●異世界伝承の謎
かつん、かつんと音が迷宮最深部に響く。階段を下りながらアルダワ学園の生徒は次の空間へとたどり着いた。足が階段から床へとついた途端、壁に掛けられていたランプが一斉に灯る。
その現象自体は迷宮内では珍しいことではない。ただ、その先を迷路でも罠でも、はたまた災魔が待ち構えているでもなく、巨大な扉がふさいでいることに生徒たちは目を見開いた。
これこそ、最深部へ続く『災魔の扉』。通常の方法では破壊することも鍵開けを試みることもできない、特別な扉である。
「おい、見ろよこれ!」
なんか書いてあるぞ! と声を上げる一人の生徒に他の仲間たちも近寄る。彼が指をさすのは扉のすぐとなり、壁にかかっているプレートである。
『かとぎはかしいだんとにだしんめ』
「……なんだこりゃ」
「でも、どう見ても迷宮の一部だよな? 取り外せないし、いたずらではないだろ」
そもそもこの最深部に来られたのは彼らが初めてなのだ。誰かのいたずらとは思えない。もしかしたらこれは謎解きなのではないか? と生徒の一人がひらめくが、それにしたってどう解いたらいいのかわからない。生徒の一団は腕を組んで黙り込んでしまった。
「ねぇ、なんか見つけたんだけど……」
女子生徒が白い紙を掲げて仲間たちに声をかける。ヒントか! と色めき立つ仲間たちだが女子生徒の表情は怪訝だ。ヒント自体は読める。だが内容がどうしても分からないのだ。
「……なあ、ここで悩んでいても答えが出る気がしないし、一旦戻らないか? 悩んでいる間に災魔に襲われたらいやだし……」
彼の一言に仲間たちも同意する。もしかしたら自分たちには意味がわからないこのヒントも、理解できる人がいるかもしれない。『転校生たち』もいることだし戻って相談するのも手だろう。
「……しかし、『たまてばこ』ってなんだろうなぁ……」
●謎解きのお時間
「冒険中に突然、謎を解けって言われても困るよなァ、ゲームじゃあるまいし」
そうぼやきながら一門・楔はフード越しに頭を掻く。乗り気じゃない、とでも言いたげに。
「みんなはもう知ってると思うけど、また『災魔の扉』が見つかった。なんでも異世界の知識がないと解けない謎があって、それを解かねェと鍵になる災魔が見つからねェんだとよ。その世界の知識だけじゃ解けないってのがヤらしいよなァ」
今回提示された謎、『かとぎはかしいだんとにだしんめ』は一見意味がわからない。だがこれを解けば、次に調べるべき場所が割れると楔は睨んでいるようだ。ちなみに根拠は「ゲーマーの勘」らしいが。
「んで、ヒントがこれ。読み上げるぜ」
『ヒント:玉手箱を開けろ』
たったこれだけである。逆に言うとこれだけ短い謎とヒントということは、案外単純な謎なのではないだろうか。
「んじゃ、オレの役割はここまでな。みんな頑張って解いてくれー。……あ、鍵を引き出そうとしたら当然オブリビオンが飛び出してくるから頑張れよ」
サラッと軽く、割と大切な忠告をして楔はグリモアを掲げた。彼自身はまともに謎を考える気はないようだ。
夜団子
こんにちは、夜団子です! 今回は少し変わったシナリオになります。
●今回の構成
第一章 謎を解いて鍵の災魔の場所を探ろう!
第二章 襲い来るオブリビオンを倒そう!
第三章 引き出された鍵の災魔を倒そう!
●謎について(オープニングのものをまとめて表記)
『かとぎはかしいだんとにだしんめ』
ヒント:玉手箱を開けろ。
正直とても単純ななぞなぞなのですぐに解けてしまうと思います。ですので、正解のプレイングはすべて採用しようと思っています。その際はまとめてリプレイにいたしますのであしからず。不正解のものは流します。
謎を解いて、指定の場所を調べてみてください。
●第二章以降
普通の集団戦、ボス戦になります。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 冒険
『異世界知識の謎』
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POW : 総当たりなど力任せな方法で謎の答えを導く。
SPD : 鋭い直感や閃きで謎の答えを導く。
WIZ : 明晰な頭脳や豊富な知識で謎の答えを導く。
👑3
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
セルマ・エンフィールド
たまに他の世界に迷い込む人がいるそうですし、これもそういった人によるもの、でしょうか……? 気にはなりますが、まずは目の前の謎を解きましょうか。
玉手箱……たしかUDCアースの一地域、サムライエンパイアに似ている地域の昔話でありましたね。
確かその箱を開けると、主人公は「歳を取る」。
であればこの文も「と」「し」を取れば……
『かぎはかいだんにだんめ』
鍵は階段二段目、でしょうか。
確かにこれは玉手箱と聞いても、お話の内容が分からなければ解きようがありませんね。
さて、どんな災魔が出てくるか情報はありませんが……やりましょうか。
改造マスケット「フィンブルヴェト」を構え戦闘準備をして鍵を探します。
鳳城・那由多
ふふっ、迷宮を冒険するのは初めてなのでドキドキするわね
災魔…一体どんな子なのかしら?楽しみね♪
玉手箱っていうのは確か
御伽話に出てくるものだったかしら
開けると歳をとってしまうのよね、まぁ怖いわね♪
他の人が謎を解くなら私はそれを見届けましょう
あまり自分から行動するのは得意じゃないんだもの
かぎはかいだんにだんめ
文章から『とし』を取ったらそう書いてあるけれど
これが答えでいいのかしらね
鍵を引き出したらオブリビオンが出てくるみたいだし
どんな子が出てくるのか楽しみね♪
突然攻撃されないようにだけ、注意しておきましょうね
上城・桂悟
どうして異世界の物語がアルダワの迷宮に出てくるんだ……。気にはなるが、まずはここの謎を解くことに集中しようか
幼い頃に絵本で読んだ位だが、玉手箱が出てくる浦島太郎の話の流れはわかる。確かそれを開けるとじいさんになるんだよな……。じいさんになるってことは年を取ることになるから……、『と』と『し』を取って読めばいいのか
そうすると『かぎはかいだんにだんめ』になるから、階段の二段目を調べてみる。……さて、敵が出てくるかもしれないから気をつけないとな
西条・霧華
「少し不謹慎かもしれませんけど、こういうのは楽しいですね。」
『かとぎはかしいだんとにだしんめ』…ですか?
そしてヒントが『玉手箱を開ける』
何でしょうか?
これを解けば『どこを探せば良いかわかる』そうですが…
成る程…場所、ですか
『か ぎはか いだん にだ んめ』
抜けた文字は『と』『し』
…確かに玉手箱を開けて取るものですね
だから『玉手箱を開ける』物語を知らなければヒントにならないんですね
浦島太郎は玉手箱を開けて年を取る…
「玉手箱」という単語に囚われ過ぎてしまいました
『としを取る』というヒントにも合致しますし、階段の二段目を調べてみましょう
…私は頭が固いのでしょうね
もう少し柔軟な思考も必要かもしれません
ユキノ・サーメッティア
これって、文が短めだし、言葉になるように抜き出しても出来そうじゃない?
ええとー、「かぎはかいだんにだんめ」
これが答えだろうかな?
え、ヒント?
玉手箱を開けた浦島太郎はおじいさんになった
歳を取っただから、「と」と「し」を文から取るんじゃないの?
コイスル・スズリズム
【SPD】
謎解きかぁ~!
魔法学園といえばズバリ、謎解きだね!
―――あんま得意じゃナイ!
玉手箱を開けろ
普通開けるな!だよね。
開けろってことは開けた後のことが
答えにつながりそうな気配だよ
あれ、開けたらどうなったんだ
スマートフォンで情報を調べようとすると
日付が出てきたのがふと目に入る
あ~そういえばこないだ誕生日だった
もう17じゃないのか、すず……。
一部の友達より年上だ……
はっ!
そういえば年をとってたね。
と
と
し
をとる
としをとる
18になる?いやそりゃすずだ
『かとぎはかしいだんとにだしんめ』
かぎはかいだんにだんめ
鍵は階段二段目!
こ、これじゃない!?
上述の場所を探す
見つかったら
18のすずは知的にまいります!
