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今日のゆかりちゃんはビジネスヤクザ

#UDCアース

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#UDCアース


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 どんどん、どんどん。
「いるんだろ、でてこい!」
 どんどん、どんどん。
「かねかえせ!」
 それは酷い光景だった。
 硬く閉じられたドアの前、ランドセルを背負った少女が扉を力いっぱい叩いていた。
 遠くから見たら家から閉め出された可哀想な子供、しかし口から出ている言葉は借金取りが言いそうな怖い言葉。
 ぎょっとして遠くから見た人々も、これは関わったら危ないやつだと急いで逃げる。
 関わったらギャグテイストなのに被害者コース一直線、何故か借金を背負わされたりしかねないから仕方ないね。
 どんどん、どんどん。
「かくれてもむだ!」
 ああ、取り立ての怖い言葉が続いていく。
 どんどん、どんどん。
「しょくばとおやのところにもいくから!」
 次の物件めざし、少女の取り立ては止まらない。


「なんなんですか、この予知は……」
 グリモアが見せた光景を思い出し、頭を抱えたクアド・ペントヘキシウム(バーチャルキャラクターの人形遣い・f09688)が集まった猟兵に話を続ける。
 一体どんな光景なんだと問われれば上記の説明に付け加え。
「ゆかりちゃん、というオブリビオンが大暴れ、借金に苦しむ人の家に押しかけて取り立てを行うようなのです」
 はぁ、ゆかりちゃん、ですか、かわいい名前なのになんて恐ろしい。
 ゆかりちゃんがどんな敵かわからない人は画面右下、上向きの矢印を押せば一発で姿が見れるのでどうぞご確認下さいませ。
 それはさておき一大事、大暴れしてるのは止めなければならないが何処で何が起こっているのか、細かい部分がわからないときたもんだ。
「と、とりあえず。放置は出来ない事件です。流れを説明しますね?」
 どんな手順で事件を解決すればよいのか、手にしたプリントを渡していくクアド。
 そこには。

『1.ゆかりちゃんがどんな取立てをしているのか調査』
『2.ゆかりちゃんとのバトル』
『3.ゆかりちゃんを借金取りにさせた敵とのバトル』

 の三本立てになることが記されていた。
「一先ずは調査です、どんなことがされているのか、調べなければ戦うこともできません。皆様の調査力に期待していますね。
 あと、それと3番の借金取りにさせた敵なのですが、細かくは見えませんでしたが色々とろくでもない気がします、シリアスじゃない方面で。
 これはまあ、調査してゆかりちゃんを倒せばわかるはずです、先ずは調査に全力で、お願いします」
 なんとも丸投げな状況だが仕方ない、どれだけゆかりちゃんが恐ろしい借金取りになっているのか調べ上げ、その上で戦う必要があるのだ。
 まったく、一体どんなゆかりちゃんになっているのやら。


紅葉茉莉
 イシダキシモトMS、シナリオ作成でご協力頂きありがとうございました。
 文体等はずいぶん違う私ですが、頑張ります。

 ということでこんにちは、紅葉茉莉です。
 今回はネタシナリオ、イシダキシモトMSにご協力いただき作成しております。

 第一章ではゆかりちゃんの情報を集めて下さい。たとえばどんな衣服や口調だったのか、どんなアイテムや手段、文言で取り立てようとしていたのか。
 脅しとか言い逃れできないロジックや色仕掛けとか情に訴えるとか色々やってるかと思います。
 どんな調査をして、どんな結果だったのか、是非とも第一章のプレイングに記載下さい。
 皆様の調査結果でどれだけぶっ飛んでいるのか、今回のゆかりちゃん像が決まります。

 二章、三章は戦闘ですがコミカル方面になると思います。

 ではここまで長文を読んでいただきありがとうございました。
 ご縁がありましたらよろしくお願いします。
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第1章 冒険 『取り立てに参りました。』

POW   :    やっぱこういうのは迫力だよね!真っ向から取り立てに行く。

SPD   :    差し押さえますよ、返しなさい。ロジカルに取り立てる。

WIZ   :    故郷のお袋さんも泣いてるぞ。情に訴えて取り立てる。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

神羅・アマミ
JSのオブリが借金取りとは世も末じゃな。
JSへの風評被害を払拭するためにも、ここは妾が一肌脱がねば仕方あるまい!

まずは近隣の小学校に転入手続きじゃよ。
UDC研究所の権限とコネでネジ込んでみやがれやー!

それができたという前提で、クラスメイトから聞き込みをしていきたい。
「パパが怖い借金取りに追い立てられて転校を余儀なくされたのじゃ…トホホ」などと身の上話をでっち上げ、似たような例がないか引き出していこう。
今回の事件の性質は都市伝説レベル。
すると小学生の噂話や目撃情報の方がかえって有力な手がかりが掴めるやもしれぬ。
それに「職場や親のところに行く」ということは、学校にも来ている可能性はあるわけじゃろ?


星河・成海
【WIZ】
かわいい名前のオブリビオンだけど、やっていることは借金の取り立てとかなかなかエグいわね……。事件解決のためにもまずは調査からね

コミュ力や礼儀作法、情報収集を使って事件が起きた辺りにいる人達から情報を聞き出すよ

……それによると地味なブラウスとスカート姿だけど、アニメに出てくるような可愛い声の持ち主なんだって。「鬼の顔にも三度」とか、ことわざとか慣用句をよく間違えているのも特徴みたい

後はその声も生かした演技や話術で相手の情に訴えるのが得意らしいね。……これ、ただ脅されるよりも質が悪いかも



「素晴らしきは組織力、権限とコネは使いようじゃな!」
 ここはとある小学校、UDC組織パワーを最大活用、強引に転入手続きねじ込んで突然の転校生として入り込んでる神羅・アマミ(凡テ一太刀ニテ征ク・f00889)さん。
 その胸中、JSオブリビオンがこれはいけない、世も末だ。
 JSへの風評被害が広がるのはいけないと一肌脱いでの現地調査でやってきたのだ。
 まあJS、っていうか今のアマミさんは年齢的に女子小学生だし風評被害が広がると自分にも被害が出るから仕方ないね。
「ねぇねぇ、どうしてこんな中途半端な時に転校したの?
 新学期始まった初日とか良くあるけど、結構たってるよー?」
 学期変わりに転校、とかはありえるがもう二学期が始まって一ヶ月がたとうとする中途な時期。
 興味津々に尋ねるクラスメイトを前にしてアマミさん、ちょっと辛そうな表情に。
「パパが怖い借金取りに追い立てられて転校を余儀なくされたのじゃ……トホホ」
 逃げるように転校するしかなかったと同情誘い、そこから自然に借金取り関係の話題へと持ち込んで情報収集。
「わー、大変だったね。うまく逃げれたの?」
「そうじゃなぁ、いつまた追って来るのかわからぬので……そんな怖い借金取り、この近所にはおらんよな?」
 何かに怯えるような動作をしつつ、小学生の噂話ネットワークに期待。
 職場や親のところにも行く、なんてゆかりちゃんが脅してる予知を聞いていたのだから、学校もありえると踏んだアマミであったが返ってきた言葉は予想の斜め上へ飛んでいた。
「怖いお兄さんじゃないけど、3年の八金先生が見かけない子に脅されてたのは見たよ?」
「私も私も! ランドセル背負って、しょくばはだいじょうぶとおもうな! みたいな感じの、舌っ足らずな子に!」
 おうふ、これはいけない。
 すでにゆかりちゃん、職場に押しかけていた模様。
 学校にもいる可能性を予測したのは大正解、だけど取り立てられてる対象が教師というのはいかん、とってもまずい。
 JS風評被害払拭の会(今できた)会長のアマミさんとしては見過ごせず、額を押さえてクラスメイトにお願いを。
「何か嫌な予感がするのじゃ、その子怖いお兄さんと一緒にいた気がするんで、ちょっと八金先生の所に案内してほしいのじゃよ。
 もしそうあったら、パパに言わないといけないしのぉ」
 急遽捏造、取立てのお兄さんと一緒にいたことになったゆかりちゃん。
 JSが取り立ても不味いが、JSに取り立てられてる教師というの大問題だ。
 クラスメイトに案内されつつ、アマミは校舎内を駆けていく。


 同刻、目撃情報があった現場付近では報道関係者を装って星河・成海(風にそよぐ深緑の樹・f03570)が情報収集。
「なるほど、お忙しい中ありがとうございました。これは不可解な事件ですね」
 礼儀正しく情報提供に応じてくれた一般人に返しつつ、彼女はビジネスヤクザゆかりちゃんの情報を多数入手することに成功していたのだ。
「しかし、これはかなり厄介な特徴ですね……性質が悪い」
 集めた情報を確認しつつ成海は一人呟いて、自分が入手できた危険極まりない、というか厄介この上ない相手であったのだ。
 曰く、見た目は地味なブラウスとスカートで目立たない、しかしながら声はアニメに出てくるようなかわいらしいボイス。
 そして取立てではことわざや慣用句を用いて論理的に取り立てようとしていたらしいが「鬼の顔にも三度」とかいうある意味かわいらしい間違いをしていたということ。
 最後にこの声、間違い、そこへ話術を駆使して相手の情へ訴えかける戦術も得意とする恐るべき取立て少女。
 見た目と声のギャップからまちがったことわざや慣用句、そして最後に心を揺さぶることまでできる、脅しだけの怖いお兄さんより遥かに質の悪い事が分かってしまったのだ。
「かわいい名前のオブリビオンだけど、借金の取り立て内容を調べれば調べるほどエグイわね。
 とりあえず他のメンバーにも情報共有しておきましょう」
 調べ上げた情報、それらをまとめたメモを片手に一緒に転送されたアマミに電話。
 暫しの呼び出し音の後、何か疲れたような、呆れたような空気を出しつつアマミが成海からのコールに応じていた。
「もしもし? ちょっと疲れてるようだけど大丈夫? こっちは色々とわかったわ」
「ああ、大丈夫じゃ。こっちもまあわかったというか、ううむ」
 少々歯切れの悪いアマミに違和感覚えつつ、成海は言葉を続けていく。
「見た目は地味なブラウスとスカート、だけど声は……」
「ほんとうにわかってるの!?」
 通話途中に入り込んだ、とてもかわいらしいアニメでも通用しそうな子供の声。
「そうそう、そんな感じの声ね。近くに他の生徒もいるのかしら、音を拾っちゃってるけど続けるわよ。
 鬼の顔にも三度、とかいう感じでことわざとか、他にも慣用句の使い間違いが」
「こっちはほとけのかおにはち! そんなことしてると、あおすじがふさがらない!」
 盛大に間違ってることわざと慣用句の組み合わせまで聞こえてきた。
 電話越しに聞こえる生徒は国語が苦手なのだろう、情報収集で得たビジネスヤクザゆかりちゃんに合致してるなぁと思いつつ成海は話を続けていく。
「最後に、かわいい声だけどそれを生かして、演技や話術で相手の情にまで訴えるのも得意らしいわ。それは……」
「こんなちいさいこに、おこられてはずかしくないの!? おとうさんとかおかあさん、そんなすがたをみたらないちゃうよ!」
 ああ、小さい子に怒られて酷いことになってる人がいるのか。
 ご両親が泣いてしまう、親を情けなさで泣ける、なんて状況にしてしまったと心を攻める生徒が……ってこれは全て調べた情報に合致している特長だ。
「!? アマミさん、えーと、近くで聞こえる声ってもしかして」
「ああ、うん、おるんじゃ、その、学校で……」
 調べた情報どおりの相手が仲間のすぐそばにいる、慌てた成海とはちがい、半ばもう魂が抜けてる感じのアマミ。
 そりゃあそうだろう、聞き出して八金先生の所へいってみれば、ブラウスとスカートの小さい子供を前にして。
 涙目で膝をつき、許しを請う男性教諭なんて酷い絵をみたのならそうなってしまっても仕方ない。
「許してください、今月はもう厳しくて……」
「じゃあおやのところに……んっ!?」
 追い込みしてたビジネスヤクザゆかりちゃん、だがここでアマミの気配に気付きはっとする。
 別のゆかりちゃんが猟兵相手に酷い目にあったことを察したのか、それとも普通に一人で猟兵を相手にするのは不利と悟ったのか、慌ててその場から逃げていく。
 そこに残されたのはJS風評被害が加速する事を悟ったアマミ、借金取りから逃げれて喜ぶだめな教師、そして大丈夫か、敵は逃げたのかと問いかける、成海の声が響く携帯電話であったという。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

