9
六花埋葬奇譚

#サムライエンパイア #挿絵

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#サムライエンパイア
#挿絵


0




 今はもう、誰も訪れることの無いお社に、儚き雪が降り注ぐ。色褪せた朱塗りの鳥居も、苔むした石段も――冬枯れの木立も全てが真白に覆われて、静謐な空気がじぃんと辺りに漂っていった。
 ――ああ、きっと。其処に染み付いた痛ましい過去の記憶さえも、六花の群れが優しく包み込んでいく筈であったのに。
「……ふむ。実に興味深い」
 ふと、鈴を転がすような声が、静かな境内に波紋を生んで。愛らしい相貌を、狡猾さで歪ませた少女――忌まわしきオブリビオンは、白の世界を侵食するかのように妖しの術を行使し、此の地の無念を呼び覚ます。
(「憎しみに濡れた魂よ、報復せよ。憎悪の赴くままに災厄を撒き散らすが良い」)
 ぼう、と辺りに鬼火が灯り、次から次へと現れたのは首の無い妖狐の群れ。黄泉路を渡って来た彼の存在は、生者への憎悪を募らせ、喰いちぎられた己の首を探し求めるかのように――石段を駆け下り、人里目掛けて侵攻を開始する。
「さて、如何なる物語が紡がれるのか。如何なる知識が蒐集できるのか」
 ――楽しみなことよ、と微笑む少女の背後には、妖狐の青年が幽鬼の如く佇んでいて。舞い散る雪は、ただ静かに、辺りを白く染め上げていった。

 新年も明けてめでたい祝日が続いているが、オブリビオンの侵攻はゆっくり休む暇も与えてくれないらしい。困ったものだね――とぽりぽり頭を掻く篝・燈華(幻燈・f10370)だったが、グリモア猟兵として居住まいを正し、直ぐに依頼の説明へと移る。
「場所は、魑魅魍魎や妖怪変化が跋扈するサムライエンパイア。その世界の、或る長閑な里が妖狐の群れに襲われるんだ……」
 自身も妖狐である燈華は、人間に好意的なものも多い同族が事件を起こすとあって、気が気でない様子だ。狐耳をへにょりと垂れさせつつも――どうやら彼らは生前惨い殺され方をしたらしく、憎しみに濡れてひとびとを襲うようだ、ときっぱりと告げる。
「妖狐たちは鬼火を纏っていて、あと……首が無いから、直ぐに分かると思う。彼らは丘の上にあった社から、真っ直ぐ人里へ向かって降りてくるから、集落に辿り着く前に倒して欲しいんだ」
 ――数が多い為、侵攻を許してしまえば被害は避けられないと燈華は言って。それに、どうやら彼らを甦らせた黒幕も、背後に居るようなのだと付け加える。
「多分ね、今まで妖狐たちは社に祀られていたと思うんだ。でも、そんな彼らを焚きつけた存在が高みの見物を楽しんでいる……」
 グリモアによる予知では、それは少女の姿をしたオブリビオンなのだと言う。妖狐の青年を従えた少女は恐らく、器物に魂が宿ったヤドリガミ――配下である妖狐の軍勢を退治していけば、興味を持った彼女自ら姿を現すことだろう。
「あ、それとね! 丁度今は新年のお祭りだし、みんなが事件を解決すると、村のひと達がおもてなしをしてくれるみたいだよー!」
 美味しい食べ物を振る舞ってくれたり、茶道や書道、着物の着付けと言った和の文化を体験出来たり――それはサムライエンパイアの文化に触れる、良い機会となるだろう。けれど、そんなに堅苦しく考えなくても、地元のひとびとと交流をしたり、仲間たちとわいわい楽しんでも良い。
「丁度里には雪が降っていて、綺麗な雪景色も楽しめると思うよ。……辛い過去を忘れずにいることも大切かも知れないけど、今を侵食するのを黙って見ている訳にはいかないから、どうかみんなの力を貸して欲しい」
 ――憎しみに囚われた過去をどうか、骸の海へと返して。そう言って燈華は、雪降る里へと猟兵たちを誘うのだった。


柚烏
 柚烏と申します。新年明けましておめでとうございます! 今年も『第六猟兵』の物語を、皆様と一緒に紡いでいけたらと思っております。
 今回の舞台は、和の香りが漂うサムライエンパイア。人里を襲う妖狐の群れを退治し、彼らを操る黒幕のオブリビオンを倒すのが目的となります。丁度新年のお祝いで里も賑わっていますので、無事に戦いが終われば村の皆さんがおもてなしをしてくれますよ!
 年始の時期ですので、プレイングの受け付けはゆっくりと、また頂いたプレイングを可能な限り採用したいと思っておりますので、相談などをしつつ楽しく行動を考えてみて下さい。
 お楽しみ要素も大きい依頼ですので、やや判定は緩めに。出来れば雪景色も絡めつつ、心情や雰囲気も重視出来たらと思っています。それではよろしくお願いします。

●グリモア猟兵の燈華は、第3章の日常シーンにのみ、呼ばれれば顔を出させていただきます(呼ばれない限りは出てきません)
235




第1章 集団戦 『憎しみに濡れた妖狐』

POW   :    神通力
見えない【波動】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
SPD   :    鬼火
【尻尾から放たれる怨嗟の炎】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    心眼
【常に相手の思考を読んでいるかのように】対象の攻撃を予想し、回避する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

リンセ・ノーチェ
【Folklore】の皆と戦うよ。猟兵皆とも連携
憎しみ、辛い記憶を利用するなんて、許したらいけないって思う
ユーベルコードで友達フォルテに【騎乗】し敵に向かう
「頼むよ、フォルテ」
サヴァーさんやユーンさんのいる後方に敵が抜けて行かない様注意しつつ
スピードと小回りを活かし敵の攻撃を【見切り】回避し
精霊銃で【2回攻撃】を撃ち込んで行き敵軍を翻弄するよ
戦いが進めば、僕の一手で倒せる負傷具合の個体も出てくるから
見逃さず優先的に撃ち抜き数を減らしていくね
「おやすみなさい…」
後がないか後を気にしなくて良い時はエレメンタルロッドで【全力攻撃】を叩き込む
「魔法よ躍れ、躍り狂え!」

庇って貰ったり回復には御礼を言うね


サヴァー・リェス
【Folklore】の皆と、戦う…他の猟兵とも、可能な限り、連携、を
そう、ね…心揺らさず、おだやかな、ねむりへと…還す
「リンセ、気を、つけて」
彼がユーンや私から敵を引き離していく…
私達は、可能な限り後方…里に近い方…から、彼や皆を攻撃支援、する
リンセの盲点になっている様な、敵がいたら…、彼が危ないから…
そんな個体を優先し、ユーベルコードで攻撃…
私のわざは、複数攻撃が、可能…、できるだけ多くの、敵を、巻き込む
「小さな幸せ、呼ぶために。すずらんに抱かれて、みんな…おやすみ」
ずっと同じ位置では、敵に狙われる…息切れしない程度に、移動し
リンセ、ユーン、私、皆への攻撃…【オーラ防御】で、守れるだけ、守る


ユーン・オルタンシア
【Folklore】の皆様と戦います。他猟兵とも可能なら連携を
リンセとサヴァーの絆は頼もしく、私もお二人と戦う事に慣れて参りました
「ええ…眠れる者を憎悪に呼び醒まし操ること、許す訳には参りません」
リンセが私達を守る様に動いてくれます、サヴァーと私は可能な限り後方から支援
私のユーベルコードは単体攻撃ゆえサヴァーやリンセの狙う敵に重ね攻撃し
敵数を確実に減らしていきましょう
「神の奇蹟、邪悪を討つ光となり給う、いざ」
敵に狙われぬ様に適宜移動しつつリンセを見失わない様に注意
リンセや他の猟兵の攻撃の好機には
ロングボウの【援護射撃】で敵群を怯ませより大きな好機へと繋げます
「不肖、お力添えを。行ってください」



粉雪舞う異郷の里を目指し、ゆらゆらと不気味な鬼火が迫って来る。音もなく石段を駆け下りてくるのは、首の無い妖狐の亡霊たちで――そんな彼らの姿を、色違いの双眸に映したリンセ・ノーチェ(野原と詩と・f01331)は、髭をひくつかせて雪の欠片を払いつつも、真摯な声音で告げた。
「……憎しみ、辛い記憶を利用するなんて、許したらいけないって思う」
「そう、ね……心揺らさず、おだやかな、ねむりへと……還しましょう……」
 リンセの声に応えるサヴァー・リェス(揺蕩ウ月梟・f02271)の姿は、ともすれば白銀の世界に溶けていきそうなほど儚げに見えたけれど。天の御使いたる乙女は、真昼に浮かぶ月の如く、確かに其処に在り――大切な仲間たちを守ろうと、神秘を紡ぐのだ。
「よし、頼むよ、フォルテ」
 ――不可能を、可能に! 奇跡をなす友、勇猛なヒポグリフを召喚したリンセは、彼に騎乗すると同時に妖狐の群れへと向かって行く。
(「リンセ、気を、つけて」)
 得意の機動性と小回りを活かして敵を撹乱し、放たれた鬼火も見切って躱すリンセを援護するように、後方からサヴァーの呼んだ鈴蘭の嵐が妖狐たちを斬り裂いていって。そんなふたりの絆を頼もしく見つめるユーン・オルタンシア(森の声を聴く・f09146)もまた、天からの光を指先から放ち、確実に敵を仕留めていこうと動いた。
「ええ……眠れる者を憎悪に呼び醒まし操ること、許す訳には参りません」
 首の失われた惨たらしい姿となって、憎しみに濡れる妖狐たち――きっと彼らは、立ち塞がるもの全てが仇だと思っているのかも知れないが、ユーン達の背後には今を精一杯生きる、里の者たちの暮らしがあるのだ。
「神の奇蹟、邪悪を討つ光となり給う、いざ」
 彼の金糸の髪が陽光に煌めき、更なる光が標的を貫こうと迫るものの――心眼を駆使した妖狐は、ひらりと身を躱してリンセの守りを突破しようと突き進んできた。
「させない、フォルテ……!」
 しかし、このまま抜かせはしないとフォルテが追い縋り――直後、リンセの構える精霊銃が唸りをあげる。立て続けに撃ち込まれた魔法弾が妖狐の行く手を阻む中、その隙に態勢を整えたユーンが距離を取り、長弓を構えて迎撃の矢を放った。
(「……皆は私が……守れるだけ、守る……」)
 足を止めては格好の的になる――間合いを計りつつサヴァーは白の戦場を駆け、光の障壁を生み出して妖狐の炎から仲間たちを庇っていって。ありがとう、と御礼を言ったリンセにちいさく頷いた後で、彼女は貴石を散らした梟の風切羽を無数の花弁に変え、妖狐の群れを纏めて薙ぎ払った。
「小さな幸せ、呼ぶために。すずらんに抱かれて、みんな……おやすみ」
 祈るようなサヴァーの囁きが、透き通った冬の空に吸い込まれていく中で――数を減らした妖狐を一気に蹴散らすべく、精霊杖を手にしたリンセが全力で魔力を解き放つ。
「魔法よ躍れ、躍り狂え!」
 ――まるで雪に溶けるようにして、静かに掻き消えていく妖狐たちの亡霊。これで彼らの襲撃の第一波はやり過ごせただろうか――後へと続く仲間たちに好機を与える為、援護射撃を行うユーンは、敵群が怯んだ隙に素早く告げる。
「不肖、お力添えを。行ってください」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユハナ・ハルヴァリ
…痛かったんだろうな
でもね、君たちの無くし物は
此処にはないんだよ
ねえ、その憎しみの気持ちも全部
海に還してしまおうね
手伝うから

里側から真っ直ぐ妖狐の群れに向かうよ
逃さぬ様に、零さぬ様に
他のみんなとも協力して一体ずつ着実に倒す
塞き止める様な陣形が取れたらいいかな

基本的には回復支援と敵の動きの観察・予測
周りに伝えて効率よく動けるように
みんなの位置が見えやすいところに出来れば居たいな
BS重ね掛けされてる人から優先的にシンフォニックキュアを
だいじょうぶ、支えるからね
倒れそうな人は庇う
回復不要なら攻撃行動へ

君たちを起こしたひと、きっと見つけるよ
だからまた、眠ろうね
おやすみ。
だいじょうぶ。
忘れないからね。


一文字・八太郎
年明けの目出度き時に、唆されて目覚めたか
だが今を生きる者達を殺したところで貴殿らの首は戻らん
哀れなその思い、ここで止めさせてもらうでござる

神通力を喰らわぬように
戦闘中は一箇所にとどまることは避けるでござる
敵の背後に回れるのであれば僥倖

攻撃の際は小回り効く体躯を活かし
【剣刃一閃】にて地を駆ける足の切断を狙っていこう
前へ進めなければ人々を襲う事も出来まい
とはいえ今以上の憎しみや苦しみを与えるのも本意ではござらん
仕留められるようであれば連撃狙いて、狙うはその腹
その命を切断してみせんとす
けれどもし他の猟兵達に任せられるならば任せる

憎しみの中にいるだけも辛かろうな
ならば今一度、六花の下にて眠るといい


三嶋・友
首無し妖狐、か
惨い殺され方をして、その憎しみ故の侵攻ならば、一概に責める事も出来ないよね
社に祀られたところで、そんなの生者の勝手でしかない
だけど
本来その憎しみを向けられるべきは今の里の人ではない筈で
その憎しみを焚きつけて、悲劇を楽しんでいる者だけは許せない

だから、止めるよ
今だけはその憎しみ、私が受け止めるから
これ以上憎しみ苦しむ必要なんてない
全て海へ返して、終わりにしよう

晶花に風の魔力を纏わせて攻撃力を強化
全力で斬りつけていく
波動を放つ隙なんて与えないよ
遠い間合いなんて取らせないから…ッ!

(風が周囲の雪を巻き込んでさながら雪纏う剣となり)風よ!雪よ!
どうか憎しみの炎を吹き消して…ッ!


浮世・綾華
(嗚呼、可哀想な奴等だ)
今回の話を聞いたはじめの思考がそれ
白色が覆う世界に朧に存在する灯りをみれば

首、落とされちまったのか?
煽るように呼び掛けて敵を惹き付けるよう【誘惑】
可哀想だ。でもそりゃあ関係ないヒトらを
傷つけて良い理由にはなんねぇの
(どうか、憎しみだけに呑まれるな)

攻撃は【なぎ払い】や【フェイント】でさけ
威力を利用した【カウンター】を狙う

赦せとは言わねーけどさぁ
此処は大人しく消えてくれ
このままじゃお前らは利用されるばっかだ
黒幕がいるんだろ?

【菊花の舞】
(これは、手向けだ
憎しみも苦しみも無に返せとは言わねぇ
でも、楽になれ)

俺がお前らを供養してやる
(愛してやるから)

――どうか、花と散れ



「……年明けの目出度き時に、唆されて目覚めたか」
 おお――と啜り泣く風が木々を揺らす中で、一文字・八太郎(ハチ・f09059)は、そっと瞑目しつつ吐息を零す。憎しみに濡れた妖狐が一体、また一体と里に近づいて来るのを阻むべく、身の丈を越える刀を操る彼は――きり、と金色の瞳を見開くと同時に大地を蹴った。
「だが、今を生きる者達を殺したところで貴殿らの首は戻らん。……哀れなその思い、ここで止めさせてもらうでござる」
 ――粉雪を舞わせ、陽光に煌めく刃が狙いを定めたのは、妖狐の足。地を駆ける術を断たれた一体が、その間際に神通力を発動させるが――ケットシーの剣豪は小回りの利くその体躯を活かし、直ぐに別の妖狐の背後へと回り込んで難を逃れた。
(「前へ進めなければ、人々を襲う事も出来まいが……」)
 しかし、今以上の憎しみや苦しみを与えるのは本意では無いとは言え、八太郎ひとりで全てを無力化させるのは骨が折れる。
「よお、首、落とされちまったのか?」
 ――と、其処で。白の世界にふっと、菊花が舞う唐紅の羽織が揺れて、続く黒鍵の刀が妖狐を薙いだ。彼らを煽るように、蠱惑的な笑みを浮かべる浮世・綾華(美しき晴天・f01194)は、八太郎に軽く目配せをするとそのまま敵を惹きつけるべく動く。
「可哀想だ。でもそりゃあ関係ないヒトらを、傷つけて良い理由にはなんねぇの」
(「嗚呼、本当に……可哀想な奴等だ」)
 それが、今回の話を聞いた綾華が真っ先に考えたことで――その想いは、白色が覆うこの世界に朧に存在する灯りを見れば、間違ってなどいなかったのだと実感出来た。
「赦せとは言わねーけどさぁ、此処は大人しく消えてくれ。このままじゃお前らは利用されるばっかだ。……黒幕がいるんだろ?」
 なあ、と首無し妖狐に語り掛ける綾華だったが、此方の声が届いていないのか――それとも言葉を解する理性すら失くしたのか、妖狐の群れは殺意を滲ませながら一行に襲い掛かってくる。
「危ない……下がって」
 ――その時、凛とした意志を声に乗せて、星の輝きを思わせる旋律が辺りに響いた。神秘の歌を響かせるユハナ・ハルヴァリ(冱霞・f00855)は、戦場を見渡しながらも傷ついた者を癒し、妖狐たちの心眼に対抗して行動を決めていく。
(「だいじょうぶ、支えるからね」)
 銀糸の髪を靡かせて雪原に佇むユハナは、まるで雪の妖精にも思えて――そんな彼女の歌に背を押された三嶋・友(孤蝶ノ騎士・f00546)が、極光の剣を手に妖狐の群れへと斬り込んでいった。
「……首無し妖狐、か。惨い殺され方をして、その憎しみ故の侵攻ならば、一概に責める事も出来ないよね」
 ――幾ら社に祀られたところで、そんなの生者の勝手でしかないだろう。けれど、その憎しみを向けられるべきは、今の里の人ではない筈だし――真に憎むべきは、その憎しみを焚きつけて悲劇を楽しんでいる者である筈だ。
(「そう、そいつだけは許せない」)
 世界を救うなんて大それたことは柄じゃないけど、ついでに考えるのも正直面倒臭かったりするけれど、困っている人が居れば放っておけないのが友なのだ。
「だから、止めるよ。今だけはその憎しみ、私が受け止めるから……!」
 風の魔力を纏わせた極光剣――晶花の刀身が、その色彩を変えていく中で、攻撃力を高めた友は全力で妖狐を斬りつけていく。相手に波動を放つ隙も与えず、ひたすらに間合いを詰めながら。
(「それでも、叶うならどうか……憎しみだけに呑まれるな」)
 一方で、綾華は巧みなフェイントを交えて妖狐の攻撃をあしらい、その威力を利用した痛烈な一撃を見舞っている。確実に仕留められるその瞬間を狙って、八太郎の連撃が獲物の腹を貫き、遂にその命を断ち斬った。
「……憎しみの中にいるだけも辛かろうな。ならば今一度、六花の下にて眠るといい」
 ――痛かったんだろうな。でもね、君たちの無くし物は此処にはないんだよ。次々と雪の中に崩れ落ち消滅していく妖狐の群れへ、ユハナの声が鎮魂歌となって響き渡る。
(「ねえ、その憎しみの気持ちも全部、海に還してしまおうね。手伝うから――」)
 優しく語り掛けるような歌声は告げる――君たちを起こしたひとを、きっと見つける。だからまた、眠ろうね、と。
「これ以上憎しみ苦しむ必要なんてない。全て海へ返して、終わりにしよう」
 ――そう言って、風の魔力を宿した剣を振りかざす友の表情は、舞い散る雪に隠れて良く見えなかったけれど。周囲の雪を巻き込んで輝きを増す晶花は、さながら雪纏う剣となり――吹き荒れる冬の嵐の中で、綾華の黒鍵が無数の花弁へと変わり、散りゆく魂に菊花の舞を捧げていった。
「これは、手向けだ。憎しみも苦しみも無に返せとは言わねぇ、でも……せめて楽になれ」
「風よ! 雪よ! どうか憎しみの炎を吹き消して……ッ!」
 綾華と友の祈りが、六花の煌めきと共に世界を震わせて。そして――夢幻の内に嵐が収まると、辺りに居た妖狐は全て消滅していた。
(「俺がお前らを供養してやる……愛してやるから」)
 ――どうか花と散れと、最後に綾華が呟いた後。ユハナはそっと、静寂を取り戻した戦場を振り返って頷く。
「おやすみ。だいじょうぶ。……忘れないからね」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

イア・エエングラ
こんこん、一緒に、遊びましょうな
僕も混ぜて、くださる、かしら

ふわりふわり落ちる白は立ち上る泡のようね
僕の指では触れたとて、溶けないけれど
――ね、これを荒らすのは勿体なくて
お祝いに乱入は無粋よう。だから、ここで満足なさってねぇ

おいでおいで、リザレクト・オブリビオンでお呼び立て
読んで避けるとて一度に幾つか向くなら避け難いかな
空振りばかりもつまらないもの
なるべく一緒の子を狙って数を減らして、いきましょうね
当たらないなら黒糸威のがまだ当たりやすいかしら
沢山いるならぐるっと囲まれないよに、したいねぇ

お顔もないの、お話しできないのは残念ね
怒っているかしら哀しいかしら
全部まっさらに、還しましょうな


リル・ルリ
■櫻宵(f02768)と同行
アドリブ、他PCとの絡み歓迎

「雪に神社に、とても綺麗だね、櫻宵。悪くない」

清廉なこの雰囲気も冴える寒さも初めてだと
雪と戯れるように尾鰭を翻し
櫻の龍へ微笑みかける

「大丈夫さ。そう簡単には凍りはしないよ?僕は寒さに強いんだ。それに
凍えたら君が温めてくれるんでしょう?」
なんて
困り顔の君を揶揄うのも楽しいけれど
かの厄災達は待ってはくれないようだ

「櫻宵。お願いね」
足を引っ張らぬように【野生の勘】【空中戦】で攻撃を躱して
【歌唱】を活かした【サウンドオブパワー】で儚き雪の日と追憶の思い出、新たなはじまりを祝う歌を歌い支援する

美しい雪を美しいままに見ていたい
勿論、君の美しい桜、もね


誘名・櫻宵
🌸リル(f10762)と一緒に

あら、リルは雪降る神社も初めてなの?良かったわ、気に入ってもらえて!
雪と戯れ揺蕩う目前の人魚は悔しいけれどとても綺麗で

見蕩れた
なんて内緒

でもあなた、はしゃぎすぎて冷凍される、なんてないようにしなさいよ?
…温めてあげてもいいけど照れくさいわね!

