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巨大鉄人の進撃を阻止せよ!

#サクラミラージュ

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#サクラミラージュ


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●焔と鋼の災厄
 ――世界が、燃えている。
 そう錯覚する程の光景だった。
 世界の中心たる帝都からは幾らか離れた地域、工業の発展に邁進する研究都市は今まさに跡形もなく燃え尽きようとしていた。
 都市のシンボルであった時計塔も、国内最大級の研究施設の一つも、数多の叡智を収めた図書館も最早瓦礫の山と成り果て……他に動く物無き火の海に、悲鳴にも似た男の哄笑が響いている。
「ククク……ハーッハッハッハァ! これぞ究極の力、無敵にして不滅たる最強の鉄人!! もはや影朧も、不死たる帝すらも恐るに足りぬ……! そうだ、コイツさえ居ればいい……未熟な學徒兵も役に立たぬユーベルコヲド使いも要らぬ……ッ!」
 大城郭にも匹敵しようかという巨躯を誇る鋼鉄の巨人が瓦礫の山を踏み潰す。
 嗤う男はその肩に立っていた。
 高笑いと呼ぶには、しかしその声にはどこか悔悟にも似た響きがあった。視界を闇に閉ざされた者が光を求めて喚くような必死さがあった。
 立ち上る黒煙を吸い、身体をくの字に曲げて咳き込み、罅割れた眼鏡の奥の瞳にギラついた炎を宿して東の空を睨む。
「ゲホッ、ゴホッ……ぐ、ぅ……! 行くぞ鉄人……正しき世界の守護者となる者よ……! この世界を……あるべき、姿に……!」

●大鉄人の脅威
「よく集まってくれたね。今回の予知はサクラミラージュ、帝都から少し離れた西の工業都市に居る技術者の話だ」
 グリモアベースの一室、招集に応じた猟兵たちを前に常通りの調子で地図を広げたのはカタリナ・エスペランサ(閃風の舞手(ナフティ・フェザー)・f21100)。
「今回のミッションを簡単に説明するなら、現地の人が匿ってる影朧を退治する……って事でいい……の、かな?」
 例によって単刀直入に本題を切り出したカタリナだが、珍しく歯切れの悪い様子になって首を傾げる。彼女が言葉を付け加えたところによると、それは今回相手にする影朧および戦場となる都市の特異性が大きく関係しているとの事だった。
「えーと……まず一つ目は影朧だね。他のケースじゃこんな事はそうそう無いと思うんだけど、これが単純にやたら大きい」
 サイズはおよそ20m程度。潜伏時は小型化しているが、戦闘に際して巨大化する鋼の巨人が今回の標的なのだとカタリナは語る。
 それは今も匿っている技術者によって改良されており、放置していれば最終的には現在の3倍近い体躯を持つようになるとの事だ。
「加えてもう一つ。今は打ち捨てられている都市のシンボル、ボロボロの時計塔なんだけど……これが元は都市を防衛する25m級のウォーマシンだったらしい。しかも件の影朧の強化にはこの時計塔のパーツを盗み出して流用してるみたいだね」
 つまり時計塔を張っていれば影朧を匿っている技術者の尻尾を掴める可能性がある。
 また、もし時計塔を都市の守護神として修復できれば鉄人との最終決戦で味方してもらえるだろうとカタリナは告げる。
「もう現地の人たちに話は通してるから、頼めば協力を得るのは難しくないだろうね。時計塔がウォーマシンだって話については流石に半信半疑みたいだけど」
 最後の決戦にしても現地の人については學徒兵たちが避難を担ってくれるから心配は要らないよ、と締め括り。
 無事の帰還を祈っているよ、と微笑むカタリナに見送られ、猟兵たちはサクラミラージュの工業都市へと転移していくのだった。


ふーみー
 当シナリオをご覧くださりありがとうございます、ふーみーです。
 第一章:時計塔(ロボ)の修復。好きな機能を搭載して君だけの最強ロボを作ろう!
 素材を盗みに来ている技術者との交流も可能ですが、この時点では捕縛不可能です。
 第二章:逃走する技術者を追跡、または彼が匿っている影朧を直接捜索します。
 第三章:技術者が匿っていた巨大影朧とのボス戦。
 時計塔ロボに指示を出して戦闘のサポートをさせる事が可能。機能はプレイングの指定を元に適宜生えてきます。
 また、第二章で技術者の説得に成功していれば彼からの情報提供という形で任意の弱点を影朧に付与する事が出来ます。
 特にこれらの協力無しで普段通り正面から戦う場合でも判定にペナルティ等はありません。
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第1章 日常 『風化した時計塔』

POW   :    腐食してしまった部品をとにかく取り替える。

SPD   :    錆ついた箇所を磨いて元通りにする。

WIZ   :    欠けてしまった部品がないかを特定する。

👑11
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

クネウス・ウィギンシティ
アドリブ&絡み歓迎
「技術者の出番ですか、承知」

【SPD】

●改造
「CODE:HEPHAISTOS。準備なら既に出来ています。ただ直すだけでは終わりませんよ」
錆び付いたパーツを新品に入れ替えて古いパーツは磨いて集めます(後述)。
『電脳ゴーグル』で部品のサイズを測定し、UCで部材準備、後はフォースセイバーで切削し加工し全盛期と同じパーツを準備しましょう。
機能は3分間だけ巨大化する機能搭載を目指します。

●素材を盗みに来た技術者へ
「最低限必要そうなパーツはそこに置いて置きました、お互い切磋琢磨しましょう」
憐みでも同情でもなく、技術という同じ土俵で戦うため駆動系などのパーツはまとめて置いておきます。



●守護者の心臓に灯火を ~クネウス・ウィギンシティの場合~

「技術者の出番ですか」
 ――承知、と。
 まさしく二つ返事で求めに応じた者こそ猟兵クネウス・ウィギンシティ(鋼鉄のエンジニア・f02209)であった。
 溢れる知性を象徴するかのような縁なし眼鏡が光を反射して眩い輝きを放つ。
「CODE:HEPHAISTOS。準備なら既に出来ています。ただ直すだけでは終わりませんよ」
 発動したユーベルコードはヘパイトス――鍛冶神の名を冠した異能。彼の有する作業用の機材が60近く複製され、自ら意思を持つように動き出す。
 そも、クネウス自身が高いメカニック技能を持つ非凡なエンジニアである。
 そのクネウスの作業効率がこのユーベルコードで以て飛躍的に向上するのだ。
 これまでも大抵の問題はそれだけで解決してきたし……今回もまた、同じく解決できるという手応えがクネウスにはあった。

 順調に作業は進んでいく。
 一騎当千と呼ぶにふさわしい鬼神の如き働きを見せながらもクネウスの働きは堅実かつ着実だった。
 錆び付いたパーツを新品に入れ替え、古いパーツも丁寧に磨いて一か所に集める行程の繰り返し。電脳ゴーグルの分析は朽ちた部品本来の規格を正確に算出し、ユーベルコードの提供する潤沢な資材とフォースセイバーの精密な加工が全盛期のそれと寸分違わぬ部品を提供する。
「機能は……3分間だけ巨大化する機能搭載を目指します」
 彼は侵略宇宙人や怪獣との戦いでも視野に入れているのだろうか。
 とはいえ敵が巨体を武器とする事が分かっている以上、それを上回る事は単純かつ多大なアドバンテージを生む。
 何より幾多の世界で戦ってきたクネウスの技術力、そして時計塔の持っていた拡張性がその改装を可能にした。