四季乃・瑠璃
緋瑪「ゆかりちゃんが借金取り…」
瑠璃「以前はバスでぱらりらしてたり、デスメタルしてた事もあったね」
緋瑪「ゆかりちゃん、何処へ向かってるんだろうなー…」

【ダブル】で調査

緋瑪は【コミュ力】で近隣の噂好きの高校生ネットワークを使って【情報収集】。
瑠璃はスマホから魔術も用いて【ハッキング、情報収集、高速詠唱】。

緋瑪側「JSに一方的に脅される大人って何?え?色仕掛けでパパ活したっぽい?一緒にファミレス行くとか…で、バラすよとかで脅されたとか?よし、脅されてる方も殺そう♪」

瑠璃側「不倫や汚職等の悪い事するとゆかりちゃんがわらわら出て来ていけないんだーって責めてくる、と…で、お金せびられて取り立て…」



 教師から取り立てるゆかりちゃん、更にはその見た目や口調、ちょっと抜けてる部分に加えて話術、情に訴えて追い込むこともできるという。
 なんと恐るべき取立て屋なのだろうか、だがゆかりちゃんの恐ろしさはこんなものではないことを猟兵たちは思い知る。
「ゆかりちゃんが借金取り…」
「以前はバスでぱらりらしてたり、デスメタルしてた事もあったね」
「ゆかりちゃん、何処へ向かってるんだろうなー…」
 まったく同じ見た目、傍目には双子に見える四季乃・瑠璃("2人で1人"の殺人姫・f09675)と彼女がユーベルコードで生み出した別人格を宿した分身、緋瑪が言葉を交わしていた。
 ぱらりらとかデスメタル、過去にゆかりちゃんが色々な方面から影響をうけちゃった事件を解決したこともある二人、今回は借金取りなんてやっちゃってるこの方向性の無さ。
 ゆかりちゃんが将来目指す着地点、それはどこになるのやらと別の意味で心配しちゃう二人だが猟兵としての仕事はきっちりこなす。
 瑠璃はスマホで情報収集、社交的性格な緋瑪は近隣高校生とのやり取りを。
 すると見えてきた恐るべき事実。
「えー、そんな噂があるんだ」
「そうだよ、割と最近有名。一方的に子供にやられる大人続出」
 高校生の情報網、入り乱れる噂に詳しい女子を見つけた緋瑪が更に詳しく聞き出して瑠璃へと電話。
 その頃、瑠璃は瑠璃でネットの情報を纏め上げ、恐ろしい事件っぽいものを見つけてしまっていたようだが。
「瑠璃、わかったよー♪ 一方的にJSに脅される大人がいたみたいだけど、何か色仕掛けでパパ活したっぽい」
「こっちはパパ活じゃないけど別の意味で大人が危ないね。不倫や汚職をしてる悪い大人の所に出てきてさー」
 二人が電話で言葉を交わせば、それはもう危ないゆかりちゃんの情報が組みあがる。
「JSと一緒にいい大人がさ。ファミレス行くとか……で、バラすよとかで脅されたとかみたいで。これ、一緒に脅されてる方も殺していいよね♪」
「緋瑪、流石にそれはまずいよ。あ、こっちは悪い大人相手にゆかりちゃんがわらわら出て来ていけないんだーって責めてくる、ってさ。それでお金をせびられる、と」
 なんということでしょう、まさかのJSパパ活疑惑。
 それに加えて悪い大人の行為をしてると何処からとも無く現れて、その巧みな話術で責め立てられてお金をせびられる。
 悪事をするゆかりちゃん、そして悪事をした大人を糾弾するゆかりちゃん。
 場合によってはマッチポンプになりかねないことをしているゆかりちゃん像がそこにはあったのだ。
 これはゆかりちゃんが相当悪い子だなぁ、なんて瑠璃と緋瑪が苦笑しつつも情報を仲間にメールで送信。
 今回のゆかりちゃんがどういったものか、その輪郭が徐々にはっきりしつつあった。

成功 🔵​🔵​🔴​

波狼・拓哉
…えー?見た目JSが脅してるの?不可解ってレベルじゃないんですけど???
さておにーさんも情報収集してきましょうか。借金してる人に共通点ないか気になるね。目撃情報とか金貸ししてる業者に話聞いたりして借金してる人の情報を纏めますか。
しかし金借りるとはどんな…え?被害者全員借りた記憶ないのに借用書にちゃんとサインされてる?…えげつな。で、男性が多い………何だろう凄く過激なパパ活って言うイメージしか湧かなくなったぞ。あ、でも一応金に困ってた人っていう共通点は…余計えぐくない?
子供の姿で近づいて仲良くなりその人の家に侵入してハンコ盗んで借用書に押してでもいるのかと思うレベルですね…。
(アドリブ絡み歓迎)


ユエイン・リュンコイス
その、なんだ、うん。こう、言語化に難しい内容だね。ギャップというかシュールというか…兎も角、色々な意味で危ないから止めようか。

彼女は借金取りの取り立て屋なのだろう?
であれば、追うより追われる方が効果がありそうだね。
周辺地域への聞き込みや、SNSや掲示板などで【情報収集】を行い、彼女が所属してそうな金融業者をピックアップ。
金銭を借りれるだけ借りて、なおかつ連絡先や住所などは出鱈目な内容を記載。ただし顔写真は本物を残す。狙いは借り倒しによる業者への【破壊工作】だ。
回収出来ないかもと危惧すれば、取り立てに動くだろうからね。
後は公園等で身を晒しつつ、UCで周囲を監視。食いつき次第捕縛を試みようか。



「えー……見た目JSが脅してるの? 不可解ってレベルじゃないんですけど???」
 先に調査した面々から送られてきた、教師を脅したりパパ活動してたり不倫や汚職を糾弾したりとわりとカオスになってきてるゆかりちゃん像、それを確認しながら波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)から思わず疑問の声が出る。
 そりゃあそうだろう、まさかこんなに色々とやってるなんて私も思わん。
 しかし、だからといって調査の手を緩めるわけには行かない、おにーさんも情報収集がんばるぞと金貸し業者への調査を行えば同じく金融業者にアクション起こそうとしていたユエイン・リュンコイス(黒鉄機人を手繰るも人形・f04098)と顔を合わせる。
「おやっ、ユエインさんもこっちを?」
 転送された猟兵、偶然にも同じルートで調査していた仲間に声をかける拓哉。
 そんな彼を認めたユエインは会釈しつつ、今回の状況と既に他の仲間が調べつつある情報を見てなんともいえない、困惑した表情を浮かべていた。
「ああ、ボクは追われる側、借金して踏み倒す側になってゆかりちゃんをおびき出そうと思ってね。
 しかしその、なんだ、うん。こう、言語化に難しい内容だね。ギャップというかシュールというか……兎も角、色々な意味で危ないから止めようか」
 なるほど、情報を追うだけではなく自ら追われる立場となって、相手を呼び出し捕縛を狙うということか。
 周囲の聞き込みやSNSでの情報収集を済ませ、ゆかりちゃんに取り立てられたという話が多いこの金融業者を探り当てたということらしい。
 なるほど、と得心した拓哉、ならば囮捜査は任せますと頭を下げて彼はUDC組織の協力で金融業者から顧客情報を入手、共通項を探る中でユエインは受付で借金を。
 顔写真だけは本物、あとの情報は住所指名年齢電話番号、すべて出鱈目。
 あとで調べて違うじゃないか、逃げられると業者が慌てるように細工をして記入し、借りれる金額最大限に引き出して悠々と出て行ったのであった。


「うっわ、男性の比率高すぎないですかねぇ……」
 業者からのリスト確認、そこから一気に調査速度は加速。
 リストの人々に酷い取立て無かったかと拓哉が接触と調査を続けると、何故か男性でゆかりちゃんに取り立てられたという人が大量発生。
 さらに話を聞いていけば、多くの人が見に覚えの無い借金だということ、それでいて借用書にしっかりとサインはされているという恐ろしいものであった。
「う、うーん……パパ活なんて調査結果もあったし、これはますます過激なパパ活ってイメージしか湧かなくなったぞ。
 他に共通点は……お金に困っていた人が勝手に、って事……これ余計えぐくない?」
 なんということでしょう、このゆかりちゃん事件。
 男性のお金に困っている人の所に突如現れる借用書、身に覚えもなくどうしようかと困惑していれば、やってくる恐怖のJSゆかりちゃん。
 舌ったらずな喋りから繰り出される脅し文句と周辺住民からの冷たい視線、さらにはどうやってサイン捺印済みの借用書があるのかというホラー案件が加わって被害者のメンタルに特大ダメージ。
「子供の姿で近づいて仲良くなりその人の家に侵入してハンコ盗んで借用書に押してでもいるのかと思うレベルですね……
 ここまで揃えられると屈してお金を払ってしまう人が出てきても不思議ではありません」
 あまりにも恐ろしい、被害者を追い込むゆかりちゃんの悪行。
 それらを既に集まっている情報に付け足しながら、拓哉は囮捜査を継続しているユエインに電話をかけて報告していた。


「って感じですね、そちらはどうですか?」
「ありがとう、今は動きはないけど注意はするよ」
 拓哉からの情報、ゆかりちゃんが金融機関を介してやらかしてる内容を把握したユエイン。
 借り倒しへの追撃ではなく、毟り取れそうな被害者を探して借用書を知らぬ間に押し付ける悪質なやり口、ならば自分への追い込みは優先順位が低くなるかと思案しつつ、公園でちょっとお高いドリンクやら軽食を楽しむ彼女。
 借りたお金で気が大きくなって散財始めているように見せかけつつユーベルコードを発動、上空高くに呼び出された互換を共にす塔守が周囲の警戒を続ければ、いつのまにやら物陰からこちらを伺う視線を察するも気付かぬフリで時を待つ。
 両者の間のいやな空白、ならば相手が動いてこれるようにと先に仕掛けたのはユエインであった。
「さて、と。適当な情報で目一杯借りれたんだしこのまま踏み倒そうかな。それと二丁目の業者でも同じ感じで……」
 勝ち誇ったように独り言、同じ手口で別の業者からもお代わり狙いな考えを呟いてみれば、そうはさせるかと植え込みの中からブラウスにスカート、それでいて顔には行方不明、探索願いのお知らせを貼り付けたJSゆかりちゃんが飛び出してきた。
「ちょっと! ふみたおし、いけない!」
 怒気を孕んだ声を出し、ゆかりちゃんの取り立て開始。
「うそつき、うそつき! あんなことかいて、やくそくやぶるなんて!」
 出鱈目な個人情報に大層ご立腹、約束してお金を借りたのにそれを破るなんて人として最低だ、と言わんばかりにまくしたてるゆかりちゃん。
 女子小学生に詰め寄られる年上のお姉ちゃん、そんな構図になってきているがこれは全てユエインが望んだ展開、そして相手から出てくるとは飛んで火に入るなんとやら。
「ずいぶんと可愛い取り立て屋だね。借り倒しを追いかけるのにこんな子供とは予想外だよ」
 ゆかりちゃんのような子供では取り立てはできない、怖いお兄さんじゃないのかと呆れたように返すユエイン、その言葉にさらに興奮したゆかりちゃんがぐっと近づきバンッ、と地面を強く踏み凄みを出そうとした刹那。
 まったく動じない、まるで自分が来る事がわかっていたかのようなユエインの余裕、そしてオブリビオンとしての本能が猟兵である彼女の本質を見抜いたか、急に反転、一気に駆け出す。
「っと、気付くのが早かったね。けど逃がさないよ。
 今追ってる、他のメンバーにもそう伝えて」
 慌てて逃げ出すゆかりちゃんと逃走を予測、いつでも追える心構えだったユエイン。
 逃げるゆかりちゃんを追いつつ冷静に。
 拓哉に電話し状況を伝え、仲間の下へと急ぐゆかりちゃんを見失わない距離を保って追走。
 暫しの追いかけっこの後に、猟兵たちはゆかりちゃんの拠点へと到達することができるだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

