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獄卒エスケイプ

#サクラミラージュ

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#サクラミラージュ


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●跳ねよ、獄卒
 レトロな街並みに舞う桜。
 まるで大正時代を思わせる世界、『サクラミラージュ』。
 ガタンガタンと音を立てて列車が走り、空には幾つかの飛行船が飛んでいて。
 見渡せば見渡すほど、サクラミラージュの圧倒的なスケールが理解できる事だろう。

 そんな街中の屋根から屋根へと、青い霊魂を漂わせて飛び移る者が一人。
 綺羅びやかな軍服を着ている、見るからに階級の高そうな青年。
 かつて平和の為に『黄泉事変』に加担した者――人呼んで、獄卒将校。
「フッ……こんな美人を捕まえる事が出来ようとはな。僕は実にツイている……!」
 小脇に抱えるのは極めて端正な顔立ちの少女。
 どうやら気絶させられているらしく、ぐったりとして目を伏せていた。

 帝都の屋根を跳ねて、跳ねて、跳ね続ける。
 獄卒将校が向かう先は、果たして何処か。
 そして、彼の目的は一体――?

●グリモアべエス
「かつての正義も堕ちるに堕ちて誘拐犯ですよ。哀れですねぇ」
 ウィルバー・グリーズマン(入れ替わった者・f18719)は椅子に座って、普段通りの微笑を浮かべながら、今回の事件の概要を語り出す。

「要点を言いますね。『逃げる獄卒を倒して少女を救う』です。簡単でしょう?」
 ザ・シンプル。
 敵の獄卒は『影朧』と呼ばれる不安定なオブリビオン。
 影朧は場合によっては『転生』して生まれ変わる事もあるが――どちらにせよやる事は変わらない。最終的にはぶっ倒せば良い。

「まずは帝都にある建物の屋根、或いは屋上を移動する獄卒を追います。特に罠などがある訳ではありませんが、獄卒が放った手下達が襲って来るので注意が必要です」
 手下も同じく影朧。最初は遠方からガトリングを発射して、徐々に近付いて来る。
 当たり所が悪いと真面目に危険なので注意しよう。
「獄卒の先に出て道を塞いだり威嚇攻撃でルートを変更させて、逃げ場のない場所まで誘導できれば完璧ですね。まあ……とりあえず足止めして下さい」
 ちなみに襲って来る手下だが、獄卒のやっている事が単なる誘拐の為か、忠誠心が非常に低い。何で従っているのかが不思議なレベルだ。
 正々堂々と戦ったり、言いくるめる事で猟兵側に加担する可能性まであるとの事。

 内容を伝え終えると、ウィルバーは立ち上がって。
「大正浪漫って実は好きなんですよねぇ。後で現地の感想でも聞かせて下さいよ。…しかし、何が目的なんでしょうね。あの影朧は?」
 首を傾げつつも、ウィルバーは転送を始める。

 行先は帝都美術館の屋上。
 今まさに、目の前を獄卒が跳んで行く事だろう。


小強欲
 こんにちは、大正浪漫が割と好きな小強欲と申します。
 詳しい内容はOPの通りです。

 一章で逃げる獄卒を追い、二章では獄卒配下と戦闘と言う名の共闘。
 三章は追い詰めた獄卒をぶっ倒します。

 一章ではガトリング弾が大量に飛んで来るので注意が必要です。

 では、浪漫溢れる(?)プレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『帝都楼閣追跡戦』

POW   :    体力の限り執念深く追い詰め、相手を疲弊させる

SPD   :    幾つもの建物の上を身軽に飛び回り、相手を翻弄する

WIZ   :    相手の進路を予測し、それを妨害するように立ち回る

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

鎧坂・灯理
(以前までと姿が変わっていますが成長しただけで中身は同じです)

以前が何者で何をしていようが関係ない
少女を拐かす成人男性は皆ド変態だ
つまり殺していい。私が決めた

念動力で飛行し追跡
『聳孤』で周囲の人間の脳内を読み取り、地形情報を得る
それに従い追い詰めるようにUCで道を塞ぐ
追われる者はあまり長期的な視野は持てないから、
咄嗟の回避を繰り返させて誘導し、追い詰める
焦らせるために掠らせてもいいな

手下もついでにUCで切り捨てる
恨むなら馬鹿な上司に従った己を恨めよ



 ――ヒュン。

 目の前を獄卒の影が通り抜ける。
 鋭い風が発生し、鎧坂・灯理(不死鳥・f14037)の長い黒髪が揺れると共に、辺りには幻朧桜が舞い上がった。
「あれが獄卒か。……少女を拐かすとは、許せないな」
 かつての正義も、今や小悪党のそれと何ら変わりはない。
 具体的に何をするのかは不明だが、灯理は碌でもない事なのだろうと考える。

 つまり敵はド変態野郎、容赦の必要はない。
 完膚なきまでに叩きのめし、抹殺してやろうと心に決めた。


 獄卒の動きは中々素早い。
 しかしながら、人を抱えた状態ではどうしても遅れが出てしまう。
 対して灯理は念動力による飛行で移動しており、機動力の差は歴然と言えよう。
「さて、どの辺りにしようか」
 移動と並行して、操侵計具『聳孤』による情報収集を行う。
 建物内や道を歩く人々の脳内を読み取り、周囲一帯の地形情報を元に地図を作成。
 近くにある港に追い詰めるのが良いだろうか、と考えて。
「このまま走らせるのはまずいな……」
 獄卒の向かう先は住宅街。まずは進路方向を変えなければならないだろう。
 灯理は念じると、獄卒の前方へと複数の念の刃を発生させて。
「なっ、何だこれは……!?」
 獄卒が足を止めて辺りを見渡せば、上空に浮かぶ灯理を発見する。
 すぐに逃げようと別の道を探すが、念刃が獄卒の行く先を塞ぐ様に展開されて進路方向を制限してしまう。

 前が駄目ならば右へ。
 しかしその道も封じられている事に気が付けば、左へ跳んで。
「こうも簡単に掛かるとはな」
 獄卒は逃亡に手一杯なのか、まんまと灯理の策に嵌ってしまう。
 次々と念刃が発せられて、まるで操り人形かの様に誘導を続けて。

 ――シュパァ!

 一発の念刃が獄卒の頬を斬り裂く。
 ダメージは薄いが、逃亡中で余裕の無い時にやられた為か、焦っている様子で。
 更に精神を疲弊させようと、追撃を仕掛けようとする灯理だが……。

 ――ガガガガガガッ!!