アリス・フォーサイス
なになに?なぞなぞ?ぼくもやるー。
「玉手箱を開けろ」か。玉手箱ってあれだよね。開けるとぽわぽわーってなって、おじいちゃんになるやつ。
あ、そうか。「としをとる」ってことか。『かとぎはかしいだんとにだしんめ』から、「と」「し」をとればいいんだね。
「かぎはかいだんにだんめ」になるから、
「鍵は階段2段目」かな。
じゃあ、階段を探しに行こうか。
鍵で扉を開けたら、煙がもわもわーとでてきて、ぼくたちみんな、おばあちゃん、おじいちゃんになったりして。
迷宮の場所と謎の仔細を聞かされ、改めて迷宮を踏破してきた猟兵たち。その中で合流した者や、はたまた初めから共にここまで来た者たちが、簡易パーティを形成して階段を下りていく。大小や種類も違う足音が迷宮に響き渡った。
「ふふっ、迷宮を冒険するのは初めて……なんだかドキドキするわね」
ゆったりとした足取りでありながらその言葉に喜色をにじませる女性、鳳城・那由多(傍観察者・f22037)が改めて見渡しながらそう口にする。「鍵の災魔……一体どんな子なのかしら? 楽しみね♪」と呟く彼女に、その前を歩いていたコイスル・スズリズム(人間のシンフォニア・f02317)とアリス・フォーサイス(好奇心豊かな情報妖精・f01022)が振り返った。
「鍵の災魔を出現させるには謎を解かなきゃいけないんだよね? 魔法学園といえばズバリ、謎解き! ―――でもすず、あんま得意じゃナイ!」
「なぞなぞ? ぼくもやるー。美味しそうだし!」
「うふふ、みんなで解けば大丈夫ですよ」
柔和に笑う那由多に、「そうだよねー!」と笑い返すコイスル。その横で新たな情報……! と息巻くアリスは災魔を倒すことより謎を得ることを楽しみにしているようだった。
そんな三人の会話を聞いていたユキノ・サーメッティア(空白・f00911)は、あははっと笑いをこぼす。西条・霧華(幻想のリナリア・f03198)と共に最前を歩きながら声を上げた。
「私はもっと開放的なところの方が好きかなー? キミは?」
「えっ!? そ、そこまで考えたことはなかったです」
「そっかぁー」
「おい、あまり気を抜きすぎるなよ」
少し呆れたような、心配混じりの声が五人にかけられる。上城・桂悟(静かに佇む蒼月・f04997)のその言葉に、「すみません……」と霧華が恐縮するが、他の四人はどこ吹く風、といった様子だった。
「大丈夫ですよ、災魔の気配は感じません……もし飛び出してきても、私が撃ち抜きますから」
最後尾を桂悟と共にカバーしているセルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)はそう言いながら改造銃、フィンブルヴェトを撫でる。迷宮内では片時も手放さないその姿は頼もしく、各々の武器を持つ力が少し強まった。
「と~ちゃく!」
最深部へ真っ先に降り立ったユキノに霧華が続く。予め知らされていた謎に、びくともしない扉。謎の書かれたプレートにかぶりつきとなったユキノと共に、霧華はその文字列を眺める。
「これを解けば『どこを探せば良いかわかる』そうですが……」
「まーこれだけじゃ意味がわからないよねー。でも文が短めだし、言葉になるように抜き出しても出来そうじゃない?」
「んん、確かに……少し不謹慎かもしれませんけど、こういうのは楽しいですね」
『かとぎはかしいだんとにだしんめ』。その文章の前で考えをまとめ始めた二人をよそに、桂悟はヒントの紙を取り上げた。『ヒント:玉手箱を開けろ』とだけ書かれたそれを見て、桂悟はため息をつく。
「どうして異世界の物語がアルダワの迷宮に出てくるんだ……」
「たまに他の世界に迷い込む人がいるそうですし、これもそういった人によるもの、でしょうか……?」
なぜ異世界伝承が必須な問題が迷宮に現れるのか、その答えの出ない問いはともかくとして。玉手箱と言えば、UDCアースの一地域、サムライエンパイアに似ている地域で伝えられている昔話でしたよね、とセルマが当たりを付け、桂悟が俺も昔絵本で読んだことがある、と頷いた。それならばきっと、その物語がキーとなるはずで……。
「玉手箱を開けろ、かあ。普通だったら開けるな! って書くよね。だったら開けた後のことが答えにつながりそうな気配だよ」
あれ、開けた後はどうなったんだっけ、とスマートフォンを取り出したコイスル。それを聞いて、アリスが元気よく飛び出した。
「玉手箱ってあれだよね。開けるとぽわぽわーってなって、おじいちゃんになるやつ!」
「確かそれを開けるとじいさんになるんだよな……じいさんになるってことは……」
「ふふ、そうそう……開けると『歳をとってしまう』のよね、まぁ怖いわね♪」
那由多のその言葉に、はっ……! と顔を上げるセルマと桂悟。ワンテンポ遅れてアリスが「あ、そうか」と呟いた。
「あ~そういえばすず、こないだ誕生日だった……。もう十七じゃないのか、すず……もう一部の友達より年上だ……」
そこまで呟いて、ん? と手が止まるコイスル。年上……誕生日……。
「『としをとる』ってことで、『と』『し』をとればいいんだね!」
「としをとったら十八歳……いや、そりゃすずだ」
「謎の文からも『とし』をとってみましょうか」
セルマの言葉の通り、『とし』をとってから謎の文を紙へ写しとってみる。さらさらと書きだす桂悟の文字をそれぞれが覗き込みながら、文章は出来上がっていった。ちなみに答えのきっかけになった那由多だけは、後ろから仲間たちの姿を微笑みつつ眺めている。観察者であり傍観者たる彼女は、自ら動かない。
「残るのは『かぎはかいだんにだんめ』……」
「鍵は階段二段目! こ、これじゃない!?」
「確かにこれは玉手箱と聞いても、お話の内容が分からなければ解きようがありませんね」
じゃあ次は階段を調べよう、と五人が結論付けた時、別口から答えを探っていた霧華とユキノが帰ってきた。彼女たちはどうやら、ヒントを考えず「どうこの文章を弄ったら意味が通るか」で考えていたようだ。
「逆算して、ヒントの意味が今やっとわかりました……浦島太郎は玉手箱を開けて年を取る。『玉手箱』という単語に囚われ過ぎてしまいましたね……」
「ちなみに私は途中でわかったけどね」
「えっ!?」
私は頭が固いのでしょうか……と若干落ち込んだ霧華をユキノがよしよしとなだめつつ、一行は再合流した。何はともあれ謎が解けたのならば、次にやるべきは場所の捜索だ。しかし『階段二段目』では上から数えて二段目なのか下から数えて二段目なのかがわからない。手分けも考えたが「災魔が出てくるはずだし危険なんじゃないか?」という桂悟の言葉でその案は却下された。まずは手近な方から、ということで下から二段目の階段を探る。
「どんな災魔が出てくるかの情報はありません。私は警戒をしておきますね」
「そうねぇ、私も突然攻撃されないようにだけ、注意しておきましょう」
「はーい、捜索は私たちに任せて~」
一歩下がって警戒を強めるセルマに、まだ見ぬ災魔を心待ちにする那由多。捜索しながらも桂悟は杖を手に持ち直し、霧華はいつでも刀を抜けるよう手をかけている。一方でユキノたちは両手を使って重点的に捜索を進めていった。
「どこかが取れて中が空洞になっていたりしないのかな? うーんこっちにはないよ~」
「鍵で扉を開けたら、煙がもわもわーとでてきて、ぼくたちみんな、おばあちゃん、おじいちゃんになったりして!」
「そりゃまた恐ろしい罠だな」
捜索に飽きてきたのか、マイペースに腕を広げてそう笑うアリス。この扉が玉手箱だとしたら、最深部は竜宮城だろうか。じゃあ大魔王ってもしかして乙姫さま? というところまで話がズレたところで―――
「ん? なんだろうこれ」
「十八のすずは知的にまいります!」と呟きながら階段の裏へ回ったコイスルが、ぼんやり光る珠を見つけた。スイッチのような見た目に思わずコイスルの指がその珠に触れ……
ビーッビーッ! シンニュウシャハッケン! シンニュウシャハッケン!
