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怪盗ノ啼ク夜ニ

#サクラミラージュ

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#サクラミラージュ


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●怪盗ピティ再び
 大帝国銀行の非常ベルが鳴り駆け付けた警備の者達が一斉にスポツトライトを建物の屋根へと向けた。
 そこに照らし出されたのはシルクハットとマントのシルエットが映える可憐なる女怪盗、その脇に抱えるのは大帝国銀行から持ち出してきたであろうが額縁が一つ。
 今まさに空へ逃れようと気球に括りつけられた縄梯子に手をかけ屋根を蹴ろうとした瞬間、後から遅れて現れた” 矢絣はかま“を着た少女が問答無用の勢いで駆け寄りそして飛び立とうとしていた怪盗にしがみついたのだ。
「こらっ待ちなさい、ピティ! あなた何考えてうちの銀行から盗んでるのよ!」
「えっ、あっ!? スミレお嬢様……ですからさっきも私言いましたけど、住み込みメイドとは仮の姿その正体は怪盗ピティってぇぇっ」
 そんな言い訳を聞かないハイカラ少女はがっちりしがみついたまま放そうとしない、そうするうちに二人の身体は風に流され上空へと舞い上がっていった。
「そんな話は聞いてません! おとなしく捕まりなさいな!」
「予告状もちゃんと出してポストに夕方出しておきましたよぅ~~っ」
 それを聞いたスミレと呼ばれたお嬢様はピクピクと怒りを露わに怒髪天。
「あなたね! 夕方出したのなら配達は明日以降でしょうがーっ!」
「ひぃぃ、ごめんなさぁぁぁぁい」
 大正浪漫溢れる帝都に可憐な女性(怪盗)の悲鳴が木霊した……。

 翌日の新聞の一面を賑わせているのは昨夜銀行を襲った怪盗の一件だった。
 大帝国銀行の地下金庫が難なく開けられ、中に収められていた現金などには目もくれず一つの美術品だけが持ち出されてしまったというのだ。
 しかも当日たまたま居合わせた頭取である綾小路子爵の令嬢、綾小路スミレがそれを一人で追いかけそのまま攫われてしまったらしい。
 影朧救済機関「帝都桜學府」の調査によりそれらしい人物たちが帝都を離れ逃亡しようとしている事までは掴んだらしいのだがそこで手詰まりとなり困り果てているらしい。
 そこでようやく超弩級戦力である猟兵達の出番と相成ったのだ。

 ●グリモアベース
「はーい皆さん事件ですよ~」
 グリモア猟兵の村雨ベルは緊迫感0の気楽な雰囲気で集まった猟兵達に説明を始めようとした。
 目の前に並べられたフオト(写真)には雑踏の中を歩く二人の女性が映っている。
「どうやらこれが犯人の怪盗ピティと攫われたご令嬢のようなので姿は覚えておいてくださいね?」
 被害者の綾小路スミレは所謂ハイカラさんな服装で怪盗のほうはメイドの服装で移動しているらしい。
 理由は不明だが拉致されたお嬢様も脅迫でもされているのか無理やり協力させられているらしくその場から逃げ出す様子はない。
「皆さんには現地の銀座の街へと向かってもらい雑踏の中を逃げている二人を追跡いただきたいのです、向かっている先は不明なので潜伏先も突き止めてもらえれば盗まれた美術品も発見できると思いますしね」
 相手は怪盗、いきなり捕まえに行っても逃亡され美術品が戻ってこない可能性が高いらしい。
 であるからには隠れ家を突き止めることが第一というわけだ。
 だが相手も(たぶん)一流、みすみす手掛かりなど残すはずもなく、まさか本名で公共機関を利用しているわけがない。
「そんなオマヌケな怪盗がいたらぜひ見てみたいものですね!」
 などと言うグリモア猟兵も目の前にいるが気にしてはいけない、どう追跡し接触し隠れ家を見つけるかは猟兵達の知恵と工夫で達成するものなのだ。

「そんなわけで今回もサクラミラージュの平和を守るためによろしくお願いします」
 そう言いながら頭を下げ猟兵達を見送るのだった。


轟天
 桜舞う帝都にへっぽこ怪盗が暗躍しているようです。

 超一流(笑)の怪盗であるピティの狙いとは何か?
 貴族令嬢である被害者、綾小路スミレはなぜ逃げ出すことができないのか?
 盗まれた美術品はいったいどこに?

 路面電車や人力車が行き交う銀座の街角で物語は開演します。
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第1章 冒険 『窃盗犯を探せ』

POW   :    怪しい奴がいないか周囲を徘徊する

SPD   :    窃盗の瞬間を捉える為に盗まれそうな物を監視する

WIZ   :    店員の振りをして接客しながら警戒する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

長坂・由有子
ずいぶん有能な怪盗さんじゃないか、どうやらご令嬢を盗み出すことに成功したようだ。
さて、冗談はこれぐらいにして、準備は十分に万全に。

雑踏の中から目的の人物を探すのはなかなか骨だねえ。
こういう時は人数かけてナンボだけど、とりあえず先鞭つけるかね。

【WIZ】
周囲を警戒、それらしき二人組を見つけたら、「影の追跡者の召喚」で追跡させて、私自身は周囲の警戒、捜索を継続。
真なら、そのまま追跡、偽なら解除して引き続き捜索。

そう簡単には見つかるとは思っていないけど、繰り返しやっていれば、居場所も絞れていくだろうし、私でなくとも誰かが見つけるだろうて。

絡み、アドリブ等はご自由にどうぞ。




 大正浪漫溢れる帝都に暗躍する怪盗を追い長坂・由有子(願身不復生王家・f17688)はカカフエのテラスに腰かけ雑踏を眺めていた。
 グリモアベースで見せられた状況を思い出しつつ飲み終わったコーヒーカップを指でピンと弾き思案にふける。
(ずいぶん有能な怪盗さんじゃないか、どうやらご令嬢を盗み出すことに成功したようだ……)
 真面目に考察してる振りをしククッと小声で笑うと料金を置き席を立つ。
「さて、冗談はこれぐらいにしておくかな」
 あのやり取りから考えて怪盗のへっぽこぶりは相当なもの、あのまま連れ去った後でお転婆そうなお嬢様を上手く扱う事などきっとできてはいないだろう。
 ……まずはこの雑踏から本人達を見つけるほうが早いのは明白、本来であればこういったものは人海戦術を使い多くの目で捜索するのが一番なのだ。
 最後に目撃されたとされるのがこの銀座の雑踏というのがもう何とも前途多難の幕開けを予感させている。
 怪盗とお嬢様が立ち寄りそうな場所ということで帝都の中でも華やかな場所が怪しいと当たりをつけて調査を始めてみた。
 お嬢様とメイドという組み合わせで歩いているケースはほとんどなく、1時間ほど探し回りようやくそれらしい人影を発見し追跡を開始した。

「おいで、影の追跡者」
 由有子の影が伸びながらブツンと切り離され雑踏の足元を進んでいった。
 このような場では非常に有効で相手にも周囲にも気付かれることなく二人に近づくことができた。
「……さまーお嬢様―、目立ちすぎますからやめてくださいぃぃ」
「何を言ってるの!草木を隠すなら森の中って言葉も知らないの?」
 ……ある意味予想通りお嬢様に振り回されているらしく買い物の荷物を持たされメイドがよろよろとついて歩いている。
 高級ブテイツクの箱に入っているのはおそらくは新しい衣装などだろう。
(なるほど逃亡前に着替えるつもりなのね)
 五感を共有しそれを確認しつつさらに耳を澄ませ話を聞くことにする。
「それ私のお金なんですから使い切らないでくださぃぃ」
「何言ってるの! 私の名前を出せば後で執事が払いに来ると言ったのに止めたのはあなたでしょう?」
 どうやら支払いは怪盗持ちだったらしい。
「そんなことしたら、すぐに警察来てしまいますよぅ~~」
  確かに昨夜誘拐された綾小路家のご令嬢の名前を出せば通報されるのは確実、というか今回の買い物も顔でバレてる可能性は否定できないのだが。
「さあ、電車が出てしまいそうですから走るわよ」
「えぇぇ、荷物重くて……しくしくしく……」
 駆けていく足音、どうやら二人はまだ移動を続けるらしい。
 路面電車に乗られるとさすがに射程から外れそうだと感じ由有子はここまでの経緯を報告に一度戻るのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アリシア・マクリントック
身元の割れている相手の追跡ならマリアの出番ですね。事情を話せば追跡対象の匂いのもとは簡単に借りられるでしょうし。
警察犬のように訓練されてはいませんが……大丈夫でしょう。きっと。野生の力を信じています!

目立ちにくいようこの世界の標準的な服装に着替えて、荒事に備えて鳳刀『暁』を佩くのも忘れずに。……マリアは大型犬ということで平気なはずです。たぶん。

私自身も対象を見逃さないよう注意しなくては。主従ということであれば……目立たないよう服装は変えるでしょうが、振る舞いを誤魔化すのは難しいはず。平服でいかにも従者といった振る舞いの方がいないか気をつけて見るようにするのがいいでしょう。




 桜舞う帝都の街並みを人々が行き来し、その往来は活気溢れるこの世界のまさに中心地といった具合に賑わっている。
 この中から特定の人物を探し出すのは困難、普通であればそうだろうがここにいる一人と一匹は違っていた。
 アリシア・マクリントック(旅するお嬢様・f01607)は『愛犬にして親友のマリア』の毛並みを撫で、さっそく大帝国銀行に立ち寄り借り受けてきた綾小路スミレのハンカチーフの臭いを嗅がせ追跡できるかと問うてみる。
 クウンと鼻を鳴らし飛び出すマリアを頼もしそうにアリシアは追いかけ始めた。