 ――巨大化プログラム・取得完了――


「……さて」
 一通りの機能を組み込んだクネウスは気分転換の散歩のような足取りで時計塔の裏へと回る。“D6ID”の名を持つ自動哨戒型飛行ドローンが捉えた通り、そこには瞳をギラつかせた白衣の男の姿があった。
 身構える男を前にクネウスは戦闘態勢を取るでもなく、予め少し離れた位置に置いておいた箱……纏められたパーツの入ったものを示す。
「最低限必要そうなパーツはそこに置いておきました、お互い切磋琢磨しましょう」
「貴様……何のつもりだ……!」
「技術という同じ土俵で戦うためです」
 憐憫でも無く、同情でも無く。追い詰められた獣のような視線にも、返す言葉は静謐に凪いでいる。
「……フン、ならば精々その骨董品を磨くがいい。旧き紛い物の守護者、最初に乗り越える障害としては上出来だ」
 懐に突っ込んだ手を固く握り、時計塔に向けた視線には宿るのは憎悪の炎。
 クネウスの用意した箱を注意深く持ち上げると、男は熊か何かから離れる時のように警戒を解かないままジリジリとその場から去っていく。
 機械化されたクネウスの眼は男が握り込んだ物――“戸川三郎”と幼い筆跡で書かれた名札を捉えていた。
 それを見て何を思ったか、陽光を反射して眼鏡を光らせるクネウスの表情から悟る事は困難で。
「決戦までに為すべき事は山のようにあります。私もベストを尽くすとしましょう」
 そう呟くと、鋼鉄のエンジニアもまた時計塔の修復・改装結果を精査する為に身を翻すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エドゥアルト・ルーデル
それはいついかなる時においても最強を求めて進み続けた
名は







…満足した!早速制作に取り掛かりますぞ!
とりあえず全身に装甲を足して鎧にするか!厚い装甲は正義でござるよ
ロマン枠にドリルか巨砲か…ここは巨砲でござるね!肩に二門載せちゃう!
長距離砲はいいとして近接防御火器も欲しいですぞ…!火力が出るやつで…腕を丸々グレネードランチャーに替えちゃうか…!
うーん重量が嵩んで足回りが不安…よしいっそ二脚をやめてキャタピラにしよう!これで安定感は抜群でござるね

できた!
なんということでしょうあのボロっちかった時計塔が…
なんてこった鎧の鉄人を作ろうと思ったら途中からタンクもどきが混じってこれは…ガチタン…



●守護者の心臓に灯火を ~エドゥアルト・ルーデルの場合~

 それはいついかなる時においても最強を求めて進み続けた
 名は――

 進
 撃
 の
 鉄
 人

 熱い風が吹き、旗が翻る。
 雲が晴れ差し込んだ日差しが漢のシルエットを浮かび上がらせた。

「……満足した!早速制作に取り掛かりますぞ!」
 誰にともなく良い笑顔を向けたのはエドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)。
 歴戦の――と言っても何故か過去の記録が存在しないのだが――戦場傭兵は意気揚々と時計塔の修復に取り掛かる。

「とりあえず全身に装甲を足して鎧にするか!厚い装甲は正義でござるよ!ロマン枠にドリルか巨砲か…ここは巨砲でござるね!肩に二門載せちゃう!長距離砲はいいとして近接防御火器も欲しいですぞ…!火力が出るやつで…腕を丸々グレネードランチャーに替えちゃうか…!うーん重量が嵩んで足回りが不安…よしいっそ二脚をやめてキャタピラにしよう!これで安定感は抜群でござるね!!」

 早口で溢れ出す浪漫に時計塔は見事応えた。それはもう完璧に応えてしまった。
 ユーベルコードでもあるスリ技術の応用がパーツ換装に意外と役立ったり、電脳魔術師としてのノウハウが装備運用プログラムの構築にフル活用されたりしたというのもある。
 その影には戦闘力を持たない俺とやらの協力もあったとか無かったとか。
 エドゥアルトのユーベルコードで召喚されている筈だが彼らが何者なのかはエドゥアルト自身も知らない。ノンロジカル。
 それはさておき、作業は大きなアクシデントも無く進行し……。

「できた! なんということでしょうあのボロっちかった時計塔が…」
 作業が一通り済むと、エドゥアルトは生まれ変わった時計塔の姿をまじまじと眺める。
「なんてこった鎧の鉄人を作ろうと思ったら途中からタンクもどきが混じってこれは…ガチタン…」
「“ガチタン・モーーードッ!!”の音声コマンド入力で変形するように設定しました。平時のワタシは何の変哲もない時計塔デス」
「あ、喋れたんでござるな時計塔殿」
「修復に感謝しますイェーガー。決戦までには現代風の名前なども欲しいところデスね」

 ――ガチタン・モード・取得完了――

大成功 🔵​🔵​🔵​

霧ヶ峰・星嵐
いいですね! 巨大ウォーマシン! 浪漫に溢れています!
それに……私たちの到着が遅れた時もこのウォーマシンがいればこの町を守ってくれます。えぇ、ぜひやりましょう!

桜幻朧・七変化! 今日の私は普通の学生です!
【桜幻朧・七変化】で初期技能:コミュ力の和服に早着替えします。例の技術者と会うのに帝都桜學府の制服はちょっと警戒されそうですしね
機会があれば怪しまれない程度に技術的なことなどお話をしましょう

さて、巨大なウォーマシンにはやっぱり巨大な武器ですよね!
時計塔ロボ用が装備する巨大な刀を拵えます
後々を考えると自律行動機能も必要ですね。
時計塔ロボに私の知る帝都桜學府で学んだ剣術(戦闘知識)を教え込みます



●守護者の心臓に灯火を ~霧ヶ峰・星嵐の場合~

「いいですね! 巨大ウォーマシン! 浪漫に溢れています!」
 赤茶色の瞳を熱意に煌めかせながら現れたのは帝都桜學府に所属する學徒兵、霧ヶ峰・星嵐(桜幻朧・七変化・f22593)である。
「それに……私たちの到着が遅れた時もこのウォーマシンがいればこの町を守ってくれます。えぇ、ぜひやりましょう!」
 今や一人前の猟兵と呼べるだけの経験を重ねてきた星嵐は、超弩級戦力たる猟兵であっても全ての悲劇を未然に防げる訳ではないという現実を知っている。
 仮に猟兵の到着が事件発生から遅れた時でも時計塔が皆を守ってくれるのなら、その修復に最善を尽くさぬ道理など無かった。

「――桜幻朧・七変化! 今日の私は普通の学生です!」
 ユーベルコードと共に幻朧桜の花弁が舞い、星嵐の姿が和服に身を包んだ淑やかな少女のものへ早変わりする。件の技術者と接触する際、帝都桜學府の制服では警戒される可能性に備えてのものだったが……。
 よし、と自分の早着替えを確認して一つ頷いた直後、付近を通りすがった白衣の男と目が合った。
「……の、覗きですか」
「違う」
 何らかの技術で存在感を極端に抑えていた白衣の男に気付けたのは、或いは星嵐の野生の勘が働いた為であったか。気まずさにも似た空気を破り、男がぶっきらぼうに口を開く。
「……學徒兵か」
「霧ヶ峰星嵐です」
 名乗り返す事も無くフンと鼻を鳴らし、男は一方的に言葉を重ねる。
「お前のような子供が戦場に立つなど……くだらん、何が學徒兵だ。千差万別の影朧どもを駆逐するのに一々身命など賭すようでは話にならん。それが有象無象の為に死ぬ覚悟を示したところで何が誇りだ、何が大義だ、何が名誉だ!」
「………………」
 男の叫びは、代々帝都の平和を守ってきた一族の系譜に連なるという誇りを持つ星嵐にとっては侮辱にも等しい。それでも彼女が即座に言い返す事をしなかったのは、男の声に籠っていた身を裂くような悲痛さ故か。
 少し咳き込み、呼吸を整え、男は濃い隈の出来た目で星嵐を射貫くように見つめる。
「……直に正しい世が訪れる。學徒兵もユーベルコヲド使いも必要無い、真の泰平が築かれる。お前も學徒ならば大人しく勉学に励み親に孝行でもしていろ」
「待ってください」
 言うだけ言って立ち去ろうとした男を呼び止めると、彼は億劫そうに足を止める。
「私は名乗りましたよ。貴方も名前くらい聞かせてくれてもいいのでは?」
「……戸川三郎。だが、どうせなら新たな世を導く鉄人の名をこそ刻む事だな」
 星嵐を振りむく事もなく言い捨て、今度こそ技術者……三郎は姿を消したのだった。