「突然なんですか!?」
「あわわわわっ! もしかしたらすずのせいかも!?」
「とりあえずこちらへ! 集まって陣をとりましょう」
セルマの指示に従い他六人は彼女の元へ急いで集まる。大きな警戒音は鳴りやまず、猟兵たちは全方位を警戒しながら各々の武器を構えた。
ガシャン、ガシャンとどこからともなく音が聞こえる。複数の足音のようなそれはどんどん近づきはじめ、扉前の猟兵たちの元へ響き渡った。
「……! 来るぞ!」
桂悟の声と同時に、今まで何もいなかったはずの階段の裏から、わらわらと災魔が出現した。一同に緊張と、戦意が滾る。
彼らこそが『鍵の災魔』を守るガーディアンたちだ。つまり、猟兵たちは当たりを引き、次の段階へ進んだのである。
謎解きは終わった。次は彼らを倒すのみ。急ごしらえのパーティである猟兵たちはそれぞれが打てる最善を出すべく各々で次の行動を判断する。
侵入者を発見した災魔たちは即座に戦闘モードへと移行している。数秒後、彼らは攻撃を開始することだろう。
さあ、戦いの時間だ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『スチームゴーレム』
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POW : 対猟兵捕獲ネット弾
【対象の回避行動を予測した後、両腕】から【ユーベルコードを封じる捕獲用ネット弾】を放ち、【対象をネットで捕獲する事】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD : 掘削用誘導弾ランチャー
レベル×5本の【先端が削岩用のドリルになっている、機械】属性の【、迷宮の壁や床を掘削して襲来する、誘導弾】を放つ。
WIZ : ニューバイパス
【迷宮を掘削して構築していた別通路を利用】【して、対象を包囲する様に別部隊が攻撃】【を行い、部隊間で連携して攻撃する事】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
イラスト:猫家式ぱな子
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
コイスル・スズリズム
スチームゴーレム
からとしをとると……。
そもそも年をとりようがないね。
じゃあ、やろっか。すずが押しちゃったし……。
袖口から取り出すのは玉手箱ならぬ
「物を隠す」て、た、12のドラゴンランス
18のすずはドラゴンランスで知的に参ります。
いや、知的さのかけらもないか?ひひひ
初手で範囲攻撃で残像を撒く。こうすると12のすずが幾つだ?いいや
全力魔法を込めた【UC】で攻撃
対象の範囲は「敵」全部。
ぎりぎり届く50mの距離をとりながら、上述で攻撃する
防御は
残像を撒きつつ「見切り」
本体にあたりそうなら12のランスで武器受け
他と共闘の場合
弱ってる対象を積極的に狙い数を減らす
誘導弾は誘導弾ごとUCの対象にして撃ち落とす
「ガガガガ、シンニュウシャ、ピピー、カクニン」
ぶしゅーっと音を立てて蒸気を噴き出し、その機構を猟兵たちへ向けるスチームゴーレムたち。かつて災魔が己らのしもべとして作りだした彼らは、迷宮を広げ邪魔者たちを排除する使命を持っている。それを果たすためだけに着けられた無駄のない彼らの機構は、猟兵たちにとっても脅威だ。
「んー……じゃあ、やろっか。すずが押しちゃったし……」
少し間延びした雰囲気のまま、猟兵たちの一団からひとり、コイスル・スズリズム(人間のシンフォニア・f02317)が歩み出た。ひらひらと揺らす左の袖口からチラリと小さなドラゴンが顔を出す。
「スチームゴーレムからとしをとると……。ん? 『と』も『し』もないし、そもそも機械だから年をとりようがないね」
出てきてもいい? とでもいうように外を伺っていた一匹のドラゴンがコイスルの袖口から飛び出した。その子に続き、一匹、また一匹とその袖口からドラゴンが飛び出してくる。
小柄と言えど彼らは立派なドラゴン。その袖口にどう隠していたか。それは女の子のヒミツである。
玉手箱でもなく白い煙でもなく、取り出された十二のドラゴンたちはコイスルの周囲をくるくると飛び回り、その姿を槍へと変えた。守るように浮遊する彼らと共にコイスルは標的へ当たりを付ける。
……歳をとらないゴーレムといえど、積み重なる年月からは逃れられない。それが過去の存在、オブリビオンならば、なおさら。どこかに軋みや故障、合わない歯車なんかが、あるはずだ。そしてそれが多い個体から、さっさと倒して数を減らす。
「十八のすずはドラゴンランスで知的に参ります。……いや、知的さのかけらもないか? ひひひ」
地を蹴り、スチームゴーレムたちの間を駆け抜けたコイスルのスピードによって、彼女の残像がばらまかれる。彼女たちによってスチームゴーレムの狙いは大きく攪乱され、残像に向かって攻撃を仕掛けては空振りするを繰り返している。
「こうすると十八のすずが幾つだ? まあいいや」
残像の中のひとり、本物のコイスルがつぶやく。その声がした方へ数体のゴーレムが両腕をそちらにむけ、ネット弾を撃ち放った。ユーベルコードを持つ猟兵さえも捕えるネット弾。しかし、狙った相手が悪かった。
そもそも呟いたその場所に、コイスルが居続けるわけがないのである。
「出来る限りの全部を壊すよっ!」
その声に反応するように、十二の槍が迷宮内を舞い踊った。攻撃できる範囲内の、できるだけ多くを打ち壊す。弱っている個体は念入りに、確実に破壊できるよう重点的に。忙しなく残像をばらまくコイスルと共に、ドラゴンたちはダンスに興じた。
突き刺され、打ち弾かれ、はたまた衝撃波にやられて、スチームゴーレムたちが数を減らしていく。回避を捕捉されるのならばすぐにまた動けばいい。迷宮を埋め尽くすゴーレムたちが一体残らず壊れてしまうまで、コイスルと竜たちのダンスは終わらない。
成功
🔵🔵🔴
ユキノ・サーメッティア
「宝探しにハードルは付き物ってやつだぁねぇ」
宝探しか?って聞かれたら、
さぁ?どうなんでしょう?って答えるしかないけど
とはいえ、このままじゃあ取り囲まれちゃうか…!
自分の周囲にα・β・γの浮遊盾を展開
盾にオーラ防御を張って、盾受けさせましょう
オーラ防御張ってるから、盾の見た目以上にカバー範囲は広め
防御を浮遊盾に任せて自分は選択したUCでの巨躯の全身鎧を召喚
【衝撃波】を伴った【なぎ払い】で【2回攻撃】を
呼び出した鎧にトレースさせて
包囲に穴を開けてやりましょう
さらには【鎧無視攻撃】で相手のボディを凹ませてやろー
(凹むだけで済むのかって気もするけど…)
「宝探しにハードルは付き物ってやつだぁねぇ」
宝探しかどうかはともかくとして。猟兵たちは扉を開けるべく鍵を求めているのだから、その障害になる彼らはどうやったって敵なのだ。
「のんきに構えていたけど、このままじゃあ取り囲まれちゃうか……!」
一体一体は弱くとも、プログラムされているゆえに彼らの連携には無駄がない。敵対者を捕獲し排除させることに特化した彼らの戦い方は厄介だ。どうせなら侮ってくれればいいのだが、網で捕えてから確実に仕留めるという戦法をとる辺り、設計者は機械の貧弱さと敵の強力さを油断なく認識している。
「それならいっそ、穴ブチ開けちゃお」
ユキノ・サーメッティア(空白・f00911)の周囲に三つの盾が現れる。ふわふわと浮遊するそれはユキノのオーラと合わさって鉄壁の防御と化す。α、β、γと短く呼ばれた彼らが何でできているのか、どうやって宙に浮いて居るのか。それはユキノにすらわからない。それでも彼らは忠実に、敵陣へ飛び出したユキノを守り続ける。
飛び込んできたユキノを警戒するようにスチームゴーレムたちは空間を作り、その両腕をユキノへ向けた。銃へ変形する機構を持ったその腕は、敵を捕らえるネットを弾にして、標準をユキノへ定める。
ボンボンボンッと周囲からネットの撃たれる音がしても、ユキノは焦らなかった。己の周囲は三つの盾が守っており、たとえネットにかかってもこの位置から動けなくなるだけ。手足が無事なら、召喚に影響はない!
