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月が綺麗ですね、と君は

#UDCアース #呪詛型UDC

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●噂
「ねえ、この前新しく出来たMRシアター知ってる?」
「知ってる知ってる!明美が行ったってこの前話してた!」
「マジ?どうだったって?」
「もうめーっちゃ良かったって言ってたよ!風流で良かったって!」
「そうなんだー!私もめっちゃ気になってたんだよねー」
「デートで行ったらしいんだけど、本当綺麗でめっちゃ泣いたってさ」
「デートで泣いちゃう程なの?つか、そういうタイプだっけ?」
「なんかこー…心に訴えかける?みたいな?」
「宗教かよ!あー、でも一回行ってみたいなーVR体験」
「凄いよね、もう曇り空でもこれからはお月見出来ちゃうんだよ」
「未来やばいわー、私も彼連れて行ってこようかなー」
「うわデート宣言うざ、リア充爆発しろ」
「はいはい。でもさー、明美最近変じゃね?」
「あー、なんとなく分かる。めっちゃ食うしめっちゃうるさいよね」
「今まで猫被ってたのかなーとか思っちゃうようなね」
「あれじゃない?お月見で彼氏とラブラブで、テンション上がってる的な」
「うわー、だとしたら嫌いだなー」
「でもでも、そんななるくらいなら一回行ってみようよ」
「いや、私は彼氏と行くから」
「リア充爆発しろ」

●人の月みて、兎が跳ねる
「お月様はね、とっても不思議な力を持っているのよ」
 パナシェ・エルレンタリードは、猟兵を呼び集めると語りだす。
 UDCアースで起きている怪事件。
 曰く、人を阿呆にする事件。
「『MRお月見祭り』というイベントが、邪神復活の生贄の箱みたいなの」
 MR、複合現実と呼ばれるそのシステムは仮想世界を現実世界へ映し出す。
 科学の力の生んだ魔法の顕現と言っても過言はない。
 仮想の名月の夜を常に投影し、時を選ばずお月見が出来るのだという。
 今、UDCアースでは口コミも伴いブームの火が付き始めている。
 しかしそれらは全て、オブリビオンの罠。
 月本来の神秘性を利用し、人の心の理性の箍を緩やかに外していく。
 人は本能のままに生きれば、社会が成り立たない。
 その時に生まれる混沌を望み、人々を陥れんと暗躍をしている輩がいるらしい。
「思ったこと、好きなことをやることは、良いことよ」
 でもね、とパナシェは声を静める。
「欲張りさんは、コツンと痛い目に遭ってしまうのよ」
 コツン、と小さな拳で己の頭を打つ。

「オブリビオンはこのMRシアターの建物自体に巣食っているわ」
 トン、とグリモアを遊ばせると映し出されるのは小さなビル。
 そこで行われている理性崩壊の儀式、『MRお月見祭り』を止める事が今回の使命。
 感動という感情を引き金に崩壊する理性など、あってはならない。
 一般客として入り込み、秘密裏にMRの設備を破壊して欲しいとパナシェは語る。
「そうすれば、怒った兎さん達がピョンピョンと出てきてくれるのよ」
 ピョンピョンと、両手を頭にやり耳のように動かしてみせる。
 にこりと微笑むと手を下ろし、猟兵達へ拳を突き出す。
「猟兵、パナシェの今回のお願いは三つよ」
 一つは、MR設備の完全破壊。
 一つは、それらを仕組んだオブリビオンの討伐。
 二本の指を立て、パナシェは一拍おいてもう一度、微笑む。
「折角の機会ですもの。戦うばかりじゃ、あまりに寂しいわ」
 再び微笑を浮かべ、三本めの指を立てる。
 最後の一つは、仮想とはいえお月見を楽しんでくること。
「大切な人と、友達と、あるいは貴方の心の貴方自身と、見に行ってみて」
 きっと楽しい思い出になるはずよ、と。
 翼の少女は笑顔のままで、猟兵達をUDCアースへと送るのであった。


長井休
 長井休です。

 今回はUDCアースでお月見と、感動の涙を利用せんとするオブリビオンの討伐です。

 第一章は、猟兵の皆様の束の間の休息です。
 一般人も大勢中で楽しんではおりますが、猟兵の皆様にはより楽しんでいただければと思います。
 基本的に、第一章はペア以上の連携を前提としています。
『MRお月見祭り』会場は、屋台や露店のようなものも沢山出ています。
 ソロ希望の場合は、お手数ですがプレイング内に「×」の記載をお願いします。
 仲間とワイワイでも、大切な人との休息でも、お好きに楽しんで下さい。

 第二章は、ビル内部の設備の破壊工作です。
 ここで設備を全て破壊しなければ、戦闘時にはデメリットが付いてきます。
 警備に関しては厳重とまではいえないレベルです。
 猟兵ならば容易く突破し無血にて任務を遂行できるでしょう。

 第三章は、集団戦です。
 『MRお月見祭り』を企画・運営していた欲望教のウサギ達が相手です。

 回路の生んだ中秋の名月を、どうかお楽しみください。
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第1章 日常 『涙を流す日』