あら
新年早々
祝いの場に呪いだなんて
いけない子
何より美しくないわ

リルの歌に本当に綺麗ねと零し
確かに込み上げる力に感謝を
敵の攻撃を見切りながら
破魔の力を込めて何度も斬りこんでいく
生命力吸収できたらめっけもの
彼への攻撃はかばい、敵は衝撃波を込めた『絶華』で斬り伏せる

美しい物をもっとリルに見せてあげたいの


アドリブや他PCとの絡み歓迎


海月・びいどろ
過去に降り積もった憎しみは、どれ程のものなのだろう。
たくさんの狐達の足跡も、今や白い雪に覆い隠されているのかな…。

感情のデータはどれも不足だけれど
真白な雪を他の色で染めさせてはいけないよね。

エレクトロレギオンで海月型の機械兵器を召喚。
数には数を、技能の迷彩、フェイントなどの恩恵あれば
雪に紛れるように操作して、囲んだり、
回り込んだりして一体一体確実な撃破を目指すよ。

キミたちのさがしものは、きっと行く先には無いの。
…さあ、こっち。ボクはここ。
時間稼ぎに隠した海月たちが、上手く踊ってくれると良いけれど。



――朽ちた神社を臨める丘近く、雪化粧を施された景色の中で、うつくしき人魚が花綻ぶように微笑む。
「雪に神社に、とても綺麗だね、櫻宵。悪くない」
 雪と戯れるように尾鰭が翻り、螺鈿細工の煌めきを辺りに振りまく中――あら、と華やいだ声を上げたのは誘名・櫻宵(誘七屠桜・f02768)だ。
「リルは雪降る神社も初めてなの? 良かったわ、気に入ってもらえて!」
 桜の古木を思わせる角を持つ美女――もとい青年は、傍らで白い息を零すリル・ルリ(瑠璃迷宮・f10762)の姿に、思わず見惚れてしまったものの。
「……でもあなた、はしゃぎすぎて冷凍される、なんてないようにしなさいよ?」
 ああ、悔しいけれどとても綺麗――なんて言葉をそっと仕舞い込んで、冗談めかして櫻宵は囁く。けれどリルは、清廉なこの雰囲気も冴える寒さも初めてだと呟きつつ、大丈夫と頷いて冬の空気を吸い込んだ。
「そう簡単には凍りはしないよ? 僕は寒さに強いんだ。それに」
 ――凍えたら君が温めてくれるんでしょう? と問うリルへ、照れくさいと返しつつも櫻宵は何処か楽しそうで。このまま揶揄うのも良いけれど、どうやら彼の厄災達は待ってはくれないらしい。
「あら……新年早々、祝いの場に呪いだなんていけない子。……何より美しくないわ」
 鬼火と共に現れた、首無し妖狐の群れを見つめる櫻宵が肩を竦めるも、刀を抜く仕草は手慣れたもの。お願いね――とそんな彼に声を掛けるリルは、足を引っ張らないよう後方へと下がり、精緻な銀細工を思わせる歌声を冬空に響かせた。
(「紡ぐのは、儚き雪の日と追憶の思い出――そして、新たなはじまりを祝う歌」)
 ――それは、お伽噺の人魚が歌う神秘のうたそのもので。本当に綺麗ね、と言葉を零した櫻宵は、己の身に込み上げてくる確かな力を確認すると――破魔の力を刀身に注ぎ込んで、妖狐の群れへと斬り込んでいく。
(「過去に降り積もった憎しみは、どれ程のものなのだろう」)
 そんな、刃が閃き憎悪が渦巻く戦場で、海月・びいどろ(ほしづくよ・f11200)はそっと思考を巡らせつつ、海月型の機械兵器を次々に召喚して妖狐の群れに対抗していった。
(「たくさんの狐達の足跡も、今や白い雪に覆い隠されているのかな……」)
 ――その感情を理解する為のデータは、未だ不足しているけれど、真白な雪を他の色で染めさせてはいけないとびいどろは判断して。電子の海から掬い上げられたこどもは、愛らしい海月たちを手繰り、現実と幻想のあわいを泳ぐようにして狐たちを翻弄していく。
「こんこん、一緒に、遊びましょうな。僕も混ぜて、くださる、かしら」
 と、其処へ波紋の如く投げかけられた声は、イア・エエングラ(フラクチュア・f01543)のもの。何処か微睡むようなその響きに、ゆらゆらと揺れる海の名残を感じたびいどろだったが――どうやらその感覚は間違っていなかったようだ。
「ふわりふわり落ちる白は立ち上る泡のようね。僕の指では触れたとて、溶けないけれど」
 ――嗚呼、鉱石の煌めきを宿すこの青年もまた、海の底から地上に手を伸ばしたとでも言うのだろうか。指先を六花に踊らせるイアは、これを荒らすのは勿体無いと微笑みながら、おいでおいでと遊ぶように手招きをする。
「お祝いに乱入は無粋よう。だから、ここで満足なさってねぇ」
 直後、骸の海より呼ばれた死霊が妖狐たちへと襲い掛かり、怨嗟のこえが社の丘に木霊した。――斯くも恐るべき死霊術だが、行使中は術者が動けないと言う欠点も持つ。ならば、とびいどろは周囲に漂う海月たちに指示を出す。
「キミたちのさがしものは、きっと行く先には無いの。……さあ、こっち。ボクはここ」
 心眼で、此方の動きを捉えようとする首無し妖狐――しかし、雪に紛れた機械海月はその動きを容易に悟らせず、フェイントを交えて敵群を包囲していった。それが例え、鬼火の一撃で消滅してしまう儚い存在だったとしても、数には数を。びいどろが隠した海月たちは未だ、回り込む機を耽々と窺っているのだ。
「……お顔もないの、お話しできないのは残念ね。怒っているかしら哀しいかしら――全部まっさらに、還しましょうな」
 ――そして、小回りの利く海月たちの援護を受け、イアの召喚した死霊が確実に妖狐を屠っていって。まるで、華やかな舞台を見ているかのようなふたりの立ち回りに、櫻宵は思わず感嘆の息を吐いていた。
「美しい物をもっと、リルに見せてあげたいとは思っていたけど、ねえ……」
 どうやら、窮屈な玻璃の外へ飛び出した人魚は、他にも居たらしいと苦笑しつつ――血桜の刀身を振りかざした櫻宵は、衝撃波を込めた不可視の剣戟で以って憎しみを断とうと動く。
「呪を断ち、魔を断ち、仇を断つ――さぁ、桜のように潔く……散りなさい!」
 屠桜が放つ絶華の一撃は、最後まで抵抗を見せていた妖狐の身体を鮮やかに断ち斬っており。その消えゆく姿に降り注ぐ六花の欠片を捉えたリルは、万華鏡のように煌めく世界へ思わず目を細めていた。
(「美しい雪を美しいままに見ていたい。……勿論、君の美しい桜、もね」)

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

逢坂・理彦
俺も同じ妖狐だからね気になる話だね。同族が村を襲うのを見るのは嫌だから。なんとか止めてあげたいね。

寿命は縮むけど今回はそんなこともきにしてられないからね。
【巫覡載霊の舞】を使うよ。
彼らの鎮魂の意味も込めてね…,相手の攻撃力を下げるから味方の援護にはなる。
あと【破魔】の力も使わせてもらおうか。『魔』になってるなら聞くと思うけど…それはそれで悲しい事実だね。


泉宮・瑠碧
燦(f04448)と祓い業を

妖狐達…憎しみを煽られて、苦しいだろうな
苦しく辛い記憶まで…
…全てを鎮めて、また静かに眠ると良い
無念を晴らせず、すまない

僕は主に消去水矢で援護射撃として相殺を狙う

出来る限り、鬼火は打ち消して燦への被弾を減らす
動きをよく見て、次に近付く順に射るが
斜線上に複数並べば纏めて射る

特に心眼は
燦の攻撃に合わせて本体を射る様にする
双方を避けられる位置を瞬時に判断は難しいだろうし
同時に二つの思考を読めるか
読めたとして咄嗟の判断までに時間も要るだろう

燦の火傷は
医術の応急手当か優緑治癒で

…君は、無茶するなという僕の話を聞いていたか?
…敬意なら、後で社にて手を合わせるか
祈りが届けば良いな


四王天・燦
瑠碧(f04280)と退魔業だ

「人里襲うなよ。情けない!」
罪悪感や憐憫があるから当時の人たちは社を建てた。
それで赦せていたんだろ。
なのに怨みだけ煽られてんじゃねーよ…
同じ狐として止めなきゃ

符術『力場の生成』で跳んで接近し、目を醒ますべく殴り倒す

鬼火を食らったら方針変更。
「ありがとな。心置きなくぶっ放すぜ!」
瑠碧の援護に感謝して跳びながら、フォックスファイア乱れ撃ちに切り替えて狐火のぶつけ合い。相手の炎は激痛耐性で我慢だ!
同じ狐火で現代妖狐の力を見せてやる。
「どうよ大先輩。安心したら寝床に帰って今まで通り人々を見守りな」

「瑠碧…大火傷だ。治療してくれー」
「アタシなりに敬意を示そうと思ったんだよ」



(「妖狐達……憎しみを煽られて、苦しいだろうな。苦しく辛い記憶まで……」)
 憎しみに濡れた妖狐の群れを目の当たりにして、泉宮・瑠碧(月白・f04280)はそっと青の瞳を伏せた。首の無い彼らはまるで、失った己の頭を探して彷徨っているようにも見えて――争わずに済むのならばどれほど良かったことか、と瑠碧はちいさく吐息を零す。
 ――しかし、それでも。自分は猟兵として戦うことを選び、今こうして仲間たちと戦場に立っているのだ。そんな瑠碧の悲痛な決意を感じ取ったのだろうか――飄々とした佇まいで、妖狐と向き合う逢坂・理彦(妖狐の妖剣士・f01492)は、澄んだ空に紫煙を燻らせながら、のんびりとした様子で彼女に声を掛けた。
「俺も同じ妖狐だからね、気になる話だね」
 あ、と瞳を瞬かせる瑠碧を優しく見守るように、理彦はふんわりと微笑んで言葉を続ける。
「でも、同族が村を襲うのを見るのは嫌だから。なんとか止めてあげたいね」
「そう……だな」
 そう――理彦のように、同族がひとびとを襲うことに対し、心を痛めている者も居るのだ。かく言う瑠碧の相棒も妖狐であり、彼女も胸中穏やかではない筈だ――と思っていたのだが。
「人里襲うなよ。情けない!」
 勝気な性格が前に出過ぎた相棒、四王天・燦(月夜の翼・f04448)はと言えば、首無し妖狐を前に説教をせずにはいられなかったようだ。
「罪悪感や憐憫があるから当時の人たちは社を建てた。それで赦せていたんだろ。なのに怨みだけ煽られてんじゃねーよ……!」
 けれど、既に憎しみに支配された妖狐たちには、彼女の悲痛な叫びも届かないようで――叩きつけられる怨嗟の炎を振り払う燦は、歯を食いしばりながら嘗ての同胞を睨みつけていた。
「まあまあ、熱くなりすぎない。……おじさんの尻尾でよければ、もふる?」
「尻尾なら間に合ってるよ!」
 もふもふによる癒しを勧めてくる理彦に、ついつい勢いで燦は突っ込んでしまったものの。そのとぼけたやり取りで普段の調子を取り戻したらしく、彼女は直ぐに符術を駆使して宙を駆けていく。
「……燦!」
「ありがとな。心置きなくぶっ放すぜ!」
 相棒を撃ち落とそうと迫る鬼火は、瑠碧が放つ魔法の水矢が次々に相殺していき――射線上に複数浮かぶ炎までも、彼女は纏めて矢を射ることで対処していった。
「同じ狐として、止めなきゃ……!」
「まあ、寿命は縮むけど、今回はそんなことも気にしてられないからね」
 そうして鬼火の集中砲火を逃れた燦が、宙を舞いながら狐火の乱れ撃ちで妖狐たちを追い詰めていく中――巫覡載霊の舞を踊る理彦は、己の寿命を代償に神霊体に変化し、墨染桜の薙刀を振るって敵群を薙ぎ払っていく。
(「同時に二つの思考を読めるか」)
 一方、心眼で此方の動きを捉えようとする妖狐へは、燦の攻撃に合わせて瑠碧が矢を放ち、双撃を行って判断を鈍らせていって。更に鎮魂を祈る理彦の舞が、破魔の力と共に妖狐の一体を骸の海へと還していった。
「どうよ大先輩。安心したら寝床に帰って今まで通り人々を見守りな」
 炎の痛みに耐えながらも、現代妖狐の力を見せてやるとばかりに燦の狐火が、もう一体の妖狐を塵へと変えた後――気が付けば、彼女たちの近くに居た妖狐の群れは姿を消していたのだった。
(「……全てを鎮めて、また静かに眠ると良い。無念を晴らせず、すまない」)
 そうして静寂を取り戻した雪原で、真摯に祈りを捧げる瑠碧であったが――やがて相棒の負った傷を見て、ほんの少し眉根を寄せた。
「……君は、無茶するなという僕の話を聞いていたか?」
「瑠碧、治療してくれー……って、アタシなりに敬意を示そうと思ったんだよ」
 ――おじさんも治療してもらおうかなあ、なんて理彦の声も聞こえてくる中で。敬意を示すのだとしたら後で社にでも言って手を合わせようかと、瑠碧は思う。
 その時は、そう――彼らに祈りが届けば良い。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カザハナ・ライメドール
ごちそうかぁ〜その前に敵を倒さなきゃいけないんだね?
よし、行こう。ぼくに任せて

まっすぐ向かうのなら、立ちふさがればいいかな
ここから先へは行かせない

一匹はぼくが受け持とう
前衛、攻撃手で戦お
敵の攻撃は武器受けで受ける
死ぬか生きるかぼくと勝負しよう
剣刃一閃で戦う
敵が攻撃を避けた時は、自分のふらつきに注意しながら
態勢を崩さないようにする

思考は無
目の前の敵を染み付いた剣術で薙ぎ払う


出水宮・カガリ
【壁槍】マレーク(f09171)と

カガリは、妖狐がいっとう嫌いだ
あれは人を、物を、弄ぶものとしてしか、見ない
一匹残らず駆逐する
如何なる災禍も民に寄せ付けないのが、城壁だからな

【錬成カミヤドリ】で【鉄門扉の盾】を複製
複製した盾で鬼火を受けつつ、カガリも手元に残した盾を前に構え前進する
盾が邪魔なら、神通力で動かそうとするだろうか
…大食らいの(※マレーク)、いけるか?

カガリの盾に集中していては、彼への神通力は間に合うまい
もし間に合ったとしても、【盾受け】と【オーラ防御】で庇いにいく
彼が動きを封じられるなら、カガリが盾で首無しを吹き飛ばす

人型としては、お前の方が長く生きているはずだがなぁ
いや、竜型か?


マレーク・グランシャール
【壁槍】出水宮・カガリ(f04556)と共闘する

敵の神通力は遠距離攻撃はおろか接近すら許さないが、Aを動かしている間に別方向から迫ってくるBに対しては有効ではないと考える
俺がカガリを誘ったのは、城門のヤドリガミである彼ならば俺が攻撃を仕掛けるための壁となれるだろうと思ったからだ

俺はカガリが【錬成ヤドリガミ】の盾で鬼火を凌ぎながら敵に接近するのに紛れて仕掛けるタイミングを計る
敵が神通力を使用しようとしたところで碧血竜槍の【ドラゴニック・エンド】で一撃を食らわそう
俺を攻撃しようとしても今度はカガリの盾が邪魔するだけ

俺は新米猟兵だが先輩であり鉄壁を誇るカガリがいるなら心強い
喰っても平気そうだしな



(「カガリは、妖狐がいっとう嫌いだ。あれは人を、物を、弄ぶものとしてしか、見ない」)
 人里目掛けて侵攻してくる、首無し妖狐の群れ――彼らの姿を見つめる、出水宮・カガリ(荒城の城門・f04556)の脳裏に過ぎったのは、ひとつの都が滅ぼされた嘗ての記憶だったのだろうか。
 ――そう、幾ら堅牢な門があろうとも、守るべきひとびとを失えば全てが終わる。だから、カガリは只其処に在るだけでは無く、魂を持って戦い続けることを誓った。
「……一匹残らず駆逐する。如何なる災禍も民に寄せ付けないのが、城壁だからな」
 ヤドリガミたる自身の本体――鉄門扉の盾を錬成し、複製を行ったカガリは、幾つもの盾を同時に操って妖狐たちの鬼火を防いでいく。
(「盾が邪魔なら、神通力で動かそうとするだろうか」)
 盾を構えながら前進していくカガリは、妖狐たちへの対処法に素早く考えを巡らせると、傍らの相棒に声を掛けた。
「おい……大食らいの、いけるか?」
 ああ、と頷いたマレーク・グランシャール(ドラゴニアンのグールドライバー・f09171)もまた、妖狐の神通力を警戒していたらしい。遠距離から攻撃を行い、更に物品を操作することも可能な厄介な能力であるが――神通力に集中していては、別方向から迫って来るものへの対処は難しいだろう、と言うのがマレークの判断だ。
「カガリなら、俺が攻撃を仕掛ける為の壁となってくれる。鉄壁を誇るお前が居るなら、心強い」
 猟兵としてもカガリは先輩であり、新米の自分を上手く援護してくれる筈、との信頼を寄せつつ、マレークは呟く――喰っても平気そうだしな、と。
「……その基準がカガリには、今一つ良く分からないのだが」
 どうやらこの竜人は、食べることが愛情表現のひとつのようだが、自分は余り美味しくないのではないかと思う。それはともかくとして、カガリが鬼火を引き付ける中で、マレークは別方向から首無し妖狐を狙うべく機を窺った。
「……仕掛ける、か」
 ――が、思っていたよりもカガリは、鬼火の威力に押されているし、先に神通力を使用されたら此方の方が危ない。それでも碧血竜槍を妖狐目掛けて振るうと同時、マレークは強大な威力を秘めた竜を召喚したが――その時、予期せぬ方向から大岩が飛来し、彼の槍の一撃を阻んでいたのだった。
「しまった、新手が居たか……」
 そう、これは集団戦。連携を行って敵を倒していこうとしたカガリ達と同じく、妖狐たちも周囲の仲間と協力し此方を狙って来ている。恐らくは狙われた妖狐を護るべく、他の仲間が神通力でマレークを妨害したのだろう――必ずしも此方の予測した通りに敵が動く訳では無く、敵戦力の断定は却って危機に陥ってしまうこともある。
「うーん、ごちそうかぁ? その前に敵を倒さなきゃいけないんだね?」
 ――せめてマレークを庇いに、とカガリが足に力を込めたその時、戦場に場違いな程のんびりとした声が響いた。よし、行こうと頷いて刀を手に取ったのはカザハナ・ライメドール(白雷鳴・f11059)。一見して優雅な騎士といった風情の青年だが、彼は正真正銘、刀のヤドリガミだったりするのである。
「ここはぼくに任せて。まっすぐ向かうのなら、立ちふさがればいいかな」
 妖狐の一匹はぼくが受け持とう――そう言ってカザハナはカガリへ目配せし、早く仲間の元へ行くようにと合図を送る。
「ここから先へは行かせない……死ぬか生きるかぼくと勝負しよう」
 微笑みを浮かべつつも、カザハナの振るう刀は鮮やかに妖狐の身体を断ち斬って、時に襲い掛かる波動をその刀身で受け流していた。
 ――態勢を崩さず、思考は無に。ただ、目の前の敵を染み付いた剣術で以って薙ぎ払うのみ。
(「白鞘に雷鳴を宿し……目の前の敵を、斬る」)

苦戦 🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

御剣・神夜
無念、憎しみ、そういったのは無くならないのかもしれませんが、だからと言ってそれを他人にぶつけていいわけではありません。
私にも憎しみや無念はあります。ですが、それに負けないように心も鍛える。それが武術の在り方。貴方たちの無念は、戦うことで、我々が晴らしましょう

神通力、鬼火と遠距離攻撃主体なので野太刀を横にして受け止めつつ、自分の間合いに持っていく
起動が見えて避けられるなら避けながら接近する
心眼で此方の思考を読んだように動かれても、焦らず弐乃太刀で迎撃する
「こんなものを扱っているからと言って、振り回されることはありませんよ。それでは得物に出来ないでしょう?」


ニルズヘッグ・ニヴルヘイム
怨みを抱いて死んだだけでなく、死後もこのように扱われようとは。哀れなものだ。
とはいえ、どうあれ過去は過去。今を侵そうというのなら、容赦はしない。

怨念は私の格好の餌だ。自らの怨嗟で滅びるが良い!
【呪詛】で増強でもしてやれば、相応の威力は確保できよう。敵陣に突っ込んで、中央で使ってやれば、数減らしには充分貢献するはずだ。
鬼火ごと全て消し飛ばしてくれる!
だが、こいつは人に向けて使う術式ではない。私の半径18m、絶対に誰も寄るのでないぞ!

