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月が綺麗ですね、と君は(作者 長井休
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●噂
「ねえ、この前新しく出来たMRシアター知ってる?」
「知ってる知ってる!明美が行ったってこの前話してた!」
「マジ?どうだったって?」
「もうめーっちゃ良かったって言ってたよ!風流で良かったって!」
「そうなんだー!私もめっちゃ気になってたんだよねー」
「デートで行ったらしいんだけど、本当綺麗でめっちゃ泣いたってさ」
「デートで泣いちゃう程なの?つか、そういうタイプだっけ?」
「なんかこー…心に訴えかける?みたいな?」
「宗教かよ!あー、でも一回行ってみたいなーVR体験」
「凄いよね、もう曇り空でもこれからはお月見出来ちゃうんだよ」
「未来やばいわー、私も彼連れて行ってこようかなー」
「うわデート宣言うざ、リア充爆発しろ」
「はいはい。でもさー、明美最近変じゃね?」
「あー、なんとなく分かる。めっちゃ食うしめっちゃうるさいよね」
「今まで猫被ってたのかなーとか思っちゃうようなね」
「あれじゃない?お月見で彼氏とラブラブで、テンション上がってる的な」
「うわー、だとしたら嫌いだなー」
「でもでも、そんななるくらいなら一回行ってみようよ」
「いや、私は彼氏と行くから」
「リア充爆発しろ」

●人の月みて、兎が跳ねる
「お月様はね、とっても不思議な力を持っているのよ」
 パナシェ・エルレンタリードは、猟兵を呼び集めると語りだす。
 UDCアースで起きている怪事件。
 曰く、人を阿呆にする事件。
「『MRお月見祭り』というイベントが、邪神復活の生贄の箱みたいなの」
 MR、複合現実と呼ばれるそのシステムは仮想世界を現実世界へ映し出す。
 科学の力の生んだ魔法の顕現と言っても過言はない。
 仮想の名月の夜を常に投影し、時を選ばずお月見が出来るのだという。
 今、UDCアースでは口コミも伴いブームの火が付き始めている。
 しかしそれらは全て、オブリビオンの罠。
 月本来の神秘性を利用し、人の心の理性の箍を緩やかに外していく。
 人は本能のままに生きれば、社会が成り立たない。
 その時に生まれる混沌を望み、人々を陥れんと暗躍をしている輩がいるらしい。
「思ったこと、好きなことをやることは、良いことよ」
 でもね、とパナシェは声を静める。
「欲張りさんは、コツンと痛い目に遭ってしまうのよ」
 コツン、と小さな拳で己の頭を打つ。

「オブリビオンはこのMRシアターの建物自体に巣食っているわ」
 トン、とグリモアを遊ばせると映し出されるのは小さなビル。
 そこで行われている理性崩壊の儀式、『MRお月見祭り』を止める事が今回の使命。
 感動という感情を引き金に崩壊する理性など、あってはならない。
 一般客として入り込み、秘密裏にMRの設備を破壊して欲しいとパナシェは語る。
「そうすれば、怒った兎さん達がピョンピョンと出てきてくれるのよ」
 ピョンピョンと、両手を頭にやり耳のように動かしてみせる。
 にこりと微笑むと手を下ろし、猟兵達へ拳を突き出す。
「猟兵、パナシェの今回のお願いは三つよ」
 一つは、MR設備の完全破壊。
 一つは、それらを仕組んだオブリビオンの討伐。
 二本の指を立て、パナシェは一拍おいてもう一度、微笑む。
「折角の機会ですもの。戦うばかりじゃ、あまりに寂しいわ」
 再び微笑を浮かべ、三本めの指を立てる。
 最後の一つは、仮想とはいえお月見を楽しんでくること。
「大切な人と、友達と、あるいは貴方の心の貴方自身と、見に行ってみて」
 きっと楽しい思い出になるはずよ、と。
 翼の少女は笑顔のままで、猟兵達をUDCアースへと送るのであった。