 そこに飛来する大量の弾丸。
 遠方に両手がガトリングの得体の知れない影朧達が、妨害する様に動いていた。
「ちぃ……手下か、邪魔だッ!」
 念刃に射程距離は関係ない。
 弾丸を斬り裂き、遙か先にいる影朧達の鎧をも容易く切断してしまう。
 しかし致命傷には至らず、敵は遠距離は不利だと判断したのか距離を詰め始める。
「流石にしぶといな……まあいい、後で始末しようか」
 今は獄卒の誘導が先だ。
 逃げ続ける獄卒を誘導する為、灯理は念刃群を展開し続けて行った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

尾崎・ナオ
大正浪漫ってやつか。漫画で読んだことある!!
へ~、華やかでいいじゃなーい。
あ、スマホって通じる?

追い抜かしてルート変更か、ガトリング撃ちながら近づいてくる部下の排除か。
ん~、ナオちゃんは後者かな。次の戦闘の頭数も減らしておきたいしね。

【指定UC】を周囲に展開。
走るスピードに合わせて並走させるよ。
右側に25本、左側に25本。後方に5本ってとこかな、空中に浮かせて待機!
ナイフ小さいから盾にするっていうより、敵の標準をずらす、くらいの気持ち?

攻撃されたら、その側面のナイフを動かして攻撃。
ついでに黒い拳銃で【クイックドロウ161】もお見舞いしちゃうぞ☆
ふふーん、早撃ち、また精度あがったんだよね!



「へ~、華やかでいいじゃなーい」
 神秘的な幻朧桜が舞い続ける世界、サクラミラージュ。
 尾崎・ナオ(ウザイは褒め言葉・f14041)が周囲を見渡せば、いかにも大正にありそうな建物や物品が。
 漫画で大正浪漫については知っているので、この光景を中々気に入っている様子。

 このまま眺め続けると言うのも良いのだが、今は依頼の最中。
 後でじっくり見る事にして、スマホを取り出す。
「あっ、通じないのかぁ」
 地図を見て策を練ろうとしたものの、電波は無い様だ。
 あくまで大正時代である以上は仕方がない。
 使えれば逃げる獄卒を追うのも良かったが、使えないならば別の事をするべきか。
 そう、つまりは……。
「来た来た、見るからに硬そうだね」
 ぞろぞろと近寄って来るのは、両腕はガトリングガン、様々な場所から呪いの腕、身体は注連縄で巻かれている蛇型の影朧。
 名を『古塚の呪い』と呼ぶ、古代の社や無縁仏が怪物化した物だ。

 ナオはやる気十分。
 走りながら大量に複製したナイフを浮かび上がらせて、周囲に展開。
 加えて、拳銃を何時でも引き抜ける状態になって。
「……んっ? 何か敵さん、やる気なさそうだなぁ」
 見るからに気力がない。
 武器は構えているし撃つ素振りも見せているが、どことなく上の空だ。


 しかし目の前の臨戦態勢に入ったナオを目にすれば、攻撃する以外に手はない。

 ――ズドドドドドドッ!!

 滝の様な音を立てて乱射されるガトリングガン。
 ナオはそれを、ナイフを斜めに並べる事で捌こうとして。
「いや無理無理無理ッ! 普通に避けるぅ!」
 やっぱり難しかったのか、ナイフで姿を隠しながら敵の攻撃を避けて行く。
 ただしやられているだけのナオではない。
 残るナイフを敵に発射して、一気に切り裂こうとして。
 しかしそれは鎧を貫けず、カキンカキンと音を立てて弾かれた。
「鎧に効果は薄そうかな……なら、注連縄を狙おうっと」
 本体が駄目ならば纏っている武装。
 中々の強度ではあるが斬撃には非常に弱いようで、サクサクと斬り裂いて。
 それに動揺している敵の隙を狙って、最高速度の早撃ち。

 ――ダダンッ!

 全く同じ箇所に向けて連続で放たれる銃弾。
 正確な早撃ちは強固な鎧を貫いて、まずは一体の影朧を倒してしまう。
「よしっ、通れば行けるね! ……しかし、あんまり動かないから倒し易いなぁ」
 ガトリングを撃ってはいるが、その動きは実に単調。
 蛇の身体を活かして動き回られると、かなり厄介の筈。
 明らかにやる気がなく、ナオも不思議そうな表情だ。

 だが、攻撃の手を緩めると此方がやられてしまう。
 ナオは油断せずにナイフと早撃ちで、確実に影朧を仕留めて行くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

愛久山・清綱
大正。短くも、大いなる騒乱の時代。
人類初の世界大戦、幾百年続いたオスマン朝の終焉……
この世界でも起きたのだろうか?気になる。
■行
【SPD】
思うことはあるが、今は進むか。

相手が飛んで逃げるなら……俺も【空中戦】で飛ぼう。
上空から見下ろしながら敵を探す。
探す際は見失わないように、【視力】で目を凝らす。

発見したら【ダッシュ】で接近、敵が『屋根を飛び移っている』
時に【空薙】を仕掛ける。飛んでいる時は無防備な筈だ。

■他
ガトリングで攻撃されたら刀を回転させながら【武器受け】し
その場から逃れるようにするが、相手との距離が『55m以内』の
場合は【空薙】で【範囲攻撃】を仕掛け、武器の破壊を試みる。

※アドリブ歓迎



 大正時代。
 日本史に置いて、僅か十数年で終わりを迎えた時代。
 それでいて、最も日本が動いた騒乱の時代と言っても過言では無いだろう。

 世界大戦、オスマン朝の終焉……果たして、この世界でも起こったのだろうか。
 愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)はそんな思いを馳せて、黒い翼を広げて空を飛ぶ。


「ふむ、あれだな」
 帝都に響き渡る銃声を頼りに空を進んでいると、慌ただしく逃げる獄卒が見える。
 妨害によって進路方向を何度も変えられ、彼が向かう先は大きな港。
 しかし今は船が動いておらず、逃げ場のない行き止まりだ。
 忙しなく上下左右と建物を跳び回って、目で追うのは中々に難度が高い。
 だが、清綱の目は獄卒を逃さず、その動きを完全に捉えていた。
 獄卒に向けて、上空から高速で急降下。自慢の『今刀』に触れて。
「そこだ……空薙」
 居合の構えから放たれた空間断ちの一太刀。
 獄卒が空中に跳んだ瞬間に放たれたそれは、真っ直ぐに彼の元に向かって。
「くっ、新手かッ!」
 回避は不可能。しかし獄卒も、かつては武力を以て正義を貫いた存在。
 自身を纏う影朧の妖気を軍刀に溜めると、衝撃波を放って。

 ――ズドンッ!