非業の死を利用され、こうまでなり果てるとは。
我々が首魁を討ってやる。さっさと骸の海に還って、ゆっくり眠ることだな。
……何かを恨んだところで、何も変わりはしないのだよ。


千桜・エリシャ
うらみ、つらみ、かなしみ…憎しみの連鎖というのは断ち切れないものですのね
でもあなた達が恨むべくはこの村の方々ではありませんわ
たとえ同じ血が流れていようと、当事者はもうこの世にはいないのですもの
――ならば、ここで断ち切らねばなりませんわね
これ以上、憎しみの血で美しい雪白を穢すなんて無粋ですわ

集落を背に、その道中の物陰に隠れ奇襲を仕掛けましょう
一体一体確実に、抜けて集落へ向かうものがあればそちらを優先し
ただひたすらに屠って差し上げましょう
反撃されれば花時雨を開いて防御か見切りで回避

嗚呼、嗚呼――首がない
あなた達には首がないのですね…
ならば、あなた達を無闇に奮い立たせる主の御首をいただくとしましょう


クレム・クラウベル
祀られ眠っていた者を揺さぶり起こすなど
それこそ冒涜と言うものだ
少々手荒になるが、再び悪しきに染まる前にもう一度眠らせよう
文化は違えどこういう仕事なら得意分野だ

【祈りの火】を壁の様に展開、逃さず妖狐を包み込む
神通力による攻撃は躱せるものは躱し
物を飛ばされた際は射撃や【2回攻撃】で撃ち落とす
味方へ向かうものあれば【援護射撃】も

嘗てお前たちを傷つけたのもまた、人だったのだろう
……憎かろう
けれど今生きる人々は傷つけた者とは違う
それを傷つけてはいけない
代わりに受け止めよう
この身で足りるなら安いものだ

今一度眠るなら
…もう二度とその眠りが荒らされることのないよう祈ろう
流派は違えど、せめてもの慰めになれば良い



ひとつ、ふたつ――首の無い妖狐の尾が揺れて、白い大地を音もなく駆けて来る。その抱えた憎しみを火種として、鬼火は燃え続けているのだろうか。そんなことを考えながら、御剣・神夜(桜花繚乱・f02570)は吹き付ける風に踊る黒髪を、そっと手で押さえた。
「……無念、憎しみ、そういったのは無くならないのかもしれませんが、だからと言ってそれを他人にぶつけていいわけではありません」
 自分に言い聞かせるように、ゆっくりと言葉を紡いだ後――神夜が構えたのは、身の丈を越える大きさの野太刀。立ちはだかる彼女に気づいた妖狐の一体が、神通力を操り襲い掛かるが、その一撃を神夜は太刀を翳すことで上手く凌いだ。
「私にも憎しみや無念はあります。ですが、それに負けないように心も鍛える。……それが武術の在り方」
 先ずは相手の攻撃を受けることで、次第に自分の間合いにもっていく。淑やかな物腰とは裏腹に、剣豪としての神夜の戦い方は、洗練された美しいものだった。
「怨みを抱いて死んだだけでなく、死後もこのように扱われようとは。哀れなものだ」
 ――と、其処へ加わるのは、威風堂々としたニルズヘッグ・ニヴルヘイム(世界竜・f01811)の声。とは言え、どうあれ過去は過去――訥々と死者へ語り掛けるニルズヘッグは、今を侵そうと言うのならば容赦はしないと妖狐の群れへと告げて。
「怨念は私の格好の餌だ。自らの怨嗟で滅びるが良い!」
 呪いには呪いで対抗するべく術式を行使し、彼は自身の情念を呪詛へと変えて解き放とうと動いた。軽蔑に畏怖、そして嘲笑――忌むべき負の感情も、笑顔で己の糧とするニルズヘッグは、更に呪詛による増強を加えて敵陣へと突っ込んでいく。
「だが、こいつは人に向けて使う術式ではない。私の半径18メートル、絶対に誰も寄るのでないぞ!」
 そう、彼の言葉通り、この術は周囲にあるもの全てを無差別攻撃する危険なものだ。それを承知した上で、敵陣のど真ん中で炸裂させてやろうと言うのだから――。
「……無茶苦茶だが、あいつならやりかねんと言うべきか」
 豪快極まるその戦いっぷりを見守る、クレム・クラウベル(ヴェスペラ・f03413)は、妙な既視感に襲われつつも――特攻を仕掛けるニルズヘッグを支援するべく、白き浄化の炎を展開させた。
「ともあれ、祀られ眠っていた者を揺さぶり起こすなど、それこそ冒涜と言うものだ。……少々手荒になるが、再び悪しきに染まる前にもう一度眠らせよう」
 ――文化は違えどこういう仕事なら得意分野だ、と呟くクレムは、祓魔師として亡霊をあるべき場所へと還すことを誓って。炎の壁で妖狐の群れを包み込み、その動きを封じようとするものの――彼らの放った神通力は、浄化の炎の囲いを上手くかき消してしまったようだ。
「……うらみ、つらみ、かなしみ……憎しみの連鎖というのは断ち切れないものですのね」
 と、その内の一体が真っ直ぐに、人里目掛けて駆けていく中で――道中の道影からはふっと、季節外れの桜の気配が漂ってきた。その違和感に足を止める暇も無く、直後、墨染の大太刀が妖狐の背中目掛けて振り下ろされる。
「でもあなた達が恨むべくは、この村の方々ではありませんわ。……たとえ同じ血が流れていようと、当事者はもうこの世にはいないのですもの」
 たおやかに――けれど、その声音には蠱惑的な響きを滲ませて、千桜・エリシャ(春宵・f02565)はうっとりと桜色の瞳を細めて、地に伏した妖狐に微笑みかけた。
 ――ならば、ここで断ち切らねばなりませんわね。囁く言葉には隠しようのない愉悦と狂気が入り混じり、戦に酔う羅刹の娘はただひたすらに獲物を屠るべく、妖刀の怨念すら手なずけて、鮮やかに花を散らす。
「これ以上、憎しみの血で美しい雪白を穢すなんて無粋ですわ」
 エリシャの言葉に重なるのは、ニルズヘッグが炸裂させた呪詛の渦――それに鬼火ごと消し飛ばされ吹き飛ぶ妖狐たちへは、神夜とクレムが確実に止めを刺していっているようだ。
「貴方たちの無念は、戦うことで、我々が晴らしましょう」
 剛剣を操る神夜は、それに振り回されること無く心眼にも反応しており、一方のクレムは神通力で飛来する物体を、上手く弓で撃ち落とす。
「嘗て、お前たちを傷つけたのもまた、人だったのだろう。………憎かろう。けれど」
 ――今を生きる人々は、嘗て傷つけた者とは違う。それを傷つけてはいけないとクレムは言って。彼は覚悟を決めた顔つきで、命の尽きかけた妖狐と向き合った。
「……代わりに受け止めよう。この身で足りるなら安いものだ」
「だが、な……何かを恨んだところで、何も変わりはしないのだよ」
 直後、其処へ振り下ろされたのは、ニルズヘッグの黒槍であり――彼はふんと鼻を鳴らしつつ、次々に消滅していく首無し妖狐たちの最期を看取っていく。
「非業の死を利用され、こうまでなり果てるとは。我々が首魁を討ってやる。さっさと骸の海に還って、ゆっくり眠ることだな」
 嗚呼、嗚呼――首がない。あなた達には首がないのですね……。うたうように語り掛けるエリシャは、丘の上――其処にある朽ちた社を見上げて、口の端をつり上げた。
「ならば、あなた達を無闇に奮い立たせる主の御首をいただくとしましょう」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ベルナルド・ベルベット
相棒のベルリリー(f01474)とコンビ参加
呼称はリリ

あらヤダ綺麗な鬼火だコト
嫌いじゃないわよ、一途に何か思うコって
何がそんなに憎いのかしら
ねえアタシに言っても解らないって言うなら、このコになら教えてくれる?

【アタシノシロキシ】でアタシのホワイトを召喚
アタシと雪に似合って美しいのは当然だけど、大きいから目立つでしょ
勿論それも大歓迎
引きつけて惹きつけて
囲まれそうなら遠慮なしに踏みつけて
誰かの盾にもなれそうね

ハァイ、いらっしゃい
それじゃ、大本命をご覧あれ
背中に乗ったリリと連携は当然息もぴったりに
花みたいに舞う相棒の足場にもなるよう立ち回るわ

巨体を存分に走らせて、村に抜けようとしたのも食い止めましょ


ベルリリー・ベルベット
相棒のベルナルド(f01475)とコンビで参加
彼の呼称はルナ

「綺麗だけれど、なんだか哀しい火。
でも、リリはルナと一緒なら怖くないわ」

ルナが召喚したホワイトに一緒に乗せてもらう。
敵がルナとホワイトに気を取られてる隙を狙って、【ジャンプ】で高く跳躍すれば、
そこからユーベルコードで敵を狙い撃つわ。
【投擲】で正確さを上げ、【2回攻撃】で手数を増やして。
着地した後は、ホワイトに壁になってもらえるように立ち回るわね。

敵の攻撃は【見切り】を使いながらかわしていくわ。

敵をあらかた片付けたら、【動物と話す】でホワイトを褒めてあげる。
「よくやったわ、ホワイト。お利口ね」


ジン・エラー
フ、ははァ!
人にブン投げて、あとは高みの見物!
贅沢だなァ
高尚だなァ
オレも好きだぜそういうの

だけどなァ…
コイツらは、起こしちゃァいけねェだろ


あァおい、そこの狐サンよ
死ぬ前にオレの【光】浴びてけ
その前に死ぬのは許さねェーからな

死ぬ時ァ、オレの【箱】で
一発で救ってやるよ


あー、知り合いがいンなら、【光】で助けてやってもいいな
あの桜鬼の女将サンとか、五体満足じゃねェーと困るしな?
きっとまァ…戦う姿も綺麗なンだろうさ。女将サンは



雪原に揺らめく、憎しみに濡れた鬼火の群れ――只人ならば恐怖に震えるその光景にも、ベルナルド・ベルベット(リーリフラウ・f01475)は瞳を煌めかせて、華やかな歓声を上げていた。
「あらヤダ、綺麗な鬼火だコト。……嫌いじゃないわよ、一途に何か思うコって」
 鬼火を操る首無し妖狐たちへ艶やかに微笑みつつ、ベルナルドはそっと唇を指でなぞって。何がそんなに憎いのかしらと尋ねるも、相手には首が無かったことにはたと気づいて肩を竦める。
「ねえ、アタシに言っても解らないって言うなら、このコになら教えてくれる?」
 ――囁くと同時にベルナルドが召喚したのは、白騎士の如く勇ましいホワイトライオン。ご機嫌よう、と彼の鬣を撫でるベルナルドの隣では、ベルリリー・ベルベット(ルーナフラウ・f01474)がナイフを片手に妖狐の群れを睨みつけていた。
「……綺麗だけれど、なんだか哀しい火。でも、リリはルナと一緒なら怖くないわ」
「ふふ、じゃあアタシと一緒にショウの開幕と行きましょうか」
 恭しく差し伸べられたベルナルドの手を取って、ベルリリーは身軽にホワイトの背中へと飛び乗った。直後、ホワイトが勇ましく咆哮を響かせると、ふたりを乗せた獅子は妖狐の群れを惹きつけるようにして、雪原を一気に駆け上がる。
「ほぉ、こりゃあ見事なモンだ」
 サーカスで鳴らしたふたりと一頭のパフォーマンスを目にした、ジン・エラー(救いあり・f08098)がマスク越しに感嘆の吐息を漏らすと――ベルナルドはそんなジンにウインクをして、ホワイトの後に続くよう促した。
「アタシと雪に似合って美しいのは当然だけど、大きいから目立つでしょ。盾にだってなれそうよ」
 追い縋る妖狐の一体を、白き獅子が遠慮なしに踏みつければ、その反動を利用してベルリリーが宙を舞う。
「ハァイ、いらっしゃい。それじゃ、大本命をご覧あれ」
 花が舞うように跳躍を繰り返すベルリリーは、リボンで飾られた投げナイフを、立て続けに標的目掛けて放っていた。舞台はいつもの空中ブランコでは無く、大勢の観客の歓声も聞こえてこないけれど――眼下には自分を受け止めてくれる、頼もしい相棒が居る。
「……ルナ、ホワイトも。ありがとう」
 ホワイトの巨躯はベルリリーを再びその背に乗せると、今度は村へ抜けようとする妖狐を食い止める為に駆け出して行って。そんな猛獣使いと曲芸師のふたりに後を任せ、ジンは丘の上の社――恐らくは其処で此方の様子を見ているであろう、黒幕のオブリビオンへと声を張り上げた。
「フ、ははァ! 人にブン投げて、あとは高みの見物! 贅沢だなァ、高尚だなァ……オレも好きだぜそういうの」
 笑顔を張りつけた仮面そのままに、ジンはからからと笑声を響かせると――一転、底冷えのする声を響かせて色違いの瞳をぎらつかせる。
「だけどなァ……。コイツらは、起こしちゃァいけねェだろ」
 周囲には、仲間たちの奮戦で倒された妖狐たちが横たわっており、現世へ留まる術を断たれた彼らは今まさに消滅しようとしていた。が――ジンは不意に優しげな声になると、首の無い頭部を苦悶で震わせる妖狐へ、生まれながらの――聖なる光を齎して癒しを施す。
「あァおい、そこの狐サンよ。死ぬ前にオレの『光』浴びてけ。……その前に死ぬのは許さねェーからな」
 ――こえは聞こえなかったが、微かに狐が頷いたように見えたのは、自分がそうであって欲しいと言う願いの表れだったのだろうか。けれどジンは、彼に最期を与えることを忘れてはいなかった。
「……死ぬ時ァ、オレの『箱』で、一発で救ってやるよ」
 やがて鈍い音と共に、何かが崩れ落ちる気配がして――聖者であり死神でもある男は、あァと溜息を零してぽつり呟く。
「次はテメェだ、……待っていやがれ」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『勘解由小路・桔梗』

POW   :    無念の報復
【陰陽道の術で召喚した武器の群れ 】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    信康招聘
自身が戦闘で瀕死になると【一体の強力な妖狐 】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
WIZ   :    知識の蒐集
質問と共に【指先から蝋燭の火程度の大きさの炎 】を放ち、命中した対象が真実を言えば解除、それ以外はダメージ。簡単な質問ほど威力上昇。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠デナーリス・ハルメアスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


白の世界に揺らめく鬼火の群れが、ふつりと掻き消えた様子を目にして、少女――オブリビオンである勘解由小路・桔梗は、くすくすと面白そうに笑う。
 ――ああ、一体どんな者たちが、あの憎しみに濡れた妖狐たちを殺し尽くしたのだろう! 首を無くした彼らを次々に――悲願を果たすこと無く葬らせた者たちは、どんな気持ちで自分と向き合うのだろう!
「興味は尽きぬ……なぁ、信康」
 背後に佇む妖狐の青年にそう語り掛けると、桔梗は軽やかな足取りで鳥居をくぐり、とんとんと石段を駆け下りていく。
「……全てが雪に溶け、忘れ去られてゆくのだとしても。我はこの六花に、鮮やかな彩を加えてみたいと思う」
 ――そう、それは雪をも溶かすような熱いいのちの欠片が零れ落ちた、深く紅い血潮のいろ。
「百年に、一とせ足らぬつくもがみ――この白に加える一は、彼の者たちの血で補うとしようか」
東雲・咲夜
消えゆく妖狐たちを見とったら、うち、涙が込み上げてきて…
どうしてこないに哀しいことをしはりますの?

正面からは風と桜吹雪の【属性攻撃】
武器召喚による攻撃には氷の薙刀をつこて【なぎ払い】で撃ち落とせんかな
味方はんが攻撃を防ぐんが間に合わへんようなら
羽衣の【オーラ防御】の力で被弾を軽減しましょう
優しい桜色の光で護ります

ほんまはあんさんも傷つけとうないの…
せやけど罪のない人々や御霊を苦しめよう言わはるのなら
巫女として、神の使いとして、
じっとしてはおられませんのや

躊躇い軋む心を胸の奥に仕舞いこんで
扇を開き、羽衣をふわり踊らせ、水龍様を喚ぶ舞をーー
きたりませ、浄化の水檻にて妖の炎をお鎮めください


イア・エエングラ
あらあら、次はお顔があるのね
お話しすることも、できるかしら
可哀想な狐の子、起してしまったのはあなたかしら
真白いせかいに足跡がたくさん、これ以上穢してしまっては

なぞなぞかしらと小首傾げて
いつでも僕に見える世界は単純で
いらえる言葉も、そのままよう
沢山考えるから世界は難しいのだって
――言っていたのはどなたかしら

知っている?
返らない問いと一緒にリザレクト・オブリビオンでお招きしましょ
足跡増えて、しまうねえ
先は守っていただいたから、呼ぶときはタイミングに気を付けましょな
速いのは得意でないから他の方との隙に仕掛けられたら、良いかなあ

白へ落として冷える前に
足跡埋もれて消える前に
お帰りよう


一文字・八太郎
妖狐達が再び灯された憎悪の炎で苦しむことも
二度目の死を迎えることも
本来ならば必要なかった事のはず
それを、興味などという理由で起こしたその悪事
見逃すわけにはいかんでござる

他の猟兵達の支援と参ろうか
携帯食料を齧って身体強化
怪しげな術で呼び出された武器あらば
それが放たれる前に叩き落とすでござる
全ての範囲となれば難しいかもしれんが
可能な限り戦場駆けてみせよう

桔梗へ刀が届くのであれば斬りつけ術の妨害を
雪を染めたいと言うのならば自身の血にて行うが良い

いずれ雪が溶け、そしてまた六花が舞う季節が何度巡ろうとも
此度汝らのことは拙者らが生きている限り忘れずにいるでござる
…九十九とまでは、さて自信はないでござるがな


クレム・クラウベル
……唆したのはお前か
例え何があろうと、過去が今を
そして未来を奪って良い理由になどならない
一欠片とて獲らせるものか
雪は白くあるから美しい
無粋な色に染めさせなどしない

それにしてもよく合う顔触れのいる事
流石に顔だ動きだも覚えてきた
見目こそ幼くとも侮れる相手ではない、……合わせるも一興か
ちらと全体へ目配り、援護射撃で味方の大技の隙をカバー
逆に借りれる隙あれば遠慮せず借り受け
精霊銃で狙い撃とう

妖狐の召喚には慌てず対処
相手も手負い。このまま押しきろう
破魔・2回攻撃等を駆使し追い込む
いかなる過去であったとて
悪しきに堕ちたなら祓うのみ
在り方を違え他者の過去までを踏み荒らした
…神にほど近くともそれは、赦されない



