥にはアイスメーカー『クリーメル』の姿も見えるが……このまま直接彼女と戦うには分が悪い。
 まずはアリス達の魅了を解き、オウガの支配から解放してやらねば。
隣・人
「ふむ。じゃあちょっとアリスさん。隣人ちゃんの言葉に耳を傾けてくださいね。そうです。もっと近寄ってください」
アリスを誘ってから多少強引に後頭部を掴みます
古典的ですが五円玉をゆらゆらと見せます
「よぉく。よぉく。見てくださいよ。ほら。あなたの体調が悪い所以は、この五円玉なのです。ぐるぐるぐるぐるするでしょう。クラクラしてきて仕方がないでしょう――」
催眠術と部位破壊(三半規管)で目眩の原因を塗り替えます。【何も口にしたくなくなる】筈です。なんならリバースしそうになるでしょう
「そう。吐きそうなら吐いちゃえば良いのです。アイスなんて食べてる余裕、ありませんよね。大丈夫ですか。おめめぐるぐるしていますよ」




 アリス達の言い争う声が響く宮殿を、つかつかと歩く女がいた。
 その女――隣・人(六六六番外・f13161)は一人の少女の肩を叩き、朗らかな声で話しかけていく。
「ふむ。じゃあちょっとアリスさん」
「え、誰。何の用?」
 少女は隣人の事を適当にあしらおうとしたが、少しでも気を引けたならこちらのものだ。
「ちょっとだけ隣人ちゃんの言葉に耳を傾けてくださいね」
 ぐいぐいと手を引いて、少女を言い争いの輪から連れ出して。
 体調不良の少女に抵抗するだけの力はないようだ。彼女は大人しく手を引かれている。
 いい感じに輪から距離を取れたのならば準備は万端。
 隣人の右手がおもむろに少女の後頭部を掴んだ。それはもうしっかりと。
 彼女の左手には糸を括り付けた五円玉も握りしめられている。
「えっ、ちょっと!?」
「そうです。もっと近寄ってください。よぉく。よぉく。見てくださいよ」
 隣人の目は目隠しによって見えていないというのに、少女は蛇に睨まれたカエルの如く視線を逸らす事が出来ないようだ。
 目の前でゆらゆらし始めた五円玉を前にして、少女の目が大きく見開かれていく。
「あなたの体調が悪い所以は、この五円玉なのです。ぐるぐるぐるぐるするでしょう。クラクラしてきて仕方がないでしょう――」
 囁く言葉。少々古典的なゆらゆら揺れる五円玉。ゆっくりとかけられる催眠術。
 それらが齎すのは、三半規管という部位の的確な破壊だ。
「う、ぇ……ぐるぐる、する……」
「そうです、ぐるぐるしますね。アイス、食べられませんよね」
 催眠術はまだまだ続く。五円玉はまだまだ揺れる。少女の三半規管は更に壊れる。
「は、はきそ……」
「そう。吐きそうなら吐いちゃえば良いのです。アイスなんて食べてる余裕、ありませんよね」
 少女の顔色は明らかに悪くなってきていた。
 見開かれた目はぐるぐる回り、ひゅーひゅーとした呼吸が半開きの口から漏れているようだ。
 その様子を見ている隣人の顔はとても楽しげ。
 彼女は『めまい』や『嘔吐』といった物事に執着しているのだ。自身のものでも、他人のものでも。
「大丈夫ですか。おめめぐるぐるしていますよ」
「は、離し……ぉえ、うぇえ……」
 少女の方はいよいよ限界。ちょっとここには書き記せそうにない状態になりつつある。
 けれどこれでアイスへの執着はなくなっただろう。
 体調が落ち着けば彼女も正気に戻るはず。
 その事に安堵しているのか、それとも少女の三半規管の壊れっぷりに満足しているのか。
 隣人もニコニコ笑顔で少女の動向を見守っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

津久根・麦穂
アリスさん、あなた方はアイスを食べれば
暑さが和らぐと思っているのでしょうが、
正直効率が悪いです。見てられません。
アイスを食べて涼しくなるなんてほんの一瞬です。
人体の体温を下げるには、汗をかくのが最も効率が良いのです。
汗が蒸発する際の気化熱によって、
体内の熱が逃され涼しくなるのです。

もうおわかりですね?
そう、カレーです。
カレーの熱さによる温熱性発汗と辛さによる味覚性発汗。
このふたつが合わさる発汗効果。
暑いときこそカレーを食べるべきなのです。
アイス食ってる場合じゃないから。

ささ、ミミックの中に出来たての状態を保った
熱々のカレー弁当がたくさんあります。
どんどん食べてくださいね(ぐいぐいと勧めながら)




「うう、早くアイスを貰いたい……」
 猟兵達の介入が始まったためか、アリス達も言い争いより体調の回復へと意識を向け始めた様子。
 それを好機と捉え、津久根・麦穂(ストレイシーフ・f19253)もまたアリス達へと近付いていく。
 彼が声をかけたのは食べ盛りであろう少年のアリスだ。
「アリスさん、。あなた方はアイスを食べれば暑さが和らぐと思っているのでしょうが、正直効率が悪いです。見てられません」
「え……? でも涼しくなるだろ?」
 麦穂の意見に少年はぽかんとした顔を返してきた。
 確かに暑い時にはひんやりアイスが食べたくなるが、それだけではまだ足りない。
「ですが涼しくなるのはほんの一瞬です。人体の体温を下げるには、汗をかくのが最も効率が良いのです」
 汗が蒸発する際の気化熱によって体内の熱が逃され涼しくなるのです、そんな風に麦穂は解説を続けていく。
 彼の穏やかな語り口と丁寧な解説により、少年も納得し始めている様子。
「言われてみれば確かに……でも汗をかくにはどうしたらいいんだよ」
「大丈夫です。夏の暑い日に食べたくなるもの、別にありますよね」
 彼の疑問に答えるように笑顔を浮かべ、麦穂は傍らのミミックをぺしぺし叩いた。
 それに応じてミミックが口をぱかっと開けば……漂うのは刺激的で美味しそうな香辛料の香りだ。
「これは……」
「もうおわかりですね? そう、カレーです」
 ミミックの中にあったのは熱々のカレー弁当だ。
 できたての状態をキープしたカレーは、『相手が元気ならば』すぐに飛びつきたくなるような不思議な魅力がある。
「カレーの熱さによる温熱性発汗と辛さによる味覚性発汗、このふたつが合わさる発汗効果。すぐに元気になりますよ」
「で、でも今はちょっとキツいんじゃ……」
 そう。この少年、クラクラしているのだ。食欲があまりないのだ。
 けれど麦穂は引かなかった。
 なぜならカレーを食べれば人は元気になるのだから。
 カレーは完全食なのだ。
 この部屋で意識をしっかりさせるには、カレーこそが大正解なのだ。
「暑いときこそカレーを食べるべきなのです。アイス食ってる場合じゃないから」
 そう言いつつミミックからカレー弁当を取り出せば、少年の顔へとグイグイ近付けて。
 麦穂の表情は穏やかな笑顔のままだが、独特の凄みがあった。
「わ、わかった! カレー食べるから!」
「おかわりもありますからね。どんどん食べて下さいね」
 少年も根負けしたのか、カレーを食べる気になった様子。
 いざ食事を始めれば彼も正気に戻るだろう。
 その事を確信し、満足げな笑みでスプーンも手渡す麦穂であった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ネルウェザ・イェルドット
(アドリブ歓迎)
逆にアイスを食べることが怖い、と思わせればアイスから意識が遠のくかな。
まずは大声で、言い争っているアリスに聞こえるように叫ぼうかねぇ。
「魔女様、アイスを新入りの私めに下さるとは恐悦至極!」
勿論貰ってなどいないが。見せつけるように美味しく戴いたふりをした後、【忌まわしき日記】を開いてUCを発動。
日記を狙ってバロックレギオンが私を攻撃する筈だから、痛めつけられたフリをしながらさらに叫ぶよ。
「アイスなんか食べなければ良かった!」
さぁアリス。こんな化け物に襲われるとしても、魔女のアイスを食べたいのかい?
ま、嘘だが。……おい、バロックレギオンは演技をしろ。痛いだろ。本気を出すんじゃない。




