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かみさまがたとえオブリビオンだとしても、

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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●証言
 あのお方はかみさまです。
 あのお方はどこまでもお優しい方で、うちの妻が出産のときに助けてくださったのです。私も体が弱いものですから、あの時はずいぶんと助かりました。
 体の弱い私達夫婦では子どもを育てるのは難しいからと、うちの子は産まれてすぐにかみさまに引き取られていったのです。
 その頃からでしょうか。村の者が体を壊すことが多くなって……ええ、かみさまは、今では村のすべての子どもたちを育ててくれているのですよ。
 十六になったら私たちも会えるんです。あと十年――楽しみです。

 ……ゲホッ……。
 失礼。どうにも最近咳が止まらず……先月転んだ時に折れた骨がまだうまく治らないようでして、そこから弱ってきてしまいましてね。
 妻も同じです。両足を折って、臥せっているのです。
 ――食事、ですか? あのお方のお陰で、困ってはいませんよ。
 なにか、私達の見たこともない野菜をくださるのです。これを食べると頭がぼうっとして、退屈なこの村が退屈ではなくなるんです。
 肉や魚はこの村ではめったに手に入らないのですが、そういったものは毒だから、食べないようにとかみさまが教えてくださいました。タマゴも同じです。
 助言してくださる方で、私達はとても幸福です。
 私たちはとても、幸福なんです。


「嫌なもん見ちまった」
 タハニは不快感を隠そうともせず吐き捨てる。
 忘れてしまいたいが、そうもいかない。タハニは溜息をついてから、予知した事件について話し出す。
「ダークセイヴァーで、オブリビオンの支配する村がある。そこの村をどうにかして欲しいんだ」
 ――その村では、子供達は皆領主のオブリビオン、子ども遣い『チャイルドマン』の元へと預けられる。
 十六歳になるまで、人々が自分の子供と会うことはないのだ。
「宗教と呼んでもいいほど信仰されていて、領主の言うことならなんでも従うようになってるんだ」
 生まれた子供を領主に渡すことを、そのまま十六になるまで会えないことを疑う者はいない。
 ここ十年で生まれた子供の数は三十。彼ら彼女らは、オブリビオンの屋敷にいるはずだ。
 また、周囲の町とも断絶されている山間のこの村では農業は盛んでも肉や魚はほとんど手に入らず、貴重な栄養源となっていたが、タマゴも含めたそれらを食べることは今は禁じられていた。
 ――結果として大人たちは衰弱し、思考を鈍らせ、オブリビオンの支配が増すという悪循環に陥っているのだ。
「この洗脳を解いて村から逃がしてオブリビオンをぶっ飛ばす……っていうのが理想なんだが、正直、そううまくはいかないだろう」
 洗脳を解くだけでもひと苦労、村から逃がすにも近くに町はない。
 ――少なくない犠牲は覚悟しなければいけないだろう。


遠藤にんし
今回はダークセイヴァーです

●第一章
 村への潜入により、人々を洗脳が弱まるよう働きかけます。
・出産したばかりの女性の赤ちゃんを領主に渡さないよう計らう(POW)
・屋敷内へ侵入し、子供たちの様子を調査する(SPD)
・村人たちの洗脳を解く(WIZ)

●第二章
 洗脳が解けた人間を村外に連れて行きます。洗脳が解けた人間がいない場合や希望があれば、洗脳されたままの人間を無理やり外に連れて行くことも出来ます。
 周りの町へ行くにはどの方向からも山を越える必要があります。寒くやせた土地で、山に果物や野菜といった恵みは期待できないため、山を越える前に負傷や餓死が起こる可能性が高くなっています。
・見回りをする(POW)
・人々を運ぶ(SPD)
・不安から村に戻ろうとする人々を押しとどめる(WIZ)

●第三章
子ども遣い『チャイルドマン』との戦闘です

●判定について
 今回は厳しめになります

・大成功:人死にが出ず、平和的解決ができた
・成功:人は死ななかったが、村人のけがや病気が重くなったり、村人との関係性が悪化した
・苦戦:人は死んだ
・失敗:人が死んだ上、村人との関係性が悪化した

 といった基準になります。
 基本的に「説得で全てうまくいく」ようにはならず、ある程度は強硬手段に出る方が成功しやすくなります。

皆様のプレイングを楽しみにお待ちしております。
100




第1章 冒険 『偽りの救世主』

POW   :    教団の誘拐現場を押さえ、拉致されそうになった一般人を救出する

SPD   :    変装や言いくるめ、忍び足などの手段で教団内部に潜入し調査する

WIZ   :    洗脳された人々に説得を試み、精神的な呪縛を解く

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

麗明・月乃
…胸くそ悪いとはこの感情の事か。
赤子を取り上げるなど。たとえ神であろうが許されぬ。

家を回る。
【妖誘恋慕】で洗脳の緩和を試みる。
衰弱が激しいなら次いで【こけヒール】を使う。

それから説得。
できるか…いや、やるのじゃ。

…落ち着いて考えて欲しいのじゃ。
神様が来てから村の全員が体を壊すなど、不自然じゃろう。
大きな事が起こる時には原因が前兆を起こす。神様とやらが今回のそれじゃ。

それに…人は、動物は何故肉や魚を食べる?体に毒であればとっくに本能が忌避しておる。
そんなものを昔から山の恵み等と言い続けるほど、人は馬鹿ではない。
必要なのじゃよ。

必要なものを不要といい、赤子を奪ったそいつは…本当にそなたらの神様か?



グリモア猟兵から語られた村の状態に、麗明・月乃(夜明けを告げる金狐・f10306)は険しい表情を浮かべていた。
 胸の内で蠢くこの感情は、『胸くそ悪い』というものなのか……神であろうと許されない所業を忌々しく思いながら、月乃は一軒一軒家を訪ねて歩くことにした。
「咲くは偽りの愛の花。一時の恋慕に溺れてたもれ?」
 囁くような言葉が生み出したのは魅了。
 一時間程度の、人体に影響の出ることがない魅了のお陰か人々は月乃の来訪を歓迎したが、もてなそうとする彼らの動きはあまりにも弱々しい。
 こけヒールで多少の怪我を治せば彼らは笑顔を浮かべ、月乃へと礼を言う。
 その穏やかな言葉を受け取りながら、月乃は静かに覚悟を決めた。
(「できるか……いや、やるのじゃ」)
 彼らの洗脳を、解かねばならない。
「……落ち着いて考えて欲しいのじゃ。神様が来てから村の全員が体を壊すなど、不自然じゃろう」
 オブリビオンの襲来後、この村では怪我人と病人が増えたと聞いていた。今や、この村に完全なる健康体などはほとんどいないのだと。
「大きな事が起こる時には原因が前兆を起こす。神様とやらが今回のそれじゃ」
「ええ、そうでしょうとも」
 反論が来るか――身構えていたからこそ、あっさりと肯定されて月乃は拍子抜けした表情。
 だが。
「大きな事がこれから起こる……だからこそ、あのお方は私達を救いに、あらゆることを教えてくださるのです。あのお方が何をもたらそうとも、それは私達を大いなる救いへ導く布石となるでしょう」
 何が起こるとしても、それがかみさまの『意志』だというのなら。
 そう答える口調からは、神と仰ぐオブリビオンへの信頼が感じられた。
 ならば、と月乃は彼らの食事について触れる。
「……人は、動物は何故肉や魚を食べる? 体に毒であればとっくに本能が忌避しておる。そんなものを昔から山の恵み等と言い続けるほど、人は馬鹿ではない。必要なのじゃよ」
「人は弱いからこそ、毒を自ら求めてしまうのです。あなたはまだ幼いようですが、あなたが思っているより、人間はずっと弱くて、脆くて、愚かなのですよ」
 咳き込む声が部屋の奥から聞こえた。
 湿り気を帯びた音なのは、その咳に血が含まれているからだろうか。
「必要なものを不要といい、赤子を奪ったそいつは……本当にそなたらの神様か?」
「奪ったのではありません、私達が差し出したのです」
 穏やかさは、確固たる意志に基づいて。
 そうそう、と彼は思い出したように月乃の顔を覗き込む。
「あなたはまだ十六になっていないように見えますが……あのお方の元で育っていないのですね」
 赤子ではない子供が珍しいのか、その瞳には好奇が滲む。
「あのお方の下で育たない子供は、あのお方のお言葉を信じない……なるほど、確かに私達の子供は、あのお方に預けて正解だったようです」
 ――十年にわたって培った信仰には届かず、月乃は唇を噛むほかなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