エウトティア・ナトゥア
※アドリブ・連携歓迎

本来は借金しておいて返さない方が悪いのじゃが…とりあえずは調査じゃな、『ゆかりちゃん』を探し出して直接観察した方が早いのじゃ。

【秘伝の篠笛】を吹き鳴らし、【狼の群れ】を呼び出して数の力でゆかりちゃん探し出すとするかの。
狼たち、お主らの【野生の勘】に期待するのじゃ、保健所には気をつけるのじゃよ。

『ゆかりちゃん』を発見したら【目立たぬよう】姿を隠して観察じゃ。
うーむ、これはある意味恐怖じゃのう。
幼い少女に門前で返済を迫られたらご近所の評判が大変な事になりそうじゃ。
無慈悲な炎が玄関前に飛び火しておるし、物理的にも評判的にも大炎上じゃのう。
流石に小火騒ぎになったら居留守は使えまい。


ドクター・パプリカ
そんなっ、あんな小さな子か取り立て屋だなんてっ!
きっと何か事情があるに違いありませんっ。
私の調査によれば、ゆかりちゃんもまた多大な借金を抱えていたのです。
その額は子供銀行に換算しておよそ100億万円。とても子供に返せるような金額ではなく、ゆかりちゃんは泣く泣く取り立て屋をしていたのです。
しかし、取り立て屋の生活はゆかりちゃんの心を乱します。お菓子にジャンクフードにゲームソフト。ゆかりちゃんの生活は荒れました。ゆかりちゃんが返そうと思えば思うほど、ゆかりちゃんの借金もまた膨らんでいくのです。
なんと悲しい。だからゆかりちゃんはお金で釣れます。さっきおみやげ屋さんで1兆円って書かれたメモ帳がですね?


クーナ・セラフィン
なんなのこれ…おっと失礼。
物理的にアレコレできるはずなのにこんな回りくどい方法を取る理由は…わからないにゃー!
でも社会的に滅びるのは色々とまずいだろうし、何としても追い詰めないと。

被害者の家を確認し共通点がないか探る。
例えばマンションの低層だとか動物を飼ってるとか。
…なんかこうしてみてるとそれなりに大きな動物飼ってるとこが多い、ような?
それに借金かかえる原因に物損がやたら多いのが気になるね。
動物がやらかした事案も多い…もしかして彼女、動物に何か命令できる感じ?
動物使って借金作らせて、そこに取り立てのマッチポンプ。
…被害者の家も一定範囲に固まってるから、その中心が拠点かな?

※アドリブ絡み等お任せ



「なんなのこれ……おっと失礼」
 次々と仲間の猟兵から送られてくる情報を見て言葉を失っていたクーナ・セラフィン(雪華の騎士猫・f10280)がようやく口にした言葉。
 そんな彼女の隣にはその調査結果を見て眉をひそめるエウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)の姿もある。
「……なんじゃろう、この調査結果は。まあ『ゆかりちゃん』を探し出して直接観察した方が早いのじゃ」
 本来の加害者は借金をしていて返さない方が悪いのだが、どうも勝手に借用書を作られてたりする不可解な点があったのだ、その部分の調査も必要だろう。
 顔を見合わせ二人はアイコンタクト、既に他の猟兵が入手した特長やら情報をも参考にし、クーナは被害者の家を、エウトティアは狼の群れを呼び出して人海戦術、もとい狼海戦術で探索に向かうという。
 こうして二人は別れ、互いに別方向から調査と情報共有を約束し町へと繰り出していた。


「けど物理的にアレコレできるはずなのにこんな回りくどい方法を取る理由は……わからないにゃー!」
 別れた後、被害者宅に到着したクーナが現場検証しながらゆかりちゃんの不自然ともとれる今回の行動、いったいどうしてやっているのかと思考を巡らせるが答えには行きつかず。
 頭の左右、こめかみ部分をそれぞれの手で押さえ、頭を抱えるポーズをとりつつ、だがこのままだと被害者はJSに迫られて脅されて、と社会的に死ぬ事はほぼ確定。
 それは流石にまずいので、これ以上被害拡大をさせるわけにはいかないと思考を切り替え調査再開。
 複数の被害者宅を巡り巡って特徴纏め、見えてきた新たな恐怖。
 それは金銭に困っていた人への追い討ち以外のパターン、比較的余裕のある人が被害にあった場合の共通点。
「……なんかこうしてみてるとそれなりに大きな動物飼ってるとこが多い、ような?」
 共通点、それは動物を飼育、それも大型の傾向にあるということ。
 更に言うと、動物が絡んでの損害、そしてその返済の為の借金というパターンが多数見受けられたのだ。
 そういえば昔、別のゆかりちゃんが動物と一緒に音楽ショーをやっていたような気もするがまさか今回のゆかりちゃんも同様に、動物と心通わせ操ることができてしまうというのか!?
 確証は得られないが限りなくクロに近い調査結果、そして追加で被害者宅の位置情報を洗い出していたクーナの元へエウトティアからの連絡が来たのはそのときであった。
「割と近くに居る様じゃの。ゆかりちゃんを一人、見つけたので一緒に観察するんじゃよ」
 携帯電話の位置情報検索で多大の位置を確認、偶然近隣だったので共にゆかりちゃんの様子を伺おうと提案したエウトティア。
 その提案に同意を示し、クーナは情報の内容をまとめつつ移動を開始していた。

 同刻、別の場所にて。
「狼たち、お主らの野生の勘に期待するのじゃ、保健所には気をつけるのじゃよ」
 念入りに保健所の危険性を言い聞かせ、エウトティアが操る狼たちが町の中へと散っていく。
 野生の勘と嗅覚、そしてその数を生かして探索するエウトティア、街中を走る際に注意すべくは保健所職員だと対策もバッチリ、あとは報告を待つばかり。
 狼から発見の報が来るまでは今までの情報はどんなものだったのか確認しようと書類に目を通していた彼女であったが、真っ先に狼から来た報告は保健所職員の巡回が発見されたというものだった。
「なんじゃと!? 動きが早すぎる……一体なにが……」
 おかしい、日ごろから保健所職員が巡回しているケースは稀だとエウトティアが思案し、何が原因か。
 自らの作戦、準備、実行と流れを思い出していた彼女は思い当たる結論にたどり着いたのか突如顔を上げ、不手際を呪っていた。
「首輪か……付いておらぬから、野良犬多数と通報されたと考えるのが妥当じゃな」
 いくら狼に保健所職員を警戒させても、一般市民が狼を見た場合の反応。
 首輪がない、それは野良犬と思われる状況であり、多数の狼を同時多発的に展開すればそれだけ一般市民の目撃が、通報が重なって結果として保健所が動くという流れ。
 これでは保健所を避けるため、探索効率が悪くなると感じたエウトティアであったが、続けて駆け込んできた狼がゆかりちゃんを発見したと聞き、でかしたと褒めつつ移動、そしてクーナへの連絡を行っていたのだ。

 そして二人が合流し、今に至る。
「もうすぐ来るのじゃ。しかし、色々とやっておるようじゃな」
「動物がらみ、お金に余裕のある人は動物も家族、って感じだから処分を避けるために仕方なくお金を払って、足りない分は借金してゆかりちゃんに取り立てられてたみたい」
 ゆかりちゃんが来る前に合流成功、物陰に隠れつつエウトティアとクーナが言葉を交わす。
 発覚した動物を介した事件、動物使って借金作らせて、そこに取り立てのマッチポンプという恐るべき手段。
 人情をも利用しお金を貸し出し、そして回収する恐るべき相手であった。
 そんな二人が情報交換終えればちょうどゆかりちゃんがやってきて、硬く閉ざされたドアを拳でどんどん。
「いるんだろ、でてこいいっ!」
 荒っぽい、けれど舌足らずでかわいらしいボイスの取り立てが開始。
 ふとエウトティアが周囲の家々、その窓を見ればドアノックされている家へ向けられる憐憫や侮蔑、その他色々なマイナス感情の視線が溢れていた。
「うーむ、これはある意味恐怖じゃのう」
 ご近所の目、それがあまりにも酷くなっている現実を確認し思わず言葉が洩れたエウトティア。
 けれど仕方ない、幼い少女が門前で取り立てなんてしていれば近所の被害者を見る目が大きく、そしてネガティブな方向に変わってしまうのは仕方のないことだから。
 居留守を決め込む被害者であったが無慈悲な炎、幼女に取り立てられる成人として近所からヒソヒソされてたりして評判がだだ下がり。
 弁明しようと出てくればゆかりちゃんに取り立てられるし、出てこないなら来ないで近所の評判が更に悪くなるのは必至。
 何故かいつの間にやら玄関前に無慈悲な炎が飛び火して小火が起こり始めているが、ゆかりちゃんはそんなこと気にせずどんどんとドアノック、そして火が出てることを伝えていた。
「ほう、早々に知らせて焦らせ引き出す作戦か。小火騒ぎになったら居留守は使えまいからのう」
 燃え始めた玄関とドアを叩くゆかりちゃん、交互に見つつエウトティアが言葉を紡ぎ、しかし小火をそのまま放置は出来ない、そしてゆかりちゃんの能力、やり口は十分にわかったと飛び出せば、彼女に続きクーナも飛び出す。
「あたまかくして、ドアかくさず! はやくでて……!?」
 出現した猟兵が二人、左右から挟みこむように迫る。
 このままでは取立てなど出来ないと慌てて逃げ出すゆかりちゃんを狼に追わせつつエウトティアとクーナは小火の消火を優先、それが終われば狼からの報告を待つ中でゆかりちゃんの情報を取りまとめれば見えてきたのは猟兵の囮作戦に釣られたり調査で姿をみせちゃったゆかりちゃん。
 あまりにも酷いその様子、やりたい放題していたり逆に追いかけられたりと色々な状況がわかった惨状。
 それらの情報前提に一人の猟兵が姿を見せた。
「そんなっ、あんな小さな子か取り立て屋だなんてっ! きっと何か事情があるに違いありませんっ」
 ゆかりちゃんの写真を手に取り、仲間の猟兵を前に熱弁振るうドクター・パプリカ(ミス・カラーピーマン・f22377)である。
 ほほう、ゆかりちゃんがこんなことをするに至った理由があるとは。
 ならばその調査結果を存分に発表してもらいましょう。
「私の調査によれば、ゆかりちゃんもまた多大な借金を抱えていたのです」
 なんということ、借金取りが借金に溺れていたとは。
 これには仲間の面々も驚くしかない。そして悲劇を生み出す詳細がドクターの口から語られる。
「その額は子供銀行に換算しておよそ100億万円。とても子供に返せるような金額ではなく、ゆかりちゃんは泣く泣く取り立て屋をしていたのです」
「ちょっと待つのじゃ、100億って額もじゃが子供銀行って……」
 ドクターの語りに対し、冷静にツッコミどころを指摘するエウトティア、だが説明に熱中するドクターのマシンガントークはこの程度では止まらない。
「はい? 子供銀行でも100億は100億、ゆかりちゃんが返済するには難しい額なのです。
 だからこそ、取り立て屋をしていたのですがその生活はゆかりちゃんの心を乱します。お菓子にジャンクフードにゲームソフト。ゆかりちゃんの生活は荒れました。
 ゆかりちゃんが返そうと思えば思うほど、ゆかりちゃんの借金もまた膨らんでいくのです」
「あの、それ。ただお小遣いの無駄遣いしてるだけで自分のせ……」
「いいえ、借金さえなければこんな荒れた生活にはならなかったのです! ああ、なんと悲しいことでしょう」
 ゆかりちゃんの生活、その乱れの原因を借金に求めるドクター、単純に誘惑に負けた意思の弱さ。無駄遣いなだけだと指摘しようとしたクーナの言葉もドクターはさえぎって、大げさな泣き真似をして悲しみを盛大にアピール。
 これはもう色々と別の意味で厄介な事になりそうだとエウトティアとクーナが顔を見合わせたその直後、バッと顔をあげたドクター、いい考えがあるとばかりに胸を張り。
「だからゆかりちゃんはお金で釣れます。さっきおみやげ屋さんで1兆円って書かれたメモ帳がですね?」
 自信満々に言い放ち、懐からとりだしたるは1000000000000円と表面に書き込まれたジョークアイテム、一兆円メモ。
 それを釣竿から垂らした糸の先、ぶら下がる釣り針に差し込んで路地裏前に吊るすドクター。
 いくらなんでもそんなトラップにかかるは……
「おかねぇぇぇええええ!?」
 盛大に引っかかった、路地裏から飛び出してきたゆかりちゃんが。
 凄まじい勢いで突っ込み、ジャンプしながら伸ばした右手は一兆円メモを見事にキャッチ、しかし勢い余ってブラウスの袖が一兆円メモを引きちぎったときに釣り針に引っかかり、あわれゆかりちゃんは右手を上に宙ぶらりん。
 ジタバタ体を動かして逃げようとするゆかりちゃん、本当に引っかかった光景を唖然と見つめるエウトティアとクーナ。
 まあ折角釣れたのだからキャッチアンドリリース、というわけにはいかない。
 手繰り寄せられたゆかりちゃん、哀れ捕縛され、仲間の隠れ家への案内役を無理矢理に押し付けられていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『ゆかりちゃん』

