ダークセイヴァーに住む人々は、100年以上にも及ぶヴァンパイア達の圧政に屈し、その強固な支配体制に抵抗しようとしなかった。
いや、正確には「しようとした」者はいた。
しかしヴァンパイアの配下達によって、それがまだ机上の空論でしかない段階の時点で弾圧され、「偶然同じ建物内にいた」「謀反を企てた者の遠い親戚である」だけの者でも一まとめに問答無用で惨たらしい死に方をさせられたことによって徹底的に、塵一つ残らないほど人々の抗戦への意欲はかき消されていった。
しかしここ1年の間で流れは変わってきた。
自らのことを「猟兵」と名乗る埒外の戦闘能力を持つ者達がどこからともなく突如として現れ、次々と領主であるヴァンパイアやその共犯者である犯罪集団を潰して回り始めたのである。
ヴァンパイアに仕えていた、または協力していた者達は主人と運命を共にするか、次の主人探しに奔走する中、一転して自由の身となった村人達の内に沸々と湧き上がる物が生まれてくるのは当然のことだった。
監視の目が無くなったことを良いことに、村人達は村の外れにある洞窟や樹海の中に隠れ家を作り、貧民街や地下迷宮等に拠点を築き、人知れず密かに、かつての自分達と同じような虐げられている人々を救う活動を始めた。
彼らは皆、自らを闇の救済者、「ダークセイヴァー」と自称した。
奇しくも猟兵達が判別のために付けたこの世界の呼称は、この世界の人々が猟兵達を讃えて呼ぶ称号でもあり、人々の希望を象徴する言葉となっていたのである。
「今回はそんな『ダークセイヴァー』達の支援をお願いいたします」
ダークセイヴァーのとある町で近々行われるという闇市で、ダークセイヴァーの構成員達はある出店で足を止める。そのお店の商品が他の店の物より高品質かつ安かったからだ。
店頭に出ている商品で全てかどうか構成員が尋ねると、店員は「裏の倉庫にまだある」と言って案内をしてくれる。
しかしその倉庫に構成員が入った瞬間に扉は閉まり、店員はオブリビオンとしての本性を露わにし、中に隠れていた同胞達と共に構成員達を惨殺する……というのがルウ・アイゼルネ(マイペースな仲介役・f11945)が予知した内容である。
「このオブリビオンはヴァンパイアに圧制を強いられた結果、餓死した人々の魂が変異して発生したものだと推測されます」
今回猟兵達に取れる手段は3つ。
1つ目は客として紛れ込み、オブリビオンの出店を構成員より先に見つける。
2つ目は構成員達の後をこっそり追いかけて一緒に倉庫の中に入る。
3つ目はオブリビオンの店よりも良い品を出店者として出して構成員達の足を止める。
「問題の出店はどうやら複数存在しているようです。オブリビオンとなってしまうかもしれない人々を救おうとする方々を、オブリビオンになってしまった者達に殺されないよう立ち回ってください。では皆様、よろしくお願いいたします」
平岡祐樹
猟兵諸君、反撃の時はきた! お疲れ様です、平岡祐樹です。
今案件は「【Q】ダークセイヴァーで抗う者達を支援しよう」によって判明した物です。
反撃の狼煙はまだくすぶり始めただけに過ぎず、ヴァンパイア達が本気を出せば簡単に消し飛ぶ状況です。
そんな「ダークセイヴァー」達が独り立ちできるまで、「最初の希望」である猟兵の皆様に改めて支援とお手本を見せてあげましょう。
では皆様、よろしくお願いいたします!
第1章 冒険
『闇市場inダークセイヴァー』
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POW : 何か面白いものはありませんかね?(客として紛れ込む)
SPD : そろーりそろり(秘かに潜入)
WIZ : いらっしゃい!見て行かないかい?(売り手として紛れ込む)
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
セシリア・サヴェージ
闇の救済者たちを死なせるわけにはいきません。彼らこそ、この世界の希望なのですから。
私も闇の救済者同様、客として闇市に訪れるとしましょう。店を一軒一軒しらみつぶしにする必要はありますが、恐らく判別自体は容易でしょう。私もこの世界で生を享けた者ですから、不自然な価格や品質の商品は一目でわかります。
問題の出店を見つけたならば店員と会話し倉庫に案内するように仕向けます。そして倉庫内に待ち受けるオブリビオン共々討ち滅ぼします。彼らの元々の境遇を想うと不憫ではありますが、オブリビオンである以上容赦することはできません。
「どうだい姉ちゃん、この薬草安いよ!」
威勢の良い声を発する男の手に握られた薬草の束と値段を交互に見たセシリア・サヴェージ(狂飆の暗黒騎士・f11836)は目を細めた。
「そんな枯れかけの束でその値段は払えないな。他を当たれ」
不良品だと告げられた瞬間に悪態をつき始めた男を無視して歩き出すセシリアはこの街の地図に目を向けた。
「この通りにはない、か」
闇市は十数本の通りで、かなり広範囲に渡って行われている。
そこでは万引きを働いた子供を追いかける店主の後ろで、無人となった出店の商品を大の大人が盗み、自分の出店で何食わぬ顔で販売する……ということも堂々と行われていた。
取り締まるべき憲兵の姿はどこにも無く、それを止める者、咎める者もいない。この町で商いをやろうとする者は皆、自分のことで手一杯だった。
その気持ちはこの世界の出身であるセシリアにもよく分かる。
だからこそ、そういう人達を救おうとしているダークセイヴァー達を死なせるわけにはいかなかった。
次の通りに向かうと、ある一つの出店に人が群がっているのを見つけた。
飛ぶように売れていく様子を人の壁から覗き込むと、肝心の台の上には値札だけが残っていて肝心の商品の姿が無い。
しかし競争に勝った購入者が大事そうに抱えていてもその内容は隠す物が無いためすぐに分かった。
買われた物と同一の名前の値札を素早く探していると、出店の売人が棚の裏へ今まさに下げようとしている所だった。
辛うじて見えたその値段は自分が値踏みした額よりもはるかに下だった。
問題の店を見つけた、と確信したセシリアは一歩引き、全ての商品が売り切れるのをじっと待つ。
そして人の波が消え、まっさらになった店を片付け始める店員だけになったところで話しかけた。
「すまない、今売っていた物はどこで買ってきた物か教えてもらえないか?」
「どこで? それはあっしらの村で収穫してきた物ですぜ……」
なぜか視線を合わせない店員にセシリアは懐に忍ばせていた金貨を他の者には見えないようにちらつかせた。
「そうなのか、ではその村の場所を教えてもらえないか? 私は今の値段よりも高値で買うことが出来るぞ」
その輝きに気づいた店員は不気味な笑みを浮かべて笑い出した。
「へへへ……でしたらまだ、この町で借りた倉庫に、明日以降の分が、ごぜえます……。付いてきてくだせぇ……」
成功
🔵🔵🔴