セツナ・アネモネ
【SPD】
……聞いただけで吐き気がする。
まぁ、村の人を正気に戻すにも証拠がなきゃね。

まずは見張りを確認。
居ないなら良いんだけど、【忍び足】くらいならアタシも出来る。なんとか隙を見つけて侵入しよう。

見張りが村人で、もし見つかってしまったら……悪いけど、覚悟は決めてきてる。
……出来れば得体の知れないモンスターなんかだといいんだけど。

中に入れたならまずは子供達を探さなきゃね。……無事なら、良いんだけど。
もちろん、今回はあくまで調査。痕跡は残さず、証拠だけを掴むのが理想。

忍び足で常に移動して、カメラで何か撮れたらすぐに脱出しよう。……ダークセイヴァーで写真、信用してもらえれば良いけど。



吐き気のするような予知を耳にしたセツナ・アネモネ(記憶の果て・f04236)が向かったのは、屋敷。
 村の中で大きな建物は一つだけだったので、迷うことなく屋敷の前まで辿りついた。物陰に隠れたアネモネが門を伺うと、貧しい身なりで鍬を持った村人が、見張りのように二人立っていた。
(「……出来れば得体の知れないモンスターなんかだとよかったんだけど」)
 忍び足で門へ迫るアネモネ。
 見張り役であっても栄養状態が悪いのは変わらないのか、彼らは時折はふらつき、ぼうっとした視線を宙に投げかけている時間も多い。
 それでもアネモネになかなか侵入の糸口を見つけさせないのは、彼らがかみさまと仰ぐオブリビオンへの信仰によるものだろうか。
 アネモネは覚悟を決めていた。一人ふらついた隙を狙って足払いをかけると転倒させ、その隙に門の内側へと忍び込む。
 ――足払いは手加減はしていた。だというのに伝わった感触は、薄い肉の下で骨の折れるものだった。
 生きているだろうか、それとも、それが原因で……不吉な予感を振り切って、セツナは屋敷の中を歩み進める。
 赤子を村人から引き離すという考えのオブリビオンであるためか、屋敷の中には人気というものがほとんどなかった。薄汚いなりに贅沢な建物の中を撮影しながら進んで、アネモネは地下へ続く階段を発見する。
(「……無事なら、良いんだけど」)
 今回、アネモネの目的はあくまでも調査。痕跡を残さず証拠だけを掴みたいから、地下室のドアを開けて子供達と対面するわけにはいかない。
 地下室の階段、そしてドアも念のため撮影して、アネモネは素早く屋敷から撤退する。
(「……ダークセイヴァーで写真、信用してもらえれば良いけど」)
 この写真をどう活用していくか――屋敷から遠ざかっていくアネモネの背後で、倒れた見張りの呻き声がぱたりと途絶えるのが分かった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

芦屋・晴久
【WIZ】判定
【何処かにある寂れた診療所】のメンバーと連携できればお願い致します。

空気が暗い割に住民の方々は何処か雰囲気がおかしいですねぇ……
他の皆さんには向こうをお願いするとして私は彼等に働きかけてみますか。
信仰で肉や魚が駄目なのなら野菜…草花に関する物ならまだ目はあるでしょう。【医術】の知識を用いて住民を【言いくるめ】、滋養強壮と気付けの効果がある漢方薬を服用させましょう。
身体の病みは精神の病みに直結します。
栄養が足りていないのならばこちらから足して差し上げましょう。
即効性を上げる為に合わせて五封陣を使用し効果促進させます。
さぁ、話を聞いてくれる状況になりましたかね?


リズ・ルシーズ
【何処かにある寂れた診療所】猟兵と連携

【SPD】

子供を親から奪うなんて!

【迷彩】して【地形の利用】し潜入するよ!【変装】して進んで子供たちを捜すよ。見張りに見つかったら【だまし討ち】で【気絶攻撃】するつもり、折角だから【情報収集】のためにちょっと【傷口をえぐる】ぐらいしようかな。
扉に鍵が掛かってれば【鍵空け】かな。
子供が死んでたら遺留品を回収。生きてたら連れて返りたいけど洗脳されてたら【気絶攻撃】でちょっと眠ってもらおうかな。運ぶのは九重に任せるよ!

これ、30人に足りてるのかな?

逃亡時にはRe-Aを使って、ピードルが敵を誘き寄せるのを手伝ってから逃げるつもり。【逃げ足】にはちょっと自信あるんだ


九重・十右衛門
【SPD】

【何処かにある寂れた診療所】のメンバーと連携できればします

親の元に無事返してやらねばな。
【神隠し】を使いピードル・ニュービー(f01112)と共に【忍び足】で潜入し、【聞き耳】で子供たちを探す。

子供たちを見つけたら人数と状態を確認、連れ出せそうな状態ならピードル・ニュービー(f01112)と別れ、子供を一人連れて脱出。
芦屋・晴久(f00321)の元に連れていく。


ピードル・ニュービー
【何処かにある寂れた診療所】のメンバーと連携 【SPD】判定

村の子供達をを探さないと。十右衛門さん(f05916)と一緒に【忍び足】で教団内部に潜入、【聞き耳】で子供達の居場所を探しますよ。見つけたら十右衛門さん(f05916)の行動が教団に悟られないよう別れて大きな音を流し見張りなどを【おびき寄せ】て誘導します。リズさん(f11009)のRe-Aも来ると思うで合流して一緒に【時間稼ぎ】頃合いを見計らってユーベルコードで攪乱した隙をついて脱出しますよ。