 ――超然とした佇まいで、雪の降り積もった石段をゆっくりと降りてくる少女が居た。一見すれば、薄紫の着物を纏った小柄な体躯は、雪の精と見紛うほどに愛らしかったのだが――此処に居る猟兵たちは知っている。彼女こそが、今回の災厄を招いた元凶であることを。
「……唆したのはお前か」
 長い長い石段の終わりが近づいて来た頃、冷ややかな刃を思わせる声が、歩を進める少女に突きつけられた。その声の主、クレム・クラウベル(paidir・f03413)は淡々と――一切の感情を交えること無く、ただ彼女へ事実を告げるように言葉を紡ぐ。
「例え何があろうと、過去が今を……そして未来を奪って良い理由になどならない」
 くすくす、くすくす。オブリビオンの少女――勘解由小路・桔梗は、そんなクレムの言葉を聞くと無邪気に笑声を響かせた。失われた過去の化身たる自分に、その存在を否定する言葉を真剣に語るのが、面白くて仕方がないと言った様子で。
「……妖狐達が再び、灯された憎悪の炎で苦しむことも。二度目の死を迎えることも、本来ならば必要なかった事のはず」
 しかし、その笑い声をぴしゃりと斬り捨てる凛とした声が、冬の空気を震わせた。鋭い金の瞳で桔梗を睨みつけたまま、一文字・八太郎(ハチ・f09059)が愛刀に手を掛けると――その後ろからは、東雲・咲夜(桜歌の巫女・f00865)が、澄んだ瞳を潤ませながら切なる想いを訴える。
「消えゆく妖狐たちを見とったら、うち、涙が込み上げてきて……どうしてこないに哀しいことをしはりますの?」
「哀しい? 何故そう思うのだ? 我は彼奴らの無念を晴らす、手助けをしたまでだ」
 心底不思議そうな顔をして桔梗が答えるが、その裏では咲夜の純粋な心を踏み躙ろうとする悪意が、ありありと窺えた。
「あらあら、次はお顔があるのね。お話しすることも、できるかしら」
 ――しかし、ちいさく肩を震わせる咲夜の背を優しく擦ったイア・エエングラ(フラクチュア・f01543)は、悪意もどこ吹く風とばかりに、微睡みの中で歌うように囁きを零す。
「可哀想な狐の子、起してしまったのはあなたなのねえ。……真白いせかいに足跡がたくさん、これ以上穢してしまっては」
「ああ……幾ら言葉を取り繕うとも、興味などという理由で起こしたその悪事、見逃すわけにはいかんでござる」
 イアの言葉に続けた八太郎が直後、携帯食料を一齧りすると――全身の細胞が活性化し、彼の体中に力がみなぎっていった。戦闘力を強化した八太郎は、そのまま鞘走りの音を響かせると、桔梗目掛けて一直線に斬り込んでいく。
「雪を染めたいと言うのならば、自身の血にて行うが良い……!」
 しかし桔梗は、陰陽術を操り無数の刀剣を召喚すると、迫る八太郎の迎撃に移った。刃と刃が火花を散らし、涼やかな音色を響かせるが――八太郎は、その全てを叩き落とすまでには至らない。しかし、迫る凶刃のひとつを咲夜の薙刀が、雪結晶の軌跡を描いて薙ぎ払った。
「……そう、一欠片とて獲らせるものか。雪は白くあるから美しい。……無粋な色に染めさせなどしない」
 更に、其処へクレムの援護射撃が加わって――悪しきを祓う精霊銃の弾丸は、仲間たちが存分に大技を放てるよう、桔梗の動きを牽制していく。
(見目こそ幼くとも、侮れる相手ではない。……合わせるも一興か)
 ――例えば死霊術を行使するイアは、召喚中は動きが制限されるので、クレムのように援護を行う者が居れば戦い易いだろう。そうして上手く隙を埋めてくれた彼へ「ありがとうねえ」と微笑んで、イアは桔梗の行う知識の蒐集――謎かけのようなそれへ、ゆっくりと答えを返した。
「なぞなぞかしら。けれど……いつでも僕に見える世界は単純で、いらえる言葉も、そのままよう」
 沢山考えるから、世界は難しいのだって――言っていたのはどなたかしら。小首を傾げつつ、それでも彼にとっての『真実』を告げた瞬間、迫る炎はふっと掻き消えていて。
「きたりませ、浄化の水檻にて妖の炎をお鎮めください……」
 ――ふわりと羽衣を舞わせ、扇を開き。舞い散る桜吹雪と共に、咲夜が水龍を喚ぶ舞を捧げると――生じた雫の鎖は結界となり、桔梗の動きを封じていく。
「ほんまはあんさんも傷つけとうないの……。せやけど、罪のない人々や御霊を苦しめよう言わはるのなら」
 巫女として、神の使いとして、じっとしてはいられないのだと告げた咲夜は、躊躇いに軋む心を胸の奥にそっと仕舞い込み無心で舞い続けた。
「白へ落として冷える前に、足跡埋もれて消える前に、お帰りよう」
 嗚呼、彼女の舞に唱和するのは、死霊を操るイアの声だ。更にクレムの放つ破魔の弾丸が、乾いた冬空に咆哮を響かせると――それを合図に八太郎が、しなやかな尾を揺らしながら石段を一気に駆け上がった。
「いかなる過去であったとて、悪しきに堕ちたなら祓うのみ。在り方を違え他者の過去までを踏み荒らした……神にほど近くともそれは、赦されない」
 冷然と告げるクレムの声を背に受けて、八太郎の放つ刃が遂に――桔梗の肉体を捉える。
「いずれ雪が溶け、そしてまた六花が舞う季節が何度巡ろうとも。此度汝らのことは、拙者らが生きている限り忘れずにいるでござる」
 ――九十九とまでは、さて自信はないでござるがな。その呟きと共に、真白の雪に覆われた石段が、鮮やかな紅に染まっていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

ニルズヘッグ・ニヴルヘイム
傷跡は消えも癒えもせん。だが飲み込むことはできる。二度と元に戻らないものでも、必ずだ。
そうして眠ろうとしたものを、揺り起こすなど以ての外。
そんなにも白を彩る何かが欲しいならば、貴様の命を添えるが良い!

黒い蛇竜を喚び出すにも、まずは槍を当てねばならん。間合いまで一気に駆け込んで、【串刺し】にしてくれる。武器の雨などに構っていられるか!
竜を喚べば、奴は尾を叩きつけるなり、黒炎で応戦するなりするだろう。私は槍で応戦するとしよう。
蛇竜は頑丈だ、仲間の盾に出来そうならば積極的に指示する。遠慮なく使え!

怨みも悲しみも理解しているつもりだが……塞がりかけた傷口を抉ることの何が楽しいのかは、全く分からんな。


御剣・神夜
興味ですか。それは全ての行動の根源
興味からすべては始まり、続いていく。とはいえ、殺人には興味も何もありません。その先にあるのは、救い難い殺人者か、救いのない殺人鬼
私はどちらにもなりたくありませんが、せめて殺人者でいたいものです

無念の報復は遠距離攻撃のようなので距離を詰める。零距離で撃たれたら食らうのを覚悟で反撃する
妖狐が召喚されたら妖狐よりも桔梗への攻撃を優先する
知識の蒐集が当たったら素直に答える。隠し事ない生活を送ってきたので嘘はつかない
「殺人鬼の目に覚悟はなく、空気を吸うように人を殺す。私からも問いましょう。貴方は殺人者ですか?殺人鬼ですか?」


ジン・エラー
【花の涯】
ぶ、ハハハハハァ!お前が親玉?
随分なチビ助じゃねェ~の!!
こンな首でも欲しいのかよ女将サン!

背中を任せられるたァ光栄だなァ!燃えてきたぜェ!!

おォ~~~女将サン、首狙ってるときはマジで人変わるのなァ
意外な一面。――ま、わかってはいたけどよ

【オレの救い】で戦って、【光】で守って…ま、今回は女将サンがメインだからな
【防御】に回して敵の攻撃をいくらでも止めてやるよ
女将サンが怪我したなンて知られたら、帰った時に何されるかわかったモンじゃァねェからなァ!イハハ!!

あの狐どもが馬鹿にされても
エリシャがやられても
オレはムカつくから【攻撃】に回してブッ飛ばすけどな


千桜・エリシャ
【花の涯】
高みの見物を決め込んでいたのはあなたかしら?
ふふ、先程の狐さんたちとは違ってちゃんと首があるではありませんか
ならばやることは一つ――御首をいただきますわね
あらジンさん
少女といえど美しいかんばせをしているではありませんの
私、美しい首は好きですわ

では援護は任せますわね
心強いこと
ああ、こういうときは背中は任せた――といったほうが燃えるのかしら
あなたが援護してくださるならば防御なんていりませんわね
言うや否や先手必勝【先制攻撃】
散華繚乱で翻弄し、隙を見つけたら【2回攻撃】で畳み掛けて差し上げますわ

私にとってはあなただってお客様なのですから
怪我されたら困りますわ
二人で首を持って帰りましょう



「高みの見物を決め込んでいたのはあなたかしら? ……ふふ、先程の狐さんたちとは違って、ちゃんと首があるではありませんか」
 脇腹から滴る血を、強引に拭い去った勘解由小路・桔梗の元へ、桜のようにふわりと軽やかで――且つ、魔性のうつくしさを孕んだ声が投げかけられる。
「ならばやることは一つ――御首をいただきますわね」
 墨染の大太刀を構え、うっとりと微笑む声の主は、千桜・エリシャ(春宵・f02565)。その彼女の隣では、ジン・エラー(救いあり・f08098)がじぃっと黒幕の姿を睨めつけていたが――やがて堰を切ったように笑い声を響かせて、色違いの双眸をぎらつかせた。
「ぶ、ハハハハハァ! お前が親玉? 随分なチビ助じゃねェ~の!! こンな首でも欲しいのかよ女将サン!」
 あら、とエリシャはそんなジンの様子に小首を傾げると、熱を帯びた蠱惑的なまなざしで、オブリビオンの少女を見つめる。
「ええ、ジンさん。少女といえど、美しいかんばせをしているではありませんの」
 ――私、美しい首は好きですわ。さらりとそう告げたエリシャは、援護を任せるとジンに合図をした後――何かを思いついたのか、くるりと振り返って囁いた。
「ああ、こういうときは、背中は任せた――といったほうが燃えるのかしら」
「ははッ、背中を任せられるたァ光栄だなァ! 燃えてきたぜェ!!」
 全てを救うと言う、不遜なまでの決意を聖者の輝きに変えたジンは、それを護りの力へと転化させて自身を強化する。桔梗の繰り出す無念の報復を、幾らでも止めて見せると誓いながら――その間にエリシャは防御をかなぐり捨て、桔梗目掛けて先制攻撃を行っていた。
(あなたが援護してくださるなら、心強いですもの)
 黒く染まった刀身が翻り、闇の力を帯びたエリシャの斬撃が、立て続けに桔梗へと襲い掛かる。散華繚乱の名に相応しく、斬り刻まれた桔梗の身体のそこかしこから紅い花が咲いては散っていく中――その鮮やかな剣技を目の当たりにしたジンはおォと歓声を上げて、エリシャの艶姿に思わず魅入っていた。
「女将サン、首狙ってるときはマジで人変わるのなァ。意外な一面。――ま、わかってはいたけどよ」
 しかし、それも一瞬のこと。気合を入れ直したジンは拷問具を操って迎撃を行うが、桔梗が繰り出す武器の群れは、彼の救いを嘲笑うかのようにその肉体を抉っていく。ちぃッ、とジンが舌打ちをして桔梗を見遣れば、彼女は無防備なエリシャ目掛けて次なる刃を放とうとしていた。
「女将サンッ……!」
 ――エリシャが怪我したなんて知れたら、旅館に帰った時に何をされるかわかったものじゃない。冗談交じりで交わした言葉が、現実となって襲い掛かる恐怖にジンが叫んだその瞬間――ニルズヘッグ・ニヴルヘイム(世界竜・f01811)が槍を手に、刃の雨の中を強引に突っ切っていくのが見えた。
(「傷跡は消えも癒えもせん。だが飲み込むことはできる。二度と元に戻らないものでも、必ずだ」)
 間合いまで一気に駆け抜け、何としてでも初撃を喰らわせる、その為に。標的を串刺しにしようと槍を持つ手に力を込めたニルズヘッグは、悪食の蛇竜たる咆哮を響かせながら、そのまま黒き竜を召喚する。
「……しかし、そうして眠ろうとしたものを、揺り起こすなど以ての外。そんなにも白を彩る何かが欲しいならば、貴様の命を添えるが良い!」
 刹那、竜の吐き出した黒炎が桔梗に襲い掛かり――荒れ狂う業火の中で彼女は初めて、その相貌に焦りのいろを浮かべてニルズヘッグを見た。
「ふん、貴様の求める興味とやら。少しは、その身を以て知れたのではないか?」
 興味ですか――と、微かに思案する素振りを見せた御剣・神夜(桜花繚乱・f02570)は、尚も炎の洗礼を受け続けている桔梗へ、一気に距離を詰めて。無念の報復を喰らうのも覚悟のうえで、龍の爪牙の如き豪刀を彼女に振り下ろした。
「……興味とは、全ての行動の根源。興味からすべては始まり、続いていく。とはいえ私は、殺人には興味も何もありませんが」
 穏やかな態度を微塵も揺らがせること無く、神夜は静かに桔梗へ語り掛けると、その仕草とは真逆の剛剣を彼女目掛けて叩き込む。
「その先にあるのは、救い難い殺人者か……救いのない殺人鬼」
 ――私はどちらにもなりたくありませんが、せめて殺人者でいたいものです、と。淑やかに告げる神夜には隠し事をしている素振りは無く、戯れの問いかけにも決しても嘘を吐かないであろうことが窺えた。
「怨みも悲しみも理解しているつもりだが……塞がりかけた傷口を抉ることの何が楽しいのかは、全く分からんな」
 桔梗の報復に警戒しつつ、ニルズヘッグが黒槍を突きつけ竜を召喚する中で、エリシャは傷だらけになりながらも自分を守ろうとするジンへ、そっとその手を差し伸べている。
「あなただって大切なお客様なのですから、怪我されたら困りますわ。……二人で首を持って帰りましょう」
 ――どうやらふたりは大丈夫のようだ、と内心で胸を撫で下ろしつつ、神夜は野太刀を突き付けて桔梗に問いかけた。
「殺人鬼の目に覚悟はなく、空気を吸うように人を殺す。私からも問いましょう。……貴方は殺人者ですか? 殺人鬼ですか?」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

逢坂・理彦
好奇心でせっかく眠りについてた同族の眠りを覚まさせられたなんてたまったもんじゃない。
憎しみも哀しみも全部終わったものだったのにさ…。
一度は眠りについたんだ終わったんだ苦しい二度目はもういらないだろう?

その後ろの同族さんがどう思ってるかはしらないけど。
そっとして欲しかったんだかな…。

二度も苦しい思いをさせたんだあんたもしっかり罰を受けてかえりなよ。
ちょっと本気を出していこうか…「月を隠す叢雲を見事払って見せましょう…剣撃一刀・叢雲断ちだ」


四王天・燦
瑠碧(f04280)と退魔業だ

どんな気持ち?
怒りから来る悪意と殺意だ。
「お前の抱く真黒きモノほどじゃねーけどな」
興味で死者を弄ぶ悪意なき悪意―邪悪だコイツは

武器群や炎を見切りとダッシュで掻い潜りシーブズ・ギャンビットで桔梗を刻む

信康に問おう。
「陰陽に喰われたか自ら式神に堕ちたか。どっちだ?」
前者なら桔梗優先、後者なら…信康も殺すべく狙いを変更。
桔梗を盾にするよう位置取って難敵に立ち向かう

逆転の賭けが必要と見たら、意表を突くべく盗みと早業を活かし召還された刀を盗って一閃。
首を刎ねる!
桔梗が人でなければ倒せねーけど…瑠碧の狙いを知っているから平気

今回も瑠碧とハイタッチ。
無茶は叱らせたくねーからだよ


泉宮・瑠碧
燦(f04448)と

桔梗…
書物のヤドリガミあたりか…?
人の気持ちを、心で感じる事が出来たなら
桔梗達も違ったのだろうか…

どんな気持ち…痛みと悲しみだ
彼らを救えはしなかった
…復讐では終わりが無い、本当には救われないだろう
どうすれば良かったのか、今も悔いている

…けれど、まだ出来る事はある
彼らに手を合わせる事も

主は消去水矢で相殺と援護射撃を
第六感や見切りも併用

無念の報復は
撃ち落とすが
可能な限りよく見て術の流れを知っておく
信康が使う際に備えて

知識の蒐集は
ゆっくり答えて時間の引き延ばし

信康招聘は…
出来る限り狙うが相殺は厳しいだろうな

念の為に
桔梗の手にある書物も狙っておく

ハイタッチと…
今回は無茶しなかったな


三嶋・友
へぇ
貴女が今回の黒幕って訳
妖狐を従者に連れた和装の美少女、なんて二次元だったら萌え要素だけどね
残念ながら、欠片も萌えないわ
…貴方の望みが何かは知らないけれど
無念の魂を弄んだ貴女を、私は絶対に許さない…ッ!

熱いのがお望みなら、とっておきのをくれてあげるよ
今度晶花に宿すのは、風ではなく火の魔力
全てを包む六花の優しさは、貴女なんかには勿体無い
紅蓮に燃える剣で連続攻撃
隙が出来たら炎爆波を放つよ!

相手を良く見て見切り
襲い来る無数の武器は剣で薙ぎ払う!
他の猟兵とも連携するよ

貴女なんかにかける情けはないけれど
…最後に何か、残す言葉はある?

全てが終わったら、社に祈りを捧げて
後は優しき六花の覆うがままに任せよう



 ――どんな気持ち? と桔梗に問われたのだとしたら。そう、嘘偽りの無い真実の想いってやつを、四王天・燦(月夜の翼・f04448)は彼女にぶつけてやろうと思う。
(「アタシの心はな、怒りから来る悪意と殺意で煮えたぎってるんだよ」)
 戯れで同胞の亡霊を目覚めさせ、憎悪を利用しけしかけて――ぎり、と歯を食いしばった燦は、此方目掛けて襲い掛かる刃の雨を、持ち前の身軽さを活かして掻い潜っていった。
「お前の抱く、真黒きモノほどじゃねーけどな」
 興味で死者を弄ぶ悪意なき悪意――目の前の少女の邪悪な本性ごと刻んでやろうと、風の短剣を手に燦が一気に間合いを詰めた時。不意に死角から、報復の刃が彼女に襲い掛かるが――それは泉宮・瑠碧(月白・f04280)の放つ消去水矢によって、瞬く間に霧散していった。
(「桔梗……書物のヤドリガミあたりか……?」)
 術のようなものを操るから、恐らくは陰陽師辺りに縁のある物品が魂を得たのだろう。けれどもし、人の気持ちを心で感じる事が出来たなら、と瑠碧は思わずにいられない。
「どんな気持ち……痛みと悲しみだ。彼らを救えはしなかった、ことへの」
 此方へ向かって来る炎の問いかけに、血を吐くような想いで瑠碧は答えを発して。ただ倒して眠らせることしか出来なかった、首無し妖狐たちの最期を改めて思い返す。
「……復讐では終わりが無い、本当には救われないだろう。どうすれば良かったのか、今も悔いている」
 ――けれど。かぶりを振って言葉を続ける瑠碧の目の前で、真実に晒された炎が勢いを失って掻き消えた。そのまま反撃に出た彼女は精霊弓を構えると、水の矢を射って仲間たちの援護に専念していく。
「……まだ出来る事はある。彼らに手を合わせる事も」
「ああ、好奇心でせっかく眠りについてた同族の眠りを覚まさせられたなんて、たまったもんじゃないからね」
 憎しみも哀しみも、全部終わったものだったのにさ――そう言って、寂しげに微笑む逢坂・理彦(妖狐の妖剣士・f01492)は、なるべく使わないようにと決めていた妖刀を躊躇なく抜き放ち、朱月の刀身を煌めかせて桔梗へと斬りかかった。
「一度は眠りについたんだ、終わったんだ……苦しい二度目は、もういらないだろう? ……その後ろの同族さんが、どう思ってるかはしらないけど」
 そっとして欲しかったんだがな――ぽつり呟く理彦と向き合うようにして、逆手で短刀を構える妖狐が、桔梗に迫った凶刃を受け止めている。彼の者こそが、危機に陥った時に召喚されると言う信康なのだろう。
「へぇ、黒幕は、妖狐を従者に連れた和装の美少女……なんて、二次元だったら萌え要素だけどね。残念ながら、欠片も萌えないわ」
 姿を現した信康に注意を払いながらも、三嶋・友(孤蝶ノ騎士・f00546)の構える水晶剣は桔梗に狙いを定めており、その刀身にみるみる魔力が満たされつつある。
「……萌え」
 ぽつり呟いた理彦が、何故か自分の尻尾をもふもふしていたのはさておき、友は烈火の如き怒りを己の声に込めて叩きつけた。
「……貴方の望みが何かは知らないけれど、無念の魂を弄んだ貴女を、私は絶対に許さない……ッ!」
 熱いのがお望みなら、とっておきのをくれてあげるとばかりに、晶花の刃が紅蓮の炎を纏い――火の精霊と踊るようにして友は、華麗な連撃を桔梗目掛けて繰り出していく。
「おい、お前は陰陽に喰われたか自ら式神に堕ちたか。どっちだ?」
 そんな中で燦は、信康の注意を惹くように問いを投げかけたのだが、あくまでただ使役される存在に過ぎないのか――彼からの応えは無く。ならば倒すまでだと、燦は桔梗を盾にするように位置取りをして牽制を行い、その隙に瑠碧が桔梗の手にする書物を矢で狙い撃った。
「……ほう、これが我の本体と見たか。残念だったな」
 ――が、貫かれた書物を見つめる桔梗は面白そうに笑うと、そのまま刀剣を召喚して瑠碧への報復に出る。直後の隙を突かれた形となった彼女には、相殺の矢を放つ猶予も与えられなかったのだが――其処へ妖刀を構えた理彦が躍り出ると、飛来する刃を纏めて叩き落としたのだった。
「二度も苦しい思いをさせたんだ……あんたもしっかり罰を受けてかえりなよ」
 ――ちょっと本気を出していこうか。そう言って理彦が繰り出すのは、月を隠す叢雲を払うかの如き剣撃一刀。その強烈な一撃によって弾き飛ばされた武器のひとつを奪い取り、燦は起死回生の刃を桔梗の首目掛けて一閃していた。
「おのれ……!」
「……全てを包む六花の優しさは、貴女なんかには勿体無い。貴女なんかにかける情けはないけれど」
 そうして態勢を崩した桔梗の元へ、友の放つ紅蓮の波――炎爆波が襲い掛かる。焦がせ焦がせ、赤き炎の河となりて、我が敵を飲み込み喰らえ――今この瞬間、戦いの流れは、完全に猟兵たちの方へと傾いていた。
 ――後は、優しき六花の覆うがままに。彼らの紡ぐ物語を、時の許す限り語っていこう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

