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星食のダイヤモンド

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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●Eclipse
 金剛石や、草の露。
 あらゆる立派さをあつめたような、きらびやかな銀河の河床の如く。
 夜色に燐光の満ちる天地。
 ぱちん。
 泡沫の弾ける音を立てて星彩が爆ぜ、星屑がきらきら零れ落ちた。
 ぱちん。
 またひとつ、光が落ちる。
 ぱちん、ぱちん、ぱちん。
 星が落ちども、夜が明ける事は無く。
 幽闇に揺れる天は、闇を深めるばかり。
 ここは、星封じの迷宮。
 明ける事無き、常夜の迷宮。
 ぱちん、ぱちん。
 光褪せる事の無い筈の星々は、またひとつ、またひとつ。
 弾けて消え往く。

●Release
「君、夜は好きかい?」
 ケビ・ピオシュ(テレビウムのUDCメカニック・f00041)は、小さく首を傾げて猟兵を見上げ。
「いいや、いいや。今日皆に向かってもらおうと思っている地下迷宮は、まるで星月夜の様な場所なのだよ」
 『星封じの迷宮』は、夜闇に満たされた昏い迷宮。
 しかし、そこは昏いばかりでは無い。
 この迷宮に眠る強力な『災魔』を封印する為に施された魔法が、常にきらきらと星の如く灯っているそうなのだ。
「しかしね、今回眠っていた災魔……、オブリビオンが目覚める予知が見えてねぇ。その影響で封印が弱まってしまった様なのさ」
 肩を竦めたケビはモニタに映った瞳をぱちぱちと瞬きさせて、星を模したランプを掲げた。
「そういう訳で君達にはオブリビオンの再封印の為に、迷宮への魔力補填をお願いしたいのだよ」
 言葉を重ねながらケビが掌に力を籠めると星のランプに、碧の明かりが仄かに灯った。
「これは『灯火のランプ』と言って、持っている者の力をこの迷宮専用の魔力に変換してくれるランプでねえ」
 星封じの迷宮に満たされた星々は、魔力で輝いている。
 このランプを手に迷宮を歩き回って貰えれば、ランプが猟兵達の力を魔力に変換して封印の力を高めてくれる筈だ、とケビは言う。
「きらきらと周りの壁や天井に光が生まれて、それは綺麗でね。アルダワ魔法学園の学生達にも人気のデートスポットのようだよ」
 ――しかし、それは封印が解ける心配が無い時の話である。
 猟兵にランプを託すと、ケビは帽子をきゅっと被り直して。
「……ああ、もし、もしも。封印が解けてしまってオブリビオンが現れた場合は、ぜひ君達で倒してきて欲しい。それは――学生たちには、すこうし荷が重いだろうからね」
 頼んだよ、とケビは小さくお辞儀をして。ぴかりとグリモアを輝かせた。


絲上ゆいこ
 こんにちは、絲上ゆいこ(しじょう・-)です。
 歩く度に星の生まれる迷宮へ、お散歩に行きませんか?

●星巡りと宝石人形
 沢山同じ雰囲気のシナリオが出ていると思いますが、
 此方は星巡りと宝石人形のフラグメントの雰囲気で合わせたシナリオです。
 事件が起きている時刻や日時は別々という扱いなので、ご参加は各シナリオご自由にどうぞ!

●一章で出来る事
 『灯火のランプ』を手に。星明かりの少ない夜道のような迷宮を散策していただきます。
 (今の所)危険はありません。
 猟兵の力の色を宿したランプが周りの封印に魔力を与えて、歩く度に周りに星が生まれる事でしょう。

 夜空を散歩するようなイメージです。
 プレイングではお散歩方法、及び、猟兵さんの力の色を教えてくださると幸いです。

●迷子防止のおまじない
 ・冒頭に「お相手のキャラクター名(または愛称)とID」または「共通のグループ名」の明記をお願いします。
 ・グループ名等は文字数が苦しい場合、無理に括弧で囲わなくても大丈夫ですよ!

 それでは、皆様のステキなプレイングをおまちしておりまーす!
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第1章 冒険 『星巡りの夜道』

POW   :    星明かりの導きに誘われて、まっすぐに歩む。

SPD   :    星の瞬きを見落とさぬように、前を見据えて歩む。

WIZ   :    星の位置を確かめて、行く先を定めて歩む。

イラスト:葎

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ソラスティベル・グラスラン
はて…『星封じの迷宮』と聞く割りには、暗く、少し寂しい場所ですね?
人気のスポットだと聞いて期待していたのですが…う~ん

けれど『灯火のランプ』を手に一歩踏み出すと
暁の空のような橙と青空色の星々が生まれて、どんどん湧き起つ期待と興奮!
わあぁ……とっても綺麗です!
これが『星封じの迷宮』、これがわたしの魔力の色なのですね!

橙は黄昏竜の一族の誇り、青空はわたしの好きな色!
広がる星々を追いかけて、つい駆け出して
星々の広がりはさらに加速する!

この星々の灯りが封印になるんですよねっ!
ふふふ、迷宮中を歩き回りたくなってきました!
わたしの星で、この夜空を彩り尽くしましょう!!



●暁の空
 迷宮の入り口から、中を覗く。
「……はて?」
 暗夜の中にちらほらと瞬く星あかり。
 暁空と青空が入り混じっては、色をちらちらと変える星ランプを手に。
 ソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)は遠くを見渡すように額に掌を添えて、迷宮の奥へと目を凝らした。
「聞いていたよりは、随分寂しい場所ですね……?」
 確かにちらほらと煌めく様々な色の星々は、綺麗だと言えない事も無かったが……。
 観光地とは得てしてそういうものなのかもしれないけれど。
 アルダワ魔法学園の学生達にも人気スポットだと聞いて、少し期待をしすぎてしまったのかもしれない。
 それはそれで、仕方ないものだ。
 肩を竦めた空スティベルが、龍の羽を畳んで迷宮へと一歩足を踏み出した瞬間。
 朧げであった空に、ぱっと燐光が散った。
「わ……っ?」
 驚いたソラスティベルは、ランプを高く掲げて上を見上げる。
 一歩、星屑が散って地へと光が灯り。
 二歩、天にいくつもの明星が生まれる。
「わぁあ……!」
 彼女の足取りに合わせて、暁空と星空の星々が、地に、天に宿り華咲いてゆく。
 思わず羽を大きく開いて風を斬るように駆け出したソラスティベルは、大きく跳ねて、飛んで。
 そう思えば遠く瞬くあの星々のような灯火、一つ一つが誰かの魔力なのであろう。
「とっても、とっても綺麗です!」
 橙――黄昏竜一族の誇り。
 空――ソラスティベルの大好きな色。
 くるくると回って、跳ねて、竜の尾を遊ばせながらソラスティベルは奥へ、奥へ。
 どんどん生まれる彼女の力の色。――一族の誇りと彼女の大好きな色の星々!
「この星々の灯りが、封印になるんですよね?」
 星ランプがちらちらと燐光を宿して、ソラスティベルの魔力を飲み込んで星が咲き誇る。
 歩く先々に星が生まれる様は、これまで見てきた星空とはまた違って、綺麗で面白い。
 こんなにステキな光景で、それが皆の役に立つというのならば。
「うふふ、迷宮中を歩き回りたくなってきましたね!」
 やる気も、勇気も、満タン。
 わたしの星で、この夜空を彩り尽くしましょう、なんて。
 昏い夜を燈す新たな橙と空を、天地に彩って。
 ソラスティベルは炎のように髪を踊らせながら、跳ねて、駆ける。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミラリア・レリクストゥラ
…光が…白い、ですね?私の普段使っているランプとは違うのがわかります。

【WIZ】

さて…地下でも明るい、というのは不思議な感じですね。
封印の光で星空のよう、とお聞きしましたけれど。閉じられた空間ですし、外の星空よりも明るいかもしれません…

あら?足元でも光っていらっしゃいますね。星空のようというより、星空の中みたい…ふふ♪
地下なのに、空の彼方なんて。旅をしていても、中々経験できない事。
学生さん達が集まるというのも、頷けますわ。

(壁にランプがこつんと当たり)
あっと!?…迷宮ですものね、ありますわよね、壁。
見とれてばかりじゃなく、役目を果たします。取り落としたりしないで幸いでした…


朧・ユェー
【紅月】

おや?星がとても綺麗ですねぇ
君は星中に咲く紅く輝く美しい華星

星のランプですか
七結ちゃんの灯火はキラキラと美しいねぇ
僕かい?今は白く淡く灯されているね
ふふっ、僕は相手次第で変わるから今は穏やかな気持ちなのかな?
さぁ、行こうか?
そっと手を差し出し彼女を誘う

吸い込まれそうな夜の色
迷子にならない様にこのまま誰かに君を連れていかれないように
それとも僕が何処かへ攫おうかな?
楽しそうに笑る彼女にこちらもふふっと笑う

僕は月、星にはなれないけど月明かりで君を照らそう
おや?僕も照らしてくれるのかい?
君なら心強いねぇ
でも『誓い』という光は永遠に
何処までもいつまでも傍らに


蘭・七結
【紅月】

手にした灯火は、深いあかに染まり
ユェーさんの灯火は淡い白色なのね
心温まるような、不思議な色合いだわ
差し出された手を取って、奥へ奥へ

歩を刻む度に、新たな星の息吹を感じるわ
幻想的で、なんてうつくしい光景でしょう
このお星さまたちには名前があるのかしら

まあ、常夜の果てから連れ出して下さるのかしら
攫われた先には、何処へとたどり着くのでしょう
……なんて。ちょっぴり心が踊ってしまったわ

常夜を照らすあかいお月さま
お月さまは、太陽の光を見映すとお聞きしたわ
あなたはきっと行き先を照らしてくださるでしょう
ナユだけが護られるだけでは、ダメよ
あなたのことも、ナユに護らせてちょうだいね
『誓い』をここに刻みましょう



●暗香に揺蕩う
 蘭・七結(戀紅・f00421)の手にした星の灯火は、深い深いあかに燃え。
 灰白の髪に宿る牡丹が、光に照らされて彩めいている。
「七結ちゃんの灯火はキラキラと美しいねぇ」
 そんな彼女の様子に淡い雪白の灯を手にした朧・ユェー(零月ノ鬼・f06712)が、唇だけで閑雅に笑い。
「まあ、ありがとう。ユェーさんの灯火はなんだか、心温まるような不思議な色合いね」
「ふふっ、僕は相手次第で変わるから今は穏やかな気持ちなのかも」
 七結の言葉に小さく首を傾げて応じたユェーは、そっと掌を差し出して。
「どうやら行く道は暗そうだからね、気をつけて。さぁ、行こうか?」
「そうね、行きましょう」
 ふうわりと髪を揺らして差し出された手を取った七結。
 二人は並んで、朧に星彩浮かぶ迷宮の夜陰へと歩み行く。

 スピネルの身体に、天地に灯った星灯を照り返して。
 ミラリア・レリクストゥラ(目覚めの唄の尖晶石・f21929)は、淡く白に灯るランプを手に天を見上げた。
「それにしても、地下でも明るい、というのは不思議な感じですね……」
 彼女が歩くと生まれる白の燐光が、地へと天へと灯って星彩が生まれ行く。
 この星灯りのような光一つ一つが、魔力の灯った封印の光なのだろう。
「外の星空よりも、ずっと明るいかもしれませんね」
 学生たちよりも、猟兵はずっとずっと力が強い。
 故に猟兵達が歩き回ると、元の星々よりも一際強く輝く星や、沢山の星が生まれやすいようであった。
 それに天地に生まれる光は、星空の中を散歩しているようにも思え。
 地下なのに、空の彼方のようで。
 ミラリアはくすくすと笑った。
 そもそも、どの世界に行ったとしても。
 星空の中を歩むなんて経験、なかなか出来るものではない。
「……学生さん達が集まるというのも、頷けるお話です」
 と彼女が囁いた、その瞬間。
「あ、……っとっ?」
 こつん、と星ランプが何かに当たって、ミラリアはぴゃっと肩を跳ねた。
 ――そう。
 どれだけ広い空間に見えようとも、ここは地下迷宮。
 天井があって、床もあれば、もちろん壁だって張り巡らされている。
 暗くて視認性も悪い、よくよく考えれば散策しづらい迷宮とも言えよう。
「……見とれてばかりじゃなく、役目を果たします!」
 ランプの持ち手をぎゅっと握り直したミラリアは、ふるふると頭を振って。
 しっかりと心の手綱を引き絞りなおし。
 前を見据えながら赤いス
ピネルの身体を白い光に瞬かせて、ミラリアは星灯の迷宮をしっかりと歩んで行く。
 赤と白、歩みに合わせて散る燐光は明星と成って、二人の歩みと天地を彩って。
「……幻想的で、ほんとうにうつくしい光景だわ」
 このお星さまたちには名前があるのかしら?
 無いのならば、つけてあげたほうが良いかしら、なんて。
 夜色に、歩む七結とユェーは星に飲み込まれないように慎重に歩む。
「本当に、吸い込まれてしまいそうな夜の色だねぇ。……こんなに昏い夜ならば、夜に迷わない様にしなければね、キミが誰かに連れて行かれたら事だもの」
 ――それとも僕が何処かへ攫おうかな?
 冗談めかして笑ったユェーが、雪白の明かりを揺らす。
「……まあ、常夜の果てから連れ出して下さるのかしら?」
 なんて、応えた七結は擽ったげに笑って。
 攫われた先には、何処へとたどり着くのでしょう……なんて。甘い言葉には少しばかり、心が踊ってしまうものだ。
 ユェーは淡白の燐光を跳ねさせて、肩を竦め。
「そうだね、――僕は月、星にはなれないけど月明かりで君を照らそうか」
 そんなユェーの表情を、掲げた深い赤色で照らした七結は瞬き一つ。
「……そう、常夜を照らすあかいお月さま。お月さまは、太陽の光を見映すとお聞きしたわ」
 あなたはきっと行き先を照らしてくださるでしょう?
 ならば、と赤の双眸を薄めて七結は言葉を重ね。
「――ナユだけが護られるだけでは、ダメよ。あなたのことも、ナユに護らせてちょうだいね?」
「おや。僕も照らしてくれるのかい? ――君が照らしてくれるというのなら、これほど心強い事もないねぇ」
 またたく星灯りの元。
 七結は星に誓う、星に刻む。
 その光はきっと絶える事無く、傍らで輝き続ける光なのだろうから。
 二人の歩む先に、星は生まれる。
 それは、ちかちかちらちらと瞬いて。
 天地に刻み込まれる、道標のようにも見えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

旭・まどか
おや、随分と暗い、暗い
歩き回る事で灯りを集めようだなんて、面倒だね
お前たちに任せたい所だけれど、その四つ足では無理かな?

手下の灰狼の背に乗せる事も考えたけれど
たまには自分の足で歩くのも悪くない

――何、その顔。気に入らない

上機嫌に揺れる尾をじ、っと見つめて、すぐに、逸らす
時折ランプに照らされた横顔を盗み見れば
夜を混ぜた八重の色が、瞬いて見えた

驚いた。お前はそんなに星が好きだった?

また知らないお前の一面を見られたような気がして
それならこの散歩も、悪くは無いのかもしれない、なんて

決して口には出さないけれど、
静かに重なる足音に耳を傾けながら、進む

お前と共に、この星空を



●八重色の光と
「おや、随分と暗い、暗い」
 灰狼と共に迷宮を歩みだした旭・まどか(MementoMori・f18469)は、桃色の瞳を眇めて奥を見やるよう。
「――歩き回る事で灯りを集めようだなんて、全く面倒だね」
 その三日月の夜めいた繊細な容姿に似合わず、出てくる言葉は綺麗とは言い難いが。
 灰狼を見下ろす瞳は、消して厳しい色はしていない。
 このランプだってお前達に任せたい所だけれど、その四つ足ではすこし難しいだろうか。
 なんて。
 たまには自分の足で歩くのも、悪くはないもの。
 夜色に照り映える星ランプを伴に、まどかは昏い夜道を歩み出す。
「ふうん」
 暗い世界を照らすランプに彩られて。
 歩みに合わせて昏い天に、宝石の欠片を撒いたかのように光がぴかぴか瞬き出す。
 それを見上げながら、まどかの横を歩む狼も上機嫌に尾を揺らし。
 丸い瞳に夜に溶ける八重色を宿す様は、楽しげに輝いているように見えた。
「……何、その顔。気に入らないね」
 零れる言葉は、悪たれ口。
 また、ふうん、と鼻を小さく鳴らしたまどかは歩み行く。
 本当は少し。
 ああ、驚いたな。
 お前はそんなに星が好きだった?
 はたはたと健気にも尾を振って付いてくるお前の、知らない一面を見たような気がして。
 けして口には出さないけれど。
 お前と共に、この星空を歩めるのならば。――この散歩も、悪くないかもしれない、なんて思ってしまったのだ。
 天に、地に、星を生みながら。歩みに寄せて、煌めく星々。
 星ランプの先導に、
 四つ足のかしかしと地を掻く足音。
 二つ足の静かな足音。
 重なる足音に連なって、音もなく星明かりが生まれ行く。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鞍馬・景正
ワン嬢(f00710)の供として。
洋燈片手に先導いたしましょう。

緩り歩みながら、文目も知れぬ闇に潸々と竜胆色の星が瞬くのを目で追い。

これが私の力の色、ですか。
家紋として受け継ぐ竜胆の花と同じ色と分かると、誇らしく思います。

ワン嬢。ワン嬢の星はどのような色をされていますか?
貴女の瞳と同じ其れは真物の綺羅星にも勝るほど、玲瓏として気品ある輝き。
この景正、心奪われるばかりです。

こう言うとまた困ったり呆れた顔をされるかも知れませんね。
しかしその表情も可憐だと感じるのだから、我ながら面倒な相手やも知れません。

ところで。
そろそろほら、二人きりですしほら。
試しに私を一度"兄者"と呼んでいいのですよ。


さあ。


ワン・シャウレン
鞍馬(f02972)と参加。

風情のある場所じゃの。
このような地下迷宮があったとは流石広大多彩よ。
足元に眠っておるものは気になりもするが
ともあれ、楽しみつつ封印から協力させて貰うとしようぞ。

み空色灯すランプを手に気負いなく進み。
お主、本当にどうしてそういう美辞麗句が滑らかに流れるんじゃろうな…
噛み合わぬようでいて、映る色は近しくもあり、か。
なににせよ、真と較ぶを問われるはわしには難問じゃよ。

星明かりに誘われるまま真っすぐ行きそうな鞍馬に基本は任せつつ、
時折、瞬きから道を勧めて

歯の浮く言葉が引っ込んだかと思えば
浮いたまま世迷い出たようじゃの…
何度も言うとるがわし、お主の三倍動いとるからの?



●あにじゃ
 靴音がこつ、と響き渡る暗夜の道。
「全く、風情のある場所じゃのー」
 澄んだ秋の御空の如く、澄んだ青。
 星ランプに明かり灯したワン・シャウレン(潰夢遺夢・f00710)は、生まれゆく星々を見上げてほつりと零した。
 勿論。
 封印されているオブリビオンの事も気になるはするが、これで封印が重ねられると言うのならばなかなか風情のある封印だと言えよう。
 空色の星零すワンを、先導するように歩みながら。
 竜胆色の星を瞬かせたのは鞍馬・景正(天雷无妄・f02972)の姿であった。
 ――その灯火は家紋として受け継いだ、竜胆の花と同じ色。
 その色が自らの力の色だと知れた事は、景正にとって少しだけ誇らしい事でもある。
 ……まあ、それはそうとして。
「――ワン嬢の瞳と同じ其れは真物の綺羅星にも勝るほど、玲瓏として気品ある輝き。この景正、全く心奪われるばかりです。その鮮麗たる空色を潸々と瞬かせるこの迷宮もさぞ誇らしい事でしょうね」
 流れるような耳障りの良い、赫々たる讃辞を景正は口に。
「……お主、本っっ当に、どうしてそういう美辞麗句が滑らかに流れるんじゃろうな……?」
 そして景正の想像通りに、眉を寄せて呆れた表情を浮かべるワン。
 ……そんな表情すら可憐だと感じてしまうのだから、きっとワンにとって景正は面倒な相手なのだろう。
 肩を竦めたワンが冴えた空色をゆらゆら揺らしてから、淡金色を小さく掻き上げて。
「……噛み合わぬようでいて、映る色は近しくもあり、か。なににせよ、真と較ぶを問われるはわしには難問じゃよ」
「ええ、元より擬製たる光。私にはその様に見受けられたと言う事で御座います。――ワン嬢の瞳色の麗しさに心奪われたと言う事だけは真の事実」
 ふ、と閑雅に笑った景正は、そのワンの瞳を覗き込んで。
「……ところで」
 藍色の瞳を、冷ややかに眇めて言葉を紡いだ。
「そろそろほら、二人きりですし、ほら。試しに私を一度『兄者』と呼んでいいのですよ?」
 さあ、さあ。
 誰に対しても物腰低く丁寧な態度、黙っていれば美丈夫。
 口を開くとなんだかとっても残念。
 大きな体の童めいた口調で、景正は黒曜の角を揺らして首を傾ぐ。
「歯の浮く言葉が引っ込んだかと思えば、浮いたまま世迷い出たようじゃの……」
 びっくりするくらい怪訝な表情を浮かべたワンは、涼やかな空色で景正を横目に。
 世迷い言を歯牙にもかけず、ワンは空色の星を天地に纏わせながら。
 まだ昏き道を選び、すっと道を変えた。
「一度だけ、一度だけでも如何ですか!?」
「諄い。何度も言うとるがわし、お主の三倍動いとるからの?」
 空色を追う竜胆色。
 星空の中を歩むように、じゃれ合いながら二人は空を行く。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヨハン・グレイン
オルハさん/f00497 と

迷宮を進むための光というには心許ないと思うんですけどね
まぁ、進めない事もないですし、別にいいですけど

そうして渡されたランプに魔力を注げば、燈る色は藍の色
……いや、これは困る。進みづらいじゃないか
隣を見遣れば星光のような淡い黄色が輝いて
丁度よかったというかなんというか……頼らせてもらいますね

はぐれてもなんですし、手を繋ぎましょうか
危険はないらしいので手が塞がっていても問題ないでしょう

彼女がゆっくり進むなら、合わせるようにゆっくりと
災魔の事が無ければもっとゆっくり出来たかもしれないが
せめて今くらいは景色を楽しんで

煌く星々よりも、楽しむあなたの姿の方が俺には眩しい


オルハ・オランシュ
ヨハン(f05367)と

そう?私は雰囲気あって素敵だと思うけどね!

ランプを持った手に力を籠めるように集中すれば
灯ったのは仄かな黄色
進みやすいかどうかなんて二の次だよ
私はその色好きだなぁ
だってヨハンの瞳と同じ、綺麗な夜空色だもの

うん。このまま進もう
顔を綻ばせてきゅっと握り返した手
てのひら越しの熱はどんな灯火よりもあたたかい

進む足取りはゆっくりと
少しでも長く楽しみたいから、なんて
本音は口にはできないけれど


ヨハン、見て見て!
星が光ってる……ほら、上にも!
不思議だね、手が届きそうなところに星があるなんて
足を止めて周囲の星々に見入ってしまう
君の目にはどう映っているのかな
ちらりと見上げた横顔に、目を細め



●星宿
 昏い天と地に、ちらほらと見える星明かり。
 遠く猟兵達が歩んだ後には、ミルクを流したかのように星が瞬いて天河が揺れている。
「星明かりがあるとは言え迷宮を進むための光というには、割りと心許ないと思うんですけどね……」
 星型の燈――灯火のランプを掲げたヨハン・グレイン(闇揺・f05367)は、藍の瞳を眇めてその小さなランプを見上げて。
「そう? 私は、雰囲気あって素敵だと思うよ。形も可愛いしね」
 先に迷宮に足を踏み入れたオルハ・オランシュ(アトリア・f00497)が、黒い翼を折りたたんで相槌を打つ。
「まぁ、進めない事も無いですし、別にいいですけどね」
「えっと……、力を籠めればいいんだよね」
 ヨハンの悪態はいつもの事。
 あまり気にした様子も無くオルハがランプへとぐっと集中すると、灯ったのは月明かりのような仄かな黄色い光。
「あ、見て見て、ヨハン! 光が灯ったよ!」
「……頼らせてもらいますね」
 怪訝な表情を浮かべて応じたヨハンのランプには、藍色が灯っていた。
 ……いや、これは困る。進みづらいじゃないか。
 やれやれと肩を竦めたヨハンは、仕方がないと頭を振る。
「全く、周りを照らすつもりの無い色が灯ったものですね。……まぁ、行きましょうか」
「うん、行こう!」
 はぐれてもなんですし、と。
 差し出された手に、へにゃっと微笑んだオルハはその手をきゅっと握り返して。
 昏い道を仄かに照らし、二人は歩みだす。
「……でも私は、その色好きだよ。だってヨハンの瞳と同じ、綺麗な夜空色だもの」
 進みやすいかどうかなんて二の次だよ、とオルハが言葉を重ね。
「はぁ……、そうですか」
 いつものヨハンの気のない返事。
 道を歩きづらくとも、彼女が喜んでいるならまあ良いか、と。……ヨハンは口にはしないけれど。
 二人歩む内にランプに星屑が瞬いて、溢れて零れ落ちるように星が生まれだし。
 光が天にも地にも、満ち満ちる。
「わっ、ヨハン、見て見て! すごい、すごい、星が生まれて光ってる。……ほら、上にも!」
 生まれたばかりの藍と黄の星に、オルハは碧色の瞳をぴかぴかと瞬かせ。
「すごいね、不思議だね! 手が届きそうな所に星があるなんて!」
 ほう、と吐息を零してオルハは足を止めた。
 それは満天の星空、なんてものじゃない。
 天にも、地にも、壁にだって。
 星月夜のように光が瞬く、どこまでも広がる星空の中に二人立っているようで。
 ねえ、君の目にはどんな風に映っているのかな。
 オルハがちらりと、ヨハンの表情を窺うように見上げた、その瞬間。
 ヨハンとオルハは視線を交わす事となってしまう。
 ――なんたって、ヨハンもオルハを見ていたもので。
 煌く星々よりも楽しむオルハの姿の方が、ヨハンにはずっと眩しかったのだ。
「……い、行こっかヨハン!」
 慌てたように獣の耳をぴんと立てたオルハが、昏い道を慎重にゆっくりゆっくり歩き出す。
 ――それはこの時間を少しでも長く楽しみたいから、なんてオルハは口にはしないけれど。
 繋いだ指先が、暖かくて嬉しくなってしまう。
「ええ、行きましょうか」
 彼女の歩みが緩やかならば、ヨハンもその歩みに合わせて歩く。
 ――この眩い光景は、所詮は災魔の封印だ。
 それでも、彼女がこの光景を美しいと思って楽しむのならば。
 せめて今くらいは、景色を楽しんで歩こう。
 星を生みながら、二人はゆっくりと昏い道を進む。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミリィ・マルガリテス
まあ、わたしもお星様になれるのかしら?
素敵、エトワールね!

そんな風に少女が内緒話をするように
くすくす笑いを零しながら逍遥を
ふわふわ、くるり
光が溢れる様子を楽しみながら
時々、バレエをするようにターンをして

ね、この中をデートするのでしょう?
恋ってどんな気持ちになるのかしら、
ロマンティックな薔薇色かしら
この景色みたいにキラキラしているのかしら

わたしの光の色は淡いピンク色なのね
ふふ、亡き父がくれた愛の欠片みたい
愛おしくて、キラキラしていて、目に見えなくても
いつも見守ってくれているのよ
だから、このセカイで笑えるの

その星が墜えたらーー景色が消えたらミリィもとても悲しいわ
だから護るわ、誰かの心を照らす輝きを



●戀し
「まあ、わたしもお星様になれるのかしら?」
 素敵、素敵、エトワールね!
 ミリィ・マルガリテス(静謐の籠・f05912)は星のランプを手に、舞うような足取り。
 ひみつのお話をする少女のようにくすくす笑って、星月夜の道の逍遥を。
 ランプに宿った甘く淡い桃色は、ミリィの父がくれた愛の欠片のよう。
 愛おしくて、キラキラしていて。
 目に見えなくても、いつも見守ってくれている。
 甘い甘い、淡い綺麗な色。
 今はもう、いなくなってしまったけれど。
 その色は、いつまでも褪せはしない。
 ねえ、きっとこの道を沢山の恋人たちが歩いたのね。
 くる、くる、ふわ、ふわ。
 星屑を伴にあまいお菓子を前にした見たいに、楽しげな笑顔。
 とん、と地を蹴ると、淡い桃色が星と成って地にざあっと広がる。
 ぴかぴか、きらきら、瞬く星々。
 猟兵の力は学生に比べてずっと強い。
 だからこそ、星を生む量もとても多い。
「恋って、どんな気持ちになるのかしら?」
 ロマンティックな薔薇色かしら、この景色みたいにキラキラしているのかしら。
 それとも、この景色が霞んじゃうくらい、ピカピカなのかしら!
 きっと、幸せなのね。
 目に見えなくても、見守ってくれる父がいるからミリィは笑える。
 あの優しい指先を覚えているから、ミリィはこのセカイで笑う事ができる。
 とん、と踏み込むと空中をくるりと跳ねて回って。
 きっと恋はそれと同じくらい幸せなモノなのだろうと、ミリィは夢想する。
 流れる銀色を、星明かりに照らしてミリィは笑う。
 ――その星が墜えたら。
 景色が消えたら、ミリィもとても悲しいと思うのだ。
「……だから、護るわ、誰かの心を照らす輝きを」
 ゆれる、揺れる。星あかりのランプ。
 生まれる星明かりは、淡い桃色。
 行く先を照らして、輝いて。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ハーバニー・キーテセラ
ホップ、ステップ、足取り軽やかにぃ
灯火のランプから常夜へとぉ、蒼の星明りをお裾分けぇ~

1歩踏み出す度にぃ、きらきらとぉ~
ふふふ~、面白い仕掛けですよねぇ
私の歩いた道がぁ、星を生んでぇ、夜空にとなってぇ、まるでぇ、星々を先導しているかのようですぅ
これはぁ、星々の案内人を名乗ってもぉ?

なんてぇ、冗談交じりに迷宮のあちらこちらへとぉ、ぴょんこぴょんこと跳ねるように散策ぅ
一頻り回ればぁ、最後には足を止めてぇ、満足気に歩んできた道と灯りの生み出す風景を眺めますよぅ

私の歩んできた道もぉ、歩んでいく未来もぉ、こんな風に輝かせていきたいものですねぇ~

ひとまず今はぁ、目の前の光景を心に焼き付けておきましょ~


リンセ・ノーチェ
UC夜鷹、ペットのForte、ロッドの月虹の精を肩に星眺め散歩
光:そっと草原に掛かる控えめな虹色

「綺麗だね」
友達の毛並や光も楽しみ星を眺め
…いつも一緒の二人はいない
少し前に戻ったみたい
「…月虹さんは知ってるけど
フォルテと夜鷹に言ってなかったねぇ

あの娘のこと好きだった」
鈴鳴りの声
金糸の猫髪
青い空の瞳
僕をからかっては笑って冗談よ、好きよって
でも嘘で偽物だった
「はぁ」
悲しいは既にやりつくしちゃって
ぽっかり力が抜けた感

「二人、お似合いだと思うんだ」
今頃逢ってたり…?
ひとの事なのにどきどきする
「そしたら僕はどうしようかなぁ」
少し前に戻るだけなんだけど

ここの星は標にならないけれど
寄り添ってくれる気がした




 まばらに星々輝く昏い、迷宮の道のり。
「ホップ、ステップ、足取り軽やかにぃ♪ 灯火のランプから常夜へとぉ、蒼の星明りをお裾分けぇ~」
 間延びした言の葉は、まるで歌のように紡がれる。
 何時ものようにウサギの耳飾りをひょいんと跳ねさせて、銀髪と長耳が合わせて揺れる、揺れる。
 本日、ハーバニー・キーテセラ(時渡りの兎・f00548)が跳ねるは星空の中。
 青い星光を幾つ生み出して、歩む足取りに星屑を纏う。
 星の生まれる為の星を手に、先頭を歩むハーバニーは星々を先導する流れ星のよう。
 全く面白い仕掛けだ。
 美しい光景で人々を集めて、その力でオブリビオンの封印を強固とする。
 よくよく考えられているようで、――何より。
 とっても、楽しい!
「ふふふ~、これはぁ、星々の案内人を名乗ってもぉ?」
 ぽーんと跳ねて、笑ったハーバニーは更に先へ、先へ。

「……綺麗だね」
 優しい灰と白の毛並みを揺らして、肩には星々纏う闇色の夜鷹。
 逆の肩にはヒポグリフのフォルテ。
 月虹の精霊を腕に乗せたリンセ・ノーチェ(野原と詩と虹のかげ・f01331)は、ぽつりと呟いた。
 いつも一緒に歩む二人は、今日は居ない。
 ああ、まるで少し前に戻ったみたいだ。
 淡い虹色を星ランプに宿したリンセは、ほうと吐息を零した。
「……月虹さんは知ってるだろうけれど、フォルテと夜鷹に言ってなかったねぇ」
 く、と首を傾いだ二匹の気配。
 リンセは月虹の精霊の顔を見やって、尾をゆらゆらと揺らす。
「僕、あの娘のこと好きだった」
 思い出す、鈴を転がしたみたいに甘い声。
 金糸みたいな猫髪。
 青い澄んだ色の瞳。
 ――今でも脳裏に焼き付くあの声。
 リンセを誂っては笑って、――冗談よ、好きよ、って。
 でも。
 嘘で、偽物だった。
「……はぁ」
 耳をぺったりと倒してリンセは歩む。
 彼の後ろに生まれる星は、淡く虹を宿して。
 悲しい気持ちはもう、やりつくしてしまった。
 なんだか、ぽっかりと力が抜けてしまったみたいだ。
「――二人、お似合いだと思うんだ」
 ああ、今頃二人で逢ってたりして。――人のことなのに、なんだかどきどきしちゃう。
「そしたら、僕はどうしようかなぁ……」
 そんなの、本当はわかってる。
 少し前に戻るだけ。
 フォルテが首筋に寄り添ってくれるのを感じる。
 ――ここの星は標にはならないけれど、なんだか寄り添ってくれているみたいだ。
 ぶらぶら、そぞろ歩き。
 きっと綺麗な光景を目に焼き付ければ、もう少し力だって入ってくれるのかもしれない。

 歩んできた道に残る、青い星。
 後ろをくるりと振り返ったハーバニーは、嘯いて笑う。
「それでは、ここまでの案内はハーバニー・キーテセラ。皆さんの良き旅路を祈って、なぁんて」
 いつもの彼女のキメ台詞。
 ――ハーバニーの青い光に、他の猟兵たちや元より在った学生達の光が混ざって、溶けて。
 それこそ、天の川のようにも見える光の道。
「……私の歩んできた道もぉ、歩んでいく未来もぉ、こんな風に輝かせていきたいものですねぇ~」
 どこか満足げに微笑んだハーバニーは、指先を唇に当てて瞳を眇めた。
 ひとまず今はこの光景を心に刻み、焼き付けて。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

草野・千秋
星明かりの導くままにてくてくと歩く
歩くたびに光が生まれるのなら歩くのみですね
力の色は蒼色

なんて綺麗な星々なんでしょうか
(ため息をつき)
この世界でも星は美しいものなのですね
星というのはかつてそこにあった
惑星の過去の輝きとよくいいますが
そこにある星々の輝きもUDC等のアース系世界の宇宙と同じように
もしかしたら滅んでしまった輝き
「星であったもの」なのかもしれません
……なんて考えると寂しく悲しくなっちゃいますけどね
やめましょう、幻想的な世界で現実的な話は
今はこの星々の輝きに酔いしれたい
この世界もしかしたら星々の輝きは永遠なのかもしれないのですから
念の為情報収集、戦闘知識、第六感で警戒しつつ歩みを進める



●夜を歩む
 歩む足取りに合わせてぴかぴか瞬く星光が、昏い夜道に生まれゆく。
 青い光を星明かりのランプに宿して、星の道をそぞろ歩き。
 ミルクティ色の髪を淡い青に照らし出された草野・千秋(断罪戦士ダムナーティオー・f01504)は、ほうと吐息を零した。
「……なんて綺麗な星々なんでしょうか」
 千秋は瞳を細めて、自らの周りに生まれた青い魔力の星々を見上げる。
 このように星空を模した迷宮があるという事は、きっとこの世界でも星とは美しいものなのだろう。
 ――星というのは、遠くにある惑星の過去の輝き、とUDCアースで聞いたことがある。
 アルダワの世界の星々も、もしかすると。
 既に滅んでしまった輝き。
 ――『星であったもの』の輝きも、美しく感じているのかもしれない。
 ……なんて、考えると。
 この星空を模した世界ですら、少し寂しくて悲しいモノに見えてしまう。
「やめましょう、幻想的な世界で現実的な話は」
 ふ、と鼻を鳴らした千秋は、肩を竦めて。
 もしかするとこの世界の星は、滅んだりしないのかも知れないのだから。
 ふと振り向いて、歩んで来た道のりを見やれば。
 蒼に他の人々の魔力の星も混ざった天地に、満ち満ちる星彩。
 その光景は災魔を封じる光だと言う事が、まるで嘘のように静謐に湛えられ。
 ――今は、この星々の輝きに酔いしれたいと。
 千秋は青く灯るランプを片手に、瞳を眇めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

スバル・ペンドリーノ
灯火のランプを手に、鼻歌交じりでご機嫌に、迷宮を歩くわ
だって私はこんなにも幸せで、おまけに辺りはまるで美しい星空みたい
満天の星空、とはいかないけれど――こうして歩く度に星が広がっていく光景は、とっても素敵ね
星空は、私の故郷みたいなものだもの
まるで、自分の居場所が広がっていくみたい

力の色は、名状しがたい、複雑な輝き
血のような赤であり、影のような黒でもあり、星のような白い煌めきでもあって
常人が見つめれば正気を奪われてしまいそうな色合いのランプを、慈しむようにちん、と弾いて