POW   :    「ただいま」「おかあさん、おとうさん」
戦闘用の、自身と同じ強さの【母親の様な物体 】と【父親の様な物体】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
SPD   :    「どうしてそんなへんなかおでわたしをみるの?」
【炎上し始める捜索願いからの飛び火 】が命中した対象を燃やす。放たれた【無慈悲な】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
WIZ   :    「ひどいよ、ひどいよ、ひどいよ」
【嗚咽を零した後、劈く様な叫声 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。

イラスト:暮野

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 そこは混沌とした場所だった。
 逃げるゆかりちゃんを追った者、釣り出し捕獲したゆかりちゃんに案内させた者、普通に怪しい場所を探り当てた者。
 手段はそれぞれであるが、猟兵たちが集めた情報を元に到着したのはとある悪質な金融会社、その一つの支店であった。
 意気揚々と飛び込んだ面々が見たもの、それは……

 教師相手に詰問、生徒に責められる事にきちんと説明求めて追い込むゆかりちゃん。
 舌っ足らずで尚且つ慣用句とかことわざを間違って使いつつ、話術で追い込むゆかりちゃん。
 ちょっといい年齢のオジサマに、ぱぱー、とか抱きついてお小遣いをせびってそれを理由に脅したり。
 不倫や汚職をしている人を責め立ててお金を要求するゆかりちゃん。
 いつの間にやら借用書にサインをさせている恐怖、勝手に契約させてくゆかりちゃん。
 普通に借金の踏み倒しは許さないゆかりちゃん。
 玄関前で炎上させる行動とって、ご近所さんからの評判を地に落として追い込むゆかりちゃん。
 動物と心をかよわせ、ふんわかとした気分にさせつつ動物を利用し物損、そして借金へ導くゆかりちゃん。
 借金に苦しみ、子供銀行券とかお土産屋のお金風メモにも釣られてしまうゆかりちゃん。

 そんな色々な属性をもったゆかりちゃん。一部の属性同士の融合だったり、合体事故を起こしちゃって何が何だかわからない属性のかけあわせになってしまっているゆかりちゃん。
 全部の属性乗せでキャラがぶれぶれだったり、逆に何か一つだけに特化してるゆかりちゃんなどが好き勝手に支店内部、事務室の机と椅子を占拠してやりたい放題、次は誰を借金まみれにしちゃおうか、みたいな会議まで始めていたのだ。
 これは由々しき事態、JS風評被害が広まってしまうその前に、しっかりと方向性を見失い、どこへ向かっているのかわからないゆかりちゃん達を倒すしかない。
 さあ、お仕置きの時間だ!
 小さい子供だからといって手加減無用、しっかりとお灸を据えてやれるのは猟兵しかいないのだから。
ユエイン・リュンコイス
うーん、これは酷い。カオスの極みみたいな情景だね。まぁ、兎にも角にも大人しくさせなければダメかな。

仮にも女の子なんだし、余り手荒な手段は控えたいかな…。
だから『月墜』による【スナイパー、範囲攻撃、衝撃波】で室内まるごと吹き飛ばそう(即決)。大丈夫大丈夫、計算的に建物が倒壊しないレベルに抑えるから(中の人間が無事かは計算外)
次いでに【破壊工作】がてらに、室内に在る借金証書とか顧客情報とか、仕事に必要そうなあれこれも全部燃やしてしまおう。

そうして場を掻き乱したら、UCを起動。借金に塗れた駄目な大人の嘆きと絶叫とか、燃え尽きた借用書の残骸とか…そういったものを借り受けて、無力化に務めよう。徳政令だ。


神羅・アマミ
お金に弱いゆかりちゃん
属性盛りすぎゆかりちゃん
捜索願いで見つからないとか
そんなことよりもっともーっと
全身火薬庫
炎上案件
山程かかえたゆ・か・り・ちゃーん!

そんな適当な歌詞を吟じつつ真の姿・ダブルネックギター形態にてお相手いたす。
そして爪弾くギターの音色より召喚されし五匹の使い魔と共に、コード『柿落』を発動じゃ!
ゆかりちゃんの放ちし無慈悲な炎を使い魔が口から吸い込み、煙に変えて尻から排出!

煙が高濃度のCO2排出ならば延焼を弱め、ガスに変換されていた場合は大爆発を引き起こす!
それってなんかどう転ぼうが妾たちにもヤバい結果を引き起こしそうじゃが、えーいままよ!
今、賽の目は神の見えざる手に託された!


ルドルフ・エルランゲン
※絡みアドリブどんと来い! 適当にタイミング見計らって登場するとオイシイ?

ババーンと) この支店に捜査令状がでています!
詐欺、脅迫、恐喝、偽計業務妨害、公文書偽造、放火、器物損壊、その他の容疑でゆかりちゃんを逮捕します!
司法を甘く見ない事です。何歳まで少年院で過ごすか…覚悟なさい。(世界知識:法律、情報収集、言いくるめ、恐怖を与える、精神攻撃)


■詭道の計(Wiz)
おっと、情に訴えるのは無駄です。
泣こうが喚こうが法の前には無効です。申し開きがあれば法廷で聞きましょう。と、論理を以て情に訴える事が無駄と悟らせ無効化。

ボソッと)被害者もお人好しか疚しい事があるのか知りませんが、情けない…


波狼・拓哉
属性過多ってのを初めてこの目で見たかもしれん…これ倒していいものか。いやほら…これ骸の海還したら他のとこでてくるかもしれないって恐怖が凄くない?いやある意味悪さしたすぐに分かるようにはなるからありなのかもしれんけど…
んじゃあ、まあ化け咆えなミミック。事務所だから小さい龍…コドラってぐらいで一体一体対処しましょう。狂えば動きも止まるでしょう。多分。
自分は闇にまぎれつつ地形を利用して目立たないように行動。隙があり次第衝撃波込めた弾で撃って回ろう。借金冤罪は踏み倒していく感じで。
…ところでさ、あれ召喚されてんの両親じゃないよね?借金がどうとかずっと言ってる気がするんですけど???
(アドリブ絡み歓迎)


エウトティア・ナトゥア
※アドリブ・連携歓迎

(一兆円メモに釣られた『ゆかりちゃん』を見て)
なんだかのう、ご町内レベルの瑣末な活動しかしておらぬし、放っておいても良いような気がしてきたのじゃ。
オブリビオンじゃから滅するしかないのじゃが…

まあよい、マニトゥよ手早く済ませるのじゃ。
【巨狼マニトゥ】を嗾けて『ゆかりちゃん』達の只中で暴れさせて混乱させつつ、【手製の短弓】を引き絞って【風属性】を纏わせた【誘導】する矢で一人ずつ射抜いていくとするかの。
『どうしてそんなへんなかおでわたしをみるの?』で飛び火を飛ばすようなら、【巨狼咆哮】で『ゆかりちゃん』ごと飛び火を吹き飛ばすのじゃ。


四季乃・瑠璃
緋瑪「ゆかりちゃんのお仕置きならわたし達にお任せだよ!」(尻叩きの素振りしながら)
瑠璃「信頼と安心の実績があるからね」(小脇にお持ち帰りゆかりちゃんを抱えつつ)

とりあえず、部屋の扉をボムで派手に吹っ飛ばしながら煙りを突き破って入室。
ゆかりちゃん達に動揺を与えつつ、手近な一人をひっ捕まえて、問答無用で地獄の尻叩き。
抵抗する子はボムで抵抗粉砕して観念させた後、尻爆破でお仕置きしていくよ。
※一応火力手加減(&ギャグ補正)により、受けたゆかりちゃんはお尻が焦げた状態で突っ伏してピクピク…。

さぁ、悪い子はどこだ~(鬼)

緋瑪「ところで、おとうさんってパパ活のパパの事じゃないよね?」
瑠璃「…爆殺OK?」


星河・成海
えーと……、何だか色んなゆかりちゃんがいるのね。でも悪巧みしようとしてるのは一緒みたいだから、ここできっちりお仕置きしないとね

高速詠唱や2回攻撃も使った炎の属性攻撃をメインに使って攻撃していくよ。戦闘の様子は出来る限り観察しながら戦う。敵の攻撃は第六感や野生の勘で回避して、囲まれたら咄嗟の一撃や衝撃波で切り抜ける

【フレイム・ペタルス】はゆかりちゃんが一ヶ所に固まったところで使って、一気に攻撃を仕掛けようかしら。操作して炎から逃げられないようにするよ。そう簡単に逃がすつもりはないよ?