彼らは、何処かにある寂れた診療所からこの土地へと降り立った。
「空気が暗い割に住民の方々は何処か雰囲気がおかしいですねぇ……」
 停滞した空気のように淀み切っているというのに、村人の表情は暗いわけではない。
 だというのに彼らは一人残らず病の影を背負っていて――そんな違和感を芦屋・晴久(謎に包まれた怪しき医師・f00321)は抱いていた。
「子供を親から奪うなんて!」
 憤慨するリズ・ルシーズ(Re-Z・f11009)は迷彩を施したうえで変装し、潜入の準備は万全。
 九重・十右衛門(シノビ・サイボーグ・f05916)、ピードル・ニュービー(音楽好きな機械傭兵・f01112)も忍び足で進む。屋敷へ向かう彼らを見送って、晴久は家々を訪ね歩くことにした。
 肉や魚を食べない彼らの信仰は、彼らを深刻な栄養失調へ至らしめている。
 とはいえ、無理に肉や魚を食べさせることは難しいことだ……そのため、晴久は医術の知識を駆使して彼らに効くと思われる漢方薬を持ち込んでいた。
「ご安心を、これは草を煎じたものですから」
 初めて見る薬に彼らは戸惑ってはいたが、原料が草であるのならばかみさまは禁じてはいなかった……言いくるめの甲斐あって、滋養強壮と気付けの効果がある漢方薬を彼らは飲み下す。
 本来ならば漢方薬は遅効性。しかしそれにも、晴久は対策を用意していた。
「金剋木! 五行の理を以て、外なる災い打ち払わん!」
 栄養が足りないというのなら足せばいいだけ。
 一之式・八咫五封陣により人々を高速治療する晴久――あまりの疲労に倒れ込みそうになるが、それを押し止めて、晴久は彼らの顔を見まわす。
 長い間に蓄積された疲弊のすべてを振り払うことが出来たわけではない。
 それでも、少し彼らの顔色が晴れたように感じられた……少しは話を聞いてもらえそうだと思った時、その家のドアが開いて村人が一人訪れる。
「見張りが死んじまった、代わりを出してくれ」
「ああ、俺が行く」
 一人が家を出て、新しく訪れた者へも癒しを与える晴久。
 不安が胸を翳らせる中であっても、活力を少しは取り戻した彼らの様子は晴久にとって喜ばしいものだった。

 その頃、晴久から別れた三名は屋敷へと向かっていた。
 見張りは二名……否、一人は倒れたまま動かないので、今は一名。見つかればだまし討ちもリズは考えていたが、時折意識が朦朧としているらしい見張りをかいくぐることは難しくはない。
 隙をついて屋敷へ潜入し、鍵の開いていたドアを開ける。
 十右衛門は聞き耳を立て、静寂に満ちたこの建物のどこかで物音がしないかと探る……同じく聞き耳を立てていたピードルは、廊下の奥を指し。
「何か聞こえましたね」
 十右衛門にも聞き取ることの出来た音の方へ向かうと、そこには地下室への階段があった。
 地下室の鍵を開けたのはリズ。更にいくつかの小部屋を開けると、子供たちが三、四人ずつ、小さな部屋を割り当てられて暮らしていた。
「だあれ?」
 急に現れた猟兵らに、きょとん顔の子供達。
 十五までの子供がいるはずだが、彼らの身の丈は一様に小さく細い……栄養状態はやはり悪いようだ。
 それでも生きていたことに安堵して、三名は小部屋を次々に開け、子供たちの人数を数えた。
 グリモア猟兵によると、ここには三十名の子供がいるはず。
 だというのに、何度数えても、子供の数は七名ほど足りていなかった。
「ここにいない子はどうしているか分かりますか?」
「あっち」
 一番年上だろうか、それでも十右衛門の身の丈の半分ほどしかない子供が、ピードルの問いに答えて指をさす。
 その先にあるのはただの土壁――に見えたが、調べてみると隠された扉がある。施錠はされておらず、ドアはたやすく開き、リズは一歩踏み出そうとして、
「わっ……危ない」
 ドアの先は、大穴になっていたので踏みとどまる。
 穴は深く、奥の様子までは分からない……しかし、聞き耳を立てると蠅の羽音が重なって聞こえた。
 蠅は死骸にたかる習性があるが、ということは……リズは目を凝らしていたが、かぶりを振って。
「遺留品の回収も出来ないよ」
 何かを残すことも許されず、子どもたちはここに放り込まれていた。
「今は、生きている者の状態を確認しなくてはのう」
 十右衛門の言葉に、大穴の部屋のドアを閉じて三名は生存者へ向き直る。
 栄養状態の悪さ、怪我や病気がそのままになっているらしいところは屋敷の外の村人と同じだが、若さのお陰か生命が脅かされるほどの子供はいないようだ。
「ここから出ましょう」
「かみさまは、ここにいなさいって言ってた」
 ピードルの誘いは、しかし断られる。
 十六になれば彼らは村人として暮らし、子を成し、子はまた屋敷へ引き取られる……その循環の中にいるのだから、そのための『教育』は十分らしい。
 つまり、彼らを平和的に連れ出すことは難しい、ということだ。
 十右衛門、ピードルの視線を受けたリズはうなずいて、一番年上の子どもへと気絶攻撃。
 倒れ込む子を見ても他の子どもたちが動じないのは、そうして倒れ、穴の中へ消えた子たちを知っているからなのだろうか……湧き起こる気持ちを抑えて、十右衛門はその子を担ぎ上げる。
 男の子だというのに筋肉の薄い、頼りない体。
 軽々と担ぎ上げて、十右衛門は晴久の元へと急ぐ。
「システム外部起動申請、承認、展開 Re-A一緒に行こ!」
 リズの起動したシステムによる行動範囲は144メートル。
 ピードルは大きな音を立てて見張りをおびき寄せ、十右衛門の行動を悟らせないよう協力した。
 二人の時間稼ぎによって、無事に十右衛門は晴久の元へ子を届け、治療を受けさせることが出来た。
 ピードルとリズにおびき出された見張りは二人。
 見張りが一人死亡したというのに見張りや警戒の人数が増えていないのは、村人の数が少ないからであり、そうして命落とすことが日常的なことだからなのだろう。
「光と音のハーモニーをたっぷり味わいなよ! サウンドエフェクトアタック」
 ピードルがスピーカーから光と音を溢れさせると、見張りは面食らった表情で転倒。
 どこかぶつけたのか立ち上がれずもがく彼らの隙をついて、リズは走り出す。
「逃げ足には自信あるんだっ」
 Re-Aのお陰で、ピードルとリズは無事に屋敷を脱出することが出来た。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『反逆者の手引き』

POW   :    護衛として付く、見回りをする。

SPD   :    馬車を改造する、人々を運ぶ。

WIZ   :    安全な新天地を探す、人々を宥める。

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


村人たちの致命的な状況は免れた。
 しかし、彼らはいまだ信仰を捨てず、猟兵たちの提示した逃走の道筋を拒絶した。
 この村にいる限り、彼らの命は永くはない。
 彼らの命を永らえ、オブリビオンの支配から脱出させるには、彼らの腕を引いて村を出る必要があるだろう。
 ――たとえ、それが彼らの恨みを買う行いだとしても。
セツナ・アネモネ
【SPD】

なんだか説得って場合でもなくなってきたかな、これは。
荒療治になるかもしれないけど……無理矢理にでもこの村から引き離して、それから話をした方がいいのかも。

真の姿……ヴァンパイアとしての姿を解放した上で、何人かを抱えて一気に山越え……かな。
普通に行くよりは何倍も早く街に着けるはず。

説得に成功した人が居れば良いんだけど。そうじゃないなら……【吸血】でもして動けないようにするしかないかな。

……村人の体力が持つかは、人の気力と生命力を信じるしかないね。
恨みも生きる理由にはなる、必要ならアタシを恨んで命を繋いでもらう……!