POW   :    響く音に感動して涙を流す、過去を悼んで涙を流す

SPD   :    流れる映像に揺さぶられて涙を流す、過去を懐かしんで涙を流す

WIZ   :    語られる話に共感して涙を流す、過去を思い出して涙を流す

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●都会の中心で月を想う
UDCアース、日本、都市内某所。
老若男女の差別なく、大勢の人々が一つのビルへと足を運ぶ。
『MRお月見祭り』は、体験型のテーマパークだ。
ビルの中には、テクノロジーの粋を極めた全館投影型のMRシステム「中秋の名月の景」により、屋内にいながらもリアルなお月見が楽しめる。
すすき野が風に靡き、鈴虫の声が月を追う。
屋内とは思えないリアリティが評判で、若い世代を中心にブームが始まっている。
また、屋内にはお祭りを模した露店も立ち並び、本当に秋のお祭りを楽しめるという気の入れようだ。
ふらりと遊びに来て楽しめるよう、浴衣の衣装の貸し出しも行なっている。
その裏に悪意があると分かっていても、一先ずは。
この科学の風趣に浸るのも、一興だろう。
戎崎・蒼(サポート)
『僕等は何かから虐げられ、それを忌み嫌った』
人間の戦場傭兵 × 咎人殺し
年齢 28歳 男
外見 159.7cm 黒い瞳 漆黒の髪 色白の肌
特徴 短髪 年下に見られる ストイック 好敵手を求める 実は夜が好き
口調 親しい人に対する時(僕、君、呼び捨て、だね、だよ、~かい?)
仲間には 通常時(僕、君、呼び捨て、だ、だね、だろう、だよね?)




●月を射抜く黒
 湿気を少し感じる程度の気温。涼やかな夜風。鈴虫の輪唱。
 そしてすすき野を照らす真ん丸の月が遠くに見える。
 今ここが、都会の中心に位置することを忘れそうな、そんな光景。
 MRという最新鋭の技術に加え、五感に訴える演出が現実感をより強固にする。
「(見事なものだね)」
 偽りの月夜を歩く少年のようにも見える猟兵は、夜の風情に笑みを浮かべる。
 夜に映える真白の肌に、短い黒髪が揺れて。
 戎崎・蒼(暗愚の戦場兵器・f04968)は一人思う。
 ビルに入るまで、太陽は天高くその威光を大地に放っていた。
 だというのに、中に入れば夜の帳が降りているとは、体験しても信じ難い。
 科学とは、得難い物に手を伸ばす知識の結晶。
 夜を愛する蒼が見ても、よく出来たものだと感心するに値した。
 くしゃり、くしゃりと草を踏み歩く足の感触を楽しみ、周囲を観察する。
 老若男女問わずそれなりの人が夜を楽しみ、月を愛でている。
「――あれか」
 おもむろに月を見上げれば、不自然なほどに自然な月が輝く。
 あの月が今回のオブリビオンの罠。人の思考を鈍らせる兵器。
 傭兵として、戦場を渡り歩いた蒼にとっては、ひどく手間のかかる方法に思えた。
 効率の観点から見ても、精度の観点から見ても、最善とは言い難い。
 しかし、オブリビオンの考える事に思いを馳せても、答えは得難い。
 分かる事は、あれが、破壊すべき対象だということ。
 それに。
「人は縛られてこそ人たりえる、てね」
 人の理性の箍を外すその月光は、人を人では無くしてしまう。
 規則規律を重んじる真面目な蒼であればこそ、強く思う。
 これからここで行われる悪行は、放置できないと。
 皆が見上げるその月を、夜の闇より深い双眸が、誰よりも強く射抜いていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

カシム・ディーン(サポート)
口調
基本丁寧なですます唇を

一人称

二人称
呼び捨て、君、あなた、お前(敵には


女好きの盗賊少年だが
サポート参加の場合では基本戦闘やそれ以外の補助をメインとした立ち回りに従事する

本当はもう少し楽しい事をしたいんですけどね

【情報収集】
戦う場所や敵について
その他有用な情報を集め仲間に伝え

戦闘
【属性攻撃】で風を全身に纏いスピード強化
基本攻撃は【盗み攻撃】で敵の武装の強奪による戦力低下を狙う
敵集団には一度【溜め攻撃】で魔力を収束させウィザードミサイル

単体相手にはシーブズギャンビットで服を脱ぎつつ猛攻を仕掛ける

一人で行動はせずにメイン参加者と息を合わせて攻撃を行う

今日の僕は盗賊として少し頑張ってみるとしますよ



●あの月が憎い
 施設内に広がる月見の夜、多くの人がその景色を楽しむ。
 夫婦や家族連れ、カップルなどがその大半を占めていた。
 とはいえ、一人で月夜を楽しむ者の数も決して少なくはなかった。
 そんな一人歩きの女性に、一人一人丁寧に、声をかけて回る少年が一人。
「話聞かせてくれてありがとうございました」
 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は女性に礼を伝えると、近場にあったベンチへと腰をかける。次いで、ふぅっと溜め息を一つ零す。
 彼は『MRお月見祭り』に到着するなり、その施設の情報を収集していた。
 盗賊を生業としていたカシムにとって、事前に情報を得る事は当然の事だ。
 ナンパをしていたのではない。決して下心はそこにはない。
 いや、できれば楽しい事もしたい気持ちはなくもない。
 いや、それどころか戦闘の前に楽しめる事があればそれは嬉しい。
 いや、むしろそうなって必然なのではないか?
「でもまぁ、そう上手くはいきませんよねぇ」
 はぁ、と今度は深い溜め息を吐き出す。
 むしろそれが目的であった事もあるので、下心ではなく純粋な目標だった。
 しかし現実は厳しい。というよりも、口説きようもない状態だった。
 月を見上げる者は皆一様に、会話が成立しなかった。
 正確に言えば成立はするが、意思の疎通が出来なかったのだ。
「お姉さん、かわいいですね」
「ありがとう、月が綺麗ね」
「お姉さん、今お暇ですか?」
「ごめんなさい、月を見てるから」
 と、こんな具合でにべもなく、カシムのかけた言葉は柳に風と流された。
 会話とは、思考と思考の共有。やりとりに生まれる空気の駆け引きである。
 思考力を奪うあの月光の影響力は、思いの他強いものだった。
「くそ!忌々しいなぁ!あの月!」
 ナンパが不発に終わった怒りを篭めて、電子の月に吼える。
 雲一つなく己を真っ直ぐに照らす月はその様すら嘲笑ってるように思えて。
「仕方ない…欲望教の兎さんの方に期待しましょうか」
 咆哮一つで意識を切り替え、カシムはパンと膝を叩いて立ち上がる。
 欲望教にも負けぬ欲望を抱き、少年は月夜の奥へと駆け出した。