 アリス達は未だに言い争いにも勤しんでいる。
 その様子を眺めつつ、ネルウェザ・イェルドット(彼の娘・f21838)は悪い笑みを浮かべていた。
「こんな状況でもアイスを欲するなんて。魔女の魅了は厄介だねぇ」
 困っている風な口調とは裏腹に、彼女の中では既に作戦は立てられている。
「逆にアイスを食べることが怖い、と思わせればアイスから意識が遠のくかな」
 懐からアイスの箱を取り出して、ネルウェザは仰々しくアリス達へと近付いていく。
「魔女様、アイスを新入りの私めに下さるとは恐悦至極!」
「えっ、嘘でしょ!?」
 ネルウェザが発した言葉は勿論ハッタリだ。
 けれどアリス達からすればそれは信じられない言葉。
 新入りが寵愛を受けたと聞いては黙っていられないだろう。
「これですっかり元気になった。アイスのお陰だねぇ」
 ネルウェザはアイスを食べたりもしていない。見せつけているのも空箱だ。
 しかし彼女の演技と笑みには凄まじい迫力があった。
 アリス達はすっかりその言葉を信じているよう様子。
 向けられるのは恨みがましい目線だが……ネルウェザはそれも気にせず、更に懐から何かを取り出す。
 それは『実験記録』と書かれたノート――忌まわしき日記。
「……え? アイスを食べると呪われる?」
 敢えて大袈裟に恐怖の表情を浮かべつつ、ネルウェザは自らの力を開放した。
 その身から溢れるのはバロックレギオン達。
 彼らは日記を狙ってネルウェザへと殺到していく!
 しかしこれも演技である。
 レギオン達が日記を狙っているのは事実だが、これはアリス達を救うための自作自演だ。
「……おい、お前達。これは演技って言っただろう。ちょっ、痛いだろ。本気を出すんじゃない」
 レギオン達はかなり本気で殴ってきてたし、凄く痛かったがネルウェザは耐えた。
 ここで騒いでは計画が崩れてしまう。
 小声でレギオン達に指示を出しつつ、ネルウェザは頑張って演技を続けた。それはもう凄く頑張った。
「ああ、こんな事になってしまうとは! アイスなんか食べなければ良かった!」
 レギオン達に襲われつつ、ネルウェザは悪い笑みを浮かべる。
 彼女の長い睫毛越しの瞳は、じっとアリスを見つめていた。
「さぁアリス。こんな化け物に襲われるとしても、魔女のアイスを食べたいのかい?」
「そ、それは……」
 ネルウェザと目が合ったアリスはすっかり肝が冷えた様子。
 これなら魅了も解けただろう。
「……ま、嘘だがね。レギオンと演技をした甲斐はあったかな」
 レギオン達を引っ剥がしつつ、ネルウェザは安堵の笑みを浮かべていた。
 暴れまくった彼らには、後でお灸を据えなくてはいけないな。そんな事も思いつつ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ネフラ・ノーヴァ
【limu】で参加。
呼びは、スズ(f02317)、アオイ(f04633)
アドリブOK。

アリスの愛をアイスで荒らす、オウガどもを懲らしめてやらんとな。
さて、血を抜いてやるのは得意だがアリス達を余計にくらくらさせてしまうな。刺剣で脅しかけようか?
おや、アオイは波を起こして冷やすようだが、溺れてしまうようなカナヅチアリスがいるなら Mouth to mouthで救助しよう。
別の意味で目覚められる?まあそれもいいんじゃないか。


アオイ・フジミヤ
【limu】で参加

アリス達、邪魔したらみんな食べられちゃうよ?
といっても通じないのでしょうね

まずはアリス達に少し冷静になってもらおうか
マリモくんにお願いして、UCの波を起こしてアリス達を飲み込む
気持ち悪いところにごめんね、でも少し頭が冷えたかな?(物理的に)

暑さの熱よりも厄介なのは”愛されたい”という気持ちの熱
Love is blind
愛は盲目、その気持ちは痛いほどよくわかるけど
どんなに愛しても、あのオウガから愛を得ることはできない
それって……すごく悲しい事だよ
目を覚まそう?

愛されたい、そんな気持ちを利用する卑怯なオウガは許せないな
すーちゃん、ネフラ姉さん、任せるよ

〇アドリブ、連携歓迎


コイスル・スズリズム
旅団【limu】で参加
おいちゃん(f04633)と
ネ姉さん(f04313)

の二人の行動が終わった後に、
すずは「威厳」を持った物々しい登場をするよ!

すずが袖口から取り出すのは……そう!おいしすぎる!おいちゃんの
特製ぱ~んけ~き!
これを食べて元気になってほしいよ!

袖口から同時に取り出した大量のシロップをつけて食べると~~~
「ドーピング」と「力溜め」をこっそりしながら食べた後に
取り出して並べた瓦を思いっきり割るパフォーマンス

どう!?
甘くておいしいだけじゃなくて
元気に強くなれるんだよ!
さあおいちゃんのパンケーキを一緒にたたえよう!