リンセ・ノーチェ
【Folklore】猟兵皆と戦う
「どうして…笑えるんだろう」敵の表情に軋む心…怒り、なの?
ユーンさんサヴァーさんの言葉が心の毛並みを優しく整えてく
「…ありがとうございます。…行こう、フォルテ!」
2人の支援を信頼し【騎乗】の心得を活かしユーベルコードの友フォルテに乗り、一心同体で敵の気を惹きつける。後方によそ見させないよ
敵の攻撃は【見切り】躱し僕の攻撃は【フェイント】織り交ぜ
エレメンタルロッドや精霊銃で【2回攻撃】を撃ち込んでく
心が穢れる答は言わず傷を受ける
「僕は…怒ってるんじゃない」
たぶん、と【勇気】出し告げる
「僕は、あなた達を哀しく思う。桔梗、信康」
信康がいても桔梗を倒せる隙には狙っていくよ


サヴァー・リェス
【Folklore】の皆と…猟兵の皆と戦う…
「私達とは、違う、なにかだから。…きっと、わかりあえない、少なくとも、いまは」
優しいリンセの心が痛むのを、戦いのたび、私は…見てきた
ユーンの言葉は、私の思いと、同じ…ふたりでリンセに、頷く
駆けてゆくリンセとフォルテを、ユーンと私を、皆を、守る
私は、ユーベルコードで敵のユーベルコード…相殺、し続ける
【第六感】も使い…敵の攻撃タイミングに、上手く合わせ、相殺…

目立たぬよう後方で移動していくけれど、私達が…狙われる事も、ある
…魂が穢れる言葉なら、私も傷を選ぶ
「有難う、ユーン…大丈夫。ユーンこそ」
ユーンも優しい人…決して、誰も失わせない
命の底から、鎮魂を歌う


ユーン・オルタンシア
【Folklore】で猟兵皆様とも可能な限り連携
「リンセ、心揺らせば敵の思惑通りです。落ち着いて、行きましょう」
彼の優しい心は好ましく、だからこそ敵に渡したくありません
彼が駆けてゆく後方からユーベルコードと弓で【援護射撃】で攻撃支援を
彼とフォルテは小回りが利きます、私も彼らに当てぬ様細心の注意を

後方ですが敵の的にならぬ様、サヴァーと程よく距離を開け移動しつつ戦います
サヴァーの護りを信頼しつつも迫る攻撃は【見切り】回避
神に仕える身、穢れは語らず傷を選びます
「サヴァー、お疲れはありませんか?」
気遣う息が命の証
「ええ、頑張れますよ」
命の限り
「おやすみなさい、桔梗、信康
この命一滴たりとも、渡せません」



「どうして……笑えるんだろう」
 目の前に立つ、少女の姿をしたオブリビオンを見つめて、リンセ・ノーチェ(野原と詩と・f01331)は己の心に生じた、不協和音のような感情に戸惑っていた。
(「ひどく軋んで、苦しい……これが怒り、なの?」)
 きっと相手――勘解由小路・桔梗は、この心までも覗き込み、面白いと言って笑うのだと思うと、リンセの心が威嚇する時みたいにささくれ立っていく。――けれど。
「私達とは、違う、なにかだから。……きっと、わかりあえない、少なくとも、いまは」
 まるで月の光が差し込むように、静かなサヴァー・リェス(揺蕩ウ月梟・f02271)の声がリンセの心を鎮めていき――一方で、ユーン・オルタンシア(森の声を聴く・f09146)の声は木漏れ日のようにあたたかで、彼の心の毛並みを優しく整えていってくれた。
「ええ……リンセ、心揺らせば敵の思惑通りです。落ち着いて、行きましょう」
 ――そう、リンセの優しい心は好ましいもので、だからこそ敵には渡したくないとユーンは思う。
 その想いはサヴァーとて同じだ。戦いのたびにリンセの心が痛みを覚えていることを、何度も目にしてきて――それでも護り、生きる為に戦い続ける彼を、サヴァーは支えようと誓ったのだ。
「……ありがとうございます。……行こう、フォルテ!」
 微笑んで頷くふたりにぺこりとお辞儀をしてから、リンセは奇跡の友――ヒポグリフのフォルテを召喚すると、その背に跨り駆けていく。
 桔梗は大分消耗しているようだが、油断は出来ない。恐らくは信康を召喚し、此方を迎え撃つ筈だ。
「さて、私達は彼らの援護を行うとしましょうか」
「……そう、ね。リンセとフォルテ、ユーンも皆も……守って、みせる」
 雪原を疾駆する、純白と琥珀のヒポグリフの後方から、ユーンの放つ光が矢となって降り注ぎ――此方へ向かって襲い掛かる桔梗の炎は、サヴァーの囁きが織り上げた奇跡によって、まぼろしのように掻き消されていった。
(「……まぼろし、まほろし、こわれてく」)
 銀色に揺らぐ蜃気楼の彼方では、フォルテを操るリンセが信康を惹きつけ、刃と爪を打ち鳴らして斬り結んでいる。小回りが利く彼らに当てないよう、細心の注意を払いながらユーンが矢を放ち、その隙にリンセが精霊銃を至近距離で撃ち込んで信康を追い詰めていった。
「もし、桔梗……あなたが、心が穢れる答えを引き出そうと言うのなら。僕は答えず、傷を受けることを選ぶよ」
 朱に染まりつつある桔梗へ、リンセはきっぱりそう告げると――サヴァーとユーンもまた、確りと頷くことで同意を示す。
「……魂が穢れる言葉なら、私も傷を選ぶ」
「私も神に仕える身、穢れは語らず傷を選びます」
 ――ふと同時に発した言葉が綺麗に重なり、ふたりは微かに微笑みを交わして。リンセを援護する手を止めること無く、ユーンは傍らのサヴァーへ声を掛けた。
「サヴァー、お疲れはありませんか?」
「有難う、ユーン……大丈夫。ユーンこそ」
「ええ、頑張れますよ」
 ああ、彼もとても優しい人――だからこそ決して、誰も失わせはしないのだとサヴァーは声を震わせ、命の底から鎮魂を歌う。
「僕は……怒ってるんじゃない」
 ――たぶん、と。告げる言葉は僅かに震えていたけれど、それでもリンセは勇気を出して、失われた過去の化身たちへはっきりと告げた。
「僕は、あなた達を哀しく思う。桔梗、信康」
 互いを気遣う息が命の証であり、ユーンは命の限り彼らを護っていきたいと願う――故に。
「……おやすみなさい、桔梗、信康。この命一滴たりとも、あなた達には渡せません」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

マレーク・グランシャール
【壁槍】出水宮・カガリ(f04556)と共に

カガリ、あの女は喰ってもいいんだな? ならば遠慮はしない!
真の姿(普段収納した黒竜の角尾翼)を現し桔梗に接近
飛来する召喚武器は竜骨鉄扇で凌ぐが、一部はわざと避けず、流したその血を代償として【ブラッド・ガイスト】を発動のする
能力を底上げして碧血竜槍が当てたら【ドラゴニック・エンド】で一気に押す

信康とか言う妖弧は他の仲間に任せ、カガリを壁に機を窺う
桔梗を狙うなら信康の目が桔梗から離れた瞬間に

カガリは壁としての自負からか俺が傷つくのを嫌がるが……すまんな、俺が傷つくのは喰らう前の儀式のようなもの
傷つくことを怖れて敵が喰えるか

質問?……知るか、そんなもの


出水宮・カガリ
【壁槍】マレーク(f09171)と

存分に喰らえ、大食らいの竜
その程度の価値はあろうさ
かの首無しどもの憎悪。苦痛。その血で贖え妖狐!

【鉄門扉の盾】を盾受けで地に打ち立て、真の姿へ
石柱の腕を持つ、金屋根の城門となろう
続けて【虚想城壁】を詠唱する

『顕現せよ、去りし栄華。我が悔恨の寄す処(よすが)。これは我が無念、我が執念。今は有り得ざる、我が妄念――虚想城壁(パラノイド・ゲート)!』

武器の群れを【無敵城塞】で防ぎ、カガリの壁で猟兵を守る
加勢が必要なら無敵城塞を解除、石柱の腕(怪力+氷)で薙ぎ払おう

…ブラッド・ガイストの代償は知っている
程度があると言っているのだ
カガリは、一人の味方も取りこぼしたくない


ベルリリー・ベルベット
相棒のベルナルド(f01475)とコンビで参加
彼の呼称はルナ
大事な相棒で家族、依存の対象

「お前の趣味には興味ないの。ルナが戦うならリリも戦う。ただそれだけ」

【血統覚醒】でヴァンパイアに変身して力を得るわ。
お気に入りの真っ白な衣装が真っ赤に染まって。
例え命が削れたとしても、ルナとお揃いの姿はとっても嬉しい。

その後は一気に敵に肉薄して近接攻撃を仕掛ける。
蹴り技やナイフでの攻撃を繰り出して、ルナとコンビネーションを決めるわ。
攻撃時は『2回攻撃』や『属性攻撃』で手数と威力を補強しましょう。
ルナを傷つけられたら、そいつを絶対に許さない。粛清よ。


ベルナルド・ベルベット
ベルリリー(f01474)とコンビ参戦
呼称はリリ、お花
妹のように可愛がり、その依存を当然のように許容している

誰かの憎悪を子供の玩具にしようだなんて、良い度胸じゃない
ねえ知ってる?
それって悪趣味って言うのよ
やぁね、美しくないわ

【血統覚醒】でヴァンパイアに変身して赤く赤く
真白いアタシのお花が同じに赤く染まれば息を合わせて
コンビネーションならお手の物
攻撃を躱しながら一息に距離を詰めて、拷問具で殴りつけるわ

一撃くらいはリリを守れるかしら
綺麗よ、リリ
…でも、一秒でも速く終わらせましょ

『傷口をえぐる』で的確に狙って
『吸血』で食らい付いたなら、リリが狙いやすくなるでしょう

やぁね、怒らないの
可愛い顔が台無しよ



 ――誰かの憎悪を子供の玩具にしようだなんて、良い度胸じゃない、と不敵な声が冬空に吸い込まれていく。
 妖狐たちの骸を踏み越え、桔梗の元へと辿り着いたベルナルド・ベルベット(リーリフラウ・f01475)は、殺伐とした戦場にあっても華を忘れずに――品の良い色香を漂わせつつ、さらりと告げた。
「ねえ知ってる? それって悪趣味って言うのよ。やぁね、美しくないわ」
「リリは別に、お前の趣味には興味ないの。でも」
 そんな美貌の青年に、ひたと寄り添うベルリリー・ベルベット(ルーナフラウ・f01474)は、無機質な声音で淡々と呟くが――大切な相棒であるベルナルドを見上げる瞳には、切実な迄の熱が宿っている。
「……ルナが戦うならリリも戦う。ただそれだけ」
「ふふ、それじゃあ行きましょうか」
 彼女が寄せる危うい依存も当然のように許容して、ベルナルドは己の愛しい姫百合の手を取った。ふたりが共に行使するのは、ヴァンパイアの姿に変じる血統覚醒――人並み外れた美貌は更に凄艶に、そして柘榴のように色を濃くした瞳を瞬きさせると、ベルリリーの纏う純白の衣装が赤く赤く染まっていく。
(「例え命が削れたとしても、ルナとお揃いの姿はとっても嬉しい」)
 ――呼吸をひとつ吐いて息を合わせた後、幕を開けるのは血に塗れた狂乱のサーカスだ。戦闘能力を爆発的に増大させたベルリリーが、一気に標的に肉薄して可憐なナイフを振りかざせば、刃の雨をくぐり抜けたベルナルドはすかさず、血潮を浴びせた拷問具で桔梗を殴り飛ばした。
「綺麗よ、リリ……でも、一秒でも速く終わらせましょ」
 常に纏う薔薇の香水に混じって、ベルナルドからは香しい別の何かが、ふわりと漂って来る。ちろりと唇をなぞった舌が、普段よりも鮮やかだったのは気のせいだろうか――そんなふたりの猛攻に続いて、壁槍の片割れたるマレーク・グランシャール(ドラゴニアンのグールドライバー・f09171)は、勢い込んで相棒へと詰め寄った。
「カガリ、あの女は喰ってもいいんだな? ならば遠慮はしない!」
「ああ……存分に喰らえ、大食らいの竜。その程度の価値はあろうさ」
 感情が表面に現れぬ性質ゆえ、傍目には良く分からないが、恐らく彼は喜んでいるのだろうと出水宮・カガリ(荒城の城門・f04556)は判断して。黒翼を広げ、竜の角を露わにしたマレークは、地を滑るようにして桔梗へ接近すると――飛来する報復の刃の群れを、竜骨鉄扇を用いて凌いでいく。
「かの首無しどもの憎悪。苦痛。その血で贖え妖狐!」
 一方でカガリは、鉄門扉の盾を地に打ち立てると同時に、真の姿へ――石柱の腕を持つ、金屋根の城門へと姿を変えた。
(「顕現せよ、去りし栄華。我が悔恨の寄す処。これは我が無念、我が執念。今は有り得ざる、我が妄念――」)
 直後、虚想城壁が生み出す黄金の城壁が辺りに展開し、桔梗と戦う仲間たちを凶刃から護っていく。ところがマレークはと言うと、飛来する刀剣のひとつを、わざと避けずにその身で受けたのだ。
「これでいい、流したこの血を代償として……!」
 彼の流れる血を受け、封印の解けた赫灼竜紋が形態を変え、その殺傷力を増していく中――マレークは一気に押し切るべく、竜槍を構えて桔梗に突撃を行った。
「もし、ルナを傷つけられたら、そいつを絶対に許さない……でも」
 そんな中、カガリの城塞によって護られたベルリリー達は、どうやら事なきを得たようで。粛清よ、と息巻いていた相棒を、ベルナルドは薔薇の微笑みを浮かべて宥めると、そっと優しい手つきで彼女の青い髪を撫でる。
「やぁね、怒らないの。可愛い顔が台無しよ」
 ――そして、桔梗に一撃を喰らわせたマレークはと言えば、自分を迎えるカガリの表情を見て、ばつが悪そうに頭を掻いた。
「……すまんな。俺が傷つくのは、喰らう前の儀式のようなものだ」
「代償は知っている……が、程度があると言っているのだ」
 一人の味方も取りこぼしたくない――そう訴えるカガリはきっと、壁としての自負もあって誰かが傷つくのを嫌がるのだろうが。マレークは真剣な様子で、己の信念を彼へと訴える。
「……傷つくことを怖れて、敵が喰えるか」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

誘名・櫻宵
🌸リル(f10762)と一緒

あなたが狐達の主ってわけね
可愛い顔してえげつない事してくれるわね
しかも同じ陰陽師だなんて
嫌だわ
その首をはねちゃいましょ

リル、下がってなさい……なんてね
あなたの事頼りにしてる
リルの歌があるから戦えるのよ
いいわ
剣舞をみせたげるから最高の歌を歌って頂戴!
刀に破魔を宿らせて
衝撃波を込めなぎ払い
何度だって傷口を抉ってあげる
残像や見切りで上手く躱して
フェイントだってかけちゃうわ
あたしは素直じゃないのよ?

瀕死の隙を逃さない
信康を喚ばれる前に――仕留める
喚ばれても斬り捨てるけれど
絶華にのせるのは白の雪を彩る願い
美しい白を
リルや皆の笑顔を
あなたになんか穢させないわ!

★アドリブ等歓迎


リル・ルリ
■櫻宵(f02768)と
(アドリブ等歓迎です

「ふふ、陰陽師だって。櫻宵のライバルだね?もちろん、僕は櫻宵の方が良いけれど」
僕は君の剣技の方がずっと綺麗で好きだ
彼女の術よりずっと
ねぇ煌めく六花に舞う櫻、また見せて

残念だけど僕は歌うしか能がない
だからとっておきの歌を聴いていっておくれ
心を鼓舞するような歌にしよう

【歌唱】を活かした【シンフォニック・キュア】でこまめに傷を癒していくよ
傷も呪縛もかき消して、音色にとかし癒してあげる
【野生の勘】を働かせて攻撃を躱したり櫻宵をサポートするから、僕の事は気にせず戦って

白い雪が紅く染まらないように
美しい櫻の龍が血で穢されないように

黒く濡れた過去の残穢を骸に返そう


海月・びいどろ
あか。しろ。
雪に咲く花なら、ボクも見たいけれど
この色以外に、キミは何が識りたいの?

あまり攻撃に使えるユーベルコードはないから
言いくるめによる言葉遊びを少しだけ
…ううん。ほんとうは、どうしてこんなことをするのか
ボクも知りたいだけなんだ

だけど、気を引いて時間稼ぎになるなら
他の猟兵たちが、きっと

信康と呼ばれるひとが狐のすがたを見せたなら
ボクの海月も力を食べてつよくなれるよ
お話の延長線
ゆらゆら、泳ぐみたいに力を抜いて
海月のお人形が、キミをーー
上手くいくかなんて、わからないけど

ボクはね、キミたちのつながりを知りたいな
たいせつ? それともただの?


浮世・綾華
なあ、もしかして
――狐妖を首なしにしたのはあんたか?

違うにしろ、ふうん、成程
そうゆうやり口なわけネ

あんたがおかしいって笑ってる理由が何となく分かるよ
俺も性格わりぃんだ

悲願を果たすっつーなら
俺らが代わってやることにした

その雪を溶かす為じゃねえけど
この血はある意味、あんたの為にあるのかもな?