成功 🔵​🔵​🔴​

御堂・新左衛門助
(月を見ながら物思いに耽る)

ふん、月を見せて理性崩壊とは、随分とまどろっこしい世界征服だな。
私がその気になれば、こんな世界など一瞬で潰せるというのに…

そう、私は本来世界征服の為に作られた。
だが一個の電子生命体として具現化する為のイメージ像に、とあるクソガキの考えたヒーローのデザインを与えちまったから…
お陰で色々あって、救いのヒーローなんて面倒臭い生き方を選んじまった。
そのままウィルスとして生きてりゃ、何も考えず気楽に過ごせたというのに…

あのガキも今頃、こうして月でも見てるんだろうか。
ある意味、私に今の生き方を選ばせた全ての元凶。
ま、せいぜい元気でやってくれてりゃ、それに越したことはないがな。



●君へ
「ふん、月を見せて理性崩壊とは、随分とまどろっこしい世界征服だな」
 現実と見紛う月夜の野に立ち、月を見上げて鼻を鳴らす。
 御堂・新左衛門助(救いのヒーローを目指す者・f16784)は、呆れ気味に言葉を紡ぐ。
「私が本気になれば、こんな世界など一瞬で潰せるというのに…」
 その口から漏れ出る不満は剣呑なものであった。
 しかしそれは、事実、新左衛門助には可能な事でもあった。
 正義のヒーローという言葉が形を取れば、彼のような姿になるだろう。
 だが新左衛門助という存在は、元々世界を征服せんとする為に産み出された。
 秘密組織のコンピューターウィルスの集合体。それが元々の彼の自我だった。
 人々を、世界を我が物にせんとする為の兵器。
 今ここにあるMRの月夜と同じく、人の世を乱すもの。その筈だった。
「全く、あのクソガキさえいなければ…」
 幾度となく思い出す、己の存在理由を変えられたあの日。
 それは偶発的なものだったのかもしれない。
 電子の悪魔として、思考もせず、プログラムを走れば良いだけの存在だった自分。
 その在り方を変えた、一人の幼い少年。
 自分のアバターモデルとして描かれたその姿は、自己と相反する存在。
 『ヒーロー』
 バグのように新左衛門助の中で芽生え広がる思念。あるいは、コード。
 『人を助け、弱きを守る、救いの手』
 自己矛盾を抱え煩悶した日々は、いまだ思い出せばノイズのように息苦しくなる。
 コンピューターウィルスとしての矜持。ヒーローとしての矜持。
 じくじくと、胸を針で刺すような思い出を巡らせていると、風が頬を撫でた。
 周囲を見渡す。誰もが平和そうに、作り物の景色の中、能天気に夜空を見上げている。
 その姿を見ると、言語化するに難しい、柔らかな気持ちで満たされる。
「…ウィルスとして生きてりゃ、何も考えずに過ごせたというのに」
 人々。笑顔。平和。
 ヒーローが守るべきものを見て、安らぐ自身を自嘲する。
 正義のためと生きていく事を決めたあの日から、このバグは消えない。
 今一度、真ん丸の月を見上げる。
 電子生命体の新左衛門助だからこそ見える。
 人々が美しいと見上げるあの月の正体。
 0と1とで紡がれる、電子の夜景。偽りの月。
 それを暢気に見上げる連中は、私から見れば阿呆そのものだ。そのものだが。
「(だからこそ、救わねばならないな)」
 それはヒーローとしての矜持。新左衛門助の得た強さ。
「(あのガキも今頃こうして月でも見てるんだろうか)」
 私の在り方を変えた、忌々しく苦々しい、恩人にして元凶。
 今どうしてるかもしらないがと、なんとなしに月に向かって手を伸ばす。
 届くわけはないし、届かせようとも思っていない。
 それはまるで、あのクソガキに抱いている気持ちにも似ていて。
「ま、せいぜい元気でやってくれてりゃあ、それに越した事はないがな」
 誰に聞かせるでもなく、一人呟く。
 もう会うことはないかもしれないが、そうであって欲しいと思い。
 届かぬ月を握り締め、一歩。
 偽りの月夜を歩く新左衛門助の姿は、『ヒーロー』そのものだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『幽霊会社の怪』

POW   :    正面のエントランスから堂々と潜入だ

SPD   :    非常階段やダクトの中から侵入だ

WIZ   :    バレないように身分を偽装して潜入だ

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ※

 誠に勝手ながら、プレイングは第2章OP公表の後にお願いします。

 ※
●月夜の裏側を破壊せよ
 人々が複合現実の名月を楽しむ、その裏側。
 欲望教のウサギたちは、上に下にと駆け回る。
 現実感を突き詰めた今回の計画は、屋内に屋外を再現するという性質上、二重三重に手間暇をかけた管理が行われている。
 実の所、月光の光線のみを当てるのが目的なのでそこまで頑張る必要はないのだけれど。
「折角ならお月見はしたいじゃない!」
 という、鶴ならぬウサギの一声でこの形に落ち着いた。
 欲望教は、やりたい事を我慢などしないのだ。
 そういう訳で。
 管理業務に追われるウサギ達は、セキュリティまで頭は全く回っていない。最低限、一般人の誤っての侵入にのみ警戒している程度でしかない。
 猟兵ならば裏方に侵入する事は容易いだろう。
 偽りの月が放つ計画を、月夜と共に打ち砕け。
ソラスティベル・グラスラン(サポート)
物語の英雄、『勇者』に憧れる竜族の少女
故郷では、彼らの部族は皆が一様に橙の髪をしており、
祖たる黄昏竜の血を引く一族と伝わる