ネ姉さんの行動に
心の中でこの人またキスしてない?と思ってる

アドリブ大歓迎




 猟兵達とアリスが集う宮殿を目指し、三人の猟兵が道を進んでいく。
 彼女らは花屋【limu】の友人達。
 仲睦まじく話しながら歩く姿は微笑ましいが、それぞれがしっかりと事件解決へ向けて意気込んでいる最中でもあった。
「アリスの愛をアイスで荒らす、オウガどもを懲らしめてやらんとな」
 レイピアを片手に不敵な笑みを浮かべるのはネフラ・ノーヴァ(羊脂玉のクリスタリアン・f04313)。
 彼女の言葉に応じるように、アオイ・フジミヤ(青碧海の欠片・f04633)とコイスル・スズリズム(人間のシンフォニア・f02317)も頷いて。
「うん。愛されたい、そんな気持ちを利用する卑怯なオウガは許せないな」
「アリス達、早く元気にして助けてあげたいね」
 三人とも気持ちは同じ方向に向かっている。
 悪いオウガをやっつけて、アリス達の愛を取り戻してあげなければ。
 そろそろ宮殿の入口にも辿り着く。ここから先は打ち合わせの通りに進めていこう。
「それじゃ、おいちゃんとネ姉さん、先にお願いね」
「ありがとう、ネフラ姉さんと一緒だから大丈夫だよ。すーちゃんも頑張って」
「スズとアオイが一緒なら心強いよ。必ずアリスを助けよう」
 顔を見合わせ笑顔を見せ合う三人。覚悟が出来たら早速宮殿へと突入だ。
 まずはネフラとアオイが宮殿へと足を踏み入れていく。
「御機嫌よう、アリス達。こんな茶番はもう止めにしよう」
「アリス達、邪魔したらみんな食べられちゃうよ?」
 最初は普通に説得を試みる二人だが……アリス達の反応はあまりよろしくなかった。
「なんだよお前ら!」
「魔女様が私達を食べたりしないわ!」
 言葉だけで彼らを説得するのは難しそうだ。ならばここからは実力行使で。
「おっと、言う事を聞かないならこっちにだって考えがあるぞ」
 そう言いつつネフラはレイピアを床へと突き立てる。
 カツン、と鋭い音を耳にすればアリス達も少しは冷静になったようだ。
 アリス達を侵しているのが毒ならばレイピアで血を抜いてやってもいいけれど、彼らを侵しているのは魔術とクラクラ。
 血を抜いてしまっては逆効果だろう。なのでネフラはレイピアを脅しのために使う事にしていた。
 しかしアリス達はやはりまだ落ち着き切らない。二人をじっと睨みつけ、どうすべきか迷っている様子だ。
 ならばもっと冷静にしてあげればいい。
「マリモくん、力を貸してくれる? ……私の”海”、全部流そう」
 アオイは肩で跳ねるUDC・マリモに声をかけ、その”海の鬼”の力を借りる事にした。
 次の瞬間、宮殿の中に青色が広がっていく。
 アオイを中心に瑠璃色の波が溢れ出て、アリス諸共飲み込んだのだ。
「気持ち悪いところにごめんね、でもこれで少しは冷えると思うよ」
 彼女が生み出したのはユーベルコードの力を消し去る波。これなら魔術も弱められる。
 そうでなくても、物理的に身体が冷えればアイスを食べたくなくなるはず。
 徐々に波は引きつつあるが……一人のアリスがどうやら溺れている様子。
「あの子は私に任せてくれ」
「お願い、ネフラ姉さん」
 今度は顔を見合わせずとも大丈夫。ネフラは勢いよく波の中へと飛び込んで、溺れるアリス目掛けて進んでいく。
 装備をつけたままにも関わらずネフラの泳ぐスピードはかなり速い。
 彼女は一気にアリスを助け出し、波が引くまで身体を支えてやっていた。
 波が完全に引けばアリスの様子を確認し……気を失ってはいるが、命に別状はなさそうだ。
「その子、大丈夫そう?」
「ああ。だが……念の為、こういう事も必要だろう」
 アリスがうっすらと意識を取り戻した瞬間……ネフラはそのアリスへと思い切り口づけを交わし始めた。
 マウストゥマウスでの息の吹き込み、言ってしまえば人工呼吸。けれどそれはアリスにとっては大変刺激的で。
「~~~っ!?」
「……これで目も覚めるだろう。色んな意味でも、な」
 目を白黒させているアリスに対し、ネフラはどこか満足げだ。
 彼女のような美女にキスされればアリスも衝撃で正気を取り戻す……はず。
 その様子を入口からこっそり覗き込んでいたコイスルも目を丸くさせている。
(この人またキスしてない?)
 心の中でそう思ったけど、それを敢えて口には出さず。
 自分の出番はまだだ。コイスルは再び頭を引っ込めて友人達の動向を見守る事にした。
「ネフラ姉さん、ありがとう。あとは……君だけだね」
 魅了されているアリスはあと一人。その子へ向けて、アオイはまっすぐ視線を向ける。
「愛されたいって気持ちの熱は、暑さの熱より厄介だよね。Love is blind……愛は盲目、その気持ちは痛いほどよくわかるけど」
 友達を諭すような優しいけれどしっかりした言葉。
 他者を愛し愛される事を知っているアオイには、愛の熱がどれほど難しくて大切なものかは分かっている。
 その言葉が眩しくてアリスはアオイから目を逸らすが、彼女の視線は変わらない。
「どんなに愛しても、あのオウガから愛を得ることはできない。それって……すごく悲しい事だよ」
 だから、目を覚まそう?
 彼女の真摯な言葉にアリスも迷いを見せ始めているようだ。
「そんな事……でもアイスを貰えば……」
「それならもっといいものがあるよ!」
 迷うアリスへ堂々とした声がかけられる。声の主はコイスルだ。
 彼女は勇ましい足取りでアリスへと向かっていき、にこにことした笑顔を向ける。
「元気になればアイスは食べなくても大丈夫! だからね……」
 もぞもぞと服の袖を動かして、コイスルがそこから取り出したのは……。
「……そう! おいしすぎる! おいちゃんの特製ぱ~んけ~き! これを食べて元気になってほしいよ!」
「パンケーキ?」
 アオイ特製のパンケーキはふわっふわでとても美味しそう。けれどこれだけではまだ足りない。
「スズ、パンケーキにはあれもかけないといけないな」
「そうそう、これだよね!」
 コイスルは更に袖から何かを取り出した。それは甘くて美味しいシロップだ。
 パンケーキにたっぷりとシロップをかけたのならば、まずはコイスルが一口食べて。
「これを食べるとね、すっごく元気になるんだよ!」
「すーちゃん、こっちも準備オッケーだよ」
 後ろではアオイが数枚の瓦を積み上げていた。
 そこにコイスルが並び、こっそりと手に力を籠める。
 あのシロップ自体にも力を増す効能があったのだが、それはアリスには内緒だ。
「ありがとう、ネ姉さん、おいちゃん。このパンケーキを食べるとね……えいっ!」
 コイスルが瓦に拳を叩きつければ、派手な音を立てて瓦が真っ二つに!
 猟兵としての力が齎した結果ではあるが、このパフォーマンスはアリスの気を引くのに十分だろう。
「どう!? 甘くておいしいだけじゃなくて元気に強くなれるんだよ!」
「た、確かに……」
 アリスはパンケーキに興味を示しつつある。ここが畳み掛けるチャンスだ。
「これなら他のアリスとも取り合わずに済むぞ」
「元気になれば気持ちもきっと落ち着くよ。食べてくれる?」
 ネフラとアオイにも笑顔を向けられ、アリスはとうと決心をしたようだ。
「……ありがとう、お姉さん達。パンケーキ、食べるよ」
「こちらこそ! 一緒に食べよう! そしておいちゃんのパンケーキを一緒にたたえよう!」
 コイスルに手を引かれ、アリスは早速パンケーキを食べ始めている。これでこのアリスも大丈夫だろう。
「……あとはオウガだけだな」
「この子達の気持ちを利用して、酷い事をしていたよね。絶対に許さないよ」
「みんなで鬼退治、だね!」
 三人の意識は既にオウガへと向かっている。
 人の心を弄び、最後には食べてしまうようなオウガ。到底許す事は出来やしない。

 全てのアリスが正気を取り戻す事が出来たのならば、次に迎えるのは戦いの時だ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『くらくらびっと』

POW   :    くらくら
技能名「【催眠術】【部位破壊(三半規管)】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
SPD   :    くらくらびりんす
戦場全体に、【くらくらする模様】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
WIZ   :    つめほうだい
【お菓子大好きな怪物】に変身し、武器「【臓物を取り出す拷問道具】」の威力増強と、【酷い眩暈と吐き気を催す猛毒放出】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。

イラスト:透人

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 アリス達は正気を取り戻し、宮殿の隅へと退避していく。
 クリーメルはその様子をつまらなさそうに眺めていた。
「余計な事をしてくれたわね。あの子達には魔術をかけ直せばいいけれど……まずはあなた達を食べてやるわ!」
 魔女がぱちんと指を鳴らすと、周囲にいた『くらくらびっと』達が一斉に動き出す。
 彼女達は猟兵目がけて何やら怪しい術の準備中だ。

 らびっと達が直接ぶつけてくる術は猟兵達もくらくらとさせてくる。
 次はそれに打ち勝って、魔女への道を切り開かねば。
 猟兵達もそれぞれ戦いの準備を始めていく。
津久根・麦穂
おや、迷路ですか。
この模様、催眠術の類ですね。
なるほどくらくらします。

壁を叩いてみるに硬度も相当なものです。即席の迷宮か……。
やれやれ……こんな術を使わずとも、
私弱いのですから直接戦闘すれば勝機もあったでしょうに。
罠使いとしての私が最も得意とする地形、
せいぜい利用させてもらうとしましょう。
くらくらしていますし逃げ足を駆使しても
追いつかれるでしょうが、
油断して襲いかかってきても仕掛け罠の餌食です。

基本のワイヤー付き爆弾に地雷、ああ、身軽そうな方々ですね。
運良くワイヤーを見つけた方は壁や天井を蹴って追ってきますが、
地雷が埋まっているのが地面だけだなどと思わないことですね。




 兎達が跳ね回り、迷路が猟兵達を囲い込む。
 描かれた模様は規則性もなく、うねうねぐるぐるの変な模様だ。
 それだけならまだいいが、その壁を見つめているとなんだか頭もふわふわしてくる。
「この模様、催眠術の類ですね。なるほどくらくらします」
 頭の中がくらくらとし始めても麦穂は冷静だった。
 ダンジョンエクスプローラーである彼にとっては迷路に迷い込む事は日常茶飯事。
 まずは壁を叩いて硬度を確認。手に跳ね返ってきた感触で破壊は無理だと即座に判断。
 それでも麦穂は焦らない。むしろ敵に対して同情すらし始めていた。
「やれやれ……こんな術を使わずとも、私、弱いのですから直接戦闘すれば勝機もあったでしょうに」
 戦闘の腕に自信はないが、ダンジョン踏破と罠使いには自信がある。
 相手がわざわざこちらに有利な地形を用意してくれたのだ。存分に活かして戦おう。
 麦穂は薄く笑みを浮かべながら次々に罠の準備をし始めていた。
 くらくらしている以上、自分の身体能力は落ちているはずだ。
 下手に逃げ回って追いつかれるよりは得意な戦法に賭けた方がいい。
 慎重に罠の用意を進めつつ、麦穂は兎達の到来を待った。
「あっ! 猟兵いたよ!」
「捕まえよう!」
 いくつか罠を仕掛け終わった頃に、らびっと達は迷路へとやって来たようだ。 
「見つかってしまいましたか……!」
 わざと大きめの声を出し、迷路の奥へと走る麦穂。
 これが罠だと気付いていないらびっと達もどんどん道を駆け出して……次の瞬間、先頭を走っていた兎の身体が爆ぜた。
 足元に仕掛けてあったワイヤートラップが発動し、括り付けてあった爆弾が起爆したのだ。
 仲間の死を直面してもらびっと達は止まらない。むしろ目を凝らしてワイヤーを避けつつ進み始めているようだ。
 けれど、ストレイシーフが仕掛ける罠はそんな単純なものだけの訳もなく。
 壁を蹴ったらびっとはワイヤーに足を取られて爆発し。
 天井ならばと飛び上がったらびっとの首は透明ワイヤーで綺麗に切られて。
 彼女達が進めば進む程、出来上がっていくのは死屍累々。
「……頭はあまり良くないようですね。良かったです」
 麦穂もくらくらではあったが、それ以外にダメージを負う事は一切ない。
 らびっとに追いつかれる事もなく、麦穂は無事に迷路を踏破する事が出来た。
「次はもっと別の手段を用意した方がいいですよ。こちらもそれに合わせた道具を用意しますが」
 くらくらを癒やしつつ、麦穂は再び笑みを浮かべる。
 彼の知識と技量ならどんな相手にもきっと対応出来るだろう。
 今回の迷宮も経験値とすべく、使った道具や迷路にも思いを馳せる麦穂であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大豪傑・麗刃(サポート)
どんなシリアスな場面でも可能な限り空気を読まずダジャレ言ったりギャグやネタやおちゃらけに走りたいのだ!
完全シリアスもできなくはないのだが、まじめな事ばかり言ってると頭痛が痛くなるのだ(強調表現としての重言肯定派)。