幸せの大本――今日は別の場所に出かけた大事な人たちも楽しんでるかな、なんて思いを馳せながら
軽い足取りで、迷宮の中を歩いていく



●繋ぐ星のまたたき
 歩みに合わせて、幾つも生まれ瞬く星彩。
 天と地に満ちる輝きは夜空の散歩道を、美しく世界を彩る。
「♪」
 スバル・ペンドリーノ(星降る影の六連星・f00127)は、翠の瞳をぴかぴかと瞬かせて唇に微笑を湛えたまま。
 響く軽やかな鼻歌に、星ランプが揺れた。
 赤、黒、白、ゆらゆらと色が溶け移り変わる灯火は、名状しがたき輝きに顫える。
 ――星空はスバルの故郷のみたいなもの。
 足取りに合わせて広がる光の輝きは、スバルの居場所が広がっていくようにも思えて。
 なんだかスバルは嬉しくなってしまって、ふふふと小さく声を漏らして笑った。
 とっても、とっても、幸せな気持ち。
 自分の居場所が広がる、心地よさ。
 ほっそりとした白魚のような指先が、星ランプを軽やかに弾く。
 スバルの、上機嫌な理由。
 スバルの、居場所。
 スバルの、幸せの大本。
 スバルの、大事な大事な人達。
 スバルは、一緒に居ない時でも彼女達の事を考えてしまうのだ。
 例えずっと同じ場所に居なくとも、同じ時間を過ごして居ない時でも。
 繋がっていると、思えるから。
 ――彼女達も今頃、別の星空を眺めているのかもしれない、なんて。
「……お姉さまも、リアも、私がいなくて寂しくないかしら?」
 なんて、戯れを唇に乗せて。
 別の迷宮に向かった彼女達も、楽しんでいてくれると嬉しいな、なんて。
 ゆら、ゆら。
 揺れる星ランプ。
 その色は血のようにも、影のようにも、星のきらめきにも見える。
 歩めばまた、音を立てて星が生まれた。
 この美しい光景の事を彼女達にも伝えたいなんて、思いを馳せながら。
 くすくす。
 笑いながら歩むスバルの足取りは軽い。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐那・千之助
独り思い耽る散歩
光は橙

星を、創りたい
燃え盛る炎の天体を
何処かで太陽と呼ぶそれを
闇夜の故郷に
幼き頃より唯一つの願事

まぁその…太陽が途方もない大きさと知ったときは衝撃じゃったけどな!
しかしこうして遥かなる夜天を眺めると
それもだいぶ可愛らしいものに思えるではないか?
慰みに得た知識によると太陽は
所詮銀河の一惑星
銀河に恒星は二千億
さらに銀河は二兆あり
それすら宇宙の数厘で
…慰みよ

呪われた炎しか使えぬ身とて
ユーべルコードは無限なれば
乏しい命の残り火一切捧げて
異端の神々灼き尽くす火輪と成そう

いつ足を止めていたのか
気付けば辺りは星溜まり
見上げた無数の星々がじわりと滲む
迷う権利も時間もない
これは唯の
束の間の休息…



●日輪
 星のランプに、橙灯し。
 周行く足取りに星屑纏い、明ける事なき昏夜を歩む佐那・千之助(火輪・f00454)。
 千之助は、――星を創りたいと、思っていた。
 それも燃え盛る、あの照り映える炎の天体。
 何処かで太陽と呼ばれる、あの星を。
 この燃えるような髪にも似た、あの光を。
 常世の闇に囚われし故郷を照らす、陽を。
 この呪われた炎しか扱えぬ身とて。
 幼き頃より、ずっと創りたいと願っていたのだ。
 く、と唇に笑みを載せて、さらりと長い髪が歩みに揺れた。
 しかし、しかしだ。
 ――その太陽が、途方も無い大きさだと知った時は衝撃であった。
「……しかし、こうやって遥かなる夜天を眺めると、それもだいぶ可愛らしいものに思えるではないか?」
 天に、地に。
 散りばめられた星々に似た星彩は、魔力の塊だ。
 本物の星と足りはしない。
 しかし、しかし。
 胸のすくような夜空に似たこの迷宮には、光を燈す事ができる。
 照らす橙の燐光は、千之助の生み出した星々だ。
 太陽と呼ばれる星よりも瞬く大きな光だって、この場所にならば生み出す事ができるかも知れない。
 それは本物の天体足りはしないことも、知っているけれども。
 ――あの輝く星だって、所詮銀河の一惑星だ。
 UDCアースの資料によれば、銀河に恒星は二千億。
 さらに銀河は二兆存在するそうだ。
 しかし、しかし、それすら宇宙の数厘で。
「……慰みよな」
 大きく広げた掌を見上げて、瞳を眇める。
 世界を照らす星が作れぬならば、呪われた炎だとしても。
 乏しい命の残り火一切捧げて、異端の神々を灼き尽くす火輪と成そう。
「……おや」
 知らぬ間に足を止めていた千之助が、ふと周りを見渡せば。
 満ち満ちる橙の光が天地に星溜まり。
 細く息を零す。
 知らず、見上げた星々がじわと滲んでいた。
 嗚呼、嗚呼。
 千之助にはもう、迷う権利も、時間も無いのだ。
 ――慰み。
 これは只の、束の間の休息と。
 物思いに、りんと橙灯るランプを揺らして。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イア・エエングラ
花世/f11024と

夜天のうちは踏み惑うよな静けさで
佇み息呑む間にも淡く星が灯るから
ああ、あなたの星だと
そうっと慈しむよう手伸べたら
揺らぐ水底の星を添えて
標の代わりにひとつ、ふたつ、

星の咲うたびに飛び交う花世が
浚われないようにと手を取って
振り返るあなたの髪は星の尾のよで
星座を辿りながらもつい頬が緩むの
ねえ、遠い夜天のさみしさなんて
いつしか忘れたようだから

からからと洋燈を鳴らして
いつのまにか満開の星の花
やあ、花にひかれて、降ったかしらね
だってこんなにも広い夜だから
お空の上にひとつきりでは寂しかろ

星の光に染まる花世の前にも星を灯して
ほら、と微笑えば、咲うよに瞬く傍らへ
どうぞ明けぬ路を、ともにして


境・花世
イア(f01543)と

彼方へ此方へかろやかに跳ねて
ひとあし踏むごとに灯る星は、
春の咲くよな淡い薄紅

流れ星の速度で伸ばす指先を
やさしく引かれて振り向けば
無窮の闇はきららかに灯り、
きみの眸さえ染めるようで

深く揺らめく水底の彩を
そうっと覗き込んだなら
映る星たちは春の薄紅、
さやかに降る夜露の青――

はっと気付いて見渡せば、
天にも地にもきみの燈した青い星
イア、いつの間に魔法をかけたの?
問えばふたいろの星たちは、
笑うようにちかちかと瞬いて

……わたしのとこにも、きてくれたの

さわれるほど近くでひかった青は、
きみの眸とおんなじいろをしてるから
星もわたしも、ひとりじゃないねえ
そう囁いてそよりと笑う



●星の迷子
 明かり灯した星ランプは、先行き照らす道標。
「わあ、きれいだね」
 静かな夜に満ちた迷宮の道途に灯る、春先の花弁に似た淡い柔らかな薄紅色。
 したしたと響く境・花世(*葬・f11024)の足音に合わせて、天地に星が瞬き伸びる。
「まあ、本当に。ぴかぴか、ぴかぴか瞬いて、本当の星空みたいにきれいねえ」
 ああ、あなたの星だ。
 花咲いた淡い紅光を慈しむように、イア・エエングラ(フラクチュア・f01543)が手を差し伸べれば、揺らぐ水底のような星彩を添えて。
 それは標の代わりに、ひとつ、ふたつ、瞬き咲く。
 その光は、あまりに眩しいものだから。
 はしゃぐ様に足踊らせ歩む花世が、星に攫われてしまいそうな気がして。
 彼女へと寄ったイアは、その白い指先をきゅっと捕まえた。
 絹のような赤が撓んで彼女が振り返り、冴えた空の色の眦を下げてイアは笑む。
 気づけば咲いた星の数は数多。
 薄紅の花弁に、夜露の蒼を宿して。
 昏い、昏い、夜空はあまりに遠くて。
 寂しそうに見えた夜闇は、今はもうこんなに鮮やか。
「ねえ、遠い夜天のさみしさなんて、いつしか忘れたようだから」
 イアの紡ぐ言葉に、いつのまにか星満ちていた天地に気づいた花世は八重牡丹を揺らして。
 彼と同じ様に眦を下げて、頬を綻ばせた。
「ねえ、イア、いつの間に魔法をかけたの?」
 散り落ちる星彩見上げれば、満ち満ちる、紅色に冴えた蒼。
「やあ、花にひかれて、降ったかしらね」
 ころころと蒼に灯る星ランプを引き寄せて、イアは嘯き小首を傾いだ。
「だってこんなにも広い夜だから、お空の上にひとつきりでは寂しかろ。ふふ、仲が良くて良いことなぁ」
 笑うように瞬く、星光。
 花世が連れてゆかれないように、握った掌はそのまま。
「……わたしのとこにも、きてくれたの」
 ほつりと花世は囁いた。
「そうよう。たくさん、並んでいれば寂しく無いものねえ」
 ほら、とイアが微笑めば、触れる程近くに瞬いた青い光。
 イアの瞳と同じ冴えた夜霧の蒼の光に花世は、ふ、と息を漏らして。
 花咲くように、微笑んだ。
「星もわたしも、ひとりじゃないねえ」
「やあ、そうな」
 ふたり歩む道途に、星が咲く。
 道に迷わぬように、道に逸れぬように。
 明けぬ夜を、ともに。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リル・ルリ
🐟櫻と人魚
アドリブ歓迎

灯火のランプ、僕のは桜と白だよ!
君の色彩が僕の力の色だなんて
嬉しいに決まってる
櫻は真っ赤だ
てっきり桜色だと思ったのに
けど綺麗だ

片手にランプ
もう片方は君と手を繋ぐ
寄り添うように星穹の小路を游ぐよ
櫻が歩く度に桜が舞って、星が生まれて
星と桜が踊っているよう

僕も尾鰭で地面を叩いたら星を作れるかな?
この位では傷つかないよ
櫻は心配性だね
…けど嬉しいな
星空を游ぐのは大好きだ
君と游ぐ度に特別になるよ

こういう時、足で歩けたらって思う
でも聲を失って君と言葉を交わせなくなるのは嫌だな
走ってたくさん流れ星をつくるのはヨルに任せておく
ヨルはすごい

え!?そこで転ぶの?
あはは
君は本当にしょうがないな


誘名・櫻宵
🌸櫻と人魚
アドリブ歓迎

灯火ランプに灯る光は滴るような鮮血の赤
これがあたしの、なんて
リルは可愛い白と桜色
純粋なあなたの心を示すようでとても綺麗よ


ランプ揺らし片手はしっかり人魚と手を繋ぐ
歩く度に星が生まれるなんて面白いわ
あたし達の歩む道が星の道になってる!
尾鰭でなんて傷ついたり破れない?

リルは星空を游ぐのが好き?
よかった
これからも色んな空を泳ぎましょ
でも聲を犠牲に尾鰭を足にしたら怒るからね!その姿も可愛いけど
話せなくなってリル自身も苦しいのは嫌なの

ヨルばかり褒めて
あたしだって、流星を作れるわ!
駆けだすも足元をチョロつくヨル避けてバランス崩して転んだり
最高にかっこ悪いけど
星はたくさんできたわよ!



●きみのいろ
 桜色と、柔らかな白。
「僕の光は、櫻を写した色彩だね」
 優しい光を宿した星のランプ揺らしたリル・ルリ(想愛アクアリウム・f10762)は、花綻ぶように笑みを咲かせる。
 愛しい彼に咲く色が自分の力の色だなんて、擽ったくも嬉しくて。
 いやもう、嬉しいに決まっているだろう!
「純粋なあなたの心を示すようで、とても綺麗な色だわ」
 そうね、と頷いた誘名・櫻宵(屠櫻・f02768)が、滴るような血色の赤を掲げて上品に笑む。
「でも、櫻は真っ赤なんだね。てっきり桜色だと思ったのに」
「ええ、これがあたしの色のようね」
「うん。鮮やかで、綺麗だ!」
 道行く二人の片手には星のランプ。その逆の手には、君の手をしっかりと握りしめて。
 しっかり歩む足取りの横で、ゆらゆらと尾鰭が宙を掻く。
 その二人の背を追って、ペンギンの雛がてちてちと付いてくる。
 櫻宵の喚んでくれた、可愛い式神。
「あたし達の歩む道に星が生まれるなんて、面白いわ」
 寄り添うように昏い道途を辿れば、歩んだ先に咲く光。
 血の赤に薄紅、雪の白。
 ちらちら揺れる櫻宵の桜が星に遊べば、花弁と星が踊っている様に見えた。
「ねえ、僕も尾鰭で地面を叩いたら星を作れるかな?」
「まあ! 尾鰭でなんて傷ついたり破れない?」
「大丈夫、この位では傷つかないよ。櫻は心配性だねえ」
 目を丸くした櫻宵にくすくすと笑ったリルの横を、てってとペンギンの雛が駆けて行った。
 心配してもらえる事が、こんなに嬉しい。
 彼が心配しないように、手を結んだまま空中をゆうるりと尾鰭を遊ばせて。
 逆の手に握ったランプを天井へと近づけると、ぱっと花が咲くように淡い星がそこかしこに瞬く。
 その様子が、あまりに心地良さそうに見えたものだから。
「――ねえ、リル。あなたは星空を游ぐのは好きかしら?」
 櫻宵はほつりと尋ねてみた。
「うん、そうだね。星空を游ぐのは大好きだ。――君と游ぐ度に特別になるよ」
「ふふ、良かった。これからも色んな空を泳ぎましょ」
 愛しい人の言葉に、リルはこっくりと頷いて。
 星を追いかけて小さな翼を伸ばしたヨルが、コンと壁に頭をぶつける姿に視線を落とした。
 それでも、少しだけ、少しだけ、考えてしまう。
 ああやって一緒に並んで、ああやって歩ける事が。
 羨ましい。
「……こういう時、足で歩けたらって思う事もあるよ」
 あの、綺麗な硝子の靴を履いてみたいなんて。
 ずっと、ずっと、思っている。
 考えている。
「――どこかの世界の御伽噺なら、人魚は聲を失う事で足が手に入るんだよね」
 歌を、聲を、失ったあのお話の結末は。
「もう、そうよ。そんな方法で尾鰭を足にしたら怒るからね!」
 水底色の瞳を揺らしたリルの掌を、きゅうっと握り直した櫻宵がその腕を引いて頭を振った。
 ――可愛いその尾鰭を失う事が、怖いという訳では無い。
「……リルが話せなくなって、リル自身も苦しいのは嫌なのよ」
「うん、……そうだね。僕も君と言葉を交わせなくなるのは嫌だな」
 リルがもう一度頷き。
 ぴょーんと跳ねた、ペンギンの雛へと視線を戻した。
「だから、走ってたくさん流れ星をつくるのはヨルに任せておくよ。ヨルはすごいからね」
 なんて、笑ったものだから。
「……まあ、ヨルばかり褒めて! あたしだって、流星を作れるわ!」
 ムキになったみたいに言葉を零した櫻宵は、駆け出した。
 桜の花弁を揺らして、美しい灰の髪を跳ねて。
 ついでに追いかけっこだと思って追いかけてきたヨルを避けようとして。
 制動をかけて、強い踏み込み。
 その横をちょろりとヨルはすり抜けて行く。
 今日は、君が一番だよ。
 バンザイをしてゴールを駆け抜けるポーズをとったヨルの横。
 盛大にバランスを崩して、ひっ倒れた櫻宵。
「え!? さ、櫻! そこで転ぶの!?」
 慌てて追いかけてきたリルに、櫻宵はランプを掲げて。
「……リル! み、見たかしら。……星は沢山できたわよ!」
「……ふ、は、……あはははは、もう! 君は本当にしょうがないなあ」
 明けること無き夜を彩って、満開の花の如く咲いた星々。
 二人は顔を見合わせて、笑い。
 一匹の式がその光を掴もうとするように、ぽーんと跳ねた。
 それはきれいな、きれいな、偽物の星空。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リア・ファル
力の色:蒼がかった白色

星明かりの迷宮か
素敵だなあ。SSWの戦艦らしく、この星海も案内、してみようか

「ディープアイズ起動。それじゃあ行こうか、イルダーナ!」

制宙高速戦闘機『イルダーナ』を緩やかに滑らせつつ、
リアルタイム演算と周辺マッピングを駆使しつつ進む

周囲の輝きの美しさを楽しみながら、
迷子や、道行きの定かじゃない人に声を掛けたり、
アドバイスしたり、助け船を出しながら行く

UC【我は満たす、ダグザの大釜】で星図とか羅針盤とか
手助けできれば尚良しかな

ボクの航行技術も捨てたモンじゃないでしょ?
(技能:情報収集、空中浮遊、操縦、救助活動、学習力、暗視)


八上・玖寂
偲(f00203)と。

星の如く輝く封印の魔法、ですか。
機能があり、景観も良い。一石二鳥ですね。

ではまあ、ごく普通に歩いていきましょうか。
偲があまり遠くに行かないように見張りながら。

ランプに灯った蒼銀色の光を見て微かに嘆息し。
なかなかこの色とは縁を切れないものですね。
……偲が何故喜んでいるかはよく分かりませんが、
まあ彼女の機嫌がいいなら良しとしましょう。

僕は美しさに造詣などありませんが、星は嫌いではありません。
見上げればそこに在るもの。それが足元にすらあるというのですから、
贅沢なことなのでしょうね、これは。


※絡み・アドリブ歓迎。いい感じにしてやってください


八上・偲
玖寂(f00033)と一緒に。
わーいお出かけー!

あ、ランプに光が点いた。
青色だー。わたしの目とおんなじ色。
玖寂は?玖寂は?……玖寂も青色!
おそろい、おそろい。(ご機嫌でるんるん)
わたし、玖寂と髪の色も何もかも違うから、おそろいなのが嬉しい。
玖寂の青色はちょっと白っぽくてお星様みたいだね。

玖寂の近くをぱたぱた飛びながら、迷宮をお散歩。
お星様がきらきら!綺麗ー!
近くまでまで行けそうー。行けるかな?
高度高めに飛ぼうとしてみたり。
わたしが動くたびにお星様が増えるの。
ほんとに魔法なんだ、すごいすごーい。

玖寂ちょっと嬉しそう!お星様好き?
わたしも好き!綺麗だもんねー。

※絡み・アドリブ歓迎です



●あおくひかる
 暗闇に星の如く瞬く光は、封印の魔法の光。
 美しい夜空めいた景観と機能の両立とは、よく考えられた魔法である、なんて八上・玖寂(遮光・f00033)は考える。
「あ、光が点いたよ!」
 星型のランプを掲げて、瞳を瞬かせた八上・偲(灰かぶり・f00203)はぴかぴか笑顔。
 青い光は偲の輝く瞳と、頭に咲く小さな勿忘草と同じ色をしている
「ねえ、玖寂は? 玖寂は?」
 彼女に急かされたからという訳では無いけれど。星ランプに光を灯した玖寂が、微かに嘆息を零した。
「――なかなか、この色とは縁を切れないものですね」
 ちらちらと揺らめく蒼銀色の光は、縁深き色。
 玖寂はやれやれと肩を竦めて。
「わーい、玖寂も青色! おそろい、おそろいー」
 そんな彼の様子を知ってか知らずか。
 にへっと笑ってご機嫌になった偲が、青い光を揺らして昏い道でぴょーんと跳ねた。
 そのまま小さな翼を羽ばたかせると、ふわりと飛びあがり。
「……何故喜んでいるのですか?」
「わたしね。玖寂と髪の色も、何もかも違うから。だから、おそろいなのが嬉しいの!」
 灰色の髪にヴェールをふうわりと遊ばせて、偲はその場で円を描くように。
 青い光が瞬いて壁に、天井に、星によく似た光が生まれれば、更に彼女は笑みを深めて。
「玖寂の青色はちょっと白っぽくてお星様みたいで、素敵だね」
「……そうですかね?」
 ピンと来ないのか、首を傾ぐ玖寂。
 何にせよ彼女が上機嫌でいてくれるのならば、それはそれで良い事だ。
「うん!」
「はいはい、では行きましょうか」
 二人が歩みだせば、本当に魔法である事を示すように。
 二人の動きに合わせて星が散る。
 玖寂と偲は並んで二人、昏い迷宮をそぞろ歩きだす。

 ――ディープアイズ起動。
「それじゃあ行こうか!」
 制宙高速戦闘機『イルダーナ』に跨って。
 緩やかに滑るように星空の中を駆けるのはリア・ファル(三界の魔術師/トライオーシャン・ナビゲーター・f04685)の姿だ。
 彼女はスペースシップワールドの機動戦艦ティル・ナ・ノーグの、ヒューマンインターフェース中央制御ユニット。
 ――戦艦の制御を担っていた、バーチャルキャラクターだ。
 つまりは星海案内に、空間掌握はお手の物という訳で。
 ぴかぴか瞬く星光をすり抜けて。
 周辺のマッピングをしながら、青白の星光をランプより天地に咲き綻ばせながらリアは進む。
「本物の星ではないけれど、これもまた綺麗だねー、……っと!」
 そこに、ふかふかと翼を羽ばたかせて飛ぶ偲の姿を認めると。
 イルダーナのブレーキを緩やかにかけて、リアは大きく手を振った。
「ハーイ、そこのキミ達。道に迷っていたりはしない?」
「わー、すっごい乗り物ー! わたしは玖寂とお散歩中だから大丈夫だよー」
「ええ。まだ散策中ではありますが、迷ってはいませんよ」
 偲がくるくるとリアの周りを飛び回ろうとするものだから。
 玖寂はすっと偲の服の裾を引いて、横で大人しくするように手で促して。
「うん? そーう?」
 そうすごい乗り物でしょう、と。
 偲に微笑みかけたリアは、片手の上に、羅針盤とこの迷宮のマッピングをした地図のホログラムを浮かびあがらせて。
「じゃあ、迷ったら何時でも声をかけて、何時でもナビゲートするよ」
「わー! 何それ! 格好いいね!」
「ええ、はい。それではまた困った時には是非に頼らせて頂く事としましょう」
 そこにまた瞳をぴかぴかと輝かせた偲を、玖寂はぐぐいと引いた。
 普段より彼女のテンションが高いように感じる。
 知らない人に迷惑のかかりそうな方向性で、ぐいぐい行くものじゃありませんよ。
「……はーい、じゃあ会ったらよろしくね」
 その制止に気づいた偲は、リアに手をふりふり。
 偲は賢いのでちゃんと空気が読めます。
「うん、じゃあまたね!」
 きゅる、とその場で一回転したイルダーナ。
 ぱっと蒼白の星屑を散らして、緩やかに宇宙バイクが駆けて行き。
「すごい、すごい。なんだか格好良かったねー」
 言葉を零した偲が、ふとそこで視線を天へと向ければ。
 そのまま空を見上げて、瞬きを二度重ねた。
「……!」
 気がつけば三人のそれぞれの色味の違う蒼が生み出した星彩が、天地に星河を描いていたのだ。
「……沢山色が混じるともっともっときらきらして、綺麗だね。……すごい、すごい!」
「ああ、……そうですね。とても、綺麗です」
 美しき光景に二人は息を呑んで、見上げるばかりで。
「……玖寂ちょっと嬉しそう、お星様好き?」
「星は、嫌いではありませんよ」
「そっか、わたしも好き! 綺麗だもんねー」
 くすくすと偲はくすぐったそうに笑って、玖寂の服の裾をきゅっと掴んだ。
 ――星は、見上げればそこに在るものだ。
 その星彩が足元にも、横にも。勿論天にも。
 そこかしこで瞬いているのだから、なんて贅沢な事なのだろう。
 玖寂は瞳を細めて、少しだけ眦を下げた。
 またたく青い星の、光の下。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジズルズィーク・ジグルリズリィ
エルネストさんf00066、胡さんf21829と参加
WIZ判定*アドリブ歓迎

感動、歓喜。星降る夜の地下迷宮、心ふるえるロマンチックな光景ですね
人工の光が届かない大地に身を置くと、まるで星の瞬きに手が届くよう
なんだか不思議な感覚です、おや。ジズのランプの光は赤色ですか

ぼーっと一点を見つめると、吸い込まれるような……ふあ。眠くなってきてしまいます。うとうとです
歩いてはいますが、このまま寝てしまいそう
お二方、よければ手を繋いでもらってもよいです?


エルネスト・ポラリス
ジズさん(f10389)、胡さん(f21829)と行動
アドリブ歓迎
ジズさんの事も年下と勘違い中

確かに星空のような情景ですね……ダークセイヴァー生まれとしては暗さに落ちつくような、星が煌やかすぎてソワソワするような不思議な気持ちですね

しかし、このランプも不思議ですねぇ。
私のは白く光ってますが、どういう仕組みなのでしょうか……聖者の光になんだか似ている気もしますね

……おや、ジズさんがおねむですか。
いいですともいいですとも、手をつないでのんびりお散歩しましょうか
なんだか、妹たちが小さかった頃を思い出しますねぇ


胡・佳莉
ジズさん(f10389)、エルネストさん(f00066)と参加
※アドリブ歓迎

わぁ……地下なのに本当の夜空みたい。いいですね、故郷を思い出します。
私が住んでいたところは山の中だったので、星がよく見えたんですよね。
そんな星空を誰かと一緒に見るなんて……懐かしい。
それに歩いてると周りに星が出来ていくなんて、すごく綺麗で不思議な気分......。

あ、ジズさんダメですよ寝てしまっては。手ですか?はい、どうぞ。ちゃんと歩いていきましょうね。
私のランプの光の色は、淡い青色ですね。これって人によって違うそうですけど、どんな意味があるんでしょう?




「わぁ……、地下の迷宮なのに本当の夜空みたい」
 手に持ったランプに灯る色は、蒼色。
 黒曜色の髪をふんわり揺らして、胡・佳莉(機妖剣女・f21829)は周りを見渡して瞬きを一つ、二つ。
「……懐かしい、ですね」
 佳莉の故郷の隠れ里は、深い深い山の中にあった。
 だからこそこの光景はあの日々の中に在るようで、たまらなく懐かしく感じる。
 ――もう無くなってしまった里と重なるような、無数の星彩。
 そう。
 天井にも、床にも、壁にも。
 昏い闇の遠い最中に、無数の燈火のように瞬く星がちりちりと冷たそうに揺れている光景は、月の見えない夜のよう。
「確かに星空のような情景ですね……」
 深い闇色は故郷のダークセイヴァーの昏い空とも似た色で、落ち着くような。
 反して、瞬く無数の星々は煌やかで、どこか落ち着かないような。
 エルネスト・ポラリス(それは誰の夢だったのか・f00066)が、白く灯る星を手に歩みだせば、周りを測るように獣の耳をピンと張る。
「おや、ジズのランプは赤色ですね」
 長い耳に銀髪を絹のように流して。
 からからと小さく星ランプを揺らしたジズルズィーク・ジグルリズリィ(虚無恬淡・f10389)の手の中で、星に燃えるような赤が瞬いた。
「しかし、地下迷宮に星が満ちる様は不思議な感覚です」
 ジズルズィークが呟きながら二人の背を追った、瞬間。
 迷宮の床に広がる、蒼、白、赤。
 重ねて散る燐光が、壁に、天に。
 一瞬で無数の星達が、三人の周りにぱっと生まれ咲いた。
「わ。本当に星が生まれるのですね、……すごく綺麗で不思議……!」
 きゅっとランプを身に寄せて、佳莉が目を丸くする。
 それは銀砂に色を乗せたように、澄んだ色に照り映えて。
 輝く魔力光は、満天の星空が深まったよう。
「感動、歓喜。美しいのです。正に星降る夜、心ふるえるロマンチックな光景ですね」
 手を伸ばせば、そこかしこで輝く光に手が届きそうな光景。
 ジズルズィークもうっとりと、吐息を零す。
「このランプも不思議ですねぇ、――どういう仕組みなのでしょうか?」
 指先で星ランプを小さく弾いてみると、ちりんと涼し気な音を立てて。
 瞬きを重ねたエルネストが、聖者の光にも似た光を湛える星ランプを覗き込んだ。
「この光って人によって違うそうですけど、どんな意味があるんでしょうね」
 佳莉は相槌を一つ。
 足取りに合わせてぴかぴかと瞬く星ランプの光と同じ色の星屑が弾けては、華綻ぶ様に星と成り。
「力に反応して光るのも、不思議なのです。……それにこうやって深い夜空に似た光景を見ていると、まるで吸い込まれそうで……」
 空を見上げながら歩むジズルズィークの桃色の瞳は、徐々にとろりと蕩けて。
 ……ふあ。
 おおきな大きな欠伸が思わず漏れてしまう。
 ずっとずっと続く夜は、なんだか、とっても。
 うーん、ねむたくなってしまう光景だ。
「おやおや、おねむですか?」
「あ、ジズさんダメですよ。歩きながら寝てしまっては」
 大きな欠伸にエルネストがくすくすと笑って、佳莉が少しばかり慌てた様に彼女を見る。
「……うにー、うとうと、です。……お二方、よければ手を繋いでもらってもよいです?」
 歩いてはいるがこのままでは寝てしまいそうだと、首を傾ぐジズルズィークに。
「いいですともいいですとも、手をつないでのんびりお散歩しましょうか」
 なんだか、妹たちが小さかった頃を思い出すなあ、なんて。
 こっくり頷いたエルネストは、年下のジズルズィークが昏い闇に転ばぬようにとその手を取って。
「はい、どうぞ。ちゃんと歩いていきましょうね」
 眦を下げた佳莉も、彼女の逆の手を取った。
 ――満天の星空に重なるのは、もう無くなってしまった隠れ里の空。
 記憶の中にだけのこった、あの澄んだ夜空。
 ……ああ、こんな光景をまた誰かと一緒にみる日がくるなんて。
「ふあ……」
 懐かしげに瞳を細めた佳莉の横で、またジズルズィークは大あくび。
「そこに段差がありますよ、ジズさんも佳莉さんもお気をつけて」
 なんだか大切な妹達を思い出して、エルネストは面倒見の良いお兄さんオーラを全身で放ちだす。
 実は――そちらの大きな欠伸をされている褐色エルフは、実は彼とほぼ同位の年なのだけれども。
 そんな事を知る由もないエルネストは、年長者としてしっかりせねばと気を引き締め直して。
 ぴかぴか瞬く星空を追って、三人は星を生みながら迷宮を行く。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
【華禱】
倫太郎殿と迷宮を歩きます
彼に言われるままに手を繋いで
態々言わなくとも繋ぐつもりだったのですが……これは何とも
思わず顔が綻んでしまうので、周りが暗くて良かったです

灯火のランプの色は青紫
私の猟兵としての力ですから、姿に関係無く現れているのでしょう
魂の色とも言えるかもしれませんね
倫太郎殿のランプの色もとても素敵ですよ
琥珀を陽の光に当てたような、美しい橙色
一目見て、貴方の色だと思いました

互いの色を確かめた後、迷宮を歩きましょう
星封じの迷宮とは、夜空を封じたような所ですね
ほら、私達が歩いた辺りから星が沢山

その様子を見ていると時間を忘れてしまいそうです
時間の許す限り、此処で眺めていましょうか


篝・倫太郎
【華禱】
夜彦と一緒にランプを片手に迷宮を巡る
空いた手は、いつも通りに繋いで

はぐれないように、とか足元が暗い、とか
そーゆーの、今日はいいや
手、繋ぎたいから繋ぐ

はっきりきっぱりそう言ったら
なんか微笑ましいものを見る気配がする!
暗くてはっきり判んねぇけど!
微笑ましく見られてる気がする……!

そいや、夜彦の力の色って綺麗だよな
綺麗な青紫……
今のあんたと、真の姿のあんたの混ざったみたいな色
混ざった……?
あれ?
元々どっちもあんただから混ざった訳じゃないか……
なんにせよ、俺は好きな色だな

俺のは……目の色に近い?
でも俺の瞳の琥珀よりもちょっとオレンジが強め、かな?
ランプを掲げて覗き込み

時間が許す限り、夜彦と巡る



●きみのいろ
 はぐれないように、とか。
 暗い場所では足元が危ない、とか。
 そんな大義名分。
 理由なんて、もういらない。
 愛しき彼と手を繋ぐのに、理由が如何程必要だと言うのだろうか。
 篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)と月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)は、しっかりと手を繋いで。
 ――その気持ちを倫太郎が伝えた時の夜彦の視線が、酷く優しく感じた気もするけれど。
 いやもう、良い! 繋ぎたいから繋ぐだけだし!
 常闇を彩る星空の元、ふたりは漫歩き。
 道標のように輝く燈火は竜胆の花弁の色に、橙がかった琥珀色。
 二つの光が揺れるたびに、そこかしこに星屑が弾けて花咲き、星と成る。
「そいやさ、夜彦の力の色って綺麗だよな」
 倫太郎がその眩しさに瞳を細めて、煌々と燃える綺麗な青紫へと視線を落とした。
「……今のあんたと、真の姿のあんたの混ざったみたいな……」
 ――いいや、混ざった? 元より彼は一つである。
 ならば、それは混じり物という訳ではなかろう。
 はてと首をかしげて言葉を探す倫太郎に、夜彦はくつくつと喉を鳴らして笑った。
「私の猟兵としての力ですから、姿に関係無く現れているのでしょう。――魂の色とも言えるかもしれませんね」
「ん! なんにせよ、俺は好きな色だな」
 薄暗くとも倫太郎の笑う気配は、感じられる。
 生まれる星の色を見上げながら、夜彦は柔く眦を下げた。
「……倫太郎殿のランプの色もとても素敵ですよ」
 琥珀を陽光に当てたような、美しい橙色。
 暖かいその光は、――。
「一目見て、貴方の色だと思いました」
「お、おう、そうか?」
 夜彦の言葉がなんだか擽ったくて、倫太郎ははにかむ。
 ここが薄暗くてよかった、と少しだけ思う。
「しかし、星封じの迷宮とは、敵だけでは無く。夜空を封じたような所ですね」
 歩む二人の足取りに合わせて、散った光が無数の星彩と成って。
 竜胆に映える琥珀が混ざり、二人の色の混じり合った道を作りだす。
 そんな美しい光景には、時間すら忘れてしまいそうで。
「美しいものですね」
「あぁ」
 倫太郎の指先に、指先を絡めなおした夜彦は前を向いた。
 天にも、地にも、満ちた星明かり。
 時間が許す限り、この美しき空の散歩を楽しもうと。
 常闇を彩る幾つもの星を作り出しながら、ふたりは掌を重ねて星空の散歩道を歩み行く。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リヒト・レーゼル
【荒屋】

ランプを持って迷宮を散歩をするって
冒険をしているみたいで少しわくわくするよ
歩くと星が生まれるのも
隠れた星の道を歩いているみたいで
それに本の中に飛び込んだみたい

迷わないように真っ直ぐ真っ直ぐ歩いてみようかな
寄り道していたら先に進めなくなってしまいそうなんだ
類も黒羽も寄り道をするの?
…少しだけだよ。迷子になったら叫んでね
急いで見つけに行くから

そうだ。折角だから生まれたての星に名前でもつけてみようかな
どんな名前が良いだろう
荒屋星?少しおかしいかな
どんな名前が良いと思う?

荒屋座
それからそれぞれの星。すごくいいね
それぞれの星を辿って荒屋座をこの場所に完成させないと
他の皆の星ももちろん一緒にね。


冴島・類
【荒屋】

空を飛べない身としては
星を近くに、夜空のよな道を歩くのは
夢か…本の世界とも言えるな

灯を手に真っ直ぐ行くリヒト君
おや、折角なんだ
気になる星に誘われたり
逆に暗い方へと寄り道してみません?