ルルティア・サーゲイト
「何か、吸血鬼っぽい業じゃが……妾、吸血鬼とは一切関係無いんじゃよな」
ふふん、新技の試し打ちといくかのう。多数の鴉に変じて構成員を尾行して倉庫の場所を突き止める方針で行くぞ。まあ、尾行するのは一羽で十分じゃろうから複数の構成員に一羽づつ付けても問題はあるまい。
もし構成員が何らかの危険に晒されたら鴉のまま助けに入る位は出来るか。今はあまりその必要は無いじゃろうが。
「しかし、どの世界でも市場というのは楽しい場所である」
鴉の身で市場を散策してちと観光もしていくかのう。買い物は出来ぬが、こういうのは見て回るのが楽しいのじゃよ。
「ようやく捕まえたぞクソガキが!」
「わっ、離せ、離せよ!」
男の怒声と子供の喚き声が聞こえる中、その足元に転がった肉の欠片に向かって鳥や野犬が飛んでいき、自分の分を取り合う。
そんな争いに交わらず、マイペースに空を飛ぶ一羽の鴉がいた。
「しかし、どの世界でも市場というのは楽しい場所である」
人の言葉を喋った鴉の正体はルルティア・サーゲイト(はかなき凶殲姫・f03155)。
様々な世界を大鎌一本で放浪するキマイラは今、つい最近身につけたばかりの変化の術を試していた。
「買い物は出来ぬが、こういうのは見て回るのが楽しいのじゃ……」
混雑や喧騒は御免だと、ルルティアは近くにあった洗濯紐の上に降り立つとのんびりと羽繕いを始めながらふと呟いた。
「……お、まずは左足が見つけたか」
ルルティアが身につけた変化の術とは体の一部や全身を大量の鴉の形に分裂させる、という代物だった。
ちなみに見た目は吸血鬼っぽい業だが、ルルティアの家系に吸血鬼は一切いない。また過去に斬り伏せた怪異を模倣する術はあるが、ぶった切った吸血鬼はそのような特技を持っていなかった。
そんな情報が流れる中でも各部位からの報告が羽繕い中の、脳を元にした鴉へと流れ込んでくる。
「膵臓、右耳……小腸も追跡を開始……」
普段よりも多い情報量でも脳は平常通り仕分けていく。そして体の半分以上が追跡を開始した頃、一番手であった左足が問題の倉庫へとたどり着いた。
「広い倉庫だな……ここに残りの在庫があるのか?」
「ええ、さすがに、倉庫全部、埋まってるわけでは、ないですがねぇ……」
倉庫の大きさに驚いている構成員からの質問に、店員は不気味な笑みを浮かべる。
一緒に入ってしまうと疑われたり追い返されたりするため、左足は構成員と店員が話している間に倉庫の周りを一周し始めた。
すると入口から死角になっている所にある窓が開けっ放しになっているのが見つかった。
「出かしたぞ、左足! 褒美に今度足ツボマッサージを受けさせてやろう!」
その情報に上機嫌になった脳は残りの鴉達に一斉にその情報を流す。
構成員と店員の後を追いかけていた鴉達は問題の倉庫にたどり着くと一目散に左足が見つけた窓枠に飛び込み、先に着いて待機していた鴉達の群れに加わる。
そして巨大な鴉団子が物陰で出来上がると鴉達の体の輪郭が徐々に崩れていき、黒い一つの塊になったかと思えばマーブル色に徐々に変わっていき、少しずつ半人半獣の姿へと変わっていく。
「あ、あー……うむ、初めてやった割には上手くいったのぅ」
元の姿に戻ったルルティアは軽くその場で他の者に気づかれないように静かにストレッチをすると、オブリビオンが本性を見せるまでその場に隠れることにした。
大成功
🔵🔵🔵
西院鬼・織久
闇の救済者とは
我等は希望を捨て、怨念滾らせ血肉に浸る事を選びましたが
輝かしいものを目指したいと言うなら、それも良いでしょう
【行動】
「殺気」と「呪詛」を出来る限り抑え、マントやフードなどで装備を隠しながら人影や物陰などを利用して「闇に紛れる」
周囲が自分より小柄な者ばかりでも目立たないよう市を回りながら五感と「第六感+野生の勘」を働かせ人の流れや品物の流れ、怪しい会話などの「情報収集」
後々市に紛れたオブリビオンが人質を取るか無差別に襲うかを考え、市の配置や潜んでいる数を確認しておく
情報をすり合わせ怪しい店舗を見付けたら訳ありを装って近付き、表に出さない良い商品の噂を聞いたと言って接触
希望を捨て、生者死者共々の怨念を滾らせ、オブリビオンの血肉に浸る事を選んだ「西院鬼」の一族とは違うダークセイヴァー達の目指す理想を人伝てに聞いた西院鬼・織久(西院鬼一門・f10350)は目を細めた。
「輝かしいものを目指したいと言うなら、それも良いでしょう」
自らの祖先や同胞を卑下せず、違う選択をしたダークセイヴァー達を批判せず、織久は振り返ることなく黙って歩を進める。
身から溢れる殺気と呪詛を出来る限り抑え、マントやフードなどを羽織って装備を隠す織久の姿は自分よりも小さい人波や建物の影に紛れ、一切の違和感を覚えさせない。
そんな中で織久はオブリビオンに気づかれないように人の流れや物の流れに五感や第六感、野生の勘を張り巡らせていた。
「私は今の値段よりも高値で買うことが出来るぞ」
「へへへ……でしたらまだ、この町で借りた倉庫に、明日以降の分が、ごぜえます……。付いてきてくだせぇ……」
さらにオブリビオンが正体をバラした途端に人質を取る可能性や無差別に襲いかかる可能性までを考え、市の配置や路地の数、一店舗にいる人間の数を確認していく。
『何人たりとも死の影より逃れる事能わず』
中でも様子のおかしい人間が営む出店の影に自分の影を混じらせ、いつでも爆破出来るようにしておく。
爆破から辛うじて逃れたとしても、仕掛けた影は動き出すオブリビオンを拘束する鎖となってくれるだろう。
「おい」
ある程度の仕込みを終えたところで織久は怪しげな店主の出店に出向き、おもむろに口を開いた。
「ここに表には出さない良い商品があると噂を聞いた。本当か?」
どこか寛大だが後ろめたそうな雰囲気を故意に漂わせる織久に対し、店主は含み笑いを浮かべる。
「何を、おっしゃってるか、わかりませんねぇ、坊ちゃん……。うちが、扱ってるの、これだけ、ですよ」
「本当か? ……裏の倉庫に明日以降のとっておきの分があるのだろう?」
別の店主と交わしていた会話を織久が小声で耳元で囁くと、嗅ぎ覚えのある死臭を感じた。
「へっへっへ……どこで、聞かれたか、知りませんが……知られたからには、仕方ないですね」
織久が確信を得たことに気づいていない店主は口を開けて笑うと荷台の上に置いていた商品をゆっくり片付け始めた。
「片付け、終わったら、ご案内、いたしましょう……。少し、待っていて、くだせぇ……」
成功
🔵🔵🔴
尾守・夜野
売り手として赴こう
畑で取れた野菜から、戦闘用に栽培してる毒物、畑にきた鹿とかの干し肉や皮、角、骨…
取れた膠で作った弓に…
と数々の品揃えを誇るだろう
代金?
ははは…
もちろん赤字だコンチクショー!
他の店を見て武器だとかも売ってるのを確認した上で
「俺の明日の飯ぐれぇくれてやるとも
畑がすっからかんになるまで出してやるよ!