【錬成カミヤドリ・改】で
【鉄屑ノ鳥籠】を複製し操作
自身を傷つけて流れた紅はその鳥籠を動かす鍵となる
きれーな女を傷つけるのは気が咎めるが

【傷口をえぐる】【2回攻撃】
飛び散る血飛沫があったなら舐めとって

その雪を溶かす為の鮮やかな彩があんなら
そりゃ、あんたのもんだろ?
“くすくすと面白そう”に笑ってみせる



「……あなたが狐達の主ってわけね。可愛い顔してえげつない事してくれるわね」
 淡墨の髪をふわりと銀世界に舞わせ、誘名・櫻宵(誘七屠桜・f02768)は追い詰めた桔梗を睨みつける。普段が上品に微笑み、桜を思わせる美貌を持つだけに――そうして静かな重圧を放つ櫻宵は、有無を言わさぬ凄みのようなものがあった。
「しかも同じ陰陽師だなんて、嫌だわ。その首をはねちゃいましょ」
「ふふ、陰陽師だって。櫻宵のライバルだね? もちろん、僕は櫻宵の方が良いけれど」
 けれど、そんな櫻宵にも憶する事無く、リル・ルリ(瑠璃迷宮・f10762)が雪原を泳ぐようにして歩を進めると――桔梗の術の気配を察した櫻宵が、その手で彼を遮って一歩前に出る。
「リル、下がってなさい……」
「……うん、でもね。僕は君の剣技の方がずっと綺麗で好きだ。彼女の術よりずっと」
 こくりと頷き、後方へと下がるリルは、刀を取る陰陽師の青年の勇姿を薄花桜色の瞳に宿して――そっと囁いた。ねぇ、煌めく六花に舞う櫻、また見せて、と。
「いいわ。剣舞をみせたげるから、最高の歌を歌って頂戴!」
 ――紅い紅い、血桜の刀身に破魔の力を宿らせて。六花舞い散る白の世界に、淡墨桜の化身が舞う。その光景に彩を添えるのは、陽光に煌めくような黄金の旋律だ。
(「残念だけど。僕は歌うしか能がない。だから……とっておきの歌を聴いていっておくれ」)
 心を鼓舞するような歌で櫻宵を支えるリルの想いは、言葉にせずとも伝わっているだろう。衝撃波と共に振り下ろされる刃が桔梗に吸い込まれると、そのまま傷口を抉った櫻宵は、一歩跳び退って報復の刃を避けた。
(「……あなたの事を頼りにしてる。リルの歌があるから、あたしは戦えるのよ」)
 ――そう、傷も呪縛もかき消して、僕の音色にとかし癒してあげるから。リルの歌を伴奏に舞い続ける櫻宵は、瀕死の桔梗を逃さぬとばかりに立て続けに打ち込んでいくが――其処で召喚された信康が、主を護るべく牙を剥いた。
「喚ばれる前に、仕留められたらと思っていたけど……問題ないわ。喚ばれたのなら斬り捨てるまでよ」
 僕の事は気にせず戦って、と背中を押してくれるリルに心の中で感謝を述べると、櫻宵は白の世界に残像を生み出しつつ刃を合わせる。
「……あか。しろ。雪に咲く花なら、ボクも見たいけれど。この色以外に、キミは何が識りたいの?」
 そして一方で、反撃に移ろうとする桔梗の元へ、ぽつりと投げかけられた問いは、海月・びいどろ(ほしづくよ・f11200)のもの。自分は余り攻撃手段に長けている訳ではないから、言いくるめによる言葉遊びを少しだけ――そのつもりで発したものだったけれど。
(「……ううん。ほんとうは、どうしてこんなことをするのか、ボクも知りたいだけなんだ」)
 ヒトを模した存在であっても、ヒトと接するたびに分からないことが増えていく。ならば、器物が魂を得たと言うヤドリガミならばどうなのだろうと、びいどろは空想の海に思考を泳がせる。
(「だけど、気を引いて時間稼ぎになるなら。……他の猟兵たちが、きっと」)
 ――が、追い詰められて後が無い桔梗は、煩わしそうに問いを振り切り、ただ此方を排除することに専念したようだった。
「……信康! この鬱陶しい童を斬り捨てよ!」
 妖狐を呼び戻して、びいどろに狙いを定める桔梗だが、それは寧ろ好都合だ。十指の先に揺蕩う海月を、呪詛への形代として用いて――びいどろはふっと身体の力を抜くと、己に迫る凶刃をそのまま受け止めた。
(「お話の延長線。ゆらゆら、泳ぐみたいに力を抜いて。海月のお人形が、キミを――」)
 ――上手くいくかなんて、わからないけど。けれど、びいどろの形代は信康の猛攻を完全に無効化し、その衝撃をそのまま、海月の人形から排出する。強力な一撃がそのまま跳ね返ってきた信康は、煙のように儚く掻き消えていって――直後、顔色を一変させた桔梗は、震える声でただ従者の名を繰り返していた。
「ボクはね、キミたちのつながりを知りたいな。……たいせつ? それともただの?」
「……煩い、煩い煩い煩い!」
 その時――血相を変えて髪を掻きむしる桔梗の元へ、淡雪を踏みしめる足音が近づいてきて。唐紅に咲く菊花を纏う浮世・綾華(❂美しき晴天❂・f01194)は、なぁと明日の天気を問うような素振りで、桔梗に向かって問いかける。
「もしかして――狐妖を首なしにしたのはあんたか?」
 しかし、恐慌をきたした桔梗はかぶりを振るばかりで、そんな彼女の様子を見つめる綾華は「ふぅん」と頷き肩を竦めた。
「あんたがおかしいって、笑ってた理由が何となく分かるよ。俺も性格わりぃんだ……悲願を果たすっつーなら、俺らが代わってやることにした」
 首を失くし、憎しみに濡れた妖狐たち――行き場を失った彼らの想いを、遠慮なくぶつけてやると言って。流れた紅を鍵として動く、数多の鉄屑ノ鳥籠を複製した綾華は、それを一斉に操ると桔梗の処刑を執行する。
「その雪を溶かす為の鮮やかな彩があんなら、そりゃ、あんたのもんだろ?」
 残酷な拷問具たちによって、桔梗の身体からは鮮やかな紅が飛沫を上げ――飛び散るそれを舐め取った綾華は意趣返しのように、くすくすと面白そうに笑ってみせた。
「美しい白を、リルや皆の笑顔を……あなたになんか穢させないわ!」
 ――絶華の太刀に乗せるのは、白の雪を彩る願い。冴えわたる剣技を駆使する櫻宵の姿を瞳に焼き付けて、リルが紡ぐ旋律は、六花を抱き空に舞い上がっていく。
(「白い雪が紅く染まらないように、美しい櫻の龍が血で穢されないように」)
 ――さあ、今こそ、黒く濡れた過去の残穢を骸に返そう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユハナ・ハルヴァリ
彼女の姿が見えたなら
杖をぎゅっと握り直して、唇を少し噛む
彼女すら過去、只の骸
そう、ただ、それだけ
それだけなのだと、言い聞かせて

他のみんなとも連携して
シンフォニックキュアで援護を
大丈夫だよ
前だけ見てて
危ない人がいれば庇いに入る
変わらず、周りが見える位置を取りながら
彼女の戦い方を、見ている

どうしてかなぁ
知りたい事がたくさんあるのは同じなのに
君と僕は、こんなにも違う
どうしてかな

何を、知りたいの?
どんな気持ちで殺したか?
…うまく、言葉にできないけど
祈ったよ
次に生まれる時には、どうかしあわせでいて、と

彼らを起こしたのは
それを知りたいがため?
…そう
でも、もうおしまい
お終いにしようね
――君も。
海へ還る頃だよ



 ――晴天の冬空に、はらはらと六花が舞う。
 桔梗の姿を視界に捉えたユハナ・ハルヴァリ(冱霞・f00855)は、手にした杖をぎゅっと握り直してから、少しだけ唇を噛んだ。
(「彼女すら過去、只の骸。……そう、ただ、それだけ」)
 自分にそう言い聞かせて、ひたすらに癒しの歌で皆を支え続けて。大丈夫、前だけ見ててと励ましながら、ユハナはじぃっと、彼女の戦い方を見ていた――けれど。
「……どうしてかなぁ。知りたい事がたくさんあるのは同じなのに」
 さく、さくと降り積もる雪に足跡を刻みながら、ユハナの辿り着いた其処には、今にも息絶えようとしている血塗れの桔梗が倒れていた。
 自分のこえは、果たして聞こえているのか――そんな逡巡も一瞬のこと。そっと屈み込んだ彼は桔梗の顔を覗き込むと、静かに囁くようにして言葉を続ける。
「君と僕は、こんなにも違う……どうしてかな」
 ――応えは、無い。けれども伝えたいことを伝えようと、ユハナは光を失いつつある桔梗の瞳を見つめて、彼女が知りたかったであろう答えを口にした。
「何を、知りたいの? どんな気持ちで殺したか? ……それをうまく、言葉にできないけど」
 祈ったよ、と透き通る空を見上げて少年は言う。――次に生まれる時には、どうかしあわせでいて、と。
「ねえ、彼らを起こしたのは、それを知りたいがため?」
「……、……」
「……そう。でも、もうおしまい。お終いにしようね」
「…………」
 掠れたような呼吸もとうに聞こえなくなって、眠るように息絶えた桔梗の身体は、六花に抱かれて触れた先から消滅していく。
 忘却の果てに過去へと葬られることを、もしかしたら彼女は恐れていたのかもしれないとユハナは思った。けれど、これだけは最後に伝えておこうと思う。
「――君も。海へ還る頃だよ」

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 日常 『和のおもてなしを受けましょう』

POW   :    お菓子!ごはん!とにかく美味しいものを食べる。

SPD   :    文化や作法に触れることを楽しんだり、実際に体験してみたりする。

WIZ   :    仲間との歓談を楽しんだり、地元の人たちの話を聞く。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 雪降る里に迫っていた妖狐の群れを再び眠らせ、彼らの無念を利用し扇動していた黒幕――勘解由小路・桔梗をもまた、骸の海へと還した猟兵たち。
 幕府のお墨付きである彼ら猟兵の活躍に、ひとびとは熱狂し、是非とも新年の祭りでおもてなしをさせて欲しいと申し出てきた。
 素朴ながらも素材の味が引き立つ郷土料理に、甘い和菓子に季節の果物――新年ならではのお餅をつついたりして、和の食文化に触れてみるのも良し。
 或いは、サムライエンパイア独自の文化――初釜や書き初めを行うのも良いだろう。新年の祝いに晴れ着の着付けをしてくれるひとも居るし、今は行商人たちが集まり広場に市が立っているので、着物や装飾品、小物の類いを買い求めても良い。
 ――それとも、悲劇の舞台となった丘の上の社へ、参拝していくと言うのも有りだろうか。遥かな昔に人足が絶えた所為もあって、社に纏わる出来事を知る里の者は居ないだろうが――静かに想いに浸るにはもってこいだろう。
 新たな年の始まりを祝い、未来へ向かって進んでいく――それがきっと、過去を弔うことにも繋がる筈だ。
四王天・燦
瑠碧(f04280)と弔い業だ。
その後POWで食事

社の雪を落とし、未練がましく見ながらも油揚げ供えて祈祷…南無南無。
そいじゃ出来る限り修繕だ。
賽銭箱も置くのが燦流

社をどうするかは里の者に決めてもらう。
定期的に手入れするか、移動させるか、静かに眠らせるか。
「ただ二つ頼みがある。忘れ去らないで欲しい。過去から顔見世したのは忘れて欲しくないって意思もあると思うんだ。あと御神酒供えてあげて。酒屋で売ってくれなかった…何故だ!」
瑠碧…そこノーコメ?(じー)

重い話はこれくらいでご馳走ご馳走♪
「油揚げねーし!お稲荷様怒るわこりゃー」
愚痴りながら餅を食べ食べ…

瑠碧の肩を叩く。
喉に詰まった助けてー!
「んがぐぐ」


泉宮・瑠碧
燦(f04448)と
最初は丘の上の社へ

まずは手を合わせる

(止めた私達が言えた事では無いけれど…
どうか狐達が苦しまず、穏やかに眠れますように…)

…僕は社のゴミ拾いをしよう
子守唄を口ずさみながら
敷地の石や葉、枝等を除けるぞ

作業を終えたら
後は里の者達に任せるのは同じくとして

君達は、もし自分の墓に誰も来てくれなくなったら、
悲しいや寂しい、或いは憎いと思う?

…彼らも、似た様なものだったのではなかろうか
中には静かに朽ちる事を望む者も居るが
…長く近くに在った、隣人でもあるのだろう

お神酒にはノーコメント
…君、未成年だろう

餅に関しては…
水を用意して背中を叩く

…僕は餅にはまだ詳しくは無いが
何故一気に詰め込んだのか


逢坂・理彦
ここが例の場所かぁ…さっきは起こしてしまって悪かったね。今度こそゆっくり眠っておくれよ。俺が生きてる間はさあんた達のこと覚えてるから…ん、少しでも長く覚えておく為にもほんと…命大事にしないとな。
酒も持ってきたんだ供えていくよ。



 新年の祝いで華やぐ、ふもとの里を見下ろす丘の上――とうに人足も絶えて、朽ちるがままになっていた社を忘れはしないと、足を運ぶ者たちが居た。
「ここが例の場所かぁ……さっきは起こしてしまって悪かったね」
 色褪せた鳥居をくぐり、ゆったりとした足取りで境内を歩く逢坂・理彦(妖狐の妖剣士・f01492)は、嘗ての同胞たちに向けてそっと手を合わせる。
「今度こそゆっくり眠っておくれよ。俺が生きてる間はさ、あんた達のこと覚えてるから……」
 恐らくは此処に祀られているであろう――首を失くし、憎しみに濡れていた妖狐たちに優しく語り掛けた後。一息ついた理彦は懐から煙草を取り出し、のんびり紫煙を燻らせながら空を仰いだ。
「ん、少しでも長く覚えておく為にも、ほんと……命を大事にしないとな」
 妖剣を振るうことで削られていく魂を、普段はしんどいと苦笑して誤魔化してはいるものの――誰かを護る為ならば、この先も躊躇いなく剣を取るだろうと、自覚はしている。
(「……煙草も、当分止める気はないしねぇ」)
 ――ま、寿命云々はさておき、酒も供えていくよと理彦が声を掛けた所で、二人組の少女が石段を登って来た。
「さて、と……退魔業の次は弔い業だな」
 社の雪を落とし、出来る限りの修繕を試みる四王天・燦(月夜の翼・f04448)は、ついでに賽銭箱も設置し満足そうに頷いていて。その傍らで、泉宮・瑠碧(月白・f04280)は社に手を合わせた後――優しい子守歌を口ずさみながら、敷地内に転がる枯葉や小石を掃除していく。
(「止めた私達が言えた事では無いけれど……どうか狐達が苦しまず、穏やかに眠れますように……」)
 この社をどうするかは、里の者たちが決めることであるが、ただ頼みをするならば忘れ去らないで欲しい、と燦は思った。
「……きっと過去から顔見世したのは、忘れて欲しくないって意思もあると思うんだ」
「そうだな……もし自分の墓に誰も来てくれなくなったら……悲しいや寂しい、或いは憎いと思う。……彼らも、似た様なものだったのではなかろうか」
 数多の魑魅魍魎が跋扈する、この世界――祟り為す存在の脅威が身近にあると言うのは、畏怖を通り越して純粋な恐怖しか感じられないのかも知れないけれど。
「けれど中には、静かに朽ちる事を望む者も居て。多分彼らは……長く近くに在った、隣人でもあるのだろうから」
「……それはさておき、瑠碧ー。御神酒も供えようとしてさっき酒屋に寄ったんだけど、アタシには売ってくれなかったんだ……何故だ!」
「……君、未成年だろう」
 代わりにお供えした油揚げを未練がましく見つめつつ「南無南無」と祈祷する燦に、瑠碧は取り敢えずそれだけをコメントして――其処で先に供えられていたお酒を見つけると、彼女は離れた場所で一服している理彦へ向かって、小さくお辞儀をした。
「さて、重い話はこれくらいで、里に戻ってご馳走ご馳走♪」
 ――この後、里のお食事処でお餅をつつく二人であったが、勢い込んだ燦が喉に餅を詰まらせて悶絶したのもまた、微笑ましい思い出と言った所で。
 餅にはまだ詳しく無いが、何故一気に詰め込んだのか――そんな瑠碧の溜息が、賑やかな通りまで聞こえてきたのだと言う。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

誘名・櫻宵
🌸リル(f10762)と一緒
アドリブ等歓迎

きゃーー!リル可愛いー!
白もいいけれど赤も……紫も凛として美しいわ!
こっちの着物も着てみて頂戴
着物が初めてだというリルの着物探し!
どれもこれも似合ってしまって迷っちゃう!
え、あたしと同じ桜の着物に?
じゃあ夜桜の羽織にしましょ!
これから春だもの
お花見も待ち遠しいわ

何故……そうね
生きたいからじゃないかしら?
だからね
殺したものは相手の分まで生きなきゃってあたしは思うのよ
リルは優しいわね
覚えてくれる人がいればその過去は死んだ過去では無くなるのではないかしら?

あなたと過ごした今も、忘れないわ

社に参拝しに行きましょうか
過去の残穢も明るい未来に繋がることを祈って!


リル・ルリ
■櫻宵(f02768)と共に
(アドリブ等歓迎

「……着物が着てみたいとは言ったけれど」
テンション高く次々に着物―どう見ても女物―を持ってきては僕に着せる
楽しそうでいいけれど
人魚に和服…似合う?

「そう僕は…宵に咲く、桜の着物がいいな」
それは例えば君のような
褒められれば照れ隠しに尾鰭をゆらり
お花見…うん、約束
未来へ続く約束が暖かくて微笑んで
桔梗をふと思い出す

「何故彼らは殺すのだろう?」
櫻宵の言葉に頷く
ならば僕も覚えていよう
美しい櫻の龍の剣舞と狐の妖の命のやり取りを
櫻宵
僕は君の考え方好きだよ

春を待たずに消えたあの娘に一足早い春の宵桜を見せようか
お気にいりの羽織をみて未来へ思いを馳せる

多分
これが生きる事



 ――里の中でも一際賑やかな、行商人たちが集まる市の一角で、「きゃー!」と夢見心地な歓声が上がる。
「リル可愛いー! 白もいいけれど赤も……紫も凛として美しいわ!」
 鮮やかな着物を次から次へと手に取りながら、誘名・櫻宵(誘七屠桜・f02768)はうっとりした様子で、隣に立つリル・ルリ(瑠璃迷宮・f10762)の姿を見つめていた。
「……着物が着てみたいとは言ったけれど」
 ぽつりと呟くリルの声は、テンションの上がった櫻宵には届かないらしく――あれよあれよと言う間に彼は、色とりどりの着物をとっかえひっかえさせられ、その度に櫻宵の華やいだ声が辺りに響く。
「あ、こっちの着物も着てみて頂戴! ってやだ、どれもこれも似合ってしまって迷っちゃう!」
 ――見事に彼の着せ替え人形にされてしまっている、今の状態に突っ込みを入るべきか。いや、それよりも先に、着せられる着物が全て女物であることを指摘した方が良いのだろうか。
「楽しそうでいいけれど、人魚に和服……似合う?」
 小首を傾げて問うリルだったが、猟兵として世界の加護を受けた所為もあり、お店のお姉さんは特に気にした様子も無い。それどころか「ふたりとも美人ねー、姉妹か何か?」なんて気さくに聞かれて、返答に困ってしまった。
「……そう、僕は……宵に咲く、桜の着物がいいな」
 先程から褒められてばかりで、照れ隠しに尾鰭をゆらり陽光に揺らしながら、リルは上目遣いで櫻宵の瞳を覗き込む。
 それは例えば、君のような――花あかりの中に浮かび上がる淡墨桜、と。己の望みを告げれば、木龍の麗人の貌がぱっと華やぎ、彼は早速と言った様子で着物を物色し始めた。
「え、あたしと同じ桜の着物に? じゃあ夜桜の羽織にしましょ!」
 ――こうして、初めてだと言うリルの着物の着付けが無事に終わり、ふたりは並んでのんびりと冬里の景色を眺める。
「……これから春だもの。お花見も待ち遠しいわ」
「お花見……うん、約束」
 櫻宵と交わす、未来へ続く約束――その暖かさに、リルはふわりと微笑んだ後、六花に埋もれていく桔梗の姿をふと思い出した。
「ねぇ、何故彼らは殺すのだろう?」
「何故……そうね。生きたいからじゃないかしら?」
 骸の海から蘇り、捨てられた過去で世界を埋め尽くそうとする存在について、櫻宵はそう答えを返し――だからね、と凛とうつくしく微笑んで言葉を続ける。
「殺したものは、相手の分まで生きなきゃってあたしは思うのよ」
 その言葉を聞いたリルは、ならば自分も覚えていようと、前を向きながら頷いた。あの、美しい櫻の龍の剣舞と、狐の妖の命のやり取りを――僕は君の考え方が好きだよと、澄んだ湖面のような瞳を瞬かせながら。
「……リルは優しいわね。覚えてくれる人がいれば、その過去は死んだ過去では無くなるのではないかしら?」
 ――ならば、春を待たずに消えたあの娘に、一足早い春の宵桜を見せようか。羽織を翻して未来へ思いを馳せるリルと共に、櫻宵は社に参拝しに行こうとその手を取った。
「あなたと過ごした今も、忘れないわ。過去の残穢も明るい未来に繋がることを祈って!」
 ――多分、きっと。これが生きると言う事だから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リンセ・ノーチェ
【Folklore】の皆で遊ぶね
ケットシーの僕が着られるサイズの和服があれば着るけどなくても平気
サヴァーさんも着よう?