戦闘で可能なら『ネタキャラとしての矜持』でシリアス崩壊、敵のネタキャラ化を狙う。
無理だけどギャグだけならできそうならその他のユーベルコードを適当に。
ギャグそのものが不可能なら『スーパー変態人』『2』。

基本刀の二刀流。『スーパー変態人』『2』使用時は右手に刀2本左手に任意の武器2本の計4本装備。
勢いに任せ思い切り突っ込み思い切り斬るのがメインだが武人なので必要があれば搦め手も使うのだ。




 兎達が跳ね回り、甘ったるい香りが漂って、なんだか暑いこの宮殿。
 冷静になるとカオスなこの状況に、更にカオスな猟兵が姿を現した。
「ここに来ればアイスが貰えると聞いたぞ!」
 その猟兵、大豪傑・麗刃(変態武人・f01156)は入り口にあったドアをばーんと開け放ち早速らびっと達へと近付いていく。
「あれ? あんなアリスいたっけ?」
「アイスを貰いに来たなら魔女様の言う事聞かないとダメだよ」
 彼から敵意を感じなかったらびっと達は、素直に麗刃を奥へと通そうとしているようだ。
「魔女様を愛さないとアイスを貰えないんだからね」
「なんと! 麗ちゃんは魔女様ではなくアイスが目的なのだが……つまり……」
 急に深刻な顔をする麗刃。
 らびっと達は不安そうに彼の顔を見つめている。
「つまり?」
「……アイスを愛しに来てるのに! なんちゃって、あっはっは」
 すてーん。
 敢えて皆がダジャレとしては言っていなかったその発言。それを聞いてらびっと達は漫画のように転げ落ちた。
「何それ!」
「っていうかこの人猟兵だよ!」
 らびっと達は困惑しているが、ここでようやく麗刃が猟兵だと気付いた様子。
 慌てて起き上がった彼女達は敵意剥き出し。お菓子大好きな怪物にも変身し始めているようだ。
 怪物の手には恐ろしい拷問道具。口から溢れる液体は猛毒。真面目に戦ってはシリアス必至である。
 けれど麗刃には関係なかった。何故なら……。
「今度はにらめっこだな! 麗ちゃんにらめっこなら得意なのだ!」
 彼は怪物に向かって変顔を見せつけていたからだ。
 恐ろしい怪物を前にしても臆さずにお出しされる『鬼面フラッシュ』。怪物達がそれを予期できる訳もなく。
「……あっはっは、変な顔!」
 らびっと達は恐ろしい姿のまま笑い転げていた。もうそれはケラケラと。
 実はここまで全て麗刃のユーベルコードがペースを掴んでいるのだが、らびっと達がそれに気づく事はない。
 もうこの空間は麗刃が支配している。あとはもう好き勝手タイムだ。
「にらめっこは麗ちゃんの勝ち! じゃあ後は好きにやらせてもらうのだ!」
 武人らしく刀を二本取り出し構える麗刃。しかし顔は変顔のままだ。
 らびっと達は笑い続けていて逃げたり立ち向かったり出来ない様子。
 無抵抗の相手をぶった切るのは武人らしくないかもしれないが、抵抗しない方が悪いのだ。拷問道具とか持ってるし。
 あとはひたすら麗刃の刀がらびっと達をなます切りにしていったとさ。

成功 🔵​🔵​🔴​

隣・人
「成程。成程。つまりお相手の三半規管を狂わせて見せられない事にすると。は、は、は――隣人ちゃんには兎さんを突破する策が在るのですよ」
回転椅子を置きます
座ります
そして回ります。それはもう全力で
「好いですか。くらくらさせるユーベルコードを使うって事は即ち、此方が既にくらくらしていれば何の問題も無いというこおげぇ……なんですよぉ……さあ、かかってきなさおぇ」
千鳥足で、顔色酷いまま、らびっとに近付いて
はいてませんが吐いています。七色モザイクをだばぁ
精神攻撃と時間稼ぎ、毒使いにマヒ属性の『封印を解く』ってやつです
「隣人ちゃんのお肉は美味しくないって理解出来ましたkえれえれえれ」




「成程。成程。つまりお相手の三半規管を狂わせて見せられない事にすると」
 催眠術の準備を進めるらびっと達を見て、隣人はにんまりと笑みを浮かべる。
「は、は、は――隣人ちゃんには兎さんを突破する策が在るのですよ」
 堂々と宣言される策の存在。それを聞いてらびっと達は思わず身構えた。
 一体何を? 催眠術を打ち破る術だろうか。それよりも術の発動より早く動く方法でもあるのだろうか。
 慌てて催眠術を発動しようとするらびっと達を前にして、隣人はドン、と何かを設置。
 それは見事な回転椅子だった。
 手入れが行き届いているのか、回転具合はそんじょそこらの椅子とか比べ物にならないような。
 あっけにとられたらびっと達をよそに、隣人はごくごく普通にその椅子へと腰掛ける。
 そして……彼女は全力で回転し始めたのだ!
 隣人の長い髪とスカートがくるくると舞い踊り、三半規管も凄まじい勢いで振り回されていく。
「隣人ちゃんが回転する事で相手は死ぬのですよ!」
 ぐるぐるぐるぐる。隣人はひたすらに回り続ける。
 その様子に圧倒されているのもあるが、『相手が自分の三半規管をぶっ壊すなら放っておいてよくない?』という空気にもなっているらびっと達。
 一通り回りきった隣人は、ふらふらと椅子から立ち上がる。
「好いですか。くらくらさせるユーベルコードを使うって事は即ち、此方が既にくらくらしていれば何の問題も……」
 ふらふらの千鳥足であるき始める隣人。
 口元の笑みはそのままだが、彼女の顔色は明らかに悪い。
 目隠しをしているにも関わらず、唇や肌の色が明らかに青ざめているのが分かるのだ。
「問題も……問題も無いというこおげぇ……なんですよぉ……」
 更に口の端からは何かが溢れそうになっていた。
 そう、彼女ははいてませんが吐いています。
 鬼気迫る隣人から、らびっと達は逃れられない。
 ガシっとらびっとの肩を掴んで、隣人の何かが限界を迎えた。
「……さあ、かかってきなさ、おぇ」
「ひっ」
 小さくあがった悲鳴をよそに溢れ出るのは七色モザイク。
 それはもうだばだばと。らびっと達の催眠術より恐ろしいものがここにはあった。
 モザイク塗れになったらびっとはそのまま気絶、頭を打って骸の海へと還っていった。
 しかし隣人は止まらない。
 よろよろの足取りで別のらびっとへと近づき続ける。モザイクはそのままだ。
「隣人ちゃんのお肉は美味しくないって理解出来ましたkえれえれえれ」
「や、やめてー!」
 繰り広げられるのは地獄絵図だが、オウガの討伐が進んでいる事には変わりない。
 惨劇はもう少しだけ続いたとかなんとか。

成功 🔵​🔵​🔴​

龍統・光明(サポート)
『その業喰わせて貰う。さぁ、貴様の業を数えろ……』
ヤドリガミの電脳魔術士×竜騎士
年齢:18歳 男
外見:173.3cm・赤い瞳・銀髪・色白の肌
特徴:左胸に傷跡・知識欲が強い・由緒正しい血筋・料理が好き・創作活動が好き
口調:男性的(俺、呼び捨て、だ、だな、だろう、なのか?)