「さて、巨大なウォーマシンにはやっぱり巨大な武器ですよね!」
 三郎の事も気掛かりではあるが、本題を疎かにもできない。星嵐はだいぶ復元されてきた時計塔に向き合って気合いを入れ直す。
 時計塔ロボに装備させるための巨大な刀は學徒兵としての伝手を頼れば案外迅速に調達する事が出来た。
「後々を考えると自律行動機能も必要ですね」
「あ、その機能は実装済みデス」
「喋った!?」
 厳密には故障していた機能を他の猟兵たちが復元させた後である、というのが正しいか。
「と、ともあれそれなら話は早いです。次の段階に進みましょう!」
「現代の戦闘理論、洗練された剣術……興味深いデス」
 斯くして星嵐の指導を通じ、帝都桜學府の剣術は時計塔ロボに無事伝授されたのだった。

 ――帝都桜學府流剣術・取得完了――

大成功 🔵​🔵​🔵​

エメラ・アーヴェスピア
サクラミラージュの技術、興味があるわね
こういう仕事ならまさに私の出番、頑張らせてもらうわ
時間のようね、それじゃあ猟兵の仕事を始めましょう

まずはこのウォーマシンの修理ね
…サクラミラージュ製なのか、他の世界製なのかは気になる所だけど…やりましょうか
『我が工房に帳は落ちず』
【情報収集】で壊れている所や壊れ方を探り、私や工兵達の【メカニック】で直すわよ
あ、私達は本体の修理を優先、改造は同僚さん達に任せるわね
どんな改造をしても基礎の部分が駄目ならば意味がないわ、こちらは専門家の私に任せてちょうだい
さて、一体どんな技術が使われているのかしら?私の兵器に転用できる物があれば良いのだけど

※アドリブ・絡み歓迎



●守護者の心臓に灯火を ~エメラ・アーヴェスピアの場合~

「――時間のようね、それじゃあ猟兵の仕事を始めましょう」
 凛とした佇まいで時計塔の前に姿を現したのは号砲ロリ……もとい合法ロリなサイボーグ、エメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)。
 今回のミッションはまさに優れたガジェッティアにして電脳魔術師、並外れたメカニック技能を持つエメラの出番と言って過言では無かった。

「興味深いわね。サクラミラージュ製なのか、他の世界製なのかは気になる所だけど……やりましょうか。“各員、速やかに作業を開始なさい”」
 号令と共に発動するのはユーベルコード【我が工房に帳は落ちず(コンバットエンジニア)】、召喚されるは57体もの魔導蒸気兵。工兵としての役割に特化した彼らは主の命令に従い迅速に行動を開始する。
 どんな改造を施そうと基礎部分が駄目ならば意味がないというのがエメラの持論。
 そしてその基礎の修繕も専門家である自分には十全に担えるという自負が彼女にはあった。
 数多く存在する猟兵たちの中でもトップクラスの情報収集能力は時計塔の故障部分や他の猟兵に改装された要素をつまびらかに暴き、それぞれが互いに噛み合うようプログラムを調整していく。

 ――規格名”Talos”、スペースシップワールドに於いては銀河帝国の全盛期に製造されたウォーマシンの一つ。
 既に何名かの猟兵が各々の技術で以て手を加えている為、数多の異世界のテクノロジーが搭載されているが……どうやらそれだけではない。
 この時計塔がウォーマシンとして稼働していた頃に何度か施された改修の痕跡の中には、現在確認されている11の異世界のどれにも該当しない特徴の技術体系を見出す事が出来た。
 果たしてそれが何者かのユーベルコードに由来するものなのか、それとも未知の世界の存在がこのサクラミラージュを訪れていた事の証拠であるかは定かでないが……新たな文明との邂逅は魔導蒸気機械技術者としてのエメラにもインスピレーションを与える機会になったかもしれない。

 ――未知の異界技術・取得完了―― (※エメラが)

大成功 🔵​🔵​🔵​

フクス・クルーガー
【SPD】 絡め・アドリブ大歓迎

なるほど……改造とは物凄く、興味深いです……

と言うことでUCでアタシの器物であるトラックの部品をドンドン複製していくよ!大型のトラック四十個分もあれば足りるかな?

大型を走らせるための大馬力なエンジンに動きの反動を受け止めるサスペンションに沢山の電気を貯めておけるバッテリー。鋼鉄と同じ性質なのに強度が段違いの超硬金属……アタシの専用だったかは関係ないね! 基礎こそ正義!
後、銃を中心とした武装とかも追加しておいて。最後に変形機構組み込めるかな?巨大ロボはロマンだよね?

【メカニック】でどんどん組み替えてくよ。いっその事、全面改修だ。もはや別物レベルで新造だよ!



●守護者の心臓に灯火を ~フクス・クルーガーの場合~

「なるほど……改造とは物凄く、興味深いです……」
 修復から改装まで他の猟兵たちが八面六臂の働きを見せる様に思わず真顔になっていたのはフクス・クルーガー(何処でもお届け! 安心のクルーガー運送!・f22299)。
 とはいえ彼女も既に他の猟兵たちに負けず劣らずの大概な……もとい、獅子奮迅の働きを見せていた。

 フクスは大型トラックを本体とするヤドリガミである。そしてこの種族に特有のユーベルコード【錬成ヤドリガミ】は本体を使い手の力量に応じた数だけ複製する。
 生み出された40もの複製トラックはそれ自体が時計塔を改装する為の良質な素材となるだけでなく、改装に必要な他の資材を調達するのにも大きな助けとなっていた。
 そもそもフクスは幾多の場数を踏んできた練達の猟兵であり、その本体の複製たる素材も世界の理を半ば以上超越した謎素材と化しつつある。
 極大出力のエンジンにバッテリー、かつては人造伐竜神の剛撃にすら耐えてみせた防御力を生むサスペンションに超硬金属。基礎の形を崩さないままに部品を組み替え、別物と言えるレベルにまで発展させていく。

「あと、銃を中心とした武装とかも追加しておいて……最後に変形機構組み込めるかな?巨大ロボはロマンだよね?」
 時計塔に装備させる武装を調達しながらプランを立てていくフクスの呟きに、無数の機材を乱舞させながら通りすがったゴーグルの猟兵が親指を立てて行ったりして――それは一種のブラックボックス、フクスが戦闘形態へと変身するユーベルコードを取得した際に搭載されていた謎の機構。
 それが果たしてフクス専用であったかは定かではないが、少なくとも時計塔にも搭載する事には成功した。なんとなく実戦でも問題なく使えそうな気もする。
 或いはこの場に駆け付けた他の猟兵たち、世界を股に掛けて最先端を切り拓くような技術者であればブラックボックスの真実に迫れた可能性もあるが……それが実現したかどうかはまた別の話。

 ――射撃武装および巨大化プログラム(第二段階)・取得完了――

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイ・リスパー
「ロボ!!!
ロボと聞いては行かないわけにはいきませんね!」

べ、別にロボットマニアなわけではないですよ?
ちょっと機械とかメカとかコンピューターとかが大好きなだけですからねっ!