説得をする猶予は残されていないということを、セツナは悟る。
(「荒療治になるかもしれないけど……無理矢理にでもこの村から引き離して、それから話をした方がいいのかも」)
 優先すべきは説得ではなく、この村からの脱出。
 そう判断したセツナはヴァンパイアとしての真の姿を解放し、強引に彼らをまとめて掴み上げる。
「な、なにをするの!?」
「離してくれ、村に戻してくれ!」
 口々に上がる悲鳴、セツナから逃れようと弱々しくも振り上げられる拳。
 そのすべてを無視して、セツナは村を飛び出す。
「やめろ、くそっ、化け物め!」
 彼らは暴れ出し、体力を消耗していく。
 このままでは、また――そんな予感がよぎって、セツナは彼らの血を吸う。
「あ……」
 彼らの体温が下がる。唇が青ざめる。
 死に追いやるほどの吸血はせず、失血のショックによる失神を狙っての吸血だ。
「ゆる、さない……うらんでやる……」
「死ぬまでお前の顔を、忘れない……」
「……お前の故郷も奪ってやる……!」
 怨嗟の声も、気絶により途切れた。
 故郷なんて、その記憶なんてないと伝える間もなく意識を失った彼らと共に、セツナは一気に山を越える。
 意識がないなら体力の消耗は最低限で済む。生き延びられるかは彼らの気力と生命力次第だが、それは信じるしかないこと。
 恨みも生きる理由になるのであれば、それでいい。
 生きていてほしい――願いを込めて、セツナは山を飛び越える。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミルフィ・リンドブラッド
【朧月】で月乃のお仕事を手伝ってやるです
ダークセイヴァーでは良くあるお話ではあるです。ひとまずは村人たちを安全な場所に連れていってから説得すればいいです。逃げられれば十分に時間はあるので急ぐ必要はねぇです。とりあえず村の馬車を盗って安全な町まで逃げるです

まず農産物を出荷する荷馬車を確保するです。馬車を確保したら半ば無理やり村人をさらって馬車に積めるだけ積み込んでいくです。フィーには『怪力』があるので多少暴れられても問題はねぇぞです。馬はいるかわからねぇ上に騎乗の経験はフィーにはねぇので馬車は【終焉の悪魔】をつかって速そうで頑丈な悪魔を召喚して牽引させるです

馬車を襲撃された時は『かばう』のです


シエラ・アルバスティ
【朧月】
【SPD】

「ふふふ…つきのん(月乃)、苦戦してるようだね? ここはシエラ店長に任せたまへ!」

まず【風の声】を使い子供や周囲環境から情報を得て洗脳のギミックを把握
【勇者召喚】で治療出来る者を召喚出来るかも?(子供達の記憶から読みとった領主を召喚する事も含めて)
領主の言葉の引き金や使える力次第では洗脳解ける可能性高く無いかな?

それとは別に子供たちを運ぶための巨大な白い狼は召喚するよ!

子供たちは野菜は受け取った事があるみたいだね
『猟兵バッグ』からブロッコリーを取り出してミルクとじゃがいもも勧めてみよう
加工されて無い方が逆に怪しまれないかも

みぃちゃんやフィーちゃんとも話して明るい雰囲気にしよ!


麗明・月乃
【朧月】で参加。
…私一人ではどうしようもないのは認めよう。
矜持は捨て置く。
今は…一人でも多く、救いを。

シエラに巨大な狼を作ってもらい、フィーを手伝って村人を出来るだけ乗せる。馬車があればそちらにも。
「フィー、シエラ、みぃ。すまぬ。…恩に着る」
…無力感は後でいくらでも抱けば良い。

『誘惑』するように流し目を送り『全力魔法』で魅了『属性攻撃』の【妖誘恋慕】を運んだ村人達へ。
以降1時間毎にかけ直す。
「長い間、ろくに外に出ておらぬじゃろう?食事については何も言わぬが、たまには気分転換しておくれ」
『野生の勘』で帰ろうとする人を察して押し止める。
「死ぬつもりかえ。待て」
負傷した人は随時【こけヒール】で回復。