金属加工は出来ないから
剣だとかはねぇが…
黒色火薬だとか爆弾は取り扱ってるぜ!」
馬車で運んできた品々をさっと陳列して呼び掛けようか
移動屋台みてぇな感じだな
馬車の堆積以上にUCで運んでるからな
そうそう品は尽きねぇぜ
なお、金以外の物々交換も承ってる
それを欲しい人もいるだろうからな
ガラガラと車輪が地面を転がる音をたてながら、六本足の馬がひく一台の馬車が闇市を進む。その御者席に座っている尾守・夜野(墓守・f05352)は横目で商人達が売っている品を確認していた。
店頭には強盗や隣人との抗争のためなのか食べ物や薬だけでなく弓矢やナイフ、銃などの武器も並べられていた。
夜野は馬車が丸々入れそうなスペースを見つけるとスレイに手綱で指示を出し、横付けさせる。そして御者席から降りると、馬車の中から木箱や大きな布を取り出し即席の見世棚を作った。
遠目から見ても目立つ馬車に興味を持ったのか、近くにいた人々がその周りに集まる中、夜野は馬車の中から品物を取り出した。
畑で取れた野菜から戦闘用に栽培してる毒物、畑にきた所を狩った鹿とかの干し肉や皮、角、骨……さらには膠で作った弓、が見世棚にどんどん並んていく。
「俺の明日の飯ぐれぇくれてやるとも。畑がすっからかんになるまで出してやるよ! 金属加工は出来ないから、剣だとかはねぇが……黒色火薬だとか爆弾は取り扱ってるぜ!」
他の物を置くスペースが無くなった見世棚の奥に陣取った夜野が手を叩いて口上を叫ぶと、待ってましたと言わんばかりに周りにいた人々が殺到する。
値札の無い商品を手に取った客からの声に答えた夜野の値付けを聞きつけ、さらに新しい客を呼び寄せる。
次々と銀貨や銅貨、銭貨に品物が飛び交わされる中、突然降って湧いた騒ぎは邪な考えを持つ者も引き寄せる。
万引きをしようと人波をかき分けてきた浮浪者が、他の客の対処に気を取られていた夜野の目を盗んで干し肉を黙って取って離れようとする。しかし馬車の横で待機していたスレイが浮浪者の服のすそを噛みついた。
「うおっ!?」
「おいこら、ちゃんと金を払ってから持って行ってもらおうか。こちとら慈善事業でやってるわけじゃねーんでね」
思わず声を出してしまった万引き班に鉄拳制裁を加えてから商品を取り戻した夜野が最初に並べた商品が全部無くなった棚に戻ってくると修道服を着た女性が何かが入った袋を持って話しかけてきた。
「お兄さん、これと何かを交換することは出来ますか?」
「ん? ちょいと見せてくれ」
女性の差し出した袋の中から出てきたのは小瓶いっぱいに詰められた果実を煮詰めた物……ジャムだった。
「少なくとも一つはもらうぜ。ちょいと待っててくれ」
夜野は女性を棚の内側に招き入れながら荷台に腕を突っ込む。そこから出てきた腕に握られていたのは木を削って作られた匙だった。
瓶の蓋を開けて匂いを確認した夜野は眉間にしわを寄せながら匙でジャムを掬い、舐めてから品定めをするように顔を伏せた。
心配そうに様子を見る女性に向けて夜野は真顔で口を開いた。
「……ちなみに何が欲しい」
「そうですね、ここにあるものだと干し肉ですか。出来れば子供達のために日持ちする乾パンのような物があったらいいんですけど……」
「そうか」
女性がボソッと呟いた後ろの言葉を残さず聞きつけた夜野は荷台の中に上半身を突っ込む。
夜野の視線が切れたのを見て商品を掻っ払おうとした不届き者がスレイに手を噛まれる中、戻ってきた夜野の手には大きく膨れた布袋が握られていた。
「その中身全部、これと交換でどうだ?」
自分の荷物を見世棚に置いた女性が恐る恐る夜野から受け取った袋を覗いてみると中には大量の乾パンや干し肉、野菜が入っていた。
「こ、こんなに沢山は……」
恐れ多いとばかりに慌てて首を振る女性に夜野は見世棚に置かれた荷物を引ったくりぶっきらぼうに言った。
「オレがこれにそれだけの価値がある、って言ってるんだ。黙って、待っている子供達に持って行ってやれ」
女性は夜野と荷物の中身を繰り返し見てから、拝むように両手を合わせながら頭を下げると大事そうに抱え込みながら店の中から出ていった。
女性の姿が雑踏の中に消えるのを見届けてから夜野は馬車の中に戻る。
荷台の中に広がっている、大量の品物が置かれた空間で木箱の上に頬杖をついて待っていたもう一人の夜野はにやにやと笑みを浮かべながら夜野に話しかけてきた。
「あんな大サービスしちゃってー、本当に大丈夫だったのかしらー?」
「ははは……もちろん赤字だコンチクショー!」
悪態をつきながらもう一人の自分を小突いた夜野は次に並べる予定の商品を持ち上げた。
苦戦
🔵🔴🔴
クリミネル・ルプス
【基本方針】
UC【嗅ぎ分けるモノ】を用いて死臭、オブリビオン、そして血の臭いが色濃くする処を捜す。
・『強盗、山賊紛い』の方法で得られた商品もあると推察されるが、それらには無いモノを選り分けるのは『無念』の想いが集まっているモノを選び出す。
「……どんな状況でも[生きて]いかなアカんからなぁ?」
圧政を強いられ理不尽な暴力に亡くなったモノの想念は、歪み易いコトを知っているから。
【店舗を発見したら】
「へぇ……。エェモノ揃えとるね?コレだけなん?」
良いモノを求めているコトを店主に匂わせ誘ってみる。
【他の猟兵となアドリブ、連携可】
クリミネル・ルプス(人狼のバーバリアン・f02572)は持ち前の嗅覚を駆使し、オブリビオン特有の死臭や血の臭いを頼りに探していた。
もちろん強盗、山賊紛いの方法で得られた商品にもその臭いはある。
しかしオブリビオンにはあってもそれらには無い物を選り分けるアテがクリミネルはあった。
「……どんな状況でも『生きて』いかなアカんからなぁ?」
それは『無念』の想い。
「ようやく捕まえたぞクソガキが!」
「わっ、離せ、離せよ!」
しかしその無念も至る所から漂っていた。
必死にかき集めてきた商品を盗まれた無念、買い叩かれた無念、通りかかる者全員から無視される無念、盗み出すのに失敗した無念、買った物を目の前で引ったくられた無念。
しかしそれらは『まだ』生きている者達から発せられる無念である。
圧政を強いられ理不尽な暴力に亡くなったモノの想念は、歪み易いコトをクリミネルは知っていた。
「へぇ……。エェモノ揃えとるね? コレだけなん?」
他の者達よりも恵まれている品を揃え、安く値付けているにもかかわらず、濃厚な無念を漂わせている者。
そしてその恵まれている品からは同じくらい濃厚な血の臭いが漂っていた。
「ええ、これだけ、ですよ? 何か、別の物を、お求め、ですか?」
品を一通り見渡したクリミネルが人なつこそうな笑みを浮かべて声をかけてみると店主はぎこちない笑顔を見せて応対してきた。
「こう、銃とか弓矢じゃなくて、もっと近接の……剣とか棍棒みたいのは裏にないんか?」
男性の物と言われても遜色ない、鍛え上げられた筋肉を見せつけるような薄着をジロジロと見回した店主は首を傾げた。
「すいません、ねぇ。ウチのところは、こういう、遠くから、チマチマやるのしか、売ってない、ですねぇ」
店主は弓を持つと弦を引っ張り、クリミネルに向かって弾いてみせた。
しかしルウの情報が正しければこの街のどこかに商品を溜め込んでいる倉庫があるはずである。そこに遠距離用の武器だけしかないわけがない。
あくまでもしらばっくれる気か、と苦虫を噛み潰していると店主がわざとらしく両手を叩いた。
「そういえば、知り合いに、そういう、物を、取り扱っている、者がおります……ご紹介、しましょうか?」
「おお、エエな! 教えてくれるんか?」
「ええ。でも、商品を、盗まれたら、堪りませんから、ね。ちょっと、片付け、させて、くださいな……」
どうやらこの店主は位置を教えるだけではなく案内までしようとしているらしい。
余計なお世話を……と思いつつ、どうやって二人に怪しまれないようにしながら別の商品を頼もか……とクリミネルは片付ける様子を見ながらまだ見ぬオブリビオンへのお願いの仕方を考え始めた。