「というわけで、現地の皆さん!
ぜひこのロボットを修復しましょうそうしましょう!」

【チューリングの神託機械】で電脳空間の万能コンピュータにログイン。
情報処理能力を向上させ、時計塔の解析を実行します。

「わー、これ、SSWでもレアなモデルのウォーマシンじゃないですかー!
こんなレア物をいじれる日が来るなんて!
さあ、早くこっちの部品とこっちの部品を新品に交換してください!」

私はウォーマシンの制御プログラムにバグがないか直しますね!



●守護者の心臓に灯火を ~アイ・リスパーの場合~

「ロボ!!! ロボと聞いては行かないわけにはいきませんね!」
 全盛期とは色々な意味で見違えるように数多の機能を搭載する事となったウォーマシン。仮初の姿である時計塔としても随分立派に輝きを取り戻したそれを前に、負けじと目を輝かせる少女はアイ・リスパー(電脳の天使・f07909)だった。
「べ、別にロボットマニアなわけではないですよ? ちょっと機械とかメカとかコンピューターとかが大好きなだけですからねっ!」
 人、それをマニアと呼ぶ。
 誰にともなく向けた早口な言い訳はさておき、アイもまた手際よく魔改造に取り掛かる。
「――電脳空間への接続を確認。万能コンピューターへログイン。オペレーション開始します」
 発動するユーベルコードは【チューリングの神託機械(チューリング・オラクル・マシン)】。負荷で身動きの取れなくなる呪縛ばかりか、酷い時には代償として吐血まで伴う超強化を躊躇いなく実行する辺りに本気度合が窺える。

「というわけで、現地の皆さん! ぜひこのロボットを修復しましょうそうしましょう!」
 アイが呼びかけると、ちっぱい最高でござる! などと宣っていたロジカルな猟兵を筆頭に集まっていた現地の人々が快哉を上げる。
 もし元がただの時計塔だったとしても最終決戦兵器に仕立て上げんばかりの猟兵たちの改造を前に、サクラミラージュ有数の工業都市に生きる技術者たちもまた沸き立つものを感じていたらしい。
 お祭り騒ぎさながらの賑やかさと共にアイたちの本格的な作業は始まるのだった。

「わー、これ、SSWでもレアなモデルのウォーマシンじゃないですかー! こんなレア物をいじれる日が来るなんて!」
 神託とさえ名に冠する万能コンピュータによる解析は時計塔の出自すら暴き出し、お伽噺にも等しい希少なそれに直接触れられる機会にアイのボルテージは際限なく高まっていく。
 さあ、早くこっちの部品とこっちの部品を新品に交換してください! と呼びかければ、万能コンピュータ接続の代償に身動きの取れないアイの親衛隊と化した一人が即座に指示に従う。
 苦手な肉体労働は他人に任せ、アイがアクセスするのは時計塔の制御プログラム。
 既に調整を加えていた他の猟兵たちのそれと競い合うように、アイもまた自分に改善できる箇所を見つけてはアルゴリズムをより洗練されたものへと磨き上げていく。
 ――そして。
「ふー……ひとまずこれで完成、でしょうか……」
 野太い歓声が空気を震わせる中、くたくたになりながら万能コンピュータとの接続を閉じるアイ。

 ここに時計塔の守護神は蘇った。
 数多の技術者の技術と浪漫の結晶として。

 ――アイ・リスパーファンクラブ@サクラミラージュ支部・結成――

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『帝都で暮らす人々』

POW   :    体力と時間のある限りに走り回り大勢の人々の声を聞く

SPD   :    特定の人々にだけ範囲を絞り込んで聞き込むをする

WIZ   :    人々の話だけでなく建物や本などの情報も集める

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●いざ決戦へ
 時計塔ロボの修復・改装も一段落。
 であれば次は決戦、目下の脅威を取り除く段である。
 既に街では少しずつ現地の學徒兵たちの主導で住民の避難準備も始まっているが……。
 彼らと共に住民の避難を手伝うか、影朧を匿っている技術者こと戸川三郎を捜索するか、匿われている影朧を直接探すか。如何な行動が最善となるかは猟兵によっても異なってくるだろう。
 或いはこの任務に於いて最後になるであろう準備の機会。
 どう活かすかは猟兵次第だ。
才堂・紅葉
・SPD指定アドリブ連携歓迎

「技術チームも時計塔の修復を終えたようだし、私も気合入れますか」
掌に拳を当てて気合を入れ。
「すいません、協力をお願いしてもよろしいでしょうか?」
可憐な令嬢風に協力を依頼する。

まず地図を広げ、留学先の帝都桜學府の情報担当と意見交換し、逃亡先の地域を絞り込む。
後は【野生の勘】で担当区域を決め、蒸気自転車で現着し、現地の人々に聞き込んでの【情報収集】だ。
一般の方なら【コミュ力】で情けに訴えかけ、裏街道な人なら【礼儀作法
】で仁義を通し小金を握らせよう。
もし首尾よく補足したら、得意のジュージュツで無傷で確保したい。
尋問も出来ないことはないが、説得の上手い猟兵がいたら任せたい。


霧ヶ峰・星嵐
本来であれば、帝都桜學府の一員として帝都の人達の避難を優先するべきなのでしょうが……いえ、今は自分の勘を信じます!

方針:戸川三郎の捜索
野生の勘を頼りに街を歩き捜索

見つけたら……こちらから踏み込まない限り話してくれそうにはありませんし、踏み込みましょう。
最初は私たち學徒兵が間に合わず影朧により大切な人を亡くされたのかと思っていましたが、私を見る彼からは憤りではなく子供を心配しているような様子が見えましたし、事情を聞いてみなければ、ですね。

いずれにせよ彼は私たちの強さを信じられない様子、
私たち學徒の、猟兵の強さ、証明してみせます。
と告げて鉄人との戦闘に備えに行きましょう

影朧弱点判明の場合詳細お任せ


エメラ・アーヴェスピア
無事に修理は完了ね
何か面白い物も見つけられたけどそれは依頼の後でゆっくりと、ね
それじゃあ次の手よ

避難か探索か…軽くだけど両方やってしまいましょうか
『ここに始まるは我が戦場』
空から【情報収集】で地図を作り、熱源探知をメインとして機械的、魔導的な探知で逃げ遅れている人や不審人物が居ないかを探る
見つけたら近くにいる同僚さん達や學徒兵さん達にドローンで連絡、確認してもらう、と
まぁ、私の良くやる手なのだけどその分効果は保証済みよ
…さすがに匿っている技術者だったら學徒兵さんには逃げてもらうけれど
それと作った地図は同僚さんにも共有よ…これもいつもの事だったりするわ
さぁ、手早く行きましょう

※アドリブ・絡み歓迎



●捜索前線と明かされる過去

「技術チームも時計塔の修復を終えたようだし、私も気合入れますか」
 よし、と掌に拳を当てて気合を入れたのは才堂・紅葉(お嬢・f08859)。
 彼女が最初にコンタクトを取ったのは留学している帝都桜學府の情報担当だった。紅葉の読み通り桜學府側でも集めていた情報を元に件の技術者――三郎が潜伏している地域にアタリを付けて他の猟兵たちとも共有。
「こればっかりは本当に便利よね。コード解放!!」
 紅葉自身はユーベルコード【アルダワ符術:機構召喚符(ガジェットカード)】で召喚した自前の蒸気自転車を駆り、居住区の一つ……行方をくらます前の三郎が暮らしていた区画での情報収集に取り掛かる。
「――すいません、協力をお願いしてもよろしいでしょうか?」
 実は高貴な血筋に連なる紅葉の礼儀作法は堂に入ったもので、可憐な令嬢風に協力を依頼する彼女に嫌な顔をする者は居なかった。