君が照らす先から溢れる星は
あったかく輝きそうだから
魔力満たすのに良い気もする

黒羽君の夜に溶ける色彩も
足元から生まれる縹色に照らされきらきらだ
迷子になってもこの色を辿れば戻れるし、どうかな

生まれた星に名前かあ
変じゃないよ
なら其々に名をつけて
結んだ星座が荒屋座、なのかも
2人のは、飴橙や氷縹とか単純に色からの連想をしてしまう

大きさも形も違うのかな?面白いなあ…
己から溢れる星は、赤

ああ
皆がいてこそ、輝く星座だからね


華折・黒羽
【荒屋】

昏い迷宮の中でも己の身が溶け込んでしまわないのは
ランプに灯された縹色が照らしてくれるおかげか
弾けるように生まれ消えていく星々を見ながら
これが自分の力の色なのかと興味津々

…このランプを介して封印の力が強まる、とも言ってましたし
逆に寄り道をした方が広範囲に力が及ぶかもしれませんよ

取って付けた様な言い訳だろうが
道沿いに行くのは勿体ない気がして

星の名前…ですか
名付けはどうも苦手だ…
首を捻ってはぱちんとはじける音に耳揺らして

リヒトさんと類さんのあたたかな彩星が
青い星と混じりやがて織り成していく形
荒屋座
呟けば胸はほこりとぬくもる様

他の皆の星も見たかったですねと
あの屋根の下で語らう皆を思い出しながら



●星繋ぎ
「ランプを持って迷宮の散歩をするって、冒険をしているみたいで少しわくわくするね」
 星の篝火を手に。
 リヒト・レーゼル(まちあかり・f01903)は暗い迷宮に灯る、無数の星明かりに目を凝らす。
「そうだね。こんなに星を近くに歩くのは、まるで夢か、……本の世界の冒険のようだなあ」
 空を飛ぶ術を持たぬ冴島・類(公孫樹・f13398)の歩みは、少しばかりおっかなびっくり。
 足を踏み外してしまえば、真っ逆さまに転げ落ちてしまいそうにも見える常闇。
 手にした星より溢れた赤が、歩んだ先から闇に星を生む様に瞬きを重ね。
「本当、歩くと星が生まれるのも、本の中に飛び込んだみたいだ」
 ちちんぷいぷいなんてリヒトが星ランプを揺らすと、ぱっと星屑が散った。
 生まれた星彩に照らされた道は、隠れた星道を歩いているみたいだ、と橙の瞳に星が照り映える。
「迷わないように真っ直ぐ、真っ直ぐ歩いてみようかな? 寄り道なんてしていたら、先に進めなくなってしまいそうだよ」
 そう行ってリヒトは淡い色を手に、真っ直ぐに歩みだそうとするのだが。
「あ、……でも」
 漆黒の毛並みに、翼を畳んで。
 華折・黒羽(掬折・f10471)のその暗い色が常闇色に溶け込んでしまわないのは、きっと揺れる星ランプに満たされたうすい藍、縹の色が瞬くから。
「このランプを介して封印の力が強まる、とも聞きましたし。逆に寄り道をした方が広範囲に力が及ぶかもしれませんよ」
 自らの色の輝きが生まれて、きらきらと天地を彩る様はとても不思議なもので。
 黒羽はじっと、冴えた色を見つめながら言葉を紡ぐ。
 ――それでもその言葉は、少しだけ言い訳じみているようにも響いたかもしれない。
 だって黒羽には、こんなに素敵な道程を。
 既に多くの星に彩られた道沿いに歩む事が、少し勿体ないように思えて。
「そうだね、折角なんだ。気になる星に誘われたり、逆に暗い方へと寄り道してみません?」
 類の同意に、こくこくと黒羽が頷けば。
 リヒトは優しい橙色を二人へと向けて、薄い茶の尻尾毛を揺らした。
「そう? じゃあ……少しだけだよ。迷子になったら叫んでね、急いで見つけに行くからね」
 二人が寄り道をすると言うのならば、リヒトもそちらへと歩みを向けて。
 唇に笑みを載せた類も、こっくりと頷いた。
「うん。迷子になってもこの色を辿ればきっと戻れるし、行こうか」
「ああ、そうですね、では是非」
 黒羽の同意が重なれば、夜闇に迷う事を決めた三人。
 その足取りは、光薄く暗いほうへ、くらいほうへ。
 燈火がぱちぱちと星屑を零して、まだ昏い世界を暖かな星彩が彩って。
 そこに縹色が混じれば、冴えた星空が彼らを白々と見守っているよう。
「そうだ、この生まれたての星たちに、名前をつけてみようよ」
 先歩むリヒトは思いついた様子で。
 くるりと振り返ると二人の顔を、暖かな光で照らし尋ねると、
「面白いね、生まれた星に名前かあ」
 類が煌々を燃える赤に、頷いた。
「星の名前……ですか?」
 二人の言葉に、黒羽はぱちぱちと瞬きを一つ、二つ。
 名付けはどうも苦手だと、首を捻ってううんと唸る。
「そうだねえ、荒屋星……なんて少しおかしいかな? どんな名前が良いだろう」
 皆の集う場所の名をつけたいと、呟いたリヒトの言葉。
 それを聞いて、類は何かひらめいた様子で碧色に光をぴかりと宿した。
「変じゃないよ。でもそれは一つじゃなくて……其々に名前をつけて結んだ星座が荒屋座、なのかも」
 皆が集まる場所ならば、きっとそれは数珠つなぎ。
 これだけたくさんの星があるのだから、星座にしてしまえば良いのだと。
「ああでも、それだと二人の星の名もちゃんと考えなければいけないですね。ううん、……飴橙や氷縹とか……」
 言葉を重ねる類は、どうもその色からしか星の名を想像が出来ず。
 その言葉にリヒトは大きく頷いて、星明かりを見上げた。
「うん、いいね。それって、すごくいいと思う!」
 星座に、それぞれの星。
 どの星に名をつけて、どのように繋ごうか。
 リヒトは踊る胸を抑えるように、ぴかぴかと光に満ちた星ランプを高く掲げて星を探す。
「……荒屋座」
 呟く黒羽の胸にも、その名はとてもしっくりときたようだ。
 胸中に柔く光が灯って、温もる感覚。
 思い描くは、皆の顔。
「……そう思うと、他の皆の星も見たかったですね」
 昏い色の獣耳を揺らして、黒羽が視線を落とすと。
「他の皆の星も勿論一緒に探そうよ、――それぞれの星を辿れば、荒屋座がこの場所に完成するはずだよ!」
 リヒトが重ねた言葉には、類も瞳を眇めて相槌一つ。
「ああ。皆がいてこそ、輝く星座だからね」
 皆の集まる場所の名を付ける星なのだから。
 あの屋根の下で語らう皆が居ないなんて嘘だろう。
 皆の顔を思い浮かべながら、とっておきの星を選んで、とっておきの名前をつけよう。
 歩めば増える星々に、思いと親しき名を籠めて。
 大きな、大きな、星座を紡ごう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エルツ・テネブル
エリアス(f06351)と一緒に

灯火のランプを片手に
エリアスと共にゆっくりと散策

暗闇は怖い?一緒なら平気かな
先導するように先に一歩を踏み出して
隣へ来た君の歩調に合わせて進む

暗い迷宮へ足を踏み入れれば、ほわりとランプが灯る
夜の闇を照らすのは自身と同じ青い色の星灯り

ふふ、エリアスも君自身の色になったのだね
空を映した水面の色…俺も好きだよ
ほわりと微笑み返し
互いの色の星灯りを揺らしながら歩めば
きらきらと生まれる星空に見惚れて

星が封印していたモノも気になりつつ
今は君と見たこの美しい景色を心に刻んでおきたいな


エリアス・ルスラウト
エルツ(f04712)と一緒に迷宮を散策

わあ…ここが星封じの迷宮なんですね。思った以上に真っ暗です
暗闇はちょっぴり怖いけれど、今は貴方が居るから大丈夫

はぐれないよう隣を歩き、ランプに魔力を籠めれば淡い光が灯る
水面を掬った髪色と同じ水色の星灯り

ふふ、エルツも自分と似た色になりましたね
深い海のような…その色、とても好きなんです。見るとほっとして
ふわりと笑いかけ、ランプを揺らし歩く度
生まれる星の煌めきに瞳を輝かせて

常夜の天蓋を留める星々があまりに美しいから
その奥に眠る存在をうっかり忘れてしまいそう

どうか災いが目覚めないようにと星に願いを乗せながら
もう暫く貴方と、夢のようなこの景色を眺めていられたらと



●水の碧、石の蒼
 常闇の迷宮に、ちらちらと灯る無数の煌き。
 瞬く星ランプの明かりは、冴えた蒼と、水面を掬ったような水色の二つ。
「わ……思っていた以上に真っ暗ですね」
 流れるような蒼に、ネリネの花を揺らして。
 淡い水色のランプを掲げたエリアス・ルスラウト(ネリネの涙・f06351)が、ゆっくりと迷宮に降り立ち、白翼を畳んで周りを見渡せば。
 まるで星明かりのように静かに佇む微かな光は、夢の中の景色にも似ている。
「暗闇は怖い? 一緒なら平気かな?」
 先導するように先に立っていたエルツ・テネブル(青氷・f04712)は大丈夫、と掌を差し出して。
「ううん、今は貴方が居るから大丈夫」
 小さくエリアスは、首を左右に振った。
 ちょっぴり怖い昏い昏い闇も、キミとなら。
「そっか、じゃあ行こう」
「はい」
 小さく笑みを交わしたエルツは、隣に来たエリアスの歩く速度に足取りを合わせ。
 握った燈火は、深い海色の青尖晶石色にゆらゆらと。
「しかし、エリアスもキミ自身の色になったのだね」
「ふふ、エルツも自分と似た色になりましたね」
 二人が並んで歩き出せば、昏い世界も冴え冴えとした光に満ちて。
 二人の髪色を写した光が、足取りに合わせて弾ける星屑と成る。
 その星屑が弾けた後に、花束を解きほぐしたような大きな星々が燦めきだせば。
 エリアスは、うとりと息を零し。
「僕、深い海のような……その色、とても好きなんです。見るとほっとして」
「俺も、その空を映した水面の色、好きだよ」
 星光が写り込んだ、青い宝石の光を瞬かせてエルツは頷いて相槌を。
 視線を交わして花笑む二人の色が、まじって、弾けて。
 歩む度に彩られる、――常夜の天蓋を留める星々の輝き。
 その美しさに瞳を奪われてしまえば、その奥に眠る『封じられた存在』をもうっかり忘れてしまいそうになる。
「きれい、ですね……」
「うん、綺麗だね」
 その美しさはアルダワの学生たちが、よく訪れるという事も納得の光景だったものだから。
 エリアスの言葉に、エルツもすんなりと頷き。
 瞬く星に似た魔力の光に。……星に願いを、エリアスは乗せる。
 ああ、どうか。
 災魔が目覚めぬように、このまま星に眠っていることを。
 りんと二つの蒼を灯した、星のランプが揺れる。
 ――もう暫くだけでも、夢のようなこの景色を眺めていられる事を祈るのだ。
 この優しい時間を、もう少しだけ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

花剣・耀子
夜はきらいじゃあないわ。
星灯りや人灯りがあるなら、尚更ね。

冴えた青色のひかりをこぼすランプを手に、気儘な散策。
急ぐでもなく、止まるでもなく。
普段は駆けてばかりの足だけれど、今の所はゆらゆらふわふわ。

星を連れて歩くのは、大分メルヘンだわ。
……嗚呼、これは楽しい。楽しいわね……。なるほど。
皆も誘えばよかったかしら。
人気になるのも頷ける、から、早々に丸く収めて学生さんたちに返しましょうか。

……、高いところを歩いたら、その辺りも灯るのかしらね。
偶に軽く宙を踏んで、星屑をこぼしながらゆきましょう。
頭をぶつけないよう気をつけて。

多少迷ったところで大事にはならないでしょうし、
散策は偶然を楽しみたい派なのよ。



●逢魔ヶ時の少女
 瞳を眇めた花剣・耀子(Tempest・f12822)は、蒼の奥に瞬く光を映し。
 ――夜は嫌いじゃあない。
 蒼を映す燈火に星屑連れて、歩み生まれる星は冴え冴えと。
 普段は駆けてばかりの足だけれど、今日ばかりはそぞろ歩き。
 悠々と夜色の迷宮に、星の瞬きを生み出し歩む。
「……嗚呼、これは楽しい。楽しいわね……。なるほど」
 口元に指を当てて、うん、と誰も居ない空間に頷く耀子。
 星を連れ歩くのは、とってもとってもメルヘンで。
 こん、と壁を叩いてみれば蒼が散る。
 自らの力でぱっと鮮好たる星々が生まれる様は、御伽話の中の住人にでも成ったような気分だ。
 これはアルダワの学生達に人気なのも納得だ、と耀子は呑み込み顔。
「皆も誘えばよかったかしら……」
 脳裏に過る同僚たちに、上司。
 ああ。
 でもあの人達、こういう静かな雰囲気に対応できるかしら?
 ふるる、と小さく顔を振った耀子は細く息を吐いた。
 ――まあ、それは兎も角。
 早々に丸く収めて、この迷宮を学生さんたちに返してあげましょう。
 そのためにも、散策は必要な事だ。
 そう、これもお仕事の一環。
 くっと地を踏み込めば、火花のようにぱちんと魔力が星彩と跳ねて。
 とん、とん、とん。
 壁を足場に、跳ねる軌道に制動をかけて、壁から壁へ。
 足を付いた場所から蒼の星が散って、はじけるように幾つもの明星が咲く。
 空中を蹴り上げる。
 天井に星が広がり――。
 にど、さんど。
 嗚呼。
 ……楽しいわね、コレ。本当に。
 気を抜いた瞬間にちょっとばかり天井に頭をぶつけたけれど、それはそれで綺麗な星が生まれたので結果オーライ。
 ええ、人を連れてこなくて良かったわ。
 暗闇に誘われるように、夜に蒼の光華を燈し。
 行く先を決めるでもなく、ゆうらりゆらり。
 今日は夜に迷おうか。
 今日は宵に惑わされようか。
 すこしくらい迷っても、今日は平気だろう。
 だってその歩みこそが、封印となるのだから。
 耀子は夜色に、黒曜の髪をさらりと流す。
 そぞろ歩き、星を連れて。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

右手にランプ左手には…矢張りこれだろうと
笑みと共に手を差し出しつつ宵と共に迷宮の入口へ
ランプが己の力を光に変える、か
どの様な色になるか楽しみだなと、そう声音を投げつつ足を進めて行くも
己の周囲にふわりと青みを帯びた銀の色が煌けば同じく光を放つ相手と顔を見合わせ笑みを向け合わんと試みようか
淡紫の光とは、やはり宵らしいな…と
ああ、本当に夜空の中に居るようだな
…宵と俺が生み出した星々、か
まるで二人で世界を生み出しているようだな
そう呟くも宵の言の葉を聞けば繋いだ手の力を込め強く絡め治そう
ああ、そうだな。お前とならば何処に行っても幸せだろう。俺にとっても、お前が世界だから、な


逢坂・宵
ザッフィーロ君(f06826)と

左手にランプ、右手はかれと手を繋いで迷宮を探索しましょう
ええ、楽しみですね
きみの瞳のような美しく白いきらめきであるならば良いのですがと応えつつ
進んでゆけばかれを象る色のような青みのある銀の輝きが満ちていけばやっぱりと笑って
僕の周りには淡紫のきらめきが浮遊することでしょう

互いに笑みを交わしつつ
ええ、まるで天の川の中にいるようです
ふふ、僕ときみだけで生み出した世界、ですか?
それもとても素敵ですねと笑って
きみの色と僕の色のきらめきに満ちた世界なら、いつまでもずっと居たいですね
まぁ、きみと一緒にいる世界ならどこでもいいのですが
きみがいる場所が、僕の世界ですから



●星生み
 夜闇を照らす、星の燈火を握る手。
 逆の手は、しっかり君と手をつないで。
「きみの瞳のような、美しい白であれば良かったのですけれどね」
 くつ、と喉を鳴らして笑った逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)が瞳を細めて呟く言葉。
 きみの瞳の色。
 ザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)の持つ、星ランプに灯る色は蒼帯びた銀光だ。
「その光の色は、宵らしいと思うがな」
「ふふ、僕も実はそうは思うのですけれどね」
 宵の言葉も本気では無い、只の願いではあったのであろう。
 宵らしい色。
 彼の瞳と同じ、淡紫の光を宿した星ランプを揺らして宵はまた笑う。
 星屑をぱちぱちはねさせて、二人手を繋いで進む、夜闇の道。
 歩みを星光が追いかければ。
 寥寥としていた闇に、青銀と淡紫の光帯びた星彩が幾つも天に地に生まれ満ちる。
 それは宵の本体にも無い、新しい夜空の道だ。
「ああ、本当に夜空の中に居るようだな」
「ええ、まるで天の川の中を歩いているようです」
 辺りを見渡したザッフィーロが、ほつりと呟き。
 あど打った宵が昏い迷宮に落とされた星明かりへと、視線を落とす。
「――宵と俺が生み出した星々、か。……まるで二人で世界を生み出しているようだな」
「僕ときみだけで、生み出した世界、……ですか?」
 次がれたザッフィーロの言葉に、ぱち、と瞳を瞬かせた宵が首を振って。
「……それも、とても素敵ですね。きみの色と僕の色のきらめきに満ちた世界なら、是非いつまでもずっと居たいものです」
 なんて。
 宵はどこかの世界の神話で、国生みの神が世界を混ぜた矛のように。
 閑雅とランプを掲げて、円を描くように空をかき混ぜる。
 星が揺れて、揺れて、星屑散らし。
 散った煌きは、新たな星彩と星を生み。
「ならば、俺の色も足さねばな」
 肩を上げて笑ったザッフィーロが、生まれたばかりの星々に青銀を散らす。
 ちらちら光る、闇を照らす星光。
 二つの色が重なった、彼らだけの新たな星図。
「……まぁ、きみと一緒にいる世界ならどこでもいいのですが」
 いかにも眩しそうに瞳を細めた宵は、華笑み絶やさずザッフィーロを見やり。
 きみがいる場所が、僕の世界ですから、ね、と。
「ああ、そうだな。俺にとっても、お前が世界だ」
 ――お前とならば、何処に行っても幸せだろう、と。
 ザッフィーロも優しく眦を下げて、宵に応じた。
 彼らの色に満ちた世界で交わされる、密やかな二人だけの言葉。
 星空によく似た迷宮の中、彼らはひとときの神遊び。
 片手には、星の燈火。
 逆の手は、しっかり君と手をつないで。
 星屑散る足は、二人の世界の道行きを示すよう。
 ――二人の世界を、二人で歩いて行こう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

都槻・綾
f09129/ユルグさん

往くは幽冥の夜の底
一足ごとに星が零れるから
いつしか高天原を歩く心地にも

まるで天地開闢を担うかのようではないですか
我々は新たな宙を拓くのですよ

大仰を澄まし顔で嘯いた後
ゆるり掲げる星燈

秘色の灯火に浮かぶかんばせは
悪戯な笑みに綻んで

…さそりの火みたいですねぇ

傍らで灯る鮮やかな紅へと
眩げに双眸を細める

あなたは
何の為に生まれ
何の為に其の身を捧げますか

銀河鉄道の物語に準えての言葉遊び
応えを待つ間も宵闇逍遙
ゆったり歩むようにも
水辺を跳ねるようにも
足取りまでも気儘

軌跡に咲く星々は
どんな星座を描くだろうか

遊びをせんとや生まれけむ、ですよ

あなたと在る此のひと時にこそ
意味があるのだと楽し気に


ユルグ・オルド
綾(f01786)と

天の上とも地の底とも知れず
ぐるり見回す感嘆の声は素直に

そらまた随分仰々しいなァ
それなら今は世界に二人っきりで
ほんとうの神様にもなれるってか
掲げば星がまた一つ
新しい世界を彩って

融け出しそうな秘色を横目
いらえて笑えば緋色の星を
問いにはふと息吐いて
向ける視線は遠くの星へ

焼くよに照らせどそのうち尽きる
さァ、戦うためじゃアないかしら
得る筈もない答えへと戯れにのって

綾は、その答えを持ってるかい
尋ねる声も暗を辿る足取りも軽く
造られた光は水を擁した星のようで
なるほど新たに拓くだなんて暢気な話

ぽつり浮かべた宵の天は
いつか遠くと見上げるよりも確かに、
今歩く路を照らすだけで十二分かと



●ケンタウル露をふらせ
「――まるで天地開闢を担うかのようではないですか」
 幽冥たる道途、夜の底。
 矛の代わりに、秘色に灯る星明かりのランプを道標に。
「我々は新たな宙を拓くのですよ」
 高天原を歩むよう、と。
 都槻・綾(夜宵の森・f01786)は形の良い唇を笑みへと擡げ、我は顔で大仰を嘯き。
「ヘェ、そらまた随分仰々しいなァ」
 鮮やかな紅燈すランプを手にしたユルグ・オルド(シャシュカ・f09129)が、両肩を上げてあどを打った。
「それなら今は世界に二人っきりで、ほんとうの神様にもなれる、――ってか?」
 そうしてユルグはおどけた様子で、紅を掲げれば星がまた一つ。
 新たな星彩が、昏い夜道の中でぴかりと瞬き。
 掲げられた明かりに照らされた、綾の表情は悪童のように悪戯げ。
「……その明かりは、さそりの火みたいですねぇ」
 ――あれは何の火だろう。あんなに赤く光る火は何を燃やせば出来るのだろう。
 夜の闇を照らす、真っ赤な美しい火。
 真っ赤に燃える光に、眩しげに瞳を細めた綾はほつりと言葉を零す。
「あなたは何の為に生まれ、何の為に其の身を捧げますか?」
 それは銀河を駆ける鉄道の物語になぞらえての、言葉遊び。
 綾の秘色に視線を向けていたユルグは、ふ、と息を零して。
 雲居遥か。
 遠くに瞬く赤い光に視線を向けた。
 ――あのさそりのように、本当に皆の幸いのためならば、などと言える訳も無い。
 得る筈も無い答え。
 焼くよに照らせど、そのうち尽きる。
「さァ、戦うためじゃアないかしら」
 戯れに唇に乗せた答えに、ユルグは金糸の神を揺らして。
 さそりの火のように燃える星を、また一つ地へと生んだ。
「綾は、その答えを持ってるかい?」
「……遊びをせんとや生まれけむ、ですよ」
 あなたと在る此のひと時にこそ、意味があるのだと。
 綾の応えは気ままな足取りと共に、豁如と気儘に戯れるよう。
 彼の生む光は、水を擁した星のように瞬いて。
 ぴかぴかと瞬いて、星屑零すかかと。
 再びふ、と笑みに息を漏らしたユルグが、そのかんばせを左右に小さく振った。
「んふふ、なるほど。新たに拓くだなんて暢気な話」
 ほんとうのさいわいは知らねど、歩む足取りは軽いもの。
 紅と青の星々連ね、常夜に星を重ねて二人は歩む。
 ぽつりと導顔で浮かぶ星を、ユルグはいかにも眩しそうに見上げる。
 ああ、――いつか遠くと見上げるよりも。
 確かに、今歩く路を照らすだけで十二分、と。
 歩む限りは、じっさい、どこまででも行けるのだから。
 二人は燈火を手に、歩む、歩む。
 星を生んで、あの星に焦がれて。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朽守・カスカ
此処ではこのランプを使わねばいけないのか
使い慣れた自身のランタンはベルトに吊るし
いつもとは違う灯で、夜空を歩こうか

手にしたランプから揺らぐ灯の色は
私の瞳、髪と同じ、深い夜の色と夜明けの空の色
夜空を歩くのには
今ひとつそぐわない色のようにも思えるけれど
気にしてもしかないことさ

歩く速度はゆっくりと
火の粉のように
時折、灯りをランプを揺らせば
星々となって私の色が広がっていく

ふふ、やっぱり夜空にはそぐわない気がするけれど
たまにはこう言う星があってもいいだろうさ
それに、ほかの者達の星と混ざれば
きっと綺麗な星空になるさ

楽しい、ね



●星の導き
 ここではいつものランタンでは、いけないようだから。
 使い慣れたランタンはベルトに吊るして、いつもとは違う星を模したランプを手に。
 朽守・カスカ(灯台守・f00170)は深い夜と、夜明けの色。
 最初に見た、ものの色。
 瞳の空色を星の燈火に宿して、常夜の迷宮を歩みだす。
 明ける事のない夜には今ひとつそぐわない光にも思えるが、それがカスカの力の色ならば気にしても仕方の無い事だ。
 零れる星屑。
 幽冥たる明ける事無き夜に、夜明けと夜更けを燈しながら。
 カスカはゆっくりゆっくり、火の粉のように歩み行く。
 一人で歩む星の道は、朽ちた灯台からの眺めにも似て。
 その星彩は、普段の夜空とは全く違った色。
「……ふふ、やっぱり夜空にはそぐわない色だね」
 それでも、たまには。
 こういう星があっても、良いだろう?
 きっと他の猟兵が歩いた道なのだろう。
 鮮やかに輝く星々に、カスカの色が混ざれば。この夜を模した迷宮の中だけで見られる、ありえない色のありえない空。
 でもそれは、とても綺麗で、素敵で。
 いろんな世界にあふれる素敵なものを、混ぜっ返したみたいな夜空。
「そう、だね」
 夜を歩むカスカは、ふふ、とまた笑った。
 揺れる瞳は明ける事無い夜の中で、夜明けに揺れる。
 星を作る事は。
 素敵なモノを見る事は。
「……楽しい、ね」
 カスカの足取りに合わせて、星が舞い散る。
 腰のランタンは、今日は灯さなくとも。
 星明かりがこんなに眩しいもの。
 火を灯さずとも、星が灯る。
 今日はきっと、迷う事も無い。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リュカ・エンキアンサス
マリアドールお姉さん(f03102)と

ランプ片手に、星を巡る旅に出ようか
…俺の色、なんか暗いな。蒼いからかな
お姉さんは何色?
ああ。綺麗な色だ。明るいし、これなら迷う必要もないな

危険はないそうだから、念のため警戒しながらも
のんびり星巡りをしよう
すごいな。歩いた後がそのまま星になるのか
この辺の星がみんな、誰かの足跡なんだったら、ちょっとしたロマンを感じる
俺とお姉さんのもここに加わるんだね
…あ、お姉さん、そこ、段差あるから気をつけて
怖いものか…色々あるけれども今は饅頭が怖い
冗談。ちゃんと探索するよ

とか何とか。のんびりおしゃべりしながら進んで行こう。星の足跡を見落とさないように、前を見てまっすぐね


マリアドール・シュシュ
リュカ◆f02586
アドリブ◎

ケープ羽織りランプを持ってリュカと進むわ
ふふ、やっぱりマリア達を繋ぐのは「星」なのね
リュカの色もとっても綺麗よ?
マリアは…マリアの宝石の色…金に近い蜜金色かしら

リュカとの探検
心が躍るのだわ!
昏いけれどあなたとなら楽しいのよ
マリアの存在を覆い隠す夜闇を時折怖く感じてしまうけれど
…リュカはある?怖いもの

みんなが作る星の途…なんて素敵なの
思わずリュカの手を取ってはしゃいでしまうわ
まるで銀河を歩いてるみたい、綺麗ね
ねぇ、リュカ
またマリアと一緒に星を作りましょう?
とっておきの、ね?(即興で作った星の名お任せ
星がころんっ

まぁ!
ありがとうリュカ(舞う様に段差避け

星の跡を辿り奥へ


クーヴェルシュイユ・ティアメイア
わあ、きれい
こんな場所でデートできたら、すてきね
ひとやすみのおやつも、いっそうおいしくなりそう

燈すランプは青
グリモアとおんなじ、一番すきな色
そうと気づけば、うれしくて居てもたってもいられないわ
逸る気もちはぱたぱた鰭をはためいて
帽子を整え、気分はさながら童話の魔女
さあ、星を蒔きましょう
たかく掲げて
ひくく揺らして
くるりくるり
星の渦に、わたくしは游ぐの

游いで
鰭を踏んづけて
べしょっ、とこけるわ
いたい

転がって星々を眺め
ケビちゃんが言ってたけど、夜はすきだよ
晴れた夜がすき
海と空が混じって、ひとつになって
ぷかぷか浮かぶわたくしは
星のそらうみの、まんなかにいるの
いまのここちと、似てるね

ねむたくなってきちゃった



●そらあるき
 星を模したランプを手にリュカ・エンキアンサス(蒼炎の・f02586)が迷宮へと足を踏み入れると、灯った光はリュカの瞳の色と同じ色。
「……俺の色、なんか暗くない?」
 しかし闇の中で燃える蒼は、なんだか常夜の道を歩むには心許ない色に見えて。
 リュカはマリアドール・シュシュ(蜜華の晶・f03102)へと振り向き、首傾ぐ。
「ねえ、お姉さんは何色?」
「マリアはね、この色よ!」
 花笑み浮かべるマリアドールは、ケープを羽織って。
 瞳の石と同じ色、星に灯したはちみつ色の明かりを揺らす。
「ああ、綺麗な色だ。――明るいし、これなら迷う必要もないな」
「でも、リュカの色もとっても綺麗よ?」
「そう? ありがとう。でも、やっぱり少しだけ夜を歩くには心許ないから。……頼りにしてるよ、お姉さん」
「ふふ、マリアにお任せあれ!」
 リュカにお願いをされてしまえば、いかにもおかしげにマリアは鈴を転がすように笑い。
 昏い道でも、あなたとならきっと楽しいのよ、と。
「さあ、心が踊る冒険の始まりね!」
「うん、行こうか」
 二人の足取りに合わせて、魔力の星屑がぱちぱちとはじけ。
 蒼とはちみつ色の星明かり零して、二人は歩みだす。

「――わあ、きれい」
 手にした星の燈火は、クーヴェルシュイユ・ティアメイア(沫浹・f01166)のグリモアと同じ色。彼女がいっとう好きな、青色が宿されている。
「こんな所でデートできたら、きっとすてきね」
 帽子をぎゅうと整えてから。
 はたはた鰭をはためかせたクーヴェルシュイユは幽冥を照らし、夜を恐れずに歩みだす。
 大きな帽子は、魔女の帽子。
 青の燈火は、魔法のランプ。
 今日ばかりは、クーヴェルシュイユは童話の魔女と。
 ふわふわと青い髪を遊ばせながら、ぽーんと跳ねれば青い星が生まれる。
 星をからから、ランプを高く掲げて、ひくく揺らして。
 くる、くる、舞うような、踊るようなステップを踏む。
 深い海を泳ぐように、明ける事の無い夜に舞う。
 青の星が、ぱっと花火みたいに花開けば。
「きれい、きれいねえ」
 わあと、クーヴェルシュイユは耳をぱたぱた。
 いちばん好きな色、青の星が、たくさんたくさん。
 甘い瞳の色をとろりと揺らして、クーヴェルシュイユはくすくす笑った。
「もっと、もっと、沢山星を撒きましょう!」
 そうすればきっと、ひとやすみのおやつもいっそうおいしくなるだろうから。
 そうして、星の渦をふわふわと游ぐクーヴェルシュイユは――。
 べしゃっ。
 鰭を踏んづけて、転んだ。
 ……いたい。
 うう、とうつ伏せから寝返りを打ったクーヴェルシュイユは、幾つもの星が瞬く天井を見上げ。
 そこにはクーヴェルシュイユの青だけでなく、様々な色の星が瞬いていた。
 脳裏に過る、転送してくれたテレビウムの言葉。
 夜は好きかい。
「……夜は、すき」
 晴れた夜がすき。
 海とそらが混じってひとつになる、深い色の海が好き。
 そんな海に、ぷかぷか浮かんで。
「――わたくしは今、星のそらうみの真ん中にいるのね」
 くすくす、と笑った。
 だってなんだか海でぷかぷか浮いている時のここちと、似ていたものだから。
 ……偽物の空なのに、こんなに綺麗。
 おやつはもう少し、後でもいかな。
 なんだか、ねむたくなってきちゃったもの。

 リュカとマリアドールの歩む道は、他の猟兵も歩んできたのであろう。
 様々な色の星が混ざる天と地に。
 二人の歩みに乗せて、蒼とはちみつ色が新たな星彩を描き出す。
「すごいな。歩いた後がそのまま星になるのか」
 瞬きを二度重ねたリュカが、蒼の瞳にその星々の輝きを映して揺らし。
 この星光が、みんなみんな誰かの足跡なのだとしたら。
 ――ちょっとしたロマンを感じる、なんて。
「みんなで作る星の途だなんて、なんて素敵なの!」
「俺とお姉さんの星も、ここに加わるんだね」
「まるで銀河を歩いてるみたい、綺麗、綺麗ね!」
 星の瞬きに嬉しくなってしまったマリアドールはリュカの手を取って、ぴょん、ぴょんと跳ねる。
 彼女が跳ねれば、ランプより零れた星屑がぴかぴかとはちみつ色の星を撒き。
「あ、お姉さん。そこ、段差あるから気をつけてね」
 危険は無いとは聞いていたけれど。
 一応気を張っていたリュカは彼女が握ったままの手を危ないよ、と、こちらにきゅっと引いて。
「まあ、ありがとうリュカ!」
 引かれた手にまた笑んだマリアドールは、舞うようなステップで段差をぴょーんと飛び越えた。
 段差を越えて曲がった先は、先の見えぬ幽冥。星明かりも少なく、昏い道。
 その闇色に背をぞっと震わせたマリアドールが、先程とは打って変わって息を呑み。
「……ねえ、リュカ。リュカは怖いものってあるかしら?」
「……ん? ……怖いもの?」
 突然の質問。
 リュカは星宿したマフラーの位置を持ち上げて、瞬きを重ねてから。
「色々あるけれども、今は饅頭が怖い、かな」
「それって、その次はお茶が怖くなるのね?」
「そう、そう」
「リュカ?」
 マリアドールの言葉に、ふと吐息を漏らして。
 唇を少しだけ擡げたリュカは、瞳を細める。
「冗談だよ、さあ行こうか」
「もう!」
 怖い気持ちも忘れてしまったマリアドールは、星明かりをからからと揺らして。
「ふふ、でもやっぱり、マリア達を繋ぐのは『星』なのね。――……ねぇリュカ、またマリアと一緒に星を作りましょう?」
 とっておきの! と。
 一番大きなはちみつ色の明星をマリアドールは指差した。
「……ん、そうだね」
 帽子の鍔を擡げて、彼女の指差した先をリュカは見つめ――。
 金平糖なんて、どうかな。
 偽物の空に瞬く、偽物の星に甘い名前を一つ。
 星の足跡見逃さぬように、前をみて、まっすぐに二人は歩みゆく。
 蒼とはちみついろの、星の足跡を残して。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『宝石人形』

POW   :    【ダブルUC】ジャムバレット+テレポアタック
【宝石弾で対象を攻撃する。また、敵意】を向けた対象に、【瞬間移動で任意の場所に転移し、両手の剣】でダメージを与える。命中率が高い。
SPD   :    【ダブルUC】テレポアタック+彼岸の投剣
【敵意を向けた対象に、瞬間移動で任意の場所】【に転移し、両手の剣でダメージを与える。】【また、複数人で投擲する様に剣】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    【ダブルUC】ジャムバレット+スーサイド・ドール
【宝石弾で対象を攻撃する。また、中枢の宝石】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【瞬間移動後、対象に自爆攻撃を行う状態】に変化させ、殺傷力を増す。

イラスト:せつ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●星空の落ちる音
 一度封印が弱まってしまった隙に、彼女たちはきっと目覚めていたのであろう。
 そうして再び動き出せる時まで、身体を休めていたのであろう。

 かしゃ、かしゃと、球体関節の擦れる音。
 ぱちん、ぱちんと、猟兵達が星を生む端より泡沫の弾ける音を立てて星彩がはじけ。
 かっ、かっと、つまんだ下駄の音を響かせて。
 彼女たちは、異変の始まりを音で告げる。

 両手に握った刀を返して振り抜けば、斬り上げられた星が落ちる。
 星明かりに、白髪を照らさせて。
 何処からともなく大量に現れた屑石を胸に抱く宝石人形達は、迷宮に瞬く星を斬り。星に向かって弾を放つ。

 星が減れば、自分たちが動く事ができたのだから。
 星を壊せば、自らを導いてくれる『宝石』の封印も解けるだろう事を、彼女たちはもう知っていた。
 かしゃん。
 天地に瞬く星を、人形達は睨めつけて――。
 
ミリィ・マルガリテス
嗚呼ーー!
機械仕掛けの胸が悲鳴をあげるように軋む
あなたはわたしと同じ
あなたはわたしと真逆
『創られた』人形の持つ
数ある運命の1つだった
その虚ろな瞳に見つめられると涙が零れそう

けれど、耐えて顔を上げて
微笑みとカーテシーを捧げましょう
幕引きはどうか安らかに、優雅に…

「ねえ、わたしと踊りましょう?」

こちらへおいでと【誘惑】しながら
メアリーアンブレラの【浮遊】で宙に舞うわ
星が堕ちるほどわたしが有利になる…
【闇に紛れる】で暗闇に身を隠して

ーーごめんなさい
あなたの宝石を目覚めさせるわけにはいかないの
人々の拠り所の星もどうか堕とさないで
そして、どうか安らかに…
【祈り】を込めて
『Prism Waltz』を贈るわ


佐那・千之助
星破壊に首傾げ、淋しげに微笑
そう邪険にするな
夢を砕かれては、心折れるじゃろ

嘯く柔さから一転、剥いた瞳に力宿し
常は炎の一手
今は星への被害を最小限にするため武器は拷問具、内に鉄牙生やす枷
幼少期母がこさえた遊び道具、己の腕の延長のようなもの
今回は血の無い相手。自分の指先刻み血を吸わせ稼働

人形の首目掛けて放つ枷と
半ばまで重なる軌道で腕狙う本命の枷の2回攻撃
捩じ上げる圧で拘束、引き摺り倒し、破壊、繋ぐ鎖は炎の導火線に
負傷すれば自分の血を吸う枷が凶暴化

自爆は第六感で避け爆風はオーラ防御
装備武器が解除された瞬間カウンターでUC攻撃
燃えるのは意識の矛先のみ、延焼しない

とても優しい、この場への感謝を力に変えて。


ミラリア・レリクストゥラ
……?何か、向こうから妙な… !

【WIZ】

向こうの封印の光が消えて…いえ、「消されて」います!
これ以上させるわけには…唄で、捕縛…あ。
………封印は…(壁の物をそっと触り)うう、無機物ですね……あの唄は無理です…

直接戦闘に参加しては足手まといなだけですし…かといって、任せきりにするわけには。
…そうですわ!夜空のような道ですけれど、ここは地下迷宮。大地の真っ只中。
私の【地母の恵み】は、それこそ最大の効果を発揮いたします!
声の届く限り、皆さんの体は驚異的な回復力を見せる筈!

この唄は歌詞もありませんから、妨害も…ちょっと痛いでしょうけど、怖くありません!
全身を使った【大声】で届けさせていただきます!