基本冷静沈着。但しノリは良い

二刀流と蹴術を織り交ぜながら羽形スレイブを操り戦う

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用

基本回避優先で防御の際は左腕を盾代わりに使う

常にクールである事に努めており、他に迷惑をかけない様に心掛けている

自由に動かして頂いて構いません。(NG:ギャグ・コミカル)




 らびっと達は能天気だが、彼女もクリーメルも今まで散々アリス達を苦しめてきたのだろう。
 その罪を裁くため、新たな猟兵が宮殿へと姿を現した。
「……人食いのオウガ。貴様達の業を喰らいに来た」
 長刀を携えて、オウガ達を静かに睨むのは龍統・光明(千変万化の超越者・f02421)。
 らびっと達が術を発動するより早く、彼は鬼達へと質問を投げかける。
「さぁ貴様の業を数えろ……」
「業? それってなーに?」
 小首を傾げるらびっと達。質問の意味が分かっていないのか、自らの行為に微塵も罪悪感を感じていないのか。
 どちらにせよ彼女達の回答は満足出来る答えだとは言える訳もなく。
「分からない、か。ならば俺が証明しよう」
 光明の声に応えるように、彼の身体から光の羽根が出現した。
 脳波制御の霊装『フェザーブラスター』と腰に装着した霊装『リンドブルム』の双方から生えた翼は、鋭い刃へと姿を変えてらびっと達へ迫りゆく!
「わわっ、危ないよ!」
 しかし彼女達の術も完遂してしまったらしい。羽根の刃が彼女達を切り裂くより早く、大きな迷路が光明の事を閉じ込めてしまった。
 迷路の壁はくらくらする模様で出来ている。長居するのは危険だろう。
 しかし、光の翼が彼の事を導いてくれる。
 光明が発動したのは『業欲の翼』。自分が投げかけた質問に対し、相手が満足出来る答えを言うまでは発動し続ける技だ。
 そしてらびっと達は彼の質問にちゃんと答えていない。つまり……。
「光の翼よ、オウガ達を追うぞ!」
 生じる翼の刃は自動的にらびっとを追いかけて、彼を出口まで導いてくれるのだ。
 最短距離が分かっているなら遠慮は無用。光明は一気に飛び上がり、迷宮の終わりまで突き進む!
 こうして光明はくらくらに見舞われる事なく迷路を脱出出来た。あとはこちらの番だ。
 手にした長刀『絶』と『布都御魂』を鞘から引き抜き、光明は一気にらびっと達へと迫る。
「さぁ……その業、喰わせてもらう!」
 彼の動きにらびっと達は着いていく事が出来ない。一度刃を振るったのなら、彼女達の身体はあっさりと切り裂かれた。
 あとはもう術を発動する暇すら与えない。光明はひたすらに敵へと迫り、その業を喰らっていく。
 その凄まじい剣技は千変万化。悪しき鬼を切り裂く絶技だ。
 その刃は次々に鬼を斬り伏せ、アリス達を助ける道標となっていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミケ・ナーハ(サポート)
アドリブ歓迎♪

常に可愛くセクシーです♪

スタイル抜群で
ビキニや、くノ一装束など
露出度の高い格好です♪
動くたび豊満な胸がぷるんと揺れます♪

「私のドキドキ分かりますか?」
『ミケ流誘惑術』『セクシーチャーム』
の【誘惑】が得意で
調査から戦闘まで色々します♪
むにゅっと自慢の胸を押しつけ
抱きついて甘えたり♪

「やあっ♪」
武器は、サイクロンシューズを履いた美脚での蹴りと
胸の谷間から出す手裏剣♪

「これでどうですか♪」
誘惑できない時は『超忍者覚醒』

【属性攻撃】は
大きなぬいぐるみの様な
虎型ガジェット『スア』
が口から放出♪

「だーめ♪」
敵の攻撃を【見切り】華麗に回避♪

【念動力】で物を動かしたり
自分の体を宙に浮かせたりも♪




「バニーガールさん達ですか、不思議な術を使うようですね」
 ミケ・ナーハ(にゃんにゃんくノ一・f08989)は宮殿の入口から兎達を観察していた。
 本来ならば色仕掛けが得意なミケだが、恐らくらびっと達にそれは通じない。
 けれどアリス達が困っているのだ。ここはくノ一らしくびしっと助けに行くべきだろう。
「よーし、頑張りましょう♪」
 サイクロンシューズを起動して、ミケは一気に宮殿内部へと踏み込んだ。
 新たな猟兵達の出現にらびっと達も驚くが、彼女達もやる事は変わらない。
 ミケの周囲を迷路が囲み、くらくら模様が彼女の三半規管を襲い出す。
「わわっ、変な模様……早く脱出しないと……」
 思わず耳と尻尾がへにゃりと垂れるが、混乱してばかりもいられない。
 相手が怪しい術を使うのならばこっちも我流忍術で対抗すればいいのだ。
「いきますよ……臨兵闘者皆陣列在前! 超忍者覚醒です!」
 自身の能力を高め、感覚を研ぎ澄まして。
 フィクションに登場する忍者の如く凄まじい能力を目覚めさせたミケは、壁を蹴って次々に迷宮を駆けていく。
 彼女に追随するように走る虎型ガジェット『スア』の調子も絶好調。二人は一気に迷宮を突破出来た。
「えーっ、どうしてこんなに早く出てくるの!」
「くノ一だからです♪」
 出口ではらびっと達が焦っていた。けれどそれもお構いなしに、まずはミケが一体のらびっとを思い切り蹴飛ばす!
 その美脚から振る舞われる凄まじい蹴りは男性相手ならイチコロだっただろう。
 一方でスアの方も周囲のらびっとへと噛み付いて、口からは属性攻撃も放っている。
 二人のコンビネーションは次々にらびっとを討伐していく。
 ふと後ろを見てみれば、不安げなアリス達の顔も見えた。
「大丈夫、あなた達の事は絶対に助けますからね♪」
 ウインクも交えて彼ら彼女らへ笑顔を向けるミケ。少年のアリスはちょっとドギマギしている様子だ。
 しかしその隙を狙ってか、一体のらびっとが何とかミケを倒そうと襲いかかってくるのも見える。
「だーめ♪」
 しかしミケからすればそんな攻撃は簡単に避けられる。らびっとの蹴りをひらりと躱し、すかさず胸元から手裏剣を取り出して。
「飛び込んでくる悪い子はお仕置きですよ♪」
 一気に投擲。手裏剣は確実にらびっとの急所を切り裂き、彼女を骸の海へと還していく。
 こうしてミケとスアのコンビは一気にオウガ達を討伐していったのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『アイスメーカー『クリーメル』』

POW   :    『アイスゴーレム』よ、私にアイスを持ってきて
自身の身長の2倍の【地形や対象を氷菓に加工するアイスゴーレム】を召喚する。それは自身の動きをトレースし、自身の装備武器の巨大版で戦う。
SPD   :    『極上アイス』のお味はいかが
【(作者以外が食べるとアイス化する)アイス】を給仕している間、戦場にいる(作者以外が食べるとアイス化する)アイスを楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
WIZ   :    『レッツ・アイスメイキング』♪
【アイス作りの歌とダンスを披露すると】【戦場と対象に歌詞通りの事が起こり】【アイスに作り変えられていく魔法】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。

イラスト:汐谷

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ポーラリア・ベルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 猟兵達の活躍により、全てのらびっとが討伐された。
 その様子を忌々しげに見ていたクリーメルが、とうとう猟兵達へと近づく。
「……随分好き勝手してくれたわね。もういいわ。あなた達を直接アイスにしてあげる」
 怒れる魔女は魔法のアイスを周囲に漂わせつつ猟兵を睨む。

 彼女さえ討伐すれば、ここにいるアリス達の安全は確保されるだろう。
 悪鬼の元から少年少女を救うべく、最後の戦いの幕が上がる。
津久根・麦穂
懐中の羅針儀、【ブラスハート】の
針がくるくると回る気配がします。
取り出して蓋を開けると、
針はゆっくりと私の後方を指して……

ああ、ようやく来ましたか。
ゴーレム兵の【戦乙女バズヴ】はらびっと達が
全滅してからのんびりとやって来たようです。
この調子なので最後まで居ないことが多いですコイツは。
まああのデカブツは任せました。
ゴーレム同士親交でも深めててください。