第3章 集団戦 『欲望教のポジティブ・バニーガール』

POW ●さぁ、楽しんだ人が勝ちです! どんな事でもね!
【無責任でポジティブな言葉】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
SPD ●皆で一緒にやりましょう! 何も怖くないですから!
【理解不能なポジティブ思考の寸劇】を給仕している間、戦場にいる理解不能なポジティブ思考の寸劇を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
WIZ ●前だけ向きましょう! 後の事は誰も知らないから!
【後先を考えないポジティブな言葉】を聞いて共感した対象全てを治療する。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●欲望教へようこそ!
「屋台の材料足りてないよー!」
「電力供給間に合わないよー!」
「自分でなんとかしなさいよ人が足りないんだからー!」
 右に左にざわざわと、ウサギの少女が叫んで走る。
 ここは人工月見施設の心臓部。走り回るは欲望教のポジティブ・バニーガールたち。
 人間を欲望のどん底に落とすため、物語に聞くウサギのように、右往左往と大騒ぎ。
 そこへ入り口が勢いよく開けられる。
 なんだなんだとウサギたち、視線は入り口へと注がれる。
 猟兵達の仕置きの時間の開幕だ。
アネット・レインフォール(サポート)
▼心
性格は真面目(融通は利く)

日常でも調査・調べ物・見回り等を優先しますが
仲間達への土産を探す事も

正々堂々とした相手には敬意。
一方で時代背景・戦争である事も認識しており
容赦なく弱点を攻める非情さも

▼技
主軸は霽刀/式刀/葬剣を用いた一~二刀流で
闘気を込めた剣戟を得意とします

状況に応じて武器を換装し、
足止めから支援まで無難にこなします

※未所持の武器は葬剣を変形

▼体
剣筋は正確無比。
空中時は念動力で刀剣を浮かせ足場対応

稀に時短目的で単車も利用。
調査や弱点を探るなどダメ元で実験的な行動をとる事も

※他
全世界対応/連携・アドリブ歓迎
敬称は呼び捨て(漢字なら苗字、カナは名前呼びが礼儀)
ヒトの武人っぽい動き方


天玲寺・夢彩(サポート)
〖連携アドリブ大歓迎/ギャグもシリアスもok〗
桜の精
學徒兵の悪魔召喚士!
16歳

明るい自由人。
色んなモノを吹き飛ばしながらみんなを巻き込む誰にも止められない嵐みたいな子。
でも最後はみんなを明るくさせる何だか暖かな春を感じさるほんわか女子。

口調『桜吹雪(自分の名前、キミ、よ、だもん、だよう、~かな?)』
機嫌が悪いと『暴風(私、相手の名前+ちゃん、だね、だよ、~的な?』

UCや技能はその時に使えそうなやつを使用。

ムードメーカー&(無自覚)少しトラブルメーカーだけど、道徳には違反しない。


【サクラミラージュ】
影朧にはちゃんと転生して欲しいので、可能なかぎり忘れず桜の癒しを与える。


オークティス・ルーヴェルト(サポート)
【Support】
『トッテオキで派手にイクヨー!』
『We are Powerful!!』
28歳♂:人狼のアリスナイト × 破戒僧
口調:カタコトダヨ。語尾や外来語が英語になりマース。

★舶来のオークティスデース。鎖型のUCや鼓舞で戦ウ元バーバリアンNE。チョット英語訛りの言葉ツカウヨ。デモ日本語全部ワカルヨ!★動揺すると平仮名も混じるね★女ノ子ニ良イトコ見セタイ!★人狼の持つ変化(獣耳型、獣人型、獣型)の他にモフモフな形状を変化させて戦況に適応シタリも出来ルYO!★コミカルなシーンでは思い切りハシャグから宜シクNE