ルネ・プロスト
……完全に出遅れたかな?
まぁ、ルネはもしもの時のためにここに来たわけだし
いっそ封印が解けてしまった方が好都合ではあるのだけれど

人形達は死霊憑依&自律行動
森の友達は敵の転移を警戒

開幕UC
中空に転移した敵や剣の投擲はナイトの纏っている暴風をぶつけて吹き飛ばす
暴風でバランスを崩した敵はそのままナイトを突撃させてランスで貫く
ポーン8体は味方の行動に合わせて援護射撃
ルーク2体は盾受けで味方の護衛
ビショップ2体はオーラ防御でルネの防護に専念

君達と戦うのもいい加減、慣れたというか
マンネリを感じざるを得ないかも
3回も4回も戦ってれば仕方のないことかもしれないけど
うん、でも油断せずに壊さ(弔わ)せてもらうけどね



「……? 何か、向こうから妙な……」
 静かな夜空に響く、甲高い音。
 何かがぶつかる嫌な音、それはまるで剣戟の響きのようで。
「!」
 ミラリアが音の元へそうっと向かうと、ぴかぴかと瞬く瞳に驚きの色を宿した。
「……封印の光が消え……、いいえ、消している……?」
 彼女が見たモノは、星へと斬りかかり、弾を放ち。星を堕とす宝石人形達の姿。
 ――そして、その者達と交戦する猟兵達の姿であった。
 ルネは死霊を憑依させた兵人形達を、一斉に舞い踊らせ。
 転移してきた宝石人形が振り下ろす刃を、ナイト人形が暴風纏う突撃槍で弾き返す。
 斬り込みをスカされて身体を泳がせた宝石人形へと、銃剣を構えたポーン人形が一気にその弾を打ち放ち。
 煌めく朱刃。
 周りを囲むように姿現した宝石人形達は、一斉にルネに向かって剣を投擲する!
 その中心で鋭く地を蹴って踏み込んだ、ルーク人形が主を守るべく盾を構えて。
 ビショップ人形はその守りを更に強固とするべく、オーラの防御を重ねた。
「……君達と戦うのもいい加減、慣れたというか。マンネリを感じる所だけれどね」
 呟いたルネは、瞳を眇め。
「そりゃ、何度も戦っていれば仕方のない事かもしれないけれど……」
 ナイト人形へと魔力を流し込めば、その姿は鎧纏う人馬と成る。
 鋭く嘶くように前足を擡げると、周りを囲む人形達へと紫電纏う暴風を叩き込み人形の身体を弾き飛ばした。
 刹那。
 暴風をなんとか掻い潜って、ルネに迫る宝石人形の刃。
 ビショップ人形がオーラの盾を前に。
 刃を弾きルネを抱き上げると、大きく跳ねた。
「――うん、まあ。油断せずに弔わせてもらうけどね」
 人形の腕の中、ルネは呟いた。
 ――あの子達は、ミリィと同じ。
 あの子達は、ミリィと真逆。
 ――『創られた』人形は、『創る』者を選ぶ事は出来ない。
 優しいゆびさきに触れたのはミリィであった。
 冷たい夜の下に封印されたのは、あの子達であった。
 何か一つ違えば、あそこにいるのはミリィだったかもしれない。
 何か一つ違えば、ここにいるのはあの子達だったかもしれない。
 数ある運命の一つの中。
 嗚呼。
 ミリィの胸が、軋む。
 それはまるで悲鳴をあげるように、嘆くように。
 カーテシーを『在り得た運命』へと捧げたミリィは、甘いフリルの付いた傘をぱっと広げて笑む。
「ねえ、わたしと踊りましょう?」
 せめて、せめて。
 彼女たちの幕引きが安らかに、優雅なモノとなるように。
 ずいぶんと堕ちてしまった星の前を駆けて、ミリィは舞う。
 こちらにおいで。
 ミリィが傘を擡げた、その瞬間。
 宝石弾が一直線に彼女へと向かい――。
「!」
 ――そこへ、陽光が駆けた。
「……そう邪険にするな。夢を砕かれては、心折れるじゃろ?」
 ちりちりと燃え爆ぜる火の粉。瞬きの減った星空を遠くに見やって、千之助は囁いた。
 滴る鮮血。
 腕で受けた宝石弾が、炎に焼かれてぱらぱらと零れ落ちる。
「大丈夫か?」
 寂寥宿した眦に、笑みを乗せて。
 陽光に似た髪を揺らしや千之助は、ミリィに訊ね。
「メルシ、大丈夫よ、……でも、あなたが……」
「む」
 次いで。
 空間を飛んで来た宝石人形が自らの宝石を砕けば、流れる自らの血を吸わせた拷問具――鉄牙を具えた枷を叩き込んだ。
 鎖で円を描いて、そのまま思い切り遠くへと投げ飛ばせば、その場で自らの石を砕いた宝石人形が爆発する。
「構わぬよ、気にするでない」
 そしてミリィへと振り返って。
 どうせ武器の起動に血は必要だったのだから、と千之助は首を振る。
 そこに、甘い旋律が耳をついた。
「Ah――――……」
 歌詞の無い歌。
 地を震わせ、地母の加護を仲間たちに与えるその旋律は、ミラリアの奏でるもの。
 自らが戦う為の力を発揮するには、この場所では難しいと判断したミラリアは歌っていた。
 夜空のように見えても、この場所は地下迷宮。
 大地の恵みの加護を宿すには、ぴったりの条件だ。
 その歌声は皆の傷を癒やし、心を癒やす。
 その声が届く限り。
 その歌が届く限り。
 皆の心を震わせて、癒やしを運ぼう。
 その方が――直接戦うよりも、ずっと足手まといにはならないと、ミラリアはそう判断したのであった。
「む、血が止まったの」
「まあ、良かったわ!」
 千之助が瞬きすれば、ミリィがにっこり微笑んで。
「癒やしの加護が共に在れば、傷ついても怖くはないのう」
「ええ、とっても素敵な歌声だわ。恐れず――人々の拠り所の星々を守りましょう」
「うむ」
 花笑んだミリィの言葉に頷いた千之助が瞳に宿すのは、力強き光。
 振り返りざまに宝石弾を避けると、燃えさかる炎のように枷を振り上げ。
 空間を駆ける人形の首へと鋭く投げつけられた枷。
 宝石人形が交わした刃でそれを弾くと、影に隠れてもう一つ投擲されていた枷が首を捉えた。
「……はあっ!」
 千之助は捻る圧で人形を捉えながら、引きずり倒し。鎖を引けば炎が爆ぜる。
「――……、ごめんなさい。あなたの宝石を目覚めさせるわけにはいかないの」
 柔らかく瞳を閉じたミリィは、傘を広げてくるりとステップを踏んだ。
 これは、やさしいあの指先の残してくれた花弁。
 どうか、どうか、安らかに。
 ミリィは祈りを籠めて、桃薔薇の花弁を渦と化して。
 飛びかかってきた人形たちへと、解き放つ。
「しっかしキリがないね」
 ビショップに抱かれた侭、眉を寄せたルネがぼやくように呟く。
 人形を弔いに来たルネとしては、封印が解けてくれたほうがある意味好都合ではあるのだけれど。
 数が多いと厄介には違いはない。
 自爆をした宝石人形の爆風に防御を重ねた千之助は、肩を竦めて。
「しかし、癒やしてくれるものも居るでの、負ける気はせんのう」
 地獄の炎を視線の先で燃え上がらせながら、陽光の髪を掻き上げて小さく笑った。
「そうね!」
 同意を重ねたミリィが、傘を広げてぽーんと跳ね。
 甘いミラリアの歌声が世界を震わせる。
 この優しい夜空を護るが為に、猟兵達は剣戟を重ねて――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

逢坂・宵
ザッフィーロ君(f06826)と

自ら封印する星々を斬り落として回るのですか
その行動は感心しますが……
僕らの星にも刃を向けるとは、実に不埒な者たちですね

「拠点防御」にて防衛を固めつつ
瞬間移動に対しては「野生の勘」「第六感」により察知を試み
襲撃を察知できたならば「オーラ防御」で防ぎつつ
「カウンター」による「マヒ攻撃」でその個体の動きを止めるよう努めましょう

かれに対しては暴れますねぇと笑いつつ
援護としてかれの死角にあらわれた敵を【ハイ・グラビティ】で「吹き飛ばし」ていきましょう
かれには指一本触れさせませんし、傷つけさせはしませんよ
僕たちとこの星に刃を向けたのです、無傷で帰れるとは思ってはいますまい?


ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

己と宵の魔力の籠る光に刃を向けられれば地を蹴り『盾受け』にてその攻撃を受け止めんと試みよう
己らを封印する星を墜として回る判断は解らんでもないが…
俺と宵の星々に触れられるのは気分が良くないのでな

瞬間移動が厄介故『第六感』と『聞き耳』を使い空気が揺れる様を追いつつ
敵が現れたなら『盾受』後敵の腕を掴み【鍛錬の賜物】にて床に叩きつけんと試みようか
…掴んで居れば移動出来まい?
その後は掴んだ敵を振り回し敵らを『なぎ払い』攻撃を
もし宵の傍に敵を捉えれば掴んだ敵を武器に『武器』受け後、メイスにてカウンターを

又宵に助けられれば助かったと笑みを
ああ、俺達の星と宵に刃を向けた事とくと後悔させてやろう



 瞬く光が爆ぜた瞬間。
 宵を庇うように前に出たのはザッフィーロであった。
「……ふ、ッ!」
 鋭く吐き出された呼気。
 交わし掲げた腕より現れた、淡く光るエネルギーの盾が一直線に飛んできた宝石弾を弾いた瞬間。
 目前に白髪の少女人形が現れていた。
 袖を靡かせた彼女は、両手にしっかと握られた紅刃を叩き落とすように振り抜き。
 盾を顕現させている手袋を支えるように掌を添えたザッフィーロは、夜空のような地をしっかりと踏み込み耐える。
「これは……、星々を斬り落として回っているのですか?」
 ザッフィーロの盾に星纏うオーラを重ねた宵は、たった今斬りかかってきた少女――宝石人形と同じ形をした人形達が、夜空の星へと攻撃を重ねる姿を視線の先に捉えた。
「そうか、……己らを封印する星を、墜として回る判断は解らんでもない」
「ええ、その判断自体は鋭い判断。感心すら覚えはしますが……」
 振り落としきった腕が盾に弾かれ、人形が腕を緩めた瞬間。
「俺と宵の星々に触れられるのは気分が良くないのでな」
 盾を解除したザッフィーロが後退しようとした片手を引っ掴み。
 わずかに左足を引いて人形の下に身体を潜り込ませると、そのまま右足を軸に身体を捻って背負投げた人形を床へと叩きつけた。
 仲間が叩き落された音に、交戦を見た遠くで星を斬っていた人形達が二人をキッと見やり。
 光を瞬かせて弾を叩き込んだかと思えば、盾を再び構えたザッフィーロの目前へとその姿を現した。
 そして、ぴかりと少女の胸に宿った宝石が瞬き――。
「そうですね、……僕らの星にも刃を向けるとは実に不埒な者たちです」
 宵帝の杖を真っ直ぐに構えた宵がぴっと杖の先を示すように撓らせると、見えぬ圧に少女が後ろへと弾き飛ばされた。
 そうして背を強かに壁へと打ち据えたかと思うと、その胸に埋まった宝石が光を膨れ上がらせて少女人形が爆散する。
「……おや、自爆とはなかなか肝の据わった……、そこまでして封印が解きたいのですね」
 人形たちにマトモな自我は無く。
 目的のためならば手段を選ばぬ事を理解した宵は、改めて身を低く構え直し。
「助かった、宵」
「いいえ。ザッフィーロ君には、指一本触れさせませんし。――傷つけさせやしませんよ」
 宵の答えに小さく笑ったザッフィーロは、床へと叩き込んだ少女人形の腕を掴んだまま。
 勢いをつけて、思い切り振り上げる。
 跳ね跳んで来る宝石弾の軌道を、宵は構えた杖で弾き。
 弾が爆ぜ飛ぶ度に次々に瞬間移動を重ねる人形達へと、ザッフィートは半円を描いてあたかも武器かのように人形を叩き込む。
「さあ、俺達の星と宵に刃を向けた事。とくと後悔させてやろう」
「ええ。僕たちとこの星に刃を向けたのです、無傷で帰れるとは思ってはいますまい」
 暴れますねぇ、なんて肩を竦めて笑った宵は杖を構え。
 人形を手放したザッフィーロと、背中合わせ。
「人形達に、目にモノを見せてやるとするか」
「お任せを」
 そのまま二人は、次々と襲い掛かってくる人形達へと向き直り――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リンセ・ノーチェ
封印解けちゃったのか!
UCフォルテに【騎乗】迅速に立ち回る
状況次第で【空中戦】に持込む
的になりやすいかもだけど
敵が飛べないなら少し有利
【フェイント】で動き敵の狙いを操作も可能だし
フォルテと僕の【野生の勘】【視力】
時に【聞き耳】【見切り】も使い【動物と話す】で意思疎通し
敵攻撃を回避

懐のSnow Whiteが飛び出しかけ慌てて掴みはっとする
『前に戻ったみたい』?とんでもない!
戻ろうったって戻れない
約束も大好きな人もどんどん増えて
でもさっきの時間は無駄じゃない
二人だって言わないよ
「…うん!」
【勇気】満ち銃で【二回攻撃】
攻撃弾き敵に撃ち込んでく
後がないか気にしなくて良い時
ロッドで【全力魔法】を叩き込む


クーヴェルシュイユ・ティアメイア
ふあ
ついうとうとしちゃったの
……よだれは垂らしてないわ
お菓子の夢なんて、みてないもの
でも、きもちよかった
わたくし、ここが気に入ったよ
またあそびにきたいな

だからね
お人形さん、おいたはだめよ
ルルを旋せば、風切る音が空腹を訴える
おそろいね、わたくしも口さみしいの
さあ、おやつの時間だわ

自傷か被弾で【暴食】
わ、琥珀糖みたいでかわい
撥いた弾を口に放りつ
手首の関節部を貫き武器封じを狙うわ
きみは……なんだか薄味そう
味見はよしておくね

ぱちんぱちんて、はじける飴みたいにおいしそうな音をたてて
星を壊しちゃうくらいなら、わたくしがいただきたいわ
なんて、うそよ
食べちゃいけないものの区別くらい、ちゃんとつくもの

たぶん、ね


旭・まどか
忌々しい
星を壊さんとすることも
それを、事前に阻止出来なかったことも

機械に叙情を呈する余地は無いか?
それとも、敢えてそうすることを良しとしたのか
――……愚問だった
お前たちに問うた所で応えなんて、返ってくる筈が、無かったね

おいで
再び時を停めよう
元々眠っていたのだから、再び眠りに就くだけだ
何も、難しいことは無いだろう?

敵意に敏感なんだ
僕から離れ過ぎない様、気をつけて立ち回ってくれる?

向かってくる弾も剣も弾き落として
陸上で逃げることが難しそうなら
その両翼と共に空へ逃れるとしようか

感情を受け取れる機関があるんだ
どうせならもっと別の感情を受け取れれば
お前たちは尚、輝きを孕んだ侭で居られたのかもしれないね



 尾鰭をピルピル震わせて、ぐぐーっと伸び。
 クーヴェルシュイユは瞳を軽くこすって、逆の手で上品に唇を覆う。
「ふぁ……、つい、うとうとしちゃったの」
 よだれだって垂らしてなんかないし、お菓子の夢だってみてない。
 本当よ。
 でも、星を見て寝転がるのはとても心地よかった。
 クーヴェルシュイユは、本当にここを気に入っていたのだ。
 またあそびにきたい、と思ったのだ。
「……それにしても、ずいぶんと星が無くなってしまったようだわ」
 言葉を口にして首を傾げたクーヴェルシュイユも、それは異変だと気づいている。
 地をてっと蹴った彼女は、異変を探して駆け出し――。
 ばさっと空を切って駆ける翼音を聞いた。
「フォルテ、頼んだよ」
 リンセの言葉にくっと喉を鳴らして応じた琥珀色のヒポグリフが、刃振るう宝石人形をなぎ倒し。
「まあ、お人形さんたちがおいたをしていたのね」
 ぱちぱち瞬きを重ねたクーヴェルシュイユが、驚いたように言った。
 そうしてユテュリカ・ルル――三叉のデザートフォークを振りかざして構えると、尾鰭をまた揺らして。
 そのフォークが風を切る音はまるで、空腹を訴えるよう。
「おそろいね、わたくしも口さみしいの」
 とん、と大きく地を蹴ったクーヴェルシュイユは、先程までいた足元へ撥ね飛ばされてきた宝石弾をフォークで貫き。
「わ、琥珀糖みたいでかわい。……とっても」
「君、あぶないっ!」
 何かを言いかけたクーヴェルシュイユへと向かって、空間を駆けて突然現れた人形が刃を振り放つ。
「わっ」
 フォルテを駆けさせたリンセが精霊宿す銃を放って人形を牽制しながら、フクーヴェルシュイユの腕を引く、が。
 クーヴェルシュイユは直撃こそ避けど、刃に引っ掛けられた腕の皮膚がぱつりと裂けて、零れる血が白い肌を伝っていた。
 その朱がフォークに落ちれば、――ユテュリカ・ルルの封印がとろりと解けた。
「ねえ。キミ、ありがとう」
 礼を口にしたクーヴェルシュイユは花を咲かせるように笑って。
 さあ、おやつの時間ね。
 悪食、暴食。
 身を低く構えたクーヴェルシュイユが、宝石弾をぱくりと口に運んで口の中で咀嚼する。
 返す手で刃を振り上げた人形の手首をフォークで貫き、夢みたいに揺れる瞳を彼女は瞬かせた。
「きみは……なんだか薄味そうね、味見はよしておくわ」
 ――例えそれが食べられるモノとなっているとは言え、美味しくなさそうなモノまでは食べたくない。
 フォークで思い切りその身体を押し返すと、ぐうるり旋回してきたフォルテとリンセの姿。
「いくよ!」
 星月夜宿した硝子ペンで、リンセが空中に描き出すのは魔法の力。
 陣の仕上げにペンを振りかざせば幾つもの氷が解き放たれ、宝石人形の身体を貫き倒す。
「わ、キミつよいのね」
「ありがとう。でも、まだくるよ!」
 クーヴェルシュイユがぱちぱちと手を叩くと、リンセはフォルテにお願いをして更に空中を旋回。
 奥より現れる人形たちの数は、ぞくぞくと。
 解けてしまった封印は、沢山の宝石人形達を呼び起こしているようであった。
 ああ、――忌々しい。
 こつん、とまどかは星空に靴音を響かせる。
 星を壊そうとする事も。
 それを事前に阻止出来なかった、自分も。
「……機械に叙情を呈する余地は無いか?」
 ――それとも、敢えてそうすることを良しとしたのか。
 さらりと金糸を揺らして眉を寄せたまどかの言葉に。
 喚び出した死霊の騎士と、蛇竜は何も応える事は無い。
「ああ、愚問だった」
 肩をあげて、下げて。
 金色の瞳には、期待の色が過る事は無い。
「お前たちに問うた所で応えなんて、返ってくる筈が無かったね」
 細く息を吐いたまどかは、星落とす宝石人形達を指差して。
「もう一度、時を止めておいで」
 鋭く彼は、指示を口に。
 向かい来る宝石人形達の宝石弾を弾き、剣を弾き。
 転移してきた彼女たち自身を弾かせて。
「……自爆するなんて、全く穏やかじゃないね。そこまでして護りたいものがあるのかい?」
 元々眠って動けない状態だったとは言え、弾けてしまえばもう眠る事もできないだろうに。
 蛇竜の後ろへとステップを踏んだまどかは、ゆるゆると首を左右に振るう。
「感情を受け取れる機関があったのに、お前たちは別の感情を受け取る事ができなかったんだね」
 もし、人形たちが別の感情を受け取る事ができていたとしたら。
 もし、人形たちが、――……て、いれば。
「お前たちは尚、輝きを孕んだ侭で居られたのかもしれないね」
 それは、ただの希望的観測。
 それは、ただの理想的希望。
 爆ぜた人形を横目に騎士に自らを護らせたまどかは、人形の一撃を弾かせて。
 細く息を吐いて、身を低くして攻撃を逃し。
 その間にも星を弾かせる人形たちの数は、どんどんと増えてゆく。
「お前たち、行くよ」
 僕から離れないように、気をつけて付いてきて。
 星を堕とす音を止めるべく、まどかは侍らせた両翼と駆けて――。
 ぱちんぱちん。
 星の弾ける音は、はじける飴みたいにおいしそうな音。
 三叉フォークを口元に当てたクーヴェルシュイユは、瞬きひとつ。
「……星を壊しちゃうくらいなら、わたくしがいただきたいわ」
 ぽつりと囁き。
「なーんて、うそよ」
 と、小さく笑った。
 おいしそうと思ったことは本当。
 それでも、それでも。
 食べちゃいけないものの区別くらい、ちゃんとつくもの。
 飛んできた宝石弾をフォークの先で捌くと、鰭でぺちりと弾いて落として、ぱくり。
 ……たぶん、ね?
 この後に剣を持った敵が現れる事はもう、クーヴェルシュイユは理解している。
 振り返りざまにフォークを薙ぐと、彼女は瞳を細め。
 きらきら、ぴかぴか。
 朱色と銀の雨が星光を照り返し。
 空を駆けるように飛ぶフォルテ、リンセに向かって幾つもの刃が雨の如く降り注ぐ。
 何度も何度も銃を放って、刃を弾き返し、弾き返し――。
「あっ」
 繰り返す動きに、布が緩んでしまったのだろうか。
 白い白い小石が転がり出しそうになって、慌ててリンセはその石を掴んだ。
 続く攻撃に頭をきゅっと下げて、片手で素早く魔術を紡ぐ。
 その石を掌に収めていると、脳裏に過ぎるのは思い出だ。
 闇を白夜に染めた、真白な雪の記憶。
 大切な約束、大切な大好きな人達。
 ああ、『前に戻ったみたい』なんて。
 そんな事あるわけが無い、とんでもない考えだった。
 だって、だって。――約束も、大好きな人も、どんどん増えているじゃないか。
 それでも。
 さっきの時間は無駄じゃないと、リンセは断言できる。
 二人だって言わないよ。
「……うん! さあ、きっともう少しだよ。頑張ろう、フォルテ!」
 ――今のリンセには、帰る場所があるのだから。
 白い小石を握った掌から湧き上がる勇気に、彼は大切な友達の首筋を撫でて。
 前を真っ直ぐに、見やった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

草野・千秋
宝石人形が目覚めて星を壊しだしている、ですか……
本当はこの宝石人形さんも
自分の力で動いてみたいのかもしれない
災魔相手にこんなことを考えるのはおかしでしょうか
自らを導いてくれる宝石の封印も解きたかったんでしょう

それでも星を滅ぼさせるわけにはいかないから
僕ら猟兵が動くわけなんですけどね
悪く思わないで下さい、ね

武器改造でアサルトウエポンの性能を上げつつ
2回攻撃、スナイパー、範囲攻撃、一斉射撃で攻撃
UCは支援の歌、歌唱使用
部位破壊、スナイパーで宝石人形の両の手の剣を破壊しようとする
敵勢力が削れて来たら怪力、2回攻撃、グラップル、範囲攻撃で攻撃
攻撃は第六感、戦闘知識でかわす
傷は激痛耐性、盾受けで耐える



 カッとんできた宝石弾をアサルトウェポンで撃ち落とした千秋は、ノータイムで横に現れた人形へとスチームシールドを掲げ。
 宝石人形が胸に抱く石に光膨れ上がり、その身を爆ぜさせる。
 爆風にその身を踊らせながら、一歩、二歩。
 軽くバックステップを踏んで。
 次なる宝石人形の攻撃に備えて千秋は銃を切り替えし、ぐるりと周りを見渡した。
「……本当はこの宝石人形さんも、自分の力で動いてみたいのかもしれないのですね」
 次々に飛び込んできては自爆を重ねる彼女達に、どこか同情的な言葉を零した。
 瞳を眇めて、唇に歌を。
 どこにもありはしない御伽の国。
 理想の完璧な都市の歌を唄う。
 自らを鼓舞する響きは、星空の下に高らかに響き。
 宝石弾を落として、空間を越える宝石人形の腕を引っ掴んで膂力だけで投げ捨てる。
 壁奥で破砕した彼女が爆ぜる前に飛べば、爆風がその跳躍を助けてくれる。
 先程まで居た場所に宝石が着弾すれば、人形が空間を飛んでくる前にアサルトウェポンより弾を打ち放ち。
 ――災魔相手にこんなことを考えるのは、甘ったれで可笑しい事かもしれないけれど。
 彼女たちが星を堕とすのは、自らを導く宝石の封印だけで無く。
 自らを導く宝石からの呪縛すらも、解きたかったのではないか、なんて。
 千秋は想像してしまうのだ。
 ――だって彼女たちは人形とは言え、その身命すら賭して自分たちで考えて行動しているように見えるものだから。
 それは只の考えすぎかも知れないけれど。
 アサルトウェポンを構え直して、細く息を吐く。
 そうだとしても、――この封印を解かせる訳にはいかぬのだから。
「……悪く思わないで下さい、ね」
 歌を一度止めて囁いた千秋は、更に地を蹴った。

成功 🔵​🔵​🔴​

スバル・ペンドリーノ
全身に力が漲るわ……ここに来るまで、星の光をたっぷりと浴びたもの
自分で灯した星に力をもらうなんて、ズルかしら
ごめんなさいね。「ここ」は、私の居場所だから。
私の星を落とした無粋な「ひと」を、許すわけにはいかないの。

高めるのは、防御力
私、武術が得意なわけじゃないもの。瞬間移動の攻撃をかわすより……受け止めて、ねじ切る方が、きっと簡単だわ。あぁ、その宝石を抉り出してしまえば止まるかしら?

「……あら、血が出ない? あぁ、人形だったの……まぁ、関係ないけど」
躊躇う気持ちはないけれど、少しだけ、可哀相
だって貴女たちは――こんなに美しい星空を、共に抱けないのだもの
次は、星を見つめられるよう作られるといいわね



 ――ここに来るまでに、星の光をたっぷりと浴びたものだから。
 全身に力がみなぎっている。
 随分と落ちてしまった瞬きに銀髪を揺らして、スバルは口元を抑えて少しだけ笑った。
 真っ直ぐにこちらへと向かってきた宝石弾を、纏った赤いオーラを揺らがせて掌で握りつぶす。
 刹那、空間を飛び越えた宝石人形が白の髪を跳ねさせて。
 両の手に握った紅刃をスバルへと打ち下ろし。
 片手をガードに上げただけのスバルが、前腕で一対の刃を受け止めるとぱちぱちと瞬きを重ねた。
「――自分で灯した星に力をもらうなんて、ズルかもしれないわね。ごめんなさいね」
 反射的にバックステップしようとした人形の腕を引っ掴み、逆の手でその首を掴んで床へと組み敷く。
 同時に現れた宝石人形達によって、幾つもの宝石弾が打ち込まれるが、痛さこそあれどスバルの致命傷とはならぬ。
「私、武術は得意じゃないのよね」
 刃を振り回そうとした人形の胸に抱かれた宝石を、スバルは赤い爪先でえぐり取って握り潰し。くすくす、と笑う。
 二体の人形が同時に背へと斬りかかるが、スバルは赤いオーラを膨れ上がらせ。振り向きざまに円を描く形で腕を振って、自らの腕を盾と切っ先を反らす。
 そして振りかぶった腕の勢いそのまま、人形の胸へと腕を突っ込んだ。
 背よりスバルの腕を肘程まで生やした二体の人形が、かくんと膝をついてその動きを止めて。
「……あら? そういえば血が出ないわ。……ああ、人形だったのね」
 まあ、関係ないけれど。
 そこで初めて気がついたかのように、スバルは首を傾いだ。
「ごめんなさいね。夜は――『ここ』は私の居場所だから」
 崩れ落ちた人形を投げ捨てて、スバルは更に歩む。
「……私の星を落とした無粋な『ひと』を、許すわけにはいかないの」
 スバルは星明かりのランプに幾重もの色を重ねて。再び星を生み、星屑を零しながら囁いた。
 ……躊躇いこそありはしないが、少しだけ彼女たちを可哀想に思う気持ちはある。
 だって、彼女たちは。
「――こんなに美しい星空を、共に抱けないのだもの、ね」
 次は、星を見つめられるよう作られるといいわね、なんて。
 真紅のオーラを揺らがせ、ちらちらと瞬く星光を見上げる。
 ――次なる星を堕とす者達を、堕とすがために。

成功 🔵​🔵​🔴​

オルハ・オランシュ
ヨハン(f05367)と

灯った星には災魔を封じる力がある
話しには聞いていたけれど、
そんなにわかりやすく睨まなくてもいいんじゃない?

ねぇヨハン
私達が灯した星たち、とっても綺麗だったよね
……もう落とさせたくないよ

剣投擲は【見切り】を狙う
瞬間移動で近付かれたらそうもいかないかな
なら、【武器受け】で被害を最小限に留めるまで!

胸元の石には何らかの力がある……のかも
石を突いて砕き散らしてみよう
敵数を減らすことに重きを置くけれど
星を斬ろうとする個体は優先的に狙う

ヨハンのことも守り抜けるように
彼から離れすぎないように意識
瞬間移動されても【早業】ですぐカバーできるように頑張るよ


ヨハン・グレイン
オルハさん/f00497 と

まぁ、彼女らにしてみれば邪魔な存在でしょうからね
不自然には思いませんよ
その行動を許す理由にはなり得ませんけどね

勿論
これ以上落とさせる訳にはいかない

【全力魔法】と【呪詛】で指輪から喚んだ闇を強化、
攻撃に対しては防壁を作り受ける
刃として繰り、剣は出来得る限り叩き落としましょうか

狙いはオルハさんと合わせ、連携を意識して動きましょう
彼女の攻撃に合わせ敵の死角から急所を狙う

瞬間移動にはUCで対処を
人のことよりも……、自分のことを気にしてくださいよ
攻撃は最大の防御とも言うでしょう
敵数を減らしてくれた方が良い
後ろを向く必要などないのだと、前を向くよう促して



 人形たちの手に握られた朱色煌めく切っ先がこちらを睨めつけ、降り注ぐ雨の如く一斉に降り落ちて来る。
 指輪に揺らめく黒光石より解放した、蠢く闇。
 その闇を幾つもの帯のような形で伸ばしたヨハンは、投擲された刃に向かって闇を爆ぜ伸ばし。
 刃として実体を得た影は、カッ飛んできた幾つもの切っ先を弾き、叩き落とす。
 落としきれなかった刃をオルハが、鈍く金を照り返す三叉槍で絡め取るように弾いた。
「……灯った星には災魔を封じる力があるなんて、話しには聞いていたけれど……、そんなにわかりやすく睨まなくてもいいんじゃない?」
 人形たちに囲まれながら、オルハが困ったように眉を下げてぼやき。
「まぁ、彼女らにしてみれば邪魔な存在でしょうからね。不自然には思いませんよ」
 答えるヨハンの声音は常と変わらぬもの。
 遠く見える星の瞬きに、一瞬視線を向けたオルハはウェイカトリアイナをぎゅっと握り。
 黒い翼を滑空する前のように、立たせた。
「ねぇヨハン。私達が灯した星たち、とっても綺麗だったよね」
 ……もう落とさせたくないよ、と次いだオルハは一気に跳躍し。
「――勿論」
 これ以上落とさせる訳にはいかない、と。
 音もなく肉薄した人形へと三叉を振り抜くオルハの背を、視線で追いながらヨハンは呟いた。
 胸元の石に何らかの力があるのでは、というオルハの推測は正解であった。
 切っ先で胸元の石を砕けば、人形の少女は膝をついて崩れ落ち。
 ヨハンがオルハに合わせて闇の刃で、人形の身を突き崩す落とす。
「急所をわかり易い場所に晒しているなんて、とんだ欠陥構造じゃないですか」
「あはは……、でもまあ、やりやすくて良いよね」
 二人が言葉を交わす所へと、横より爆ぜ飛んできた宝石弾。
 愚直な一撃をヨハンは闇で叩き落とし。
「……ヨハン!」
 何故かその動きに、嫌な予感が背に走ったオルハ。
 咄嗟にヨハンへと駆けよると、影を更に伸ばそうとしていた彼がその手を止めて。
 その刹那。
 空間を飛び越えて彼の背の後ろへと出現した宝石人形に、オルハが薙ぎ払うような一撃を叩き込むと、人形が強かに打ち据えられて転がった先でその身を爆ぜさせた。
「……人のことよりも、自分のことを気にしてくださいよ」
 二人の前に大きく広げた影で爆風を躱し。
 瞬間移動してきた人形に対応するべく生み出された黒刃を、別の人形へと穿ち放ったヨハンはその瞳を眇めて。
「攻撃は最大の防御とも言うでしょう、敵数を減らしてくれた方が良い」
 だから、あなたは後ろを向く必要などないのだと、ヨハンは言葉を重ねて。
「――あなたの背中は、ちゃんと守りますから」
「……うん! 分かった!」
 前を向くように促されたオルハは、どこかくすぐったげに笑い。
 藍色の瞳に睫毛の影を落として前を見るヨハン。
 オルハが大きく振るった三叉で敵を薙ぎ倒せば、ヨハンの黒刃がその胸を貫く。
 信を重ねた連携の前には、宝石人形達など敵では無い。
 この星空を護るべく、二人は攻防を重ねゆく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
【華禱】
我々もですが星も標的のようですね
星を作る、ですか
狙いを逸らす為に使えるかもしれませんね

抜刀術『風斬』は主に攻撃力を重視
併せ2回攻撃で手数を増やし、なぎ払いにて他の敵を巻き込む
倫太郎殿の拘束術を受けて敵を優先し、数を減らす
ランプは鞘の所に固定
周りに魔力を与え、駆け出せば後に星が生まれる
その星を衝撃波にて高く飛ばし、敵の気を引いてみる
効果があれば続行、無ければしない

敵の攻撃手段の中に瞬間移動のようなものがあるようです
我々が敵意を向けた途端に姿を消すかもしれません
姿が見えなくなった際には攻撃を止め、守りを優先
第六感にて気配を探り、残像と見切りにて躱す
躱した後、隙があればカウンター


篝・倫太郎
【華禱】
成程なぁ
なら、星を作り出しながら
戦えねぇかな?

ま、何もしねぇよかマシ、ってな?
ランプをベルトに括って戦闘

拘束術使用
射程内の総ての敵に鎖による先制攻撃
同時に華焔刀でのなぎ払いでの範囲攻撃
刃先返して2回攻撃
拘束術も俺自身の攻撃も鎧無視攻撃と衝撃波を常時乗せてく

敵の攻撃は見切りと残像で回避
回避不能時はオーラ防御で防いでカウンター
夜彦の死角は拘束術と俺自身でフォロー

瞬間移動で拘束術を抜けた敵には再度拘束術を使用

派手に動いて光を撒くことで星を作り出す
ってのもまぁ、陽動にはなっかな?

はは!星を飛ばすたぁ考えたな、夜彦
効果があるようなら俺も攻撃の合間に
同様に追加陽動してみっかな

さて、お次は本命だぜ?



 猟兵達の姿を認めた瞬間に、宝石弾を撃ち放った宝石人形達。
 真一文字に居合を放ち、遠く未だ星を落とし続ける宝石人形へと夜彦は瞳を眇めた。
「我々もですが、星も標的のようですね」
 成程なあ、と。
 言葉紡ぐ一瞬に。
 空間を飛んで現れた人形達へと目を見開いた倫太郎は、咄嗟に手首を返して薙刀を振り払って、大きくバックステップを踏み。
「なら、星を作りながら戦えねぇかな?」
 身を低く構えた夜彦が居合を解き放って、宝石人形の一太刀ごと胸を断ち切りぐるりと周りを見渡した。
 またたく星の数は、加速度的にその数を減らして居るようだが――。
「ふむ、……狙いを逸らす為に使えるかもしれませんね」
「ウン。……ま、何もしねぇよかマシ、ってな」
 倫太郎の提案に二人は、手早く腰へと星明かり揺らすランプを括り付け。
 向かい来る宝石人形達へと、得物を構え直した。
 宝石弾を愚直に放つ宝石人形へと、逆に駆けた倫太郎は見えぬ鎖を放つが。
 絡め取れたのは宝石弾一つ。
 一瞬で背後に現れた宝石人形が刃を振り放ち。
 怖気に似た気配に咄嗟にオーラを纏うと、振り向きざまに腕で刃を受けた倫太郎。
 そのまま夜彦の方へとぐっと踏み込んで飛び込めば、彼の背を追った敵を夜彦が一撃で斬り払った。
 瞳を細めた夜彦は小さく唇を開いて。
「どうやらあの弾を撃つと……、攻撃相手の所へと瞬間移動できる技……のようなものを使うようですね」
 推測を口に。
「ふうん、便利だなあ」
「兎も角、姿を消した瞬間には、守りを優先したほうが良いかもしれないですね」
「ン、了解」
 頷き、陽動するかのように駆け回りはじめた倫太郎の足取りに、幾つもの星屑が散る。
 生まれた星たちが、夜空に似た昏い迷宮の壁と天井にぴかぴかと瞬き。
 魔力を弾かんと夜彦が刃を抜き放てば、遠くにも新たな星が刻まれた。
「はは! 星を飛ばすたぁ考えたな、夜彦」
 倫太郎がからからと笑って、敵の胸に抱かれた宝石を薙刀で貫けば、宝石人形が膝から崩れ落ち。
 ――生まれた新たな星達よりも、動く敵を宝石人形たちは優先しているようだが。
 落とされた星を補完する分には封印が強固なものと成る分、それは良い効果しか無いだろう。
 宝石弾を弾き落として、萌黄を闘気に跳ねさせて笑んだ倫太郎は前を向く。
「さあ、封印を解かせたりはしねえぜ」
「ええ、再び眠っていただきましょうか」
 夜彦が刀柄に手を這わせて、低く構え。
 そうして背中合わせで硬めた守り。
 視線を交わすことも無く、心を重ねた二人は同時に頷いた。
 刹那。
 空間を飛び現れた人形へと倫太郎は見えぬ鎖を投げ、その鎖ごと夜彦は人形を断ち切った。
 ――全てはこの美しき星空を、守るべく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ワン・シャウレン
鞍馬(f02972)と参加。

やや散策気分もあったは否めぬが、
折角満たしたものを無為にされては甲斐がないでの。
止めるぞ、鞍馬。

瞬間移動の前後に仕掛ける造りのようじゃな。
広さと数が合わさると厄介そうじゃが、
この場であれば動きは絞り込めよう。

あえて前へ出、挑発し敵の注意を引こう。
というよりランプを持っておれば嫌でも来るじゃろ。
鞍馬お主は一旦しまっておけ。

後は水行流転で待ち受ける。
流水の返しをしつつ、無効化専念。
取りこぼしは鞍馬に任せよう。

数が減ればそこまでせんでも
転移後の隙を片方が突く方が早いやもしれん。
おぉ…っ、鞍馬も我慢できなんだか
仕方ないの
背後を受け持って協力するとしよう


鞍馬・景正
ワン嬢(f00710)の供として。

げに。
何よりワン嬢の星が消されるなど言語道断。
きつい御灸を据えてやりましょう。

◆戦闘
転移する動きを【見切り】、敵の特性を把握。
仕掛けられた攻撃は刀による【武器受け】で弾き、ワン嬢の事も【かばう】ように。

後はワン嬢の策に乗って星灯を仕舞いましょう。

清冽なる水流を目の当たりにすれば目を細め。
恰も弁財天が如き妙技――虜となっていたいですが、仰せなれば。

愛馬を喚び、【騎乗】して【懸騎万里】にて突撃。
太刀を【怪力】の限り振るって【衝撃波】で一掃。

ついでにランプも取り出し、駆けるまま消された星も再度煌めかせましょう。

ではワン嬢、我が背中へ。夙夜もお迎えできて喜びましょう。



 瞬く星達が、撃ち堕とされる瞬間を見た。
 ぱんと弾けた星は一瞬で光を失って、ぱらぱらとこぼれ落ちる砂と化し。
「……ううむ」
 ころころと涼やかな、鈴を転がすような声に。
 何体もの宝石人形達はかしゃりと球体関節を鳴らして振り向き、声の主を虚ろな視線で睨めつけた。
 そりゃあ、散策気分があったことは否めはしないけれど。
「折角満たしたものを無為にされては、甲斐がないものじゃなあ」
「げに。何よりワン嬢の星が消されるなど言語道断でありましょう」
 いつもの調子で相槌を打つ景正に、ワンは小さく肩を竦めて。
 片足を擡げていつでも蹴手繰りを放つことの出来るポーズで構えたワンは、星ランプを垂直に浮かせ構えて。
「止めるぞ、鞍馬。お主はそのランプ、一旦しまっておけ」
「はッ、了解致しました。――きつい御灸を据えてやりましょう」
「うむ、勿論じゃ」
 封印する星を生むランプを、わかりやすく掲げていれば宝石人形たちもワンを狙うだろうと。ちらちらと魔力を見せつけるように揺らした。
 その策に乗った景正はランプを隠して、バックステップ。
 腰へとランプを結わえ付け。逆に前へと大きく跳ねたワンは、敵中へとその姿を無防備にも晒しだす。
 跳ねた勢いに星屑が魔力と成って、ちらちらと星を作りあげれば。
 揺れる金糸を追って、宝石人形達は紅と銀宿る刃を構え――。
 そうして。
 ふ、とワンは力を抜いた。
 無防備なワンの姿を、不審に思うこともなく一瞬で何体もの宝石人形が空間を飛び、顕れ。
 一斉にそのかんばせへと向けて、剣を振り下ろし――。
 思わず瞳を眇めた景正は。完全に脱力して剣を受け入れたワンが、ふわりと足先を振り上げる姿を見た。
 瞬間。
 放たれるは、流水。
「うむ、どうやら瞬間移動をしてくるようじゃが、この狭い通路ではそこまで有効とは働かなさそうだのう」
 精霊の力を纏った水が柔らかにも刃を押し返して、上げた足先は円を描く形で宝石人形達をなぎ倒す。
「と、言うわけで取りこぼしは頼んだぞ、鞍馬!」
「仰せなれば」
 ワンの声掛けに、その蒼瞳に笑みを宿して。
 彼女の弁財天が如き妙技に虜になっていたい気持ちを抑えて、彼は愛馬たる夙夜を喚ぶ。
 何処から駆けてきたのか、力強い膂力で跳ねた馬へと飛び乗った景正は太刀を構えて。
 ワンを越えて大きく跳躍した瞬間に、真一文字に刃を振るった。
 どうせ駆け回るのだ、星を増やしたほうがお得だろう。
 ついでにランプを取り出すと魔力がちらちらと散って星屑と化す。
「おぉ……っ? 鞍馬も我慢できなんだか。仕方ないのう」
 ランプを取り出した上にそのまま敵軍へと駆け込んで、後ろ足で人形を蹴った馬にワンはくすくすと笑って。
 更に壁を蹴って転回した景正は、ワンへと腕を伸ばす。
「それではワン嬢、我が背中へ! 夙夜もお迎えできて喜びましょう!」
「……仕方がないのう。背後を受け持ってやるとするかの」
 肩を竦めて笑う彼女に、人馬一体と化した景正は太刀を手に大きく頷いて見せ。
「さあ、往きましょう。――鞍馬の戦を見せよ。夙夜!」
 星明かりを散らして大きく嘶いた馬が、力強く地を蹴り上げて。宝石人形の群れへと向かって、真っ直ぐに駆けだした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ハーバニー・キーテセラ
あ~!
折角と綺麗に増やしたのにぃ、随分と酷い事をしてくれますねぇ~
それ以上はぁ、駄目ですよぉ~

擬獣召喚で兎さん達を召喚
さぁさ、皆手伝ってぇ~。全方位を警戒ですよぉ
兎さんは警戒ぃ、猫さんは遊撃ぃ
私自身もぉ、聞き耳たててぇ、野生の勘をフル稼働ぉ
皆の警戒網と合わせぇ、相手の行動に伴う音や気配を捉えてぇ、相手の位置を情報収集ぅ
どこに居ようとぉ、見つけ出して差し上げましょ~
位置さえ分かればぁ、あとは見切ってからのカウンターはお手の物ぉ
後の先。抜き打ちで早業な弾丸をたんと御馳走してあげましょ~

姿を晦ませられるのにぃ、敵意なんて見せてたら駄目ですよぉ
暗殺するつもりならぁ、もっと静かにぃ、スマートにしないとぉ


朽守・カスカ
折角の星々を切り裂き、砕いて落とすとは
なんと無粋極まりないことか
君達が星を砕くならば
私は更に星を灯してみせよう

【幽かな標】
本来ならば、私のランタンで行うのだけど…
灯火のランプでも出来るか、試してみようか
ひとときの相棒として
揺らめいて示しておくれ

さぁ人形達よ
星を壊すなんて無粋なことを続けても
私がいる限り星は増え続けるよ
それが嫌なら狙うといい
舞うように全て避けて
揺らめいて灯は、更に星を空に浮かべよう

ああ、でも囮となって避けているだけというのも
そうそう長くもつものでもないからね
周りの皆は助けてくれると、有難いな


八上・玖寂
引き続き偲(f00203)と。

おやおや、折角の星が星屑になってしまいましたね。
それはそれで綺麗なのかもしれませんが、
封印が綻ぶのは、あまりよろしくありませんね。

【忍び足】で【目立たない】ようにしながら相手の行動を【見切り】つつ、
『万天を断つ無明の星』で不可視化した鋼糸を張り巡らし
罠にでもしてみましょうか。
瞬間移動でも絡め捕れるといいのですが。

偲はまあ、大丈夫そうですね。
考えて動いているなら良いです。
くれぐれも、考えなしに突っ込んだりしないように。

ああそういえば、僕のユーベルコードも星と名がついていましたね。
僕のは光らないですが、これも封印のついでにひとつ。


※絡み・アドリブ歓迎です!