溢れんばかりの好奇心と正義感
そして消えることのない【勇気】の炎を胸に、あらゆる困難に立ち向かう
考えるのが苦手で、とる手段は大体が【勇者理論】による力尽く
勇気で打ち倒し、気合で民を守り、根性で強敵にくらいつく

彼女の心にあるのは、
民を脅かす巨悪を打ち倒したい
世界の全てを冒険し、己の目で確かめたい
伝説の武具やアイテムを手にしたい
などなど、ただ只管に『勇者』への憧れを元に生まれる願いである

趣味は読書(英雄譚や冒険譚を好む)と食べること
主な活動世界はA&Wとアルダワ迷宮
弱点はおばけ


ウォーヘッド・ラムダ(サポート)
一人称、二人称、性格等はプロフィールを参照。

■戦闘行動
敵への接近、または敵からの攻撃回避は装備『フライトブースター』『ダッシュブースター』を使用しての回避行動。
防御に関しては装備『アサルトヴェール』>『重厚シールド』>『超重装甲』の優先順位での防御行動。
攻撃に関しては『ASMー7』『LLS-3』をメインにしつつ、他装備も使用。

強襲用ってことで自分への多少の被害が承知済み。

他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動は無し。
また、"本目的に関係ない"NPC民間人への攻撃行動は無し。(やむを得ない牽制・威嚇射撃は有り)
あとはおまかせです。
アドリブ歓迎


仇死原・アンナ(サポート)
捜索・探索時はぼんやりしながらも真面目に仕事をしますが敵の出現や危険が迫るとシャキっとして処刑人になります。同行者とは出来る限り協力をします。一般人や病人や子供にはぼんやりながらも優しく接する姿勢ですが悪党には容赦なく処刑人として対応します。



●down go down
「警戒率0%、つまり潜入完了だ」
 偽りの月夜の舞台裏。外部へと繋がる換気口から侵入し、地下へ地下へと伸びる螺旋階段に辿りついたのはウォーヘッド・ラムダ(強襲用試作実験機・f18372)だ。
 一棟のビルディングを賄う電力は、当然のことだが通常の電力会社から供給される事は出来ない。それ故ウサギ達は巨大な発電施設をビル内部に持ち、その発電機の放つ膨大な熱を吐き出すために巨大な換気口を用意していた事は、ウォーマシン特有の巨体を有するウォーヘッドにとっては好都合であった。
「ブースト展開」
 そう呟くと、踵部が一部変形し小型のバーニアとなる。
 シュコン、シュコン、と慣らすようにジェットを噴出した後に2mを越えるウォーヘッドの巨体がゆっくりと浮き上がる。浮遊状態の動作を確認してから、螺旋階段の中央、地の底へと続くような大穴へと身を躍らせその底の闇を臨む。
「バーニア異常なし、これより低速での降下を開始する」
 呟いて、緩やかに降下を始めていく。
 広い空洞であるが故の音響にも気を配り、極めて慎重に降下するウォーヘッド。薄暗い螺旋階段の周囲を見遣れば、慌しく走り回るウサギ達がちらほらと見える。
「ちょっと!屋台のタネがそろそろ切れそうなんだけど!?」
「そんなことより光線の出力が安定してないわよ!」
 走り回り、喧騒と言って示唆ない大声をかけあうウサギ達にはジェット噴射の音も耳に届いていないのか。
「警戒率、改めて0%…やりやすくはあるが肩透かしでもある」
 それにしても、と。キュイィと視覚を窄めて見れば、走り回るウサギ達は見事な銀髪と女性らしい体つきの者ばかり。美しい者には蛇足になるかもしれないが、白いウサギの長い耳も、ある種のフェティシズムを感じさせる。
「眼福率80%、本機に獣耳萌え属性があればオーバーフローしていたな」
 なんて暢気な事も考えながら、ウォーヘッドは地下へ地下へと降りていくのであった。

●下へ、只、下へ
「お疲れ様です!」
「はい!お疲れ様!」
 元気な挨拶に、顔を合わせずウサギは走る。何しろ彼女は忙しい。欲望教は欲望に従う為、働く事が楽しい奴ら以外はすぐサボる。だから彼女はいつまで経っても忙しい。
 駆け足に去っていくウサギに手を振り見送るのは笑顔の少女、ソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)。その少女の横で、呆けているのか興味が無いのか、光の薄い眼差しを送るのは仇死原・アンナ(炎獄の執行人・f09978)だ。
「皆さんお忙しそうですね!」
「そうね…いや、そうかもしれないけれど」
 いくらなんでも警備がザル過ぎやしないだろうか、と言いかけてアンナは口を噤む。
 なにもないならそれでいい。余計な事を言ってしまって何かがあったら、それはそれでめんどくさいことになりそうだ。
「まぁ、何も無いに越した事はないわ」
 ふぅ、と呆れを匂わせる溜め息を一つ。
「はい!じゃんじゃん気合で下に行きましょう!」
 対して、ソラスティベルは太陽のような笑顔に自信が香る言葉で返す。
 陰の気と陽の気の両極端な二人組に見えるが、意外にも二人は歯車が噛み合った。
 アンナが慎重に周囲の警戒と確認を怠らず、ソラスティベルが通りがかるウサギ達に不審がられない挨拶で応える。明らかに異常な侵入者がいるにも関わらず、密やかなアンナが目立たず華やかなソラスティベルがやり過ごす。その調子で二人は螺旋階段を、下へ下へと降りていった。
「アンナさん!凄いですよ!まだまだ下に続いてます!」
「ソラスティベル、あまり身を乗り出すと危ないわ」
 さながら保護者と腕白少女といった風情だが、これはオブリビオンの引き起こす事件。この奥に広がる暗闇の中には、どんな悪意が渦巻いているかもわからない。そう考えると、彼女達が今一時の道行きを楽しんでいることも決して悪い事ではないはずだ。
「…こんな警備がザルなのに、そんな脅威があるとは思えないけど」
 …それは一つ、言わないお約束でお願いします。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