苦戦
🔵🔴🔴
鈴木・志乃
いやきつい正直この手の依頼は苦手だ……
行きますかあ……私の故郷だもの
UCにて現れた仲間全員にインカムを渡し、常に連携を取れるようにする
お金も渡すよ
しらみつぶしに探してください
ここの世界知識なら持ってますから、おかしい基準は一応分かってます
何かあればすぐ連絡を
私も直行しますので
……必要があれば皆さんの演技力でカマかけて下さい
普段から変装してるんだから、売り物が生地ならその材質が粗悪かどうかも見分けがつくでしょう
よろしくお願いしますね
私も第六感をフルに活用して探し回りますよ
耳から聞こえてくる言葉に注意を傾けながらね
『おはようございます!』
黒パーカーを着た集団の前で鈴木・志乃(ブラック・f12101)は腹の中から声を出して号令をかけていた。
「あの人狼が言っていたような輩をしらみつぶしに探してください。ここの世界知識なら持ってますから、おかしい基準は一応分かってます。何かあればすぐ連絡を、私も直行しますので」
志乃は手に持っていたインカムと財布を黒パーカー達に手渡していく。
「もし動きそうだったらブラックが来るまで足止めをかけた方がいいか?」
「……必要があれば皆さんの演技力でカマかけて下さい。でも複数人いるという情報が正しければ無理して止める必要は無いと」
「合点」
ゆっくりと頷いた黒パーカー達が方々に散っていった所で志乃は大きなため息をついた。
「いやきつい正直この手の依頼は苦手だ……。でも、行きますかあ……私の故郷だもの」
天を仰ぎながら自身も探索に加わった志乃は至る所で交わされる商談や怒鳴りあい、呼びかけに耳を傾けていく。
「10番通りに変に空いているスペースがある、か。多分もう動いた後かもしれないね」
インカムから届く速報に答えながら歩いていると、妙な様子の店が目についた。
「ちょっとごめん、これから気になるお店に当たってみる。相手が動くようなら抵抗せずに付いて行って」
その店の主は声掛けをせずに椅子に座り込んでニタニタと笑みを浮かべていた。
「いらっ、しゃい……何を、お求め、ですか……?」
志乃が店の前で足を止めたところでようやく店主が口を開く。
「何、ちょっと気になってね。手に取っても?」
「ええ、そのまま、持ち去りでも、しなければ……」
このような闇市で売買される薬草の束は、目につくところだけ良品でそれ以外は枯れかけだったり小さな葉だったりする。
しかしこの店で取り扱われている薬草は全て立派な物だった。薬草だけではない、その横にある干し肉や毛皮、それ以外の品も、である。
これだけの品ぞろえを用意できるのはヴァンパイアの傘下に落ちた商人か、その商人から盗めた者が出した即席の店ぐらいであろう。
「これは立派だね。どこで採ったんだい?」
「お嬢さん、それは、企業、秘密って、ものですよ……」
その反応は予想通りだった。正規のルートだろうと盗品だろうと斡旋品だろうと、店主は自分のシマを知らない相手に軽々教えるようなことはしない。
「だろうね。……じゃあ、これの在庫ってすぐに用意できるかな?」
であれば、と財布の中身を見せながら次のカマをかけてみると店主は笑みを崩さないまま口を開いた。
「意外とお金持ちですねぇ。……でしたらまだ、この町の倉庫に、明日以降の分が、ございます……。付いてきてくだせぇ……」
店主の反応に志乃は満足そうに頷きながら、店主に気づかれないように口元を隠しながらインカムに話しかけた。
「こちらブラック。釣れたので探索から離脱する、残りの各員は好きにやってくれ」
成功
🔵🔵🔴
メイスン・ドットハック(サポート)
『めんどーじゃけど引き籠る為に』
アメジストのクリスタリアンで、熟練の電脳魔術師
攻撃手段は電脳魔術・もしくは電脳魔術や現代技術を使ったトラップ
電脳魔術はミサイルや機銃、大型兵器も精製可能
トラップは地雷、機雷、ワイヤートラップなど様々
またハッキング技術も長けており、機械コンピュータはもちろん、電脳魔術を応用することにより、空間に直接ハッキングを仕掛け、情報を収集することもできる
正々堂々よりかは、搦手で弱点を的確に攻撃するタイプ
心理誘導をしたり、囮を使ってなどもする
仲間との連携は歓迎
喋り口調は広島弁
「じゃけん→じゃけー」「じゃけえのう→じゃけーのー」と語尾を伸ばすのが特徴的
「はぁぁぁぁぁ……めんどーじゃ……」
多くの猟兵達が現場に出て奔走する中、メイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)はこの街にある宿屋の一室の窓枠に頬杖をついていた。
「なんでこんなじめじめしてるところに歩かないかんのじゃ……僕は僕なりのやり方をさせてもらうじゃけー……」
そう言ったメイスンは外に向かって紫色の何かをばら撒いた。
『電脳AI「パープルミスト」展開、いや散布じゃのー』
ばら撒かれたパープルミストは風の力を借りず、色をだんだんと薄めながら自力で闇市の開かれている町全体に広がっていく。
メイスンは窓を閉めると、使い古されてせんべい上になっているベッドの上に飛び込んだ。
そして自分の周りに大量のモニターを表示させる。そこには闇市で活動する商人や客、猟兵達の姿がしっかりと映し出されていた。
ヘッドホンをつけるとはるか遠くにあるはずの店先で交わされている会話も聞こえてくる。
「さぁ、丸裸になってもらうぞオブリビオンよー」
手元にあるキーボードを操作し、関係なさそうな場所に流れてしまったパープルミストを別の場所に移動させる。
そうして活動範囲を狭めていると客からの質問に答える形で店を閉め始めた者の姿がモニターに映った。
「では、いきましょうか、お客さん……」
録画していた映像を見直すと、この店主が売っていた品は他の店よりも安いことが多かったようだ。
その足取りを追跡していると、店主は人通りの少ない路地裏に客を案内した。
「ここ、ですね……」
「こんな裏路地に商品を置いているのか?」
「ええ、意外と、泥棒が、来ない、良い立地、なんですよ……」
そう言いながら店主は服の中から鍵を出し、扉に雑にかけられていた錠前に突き刺した。
メイソンは問題の建物の中に二人が入る前に窓から潜り込んでいたパープルミストに映像のチャンネルを回す。
するとすでに別の猟兵が潜んでいるのと、中で商品の確認を行っている集団の姿が映った。どうやら自分よりも早くこの場所に行きついた者がいたようだ。
「ここか。……ここの座標はー」
集団の中に知り合いがいたのか、驚きの声を上げる客の声を聴きながら、メイスンは問題の倉庫のある場所をGPSで確認する。
そして手早くまとめ上げた情報を、外で活動している、連絡先を知っている猟兵達に向けて送信した。
成功
🔵🔵🔴
第2章 集団戦
『満たされることは無い飢餓者』
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POW : 分解作業
【手に持った武器】が命中した対象を切断する。
SPD : 捕縛行動
【獲物を押えつける為の死角からの攻撃】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : 共食い
戦闘中に食べた【死体の肉】の量と質に応じて【さらに上質な肉を求め】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
イラスト:森乃ゴリラ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
一人の店主がおもむろに倉庫の扉を閉め、鍵をかける。
「おい、何をやってるんだ?」
客が不審に思って声をかけると、店主は顔に張り付けたような笑みを浮かべながら振り返った。
「何って、代金を、支払っていただけ、のですよ」
「代金? まだ何をどれだけ買うのか決めてないじゃないか」
「いいえ、見物料です」