アドリブ・他の人との絡みOK


ドクター・パプリカ
子供の躾というものは難しいものですが、それが他人の子となると尚更です。
痛みが伴わなければ人は覚えぬとは言いますが、今の世の中安易に手を出すと体罰だ虐待だと悪者にされてしまいます。
ゆかりちゃんをどうやって良い子に戻せばいいのか、私はうんうんと唸っています。
そう、体罰でなければいいわけです。子供の遊びのレベルであれば多少の怪我というのは咎められません。その線で行くのはどうでしょう。私などは田舎の出身ですから、子供の頃は近所の友だちとカエルを捕まえてはお尻に爆竹をですね?(一兆円メモで釣って捕まえたゆかりちゃんをちらり)
手ぬるいかな。うーん……そうだ、昔黒色火薬を作ろうとして牛糞をですね?(ちらり



 きゃいきゃいと多種多様なゆかりちゃんが楽しんでいる光景。
 相手がオブリビオンではなかったら、そしてここが悪質な金融業者の支店でなかったら、まあ微笑ましい光景だったかもしれない、いや、やっぱり属性盛りすぎだからちがったか。
「うーん、これは酷い。カオスの極みみたいな情景だね。まぁ、兎にも角にも大人しくさせなければダメかな」
「属性過多ってのを初めてこの目で見たかもしれん……これ倒していいものか」
 ユエインと拓哉もそう思うのだろう、あんまりにも酷すぎる属性山盛りゆかりちゃんズだからね、仕方ないね。
「なんだかのう、ご町内レベルの瑣末な活動しかしておらぬし、放っておいても良いような気がしてきたのじゃ。
 オブリビオンじゃから滅するしかないのじゃが……」
 挙句、やってることが取り立てだけど微妙にしょぼい気がしてくるなんて印象を抱いちゃったのはエウトティア。
 まあこの場所を突き止めるのに使ったのが、隣でドクターに抱えられジタバタしつつ、お金、お金と呟いてる一兆円メモに釣られた守銭奴ゆかりちゃんだもの、錯覚しても仕方ない。
「えーと……何だか色んなゆかりちゃんがいるのね。でも悪巧みしようとしてるのは一緒みたいだから、ここできっちりお仕置きしないとね」
「ええ、しかし子供の躾というものは難しいものですが、それが他人の子となると尚更です。
 それに痛みが伴わなければ人は覚えぬとは言いますが、今の世の中安易に手を出すと体罰だ虐待だと悪者にされてしまいます」
 ゆかりちゃんズがキャスターつきの椅子に乗り、スイーッとすべって遊んだり、怪しげな書類をわかってるようなわかってないような感じでコクコクと頷いたりする、好き勝手に遊ぶ状況。
 子供の遊びに紛れつつ、危ない取り立ての相談をしているのを聞き逃さなかった成海のお仕置き、という単語。
 その隣でうんうん、と頷きながらどうやって体罰だ虐待だと言われないようにしようかと唸るドクターという構図。
 だが、お仕置きという言葉に反応したのはドクターだけではなかった。
「おしおきっ!?」
「いやっ、いたいの、やだーっ!」
「あっ、つかまってるのもいる、やっつけてたすけなきゃ!」
 それは多種多様なゆかりちゃんズ、痛いのとか怒られるのはやっぱり嫌なのだろう、猟兵を前にして抵抗の構え。
 捕まった仲間を助け、悪い猟兵をやっつけてまた取り立て、ジャンクフードにゲーム三昧の生活に戻るんだと気炎を上げるゆかりちゃんズであったが突如響いたエレキチックなギターの音色。
「お金に弱いゆかりちゃん
 属性盛りすぎゆかりちゃん
 捜索願いで見つからないとか
 そんなことよりもっともーっと
 全身火薬庫
 炎上案件
 山程かかえたゆ・か・り・ちゃーん!」
 歌詞は適当、されど音楽は本気、ギターソロ(っていうか一人しかいない!)で耳目集めたアマミさん、きゃいきゃい言ってるかわいいゆかりちゃんボイスだけではBGMとしては足りなかったし丁度いいですね。
 そんなギター演奏で彩られ、ついでに注目集めたことでゆかりちゃんズの反応遅れた合間に猟兵たちの戦闘準備は万全に、激しいお仕置きタイムが始まるのであった。


「ひらめきました! そう、体罰でなければいいわけです。子供の遊びのレベルであれば多少の怪我というのは咎められません」
 いきなり何かを言い出すドクター、だが彼女はその線でごり押しする事を決めたようで、田舎出身、かつて友達とやったカエルの尻に爆竹仕込んで爆破、なノリでお仕置きしようと小脇に抱えた守銭奴ゆかりちゃんをチラリ。
 ビクッ、と震える守銭奴ゆかりちゃん、けれど悲しいかな、一兆円メモを見せられたら悔しいけど、体が勝手に反応して手が伸びちゃうの、ぶんぶんっ!
 しかし相手はオブリビオン、考えてみれば爆竹程度で痛みを伴う反省をするとは思えない。
 思案するドクターへのインスピレーション与える存在は、そんな時に現れる。
 ドカンと派手に音を響かせ、事務所のドアが吹っ飛べば姿を見せる二人の少女。
「ゆかりちゃんのお仕置きならわたし達にお任せだよ!」
 一人はまるでラケットを素振りするよう、掌をシュッシュと素振り。
「信頼と安心の実績があるからね」
「……ぱらりらぁ」
 もう一人は小脇になぜかゆかりちゃん、けれど今回とは違うタイプのぶおーん、ぱらりらして暴走族っぽい事をしていたゆかりちゃん。
 けれど既にお仕置きされて大人しくなったゆかりちゃんを抱えた少女。
 そう、過去にやらかしたゆかりちゃんに二度もお仕置きをしてきた緋瑪と瑠璃であったのだ。
 というかゆかりちゃんを持ち返るとかなにやってんだ、良い子は真似しちゃいけませんからね!
 さておき乱入してきた緋瑪と瑠璃。
 大人しくいい子、になってるはずのゆかりちゃんは他のゆかりちゃんに恐怖を与えるアクセントとして活用しつつ、手近なパパ活ゆかりちゃんを捕獲完了。
「さぁ、悪い子はここかぁ~」
 いいえ、あなたのほうがわるいひとです、なんて言いたいがそんなツッコミが出来ない流れる様な動きで緋瑪がゆかりちゃんを抱え上げ、問答無用の尻叩き。
「うわぁん、ぱぱぁ、ぱぱぁ!」
 泣きながら助けを求めるゆかりちゃん、だが救援を許さぬと瑠璃が爆弾を地面にころがして、ゆかりちゃんの後背へ。
 ハッとしたゆかりちゃんが振り返る前に爆破、狙いは尻とばかりにスカートがこげ上がり倒れ付す仲間を前に絶望のパパ活ゆかりちゃん。
 尻叩きに尻爆破、入念に尻を攻め立てるのはあんまりな光景、そして爆発の余波で戸棚のガラスが割れたりと大惨事。
 暫しの騒乱、台風が通り過ぎたような後には尻を腫れ上がらせてうつ伏せに突っ伏し震えるパパ活ゆかりちゃん、助けようとして巻き込まれ、尻を焦がして倒れたゆかりちゃんズという酷いものであった。
「ところで、おとうさんを呼ぶはずがパパ、っていってたけど、パパ活のパパの事じゃないよね?」
 やり遂げた顔で緋瑪が呟き、呼び出されたそれっぽい影を見る。
「……爆殺OK?」
 その影が親じゃないと悟った瑠璃、これは爆殺だと頷いて、二人は再度の爆破に戻っていた。
「なるほど、火力はあれぐらいじゃないといけませんね!
 そうだ、昔黒色火薬を作ろうとして牛糞をですね?」
 爆破魔な二人が暴れる最中、小脇に抱えた守銭奴ゆかりちゃんに視線を送るドクター。
 牛糞とか匂いが酷い、やめてとジタバタするもガッチリホールド、子供の遊びじゃねぇというレベルの火薬で遊んで事故して反省した、という流れにすべく、ドクターはプレッシャーをかけていた。

 そんな爆破と仕置きが進む中、普通にきちんと処理している人もいます。
「まあ化け咆えなミミック。小型の竜で十分だろう」
「マニトゥよ、手早く済ますのじゃ」
 小型のミミックを召喚した拓哉、同じく召喚能力で巨狼マニトゥを呼び出したエウトティア。
 共に咆哮を武器とする存在が吼え叫べば、空気震わす衝撃が事務所内部を駆け巡る。
 キャーキャーと悲鳴を上げて吹き飛ぶゆかりちゃんズ、ダメージの大きい者から消滅していくがある疑念を拓哉は抱いていた。
「しかしこれ、骸の海に還すと他のとこでてくるかもしれないって恐怖が凄くない? いやある意味悪さしたすぐに分かるようにはなるからありなのかもしれんけど……」
「まあその気になれば対処は楽じゃろ、わしらが出張れば良いし一兆円メモで釣れるしのう」
 吹き飛ぶゆかりちゃん、舞い散る書類は借用書。破れ飛んで無効果される紙ふぶきの中で背中合わせに立った拓哉とエウトティアが言葉を交わす。
 共に召喚、そして召喚後は射撃援護と攻撃スタイルまで似通った二人は前線で暴れるミミックとマニトゥにゆかりちゃんの攻撃が向かぬように拓哉は衝撃放つ銃弾を、エウトティアは風を纏った一矢を放ち攻撃を継続。
 ゆかりちゃんの動きを確認しつつ立ち回る最中、生み出された両親っぽい影が何か変だと気づいた拓哉。
「……ところでさ、あれ召喚されてんの両親じゃないよね? 借金がどうとかずっと言ってる気がするんですけど???」
 逃げ惑うゆかりちゃんが呼び出した影、それっぽい物体を見ながら呟く拓哉。
 言葉通り、よく聞けばゆかりちゃんの名前ではなく、借金が、ゆるして、とかそれっぽい言葉が聞こえてきたぞ。
「もしかしなくても借金背負わされた人、っぽい物体よ。まあユーベルコードで出来た別物だと思うけどね」
 浮かんだ疑惑、その答えをもってきたのは敵の様子をしっかりと観察していたが為に見抜いた成海。
 呟く単語が借金関係な物体を呼び出すゆかりちゃんと、真面目に父母っぽい物体を呼び出すゆかりちゃん。さらにはパパ活で甘えつつお金をせびる存在だったり、悪事を突きつけて脅迫して金品を要求する対象っぽいのを呼び出すゆかりちゃん。
 様々なものが呼び出されているのを彼女は見抜いていたのだが、ギャグ補正なこの戦いでは何を呼び出しているかわかっても戦術的に有効にはならないだろう。
 まあ、酷いものを呼び出したゆかりちゃんほど容赦なくお仕置きできる、という効果はあるのだが。
「やれやれ、これは捜索願からの飛び火どころの騒ぎでは済まぬのう、マニトゥ、吹き飛ばしておくのじゃ」
 呼び出す対象で炎上っぷりが加速しそうなゆかりちゃん、これは放置できぬとエウトティアが矢を放ちつつマニトゥに命令すれば、物理的に燃える炎ごと咆哮が吹き飛ばし鎮火。
 これで一安心じゃとしたエウトティアではあったが、少し申し訳なさそうな顔で成海が彼女に言葉をかけていた。
「せっかく鎮火してくれた所悪いけど、またちょっと火をつけるわね。延焼しないようにはするわ」
 苦笑しながらユーベルコードを発動した成海。
 舞い散る花びら、いや、生み出されたのは花びらに見える数多の炎。
 逃げようとするゆかりちゃん、その退路を断つように。包囲するように生まれた炎が旋回し、徐々にその輪を狭めればやがてゆかりちゃんの身に触れて。
「ちょっと熱いけど、これでお灸を据えるわね。反省しなさい!」
 一気に狭めてからだの各所に炎の攻撃。
 お灸とするにはちょっと火力が強すぎる気がするが、全力で受けたゆかりちゃんはきっと反省しているだろう、そうに違いない。
 そんな猛攻を受けつつ、何とか退路をさぐる者。
 だがその希望は新たな猟兵によって木っ端微塵に打ち砕かれた。
「この支店に捜査令状がでています!
 詐欺、脅迫、恐喝、偽計業務妨害、公文書偽造、放火、器物損壊、その他の容疑でゆかりちゃんを逮捕します!」
 なんかいろいろと罪状が積み重なって、やってないこともやってるような気がするが気にせずに。
 ドアは既に爆破されてないので、とりあえず壁をドン、と叩いて注目集めようと突入してきたルドルフ・エルランゲン(黄昏に抗う白梟・f03898)
 機を待っていたが為に登場するタイミングはバッチリ、だけど皆が暴れてしまっていたりいろいろとぶち壊していたので注目を集める効果はイマイチ。
 だが、つかみがちょっと足りなくてもやることは変わらない。だって仕事人なんだもん。
「や、やだー。わたし、まだちいさいこどもだよ!」
「おにいちゃん、ゆるして……どんなよびかたでも、するから。あまえるから、ね?」
 法律を盾にするもの、甘えてそれっぽい行動で骨抜きにしようとするもの。
 複数のゆかりちゃんが捜査令状を無かった事に、取り立てしてた事を見逃してとルドルフを論破しようとしたり、誘惑しようとしたりもするが彼は毅然とした態度でその訴えを一蹴する。
「おっと、情に訴えるのは無駄です。
 泣こうが喚こうが法の前には無効です。申し開きがあれば法廷で聞きましょう」
 こ、こいつ、見逃さずに拘束、きちんとした場に引きずり出す考えしかない。
 これは何をやっても見逃してもらえない、どうしたものかと逡巡するゆかりちゃんにルドルフの追い討ちが放たれる。
「司法を甘く見ない事です。何歳まで少年院で過ごすか……覚悟なさい」
 法律知識を総動員、それぞれのゆかりちゃんがやらかした事件を一人がやった場合に換算して、罪をどんどん合算してとんでもなくヤバイ犯罪者に仕立て上げるルドルフ。
 罪状、それに対する処罰の度合いを次々と矢継ぎ早に言い立てて、口を挟ませず自分のペースに持ち込んで逃げる気力を削ぎ落とし、恐怖で脱力させる彼の作戦は成功したといっていい。
 へたり込んで泣き出すゆかりちゃんも居たのだが、その姿を見ても鋼の意志で手加減せずに、罪をしっかり言い渡すのはまさに司法の番人と呼ぶにふさわしいものであろう。
 だが、そんな彼もやはり人の子。多くのゆかりちゃんの心を折りつつも、被害者たちに対する呆れの感情は持ち合わせていた。
「被害者もお人好しか疚しい事があるのか知りませんが、情けない……」
 取り立てられたり脅迫された人々、泣き寝入り状態だった事件を思い出し呟くルドルフ。
 まあ流石にJSに脅された、なんて言えないだろうが、やはり彼にとっては不甲斐ないと感じてしまったのだろう。