さて、能力だけなら相手の方が上でしょうね。
普通に戦ったら我々がアイスにされるのも
時間の問題でしょうが……
トレースした動きしかできないのはお粗末では。
これなら片方が攻撃している間、もう片方が隙だらけです。
深追いは禁物。削るだけ削って離脱しましょう。




 とうとう敵の親玉が姿を現したが、麦穂が気にしていたのは自身の懐中にある羅針儀だった。
 その羅針儀『ブラスハート』はくるくると針を回し、麦穂に何かを予感させた。
 それが示すのは琥珀の導き。大切な人と同じ仕組みを持った羅針儀は、盗賊の事を優しく導く。
「ああ、ようやく来ましたか」
 針がゆっくりと後方を指し示し、そちらの方へと振り返ってみれば……そこに立つのはゴーレム兵の少女だった。
 彼女の名は戦乙女バズヴ。
 らびっと達が全滅してからの到来なのは残念だが、普段の調子を思えばこのタイミングで来た事はむしろ幸運か。
「何よ、ゴーレム? それならこっちだって!」
 戦乙女の到来に気付いた魔女は、指をぱちんと鳴らして何かを召喚しはじめた。
 呼び出されたのは巨大なアイスゴーレムだ。
 その名の通りアイスクリームで出来た巨人なのだが、その拳は殴った相手をアイスにも変えてしまう。
 アイスゴーレムはすぐに猟兵の方へと向かい始めた。
「バズヴ、あのデカブツは任せました。ゴーレム同士親交でも深めててください」
 麦穂はすぐにバズヴへと指示を出し、それに応えるように戦乙女も宮殿を駆ける。
 ここから先はゴーレムとゴーレムのぶつかり合いだ。
 バズヴの剣はアイスの拳を受け止めて、しかし相手も魔女の動きに合わせてすぐに回避行動を取っていく。
「ふん、抵抗しても無駄よ。どうせあのゴーレムもアイスになっちゃうんだから」
 アイスゴーレムを動かしつつ、クリーメルが嘲笑った。
 彼女の言うようにゴーレムの拳は少しずつバズヴの剣を溶かし始めているようだ。
 このまま長期戦になってしまえばバズヴ自体がアイスにされるのも時間の問題だろう。
「確かに能力だけならそちらの方が上でしょう。ですが……その魔術はあまりにもお粗末では」
 しかし麦穂は冷静に敵の弱点を見抜いていた。
 アイスゴーレムの操作にはクリーメルが直接動かなければならない。
 だとすれば……誰かが直接クリーメルを叩けるならば、隙だらけの彼女に攻撃出来るのだ。
 麦穂はゴーレム同士の戦いの横をすり抜けて、魔女へと向けてリボルバーを構える。
 これも大切な人の想いが籠められた武器だ。その弾丸はどんな敵だろうと必ず穿つ。
「帰りを待っている人がいるので。失礼しますね」
 放たれた弾丸は魔女の脇腹を撃ち抜いて、華奢な身体を大きく蹌踉めかせた。
 同じく蹌踉めいたゴーレムに、バズヴの魔法剣が突き刺さる。
 その部分から氷菓子の巨人は一気に溶けて、甘ったるい香りを宮殿内部に漂わせた。
 しかし深追いは禁物だ。麦穂は再びクリーメルから距離を取り、静かに次のチャンスを窺う。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大豪傑・麗刃
とりあえず、今回分のネタはもう消費しきったのだ。
これ以上はどうやらきみをどうにかした後でないと、ネタもやっちゃいけない気がしているのだ。

わたしをアイスにするとな。
それは無理というものなのだ。
なぜなら今のわたしは。

熱い男だから。

はあああああああああああ(それっぽい気合)

(スーパー変態人2発動!!)

んで右手に刀2本!左手に脇差2本(と呼ぶには大きすぎるバスタード・ヒーローソード)!
相手はなんかでかいアイスゴーレムとやらを出すらしいのだ。だが当たらねばどうということはないのだ。超高速でダッシュして存在感のある残像をばらまき、相手が残像に気を取られた所で本体に思い切り突っ込み思い切り斬るだけなのだ!




 本格的に動き始めた魔女を前にして、麗刃は困っていた。
「とりあえず、今回分のネタはもう消費しきったのだ」
「ネタ? ふざけてるの?」
 麗刃の発言にクリーメルも困惑しだす。彼の言っている事が理解出来ないようだ。
「これ以上はどうやらきみをどうにかした後でないと、ネタもやっちゃいけない気がしているのだ」
「私をどうにか? 好きに言ってなさい、あなたもアイスにしてあげる!」
 なんだかお互いマイペース。
 クリーメルは麗刃の事をあまり気にも留めず、再びアイスゴーレムを呼び出した。
 ゴーレムの巨大な拳に殴られればただではすまないだろう。アイスにもされちゃうらしいし。
 けれど麗刃は怖気づかない。
「わたしをアイスにするとな。それは無理というものなのだ。なぜなら今のわたしは……熱い男だから」
 彼の纏う空気が急に変わり始めた。
 ビリビリとした殺気のようなものが宮殿内部を震わせて、凄まじいエネルギーの脈動が生まれ始めた。
 麗刃が雄叫びをあげ、それっぽい気合を入れた瞬間にそのエネルギーは大爆発!
「わたしは超怒ったのだーーー!!!!! 早くシリアスを終わらせるのだーーー!!!!」
 エネルギーは金色のオーラへと変わり、青白いスパークを放ちつつ麗刃の身体を強化していく。
 今の麗刃は強い。
 彼はサムライブレイドとフライングシャドウ、バスターソード(大きい)とヒーローソード(大きい)を携えて、凄い剣幕で魔女の事を睨みつけている。
「行くぞ、右手に刀2本! 左手に脇差2本の四刀流だ!!」
「脇差!? あなたそれを脇差だと言いはるの!?」
 魔女のツッコミは置いておき、麗刃は超光速で宮殿内部を駆け出した。
 慌ててゴーレムを操る魔女だが、彼女のスピードではスーパー変態人2と化した彼に追いつく事は難しい。
 なんとか一発拳を当ててもそれは残像。
 空振りに焦る魔女の後方に、全速力の麗刃が迫る!
「もっと早くお笑いに走りたいのだ! だから……きみの事は思いっきりぶつじょ!」
 言動こそユニークだが、麗刃の斬撃は的確だ。
 4本の刀の連撃は次々にクリーメルを切り裂いて、そのままの勢いで彼女の身体を吹き飛ばす!
 そこで魔力も途切れたようでアイスゴーレムもどろどろと溶けていった。
「何なの……これ……」
「おっと、まだ倒しきれてないのだ。それなら……もっともっとぶつだけなのだ!」
 麗刃は再びオーラを纏って魔女へと切り込む。
 今やこの宮殿の空気は完全に麗刃のペースに支配されていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

テフラ・カルデラ
アドリブ・絡み可
SPD

あわわ…アリスさんたちをアイスにするなんて…いや、今まで見てきたオウガもそれに似たようなことしていたから珍しいわけでもないのかも知れません…?

ともあれユーベルコード『固化塗料粘液散布』でクリーメルを塗り固めていきましょう!全身でなくても手足が触れれば固まって身動きできなくなるので他の猟兵さんの支援にもなります!
ふえぇ…!?相手が何かを投げつけて…アイス?アイスを投げるなんて罰当たりなのです!
もったいないから食べてしまいましょう…
これは…!甘~いのですよー!こんな素敵なアイスがあるなんて…おい…し…
(笑顔でアイスを食べたままチョコレートアイスに変わってしまう)