*アドリブや台詞回しは適度に変更可
*多少キャラがブレてもOKです。


●兎の月の運の尽、花咲き乱れ、muscle舞う
「こんなところまで入り込んでくるなんて…」
 欲望教のポジティブ・バニーガール達であっても、今目の前に現れた者たちに対してまでポジティブな妄想で乗り越えるのは難しい。
 何故ならここは本作戦の主幹部、偽の月光の動力炉そのものがあるからだ。
 ここまでたどりつくには並みの人間では不可能。それだけの厳重なセキュリティを敷いてある。
 となれば、今目の前の連中は。
「猟兵ね!みんな!追い返しちゃいましょう!」
 一匹の号令に弾かれるようにウサギが跳ねる。
 ぴょんぴょん、ぴょんぴょん。
 たった今戦場になったとは思えぬほど、陽気な様子で跳ねる。跳ねる。
「猟兵だろうと私たちは負けないわ!」
「ええもちろん!負けるビジョンさえ浮かばない!」
 そうだそうだと湧き上がる、底抜けなほどのポジティブな言葉。
 呼応するようにウサギ達はその力を増していく。いまや集団は一つとなり、兎は巨獣さながらの戦力を得た。
 しかし。だけれども。
「自分ノ方ガPowerfulデース!」
 一と成った巨獣が爆ぜる。一番槍を担っていたウサギの集団が、圧倒的なmuscleに散らされた。
 オークティス・ルーヴェルト(仮)もふみの求道者✨️・f06321)の獣的muscleはウサギの牙など通さない。
 大胆不敵とも言える事に、足を止めたウサギ達にそのmuscleを見せ付ける程の余裕ぶりだ。
「そもそもそれほど警戒されてはなかったぞ」
 ずんばらりと言葉の刃でバニーガール達の心を切り捨てたのは、無数の剣の使い手であるアネット・レインフォール(剣の異邦人・f01254)だ。
 その言葉すらも彼の刃であるとするならば、正に達人と呼ぶべきであろう。
「いや、そんなことはない」
 ト書きにも真面目突っ込むその刃すらも冴え、剣の異邦人はゆっくりと戦闘態勢に移る。
「くっ!皆、諦めちゃだめよ!諦めなければ負けじゃない!」
「そう!負けじゃなければ勝ててるってことだから!」
 なんだそりゃ、という程自分勝手なポジティブシンキング。しかし言葉は淡い魔力を帯び、萎縮したバニーガールたちの互いの心の傷を癒す。
 よくよく考えてみよう。多勢に無勢と言う言葉もある。で、あるならば。今我々は圧倒的優位ではないか。
 等と、考えたのがよくなかった。
 はらり、はらりと紙が舞う。バニーガールの一人が摘むと、紙ではなくて花びらだった。
 桜の花びらが幾片も、地下の施設にふわり舞う。
 舞いはやがて規則性を得て、次第に強まり、そして最後には。
「バーッンとォ!ぶつけちゃうよー!」
 ドゴォッ、という威勢の良い音と共に振り下ろされるは桜霊刀。
 振るう少女は天玲寺・夢彩(春の大嵐少女・f22531)、桜吹雪のよく似合う16歳の女の子だ。
「人ニ悪成スBunny Girl!猟兵ハ悪事ヲ見逃シマセーン!」
「そうだよ!花の嵐に全てをマルッと解決しちゃうんだから!」
 ババーン!と後ろに書き文字を背負うようにポーズを決めるオークティスと夢彩。
 どことなく連携のようなものが芽生えた気持ちになり、誰もの心が暖かくなっていくのを感じる。春の訪れもすぐそこだろうか。
「とりあえずこれを壊せばいいんだよな?」
 バニーガールたちが歌人よろしく春の訪れの予感に胸を打たれていた隙を突いたのは達人アネットだ。
 愛刀、霽刀【月祈滄溟】をパチンと鞘に納めれば続く火花の音に爆発音。
 MRお月見の根幹部である電子機器を適当に切って破壊したらしい。
「あ、あ!私達の計画がー!」
「おのれー!これ以上はさせないわよー!」
 正気を取り戻したバニーガール達、しかし時すでに遅く。
 アネットが刀を振るい、夢彩が桜の吹雪を巻き起こし、オークティスのmusucleが舞う。
 欲望教のウサギ達の運は、ここに尽きる事ととなった。
成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴

フェルム・ドゥベー
やあ、忙しいところすまないね

形ばかりの挨拶をして『大海原の杖』をかかげ、海【属性攻撃】(水飛沫を飛ばす)を敵に撃ち込み、それを起点にUCイーヴル・ヴォルテックス発動
可哀想と思う気持ちはあるけれど、渦に呑まれたり呪詛を打たれたりしたときポジティブの塊はどう反応するのか好奇心が抑えきれなくてね
それでもポジティブが止まらなければ素直に称賛するし、仮に止まってもがっかりはしないさ