「一部は派手にお仕置きしているが、仮にも女の子なんだし、余り手荒な手段は控えたいかな……」
 既に発生しちゃった尻叩きや爆破にお灸。
 派手なお仕置きを今更止める事は出来ないが自分も混じってやる気にはならないユエインが取り出したのは単発式127mm単装速射砲『月墜』改。
 いや、今までのお仕置きのどれよりも危険極まりない、携行砲という一番ヤバイ武装な気がしますけど!
「大丈夫大丈夫、計算的に建物が倒壊しないレベルに抑えるから」
 なるほど、人を狙わず室内の物品を吹き飛ばし、相手を制圧するから問題ないということですね。
 考えなしに、安全性度外視で使うわけではなかったのでs……
 ドゴン、と激しい爆音響いて壁がえぐれた。
 そりゃあもう、当たればやばいレベルの砲弾が躊躇なく放たれたのだから仕方ない。
 その圧倒的な火力に固まるゆかりちゃんズ、建物が倒壊しない程度、壁の一部がえぐれる程度の威力ではあるが中の人が無事かどうかは計算していない、そんな一撃。
 これはやばいと蜘蛛の子散らす様に逃げ出すが容赦なく、そしてその退路を断つように砲撃を継続。
 床を、机を、天井を。
 威力を調整、瓦礫や残骸を撒き散らし、建造物の強度をどんどん削ぎ落としながらゆかりちゃんズの退路を塞ぎ、人々の苦悩が固まる借用書やら権利書が燃えたりして最早なにがなんだかの大惨事。
 今日一番の混乱を招いたユエイン、徹底的な破壊工作ではあったが彼女の猛攻は止まらない。
 借金濡れのだれかのような物体、それがあげた苦しみの嘆きやらその辺に落ちている借用書の燃え残り、借金に苦しんで土下座案件で支払い延長を求めた人の思いの残滓とかそれっぽい物を戦場から引き寄せてユエインはゆかりちゃんズを狙い放出。
 自分の撒いた種とはいえ、生み出された物体や苦しみの思い、嘆きを受けたゆかりちゃんたちは次々とユーベルコードを封じられて万事休す。
 借用書とか嘆きが消えて被害者は万々歳。
「借金証書とか顧客情報とか、仕事に必要そうなあれこれも全部燃やしてしまおう。徳政令だ」
 ついでに焼け残ってた各種情報を仲間が作った炎に放り込むユエイン。
 これで悪質金融業者は涙目でハッピーエンド!
 これで問題解決、綺麗なエンディングですね。

 ……………
 …………
 ………
 ……
 …

 なんて問屋が卸すほど、オブリビオンは甘くなかった。
 封印し切れなかったゆかりちゃん、いろいろとそれっぽい物体を呼び出したり叫んだり炎を放ったりで最後の抵抗。
 だがその抵抗の前に立ちふさがる猟兵がいた。
「既に炎上、もう止められないゆ・か・り・ちゃーん!」
 演奏の〆、力強く弦を弾いてバッチリ決めて、やりきった感じで前に立つのはBGM担当してたアマミさん。
 放たれた炎を前に彼女の5匹の使い魔が守るように飛び出して、力なく両腕垂らしたアマミが攻撃受けるその瞬間。
 大口あけて炎を吸い込み、暫しの沈黙。
 ビクッ、と体を震わせれば、それぞれの尻からなにやら怪しい色彩の煙がもくもくと立ち込めはじめていた。
 あれ、なんかこれやばくない?
 そんな空気が場を支配するその最中、やりきった顔でアマミが全員に言い放つ。
「煙が高濃度のCO2排出ならば延焼を弱め、ガスに変換されていた場合は大爆発を引き起こす!」
 うん? 何かやばいことを言ってません?
 高濃度CO2って呼吸困難ってか意識を失って倒れるし、ガスで大爆発って碌でもな……
「今、賽の目は神の見えざる手に託された!」
 おいぃい!? こっちに丸投げすんなし!
 どうなったかとか効果とか自分で変換しておいて、最後にはええい、ままよってあなた!
 あっ、何か炎はまったく消える気配がないですから高濃度CO2の可能性は皆無ですよ。
 つまりは出てきたのはガスである、それも可燃、爆発性の。
 そして今、戦いの余波で、というか砲撃やら爆破やら炎やらでこの支店、建築物としての強度は最早基準値を大きく下回っているのはお分かりでしょう?

 アマミさん、BGM、盆回りで。
 わからないひとは、目の前の箱か薄型の触った場所しだいでいろいろ出来る液晶の端末で調べるといいですよ。
 人によっては人類滅亡シリーズのBGMっていうほうがわかるかもしれないが。

 あっ、そんな中あのBGMと共に爆発が!
 ガスが充満、派手に弾けて壁が、天井が、そして数多の顧客情報が満載されたパソコンやらファイルやらが燃え上がり、吹き飛んで盛大に崩れ去る。
 これはいけない、内部に残された猟兵もゆかりちゃんズも巻き込まれ、完全な爆破オチで事件は終息するのであった。
 爆破オチは後腐れが無い綺麗な終わり、何か忘れている気がするが終わりよければ全てよし、ということである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『サメ』

POW   :    サメは潜航する
【地形に姿を隠した状態からの不意打ち】が命中した対象に対し、高威力高命中の【噛み付き】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    サメは飛行する
全身を【任意の属性】で覆い、自身の【サメ力(ちから)】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
WIZ   :    サメは仲間を呼ぶ
レベル×5体の、小型の戦闘用【の任意の属性のサメ】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。

イラスト:井渡

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠アルミィ・キングフィッシャーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 爆発で悪質な金融業者、その支店と共に取り立てを行っていたゆかりちゃん達は全て消滅。
 事件は解決したのであった。

 そうなれば一番綺麗な終わりだったと思うのだが、ゆかりちゃんに悪影響を与えた存在がゆかりちゃんズの全滅でその姿を現した。
 それは空飛ぶ鮫。
 最近、鮫って乗りに乗ってるからね、仕方ないね。

 昔は海を泳いで人を襲うだけの映画だったけど人気だったし、最近では群れで空を飛び、竜巻になって人々を襲うまでに到ったんんだからゆかりちゃんズに影響を与えても不思議ではない。
 それに、他の水産物とか野菜とかのオブリビオンじゃ借金取りってイメージはないが、鮫を見たからこそ、その凶悪な見た目と性質からゆかりちゃんズはビジネスヤクザへの道を歩んだんじゃないかな、しらんけど。
 さておきボスである、ただし鮫だが。
 しかし侮ること無かれ、この鮫は普通の鮫ではない、オブリビオンだ。
 普通の鮫と思うとがっちりと噛み付かれ、まるで借用書を押し付けられたように抜けた牙が深々と突き刺さることは必至。
 シャークハントだ、自分たちがやられないように気をつけろ!
ユエイン・リュンコイス
サメだけに他人を食い物にしてたのか。なるほど、納得…する訳ないだろいい加減にしろ(おこ)

サメ退治には聖なるチェーンソーと相場が決まってるけれども、生憎無いのでバーナー機能のついた奥ゆかしいサムライブレイド『煉獄』で相手をしよう。
カット&ソテーだ。

機人が格闘戦を仕掛けつつ、僕も得物を手に切り結ぼう。適宜刀身より焔の【属性攻撃】を放ちながら、【破壊工作】を相手に施して下拵えを進めて行こう。

頃合いを見て、被弾覚悟で相手の動きを封じる様に煉獄を突き立て、内部から相手をじっくりグリル。トドメにUCでこんがりと焼き上げよう。

これだけ他人を食い物にして肥え太ったんだ、さぞ脂が乗ってあああアンモニア臭がっ⁉︎


神羅・アマミ
いやー、ゆかりちゃんズは強敵でしたね?
しかし悪の黒幕が鮫とは…先程のガスで何かトリップしてるんじゃと錯覚する程度には脈絡がないのう…
しかも、奇遇じゃな!
妾も鮫に乗るんじゃよ!
謎のブックか忖度案件ですか!?

てなわけで真の姿・レーザーシャーク形態にてコード『奈落』を発動!
周囲を無差別に巻き上げるトルネードによって、彼奴が仕掛ける不意打ちの初動を激しい風の抵抗により弱めてやろうという魂胆よ!
鮫対鮫の構図で真正面からぶつかれば条件は五分!
これに加え鮫退治の必需品・チェーンソーで攻撃を繰り出せば、体表に傷跡を大きく刻み込むこともできよう。
そう…血を撒き散らすような事態になれば、もう不意打ちはできんぜ!?