 清綱の一太刀と、獄卒の衝撃波。
 二つが交差する事によって、凄まじい爆発音が発せられる。
 辺りに暴風が舞い起こり、幻朧桜が吹き荒れて。
「おおおおッ!?」
 衝撃波よりも強く放たれた清綱の一太刀。
 暴風は獄卒達を飲み込んで、そのまま帝都の港方向へと飛ばしてしまった。

 直ちに獄卒を追おうとする清綱だが、前方から蛇型の影朧がぬるりと現れて。
「む、何時の間に……」
 音もなければ殺気もない。やる気もある様には見えない。
 それでも静かにガトリングガンを清綱に向けて、構えを取る。
 先制攻撃を行わなかったのは余裕の表れか。それとも……。
「……恨みがある訳では無いが、命令なのでな」
 それだけ言うと、一斉に構えてガトリングの引き金を引いて。
 清綱は軽く息を吸って、精神集中を始める。

 ――ガガガガガガッ!

 逃げ場のない程に大量の銃弾が辺りに発射され、清綱を飲み込まんとして。
 その場から後退しながら今刀をクルクルと回転させて、銃弾を防ごうと動き出す。
 甲高い金属音が鳴り響くが、合金製の今刀は殆ど傷付かずに捌き切ってしまう。
「何と!」
 驚愕ながらも撃ち続ける影朧達。
 銃弾の嵐を捌き続けて数十秒、あっと言う間に銃器が動作不良を起こして。
「次は俺の番だ。受けてみよ――」
 清綱がその隙を逃す筈もない。
 空薙が再度放たれて、影朧達の両腕にあるガトリングガンを斬り落として行く。
「ぬぅ、やりおる……面白い男だな、お主っ!!」
 武器を斬り裂かれても然程動じずに。
 寧ろ影朧達はやる気を増して、周囲に展開し始める。
 どうやら、戦いはここからの様だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

天野・白蓮
(アドリブ連携絡み歓迎)
「まったくよぉ、帝都の元・将校サマが少女をかどわかすとか
卑しいにも程がありませんかねぇ?
一丁、帝都の学徒兵代表として灸を据えてやりますか」

【指定UC】で【ダンス】を付与して屋根を駆け抜ける
獄卒サマがどれだけ素早いか知らねぇが、こちとら帝都お抱えの
学徒兵だ、半端な足で逃げれると思うなよ?

そんでもって邪魔な「がとりんぐ」野郎は、【二刀流】で銃弾を
防ぎながら、駆け抜け様に【早業】と【乱れ撃ち】でご退場願うぜ

「てめぇらに関わる暇はねぇんだよ、悪く思うなや。」

獄卒がこちらに攻撃する場合も【二刀流】と【早業】で応戦
攻撃するならコッチに意識向くから、逆を言えば距離つめる好機だ!



 猟兵達の働きにより、獄卒が本来進む筈のルートから大きく逸らす事に成功した。

「この先は、港か?」
 だがしかし、獄卒も元は帝都の将校。
 向かう先に何があるのか、気付いてしまう。
 執拗に攻撃をされ続けたが、致命傷は未だに受けていない。
 少女に当てない様に威力を弱めていたのだと思ったが、どうやら違う様で――。
「誘導か……!」
 気付くのが遅過ぎた。
 港から遠ざかろうと振り向くが、そこに一人の漢が立ち塞がる。

 二本の木刀を手にして、獄卒の前に立つのは、天野・白蓮(『帝都』を守護する一振りの金剛・f22771)その人だ。
「まったくよぉ、帝都の元・将校サマが少女をかどわかすとか卑しいにも程がありませんかねぇ?」
 心底呆れた態度でそう言うと、鋭い目で獄卒を見て。
 白蓮の放つ気迫に圧されたのか、獄卒は一歩後ずさり。
 帝都桜學府の學徒兵として、うら若い乙女に害を加える者に容赦はない。
「一丁、帝都の学徒兵代表として灸を据えてやりますか」
「くっ……」
 二人は同時に駆け出す。
 獄卒は逃げ切る為に、白蓮は彼に制裁を与える為に。


 ――タンッ、タタンッ。

 軽快な足音が帝都の高所に響き渡る。
 一直線に全力で駆ける獄卒とは対照的に、まるで舞う様に屋根を駆ける白蓮。
 そこにガトリングの両手を持った影朧が、行く手を塞ごうと現れて。
「おおっと、邪魔立てする気だな?」
 白蓮が放った二刀の剣閃は、影朧達を寄せ付けない嵐の如き力。
 影朧の鎧に打ち込めば、それを遠方へと吹き飛ばす剣に。
 放たれる銃弾は二刀を振るう事で打ち落とし、盾となる。
 白蓮が駆け続ける限りは、この勢いが止む事はないだろう。
「てめぇらに関わる暇はねぇんだよ、悪く思うなや」
 高耐久を持つ影朧の撃破には、惜しくも至らず。
 だが、今の目的は獄卒を追い詰める事だ。吹き飛ばす事で十分と言えよう。

「奴らを退けるとは……それも、たかが木刀二本で……!」
 霊樹より作られた二振りの木刀。
 されど、これらをただの木と侮る事なかれ。
 鋼の如き頑強さを持つ、聖剣と言っても良い代物だ。
 徐々に距離を詰め始める白蓮に、さしもの獄卒も危険だと判断して。
「ならば……ぜぇいッ!!」
 足を止めて放たれるは、刀による斬り払い。
 引き抜かれた青白く輝いた刀は霊魂を放出し、白蓮を飲み込もうと迫り。
「甘いッ!」
 それを二振りの神霊木刀を手前に構えて、難なく打ち消す。
 驚愕する獄卒。彼が次の攻撃に移るよりも速く、一気に距離を縮めて鋭い振り下ろしで獄卒の頭を打ち付けた。