結果はどうであれ、続けて『黒瑪瑙の指輪』で【魔力溜め】をして先程と同じく水飛沫を飛ばしてUCを発動
彼女らが傷を癒して向かってくる様子を見ても、そんな考え方もあるのだなと興味は持つ
浅慮を見習いたいとは思わないがね


●純粋無垢な好奇心は兎もころす
 巨大な機械の破損や猟兵の出現にてんやわんやと大騒ぎとなったポジティブ・バニーガール達。
 そんな彼女達の下へ、コツコツと新たな足音が近づく。
「やぁ、忙しいところすまないね」
 恭しく頭を垂れるでなく、笑顔を顔に乗せて形ばかりの礼儀をとる赤髪の美丈夫。
 フェルム・ドゥベー(ベリルの魔法使い・f15664)は挨拶もそこそこに興味深げにてんやわんやしているバニーガール達を見た。
「なによ!?また猟兵!?でも今はそれどころじゃないわよ!」
「そうよ!この機械だけはなんとしても直さなきゃ!」
「あんたもこの大変そうな私達に攻撃しようとか、まさか思わないでしょ!?」
 なるほど、とフェルムは一つうなずく。
 ポジティブシンキングといえば聞こえはいいが、目の前の兎はどうやら頭の悪さが先行しているように思えた。
「(だとすれば)」
 美しい相貌に笑顔が浮かぶ。
 徐に片手に持つ黄金の魔法の杖『大海原の杖』を掲げ瞑目し、詠唱を始める。
「力をお貸しください。私は愚者を捧げます」
 ごぽり。
 大気中に水の塊がひとつ、ふたつ。無数に浮かぶ。仄香る潮が、海水である事を教える。
 水の塊は飛沫を放ち、フェルムの意思で次々とバニーガール達に放たれる。
 当たったとてただの海水。びっくりはするけど意に介さず、バニーガールはてんやわんや。
「力で愚者を呑み、その命の火を捧げましょう」
 詠唱が終わると共に異変が起きる。海水を浴びたバニーガールが次々と倒れ臥していく。
 それは宛ら、渦潮に飲み込まれていくように。バタバタと苦しみもがく。
 それは宛ら、身動きの取れぬ耳元で呪詛を囁かれるように。恐怖と死が歩み寄る。
 イーヴル・ヴォルテックス、海魔プレイグの御力を借りた強烈な呪詛。海魔との契約者たるフェルムたればこそ使いこなせる唯一無二の術式であった。
「あ。あ。いや、やめて。苦しい。いや。いや!いや!!」
「う~…ッ!う~…ッ!」
 水を浴びたバニーガール達は絶望し、恐怖し、苦しみもがき、臥していく。
 いかにポジティブな彼女達であっても、その思慮が入り込む隙間すら与えない。
 それがユーベルコード。猟兵の持つ、オブリビオンに対する攻撃手段なのだ。
「なんだ、存外つまらない結果になってしまったね」
 呪詛の最中、彼女達がどのようなポジティブを見せるか期待していたフェルムは嘆息する。
 しかしがっかりしたという程でもない。所詮はその程度のものだったという事実だけが残る。
「ポジティブな考えは興味があるけどね、浅慮は見習いたいとは思えないよ」
 握った大海原の杖がよりいっそう黄金の輝きを増す。指に付けた黒瑪瑙の指輪は魔力の伝導率が高く、強力な魔力を溜めておける。
 黒瑪瑙から大海原へ、大海原の飛沫はバニーガール達へ。
 思考の一端を戦力として持つバニーガールにとって、その思考の入り込む隙すら与えないフェルムの呪詛はあまりにも相性が悪かった。
 好奇心は兎を殺す。
 感動もなく、かといって失望もなく。
 ベリルの魔法使いは淡々とバニーガール達を次々と倒していくのだった。
大成功 🔵🔵🔵