神月・瑞姫
【朧月】

月乃おねーちゃん…お師匠さまからの助けて伝書鶏を受けて助けにきたの
お師匠さま、洗脳が解けなくてしょげてるの
みぃ、何かできないかな

…逃げるにしても安全な道…調べるのは大事だよね

【月影分身の術】で2人になって
本体先行
分身はお師匠さまの所に残す
分身は五感共有してるから…離れてても連絡できるの

お師匠さまやみんなが安全に…死んじゃう人がでないように進める道を
探して探して走りまわるの
【フォックスファイア】の狐火を滞空させ夜闇でも明かりを確保

時には【浮月】で空から探査
時には【秘術 月落とし】で隕石を落とし
危険な地形を破壊
平地に変えて安全なルートを確保する

邪魔な山ごとどかーん…みぃの力で、できるかな…



「ふふふ……つきのん、苦戦してるようだね? ここはシエラ店長に任せたまへ!」
 ダークセイヴァーにおいて月乃が苦労しているようだという情報を聞きつけたシエラ・アルバスティ(自由に生きる疾風の白き人狼・f10505)が行うのは、風の声を使うこと。
 これで周囲の情報が分かれば、オブリビオンがどのようにして洗脳したかを理解することが出来る……目を閉じて耳を傾けるシエラと共に姿を見せたミルフィ・リンドブラッド(ちみっこい力持ち・f07740)は、月乃へ声をかける。
「ダークセイヴァーでは良くあるお話ではあるです」
 ひとまずは安全な場所へ連れて行ってから説得をするべきだとミルフィ。
 時間的な余裕はあるのだから、と言いつつミルフィは村にある馬車を物色する。
 そうして手伝いに来てくれた朧月の仲間たちへ視線をやってから、月乃は小さく拳を握る。
(「……私一人ではどうしようもないのは認めよう」)
 一人でも多く、救いをもたらすために。
 今は矜持は捨て置かねばならないのだ。
「フィー、シエラ、みぃ。すまぬ。……恩に着る」
 ――絞りだすように言う月乃の様子に、神月・瑞姫(神月の狐巫女・f06739)は考える。
(「みぃ、何かできないかな」)
 シエラは彼らを洗脳から解く方法を探り、ミルフィは逃走手段を確保しようとしている。
 月乃も、安全に彼らを馬車へ乗せるために魔法を用いると聞いていた……自分に出来ることをと考えた瑞姫は、分身の術を使う。
「月神様……みぃを増やして」
 分身を村において、本体は外へ。瑞姫は安全な道の確保をすることにしたのだ。
 四方八方を囲む山々はどれも険しく寒々しい。外との交流も断絶して久しいのか、安全な移動は難しいようだった。
 鬱蒼と茂って暗い森にフォックスファイアの狐火を浮かべて明かりを確保。そうして進んでいくと、大木と岩がこの山の行く先を阻んでいることが分かった。
 浮月で空から探査しても、迂回することは難しい……どうしたものかと考えてから、瑞姫は秘術を用いる。
 天から降り注いだものが大木と岩を破壊、平地にまで変えることは出来なかったが山は扁平になり、足元こそ悪いが傾斜を上る苦労は薄れることだろう。
 そこまで終えた瑞姫の本体が村へ戻ると、ミルフィが人々を荷馬車へ積み込んでいるところだった。
 快適さより人数を優先しているから人々はぎゅうぎゅう詰めになっていて、乗り心地は悪そうだ。それでも彼らが逃げ出そうとしないのはそもそも身動きがほぼ取れない状態にまで詰め込まれているからであり、月乃の全力魔法が効いているお陰でもあった。
「長い間、ろくに外に出ておらぬじゃろう? 食事については何も言わぬが、たまには気分転換しておくれ」
 逃げるためだと言えば反発したかもしれない。しかし、『気分転換』……また村に戻ってくるのだと誤解させることで、とりあえず馬車には載ってもらうことが出来た。
 全力魔法で、属性攻撃で。誘惑するような流し目と共に月乃が発動した『妖誘恋慕』がなければ、もっと手ひどい反発があったことだろう。
「一時間ごとに掛け直さなくてはな」
 効果時間を気にするように呟く月乃。
 シエラは勇者として医療者を呼び出し、屋敷にいる子供達の様子を見つつ更に召喚した白い狼に載せていく。
 ……本当であれば領主であるオブリビオンの姿の協力者を召喚したかったのだが、シエラの中で悪のイメージが宿る敵はあまりにも言動が邪悪だったので、それは使わないことにしたのだ。
「この狼、かっこいいよねー!」
 シエラの明るい言葉に、塞ぎ込みそうになる月乃もぎこちなく笑う。
 洗脳を受けた子供たちも少しは明るい気持ちになればいい、そう気を遣いながら、シエラは猟兵バッグから取り出したブロッコリーを差し出す。
「じゃがいもとミルクもあるよ。食べてみない?」
 野菜は食べたことがあるらしい子供達。
 調理した形は知らないものとして断られるかもしれないからとそのままの形で持ってきたのが功を奏したのか、彼らは疑う素振りもなくそれらを口にした。
「よかった、美味しいでしょ!」
「美味しそう……みぃ、羨ましい」
 瑞姫もそう言って、努めて明るい空気の中で荷馬車は動き出す。
 全員を載せることが出来なかったことは心残りだが、まだ村に残る猟兵たちの姿が見えていた。残った人々は、きっと彼らが何とかしてくれる……そう信じて、朧月の四名は村を出た。
 馬も痩せていたので、馬車を引くのはミルフィの呼び出した悪魔だ。お陰で、軽快なスピードで馬車は進んで行った。
 いくら月乃の魅了が効果を出していても、村を出る時には彼らは不安がり、逃げ出そうともした。そこをミルフィは怪力で抑え込み、月乃は不安の気配を野生の勘で感じ取るとその者へもう一度全力魔法。
「死ぬつもりかえ。待て」
 馬車は悪魔の力で猛然と進む……飛び降りれば、脆い彼らの命はない。
 村を離れれば離れるほど、村人たちの中に不安が、動揺が広がり、猟兵らに向ける視線が厳しいものに変わるのが感じられた。
 だとしても、彼らを村から引き離すことは出来たのだ――荒れた道を走る馬車は、止まらずに進んでいく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

リズ・ルシーズ
【何処かにある寂れた診療所】猟兵と連携

【SPD】

いつまでもこんな所にいちゃだめだよ!

馬車で輸送するよ!レプリカクラフトで馬車の荷台を拡張!元よりは人を乗せれるんじゃないかな?優先は拘束した人と弱った人。

時々【空中戦】で飛行して【情報収集】しながら進むよ、必要なら【地形を利用】して休憩しようかな。
調子が悪い人がいたら【医術】で芦屋の手伝い。【礼儀作法】で丁寧に説得や【誘惑】で誘導するよ!もし暴れる人がいたら【だまし討ち】になっても【気絶攻撃】で静かにしてもらうつもり。気絶した人はピードルに任せるよ。拘束用にワイヤーを出して渡すね。

ごめんね、暴れる人にまで優しく出来る程、ボク、人間が出来てないんだ


芦屋・晴久
【WIZ】選択
【何処かにある寂れた診療所】のメンバーと連携が出来ればしていきたいです

後々の事を考えると迅速に話を通じさせないといけませんね。
先ずは飛相天后を使い空中から皆に伝わるように【言いくるめ】て村人達の戻るのを防ぎます。
上から下にというのは無意識でも上下関係を明確にするため、申し訳無いが今回は対等な関係…等言っていられないので。
そしてそれでも聞かない者達、そして足腰の悪い者達は一旦私のUC、【写し世の扉】にて診療所へ送るとしましょう。
何、暴れるようでしたら七星の護符にて縛り上げて放りますよ。
後は他の皆さんのフォローに回ります。
時間との勝負でもあります、効率的に行くとしましょう。


ピードル・ニュービー
【何処かにある寂れた診療所】のメンバーと連携 【SPD】判定

…恨むならボクを恨んでいいよ。

ボクは馬車の輸送の手伝いをしますよ。リズさん(f11009)から気絶した人とワイヤーを渡されると思うから【ロープワーク】で体と足を縛って馬車の荷台の端から載せるよ。拡張された馬車に馬だけだと進めないと思うからユーベルコードからミニボッツを召喚して、3体まで合体して馬車の後ろを押して貰ってボクは馬と一緒に引っ張るよ。


九重・十右衛門
【POW】
【何処かにある寂れた診療所】のメンバーと連携できればします

馬車の護衛に付いて【視力】と【聞き耳】で敵が来ていないか警戒、もし迫って来ていれば手裏剣で馬車を【援護射撃】する。ついでに【コミュ力】で村人の不安を取り除けるように話してみる。