 一歩、二歩とよろめきながら後ろに下がる獄卒。
「半端な足で逃げれると思うなよ、獄卒サマよぉ?」
 獄卒が遅い訳ではないが、少女を抱えた状態で白蓮から逃げ切るのは無理がある。
 帝都お抱えの學徒兵たる彼を相手に、この不安定な屋根上はあまりにも不利。
 獄卒が後ろを見れば、すぐそこに港が見えて。
「まんまと港まで誘導された、か。……まだだ。ここからが僕の真骨頂だッ!!」
 獄卒がカッと目を見開くと、白蓮は警戒して木刀を構えて。
 次の瞬間、獄卒は屋根から飛び降りて港へと走り出した。
「なぁっ……!? 逃げんのか! てめぇッ!」
 見事なまでの逃亡術。
 獄卒の悪足掻きはここから始まるのだ。

 白蓮は急いで獄卒の追跡を続ける。
 港はやや入り組んだ場所だが、最終的には逃げ場のない海。
 追い込んで徹底的に打ちのめしてやろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『古塚の呪い』

POW   :    百手潰撃
レベル×1tまでの対象の【死角から胴から生える無数の腕を伸ばし、体】を掴んで持ち上げる。振り回しや周囲の地面への叩きつけも可能。
SPD   :    百足動輪砲
【両腕の代わりに生えたガトリング砲】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【銃弾の嵐】で攻撃する。
WIZ   :    百足朧縛縄
【呪いに汚染された注連縄】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。

イラスト:小日向 マキナ

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 屋根から降りた獄卒は、港を走る。
 複雑に絡み合った通路や建物が密集する地帯。
 追い詰め続ければ何れは逃げ場がなくなる。ここからが勝負所だ。
 足止めを受けている者達も、急ぎ港へと向かおう。

 当然ながら、手下の影朧達の妨害も激しさを増すだろう。
 あくまで優先すべきは獄卒だが、手下達を放置するのは少々危険。
 撃破するのも勿論良いが、獄卒への忠誠心は明らかに低い。
 色々と試すのもアリかも知れない。

 兎に角。
 油断せず、確実に進んで行こう。
鎧坂・灯理
ふーむ、少し揺さぶってみるか
おい貴様ら、本当にあんなのに従っていていいのか?
貴様らの腕はたいしたものだ、それをあんな手弱女を欲望のままに掻っ攫うような変態のために振るうのか?
貴様らに誇りはないのか!自分を安売りするんじゃない!

銃弾を『炎駒』で防いだりたたき落としたりしつつ説得してみよう
こっちも強いと解れば話も聞いてくれるだろ
本当に、なんであんなバカに付き合っているんだか
もちろん港には向かうし、説得しながらも足は止めない

どうしても妨害を止めないなら、こちらも応戦するしかないが……
『炎駒』は銃にも剣にもなるからな
さて、どう出る?



 獄卒誘導を完璧に遂行した灯理。
 だが、影朧『古塚の呪い』がすぐ近くにまで迫っているのが見える。
 血の様に真っ赤な体色。両腕の巨大ガトリング。
 後は何よりも、全身に巻き付いた注連縄が特徴的だ。

 やる気の無さは先程と変わらず。
 しかしながら、分かれて連携射撃を仕掛けており、中々厄介な存在と言えよう。


 灯理は港に向けて屋根の上を駆けている。
 影朧達も並走して、ガトリング射撃を行っていた。
「攻撃の手を一切休めないか……やるな」
 前方の攻撃は、身のこなしは勿論の事、敵の射線を見切り、念動力も用いて回避。
 後方は細身の可変武傘『炎駒』を開く事で、まるで盾の様にして防いでしまう。
 影朧達はリロードやオーバーヒートのタイミングを交互に撃つ事で緩和。灯理に銃弾の嵐を叩き込む――とは言え、灯理の鉄壁とも言える防御は貫けず。
 今の所は影朧も隙を見せていないので、灯理の方も攻めあぐねている。
「おい貴様ら、これだけは言わせてくれ。本当にあんなのに従っていていいのか?」
 ガトリングの銃声を超えて、影朧達の耳に直接響き渡る言葉。
 念動力を用いた灯理の言葉は彼等に動揺を齎して、攻撃を止めさせてしまう。
 灯理はその機を逃さずに、追撃を仕掛ける。
 ――暴力ではなく、言葉で、だ。

「やる気は無さそうだが、貴様らの腕はたいしたものだ。銃撃の連携は実に見事」
 灯理自身が相当な実力者なのだ。
 彼女の口から褒め言葉が出るという事は、嘘偽り無く強敵なのだろう。
 だからこそ解せない、何故あんなバカに付き合っているのかが。
「それ程の力を持ちながら、手弱女を欲望のままに掻っ攫うような変態のために振るうのか? 貴様らに誇りはないのか! 自分を安売りするんじゃない!」
 彼等の態度から見て取れる程に分かる気迫の無さ。
 その気になればガトリング射撃以外の行動で、灯理の足を止める事も出来ただろう。
 それをしないという事は、自身でも本当はやりたくないと言う意味に他ならない。

 少しの間、無言が続く。
 言葉を掛けようかと考える灯理だが、不意に一体の影朧がガトリングを下げて。
 続けて、他の影朧達も構えた武器を下げ始めて、別の場所へと展開し始める。
「奴に付き従う霊魂が哀れに思えてな。霊の解放を条件に奴の護衛を引き受けたのだ……が、貴様の言う通り、安売りすべきでは無いな」
「成程な。そんな理由が……」
 攻撃については絶対に死なない様に加減していた、との事。
 ガトリング射撃も猟兵達ならば死にはしないと確信した射撃だった様だ。
 それはそれとして、獄卒の言うがままに操られていたのも事実。
「せめてもの償いだ、我等も奴の追跡に助力しようぞ」
 影朧は地面へと飛び降りると、様々な場所から港へと侵入を始める。
 灯理も足を止めずに、同じく港へと向かって行って。
「……影朧、か。ただのオブリビオンとは違うんだな」
 不安定故に、状況次第では協力し合える存在。
 勿論、必ずしもそうであるとは限らない。
 しかし、協力し合う事が出来たのならば、それは間違いなく心強い力となる。

 灯理は幾つかの影朧を味方に付ける事に、無事成功したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

愛久山・清綱
あれが、「影朧」……確かに、魂の荒みを感じるな。
だが、その荒ぶる魂を鎮め、桜の精の癒しを受ければ
新たな「生」が与えられる……
■闘
なれば……此の力を以て、其方たちをお救い致そう。
刀に【破魔】の力を宿して非物質化し、戦闘に入る。