 そうして紅葉が集めた情報によれば、三郎は元々街でも有数の名士の家で世話になっていた書生だったのだという。
 若くも優秀な技士見習いだった三郎は下宿先の娘である三菱星奈という少女を妹のように可愛がっていたが……學徒兵であった星奈は逢魔が辻化した疑いがある区画の調査任務で影朧の強襲を受けた仲間を逃がすため殿を務め、自らは帰らぬ人となった。
 元々気難しい傾向のあった三郎はその日から人が変わったようになり、手段を選ばず怪しげな研究に打ち込むようになり。やがて下宿先からも姿を消した以後の彼の行方を知る者は居なかったそうだ。

「事情は見えてきたけど、それで予知に引っかかったような事件を起こすようなら本末転倒じゃない」
 得られた情報を纏めて仲間に連絡を取りながら、紅葉は影朧も三郎も止めてみせると改めて気合を入れるのだった。


「戦いは始まる前から…とはよく言ったものね。さぁ、手早く行きましょう」
 一方その頃、時計塔の修理を無事に完了させたエメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)は既に次の手を打っていた。
 彼女が発動したユーベルコードは名を【ここに始まるは我が戦場(リコネサンスドローン)】。300に迫ろうかという数の偵察用魔導蒸気ドローンが街の空に放たれ、避難と捜索を同時に支援していたのだ。
「三桁数の処理はさすがに全力がいるから疲れるわ……」
 ふぅ、と溜息を吐きながらもエメラのドローンの動きには一つの停滞も無い。
 逃げ遅れていた病人や怪しげな動きをしていた火事場泥棒の所在を現地の學徒兵に伝達しながら現状をリアルタイムで反映する地図を作り、仲間にそのデータを提供する。
 盤上を支配するかの如き情報戦略こそエメラの元々の本職。一種机上の空論めいた桁違いの処理能力で運用される正攻法は今回も確実に成果を上げ……そして。
「――ビンゴ。捉えたわ」
 ドローンの一台が発見したのは本命の一つ、影朧を匿う技術者こと三郎の姿。
 エメラはすぐさま現場付近に居た猟兵へと連絡を取る。
「霧ヶ峰さん。そのドローンの指示する方向に進んで貰えるかしら?」


「――了解です。お任せください!」
 エメラからの連絡に溌剌と応じたのは霧ヶ峰・星嵐(桜幻朧・七変化・f22593)。
 桜學府から超弩級戦力の一人として事件解決に当たるよう通達を受けた彼女は己の勘に従って三郎を探索した結果、このとき彼の居場所に他の誰よりも近づいていた。

「見つけましたよ、戸川三郎」
「……お前か。ふん、随分と鼻が利くらしい」
 正面から姿を見せた星嵐を前に、以前より少しやつれた様子の三郎は相変わらずの無愛想な調子で鼻を鳴らす。
(こちらから踏み込まない限り話してくれそうにはありませんし、踏み込みましょう)
 調査を進めていた他の猟兵から伝達されてきた情報を反芻しながら、隈の濃くなった三郎の目を真っ直ぐ見据えて星嵐は口を開く。
「三菱さんの事は伺いました。……私たちの強さを、信じられませんか」
「ッ――当たり前だ!」
 反応は劇的だった。生気の失せていた瞳に炎のような激情が燃え、三郎は血を吐くように言葉を連ねる。
「學徒兵がもっと強ければ!! 猟兵――超弩級戦力などと持て囃されるユーベルコヲド使いとやらがもっと使い物になれば!! お前が……星奈が死ぬ事など無かったッ!!」
(……面影を重ねているのでしょうか)
 それは星嵐もまた學徒兵であるが故か、それとも影朧の影響に晒され続けた三郎が正常な判断を出来なくなっている事の現れか。
「お前が帰ってこなかった時、親父殿が、奥方が、どれだけ悲嘆に暮れたかお前は知らないだろう! お前は……學徒兵は……ッ! 戦場になど、出るべきでは! 出させるべきでは、なかった!!」
 それが真相。
 學徒兵の死を嘆き、死なせるに至った全てを恨み、取り返しの効かぬ過去を取り戻そうとするように身命を削り。
 果てにその執念と結びついたのが影朧であり、世界を滅びに導かんとする災厄の因子であったというだけの話。
「……私は、三菱星奈ではありません」
 静かに切り出した星嵐の否定に、三郎は冷水を浴びせられたように息を詰まらせる。
「私は霧ヶ峰星嵐。帝都桜學府所属の學徒兵であり、超弩級戦力に数えられる猟兵であり――この帝都の平和を守る者です」
 凛と告げる言葉には胸に秘めた矜持、代々受け継がれてきた帝都の守護者たる誇りを込めて。
「……戦うつもりか。俺の鉄人と」
「私たち學徒の、猟兵の強さ、証明してみせます」
 聞くべきを聞き、告げるべきを告げた。最後までその声にも瞳にも揺らぎは無く、星嵐は鉄人との決戦に備えるため身を翻す。
「…………鉄人は、守護者だ。その行動は攻撃より防御を優先し、攻撃行動を行う者こそ撃滅対象として最優先する。お前が猟兵どもと共に鉄人に手向かうならば……その結果命を落とすくらいなら。尻尾を巻いて逃げてしまえ。誇りも仲間も、全てを捨てて」
「……情報提供に感謝を」
 背に掛けられる陰気な声に振り向く事は無いまま。律儀に礼の言葉だけを返し、星嵐はその場を後にした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クネウス・ウィギンシティ
アドリブ&絡み歓迎
「巨大影朧とやらを見物しに行きますか」

【POW】

●戸川三郎の捜索
「捜索というよりは追跡ですね」
先程(第1章)で渡した部品の“箱”に発信器を仕込んでいるのでそれを追跡します【メカニック&追跡】
『自動哨戒型飛行ドローン』のカメラに顔パターン登録済み、見つけやすいかと。

● 戸川三郎の説得
「中々の物ですね」
「しかし、惜しいものです。この“鉄人”も影朧……量産化は難しく、安定した鉄の守護者足りえない」

「もし、何らかの後悔や悔恨故にコレを使うつもりならそれはきっと技術者としては間違っています」
「量産化も可能、誰をも守れる可能性のある時計塔ロボに賭けるという手はありませんかね」


エドゥアルト・ルーデル
時計塔周辺で張ってれば技術屋が来るんでしたな
来たら勿論話しかけますぞ

そこの技術屋ァ!この時計塔を見てくれ、こいつをどう思う?
ああ…一見只の時計塔だが…これが!真の姿だ!
(突如現れる知らない人)
(近づいて来る知らない人)
…誰だ貴様は!あっちへ行け!

ふう…びっくりした…
改めて行くぞ!ガチタン・モーーードッ!!
美しい…ガチタン神の魂が形になったようだ…
やはり変形って男の子でござるね
拙者も長くは居られないからな!代わりにこいつの世話をしてやって欲しい

ん?鉄人の弱点?こいつに比べて装甲と火力がない?だろうね!

そういえば名前が欲しいとか言ってたな…
現代風…総監督マシーン…ダメ?じゃあ雷電でどうでござるか?