 サクラミラージュに違和感なく溶け込むために矢絣はかまに着替え、一見ハイカラさんにしか見えなくなったアリシアは腰に佩いた鳳刀『暁』が無ければ本当にその辺にいる女学生にしか見えない。
(主従のようにということは服装を変えても言動をよく聞いていれば見分けつくでしょうね)
 そう考えつつ辿り着いたのは路面電車の駅の一つ、目の前には最近出店したばかりのフルーツパーラーがあり女学生達が何組か席を囲み甘味に舌鼓を打っていた。
 親世代からすれば女学生がはしたないなどと言われているのかもしれないが、この大正の世のハイカラさん達はお転婆揃いでそんなことに耳を傾けないのが当たり前の光景なのだ。
 マリアが首を振り指し示す方向にアリシアは一組の女学生を発見する。
 この店名物の白桃プレミアムプレヱトを堪能しながら笑顔でそれを食べる先輩と、硝子容器でフルーツジュースを飲みながら何故か涙目になっている後輩という雰囲気なのだが……。
「うぅ……お嬢さ……せっ先輩、こんな目立つ場所で休憩するのやめましょうよぅ……」
「堂々となさいな、そのほうが目立ちますわよ」
 凛として口に紅茶を運ぶ先輩の姿を見てアリシアはこれが攫われた(はずの)綾小路スミレだと直感ししばらく様子を見ることにした。
 事前に聞いていた衣装とは二人とも変わっており明らかに変装し白昼堂々とこのような場所にいるなど普通は考えない。
 灯台下暗しというやつだろう、今すぐ襲い掛かろうかと身を丸めるマリアを手で制するとここで待つようにと指示しアリシアは近づこうとしたのだが……。
「はっ!?」
 視線をこちらに向けた後輩学生のほうが目を丸くしアリシアを発見すると、慌てて立ち上がりテーブルの上に代金らしき紙幣を乗せその場から立ち上がった。
「あっ、待ちなさい!」
 アリシアが慌てて追いかけ、待たせていたマリアも飛び出たのだが間一髪のところで目的の二人は店の外へ飛び出すと裏路地へと駆け込んでいく。
 アリシアを追い抜きマリアが路地へと飛び込みすぐに大きな悲鳴があがった。
「痛った~~~~い!?」
 その声のするほうへ駆けつけたアリシアが見たのは、お尻に噛みつかれその部分だけ破れたまま屋根へと人質を抱きかかえたまま一気に飛び上がる怪盗の桃尻。
「一歩遅かったですか……」
 屋根伝いに逃げる怪盗を見送り悔し気に足元を見たアリシアが見つけたのは何処かの店のマッチと新聞の切り抜き。
(次はこうはいきませんです!)
 吠えるマリアを宥めアリシアはそう心に誓うのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アラディア・スプリガン
【SPD】

殺人鬼の次は怪盗ねぇ…(溜息)

次に何か盗むつもりなら、予告状を出してるかも。
郵便局に行って事情を説明
前回出した予告状の筆跡を元に、局員や[選択UC]で呼んだゴングにも協力してもらって、予告状を探し、投函場所から潜伏先の手掛かりを掴むわよ。
今度は攫われた令嬢が一緒だし、早めに投函するでしょ(?)

……

そして、予告状を見つけたけど…
まず、封書じゃなく、ハガキで送ったら中身丸わかり!
律儀に『怪盗ピティ』と差出人の名前と住所(隠れ家?!)まで書いてあったわ。
令嬢と一緒でもこの有様…

ところでゴング、途中でさぼってどこ行ってたのよ。
『俺も対抗して、予告状出してきた』ですって…
何考えてんのこのバカ!




「殺人鬼の次は怪盗ねぇ……」
 グリモアベースで説明された名前を見るだけでため息が出てしまいアラディア・スプリガン(正義の守護妖精・f18520)はやれやれと首を振るのだった。
 あの殺人どころかトリックの一つもまともに準備できないへっぽこ怪盗のことだ、転生してもその辺りがまともになっているはずもないだろうと容易に想像がつくというものだ。
(次に何か盗むつもりなら、予告状を出しているかも?)
 そう考え向かった先は郵便局だった。
 銀座近くにある郵便局は今日投函されたばかりの郵便物でかなりの量なのだが探し出すしかない。
 借りてきた前回の予告状の筆跡を元に局員たちにも協力を仰ぎ……ついでに“ヴィランのゴング“にも手伝わせ手数時間、ようやくそれらしき予告状を発見するに至ったのだが……。

 予告状の投函場所などから潜伏先の手掛かりを掴むはずだったのだが……。

「え、ええと……アラディアさんこれって」
「えぇ……灯台下暗しというか……うん、ちょっと頭痛い」
 手にしたのは封書ではなくただのハガキ、つまりは開封しなくても丸見えの状態である。
 そのうえ差出人に御丁寧に『怪盗ピテイ』と署名は入れるは住所まできちんと書いてあるという丁寧な仕事ぶり。
(子爵家の令嬢が一緒にいるんじゃないの!? 添削とかしないのバカなの!?)
 なんだろう……しかもこの住所、地図を見る限り限りなく本物の可能性が高いのだ。
 これはひどい……もしかして私で事件は解決しちゃうの?大丈夫?予定狂わない?

 まあ……手掛かりを掴んだのは間違いないのだ、情報を共有するために端末にインプットを始めた所でガチャリと扉があり“ヴィランのゴング“が帰ってきた。
 そういえば予告状を探している最中から姿が見えなかった気がする、まああのマッチョな男が封書を探している姿はそれはそれで周りの局員がビビっていたので別にどうでもよかったのだ。
「ところでゴング、あんたどこ行ってたのよ」
 アラディアの軽い気持ちで放った質問は倍返しのような返答で返ってくることとなる。
 サムズアップから上腕筋を強調するポーズへとばっちり決めたゴングがニヤリと笑い一言だけ口にする。
「はぁー!?『俺も対抗して予告状だしてきた』ですって!? 何考えてんのよー!」
 手短な文鎮やペン立てを投げまくり郵便局にアラディアの怒号が響き渡るのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

四王天・燦
WIZ

ある程度アタリをつけるべく情報収集。
女の子を口説きながら写真を見せて『どの辺りでよく見かけるか』絞るぜ。
野郎には声かけねーよ

出没エリアで易者に変装し待ち伏せ。
ゲンを担ぐ怪盗と乙女なら占いに興味がある!タブン

それっぽいカップルが来たら「今まで見たことのない愛の波動を感じる。是非占わせてくれ!」と言い寄ろう。
なお他の女性でも二人組はカップリングさせてみせる(えっへん)

『二面性』『夜の住人』などと知っているから的中が当然なことを言って興味を引くぜ。
「転居が吉」「南、高層マンションが運気最大。子種にも恵まれる」など言って引越し、転居先を誘導

あとは猟兵として引越会社と連絡を取り合えば足がつく寸法さ




 帝都の華やかな喧噪から少しだけ離れた路地に何軒もの占い師や易者が集まる地区がある。
 日々の悩みなどを相談する人やゲン担ぎに訪れる人は案外多いようで今日もどうやら盛況な店がちらほら見受けられた。
 そこで今女性に一番人気といえば四王天・燦(月夜の翼・f04448)が出店している易者の店になるだろう。
 とにかく女性に優しく悩み相談からカップルの悩みにまでとても丁寧に占ってくれるとの評判なのだ。
 まあ……男性に対しては、それはもう存在すら否定するレベルなのはご愛敬というレベルなのだが。
 ここに出店したのは他でもない、探すべき相手が怪盗と乙女であるならばゲン担ぎと占いに興味があるに違いないという読みななのだ。
 こうして待ち続け目的の人物達ではなかろうかというカップル(?)に片っ端から声をかけ続けた結果、今度こそ目的の相手らしき者をと感じ取り強引に近づくことにした。

「今まで見たことのない愛の波動を感じる。是非占わせてくれ!」
 なんかもうヤケを起こしたレベルで詰め寄ったのはお嬢様とそれに仕えるメイドといった風貌の二人で、何というか燦の言葉に興味を持ったのかグイグイと食いついてくる。
「愛の波動? 面白いことをいいますねあなた」
「お、お嬢様……こんなことをしてる場合じゃ……」
 心底ありないわという表情で愛の波動とやらに興味を持ったお嬢様と呼ばれる女学生と、早くこの場から離れようと必死で袖を引っ張り続け無視され続けるメイドの対比におそらくこの二人で間違いないと狙いを定めることにした。
「うーんこれはすごい運気だ、夜の住人が輝くにはこれではいけない。このままでは宝の持ち腐れ……」
「へぇ……どうすれば運気は開けますの?」
 何やら混ぜたキーワードに引っかかったのかまだ話は聞いてくれるようだ。
「転居が吉だね……それに、うーん……南の方角、高いアパートメントであれば運気最大、むむむ……子宝にも恵まれるとな」
 何か微妙に怪しい占い内容が含まれているがそれも雰囲気つくりにはバッチリだったらしくなるほどと二人が頷いている様子に内心ニヤリと笑う。
「むむむ、ゲン担ぎは大事です引っ越ししましょうお嬢様!」
「なーんか引っかかるのよね……ってこらっ、引っ張っていくな~」
 大騒ぎをしながら立ち去る二人を見届けると燦は店を閉めその場を後にした。
 種は撒かれた後は収穫の時を待つだけだ……そう呟きつつさっそく連絡を入れておいた会社へと足を向ける。
 そう……あれだけ引っ越しすることを匂わせたのだ、引っ越し会社などに連絡をさっそく入れているかもしれない。
 結果はほんの1時間後にわかることとなるのだった……。

成功 🔵​🔵​🔴​

ニコリネ・ユーリカ
WIZ
土地勘の無い街を探し回るのは骨が折れるわ
移動販売車『Floral Fallal』を目星い場所に停めて
お店を開いて周囲を警戒しつつ、二人を「釣」れないかやってみましょ

【ProSEEDs】でちょっとした「ブームを仕掛け」るわ
皆様ご機嫌よう。遠い国から販路を求めてやってきた花屋で御座います
さぁさ、いらっしゃいませ。この世界では珍しいお花もありますよ!
見事な桜を眺め続ける目の肥えた皆様にも、きっとご満足頂ける筈
今の季節だと花姿が華やかなダリアがオススメかしら?
花言葉は「華麗」。どなたかにピッタリじゃない?
怪盗さんやハイカラさんの心に届く花、花言葉を宣伝しちゃう

二人を見つけたら皆と情報共有しましょ




 事件のあらましを聞きニコリネ・ユーリカ(花売り娘・f02123)は周囲の喧噪を見渡した。
 ここ帝都の銀座通りは今日も人で賑わい路面電車や人力車が行き交う交差点には活気が溢れている。
 ニコリネとしては聞き込みに走り回るのも吝かではないが、どうせ情報収集するのならば得意分野でやるできだと愛用の移動販売車『Floral Fallal』を使う準備を始めるのだった。