フォルセティ・ソルレスティア(サポート)
◆性格
明るく元気で、好奇心旺盛で何にでも興味を持つけど、少し飽きっぽいところも。
年齢より子供っぽく(見た目に近い)、味覚も完全にお子様。
よく女の子に間違えられるが、言うほど気にしていない。
口調は「ボク~だよ」「わー、~だね」

◆戦闘
聖なる箒を振り回して、遠距離からの魔法系UCを使用。
グアルディアン・サトゥルノで相手のUCを相殺したり、ラビリント・ネプトゥノで
行動を制限したりすることもある。
フィニッシュはカラミダド・メテオーロが多い。
TPOに応じて愛用の宇宙バイクで戦うことも。意外と乗りこなす。
負傷者がいれば楽器演奏と歌で癒すことも多い。

◆非戦闘
情報収集を中心にしつつも直感を信じて行動することも


大神・零児(サポート)
人狼
妖剣士×黒騎士
30歳男
普段(俺、呼び捨て、だ、だな、だろう、なのか?)
怒った時(俺、てめぇ、か、だろ、かよ、~か?)

探索や調査、追跡等は内容に即した使えそうなUCを選択し、技能やアイテムも駆使
またマルチギアイヤフォンという通信機を仲間に配って即時情報共有も可能

戦闘の際は敵のUCにメタ、カウンター、一方的に攻撃ができるようなUCを選択又は状況を技能やアイテムを駆使して作り出し、マルチグレネードの機能を選択して使ったり、妖刀「魂喰」や黒剣「黒鞘」を駆使しての剣士の動き等で戦う

基本戦闘型キャラ
ギャグシナリオはツッコミのような立ち位置
自身に触れられる危険がなければお色気も少々いける

アドリブ共闘等可


ヨウ・ツイナ(サポート)
『侵略者は撃破する。』
 人間の剣豪×パラディン、27歳の女です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」です。

優秀な侍でもありますが、精霊弓・雪之蝶による援護射撃も可能です。自身で敵を倒すことにこだわらず、援護に徹することも出来ます。得意な戦闘方法は精霊弓・雪之蝶で敵を凍結させ、氷刀・胡蝶で属性攻撃を行うことです。
特に精霊弓・雪之蝶は誘導する為、高い命中率を持ちます。

小さい男性を好みますが、既に心に決めた彼氏がいる為強くちょっかいは出しません。



●地下にまでの談笑
 カツーン、カツーン。
 地下へ続く階段に複数の足音が重なり響く。静寂も相まって響く音は、本来よりも大きく聞こえるほどで。それだというのに、侵入者を警戒するような気配は一切感じられない。
「肩透かしね」
 今回の事件の黒幕…ウサギ達はどうやら、運営に人員を割く事に忙しいらしい。警備が厳重でないのならば、猟兵にとって進入は造作もないことだ。とはいえ、これほど簡単に進入できてしまうと甲斐がないなと、ヨウ・ツイナ(絶対守護の女武者・f18276)は呆れ混じりの溜め息を吐く。
「まぁまぁ、問題は少ないに越した事はないでしょ」
 独り言に応えるのはフォルセティ・ソルレスティア(星海の王子様・f05803)だ。彼が歩む都度、手に持った箒がゆらゆらと揺れる。楽しげにも見えるその足取りが箒の動きから察せられる。魔法という力を持つフォルセティにとって、科学の力を尽くしたこのビルはなかなかに興味深いものかもしれない。
「それはそうなんだけど…」
 渋々といった苦笑を浮かべながらヨウが更に答える。それほど大きくない声ではあるが、反響することで普通の会話と同じくらいに聞こえる。それでもウサギは出てくる様子が見られない。
「でも面白いよね、月を映像で作り出すなんてさ」
 潜入を主として行動をしていた彼らは、実際にVR体験はしてきていない。だからこそ、グリモア猟兵から伝えられた今回の事件について、あれこれと興味が尽きるはない。それはこの先にある、このビル全体を運用している心臓部への興味も同様だ。
「なんにせよ、警備が薄い内にさっさと片付けてしまいましょう」
「それには賛成ー」
 談笑ともとれるやりとりをしながら二人は歩を進める。
 カツーン、カツーン……。
 やがて足が止まる。理由は二つあった。
 一つは、これ以上降りようがなく、目の前に大きな扉が現れたから。
 もう一つは、先着していた一人の人狼と目があったからだ。

●月を滅ぼしに
 大神・零児(人狼の妖剣士・f01283)は、どの猟兵よりも早く最下層へと到達していた。ここに至るまでの警備の手薄さには彼も虚を突かれたような思いだったが、それでも警戒を怠らずかつ迅速に進んだ結果、誰よりも早く到着することができた。それは零児の生来の性格にも由来しているのかもしれない。
「満月を作り出す装置、か」
 人狼病を患う零児にとって、それは忌々しいものに感じられた。
 しかもあのウサギ達が作り出した月は、数多の人を狂わせると聞いた。ならばそんな月はさっさと破壊してしまうに限る。気が付けば握られていた拳がじんわりと熱を持った頃合に、別の猟兵が後ろから歩んできた気配に気付いた。
「この先にあるぞ」
 ヨウとフォルセティの二人と目が合い、零児は声をかける。確認をした訳ではないが、あるとすればここしか考えられない。これまでの道程がそう物語っていた。
「えぇ、そのようね」
「ありゃ、結構早かったと思ったんだけど先を越されたかぁ」
 二人の回答は異なるものだった。ヨウは了解と共に扉を前にして気を引き締め、フォルセティはなーんだといった表情を浮かべ少し唇を尖らせて見せる。そんな二人の様子をみて特に感想もなく、零児は扉へ手をかける。
 偽りの月の発生源、その機械を破壊する。
 月を滅ぼしに、猟兵達は扉を開くのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 集団戦 『欲望教のポジティブ・バニーガール』