先ずは、死角から来る手を【野生の勘】でどこから現われるか
察知しつつ、敵の集団まで【ダッシュ】で接近する。
万一掴まれたら【怪力】で腕を強引に振りほどく。

敵のもとにたどり着いたら【夜見・改】で荒ぶる魂を絶ち、
転生のきっかけを与えてやるのだ。
なお、範囲攻撃は決してせず、一人一人倒していく。

次の生で、幸せになれるといいな……さらばだ。

※アドリブ・連携歓迎



 辺りに展開し、姿を隠した影朧。
 何処から攻撃が来るか分からない緊張感の中、清綱は静かに警戒を強める。
「あれが、『影朧』……確かに、魂の荒みを感じるな」
 相手をしている影朧は強い呪力を放っているが、微かな神性も併せ持つ存在。
 この魂を鎮めて桜の精の癒しを受ければ、転生される……。
「なれば……此の力を以て、其方たちをお救い致そう」 
 刀に触れると、それは強力な破魔の力が宿って、刀身が靄のように化してしまう。
 これこそが秘伝の霊剣、夜見。
 度重なる戦闘を経て、新たなる境地へと達した清綱の妙技。

 その力を以て、清綱は影朧達との戦闘を開始する。


 屋根から地面へと降り立てば、壁や地面から無数の腕が現れて。
 それは清綱の死角から迫り、引き摺り込まんとする。
「厄介な……だがッ!」
 研ぎ澄まされた勘は腕が現れる場所を察知し、次々と避けて行く。
 辺りを見渡せば、道の先に一体の影朧が居るのが見えて。
 そこまで一気に駆けようとするも、清綱を囲む様にして腕が出現する。
 さながら、腕の檻と言うべきか。
「ハァッ!!」
 地面を思い切り踏み込んで、瞬間的に加速。
 更に、超人的な清綱の剛力によって、腕の檻を強引に突っ切ってしまう。

「何とッ! あれを押し通るかッ!」
 腕による拘束を避けられた為、注連縄での拘束を仕掛けようと構える影朧。

 ――ズドッ。

 影朧が攻撃するよりも僅かに速く、清綱の霊剣が影朧の身体に突き刺さる。
 霊剣は影朧の呪力を浄化し、荒ぶる魂を鎮めて。
「これは、我が呪縛が消えていく……?」
 完全に浄化された後に残るのは、微弱な神性を纏いし大蛇。
 大蛇の身体から光が現れて、辺りの幻朧桜と共に舞い散って行く。
 秘伝、夜見。見事に影朧の悪しき霊魂のみを切り裂く事に成功した。
「よもや、この様な所で呪縛が解かれようとはな。感謝しよう、人の子よ」
 パアッと大蛇が光輝くと、そこから影朧の魂が帝都の空に昇って行く。
 何れは桜の精に癒されて、転生されるのだろう。
「次の生で、幸せになれるといいな……さらばだ」
 元は神を奉る建物の影朧だ。
 次の命は、きっと素晴らしい物になるに違いないだろう。

 そして清綱は次の影朧を鎮めに、霊剣を手にして歩き出す。
 彼等の完全なる浄化を求めて――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

尾崎・ナオ
武士っぽい外見、ガトリング、注連縄、ムカデ。
欲張りセットか!

ナオちゃんに説得は無理。むーーりーー。
ナオちゃんは素直でとっても可愛いので。思った事しか口に出せませーん。
「ねー、アンタも霊魂が憐れ~とか言っちゃう系?」
「その霊魂とやらが人攫いを推奨してんの?」

ナオちゃんは素直でとっても可愛いくて、尚且つ人間らしいクズ要素も兼ね備えたパーフェクトさんなので。
「霊魂の解放とやらは嘘だと思うよぉ。良いように使われてない?」
なぁんとなくクズの匂いがするんだよねー。
てか、足止めしてたら解放するか確認できなくない?
この後どこで合流とか、どこで解放とか決めてんの?

それでもやるなら指定UCで回避しクイックドロウ。



 所で、手下の影朧達の風貌をもう一度よく見てみよう。
 武士の様な兜に鎧。巨大な呪われた注連縄に、身体から生えた無数の青い腕。
 百足なのか蛇なのか定かではないが、非常に細長くうねった胴体。
 両腕のガトリングは当然として、尻尾の先も打撃武器となっている。
 つまり、何が言いたいのかと言うと――。
「欲張りセットか!」
 そう言う事である。


 ナオはとても素直だ。
 戦闘中であろうが、思った事はつい口に出てしまう。
 これは説得ではなく、ただ気になった事を聞いているだけだ。
「ねー、アンタも霊魂が憐れ~とか言っちゃう系?」
 拳銃を構えつつも、目の前の影朧達にそう言葉を掛ける。
 やや大きな影朧がナオの言葉に反応を示すと、他の影朧に攻撃の静止を促す。
「我等は皆、奴を纏う霊魂に救いを与えたい、と思っておるだろうな」
 どうやら話の通じる相手の様だ。
 既に一体の影朧を撃破している状態で聞く耳を持つのだから、心は広い様子。
 元は神性を持った存在なので、当然なのかも知れないが……。
「ん~、その霊魂とやらが人攫いを推奨してんの?」
「まさか。良いように使われているだけだろう。あれは間違いなく奴の独断だ」
 そう断言するからには、確信があるのだろう。
 ナオ自身も、何となく獄卒はクズの様に感じている。
 まだ遠目から見ただけに過ぎないが、そんな直感があった。
 素直で可愛くも、人間らしいクズ要素を持ったナオだからこそ、そう感じたのだ。

「良いように使われているって……アンタらも同じじゃない?」
 挑発とも取れる発言。しかし、当の本人は至って真面目な表情。
 ふむ、と大影朧が何かを考える動作をして。
 確かに獄卒を信用できるかと言えば、出来ないと言った方が正しいだろう。
「ここで足止めしてたら解放するかどうかの確認とか無理じゃん? どこで合流とか、どこで解放とか決めてんの?」
「無論しているとも……それが事実かどうかは置いといてな」
 合流地点も解放場所も同じ。
 だが、本当に来るかどうかの確証はない。
 大影朧は勿論、それに付き従う影朧達も一つの真相に気付き始める。
「霊魂の解放とやらは嘘だと思うよぉ。ね、やっぱり良いように使われてない?」
 絶対にそうだとは言い切れないが、十中八九それが真実。
 このまま獄卒の護衛を続けるかどうか、それとも護衛を止めるか。
 最早、影朧達の道は一つしか無い。
「出来れば傷付けずに解放したかったのだがな、致し方あるまい」
 大影朧が他の影朧に目を移すと、それらは辺りに移動を始めて。
「逃げ場のない場所まで誘導しよう。奴を倒せば霊魂も消える、任せられるか?」
「おっ、協力してくれるの? オッケー、任せなー!」
 戦闘にならないならば、それに越した事はない。
 更には猟兵側に加勢すると言うのだ。
 気になった事を聞いただけのナオにしてみれば、兎に角ラッキーだった事だろう。