「二人とも似合ってます」
初めて出会ったみたいに皆で少し畏まった後
この世界で気になっていた「凧」を取り出す
サヴァーさんは不思議そうだけどユーンさんの言う通り
「飛べるのと、飛ばすのは、別の楽しさ。きっとね」
やり方は聞いてきたから、するする揚げる
「わぁ…揚がるなぁ…どこまで行くかな」
大人のユーンさんが一緒に目を輝かせて遊んでくれて凄く嬉しい
って気づくのは遊んだ後だった
サヴァーさん退屈してないかなと振り返れば
お姉さんみたいな彼女に一瞬僕の母さんが重なってみえて目を擦る
一杯遊んで帰ろうね


サヴァー・リェス
【Folklore】の皆と
社で鎮魂祈り…2人が勧めるので…私も、和装
リンセに服がなければ…私の髪から一本…簪を彼の腰に差してあげる
取り出される…「凧」という、玩具
「リンセは…ヒポグリフのフォルテに乗って…飛べるのでは、ない…?」
と言う間にも、2人は空に揚げた凧に、夢中
…これが…「男の子」というもの、かしら
年齢差を感じさせない、2人の笑顔
凧の様子と同じく…晴れやかで、気持ち良く…ふたりとも、愛らしい
眺めて、優しい気分に、なる
2人が、私の事を…思い出してくれたから
「…そう、ね」
2人の見ているもの…、見たくて…ユーンの、凧を借りる
ぐんと引く糸、生きている、みたい
「…楽しい」
返る温かな言葉達が、嬉しい


ユーン・オルタンシア
【Folklore】の皆で
社で魂の安寧を祈った後
リンセに合う着物を現地人に尋ね探し各々和装を着付けして頂きます
ええ、サヴァーも良い経験になるかと

「着て正解ですね」
三者三様の新たな魅力に微笑み「凧」を取り出します
「不自由な事を何とか自由にしてみたいと思う浪漫ですね、これは」
特に私は飛行手段がありませんしと揚げれば空に吸い込まれゆく凧
「ええ、気持ち良いですね。手元の糸がなくなりそうです」
自分の分まで風を感じてくれる凧が快く
とはいえサヴァーを待たせているかと気を遣れば
その表情は常と変わらず表情乏しくとも楽しげな光を瞳に湛えていて安心します
「サヴァーも、持ってみませんか」
楽しみを沢山思い出にしましょう



 丘の上の社に赴き、魂の安寧を祈った後――ユーン・オルタンシア(森の声を聴く・f09146)たちは里の市で、それぞれに似合う着物を選んでから着付けをして貰っていた。
「……リンセに合う着物も、あれば良いのですが」
「僕はケットシーだからね。着られるサイズのものがあれば着るけど」
 金色の髪を結い、きりりとした和装に身を包んだユーンは、異文化を体験出来るこの機会を楽しんでいるようで――小柄なリンセ・ノーチェ(野原と詩と・f01331)にも是非、と里のひと達に尋ねてみれば、人形に着せる着物を色々見せて貰えることになったようだ。
「わぁ、凄いね……こんなに沢山あるんだ。ね、サヴァーさんも着よう?」
 仔猫の身体にも難無く着せられていく着物に、リンセが色違いの瞳をきらきらさせながら誘うと、サヴァー・リェス(揺蕩ウ月梟・f02271)は少し逡巡してから「……そう、ね」と淑やかな仕草で頷いた。
「ええ、サヴァーも良い経験になるかと」
「……二人が薦めてくれるのなら、試してみようかしら」
 ――そうして三者三様の新たな装いに身を包んだ後、改めて顔を見合わせてみれば。まるで初めて会った時みたいに、つい畏まってしまってしまうけれど――似合ってますと呟いたリンセに、サヴァーは露草絡む髪を纏めていた簪を一本取り出すと、彼の腰帯に挿してあげる。
「着物の代わりに、と思っていたのだけれど……とても良く似合って、いるわ……」
 ――それはサヴァーが普段纏う、長いヴェールの色を思わせる深い青で彩られた簪。その花の意匠は、もしかしたら桔梗だろうか。
「まぁ、感傷に浸るのはまたの機会にしまして。折角ですので、新年の遊びを楽しむとしましょう」
 其処で、柔らかな笑みと共にユーンとリンセが取り出したのは、紙で出来た不思議な形の『凧』だった。子供たちが遊ぶ玩具なのだと言うそれを、不思議そうに見つめるサヴァーに実践してみせようと、ふたりは早速走りながら糸を操り――上手く風に乗せて、凧を空へと揚げていく。
「でも、リンセは……ヒポグリフのフォルテに乗って……飛べるのでは、ない……?」
 確かに見事な光景ではあるが、ついサヴァーの口からはそんな疑問が零れていて。しかし当のリンセは凧揚げにすっかり夢中になっており、隣のユーンが苦笑しつつ彼女に説明をした。
「不自由な事を何とか自由にしてみたいと思う浪漫ですね、これは」
 特に、私は飛行手段がありませんし――と呟く間にも、エルフの青年の揚げた凧は、見事に空へと吸い込まれてゆく。
「そう……飛べるのと、飛ばすのは、別の楽しさ。きっとね」
 一方のリンセもコツを掴んできたのか、凧をするすると空へ羽ばたかせていき――わぁ、と歓声を上げると同時、風を受けた凧が更に高みへと昇っていった。
「揚がるなぁ……どこまで行くかな」
「ええ、気持ち良いですね。手元の糸がなくなりそうです」
 空に揚げた凧を操ることに情熱を傾けるふたりに、これが『男の子』というもの、かしら――なんて、サヴァーは思ったりもして。けれど年齢差を感じさせない彼らの笑顔を見ていると、空を舞う凧のように晴れやかで、気持ちの良い感じになっていくのがくすぐったかった。
(「ふたりとも、愛らしい……。眺めて、優しい気分に……なる」)
 一方でユーンはふと、サヴァーを待たせているのではと気になったが――彼女の様子を見遣れば、常と変わらず表情は乏しかったものの、瞳に楽しげな光を湛えているのが分かって安堵する。
「サヴァーも、持ってみませんか」
 掛けられた声に彼女は頷いて、恐る恐るユーンから借りた凧を空に揚げてみた。ぐんと引く糸はまるで、生きているかのように力強くて、ふたりの見ているものを一緒に見られた喜びに、サヴァーの表情がふわりと綻ぶ。
「……楽しい」
(「……あ」)
 そんな彼女の優しい微笑みに、一瞬母親の姿が重なって見えたリンセは慌てて目を擦ったが――大人のふたりが、一緒に目を輝かせて遊んでくれるのが凄く嬉しくて。
 ――いっぱい遊んで帰ろうねと、元気な少年の声が冬の空に木霊した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジン・エラー
【花の涯】
全て万事解決、一件落着ってなァ
さてさてあとは女将サンとのンびり甘いモンでも食って帰るか

あ?いや別に平気だけど
だから平気だっつー………あァクソ、そォーなると頑固だよなァ女将サン
しょォ〜がねェ〜〜なァ〜〜〜〜
はいはい、好きにしな

口開けろ?
ほらよ、これでいいか?
…なンだよ
まさかお前これ外せって言うンじゃねェーだろォーな
それは……お前………

あァ〜〜〜〜クソ
わかった、わかったよ
オレの負け。降参だ

何惚けてンだよ
食べさせてくれるンだろ?


千桜・エリシャ
【花の涯】
ええ、一件落着…でも、
御首はいただけなかった上に、あなたに怪我をさせてしまうなんて…
自分の不甲斐なさに腹が立ちますわ!

ええ、甘い物でもいただいて帰りましょう
ただし、あなたは怪我をしているのですから私が食べさせて差し上げます
私を庇って負った怪我ですもの
その分は、ちゃんとご奉仕で返させていただきますわ

はい、あーん…
ちょっと。もっと口を大きく開けてくださらない?入らないのですけれど
というか、そのマスクが邪魔で食べさせにくいですわ!
それに汚してしまうかもしれませんし…
ええ、外してください

…………。
べ、別に惚けてなんていませんわ!
ただマスク姿に慣れすぎてて見慣れないというか
それだけ、ですから



「全て万事解決、一件落着ってなァ」
 ――雪に散る鮮やかな紅も、刃金を打ち鳴らす澄んだ音色も、夢のように溶けて無くなった長閑な里中で。ジン・エラー(救いあり・f08098)は大きく伸びをした後、あとはのんびり甘いモンでも食うかと呟いて、千桜・エリシャ(春宵・f02565)の方を見遣る。
「ええ、一件落着……でも」
 そう言って顔を俯かせるエリシャの姿は何処か物憂げで、それもまた彼女の美しさを引き立たせていたのだが――どうしたのかとジンが続きを促すと、顔を上げたエリシャは、桜色の瞳を微かに潤ませて捲し立てた。
「御首はいただけなかった上に、あなたに怪我をさせてしまうなんて……自分の不甲斐なさに腹が立ちますわ!」
「あ? いや別に平気だけど」
 傷はそう深いものでは無いし、と首を振るジンであったが、真剣な表情のエリシャは納得しなかったようだ。これからふたりで甘いものを食べに行くことは決めたものの、これだけは譲れないと彼女は言う。
「ただし、あなたは怪我をしているのですから、私が食べさせて差し上げます」
「だから平気だっつー………あァクソ、そォーなると頑固だよなァ女将サン。……って、しょォ? がねェ?? なァ????」
 頑固なエリシャの性格に、相変わらずだと苦笑するジン――だが、その声は途中から、妙な抑揚をつけて跳ね上がった。待て、今彼女は、さらりと凄いことを口にしなかったか。
「私を庇って負った怪我ですもの。その分は、ちゃんとご奉仕で返させていただきますわ」
「……はいはい、好きにしな」
 ――嗚呼、こうなったエリシャを止める術は無い。これは別の意味で、旅館に帰った時に何をされるか分かったもんじゃないと思いながら、ジンは彼女の好意を有難く受けることにしたのだった。
「はい、あーん……ちょっと。もっと口を大きく開けてくださらない? 入らないのですけれど」
「口開けろ? ほらよ、これでいいか?」
 ――そして、茶屋で餡蜜を注文したエリシャは、匙を手にジンと向き合ったのだが。いざこうやって、ふたりで顔を突き合わせて食べさせるとなると、妙にくすぐったくて仕方がない。
「というか、そのマスクが邪魔で食べさせにくいですわ!」
「……なンだよ。まさかお前、これ外せって言うンじゃねェーだろォーな」
 己の口元を覆うマスクを指さすジンに「ええ」ときっぱり頷くエリシャ。いつも身に着けているそれを外すことに、抵抗を見せたジンであったが――エリシャの勢いに押され、渋々と言った様子で口元を晒す。
「…………」
「何惚けてンだよ。食べさせてくれるンだろ?」
 ――素顔を露わにしたジンは、泣きぼくろが魅力的な青年に早変わりしていて。その整った美貌に暫し魅入っていたエリシャは、慌てて首を振ると甘味の乗った匙を彼の口元に押し付けた。
「べ、別に惚けてなんていませんわ! ただ、マスク姿に慣れすぎてて見慣れないというか……」
 ――それだけ、ですから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

三嶋・友
…弔いの祈りは、ここへ戻る前にすませたから
気持ち切り替えていかないとね!
折角のおもてなしだし、美味しいもの食ーべよっ!

…と、そうだ
篝さんも誘ってみようかな?
妖狐達の事気にしてたみたいだし、沈んでないと良いけど
心配ないならないで良いんだ
一人で食べるのも味気ないし、付き合ってよ
…あわよくばその尻尾をもふもふしたいとか思ってないから!たぶん!
既に他の猟兵さんも一緒にいるようなら混ぜて貰っちゃおうかな?
ふっふーん
何から食べよっかなー♪
やっぱ新年と言ったらお餅かな?
焼きたてに海苔と醤油で食べるのがたまらないよねっ!
篝さんは何が好き?折角だしガンガン食べまくっちゃおう!

アドリブ・他猟兵との絡み歓迎


海月・びいどろ
【SPD】
和の文化。触れることの無い世界。
ボク、初めてだよ。…キモノ? ハツガマ?

華やかな彩りに瞬くけれど
何をすれば良いか分からなくて
お店の人を困らせてしまったみたい

さっき戦ってた、あの二人が着ていたのも
同じキモノっていうのかな…
そういえば、燈華(f10370)が着てるのも
和風のやつ、だけど…同じ?

……あの、丘の上のお社に行きたいのだけど
お参りするのに似合う服、教えてもらえない、かな
未来に進んでゆく前に、過去にさよなら言わなくちゃ

ボクは、『生きている』というのが、よく解からないけど
いろんなものが降り積もってゆくもの、なのかな
真っ白に見えなくなっても、キミたちの足跡、忘れないよ

……おやすみなさい


東雲・咲夜
まずは社に手を合わせ
御狐様たちが再び穏やかに過ごせるようお祈りしましょう
それから桔梗ちゃんにも…
彼女の欲求はうちにはよう理解できひんかったけど、あの子の中で大事なことやったのかもしれへん
それはなんとなく伝わってきはったから…

さて、しんみりするんはここまで
とーかくん、とーかくんっ
良ければうちとお祭り回りましょ

大好きなお汁粉を見つけたら彼の袂をくいくい引いて
甘い物はお好き?
赤い長椅子に並んでようけ味わっていただきます
伸びるお餅が楽しくて、とーかくんの和んだお顔が微笑ましくて
うちも思わず頬がゆるゆるしてしまうの
見て見て、もちもちびよーん

そや、とーかくんもお狐はんやから
油揚げがお好きだったりしますの?



 ――それは、里でのおもてなしを受ける前のこと。東雲・咲夜(桜歌の巫女・f00865)は先ず社へ向かい、此の地に祀られた御狐様たちが再び穏やかに過ごせるように、祈りながら手を合わせていた。
(「それから桔梗ちゃんにも……。彼女の欲求はうちにはよう理解できひんかったけど、そやけども」)
 その想いは彼女の中で、大事なことやったのかもしれへん、と。あの戦いの中でそれだけは伝わってきたから、咲夜は桔梗がもう迷い出ることが無いようにと、祈らずにはいられなかった。
「……さて、しんみりするんはここまで。とーかくん、とーかくんっ、良ければうちとお祭り回りましょ」
「うんうん、みんなで回ると楽しいし行こっか!」
 そして今――新年のお祝いで賑わう里にて。咲夜は篝・燈華(幻燈・f10370)を手招きながら、軽やかな足取りで通りを歩いている。
「………弔いの祈りは、ここへ戻る前にすませたから。気持ち切り替えていかないとね!」
 一方の三嶋・友(孤蝶ノ騎士・f00546)も、折角のおもてなしだし、美味しいものを食べようと気合を入れて。折角なので、燈華も誘ってみようかと辺りを見渡せば、ふにゃっとした顔でお祭りの空気を楽しんでいる彼の姿を見つけた。
(「妖狐達の事気にしてたみたいだし、沈んでないと良いなとは思ったけど……うん、あれは大丈夫そうだね」)
 なら誘ってみよっかな、と友が足を向けた矢先、彼女の姿に気づいた燈華が、ぶんぶんと手を振って合図を送る。
「あのね、聞いたんだけど、社にお参りに行ってくれたんだってね。本当にありがとー!」
「……あ、うん。そっちは心配要らないよ。そうそう、一人で食べるのも味気ないし、付き合ってよ」
 ――まぁ、と。一緒にお祭りを見て回る仲間が増えたことに、咲夜は透き通る肌をほんのり染めて。ほっこりと甘くあたたかな香りが漂ってくる茶屋で、大好きなお汁粉を見つけた彼女は、燈華の袂をくいくいと引いて無邪気なまなざしで尋ねた。
「……甘い物はお好き?」
 こっくり頷き答える前に、燈華の狐尾が元気よく揺れてしまうのを見て、咲夜ははんなりと微笑みつつ――隣に居る友は、猫じゃらしのように此方を誘って来る尻尾を前に、ぎこちなく手を震わせている。
「いや……あわよくばその尻尾をもふもふしたいとか思ってないから! たぶん!」
「あ、友ちゃんは何食べます?」
「ふっふーん、何から食べよっかなー♪ やっぱ新年と言ったらお餅かな?」
 そんなこんなで、茶屋に設えた赤い長椅子に並んで腰かけて、三人は揃ってお餅を頂くことになった。焼きたてのお餅に海苔と醤油をつけて、一気に行くのは友。反対に咲夜は、甘いお汁粉に入ったお餅に息を吹きかけながら、ふうふうとゆっくり味わっていた。
「伸びるお餅が楽しいわぁ。見て見て、もちもちびよーん」
「わー、凄く伸びるねー! 僕もやろっと!」
 思わず表情を和ませた燈華は、一緒になってお餅の柔らかさを堪能し――その微笑ましい様子に、咲夜の頬もゆるゆるになって、何だか幸せで一杯になってしまう。
「……そや。とーかくんもお狐はんやから、油揚げがお好きだったりしますの?」
 と、何気なく向けた咲夜の問いに、ぴくりと燈華の狐耳が反応した。――これはイエスだなと、にんまり微笑む友は、とにかく美味しいものを堪能すべしとばかりに、急いで油揚げの注文を行う。
「わ、わ……嬉しい、じゃなくて、ふたりの好きなものを先にっ……!」
「えっと、そのままで食べるのかな? 折角だしガンガン食べまくっちゃおう!」

 ――和の文化。普段は触れることの無いその世界に戸惑いつつ、海月・びいどろ(ほしづくよ・f11200)は里の賑わいの中でひとり佇んでいた。
(「ボク、初めてだよ。……キモノ? ハツガマ?」)
 記憶の海から情報を引き出そうと試みるけれど、それが何を意味するのか、彼には見当もつかなくて。華やかな彩りに瞬きをひとつしても、結局何をすれば良いのかも分からなくて――。
(「お店の人を、困らせてしまったみたいだ」)
 迷子の少年だとでも思ったのか、此方を気にして声を掛けてくれたひともいたけれど――そもそも自分が何処へ行こうとしているのか、びいどろ自身にも分からなかった。
「そう言えば……さっき社で戦ってたヒト達が着ていたのも、同じキモノっていうのかな……」
 ――鮮やかな色彩で染め上げられ、ひらひらと雪の中で踊る戦装束。確か、グリモア猟兵の燈華もあんな感じの服を着ていたと、びいどろが思い返していると――通りの向こうから、その燈華本人がやって来た。
「……あの、丘の上のお社に行きたいのだけど。えっと……大丈夫?」
 そっと彼に声を掛けるびいどろだったが、燈華は苦しそうだけど、この上なく幸せそうな様子でお腹をさすっている。いやー、あんなに食べるとは思わなかった、なんて隣の女のひとが笑っていたから、多分食べ過ぎでふらふらしているのだろう。
「あ、大丈夫。油揚げなら別腹だから……じゃなかった! どうしたの?」
「うん……お参りするのに似合う服、教えてもらえない、かな」
 ――未来に進んでゆく前に、過去にさよならを言わなくちゃと告げるびいどろの様子を見て、直ぐに燈華は事情を察したらしい。シンプルな白衣袴がいいかなあと考え込むと、優しそうな巫女のひとが隣で色々助言をしてくれた。
「そやね……うちならお参りの仕方とか、教えられると思うのやけど……一緒に社へ行ってみます?」
 そんな彼女の思いがけない申し出に、びいどろはゆっくり瞬きをひとつして――こんな風にして、何かの切っ掛けで繋がっていく縁もあるのかも知れないと、ままならぬ思考回路を懸命に働かせる。
(「ボクは、『生きている』というのが、よく解からないけど。いろんなものが降り積もってゆくもの、なのかな」)
 ――真っ白に見えなくなっても、キミたちの足跡、忘れないよ。社に辿り着いたら、骸の海に還った彼らにそう伝えよう。
(「だから……おやすみなさい」)

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

マレーク・グランシャール
【壁槍】出水宮・カガリ(f04556)と共に

カガリが丘の上の社に掃除に行くというので付き合う
掃除しながら思うのは、同じ無念を残しながらヤドリガミとなったカガリとオブリビオンとなった桔梗とでは何が違ったのかと言うこと
それから桔梗を喰ってやれなかったということ
喰えば生も邪も全て俺の血肉となって生き続けるというのに

桔梗の花でも摘んで手向けてやりたいが季節外れか
そう言えば五芒星を桔梗印と呼ぶのだと聞いたことがある
掃除したら花の代わりに五芒星でも書いて喰ってやれなかった女の来世でも祈ろう

俺はいずれ死んで誰かの血肉になるか土に還る身だ
だから心配するなとカガリに言うが‥‥余計に怒られそうだな


出水宮・カガリ
【壁槍】マレーク(f09171)と

新年の祭りも、とても心惹かれるのだが…
人足が絶えて久しい社を、このままにするのも寂しくてなぁ
できる限りで、掃除などしたいのだが
勝手に怪我をした罰だ、お前も手伝え、まる