POW   :    さぁ、楽しんだ人が勝ちです! どんな事でもね!
【無責任でポジティブな言葉】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
SPD   :    皆で一緒にやりましょう! 何も怖くないですから!
【理解不能なポジティブ思考の寸劇】を給仕している間、戦場にいる理解不能なポジティブ思考の寸劇を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
WIZ   :    前だけ向きましょう! 後の事は誰も知らないから!
【後先を考えないポジティブな言葉】を聞いて共感した対象全てを治療する。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●欲望教へようこそ!
「屋台の材料足りてないよー!」
「電力供給間に合わないよー!」
「自分でなんとかしなさいよ人が足りないんだからー!」
 右に左にざわざわと、ウサギの少女が叫んで走る。
 ここは人工月見施設の心臓部。走り回るは欲望教のポジティブ・バニーガールたち。
 人間を欲望のどん底に落とすため、物語に聞くウサギのように、右往左往と大騒ぎ。
 そこへ入り口が勢いよく開けられる。
 なんだなんだとウサギたち、視線は入り口へと注がれる。
 猟兵達の仕置きの時間の開幕だ。
アネット・レインフォール(サポート)
▼心
性格は真面目(融通は利く)

日常でも調査・調べ物・見回り等を優先しますが
仲間達への土産を探す事も

正々堂々とした相手には敬意。
一方で時代背景・戦争である事も認識しており
容赦なく弱点を攻める非情さも

▼技
主軸は霽刀/式刀/葬剣を用いた一~二刀流で
闘気を込めた剣戟を得意とします

状況に応じて武器を換装し、
足止めから支援まで無難にこなします

※未所持の武器は葬剣を変形

▼体
剣筋は正確無比。
空中時は念動力で刀剣を浮かせ足場対応

稀に時短目的で単車も利用。
調査や弱点を探るなどダメ元で実験的な行動をとる事も

※他
全世界対応/連携・アドリブ歓迎
敬称は呼び捨て(漢字なら苗字、カナは名前呼びが礼儀)
ヒトの武人っぽい動き方


天玲寺・夢彩(サポート)
〖連携アドリブ大歓迎/ギャグもシリアスもok〗
桜の精
學徒兵の悪魔召喚士!
16歳

明るい自由人。
色んなモノを吹き飛ばしながらみんなを巻き込む誰にも止められない嵐みたいな子。
でも最後はみんなを明るくさせる何だか暖かな春を感じさるほんわか女子。

口調『桜吹雪(自分の名前、キミ、よ、だもん、だよう、~かな?)』
機嫌が悪いと『暴風(私、相手の名前+ちゃん、だね、だよ、~的な?』

UCや技能はその時に使えそうなやつを使用。

ムードメーカー&(無自覚)少しトラブルメーカーだけど、道徳には違反しない。


【サクラミラージュ】
影朧にはちゃんと転生して欲しいので、可能なかぎり忘れず桜の癒しを与える。


オークティス・ルーヴェルト(サポート)
【Support】
『トッテオキで派手にイクヨー!』
『We are Powerful!!』
28歳♂:人狼のアリスナイト × 破戒僧
口調:カタコトダヨ。語尾や外来語が英語になりマース。

★舶来のオークティスデース。鎖型のUCや鼓舞で戦ウ元バーバリアンNE。チョット英語訛りの言葉ツカウヨ。デモ日本語全部ワカルヨ!★動揺すると平仮名も混じるね★女ノ子ニ良イトコ見セタイ!★人狼の持つ変化(獣耳型、獣人型、獣型)の他にモフモフな形状を変化させて戦況に適応シタリも出来ルYO!★コミカルなシーンでは思い切りハシャグから宜シクNE