店主は服の下に隠し持っていた錆びた鉈を表に出した。
「お代は、あなた方の、命です。冥土の、土産に、最期に、良いものが、見れて、満足、でした、でしょう? ちゃんと、払って、いただき、ますよ」
その店主の言葉を引き金に、他の者たちも思い思いの武器を取り出し、木箱の間からも顔が潰れたような醜悪な見た目をした者達が現れる。
オブリビオンの巣にまんまと誘い出された客たちは、丸腰のまま取り囲まれた……かのように見えた。
ルルティア・サーゲイト
「そこまでじゃよ!」
いつの間にか部屋に居た鴉が喋った! 当然、妾である。
「闇に抗う反旗の刃は未だ未熟なれど、ここで立たぬは妾に在らず」
鴉が群れ集い、徐々に人型を成していく(これがやりたかった)
「我が名はルルティア・サーゲイト。通りすがりの……花魁猟兵じゃよ!」
さて、格好つけてみた物の相手が雑魚い。範囲技で一掃するかと思うたが、ここにある物品自体は有用である可能性もある故にあまり荒らしたくない。
「即ち、一体づつ両断すれば良い」
残影舞踏陣にて舞うように跳ね、一振りで一体、二振りで二体と次々に斬り飛ばしていく。
ちなみに、そこに止まっておる鴉が下着部分の鴉である。衣服も鴉化できるでのう。
「そこまでじゃよ!」
突然部屋に女性の声が響く。
鉈を振り上げていたオブリビオンは手を止め、その声がした方を見るがそこにいたのは一羽の鴉だけだった。
「闇に抗う反旗の刃は未だ未熟なれど、ここで立たぬは妾に在らず」
なんだ、人の言葉を真似た鴉か……と視線を逸らすと再び鴉は声をかけてくる。
明らかに普通ではない鴉の様子にオブリビオン達が一斉に視線を向ける中、木箱の間や物陰から大量の鴉が飛び出してくる。
突然大量に現れた鴉達にオブリビオン達がめちゃくちゃに鉈を払う中、それらを全て避けて群れ集った鴉達は床の上で一纏まりになって徐々に人型を成していく。
「我が名はルルティア・サーゲイト。通りすがりの……花魁猟兵じゃよ!」
内心登場が格好良く決まったことに満足しながらルルティアは大鎌を構えながら、素早く辺りを確認する。
この程度の相手は範囲技で一掃するのが最適解ではあるが、猟兵なら軽々避けられる攻撃でもダークセイヴァーの面々が避けられるとは限らない。
さらにここにある物品自体は有用である可能性が高い故にあまり荒らしたくない。
そうなれば取る方法は一つしかなかった。
「即ち、一体づつ両断すれば良い」
ルルティアは不敵な笑みを浮かべつつ、大鎌を振り回すと一息にオブリビオンの間合いに入った。
「え」
ルルティアの姿を注視していたはずだつたオブリビオンは攻撃態勢を取れぬままあっさり距離を詰められ、体を両断させられた。
『踊れ踊れや無数の影と、残影舞踏陣!』
最初に一体をあっさり葬ったことで興が乗ったのか、ルルティアの鎌を振り回す手がどんどん速さを増していく。
一振りで一体、二振りで二体、三振りで三体と次々に斬り飛ばされていく中、骨のある者が死角から雄叫びを上げながら鉈を振りかざして飛びかかってくる。
しかし振り向き様の大鎌によってあっさりと返り討ちになった。
「よ、よし! 俺達も戦うぞ!」
突然巻き起こった嵐のような演舞に見惚れていたダークセイヴァー達が我に返り、完全に絶命したオブリビオンの手から鉈を奪い取る。
その様子を屋根の骨組みに留まっていた二羽の鴉が欠伸をしながら見守っていた。
成功
🔵🔵🔴
尾守・夜野
「…スレイが言ってたのはここか」
人気出たらこの敵に邪魔されっかなーっとやってたが…(俺主観)邪魔一切なかったからな(スレイセコムによって)
敵の位置わからなかったが…
商品出してる間にスレイの方が聞いていたらしい
鍵の閉まった扉を前にダイナミックお邪魔します
敵を巻き込める用に扉は吹っ飛ばそう
猟兵以外もいるかもだからな
出口の安全確保の為、入口付近のを最優先で排除
その上で餓えている…のならば
この頂いたジャムを塗った見るからに美味しそうなパンを囮に(誘き寄せ)入口から離れた所に位置取り
「立ち上がろうとする奴の邪魔はさせねぇよ!」
切りつける際に【生命力吸収(剣が吸血)】することにより体力は維持
佐藤・和鏡子
ユーベルコード(轢殺)を使って店の扉をぶち破ってそのまま全速力で敵めがけて救急車で突っ込み、片っ端から轢きまくります。
『ドライブスルーのお店は初めてなんです』
救急車で開けた出口からダークセイヴァーたちに逃げるよう伝えます。
斬りかかってくる相手は救急車の車体で防いでそのまま撥ね飛ばしたり、轢きます。
脱出の邪魔をされたくないので、スピンターンなどを駆使して派手に暴れる様にします。
横や後ろから来たらバックで轢いたり、スピンターンで弾き飛ばします。
食事してる敵はそのまま撥ね飛ばします。
『後で洗車しないといけませんね』
夜野は正面に建つ大きな倉庫の前に建っていた。
「……スレイが言ってたのはここか」
人気が出ればオブリビオンの妨害が飛んでくると思っていたら、普通に見える客とのやり取りしかなかったため、単純に自分の備蓄を大出血セールするだけに終わってしまったが、夜野が会計や荷物を運び出す時に店番をしていたスレイがしっかりと町行く人々の世間話を聞いていた。
その割には謎の電波を受け取ったかのごとく、的確な情報を提示してきたのだが……そこら辺は深く考えない方が良いだろう。
「さて、いきますか……」
中に突入しようと扉に手をかけるが、案の定鉄の扉は施錠されておりびくともしない。
ならば蹴破ろうと脚を後ろに引くとけたたましいサイレンと拡声器越しの女性の声が響き渡ってきた。
『救急車通過します!!』
夜野が何となく振り返ってみると、ダークセイヴァーには似つかない救急車が全力で迫って来ていた。
とっさに建物の壁に寄り添った夜野の横を救急車は通り過ぎ、扉に激突すると片方の扉を巻き込みながら中へ突き進んでいった。
蝶番が半分壊れ、フラフラしているもう片方の扉を一瞥した夜野は思いっきりそれを蹴飛ばしてからその後に続いた。
「ドライブスルーのお店は初めてなんです。こんな感じでよろしいですか?」
鉄の扉に激突したにも関わらず、一切フロントがひしゃげていない救急車から佐藤・和鏡子(リトルナース・f12005)が顔を出す。
ダークセイヴァーしか知らない者にはちんぷんかんぷんな質問だが、別の世界を知っている猟兵は無言で激しく首を振るか、呆れて目をつぶって項垂れるしかなかった。
「ここは私達に任せて、ダークセイヴァーの皆さんはすぐに脱出してください!」
「い、いや、猟兵の方々に手を貸してもらっては……」
「……厳しい言葉で言わないとダメですか?」
笑顔で話しかけていた和鏡子が真顔になり、声のトーンを落としたことにただならぬ気配を感じた者が、反論する仲間の肩を持ち首を振る。
男は和鏡子と仲間を交互に見ると悔しそうな表情を浮かべながら、開き放しになった外へ足を向けた。
「逃すと、お思い、で……?」
ゆっくりとその退路を塞ごうと動き始めたオブリビオンの喉に白銀に光る切っ先が向けられる。
「立ち上がろうとする奴の邪魔はさせねぇよ」
オブリビオンが下衆な笑みを浮かべて鉈を振り上げたのを見て、夜野は懐から何かを取り出した。
「そんなに飢えてんなら、こいつから食べればどうだ? 急に生肉を食べたら胃がビックリするぞ」
そして野苺のジャムが片面に満遍なく塗られた食パンが上に投じられた瞬間に、タイヤが地面と擦れる音が倉庫に響いた。
「緊急車両が通ります、前方の方は避けないでください!」
ダークセイヴァー達がちゃんと逃げ切れるよう、オブリビオンの注目を集めるためにわざと派手に和鏡子はハンドルを激しく回して救急車を操る。
パンクしていないにも関わらず、凄まじい速さで回りながら倉庫内を蹂躙する救急車を尻目にダークセイヴァー達が慌てて外に出て行く中、夜野は食パンに全く見向きもしようとしないオブリビオンに向けて大剣を振るう。
それを受け止めようとオブリビオンが振るった何もかも分断するはずの鉈の一撃はなぜか当たらず、オブリビオンの体だけが切り裂かれた。