八上・偲
玖寂(f00033)と。

もー!せっかくお星様きらきらで綺麗だったのにー!
わたしや玖寂やみんなの色でいっぱいだったのにー!
壊したら駄目!なのー!

『炎帝の審判来たりて』でお花の炎を出して、
10個をわたしの近くに浮かせて守ってもらって。
残りはお人形さんにぶつけて【属性攻撃】ね。
相手が空っぽなほどよく燃えるの。

ふふーん、出来るだけ安全にいけるように、わたしちゃんと考えてるもん。
燃やすだけじゃないもーん。
でも戦いながら動いたらまたお星様増えるのかな?
壊されちゃった分、ちょっとでも増やせないかなあ。


※絡み・アドリブ歓迎です



 遠くに見えるのは、宝石人形が星を砕き落とし星を散らす光景。
 夜空に満ちた星々が、堕とされる光景。
「――おやおや、折角の星が星屑になってしまいましたね」
 瞳を眇めた玖寂は、瞬きを一度、二度。
「もーっ! せっかくお星様きらきらで綺麗だったのにー!」
 偲が拳を掲げてプリプリと怒りを露わにする様子を、玖寂は嘆息だけで受け流し。
「わたしや玖寂やみんなの色でいっぱいだったのにー! 壊したら駄目! なのーっっ!」
「そうですよねぇ~、折角と綺麗に増やしたのにぃ。随分と酷い事をしてくれますぅ」
 そこへ跳ねるように。
 背後より駆け込んできたハーバニーが、プリプリしている偲の横でぐぐっと拳を握りしめた。
 その瞬間に、偲の瞳はぴかぴか、きらきら。
 ついでに大量のウサギちゃんと少量の猫ちゃんを侍らしていたものだから、一瞬偲の意識はウサチャンに刈り取られてしまったけれど、それはまあ置いておこう。
 わっ、かわいい~! もこもこふわふわ!
 抱っこさせてくれないかなあ。だめかなあ。
「さぁさ。皆手伝ってぇ~、お星様を守りましょぉ~」
 そんな彼女の様子に気づいているのか、いないのか。
 ハーバニーは人差し指をピンと立てて。
 ウサギとネコに指示を行えば、ぴょいぴょいぴょい。
 動物達が大行進。
「星が星屑になるのは、それはそれで綺麗ですけれどね。……封印が綻ぶのは、あまりよろしくないでしょう?」
「そうだよね。……よーし、お星様を守ろーっ!」
 動物大行進に視線を奪われていた偲も、玖寂の言葉にこっくり頷いて。
 力強く地を踏み込んで、宝石人形の群れに向かって駆け出した。

 夜明け色の瞳を揺らして。
 普段のランタンは腰に駆けたまま灯火のランプをひとときの相棒に。
「君達が星を砕くならば、私は更に星を灯してみせよう」
 宝石人形達に囲まれたカスカは、白い髪を柔らかく揺らして。
 突きつけられた幾つもの刃の間を、舞うようにすり抜ける。
 星を落とす無粋者を引きつけるカスカが纏う仄かな星明かりの燐光は、宝石人形達の攻撃をすり抜ける方法を示してくれる。
「ねえ、人形達。星を壊すなんて無粋なことを続けても、私がいる限り星は増え続けるよ」
 淡い笑みを唇に宿したカスカは、降り落ちる刃を紙一重ですり抜けて。
 大きく跳ねて刃をいなし、身を縮こまらせて。
 軽いステップ、軽いバックステップ。
 柔らかな足取りで、カスカは避ける、避ける。
 ――ランタンよ、妬いてくれるなよ。
 今日ばかりは、星灯りを燈す日なのだから。
 カスカがステップを踏む度に零れる、魔力の宿した燐光は星を生み。
「それが嫌ならば、私を狙うといい」
 次々に幾つもの刃が振り落とされる姿は、どこかミュージカルのコミカルなシーンのようだ。
「行きますよぉ~」
 更にそこに、うさぎが飛び込んできたものだから。
 常の様子で笑んだハーバニーは小型拳銃を手に、宝石人形の胸の宝石を貫くと躯の海の旅路へとご案内。
 ……その旅路に寄り添う事はできないけれど、良い旅になる事を祈って。
「いくよー!」
 燃えて、燃やして、なにもかも。
 灰に、灰燼に。
 炎の薔薇を周りに侍らせた偲が、カスカに群がる人形へと一直線に炎を叩きこみ。
 ――水は流れるもの。
 燃えだした人形へと向かって指先をひょいと跳ねさせた玖寂が、続いて何かを引き絞るように手袋に包まれた掌を遊ばせた。
 刹那。刃を持っていた人形達の腕が、すぱんと断ち切れて地へと崩れ落ちる。
 それは不可視化した、鋭い鋼糸の仕業だ。
 見えぬ絲を紡いだ玖寂は、眼鏡の奥で瞳を眇めて。
「――前で敵を引きつけてくれている人が居るのですから、くれぐれも考えなしに突っ込んだりしないように」
「ふふーん。出来るだけ安全にいけるように、わたしちゃんと考えてるもーん。燃やすだけじゃないもーん!」
 玖寂の言葉に、薄い胸を張った偲が炎の薔薇をゆらゆら揺らす。
「……でも、あのお姉ちゃんもお星様を増やしながら戦ってるみたい。わたしも増やそうかなあ?」
「――やめておきなさい。彼女は星を増やしているからこそ、狙われているようですから」
「……そっかあ……」
 玖寂の言葉にしょんぼりとした偲。
「いいえ~、増やしてもらっても大丈夫ですよぉ、ちゃぁんとサポートしますからねぇ~」
 そこへぴょんと飛び込んできたハーバニーが、ぴっかぴか笑顔で応えた。
 拳銃をリロードする彼女が目配せすると、うさぎとネコがぴょいっと偲の肩へと乗り。
「その子達がぁ~、護ってくれますよぉ」
「本当!」
 それなら、と星灯りのランプを手に、偲が駆け出せば。足取りに星屑宿して、炎の花弁をちらちら揺れる。
「……まあ、倒せば良いのですよね」
 やれやれ、と瞳を細めた玖寂に、ハーバニーがにっこり微笑んだ。
「――さあ、いきましょ~」
「はい」
 星を生み出した偲へと打ち込まれた宝石弾を、弾き落とすハーバニー。
 刹那。
 偲の背後へと、空間を飛び越えて顕れた宝石人形の姿。
 刃を振り上げ――。
 ウサギがぴょいと腕を引っぱって偲が刃を避けた、その瞬間。
 一気に踏み込んだ玖寂は跳躍。
 滑り込むように胸に鋼糸を引っ掛けてると、人形の胴を真っ二つに断ち切った。
「おや、お見事」
 カスカが刃を避けながら、ぱちりと手を叩く余裕を見せ。
「……むー。玖寂、今もしかして助けた?」
 そんなカスカへと刃を差し出して迫った人形に、偲はえいっと炎を叩き込む。
 ちゃあんとわたしだって、安全を考えてうごいてるのにー。
「いいえ。偶然ですよ」
 玖寂は白手袋を叩いて、首を振り。
「ふふふ~。では皆さん、がんばりましょ~」
 姿を眩ませるのにぃ、殺意を感じさせるなんて駄目ですよぉ、なんて。
 真横に顕れた宝石人形の眉間にゼロ距離で弾を叩き込みながら、ハーバニーはウサギの耳飾りを揺らして花のように笑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

蘭・七結
【紅月】

誰かが星を愛せば、別の誰かが星を忌む
彼女たちにとっての星は、忌むべき存在
かなしいこと、ね

星灯る煌めきを、輝く夜の尊さを
ナユは、ナユだけのお星さまから教わったわ
表情を変える瞬きが、すきよ

緩やかにカーテシー
差し出された手を取って
お誘いありがとう、ステキなひと
ナユは、美しく踊ることが出来るかしら
あの頃と、同じように

忌み嫌うほどの強い感情
あなた達を突き動かすモノを識りたいの
ねえ、ナユに見せてちょうだい
“天からの奪略”
鮮烈な“あか”に歪め

賞賛を受ければありがとう、と
とても、気分がよいわ
あなたの望むまま、ナユの望むまま
このまま、踊り続けましょう
星々の灯が見守る、この場所で

――嗚呼、なんてうつくしい


朧・ユェー
【紅月】

おやおや、星達が消えていくねぇ
可哀想に

星は輝き煌めいてこそ素敵なモノ
可愛い星達を消してはいけないね
ねぇ、七結ちゃん。

お人形さんと遊ぼうか?競争でもするかい?
では可愛いお嬢さん僕と踊ってくれますか?
白く小さな手を優しく握る

彼女の手を離す事無く
懐からトランプやペンを取り出し
【漆黒ノ鏈】で人形達を一掃し
【道化】で一体ずつ壊していく

ふふっ、七結ちゃんの舞はいつ観ても美しく人を魅了するねぇ
「あか」がとても綺麗だよ。
彼女との戯れを堪能する

ねぇ、このまま踊り続けるかい?
なぁんてね。
君の舞を君の美しい紅い光を傍で見続けるなら僕は…
美しいこの光を消させはしない永遠に



「おやおや、星達が消えていくねぇ」
 可哀想に、とやれやれと肩を上げたユェー。
「そう、――誰かが星を愛せば、別の誰かが星を忌む。彼女たちにとっての星は、忌むべき存在、ということかしら」
 かなしいこと、ね。と。
 七結が歩みにあかい牡丹を揺らして、目笑したユェーが万年筆を手に取った。
「そうだ。ねぇ、七結ちゃん。お人形さんと遊ぼうか? それとも競争でもするかい?」
 遊びに誘う柔らかな口調。
 そうして万年筆を取った手とは、逆の手を七結へ真っ直ぐに伸ばし。
「では可愛いお嬢さん、僕と踊ってくれますか?」
 ただ同意するような人懐こい笑みを浮かべた七結は、スカートの裾を擡げて緩やかなカーテシー。
「お誘いありがとう、ステキなひと」
 彼の伸ばした手を取った七結は、彼へと身体を預けるように一歩前へ。
「ナユは、美しく踊ることが出来るかしら」
 小さな手を握る掌を優しく引けば、二人はステップを踏んだ。
「七結ちゃんなら大丈夫さ」
 もう一歩跳ねる前にくっと喉鳴らしたユェーが、流れるような音を立てて万年筆を解いて鋼鎖を揺らし。
「さあ、踊ろう」
 手を繋いで得物を構えた猟兵達を敵と認識した宝石人形達は、虚ろに揺れる瞳子を遠目に向けたかと思えば。
「あなた達を突き動かすモノを識りたいの」
 ――一瞬で二人の目前へと、空間を越えて顕れた。
 驚いた様子もなく、七結は言葉を次いで。
「ねえ、ナユに見せてちょうだい」
 同時に叩き込まれた宝石弾を引き絞った鎖で受け止めたユェー。
 赤い瞳に睫毛の影をふさと落とした七結の腕の動きに合わせて、咲き乱れるは牡丹一花。
 血の滲む大地から生まれたと謳われる真紅の花が、剣を振り下ろす宝石人形を『あか』に歪める。
 続いて空間を跳ねた宝石人形の胸に抱かれた石を、貫いたのは死神の大鎌だ。
「さあ、地獄への演武をお楽しみあれ」
 口元へとトランプのジョーカーを寄せたユェーは、口元に笑みを。
「……ふふっ、しかし七結ちゃんの舞はいつ観ても美しく人を魅了するねぇ」
 とてもきれいな『あか』だ、と二人は円を描くようにステップを踏んで。
「まあ、ありがとう」
「――ねぇ、このまま踊り続けるかい?」
 なぁんてと戯けるユェーに、花を舞わせて人形の群れへと飛び込んだ七結は悪戯げに笑う。
 とても、気分がよいわ、と。
「あなたの望むまま、ナユの望むまま。……このまま、踊り続けましょう?」
 敵の群れへと飛び込めば、こちらへと瞬間移動しようが関係は無いもので。
 鎖を引き絞って刃を弾いたユェーがくつくつと笑った。
「おや、ありがとう。君の舞を。――君の美しい紅い光を、傍で見続けるなら僕は――」
 美しいこの光を消させはしない、永遠に。
 ふたりの宿した星々は、未だ消されては居ない。
 ――星の灯る煌きを、輝く夜の尊さを、七結は七結だけの星から教わった。
 その輝きが表情を変えるのが、好き。
 その煌きが揺れるのも、とても綺麗。
 星々の灯が見守るこの場所で、戯れるように、舞うように、星達を守りましょう。
「――嗚呼、なんてうつくしい」
 ずっと、ずっと、すきよ。
 あの頃と、同じように。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リル・ルリ
🐟櫻と人魚
アドリブ歓迎

嗚呼!せっかく櫻とヨルとで作った星が!砕けて堕ちてしまった
何で、こんな!しゅんとしたヨルを撫で
大事に重ね瞬いた想い出も壊されたようで哀しくて、人形達を睨む
もう壊させない
星も、櫻宵との大事な一時も!

動きが読みにくいね、櫻
周囲に漂わせるのはオーラ防御の水泡
櫻宵を守るため…攻撃を防ぐのと、どこからともなく瞬間移動してくる人形達の動きを
君が把握できるように…助けられるように
歌唱には鼓舞を込めて
歌うのは「星縛の歌」
星瞬くように、僅かの間
人形達の攻撃をとめてみせるから
どこにいても逃げたって歌を届かせてみせる

だから櫻宵
君は刃を
絢爛の桜を贈ってやって

砕けた星の弔いに
輝く星を守るように!


誘名・櫻宵
🌸櫻と人魚
アドリブ歓迎

あらあら
せっかくリルとヨルと一緒に作った星を砕いてしまうなんて…いけない子ね
何よりもリルとの逢瀬を邪魔するなんて…許されないわ
次に砕かれるべきはあなた達かしら

リルが歌う
それだけで世界に星が満ちるのよ
衝撃波には生命力吸収伴う桜花をのせてなぎ払い放ったならば
胸の宝石狙うように大きく斬り裂き2回攻撃
鍔迫り合いなれば怪力で押し返し
屑石なのが残念だけどやっぱり首がいいわねぇ

オーラの桜で防御で弾を防いで見切り躱して咄嗟の一撃
人形なら関節が斬りやすいかしら?四肢から砕いてやるわ
星の瞬きをこれ以上壊させない
リルの哀しそうな顔は見たくないの
星見に破魔を込めた桜、「哭華」
砕け星になりなさい



 夜空を駆ける人形たちの手によって、星が音を立てて弾けて壊されてゆく。
 どうして、なんでこんな。
「嗚呼! せっかく櫻とヨルとで作った星が!」
 ヨルを抱いて尾鰭で空を蹴ったリルは、蒼空を抱いた瞳に悲しみを揺らして。
 すっかり嘴を下げてしょげてしまったヨルの頭を、柔く撫でるリル。
 もっと撫でておいてとその掌をフリッパーで抑え込むヨルは、尾を揺らし。
「あらあら、本当に……いけない子たちね」
 囁いた櫻宵が、桃色の瞳に長い睫毛の影を落として囁いた。
 ――何よりもリルとの逢瀬を邪魔するなんて、許される事じゃあ無い。
 その刹那、放たれた殺意に敵だと認識したのだろう。
 宝石弾を打ち込んできた人形へと果たし眼を向けた櫻宵は、紅い紅い血桜の太刀を抜き放って一息に弾を叩き斬り。
 同時に睨めつけていた人形が、一瞬で空間を跳んで櫻宵の真横に顕れていた。
「櫻!」
 鋭く吠えたリルはオーラで生み出した水泡を、激しい水流に乗せるかの如く。
 ぷくぷく叩きつけられた泡が、櫻宵へと向けられた切っ先を僅かに反らして。
 咄嗟に太刀を横に打払った櫻宵が、その胸元に抱かれた宝石を砕けば宝石人形は動きを止めた。
 ――やっぱり屑石を砕くより首がいいわねぇ、なんて櫻宵は肩を竦め。
「まあ、随分と移動が早いのね」
「動きが読みにくいね、……櫻、気をつけて」
 重ねて撃ち放たれた弾を、尾鰭を揺らして避けたリルは桜色の唇を開く。
 紡ぐ旋律は、愛しきひとへの鼓舞を宿した迦陵頻伽の響き。
 櫻宵は笑む。
「ええ、もちろんよ。リルの星を護らなきゃいけないもの」
 愛しき人魚の歌声が響くだけで、世界に星光が満ちるかのよう。
 両手で構えた太刀で宝石弾を叩き落とした勢いそのまま、リルの真横へと顕れた宝石人形の頸を狙って刃を斬り上げる。
 人形は返す刃で切上げを上体泳がせて受け――、きれない。
 リルの歌声に一瞬身体を弛緩させてしまった人形は、見た目からは想像出来ぬ櫻宵の膂力によって押し切られ。
 重ねた刃ごと強かに弾き飛ばされた宝石人形は、光膨れ上がらせた屑星が瞬いたと思えば、その身を爆ぜさせた。
「きゃっ、何? どうして自爆するの? もう! 首を取りそこねたじゃないの!」
 おそらく論点はそこでは無い。
 花弁を散らして防御を硬めた櫻宵が、頬を膨らせて。
 宝石弾を撃った相手を狙って空間を跳ぶのであろう、と判断した櫻宵はリルを護れるように地を蹴って。
 それでもリルは唇に乗せた歌を止める事は無い。
 ――どこに居たって、どこに逃げたって。
 リルの歌声は響くのだから。
 彼のために、届けてみせよう。止めて見せよう。
「さあ、どこからでも来なさい。――砕いて星にしてあげるわ」
 これ以上愛しき人魚の悲しき顔は見たくない、もう星の瞬きは堕とさせはしないと。
 星の輝きに白い花弁を照らして櫻宵は、風を渦巻かせ。
 リルは旋律に、願いを籠める。
 魂を持たぬ人形の魂をも捕らえる、極楽に響く澄んだ歌声。
 ――もう、星も、櫻宵との大事な一時も壊させはしない、と。
 ヨルをきゅっと抱き寄せて、真っ直ぐにリルは空を見やって。
「来なさい、お人形さん達。その素っ首貰ってあげるわ」
 ――啼き歌い舞いなさい。
 櫻宵が円を描く形で太刀を薙ぎ払えば、桜吹雪が嵐を呼んだ。
 絢爛に咲き狂う花弁は、舞い荒れ。
 人魚は砕けた星の弔いに歌い、竜人は瞬く星を護る様に舞う。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

マリアドール・シュシュ
リュカ◆f02586
アドリブ◎
他絡み×

マリア達の金平糖を名残惜しく見送り
宝石人形達へ哀しみの眸を向ける

同じく宝石を身に抱く者
…マリアと違って星を壊し昏い空を好むのね
其れがあなた達の生きる術なら…(目瞑り開く
リュカ、力を貸してくれる?
封印は解かれてしまったから
マリアは止めなきゃならないわ

ランプを置き竪琴で演奏攻撃
極力自爆前に早期決着で
奏でるは呪い(まじない)の舞踏曲
つま先鳴らし華水晶は舞い唄う(おびき寄せ
詩(うた)が響く
青と蜜金の星々は耀く

宝石弾はマヒ攻撃の音弾で敵の体や屑石貫く(誘導弾
動き鈍らせリュカが攻撃しやすい様に
自爆対策は拡声器を変換させ高速詠唱で【茉莉花の雨】使用し弾幕防御
リュカも護衛


リュカ・エンキアンサス
マリアドールお姉さん(f03102)と

ん、名残惜しいけれども、仕事の時間だね
俺は別に、なんだって戦うけれど
お姉さんが、ほんの少し思うところがありそうだから、待っておく
勿論だよ、お姉さん
こちらのほうこそ、頼りにしてる。よろしくね


そういうわけで、敵が目に入った瞬間から攻撃開始
お姉さんがおびき寄せてくれるものから優先的に
自分は中枢の宝石を狙って攻撃する
それで倒せそうになければ何発か打ち込んで止めを刺すことになるだろうけね

相手が攻撃する前に、そうやって制圧できたらいいけれども、
それが完璧に出来ないことも、わかっているから
相手がテレポートしてきたときは、防御のことはお姉さんに任せて殲滅を急ぐよ



「ん、名残惜しいけれども、仕事の時間みたいだね」
 落とされた星。
 星を駆ける宝石人形達への、憐憫を金の瞳に宿したマリアドールがリュカの言葉に頷いた。
 ――彼女たちと同じく、その身に宝石を抱く者としてマリアドールには思う所があった。
 マリアは、星を美しく思い、綺麗だと好んでいる。
 しかし彼女達は、星を疎ましく思い、昏き空を好むのであろう。
 マリアドールは、一度瞳を閉じてから。
「……封印は解かれてしまったから、マリアは止めなきゃならないわ。……リュカ、力を貸してくれる?」
 真っ直ぐに彼を見やって、黄昏色に眩くハープを手にして言葉を紡ぎ。
「――勿論だよ、お姉さん。頼りにしてる、よろしくね」
 何気なく頷いたリュカは、灯り木の名を与えたアサルトライフルを構えた。
 刹那。
 二人の間を裂く、宝石弾。
 同時に横に跳ねて二人は弾を避けるが、間を割るように空間を超えて。
 姿を現した宝石人形が、刃を振り落とす。
「わ」「!」
 咄嗟にリュカが幾度も弾を撃ち放つと、宝石人形の肩を、腹を貫いて。
 マリアドールは白い耳飾りに手を添えると、耳飾りをぞろりと融かして無数のジャスミンの花弁を模した水晶と変えた。
 生まれた白い花嵐を、二人の間に顕れた人形へと叩き込む。
 その勢いに身体をまろばせた宝石人形は、バランスを崩して倒れ。――胸元に抱かれた宝石が白く瞬いた。
 嫌な予感に二人がバックステップを踏んだ瞬間に、宝石人形の身体が爆ぜ燃えて。
「……テレポートしてきた上に自爆をするなんて、なかなか豪快だね」
 星宿したマフラーを掻き上げたリュカは、アサルトライフルの照準へと瞳を眇め。
「あまり時間はかけないほうが、良さそうね」
 自爆を仕掛けられるのならば、近寄られる前に倒してしまおうと。
 竪琴を爪弾いたマリアドールは、金の瞳に睫毛の影を落とした。
 響きだした旋律は、まじないの舞踏曲。
 奏でる曲に詩を乗せて、華水晶の少女は宝石弾を避け舞う。
 狙いに一瞬息をつめてリュカが撃ち放った弾は、正確に宝石人形の胸……屑宝石を貫き。
 宝石人形が跳ぶ間際に石を砕かれた身体が、マリアドールの横へと顕れた瞬間に、膝をついて崩れ落ちた。
「少し、多いね」
 続く宝石弾の連撃に頷いたマリアドールは、くるりくるりと舞い躱して。
 弾く形で人形たちへと向かって音弾を放ち。
 地をとん、と蹴って宝石弾を避けたリュカも、幾度もマズルフラッシュを瞬かせて宝石を穿つが。
 全ての人形が跳ぶまでに、穿ちきるには至らない。
 マリアドールは唇に詩を乗せたまま、
 彼を護る為に、自らを守る為に。――星空を守る為に。再び白き花弁を舞い放ち。
 花嵐の勢いに一瞬足を止めた宝石人形を、リュカは蹴り跳ね飛ばし。
 重ねて背へと顕れた人形へは、強かにライフルの背を打ち据えて。
 少しでも距離を取るべく。遠くへ、遠くへ。
 仕上げ、と。
 振り向きざまに弾を撃ち放つと、爆ぜる二体の人形。
 白が舞い。
 爆風より彼を護るのは、マリアドールの操る白き花弁だ。
「……まだ来るね、お姉さん、まだ行ける?」
 リュカの問いにもちろん、とマリアドールは瞳を細めて、こくりと頷き。
 煌めく星々の夜を護る為。
 悲しき人形達へと眠りを与えるが為。
 まじない宿した旋律に、銃声は高く響く。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ジズルズィーク・ジグルリズリィ
エルネストさんf00066、胡さんf21829と参加
WIZ判定*アドリブ歓迎

推測、結束。ジズは、彼女たちをオブリビオンだと判断です。ここは連携して切り抜けましょう
エルさんふーさん、サポートは任せるのです

使用するユーベルコードは《倒木は下僕に、百獣は四肢に》
自動索敵、迎撃するゴーレムと、野生の勘の働く幻獣とを召喚し、瞬間移動への対策とします
自分が傷つくと解けてしまうので、敵の攻撃はもちろん味方を巻き込まず、互いにフォローできるポジションをキープです

あまり動かないでください、かしゃんかしゃんと割れてしまいます
大切な輝きに手出しはさせません。仲間にも星にも、です!


胡・佳莉
ジズさん(f10389)、エルネストさん(f00066)と一緒に
アドリブ歓迎

星が消えている?この人形たち星を壊して……封印を解こうとしている?!
させません!お二人ともお願いします。一緒に倒しましょう!

人形に『殺気』を飛ばし、敵意を感じて瞬間移動してきた人形の攻撃を『見切り』・【時翔】で対応して斬ります。
エルネストさんとジズさんとお互いをフォロー・連携しつつ、人形を倒していきます。

「折角の綺麗な星々、大切な思い出になる星空を壊すなんて」
「貴女たちの思い通りにはさせません。そっちの数が多くても、私にはとても頼れる友人たちが居ますから」


エルネスト・ポラリス
ジズさん(f10389)、胡さん(f21829)と行動
アドリブ歓迎

うっひゃあ、なんですかこの人たち。いえ、まあオブリビオンなのでしょうが……。
とはいえ、あからさまな破壊活動を放っておくわけにもいきません。

剣を構えて、敵の攻撃を『武器受け』しながら星を『かばい』ます!
やはり、瞬間移動が厄介ですね……消えた後、次の瞬間何処に現れるかまるで分らない……!
ということで。
『野生の勘』で出現を察知次第、適当に剣を振り回します! 考えて間に合わないなら考えないでやりゃあいいんですよ!!
――ええ、この剣は敵のユーベルコード、宝石弾と剣を斬るだけ。
味方や星は、決して傷つけませんとも!



「……星が、消えている……?」
 ぱちぱちと佳莉が瞳を瞬かせると、エルネストが遠くに見つけた人の気配に眉を寄せて面食らったかのように。
「うっひゃあ……なんですか、この人たち」
 その声にぱっと顔を上げた佳莉は、左眼のサイバーアイの倍率を上げて。
「……あれは、人形? まさか、星を壊して封印を解こうとしている!?」
「――推測、結束。ジズは、彼女たちをオブリビオンだと判断です」
 ジズルズィークが、半眼に桃色を揺らして長い耳をぴっと立てた。
「いえ、まあ、そうでしょうけれども」
 うんうん、と頷くエルネスト。
「折角の綺麗な星々、大切な思い出になる星空を壊すなんて」
 くっと胸に拳を当てて、瞳を細めた佳莉は左右に小さく首を振り。
「……させるものですか! お二人ともお願いします。――一緒に倒しましょう!」
「まあ、あからさまな破壊活動を放っておくわけにもいきませんね」
 佳莉の願いに、エルネストは夜空色の壁を蹴って。
 ジズルズィークは地へと手を添えると、地を一瞬で膨れ上がらせ、ウッドゴーレムと幻獣を喚び出した。
「はい、サポートはまかせるのです」
 薄い胸を張って、笑むジズルズィーク。
 虚空より銀に煌めく刃を抜き放ったエルネストが、瞬く星を落とす宝石人形達へと一気に距離を詰めた。
 その瞬間。
 撃ち放たれた宝石弾が、彼の横をすり抜けて行く。
「……っ!?」
 思わずエルネストは、弾へと刃を振り抜き――。
 同時に背へと感じた気配に振り向けば。彼の真横に音もなく、胸に宝石を抱いた少女の人形が顕れていた。
「瞬間移動っ!?」
 瞳を赤に瞬かせて。
 高速戦闘モードへとその身を切り替えた佳莉が、地を蹴ると一気に加速し。
 人形とエルネストの間へと無理やり割行ると、振り落とされた刀を妖刀で弾き飛ばす!
 重ねて跳ねたジズルズィークの喚び出した幻獣が、大きく口を開いて人形へと喰らいつき。
「驚いた、……瞬間移動をしてくるだなんて」
 ありがとうございますと、礼を重ねたエルネストが胸を撫で下ろし。
 その胸の宝石を砕かれた途端、動きを止めた人形を見下ろした。
「油断はできませんね……、何か策はありますか?」
 佳莉の問い。
「……ええ、勿論」
 こくりと頷くエルネスト。
 人形達の視線を感じる。
 その気配に振り向いた瞬間には、再び刃を振りかざした人形が顕れている!
 息を呑んで。
 低く身を構えたエルネストは、『策』を実行した。
 ぴゃっと幻獣が飛び退く。
「どっせえええい!」
 どこに現れるか解らないのならば、――適当に剣を振り回せばいいのだ!
 片足を後ろに反らして、円を描く形に思い切り腕を振りあげる!
 ――この刃は、ユーベルコードか、ユーベルコード由来の存在のみを斬る刃。
 かつての英雄がたどり着いた、奇跡のみを断つ奇跡殺しの刃だ。
 宝石人形が振りかざした刃を、エルネストの刃が横薙ぎに断ち払い。
 ぐっと踏み込んだ佳莉が、刃を断たれて一瞬狼狽したように見えた宝石人形の胸を妖刀で貫いた。
 膝をついて崩れ落ちる宝石人形。
「――余り動かないで下さいね、さあ、いくのです!」
 重ねて動き出した宝石人形達にお願いするように。
 ジズルズィークが越えを張れば、ウッドゴーレムが腕を大きく振るって地を揺るがした。
「貴女たちの思い通りにはさせません。そっちの数が多くても、私にはとても頼れる友人たちが居ますから!」
 妖刀と構えてキリ、と顔を上げた佳莉は、宝石人形の群れを睨めつけて朗と吠え。
 エルネストと幻獣を横に侍らせたジズルズィークが、応じるように頷いた。
「あなた達の剣は、私が断ち切って差し上げましょう」
「はい、大切な輝きに手出しはさせません。星に、仲間――エルさんふーさんにも、です!」
 きり、と球体関節を軋ませた宝石人形達は、猟兵達へとその虚ろな視線を向け――。
 解き放たれる宝石弾。
 エルネストは、とりあえず勘の赴くままに刃を奔らせた!
 ブンブーン!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

都槻・綾
f09129/ユルグさん

彩りに咲く星々が
踏み拉かれて行く様は騒々しく

――穏やかな道行きに
そろそろ眠気を催していたのではないですか?
目覚めの時間のようですよ、ユルグさん

暢気に笑みつつ結ぶ手印は
破魔の力を高める祈り
符を優雅に掲げるのに反し
高速の詠いで先制攻撃

傍らの鮮紅の睛には及ばぬけれど
人形が抱く耀きもまた
うつくしいと思えたから

――ねぇ
どうせ砕けるものならば
私達の手で煌き散らしたいものです

七つの点を指で空に描きつ詠いあげしは
自爆をさせぬようにと技を封じる七縛符
ななつぼしが淡い光を帯びて星物語を形作る

さぁ、どうぞ機を逃さず

微笑みを浮かべたまま
身を削る痛みは色に出ぬまま
ユルグさんへと終焉を託しましょう


ユルグ・オルド
綾(f01786)と

爆ぜて散る星の址に
願いの一つも唱えてみるかと

んふふ、宵っ張りの時間はまだまだこっからよ
お早うの挨拶にゃちょいと手荒なんじゃアない
お手柔らかに、と戯けて灯に代わって柄に手をかけて
綾の一手を追うように疾く躊躇わずに駈けだそう
得物が同じなら切り結んでくれるかい
待ち望んだ時間に掛ける心と、駆け抜ける今との一騎打ち
…一騎でないけども

窺わずとも読める軌を追って
奔り抜けていらえるならば
――仰せのままに

捕らえた夜天ごと熄でもって終いにしよう
掠る分なんて今更怯みもしないけども
散る星の光があんまり眩いもんだから
ああ、

人形の、綾の
身を灼くいのちの、色なのだと
振り抜く最後に、焼き付けて



 墜ちる星達はその色を褪せ、砂と零れ。
 彩りを失い地へと零れた星々が、宝石人形達に踏み拉かれて往く。
「――星の址に願いの一つでも唱えてみるかい?」
 不敵に笑んだユルグがゆると顔を揺すれば、綾が人差し指を自らの唇に寄せ。
「……――穏やかな道行きにそろそろ眠気を催していたのではないですか?」
「そーかもなァ」
 鍔のない片刃の彎刀の柄に手を添えて、ユルグは小さく頷いた。
「では、目覚めの時間のようですよ、ユルグさん」
「んふふ、宵っ張りの時間はまだまだこっからよ。お早うの挨拶にゃちょいと手荒なんじゃアない?」
 綾な悪戯げな笑みに、いかにもおかしげに言葉交わしたユルグは肩を一度上げ。朱印を結ぶ綾の指先を、視線だけで追って。
「まァ、せいぜいお手柔らかに行かせて頂こう」
 と戯けたユルグは、鈍く銀返す刃を引き抜けば。
 重ねて綾が符を閑雅に放てば恐ろしい速度で符が跳ね、後を追うように身を低くして地を蹴り込んだユルグが鋭く駆けた。
「やァ、お嬢サン。得物が同じならば、共に切り結んでくれるかい?」
 そうして、宝石人形を符に封じた破魔の力が弾けば。
 まるでダンスに誘うかのように、ユルグは笑んで刃を逆袈裟に振り上げた。
 甘い誘いへの宝石人形の応えは、振り下ろした朱色の刃。
 愚直に落とされる刃をユルグは軽く、跳ね交わし。
 人形が胸に抱く石へと一直線に器物を突き立てた。
 きし、と音を立てて宝石が崩れ割れた瞬間に、人形は膝から崩れ落れ。
 その動きを止めた人形に、ユルグはやれやれと肩を竦める。
「ふうん、弱点を晒しているなんて、なかなか情趣ある作りだねぇ」
 瞳を眇めた綾は、くっと口端を笑みに擡げ。
 ――そう、彼の朱瞳程ではないけれど。
 屑石と呼ばれようとも、彼女たちの胸に抱かれた石はきらきらと瞬いているものだから。
「――ねぇ。どうせ砕けるものならば、私達の手で煌き散らしたいものです」
 綾の瞳には彼女たちの胸に抱いた耀きもまた、美しいものにみえた。
 ならば、と綾は符を構え。
「――仰せのままに」
 は、と笑ってユルグは応えた。
 そうして、突如背後に顕れた気配――人形へと肘を打ち込むと。
 はっ倒した人形が地を転がった瞬間に、一斉に空間を跳んで人形達はユルグの傍へと姿を現した。
 掲げる刃。
 ――しかし、彼女たちが刃を振り下ろすことも、自爆する事も無い。……出来ない。
 瞬くななつぼしは、綾に描かれたまじないの陣。
 そう。
 彼女たちの動きは、綾の符に繋ぎ止められていたのだから。
「さぁ、どうぞ機を逃さず」
 綾の穏やかな声。淡い光を帯びて瞬く星彩。
 命削るまじないにも、涼しい顔で常の笑みを浮かべ。
 しかし。
 その身が壊れようとも、その身を軋ませようとも。
 強い意志が無い故、に人形は動こうとする。
 ぎっ、と音を立てて無理に刃を振るおうとすれば、球体関節より欠片が跳ねる。
「――さあ、壊れる前に俺が喰らおうか」
 身体を軋ませてまでも歩もうとする彼女たちを、再び眠らせてやるが為に。
 捉えた夜天ごと、全てを斬り伏せよう。
 地を鋭く蹴ったユルグが、真一文字に斬撃を駆けさせれば。――散る星の光があんまり眩いものだから。
 ユルグは、その光を目に焼き付けておくことにする。
 それは、人形の、――綾の。
 身を灼くいのちの、色なのだと。
 刃を、振り斬った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ソラスティベル・グラスラン
星を斬る彼女たちの刃を止め、【怪力】で打ち払う

あなたたちを率いる者に興味はありますが…
美しき迷宮に、学園に、無辜の民に害を成すのであれば
星々に代わり、わたしが相手になりますっ!