*アドリブや台詞回しは適度に変更可
*多少キャラがブレてもOKです。



●兎の月の運の尽、花咲き乱れ、muscle舞う
「こんなところまで入り込んでくるなんて…」
 欲望教のポジティブ・バニーガール達であっても、今目の前に現れた者たちに対してまでポジティブな妄想で乗り越えるのは難しい。
 何故ならここは本作戦の主幹部、偽の月光の動力炉そのものがあるからだ。
 ここまでたどりつくには並みの人間では不可能。それだけの厳重なセキュリティを敷いてある。
 となれば、今目の前の連中は。
「猟兵ね!みんな!追い返しちゃいましょう!」
 一匹の号令に弾かれるようにウサギが跳ねる。
 ぴょんぴょん、ぴょんぴょん。
 たった今戦場になったとは思えぬほど、陽気な様子で跳ねる。跳ねる。
「猟兵だろうと私たちは負けないわ!」
「ええもちろん!負けるビジョンさえ浮かばない!」
 そうだそうだと湧き上がる、底抜けなほどのポジティブな言葉。
 呼応するようにウサギ達はその力を増していく。いまや集団は一つとなり、兎は巨獣さながらの戦力を得た。
 しかし。だけれども。
「自分ノ方ガPowerfulデース!」
 一と成った巨獣が爆ぜる。一番槍を担っていたウサギの集団が、圧倒的なmuscleに散らされた。
 オークティス・ルーヴェルト(仮)もふみの求道者✨️・f06321)の獣的muscleはウサギの牙など通さない。
 大胆不敵とも言える事に、足を止めたウサギ達にそのmuscleを見せ付ける程の余裕ぶりだ。
「そもそもそれほど警戒されてはなかったぞ」
 ずんばらりと言葉の刃でバニーガール達の心を切り捨てたのは、無数の剣の使い手であるアネット・レインフォール(剣の異邦人・f01254)だ。
 その言葉すらも彼の刃であるとするならば、正に達人と呼ぶべきであろう。
「いや、そんなことはない」
 ト書きにも真面目突っ込むその刃すらも冴え、剣の異邦人はゆっくりと戦闘態勢に移る。
「くっ!皆、諦めちゃだめよ!諦めなければ負けじゃない!」
「そう!負けじゃなければ勝ててるってことだから!」
 なんだそりゃ、という程自分勝手なポジティブシンキング。しかし言葉は淡い魔力を帯び、萎縮したバニーガールたちの互いの心の傷を癒す。
 よくよく考えてみよう。多勢に無勢と言う言葉もある。で、あるならば。今我々は圧倒的優位ではないか。
 等と、考えたのがよくなかった。
 はらり、はらりと紙が舞う。バニーガールの一人が摘むと、紙ではなくて花びらだった。
 桜の花びらが幾片も、地下の施設にふわり舞う。
 舞いはやがて規則性を得て、次第に強まり、そして最後には。
「バーッンとォ!ぶつけちゃうよー!」
 ドゴォッ、という威勢の良い音と共に振り下ろされるは桜霊刀。
 振るう少女は天玲寺・夢彩(春の大嵐少女・f22531)、桜吹雪のよく似合う16歳の女の子だ。
「人ニ悪成スBunny Girl!猟兵ハ悪事ヲ見逃シマセーン!」
「そうだよ!花の嵐に全てをマルッと解決しちゃうんだから!」
 ババーン!と後ろに書き文字を背負うようにポーズを決めるオークティスと夢彩。
 どことなく連携のようなものが芽生えた気持ちになり、誰もの心が暖かくなっていくのを感じる。春の訪れもすぐそこだろうか。
「とりあえずこれを壊せばいいんだよな?」
 バニーガールたちが歌人よろしく春の訪れの予感に胸を打たれていた隙を突いたのは達人アネットだ。
 愛刀、霽刀【月祈滄溟】をパチンと鞘に納めれば続く火花の音に爆発音。
 MRお月見の根幹部である電子機器を適当に切って破壊したらしい。
「あ、あ!私達の計画がー!」
「おのれー!これ以上はさせないわよー!」
 正気を取り戻したバニーガール達、しかし時すでに遅く。
 アネットが刀を振るい、夢彩が桜の吹雪を巻き起こし、オークティスのmusucleが舞う。
 欲望教のウサギ達の運は、ここに尽きる事ととなった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

フェルム・ドゥベー
やあ、忙しいところすまないね

形ばかりの挨拶をして『大海原の杖』をかかげ、海【属性攻撃】(水飛沫を飛ばす)を敵に撃ち込み、それを起点にUCイーヴル・ヴォルテックス発動
可哀想と思う気持ちはあるけれど、渦に呑まれたり呪詛を打たれたりしたときポジティブの塊はどう反応するのか好奇心が抑えきれなくてね
それでもポジティブが止まらなければ素直に称賛するし、仮に止まってもがっかりはしないさ

結果はどうであれ、続けて『黒瑪瑙の指輪』で【魔力溜め】をして先程と同じく水飛沫を飛ばしてUCを発動
彼女らが傷を癒して向かってくる様子を見ても、そんな考え方もあるのだなと興味は持つ
浅慮を見習いたいとは思わないがね



●純粋無垢な好奇心は兎もころす
 巨大な機械の破損や猟兵の出現にてんやわんやと大騒ぎとなったポジティブ・バニーガール達。
 そんな彼女達の下へ、コツコツと新たな足音が近づく。
「やぁ、忙しいところすまないね」
 恭しく頭を垂れるでなく、笑顔を顔に乗せて形ばかりの礼儀をとる赤髪の美丈夫。
 フェルム・ドゥベー(ベリルの魔法使い・f15664)は挨拶もそこそこに興味深げにてんやわんやしているバニーガール達を見た。
「なによ!?また猟兵!?でも今はそれどころじゃないわよ!」
「そうよ!この機械だけはなんとしても直さなきゃ!」
「あんたもこの大変そうな私達に攻撃しようとか、まさか思わないでしょ!?」
 なるほど、とフェルムは一つうなずく。
 ポジティブシンキングといえば聞こえはいいが、目の前の兎はどうやら頭の悪さが先行しているように思えた。
「(だとすれば)」
 美しい相貌に笑顔が浮かぶ。
 徐に片手に持つ黄金の魔法の杖『大海原の杖』を掲げ瞑目し、詠唱を始める。
「力をお貸しください。私は愚者を捧げます」
 ごぽり。
 大気中に水の塊がひとつ、ふたつ。無数に浮かぶ。仄香る潮が、海水である事を教える。
 水の塊は飛沫を放ち、フェルムの意思で次々とバニーガール達に放たれる。
 当たったとてただの海水。びっくりはするけど意に介さず、バニーガールはてんやわんや。
「力で愚者を呑み、その命の火を捧げましょう」
 詠唱が終わると共に異変が起きる。海水を浴びたバニーガールが次々と倒れ臥していく。
 それは宛ら、渦潮に飲み込まれていくように。バタバタと苦しみもがく。
 それは宛ら、身動きの取れぬ耳元で呪詛を囁かれるように。恐怖と死が歩み寄る。
 イーヴル・ヴォルテックス、海魔プレイグの御力を借りた強烈な呪詛。海魔との契約者たるフェルムたればこそ使いこなせる唯一無二の術式であった。
「あ。あ。いや、やめて。苦しい。いや。いや!いや!!」
「う~…ッ!う~…ッ!」
 水を浴びたバニーガール達は絶望し、恐怖し、苦しみもがき、臥していく。
 いかにポジティブな彼女達であっても、その思慮が入り込む隙間すら与えない。
 それがユーベルコード。猟兵の持つ、オブリビオンに対する攻撃手段なのだ。
「なんだ、存外つまらない結果になってしまったね」
 呪詛の最中、彼女達がどのようなポジティブを見せるか期待していたフェルムは嘆息する。
 しかしがっかりしたという程でもない。所詮はその程度のものだったという事実だけが残る。
「ポジティブな考えは興味があるけどね、浅慮は見習いたいとは思えないよ」
 握った大海原の杖がよりいっそう黄金の輝きを増す。指に付けた黒瑪瑙の指輪は魔力の伝導率が高く、強力な魔力を溜めておける。
 黒瑪瑙から大海原へ、大海原の飛沫はバニーガール達へ。
 思考の一端を戦力として持つバニーガールにとって、その思考の入り込む隙すら与えないフェルムの呪詛はあまりにも相性が悪かった。
 好奇心は兎を殺す。
 感動もなく、かといって失望もなく。
 ベリルの魔法使いは淡々とバニーガール達を次々と倒していくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