崩落した山へ向けて一台の荷馬車が去り、残された村人たちへとリズは声を上げる。
「いつまでもこんな所にいちゃだめだよ!」
 そう言っても、信仰を捨てない村人らは自ら動こうとはしない……そんな彼らをじれったく思いながら、猟兵たちは彼らを逃がす算段をつける。
 レプリカクラフトによって馬車の荷台を作り上げ、リズは残る村人を全員運べるように準備を始めた。
 そんな中、晴久は空から村人たちを見下ろす。
「ここへ戻っても、あなたたちに未来はありません」
 見下ろしての言葉は、決して対等なものではない。
 見上げながら話を聞く彼らは、嫌でも上下関係を――晴久ら猟兵が上で、自分たちが下だということを意識してしまうことだろう。決して晴久らが彼らを下に見ているわけではなかったが、今回は対等な関係を構築しているほどの猶予などはなかった。
「誰がお前たちを信用できるか!」
 しかし、信仰を捨てない彼らはそれに逆らおうと声を上げ、弱々しいながらも猟兵たちに立ち向かう。
(「仕方ありませんね」)
 晴久はそうして反抗する彼らの目前に扉を作り、診療所へと送り込む……これもまた、村から彼らを逃がすひとつの手段ではあった。
 全員を送り込むような悠長なことは出来ないため、なおも逆らおうとする者は七星の護符で縛り上げた。
 一部は気絶した者もいる。リズは意識を失った彼らとワイヤーをピードルに差し出すと、ピードルはうなずく。
「……恨むならボクを恨んでいいよ」
 呟いて、ピードルは彼らの手足を拘束。
 拘束が完了した者を荷台の端から詰めて載せていき、意識がある者、目立った反抗をしない者も載せていく。
「これで全員のようだな」
 家々を確認して隠れた者がいないか探していた十右衛門はそう言って戻ってきた。今馬車に乗っている全員を村から出せば、本件は成功であると言えるだろう。
「みんな~整列! 目標確認したね、各行動開始!」
 ピードルの召喚した自律式小型ロボと馬が力を合わせることにより、馬車は動き出す。
「大丈夫じゃ、心配することはない」
 十右衛門は彼らの不安を取り除こうと持ち前のコミュ力でそう話しかけるが、目の前で村人を縛り上げる現場を見ているからか、村人の反応は芳しくない。
 空中から周囲を確認するリズが行く先の状況を伝えてくれるから、立ち往生することはなかった。
 晴久が怪我や病気を絶え間なく診察する中、猟兵たちは時に礼儀正しく、時に誘惑を交えて彼らを説得しようとする。
 馬車がどれだけの距離を走ったのかは分からない。進めば進むほどに満ちる不穏な空気は彼らの反抗の心を養うが、そのたびにリズはだまし討ちになってでも気絶させる。
「ごめんね、暴れる人にまで優しく出来る程、ボク、人間が出来てないんだ」
 結局、一人残らず意識を失った。
「追手は来ていないようじゃな」
 聞き耳を立て、目を凝らして村を見つめ続ける十右衛門はそう呟いた。
 村に残された子ども遣い『チャイルドマン』が村人を取り戻そうと追いかけてくる……そんな可能性も想定はしていた。そうなった場合、彼らを守りながら戦うという難しい戦いになることが予想されていたが、どうやら子ども遣い『チャイルドマン』は村を出るつもりはないようだ。
「油断は出来ないがな」
 既に村は影も遠く離れている。
 ここまで来れば追っては来ないのではないかという考えもよぎるが、油断することは出来ない。十右衛門は手裏剣を手に、村のあった方角へと視線を送り続けていた。
 追手の他の妨害……野盗や獣の姿はない。野で生き延びることも難しいほどに、一帯の大地はやせ細っていたのだ。
 休憩を挟むことも考えていたが、休憩中に彼らが意識を取り戻せば、また失神させる必要が出てくるかもしれない。
 そうなれば、度重なる失神に今度こそ命を落とす者が出る可能性もある……それを考慮して、猟兵たちは休憩を取らずに進んだ。
 全員が意識を失い、猟兵たちも言葉を交わすことなく、警戒による張り詰めた空気が辺りに満ちていた。
 ――馬車は静かに、山の向こうへ消えていく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『子ども遣い『チャイルドマン』』

POW   :    理不尽な言いつけ
【攻撃】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD   :    財産喰らい
自身の身体部位ひとつを【対象の親もしくは同じくらい信頼している人】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    操り人形
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【一時的に幼い頃の姿】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はステラ・リトルライトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


何かの邪魔が入ったことを悟りながら、子ども遣い『チャイルドマン』は何もしなかった。
「せっかく作った村なのに、ひどいことをする」
 溜息と共に、手元の人形を弄ぶ子ども遣い『チャイルドマン』。
「仕方ないです、邪魔な猟兵を片付けたら、またどこかの村を使ってみましょう」
 人形の体は乾いた音を立てる。
「さて――猟兵たちは戻ってくるでしょうかね?」
 人骨と、遺品の衣類。
 失われた命で作られたからくり人形は、子ども遣い『チャイルドマン』の望むままに踊り続けていた。

 ――屋敷の門の前。
 見張りの骸を顧みることなく、子ども遣い『チャイルドマン』は猟兵を待つ。
芦屋・晴久
【何処かにある寂れた診療所】と連携
可能ならば他の旅団様も援護

さぁ大詰めですよ皆さん、あの手の者を放って置くとまた何処かの村をここと同じく食いつくして行く筈、この場で潰します。

しかし此方の疲弊も少なくなく、あの手の者は自身は中々前線には出てきません。
ならば私の【五行相生】にて足元に舞う砂埃を敵毎氷結させましょう。
拘束時間はそう保ちません、その間に皆さんに村人に施した滋養強壮の漢方を処方し、五封陣で促進させます。
私は恐らくここで力を使い果たすでしょう、その後は後方にて援護致します。
ここまで己の好きに生きた、そのツケが回ってきましたね。


リズ・ルシーズ
何処かにある寂れた診療所の猟兵と連携

【SPD】

子供の姿・・・ね、趣味の悪い人形!

擬似刻印のレーザーの光【属性攻撃】で攻撃するよ!
【迷彩】して【地形の利用】することで、遠距離から【スナイパー】みたいに皆の【援護射撃】をするね。最初の一撃は【先制攻撃】になればいいな

【財産喰らい】の頭部からは【残像】【見切り】と【空中戦】で空に逃げるよう見せかけて【フェイント】を仕掛けてネイルで【だまし討ち】するよ!回復されたくないし【捨て身の一撃】してでも潰したいかな

知らない顔ばかり出してきて!

【アトゼトア】を使って人形をレーザーで焼き払うよ、ちょっと荒いけど許してよね。残った遺留品は村人にきっと渡すから。


ピードル・ニュービー
【何処かにある寂れた診療所】のメンバーと連携

響けボク達の音楽、解き放てボク達の中にある力をそして出来る事なら眠れぬ骸の魂に安息を

使用UC
ウィー・ゴット・ザ・パワー

ユーベルコードで猟兵の皆さんの士気と戦闘力を向上させます。
チャイルドマンが操る操り人形を【誘導弾】と【おびき寄せ】でボク自身が囮となって誘導チャイルドマンから引き離して、
一ヶ所に集めさせます。
誘導し終えたら他の皆さんに合わせてアサルトライフルで【援護射撃】してチャイルドマンの行動を出来る限り阻害します。


九重・十右衛門
【SPD】
【何処かにある寂れた診療所】のメンバーと連携

お前さんの行動の結果じゃ、よく噛み締めるがよいよ。
手裏剣による【2回攻撃】をチャイルドマンの関節部に向けて投げると距離を詰めて【観の目】を発動、チャイルドマンの攻撃を【見切り】、【衝撃波】を伴った【カウンター】を打ち込めるように拳を握る。