「こんな体になったのに切られるのは嫌、ってか。……贅沢なもんだな」
宙を舞っていた食パンは重力に従って落ち、オブリビオンを轢き飛ばしたばかりの救急車の窓に飛び込む。
反射的にレバーを操作している方と反対の手で食パンを受け止めた和鏡子は小さな口で齧りつく。
「あ、甘くて美味しいですね」
警告音を発しながらゆっくりとバックする救急車に切りかかったオブリビオンが容赦なくはね返され、潰されていく。
早かろうと遅かろうとあの白い物体には太刀打ち出来ないと、生き残ったオブリビオン達は判断し外に逃げ出したダークセイヴァー達に改めて狙いを定める。
しかしその前には大剣を構える夜野が待ち構えていた。
「餓死してるくせにグルメな奴だな。……食べ物を粗末にしたらどうなるか、しっかりと今から教えてやるよ」
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
西院鬼・織久
狩の為に必要とは言え回りくどい事は面倒です
何せ我等は底無し故
獲物を前に狩れぬとあっては餓えてしまう
悉く喰らい尽くさば多少は鎮まるか
【行動】
「戦闘知識」を活かすため五感と「第六感+野生の勘」で周囲を把握し不測の事態にも備える
「先制攻撃+UC」で倉庫の出入り口を破壊し戦闘の邪魔になる客を出す
敵の妨害を「範囲攻撃+なぎ払い+衝撃波」で吹き飛ばし「範囲攻撃+UC」で追撃し「傷口をえぐる」
近くに客がいたら「夜砥+マヒ+毒」で校則。「怪力」で引き寄せ単体なら「串刺し」、複数なら「なぎ払い」で「傷口をえぐる」
敵の攻撃は「見切り」回避か「武器受け」で受け流し、体術も利用した「早業」で「カウンター」
「狩の為に必要とは言え回りくどい事は面倒です」
救急車によって撥ね飛ばされた鉄の扉が激しい音をたてながら地面に落ちたのを見て、吹き飛ばす手間が省けたと思いながら織久は外套をはためかせた。
「何せ我等は底無し故、獲物を前に狩れぬとあっては餓えてしまう。……悉く喰らい尽くさば多少は鎮まるか」
「あんた、戦えるか? 後ろを任せたいんだが……」
「助けなどいらぬ」
西院鬼一門のことを知らないのか、切羽詰まった様子で話しかけてきたダークセイヴァーからの申し出をあっさり断ると超極細の黒い糸でその体を拘束した。
糸に染み込んだ毒で意識を失ったダークセイヴァーを入り口の前で後ろ髪をひかれている様子で倉庫の中を見ている仲間に向かって投げつけるとゆっくりとした足取りで近づいてくるオブリビオンに視線を移した。
「逃がし、ませんよ……お坊ちゃま……」
そう言って手を伸ばしてきたオブリビオンの手を、突然伸びた黒い影が切断する。
『何人たりとも死の影より逃れる事能わず』
直後に放たれた織久の蹴りによって飛ばされたオブリビオンがその先で大爆発を起こす。
そして爆発したオブリビオンには黒い腕のような形をした影によって繋がれた。
「面白い、影を、お持ち、ですね……それを、はがしたら、どんな、お味が」
そんなことを宣いながら鉈を振り上げてきたオブリビオンの懐に素早く入ると、喉輪をかけて持ち上げると心臓目掛けて、地面から赤黒い槍が突き刺さった。
「が、がが……」
振り上げた鉈を力なく下ろしたオブリビオンを投げ捨てていると、派手なドライブテクニックを披露していた救急車がその場で止まり、バックし始めた。
予測不可能な障害物が無くなったのを見て、織久は引きずり放しだった影の腕を掴むとハンマー投げの鉄球のように力任せにその場で振り回し始めた。
救急車が危険だと距離を取っていたオブリビオン達は高速で回される仲間の体や黒い腕から逃げようとしても、そのすぐ後ろにそびえ立つ壁が邪魔をする。
壁を斬れば逃げ道が作れたが、抑えられない食欲によって目の前の猟兵の姿が絶品の食材にしか見えていないかったオブリビオン達はその判断に至ることが出来ず、まとめて薙ぎ払われ、横にある壁に叩きつけられた。
さらに仲間の体ではなく影の腕に激突してしまった者は連鎖的に爆発を起こし、辛うじて織久の攻撃を避けられていた仲間まで巻き込んでさらに被害を加速させていった。
成功
🔵🔵🔴
クリミネル・ルプス
【基本方針】
UC【シュガーフレイム】にて飢餓者のみを狙って延焼させる。
死体喰いでの強化を防ぐ狙い。
他のメンバーの攻撃をサポート、確実にトドメを刺す。
「…………迷って歪んで……ナニしてくれてんや……」
両手脚が獣化、瞳が闇の中金色に輝く。
掌にゆらゆらと甘い香りの炎を灯し攻撃しつつ、飢餓者を燃やして行く。
【グラップル】で捉え、攻撃を喰らっても【耐性系】で耐えながら、確実に『逝かせる』……迷い歪み元々は『ヒト』であった『モノ』を淡々と破壊する。
怒りも悲しみも苦しみも妬みも渇望も……澱んだ瞳に映しながら、燃やし壊す。
次々に肉片と化していく味方の姿に、生き残っていたオブリビオンがつばを飲み込む。
そして近くに猟兵達の攻撃が来てないことを確認すると、おもむろにその肉塊を掴み、自分の口元に持っていった。
くちゃくちゃと生肉を咀嚼する音が攻撃による騒音にかき消される。しかしその姿を見つけてしまった者がいた。
「…………迷って歪んで……ナニしてくれてんや……」
別々のオブリビオンを両の手で掴み、頭を無理矢理激突させることで床に沈めていたクリミネルは次にぶつけようとしていたオブリビオンを手から落とすと、その様を吸い寄せられるように見開いた眼でじっと見つめていた。
オブリビオンは凝視されていることを全く気付かぬまま一心不乱に、仲間だった肉塊に噛り付き、咀嚼し、飲み込む前にまた噛り付く。
その様を眼球の表面全てを使って見ていた赤色の目が細まりながら金色に変色していくと、人の形を保っていた手足がメキメキと音を立てながら黒い剛毛に覆われながら痙攣し始める。
ようやく食事を終えたオブリビオンは鉈を持っている方の手で口元を拭うと、自分にも相手にも何事も起きていないかのように口から静かに息を吐いているクリミネルに平然と話しかけてきた。
「お客、さん、そんな手、では、うちの商品、は扱えません、よ?」
「はなから、使う気は、無かったわ……」
「おやおや、冷やか……」
黒くなった結膜に金色の瞳を爛々と光らせるクリミネルは言葉に怒気をはらみながら一瞬で肉薄し、話が終わる前にオブリビオンの頭を鷲掴みにして持ち上げる。
『燃えとき!!』
頭からメキメキと骨が握り潰される音を立てていたオブリビオンの全身が一気に燃え上がる。強い握力による締め上げと全身を襲う高熱にオブリビオンは絶叫をあげた。
何とか頭を砕く勢いで締め付けてくる拘束から逃れようとめちゃくちゃにオブリビオンは鉈と足を振り回す。
その刃はクリミネルの腕をしっかりと捉えて裂いていくが、どれだけ傷がつけられようと血が流れようと出来たそばから炎にまかれ無理矢理止血される。そして握り締められている手も一切外れる気配がなかった。
倉庫に肉が焼ける嫌な臭いを掻き消すほど甘ったるいカラメルの匂いが漂い始めた頃、終始無言だったクリミネルがおもむろに手を広げた。
その足元には人間の形「だった」物が僅かに燃え続けながら、床の上で山となっていた。
未だに炎を纏い続ける両手を開いたり閉じたりして感覚を確かめたクリミネルは道を踏み外した者が他にいないかどうか、時間をかけて倉庫を見回した。
成功
🔵🔵🔴
星羅・羽織(サポート)
魔術師ローブのヤドリガミ。
何世代にも渡って受け継がれてきたローブがヤドリガミになったもの。
その内には蓄えられた膨大な魔力によって疑似的な宇宙が成っている。
見た目は小学生くらいだけれど、年齢は数百歳。
性格は見た目通り幼めで、寂しがり。
困っている人は放っておけないタイプのため、遠回りなことを言いながらも、積極的に手伝ってくれる。
蓄えられた知識は広く深い。それを活用して必要とあらば助言もする。
喋りはたどたどしい。
戦闘は中遠距離からの宇宙魔法を駆使して行う。
セリフや行動は完全にお任せ!