藤堂・こずゑ(サポート)
あまり見た目妖狐っぽくないけど、妖狐なの

右目を何とか見せない、見ない様に生きてるわ
妖狐な部分は出したくないから…

依頼に拘りは無いわ
誰とでも連携し、どんなのでも遂行してみせるわよ
日常パートはアンニュイな感じでクールに過ごすわ
一応喜怒哀楽はあるつもり

戦闘パートは古流剣術で挑むけど…
流派は忘れちゃった
マイナーだから廃れちゃったみたい

振るう刀は宵桜(ヨイザクラ)ね
可愛いでしょ

大気の流れを読んで攻撃したり避けたり、後の先を得意とするわ

UCはどれでも使用し、攻撃するUCばかりだけど…
他の猟兵との連携などで避けて敵を引き付ける必要がある時は『流水の動き』を使ってね

後はマスター様にお任せするわ
宜しくね



●斯くして月の兎は海へと還る
 キャパシティとは生きとし生けるもの全ての生物が持たなければならない器である。
 それは可食量であったり運動量、記憶量。様々なルールとして世界に在る。
 訓練や修行といった地道な自己研鑽によってそれらは少しずつ容量を増やしていく。
 だからこそ。怠惰も強欲もないまぜに在る欲望教の教えとは破滅を齎す。
 慣れない組織運営、大掛かりな仕掛けの管理、人間のあしらい。
 巨大施設において数あれば足りるとポジティブに考えたかもしれないが、欲望教のポジティブ・バニーガール達のキャパシティは今回の事件の黒幕に足るものではなかったのだろう。
 その証拠に心臓部へ猟兵の侵入を許し、設備の破壊、仲間の喪失、敗北を喫する事となる。
 誰の目から見ても明らかなその敗北だが、当の本人たちは。
「まだよ!私たちが一人でも残っていれば、必ずどうにかなるんだから!」
「そーだそーだ!」
 等とのたまい、絶望の翳りなどまるでないかのよう。
 何百といた同志たちはもう数えるほどなのに。装置は既に鼓動を停止しているというのに。
 猟兵たちが躍動し、どうにかなる希望など露の一粒ほどもないというのに。

「…哀れね。いえ、愚かと言い換えた方が妥当かしら」

 涼やかな風がスッと兎たちの頬を撫ぜる。否、風ではない。
 やいのやいのと大仰に立ち回るバニーガール達の起こす空気の振動。
 その流れを縫うように、山から海へと流る流水のように。
 ――パチン。
 鍔が鯉口を鳴らせば、パタリパタリと兎たちは倒れ、黒い粉となる。
 藤堂・こずゑ(一閃・f23510)の動きは傍から見れば緩慢なものに見えただろう。
 しかしそれは起こりから終わりまで、全てが大気の流れに準じた自然のものであった。
 意識して相対しなければ、自然の動きとは当然の動きであり、抵抗ができない。
 水が斜面を滑り落ちるが如く、当然の事と認識すれば脳は対応を準備できない。
 故に、バニーガール達の首が当人たちが落ちていくのも、当然の事であった。
 その渾名は一閃。体運びは流水の動き。泰然自若としたこずゑの至った武の極致。その流派は。
「……ごめんなさい、忘れちゃったわ。マイナーだから廃れちゃってね」
 悪びれもせず、消えゆく最後のバニーガールへ目をやり。
「これに懲りたら次は己が分を弁えることね」
 口の端だけ、少し笑うのだった。

●エピローグ
 幸いにして、欲望教の兎たちの計画は初期段階で潰えた。
 民間人への大きな被害もなく、奇しくも正しく期間限定の娯楽として機能していた。
 それは欲望教の望むところではなかったかもしれない。
 だとしても、月を見たいという欲望を叶えた点は教義に沿っていたかもしれない。
 民間人がその事を知る必要はない。
 猟兵が、巨大な企みを秘密裏に粉砕した事実は、猟兵たちの記憶に残る。
 それでいい。
 何しろ月見。お祭りごとに争いがあった事を持ち込む方が野暮というもの。
 科学の作った仮初めの月は潰えたが、本物の月は、今日も夜を照らす。
 そこできっと、誰かは誰かに言うだろう。
 月が綺麗ですね、と。

 UDCアースにて人心乱す科学と欲望のお月見の件。
 これにて、閉幕。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年01月12日


挿絵イラスト