 その日、銀座通りの一等地に突然のサプライズが巻き起こる。
 普段は舞い散る桜ばかりに目がいきがちだが他にも様々な花がこの世界にもあるのだ、それを満載した移動販売車『Floral Fallal』の周囲にはすでに人だかりがいっぱいに。
 もちろん許可に関しても超弩級戦力の猟兵がちょっと一言添えれば問題なく貰うことができたので何の問題もない。
 ビラなど撒いたわけでもないが朝の開店から口コミが口コミを呼び今では紳士淑女もいれば普段何も興味なさそうな御仁までもが見に来ているほどだ。
「皆様ご機嫌よう。遠い国から販路を求めてやってきた花屋で御座います、さぁさ、いらっしゃいませ。この世界では珍しいお花もありますよ!」
 ニコリネの透き通るような声が響き可憐な花の香りが辺りに充満する、それはこの一時の注目を一身に浴びるほどの盛り上がりぶりなのだ。
(怪盗といい誘拐されたというお嬢様といい華やかな物には目がないはずよね)
 きっとこれだけ局地的なブームが巻き起こればどこかでそれを聞き姿を現す可能性が高い……そう上手くいけば目的の二人を「
釣」れるかもしれないのだ。

「素敵な花ですね~すっごく綺麗です」
「あら、これは外国の花かしら?」
 興味津々のメイドが目を丸くしたのを、その主人であろうドレスを着た令嬢が横から覗き込み香りをクンと嗅ぐ。
「いらっしゃいませ♪ 見事な桜を眺め続ける目の肥えた方々に今お勧めなのはそちらの天竺牡丹でしょうか、特にこの赤いのがお客様にはお似合いと思いますよ」
「へぇ、そういえば図鑑でそのような名前を拝見した覚えがあるわね、確か向こうではダリアという名前だったかしら?」
 博識そうに令嬢が名前を口にするとニコリネはにっこりと微笑みその続きを語ることにした。
「はい♪ その通りですよく知っておられますね。ダリアの花言葉は『栄華や気まぐれ』……さらにはこの赤いダリアに限っては『華麗』という意味もあるんですよ」
 このメイドが怪盗ならばきっと『華麗』というキーワードには反応するはずなどと淡い期待をしたがどうやらそれは大正解だったようだ。
「華麗! いい響きですよねお嬢様! 素敵です!」
「あぁもう! あなたの好きにしなさいな」
 目を輝かせたメイドがニコリネにあるだけ全部買うと財布から代金を払ったのだがとてもではないが持って帰れる量ではない。
 どうしたものかと思うと懐から出したメモにさらさらと何かを書き込みニコリネへと手渡した。
「実は今日引っ越しすることにしてまして、その住所まで届けてもらえないでしょうか~」
 そう言いつつ渡されたメモを見てニコリネはガクリと肩を落としかけた。
 ……何とそこに書かれているのは引っ越し先の住所とピティという名前入り。
(か……隠す気あるのかしら、この怪盗さん……)
 とにもかくにも怪盗の次の隠れ家の住所はこれで判明した……ここまで杜撰で何で今まで捕まらなかったのか、もしかするとそちらのほうがよっぽどミステリーなのかもしれない。

成功 🔵​🔵​🔴​

アイ・リスパー
「またあの怪盗ですか!?
……あの怪盗がまともに犯罪を犯せるわけはありません。
ましてや帝都桜學府の追跡を逃れるなど。
これはやはり、怪盗の背後に黒幕がいるのですね。
この電脳探偵の私が黒幕の正体を暴いてあげましょう!」

他の猟兵の調査結果をもとにして『偵察用ドローン群』を街中に展開し【チューリングの神託機械】で電脳空間の万能コンピューターにログイン。
得られた情報を統合しながら怪盗とお嬢様の行方を探します。

「それに盗まれた美術品というのも気になりますね。
一体どういうものなのか、新聞や本などを調べて調査してみましょう」

相手の目的がわかれば、怪盗の黒幕の正体も分かるかもしれませんしね!(あくまで黒幕説)




「またあの怪盗ですか!」
 バンと机を叩きアイ・リスパー(電脳の天使・f07909)は思い切り声を張り上げる。
 以前とある館で出会った連続殺人、それこそがこの怪盗ピティである。
 だがアイの知る怪盗ピティといえばトラップ一つまともに仕掛けることが出来ず、数少ない成功例は豊かな胸で抱きしめすぎて窒息と掃除のしすぎで滑って転んで階段から転落というこの2点のみ。
 はっきりって犯罪の才能がないのだ。
「……あの怪盗がまともに犯罪を起こせるはずがありません、ましてや帝都桜學府の追跡を逃れるなど……」
 そこで一呼吸置き聞いている側に心の準備を与えるとトドメとばかりに自らの推理をここに披露する。
「これはやはり背後には黒幕がいるのですね、この電脳探偵の私が黒幕の正体を暴いてみせましょう!」
 ババーンと効果音と共にCMに突入するんだけど本当にその方向性でいいの!?

帝都の空を偵察用ドローンが飛び広範囲の調査を行っていた、これはもちろんアイの操作する物で電脳空間経由を経て万能コンピューターに接続したことで飛躍的に情報を精査し精度を高めることに成功していた。
 事前に何人かが突き止めた新たな隠れ家の情報をもとに導き出されたのは、示された新たな隠れ家は本物であり先ほど大量の花が買い込まれ配達されたばかりだというのだ
 この花は何だろう、何かのトリックにでも使うのだろうか……まさかただの衝動買いということはないと思うのだが……。

「むぅ……そういえば盗まれた美術品というのも気になりますね」
 ドリンクを一口ストローで吸いアイは再びキーボードを叩く、新聞や本など手に入るものから盗まれた品というのが金庫に保管されていた一枚の絵画だということはすぐにわかったのだが何故これを盗んだのかという事に関しては本当に謎のまま。
 金目の物も盗みやすい宝石も何も手を付けずに逃亡しているというのも一つ。
 なぜ綾小路家の令嬢が夜の大帝国銀行にいたのかもこれもまた謎。
 そして誘拐された令嬢が何故か逃げずに一緒に行動しているというのも謎。

「やはり考えれる事は一つの終着点に辿り着きそうです……そう、この事件には黒幕がいる!」
 派手なエフェクトと効果音と共にアイの推理がババーンと披露されるわけだ。
 まあ……問題はこの流れをすでに今日だけで5回はやってしまっているので、誰も耳を傾けてくれないということなのだが!

「ぷーんです」
 誰も聞いてくれないのでポッキーぽりぽり噛みながらアイは唇を尖らせるのでした、ちゃんちゃん。

成功 🔵​🔵​🔴​

テラ・ウィンディア
あいつちゃんと転生したんだなー(なんか嬉しそう

怪盗と対決するのは誰か…ヒーローか?英雄か?
そう!探偵だな!!(ぱんぱかぱーん

という訳でグラマラスなボデエと燃えるような脳細胞を持つ名探偵テラ・ウィンディア少女が再び登場だ!

事前
攫われたらしきお嬢様との関係とお嬢様についても細々と調べておくぞ


一応事件が起きた状況と他の猟兵の発見した状況と地図諸々から逃走経路を推理するぞ

其処からユベコで空飛んで探索するかな

そう!探偵は脚だって言うしなっ!

若しもあっさり発見したら

探偵は…ほわいだにっとも把握しなければいけないから…よし、上空の遠距離から観察するぞ

一応建物の影とか利用して気づかれ難くはするぞ?




 怪盗ピティが再び現れたと聞きテラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)は嬉しそうにその辺にある箱に飛び乗った。
「怪盗に対決するのは誰か……ヒーローか?英雄か? ……そう、探偵だな!!」
 パンパカパーンとブイサインをしているがこの(自称)探偵、役にたつかと言われればあんまりあれなのは黙っておいてあげてほしい。
 少々縁がありこの怪盗とは面識があったテラは似合わない殺人をやめて怪盗らしくちゃんと転生しろというアドバイスがちゃんと通じていたことに少しご満悦なのだ。
(あいつちゃんと転生してたんだなー)
 なんというか連続殺人犯のくせに誰一人(まともな意味では)殺せてなかった殺人鬼(笑)が今度こそ怪盗しているというのはある意味嬉しく、そしてそれを阻止するために迷探偵テラ・ウィンディアの出番がくるというのはそれ以上に嬉しいのだ。
 だって……直接対決の夢が今度こそ叶うに違いないのだ。
 グラマラス(つるーん)でエロテイック(ぺたーん)なボディを持つ燃えるような(何も考えてない)脳細胞を持つ迷探偵ならばきっと怪盗も心に火を灯すに違いない。

 今回事件の手掛かりを追うべく事件現場の調査をしてみたのだが一つおかしなことが見つかった。
 金庫のカギはもしかすると怪盗が開けていないかもしれないのだ、逃走経路などを見てみて思ったのは逃げるに際して何故令嬢がそこにいて追いかけていったのかも実は謎である。
 なぜあんな時間に令嬢が見回りをしていたのか、それもあるが他の猟兵からの手掛かりによれば潜伏先に至るまで攫われたらしい綾小路スミレは別段抵抗することなく普通に怪盗と行動を共にしているということだ。
 盗まれた絵画に関しては大帝国銀行の金庫の外に飾られていたらしいということだ、であれば何故金庫をわざわざ開けてみたのか本当に謎である。

 そんな推理をしているうちに怪盗の新しい潜伏先へと辿り着いた、それも窓のすぐ外なのでちょうど花屋がダリヤの花を配達しているのという話も丸聞こえになっている。
 そしてその部屋とは何と大帝国銀行の目と鼻の先、灯台下暗しとはまさにこのことである。
(ん、なんだあれ?)
 窓際に書き終わった予告状が置かれてあるのだがそれによればもう一度同じ大帝国銀行へと参上すると書いてあるのだ。
 それも日付を見ればそれは今晩の日付で決行と書かれてある。
(また……予告状出し忘れてるな……)
 仕方なく予告状を手にしてテラは帰路へとついた。
 夜になれば(出してないけど)予告通り怪盗は現れるはずだ、探偵と怪盗の決着は現場でつけるのが一番燃えるだろうと闘志を燃やすのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『怪奇『隙間女』』

POW   :    怪奇『隙間女』
肉体の一部もしくは全部を【隙間女】に変異させ、隙間女の持つ特性と、狭い隙間に入り込む能力を得る。
SPD   :    いつもみています
【隙間からのぞき込む視線】を披露した指定の全対象に【目が離せないという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
WIZ   :    いっしょにいきましょう
小さな【隙間の中の自分】に触れた抵抗しない対象を吸い込む。中はユーベルコード製の【隙間空間】で、いつでも外に出られる。