●エンジニアの野望 ~ガチタン量産計画~

「……さて」
 他の猟兵たちが各々情報収集や捜索活動に当たる間、學徒兵の求めに応じ避難活動を手伝っていたゴーグル着用の猟兵が居た。
 彼はクネウス・ウィギンシティ(鋼鉄のエンジニア・f02209)。三郎と一度接触した際、敵に塩を送るかのような行動と同時に発信機も持たせる事に成功していた強かな男である。
 ちなみに自動哨戒型飛行ドローンのカメラに三郎の顔パターンも登録済み。三郎の側も白衣に仕込んだジャマーで対策を施してはいたが……。
「――CODE:SCIENTISM。その不明を文明の火で照らす」
 先刻から掛けっぱなしの電脳ゴーグルが鈍く輝けば鎧袖一触。この攻防の軍配はクネウスに上がったようだった。
「では巨大影朧とやらを見物しに行きますか」
 猟兵と接触した後の三郎が拠点へ戻るのをドローンで確認、追跡。ちょうど拠点で落ち合うような形でクネウスは三郎の元に辿り着いた。
「貴様は……!?」
「どうも、お邪魔しています」
 拠点防衛の為の武装が一斉にクネウスを照準するが、クネウス自身はここで戦う意思は無いと示すように軽く片手を上げて挨拶を返す。掛けっぱなしのゴーグルがきらりと光った。
「……何の用だ」
「中々の物ですね」
 三郎の言葉に直接の返事は返さず、クネウスは拠点の奥で休眠状態になっている影朧……鉄人にゴーグルを向ける。非戦闘時のそれは通常の影朧と変わりないサイズであるが、しかし彼のメカニックとしての鑑定眼はユーベルコードにより更に強化され、凡そのポテンシャルの推論を可能とした。
「しかし、惜しいものです。この“鉄人”も影朧……量産化は難しく、安定した鉄の守護者足りえない」
「量産、だと?」
「もし、何らかの後悔や悔恨故にコレを使うつもりならそれはきっと技術者としては間違っています」
 冷静な声はあくまで技術者として、そしてクネウス自身の信念に基づいて持論を述べる。
「量産化も可能、誰をも守れる可能性のある時計塔ロボに賭けるという手はありませんかね」
「…………量産、だと?」
 二度訊いた。
 そもそもベースが大昔に打ち捨てられていたよく分からないモノであり、更には数多の技術者が荒唐無稽の改造を施した超兵器である。本来なら複製はおろか整備さえ叶うかどうか怪しいものだ。
 それをこのクネウスは量産化も可能と言い切った。しかも実際出来てしまうのが猟兵であり、この鋼鉄のエンジニアである。
「あなたの鉄人を見せて頂いた返礼です。お見せしましょう、私たちの時計塔ロボも」


 そして場所は移り時計塔前。
 ここで張っていれば三郎が現れると踏んで待ち構えていたのはエドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)である。
「そこの技術屋ァ!この時計塔を見てくれ、こいつをどう思う?」
「……フン。それなりに見られる時計塔には修繕したようだな」
 平時のそれは何の変哲もない時計塔である。造形に一家言ある猟兵たちが拘った結果新たな観光スポットも務められそうな洒落たデザインを見て、三郎はそれがどうしたとばかりに鼻を鳴らす。
「ああ…一見只の時計塔だが…これが!真の姿だ!」

(‘ω’)ノ ← (突如現れる知らない人)

(´・ω・`)ノ ← (近づいて来る知らない人)

「…誰だ貴様は!あっちへ行け!」 ← (ユーベルコードで召喚した人)
 ちなみに時計塔改造の時に現れた俺とはまた別の知らない人だった。
「ふう…びっくりした…」
 気を取り直してtake2。エドゥアルトは胸を張り、よく通る声で高らかに唱える。
「改めて行くぞ!ガチタン・モーーードッ!!」

   カ ッ ! ! !

 眩い閃光が放たれ、溢れ出すオーラはその場に居合わせた者に駆け抜ける衝撃波を錯覚させる程。焼き付くような一瞬が過ぎ去れば、そこには漢の浪漫が佇んでいた。
「美しい…ガチタン神の魂が形になったようだ…やはり変形って男の子でござるね」
 腕で顔を庇うような格好で固まっている三郎へと、エドゥアルドは既にやり遂げたような満足感を漂わせながら声を掛ける。
「拙者も長くは居られないからな!代わりにこいつの世話をしてやって欲しい」
「……本気で言っているのか? 仮に、万が一俺の鉄人が被害を出す事も無く完膚なきまでにこのロボに撃破されたとしてだ。俺は既に街へ多大な混乱を齎した――何だ」
「何でござるか?」

(`・ω・´)ゞ ← (三郎の戦後処理を桜學府と交渉してきた知らない人)

 肩を叩かれ振り返った二人の前に居たのは……先程エドゥアルドに追いやられていた知らない人だった。
「でかしたでござるよ知らない人! ……いやほんと誰なの?」
 エドゥアルドに分からなければ他の誰に分かるというのだろう。ロジカル。
 それからも説得のような言い包めのようなエドゥアルドの弁舌の結果――無論、他にも要因はあったのだろうが――三郎は街の治安を脅かす影朧撃滅戦の協力者として猟兵に味方する事になった。

「ん?鉄人の弱点?」
「……この時計塔に比べれば装甲と火力が劣るのは間違いない。あくまで相対的にだが」
「だろうね!」


●おまけ
「そういえば名前が欲しいとか言ってたな…」
「言ってましたね……」
「現代風…総監督マシーン…」
 言い終えるより早く鳴ったアラート音が呟きかけたエドゥアルドを遮る。
「その名称はシステムに深刻な障害が発生する可能性が高いそうデス」
「ダメ?じゃあ雷電でどうでござるか?」
「名称設定を更新。以後、本機名を雷電と呼称します」

 ――時計塔ロボ改め雷電・名称決定――

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『火の車』

POW   :    燃え、漏れる吐息
【発火するほどの高温の排気】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    誇示すべき健脚
予め【攻撃対象の退路を断つように絶え間なく動く】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
WIZ   :    変ずる不朽の肉体
自身の身体部位ひとつを【人と機械の両方の特性を併せ持つ器官】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。

イラスト:雲間陽子

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ジズルズィーク・ジグルリズリィです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●切られた火蓋

「――雄々ォォォオオオオオオッ!!」
 休眠中の弱体化・無効化干渉を跳ね除け、20m級の戦闘態勢に変貌した鉄人が雄叫びを上げる。
 対する時計塔ロボこと雷電もまた街を守護するウォーマシンとしての新たな姿を開帳、これを迎え撃つ構えを取った。ちなみに戦闘開始時点では人によっては某機動戦士を連想するようなスタンダードな人型である。
 住民の避難は完了している。
後は彼の巨大鉄人“火の車”を骸の海に還し街に平穏を取り戻すだけだ。
 戦いの火蓋はここに切られた!


※この戦闘に於いては時計塔ロボこと雷電に指示を出し戦わせる事が出来ます。
 雷電の機能はプレイングの内容を参照します。
 また、三郎の助言という形でボスに任意の弱点を付与する事が出来ます。
 この内容もまたプレイングの内容を参照して決定します。
 なお、以上のボーナスを利用せず通常通りに戦闘を行う事も可能です。
 
エメラ・アーヴェスピア
さぁ、派手な戦いの始まりね
まさに技術力の戦い、どうなるかしら
…まぁ、私も見ているだけでは終わらせないのだけど

私自身は随時【メカニック】等で雷電の調整、修理を行うわ
…すごい動きをさせそうな同僚さんが多そうだから…

所で…巨大ロボ同士の戦いもいいけど、大型兵器に立ち向かう小型高速機と言うのも見たくはないかしら?
本命行くわよ、『我が元に響くは咆哮』!
速度を生かした一撃離脱を繰り返し、攻撃力重視の特製魔導蒸気製重火器を叩き込んでやりなさい!
攻撃を重視する事により狙いをこちらに向けさせ、雷電を動きやすくする狙いもあるわ
でも、隙を見せる様なら…さぁ『咆哮』、その力を存分に発揮しなさい!