「……これが私の奥底に眠る一つの仮面。おいで、蹴散らすよ!」
ユキノの呼び声に答えるように、どこからともなく巨大鎧が出現した。ガシャンガシャンと大きな金属音を立て、迷宮内に転がったそれはひとりでに浮き上がり、ひとつの形をとる。それは額に角を、背中に一対の羽根を持つ白き鎧で、かの幻獣のような神々しさを持っていた。
「はぁぁぁっ!!」
ブンッとユキノが盾の中で剣を振るうと、巨大鎧も同じように剣を振るった。一斉に薙ぎ払われたスチームゴーレムはバラバラに砕け散り、そして直撃こそしなかったものの衝撃波に吹き飛ばされたゴーレムも壁に打ち付けられて動作を停止した。ユキノを盾ごと捕えんとネットを撃ちこんでいたゴーレムたちは返す刃で無残に叩き潰される。
「ボディを凹ませてやろー……って思ったけど、凹むだけじゃあ済まなかったねー」
ぐしゃぐしゃの鉄塊になったスチームゴーレムを見てユキノは肩をすくめた。一気に仲間を失ったゴーレムたちは怯えこそしないものの、形勢不利を悟って後退する。それによって、完全な包囲網は失われた。
「さぁて、次々いくよー! なんせメインディッシュはまだだからね!」
支柱を失ったネットを振りほどきユキノは改めて武器を構える。より自由になった彼女はより多くを倒そうと、巨大鎧と共に戦場を駆け抜けた。
成功
🔵🔵🔴
アーネスト・シートン(サポート)
あ、わたくし、アーネストと申します。
まぁ、動物は好きですね、虫以外は。
まぁ、やることとすれば、動物を呼んだり動物を呼んだり動物を呼んだり。
まぁ、竜などのデカブツや、相手が喰えない相手なら、銃をぶっ放しますけど。
「機械のガーディアン……あまり興味がありませんね」
ぽつりとそう呟き、アーネスト・シートン(動物愛好家・f11928)は階上から戦場を見下ろした。遅れてやってきてみたはいいが、謎はすでに解かれ先陣の猟兵たちとは敵で分断されている。できるのはここから援護射撃するくらいだろう。
「オオカミたちを呼んでもいいですが……数が多い上、装甲が硬そうで彼らが心配ですね」
小動物やオオカミを呼び、彼らを使役するのがアーネストの戦い方だ。体の小さな小動物たちはゴーレムたちの間をすり抜けて行動できるし、オオカミの群れの結束力はゴーレムの連携プログラムにも勝る。だがアーネストがそれをしないのは一概に、呼ばれる動物たちの身を心配しているからだ。
オオカミたちの大切な牙が、硬い装甲で傷つくなんてことがあってはならない。もし勝ったところでオオカミたちが食せる肉でもないので、ますます呼び出す気が引ける。
「わたくし自身が、自らやるしかありませんか」
吹くか悩んでいたハーモニカを懐へしまい、肩から下げたスナイパーライフルを手に取る。ガション、と弾を装填し、その銃口を彼らへ向けた。
相手はとにかく数が多い。手数を優先してぶっ放そう、とアーネストが標的を絞ったその時。一体のスチームゴーレムのカメラが、ぐるりと、アーネストを捉えた。
「っ!」
勘の鳴らした警鐘に従い、アーネストは真横へ跳ぶ。先ほどまでいた場所に巨大なネットが放たれ、階段へ被さった。跳ぶと同時に撃ち込んだ銃弾は相手のカメラを破壊し、警戒音を鳴り響かせる。それに反応したゴーレムたちが一斉にアーネストへ銃口を向けた。
「やはりっ、呼ばないでっ、正解ですねっ!」
飛来するネットを避けながらアーネストは銃を撃ち続ける。自分が捕まるのが早いか、彼らが倒されるのが早いか。動物たちが密猟のように捕らえられるよりはマシですかね、とブレない思考のまま、アーネストは回避と狙撃を続けていた。
成功
🔵🔵🔴
セルマ・エンフィールド
この後にもまだ戦闘は控えています。無理はせず正着手でいきましょうか。
【氷の狙撃手】を用い「フィンブルヴェト」で後方から他の猟兵の『援護射撃』を。
誘導弾は数は多いですが、掘削しているなら『聞き耳』で音に注意すれば壁や床の中にあっても近づいていることは把握できる。対処できないほどの数の誘導弾に囲まれないよう位置取りを変えつつ、こちらを狙い壁や床から出てきた誘導弾をフィンブルヴェトの銃剣や銃底で『なぎ払い』するように『武器受け』し防ぎます。
敵が誘導弾を放つ予備動作を『見切り』することができたなら、攻撃行動に移ろうとした敵から『クイックドロウ』『スナイパー』で狙い、誘導弾を放つ前に仕留めていきます。
西条・霧華
「…あなた方に恨みはありませんが、立ち塞がるのならば斬らせて頂きます。」
今あなた方を目覚めさせたのは私達でも、永遠に謎が解けなかったとは言い切れません
ですから今、私は守護者の【覚悟】を持って防衛者であるあなた方を斬ります
ごめんなさい
せめて安らかに眠って下さい
【残像】を纏って眩惑し、【破魔】と【鎧砕き】の力を籠めた[籠釣瓶妙法村正]にて『幻想華』
敵の誘導弾は【見切り】つつ、【残像】と『幻想華』の不規則な軌道で眩惑し、回避を試みます
【見切り】の段階で回避が困難だと判断した時は、【武器受け】しつつ【オーラ防御】と【覚悟】を以て受け止めます
受けた場合は、返す刀で『幻想華』を【カウンター】として放ちます
行く手を阻むゴーレムたち。彼らは迷宮の一部として、鍵である災魔を守ろうとする。ガーディアンの役割を持った彼らにとっては、猟兵たちは相容れることのできない侵入者でしかないのだ。
「この後にもまだ戦闘は控えています。無理はせず正着手でいきましょう」
セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)の言葉に、同意と西条・霧華(幻想のリナリア・f03198)はうなずいた。愛銃、フィンブルヴェトを構えるセルマを守るように、霧華は前へ出る。
「できうる限り援護します。霧華さんは思うように動いていただいて。大丈夫です、誤射はいたしませんから」
「はい、よろしくお願いします。絶対に、セルマさんまで敵を到達させません」
籠釣瓶妙法村正による、“幻想華”の構え。相手の数が多い以上、幻惑しながら確実に数を減らしていく戦法が有効だろう。セルマの援護射撃と霧華の居合術で、できうる限りゴーレムを破壊する。
「……あなた方に恨みはありませんが、立ち塞がるのならば斬らせて頂きます。ご覚悟を」
彼らは機械だ。役割しか持たぬ以上、そこには覚悟も信念もない。前へ現れなければ斬ることもなかった相手。それでも霧華は躊躇う気はなかった。
迷宮の防衛者と万物の守護者。今防衛者を目覚めさせたのは猟兵たちでも、この先永遠に謎が解けなかったとは言い切れない。その時スチームゴーレムたちは同じように銃口を侵入者へ向けるだろう。そのとき狩られる命を守るためにも、霧華は引けない。
錆びついた機械音を立ててスチームゴーレムは背中の機構を開いた。きらりと鋭い光が反射する。その切っ先は猟兵たちではなく壁に向けられ、グィィィィンと音を立てて回転を始めた。
「!」
そのドリル弾が放たれる前に、絶対零度の弾丸がそのゴーレムへ突き刺さった。パキン、パキンと音を立てて氷がその身を多い、ドリル弾を凍てつかせる。
「凍てついたものから斬ってください。できるだけ速く、数を減らしましょう」
セルマの氷結弾はあらゆるものを凍てつかせる。そして氷漬けにされたものは劣化しやすく、砕かれやすい。霧華の籠釣瓶妙法村正であれば簡単に粉々にしてしまうだろう。
「―――行きます」
トッ、と軽やかに、霧華は走り出した。背後から追い越すように飛来する氷結弾と共に戦場を駆け抜ける。残像を残し走り抜ける彼女に対抗せんと何体かのゴーレムがドリル弾を撃ちだそうとしたが、予備動作を見切ったセルマに凍てつかされてしまう。そして氷漬けになってしまったゴーレムは、霧華に砕かれるのを待つことしかできない。
それでも何体か、仲間の影に隠れてドリル弾を撃つことが叶った機体たちがいた。放たれたドリル弾は迷宮の壁に、床に潜り込み掘削音を立てながら姿を消す。
迷宮の壁内を縦横無尽に掘り進めるドリル弾は二人の敵対者に牙を剥かんとそれぞれに散った。ひとつは床から、ひとつは天井から、ひとつは背後の壁より、セルマと霧華へ迫る。
ドゴッと音を立てて、セルマの背後からドリル弾が飛び出した。誘導されたドリル弾はその刃をセルマの背中に突き刺さんと勢いよく飛来し、彼女の体へ迫る……!
「……数は多いですが、掘削しているために音が出る。それで不意打ちを狙うなど、甘く見られたものです」
飛び出した複数のドリル弾をセルマは銃剣で器用に受け止め、薙ぎ払った。撃ち返されたドリル弾たちは横ばいに壁へ叩きつけられ、推進力を失う。追撃しようと頭を出したドリルへは氷結弾が襲い掛かった。
「……居合術の本領、それは“反撃”です」
小さく、静かな霧華の声。セルマと同じくドリル弾に襲われていた彼女は一度鞘に納めた籠釣瓶妙法村正を再度抜刀した。残像の中で唯一の本物であった彼女の刃は、飛来するドリル弾をいなし、その矛先を少し逸らした。推進力のままに、ドリル弾は変わらず襲い掛かる。
ずれた先には数体のゴーレムがいた。集った彼らに数本のドリル弾は止まることなく飛びかかり……轟音を立てて、その身へ大穴を開ける!
迷宮の壁さえ砕くドリルは簡単にゴーレムたちを貫通し、彼らを破壊した。ただの鉄くずとなった彼らに、ふたりの猟兵は息をつく。
「……少しは、減らせたでしょうか……」
「上出来だったと思います。まだ油断はできませんが、これで戦況は一気に傾いたでしょう」
ゴーレムの砕ける破壊音の響く戦場。彼らの最後の一体が沈むまで戦闘は続く。その先には、この扉の鍵である災魔が待っているのだ。かの災魔を倒すまで、猟兵たちの任務は終わらない。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
上城・桂悟
さて、ここからが本番ってわけか。ゴーレムとかいかにも迷宮の番人っぽいが、まだ強い災魔もいるみたいだし気を引き締めていかないと
高速詠唱や全力魔法も使った水・氷属性攻撃で確実に一体ずつ攻撃していく。仲間の状況によっては魔法の援護射撃や誘導弾でサポートに回る
敵の攻撃は見切りや第六感も利用して回避。敵の数も多いし、出来る限り戦場の様子を確認しながら戦う
状況に応じて【水蛇変化】も使っていくが、その際は周囲の状況に気を付けて使用。無機物を変換するUCだから、戦場に影響が出たら大変なことになるからな
他の人との絡み・アドリブOK
アリス・フォーサイス
こんなにいっぱい、どこにいたの!?