敵を喰うのに、傷つくことを恐れていられないというのはわかる
カガリの壁は、人の意志までは囲えないが…
せめて、最小限に済ますのではいかんのか
壁より先に、槍が折れてしまわないか、カガリは心配だぞ
というか、結構怒っている(あまり表情に変化なく)
カガリは壁だからな、考えが堅いのだ
嫌なものは嫌だし、譲らんぞ

命あるものは、いずれ死ぬ
それは自然なことだし、否定はしない
お前がいつか、平和に老いぼれて死ぬのであればな



(「新年の祭りも、とても心惹かれるのだが……」)
 あたたかな賑わいに満ちた里を見ていると、此の地を護れたのだと言う実感が湧いてきたのだが――出水宮・カガリ(荒城の城門・f04556)の足は、悲劇の舞台となった社へと向いていた。
「人足が絶えて久しい社を、このままにするのも寂しくてなぁ……できる限りで、掃除などしたいのだが」
 七つ道具をひょいと取り出したカガリの隣には、彼に付き合うことになったマレーク・グランシャール(黒曜飢竜・f09171)の姿もある。
「勝手に怪我をした罰だ、お前も手伝え、まる」
 そう言って、カガリに掃除道具を押し付けられたマレークは、特に反論をすること無く黙々と掃除に取り掛かり――戦いの名残など何処にも見えない雪の境内を、箒片手に綺麗にしていった。
(「無念を宿し、ヤドリガミになった存在……」)
 そんな中でふと考えるのは、同じ想いが切っ掛けで魂を宿すに至った、カガリと桔梗のこと。片や猟兵となり世界を守る為に戦い、もう一方はオブリビオンとなり世界を破滅へと導こうとした――その違いは何なのだろう、と。
(「ああ、それと。彼女を喰ってやれなかった」)
 ――きっと喰らえば、生も邪も全て自分の血肉となって生き続けたのに、と。そんなマレークの想いが伝わってしまったのだろうか、掃除をしていたカガリはその手を止めて、先の戦いでの無謀を諫める言葉を口にした。
「敵を喰うのに、傷つくことを恐れていられないというのはわかる。カガリの壁は、人の意志までは囲えないが……せめて、最小限に済ますのではいかんのか」
 否、諫めると言うよりも、それは無茶をしないで欲しいと言う懇願に近いものだ。壁より先に、槍が折れてしまわないか心配だぞ、と――その表情は普段と然程変わらないが、結構怒っているのだと言うカガリの言葉に嘘はないのだろう。
「カガリは壁だからな、考えが堅いのだ。嫌なものは嫌だし、譲らんぞ」
 だが――この融通の利かなさも含め、実直な鉄門扉のヤドリガミのことを、マレークは先人として敬っているのだ。
「俺はいずれ死んで、誰かの血肉になるか土に還る身だ。だから心配するな」
「……命あるものは、いずれ死ぬ。それは自然なことだし、否定はしない。……お前がいつか、平和に老いぼれて死ぬのであればな」
 余計に怒られそうだと思いつつ声を掛けるが、カガリの声は何処か憂いを含んだもののように感じて。きっと、路の半ばで力尽きるのを彼は見過ごせないのだとマレークは思いながらも――猟兵として戦うことを選んだ自分が、平和の中で生を全う出来るのかは分からなかった。
(「だが、今は、喰ってやれなかった女の来世でも祈ろう」)
 ――桔梗の花でも摘んで手向けてやりたいが、季節外れか。そう言えば、陰陽道では五芒星を桔梗印と呼ぶのだと聞いたことがある。掃除したら花の代わりに五芒星でも書いてみるのも良いかもしれないと、マレークは思った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

一文字・八太郎
エン殿(f06076)と

正月はいかにつきたての餅を
硬くなる前に大量に食うかでござるな!
醤油にきな粉に餡子
大根おろしも実に良い
沢山味付けも貰ったならば
さぁ食べるぞ

網の上でぷくりと膨らむのをじっと見る
少し焦げ目がついたものが良かろう
エン殿も沢山食べて白くなるといい
だが片端から取るでは無いというかそれは拙者が焼いた餅だ返せ
ははは、ぬかせ食い物の恨みは七代まで祟ってやろうな
ドタバタ奪いあいして餅は伸び
途切れた餅が落ちる前に慌て
大口開けて口へと運ぶ
うむ、美味い

燈華殿も此度はお疲れ様でござったな
さぁさお一つ、どれが好みかな?
…なるほど確かに全制覇も良いな
尻尾揺らして金眼細め
ずずいと進める大量の調味料の皿


エン・ギフター
ハチ公(ハチ・f09059)と

寒いのはそこまで好いちゃねえけども
雪見餅も悪くはねえな
同じ白なら、腹が膨れる方が好みだが

ハチ公が調味料を準備している間に
俺は餅の焼き加減の番でもするか
いい色に焼けた端から醤油に放り込んで
海苔巻いて次々一口でぺろりと
……うっま!

つか網に乗せられた餅に所有権なんてある訳ねえわ
おいそっちのも焼けてんだろ
武士は食わねどの精神はどこ行ったよ執着すんなって
奪い合いでみょんと伸びた餅は真ん中から手刀で切断
落としちまうには勿体無いしな

お、お疲れ。とハチ公に倣い燈華に片手挙げて挨拶
寧ろ一個で足りんのか
全種類制覇して行きゃいんじゃね?と
隙あらば更に餅を追加して行こうとする余計な世話



 寒いのはそこまで好いちゃねえけども、雪見餅も悪くはねえな――そう言って、雪化粧を施された里の景色を眺めるエン・ギフター(手渡しの明日・f06076)の前では、一文字・八太郎(ハチ・f09059)が七輪を運んで来て、いそいそとお餅を焼く準備に取り掛かっていた。
「うむ、正月はいかにつきたての餅を、硬くなる前に大量に食うかでござるな!」
「まあ……同じ白なら、腹が膨れる方が好みだが」
 里のひとびとがついたお餅を分けて貰った八太郎は、味付け調味料も一通り揃えて、色々な味が楽しめる工夫も怠っていない。醤油にきな粉に餡子、大根おろしも実に良いもの――その間にエンは、餅の焼き加減の見張り番を担当し、程よい焦げ目がついたものからお皿に乗せていった。
「この、網の上でぷくりと膨らむ瞬間が何とも言えず……さあ、エン殿も沢山食べて白くなるといい」
「何、餅って食べると白くなるのか?」
 八太郎の呟きに何やら不穏なものを感じつつも、網目の形にこんがり焼き跡のついたお餅は、やっぱり美味しそうだ。醤油に浸して狐色に染めた後で、海苔を巻き一口でぺろりと平らげれば――「……うっま!」とエンの口から歓喜の声が上がる。
「キマイラフューチャーじゃ、コンコンすれば食い物は出て来るけど、こうしてじっくり食するのもまた……」
 そうして、次から次へと焼けたお餅に手を出すエンだったが、八太郎も負けじと七輪の上目掛けて箸を伸ばした。
「だが、片端から取るでは無い……というかそれは拙者が焼いた餅だ返せ」
「つか網に乗せられた餅に所有権なんてある訳ねえわ、……おいそっちのも焼けてんだろ」
「……ははは、ぬかせ、食い物の恨みは七代まで祟ってやろうな」
「武士は食わねどの精神はどこ行ったよ、執着すんなって」
 しっしっ、とお互いに牽制し合うふたりの前で、金網の上の餅はどんどん無くなっていって。やがて、最後のひとつ――奪い合いの果てにみょーんと伸びてしまったお餅の真ん中を、エンは見事に手刀で真っ二つに割った。
「ま、落としちまうには勿体無いしな」
「……うむ、美味い」
 途切れた餅が地面に落ちる前に、八太郎は慌てて駆け寄ると、大口を開けて口へと運ぶ。熱々のお餅は猫舌にとって少々きつかったが、これもお餅の醍醐味と言うものだ。
「はい、お餅の追加持ってきたよー」
 と、そんなふたりのやり取りを微笑ましそうに見ていた燈華が、里のひとから受け取ったお餅を持ってくる。お疲れ様、と今回の事件が無事に解決したことを労いつつ、八太郎は早速追加のお餅を焼き始めた。
「さぁさお一つ、どれが好みかな?」
「……寧ろ一個で足りんのか。全種類制覇して行きゃいんじゃね?」
 成程、確かに全制覇と言うのも――金眼を細め、しなやかな尾を揺らす八太郎の闘志に其処で火が点いたのか、彼はずずいと大量の調味料を乗せた皿を燈華に差し出す。
「う、僕……こんなに沢山は食べきれないかな……?」
「……食い物の恨みは七代まで祟るらしいぞ、覚悟を決めて完食しておけ」
 その隣ではエンが、燈華の耳元でぽそりとそう呟いて――更に餅を追加して行くべく、楽しそうに箸を構えていたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ベルナルド・ベルベット
ベルリリー(f01474)と一緒に着付け体験のおもてなしを受けようかしら
アタシのお花、リリ
可愛い妹みたいな子で、大事な相棒よ

サムライの国って実はほとんど初めてなのよね
アタシ、着付けが気になるわ
キモノ……だったかしら
あれは美しいわね、シロムク?へえ、ウエディングドレスなのね
ふふ、リリ。似合うんじゃない?
ねえ、着て頂戴、見たいわ?

あら、モンツキハカマ……いいわよ、赤いのもあるかしら?

終わったらお礼はしなくちゃね
リリと一緒にサーカスのショーの一幕を
さ、リリ。アタシのホワイトと踊ってくれる?
鞭を一打ち、鳩を裾からお披露目して

ありがとう、素敵な時間だったわ


ベルリリー・ベルベット
相棒のベルナルド(f01475)と一緒におもてなしを受けるわ
彼の呼称はルナ
大事な相棒で家族、依存の対象

サムライエンパイアのこと、リリもまだよく知らないの。
初めてをルナと一緒に体験できるなんて、嬉しい。

シロムク?ちょうどあの雪みたいな色ね。
ルナが着てというなら着るわ。
白はリリに一番よく似合う色なの。
そのかわり、ルナはあのモンツキハカマというのを着てね。
着方は現地の人に教えてもらいましょう。

着付けの体験を終えたら、ステキなおもてなしのお礼にルナとサーカスの芸を披露するわ。
白ライオンのホワイトと一緒に踊ったり、トランプで手品をしたり。
異文化交流も、たまにはいいものね。



「サムライの国って実はほとんど初めてなのよね……。アタシ、着付けが気になるわ」
 里の市に足を運んだベルナルド・ベルベット(リーリフラウ・f01475)は、この世界ならではの衣装を見てみたいと、呉服商の店を覗くことに。
「サムライエンパイアのこと、リリもまだよく知らないの。……でも、初めてをルナと一緒に体験できるなんて、嬉しい」
 そんな彼と一緒に、軽やかな足取りで通りを往くのは、ベルリリー・ベルベット(ルーナフラウ・f01474)。血の繋がりは無いけれど、大切な家族――姉妹のように寄り添うふたりは、その美貌も相まって道行く人々の視線を集めていた。
 ――美しいとはいえ、ベルナルドはれっきとした男性なのだが、それは些細な問題、としておこう。
「キモノ……だったかしら。あれは美しいわね」
 確か、生地には鮮やかな模様が描かれていて、花をあしらったものなどは息を呑むほど素晴らしいと聞く。そうして訪れた商人の元で、色々な着物を見せて貰ったベルナルドは、ある一点をベルリリーが見つめているのに気づいて声を掛けた。
「……シロムク、って言うの? ちょうどあの雪みたいな色ね」
「へえ、これはウエディングドレスなのね」
 眩しいほどの白い着物には、よく見れば細やかな刺繍がされている。これは、婚姻の際に花嫁が着るものだと説明を受けたベルナルドは、納得したように頷いて――折角だし、とベルリリーへ向けて熱い視線を送った。
「ふふ、リリ。似合うんじゃない? ねえ、着て頂戴、見たいわ?」
「……ルナが着てというなら着るわ」
 白は自分に一番よく似合う色だから――そう呟くベルリリーは、まんざらでも無いと言った様子で。その代わり、ベルナルドも着付けをして欲しいと言って彼女が指さしたのは、モンツキハカマなる男性用の晴れ着だった。
「あら……いいわよ、赤いのもあるかしら?」
 ――ベルリリーが楚々とした白百合なら、ベルナルドは艶やかに咲く赤薔薇か。ひらひらした袖に腕を通した後、帯できつく締める着物の着こなしは、思ったよりも大変ではあったものの――姿見の前にふたり揃って立ってみれば、背筋がぴんと引き締まるような感じがする。
(「ふふ、貴重な体験をさせて貰ったわね」)
 そうして着物姿をひととおり堪能した後、ふたりはおもてなしのお礼に、市の一角でサーカスの芸を披露することにした。
「さ、リリ。アタシのホワイトと踊ってくれる?」
 白ライオンのホワイトを召喚したベルナルドが鞭を一打ちすれば、ベルリリーは軽業を駆使して軽快なステップを踏み、トランプ片手に次々に手品を繰り出してみせる。
「……ありがとう、素敵な時間だったわ」
 ベルナルドの衣装の裾から羽ばたいた鳩に、村人たちが歓声を上げる中――ベルリリーはそっと、彼だけに聞こえるように耳打ちした。
「異文化交流も、たまにはいいものね」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユハナ・ハルヴァリ
賑わいをすり抜けて、丘の上へと
雪の中の静けさは心が落ち着くから
元より大人しい気質には、このくらいが丁度いい

小さくよそってもらった甘酒ふたつ
湯気立つそれの片方を社へお供え
作法はよく知らないけれど
みんな、神様へのお土産を、持ってくるんでしょう?
それから
職人の手製だという狐面をその隣に
お顔がないのは寂しいから
代わりにはならないかも、しれないけど。

君たちの事を、知っている人がいなくても
僕は忘れない
君たちは昨日のまんまで
僕たちは明日の先に、行かなくちゃいけなくて
寂しいね
でも、置いてけぼりじゃないんだよ
いつか君たちに『明日』が来たなら
今度は、仲良くしてね。
また遊びに来るよ

甘酒の湯気が消えるまで、のんびりと


クレム・クラウベル
祭りの賑やかさやこの世界の文化にも興を唆られるが、足は社へ
里の者に聞いた参り方に倣い、礼と拍を順になぞる
妖狐達の眠りが覚まされる事なく、永く安らかである様に
……それから神になれなかった彼女も
許せぬ事をしたと言えど、再び過去へ還ったならば
せめてその眠りは穏やかであれば良い
……潰えて尚苦しめば良いなど言う程、俺も酷ではないさ

しかし世界や成り立ちが違えば、神の在り方もまた違うか
神と定めるものの差や
祀る為の建物があるのは同じだが、様式も随分違う
鮮やかな朱の色を目に暫し留めて

冷えた空気に吐く息は白くくゆる
里で温まるものの一つでも貰って帰ろう
……ああ、それにしても
やはり雪は白いままが一番美しいな

(絡み可)


浮世・綾華
(俺も一応戦巫女なんでまあ、供養っつーほどじゃねえけど)
彼らが無事に成仏出来るように指を編んで瞼をとじる
そんなことをしてから、折角だからと里の祭りへ

村の人間の話を聞くのもいいが、よけりゃあ燈華に声をかけよう
おつかれサン。……っと、嗚呼、名乗ってなかったか
俺は綾華。「か」って「華」の字?名前似てんなぁ
それだけでちょっと親近感がわいたりして

あ、んまい。郷土料理をちょこちょこ頂いたり
地元の酒を堪能。ここの酒うめぇわ
お前――燈華いくつ?いける?
徳利を持ちあげ、へらっと首を傾げる
なんだ、ガキか
はは。いや、悪い
バカにしてるわけじゃねーよ
んじゃ、何食う?ひょこりと揺れる耳を眺めつつ
妖狐も油揚げとか好きなん?



 里の賑わいをすり抜けるようにして、丘の上の社を詣でる者たちが居た。祭りの賑やかさや、この世界の文化にも興を唆られるけれど、クレム・クラウベル(paidir・f03413)の足は自然と石段を登っていく。
(「どうか妖狐達の眠りが覚まされる事なく、永く安らかである様に。……それから神になれなかった彼女も」)
 ――里の者に聞いた参り方に倣い、礼と拍を順になぞって魂の安寧をそっと祈れば、クレムの視界の端にぽつりと佇む少年がひとり。
「……どうした、迷子か?」
「ううん、……これを」
 里のひとから分けて貰った甘酒をふたつ、その手に抱えたユハナ・ハルヴァリ(冱霞・f00855)は、湯気立つその片方を社にお供えして屈み込む。
「作法はよく知らないけれど。みんな、神様へのお土産を、持ってくるんでしょう?」
 それから里の職人手製だと言う狐面を、その隣に置くと――其処へやって来た、浮世・綾華(❂美しき晴天❂・f01194)が「まァ、そうだな」と言って、ユハナの隣に腰掛けた。
「……お顔がないのは寂しいから、代わりにはならないかも、しれないけど」
「お前は、此処の狐たちのこと、ちゃあんと考えてやってくれたんだなァ」
 ――有難うな、と。その目つきの悪さに反して人当たりの良い様子で微笑んだ綾華もまた、彼らが無事に成仏出来るように指を編んで瞼を閉じて。
(「俺も一応戦巫女なんでまあ、供養っつーほどじゃねえけど」)
 そして、簡単なお参りの作法をユハナに教えてやってから綾華は立ち上がり、里の祭りに顔を出すと言って社を後にした。
「……お前は、戻らないのか」
 一方、丘の上の社に残ったままのユハナに、ふとクレムが問うと、彼はかぶりを振って「いいんだ」と呟く。
「……雪の中の静けさは、心が落ち着くから」
 ――このくらいが丁度いいのだと言って、ふんわりと湯気を立ち上らせる甘酒を手に、ユハナはそっと瞼を閉じた。

 さて、里に戻って来た綾華は、里のひとびとの中にグリモア猟兵の燈華を見つけ「おつかれサン」と気さくに声を掛けた。
「……っと、嗚呼、名乗ってなかったか。俺は綾華」
 そう言って地面に『華』の字を書く綾華は、名前似てんなぁと笑い、ちょっぴり親近感を抱いた様子だ。
「へー、同じ字なんだねー。……あやちゃん?」
 ――と、いきなり可愛らしいあだ名で呼ばれてしまった綾華だったが、面白いとばかりにへらり笑って、郷土料理を頂くべく食堂に入った。
「あ、んまい。ここの酒うめぇわ」
 そんな訳で――早速出された新年の料理を堪能しつつ、地元のお酒もちょくちょく口に含む綾華は、其処でふと思い出したように燈華へ尋ねる。
「お前――燈華いくつ? いける?」
「……いけない、かなあ」
「なんだ、ガキか……はは。いや、悪い。バカにしてるわけじゃねーよ」
 徳利を持ちあげ、へらっと首を傾げる綾華だったが、人懐っこい雰囲気もあって嫌味は感じさせない。代わりに何か食うか、とひょこり揺れる燈華の狐耳を見て聞いてみたが――ふと思い立って質問してみた。
「なぁ……妖狐も油揚げとか好きなん?」
「ふぐぅっ!? き、嫌いじゃ……ないよ?」
「なんつーか、すごい分かりやすい奴だな……」

 そして――粉雪のちらつき始めた、丘の上では。
(「許せぬ事をしたと言えど、再び過去へ還ったならば。……せめてその眠りは、穏やかであれば良い」)
 ――潰えて尚苦しめば良いなど言う程、俺も酷ではないさ。そんな言葉を、此の地で果てた桔梗に投げかけた後、クレムはこの世界独自の信仰の様式をじっくりと眺めることにした。
(「しかし、世界や成り立ちが違えば、神の在り方もまた違うか」)
 神と定めるものの差や、祀る為の建物があるのは同じだが、様式も随分違う――鮮やかな朱の色を目に暫し留める彼の姿は、正に聖職者と言った佇まいなのだが、純粋な信仰心を持てるようになる迄には未だ時間がかかりそうだった。
(「君たちの事を、知っている人がいなくても、僕は忘れない」)
 一方のユハナは、空から降ってくる六花に手を伸ばしながら、此の地に眠るもの達へ最後の別れを告げる。
(「……君たちは昨日のまんまで。でも、僕たちは明日の先に、行かなくちゃいけなくて」)
 ――寂しいね、と零す吐息は何処までも白く。でも、置いてけぼりじゃないんだよ、とユハナは言った。
「いつか君たちに『明日』が来たなら。今度は、仲良くしてね。……また遊びに来るよ」
 冷えた空気に白くくゆる吐息は、いつしかもうひとつ増えていて。そっと彼の隣に立つクレムは、里で温まるものの一つでも貰って帰るかと呟いて、暮れなずむ冬の空を見上げる。
 ――それは、六花に埋もれ消えていった妖たちの、儚くも不思議な物語。
「……ああ、それにしても。やはり雪は白いままが一番美しいな」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月17日


挿絵イラスト