波狼・拓哉
…オチついたんじゃねーのかよ!?というか爆発炎上するなら俺も燃やせば…ゴホンゴホン。
じゃ、飛ぶ敵には飛ぶものってことで…化け撃ちなミミック。まー見た目鮫だろうが光線で熱せれば焼け溶けるでしょう。動き早そうだけど何とか空中戦を制してくれ。
自分は衝撃波込めた弾で牽制しつつ、地形を利用して闇にまぎれつつ目立たないように。
鮫が高速機動し始めたら戦闘知識と第六感で進路を予測し先打ちして…鮫って鼻の先が軟骨で弱点なんだっけ。じゃそこを部位破壊するように先打ちかな。動き止まれば後はミミックがどうとでもしてくれるだろうし。
(アドリブ絡み歓迎)


エウトティア・ナトゥア
※アドリブ・連携歓迎

最近のサメは空を飛ぶのじゃな。世界が変われば理も変わると言う事かの?
まあ、このサメが借金取りの元締めのようじゃし、はよ倒して解決するのじゃ。

まずは邪魔な取り巻きを排除せねばならぬな。【精霊の招宴】で精霊を呼び出し戦闘用サメを攻撃するのじゃ。
彼奴らはそれなりに強いようじゃが、一撃で倒せるようじゃの。
【風】を纏わせた【誘導】する矢で精霊との戦闘で気をとられている個体から片っ端から射抜いてまわるかのう。

ボスサメに対しては、味方の攻撃に合わせ矢を追尾させて【援護射撃】。頃合をみて、刺さった矢に付与された風術を暴走させ生じた爆風で体勢を崩して隙を作り出すのじゃ。


星河・成海
……あ、あれがゆかりちゃんが借金取りになった原因ね。割りと人型っぽい外見なのかと思っていたけど、ただのサメにしか見えないわね……。でも油断するつもりはないよ

【バトルキャラクターズ】で呼び出したキャラ達と一緒に戦闘するよ。空を飛ぶ相手なら手数を増やした方がいいしね。私も高速詠唱付きの属性攻撃や衝撃波を使って攻撃に参加。キャラ達の指示を出す関係上、戦場の様子は観察しながら戦うようにする

こんなとんでもないサメの恐怖はフィクションの中だけで充分だから、さっさと退治っと。放って置いたらまたゆかりちゃんみたいなのが出るかもしれないし……多分


クーナ・セラフィン
えー…何かヤバ気な気配感じて様子見てたら建物吹っ飛んだんだけど。
更に何か空飛ぶサメまで出て来たんだけど私の目おかしくなってないよね?
つまりこれは圧倒的現実(逃げ出したい)
でも倒さなきゃダメだよねー。
…チェーンソー持ってないけど頑張るかな。

基本は距離を取り突撃を警戒。油断なく鮫の動きを観察。
戦闘用サメ…何か借金取り属性でもついてるのかな、ゆかりちゃん達の様子的に。
とりあえずUCで迎撃、花弁と吹雪で惑わし同士討ちを狙う。
一撃喰らえば消滅なんだから復帰もないはず。
本体に隙が出来たら標的をそっちに切り替え凍えさせてその動きを鈍らせる。
直接殺るのは勇気ある誰か、ファイト!(丸投げ)

※アドリブ絡み等お任せ


四季乃・瑠璃
緋瑪「トマト+ゆかりちゃん=ぱらりら。サメ+ゆかりちゃん=借金取り?」
瑠璃「よく解らない方程式…化学反応でも起きてるのかなぁ」
緋瑪「とりあえず、サメ退治は爆殺が基本だよね!」
瑠璃「新鮮なフカヒレだー!新鮮な鮫肉も美味しいぞー!」

【破壊の姫君】で分身

飛翔翼で飛行しつつ、潜航しようが炙り出す様に二人で空中から【範囲攻撃、鎧砕き、鎧無視、早業】接触式ボムを大量にばら撒いて空爆。
空中飛んで来たら、大鎌の機巧を利用して加速し、一気にヒレを叩き斬って機動力を削ぎ(フカヒレゲットし)、トドメの爆破で仕留めるよ

緋瑪「空飛んだり潜ったりする以外は普通の鮫だね。頭とか増えないかな」
瑠璃「私はシャークトパスが…」


ドクター・パプリカ
あれに影響されてゆかりちゃんは取り立て屋になってしまったのですか。
子供は感化されやすいですからね。でも、そういうときは大人がしっかりしなければいけないものです。
その大人……大人? 大人ですよね、たぶん。うーん。大人っぽいし、大人なのでしっかりしましょう。あれくらいの子を悪の道に行かせてはいけません。
サメさんのしっぽを掴んでびったんびったんするのです。
これはゆかりちゃんのぶん(びったーん)これもゆかりちゃんのぶん(びったーん)あれ今何回目でしたっけ? まあいいやこれもゆかりちゃんのぶん(びったーん)。



「オチついたんじゃねーのかよ!? というか爆発炎上するなら俺も燃やせば……ゴホンゴホン」
 微妙に本音がでたけれど至極まっとうなツッコミ入れた拓哉さん、ええ、正常ですね。
「えー……何かヤバ気な気配感じて様子見てたら建物吹っ飛んだんだけど。
 更に何か空飛ぶサメまで出て来たんだけど私の目おかしくなってないよね?」
 くしくしと目を擦って飛んでるサメが現実かどうか確認してるのはクーナ。
 ゆかりちゃんズの戦いでいやな予感を感じて外から様子見、何が起こるか見ていた貴女の判断は被害を受けないという意味ではとても正しかったと思います。
 爆発に巻き込まれて煤だらけになってないしね。
「サメだけに他人を食い物にしてたのか。なるほど、納得……する訳ないだろいい加減にしろ」
 そんな混乱してたクーナの隣、ユエインがボスとして君臨していたサメに対して納得を……してなかった、むしろおこだった。
 怒らないで、許してください、なんでもしま……
「む、今地の文の精霊が何でもすると……いや、最後までは聞こえんかったか。
 しかし最近のサメは空を飛ぶのじゃな。世界が変われば理も変わると言う事かの?」
 いけない、精霊と交信能力持ってるエウトティアさんに聞かれるところだった!
 微妙に最後をごまかしておいてよかった、さておき普通はサメは空を飛びません、平然と受け入れて様子見しているあなたも大概適応してますね。
「いやー、ゆかりちゃんズは強敵でしたね?
 しかし悪の黒幕が鮫とは……先程のガスで何かトリップしてるんじゃと錯覚する程度には脈絡がないのう……」
 そうそう、さっきのガスが原因で幻覚が……って爆発の元凶であるアマミさん、なに冷静にツッコミいれてんですか!
 あなたがぶっとばしたせいで支店がぺしゃんこ、後片付けが大変なんですよ!?
「しかも、奇遇じゃな! 妾も鮫に乗るんじゃよ!
 謎のブックか忖度案件ですか!?」
 ブックも忖度もしてねぇ! サメはシナリオ出すときに決められてたんです、クアドさんも最後のゆかりちゃんズをおかしくした相手はよくわからないって言ってたでしょう!?
 ってか話きいてねぇ、真の姿になって既に自前の武装したサメにライドオンしてますやん!
「……あ、あれがゆかりちゃんが借金取りになった原因ね。
 割りと人型っぽい外見なのかと思っていたけど、ただのサメにしか見えないわね……でも油断するつもりはないよ」
 そんなカオスってる猟兵の中、とてもまともに言葉を紡いでいた成海。
 しっかりとゆかりちゃんズがおかしくなったのはサメのせい、外見が人っぽいやつにそそのかされたんじゃないかと予想してたけど見た目はただのサメ。でも油断はしない。
 しっかりと役割を……あれ、なんで空飛ぶサメ相手にツッコミもせずに自然に受け入れて戦う体勢入ってるんですか。
 他の猟兵がぶっとんでるから迎撃体勢とればまともに見える錯覚に陥ってしまったぞ。
「あれに影響されてゆかりちゃんは取り立て屋になってしまったのですか」
 そうです、ドクター。あれが原因です、サメだけに食い物にしてきてたんです。
「子供は感化されやすいですからね。でも、そういうときは大人がしっかりしなければいけないものです」
 大人? あの、あなたまだ未成年じゃ……
「その大人……大人? 大人ですよね、たぶん。うーん。大人っぽいし、大人なのでしっかりしましょう。あれくらいの子を悪の道に行かせてはいけません」
 あっ、見た目大人だからって大人と言い張ってる。まあ17歳でも成人扱いの国もあるし大人でいいや、多分。
 あと悪の道にいかせてはいけません、って既にゆかりちゃんズは悪の道に浸かって、ジャンクフードにジュース、ゲームとあれた生活って貴女が調査してましたからね?
 それとついでに今回、サメに歪まされたゆかりちゃんズは全員もう瓦礫の下か骸の海にいってるからね!?
「トマト+ゆかりちゃん=ぱらりら。サメ+ゆかりちゃん=借金取り?」
「よく解らない方程式……化学反応でも起きてるのかなぁ」
 そんな混沌としてる猟兵一同の中、ゆかりちゃんの変貌に立ち会うのも3度目だった緋瑪と瑠璃。
 分身した人格同士、過去にあったバスジャックゆかりちゃんはトマトと、口には出してないけどなんやかんやする科学者+ゆかりちゃん=デスメタル、そして今回はサメ+ゆかりちゃんで借金取り。
 よくわからない方程式、なんて瑠璃がいってるがこれもうわかんねぇな、方程式なんて関係なくて完全な謎の化学反応だろ、もう。
「とりあえず、サメ退治は爆殺が基本だよね!」
「新鮮なフカヒレだー! 新鮮な鮫肉も美味しいぞー!」
 爆殺だなんて物騒な事を緋瑪が言えば、フカヒレと鮫肉と続く瑠璃。
 いや、爆殺ではなくチェーンソーだろって視線がいくつか飛んだが気にせずに、サメと猟兵の戦いが始まっていた。


 それはじごくのようなこうけいだった。
 そうとしか言い様のない、猟兵の、まあここまでカオスった展開の為に発生したギャグ時空のせいで何もかもが酷かったのだ。
「これはゆかりちゃんのぶん! これもゆかりちゃんのぶん! あれ、今何回目でしたっけ?
 まあいいや、これもゆかりちゃんのぶん!」
 サメの尾びれをとっ掴み、振り回しながら地面に、壁にと手近な場所にびったんばったん叩き付けてるドクター。
 哀れサメさん、びったーん、びったーん、とドクターが悪の道に進んだゆかりちゃんの分だと、いっぱい増えて属性過積載してた全てのゆかりちゃん。
 それらが悪の道、取り立て屋になって生活が荒れ、苦しんだ分だと言いがかりをつけて叩き付けていた。
 なんでこうなってしまったのか、凶悪なサメが簡単に振り回されてしまっているのか?
 その原因は少し前、他の猟兵の猛攻にあったのだ。