好きに喋らせたり動かしたりしてください。
「す、すげぇ……」
「さすがは猟兵さんだ……」
半ば追い立てられるように倉庫から出されたダークセイヴァー達は食い入るように倉庫内で交わされる一方的な蹂躙劇を見つめていた。
実際に刃を交わした訳ではないため、あのオブリビオンが特別弱いだけ……と思い込むことは簡単である。
しかしダークセイヴァー達はそれらが単なる見掛け倒しで終わらないことを長年の経験から心の底から理解していた。
その上で、オブリビオンに何一つ自由な行動をさせないことに猟兵達への株価はどんどん上昇していた。
「あの……」
そんな彼らに後ろから声がかけられる。
振り返ってみると紫色のローブを羽織った、頼りなさげな黒髪の少女がダークセイヴァーを見上げていた。
「すいません、ここ、通してもらえますか?」
ダークセイヴァー達の脳裏に、今まさに背中越しに繰り広げられている痩せ細ったオブリビオンが猟兵達によって蹴散らされている様が蘇る。
子供に見せるにはあまりに刺激的すぎるその様を見せてはならない、と判断したダークセイヴァー達はにこやかな笑みを浮かべながら膝に手を当てて少女に話しかける。
「ごめんね、今ちょっと取り込んで……別の所から通ってもらえるかな?」
「大丈夫です、邪魔はしない、です」
「いやいやいや、今ここは本当に危ないから。ちょっと遠くに行っててねー?」
窘められた少女は眉間にしわを寄せ、憮然とした表情を浮かべた。
「もう、いいです、みてて、ください」
「ちょ、ちょっと……!」
そう言ってダークセイヴァーを押し退けて前に出た少女は手帳をパラパラとめくった。
『収束せよ、私の、宇宙<魔力>。敵を、貫き、滅ぼせ』
少女から放たれた無色の魔力の矢は倉庫の空間に浮かばせられたオブリビオンを撃ち抜く。
「あ、あれ……?」
オブリビオンの体が矢が通って穴に吸い込まれ始める。
オブリビオンは慌てて自分の体に空いた見た目は小さな穴を塞ごうと手を当てるが、その手ごと穴は理不尽に吸い込んでいく。
骨が折れる音と悲鳴を上げながら体を変な形に折り曲げて空中で姿を消していった。
凄まじい攻撃をやってのけた少女、星羅・羽織(星空に願いを・f00376)は余裕綽々な様子で、首だけ動かして後ろで口を開けているダークセイヴァー達に声をかけた。
「ね? 邪魔はしない、って、言った、でしょう?」
成功
🔵🔵🔴
リズ・ルシーズ(サポート)
生体ベースのサイボーグ、何らかの理由で生命維持モード(Re-A=リア)として活動中、普段の活発さはなくミステリアスな雰囲気。生命維持を最優先、リスクを避けるとともに敵対する存在に対して容赦はしない。白い外部装甲
『私はリア、この身体に敵対するものに容赦はしません』
『『解析・検証・再定義』データの取得に使わせていただきます』
『私はリズ程は甘くはありませんよ?』
21歳 女
口調:おしとやか(私、貴方(貴女)、~さん、ですね、です、ですか、でしょうか?)
武器:電磁ランスと疑似刻印による光属性攻撃のレーザー
補助装備:ナノワイヤー(トラップ・移動用)、重力制御装置
探索時:R-Seriesでの人海戦術など
「ああ、ああ、お客様、困ります、大人しく、食べられて、ください」
オブリビオンがうめくのを見たリズ・ルシーズ(Re-Z・f11009)は目を細め、ため息をついた。
「これは、酷いわね。リズが見てなくて本当に良かったわ」
普段の活発さは鳴りを潜め、大人びた口調で嘆きながらも、もはや自分の欲を隠そうとしなくなったオブリビオンに巨大化させつつ鋭くもさせた自分の黒い爪を向けた。
「私はリア、この身体に敵対するものに容赦はしません。……私はリズ程は甘くはありませんよ?」
後ろから飛びかかってきた別のオブリビオンを全く見ず、胴体を掴んで受け止めたリアは目を光らせて呟いた。
『「接続、解析、再構築」全てのものは在るべき形に』
掴まれたオブリビオンの体が一気に腐り出し、至るところから骨が露わになる。
声帯を失い、口を開け閉めするだけになった頭部も骸骨だけとなってリアの手からこぼれ落ちた。
「お代、食べ物、金、肉、なく、ご飯!」
斬りかかっても相手にならないことに対する絶望とオブリビオンとなったことで渦巻く欲望が脳内で鬩ぎ合っているのか、オブリビオンはその場でただ鉈を振り回して生前に欲しかった物を叫ぶ。
そんな哀れな存在となったオブリビオンにとどめを刺すべくリアは自分と同じほどの長さがあるレーザー銃を構えた。
「貴方達が不幸な死に方をしたのは分かってる。……だけど、だからといって他人を巻き込んでいいわけじゃないのよ」
金属で出来た黒い鎧を貫通して浮かび上がった刻印からレーザー銃に向けてエネルギーが送り込まれ、銃口の奥で光が充填されていく。
「死者は死者らしく、地面の中で眠っていなさい」
そうして放たれたレーザーは最後に残ったオブリビオンを飲み込みながら倉庫の壁を突き抜け、外に光の筋を描いた。
「……ちょっとやり過ぎてしまったかしら」
曇り空が直接見えるようになってしまった倉庫の壁にリアは手を添える。
すると転がっている破片はそのままに木やレンガが再生して穴が塞がっていき、同時に先程蹴り壊された鉄扉も元通りになっていた。
その鉄扉がゆっくりと開き、隙間から恐る恐るダークセイヴァー達が覗いてくる。
そして攻撃の手を止めて思い思いの行動をしている猟兵達の姿を見て、ダークセイヴァー達は鉄扉を完全に開けて歓声を上げた。
成功
🔵🔵🔴
第3章 日常
『生き続けるために』
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POW : 拠点近くにある木々や石材を片っ端から確保する。
SPD : 食糧や水など、生存に必要不可欠な物資を片っ端から確保する。
WIZ : ユーベルコードや知識によって効率的に資材や物資を確保する。
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
倉庫の中を見聞した結果、そこには大量の高品質な物資が保管されていた。
それがどのような手で集められたのかは予想こそつけども、物から発せられる気配や臭いだけではそれが該当するかどうかまでは分からなかった。
しかし誰の物か分からないから、と言って倉庫の隅で眠らせていては本来の持ち主も浮かばれないだろう……と結論づけたダークセイヴァー達は地元の住民や行商人達を倉庫に呼び寄せ、欲しがらずに残った薬や武器などの品々を自身のアジトへと運び込むことにした。
西院鬼・織久
市の様子を見る限り、下手をすれば物資の奪い合いになりますね
ダークセイヴァーとやらはどう処理するでしょうか
周りの人間に甘さと慈悲を見せるだけでは食い物にされかねません
上手く対処できればよし
出来ずとも経験は積めるでしょう
【行動】
ダークセイヴァーを直接手伝う事はしない。念の為市に危険なものが残っていないか五感と「第六感+野生の勘」で確かめて回る
明らかに略奪を狙う者がいれば「呪詛+殺気」を込めた「グラップル」で物理的に考えを改めてもらう