 宮殿の入口から、猟兵と魔女の戦いを見つめている者がいた。
「あわわ……アリスさんたちをアイスにするなんて……」
 困ったような表情で奥を覗くのはテフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)だ。
「いや、今まで見てきたオウガもそれに似たようなことしていたから珍しいわけでもないのかも知れません……?」
 オウガにはよく分からない相手もたくさんいる。
 今回の相手もそのような存在の一人かもしれない。そう覚悟を決めて、テフラも宮殿へと足を踏み入れた。
「クリーメルさん! もう悪い事はさせませんよ!」
 走るテフラの手にはキマイラフューチャー製の特殊塗料が用意されている。
 クリーメルが気づくより早く、テフラはそれを一気に投げつけた!
「浴びると固まるよ! 触れても固まるよ!」
「えっ、何よ!?」
 ギリギリのところで塗料は避けられてしまったが、相手がそこを踏んでも罠としては成立する。
 テフラは次々に塗料を投げつけ、クリーメルを追い込み始めた。
「アリスさんに酷い事をするのは許しませんからね!」
「ふん、あなただってアイスにしてあげる!」
 何とか体勢を立て直したクリーメルも反撃の準備を整え始めた。
 くるくるとステップを踏み、歌を歌い……テフラも負けじと塗料を投げつけ、二人の攻防はどんどん激化していく。
「さあ、レッツ・アイスメイキング♪」
「こっちだって……当たって下さい!」
 クリーメルの歌が終わるのと、テフラが全力で塗料を投げつけたタイミングは同じだった。
 塗料は一気にクリーメルの足を塗り固め、彼女のダンスを中断させる。
 それと同時に魔女特製のアイスクリームが空を舞い始めた。
「ちょっと、何よこれ!?」
「これであなたは動きづらくなるはずです! ……って、アイスクリームを投げてるんですか!?」
 ようやく敵の攻撃に気付いたテフラは目を見開いて、空飛ぶアイスを見つめている。
「アイスを投げるなんて罰当たりなのです! これは勿体ないですね……せっかくだから食べてしまいましょう」
 そう言いつつも何となく予感はあった。
 これを食べれば『いつものような展開』に遭ってしまうのではと。
 でもアイスは美味しそう。だからこれは仕方ないのだ。
 一口アイスを口に含んだのならば、幸せ気分で思わず笑顔になるテフラ。
「こんな素敵なアイスがあるなんて……おい……し……」
 しかしこれは魔法のアイス。食べた相手もアイスに変えてしまう魔女のアイスだ。
 テフラの身体は少しずつ溶けていき、気がつくと彼自身も美味しいチョコアイスになってしまっていた。
 結局魔女の魔法が溶けるまで、テフラはアイス気分を満喫する事になるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

隣・人
「ひんやりアイスのおもてなしですか。いやぁ隣人ちゃんおなか緩いんですよね。こう。あー!!! 困りますオウガさん困ります。提供するなんて食べるしかないじゃないですかやだー!!」
アイスを提供されたなら、回転椅子を『二人分』だして一緒に食べましょう。隣人ちゃんはきっとアイスになってしまうでしょう
しかし【咄嗟の一撃】【だまし撃ち】を組み合わせる事で、予め手足足枷を『回転椅子』にセットしましょう
隣人ちゃんアイスを食べようと腰を下ろしたら、拷問のお時間です
吐いても。そして吐いても止まらないゲロイン量産マシンの起動です

胃の中のアイスをぶちまけるまで、ぶちまけても回します
自分も食べられなければ意味が無いですね




 クリーメルは傷付きつつあったが、彼女の戦意はまだ衰えていないようだ。
「あなた達だってアイスを食べればイチコロなのに……そうだわ!」
 自作のアイスを食べつつ何かを閃くクリーメル。
 そんな彼女の様子を見つつ、隣人は笑顔のまま小首を傾げる。
「どうなさいました?」
「あなた達にアイスを食べさせればいいのよ!」
 明るい声と共に、急に魔力が高まった。
 宮殿全体に魔女の魔術が展開され、同時に隣人の身体が重くなる。
 このままではくるくるしても満足な回転が得られないだろう。
「ふふ、苦しいでしょう? あなたも極上アイスを食べれば楽になるわよ」
「ひんやりアイスのおもてなしですか。いやぁ隣人ちゃんおなか緩いんですよね。こう……」
 思わず困惑する隣人だが、彼女が困っているのは『この状況をどう解決するか』ではない。
 だって目の前のアイスは美味しそうで。
 ついでに元気にくるくるしたい。
「あー!!! 困りますオウガさん困ります。提供するなんて食べるしかないじゃないですかやだー!!」
 行動が決まった後の彼女は早かった。
 さくっと回転椅子を『二人分』出したのならば、隣人はいつものようにそれに腰を掛けた。
 そしてアイスを受け取ったのなら、ゆっくりと回転しつつ美味しくアイスを頂いていく。
 くるくるとひんやり甘いが加わって、隣人の笑みは深まった。
「オウガさんもご一緒にどうぞ」
「あら、気が利くのね?」
 しかしクリーメルもすぐには座らない。
 何故なら彼女が渡したのは魔法のアイスで……それを食べてしまった隣人も、美味しいアイスに変貌してしまっていたからだ。
「ふふ、単純な猟兵で良かったわ。それじゃあ美味しく頂きましょうか」
 勝ち誇った笑みで椅子へと座るクリーメル。しかし、それこそが隣人の真の狙いであった。
 隣人ちゃんアイスを手に取ろうとしたクリーメルだが、何かに阻まれそれは叶わない。
 慌てて自身を観察してみれば……回転椅子にセットしてあった手枷と足枷が身体を拘束しているではないか。
「え?」
 困惑する魔女を余所に、回転椅子は全力で回転し始める!
 これこそが隣人ちゃん流拷問術。
 座った人間を強制的にゲロインへと変えてしまう地獄の拷問術だ!
「なにこれぇぇぇぇ!?」
 くるくるくるくると回されたクリーメルは胃の中からアイスを吐き出すが、それでも回転は止まらない。
 くるくるぐるぐるぶんぶん。
 次第に彼女が吐き出すものはアイス以外にも変わりつつあるが……やっぱり回転が止まる気配はなさそうだ。
 気がつけば隣人の魔法も解けていた。
 元の姿に戻った彼女は、一緒にくるくるしつつゲロインと化したクリーメルを見つめている。
 その表情は、それはもう楽しそうな笑顔であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

コイスル・スズリズム
旅団【limu】で参加
おいちゃん(f04633)と
ネ姉さん(f04313)

アイスになるのはちょっと嫌!
アイスは好きだけどね!
あれ、おいちゃん珍しく怒ってる?
場がすでに冷え切ってますね!

初手【UC】
キャンディはいかが?
相手のSPDに対抗するのを試みるよ
以降は「残像」を複数作ったのち、「見切り」
攻撃を二人に任せ、
ドラゴンランスでの「武器受け」を中心に囮になる

こらこらこら~!
二人とも絶対アイス食べちゃダメだよ!!と突っ込む

あなたの魔法、
使いようによっちゃ
多くの人を幸せにするような魔法だと思う
アイスは幸せを運ぶ物
そうだよね、ネ姉さん!
って、またキスしようとしてる?
アイスだけに口どけ感ってやかましいわ!


アオイ・フジミヤ
【limu】で参加
すーちゃん(f02317)、ネ姉さん(f04313)と

〇真の姿:黒髪・翡翠色の瞳に6枚翼

そうだね、おいしいアイスは好きだけどアイスになるとか無理
というか、どんな美味しいアイスでも人が材料とか

もう
ほんっとに
無理です!
怒ってないけどダメー

あの人が作るアイスはおいしそうだけど……食べないよー
食べないよねえ、ネ姉さん?

UC:暖かな南国の海の波をこれでもかと大量に相手に浴びせかけ、
相手の持ってるアイスを片っ端から溶かして流す

みんなが食べて幸せになれるようなアイスだったらよかったね
すーちゃんの言う通り、せっかく幸福を運ぶ魔法なのに

アリス達、ちゃんと自分たちの世界に帰れればいいね


ネフラ・ノーヴァ
旅団【limu】で参加
アオイ(f04633)と
スズ(f02317)