――村へと戻ってきた彼らを出迎えるように、子ども遣い『チャイルドマン』は門の前に佇んでいた。
 子ども遣い『チャイルドマン』の手の下で人形はすっくと立ちあがり、猟兵たちを見つめる。
 隣に落ちた骸のことは、子ども遣い『チャイルドマン』も人形も、顧みてはいなかった。
「さぁ大詰めですよ皆さん、あの手の者を放って置くとまた何処かの村をここと同じく食いつくして行く筈」
 晴久は仲間の猟兵へ言い、この場で子ども遣い『チャイルドマン』を潰さなければならないと決意を新たにする。
 猟兵たちの疲弊は否めない上、子ども遣い『チャイルドマン』はなかなか前に出て戦おうとはしない……ならばと、晴久は砂埃を凍結させ時間を稼ぎ、滋養強壮の漢方を処方する。
「金剋木! 五行の理を以て、外なる災い打ち払わん!」
 何度目かになる一之式・八咫五封陣のお陰で、仲間の体は即座に強化を受けた。これならば、疲弊した体であっても戦うことは可能だろう。
 ――だが、晴久は度重なる能力の使用によって体力は限界に近い。ふらつき、倒れ込む晴久の分まで戦わなければならないと十右衛門は手裏剣を投擲する。
「お前さんの行動の結果じゃ、よく噛み締めるがよいよ」
 関節を狙っての手裏剣は二度。
 関節に突き刺さる手裏剣に子ども遣い『チャイルドマン』の動きは鈍くなるが、それでも子ども遣い『チャイルドマン』は一撃を十右衛門へ命中させる。
 威力としては、決して高くはない攻撃。
 その攻撃の真の狙いは、ルールの宣告にある。
「後ろへ下がってはいけない」
 言いながら、後退すれば回避できるようにと攻撃を繰り出す子ども遣い『チャイルドマン』。
 真正面からの攻撃を後退して回避する……回避してしまった十右衛門は全身に痛みを覚える――理不尽な言いつけを破ったダメージを負いながら、十右衛門は拳を突きあげてカウンターを打ち込んだ。
 腹へめり込んだ拳を中心にして生まれる衝撃波が、子ども遣い『チャイルドマン』に襲い掛かる。
 その隙にピードルは音楽を奏で、戦場の士気を上げることに努める。
「響けボク達の音楽、解き放てボク達の中にある力を」
 満ちる調べは、しかし子ども遣い『チャイルドマン』には不快に感じられたようで、子ども遣い『チャイルドマン』は十右衛門からピードルへと狙いを変える。
 すかさず誘導弾を放って攻撃の手をこちらに向けさせながら、ピードルは仲間の猟兵らと距離を取るように駆ける――ある程度の距離を置いたところで、手薄になった子ども遣い『チャイルドマン』へリズの射撃が殺到する。
 迷彩を施し、地形も利用していることから子ども遣い『チャイルドマン』はリズの位置を特定できない。それでも子ども遣い『チャイルドマン』は軌道を読んで、リズがいると予想した方向へと両腕を差し伸べる。
 母親のような、包容力すら感じられる動き――その掌が歪んだかと思えば、誰かの頭部へと変わった。
 頭部にはリズの姿が見えたのだろうか。ニタリと凶悪に唇を歪めると、鋭く生えた歯を打ち鳴らしてリズへと向かって行く。
「知らない顔ばかり出してきて!」
 リズは既存の記憶は削除を受けている。だというのに胸の奥で蠢く感情を振り切るようにリズは残像を残し、空へ逃げる――かと思えばフェイントを仕掛けてだまし討ち。
 戦場には続々と猟兵たちが到着し、それぞれに戦闘の準備を行っている。
 ピードルも人形に捕らわれながらもアサルトライフルから援護射撃をし、彼らの手伝いをしていた。
 だから、リズ自身が、ここにいる仲間たちだけで子ども遣い『チャイルドマン』を撃破しなければいけないわけではない。そう判断して、リズは捨て身の一撃を放つ。
 人形を焼き払うレーザーの光が、戦場を満たした。
 ――光が止んで、目を焼く輝きが薄れて。
 滋養強壮の力を高めた晴久は疲弊から、ピードルと十右衛門は受けたダメージにより、そしてリズも捨て身の一撃に使い果たし。
 続く猟兵へ後を託すようにして、彼らは意識を失った。

苦戦 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

ミルフィ・リンドブラッド
【朧月】あとは黒幕のチャイドルマンをぶっ殺すだけです
子供たちの遺体を人形のように操りやがった報いを受けさせてやるです

【禁忌・血流覚醒】を(フレーバーで)使って本気でいくです
・防御
フィーは皆の盾です。フィーがいる限り月乃やシエラ、瑞姫に手はださせねぇです。『武器受け+怪力+かばう』で武器弾き『オーラ防御』。
攻撃なんてこわくねぇです

・攻撃
瑞姫の作戦の手順通りに「血の弾丸」を放ち『串刺し』にするです
そこに「天竜砕き」を構えフィーの姿を武器の大きさで隠し、そのまま武器で攻撃して相手に防御させたら武器を捨て「クルルん」をガントレットに変え【ただの右ストレート】をフィーの『怪力』に乗せて脇からぶん殴るです


神月・瑞姫
【朧月】

お師匠さま怒ってる…
…だよね
許せないよね

みぃも怒ってる
大好きなお師匠さまを悲しませた

神様いいよね
力を貸して
みぃはお師匠さまの力になりたいの
(【勇気】と【優しさ】を胸に狐面を被り真の姿を現す
青白い九尾のオーラを纏い体も3歳ほど成長
口調と雰囲気が変化する

己が欲望のために命を弄ぶ外道が…
我が裁いてくれよう

盾役のミルフィを先頭に
【巫覡載霊の舞】でシエラと突撃
【鎧無視攻撃】の衝撃波を放つ薙刀の乱舞に血の弾丸、精霊槍
後方から飛来する師匠の四属性魔法
ルールの強要や死者蘇生の術は【破魔月刃】で術をかき消す
我の【破魔】力受けてみよ

乱舞の締めは
ミルフィパンチで打ち上げた所に
【秘術月落とし】で隕石をぶつける


麗明・月乃
【朧月】
この世界はこれが普通なんじゃな。
…ようやく理解した。
人を救う事はこうも難しいものか。

――が、それは何もしない理由にはならん。
「皆に迷惑をかけた。みぃ。すまぬの、不甲斐ない師で」

届かぬ言葉の悲しみを。無力への嘆きを。胸に走る痛みを。…目の前の敵への怒りを。力に。
指輪と自身の『封印を解く』真の姿、同時に『高速詠唱』で【九破天狐の舞】を使用。
指輪を光らせ、舞い、変身する。

「人を騙し子を奪う悪の化身が。叩き潰してくれる」
隊列の後方から皆を援護。『全力魔法』で四『属性攻撃』を奴に叩き込む。
痛みなど大した事はない。私の大切な者はとうに死んだ。
…その子も死んでおる。今を生きる人々を守る枷にはならぬ!