宝石弾を【盾受け】で防ぎ、
【見切り】で瞬間移動からの攻撃を払い反撃

対応しきれない分は…
【気合】の鎧で、耐えきってみせましょう!
此処に誓うは不退転の意思!勇者とは、己を顧みず盾となる者!
防御重視の【勇者理論】と【オーラ防御】
決してこの夜空を奪わせはしない誓いと共に、
【鎧砕き】の大斧にて彼女たちを打ち砕きます!

目覚めてしまった彼女たちには、申し訳ありませんが…
今一度、せめて星々に見送られ…深い眠りについて頂きますっ


花剣・耀子
嗚呼、無粋なこと。
せっかく灯したのに壊されてしまったら詰まらないわ。
星屑だってきらいじゃないけれど、今日は流れ星になってもらっては困るのよ。

撃ち落とされるよりも先に、その弾丸を斬りましょう。
守るなんて柄でもないけれど、防がれたら腹立たしいでしょう?
此方に目を、敵意を向けさせた方が早いもの。
鬼さんこちら。あたしを止めないと、宝石を全部斬り落としてしまうわよ。
近くに飛んできてくれたらしめたもの。
おまえたちの剣が届くということは、あたしの剣だって届くのよ。

……それにしても、景気よく撃つわね。
景気よく斬っておいてなんだけれど、
これ一発お幾らくらいになるのかしら。
リソースってある場所にはあるのだわ……。



 宝石人形達が、煌めく弾を撃ち放ち。
 弾に弾かれた星は、泡沫の弾けるに似た音を響かせ。
 魔力を周りへと霧散させながら、ぴかぴかと光の砂を溢して星彩を喪い、味気ない砂と化してゆく。
 虚ろな瞳で次の目標を定めた宝石人形は、更に星を墜とすべく刃を構え――。
「それ、以上っ!」
 冴えた空色の瞳の奥に、勇気を燃やし。
 敵の最中へと龍の翼を大きく広げて飛び込んでゆく、燃える炎のような陽光色の髪。
「星を墜とさせはしませーんっっ!」
 強い踏み込みからの、掬いあげるような巨大な斧の一撃!
 宝石人形達の携えた刃を、高く打ち払った大斧は雷竜の名を宿す。……そう、彼女こそ。
「美しき迷宮に、学園に、無辜の民に害を成すのであれば――、星々に代わり、わたしが相手になりますっ!」
 ――勇者を夢見て、だいたい力技で解決するソラスティベルであった!
 闖入者に宝石人形達は一瞬、顔を見合わせてから。
 一斉にソラスティベルへと、充填したばかりの宝石弾を撃ち放つ。
「くっ、多勢に無勢という奴ですかっ!? しかし、勇者は諦めたりしませんっ!」
 ソラスティベルは漆黒の盾を前に差し出して弾を受け、片腕で斧を振るって弾を叩き落とし――。
「此処に誓うは不退転の意思! 勇者とは、己を顧みず盾となる者!」
 躱す事の出来ぬ弾はもう諦めて、防御を固める事にしたソラスティベルは主に気合を入れ直す。
 ぐぐっと奥歯を噛み締めた、その刹那。
「少しお邪魔するわね」
「あなたは――!?」
 そこへ飛び込んできたのは、涼やかな声音。美しい黒髪を揺らした冴えた青。
 ――守るなんて、柄ではないけれど。
 ソラスティベルと背中合わせに立ち、さぱっと弾丸を斬り尽くしたのは耀子の解き放った白刃であった。
 ずいぶんと墜とされてしまった星空を、耀子はちらりと見遣って。
「全く。星を落とすなんて、無粋な事。せっかく灯したのに壊されてしまったら、つまらないもの。――助太刀するわ」
 星々に対して、別段義を感じている訳で無いけれど。
 彼女が派手に敵を集めてくれているという事は、斬りやすいという事だ。
 そもそも彼女がしていなければ耀子自身が囮となって敵を集めるつもりであったのだから。それは好都合とも言えた。
「……全くですっ! 決してこの夜空を奪わせはしませんっ!」
 機械剣を低く唸らせた耀子に、大きな斧を構え直したソラスティベルは何だか熱い感じに納得した様子。
 次いでソラスティベルを狙って、一気に空間を跳んだ宝石人形達が両の手の刃を振り上げて、襲いかかってくる!
「まあ、驚いたわ。これは……テレポートという奴かしら?」
「――封印間に合わず、目覚めてしまったあなた達には申し訳ありませんが……、今一度深い眠りについていただきますっ!」
 相手の刃が届くと言う事は、自らの刃も届くと言う事。
 二人で背中を合わせる事で、背後に敵をテレポートさせる事も無く。
「鬼さんこちら。あたしを止めないと、その宝石を全部斬り落としてしまうわよ」
 耀子の逆袈裟に切り上げた刃が白刃を生み。ソラスティベルの大きく振りかぶった大斧が、力任せに人形達を断ち落とす。
 その音を聞いた人形達が、更に宝石弾を放ち――。
 弾を弾き落としながら、ソラスティベルは朗々と正々堂々と吠えた。
「わたしはあなた達がどれだけ集まって来ようとも、勇気で攻め、気合で守り、根性でどうにかしますっ。ご覚悟を!」
「なるほど」
 驚かんばかりの根性論。勇者とはそういう者なのだ。
 突っ込むでも無く、さらっと受け流す耀子。
 青に長いまつ毛の影を落として、左右に小さく首を振って宝石弾を更に斬りつくし――。
 ……それにしても、宝石弾を景気良く撃つものである。
 耀子は普段より仲間達も含めて、武器に関しては随分がんばっておねだりしているものだから。無意識に脳裏で斬った額を考えてみようとして、止めた。
 ええ。
 リソースとは、ある場所にはあるものだ、という事であろう。
 瞳を眇めた耀子は、一瞬後に訪れるであろう人形達に備えて、身を低く構え。
「屑星だってきらいじゃないけれど、今日は流れ星になってもらっては困るのよ」
 ――だから、斬るわ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

冴島・類
【荒屋】

綺羅と石を輝かせる姿、不思議な美しさだね
その手の剣で星空を砕かずにいるなら、だが

夜空に瞬く星はただの景色じゃない
守る守護星で
僕らがそうだったよに
訪れた子らの思い出だからね
落とされる前に、倒そうか

リヒト君が照らし癒してくれるなら
前衛に出て、自身や2人に向かう宝石弾には
軌道読み、薙ぎ払いを放ったり
瓜江手繰り引きつけ
直撃の芯は逸らしたい

黒羽君が花雨咲かせれば
成程…氷が揺れれば、か

相手がその意に気づかぬよう
リヒト君の見渡す声にも注意払い
また、花が充分に広がれば
誘うようにあえて自身側に隙を見せ
移動する先をこちらへと導けぬかと

呼ぶ、声に頷いて
捉え次第、舞で万一自爆しても軽減狙うが…
爆ぜる前に、斬る


リヒト・レーゼル
【荒屋】

散歩はおしまい。
今度は宝石の子を相手にするんだね。

戦うことはあまり得意ではないんだ。
だから後衛から【祈り】と【生まれながらの光】で回復に専念するね。
攻撃は類と黒羽に任せたよ。
二人共すごくかっこよくて頼もしいな……。
俺も頑張ろう。

後衛から戦況も良く見えるよ。
そっちに行ったよ。気を付けて!
敵の様子をしっかり見て声かけも行うね。
瞬間移動も自爆も厄介だよね。
でも二人がいるからこんなピンチも簡単に切り抜けれる気がする。
敵からの攻撃は【オーラ防御】で防ぐよ。

生まれながらの光は少し疲れてしまうから
最初に使いすぎないように気を付けなきゃ。


華折・黒羽
【荒屋】

確かに綺麗ですね…
けれど、せっかく生まれた星々を砕く行為は見過ごせません

この数多の星の中には自分達が結んだ星もあるのだから
壊されるのは、ごめんです
形を成した影の剣
縹を纏わせ氷化粧施した屠を
詠唱にて花雨へと

瞬間移動をしたとて結局は向かってくるのであれば
ただ、集中するのみ
獣の耳を聳て聞き耳にて人形独特の関節音を拾おうと
さらに周囲に舞う花雨の攻撃対象を人形に指定し
触れた瞬間弾け合う攻撃音を追跡
多少の傷であれば盾・隠で僅かでも威力を減らし耐えるのみ

リヒトさんの癒しの力を身に感じる
伝う言葉は広い目となりとても心強い
僅かでも敵を捉えたならばあとは

──類さん

彼の攻撃で以って
結びの道となるように



 ぱちん、ぱちん。
 星の割れる音。
 星の壊れる音。
 星を燈す明かりに、燐光を仄めかし。
 遠く星を墜とす胸に宝石を抱いた少女人形達を照らして、瞳を眇め。
 解けていたのか、解けたのか。
 どちらにせよ、封印されていた者達が蠢いているのだから。
 これでもう、散歩はおしまい。
 胸にきらきらと宝石を抱く姿は、不思議と――。
「美しい姿だね」
 類が指先に繋いだ赤糸を引き絞って、眩しそうに瞳を細めて言った。
「確かに綺麗、ですけれど……」
「……星空を砕かずにいるなら、だけどね」
 けれど、と。
 眉を寄せた黒羽に、小さく苦笑した類は言葉を次ぐように。
 皆で結び灯した星は、ただの景色では無い。
 一つ一つが、この迷宮の主を封じる魔法であり。
 人々を見守る守護星でもあり。
 ――訪れた子らの思い出だ。
「これ以上落とされる前に、倒そうか」
「そうですね。……俺達の星座を壊されるのは、ごめんです」
 ほふり。
 コクと頷いた黒羽が、蠢く影より取り出したのは影の刃。
 手早く呪印符を施せば、影は冬を纏い氷化粧を施される。
「戦うことは、あまり得意じゃないんだけれどね」
 橙色の瞳に墜ちる星を映すリヒトは、帽子の鍔をきゅっと擡げて呟いた。
「俺は回復に専念しよう、前衛は任せても良いかな?」
 そうして、類と黒羽に視線を向けて首傾ぐと。
「勿論! 頼んだよ!」
 相槌を打った類が瓜江を伴に、遠く見える宝石人形達へと駆けだした。
 その刹那、走る彼の横を宝石弾が真っ直ぐに駆け。
「……前!」
「!」
 リヒトのぴっとした声に、類は反射的に踵で制動をかけて目を丸くした。
 そう。
 遠く見えた宝石人形は、今や吐息が届くほどの距離に顕れていたのだから。
 バックステップを無理やり踏むんだ類は、赤糸を身体の前で交わす形で引き絞り。
 代わりに濡羽色の髪を跳ねさせた絡繰人形――瓜江が大きく腕を振るって前へと出る。
「瞬間移動!?」
 祈り捧げるリヒトの、驚き宿した声が響き。
「からの、自爆……!?」
 瓜江が少女を薙ぎ払えば、強かに身体を打ち据えられた先で宝石に瞬く光を膨れ上がらせて宝石人形が爆ぜていた。
「なんとも捨て身の攻撃だね……」
 わあ……、と肩を竦めたリヒトは、類に向かって癒やしの光を瞬かせて。
「……」
 黒羽は逆にその駆け出した足を止めて、瞳を閉じていた。
 瞬間移動には驚きはしたが、どうせこちらに向かってくるのであれば。
 ――集中をする。
 獣の耳をぴんと欹てて、よくよく音を聞こう。
 生きた人形とは、違う音。
 類の絡繰とも、また違う音。
 球体関節の、擦れる音。
 黒羽の掌の中で氷纏う影刃が、氷の花弁と蕩けて花弁舞う。
 ――しらひめ。
 周りを舞った花弁に黒羽の意図に気がついた様子で、類は頷き。
 成程、と。
「うん」
 そうしてそのまま、あえて無防備な足取りで更に前へと躍り出し。
 その生み出された隙を狙って、類へと向かって幾つもの宝石弾が放たれる。
「来たよ、気をつけて!」
 後衛から戦場を見渡すリヒトのよく響く声。
 同時にひらりと、花弁が不自然に揺れた。
「――類さん」
 重ねて、黒羽の声音が響く。
 その声にもう一度頷いた類が、揺れた花弁より距離を取る形で大きく跳ねて後退すると
 瞬間。
 花弁の間を縫って顕れた宝石人形は氷の花弁に切り裂かれながら、その虚ろな瞳を類へと向けた。
 類と少女の視線が交わされたのは、ほんの刹那。
 花弁の動きによって出現先を予測していた類は、自らの魂を神霊体へと燃やし。
「――斬る」
 放てば斬撃を纏う短剣で、その胸の石を一息に斬り砕いた!
 ……ぱきん。
 宝石は爆ぜる事も出来ず、その光を失って砂の如く零れ。
 人形が膝をついて、その場にかしゃんと崩れ落ちた。
「わあ……すごいやふたりとも」
 敵の攻撃を見ただけで一瞬で相談する事なく連携をした二人の姿にリヒトは、仄かに眦を下げて。
「――あ、また来たよ!」
 そうしてリヒトは、格好良くて頼もしい仲間たちに負けぬようにと小さく拳を握る。
「はい」「任せて!」
 ――戦場を見渡す心強い声の癒やしに、頼もしさを感じながら。
 こく、と頷いた黒羽は氷の花弁を更に大きく展開させ、黒い翼をきゅっと畳み。
 類は赤い糸を引いて前へと向き直った。
 彼らは確信している。
 きっとこの三人ならば、どんなピンチでも簡単に切り抜けられるだろうと。
 宝石弾が、花弁を弾いて――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『『宝石人形』勝利のダイヤモンド』

POW   :    アーティフィシャルダイヤモンズ
無敵の【自身の分身体(レベル×5体)】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD   :    ヴィクトリードール
全身を【あらゆる攻撃にほぼ無敵の勝利のオーラ】で覆い、自身の【背中に光の翼を展開し、勝利の意識】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
WIZ   :    金剛石は砕けない
全身を【レベル×1倍の威力に増幅して反撃する状態】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。

イラスト:ぱぶ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアララギ・イチイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●勝利のダイヤモンド
 今晩も銀河のお祭であった筈だった。
 しらしらと浮かび亘る星が、何とも言えず綺麗な音色を立てて、とけるように浸みるように、足取りにつれて零れ落ちて往く。
 それはきらびやかな銀河の河床の上を、声もなくかたちもなく流れる水の如く。
 その流れのまん中に、ぼうっと青白く後光の射した一つの姿が見えた。
 ヴェールに白を柔らかく揺らした少女は、屑星を胸に抱いた人形よりも滑らかな動き。
 その惜しげもなく晒された球体関節は、彼女の種族が人で無いことを示していた。
 彼女の胸に抱かれた大きな石は、虹のようにぎらりと星彩を照り返してぴかぴかと瞬く金剛石。
「ぼくはもう、すっかり全部見させてもらったのだけれどね」
 その瞳に少しだけ憂いを帯びさせた彼女は、もう動かない宝石人形の手を取って。
 かしゃん、と音を立てて床に落とし。
「こんなになるまで戦ってくれた、ぼくの友達は全部斃れてしまったようだねえ」
 彼女が歩む度に、封印の光がさらさらと流星となって零れ。
 真っ直ぐに猟兵を見た瞳は、墜ちる星明かりが写り込んで。光のないまぜに灯る色を揺らしていた。
 その奥に燃えるのは――、勝利への渇望。
「ありがとう。必ずぼくは、君たちのために勝ってみせるから」
 宝石人形――『勝利』のダイヤモンドは、きっとその瞳の奥に覚悟の光を宿して剣を構えた。

 彼女は、人形たちの瞳を通して、全てをすっかり見ていた。
 彼女は、人形たちが自分のために戦う姿を抗えぬ封印の中、止められずにいた。
 彼女は、人形たちが自分のために落としてくれた星に、封印が解れた事を知った。
 だから、彼女は負ける事は無い、と確信をしていた。
 彼女は強い。
 宝石人形達の中でも、殊更彼女は堅いのだから。

 ――自らの為に戦ってくれた宝石人形へと行われた戦い方を、彼女は全部見ていた。
 宝石人形に行った戦法と同じ方法で向かってくる相手に、彼女は絶対に負ける事は無い。

 彼女は学習の出来る、素晴らしい人形なのだから。
 彼女は自らの為に失われた仲間を、無駄にする人形では無いのだから。

 そう。
 ……もし、全く違う戦い方を行われれば、虚を突かれるかも知れないけれど。

「きれいに星を作ってくれてありがとう、学生たち。でもぼくはもう、外に行こうと思う」
 みなの弔いのために。
 ほんとうの星を、見に行くために。
「いくよ」
 ダイヤモンドは、低く剣を構えて一気に地を蹴った。
ミリィ・マルガリテス
ああ、なんて美しいかの……
圧倒的な存在感に人形のこころが震える
それでもこんな形で対峙してしまった
それならば、わたしは祈るだけ

どうかお手を取ってくださいまし
ひとときの逢瀬を楽しみましょう?

基本行動はシンフォニック・キュアで味方の回復に努めます
澄んだ高音で紡ぐは月の光のようなララバイを捧げて
どうか無理をしないで、あなたの帰りを待つかたのとこへ無事に戻りましょう

わたしに対する攻撃は、見切りとカウンターで対処したいわ
合間を縫って歌で援護
治療は、攻撃を担われているかたや負傷したかたを優先

変えられない運命ならば
いずれ忘れ去られる存在でも、
幸福なわたしはせめて祈りましょう
あなたたちの幸福を
次なる生命の輝きを


旭・まどか
確かダイアモンドは自然界で一番の強度を誇るのだったか
その肩書きの通り、一筋縄では行かなさそうだね

ならば僕も少しくらいは――、この身を削ることとしようか

集めた燈火と星灯が煌めいて
昼の色が夜の色へと、移り行く

鋭い爪先は、獣の其
忌避し、疎んだ、歪な姿

お前のその自慢の隔壁に、罅を入れよう
分身である此れらに、防げる筈も無いだろう?

使える駒が減って
果たしてお前はどうするのかな?

嗚呼、そういえば
思い出したことがある

ダイアモンドの加工は、同じ、ダイアモンドを用いるそうだ
粉末にして、刃とするのだそうだよ

お前が生みだし、味方と信じて疑わない分身は
果たして本当にお前の矛であり、盾であるのかな?


ミラリア・レリクストゥラ
これで、終わり……ではないみたい、ですね。

【WIZ】

…先ほどの方々とは違う。出で立ちだけではなく、あの語り口、所作に表情…それに含まれる硬い『意思』。
封印されていた方、以外の答えは見当たりませんね…

ですが。意思に係わらず、あの方はオブリビオン。滅びを産み出す過去からの使者。
現在を侵させるわけには、いきません!

『すべて見ていた』、と仰いましたね。
つまり貴女は、封印されながらもずっと起きていた。……さぞかしお疲れでしょう。
私の【ゆりかごの子守歌】で、意識を癒してさしあげます…ええ。これは攻撃ではなく『回復手段』。
貴女の反撃対象たりえない。
夢の星空のまま、過去へ還す算段がつくのを待っていてください。



 こころが震えるその圧倒的な存在感に。
 その輝きに名を付けるとすれば――。
「ああ、……なんて美しいのかしら」
 相対した人形に瞳を細めて、ほうと言葉零したミリィ。
「――さあプルミエール・エトワール。どうか、お手を取ってくださいまし」
 しらじらとした輝きを胸に宿した災魔に手を伸ばして、祈るように言葉をまろばせる。
「ひとときの逢瀬を楽しみましょう?」
 その金剛石の瞳の輝きを陰らせる事も無く。
 ミリィに相対する宝石人形――、ダイヤモンドはその刃をキチリと上げて。
「その手をぼくが取れない事は、きっと君は知っているだろうけれど。それでも、心遣いをありがとう」
 そうして、腰を落として身を低く構えたダイヤモンドは、表情を変えることも無く。刃を低く構えると、ヴェールを小さく揺した。
「それでも逢瀬を楽しむ事は、やぶさかじゃ無いと思っているよ」
 そのヴェールが二つにずれたかと思えば、その数は三つ、四つ。
 息をつく間も与えず、みるみる膨れ上がり。
「……まあ!」
 ミリィの驚きの声。
 一瞬の内に、猟兵達の前に数百体ものダイヤモンドの分身体が姿を現していた。
「さあ、踊ろうか」
 その暴力的なまでの数に、まどかはふっと細く細く息を零す。
「ふうん、確かダイヤモンドは自然界で一番の硬度を誇るのだったか」
 その肩書き通り、一筋縄では行かなそうだ。
 ――ならば僕も少しくらいは、この身を削ることとしようか、と。
 まどかの星明かりのランプに灯る、夜混じりの八重色が、暮れた夜空へと染まり往く。
 掌をぎゅっと一度握りしめて、開く。
 その細やかにも靭やかであった指先には、獣のような鋭い爪が伸び。
 揺れる眸の色が、血色に染まる。
 それは、まどかの忌避する、まどかの疎む。――歪である、吸血鬼そのもの姿だ。
「お前のその自慢の隔壁に、罅を入れてやる」
 ――ダイヤモンドのモース硬度はたしかに、鉱物の中では随一である。
 しかし靭性で言えば劈開性がある為に、特定方向からの衝撃には割れやすいという性質もあるのだ。
 つまり。
 叩き割れば、割れる。
 一気にまどかは、大きく腕を振るってダイヤモンドの分身体を薙ぎ払い。
 ――そこに響いた旋律は、まるで子守唄のよう。
 いいや、まさに子守唄であった。
「……『すべて見ていた』、と仰いましたね」
 スピネルの身体に星明かりを透かして、ミラリアは囁く。
 封印されながらもずっと見ていた、……起きていたであろうダイヤモンド達を労うように。
 オパールの眸を笑ったように細めて、ミラリアは詩を紡ぐ。
「……さぞかしお疲れでしょう?」
 ミラリアは甘く甘く歌い上げる、眠りへと誘う優しい癒やしの詩を。
 そう。
 彼女の旋律は『攻撃』では無く、文字通り『回復』であった。
「……おや、これ、は」
 ダイヤモンド分身体が眠たそうに眸を落とした所に、まどかは一気に切り込んで。
 響くララバイの旋律へと、月光のようにソプラノを重ねたのはミリィであった。
 ――どうか。
 どうか、無理をしないで。
 あなたの帰りを待つ方のところへと、無事に戻りましょう?
 同じ癒やしの歌声でも、ミラリアとミリィの歌声は性質が違う。
 ミラリアの歌声は、ダイヤモンド達を眠りへと誘う癒やし。
 ミリィの歌声は、猟兵達を勇気づけるかのような甘い癒やし。
 戦場に響く二重奏は、どこまでも高らかに混ざり。
 ミリィは祈る。
 ――変えられない運命ならば。
 いずれ忘れ去られる存在でも、幸福なわたしはせめて。
 あなたたちの幸福を。……次なる生命の輝きを祈りましょう、と。
 ミラリアは誓う。
 ――彼女がどれほど輝かしい言葉を口にしようとも、彼女がどれほど強く硬い『意志』を示そうとも。
 ダイヤモンドは、災魔――オブリビオンである。
 オブリビオンは滅びを齎す、変質して滲み出た過去だ。
 ――決して、現在を侵させはしない、と。
 猟兵の勝利を信じて願いの籠められた二重奏を背に、まどかは駆ける。
「――嗚呼、そういえば。思い出したことがある」
 ぽつ、と呟いたまどかは、血色の眸を細め。
 動きの緩やかになった敵を受け止め、嬲り、割る。
「ダイヤモンドの加工は、同じ、ダイヤモンドを用いるそうだ。――粉末にして、刃とするのだそうだよ」
「そう、恐ろしいね。こんなに綺麗なものを削ってしまうなんて」
 まどかの一撃を掲げた剣で受け止めたダイヤモンドの本体は、表情を変えること無く瞬きを重ね。
「お前が生みだし、味方と信じて疑わない分身は、果たして本当にお前の矛であり、盾であるのかな?」
 逆にお前を攻撃するための、武器と成り得るのではないか?
 まどかの問いに肩を竦めて、一度バックステップを踏んだダイヤモンドは、その分身体を腕の動き一つで彼へと殺到させて。
「……君は、自分に裏切られた事があるのかい?」
 首を傾げて、尋ねた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

リンセ・ノーチェ
汗が伝う
僕は得意な戦術を使い尽くした
…けど
「本当の星はきっと
本当の空を見たってない」
ダイヤは寂しそう(【優しさ】)
「自分の中に
自分で見つけない限り
本当の星は見つからない」

馬鹿だな僕
二人が僕を放って行っちゃうなんて
二人のくれる『大好き』を忘れる所だった
今もきっと僕を
「うん、気を付けて頑張るよ」
お菓子持って二人に会おう
土産話胸一杯
大好き空一杯
また、あした
涙一粒に寂しい気持ち全部詰めてさよなら

【勇気】振り絞れ!
真の姿:己の影が煌き立って体に寄添う
UC発動
控えめでも確かな虹星
「僕は無敵じゃない
だからこそ
君より輝く本物の星がある!」
友達
約束
世界
護るよ
小細工なしの【属性攻撃】は風
岩石ですら何時か塵に帰す風



 大量の分身体を前に、リンセは内心焦りを感じていた。
 ――ダイヤモンドが語った言葉が真実であるならば、リンセは既に手の内を全て敵に見せてしまっている状態であったのだから。
 しかし。
「本当の星はきっと、本当の空を見たってない」
 ダイヤモンドが、友達を失ったと言った時に。彼女が――とても、寂しそうに見えたのだ。
「自分の中に、自分で見つけない限り。本当の星は見つからないよ」
 真っ直ぐに前を向いて告げた言葉に満ちた勇気へと、呼応するかのように。
 足元に落ちた影が膨れ上がり、星空のようにきらめいて身体へと寄り添う。
 脳裏に過るのは、――ああ、馬鹿だったなあ、僕、なんて言葉。
 二人がリンセを放って行ってしまう、なんて。
 リンセが一人で思いつめて飛び出した時にだって、追いかけてきてくれた二人が、そんな事する訳も無いのに。
 二人があんなにも、沢山沢山『大好き』をくれた事を忘れていたと言うのだろうか。
 今もきっと、リンセの事を二人は思ってくれているのだろう、と。
 確信に近い感情が、リンセの背をやさしく押してくれる、支えてくれる。
 うん、――気をつけて、頑張るよ。
「僕は君と違って、無敵じゃない」
 リンセの言葉が纏った魔力の奔流が、星屑を散らして吹きすさぶ。
 ああ、アルダワで一番素敵なお菓子屋さんでお菓子を買って帰ろう。
 美味しいケーキも、クッキーも、どっさり買って。一番に、二人に会いに行こう。
 お土産話を胸がいっぱいになるまで沢山しよう、大好きを空が一杯になるまで伝えよう。
 ――またあした、と。
 叶うと限らなかった約束を、叶えよう。
 ――だから、涙を流すのはこの一粒だけ。
 寂しい気持ちは、ぜんぶこの涙に詰めて、さよならしよう。
 虹星纏う影を揺らめかせて、リンセは一気に地を蹴った。
 纏う風は荒々と、猛る心に反して冴えた頭。
 気持ちに寄り添って大きくなった身体に、大きくなった力。
 ダイヤモンドの分身体の石を割り砕いて、リンセは朗々と言う。
「――だからこそ、君より輝く本物の星がある!」
「本物かあ、……僕だって見てみたいよ。ずっと、ずっと」
 願う気持ちは負けぬと言うかのように、本体のダイヤモンドは風の魔力を切り裂いて呟いた。
「そうかあ。君は見たことがあるんだね」
 本物を、と。
 大きく腕を振るうだけでダイヤはリンセへと分身体をけしかけ。
「うん。――だから、絶対に護るよ」
 風の刃を大きく膨れ上がらせたリンセは、頷いた。
 友達も、
 約束も、
 世界も、
 全部、全部、全部。
 ――その金剛石の眸に宿った寂しさを真っ直ぐに見据えて。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヨハン・グレイン
オルハさん/f00497 と

友達とやらが斃れていく姿をのうのうと見ていた訳ですか
人形相手に殊更抱く感情もありませんが……、一言いうのなら
ざまあみろ、ってところですよ
さっさと眠りについていただきましょう

先ずは彼女の狙い通りに、戦闘力強化が臨めるよう手助けしましょう
<高速詠唱>で『焔喚紅』から黒炎を爆ぜさせる
目くらましを狙いながら足元に闇を這わせ、動かぬ個体に先ずは当てる
【侵蝕する昏冥】にてルール宣告は簡潔に
「動け」
反撃状態を解かぬなら、そのまま持続ダメージを与えるのみ

想像が乏しいな
宝石人形とは脆く砕けるものだったのか
ダイヤモンドは熱に弱いといいますよね
黒炎で焼き切ってやろう


オルハ・オランシュ
ヨハン(f05367)と

へぇ……君にも友情はあるんだね
あの人形たちにとっては単なる使命感のようなものだったように見えたけれど
ヨハンの言葉に頷いてから私も続ける
君が行くべきは、友達たちのところだよ

ヨハンがサポートに動いてくれているのがわかる……活かさなきゃ
さっきの人形の時と同じように動いて
疾さ重視の攻撃、に見せ掛ける
学習したダイヤモンドに見切られても構わない
狙いは元より、魔法陣による自己強化!
ヨハンの宣告で敵が動いたらダガーによる近接攻撃で反撃を促して、
得意戦法のひとつ【見切り】【カウンター】でこちらも攻める
動かなければそのまま畳み掛ける

そう、綺麗な星でしょ
生きているうちに目に焼き付けておいてよ



 三叉槍を握ったオルハが、先程と同じ様に鋭く地を踏み込み。
「……へえ。ならばあなたは友達とやらが、斃れていく姿をのうのうと見ていた訳ですか?」
 ヨハンがやれやれと肩を竦めて、腕を真っ直ぐに伸ばした。
 その指先に宿る銀。
「動けぬ身で、斃れていく友達を見る事はなかなか堪えたよ。……もうだれもいなくなってしまったものねえ」
 ダイヤモンドはぴかぴかと瞬く眸に結晶の睫毛の影を落として、反撃の構えを取ったまま応じ。
「まあ、人形相手に殊更抱く感情もありませんが……、一言いうのなら」
 ――ざまあみろ、ってところですよ。
「そういう訳でして、……さっさと眠りについていただけますか?」
 ヨハンがばさりと言葉で切り伏せて、銀の先より黒炎を解けさせると。
 大量としか言えぬ数のダイヤモンドの分身達の視線を蛇のように舐め、刃を持たぬ分身体達が警戒に身を寄せる。
「そっか、君たちにも友情はあるんだね」
 オルハから見れば、――あの人形たちにとってはダイヤモンドの封印を解くという事は単なる使命感にも見えたけれども。
 それでも、彼女はそれを友情だと信じているのだろう。
 それならば、だからこそ。
「うん。……君が行くべきは、友達たちのところだと思うよ」
 ヨハンの言葉に相槌を打って大きく跳ねたオルハが、分身体の一体に三叉槍を大きく振り上げ。
「――動け」
 それと同時に。
 黒炎を目くらましに鋭く影を這わせて、ダイヤモンド本体へと影を忍び寄らせていたヨハンが朗と宣言をした。
 オルハの一撃は分身体に敢え無く避けられてしまうが、オルハは敵の頭に手をついて天地逆転。
 ――元より狙いはこちらだ。
 そのまま空中で一回転しながら、魔法陣を展開して自らの加護とする。
「おや、これはまじないか」
 ダイヤモンド本体の呟き。
 どうあっても、生きている以上動く事をやめてしまう瞬間はあるものだ。
 ――動き続けるという事は、守る事の難しいルールである。
 それ故に、ヨハンのルールの枷のダメージはダイヤモンドにとって大きい物ではあり得ない。
 せいぜい、タンスの角に小指をぶつけた程度のものであろう。
 じわじわと痛みこそ蓄積すれど、致命傷には至らぬだろう。
 だからこそ。
 少しだけ身体を捩ったダイヤモンドは、分身体に自らを護らせたまま反撃の構えより動かぬ事を選択した。
 ――しかし、いつかは我慢できず動き出すだろう、ともヨハンは確信していた。
 だって彼女、すっごいもぞもぞしてるし。
 眸を眼鏡の奥で眇めたヨハンは、分身体にも闇を這わせ。動け、と更にルール宣告を重ね。
「よっ!」
 空中を跳ねきったオルハが分身体の直上を取って、三叉槍とは逆の手に握ったダガーでその首を狙って真っ直ぐに刃を奔らせる姿に視線を移した。
「……っ、やっぱり硬いね!」
「――ダイヤモンドは熱には弱いのでしょう?」
 地に降り立ちざまに反撃の拳にガードをあげたオルハが眸を細めると、ヨハンの黒炎が分身体の一体を巻きこみ燃やす。
 その瞬間、もう一度踏み込んだオルハが刃を交わせば分身体の首がパキリと零れ。
「全く、想像が乏しいな」
「分身の方は、ダイヤモンドの性質を突けばいけそう、……かな!」
 確かな手応えに、オルハが大きく頷いてダガーを握りしめた。
 ひょい、と軽く跳ねる彼女の身体。
「……はぁ、量が多くて厄介ですが、さっさと全部壊してしまいましょうか」
「うん!」
 闇を纏った術士と、身軽に薄紅混じる金髪を揺らす何でも屋は背中合わせ。
 ダイヤモンドの軍勢を、睨めつけて――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

折角だが宵の言う通りお前達を外に出す訳には行かんのだ
大人しく眠りにつくが良い

戦闘と同時に地を蹴り『早業』にて間合いを詰めながら敵へ大きく手を伸ばそう
だが、先の掴み叩きつけるそれとは違く至近から生じさせた炎の狼達…【狼達の饗宴】を嗾ける合図として、だが
金剛石は確かに硬かろう
だが…炎に弱い事は俺の本体にも在る故識っているのでな

だが後衛にて攻撃を仕掛けるだろうと思い込んでいた宵が前に出攻撃を仕掛ける様を見れば慌て駆け寄らんと試みるも
至近でも危なげなく攻撃をする様を見れば安堵の笑みを浮かべつつ再び敵へ【狼達の饗宴】を
…宵が臆病な訳なかろう?俺の背を預けられる大事な伴侶なのだから、な


逢坂・宵
ザッフィーロ君(f06826)と

外に出させはしませんよ
貴方は此処で眠りに就くのです
そのご自慢のつるぎが届かぬ奥底へ、ね

近接攻撃で暴れまわる(フェイントを行う)ザッフィーロ君の援護を
真正面から行う、と見せかけて
彼女の死角から「属性攻撃」「高速詠唱」「全力魔法」「鎧無視攻撃」をのせた
【天航アストロゲーション】で狙い撃ちを行いましょう
僕へと近づかれたなら、「野生の勘」「第六感」で察知に努め
距離を取るフェイントを入れつつ至近距離で「マヒ攻撃」を込めた「衝撃波」を行いましょう

遠距離から撃つしか能のない臆病者と思われては困りますからね
……ふふ、ありがとうございます
僕の大事な伴侶も勇ましくて格好いいですね



 本当の夜空を見たい、という願いは理解が出来ぬ事は無い。
「外に出させはしませんよ、貴方は此処で眠りに就くのです」
 夜空の美しさを、宵は知っている。
 それでも、彼女が災魔で在る限り――。
「そのご自慢のつるぎが届かぬ奥底へ、ね」
「ああ、大人しく眠りにつくが良い」
 宵の言葉に同意を示して、鋭く地を蹴ったザッフィーロはダイヤモンドの分身体をかき分けてダイヤモンド本体へと大きく手を伸ばし。
 今にも掴みかかるかと思われた手がとん、と動かぬ彼女の胸に抱かれた宝石を軽く叩いた。
 そうして解き放つは、火花の爆ぜる火狼の群れ。
「――お前も、炎に弱い石なのだろう?」
 ザッフィーロはダイヤモンドに次ぐ硬度を持ち合わせる碧玉の指輪を器物とする、ヤドリガミだ。
 炎の恐ろしさは、その身が誰よりも知っている。
 だからこそ、確信を持って炎をけしかける事ができるのだ。
「……!」
 食らいつく炎に炙られ、思わず動いてしまったダイヤモンドは、分身体を前へと出してバックステップ。
 その背へと、星杖を振るって踏み込んだのは宵であった。
「……!」
 宵は何時ものように後ろで援護をするものだと思っていたザッフィーロは、目を見開いて。
 一歩踏み出さんとした所で、宵は自らの唇に人差し指を当てて瞳を眇めた。
 それは、大丈夫ですよ。と伝えるかのように。
 ダイヤモンド本体の背へと殺到する、星の瞬き。
「――遠距離から撃つしか能のない臆病者と思われては困りますからね」
 宵はくつ、と喉を鳴らして笑い囁くと。
 肩を竦めたザッフィーロが、唇に笑みを宿して。
 再び炎纏う狼を呼び出せば、ダイヤモンドの分身体達を喰らいながら本体へと狼が駆けた。
「……宵が臆病な訳なかろう?」
 大きくステップを踏むと、ザッフィーロは宵の横へと立って。
「俺の背を預けられる大事な伴侶なのだから、な」
 次がれた言葉に杖を大きく振ってさらに星を落とした宵は、ザッフィーロと同じ様に唇に笑みを宿し応じる。
「……ふふ、ありがとうございます」
 そうして。
 少しだけ自らよりも高い背。
 宵はすこしだけ見上げる瞳で紫と藍を交わして。
「僕の大事な伴侶も勇ましくて格好いいですね」
 どこか悪戯げな表情でもう一度唇に人差し指を当てた。
 視線で密やかに言葉を交わした二人は、改めてダイヤモンド達へと向き直り。
「さあ、行きましょうか」
「ああ、さっさと片してしまおうか」
 駆ける炎、降り注ぐ星。
 二人のヤドリガミは、ダイヤモンドの宝石人形の群れを睨めつける。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

篝・倫太郎
【華禱】
出て行かれても困るんで
此処でオヤスミナサイでサヨナラ、だ

……ん、ごめん
ちっとばか、考えた
後、それとは別口でごめん
(寿命削る技使って、ごめんな)

ん、往こう

祖霊召喚使用
夜彦とタイミング合わせてダッシュで接近
肉薄したら華焔刀でなぎ払い
攻撃には衝撃波と鎧無視攻撃を常時乗せてく
出入口に近い場合は吹き飛ばしも使用して奥へ