真の姿は赤く輝く瞳の開眼

ふむ、美しいものを傷つけるのはあまり趣味では無いのだが、オブリビオンである以上仕方ないな。

刺剣は牽制。そこらに落ちた血を肉食魚に変じさせるユーベルコード「Kai'ura」が本命だ。

そのアイスを食べるのは御免こうむるが、“そちら”は別腹かな。隙あれば何処なりとクリーメルへ口づけを試みる。

しかし美味いアイスを食べたという経験がアリス達にとってプラスになれば良いな。
例えば、正しく人を幸福にさせるアイスを作る職人になる、とか。




 クリーメルはもうボロボロだが、その命はまだ尽きていない。
 彼女は最後の力を振り絞り、猟兵達をアイスに変えようとしているようだ。
 そんな魔女と対峙しつつ、花屋【limu】の三人は自らのユーベルコードを高めていく。
「アイスの魔女か。ふむ、美しいものを傷つけるのはあまり趣味では無いのだが、オブリビオンである以上仕方ないな」
 血棘の刺剣をしっかりと構え、ネフラはクリーメルを値踏みするように見つめていた。
 彼女の見た目は愛らしい。
 これで善良な魔女だったのなら仲良くしたかったが……相手はアリスを喰らうオウガだ。きちんと退治しなければ。
「褒めてくれるのは嬉しいけれど、遠慮しないわよ。あなた達こそアイスにしてあげる!」
 ネフラの言葉に笑みを浮かべ、猟兵達を指差すクリーメル。
 そんな彼女の言葉にコイスルはきっぱりと否定の意思を示した。
「アイスになるのはちょっと嫌! アイスは好きだけどね!」
 アイスクリームは美味しくて食べれば嬉しくなるけれど、自分がなってしまうとなれば話は別。
 コイスルの横に立つアオイも、前を見据えてクリーメルを睨んでいた。
「そうだね、おいしいアイスは好きだけどアイスになるとか無理。というか、どんな美味しいアイスでも人が材料とか……」
 空気が震えた。
 アオイの藍色の髪は夜の海の色に、瞳も輝く翡翠の色へと変えていく。
 背に広がる羽根も深い色へと変貌し、六枚の翼が彼女の身体を包み込んだ。
 肩で跳ねていた海の鬼も人の姿をとっている。
 これが彼女達の真の姿だ。
「もう ほんっとに 無理です!」
「あれ、おいちゃん珍しく怒ってる? 場がすでに冷え切ってますね!」
 驚くコイスルに対し、怒ってないけどダメー、とゆるく答えるアオイ。
 けれど彼女の感情はその姿がはっきりと現していた。
「アオイも気合充分だな。私も負けていられない」
 二人の様子を微笑ましく見守っていたネフラだが、彼女も強いユーベルコードの力を纏っていた。
 緑色の瞳を美しい紅色へと染め上げて、彼女も真の姿を解放していく。
 コイスルも服の袖をもぞりと動かし、何かの準備を進めている。
 彼女の袖からは何でも出てくる。きっとこの戦いも楽しくしてしまう何かが。

「なんでもいいわ。さあ、まずはこうよ!」
 先に動いたのは魔女の方だ。彼女は再び魔術を展開し、宮殿全体にまじないをかけていく。
 それは魔女が振る舞う極上アイスを食べない者は動きづらくなるまじない。
 このままでは魔女の一方的な蹂躙になってしまうが……。
「甘いものならすずだって!」
 まじないの最中に、コイスルは友人達にあるものを振る舞っていた。
 それは可愛らしいキャンディだ。その甘さは戦う力を与えてくれる。
「感謝祭の翌日。先週から鳴り描いてるマスカラ。でもそうじゃなくったっていいんでしょ? さあ、キャンディはいかが?」
「ありがとう、スズ」
「これで安心して戦えるな」
 このキャンディが齎す作用は魔女のまじないと同等。
 魔女も同じように動きが鈍るのならば、互いの条件は変わらなくなるはずだ。
 呆気にとられるクリーメルの前に、更にいくつもの影が迫る。
「さあ、踊ろう!」
 前へと跳ねるように進んだコイスルが、いくつもの残像を纏いながらクリーメルに接近したのだ。
 その全てがドラゴンランスを片手に跳ね回り、魔女の動きを次々に制限していく。
「ちょっと、これじゃあ魔法が使えないじゃない!」
 なんとかアイスを展開し、盾とする事でコイスル達の攻撃を退ける魔女。
 だけど猟兵達の攻撃はこれだけではない。
「やはり良い香りだ。これで食べても安全なアイスだったなら良かったのに」
 突如放たれる鋭い刺突。
 気がつけばネフラも魔女へと接近し、刺剣による鋭い攻撃を放ち始めていたのだ。
 クリーメルも二人の猟兵によるコンビネーションには対応しきれない。腕に大きく傷をつけられ、そこからは甘い血が流れ始めた。
「くっ……剣や槍くらい……!」
「おっと、本命はこちらだよ」
 なんとかネフラの攻撃を退けたクリーメルだが、彼女の身体には更に鋭い痛みが走り始めた。
 流れた血が肉食魚へと姿を変えて、次々に喰らいついていたからだ。
 これこそがネフラの真の狙い。『Kai'ura』による奇襲攻撃だ。
 身体の痛みに身を縮めるクリーメル。しかし何かがおかしい。追撃が来ないのだ。
 どうして? 焦る魔女の鼻を、潮の香りが擽りだす。
「危険なアイスを放っておく訳にはいかないよ。だから……私の”海”、全部流そう」
 宮殿の中に、海が生まれていたのだ。
 その中央に立つのはアオイと海の鬼。コイスルとネフラはその側まで退避していたようだ。
 アオイの感情に応えるように、波はどんどん強まっていく。
 そしてそれが一気に放たれると……クリーメルが纏うアイスごと一気に押し流していった。
 暖かな南国の海は優しくも猛る海。悪しき魔女の呪いを次々に消し去っていく。
 クリーメルも波に呑まれ、華奢な身体を思い切り壁へ打ち付けた。

「私のアイスが負けるですって……こんなに美味しい極上アイスなのに……」
 残り少ない魔力でアイスを生み出し、それを口に含むクリーメル。
 宮殿内に漂う香りは確かに甘く、彼女のアイスにはついつい食べてみたくなる魅力はあった。
「あの人が作るアイスはおいしそうだけど……」
「ああ、味はきっと極上に違いない」
 その香りを嗅いで、アオイとネフラが思わずぽつりと呟いた。
「こらこらこら~! 二人とも絶対アイス食べちゃダメだよ!!」
 慌てて突っ込むコイスルに、二人は思わず笑顔を浮かべて。
「大丈夫、冗談だよ。食べないよねえ、ネ姉さん?」
「ああ。そのアイスを食べるのは御免こうむるが……“そちら”は別腹かな」
 楽しく談笑していた三人だが、突如空気は一変。
 ネフラが素早く前へと踏み出しクリーメルへと迫ったのだ。
 刺突攻撃を警戒し、それに合わせてアイスのバリアを展開したクリーメルだが……彼女に降り掛かったのは別の衝撃だった。
 バリアの横をひらりと通り抜けたネフラが、クリーメルの腰を掴み……。
「そうそう、アイスは食べちゃダメで……って、ネ姉さん?」
 コイスルとアオイも前を見れば、そこに広がっていたのはビックリな光景。
 ネフラが、クリーメルへとキスしていたのだ。それも思い切り。
「ネ、ネ姉さん……」
「またキスしてる……! アイスだけに口どけ感って……やかましいわ!」
 友人達も、魔女自身もびっくり仰天。平常心のままなのはキスを終えたネフラだけだ。
「思った通り甘くて美味しいな。これで人を幸せにするアイスだったなら良かったのに」
 ネフラは唇を舐めて満足げ。
 しかし、その言葉を聞いたコイスルがはっとした表情を見せていく。
「……そうだね。魔女さん。あなたの魔法、使いようによっちゃ多くの人を幸せにするような魔法だと思う」
「うん。みんなが食べて幸せになれるようなアイスだったらよかったね。すーちゃんの言う通り、せっかく幸福を運ぶ魔法なのに」
 アオイも残念そうな表情を見せて同意を示す。
 甘くて美味しいものは幸せの魔法だ。
 魔女もオウガとして生まれていなかったのならば、誰かを幸せにしていたのだろうか。
 けれどここにあるのは過去と、人喰いの魔女だけだ。
 だから、終わらせよう。
 コイスルも一気に前に出て、再びドラゴンランスを魔女の方へと突き出して。
 同じくネフラも血の魚と共に魔女の身体へ赤い痕をつけていき。
 最後にアオイの生み出す波が全てを飲み込み、魔女の身体はアイスのように溶けていく。
 幸せの魔法を紡ぐのは、過去の存在ではないのだから。

 魔女が消え去った事で宮殿内部の魔法も解けたようだ。
 中には涼しい風が吹き、アリス達も安堵の表情を零し始める。
 三人はそんなアリスの様子を優しく見守っていた。
「アリス達、ちゃんと自分たちの世界に帰れればいいね」
「ああ。それにこの経験がアリス達にとってプラスになれば良いな」
 例えば、正しく人を幸福にさせるアイスを作る職人になる、とか。
 アオイとネフラの言葉に、コイスルもにこにこ笑顔で頷いた。
「そうだね。もしアリスの職人さんが生まれたら、みんなでアイスを食べに行こう!」
 いつかそんな未来が来るといいね。
 三人も笑い合いながら、この戦いは幕を下ろした。


 こうして猟兵達は魔女を退け、無事にアリス達を助け出した。
 彼ら彼女の行く先は分からない。
 けれど、今度こそ彼らが甘い幸せを掴みますように。
 そんな気持ちを抱きつつ、猟兵達も宮殿を後にするのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年11月11日


挿絵イラスト