 複数の影朧と、大影朧を味方に付けた事により、獄卒の追跡が確実な物となった。
 後はその場所まで向かうだけ。時間に余裕はあるが、急いで向かうとしよう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

天野・白蓮
(アドリブ連携絡み歓迎)
(POW)
ちぇっ、『悪事千里ヲ走ル』ってそのまんまの意味
じゃねぇってのによ…。
(逃げあがく獄卒と、それを守る呪いを見ながら)
…で、その獄卒サマの腰巾着共は何で奴に従うのかね。
「影朧」に呼応されたかい?それともなんぞ獄卒サマに惹かれたかい?
どっちにしてもだ…、放って置くのも縁起悪い…。
未練がましく残さないで、桜の下に浄化してもらおうか!

【選択UC】で金剛刃に霊力と『破魔』を纏わして
潰撃の腕は『見切り』、返す刃で『カウンター』
狙うは呪いの根源・【邪心】、それを斬り捨てる

『祝清(しゅくせい)!』(斬り捨てながら)
(※殺して罰するでなく、桜の【祝福】の下に【清める】と言う意味)



 平坦な地形ならば、獄卒の足は速い。
 特に障害物の少ない港では、少女を抱えた状態でも相当なスピードを出している。
「ちぇっ、『悪事千里ヲ走ル』ってそのまんまの意味じゃねぇってのによ……」
 しかし、白蓮の速度はそれを上回る。
 徐々に距離を詰めて行くが、脇道からガトリング弾が発射されて。
 すぐに動きを止め、木刀を構える。
「……獄卒サマの腰巾着共は何で奴に従うのかね」
 ぞろぞろと現れる影朧達。
 脇道からもそうだが、建物の上や海の中からも次々と。
 そうして白蓮は、あっと言う間に囲まれてしまった。


 影朧に呼応されたか、獄卒に惹かれたか。
 彼等の思惑はどうであれ、このまま放って置くのも良くはない。
「神仏の影朧ってのも縁起悪い。未練がましく残さないで、桜の下に浄化してもらおうか!」
 呪われし力に汚染されているが、未だに神性を保っている影朧。
 シュッと二本の木刀を振るって、空気を斬り裂く。
 傷一つ無い、美しさすら感じる霊樹の剣。
 見る者を圧倒させるそれは、影朧達に何かを感じさせて。
「我等に聖剣、か……。我等も落ちぶれた物よ」
 元は神仏を祀る存在。
 それを聖なる木刀で鎮めようと言うのだから、中々に皮肉が効いている。

 辺りに現れる無数の腕は、白蓮を拘束せんが為に次々と迫り来る。
「邪魔だッ!」
 破魔の力を宿した木刀『金剛刃』を振るえば、それらは容易に浄化されて。
 持ち前の反射神経を駆使して回避を行えば、無数の腕と言えども捉え切れない。
「やりおるな……ッ!」
 一気に影朧の前まで突破するが、影朧もすぐに反撃に移る。
 直接拘束しようと突き付けられた腕は、またも金剛刃に斬り払われて。
 そのままの勢いで刀を返し、影朧の身体に渾身の一撃を叩き込む。

 ――ズドォッ!

 叩き込まれた一撃は、影朧の邪心を斬り裂く、聖なる力。
 影朧を縛っていた呪いの根源を、ただの一太刀で消し去ってしまって。
 そのまま、影朧の身体は光の粒となって消え去った。
「祝清ッ!」
 粛清……ではなく、祝清。
 即ち、桜の『祝福』の下に『清める』と言う意味を持つ言葉。
 穢れた魂を鎮めると、木刀を構え直して他の影朧達を見やる。
 全ての影朧を祝清してやろうと考えると、木刀をしっかりと握り直す。
「我等を救おうと言うのか。……ならば達成してみせよ、人の子よ」
 ある者はガトリングを。またある者は青い腕を、そして注連縄を構えて。

 かくして、白蓮による完全浄化の戦いが始まるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『獄卒将校』

POW   :    獄卒刀斬り
【愛用の軍刀】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    影朧軍刀術
自身に【影朧の妖気】をまとい、高速移動と【影朧エンジンを装着した軍刀からの衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    同志諸君!
【かつて志を同じくした帝都軍人】の霊を召喚する。これは【軍刀】や【軍用拳銃】で攻撃する能力を持つ。

イラスト:藤本キシノ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 逃げ惑う獄卒は影朧達の銃撃を受けて、知らず知らずの内に追い込まれて行く。
「な、何故だ。奴等が僕を攻撃してくるだと、何が起きている!?」
 自らの手下に襲われるとは思っても見なかったのか、かなり混乱している様子。
 そうして、港湾の桟橋付近にまで追い詰められる。
 周囲に船はなく、逃げ場も当然ない。

 そこに猟兵達が現れ、各々の武器を構えて。
「何という事だ……彼女と色々と会話する機会が、失われてしまうとはッ!」
 どうやら、拐った理由はただ会話がしたかっただけらしい。
 そこまで深刻という訳でもないが、無理矢理拐った事は当然ながら容認し難い。
 加えて、良いムードになったら、あわよくば……と言う気持ちもあったのだろう。
 獄卒の態度がそう物語っている。

 抱えていた少女を、戦闘の危害に加わり難い場所へと降ろして。
「見逃してくれないかっ! 欲しい物は何でもやるよッ!!」
 この期に及んで見苦しい態度を見せる獄卒。

 これ以上、彼の話を聞く必要もないだろう。
 叩き潰してしまおう。
鎧坂・灯理
欲しいものは何でもか
なら貴様の命をよこせ

わめくな見苦しい。会話するために攫うだと?
そうやってすぐ実力行使に出るような奴が他人を幸せに出来るか!
相手が己より弱く抵抗できないものだと知った上で力を振るいやがって、
貴様のような奴が結婚後に怒鳴り散らしたり手を上げたりするんだ
そんなものを愛とは呼ばん
故に此処で殺すからくたばれ

高速で踏み込み近接戦を挑む
軍刀は『玄武』で受け流し、カルラに顔目がけ炎を吐かせる
隙を見せたら『甪端』で足を引っ張り転倒させ、
『朱雀』を篭手に変形させ、胸部を全力で殴りつけつつUCを発動させる
心臓を壊せば動きも鈍くなるだろう
終わればすぐ退いて他の猟兵にパス


天野・白蓮
(アドリブ連携絡み歓迎)
(POW)
(元々崩して着ている学徒服の上半身を外し、木刀の一方を
地面に突き刺す、ヤの付く自由業的な姿で)
見逃せ、だとぉ?テメェ…調子いい口言ってんじゃねぇぞ。
テメェも将校なら、吐いた唾飲まんで責任取れや!