すでに実行した者は「UC+スナイパー」を近くに当てて牽制。「影面」で拘束して強めの説得で反省を促し、詫びとして作業を手伝ってもらう
織久は人の列から離れて、ダークセイヴァーの活動をじっと黙って眺めていた。
「はい、抜け駆けはダメですよー。ちゃんと並んでー」
「干し肉あと何個あるー?」
「まだ50はあるぞー」
「ほい、薬草10枚追加だ!」
ダークセイヴァー達は荷物を解体する班、客を整頓する班、客の希望を聞く班、それに応じて金銭や物品を商品を交換する班に分かれて活動をしていた。
元々そのような仕事をしていたのかと思うくらい、どこか手慣れた様子さえ感じられる無駄のない動きに織久は何も言わずにその場を離れた。
こういった闇市はどれだけ代償が重くてもその物が欲しい者が集まる場所である。
下手をすれば物資の奪い合いになりがちだが、少なくともこの場にいるダークセイヴァー達にはそれを許さない気概を感じ取れた。
「だが、甘い」
織久は別の裏路地に足を向ける。そこには大の男3人に囲まれた兄妹と見られる子供2人が壁を背にして蹲っていた。
「なぁ、ちゃんと金はやるってんだろ? 大人しくそれを渡せや」
「嫌です! これは、お母さんの病気を治すために……!」
その胸にはダークセイヴァー達が売っていた薬瓶が大事そうに抱え込まれていた。
「つべこべ言わずに渡せって言ったんだろうが!」
大人のうちの1人が放った拳が少年の頬に入る。少年が薬瓶を庇いながら地面を転がる姿を見て悲鳴をあげた少女の肩を男が掴んだ。
「おい、下手したら割れちまうようなことすんなよ」
「そうだぞ、そんなことよりもっと簡単な脅し方があるだろう?」
男のうちの1人が下衆な笑い声をあげながら自分のズボンを締めるベルトを緩める。それを見て、何かを察した兄妹は顔を青ざめさせた。
「や、やめて……」
「やめろ……マルシャは、関係……」
「お前が悪いんだぞー、お前が大人しく渡さないから妹ちゃんが酷い目に遭うんだ」 そして拘束が緩んだズボンを下ろそうとした瞬間にその首を後ろから織久が握りしめた。
「だ、誰だお前!」
下着姿で泡を吹きながら失神した男を雑に投げ捨てた織久は残りの2人に視線を移して呟いた。
「お前ら如きに名乗る名は無い」
「んだと!」
分かりやすい挑発に乗った男の拳をいなし、逆に膝蹴りをガラ空きとなった腹部に叩き込む。
仲間が立て続けに2人倒されたのを見て、残りの1人が情けない声をあげながら逃げようとするが、日がささないこの世界には影はいくらでもあった。
『何人たりとも死の影より逃れる事能わず』
男の近くで小さな爆発が起き、その衝撃で転がされる。そして立ち上がろうとした時には黒い腕でしっかりと拘束されていた。
「お兄ちゃん……!」
泣きながら駆け寄ってきた少女の頭を撫でながら少年は織久に話しかけてきた。
「ありがとう、ございました……」
「…… 周りの人間に甘さと慈悲を見せるだけでは食い物にされる。声をかけられても押し通す力を得ろ。そうすれば、大事な物も守れる」
ぶっきらぼうに言った織久に少年は少女に目を移してから頭を下げる。
それに釣られて少女も頭を下げ、そそくさと路地の奥に消えていった。
その姿が見えなくなった所で織久は地面に拘束された男に視線を移した。
視線を移されただけで悲鳴をあげた男の横に残りの2人の体を転がすと思いっ切り衝撃を加えて意識を取り戻させた。
「さて、次はお前達と話す番だ。我等は弱い者を食い物にする者に容赦はしない主義でな」
衝撃を与えるついでに影の腕で拘束した3人を前に織久は目を細めた。
成功
🔵🔵🔴
ルルティア・サーゲイト
ふむ、持たざる者への施しは確かに良い事ではある。しかし、与えるばかりでは豊にはなれん。特に、為すべき大義があれば猶更である。
なれば力づくで奪うか。無論、それも違う。真に豊かであるという事は流通がある、相互に財のやり取りがある事が肝要である。
「貰う事は悪い事ではない。対価を支払うのであればのう」
金品ばかりが財ではない。ちょっとした労働力も財である。つまり、
「何か簡単なお手伝いでも頼むと良かろう。片付けとか、掃除とか、要望のリストアップでも良い」
そうした交流を深める事で組織の地盤は少しづつ固まって行くのじゃ。
「ま、荒事はまた猟兵を頼れば良い。出来る事やる、これが肝要じゃ」
持たざる者への施しは確かに良い事ではある。
しかし、与えるばかりでは豊かにはなれない。特に、為すべき大義があれば猶更である。
なれば力づくで奪うか。無論、それも違う。
では、「豊か」とは何を指して言うか。
「貰う事は悪い事ではない。対価を支払うのであればのう」
ルルティアは大欠伸を浮かべながらダークセイヴァー達と呼び込まれた客の様子を眺めていた。
「これだと……いいとこ1袋と薬草1束かなぁ……」
「そんなこと言わないでくださいよ旦那。こんなに質のいい肥料は中々巡り合えませんで」
「うーん……でも肥料には余裕があるからなぁ」
真に豊かであるという事は流通がある事、互いに財のやり取りがある事が肝要である。
そんな中、前にいた客が同じ商品でも自分達よりも質が良かったり量が多かったりして、かつ苦戦しているのを見て不安そうに顔を見合わせたり、列から離れようか周囲を見回したり、偶然近くに来たダークセイヴァーに事前交渉が出来ないかどうか話しかける者までいた。
すると別の仕事をしているはずだった者が物理的に足を止められたり、生じた隙間に横入りしようとする別の客を止めに入るために持ち場を離れたり、とダークセイヴァー側の足並みも段々合わなくなってきた。
若干慌ただしくなってきた様子を感じ取ったルルティアは動き出すと、ダークセイヴァーと事前交渉している客の近くに来たところでわざと大声を上げた。
「何か簡単なお手伝いでも頼むと良かろう。片付けとか、掃除とか、要望のリストアップでも良い。それで値引きとかオマケは出来るか?」
「は、はい!」
「そうか、なら何が足りないのか簡単に書いとくれ。報酬も併せてな。ああ、あと交換の目安も」
一旦取引を止めさせ、ルルティアはダークセイヴァー達に現状足りない人の配置とそれをやったことに対する報酬などを何枚も木の板に書かせ、それを要所要所に立てかけた。
欲しい商品と手持ちの足りない分を埋めるために臨時の依頼を受注したい者は受付の場所で申告、新設した受付で指示を仰ぐようにしたことで人の流れは少しだけ良化した。
「すいません、ありがとうございました」
頭を下げるダークセイヴァーの1人に向けてルルティアは木箱に腰掛けながら右手を振った。
「ま、荒事はまた猟兵を頼れば良い。今出来る事をやる、これが肝要じゃ」
今はまだこの場での物々交換だけかもしれない。
だがこうした交流を深める事で組織の地盤は少しづつ固まって行く。
そして支援の輪を広げていけばいずれは……と輝かしい未来図を描くのはまだ時期尚早ではあろう。
今はただ、明日への希望を見出せた者達の安堵と喜びの表情を見ることが出来た。
それだけを享受すればいいのである。
大成功
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