※アドリブ・絡み歓迎


クネウス・ウィギンシティ
アドリブ&絡み歓迎
「火の“車”ですか、ならばこちらは“戦”の車を出すだけのこと」

【POW】

●時計塔ロボこと雷電
「ここまで手塩を掛けて整備した機体……いや、我が子よ。真の力を魅せる時ですよ」
雷電は『二つの巨大化機能』と『ガチタン・モード』、つまりは『大きい戦車』と機能があります。

敵の弱点は防御優先と雷電よりも装甲と火力に劣ること。
「戦車持ち故、扱いは心得ています」

UCを用いて主砲から荷電粒子砲で敵の排気口を狙います。
「CODE:GROUND ZERO。『骸の海』との接続を確認、その排気口を吹き飛ばさせて頂きます」

自前の『ホバー戦車』もあるので、そちらも遠隔操縦し十字砲火を行います。


才堂・紅葉
「さぁてと。仕上げの時間ね」
雷電の肩に乗って【気合】を入れる。
アルダワ仕込の蒸気工学知識の【メカニック】で、大雑把ながら四肢の操作を制御する。

機動力は相手のほうが上。こちらの退路を断つ動きは恐ろしく素早い。
故に【情報収集】で読み易い。
【グラップル】で粘り強く守勢に回り、【戦闘知識】でパターンを読み、【地形を利用】して跳躍からの着地を狙って組み付を狙う。

「気合よ雷電!」
迦楼羅焔を纏った【オーラ防御、火炎耐性】で排気に耐え、パワー優位を活かして持ち上げ、たっぷりの滞空時間で垂直落下式ブレンバスターを狙い、紋章の【封印を解く】重力加重も追加だ。

「雷電式火車脳天砕き・・・・・・とでも名付けましょうか」


火土金水・明
「火の車と聞くと、地獄にあって火が燃えているという車の方を思い浮かべてしまうのですが?。」
【WIZ】で攻撃です。
【先制攻撃】で【高速詠唱】した【属性攻撃】の【全力魔法】の【破魔】属性の【フレイムランス】で『火の車』を【フェイント】を掛けつつ【範囲攻撃】でどこに動いても狙えるようにして【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「それでは、最初の一撃を入れさせてもらいます。」「後は、真打の方にお任せします。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。


霧ヶ峰・星嵐
いきますよ、時計塔ロボ……いえ、雷電!

桜幻朧・七変化! 帝都の平和は、私たちが守ります!
桜學府制服から【桜幻朧・七変化】で初期技能:ダッシュのビキニアーマーに早着替え、速度と体格差による小回りを活かして敵を攪乱しつつ攻撃します

あちらは私がうごきまわるのを阻止するように動くようですが、それは決められた動き、どう動くか見切ることは可能なはずです。

敵の動きを見切ることが出来たら、それまで攻撃をおこなわず、必殺の一撃のために待機させていた雷電が攻撃するための隙を作るように誘導します
雷電の剣は私が教えましたからね! どういう風に敵を誘導すればやりやすいかもよく知っています!

これが、私たちと雷電の力です!


エドゥアルト・ルーデル
メインは任せて拙者は足止めと支援でござるね
【罠使い】的なサムシングで爆発物を大量に用意ですぞ
ああ…これが対戦車地雷でこいつが【超大型爆弾】ってやつだ
狙いは敵の脚部、ないし周辺の地形破壊でござるね
こんだけ火力があれば直接撃破できそうな気がするが細けぇことはいいんだよ!

雷電は早速ガチタンモードに移行、作戦は真っすぐ行ってぶっ飛ばす!
それしか能がない、が削り合いならそれで十分ですぞ
破壊された地形でもキャタピラであれば難なく走破し、そのタフな装甲は【相手の排気】から味方を守る盾に、そして自慢の搭載火器は全てを粉砕し問答無用で相手を黙らせる暴力…
やはり火力…!火力は全てを解決する…!



●開戦の号砲

「ああ…これが対戦車地雷でこいつが【超大型爆弾】ってやつだ」
「?」
 何か話していた猟兵と技術者の頭上を飛び越え、金色の翼を羽ばたかせたのは火土金水・明(人間のウィザード・f01561)。
「それでは、最初の一撃を入れさせてもらいます――“我、炎により敵を焼き尽くす。『フレイムランス』”!」
 無数に展開された明の残像が同時に七色の杖を構え、非凡な詠唱速度で以て完成させたのは250を超える炎槍の弾幕。
「解析シークエンス20%、迎撃優先。武装デバイス【流星の如き鉄拳】起動」
 明の速度に先手を取られたものの、鉄人は機械音声と共にその身から柱のような巨腕を生やし……肘に当たる部分が爆裂。いわゆるロケットパンチが弾幕ごと明を撃ち抜かんと放たれるが――しかし。
「――今一度。“我、炎により敵を焼き尽くす”っ!」
 重ねて放たれる渾身の詠唱と共に現れるは更なる255の炎槍。鉄拳を押し返した灼熱はそのままに鉄人を飲み込み、砦の如き巨体を僅かに押し返す。
「後は、真打の方にお任せします」
 先鋒を果たした明は幾らかの余力を残したまま、想定外に備えて一度身を翻し後退。消耗した魔力の回復に努める。
「しかし火の車と聞くと、地獄にあって火が燃えているという車の方を思い浮かべてしまうのですが?」
「それもアーキタイプの一つとして機能を組み込んではいる」
 地上である猟兵の罠設置を手伝っていた三郎の耳聡い解説は果たして明に届いたのだろうか……。


●剣と拳と鋼の相克

「さぁてと。仕上げの時間ね」
「いきますよ、時計塔ロボ……いえ、雷電! 桜幻朧・七変化!」
「「「――帝都の平和は、私たちが守ります!」」」
 才堂・紅葉(お嬢・f08859)と霧ヶ峰・星嵐(桜幻朧・七変化・f22593)、そして二人を両肩に乗せた雷電の声が重なる。
 幻朧桜の花弁が舞い、風に翻った星嵐の桜學府制服は一瞬にして速度に特化したビキニアーマーへと様変わりした。
 勢いのままに飛び出した星嵐は爆炎から態勢を立て直した鉄人へと一瞬で肉薄し、愛用する月ノ輪で以て二度、三度と連続して斬りつける。
「敵性存在の増加を確認。解析および迎撃、同時実行」
「くっ……!」
 只人とは一線を画す星嵐の怪力を以てしても鋼の巨体への痛打には至らず、そのスケールとは裏腹に軽快なステップを踏む鉄人の脚部からは無数の絡繰が飛び出して星嵐へと襲い掛かる。更には流れるように距離を詰め、鉄人の攻勢は雷電にも数多の兵装による乱撃を叩きつけていた。
 ――だが。
「これくらい、どうって事ないのよ……!」
 鉄球が放たれれば正面から受け止め、大剣が振るわれれば剣腹を蹴りつけて軌道を逸らし、獅子奮迅の如き立ち回りで鉄人の猛攻を捌いていたのは紅葉。
(機動力は相手の方が上。おまけに確実に最善の攻め手で押し込んでくる)
 スケール違いの攻撃とぶつかり合う度にミシリと身体が軋む。足元で戦う星嵐の身にも少しずつ傷が増えていく。
 一見して追い込まれながら、しかし戦況はその実二人の意図した通りに推移していた。
 そう、鉄人は紅葉や星嵐の動きに対して最適化された動きで対応してくる。
 だからこそ――読み易い。

 そも、星嵐の戦闘のベースになっている帝都桜學府の剣術は長年の実戦を経て磨かれてきた技術体系である。歴代の担い手たちに受け継がれてきたそれは扱い方も強みも、そして弱みも全て研究され尽くしていると言っていい。
 故に星嵐は降り注ぐ対人兵装の雨に耐えながら、なおも鉄人に攻撃を仕掛ける手を休める事はしなかった。
 攻撃者を脅威として認識してしまう鉄人の思考は星嵐の動きに対しても最適に対応する。少しずつ、少しずつ、誘導されていく。
 そして……機は熟した。
「今ですっ!」
「承知しました、師匠(マスター)」
 刹那の見切りを為した星嵐が声を上げれば、それまで最低限の防御に徹していた雷電が抜刀する。それは星嵐が伝授した帝都桜學府流剣術の中でも随一の速度と威力を両立した必殺の一太刀。
「――これが、私たちと雷電の力です!」
 居合一閃、その斬撃は鉄人のあらゆる防御より迅く鋼の身体を叩き斬る!