獄卒の軍刀に、敢て真っ向から破り…叩き潰す!
獄卒将校の放つ軍刀の一撃に対して、各種の動きを見て対応
『攻撃特化』なら『見切り』でかわす
『命中特化』なら防いで『カウンター』
『攻撃回数特化』なら、手を出させる前に『先制攻撃』
そしてその後は、その性根ごと…『UC』の一刀に斬り伏せてもらう

『粛清!』(こっちは文字通りの意味、救い様のない外道・悪辣を桜の祝福に返す気は毛頭ない為)



 ――ドスッ。

 地面に鋭い木刀『金剛刃』が突き刺さる。
 学徒服の上半身を脱ぎ捨て、ヤクザの様な風貌となった白蓮。
「見逃せ、だとぉ? テメェ……調子いい口言ってんじゃねぇぞ」
 口調もヤクザだ。何とかして逃げ出そうとする獄卒に対して、苛立ちを隠せない。
 もう一方の木刀『修羅刃』を獄卒に向けて。
「テメェも将校なら、吐いた唾飲まんで責任取れやッ!!」
「ヒィッ!」
 元は軍人、しかも将校クラスの者がこの有様。
 怯えた小動物の様に縮こまる様は、何とも哀愁を漂わせる。

「欲しいものは何でもか」
 灯理は何かを考える様に、手を顎に当てて。
 すかさず、獄卒の言葉が響き渡る。
「何でもやる! 僕の用意できる物なら何でもだッ!」
「そうか……なら貴様の命をよこせ」
 『え?』といった表情になる獄卒。
 バキバキと手を鳴らして、敵に近付く灯理。
「ま、待ってくれッ! 命は駄目だッッ!!」
「わめくな見苦しい。会話するために攫うだと? そうやってすぐ実力行使に出るような奴が他人を幸せに出来るか!」
 至極当然とも言える言葉。
 相手が自分よりも弱く、抵抗できないと知った上での行動。
 更には、気絶させると言う暴力。
「貴様のような奴が結婚後に怒鳴り散らしたり手を上げたりするんだ。そんなものを愛とは呼ばん、故に此処で殺すからくたばれ」
「そ、それは偏見では……?」
 しかし、どことなく説得力のある言葉だ。

 そして白蓮と灯理は、獄卒に向けて駆け出した。


 先に獄卒の元へ辿り着いたのは、灯理だ。
 当然、軍刀で振り被って反撃をして来る獄卒。
 それをアタッシュケース『玄武』で受け流してしまって。
「そこだ、カルラ!」
 火の力を持った小竜カルラが、獄卒の顔へと炎を吹き掛ける。
 灯理の機嫌によって色が変化する炎――その色は、恐ろしいまでに真っ赤な色で。
「ぎゃああっ! 僕の顔がぁッ!」
 大きく仰け反って、そのまま数歩後ろへと下がって。
 その隙を狙った、白蓮の追撃が放たれる。
 片手で顔を抑えつつも、獄卒は軍刀を振り回す。

 ――ギィンッ!

 不安定な体勢から放たれた軍刀の一撃は、白蓮の修羅刃によって弾かれて。
 即座に放たれたカウンターの突きが、またもや獄卒の顔に突き付けられる。
「ぐおっ……!」
「まだだッ!」
 続けて喉元、鳩尾に放たれる連続突き。
 最後に丹田へと渾身の一撃が叩き込まれて、獄卒の身体を吹き飛ばした。

 吹き飛ばされた獄卒は突如として体勢を崩し、地面に頭を叩き付けてしまう。
 彼の足元には、灯理の長髪『甪端』が張られていた。
 術式を用いて超常の器具と化した髪は、この様に扱う事も可能なのだ。
 痛みで転げ回りつつ、頭を抑える獄卒。
 そんな彼を篭手に変形させた『朱雀』を構えた灯理が、足で押さえ付けて。
「覚悟を決めろ、ド変態」
「ま――」
 獄卒が何かを言い終えるよりも速く、朱雀を振り被って。

 ――ズドォッ! ズダンッッ!!

 殴打音と銃撃音。
 胸部に全力で打ち込まれた朱雀は、豪腕による一撃と強烈な銃撃。
 更に防御無視の破砕念波による三重の攻撃で、獄卒の心臓を砕いてしまう。
「がはっ……ぐおおぉッッ!!」
「ちぃ、まだ動けるか!」
 それでも撃破には至らず、獄卒は軍刀で反撃を行って。
 灯理はすぐに後ろに跳んで躱して、そこから離れる。
「よ、よくも僕の身体を……この、アバズレがぁぁぁッッ!!」
 遂に本性を見せた獄卒。
 綺麗に整った顔立ちも、今や怒り狂った獣の如き表情だ。

「救い様のない外道だな。だが、それもここまでだぜ」

 直後に、獄卒の後ろから聞こえる白蓮の声。
 それを聞くと、すぐに高速の軍刀連撃を叩き込もうとするが……。
 既に白蓮の攻撃準備は整っていた。
 修羅刃の振り下ろしが、獄卒の軍刀を圧し折って。
「馬鹿な――」
「骨だろうと鉄だろうと、斬る覚悟の一つで簡単に斬れるんだよ……粛清ッ!!」
 今度は文字通り、悪辣なる者を斬り裂くだけの裁きの一撃。

 ――ザンッ。

 横に薙がれた修羅刃は獄卒を強打し、吹き飛ばして。
 見事、獄卒に致命の一撃を与えたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

尾崎・ナオ
やっぱクズじゃんー。

【指定UC】でスピード勝負!
アンタは、高速移動と軍刀衝撃波。
ナオちゃんは、スピードと反応速度が爆発的に増大。

ひっひひ、煽りつつ交わしてやんぜー!
え?見えてるぅ?当たってないよぉ?
ご自慢の衝撃波(笑)はどこですかぁ??
あはは、移動でしか回避できないんだぁ?
クイックドロウ避けつつ移動するの大変だねぇ。
てか、そっち戦闘終了まで命削るの?
ナオちゃん解除したら大丈夫なんだけど。
大変だねぇ、寿命もつぅ??