シエラ・アルバスティ
【朧月】
【SPD】

「月乃ちゃんからの迷惑は大歓迎だよ!」

何か今日はヘコみ気味の友達を元気づけよう

「ミルフィ列車作戦だね、無敵!」

ミルフィを先頭に一列になり突進!
私は後ろから精霊槍『シルフィード』で突風の追い風を起こして皆のスピードを上げる
さり気なく『雷刃』で左右からの奇襲に備えるよ


※メイン攻撃方法は瑞姫のプレイング参照
(補足:血の弾丸はミルフィの武器、精霊槍はシエラの武器、四属性魔法は月乃のユーベルコード)

敵が攻撃を仕掛けて来た時
【風の声】で“冷徹無感情”になりながら回避し、カウンターで【風ノ爪痕】を叩き込む

「見誤ったねチャイルドマン? 私に小細工は通じないよ!」

元気に見えて実は怒ってたり!



「皆に迷惑をかけた。みぃ。すまぬの、不甲斐ない師で」
「月乃ちゃんからの迷惑は大歓迎だよ!」
 落ち込みがちな月乃を励ますような明るい言葉を返したのはシエラ。
 村人たちは無事に――彼らの気持ちを無視するなら――山の向こうの町へ送り届けることが出来た。今すべきことは、村に残る子ども遣い『チャイルドマン』を撃破することだ。
「あとは黒幕のチャイドルマンをぶっ殺すだけです」
 殺意を滾らせるミルフィは血流を呼び醒まし、皆の盾として先頭に立つ。
 武器を受ける覚悟は決まっている。怪力も両腕に宿し、かばう準備も万全。
 オーラ防御を纏うミルフィを戦闘に、朧月の四名は敵へと向かう。
「ミルフィ列車作戦だね、無敵!」
 届かぬ言葉の悲しみを。無力への嘆きを。胸に走る痛みを。……目の前の敵への怒りを。
 すべてを力に代えて、月乃は指輪を煌かせて舞い、変身する。
 この世界ではこれが普通だということ、人を救うということはこれほどまでに難しいということ――理解したそれらは、何もせずにいる理由には決してならない。
 月乃の封印が解けると同時に高速詠唱。
「我は偉大なる守護者。怒りは猛き焔に。悲しみは白き凍気に。嘆きは轟く嵐に。痛みは震える大地に。我が全霊を持って愛し子の敵を滅ぼさん」
 凍てつく白い吐息を吐きながらも、焔は怒りを示すかのように荒れ狂う。
(「お師匠さま怒ってる……だよね、許せないよね」)
 怒りに猛りながら、同じくらい深い悲しみに沈む月乃の様子に、瑞姫も怒っている。
「神様いいよね……力を貸して」
 月乃の力になりたいという勇気と優しさを胸に、瑞姫は狐面を被って真の姿に変わっていく。
 九尾のオーラを青白く揺らめかせ、少しだけ大人の姿に変じた瑞姫は、シエラと共に子ども遣い『チャイルドマン』へ突撃。
「己が欲望のために命を弄ぶ外道が……我が裁いてくれよう」
 精霊槍『シルフィード』からシエラが作り出した追い風を背に、神霊体となった月乃はなぎなたから衝撃波を放つ。
 同時にミルフィによって浴びせかけられる血の弾丸が串刺しにしようと疾駆し、精霊槍も突き立てられる。
 先に子ども遣い『チャイルドマン』と戦い、意識を失った猟兵を幼い姿へ貶めて攻撃を仕掛けようとする子ども遣い『チャイルドマン』だが、身を覆うほどの巨大ハンマー『天竜砕き』でミルフィはそれを受け止め、そのまま反撃。
「攻撃なんてこわくねぇです」
 振るわれるハンマーを、子ども遣い『チャイルドマン』は嗤って。
「遅いですよ!」
 子ども遣い『チャイルドマン』はそれを防御する――しかし、それこそがミルフィの狙い。
 武器を捨てたミルフィは銀色のツインテールを揺らして、子ども遣い『チャイルドマン』を脇からぶん殴る。
「えい……です」
 怪力から繰り出される右ストレートは大地を割らんばかりに。
「我の【破魔】力受けてみよ」
 その言葉によって操られている猟兵を解き放ってから瑞姫は告げる。
「空よ、我の命に従え」
 瑞姫の言葉に、大気が揺らいで星が落ちる。
 隕石降り注ぐ中子ども遣い『チャイルドマン』は人形を走らせてシエラを攻撃しようとするが、
「──風の声が聴こえる」
 刹那の冷徹無感情を得たシエラはそれを容易に回避し、風ノ爪痕を叩きつける。
「見誤ったねチャイルドマン? 私に小細工は通じないよ!」
 元気いっぱいの明るい声は、いつも通り。
 しかしその後ろに怒りが秘められていた。
 そうして仲間たちが戦う中、月乃は絶え間なく全力魔法を発動、四つの属性攻撃を休むことなく与え続ける。
 酷使した体が軋み、痛みに全身が悲鳴を上げるのが分かる。
 しかしその程度、月乃にはどうということはなかった――大切な者は、とうに死んだのだから。
 人形は哀れを誘おうとばかりに月乃の前に立つ。手を伸ばせば、きっと手ひどく攻撃をしてくる腹積もりだろう。
「今を生きる人々を守る枷にはならぬ!」
 叫びと共に、人形の骨格を成す人骨は砕け散った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セツナ・アネモネ
【POW】
ようやく姿を見せたね、オブリビオン。

この村の人の分まで……いや、それは驕りか。アタシが気に食わないから殴る。
……うん、これでいい。

引き続き真の姿を解放、更にユーベルコード「血統覚醒」、【二回攻撃】を使って一気に攻めるよ。
アタシには今しかない、だからこそこの一撃に全てを籠めて戦う。

反撃は【武器受け】でなんとか受け流して、次に繋ぐ!
アタシがダンピールで、本当に神殺しの力があるっていうなら……アンタだって殺せる!



「ようやく姿を見せたね、オブリビオン」
 静かに、しかし殺意を秘めてセツナは子ども遣い『チャイルドマン』と相対する。
「この村の人の分まで……」
 言いかけて、違う、とセツナは声を途切れさせる。
 村人の分まで、村人のためにという気持ちは驕りでしかない。
「アタシが気に食わないから殴る」
 そう、これでいい。
 ……既に何名かの猟兵と交戦した後なのか、子ども遣い『チャイルドマン』の体にはダメージの痕跡が見える。
 真の姿で敵と相対するセツナの瞳は赤く変化し、瞬時に距離を詰めたセツナは超重なる連撃を叩き込んだ。
 子ども遣い『チャイルドマン』は理不尽な言葉を紡ぐための攻撃を向けるが、機関銃S&Aで受け流して、無理な姿勢からであっても反撃に打って出る。
(「アタシがダンピールで、本当に神殺しの力があるっていうなら……」)
 金の瞳が、子ども遣い『チャイルドマン』を灼く。
「……アンタだって殺せる!」
 削り取られた命の分だけ鋭さを増して、敵の腹には大穴が空いた。
 崩れ落ちる子ども遣い『チャイルドマン』の肉体は、そのまま砂塵へ帰る。
 村人を喪った村は、間もなく黄昏を迎えようとしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月06日


挿絵イラスト