反撃と攻撃にはオーラ防御で対応
対応し切れない場合は咄嗟の一撃で攻撃を相殺

見てたのと違うか?
別段、あれしか出来ねぇ訳でもねぇんだ
ただ、あれのが能率が良いって話でよ

分身体が出現したら
なぎ払いの範囲攻撃で夜彦のフォロー

なぁ、夜彦
金剛石は硬いけど火に弱いんだぜ?
そいつが同じかは判んねぇけど


月舘・夜彦
【華禱】
貴女がオブリビオンではなくて、星を見たいだけならば
……いえ、私達が彼女達の命を奪っているのですから
都合良く考えるのは無礼にも等しい

……倫太郎殿
また私が鬼に変わると考えているのでしょう
あれは命を削るもの、今は何度も使うつもりはありませんよ

真の姿を、此処に
貴方にこの姿を見せるのは二度目
姿と攻撃手段も異なるのならば虚を突けましょう
――往きますよ

初動は倫太郎殿と動きを合わせて仕掛ける
攻撃は鎧砕きと鎧無視にて、刃を叩き込む
金剛石とは言え、万能に非ず幾度打ち込めば変わりましょう
分身体は創造した瞬間に早業で火華咲鬼剣舞
衝撃波を併せた炎にて焼き払う

敵からの攻撃は見切りで武器で受け止め、カウンター



「外に出ていかれても困るんでな、此処でオヤスミナサイでサヨナラ、だ」
 萌黄を揺らして倫太郎が宣言する横。
 く、と喉を鳴らした夜彦は瞳を一度閉じた。
 もしも。
 彼女が災魔――オブリビオンでは無くて。
 迷宮に囚われた、星が見たいだけの少女だとすれば。
 もしも。
 彼女はただ、星を見たかっただけなのだとすれば。
 ――猟兵は、オブリビオンを討つ者である。
 もしも、を考え出すとキリは無い。
 彼女達の望みを断つ事が、彼女たちに与えられた仮初の命を討つ事こそが。
 世界を守るための手段だと言う事も知っている。
 彼女たちの願いは、叶えられない。
 叶える訳には行かない。
 だからこそ、夜彦は彼女たちの命を奪う。
 ――もしも、なんて都合の良い事を考える事は、彼女たちに対して無礼にも等しい事だと思うのだ。
 一瞬だけの懺悔に似た思考。
 倫太郎の方へとふ、と顔を向けると彼も同じ様に眉を寄せていた。
「……倫太郎殿、もしやまた私が鬼に変わると考えているのですか?」
「……ん、ごめん。ちっとばか、それも考えてた」
 ふる、と左右に顔を振った夜彦は刀の柄へと手を添えて。
「あれは命を削るもの、今は何度も使うつもりはありませんよ」
「そっか、……でも、そうか、じゃあ今回は俺がごめん、だな」
 薙刀を手に駆け出した倫太郎は、星とは違う輝きを纏い。
「……成程」
 同時に足を踏み出した夜彦が黒く燃える炎を纏い、二人は並走する。
 夜彦の額より伸びる黒曜色の一対の角。
 ――ああ、この姿を彼に晒すのは二度目と成る。
 分身体の群れへと大きく薙刀で円を描くように振った倫太郎の一撃には、穢れを払う加護が秘められ。
 そこに合わせて刃を鋭く叩き込んだのは、真の姿を晒した夜彦だ。
 両腕をガードにあげて二人の攻撃を受け止めた分身体が、余波に地面を刳り立ち。
 受け流しきられるまえにラッシュをかけるように刃を叩き込む夜彦。
「……はは、見てたのと違うか? ――別段あれしか出来ねぇ訳でもねぇんだ、よっ!」
 分身体の胸元に抱かれた石を薙刀で突き上げながら、倫太郎は吠え。
 その固さにじん、と腕が痺れる感覚。
「なぁ、夜彦。金剛石は硬いけど火に弱いらしいぜ」
「はい、お任せください」
 ダイヤモンド分身体の拳を握りしめて振りかぶる一撃を刃先で反らした夜彦が小さく笑んで。
 翠の瞳の奥に覚悟を揺らした。
 ――舞いて咲くは、炎の華。
 掬い上げる様に振るった一撃に、花弁のように炎が散り。
「次こそ――!」
 ぱり、ん。
 重ねて神霊の加護の輝きを宿した倫太郎が、その炎ごと飲み込むように。
 分身体の胸元に抱かれた石へと押し込まれた薙刀が、その胸を貫いた。
「よっし、いけそうだな!」
「ええ、手早く済ましてしまいましょう」
 ――彼が謝った理由を、夜彦は既に察している。
 彼はあの加護を得るために、命を削っているのであろう。
 ならば、少しでも早く、一瞬でも早く。
 ――星を見たいと望む彼女を、討たねばならぬと。
 夜彦はその身を低く低く構えた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

スバル・ペンドリーノ
……貴女。皆のために、戦うのね
あぁ……見た目まで、ちょっぴり似てるんだもの。誰かさんを、思い出しちゃうわ

ほんとうの星空……見せてあげたい、という気持ちはあるけれど
そうも、いかないわね

私の爪は、金剛石を砕けるほどには強くない
砕けたとしても、苦しめてしまうでしょうから……

「――お願い、お姉さま」

ここにいない人も、「傍にいる」と心底から信じ抜けば、現実の境界なんて容易く歪む
お姉さまの幻影が使う力は、百億の星
超高速回転する小型中性子星による時流逆行、人工物を素材に分解するアンドロメダ・シリンダー

ほんとうの星空じゃあ、ないけれど
私の知っている、一番綺麗なお星さまを見せてあげる

ごめんなさいは、言わないわ



「……貴女。皆のために、戦うというのね」
 もう。
 困った話だ。
 なんたって、彼女の宝石色に輝く瞳には、全く一つも嘘が見えないのだから。
 色こそ違えど、誇り高く輝くあの瞳。
 絹みたいな銀宿す髪。
 少しだけ、少しだけ。
 ほんのちょっぴりだけだけれど。
 誰かさんと重なる印象に、スバルは細く息を吐いてしまう。
 ……そんな悲しげな顔で、ほんとうの星空がみたい、なんて言われてしまったら。
 見せてあげたい気持ちだって、ほんの少し生まれてしまうけれど。
「……そうも、いかないわね」
 スバルは、ほんとうの星空の心地よさを知っている。
 スバルは、ほんとうの絆の強さを知ってしまった。
 だからこそ、あの災魔に少しだけ同情に似た何かを感じてしまうのだ。
 ――オブリビオンが、世界に災厄を齎す物だと知っていながら。
「……ほんとうの星空じゃあ、ないけれど。私の知っている、一番綺麗なお星さまを見せてあげるわ」
 スバルの爪は、金剛石を砕くほど強くは無い。
 スバルの爪で、金剛石を砕けたとしても、彼女を苦しめてしまうであろう。
 ――……、そんな事、本当は気にしなくて良いのだろうけれど。
 だからこそ、大切な人に願おう。
 だからこそ、大切な人に頼ろう。
 きゅ、と掌を握りしめたスバルは、祈る。信じる。感じる。
 ここに居ない人だとしても、今は一緒に居ないとしても。
 心はずっと一緒にある。
 心はずっと傍にある。
 虚構であろうと信じ抜けば、現実の方が歪むものだ。
「――お願い、お姉さま」
『呼んだ、スバルちゃん?』
「ええ、呼んだわ」
 スバルの愛する姉ならば、彼女に一番きれいな星を見せてあげられるだろう。
 スバルの信じる姉ならば、彼女を苦しめずに砕く事だってできるだろう。
『はぁい、スバルちゃんのお願いならお姉さん張り切っちゃうわ』
 立ちふさがるダイヤモンドの分身体へと向かって、ステラの幻影は翠の髪を揺らして。
 ――その青い瞳を、揺らがせた。
 それは時流逆行による物質崩壊。
 人形が人形と成る前へと、分解する力。
 煌めく星々の瞬きは、大きく跳ねて。
 ――だから。
 ごめんなさいは、言わないわ。
「……ありがとう、お姉さま」
 スバルの信じる姉ならば、彼女を苦しめる事なんて無いのだろうから。

成功 🔵​🔵​🔴​

八上・偲
玖寂(f00033)と一緒にー。

むー、このお人形さん、綺麗だしすっごく賢いんだ。
むむー、じゃあわたしは全然違うことして驚かせてあげないと。

まず『黒騎士を伴う残火の王女』で騎士を呼んで、
わたしも槍を持って、ふたりでお人形さんを追いかけまわしたり。
ガイスト君はそっちからお願いー!
わたし頑張ってるんだから、玖寂も頑張ってよね!

お人形さんが玖寂のいる方へ行くように頑張ってみる。
玖寂が気を引いてる間に燃えてる槍を振りかぶって【属性攻撃】。
お人形さんが飛んでもわたしも飛んで【空中戦】を挑むね。

わたしの星、玖寂の星、みんなの星。
お空のお星様じゃないかもしれないけど、それでも綺麗な星だよ。


八上・玖寂
引き続き偲(f00203)と。

あまり多芸な方ではないので、手の内を知られるのは中々難しいですね。
なので、偲がダイヤモンドを追い回すのを最初の内は遠目に眺めてます。
そのうち頑張りますから。

彼女が追いかけ回しているうちに『朽ちる憧憬に灰を撒け』で暗器を増やし、
星々に紛れさせるように【目立たない】ように配置。
偲が相手を追いつめて来たら、念力でそのままダイヤモンドめがけて一斉射出。
…罠使いは二番煎じ?いえいえ、これは言うならば賑やかしのようなもの。
背後は常に気を付けておくものですよ。

偲とダイヤモンドが対面している間、
ダイヤモンドの逃げ道を奪う射線を【見切り】できれば、拳銃で狙ったりなど。



「むーっ」
 偲は悩んでいた。
 ダイヤモンドはとても綺麗で、とても賢いそうだから。
「むむー……」
 先程までの戦いと同じ戦い方では、通じないそうだから。
 よし、と拳を握りしめた偲は顔を上げて、小さな翼をめいっぱい広げて灼炎を宿した槍をきゅっと握りしめた。
「ガイスト君は、そっちからねー!」
 炎の魔力をぱちんと爆ぜさせると、そこに顕れたのは甲冑姿の黒騎士だ。
 実体を持つ霊に向かって、えいえい、おー。
 立ち並ぶダイヤモンドの分身体の群れを討伐すべく、駆け出した。
 わーっ。
 えいえいっ。
 槍で突く偲とガイスト君。
 わーーっ。
 逆にぴかぴか瞬く翼を広げたダイヤモンドに、追いかけられる偲とガイスト君。
 はー、平和ですねえ。
 追いかけ回されたり追いかけ回したりしている偲を、遠目に見やり。
 暗器を掌の中で、ぱしぱしと弄ぶ玖寂。
 別にサボっているわけではない、これも作戦の内。
 ちゃんともう、仕掛けの種は『撒いている』。
「もーーーーっ、玖寂! わたしも頑張ってるんだから、ちゃんと頑張ってよねーーっ!」
 そこに苦情を言いながらヴェールを揺らして、ぱたぱた。
 槍を抱えた偲がぷりぷりしながら、ガイスト君と走りこんでくる。
「はいはい、ちゃんと頑張ってますよ」
 彼女の怒りをかるーく受け流した玖寂は、肩を竦め。
 そして偲の背を追いかけてきた、ダイヤモンドの分身体が通り過ぎた、刹那。
「――背後は常に気をつけておくもの、ですよ」
 指先をくるりと玖寂が回すと、闇に潜ませた幾つもの暗器が分身体の背に向かって殺到する!
「……ッ!」
 くっと背を折って。
 ハリネズミのようになった身体を、捩るダイヤモンドの分身体。
「わ、本当に頑張ってたのね!」
 きゅっと足で制動をかけて、いま来たばかりの方向へと一気に向き直った偲は目をまんまるにして。
 合わせて、黒騎士の霊が槍を構えた。
「……いこう! ガイスト君!」
 号令。
 交わす形で灰の少女と従者は燃える槍を突き出し、分身体の胸に抱かれた宝石を貫き、砕く!
 ばらり、と膝をついた敵に、細く息を吐いて。
 偲は額の汗をぐっと拭い。
「玖寂ありがとうっ、もう一度お願いねっ!」
「どういたしまして」
 玖寂は暗器を闇に捲く事を応えとして。
 眼鏡の奥の瞳を細めると、掌の中に拳銃を忍ばせる。
「さあ、どんどんやっちゃおうね!」
 黒騎士に声をかけた偲は小さな翼をいっぱいに広げて、燃える槍を再び構え直して。
 とん、と大きく地を蹴って、翼をはためかせると一気に駆け飛び出した。

 ――偲の星、玖寂の星、みんなの星。
 本物のお星様じゃないかもしれないけど、それでも、みんな、みんな綺麗な星。
 それだけじゃ、我慢できないかもしれないけれど。
 ……本物は、お人形さんにはあげられないから。
 その代わりに、ここのお星様は、全部全部見せてあげる。
 だから、だから。
 ――静かに、おやすみなさい。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ワン・シャウレン
鞍馬(f02972)と参加

まぁ、そりゃあ見ておるか
当人が望んでか知らぬが今ある状況を最大限活用するというのは好ましい
だけに、すまんの
都合が良いから出したが、得手を出した覚えはない
そこは鞍馬の逸りにも感謝する所かのう、言わぬが

うむ、(金剛石で)合っておるぞと一つ頷いて

それを刻むのにウォーターカッターというのがあるそうじゃが
今回はより分かりやすく
この拳で砕きに、勝ち星掴ませて貰いにいくぞ

真っ向から格闘戦
連ね流星のパターンを活用して応撃・襲撃絡め積極的に仕掛ける
動きをやめての反撃態勢には手を止め、気を整え抜き打ち勝負
分身は構わず本体の創造の隙を突く
また、その中で鞍馬の動きの支援も見据えて


鞍馬・景正
ワン嬢(f00710)と。
成る程、手の内は読まれましたか。
剣と馬術は使えぬようですが、問題無し。

――さておきワン嬢、「だいやもんど」とは金剛石の事で宜しいでしょう。
聞き齧りの知識ですが、堅牢なれど強靭さに乏しく熱に弱い鉱石であると。

ならば【倫魁不羈】により、国崩しでの砲撃で【吹き飛ばし】、粉微塵としてくれましょう。

発射後はそのまま【怪力】で担ぎ上げ、筒を棒術の要領で振り回し【鎧砕き】の打ちで罅割れさせて仕留めていきます。

反撃は【見切り】と【第六感】で躱し、後の先の一撃を叩き込んで参ります。

分身たちは私が一手に。ワン嬢は心置きなく本命を討たれよ。



 大将の言い分に拠れば。
「成る程、手の内は読まれましたか」
 刀と夙夜には頼れぬか、と。
 巨大な国崩し――フランキ砲をくるりと回して床に突いた景正が、まあ問題はないだろうと言葉を次いで。
「まぁ、そりゃあ、見ておるか」
 立ち並ぶ分身体を前に、低く重心を落として構えたワンは冴えた蒼を細めた。
 ――今回は、景正と組んだからこそ。
 景正が、逸り雄と駆けたからこそ。
 ワンの一番の得手は、最後まで隠し通す事ができてしまった。
 その点に関してはダイヤモンドには少し申し訳ない気持ちと、景正へ感謝をすべき感情がワンの中では混在していた。
 ……しかし、それを景正に伝える気は、ワンには更々無いけれど。
 すぐ好い気になって、兄者とか言い出すだろうしの。
 うむ、言わぬよ。
 いわーぬ。
 ちら、とワンが景正を見やれば、彼はその瑠璃色を真っ直ぐに敵に向けている。
「――さておきワン嬢、『だいやもんど』とは金剛石の事で宜しいでしょう?」
「む? うむ」
 合っておるぞ、と一つ頷いたワンは飛び込んできた分身体の拳へと、そっと掌を添えて力の方向を反らし。
「ならば、聞き齧りの知識ですが……金剛石は堅牢なれど強靭さに乏しく、熱に弱い鉱石であるとの事です」
 景正が戦の昂りに、唇へと笑みを宿し。
 本来ならば一人で持ち上げられるような物では無い国崩しを、彼は軽々と羅刹の恐るべき膂力で擡げて構え。
「――ならば、私の砲で粉微塵としてくれましょう」
 ワンに攻撃をスカされ、まろぶように蹈鞴を踏んだ分身体へと、景正は砲口を押し付け零距離から砲を撃ち放ち。
 衝撃に強かに跳ね飛ばされた分身体が倒れた方向に、まるで大砲自体が巨大な棒であるかのように円を描いて振り回して突っ込んだ景正は、そのまま分身帯の軍勢へとその身を曝け出した。
「……ハッ!」
 強い踏み込みからの、長い砲身を横薙ぎに叩き込むブチかまし。
 足取りも軽くステップを踏んだ景正に薙ぎ払われた分身体達が、地面へとなんとか齧りついて制動をかけると、一瞬置いてから彼へと一斉に殺到する。
「分身たちは私が一手に! ワン嬢は心置きなく本命を討たれよ!」
 狙い通りと。
 銃砲身の尾部から砲弾を詰め直しながら、景正は吠え。
「うむ、任されたぞ」
 相槌を打ち。
 景正が暴れ分身体を引きつける横をすり抜けて。駆け出したワンの目指す所は、本体の懐ひとつ。
 ……ダイヤモンドの加工方法には幾つか方法がある。
 同じダイヤモンドの粉末で削る方法。
 レーザーを使用する方法。
 ウォータージェットと呼ばれる超高圧水で切断する方法。
 そしてまだ方法はあるだろうが一番の力技は、劈開の性質を利用して叩き割る方法であろう。
「――この拳で、砕かせて貰うぞ」
 両の脚に力を込めた踏み込みからの、ワンの鋭く食らいつく蛇のような一撃。
「へえ、きみはそんな戦い方もできるのだね」
 幅広の剣でそれを防いだダイヤモンドの本体が、小さく首を傾いだ。
「いいや、これこそわしの本来の得手よ」
「そうか。ではぼくも、とっときを見せなければいけないね」
 背に光の翼を展開したダイヤモンドは、瞳にぴかぴかと宝石の輝きを揺らして。
「いくよ」
「うむ、――勝ち星を掴むのはわしじゃがの」
「それは、どうかなあ」
 ワンとダイヤモンドは、互いに小さく笑みを交わし。
 宙を駆ける宝石人形と、小柄なミレナリィドール。
 鋭い連撃が、同時に組み合い――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クーヴェルシュイユ・ティアメイア
腕をつたう血を舐めとって
さっきの子たちよりおいしそう
暴食のルルを振るうけど、いなされちゃうかしら
ひゃあ
いけずね
でも、歯ごたえがあるのも、すきよ

まえから気になってたの
お人形さんのなかみって、どんなお味がするのかなって
けど、猟兵のみんなをいただいたら、怒られちゃうものね
【ユテュリカ・ルルは渇かない】
ナイフで攻撃を牽制しつつ
暴食の攻撃を重ねたうえで奇襲の【偏食】
ルルは――わたくしはすべてを呑み擁く海
きみのなかの星を、食らうわ

ダイヤモンドって、おいしいかしら
興味津々だけど…ここは、ぐっと我慢よ
回収できたなら、あとでケビちゃんに渡すね
どこかの天文台に飾ってあげて
わたくしだって、ずっとおあずけはつらいもの


ハーバニー・キーテセラ
これはこれはぁ~、おっかなくも綺麗な方ですねぇ
兎さんにはぁ、ちょっと荷が重そうですぅ
ぴょんと跳ねとび、一時の撤退
と、見せかけて引き撃ち
眼や関節、胸部の金剛石を狙ってスナイプ
……銃弾、通用してくれるといいのですがぁ
効果があるなら引き続きぃ、ガンガンとぉ~
ないようなら兎跳で、今度こそ脱兎ですぅ
速度は劣るでしょうけどぉ、ステップを刻める分、小回りはこちらが上ですかねぇ
地を、空を蹴ってぇ、追撃を躱しましょ~
ふふふ~、無敵さんには手が出せませんねぇ
……足は出せますけどぉ
逃げから突如として一転
相手の速度を利用し、ハイヒールで踏みつけてのカウンター
知ってますぅ?
ダイヤモンドってぇ、案外、衝撃に脆いんですよぉ



「これはこれはぁ~、おっかなくも綺麗な方ですねぇ~」
 うさぎ、うさぎ、何見て跳ねる。
 ぴかぴか宝石見て、跳ねる。
 大量のウサギちゃんと少量の猫ちゃんを退かせたハーバニーは、文字通り脱兎の如く。
 バックステップで後ろに引く――と、見せかけて。
 掌の中で小さなヴォーパルを一度くるりと回してから、その引き金を引いた。
 分身体の瞳、関節、しらじらと胸に抱かれた金剛石。
 幾発も放たれた弾は、分身体の人形の身に弾かれ、或いはその身を砕き――。

 いなされてしまった攻撃にいけずねえ、なんてバックステップを踏んだ、敵中に踏み込んでいたクーヴェルシュイユ。
 ガードに腕を上げながら身を引くと。追撃に振り下ろされた鋭い刃先が、彼女の白い腕の皮を裂いた。
 ぷつぷつと玉のように連なって一筋の流れとなる紅色。
 そこへ赤い舌を腕に這わせれば、鉄の味。
「……わたくしね。まえからずっと気になっているの」
 血の流れていない、お肉のない、魔力だけが充填された。
 お人形さんのなかみって、……どんなお味がするのかしらって。
 幾つもの叉を持つデザートフォーク――ユテュリカ・ルルの片鱗を手にクーヴェルシュイユは、雀の腰翼をぴぴぴと揺らし、夢想するような表情。
 ――けど、猟兵のみんなをいただいたら、怒られちゃうものね。
 淡色の瞳を細めたクーヴェルシュイユは分身体と間合いを取るように、自らの周りを回遊する大きなナイフに手を添える。
 鋭く空を裂くナイフが、分身体へと駆け抜けて。
 鰭しっぽで空中を掻いて、強い踏み込み。
 嗚呼。
 分身だというのに、きみたちも美味しそうね。
 さっきの子たちよりも、ずっと、ずっと。
 先に降り落ちてきたナイフへのガードに気を取られた分身体の胸へと、一拍遅れて差し出されたたクーヴェルシュイユのデザートフォークに貫かれる。
「ルルは――わたくしはすべてを呑み擁く海よ。……きみのなかの星を、いただくわ」
 クーヴェルシュイユがフォークを引き抜くと、人形の胸には傷は無く。
 かくん、と分身体は、中身だけが失われたかのように膝から崩れ落ちた。
 同時に瞬いたのは、光の翼だ。
 宙を切り裂いて。
 クーヴェルシュイユの後ろを駆け抜けて行く、翼纏うダイヤモンドの本体。
「……きれいねえ」
 思わずクーヴェルシュイユは瞬きを一つ、二つ。ほうと息を漏らす。
 あれは、いっとう美味しそう。
 そして彼女は首を傾げて、空中のナイフの方向を切り返し。
 そこに響く、間延びしたハーバニーの声音。
「わぁ~、危ないですねぇ~」
 ぴょん、と空中を蹴って本体の突撃を避けると、一歩、二歩。
 空中を蹴って、跳ねて。
「……ふふふ~、でも、無敵さんには手が出せそうにないですねぇ」
 困ったように眉を寄せると、ぽーんと更に大きく跳ねて。
 鋭く空中を駆けて、猟兵達を薙ぎ払うように剣を振るう本体に向かって。
「――足は、出せますけどねぇ」
 ハーバニーは空を強かに踏み切ると、ヒールの先を叩き込んだ。
「ねぇ、知ってましたぁ? ダイヤモンドってぇ、案外、衝撃に脆いらしいですよぉ」
「うん、知っているさ」
 自分の事さ、だれよりも。
 刃を上げる事で、剣をガードとしたダイヤモンドは小さく笑って。
「だからこそ、ぼくは勝たなければいけないんだよ」
「あら、あらぁ……。――それは猟兵達も、一緒ですねぇ」
「じゃあ、根比べだ」
「負けられません~、でもぉ、一度逃げまぁす」
 ひょーいとハーバニーは脱兎、脱兎。
 代わりにダイヤモンドの前に出たクーヴェルシュイユが、こてんと小さく首を傾げてカラカルの耳を揺らした。
「ねえ、きみ。甘そうで、おいしそうねえ」
 ――ダイヤモンドって、おいしいのかしら。
 くう、とお腹を抑えたクーヴェルシュイユは小さく首を振って。
 泳ぐナイフを優しく撫でればけしかけるように空を駆けさせて、フォークをぎゅっと握りしめた。
 ああ、駄目、駄目。
 我慢、我慢。
 クーヴェルシュイユは――あの宝石がもし回収できたのなら、どこかの天文台で飾ってあげたいと思っているのだから。
 ほんものの星を、彼女に見せてあげるのだ。
 ――だって、クーヴェルシュイユだってずうっとおあずけは、つらいもの。
 刹那。
 鋭く死角より飛び込んできたハーバニーの蹴りと同時に、クーヴェルシュイユはフォークを振るい――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

佐那・千之助
同じ戦い方が通じぬ…じゃと…?
便利な炎に胡坐をかいていて手数の少ない猟兵がここに
寿命は大事にしたいんじゃが。ま、仕方ないの
…鬼にでもならねばきついわ
(初恋の相手が金剛石の鉱石少女。見目は違えど面影を重ねた)

UC発動
並の獲物では撃ち負けるか
黒剣は地獄の炎纏う大剣に
盾に変形させて受け・庇いも
戦闘力の増加に物を言わせ
二撃、三撃、豪快に攻め立てる剣で生命力吸収
正直寿命は回収したい
燃えれば自身の能力に疑念を感じようか?
炎で白のドレスを紅く優雅に染め上げ

戦いの中、黒の刀に光る砕けた石の欠片達
夜空に似たそれに淡く胸過ぎるものがあったとて、笑殺し
今は鬼と化した狂戦士
鋭さに一片の仮借も無く、一歩ごと切り伏せ進む


鴛海・エチカ
勝利のダイヤモンドよ
我とお主、どちらが勝利を得るか試してみようぞ

『環想帰結』にて星黄泉の力を解放
銀に変わった瞳で相手を見つめ、星霊杖を振る
其処から放つのは真っ直ぐにゆく銀の星の一撃

されど同じ軌跡は二度と放たぬ
蠍を思わせる赤い星、翼をひろげた鷲星の光
駆ける子犬の青い星に、ひかりの蛇の如き流星
星霊杖から様々な形の魔力を形作って解き放つ

硬いからといって何じゃ、我とて星のドールであるぞ
我らは猟兵と災魔
仮令、解り合おうとて相容れぬ存在
ゆえに我は全力を賭すことでお主に意志を示そう

友を思う心に優劣はないのやもしれぬ
じゃが、お主がいつかの未来で学園の者を手に掛けるのかもしれぬなら
我とて勝利するしかないのじゃ!


朽守・カスカ
ああ、そうか
この人形達は
君に仕えていたのではなく友だったのか
……友への弔いも
本当の星を見たいと願うのも
それらの想いは忌むべきものではないな

だけど君を外へ出すわけにはいかない
だから、戦うとしよう

(此処にいる誰かが、本当の星空を見せることが出来ればいいけれど、私には出来ないことだから)
【還す標】
君の望みを否定するつもりはない
だけど、これより先は君がいて良いところでもない

君の代わりにはならないかもしれない
けれども、人形達も、君も
星を灯して弔うとするから
だから、あるべきところへ、骸の海へと還るといい
迷わぬよう、この灯を標として…

さぁ、おやすみ



 同じ戦い方が通じない、とダイヤモンドの少女は言った。
「……ううむ」
 肩を竦めて、藍と紅が重なる二藍の眸を眇め。だからこそ千之助は唸っている。
 彼の得手は炎。
 ――そう。
 千之助は普段より、炎に頼った戦い方ばかりしてきていた。
 ――いいや、彼女を相手取るならば鬼にでも成った方がまだ気が楽かも知れない、と思い直す。
 金剛石、少女の姿。見目は違えど、面影重なる。
 ちくりと肚の奥で甘く疼く、過日の想い。
 寿命は大事にしたいとは思うが、それでも。
 彼女と相対するのならば……鬼にでもならねば心苦しかろうと。
 纏わり付く炎を振り払い、藍が解け消えれば瞳に揺れる色は紅。陽光宿した髪を靡かせれば、千之助の気配は逢魔と化し。
 黒剣で空を真一文字に裂けば、その刃は炎纏う大剣と成る。
「行くぞ」
 軽いつもり踏み込みでも、吸血鬼と化した身体より放たれる一撃は重い。
 夜空の地に踏み込みの跡を残して、千之助は分身体の群れの中へと駆けこんでゆく。

 屑石と呼ばれる宝石を胸に抱いた彼女たちを、星明かりのランプで照らしたカスカは夜明け色の瞳を揺らす。
「……ああ、そうか。この人形達は、君に仕えていたのではなく友だったのか」
 星明かりに照らされた、もう動かない人形たち。
 ――友への弔いも、本当の星を見たいと願う気持ちも。
 それらの想いは星空に添う事を知っているカスカにとって、忌むべき物では在り得なかった。
 そう。
 ここにいる誰かが、彼女に本当の星空を見せてあげる事ができればよいのに、と祈ってしまう程には。
 しかし、そうだとしても。
「――君を、外へ出すわけにはいかないよ」
 ならば残る方法は、戦う道しか残されては居ない。
 もとより、彼女が災魔である時点で、その道しかありえ無いのだ。
 それでも。
「望みを否定するつもりは無い、よ。だけど、これより先は君がいて良いところでもない」
 カスカがそろそろと首を左右に振れば、空の色を移した白い髪が頬をそろりと撫でる。
 無数の分身体に、たった一人のダイヤモンドの本体。
 人形をカスカが見据えた瞬間。
 銀の流星が爆ぜた。
 ――星よ、星よ。疾走れ、穿て、耀け。
 星黄泉の力をその身に宿し。
 箒に横座りしたエチカは、鋭く宙を駆け抜けて。
 銀瞳で真っ直ぐダイヤモンドを見下ろした魔女は、星霊杖に彩をぱちりと爆ぜさせる。
「勝利のダイヤモンドよ、友を思う心に優劣はないのやもしれぬ」
 言葉を紡ぎながらも、攻撃の手は止めず。
 エチカの杖より溢れる星明かりは、蠍のあか。
「じゃが、……お主がいつかの未来で学園の者を手に掛けるのかもしれぬなら、我とて容赦はできぬのじゃ!」
 それはまるで、祈るような声。
 どれほど彼女の想いが真摯だとしても、災魔は世界に滅亡を齎すもの。
 猟兵と災魔は、解り合おうとて相容れぬ存在でしかありえない。
 だからこそ、全力で向き合おう。
 だからこそ、全力で戦おう。
 ――友を弔いたいという彼女の心を、真っ直ぐに受け止める為に。
「さあ、我らとお主。どちらが勝利を得るか試してみようぞ!」
 壁を蹴って箒の向きを切り替えしたエチカは朗々と。
 重ねて杖から放たれる星の魔力の軌跡は、易々とは潜り抜けられぬよう様々な星を絵取る。
 翼を広げた鷲星の光。
 駆ける子犬の青い星に、ひかりの蛇の如き流星。
 一つとして同じ軌跡を描かぬ星は、どこか優しい星彩だ。
 その夜空を彩る星の力に、カスカは星の魔女の優しさを感じて、ふ、と唇を柔らかく緩めた。
 夜を彼女が絵取ってくれると言うのならば。
 灯台守はいつものように、ランタンに明かりを灯そう。
「君の代わりには、ならないかもしれない。――けれども、人形も、君も。私が星を灯して弔うよ」
 暗い道程に迷わぬように、燈火をひとつ。
 あるべきところへ、骸の海へと。
 迷わぬようこの灯を標として。
 ――おかえりなさい。
「ああ。もし常闇の星明かりに迷うならば、私の炎を陽光代わりに道示す事もやぶさかではないの」
 ちりちりと火花を散らす千之助が、相槌一つ。
 道を塞ぐ分身体へと刳りこまれた炎を纏った一撃は、分身体を強かに跳ね飛ばす。
 更に分身体に大剣を掬い上げるように叩き込み、ダイヤモンドの本体へと視線を這わせて。
「そうか。君たちはきっと、優しいのだね」
 幾つもの星の瞬き。
 夜を照らす燈火に、ダイヤモンドの本体はぐっと身を低く構えてガードを重ねながら呟き。
「……それでも、ぼくは金剛石。勝利のダイヤモンドとしての矜持はあるのさ」
「我とて星のドールである、そこに願うは勝利しか無いのじゃ」
 駆ける箒星。くるんと一回転したエチカは、言葉返して。
「そうじゃろうなあ」
 言葉を重ねた千之助は、分身体の胸を貫きながら――黒の刀に光る砕けた石の欠片を見つけて。
 夜空に似たそれに淡く胸過ぎるものがあったと、眉を小さく寄せて笑殺し。
 更に踏み込み、振るう刃に迷いは無い。

 猟兵達が望むも、宝石人形が望むも。
 勝利だけなのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルネ・プロスト
以前君でない君と戦った時、迎撃するの大変だったんだよね
だから尚更君を地上に逃すわけにはいかない
ここで君を壊さ(弔わ)せてもらうよ

人形達は死霊憑依&自律行動

ナイト2体に其々ルネとナイトを騎乗
敵の攻撃はナイトのダッシュやジャンプで回避
ナイトの機動力で翻弄しつつルネの『悪意』とキングの斧槍で敵を挟撃
ルーク2体は敵の不意を突いて大盾で殴り飛ばし体勢崩し狙い

敵UC発動に合わせて敵の攻撃圏内から退避
ルネのUCで敵を燃やしつつポーン8体の一斉発射&乱れ撃ちで持続的に攻撃

大剣による反撃は距離をとれば届かないはず
そして君はほぼ無敵になるが全く動けなくなる
少しでも攻撃が通るのなら致命傷になるまで積み重ねるだけだよ


草野・千秋
今度のお相手さんも関節人形さんですか
作られた生命……(自分の機械混じりの体を思って)
彼女にも宝石人形としての矜持があるのですね
いいや、こちらに刃を向けられるのなら
こちらも応戦しなくては
僕も、僕たちも仲間のために戦ってみせる


戦いに必要なのはいつだって勇気
初撃は武器改造による氷属性攻撃を乗せたスナイパー
怪力、2回攻撃、グラップル、捨て身の攻撃で応戦
UCも交えつつ攻撃する
喜びの島ではない……骸の海へッ!

敵攻撃は第六感、戦闘知識でかわし
盾受け、激痛耐性で耐える
味方に攻撃が被弾しそうなら早業でかばう
味方を傷をつけさせてしまっては何が猟兵ですか
こちらにも猟兵としての捨てられないものがある



 ――作られた生命。
 機械混じりの自らの身体を見下ろして、千秋は小さく左右に首を振る。
 そう。
 ダイヤモンドにも宝石人形としての矜持があるのであろう。
 そして。
 それは、機械混じりの自らとしても同じ事。
 ――彼女が刃を向けるのならば、戦わねばならない。
 僕も、僕たちも、仲間のために戦ってみせる。
 ぐっと掌を握りしめた千秋は、未だ無数に存在しつづけている分身体の群れの先へと迷わず飛び込んだ。

「もう。他の君とも戦った事があるけれど、本当に面倒な戦い方をするね」
 半人半馬の遊撃騎兵人形に跨ったルネは、ダイヤモンドの分身体の攻撃を避け跳ねさせて。
「ものすごい数に増えるし、やたらと防御を固めるのは、本当に厄介だよ。――だから、ね」
 ……尚更、君を地上に逃すわけにはいかない。
「――ここで君達は全部、壊させてもらうよ」
 ねえ、パパ。
 ルネが大鎌を構えると、逆方向から迫る皇帝人形。
 挟み撃ちにする形で刃を交わせば、分身体の素っ首がごろんと転がった。
 これだけ多くの分身体が喚び出されてしまった以上。
 数を減らさねば本体も狙いづらく、お話にもならない。
「行くよ、皆」
 声掛けに侍らせた軽装歩兵人形達は、ザッと音を立てて行儀良く立ち並び。
 ルネは遊撃騎兵人形が駆けるままに委ねて。
 迫ってきた分身体の胸を鎌の柄尻で突き放てば、まろぶ人形。
 そこに一気に距離を詰めた盾を掲げる二体の重装歩兵人形達は、宝石人形に盾を叩き込むが――。
 それでも、分身体は倒れきらなかった。
 その隙にも、ルネ達へと群がる宝石人形達の数は見る間に増えて。
 重装歩兵人形の姿が、今にも埋まる前に――。
「とうっ!」
 勢いよく飛び込んできた千秋は瞳を眇め、小さく息を呑み。
 分身体の胸に抱かれた宝石へ狙いを定めて、嘆きの壁の名を与えられた銃より幾度も弾を撃ち放つ。
 ぱっと金剛石が弾けて、分身体が膝をついて崩れ行き。
「この場は僕が切り開きます! お嬢さんは以前彼女を倒した事があるのでしょう? ――ならば、先へ!」
 一気に踏み込んだ千秋はおおきく振りかぶって、鋭く拳を分身体へと叩きつけ。
 勢いをそのまま、捻りを加えた前宙からの胴廻し蹴りで分身体の群れを薙ぎ倒す。
「そう、……わかった。ありがと」
 こっくり頷いたルネは、本体へと視線を定めて。
 遊撃騎兵人形が駆ける、駆ける。
 主を追って人形たちも追いかけ行き。
「お前達は、僕が相手だっ!」
 その場に残った千秋は、銃を手に吠える。
 喜びの島では無い、骸の海へと還してやろう。
 それは――猟兵として、捨てられないものを護るために。

 ダイヤモンドの本体を射程に捉えたルネは、揺らぐ怨念の炎を爆ぜさせて。
「行こう、みんな」
 囁く声音に人形たちに宿る死霊達が、応じてくれる感覚。
 チェス人形達は、ダイヤモンドの本体へと殺到し――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リヒト・レーゼル
【荒屋】

さっきの宝石たちも綺麗だったけど、この子も綺麗だね。
でも強そう……。
今度は俺も前で戦うよ。
二人とも頑張ろう。よろしくね。

【ブレイズフレイム】を使って戦うよ。
ブレイズフレイムは心臓からでる炎を使うよ。
さっきは俺が指示をしていたからそれも見破られているかもしれない……。
目配せをして合図をするよ。
危ない時は視線をそらしたり、宝石の子にバレないようにしなきゃ。

本当にとっても危ない時は声を出してしまうかもしれないけど
そうならないように俺も立回らなきゃね。

さっき沢山回復したから、そろそろ体力が危ないかもしれないや。
もう少し、頑張りたい。ううん、あと少しなんだ。やるよ……!