連携が厄介だね。連携行動を予測し、行動先をウィザード・ミサイルで攻撃することで、連携を妨害するよ。
数が多いから大変だけど、行動予測演算を並立で行って、各個体を把握していくよ。
連携がとれなくなって弱体化したところで各個撃破していき、数を減らすよ。数が減れば、連携もとれなくなるでしょ。
相手の攻撃は見切って、避けていくよ。残念でした。当たらないよ。
鳳城・那由多
まぁ、可愛らしいゴーレムさんね
この子を倒したら災魔が出てくるのかしら
皆さん怪我しないように頑張ってくださいね
後方で【歌唱】でUCを使用し
皆さんの怪我を癒やして援護しますね
【優しさ】のある暖かな歌で包んであげましょう
ゴーレムさん達にはこの歌が届かないのは、少し残念ね
ゴーレムさんからの攻撃は【呪詛】で動きを阻害しながら
パラソルの槍で受け流して回避しますわ
あまり自分から動くのは好きではないのですが
災魔さんを見たいですし、ごめんなさいね
【ランスチャージ】で攻撃して
ゴーレムさんに退いてもらいますわ
「も~! こんなにいっぱい、どこにいたの!?」
ワイヤーを用い、襲い来るスチームゴーレムをバラバラにしながらアリス・フォーサイス(好奇心豊かな情報妖精・f01022)は声を上げる。猟兵たちの奮闘により減ってはきたが、それでもゴーレムたちの数は多い。しかも、劣勢を悟っているようで連携を強めた戦法をとるようになってきており、油断は一切できない。早く鍵の災魔とやらに辿りつきたいのに! とアリスはむくれる。
「可愛らしいゴーレムさんたちだけれど、倒さないと……鍵の災魔さんを見たいですし、ごめんなさいね」
白銀のパラソルでゴーレムを突き崩し、鳳城・那由多(傍観察者・f22037)は眉を下げる。あまり自分から動くのが好きではない那由多にとってこの戦闘は気乗りしないもの。それが長く続けばため息も漏れるだろう。
「ゴーレムとかいかにも迷宮の番人っぽいと思ったが、この数はな……。まだ強い災魔もいるはずだし、できることならそろそろ締めにしたい、が」
上城・桂悟(静かに佇む蒼月・f04997)の放った水魔法が那由多へ銃口を向けていたゴーレムへ直撃する。形のない水はぬるりとゴーレムの機構の中へ入りこみ、蒸気の通る道をふさいで活動を停止させた。
桂悟がぐるりと、戦場を見渡す。個々としてではなく群として敵を認識してみれば、なるほど確かに規模は小さくなっていた。代わりに転がっているのはただの鉄塊と化した元々スチームゴーレムだった部品で、命の灯らしきものはとっくに消えてしまっているようだ。
「あれなら、使えるな……」
「なになに? 突破法? もうざざっとやっちゃってよ、ぼく飽きちゃいそう!」
「何か妙案があるのですか? 桂悟さん」
二人に問われ桂悟はゆっくりと頷いた。そしてその手にある蒼いロッドを胸の前に構えなおす。装飾された水晶が、キラリと輝いた。
「戦場に影響を及ぼす技だから慎重にやりたい。アリス、那由多さん、協力を頼めるか?」
桂悟の言葉に、アリスはニッと破顔し那由多はいつも通りの笑顔を浮かべた。言葉はなくとも、それだけで答えは伝わる。
「よーし、じゃあぼくたちは足止めだねっ!」
改めてアリスが闘志を向けたのと同時に、ゴーレムたちも動き出した。連携をプログラムされた彼らにとっても言葉は不必要な物。大勢いたゴーレムたちはその連携をフルに活かせるようにいくつかの部隊へ分かれ散った。その内の一部隊は、騒々しい音を立てて迷宮の別通路へ姿を消していく……。
「なんて、行かせないよっ!」
アリスの掲げたウィザードロッド……型の情報操作端末。その先から生み出された炎がいくつもの矢に形を変え、ゴーレムたちへ降り注ぐ。通路をくぐらんとするゴーレムたちに重点的に降り注いだそれは、迷宮の壁ごと爆破して崩し、スチームゴーレムを下敷きにして通路をふさいだ。
「さあ次っ!」
分かれた部隊はひとつだけではない。行動予測演算により導き出された場所へアリスは炎の矢を飛ばす。情報の妖精たるアリスだからできた並立思考。それによって的確に、連携の懸念は摘まれていく。
いたずらに数が減ることに焦れたか、始めよりアリスたちの正面を陣取っていた部隊がアリスへと突進を始めた。ガタゴトと音を立て走りより、その手の銃からアリスへ弾丸を撃ち出す。
「残念でした。当たらないよ」
その弾を見切り、とんっとんっと軽やかに避けるアリス。避け続ける彼女が跳ねるままに迷宮の壁へと近づいたとき、異変は訪れた。
「……えっ」
轟音を立ててアリスの横の壁が突き崩される。そこから飛び出してきたのは先ほど潰したはずのゴーレムだった。
別動隊は連携される前に潰したはず。どうして。そんな思考が一瞬、アリスの並立思考を止めてしまった。飛び出してきたゴーレムの機械仕掛けの剛腕が、アリスへ振り下ろされる。はさみうちで攻撃される衝撃を思い浮かべ、思わず目をつむったアリスの視界に、真っ白な影が滑り込んだ。
「あらあらまぁ、可愛らしいゴーレムさんね」
白銀のパラソルによって受け流された一撃は迷宮の床にめり込み、ゴーレムに大きな隙を作った。その一瞬を逃すことなく、那由多はランスチャージを叩き込む。ゴキンッと内部の機構を破壊され、ゴーレムは沈黙した。
「アリスさん、そちらはお願いしますわ」
「はっ! うんっ、ありがとう!」
残りの炎の矢を叩き込んで、アリスは那由多へ笑いかけた。その体に、顔についてしまった擦り傷を見て、那由多は悲し気に眉を下げる。
「アリスさん、怪我が……」
「あ……でもすぐ治るし、大丈夫だよ」
私がもっと早く割り込めばよかったですね……とアリスを労わる那由多がその口を開けかけた時、トンッと床を突く音が迷宮へ響いた。
「正直少しヒヤッとしたが……二人とも、ありがとう。後は任せてくれ―――!」
詠唱を終えた桂悟がそう告げ、二人を自分の後ろへ下がらせた。二人のおかげで無機物はさらに増えた。あとはものわかりの悪い残りのスチームゴーレムたちに、終わりを与えるのみ!