「このサメが借金取りの元締めのようじゃし、はよ倒して解決するのじゃ」
 戦端開いたのはエウトティア。
 先ほどの交信とは打って変わって真面目な表情、サメが呼び出した数多の小型鮫が邪魔だとばかりに短弓に矢を番え。
「精霊よ、大いに歌い騒ぐのじゃ!」
 同時に風の精霊へと呼びかければ、空飛ぶ小型のサメに対して飛び掛る風の精霊。
 互いに一撃で消滅する存在同士の戦い、同条件ならば数多く、うねる竜巻の様に形を成した鮫優位。
 されどここに加わるは猟兵の援護、エウトティアが番えた矢は風を纏って鮫のうねりの中を駆け抜け、哀れ軌道に存在した小型鮫は腹部を、鰓を射抜かれて地面に落下、消滅していたのだ。
「空飛ぶ相手だったら手数を増やした方がいいわね。さ、いくわよ皆」
 同刻、別方向から数多のバトルキャラクターを召喚した成海。
 飛び交う小型鮫を打ち払う布石として配置されたキャラクターたちはサメへの道を切り開く様に突き進めば、その動きを止めるべく小型鮫の軍勢がうねりをもって迎え撃つ。
「そうやって迎え撃つと範囲攻撃の良い的よ。言っても無駄でしょうけどね」
 キャラクターを押し止めようとした小型鮫に成海が言い放ち、両の掌を突き出せば鮫のうねりに負けぬ大きさの衝撃波。
 最前線で直撃受けた鮫は吹き飛び落下、消滅しダメージ受けずとも吹き飛ばされた仲間がぶつかったり衝撃の余波を受けた鮫たちはその勢いを減じ、更に後続の仲間がぶつかり大混乱。
 統率された流れを無くし、互いにぶつからぬようにと散乱し始めた機会を彼女は見逃さずキャラクターへと指示を出す。
「今よ、あの崩れた場所から突撃。整う前に道を作って」
 滞った流れ、崩れたラインの一角を指し示し、キャラクターを突撃させる成海。
 何とかほころびを埋めようと別の小型鮫が空泳ぎ、進路を塞ごうと突っ込むが。
「飛ぶ敵には飛ぶものってことで……化け撃ちなミミック」
 拓哉の声が戦場響けば、同時に放たれた白く輝く熱線。
 穴のカバーに入ることを優先していた小型鮫の体をその熱線は焼き焦がし、そのまま消滅させていた。
 何匹かの鮫がどういうことだと体くねらせ光線の軌跡を追えば、そこには宇宙戦艦……に化けた拓哉の召喚したミミックと、自らも拳銃構え、銃星、オープンサイトを利用して飛び交う鮫へと狙い定める拓哉の姿が映っていた。
「元締めをやらないとね、道を開く援護はするさ」
 成海へ言いつつ引き金引けば、拓哉の銃弾は衝撃波を広げながら飛翔、飛び交う鮫の体を撃ち抜き消滅させ、直後に彼は瓦礫の影へと姿を隠す。
 その移動を援護するようにミミックが光線発射、バトルキャラクター達の進路を作るように動けば一気にサメへの道作るキャラクター達。
 ええい、使えぬ奴らと怒ったか、感情わからぬその顔でサメは移動を開始。
 空中を高速で泳ぐ様に飛び交って、邪魔する風の精霊を吹き飛ばし、更には進路を作ったキャラクターを噛み砕き、逆に猟兵目掛け攻撃しようと逆襲に転じていたが。
「強引な動きってのは読みやすいんでね、鼻先というか出鼻は挫かせてもらうよ」
 すっと物陰から伸びる腕、それは隠れた拓哉のもの。
 突っ込むサメの先端、鼻先に放たれた銃弾が命中、思わず顔を上へと向けて速度が鈍れば容赦なく追撃の矢が放たれていた。
「自分から突っ込むとは、少々無謀が過ぎるのじゃよ」
 笑うように放たれたエウトティアの矢、それは鮫の背鰭に刺さり、直後に生まれた暴風で傷ついて。
 背鰭の制御機能を低下させられ、サメの移動速度は更に落ち。
「こんなとんでもないサメの恐怖はフィクションの中だけで充分だから、さっさと退治っと」
 放置してしまえば第二、第三のゆかりちゃんみたいなものが出かねないと成海が放った衝撃波、先ほど受けた銃弾と背鰭の暴風も相まって動きが止まり、そして戦闘開始、ドクターの掴みかかりからの振り回しへと繋がっていたのである。


「あっと、逃げましたね!」
 びったんばったん、ドクターに振り回されていたサメ。
 サメの叩き(料理ではない)になっていたが尾びれを力任せに振って脱出、瓦礫の山へと身を隠し、更には生み出した小型鮫を目くらましにして不意打ち狙いへ切り替えたがそれを許さぬ者がいた。
「恐れよ! 崇めよ! 深き海より浮上せし真の脅威に絶望しながら、白き牙に砕かれ躯の海の藻屑と消えるがよい! 死ねーッッ!!」
 目には目を、歯には歯を、サメには鮫をと鮫にライドしたアマミ。
 強烈な竜巻でサメが隠れた瓦礫ごと、小型鮫も巻き上げてシャークなネードで迎え撃つ。
 潜伏などさせぬと巻き上げられた瓦礫の竜巻。不意打ちの初動を止めてしまえばあとは鮫と鮫、真正面から五分の打ち合いだがさらに秘策ありとアマミが引き抜くは鮫退治の必需品(らしい)チェーンソー。
 唸りを上げて刃が回り、標的引き裂くべく動き出す。
 良い子は絶対、チェーンソーをこんな凶器に使っちゃ駄目よ。
 持つときは両手、胸元より上へは振り上げず、メンテナンスもしっかりと、チェーンの緩みとかないか確認して、安全に考慮して一日の作業時間も決めて、体を労わり安全第一で使うように!
 そんなこんなで衝突した二匹の鮫、真正面から互角の衝突に続きチェーンソーが横っ腹を引き裂けば、やや黒味かかった血液飛び散り地面を汚す。
「カカッ、血を撒き散らすような事態になれば、もう不意打ちはできんぜ!?」
 狙い通りの一撃入れて笑うアマミ、彼女の言う通り血液を頼りにすれば潜伏場所を見つけることは容易であり、これで不意打ちを受ける可能性は限りなく低くなったと言って良かった。
「圧倒的現実ッ! 逃げたかったしチェーンソーは持ってなかったけど、持ってる人がいた!」
 そんなアマミの突撃を見遣りつつ、この謎の空間、もとい幻覚と思いたいけど逃げてはいけない現実を突きつけられてたクーナ。
 チェーンソーが無いけど持ってる人がいたので頑張れる、そんな気になって。
 直接殴ってくれる人もいる、となれば再度呼ばれた小型鮫を倒すだけでも十分に援護できると踏んだ彼女は飛び交う鮫の様子を凝視。
 被弾して血を撒き散らすサメ、それを庇うように小型鮫が集結始めた好機を逃さず範囲攻撃を選択していた。
「こんな趣向はどうだい?」
 大仰に、振り上げた後に銀槍を突き出せば穂先より生じたものは雪交じりの花吹雪。
 春と冬、それらが同時に存在するような錯覚を見るものに与える雪花の舞は次々と飛翔する小型鮫へとまとわりつき、体を切り裂き凍り尽かせて命を奪う。
 それでも尚、猟兵を標的として喰い付こうとする小型鮫の動きに戦慄覚え、思わずクーナは言葉を漏らす。
「ここまで激しいとは、やっぱり借金取り属性でもついてるのかな、ゆかりちゃん達の様子的に」
 ゆかりちゃんズが取り立て屋をしていたんだから、この鮫の激しい動き、逃がさぬという執念。
 借金取り属性なる新しい戦闘属性の概念を生み出しちゃいつつ、突っ込む小型鮫を槍でいなして再び雪花を見舞っていけば、今度の攻撃は壁を失いしサメの体へ氷の責め苦を与えていた。
「直接殺るのは勇気ある誰か、ファイト!」
 取り巻きの多くを迎撃、さらにサメ本体の動きも鈍らせた。
 微妙にサメ本体は怖いのでダイレクトアタックは誰かに任せる丸投げスタイル、だがこれで十分であった。
「空飛んだり潜ったりする以外は普通の鮫だね。頭とか増えないかな」
 なに怖いこと言ってるんですか、緋瑪さん!?
 増えたら増えたでとっても厄介この上ないですよ!
「私はシャークトパスが……」
 ついでに瑠璃さんもこれ以上の変化を望みますか、これ以上属性積載したらゆかりちゃんズの属性過積載に加えて鮫も属性ってか要素てんこもりでシナリオが積載しすぎってなりますからね?
 さておき、鮫の取り巻きは排除され更には動きが鈍ってと、直接攻撃するには十分にお膳立てされた環境。
 逃がしはしないと飛翔した二人が空中から爆弾を投げ込み空爆、廃墟と化した悪徳金融業者の支店を完全に爆破しながらサメの周囲を吹き飛ばし、移動できる方向を絞り込めば後は狩るだけ。
 一箇所だけ開いた出口、そして放物線を描くように投げ込まれた爆弾から逃れる為には其方に向かうしかないと空中泳いだサメではあったが、減じた速度と受けたダメージの大きさか、待ち受ける緋瑪と瑠璃へその牙は届かずに。
 大鎌を掲げ、柄に仕込んだ機構内部での爆発。
 その反動を生かして一気に加速、距離を詰めた緋瑪の斬撃が背鰭と尾鰭の一部を切断、しっかりとその手に握った緋瑪を認めて瑠璃が爆弾投げ込んで追い討ちを。
 激しい爆発、その最中に聞こえた二人の「「新鮮なフカヒレゲット!」」という叫びは聞かなかったことにしよう。

 猛攻、されど他のオブリビオンに影響を与えたぐらいの強さだからか、鰭を切られ爆風に晒されてもなお、その煙をかいくぐってサメは敵意をむき出しに抵抗を続けていく。
 しかしその抵抗もここまでか、満身創痍のサメを倒すべくおこなユエインが10糸と魔力にて操る黒鉄機人を前面に押し立てて、自身は熱を纏い、意思力にてその熱量を増す焔刃『煉獄』構えて突き進む。
「サメ退治には聖なるチェーンソーと相場が決まってるけれども、生憎無いのでバーナー機能のついた奥ゆかしいサムライブレイド『煉獄』で相手をしよう」
 カット&ソテーで料理してやると言わんばかりの武器選択、先ほどの二人のように海産物を食料に例えて、いや普通に食料として見てたけど、物怖じせずに攻撃していくのは頼もしい限りではある。
 そんな中、真正面から機人とサメがぶつかっての削りあい。
 膂力をもって押し込み、噛み付こうとするサメと噛み砕きだけは避ける様、サメの頭を掴みつつ体の各所、パーツ同士が軋む音を立てる機人。
 ヒレをやられ、多大なダメージを負ってもまだこれほどの力があるとは恐ろしいサメである。
 だが、押し切れなかった時点で既に勝負は決していた。
「十分だ、仕上げに入ろう」
 機人の後方より刀を振るい、炎を飛ばしサメの外皮を焼き焦がしていたユエイン。
 此れまで仲間が与えた蓄積ダメージも勘案し、一気に攻めるには十分だと判断した彼女は一気に加速、瓦礫を蹴り上げ距離を詰めればサメのわき腹目掛け己が得物、煉獄を突き立てる。
 激痛、機人に構ってなどいられぬとサメが大きく体をくねらせその反動で体を打ち付け、ユエインを弾き飛ばそうと画策する。
 しかし反撃受けても引かず、全身に走る衝撃に耐えながら彼女はより深くサメに煉獄を突き刺し内部よりの熱攻撃。
 さらに機人が追加とばかりに燃える炎を右手から放てば流石のサメも力尽きたた体をくねる抵抗弱め、ゆっくりと降下を始めればユエインが魚を下ろす様に煉獄を大きく動かし焼き焦がしながら引き裂いて。
 これは内部と外部からダブルの加熱、内部のじっくりグリルと外部のこんがり触感のウルトラ上手に焼けたサメの完成である。
 完璧に仕上がった、とばかりに真一文字に切れ目を入れた煉獄を一振り、血糊を飛ばして満足げなユエインだったが……
「これだけ他人を食い物にして肥え太ったんだ、さぞ脂が乗ってあああアンモニア臭がっ!?」
 頷き決め台詞、のタイミング。
 焼いた後に漂う激烈なアンモニア臭。そう、鮫は臭うのだ。そして鮮度が悪ければ悪いほど、アンモニア臭は強くなる。
 倒したばかりの鮫でこの臭い、いくら焼いたからといって強烈過ぎるこの臭気は、この鮫の鮮度が低い事に他ならない。
 まあオブリビオンだから、鮮度の悪い状態ってか死にかけの鮫が腐りかけて復活とかだったかもしれない、つまり先ほど切り離されたフカヒレも……
「うわっ、これ酷い臭い!?」
「ちょっと、全然新鮮じゃないよ!」
 ああ、せっかく確保したのにあまりに酷いこの現実。
 緋瑪と瑠璃が不満を言ってたり、直接近くでアンモニア臭をかぐ事にならなくてよかったと安堵するクーナがいたり。
 鮫と鮫、対サメで勝利を収めて満足げなアマミや新たなゆかりちゃん出現を多分防げると少し自信無さげな成海や、ゆかりちゃんズの苦しみ、怒りは返したと勝手に解釈して感動してるドクターや。
 これでようやく、きちんとしたオチがついたと頷く拓哉。
 そんな一同と瓦礫の山を交互に見遣り、色々と酷い戦いじゃったなとエウトティアが呟いて。
 恐怖の取り立て屋と化したゆかりちゃんが引き起こした事件は、悪質金融会社の支店を完全破壊、顧客リストや借用書の消失という成果と共に幕を下ろすのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年10月07日


挿絵イラスト