イラスト:透人

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●泥棒は複数いた?
 (出し忘れで)届くはずのなかった怪盗の予告状が調査を行っていた猟兵により持ち帰られ、今晩また大帝国銀行に怪盗が現れると判明した。
 大至急警察による警備が引かれる中、怪盗ピティとは別にそれを見てクスクスと笑う一団がいる、
「あのへっぽこ探偵に罪を被せるなら」
「予告状通りにこちらも盗みにはいればバレないわ」
 クスクスクスクスと何もない暗がりから笑い声だけが聞こえる。
 そこにあるのは何もない空間……だが確かにそこには誰かがいる、それこそが今回の金庫を開けた真犯人たち。
 へっぽこな怪盗ピティには出来ない金庫への出入りを自由に出来るその真犯人の名は……。
『怪奇 隙間女』
 今回もこっそりピティの動向を監視し、予告状通りに現れたところで罪だけ被ってもらいお宝はこちらで頂くという寸法なのだ。

「さあ今度こそ金庫の中のお宝いただくわよ!」
「「「おー!!」」」
 暗闇に声だけが響いていた。

●予告状
 大帝国銀行様

 今宵20時、お宝をいただきに参上いたします。
 
 怪盗ピテントゥ・インコン


 ただそれだけが書かれた予告状に書かれた署名。
 怪盗インコンピテントゥとは「無能な怪盗」という意味で知ってか知らずかそう名乗っているのだが、本人はあまりわかっていないらしいので言わないであげてほしい。
 たぶんヘコムので……。
 
 どうやら犯行時刻に怪盗が現れるようなのだが、それに合わせて別の窃盗団が銀行の金庫を狙って侵入してくるのだ。
 猟兵がまずするべきはこの隙間を好き放題移動し金庫をまた開けて盗みをしようとしている窃盗団を捕まえる事。
 肝心の怪盗は寝坊して時間通りには現れないのでまずはこちらから対処すればいいようだ。
 

大帝国銀行の金庫前、ロビー、屋上、2階などどこから来るかがわからないが、きっと猟兵達なら上手くやってくれるだろうと警備の人間たちはすれに頼りきりになっている。
 こうして夜の銀行を舞台に大捕物が始まろうとしていた。
長坂・由有子
なんか、いろいろ言いたい事がピティに限らずいっぱいありすぎて、どうしたらいいやら。
とりあず、こすい悪党を捕まえよう、そうしよう。

どこから来るか、分からないのはなかなか厳しいものがあるね。
とりあえず、屋上から周囲を監視。現れ次第迎撃。
複数個所に出た場合は他猟兵に声掛けをして最寄り、もしくは近くに誰もいない相手に向かう。

【Wiz】
巫覡載霊の舞を使用して攻撃するが、ユーベルコードを使用して死亡する可能性があるなら使用しない。
薙刀を逆もちで石突を相手に向けて、殺さず捕縛できるよう注意。
殺さんでいい相手は殺したくない。

まあ、まさか屋上でばったり出くわすなんてことはないでしょうしね、うん。




(つ……ツッコミどころが多すぎるのよ)
 怪盗のあまりのへっぽこぶりに呆れるやら何やら長坂・由有子(願身不復生王家・f17688)としてはどうしたらいいのか迷ってしまうところだ。
 とりあえずは火事場泥棒的にコソコソ動き回るこすい悪党達から捕まえるのが一番とクールで知的な自分を取り戻し由有子は銀行の警備にあたることにした。
 相手の特徴は隙間を作り出し自在に出没したり取り込んだりと絡めて系の相手ということだけ。
 であれば自分の立ち回りしやすい場所で見張りをするのが一番であろうと判断しレトロな建物の階段を踏みしめる。
 秋口の風はすでに涼しいというより肌寒い、屋上に辿り着いた由有子は来るならこいとばかりに入り口前にドンと構えて時間が来るのを待つことにした。
「どこから来るかわからないのはなかなか厳しいものがあるね」
 ちょっとした愚痴みたいなものだ、予告時間よりのかなり前から待ち構えてみたものの待つというのは存外疲れるものだ。
 出来ればここで一網打尽にしたいところだがこの悪党は複数いるというのがわかっているので全員を一人で捕まえるのは無理だろう。
 だからこその定番の場所である屋上での待ち伏せだったのだが……。
 何かが聞こえた気がする、由有子の鋭敏な聴力が今何かを確かに感じ取った。
(いよいよお出ましというわけね)
 隙間を通るというのならわざわざ屋上など来る必要はないはずなのに、あえてこんな場所にも来るのはこの世界の泥棒のクセみたいなものなのだろうか。
「そこっ!」
「きゃあ」
 蒔絵揃えの薙刀が物陰を一閃しその何も無かった空間から尻もちをついた見知らぬ女性の姿が現れた。
「あなたが隙間女ね!」
 石突で鳩尾に一撃を加えるとあっさり気絶し一人を無力化することができた。
 だが相手は複数……どこから手が伸び……手っ?
 そう気付いた時には倒れた隙間女のいる何もない物陰から別の手が伸びてきて由有子の足を掴んだ。
「いっしょにいきましょう?」
 そう囁く声に瞬時に決断をした由有子はあえて抵抗せずその中へと飛び込んでいく。
  景色がぐにゃりと歪み周囲の景色が一瞬で変化してしまった、ここは隙間女の潜んでいた隙間空間そしてそこには複数の隙間女が由有子を縛り上げようと待ち構えていたようで。
「痛くしないからおとなしくしておいてね!」
 一斉に襲い掛かってくる隙間女達、それを薙刀で受け止めながら由有子の姿が神霊体へと変身していき衝撃波で一気に弾き飛ばした。
 さらに石突で次々と隙間女を気絶させ気絶させていく姿に残った隙間女も腰が抜けたままブルブルと震えるのみ。
「どうしとく? おとなしく捕まるならアイスキャンディの一本でも出してあげるけど」
「こっ、降参しまーす」
 諦めた隙間女がひきこもり空間を解除し、屋上での戦いはあっという間に解決したのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アリシア・マクリントック
隙間を移動する……ですか。あらゆる隙間を塞ぐというのは当然現実的ではありませんし敵が潜んでいる場所をいかに早く見つけるか、そして見つけた敵をいかに逃さないかが大事ですね。となるとマンガでみたあの方法が使えるかもしれません。

これです、シャボン液!使える場所は限られますが……これで敵が現れそうな隙間に膜を作っておくのです。当然、敵が動くときには普段と違う空気の流れが生まれます。その空気の流れで膜が膨らんだところに敵が潜んでいる……はず。

見つけさえすればあとはそこを攻めるのみ。レイピアであれば狭い隙間にも攻撃できるでしょう。
さぁ、勝負です!




 怪盗ピティの予告時間は夜の8時。
だがその怪盗と時を同じくして現れた第二の盗賊、それが『怪奇・隙間女』達。
この新たな相手に対応しなければならなくなったアリシア・マクリントック(旅するお嬢様・f01607)は愛犬マリアの頭を撫でながら何かいい方法はないかと考えていた。
 マリアの鼻でカバーするにはあまりにも銀行内は広すぎる、だとすれば他には……。
(そういえばマンガで読んだ中に使えそうな物が……いきなり本番ですが使えるでしょうか?)
 ちょっと不安になりながらも道具を調達し夕方から大急ぎで作業したおかげでどうにか予告時刻にはアリシア特製の罠は準備完了。
 こうして準備万端の所で時刻は予告時間の夜の8時が近くなっていた。

 プクリ
 廊下と床の隙間からシャボン玉が膨らみ始めるのに気付いたアリシアはレイピア(刺突剣)を一気に隙間へと突き立てた。
「痛ったーい!?」
 隙間から飛び出てきた忍装束の女性にマリアが噛みつき泣きながら逃げようとしている。
 そう、アリシアはシャボン液を隙間という隙間に吹きかけ隙間空間から出てくるときの空気の動きでシャボン玉が出来るのをセンサー代わりにして待ち構えていたのだ。
「そこですね!」
 作戦が上手くいき別の隙間からのシャボン玉を発見しアリシアはそこにもレイピアをブスリと刺し込めば途端に現れる隙間女がまた一人。
 お尻を手で押さえながら涙目の隙間女と対峙し構えをとるアリシア、お嬢様と侮ってはいけないこれでもかなりの剣の使い手なのだ。
「変な仕掛けで見破るなんて、なかなかやるわね」
「ふふっ……か弱い娘と侮らないことです」
 アリシアの刺突剣と腕を隙間に潜らせるほどに細めた手刀が交差する。
 だが隙間女の手刀はレイピアに備え付けられた盾部分で向きをずらされその一撃を鳩尾に受けてそのまま倒れこんでしまう。
 鳳剣『ルシファー』とそれを使いこなすアリシアの日頃の鍛錬が隙間女を上回った瞬間だった。
「やりました♪」
 クルリと反転し剣を顔の前で構え礼を取ったアリシアは戻ってきたマリアへとウィンクして見せる。
 ……とはいえとアリシアは廊下や壁を見てため息をつきかけた、どうやらまだまだ隙間女達はいるらしくあちこちからシャボン玉が膨らんでいるのが目に入った。
「仕方がありません、ここからが勝負です!」
「ワンッ」
 1人と一匹は以心伝心、次の隙間女へ駆け出していくのだった……。

成功 🔵​🔵​🔴​

アイ・リスパー
「くっ、怪盗ピティ!
正々堂々と予告状を出して盗みにくるとは!
いいでしょう、電脳探偵として受けて立ちましょう!」

『偵察用ドローン群』を放って怪盗ピティの襲撃を待ち受けます。

「って、まずは手下を放ってくるとは、さすがは怪盗ピティの黒幕。
慎重な作戦ですね!」

あの間抜けな怪盗だけに任せておけないですものね。
ならばまずは手下から迎撃です!

【バタフライ効果】による竜巻で泥棒たちを撃退しましょう。

「って、へっ!?」

隙間から伸びた泥棒の手がスカートの中に入り込み
『無抵抗な』下着が吸い込まれてしまい……

「きゃっ、きゃああっ!」

自分が起こした竜巻の風でスカートが捲れるのを必死で隠すのでした。
く、黒幕は許しません!