「一時の間、水蛇に変われ! トランスフォーム・アクアサーペント!」
轟ッ、と音を立てて、その杖より蒼い光が放たれる。蛇のようなそれは戦場に転がる無機物たちに次々吸い込まれていき、その姿を変えた。はじけ飛ぶようにそれらは水へと変わり、その水が蛇の形をとって牙を剥く。
無機物が大きければ大きいほど、その姿は大きく。元々スチームゴーレムだった無機物たちなどは大蛇へと変貌してかつての仲間たちへと襲い掛かった。
水には形があらぬゆえ、どこにでも入り込むことができる。侵入を防ぐべく振るわれたゴーレムの腕に霧散させられても、それを嘲笑うかのように水蛇は元の形に戻り、蒸気を排出する穴からゴーレムの内部に侵入した。
穴をふさぎ、内部で暴れまわり、その機構を滅茶苦茶に破壊する。破壊され無機物と化せばまた次々と水蛇へと生まれ変わり、次の標的へ襲い掛かるのだ。
数を減らしたゴーレムたちが水蛇に蹂躙するのを眺めながら那由多は肩をすくめた。……どうせなら、ゴーレムさん達にも私の歌が届けばいいのに。
そんなことを思いながら那由多はそっと、唇に歌を乗せた。
「あ……」
暖かな歌を耳にしたアリスが、心地よさそうに目を細めた。彼女の顔や体についてしまった傷が、みるみるうちに塞がっていく。癒しの歌に治療されながら、アリスは嬉しそうに礼を言った。
「やれやれ……これで終わりそうだな」
桂悟の言葉の通り、パキンと乾いた音を立てて最後のゴーレムが破壊された。最後の水蛇として生まれ落ちた一匹の元へ、すべての水蛇たちが身を寄せていく。積み上がり、絡まり、そして体を落ちつけた水蛇たちは、眠りにつくようにその場で動きを止めた。その体が、幻覚がとけたように無機物へ戻っていく。
残ったのは瓦礫の山と、妙に綺麗になった空間、そして扉だけになった。ガーディアンだったスチームゴーレムたちは猟兵たちによって全滅した。
先ほどまでうるさかった空間が嘘のように静まり返る。その静けさを味わう時間もなく、猟兵たちの耳へ新たな機械音声が届いた。
それはスチームゴーレムたちのようなチグハグな言葉使いではなく。彼らは自然と、新たに現れたそれが、鍵の災魔であると理解するのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『マッド・メイズ・メイカー』
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POW : 自己防衛機構、起動
自身の【青い巨大コア】が輝く間、【コアから放たれる魔力の砲撃】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
SPD : 災魔、罠、設置開始
【召喚した大量の災魔や迷宮の罠】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ : 迷宮、構築・拡大・変形
戦場全体に、【感覚を狂わせる蒸気を吹き出す魔道蒸気機関】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
イラスト:純志
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「照崎・舞雪」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「ガーディアンの破損を確認。補充を要求致します」
流暢にしゃべる、無機質なシステム音声。その体の大部分を占めるコアを青く明滅させながら、“鍵の災魔”マッド・メイズ・メイカーは姿を現した。
迷宮を自由に浮遊し、目に悪い光を放ちながら、音声は続く。
「迷宮の重大な破壊を確認。被害、甚大。修復を求めます……」
その光に応えるように、不可思議な迷宮はひとつの瞬きの間に壁を修復した。集められた残骸の山も、嘘だったかのように消え去っている。
「被害状況、侵攻状況、確認。被害は甚大。侵入者の退去を求めます」
まるで迷宮の主であるかのようにふるまうマッド・メイズ・メイカー。実のところ、この空間においてはこのオブリビオンが支配者なのだろう。心もなく迷宮を存続させるだけのシステム。スチームゴーレムたちと同じく、オブリビオンたちに作られた、侵入者を阻む役割の存在だ。
「……警告、退去しなければ敵対者とみなし、排除を行います。警告、今すぐここから退去してください」
その警告にいまさら怖気づく猟兵たちではない。ここまで来たのだ、今更扉を開けずに地上へ戻れようか。
「……退去の意思が見られませんので、敵対者とみなします。侵入者は排除。命令を執行いたします」
冷たい音声で告げられた排除の宣告。望むところだ、と猟兵たちは各々の武器を抜いた。
コイスル・スズリズム
迷宮を存続させ続けたあなたには
いくらかの敬意があるよ
待ってたんでしょ?
あなたの仕事がそうならば
私の仕事をもってして、あなたに意義を与えてあげる。
じゃ始めよっか
初手は残像を範囲攻撃で複数撒く
残像で「おびき寄せ」をしている間
「見切り」を用いながら相手の技を確認する。
当たりそうならば防御は「武器受け」で。
ある程度相手のUCを確認できたら
魔法学園の生徒として
攻撃に用いるのは魔法のうちのひとつ
全力魔法を空間魔法に込めた「UC」
袖口に相手の攻撃を無効化しようとする。
共闘の場合は上述の残像、見切り、武器受け
あるいはUCを仲間への攻撃を守るように利用し、
他の人が戦いやすいように、フォローに徹する動きをするよ。
西条・霧華
「お互いに護るべきものの為に、こうして戦うしかないのですね。」
ですが、定めとして防衛する事と、想いとして守護する事は似て非なるものです
だからこそ私は、守護者の【覚悟】を以てあなたと対峙します
優劣を競うつもりはありません
ただ私は「そう在りたい」と願うから、そうするんです
『無名・後の先』で誘った敵の攻撃を【見切り】つつ【武器受け】
纏う【残像】で敵を乱し、【破魔】と【鎧砕き】の力を籠めた[籠釣瓶妙法村正]にて【カウンター】
【見切り】の時点で反撃が困難だと判断した場合
【武器受け】しつつ【オーラ防御】と【覚悟】を以て受け止めます
私は私が護りたいと願う「皆が幸せな世界」の為に、負けるわけにはいかないんです
「あれが、“鍵の災魔”……」
退去を促す合成音声を聞きながら、西条・霧華(幻想のリナリア・f03198)は小さく呟いた。迷宮を生み、守る存在であるマッド・メイズ・メイカーの在り方は、守護者を志す霧華に少しだけ通ずるものがある。だが、定めとして防衛する事と、想いとして守護する事は、共通点以上に根本で異なるものだ。
「お互いに護るべきものの為に、こうして戦うしかないのですね」
優劣を競うつもりはない。ただ霧華が「そう在りたい」と願うゆえ。霧華は守護者としてマッド・メイズ・メイカーと対峙するのだ。
「私も、迷宮を存続させ続けたあの災魔にはいくらかの敬意があるよ。あの子は、ずっと私たちを待ってたんでしょ?」
固く、覚悟を高めていた霧華の肩をぽん、とコイスル・スズリズム(人間のシンフォニア・f02317)が叩いた。堅すぎ堅すぎ、と言いながら霧華の隣に並び、コイスルはマッド・メイズ・メイカーを改めて見上げた。
「あの子の仕事がそうならば、私たちの仕事をもってして、あの子に意義を与えてあげよう?」
「そう、ですね」
これは互いの譲れぬ仕事。霧華の願う「皆が幸せな世界」の為にも、負けるわけにはいかないのだから。ゆっくりと息を吸って、霧華はコイスルと共に、マッド・メイズ・メイカーを見据えた。
「……退去の意思が見られませんので、敵対者とみなします。侵入者は排除。命令を執行いたします」
警告を終えたマッド・メイズ・メイカーが警戒音を掻き鳴らしながら、より高所へ浮かび上がる。青い光を明滅させながらマッド・メイズ・メイカーは耳障りな合成音声を再度放った。
「迷宮、構築・拡大・変形。防衛を行います」
「……っ来ます!」
「よし。じゃ、始めよっか」
掻き鳴らされたブザーと吹き出す蒸気が迷宮内に充満する。音と視界が阻害され、お互いを守るように霧華とコイスルは身を寄せ合う。
さあ、どうくる。敵の攻撃を蒸気の向こうからでも察知できるよう、コイスルは目を光らせた。すべてを見切ってから、反撃は開始しよう。上手く見切れれば得意の空間魔法で攻撃を無効化できる。多数が相手でも立ち回れるはずだ。
そう思い、袖の長い左腕を少し揺らしたその時。目の前の蒸気が一斉に晴れた。
「えっ……!?」
思わずコイスルは驚愕の声を漏らす。想定していた大勢の敵も、マッド・メイズ・メイカーの攻撃もそこにはなく、先ほどからは大きく様変わりした迷宮が静かに二人の道を遮っていた。
「こ、れは……みなさんは!?」
「分断されちゃったねー……」
背中を触れ合わせていた霧華とコイスルは共に辺りを見渡した。壁に囲まれ一本の道となった迷宮は少し窮屈で、先の見通しが立たない。戦うには面倒な作りになってしまった上、蒸気によって度々方向感覚が狂わされる。
見上げてみれば先ほどと変わらぬ位置にマッド・メイズ・メイカーは佇んでいるのだが、二人の手はこの迷宮の支配者に届きそうにない。青く明滅する光は、空中から猟兵たちを観察しているようだった。
「分断、確認。各個撃退を開始します」
不意に、目のないはずのマッド・メイズ・メイカーの視線が、向けられたような気がした。その直感に従って二人は後ろへ跳ぶ。放たれた青い光線は止まることなく二人を襲い、迷宮の床を焼いた。
「これは、よくありませんね……!」
刀を抜き放ち霧華はその光線を斬る。仁王のように立ちはだかり背後にコイスルをかばいながら籠釣瓶妙法村正を振るった。
「攻撃は、防げます……! ですが、このままでは……」
マッド・メイズ・メイカーの光線がいつまで続くかも、迷路の出口がどこにあるのかもわからない。圧倒的に情報が不足している中では反撃の機会も伺いにくい。この構えをとった霧華はほぼ無敵であるが、攻撃を裁くことに集中を割かれている状態では、反撃の糸口が見切れなかった。
「撃っているのはコア……あそこが弱点だろうけど、もし一撃をいれるのなら……」
霧華の背後からマッド・メイズ・メイカーの攻撃を集中して見切っていたコイスルにはまた別の見解があった。霧華が身をとしてかばってくれているからこそ見えた光明。その反撃の糸口を、コイスルは脳内で策として組み立てていく。