「好機、畳みかけるわ! 気合よ雷電!」
 紅葉の掛け声に合わせて距離を詰めた雷電が鉄人へと大太刀を突き立て追撃、全身で火花をショートさせる鋼の身体をがっちりと捕える。
「動力炉および制御系に甚大な損害。全体損傷率30%を突破」
 鉄人に深く刻まれた傷口から鮮血に代わって噴き出すは超高熱の排気、対する紅葉の全身から燃え上がるのは万丈の迦楼羅焔!
 二つの火炎が拮抗する中、雷電はその馬力で以て鉄人の身体を持ち上げ跳躍する。
『コード:ハイペリア承認。高重力場限定展開ランク1実行』
 システムメッセージと同時、紅葉の手の甲でハイペリアの紋章が輝きを放つ。
 時の流れさえスローモーションに感じられたのは一瞬の錯覚か。加算された重力は落下のエネルギーを増大させ、垂直落下式ブレンバスターが鉄人を硬い地表に叩き落とす!
「雷電式火車脳天砕き・・・・・・とでも名付けましょうか」
 未だ収まらぬ迦楼羅焔に煽られ、紅葉の長髪が鮮やかに棚引いた。


●過剰火力と戦いの終幕

「全体……ザザッ……損傷率……90%……ガガ……95%…………100%……」
 ノイズ交じりのシステムメッセージが響く。頭部から地面に突き刺さった鉄人の身体は一瞬の硬直からぐったりと弛緩し、断末魔のようにその全身を青白い電流が駆ける。
「――システムを強制修復。再起動を開始」
 その音声が唐突にクリアになるのと、半ばスクラップと化していた鉄人の身体が割れるのはほぼ同時だった。
「不完全なまま搭載した機能だったが……まさか今の衝撃で完成したとでもいうのか……!」
「知っているのか技術屋ァ!」
「4体に分離する事で戦闘力は実質4倍……その4体が力を結集させる事で戦闘力は16倍! 雷電を上回る1200万パワーだ……ッ!」
「おかしくないでござるかその計算?」
 トラップを粗方仕掛け終わったエドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)と三郎の掛け合いの横では分離・再合体を完了させた鉄人が全身を燃え上がらせながら再び立ち上がっていた。不規則に組み直された全身の歯車を無秩序に回転させる姿はまさしく火の車と称するにふさわしい。
「火の“車”ですか、ならばこちらは“戦”の車を出すだけのこと」
「さぁ、最終ラウンドの始まりね」
 異様な圧を放つ鉄人の変貌を前にしても冷静さに一切の乱れを生じさせる事も無い二人の猟兵はクネウス・ウィギンシティ(鋼鉄のエンジニア・f02209)とエメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)。
 強引な強化復活を遂げた鉄人だが、それまでに致命的なダメージを受けた事実には変わりない。後は詰めを誤らず確実に仕留めるだけだと二人とも現状を正確に理解しているのだ。

「準備オーケー、こちらは万全よ」
「ええ。ここまで手塩を掛けて整備した機体……いや、我が子よ。真の力を魅せる時ですよ」
「オーダーを確認しました、イェーガー……いえ、父上。そして母上」
「母上?」

 ――――  カ ッ ! ! !

 エメラの疑問はさておき、駆け抜けた閃光と共に雷電の機体は真の姿――超重火力の化身へと変貌を遂げる。
 戦いながらも随時エメラの手で修理・調整を施されていた雷電のコンディションは彼女が先刻告げた通り万全そのものだった。
「この雷電は変身するたびにパワーが遥かに増す……その変身を拙者あと2回も一気に使っちゃう!」
 腹の底に響くような振動と共に大地が揺れる。
 燃え盛る鉄人の巨躯すら見下ろす程に巨大化した雷電の威容は天をも衝かんばかり。
 反動による自壊すら度外視して鉄人から放たれる砲撃は予知の通り街一つを廃墟に変えるには十分過ぎる威力を孕んでいたが、雷電の装甲はそれすら弾き返す。

「ところで…巨大ロボ同士の戦いもいいけど、大型兵器に立ち向かう小型高速機と言うのも見たくはないかしら? 本命行くわよ、『我が元に響くは咆哮』!」
 エメラがパチンと指を弾けば、召喚されるのは5m級の魔導蒸気操機兵。スラスターを全力で稼働させた第三の機体は鉄人へと一撃離脱を繰り返し、威力を重視した特製魔導蒸気製重火器で以て鉄人の崩壊を加速させていく。
(これは雷電を動きやすくする為の陽動。でも、隙を見せるようなら――)
「――さぁ『咆哮』、その力を存分に発揮しなさい!」
 エメラの号令に応えるように、一際大きな砲撃が空気を震わせた。

「では私も合わせるとしましょう。さて……」
 エメラが繰り出したのがこの戦場にて第三の機兵であるなら、クネウスが投入したのは“ヴォルフ”の名を持つ全地形対応型のホバー重戦車。遠隔操縦で動くそれは“咆哮”を叩き落とそうとする鉄人の動きを制限し、手詰まりへと追い詰めていく。

「ゼぜ全体損傷率170%をととト突破……サ最終突撃きキシークエンスを実行――」
 全身の歯車が歯の欠ける程に激しく回転し、雷電本体に乗り込んでいる猟兵たちへと突撃――しようとした鉄人の足元が爆ぜる。
 それは最初に明が初撃を決めた時からエドゥアルトが仕掛けていた【Tallboy Throwing】に相当するトラップ。燃え盛る鋼の健脚は地形ごと破壊され、鉄人の突進は否応なく阻まれる。
「こんだけ火力があれば直接撃破できそうな気がするが細けぇことはいいんだよ!」
「良い仕事です、エドゥアルトさん」
 暴走にも近い鉄人の突貫も、エドゥアルトのトラップによる阻止も……そして横転した鉄人がその身を包む灼熱を放とうと展開した巨大な排気口を開く事も織り込み済み。
 勝利を決定づける決めの一手を鋼鉄のエンジニアは正確に遂行する。
「戦車持ち故、扱いは心得ています――CODE:GROUND ZERO。『骸の海』との接続を確認、その排気口を吹き飛ばさせて頂きます」
 鋼鉄の巨大機動要塞と化した雷電、その装備の中でも最強を誇る主砲から放たれるは粒子線を亜光速まで加速させた荷電粒子砲の一撃。
 地形すら吹き飛ばす極大火力が砲口と化した排気口を塞ぐように撃ち込まれ、衝撃は鉄人の身体の半分近くを物理的に消失させて突き抜けた。
「それでは仕上げでござるな!」
「イェス、イェーガー」
「あれ、拙者の事はダディって呼んでくれないの?」
 雷電のキャタピラは破壊された地形も平地の如くに踏破、爆破炎上しながら尚も周囲に破壊を撒き散らそうとしていた鉄人の残骸に肉薄。
 搭載された火器の零距離斉射は末期の抵抗さえ許さず、鉄人を構成していた全てを灰燼に帰せしめる。
「やはり火力……! 火力は全てを解決する……!」


●後日談:戦いのその後

 鉄人の撃破から僅か数日で街はすっかり復興し、雷電シリーズの量産計画も順調に進んでいる。
 戸川三郎は一度桜學府に身柄を拘束されたが、今では監視を付けられた上で懲役相当の労働従事として雷電の整備や技術指導を行っているらしい。
 近い将来、この雷電兵団は大発生した影朧の迎撃に猛威を振るう事になるのだが……それはまた別の話。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年11月01日


挿絵イラスト