「くっ、怪盗ピティ! 正々堂々と予告状を出して盗みにくるとは!」
 露店で買った探偵帽を被りアイ・リスパー(電脳の天使・f07909)はその場でくるくる回り天を指差しポーズをキメる。
「いいでしょう! 電脳探偵のとして受けて立ちましょう!」
 ここにへっぽこ探偵2号の誕生である……なんというか頼りにならない感では参加していた猟兵の中でも群を抜いて一番なのは秘密だ。
 だがそれでも電子探偵(自称)の名は伊達ではない、すでに銀行の建物のあちこちに飛ばされた偵察用ドローンが細かな異変を伝えてきてくれるはずだ。
 こうして予告状にある夜8時を迎えることになった……。
 同時に何か所かで反応があり隙間を通じて何人もの侵入者が現れた事を察知しすぐ近くの反応へ目を向けた。
 銀行内のあちこちでシャボン玉が隙間から膨らみ舞っていた、これは別の猟兵が仕掛けた対隙間女用の警報装置。
 自然とその付近に隙間女がいるのがわかるというシンプルな仕掛けだ。
 そのちょっとした隙間から顔を出していたのは怪盗ピティとは別人……それを見たアイのピンク色の脳細胞が答えを一瞬で弾き出す。
「って、まずは手下を放ってくるとは、さすがは怪盗ピティの黒幕……。慎重な作戦ですね!」
「え“」
 アイの絶妙な空気とそれに対する間の抜けた回答、ちょっぴり空気が寒い。
 アイの完璧な推理の中ではへっぽこな怪盗ピティだけでは任務の遂行は不可能、だからこそ手下を送り込み攪乱する作戦なのだと予想していた。
 実際のところはただの便乗犯なのだが……。

「……解析完了! ローレンツ・アトラクタ・プログラム起動しますっ!」
 アイが視線を送り狙った先にはちょうどシャボン玉が膨らみ始めた場所が複数ありそれぞれの場所に小型の竜巻が出現し隙間空間の中に潜んでいた隙間女達が次々と尻もちをついて廊下に転がっていく。
 『バタフライ効果』の成果に思わずガッツポーズ、めずらしく……本当にめずらしくこの電脳探偵仕事をした気がします。
 苦節数か月……まともに仕事をするなんて今日は雨でも降るんではないでしょうか?
 だけどそこはそこちゃんとミスをするのが電子探偵の良いところ、はしゃいでいたのもあり見落としていたものがあるのだ。
アイのすぐ足元の空間にシャボン玉が浮き出てきているのは全く気付かず、そこから伸びる手がアイのスカートの中へと延びていき……。
「きゃっ!? 何っ今の!?」
 慌ててスカートごしにお尻を抑えるがすでに手遅れ、足元に自分の下着が盗まれ隙間空間に消えていくのが見えてしまった。
「か、返しなさい……って、きゃあ竜巻の風が~~~っ」
 手で押さえてもスカートが竜巻の風でめくれ上がるのを完全にふせぐことができなかった。
「だ……大丈夫ですか……ってウホッ」
 駆け付け鼻血を出す警備員の前で股間が丸見えになりながら半泣きでアイは誓っていた。
(こ、こんな屈辱……くっ黒幕は許せません! って見ないでくださいいいい)

 ……竜巻を止めればいいと思いますよアイさん?

成功 🔵​🔵​🔴​

四王天・燦
後日盗みに入るときに備えて、銀行の構造を頭に叩き込んでおこうっと♪
盗みは効率だ

金庫前で待つよ。
スプリンクラーを壊しておく。
金庫を含め、隙間という隙間にガムテープを貼っておくぜ

隙間女が湧いてきたらフォックスファイア乱れ撃ち。
ダメージではなく服に着火するのが狙い。炎をコントロールして服だけ焼き尽くしてやる。
この為にスプリンクラーを壊したのだ!

「アタシを浚えば此処から一人、猟兵を減らせるかもな」
「そゆわけで後は任せた」
隙間女に教唆、他猟兵に挨拶して隙間の世界に手を伸ばす。抵抗するわけがない

隙間世界で二人きりになったら押し倒し。
「えっちな娘に転生しちゃいな」
誘惑し、唇などの隙間に接吻し生命力吸収さ




 怪盗がまた大帝国銀行に現れると聞き四王天・燦(月夜の翼・f04448)は熱心に建物の設計図や警備状況など聞き取りメモをとっていた。
 警備を万全にするには確かに大事なのだが問題は肝心の燦がシーフだということだ。
(後日盗みに入るときに備えて、銀行の構造を頭に叩き込んでおこうっと♪)
 色々な意味で憂いが増えた気がするが気のせいだろうか。
 ご、後日何かあってもここは気にしない方向でいこう……隙間女達はもうすぐ現れるはずなのだから。
 指でガムテープをくるくる回しつつ見渡し容赦なく張りまくっていく。
 他の猟兵が塗ったシャボン液の上にもさらに念入りに張り付けたことで侵入してくるにせよかなり絞り込めるはずだ。
「おっと、こいつも忘れちゃいけないぜ♪」
 天井に設置された配管の蛇口をあちこちで締めておき簡単なスプリンクラーが作動しないようにしていた。
 防火装置を何故使えないようにするのかそこに何か意味があるのかは後でわかることになる。

 金庫の前で陣取りいつ来ても万全の構えの所にゆらりと何もない影から現れた隙間女、ここまでの警備の目をあっさりとすり抜けてくるあたり中々に手練れなのかもしれない。
「よう、ここから先は行かせないぜ?」
「へぇ……一人で相手しようなんてあんた……私たち舐めてる?」
「あぁ……ぜひ舐めたいな」
 操る狐火が大量に襲い掛かり隙間女を何発も命中する、だがそれは着衣のみを焼く火力で繊細なコントロールが為されものの10秒ほどで隙間女は全裸に剥かれてしまっていた。
「このっ! ふざけてっ!」
 燦の挑発にあっさり乗ると隙間女は再び隙間空間へと身を隠し姿を消した。
なるほどと思う、だからこそスプリンクラーを作動しないよう仕掛けをしていたのかと。
 だが隙間女も逃げているだけはない。
「そこかっ!」
 振り返り短剣を振るうがそこには隙間女はいない。
「残念、足元でした♪」
 そう、短剣が空を切った遥か足元から伸びた手が足首をつかみ異空間へと引きずり込もうとしていた。
「いっしょにいきましょう♪」
「あぁ……一緒にイキたいぜ?」
 足元から姿が消えていく燦、近くにいた者にハンドサインを送りウィンクすると余裕そうな表情を崩さず最後の言葉を紡いだ。
「そゆわけで後は任せた♡」
 足元に愛用の短剣アークウィンドだけがカランと音をたて転がる、燦の姿はこの世界からあっさりと消えてしまったのだ。

 ……隙間空間に艶めかしい喘ぎ声が響く。
 そこにいるのは全裸の美女が二人、たがいの双乳を押し付け合い濃密なキスをしながら絡み合っている。
「アタシを浚ったから一人戦力を減らせてるんだ、もっと愉しむといいぜ♡」
「はぁい♡ まだまだ逃がさないんだからぁ♡」
 二人は舌を絡め互いの唾液を交換しながら銀行内の騒ぎはお構いなしに淫行を続けていた。
 二人がこの空間へ入りもう数時間はたっている、貪りあえば互いの気持ちのいい場所はすでに覚えてしまった。
 指で刺激し覚えた悦びに素直に身も心も堕としていく。
「フフ、えっちな娘に転生しちゃいな♡」
「もうえっちれすもーん♡」
 キスで生命力を吸い取っているとはいえお互いの性欲はどうやら底なしのようで……この決着はしばらくつきそうにないようだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

アラディア・スプリガン
灯りも付けずに大金庫の中で待ち伏せ。
物陰に隠れ【暗視】能力で見張っていると、隙間女が金庫内に侵入
暗闇の中、手探りで電気のスイッチを探してる様だけど、探り当てたのは、ムニュッとした生温かい物。
そこで私が電気を点けるわ。

彼女の目の前にいたのは、鉄仮面をつけた、ビキニパンツ一丁のムキムキマッチョ。
その名も怪盗ファントムマッチョ!(ヴィランのゴング)
そして彼女が触ったのは、彼の股間…
金庫内に響く隙間女の叫び声…
「俺の『お宝』を狙うとは、お目が高い」
とほざくゴングの後頭部を精霊銃の銃庄で殴り【気絶攻撃】
「大人しく投降しなさい。でないとこいつ起こすわよ」
と言って【恐怖を与える】と、隙間女に自首を進めるわ。


テラ・ウィンディア
怪盗と名探偵の対決
之はまさに総天然色の王道劇画だな!

金庫を狙う集団だと…これはおれの名推理が燃え盛るな!

あ、金庫の中に隠れるぞ
このおれのダイナマイトなボデエでは超狭いが耐えるぞ!(どや

金庫を開けられた瞬間登場と大いなる名推理シーンだ

そう…この犯行は極めて単純だった
あの怪盗のボデエでは狭い所を通るのは難しい
しかし…鍛え上げられた筋肉は伸縮が可能と聞く
そう…怪盗の子分集団である…鍛え上げた筋肉で狭い所もスイスイなお前達……即ち!
ピティの子分である怪人ファントムマッチョーズだな!

違う…?
黙れ
おれは何も間違っていない
おれが正しいのだ

それを今より証明する(どかすかべしべしべしむにむにむにっ!(超不条理




 大帝国銀行のあちこちで騒ぎが起こっている頃、最後の砦となる金庫前に隙間女がようやく辿り着きその隙間から金庫の中へと滑り込んでいく。
「くくっ、私達にかかれば金庫なんて何の役にもたたないわ♪」
 金庫の内側は真っ暗闇、手探りで電灯のスイッチを探しているその手が触れる生暖かい感触。
 これは何だろうと確かめている最中に急に照明が点灯し目にした物体とは……鉄仮面をつけたビキニパンツのムキムキマッチョのこかn(自主規制)。
「いやああああ!?」
「HAHAHAHA! 俺の『お宝』を狙うとはお目が高い!」
 金切り声を掻き消す野太いマッチョ声に一同に戦慄が走る。
「あー、もううっさい!」
 ガツンとムキムキマッチョこと怪盗ファントムマッチョの後頭部に銃床を叩きつけアラディア・スプリガン(正義の守護妖精・f18520)は怯える隙間女に顔を近づけた。
「大人しく投稿なさい、出ないとこいつ……起こすわよ?」
「ひぃぃぃぃっ」
 一人はその場で腰を抜かし首を縦に振りながら諦めたようだった、だがもう一人は扉を内側から開けようと逃げ出すのだが扉の前に現れた別の人影がそれを制し立ちはだかった。
「あははは、甘いぞ怪盗! この迷探偵ウィンディアが相手するぞ♪」
 ポーズをキメたテラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)がそのダイナマイトなボデエ(自称)の妖艶(自称)な色気(思い上がり)を振りまきながらビシッっと指差し通せんぼをする。
「そ、そんなこんな狭い金庫のどこに隠れて……」
(そこの隙間じゃないかなぁ……あの子も入りやすそうだし……)
 アラディアが一応口に出さずに心の中だけで探偵の体形について微妙なコメントを思い浮かべる。
 そうと知らない隙間女達でさえ気付いてしまった、隙間女ほどではないにしてもつるぺたーんなテラならば狭い隙間に潜り込み隠れ潜むことも不可能ではないと。
 そう言ってる傍から金庫の扉がゆっくりと開き始めテラがそれをバックに隙間女達を一瞥しなるほどとばかりに手を打つ。
 微妙な空気を名推理シーンに至るシリアスな間だと誤認しつつテラがパチンと指を鳴らし注目を始めその口を開いたその内容とは。
「そう……この犯行は極めて単純だった」
(まぁ……隙間から入ってきただけでしょうしね)
「あの(へっぽこ)怪盗のボデエでは狭い所を通るのは難しい」
(目の前の隙間女達もけっこうボンキュボーンじゃない?)
 テラが迷推理を語るごとにアラディアが心の中でツッコミを入れ続けるがそれはそれ話を進めよう。
「しかーし! 鍛えられた筋肉は伸縮が可能だと聞く、そう……怪盗の子分集団である鍛えられた筋肉で狭い所もスイスイなお前……怪盗ピティの子分である怪盗ファントムマッチョーズだな!」
 金庫内に沈黙が訪れた。
 隙間女達はポカーンとムキムキマッチョの変態じゃなかったヴィランのゴングへと視線を送る。
 だがどう聞いてもテラは彼女らのことをそう呼んでいる。
「い、一緒にしないで!?」
「あははははははは♪」
 ツッコミを入れる隙間女に床に転がり腹を抱えるアラディア、その様々な反応に迷探偵テラの顔がみるみる赤く染まっていき湯気まで吹き出て大爆発。
「ち……違う? だ……黙れー! おれはなにも間違ってない! おれが正しいのだー!」
「どう考えても違っ……いたいいたいいたーい」
 怒りの幼女パンチを一同は浴びせられきゃきゃいと騒いでいると気がついたのかムクリと立ち上がる巨漢。
 本物のムキムキマッチョの怪盗ファントムマッチョ(ゴング)が唸り声をあげながら全員に筋肉抱擁をしようというのだから現場は大混乱。