「霧華さん、構えを解いたらあの子のところまで跳べる?」
コイスルの問いかけに霧華は一瞬その視線を左右の壁へ向けた。そして光線を捌きながら思考する。……せまいこの道ならば、連続で壁を蹴ってマッド・メイズ・メイカーの元までいけるかもしれない。もちろん、被弾の心配がなく、好きに動ける状態なら、だが。
「光線がなければ、届くはず……いえ、届かせます!」
霧華の心強い宣言に、コイスルは微笑んだ。それならばきっと、あの災魔に一矢報いることができる。
「今から私が合図するから、その瞬間に構えを解いて。光線は私がなんとかするよ」
わかりました、と頷く霧華の肩を、ぽんと叩く。そこからコイスルは左の袖を揺らして、カウントダウンを始めた。
「さん……に……」
いち。コイスルの唇がその言葉を紡いだ瞬間、素早く霧華が斜め上に跳んだ。霧華の居た位置へ移動し左袖を構えたコイスルは全力の空間魔法を展開した。
ごうッ、と音を立てて生み出されていた光線すべてがコイスルの左袖へと吸い込まれていった。絶え間なく撃たれていたはずの光線は消え失せ、マッド・メイズ・メイカーの敷いていた弾幕が消滅する。その瞬間、霧華は自由になった。
「はァァァッ!!」
霧華の一閃が、マッド・メイズ・メイカーの一部分を砕いた。パキンッと音を立てて散ったそれは、霧華の思うより脆く。コアに刀が届かなかったことだけが悔やまれた。
「ビビビビッ! 破損を、確認。一時退避致します」
エラー音を響かせ霧華から離れ行くマッド・メイズ・メイカー。確かなダメージを与えたが迷路内へ再度降りた霧華の視界から、災魔は逃れていってしまった。ぱちんと刀を鞘にしまい、霧華はコイスルの元へ合流する。
「すみません、コアは斬れませんでした」
「ううん、ナイスプレーだったよ!」
お互いの健闘を称えあいつつ、彼女たちはまた迷宮を見渡す。マッド・メイズ・メイカーは退けたがここは未だ迷路内。他の猟兵たちと合流するには、ここを踏破する必要があるだろう。
「次は迷路かぁ……壊そうにもすごく硬いし、出口を探すしかないかな?」
「効率は悪いかもしれませんが、こう、壁に手を当てていれば必ず出られるとは聞いたことがありますよ」
マッド・メイズ・メイカーへの追撃は他の猟兵たちへ任せることにした彼女たちは、ゆっくりだが確実に、迷路を踏破することにしたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ユキノ・サーメッティア
「排除なんて言ってるけど、逆に排除してあげるよ」
剣を突き付けながら、そう宣言してやろう
引き続き、防御は自分の周りを飛び回る3つの盾に任せよう
それぞれに盾に【オーラ防御】を【全力魔法】で貼って【盾受け】させて
自分にも【オーラ防御】を張りつけて魔力の砲撃を受け切ってみるよ
選択したUCで【属性攻撃】で強化した風の塊を剣に纏わせる
砲撃が止んだ隙に【カウンター】
【衝撃波】も込めた風の塊を【2回攻撃】で叩き付けるよ
斬るというより鈍器を叩き付けるふうで、装甲とその内部を
歪ませちゃおー
アーネスト・シートン
いかにも、迷宮を作り出すだけの機械のようですね。
こういうのは、全てに置いて、危険な存在となりうるから、破壊したほうがいいですね。
基本的にはMSL命中力重視でコアを砲撃しておきます。
まぁ、ともかくとして、災魔を呼び出すなら、MSL連射モードで撃ちまくっておくし、迷宮を呼ばれた場合はUC『群狼召喚』でオオカミたちに出口を見つけ出してもらうところですけどね。「さすがに、迷宮に迷い込むわけには行きませんし」
罠が起動した際は、その罠をUC『小動物大騒乱』でげっ歯類に変換して無効化を狙う。
まぁ、相手に隙があればMSL破壊力重視でコアを狙いますよ。
「迷宮を作り出す装置なんて、不要だと思いますし。」
「いかにも、迷宮を作り出すだけの機械のようですね。なるほど、これは危険な……」
敵がいなくなったことで迷宮内まで降りてきたアーネスト・シートン(動物愛好家・f11928)は、マッド・メイズ・メイカーを見上げて息をついた。生物感の一切ない、人工的なフォルムの機械。アーネストの心は驚くほどに擽られなかった。
「こういうのは全てに置いて、危険な存在となり得ますし破壊したほうがいいですね」
「だよねっ!」
明るく元気な声にアーネストは振り返る。長身のアーネストからしたらかなり小柄で幼い少女、ユキノ・サーメッティア(空白・f00911)が悠々と直剣を手に笑っていた。その周囲は不思議な盾が浮遊しており、ユキノをしっかりと守っている。
「排除なんて言ってるけど、逆に排除してあげるよ、鍵の災魔さん?」
その剣をマッド・メイズ・メイカーへ突き付け、そう宣言するユキノ。そんな彼女に同意するように、アーネストはガシャンとライフルを鳴らす。そして弾の充填された銃口をマッド・メイズ・メイカーへと向けた。
「そうですね、迷宮を作り出す装置なんて、不要だと思いますし。さっさと破壊してしまいましょう」
一部を欠けさせたままのマッド・メイズ・メイカーはそのコアの光をチカチカと瞬かせて空中を浮遊している。二人の宣言と闘志が伝わったか、それともただの偶然か。二人に災魔の目が向いた。
「侵入者は、排除。敵対者は、排除」
「あっ、来るよ!」
瞬いていた光がより一層強くなり、集い編まれ、青色の光線となる。明確な攻撃意思を見せたマッド・メイズ・メイカーに、二人はそれぞれ防衛体制をとった。
その光線が二人へ飛ばされるその直前に、ユキノは素早く盾へ魔法をかけた。オーラを纏わせることでその防御力を高め、防衛力を確固たるものにする。三つを合わせて鉄壁と化した盾は一切の隙もなく、雨のように襲い来る光線を受け止めた。
盾を持たないアーネストは周囲の地形から情報を汲み、その眼で光線の射線を見極める。死角となる場所へ体を滑り込ませ、ひそかにマッド・メイズ・メイカーの挙動をうかがう。
期せずしてユキノが防御形態で囮に、アーネストは身を隠して隙を狙うという隊形を取ることができた二人。ユキノが斬りかかるにしても、アーネストが撃ち抜くにしても難しい戦況に、二人の間で緊張が走った。
「面倒ですね……」
ふう、と息をついてアーネストは一度壁に体を預ける。わずかに顔だけをのぞかせるようにして敵と、敵が放つ光線を観察し始めた。
「速い、多い、高威力……でたらめですね、まったく」
容易には当てられないと察したアーネストはその場に寝転がり、ゆっくりと照準を合わせ始めた。……威力を上げようが、当たらなければ意味がない。この弾幕の中で手数だけを闇雲に上げても無駄だろう。
「ユキノさん!」
「! なーにー?!」
「わたくしが撃ちます! 当たらずとも隙は作ってみせますから、その後をよろしくお願いします!」
アーネストの宣言の意図を正しく読んで、ユキノはニッと笑って見せた。その手の剣を砲撃の中で構えなおす。
銃口がマッド・メイズ・メイカーへと向けられる。その視力を存分に活かし狙いを定めたアーネストは砲撃のタイミングを見計らいながら、その瞬間を待つ。
絶え間ないように見えて光線の発射スピードにはムラがあるのだ。ほとんど勘でアーネストはそれを見極める……!
「……今ッ!」
その一瞬にかけて、アーネストは引き金を引いた。放たれた銃弾は光線の間をすり抜けまっすぐにマッド・メイズ・メイカーへ迫る。コアを狙ったその一撃は、遮られることなく迫っていき、コアを穿つと、思われた。
ふい、とコアの光が銃弾の方へ向いた。おそらくは直前になってギリギリ、マッド・メイズ・メイカーは己への攻撃に気が付いたのだろう。機械に似合わぬ動揺が、光線の発射の乱れに現れていた。
「隙ありッ!」
弾幕が乱れればそれに釘付けになっていた者を解放してしまうことになる。直前になってアーネストの銃弾を光線で防いだマッド・メイズ・メイカーだったが、もうひとりの動きを制することができなくなっていた。決定的に出た隙をユキノが見逃すわけもなく。風の魔力を存分に使い、マッド・メイズ・メイカーの元へと跳びあがる。
「よくも散々撃ってくれたねぇ……! これは、お返しだよっ!」
風の魔力を纏いに纏った剣はもはや風の塊と呼べるもので。もはや鈍器のようになっているそれをユキノは容赦なくマッド・メイズ・メイカーへ叩きつけた。
ベコッとひしゃげる装甲に構わずもう一撃。返す刃で叩きつけられた風の塊は衝撃波によって装甲ごと内部のコアにまで影響を与え、内部の精密構造を乱した。
「ががががッ」
「へーん、ざまぁみろっ!」
マッド・メイズ・メイカーが体勢を立て直し二人を再度迎撃せんとする前に、素早くユキノはアーネストの隠れ場所へと体を滑り込ませた。
確かな手ごたえがあった。内部へ与えたダメージは後々マッド・メイズ・メイカーへ響いていくだろう。次の機会をうかがいながら、二人は攻撃されないよう身を隠し続けていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
セルマ・エンフィールド
先ほどのゴーレムをいくら倒しても、これを排除しなければ同じなようですね……やりましょうか。
こちらも数重視とさせてもらいましょう。「フィンブルヴェト」から2挺のデリンジャーに持ち替え、【絶対零度の射手】を。回避されようと止められないのは難点ですが……これだけ災魔がいれば的には困りませんし問題ありませんね。
出来る限りその場で災魔を倒し、無駄な動きをなくすことで罠にかからないようにしながら応戦しつつ、ボスへの道をこじあけましょう。
災魔が途切れ、一瞬でも道ができたら『ダッシュ』。罠が発動してもそれによる攻撃の前に走り去る、あるいは『見切り』足を止めずに躱し、ボスへ接近して氷の弾丸の連射を撃ち込みます。
鳳城・那由多
まぁまぁ、これが災魔さんですのね
まるで迷宮の防衛システムのよう…
ふふふっ、実際は迷宮を占拠する悪い子ですわね
大丈夫ですよ、私が等しく愛してあげましょう
UCを使用してラルゴとヴィヴァーチェを召喚します
さぁ二人とも、皆さんと一緒に頑張りましょう
後衛から【歌唱】で動きを鈍らせる【催眠術】を使って
敵の動きを阻害しながら召喚した2人に攻撃させますわ
こちらに攻撃が来た場合は【呪詛】で攻撃を阻害して
その間に回避いたしますわね
ふふふっ、私に気を取られたら危ないですわよ?