魂ってあれか。“かつて志を同じくした帝都軍人”?
という事はムカデさん(仮名)もそうなんで?
いや、でも“元は神仏を祀る存在”とかあったな。
最後に教えてくれない?
なんか気になっちゃった。


愛久山・清綱
止まれ、弩助平将校。此れより刑を執行する。
……とはいえ、「永遠の眠り」を与えるわけではない。
あの者たちと同じ「影朧」の其方なら、分かるだろう?
■闘
将校の荒魂を祓うぞ。
神に仕える身(巫)である以上、救える魂は救うべし。

先ず、将校が振るう刀の軌道を【野生の勘】で予測しつつ
【見切り】、タイミングよく【武器受け】する。
受け止めたら【怪力】を持って押し返し相手の態勢を崩す。

好機が来たらもう一度刀に【破魔】の力を宿して非物質化、
その荒魂を【夜見・改】で討ち祓う。

其方は何れ、桜の癒しを受け新たな命を授かるだろう。
故に、今は眠るのだ……
(助平に生まれ変わらなければいいのだがな)

※アドリブ歓迎



「やっぱクズじゃんー」
「ク、クズだと……!」
 ナオの思っていた通りだった。
 自らの欲望の為、か弱き少女を拐う……とても許せる物ではない。
 獄卒は二度の致命傷を受けながらも、未だ健在だ。
 よろよろとしながら逃げ場を探すが、そんな物はない。
「止まれ、弩助平将校。此れより刑を執行する」
「ど、弩助平だとぉッ……! 巫山戯るなッッ!!」
 キレる獄卒だが、やった事がアレなのだ。そう言われるのも無理はない。

 永遠の眠りを与えるのではなく、荒魂を祓って桜の元に還す。
 神に仕える身である以上、救える魂は救うという清綱の信条。
 そう心に決めると、『今刀』を構えた。


 既に大きな傷を負っている獄卒だが、それでも戦闘能力は高い部類だ。
「ハアァァァッッ!!」
 影朧の妖気を纏い、折れた軍刀に影朧エンジンを装着する事で戦闘能力を増大。
 特に速度を重視した凄まじい力を得て。
「ひっひひ、可愛いナオちゃんのテクニックを見せてやんぜー!」
 スピード勝負となるならば、そこはナオの得意分野。
 自画自賛をする事で、速度に関するあらゆる能力を強化した。

 強化された者同士の戦いだが、両者には決定的な違いがある。
 それは、傷を受けているか否かだ。
「え? 見えてるぅ? 当たってないよぉ?」
 互いに万全の状態ならば、どうなるかは分からない。
 しかし、手負いの状態でナオを相手に速度で勝てる道理もなく。
 軍刀による剣閃も、影朧エンジンから現れる衝撃波も、難なく躱されてしまう。
「ご自慢の衝撃波はどこですかぁ??」
 折れた軍刀では完全な力を出し切れない事もあり、一撃も攻撃を与えていない。
 爆笑しながら攻撃を躱しつつも、ナオの早撃ちが放たれて。
 獄卒もまた、強化した身体能力で必死で回避を試みる。
 だが、手負いの状態で避けきれる筈もなく、徐々に命中し始めて。
「こ、こんな事が……!」
「あはは、移動でしか回避できないんだぁ? 大変だねぇ、寿命もつぅ??」
 ナオは徹底的に煽り続ける。

 ――タタンッ!

 両脚に銃弾が撃ち込まれ、獄卒の動きを封じて。
 動きを止めたタイミングに、清綱の今刀が迫る。
「う、うおおおッッ!?」
「甘いッ!」
 動けない状態からの、腰の入っていない軍刀の一撃。
 当然ながら、清綱にそんな物が通用する筈もない。
 折れた軍刀の軌道を見切り、今刀で受けて。

 ――キィン!

 受けた軍刀を、高い技巧からなる剣技で弾き飛ばして。
 軍刀はそのまま海の中へと落ちてしまった。
「あ、あああああっ……!」
 武器を弾かれて絶望する獄卒。
「うっわぁ、可哀想ー! 何も良い所なく終わっちゃうんだねぇー!」
 そこにナオの追撃。
 最早、獄卒に怒る気力もなく、膝を付いてガクリと項垂れてしまった。 

 清綱は今刀に破魔の力を宿すと、霊剣に変化させて獄卒に近付いて。
「あ、聞きたい事があるんだけど、魂ってあれか。“かつて志を同じくした帝都軍人”?」
 ナオが軍人に問うと、割と素直に口を開き始める。
「ああ……元は僕の同僚達だ」
「という事はムカデさんもそうなんで?」
 先程の影朧達。彼等も獄卒と関係するのか。
 もう聞く機会もないので、聞いてみると……。
「奴等は僕達とは別物だ……上手く利用してやるつもりだったのに」
「あー……やっぱりクズだったんだねぇ。……あ、ごめんごめん。トドメどうぞ」
 聞く事は全て聞いた。
 後は清綱の霊剣を待つのみだ。
「さあ、その荒魂……祓わせて貰うぞ」
 白く輝く霊剣を上段に構えて、持てる破魔の力を全て注ぎ込んで。

 ――ズバァッ!

 解き放たれた、最大威力の夜見。
 霊魂が完全に断たれて、獄卒の魂の輝きが辺りに散らばって行く。
「其方は何れ、桜の癒しを受け新たな命を授かるだろう。故に、今は眠るのだ……」
 獄卒の肉体も光の粒となり始めて、最終的には完全に姿を消してしまって。
 次の生では助平にならない事を祈りつつ、清綱は最後まで光を眺めていた。


 そうして猟兵達は獄卒を倒し、少女を救い出す事に成功した。
 一先ずはこれで、今回の依頼は達成された。
 しかし新なる世界サクラミラージュには、まだまだ多くの依頼が存在する。
 引き続き依頼を受けて、帝都に渦巻く影朧達を浄化し続けるとしよう。
 全ては、帝都の平和の為に――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年10月06日


挿絵イラスト