 こうして金庫内でのドタバタは全員逮捕(隙間女+ヴィランのゴング)という形で終わりを迎えたようだ。
「これにて一件落着かしら?」
「いやー、まだ本命の怪盗来てないだろ?」
 アラディアとテラは護送されていく隙間女達を見送りつつ、未だに遅刻して現れない怪盗ピティの出番を今か今かと待ち続けるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ニコリネ・ユーリカ
WIZ
泥棒は他にも居た……うん、もう一人増えても良さげねぇ
怪盗ニコリネも銀行に潜入して、こっそり敵をやっつけましょう

【Santuario Segreto】で姿を消して堂々と動き回るわ
事前に施設内の地図を入手して地形を把握したり、警備員の配置を確めて、彼等に被害が及ばないようにしよっと(情報収集)

敵に触れて隙間空間に吸い込まれたら大変!
移動は素早く、でも攻撃は慎重に死角に回ってから一体ずつ着実に
シャッター棒で首根っこ捕まえたり、足を引っ掛けたり、相手の体勢を崩した後でバチーンと殴り倒しちゃう(怪力、力溜め、二回攻撃)
どぉりゃー!

んンッ、今日は何だか怪傑っぽい
マネギちゃん、撮っておいてね!(撮影)




 金庫内でも悲鳴が轟いていた中、外に残っていた隙間女達にはさらなる刺客が潜んでいるとは誰も思いつかなかっただろう。

 予告状を出した怪盗が大遅刻中だというのに大帝国銀行内を暴れまわる怪盗が何人もいると現場は大混乱。
 それもそのはず猟兵自ら怪盗として暗躍しているなど誰に予想が出来ようか?
(泥棒は一人とは限らない♪ うん、一人ぐらい増えても問題ない♪)
 何だかとても楽し気に微笑むニコリネ・ユーリカ(花売り娘・f02123)はちょっぴり動きやすい服装へと身を包み人知れず銀行へと侵入していたのだ。
 事前に手に入れた図面や人員配置などは頭に入っている、迷惑をかけないように行動すればおっけーというわけだ。
 しかも『Santuario Segreto』の力で透明になりながらとくれば気付ける者などそうそういないはずなのだ。
 カメラを持ってついてきているウィングキャット型ドローンのマネギちゃんも先ほどからシャッターチャンスを見逃さないよう気合満点。
 すでに不意を打ち不用心に姿を見えた隙間女達を何人か気絶させた後とあって何枚かかっこいい写真は撮れているようで現像がとても楽しみだったりする。
(隙間女の出現ポイントにシャボン玉が出来るよう仕掛けてくれてるおかげで狙いやすいわ♪)
 新たなに出現したシャボン玉に攻撃を仕掛けた所で感触に違和感を感じた瞬間、ぐるりと周りの景色が変化しニコリネは見知らぬ場所へと着地する。
「さすがにホイホイ引っかかってくれないね」
「そう何回も同じ手でやられる我らと思わない事ね!」
 どうやらここは隙間空間、一人を囮にし別の隙間女がこの空間へと引っ張り込んだというところだろう。
 見えにくいが周りにも何人かいる気配を感じニコリネは横へと走り始める。
 死角を取るように回り込みつつ愛用のシャッター棒を先読みで伸ばせば先端の引っかかりでまずは一人の足を引っかけバランスを崩した所に強烈な平手打ちが小気味いい音を響かせまるでコマのように回転しながら一人が床へと崩れ落ちた
「ふふっ、怪盗相手にその程度じゃかっこつかないよ?」
「なっなにをー!」
 軽い挑発に乗り動きが単調になってしまった隙間女の首根っこにシャッター棒を引っかけそのままの勢いで別の者へと投げつけ叩きつける。
「怪傑♪」
キメるごとにポーズとカメラ目線を忘れない今日はまさに絶好調。
 マネギちゃんがすかさず撮影してくれるので明日のゴシップ誌の1面はいただいたかもしれない。
「さ~、君でラストっと!」
 コソコソ隠れていた一人にチョップを決めた瞬間、周囲の景色がもとに戻りどうやら銀行へと戻ってこれたようだ。
「怪傑したら華麗にさらないといけないかしら?」
 ちょっと首を傾げた後、目の前で山積みにされ気絶している隙間女達の上に一枚のカードを残しニコリネはその場から溶けるように消え去るのだった。

 駆け付けた警備員が隙間女達の上に置かれたカードを手に取ると、口紅で書かれた可愛い文字でメッセージが目に入る。
《親愛なる大帝国銀行の皆様 便乗犯のコソ泥達、確かにお届けにあがりました。  怪盗ニコリネ》

 こうして謎の怪盗が立ち去った頃、ようやくパタパタと迫りくる影が銀行に大遅刻で到着するのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『劇場型犯罪者』

POW   :    夜闇に包む(ダアクナイト・クレイドル)
【翻したマントの内側】が命中した対象に対し、高威力高命中の【強固なワイヤーロープでの束縛】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    絢爛分身(アメイジング・イリュウジョン)
【レベル×5体の、自身と同じ姿の偽物】の霊を召喚する。これは【マントの中に隠された閃光弾】や【電流を流す非殺傷の光線銃】で攻撃する能力を持つ。
WIZ   :    劇場型犯罪(シアトリカル・クライム)
【人々の注目を集めるド派手な大犯罪】を披露した指定の全対象に【大犯罪の引き立て役になりたいと言う】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。

イラスト:すねいる

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠鏡繰・くるるです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「あはははは♪ 闇に紛れる黒い影♪ 可憐に登場かいとぉっ……て、きゃああ」
 大帝国銀行の大時計がもうすぐ9時になろうかという頃、1階ホールの天井にかかっているシャンデリアに颯爽と着地……に失敗して床に落ちた。
 シルクハットとマントに身を包み、可憐にポーズをキメれたはずの怪盗ピティ……。
 こりずに今度は階段を昇りなおしてからもう一度セリフを言い直す。
「闇に紛れる黒い影……かれんにとうじょう……怪盗ピテントゥ・インコン ただいま惨状……うぅ」
 呆れる目線が痛かったのか後半あきらかに声が小さい上に棒読みになっている。
 20時に参上すると書いておきながら大遅刻して今頃現れたのもあってちょっと居心地が悪いんだろうなというのは容易に想像がついた。

「そしてわたくしが可憐なる怪盗ヴァイオレットですわ♪」
 居心地悪そうなピティの横にお揃いに近い服装の少女が可憐にポーズをキメる。
(お嬢様~朝から晩まで退屈だったからって家出した上にこれはやっぱりまずいですよぅ)
(うるさいわね、ちゃんと合わせないとバレちゃうでしょうが!)
 ヒソヒソと二人が何かを言い合っているが大半の者が何だか察した顔で呆然と成り行きを見ている。
 どう見ても怪盗の服装をしているうちの一人は誘拐されたはずの綾小路スミレ嬢のようなのだ。
  
そこへ警備員達と共に駆けつけた銀行の頭取、綾小路子爵が号泣しながら怪盗達へと悲しみに震えた声で叫んだ。
「くうっ、卑劣な怪盗め! 我が娘を誘拐したあげく今度は二人組で来るだと……絶対に許さぁぁぁん!」
 何で気付いてないのこの人。

「きっ……金庫室まで行くのを止められるかなっ……ごっ、ごきげんよう!」
 怪盗ピティがヴァイオレットの手を引き廊下を駆けていく、こうして大帝国銀行内を縦横無尽に駆け巡る大捕物が始まりを告げるのだった。

 怪盗らしく変装して誰かになりすましたりなど油断はならないがきっとどこかにボロを出しているはず。
 どんなトリックで金庫へ近づこうとするのかそれを見破るれるのは猟兵達の知恵と運だけに違いない……はず……たぶん。
長坂・由有子
まあ、そうなるわな。
とことん締まらん状況だが、しっかりお役目果たしましょうかね。

二人一組だし、ピティがあれだし、どうにかなる気もするが油断せずに行きましょう。

変装、隠身、どうやってくるかわからんけど、ささいな違和感にも注意を払っておかんといかんな。
相手のボロに期待せず、手練れがいるものとして、しっかりと備える。
影の追跡者の召喚で、追跡させる事で、相手の手の内を知る一助にしたい。