華折・黒羽
【荒屋】

例えもしあなたが星を見に行くだけなのだとしても
その道すがらで命を手折ると言うのであれば
…通すわけには、いきません

同じ手段が通用しないのならば
違う戦い方をするまで
黒帝を呼び出し互いの戦闘強化を
類さん、黒帝と共に援護に立ち回り

火炎耐性にて攻撃の寸でまで敵と鍔競り合いを
攻撃は武器で受け衝撃流す様屠を扱い

疲労の色垣間見えるリヒトさんに
可能な限りの余裕を、と

視線交わせば
黒帝の背に飛び乗りその場を回避
炎が燃え上がる中類さんの糸が手繰られたなら
屠を影へ還し廻へと持ち変えて
敵の心臓たる石目掛け炎を追う様に確りと狙い定め

──其の輝き、砕くには惜しいですが

寸分違わぬ箇所に2回攻撃
廻りの矢を放とう


冴島・類
【荒屋】

金剛石の君
確かに君は硬かろう、結構な覚悟だ
それでも
君が外にあった僕らに触れて
変質しないと何故言える?
その先に、災が生まれるなら

先の戦いとは違い自身は攻撃を担わず
本命はリヒト君の炎と黒羽君の一撃

悟られぬように、前へ
変わらず刀で立ち向かう…と見せかけて
リヒト君が接近する隙を生む事優先
彼への射線は黒帝と共に塞ぎ庇い

黒羽君が分身の動き読みやすいよう
見切り、受け流し
負傷すれば瓜江の封を解き
風の刃で攻撃を弾き、道を開く

2人への合図は視線で
リヒト君の炎が命中したら
躊躇わず踏込み近付き、彼女を数瞬だけでも糸で縛る
次に、繋ぐ為に
黒羽君…!

胸燃やし照らす火
見定め鋭く射る一撃
何方もが、災を止め砕く強さに成る



 空より落ちた星は、砂と成り。
 その輝きを取り戻す事は、もう有り得はしない。
 短剣を掲げて前へと出た類の瞳に映り込む星彩も、もう余り多くは無くなっていた。
「金剛石の君。確かに君は硬かろう、結構な覚悟だ」
 星明かりの下。ゆると首を揺すった類は、真っ直ぐにダイヤモンドに視線を向けて。
「それでも。――君が外にあった僕らに触れて、変質しないと何故言える?」
「例え、もし。あなたが本当に星を見に行くだけなのだとしても。――その道すがらで、命を手折るというのであれば」
 ――その先に災いを生むというのならば、通すことは出来ない、と。
 類の言葉を次ぐように言葉紡いだ黒羽は、影より黒剣を顕現させ。
 そうして、呼び出した漆黒のライオンと共に地を蹴った。
「そう」
 大量の分身体を侍らせたダイヤモンドは、大剣を振り翳して言葉を紡ぐ。
「ぼくもね。君たちの言いたい事は、分からなくもないよ。君達も道すがらぼくの友達を討っただろう?」
 その大剣の刃が黒羽の黒剣――屠と重なり合えば、黒羽は勢いに篭められた力を逃がす形で刃を滑らせ、いなして。
「分かると言うのならば、余計行かせる訳には行かないね」
 類が自らに視線を集めるように高らかに伝えると、大きく刀を逆袈裟に振り上げながら背中合わせで瓜江に背を守らせ。
 人形の生み出した風刃が自然に分身体を分断させると、本体のダイヤモンドまでの道を作り出す。
 なんとなく視線を泳がせた黒羽は、先程の戦闘と同じ配置。
 援護の位置に立つリヒトの様子を、視線だけで窺った。
 なんたって、今回の作戦の要はリヒトなのだから。
 ――先ほどと同じく、リヒトが指示を出していると気付かれると妨害を行われてしまってはたまらない。
 余り気にしていない様子を取り繕いながら、黒羽は円を描く様に屠で薙ぎ払う。
 その当人のリヒトと言えば。
 さっきの宝石たちも綺麗だったけれど、この子も綺麗だな、なんて。
 どこか呑気な事を考えてはいたが、きちんと戦場を見渡し状況の把握に務めていた。
 ――何より。
 リヒトは先程の戦いで回復を重ねた結果、体力がまだ戻りきっていない。
 それでも、それでも。
 あともう少し、あともう少しで、全てが終わる筈だから。
 頑張りたい、と思うのだ。
 喉を鳴らして、丁度心臓の前でリヒトは拳をきゅっと握りしめる。
 ――ううん、やる。やるよ。
 刹那。
 こちらを窺う黒羽とぱちりと視線が合って、リヒトは目を見開き。
 顎を小さくしゃくり上げると、黒羽との視線を断ち切った。
「!」
 それが何かのアイコンタクトだと気づいた黒羽は、反射的に黒帝の背に飛び乗ってバックステップ。
 その瞬間に先程まで黒羽の立っていた位置へと、ダイヤモンドの分身体が空気を裂いて握り込んだ両拳を叩き込んでいた。
 次いで振り下ろされたのは、ダイヤモンド本体の鋭い大剣の一撃。
 鋭い刃先に漆黒の百獣の王の鬣が幾本か、はらはらと宙を舞い。
 紙一重でなんとか避けきった類は、ダイヤモンドの武器を振り下ろしきった後の隙を逃す事は無い。
 振り向いた類の視線に。
 ずっとタイミングを見計らい続けていたリヒトが、ダイヤモンドへと一気に距離を詰めた。
「――いくよ!」
 そうして煌と燃え盛るは、地獄の炎。
 心臓の炎を腕に纏わせると、リヒトは踏み込んだ勢いをそのままダイヤモンドへと叩き込む!
 それを合図に。
 類も指に纏った糸を一気に伸ばして、まるで蜘蛛の糸の様にダイヤモンドをその場に繋ぎ止めた。
「黒羽!」
「黒羽君!」
 重なった、リヒトと類の声。
 黒羽の喉が、こくと緊張に鳴った。
 地獄の炎に焼かれるダイヤモンドの身体を、真っ直ぐに狙いを見定める冴え冴えとした蒼瞳。
 一瞬だけでいい、その一瞬さえあれば。
 影に溶ける黒剣を手放した黒羽は、弓に遠的矢を番え。
 狙うは、彼女の胸に抱かれた白々と輝くあの宝石。

 あれほど立派な結晶だ。
 ──其の輝きを、砕くには惜しくもあるが。

 仲間達が繋いだ一瞬を、無駄にはしない。
 災厄を撃ち挫く、その一撃を。
 黒羽は放ち――!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ジズルズィーク・ジグルリズリィ
エルネストさんf00066、胡さんf21829と参加
POW判定*アドリブ歓迎

ここから出たいと。それはできない相談ですね
破砕、粉砕。砕いて砕いて、何カラットかわからなくしてあげるのです

人前では見せたことはあまりないのですが、真の姿でお相手しましょう
使用するユーベルコードは《神聖なる陥穽》
まずゴーレムモードに変身し、分身攻撃をオーラ防御と外骨格で受け止めましょう

分身の連携の隙をついて絶滅生物モードに、普段はハンマーを使いますがデスサイズに持ち替えます

この束ねられた勇気こそ、至上の輝きなのです!
断罪、散在。ジズは、あなたの手から溢れる罪を刈り取るのです


エルネスト・ポラリス
ジズさん(f10389)、胡さん(f21829)と行動
アドリブ歓迎

さて、彼女が今回の主犯ですか。
申し訳ありませんが、この迷宮が貴女の終着点。
外には、出してやれませんね。

ふーむ、どうやら剣技は見切られてますね?どこからか観察されていたのでしょうか。
それなら、最後の奥の手。私の最も得意とする戦い方で行きましょうか。
剣を構えて、『武器受け』の姿勢。仲間を『かばう』ように前へ出て。

【無敵城塞】も使った肉盾の時間です!!
無敵の大量の分身体? こちとらそんなのに臆するようなちゃちな『勇気』は持っていませんよ!
私一人倒せないようなユーベルコードで、彼女たちの攻撃を受けきれるとは思わないことですね!


胡・佳莉
ジズさん(f10389)、エルネストさん(f00066)と一緒に
アドリブ歓迎

貴女がここに封印されていたオブリビオン。
名前に違わぬ美しさ。必ず勝つという意志を秘めた瞳。
正にこの星空の奥に相応しい姿。

ジズさんが攻撃、エルネストさんが防御を行ってくれるなら、私は相手への妨害を。
貴女が負けるはずがないという強い意志を持っているのなら、それをくじかせてもらいます。

敵の動きを見切り【封荒】

この戦いが相手を倒す……即ち傷つけるのであれば、その気持ちが削がれてしまえばどうなりますか。
それでも貴女は、自身の勝利を疑わずにいられますか?

「それでも勝つのは私たちです。だってここにいるのは私だけじゃありませんから」



 銀の刃をエルネストが振り抜き。
 ダイヤモンドの分身体は、ぴかぴか瞬く瞳にその動きをすっかり納めてしまうと。
 屈んで、横にステップ。正に紙一重。
 最小限の動きで、エルネストの刃は分身体に避け躱されてしまう。
「……ふーむ、どこかで観察でもされていたのでしょうか……? 太刀筋が完璧に見切られてしまっているようですね……」
 肩を竦めて。
 埒があかぬと、爪先で地を蹴って後退しようとしたエルネストへと、更に追い縋るダイヤモンドの分身体。
「その美しさは認めますが、あまり殿方を追いかけ回すものじゃありませんよ」
 その間に割り入ったのは、腰を低く落として。エルネストが駆け込んで来る方向に待ち構えていた佳莉の姿だ。
 鋭く吐息を零すと、一息に刀を抜き放った。
「はァッ!」
 ――それは身体を傷つけること無く、他者を害する気持ちだけ斬り裂く刀。
 さぱっと宝石人形を逆袈裟に斬りあげると、宝石人形は一瞬の逡巡に瞳を揺らして。
 すっと後退した。
「大丈夫ですか?」
「ありがとうございます、胡さん。……しかし剣技が使えぬとなると――、最後の奥の手。私の最も得意とする戦い方を見せる時が来たようですね」
「最も……?」
 エルネストの言葉に長い耳を揺らして、相槌を打ったジズルズィークは首を傾ぎ。
 こっくり頷いたエルネストは刃を片手に。
 無防備とも取れる足取りで、敵勢の前へとその身体をさらけ出した!
「さあ! 肉盾のお時間ですよ!!」
 むやみに元気な宣言。
 エルネストがその身をユーベルコードで硬め、自ら盾と成り。
「では、ジズも人前ではあまり見せないのですが、真の姿でお相手しましょう」
 出し惜しみをしている場合でもない、と。
 ジズルズィークはその銀髪を黒く、長く彩って。
 その身に異形を宿らせると、巨大な鎌を構える。
「ここからあなた達が出たいと願っている事は知っていますが、出来ない相談です。――破砕、粉砕。砕いて砕いて、何カラットかわからなくしてあげるのです!」
 甘く揺れる瞳は楽しげに、唇を突く言葉は酷く物騒なもの。
「ええ、この迷宮が貴女の終着点。外に出してはやれませんね」
 ぽこぽこ殴られながら、申し訳程度にガードに剣を掲げたエルネストは相槌を打ち。
 そう。
 そんな状態でもエルネストは、大丈夫。
 無敵の大量の分身体に臆するような、軟弱な勇気でエルネストは前へと躍り出た訳では無いのだから。
「それに私一人倒せないような攻撃で、彼女たちの攻撃を受けきれるとは思わないことですね!」
 獣の耳をピーンと立てたまま、エルネストは胸を張って咆えた。
「断罪、散在。ジズは、あなたの手から溢れる罪を摘み取りましょう」
 ゴーレムに、絶滅生物。神秘を自らに宿して加護として。
 応じて言葉を重ねたのは、大鎌を大きく振るったジズルズィークだ。
「勝つのは私たちです。貴女がもし、負ける筈は無いという強い意志を持っているのならば……挫かせて頂きましょう!」
 二人の頼もしき言葉に強く頷いた佳莉はエルネストの背後より飛び出して、先程と同じ『他者を害する気持ち』を斬る一撃を分身体達へと叩き込み。
「――だって、ここにいるのは私達だけじゃありませんから!」
 それでも、貴女は自身の勝利を疑わずにいられるでしょうか?
 仲間達への信頼を瞳の奥にしっかりと宿した佳莉は、小さく笑んで言った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

朧・ユェー
【紅月】
ダイヤモンド、最強の宝石
でももっと美しい宝石が傍にいるからねぇ

【紅炎蒼氷演舞】で氷と炎の精霊よびだし
外がダメなら内側からだよね
ダイヤモンドは高熱に弱い
燃やし凍らせを繰り返せば脆くなる
最後に赤く綺麗に燃やしてあげる

彼女の毒に溶かされて、僕の炎に燃える
星喰う君はどんなお味かな?
【緋喰】で喰らいつく

刺激的な赤のスパイスが効いていたね
でももっと『あか』が欲しい
七結ちゃんの様な真っ赤な『あか』喰べないな
なぁんてね、君が無くなったら面白くないもの
命以外なんでも?
おやおや、そんな事言っては危ないよ

さぁ、続きをしようか
手を差し伸べて星の探索を誘う
この先もっと『あか』く染まるだろう彼女を傍で見つめながら


蘭・七結
【紅月】

金剛石。朽ちることの無い永久
嗚呼なんてまばゆい
七様に煌めく其の姿
閉じ込めて、燈にしてしまいたいほどね

本当に物知りね。ユェーさん
最高の高度を誇ることを、ナユも識っているわ
ナユが掲げる誇りは“これ”よ
ナユの愛する猛毒
融解を齎す甘い罠
蕩けた金剛石はどんな色を魅せるのかしら
識りたいの。教えてちょうだいな
“罪色の懇嘆”

あなたの魅せる“あか”は何時だってうつくしいわ
ねえ、ナユのあかいお月さま
あかに染まる舞台で、共に踊りましょう

まあ、お上手
ナユの生命は、お星さまにあげると決めているの
この生命以外ならば、幾らでも

伸ばされた手に指先をかさね
往きましょう、星空の果てまで
そこに待つ景色をこの目で見てみたいの



 最高の硬度を誇る、美しき宝石。
 宝石人形の胸に抱かれたそれは、傷つけられて尚七葉に美しく煌めいていた。
「嗚呼、なんてまばゆいのかしら。……閉じ込めて、燈にしてしまいたいほどね」
 あかの牡丹一花を柔らかな灰髪に揺らして、うっとりと囁いた七結。
「……でも、もっと美しい宝石が傍にいるからねぇ」
「まあ、光栄だわ」
 いつもの調子でユェーが言葉を重ねると、七結も瞳を細めて。
 取り出した精霊銃を、掌の中でユェーは一回転。同時に喚びだされたのは、氷と炎の精霊達の姿であった。
「ダイヤモンドは高熱に弱い。燃やして凍らせる事を繰り返せば、きっと脆くなるはずだよ」
 そうすれば、――最後には赤く綺麗に燃やしてあげる。
 くるくる銃の廻りを飛び回る精霊達に瞳を細めたユェーは頼んだよ、なんて精霊達に声を掛け。
「まあ、ユェーさんは、本当に物知りね」
 両手を合わせた七結は、最高の高度を誇ることをナユも識っているわ、なんて。
「でもね、ナユが掲げる誇りは――『これ』よ」
 くるりとダイヤモンド達に向き直った七結は、儚げに笑んだ。
 識りたいの。
 教えて頂戴な。
 その欲求は求めたモノの、命を蝕む蕩けるほど甘い毒。
 七結の愛する、いとおしいいとおしい猛毒。
 ――蕩けた金剛石はどんな色を魅せるのかしら?
「!」
 分身体の一体が、紅く、紅く染まる。
 七結のお願いに、身体を蝕むあまい猛毒。
 炎と氷の妖精達がくるくると、まるで祝福するかのように分身体の上を飛び回り。
「ねえ」
 長い足で一気に距離を詰めたユェーが、その紅に染まった人形の顎をくっと引いて。
「――星喰う君はどんなお味かな?」
 ユェーの身に穿たれた刻印は、紅を喰らう。
 紅く紅く、炎に燃えて。
 ふふ、と七結は笑う。
「あなたの魅せる『あか』は何時だってうつくしいのね」
 分身体達へと、もっと、もっとと、お願いを重ね。
 傾ぐ首は、識りたいから。
「ねえ、ユェーさん。お味はいかがだったかしら?」
「うん、刺激的な赤のスパイスが効いていたよ。――でも、もっと。『あか』が欲しいな」
 精霊達が炎を氷を宿して、空を舞い。
 金瞳の奥に鈍い光を宿して、ユェーは言葉を紡いだ。
「そう。……七結ちゃんの様な真っ赤な『あか』が、喰べたいな」
 七結は瞬き一つ。
「まあ、お上手なのね」
 まるで踊るみたいな足取りで、くるりとその場で回って。
 肩を竦めたユェーは、敵へと銃を撃ち放ち。
「……なぁんてね、君が無くなったら面白くないもの」
 如何にもおかしい、と灰色の髪と肩を揺らして上品に笑った七結は、ユェーと視線をひたりと交わした。
「ナユの生命は、お星さまにあげると決めているの。……この生命以外ならば、幾らでも」
「おやおや、そんな事を言っては危ないよ」
 そうね、なんて。
「ねえ、ナユのあかいお月さま」
 笑み崩すことも無く、七結はただのお願いを口にした。
「あかに染まる舞台で、共に踊りましょうよ」
「勿論、誘いを断るほど無粋ではないさ」
 ユェーが掌を差し伸べれば、七結の白くて細い指先が重ねられ。

 金剛石を砕きながら。
 全てを『あか』に染めながら。
 さあ、往きましょうかお月様。
 星空の果てまで。
 銀河の一番奥まで。
 ――そこに待つ景色をこの目で見てみたいの。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

都槻・綾
f09129/ユルグさん

――ほんとうの、星

淡く笑んだのは
願いがどこか愛おしく思えたから

彼女が見た、或いは未だ知らぬ星空が
せめて瞼の裏に広がるようにと願って
篠笛で奏でる、四季の星物語

春は穏やかに瞬き吟い
夏は天の河が雄大に流れ
秋は静かの闇に欠伸をし
冬は清冽に煌き零れる

私も星が好きですよ、と
微笑み紡ぐ詠唱は
灼熱の羽搏きを招く、鳥葬

炭素を核に持つあなたは
ユルグさんの鮮烈な双眸みたいに
紅き焔となるでしょうか

星に焦がれて
炎に焦げて
銀の刃に砕かれる閃きさえ
流星のよう

涯てにある骸の海にも
数多の星が、
嘗てうつくしく燃えていただろう命の証が、
きっと瞬いているから

あなたも
「ほんとうの星」のひとつになりに、還りなさい


ユルグ・オルド
綾(f01786)と

ほんとうの星があるんだって
知ってたんなら仕方がないね

描き出される星は記憶に劣らぬ美しさ
優しいね、綾
勤勉なお人形サンの様だけど
手を掛けるのはいつもの柄へ
良い天だと笑えば星図の中を駆けだして

砂の上では潤み氷の上では沈々と
梢の合間に囁けば月のない夜の導と
思えば一層焦がれるような瞼の内で

金剛石相手は毀れそうで嫌ね
振り抜く距離まで踏み込めば
も一歩詰めて肉薄し
後ろのナイフで切り上げたら
逸らさぬように梏で捕まえよう

綾の火にともに焼けてはやれないし
連れだしてやることもできないけど
赤く燃える核を
足りぬなら己でもって砕こうか
間近に散るならその今際の星を
忘れずにいられたらと、灼きつけて



「――ほんとうの、星」
 綾の唇が淡く花笑み。
「ほんとうの星があるんだって、……しってたんなら仕方がねェわ」
 肩を竦めたユルグも、少しだけ笑っていた。
 それは封印されていた災魔の願いが、どこか愛おしくも可愛らしい願いであったから。
 しかし。
 天を地をこれほどまでに星々に囲まれた場所で願うには、すこしばかり寂しい願いでもあるように思えて。
 篠笛を取り出した綾は、涼やかに音を響かせだす。
 ――彼女が見た、或いは未だ識らぬ星空が、せめて瞼の裏で広がるようにと祈って。
「へェ、……優しいね、綾」
 どこか夜空を思い起こさせる音色に、星々の瞬きを感じながらもユルグが手を延ばすのはいつもの柄だ。
 結局、ユルグの取れる手段は一つだけ。
「ああ、……良い天だ」
 天地に満ちる星々に。
 くっと喉を鳴らして笑ったユルグは、一気に地を蹴った。
 響く篠笛の旋律は、四季を巡る。

 春は穏やかに瞬き、吟い萌え。
 夏は天の河の流れも、雄大に。
 秋は静かの闇に、欠伸を重ね。
 冬は清冽に煌き、零れる清水。
 
 砂の上では潤み、薄氷の上では沈々と。
 梢の合間に囁けば、月のない夜の導と。
 思えば一層焦がれるような、瞼の内で。

 星巡りの歌を重ねれば、綾は詠唱を一つ紡いで。
「――私も、星は好きですよ」
 柔く笑んで、燃える火の彩りを宿した羽搏きを招き寄せた。

 ダイヤモンドの分身体へと距離を詰めたユルグは、瞳を眇め。
 ――なんたって、金剛石相手は器物が毀れてしまいそうで。
 本来の間合いよりもう一歩手前に身体を寄せれば、這わせた柄を撫ですかし。
 ナイフの柄を逆手に握り直すと、逆袈裟に振り上げた。
 瞬間。
 ユーベルコードの力が駆け巡り、宝石人形と枷で繋がれば思い切り引き寄せて。
 ――ユルグは、彼女とともに焼けてはやれない、連れだしてやることもできない。
 ならば。
 蹈鞴を踏んだ少女が暴れ出す前に、炎の羽博きが彼女を啄んだ。
 見えぬ枷で距離を保ちながら、ユルグは更に別の分身体へと切り込んで。
「――!」
 ひゅ、と鋭い吐息を吐いた。
 肘で風を切り。身を捩って振り向きざま。――最初に燃えはじめた分身体の胸に抱かれた金剛石を、ナイフの底で叩き砕いた。
 星に焦がれ、炎に焦げる人形の核が爆ぜ零れて。
 かく、と膝をつくダイヤモンドの分身体。
 ユルグはただ。
 赤く燃える金剛石の散る、その今際の流星を忘れずにいられたらと。
 瞳に、心に灼きつけるように。
 ――きっと骸の海にも、嘗ての美しく燃えていただろう命の証が輝いているのだろうから。
「……あなたも、『ほんとうの星』のひとつに還りなさい」
 綾はただ、ぽつりと呟いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

マリアドール・シュシュ
リュカ◆f02586
アドリブ◎
他絡み×

先程の子よりも硬い金剛石のお人形さん
マリアも宝石だから…同胞が散る哀しみは痛い程分かるけれど
あなたとは相容れないの
解かれし封印は再び綴じましょう
流星の道は渡らせないわ

リュカ、決定打はどうかマリアに任せて頂戴(敵と同様に星芒の眸に覚悟を映し

UC使用の為に態と二章と同じ攻撃を
竪琴でマヒ攻撃の音弾を散発
リュカと二段構えで攻撃
攻撃通らず敵が優位に立ったらUC発動

鳴り響くベルと共にマリアの旋律(せかい)があなたを支配するわ
常闇に咲く華
夜は必ず明くるもの
希望(わたし)が勝利(あなた)を砕くのよ

凱旋の詩(うた)を高らかに唄い奏でる
敵にマリア達の”金平糖(ほし)”を魅せて


リュカ・エンキアンサス
マリアドールお姉さん(f03102)と

…学習できる、素晴らしい人形、か
ミレナリィドールの友達がいるから、若干複雑な気がしないでもないけれど
これも仕事。最後までしっかり片づけようか

といっても
マリアドールお姉さんが任せてほしいということなので、
俺のほうは援護射撃に徹する
敵の攻撃を妨害するよう、もしくはお姉さんの動きを補助するように弾をうち込んで支援していきたい
ただ、苦戦を演出するときはほどほどに
接近されたときは絶望の福音で避けつつダガーを抜いて応戦するよ
後は、お姉さんに任せる

…本当の星をみたいという、その気持ちはわからなくもない
けれどもそれをかなえてあげることはできない
こっちも仕事だから
ごめんね



 学習できる、素晴らしい人形。
 リュカの脳裏に過ぎったのは、ふわふわのプラチナブロンド。
 ――ミレナリィドールの友達がいるのに、ミレナリィドールの災魔を倒すのは少しだけ複雑な気がしないこともないけれど。
 帽子の鍔を握って向きを整えると、真っ直ぐに分身体の奥にいる本体へと視線を戻した。
 そう。
 これも仕事だ。
 最後までしっかり片付けなければいけない事。
 ――リュカ、決定打はどうかマリアに任せて頂戴、と願ったマリアドールの背を守るように、リュカはアサルトライフルを構え直した。

 分身体は一度現れると、その数が余りに多く。
 猟兵達の活躍によりやっとその数も減りだしているが、未だうようよしている。
 リュカがその合間に道を生むように。
 マリアドールが本体と対峙できるように、ライフルの弾を雨霰と撃ち込んで。
 その弾の雨音に重ねて、マリアドールの爪弾く竪琴より響く音。
 敢えてマリアドールは、宝石人形達に魅せた戦い方を選択していた。
 弦を甘く弾けば、音が密に質量を持って音の弾と化し。
 ダイヤモンドの本体が大剣を振るって音を弾き飛ばすと、一気にマリアドールへと距離を詰め寄った。
「なんだい、ぼくはそれを識っているよ。それはきれいな音なのだねえ」
 人形の瞳に宿っているのは、好奇心の色によく似た色。
「外に出る前に、もう少しだけ聴かせてくれるかい?」
 その言葉に、マリアは瞬きを二度。
 その言葉は、宝石人形の油断であろう。
 その攻撃では、斃れぬという言葉だ。
 その油断は、ダイヤモンドにとって不利なもの。
「――ええ、もちろん!」
 応えたマリアドールが、宝石で出来たベルを響かせる。
 ――鳴り響くベルは、マリアの旋律。
 油断をした者に与えられる、音の魔法だ。
 常世に咲く華も、朝を識る。
 夜は必ず、明けるべきものなのだから。
 ――凱旋の詩を高らかに歌おう。
 希望が勝利を、砕く詩を。
 高らかに歌い、奏でよう。
 割れんばかりの音が、弾と膨れ上がり――。
 響き渡る音に目を丸くしたダイヤモンドは、少しばかり蹈鞴を踏んだ。
「――ねえ、マリアのお星様、魅せてあげるわ」
 マリアドールの星芒の瞳奥に宿った、覚悟の色。
 追憶の音雨は、更に降り注ぎ――。
 同時にリュカは分裂体の強襲に、ライフルの銃底を叩き付けて距離を取り。
 瞳を眇めて、ダガーを抜いた。
 彼の足取りは、未来が見えているかのよう。
 身を低くして分裂体の一撃をしゃがみ避け、バランスを崩した宝石人形の背を馬跳びの要領で手を突くと、ぽーんと跳ねたリュカ。
 ――リュカだって『ほんとうの星をみたい』という、気持ちは理解できる。
 しかし、それを叶えてやることは、できないのだ。
 身を低く構えて鋭くダガーを垂直に叩き込むと、きっとダメージも蓄積していたのであろう。
 涼やかな音をたてて分裂体の宝石核が割れて、ばらばらと砂と化した。
 かしゃんと音を立てて、もう動かなくなってしまった人形を見下ろし。
「こっちも仕事だから、ごめんね」
 リュカはぽつりと、呟いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

オブシダン・ソード
確かにここの光景も綺麗だけれど
本物の星空はまた格別だよ
でもね、だからこそ、君をそこに行かせるわけにはいかない
眠っててよ

器物と魔杖剣の二刀流で相手をしよう
君が頑丈なのはわかっちゃいるけど、さて、黒耀石でどこまでやれるか試してみようか
守りはオーラ防御に任せる程度で攻め手に集中
連続攻撃で相手のUCを誘ってあげる

無敵反撃の構えを誘えたら
斬撃から一瞬遅れての炎属性攻撃で、こちらに反撃しようと動いたところを焼いてみせよう
それでも止まらないなら炎を目くらましにして黒耀石の剣を突き込み、UCを発動

相手の反撃が直撃するとしてもまぁ
相打ち覚悟でいってみようか

なに、無敵の金剛石に一矢報いられれば、僕としては満足だよ


花剣・耀子
おまえにどんな由縁があろうと、
おまえにどんな事情があろうと。
それを見過ごすわけには、いかないのよ。

どういたしまして。
ここで阻むわ。

……、機械剣《クサナギ》、全機能制限解除。

単純に速さ比べをする気はないけれど、背を向けて逃げることはしないでしょう。
そうであるなら、いずれ至る場所は判る。

鋼糸を射出。
進路を遮り、壁をつくり、軌道を誘導。
正面からの討ち合いに持ち込みましょう。

おまえが壊れたものを背負うように、
あたしだって此処まで継いできたものはある。
当世の技術も棄てたものではないのよ。

……、そらを見たい気持ちは、困ったことにすこしだけわかるのだけれども。
それでも、ここが行き止まり。墜ちて貰うわ。



 響き渡った音の吶喊に、ふらりと大きく跳ねて距離を取ったダイヤモンド。
「確かにね、ここの光景も綺麗だけれど。本物の星空はまた、格別だよ」
 その背に声をかけたのは、妖しげな風貌。
 目深にフードを被ったオブシダン・ソード(黒耀石の剣・f00250)であった。
「そうだろうなあ、だから、ぼくは、――見てみたかったのだけれど」
 どこか気安く言葉を重ねたダイヤモンドは、大きな剣をぶらんと持つばかりで。
 金剛石のしらじらとした七曜の色の瞬きに、結晶の睫毛の影を落とした。
「そう。でもね、だからこそ、君をそこに行かせるわけにはいかないんだよ」
「ええ。おまえにどんな由縁があろうと、おまえにどんな事情があろうと。――それを見過ごすわけには、いかないのよ」
 オブシダンの言葉に、凜とした声が同意を呈した。
 それは機械剣を片手に携えた、耀子の声だ。
 真っ直ぐな蒼は、どこまでも貫くような視線の色。
「ここで、阻むわ」
「いやだなあ、そういうの」
 困ったように笑ったダイヤモンドは、大剣を構え直して。
「まあ。そういう事だからさ、僕も眠ってて欲しいかな」
 合わせるようにいつもの口調で笑んだオブシダンは、黒耀剣と魔杖剣を手に。
 耀子は機械剣を持っていない手を、機械剣へと這わせてみせた。
 ――機械剣《クサナギ》、全機能制限解除。
「……はアッ!」
 鋭く呼気を吐き出して。
 ダイヤモンドが、地に広がる星空を踏み割らんばかりに力を込めて、上半身を捻って大剣をオブシダンへと叩き込む。
 その膂力からの一撃を、まともに受ければ無事では済まぬだろうと。
 オブシダンは炎の魔力を爆ぜさせて身を低くすると、刃の下をすり抜けるように床を滑り。
 軽くバックステップを踏んだ耀子は、壁へと、床へと鋼糸を射出し始める。
「えっ、何? 蜘蛛の巣か何かみたいだね」
「概ね間違えてはいないわ、――動き回られるよりは、正面から討ち合いたいでしょう」
「確かに」
 滑り込む事でダイヤモンドの背を取ったオブシダンが、黒耀剣で彼女の脇腹を薙ぎ払い。振り向いた彼女に向かって、魔杖剣を振れば目眩まし代わりに炎弾をブチかまして距離を取った。
 ダイヤモンドは片肩を跳ねて。
「ほんとうの星が、みたいだけなんだけどなあ」
 すう、と息を吸って、吐いて。
 ダイヤモンドは構える。
 ダイヤモンドは硬い。
 ダイヤモンドは無敵だ。
 ダイヤモンドは――。
「おまえが壊れたものを背負うように、あたしだって此処まで継いできたものはあるのよ」
 鋼糸を巻き終えた耀子が、ぐんと地を蹴ると。
 その無敵の加護が完成する前に機械剣を叩き込まんと、大きく振りかぶって――。
「――ごめんね。君の願いは、届ける訳には行かない」
 地を蹴って跳ねた、耀子の背後。
 ……ダイヤモンドが耀子に気をとられた瞬間に、オブシダンは黒耀に力を籠めて突き放つ。
 彼の願いを断つ剣は、斬撃を生み。
 そのままダイヤモンドの加護を断ち切った。
「……ここがおまえの、行き止まり。墜ちて貰うわ」
 そらをみたい気持ちは、耀子にだって困ったことに分かってしまうのだけれど。
 ――そのために壊れたものの為にも、ダイヤモンドはここで壊さねば成らぬのだ。
 出し惜しみは、もうしない。
 低く唸る機械剣を、ダイヤモンドへと袈裟斬りに叩き込み――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リル・ルリ
🐟櫻と人魚
アドリブ歓迎

本当の星空
見せてあげたい
けれど君を外には出してあげられない
出すわけにはいけない

なにきらきらしてるの?
……ふうん

櫻も学習して
それはそうだけど…斬れないのでは困るだろ
僕は君なら斬れると信じてる
いや……斬らせる
君がそう望むのならば
歌う事しかしらぬけど

桜吹雪に纏わせて瞬く星のように漂わせるのは水泡のオーラ防御
歌う聲には君への鼓舞をこめて
いかな無敵であろうとも
そんなものは――《なかった》
はじめから
「薇の歌」歌って全て巻き戻す
君が無敵の宝石になる前に
硬い石になる前に、砕いてしまえ

本当の星空のかわりに
宝石の星を瞬かせよう

僕だって負けられないんだ
桜龍に見つめられるのは
僕だけでいいんだよ


誘名・櫻宵
🌸櫻と人魚
アドリブ歓迎

金剛石?
キラキラしてて硬くてあたし好きよ!
不屈の瞳も煌びやか
綺麗な首を宝石箱に加えたいくらい

うふふ
学習してるわ?
あなたの歌にそうように剣技を磨くのは大切
斬れないなら斬れるまで斬ればいい
頼りにしてるわ王子様

桜吹雪はオーラの防御
衝撃波にのせて無数に吹雪かせ
じわり劣化させる呪詛と生命力吸収を込める
リィの歌が背を押してくれる
怪力こめ刀振り上げなぎ払い桜花纏わせ『絶華』
金剛石すら断ってみせる
首を頂戴

…本当は斬れればいいけど
あなたを穿つのは無数に降り注がせる呪殺弾
宝石ごと穿ち砕いてあげる

人魚の嫉妬は心地いい
もっと私を求めて

残念
お星様は諦めて
代わりに尽いた命瞬く海にかえしてあげるから



「きみは、歌うのだったね」
 金剛石を星明かりに瞬かせながら、『宝石人形』――勝利のダイヤモンドはリルに尋ねる。
 ダイヤモンドの分身も、随分と斃れてしまった。
 勿論。
 勝利を諦めるつもりは無いけれど、ただ防御を固め続けていても勝てないであろう事もダイヤモンドは気づいていた。
「ならば歌ってくれないかい、ぼくの為に」
 ぼくの勝利を。
 ぼくの願いを、叶えてくれないかい。
「――駄目よ」
 リルが口を開く前に、その間に割り入ったのは櫻宵であった。
「どれほどあなたがキラキラして綺麗だとしても、どれほどあなたが友達思いでも。リルはあなたの勝利を歌ったりしないわ。リルはあたしの勝利を歌うの」
 リルの歌声は、災魔の為に響かせる訳にはいけない。
 リルの歌声は、ひとの世界の為に。
 ――そうして櫻宵の為に響いてほしいもの。
「代わりに、その綺麗な首はちゃんと落としてあげる」
 宝石の睫毛を影に落として、ダイヤモンドは小さく頭を振り。
「そうか、とっても残念だよ」
 ただの一度でいい。
 この迷宮から出て、ほんとうの星を見てみたかったんだ。
 再び自らの防御を硬めて、ダイヤモンドは大剣を刃がわずかに地へと向くように構える。
 向かい来る櫻宵の血色の刃を返すべく、――自らの勝利を、信じるべく。
「……君にもね、ほんとうの星空を見せてあげたいけれど。――けれど、君を外には出してあげられない」
 外へと出すわけには、いかないのだから。
 だから、リルは歌を紡ぐ。
 星明かりの元に柔らかそうな尾鰭を揺らがせて、秘色の髪を泳がせて。
 響く聲はダイヤモンドの勝利の為では無い。
 櫻宵への鼓舞を籠めて、――ダイヤモンドの力を削ぐ事を祈って。
 彼女があのように力を籠めてしまえば、とても硬い事は知っている。
 これまでの戦いの中で、何度も見てきてしまっている。
 それでも。
 それでも。
 櫻宵ならば、あの金剛石すら断ち斬れると信じている。
 ――斬らせてみせる。
 君が望むのなら、君の為に歌おう。
 響く歌は、ダイヤモンドの力を裏返す。
 いいや、無敵になる力なんて――。
 そう《何も無かった》と、全てを巻き戻す歌を。
 櫻宵の勝利だけを、リルは歌う。
「――首を、頂戴。宝石箱にいれて飾ってあげる」
 ああ、でも、そうやって。
 綺麗だからって敵の首を欲しがるのは、いやだな。
 ――桜龍に見つめられるのは、僕だけでいいのに。
 肉薄する紅刃と大剣。
「ふ……ッ!」
 鋭く漏れる吐息。
 交わした紅色の刃が大剣と重なり。
 力が桜吹雪と成って、瞬く星空の下で吹きすさぶ。
 そうして生まれた凄まじい剣圧はダイヤモンドをまろばせて、その身体を強かに床に打ち据えた。
 そう、ダイヤモンドを櫻宵は断ち斬る事ができれなかった。
 いいや、しなかった。
 ――斬れないなら斬れるまで斬ればいい。
 愛しい人魚が信じてくれるなら、それもきっとできるだろう。
 愛しい王子様の為に、剣技を磨くのは大切な事だ。
 でも。
 自分の言葉に、リルの歌声にわずかに嫉妬が混じった事に気づいてしまったから。
 その嫉妬が心地良いから。
 ――もっと櫻宵を求めてほしいと思ってしまったから。
 その首は、落としてあげない。
 唇を笑みに擡げた櫻宵は、桜吹雪を呪いの篭もった衝撃と化して。
 ダイヤモンドが胸に抱く石へと、力を叩き込んだ。
「……お星様は諦めて貰えるかしら」
 ぱら、ぱら。
 砕けた宝石はまるで星屑のように、星明かりに照らされてきらきら舞う。
「代わりに、その命は瞬く骸の海にかえしてあげる」
 今まで倒してきた分身体と同じく。
 ダイヤモンドが膝を地について、糸が切れたようにかくんその場に崩れ落ちる。
 瞬く星あかり。
 夜空を模した世界の中。
 この迷宮の底に封じられていた宝石が動くことは、もう無い。
「……本当を見てみたい気持ちはね、僕も、解るよ」
 リルがぽつりと呟き。
 その言葉もすぐに、夜色の静寂に飲み込まれてしまった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年11月11日


挿絵イラスト