確保は他の猟兵に任せて、そのための追い込みに専念。

攻撃はこちらからはしかけず、迎撃のみ。

あじゃこじゃ起こした騒動の責任、しっかりその身でとってもらいましょうかね。




 派手な登場をした怪盗2人の登場に銀行内は大騒ぎ。
 隙間女達をようやく捕まえ騒動が収まりかけた所への登場とあってグダグダなどというものではない。
 というか予告の時間に大遅刻してる時点でどうかと思うのはまあ……大目に見るとしよう。
(まあ……そうなるわな)
 長坂・由有子(願身不復生王家・f17688)は溜息交じりにこの状況がもうどうしようもない空気の中で解決しないといけないのだと覚悟を決めていた。
 ただまあ追いかけるにしても二人組のうえにそのうち一人は素人なのだから油断さえしなければ問題ない気がしないでもない。
 変身、隠身何がくるのかわからないが……。
「って、こらそこのこんな時間に掃除係がいるのおかしいと思わないの?」
「くっ、ばれてしまいました!」
 変装を脱ぎ捨て逃げ始める怪盗二人……これはもしかするととても面倒くさい事になるかもしれない。
「行って!」
 影の追跡者が逃げる怪盗を追いかけ廊下の角を向こうへ消えたのだがそこで二人をあっさりと見失ってしまった。
(怪盗ピティはともかくもう一人は素人のお嬢様のはず……いったいどんな手を……)
 由有子は追跡者をさらに別の通路へ派遣し自分もその通路へと赴きどこに消えたかを探してみる。
 反応が消えた辺り……そこにあるのは壁の隙間から膨らむ複数のシャボン玉。
 そこに手を触れてみると指先がどこかへと消えたように見えなくなる。
「なるほど……まだ残っている隙間空間を出入りしてあちこち移動しているのね」
 これならば素人と連れていても神出鬼没というわけだ。
 とはいえ出口は複数はないはず、追い詰めていけばいつかは捕まえることができる。
(あちこちで起こした騒動の責任、しっかりその身でとってもらいますからね)
 そう決意を固めると由有子はその空間へとダイブするのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アイ・リスパー
「ふっふっふ、やはり怪盗ピティには黒幕がいましたね!
その名は怪盗ヴァイオレット!
私の名推理に狂いはありませんでした!」(ドヤ顔だがノーパンなことを忘れてる

一体何者か分かりませんが、怪盗ヴァイオレットを捕まえてその正体を暴いてみせましょう!

ここは私も【電脳の天使】で変身。
怪盗と電脳魔法少女探偵との一騎打ちと行きましょう!

着ている服がデジタル化して裸になったかと思うと
魔法少女服が装着されます。
その間の時間はわずか10秒!

……って、ちょっと長くないですかっ!?

変身して決めポーズを取ったところにワイヤーロープが飛んできて
大ホールの中空に縛り上げられて……
スカートの中が丸見えにされるのでした。(ノーパン




 大帝国銀行に現れた二人の怪盗、その名乗りを見聞きしたアイ・リスパー(電脳の天使・f07909)はドヤ顔でビシっと指を突き立てた。
「ふっふっふ、やはり怪盗ピティには黒幕がいましたね! その名は怪盗ヴァイオレット! 私の名推理に狂いはありませんでした!」
 かっこつけてるが斜め後ろから見ると短いスカートの裾からお尻が丸見えになっているのは秘密にしてあげよう、アイは今ノーパンのままなのだ。
 何というかもう斜め後ろの床に警備員が何人か床ギリギリに寝そべり必死にお尻を眺めているのは画面外にしておかないと話も進みそうにない。
 アイはそんな雑事に注意は払っていない、今はただ目の前の怪盗達を見て己の推理『黒幕がいた』ということが実証(自称)されて有頂天になっている真っ最中。
 何者かはわからないが怪盗ヴァイオレットを捕まえそしてその正体を暴く、超高速電脳の計算ではすでに輝かしい未来が見えているに違いない。
(ここは私も電脳の天使になって一騎打ちというのが燃えるシチュエーションですね!)
 そうと決まれば行動は早いに限る、警備員達の目の前でアイはポーズを取り変身を開始した。

 着ている服がデジタル化し裸になったかと思うと魔法少女服が次々とパーツごとに現れ装着するまでなんと『10秒』……ん?
「……って、ちょっと長くないですかー!?」
「うおおおおおお!!」
 もちろん全裸のアイの変身は警備員一同にじっくりとばっちり見られ彼らの今夜のおかずはマジカル☆アイに決定したことだろう。

「ええと……攻撃していいんですよね?」
 怪盗ピティがおそるおそる投げたワイヤーロープが変身してポーズを決めたばかりのマジカル☆アイの足首に巻き付くとそのまま逆さ吊りに持ち上げられてしまったのだ。
「い、いやあ!?」
「「アイさん、今助けます!」」
 逆さ吊りにされめくれたスカートから股間が丸見えになったところに助けるという名目で近づいてくる警備員達、鼻息も届くような距離でアイの乙女の部分は彼らの目にじっくりと焼き付けられていく。
「ちょ、ちょっと怪盗ピティ! ひどいですよ……これはあれですねそこのヴァイオレットの指図ですね!?」
 手で否定する怪盗達を尻目にマジカル☆アイは結局一時間近く警備員達の目を潤わせ恥辱の涙を流す羽目になってしまうのだった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

アリシア・マクリントック
今更ですが……索敵や捜し物に向いた能力は持ち合わせていないんですよね。考えてみればマリアに頼ってばかりですね。
一番向いているのはティターニアアーマーのセンサー類ですが、建物内ではあの巨体は立ち上がることも出来ませんし……それで探す、というのは無理ですね。
ここは頭で勝負です。これまでの傾向から物語のような演出を好むはず。つまり……
私の読みは正面から堂々と来る、です!トリッキーな手段を囮に正面が本命か、あるいは正面は囮か。
どちらにせよ必ずここに姿を表す、と見ました!

そちらが怪盗としての姿を見せたのなら私もヒーローとしての姿を見せるべきですね。……変身!
そしてかっこよく必殺技でフィニッシュです!




 大帝国銀行内で捜索や調査を行おうとしアリシア・マクリントック(旅するお嬢様・f01607)はちょっとした現実の壁に阻まれどうするべきか悩んでいた。
(今更ですが……そんな能力は持ち合わせてないんですよね)
 そう
普段からその方面は愛犬マリアに頼り切りだということだ。
とはいえあるにはあるのだが少しばかり問題があり……自らの装備の一つ、ティターニアアーマーの事を思い出すがこれはあまりにも巨体で室内で使うにはちょっとばかり不釣り合いだった。
せっかくセンサー類が充実しているというのにと思いつつ諦めて頭を使うことにしたのはそれから数分後のこと。
(考えましょう……あの怪盗がやりそうな行動パターンを予測するのです)
怪盗ピティはへっぽこということもあるが物語のような演出を好むはず……つまりはアリシアの読みでは“正面から堂々とくる”というのが本命ではないかと思う。
 トリッキーな手段はおそらく囮、正面にいればきっとおもう一度現れるに違いないと予測し一番正面でやってくるのを待つことにしたのだ。

別の窓や通路に出たという声がして警備員達が右往左往し始め、正面付近に人が少なくなるがそれでもアリシアはマリアと共にそこに来ると信じ待ち受けていた。
「やー、やっぱりバレちゃいましたか~」
「だから言ったでしょバレバレですって」
 怪盗ピティとヴァイオレットが正面にポーズをキメながら何やらひそひそ話している。
「ふふ♪ そちらが怪盗らしく登場するのならこちらもヒーローらいくいきましょう」
 みるみるうちにスカディーアーマーに身を包みアリシアはまさにヒーローに名に恥じない剣士へと変身を遂げていた。
「むむ、負けてられません! 怪盗ピティ、ここに参上です!」
 窓をバックにポーズをきめてマントをなびかせるピティ、そこへ剣を構えたアリシアが跳躍し突き出した剣先から集約された光線が放たれた。
「セイバーホールド……フィニーッシュ!!」
 閃光ののように振り抜いた一閃、ピティが吹き飛ばされガラスを割りながら表へと投げ出されていく。
 ワイヤーロープで勢いを削がれたとはいえ今のはかなりの痛手になったのではなかろうか。
 マリアがそれを追い窓の外へ飛び出していきすぐに轟く大きな悲鳴。
「痛い痛いいたーい、お尻噛まないでくださーーーーーい」
 マリアに噛みつかれ正面玄関前で逃げ回る怪盗の情けない姿にアリシアは窓際で大きなため息をつきそうになってしまう。
(技が決まった所まではかっこよかったんですけどね……)

成功 🔵​🔵​🔴​

四王天・燦
21時は隙間女と情事中。
「騒がしい…ちょっと見てくる。続きはアタシの部屋でやろーぜ♪」
服を着て隙間から出る

本職盗賊らしく身のこなしから怪盗を看破。
「相方の忍び足が付け焼刃だぜ?」と揺さ振る

戦闘はフォックスファイア乱れ撃ち。
意図的にカメラに誤射し腹を割った対話がしたい

「愛しているだろ?」
ピティがオブリビオンであることが問題。
訪れる破滅を考えさせる

「とりあえず想い出作りに金庫破ろっか♪」
堅実な盗賊なので劇場型に心は震えないが二人の為、UCに操られた風に振舞うぜ

金庫破り後に警報は鳴らす。
立場があるし

(占いの子宝の件は出鱈目じゃねーんだよな)
転生するなら誰の腹から産まれるのやら

真面目だが始終卑猥な匂い




 予告状の時間からすでに1時間がたち現在時刻は21:00ぐらいになっていた。
 隙間空間で情事に勤しんでいた四王天・燦(月夜の翼・f04448)は外が何やら騒がしくなってきたようで気になって仕方がないようだ。
「騒がしい…ちょっと見てくる。続きはアタシの部屋でやろーぜ♪」
 そう言いながら横になっている隙間女と共に服を着こむとひょっこりと銀行内の廊下へと出ていくことにする。
 どうやら怪盗ピティが現れているようで通りかかった警備員に軽く説明を受けると何処に紛れているかわからない相手を探そうと観察をすることにしたのだが……。
(ん、今の歩き方は……)
 廊下の向こう側を歩いて行った警備員に違和感を覚え燦は足早に近づいていき呼び止めようと肩に手を伸ばした。
「ちょっと待って、君達……怪盗だろ?」
 それを聞き自然な動作で振り返る警備員、だがそんな演技に騙される事なくニヤニヤと笑いかけるとどうやら違和感を感じ少し距離をとったようだ。
「相方の忍び足が付け焼刃だぜ?」
「それはどーもーです」
 警備員の衣装を脱ぎ捨てるとそこにいるのは怪盗ピティとヴァイオレットの二人。そんな二人相手に不意を突くように狐火を撃ちこんでいく。
 それらは怪盗達に命中することなく周囲の空間に潜んでいたドローンなどのカメラに命中し、この廊下はいま監視網からは切り離された隔離空間となる。
 そう……この二人とは少し正面から話してみたいと思っていたところだったのだ。
「なあ、あんた……そいつの事愛してるんだろ?」
 怪盗ヴァイオレット(どう考えても綾小路スミレ嬢)に真面目な顔で尋ねてみるのだがその答えは意外なもので、
「この子ったら……一人でまともに何も出来ないから今回ぐらい手伝いをね?」
 やれやれという様子だがそれでも普通よりも好意が無ければ手伝いなどしないはず……そんな成りでもオブリビオン、いずれ訪れる破滅のことを思えば今だけはどうにかしてやりたい。
「とりあえず、思いで作りに金庫破り手伝ってやろう♪」
 操られたフリをして騒ぎを起こしてやると提案すると二人は礼を言いその場を立ち去って行った。
 二人はこれから劇場型の派手な登場の準備があるはずでその間に少しばかり悪さをするか……と影で待っていた隙間女を手招きすると燦は、怪盗達よりも素早く飛び出していき警備員の無力化に励んでいく。

成功 🔵​🔵​🔴​

テラ・ウィンディア
あの怪盗道間違えそうだからちゃんと金庫への道標作って設置しておこう

決戦はやはり金庫の前だろうからな

そして華麗な名推理シーンだ!

よく来たな怪盗ぴてぃ!
謎は全て溶けたぞ!

あの予告状には宝と書かれていた
では宝とは何か!
たかが宝石とかそういうしょうもないものではあるまい!この世に二つとないお宝だ!
そう!…この金庫の奥に仕舞われた
綾小路子爵の奥方への恋文詩集!(!?
更に!娘のスミレが自ら手掛けた秘蔵のぽえむ!(ぇえええ

どれも凄く格好いいし面白いから盗みたくなるのも解るぞ!(そして音読する鬼畜探偵

そう、既に宝は金庫ではなくおれの手元だ
奪いたくばかかってこい!
ってなんで
ヴァイなんとかが襲ってくるんだー!?




 大帝国銀行の廊下にいくつもの矢印に導かれ怪盗達は大金庫の前へと辿りつく。
 それはどうせ迷うだろうからとわざわざテラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)が設置しておいた物なのだがこの怪盗どうやらそんな事にも気付かなかったといううっかりぶり。
「よく来たな怪盗ぴてぃ! 謎は全て解けたぞ!」
「えっ? なっ謎?」
 金庫前に陣取りビシっと指をさすテラが人の話も聞かずに推理を披露し始めた。
 あいかわらず人の話は聞いていないのであるが……。
「あの予告状には宝と書かれていた……では宝とは何か!」
「えっ……保管されている宝せ」
「たかが宝石とかそういうしょうもないものではなるまい!」
「……えっ、あっ……はっ、はい……宝石違いますヨ」
 ピティが今宝石と口にしかけたのは気にしてはいけない。
 テラの期待に満ちた目を否定するにはちょっぴり根性が足りなかったりする。
「そう! この金庫の奥に仕舞われているのは……」
 テラの迷推理はさらに畳みかけるようにあれな方向へと話を進めていく。
「綾小路子爵の奥方への恋文詩集!」
「えっ、そんなものが!?」
 驚くピティの横で怪盗ヴァイオレットが首を振り無い無いとツッコミいれてるが誰もそれに気付いてくれない。
「更に……娘のスミレが自ら手掛けた秘蔵のぽえむが!」
「そ……そんなものないわー!」
 怪盗ヴァイオレットのツッコミパンチの前にテラの身体は宙を舞いそして手にしていた何枚もの詩文が書かれた紙が辺りにまき散らされた。
(奪いたくば掛かってこいという前に何でヴァイなんとかが襲ってくるんだー!?)
 そう思いながらテラの意識は涙目でそれらを慌てて回収している怪盗ヴァイオレットを見ながら途切れたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アラディア・スプリガン
どう見てもヴァイオレットの方は令嬢の様だけど…先ずはあの二人を仲間割れさせる事にするわ。

いつの間にか怪盗ファントムマッチョ(ヴィランのゴング)がピティの手下と思われてるようだから、それを利用するわ。
隙を見てゴングに綾小路子爵を人質に取ってもらい、
「ボス(ピティの事)、手はずどうりに子爵を確保したぜ」
「令嬢誘拐も銀行襲撃も全部囮。ボスの本当の狙いは、子爵の命だったんだよ!」
…と、衝撃の真実(嘘)を明かし、スミレ嬢とピティを仲違いさせるわ。

さて、もう用済みね…
精霊銃で【誘導弾】を撃ち、ゴングの脳天に直撃させ【気絶攻撃】して、子爵を助け出す【演技】をするわ
鉄仮面付けてるから死にはしないわよ。多分。




(どう見てもヴァイオレットの正体は令嬢のようだけれど……)
アラディア・スプリガン(正義の守護妖精・f18520)は誰もが気付きつつツッコミいれずにいないであげた事柄に思い切り突っ込んでいく方針で決意を固めた。
ちょうどいいことに怪盗ファントムマッチョがピティの手下と思われているのを利用しそれを利用する計画、そう……悪事を働いても今なら気付かれにくいのだ。

「こらっ貴様ら何をするかー!」
 頭取である綾小路子爵がムキムキマッチョな大男に抱え上げられ金庫前に現れた怪盗二人の前に現れる。
「ボス、手はず通りに子爵は確保したぜ!」
「えっ、あなた誰ですかっ!?」
「こらっピティ! あなた何卑怯な事をしているの! もっと大胆に華麗にやるって話だったわよね!」
 ファントムマッチョに急にボス呼ばわりされて混乱するピティに横にいたヴァイオレットが詰め寄り仲違いを始めるここまではアラディアの計算通り。
 何というか一方的にピティがヴァイオレットこと綾小路スミレに折檻されているがこれこそ狙っていた通りの結果というものだ。
「ふははは、ボスこいつどうする? 身代金でもとっちまおうぜ?」
 調子に乗っているファントムマッチョことゴングの頭に背後から精霊銃の銃口が向けられ……いきなり撃ち抜かれた。
(ふー、もうこいつは用済みね)
 内心そう思いつつ子爵を助け出すアラディア、助け出された子爵の手を引きその場から脱出をはかる。
 まあ……金庫前でピティとヴァイオレットは喧嘩の真っ最中なので余裕で逃げれるのだがそれはそれとして。
 ピクピクと痙攣しているゴングを横目で見ながらアラディアは鉄仮面付けてるから死なないわよ……たぶんなどと思っているに違いない。
 撃ったの後頭部からだった気がするけど……いいんだろうか……。

「このっ恥知らず、お父様を人質になんて許せない!」
「お、お嬢様ぁ……そんな事しませんってば、ひぇぇ信じてくださぁぁい」
 怪盗同士の喧嘩はまだ続いていないようだ!
 尊い犠牲の元に成功した作戦にアラディアはウソ泣きをしつつその場から消え去るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニコリネ・ユーリカ
WIZ
あらあら可愛い怪盗さんが二人
堂々口上を披露するあたり、特にお嬢様は派手に動きたそうねぇ

よぅし貴女達のド派手な大犯罪を引き立てちゃう!
大サービスで【Incantevole Gerbera】の花嵐を背負わせてあげる
四色ボールペンを杖に変えて、花属性の全力魔法を高速詠唱
花舞う風にマントを翻して立つ、うん、格好佳いじゃない
二人をおだててポーズを取らせ、行動を阻害しちゃいましょ
マネギちゃん、二人の勇姿を撮ってあげて
そろそろ彼女達……おねむの時間だから

二人とも眠ってくれたら、お嬢様は保護して子爵を安心させてあげたい
怪盗さんはお縄になって貰いましょ
撮った写真は「怪盗破れたり」の証拠として頂戴しまーす!




 大金庫前に現れちょっとした策謀で喧嘩中の怪盗二人。
 喧嘩中というか一方的にヴァイオレットにピティがぺちぺちと叩かれてるだけなのだがそれはおいておき。
(あらあら可愛い怪盗さん二人で楽しそうねぇ、ちょっと派手に動きたそうなのバレバレね♪)
 ニコリネ・ユーリカ(花売り娘・f02123)はそんな二人を大金庫前で待ち受けながらも他とはちょっと違う方向で攻めることにしたのだ。
「ふふ、花屋のとっておき見せてあげるから二人ともポーズ、ポーズ♪」
 ニコリネの持つ武器が次々とガーベラの花弁へと変化していき怪盗二人の背後に大きな花嵐が現れた。
「えっ、あっ……お嬢様、ここでキメないとダメですよぅ~」
「むむ、本当ね……ええとコホン」
 ニコリネの用意してくれた花嵐を背にポーズをキメ直す怪盗二人。
「あーははははは、大帝国銀行の諸君! 闇に紛れて現れる怪盗ピティと!」
「盗んだ物を元に戻しに怪盗ヴァイオレットここに参上よ♪」
 舞い散る花びら、あまりに可憐な二人の姿をマネギちゃんがその雄姿を写真へと収めていく。
「えっ、お宝返しちゃうんですか?」
「当たり前でしょペティ、あれうちの銀行の物なんだから?」
 正体バレバレですよヴァイオレットさーん。
 そんな二人をほのぼのと見ていたニコリネが懐から懐中時計を取り出し時刻を確認すると二人のほうへとにっこり微笑む。
「マネギちゃんもっと撮っておいてあげてね……そろそろ彼女達、おねむの時間だから♡」
 そう口にした直後目の前のガーベラの花嵐の前でドサドサと崩れ落ちる音が二つ。
 折り重なるように怪盗二人が倒れすっかり熟睡してしまっていた、ニコリネの『Incantevole Gerbera』により甘美な夢床へと誘われあっという間に二人は御用。

 好奇心でピティと同行していた綾小路スミレ嬢も無事に頭取の綾小路子爵の元へと帰されしばらくは宿題を出されてうんうん唸る事になるだろう。
 そして肝心の怪盗ピティのほうはというと……。
「ひぇぇん、ロープ外してくださあい」
「ダーメ♪」
 縛り上げられたピティのおでこを指でツンツンつついた後ニコリネが怪盗の首にかけてあげたのは一枚の看板。

《怪盗破れたり》
 そしてパシャリと写真を撮りにっこりと微笑む。
「明日の朝刊一面はこれでいただきかも♪」
「くっ、くやし~~~~っ」
 こうして連行されていく怪盗ピティ。
 これにて今回の大帝国銀行を舞台にしたドタバタは一応の解決を見たのである。
 それを見送り終えるとニコリネは証拠写真がどんな風に写っているのか楽しみに帰路へとつくのだった。 

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年11月03日


挿絵イラスト