※共闘・アドリブOK
「まぁまぁ、これが災魔さんですのね」
生み出された迷宮内からマッド・メイズ・メイカーを見上げて、鳳城・那由多(傍観察者・f22037)優艶と微笑んだ。度重なるダメージで飛行に支障をきたしながらも、なんとか空中に留まるマッド・メイズ・メイカーの姿はある意味ひたむきだ。所詮プログラムでしかないとわかっていても、その様子が那由多にとっては愛おしい。
「まるで迷宮の防衛システムのよう……ふふふっ、実際は迷宮を占拠する悪い子ですわね」
彼女をまるで護衛するように付き従う二つの影。黒き鎧の騎士と青白い炎を纏った狼がものも言わず静かに彼女の前と後ろを守護している。死へと誘うような見た目の二体はマッド・メイズ・メイカーと同じくどこか無感情で。オブリビオン同士通じるものを感じさせた。
ガシャ、と音を立てて騎士が立ち止まる。警戒するように剣を抜いた騎士に、冷ややかな殺気が向けられた。
「あら? セルマさん?」
しかし、那由多はその殺気をよく知っていた。
「! 那由多さんでしたか。失礼しました、敵の配下かと」
速やかにその殺気をしまい、セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)は小さく頭を下げた。いいのよ、と謝罪を流しながら、那由多は再会を喜ぶ。迷宮が出現しなおしてから、仲間たちとは完全に分離されていた。自分から動くことになるのかとあまりいい気はしていなかったのだ。
「先ほどから何度か狙撃をしているのですが迷宮をいじられて阻害されたり、敵や罠が作動して攻撃が通らないんです。合流出来て助かりました」
「私もラルゴとヴィヴァーチェの攻撃が届かなくて困ってましたの。……でもそれよりも、無事でよかったわ」
那由多さんこそ、と変わらず堅く接しつつ、セルマは妙な足音をその耳に捉えた。ガシャンガシャンと鳴り響く、聞き覚えのある音。那由多の騎士とはまた違う、機械の足音だ。
「あらあら、さっそく罠かしら?」
「あのゴーレムたちをいくら倒しても、迷宮の主を排除しなければ同じなようですね……やりましょうか」
セルマが二挺のデリンジャーを構えるのと同時に、那由多は騎士と狼を前に出す。壁の角から現れたゴーレムたちは迷うことなくセルマたちの方へ向かってくる。ちらりとセルマが空中を見上げれば、ゴーレムたちを見守るようにマッド・メイズ・メイカーが宙から戦場を見下ろしていた。
「出来うる限り援護しますね、セルマさん。今度は貴方が思うように動いてくださいな」
「わかりました、感謝します」
二丁拳銃に氷の弾丸をこめながらセルマは走り出した。その後を追うように騎士が走り、狼が地を駆ける。
一度連射を始めればもう止まることはできないが、もしものときの背後を二体が守ってくれるのならば、より自由に動くことができる。数の多い的に銃弾をばらまきながら、セルマはゴーレムたちの群を真っ二つに縦断した。
ゴーレムたちの陣形を乱したところでセルマはキュッと音を立てて動きを止め、振り返った。撃破を繰り返しながら密かに見極めたマッド・メイズ・メイカーの浮遊位置。あとは上へ飛び上がれる台かなにかがあれば……。
「セルマさん!」
那由多の声にセルマはハッと顔を上げる。見てみれば、那由多の騎士がその場に膝をつきセルマを待つように体を低くしていた。その意図を読み取り、セルマは走り出す。……間を邪魔するゴーレムは撃ち倒し、残りのものも那由多の催眠術がこもった歌に動きを鈍らせている。今なら、騎士まで一直線に駆け抜けられる!
走り寄ったセルマは最後に強く地面を蹴った。跳んできたセルマの足を騎士は上手く受け止め、思いきり空中へ放り投げる。
宙へ体を躍らせたセルマの銃口はふたつともブレることなくマッド・メイズ・メイカーを向いており。その二つの銃弾は的確に、マッド・メイズ・メイカーのコアへと突き刺さった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
アリス・フォーサイス
これが鍵になる災魔かー。
自身がダンジョンを作って、侵入者の排除もしてるんだね。働き者だな。
玉手箱のなぞなぞもこの災魔が作ったのかな?なんで他の世界の知識があるのかっていう点は不思議だけど。
召喚された災魔や罠はちびアリスに攻略してもらうよ。
「おまかせー。」
「わなはっけん。かいじょえんざんかいし。」
「あーれー。」
そのあいだ、ぼくは本体相手に全力魔法戦を挑むよ。
火、水、風、土、光、闇、どの属性が弱点かな?
魔力の属性を変えながら、試していくよ。
それとも、単純に魔力のエネルギーをぶつけた方が効率的かな?
相手の攻撃は見切りながら、絶え間ない魔法の攻撃をあびせるよ。
上城・桂悟
これが鍵の災魔か。この迷宮を管理出来る程の力を持っているみたいだが、ここまで来たからは引き下がるわけにはいかないな
引き続き水・氷属性の属性攻撃を高速詠唱や全力魔法も使って、戦闘の様子を観察しながら攻撃。見た目があれだから攻撃するのに効果的な場所などを探っていく。仲間の状況によっては魔法の援護射撃や誘導弾でサポートに回る
【凍結領域】は相手のUCが使用された際に使用。冷気で蒸気を相殺出来ればいいんだが。そうすれば機械も脆くなって壊せるかもしれないし
他の人との絡み・アドリブOK
「これが鍵になる災魔かー」
「この迷宮を管理出来る程の力を持っているみたいだが、ここまで来たからには引き下がるわけにはいかないな」
変形した迷宮の一角で上城・桂悟(静かに佇む蒼月・f04997)とアリス・フォーサイス(好奇心豊かな情報妖精・f01022)はぼろぼろになりつつあるマッド・メイズ・メイカーを見上げていた。欠け、ひしゃげ、弾丸を撃ちこまれたマッド・メイズ・メイカーはバチンバチンと火花を散らせながらもまだ懸命に飛んでいる。その能力自体にはまだ問題はないようだが、もう数発入れられればそれも危ういだろう、と桂悟は当たりをつけた。
「ししし、しんにゅうしゃ、はいじょ、じょ」
「自身がダンジョンを作って、侵入者の排除もしてるんだね。働き者だなぁ~」
「その働き者には悪いがいい加減倒されてもらわないとな」
マッド・メイズ・メイカーには大人しい鍵となって扉を開けてもらいたいところ。謎を解いて敵を倒すだけだと思ったら、再度こんな迷宮を探索させられて大分長い冒険となってしまった。弱りが見えているのなら徹底的に叩くまで。桂悟は杖を、アリスは情報端末を、それぞれ構えた。
「玉手箱のなぞなぞもこの災魔が作ったのかな? なんで他の世界の知識があるのかっていう点は不思議だけど」
「オブリビオンだし、別世界の過去が少し混ざったのかもしれないぞ。もしかしたら謎自体は別のヤツが作ったのかもしれないし」
短く詠唱を行いまずは小手調べと氷柱をマッド・メイズ・メイカーへ撃ちこむ。弾丸というには弱いそれにマッド・メイズ・メイカーは気が付き、すい、と体を動かして避けた。そしてそのコアが魔法の発生源である桂悟を捉える。
「はははいじょ、がが、ガーディアン、ようせい」
壊れかけの合成音声でマッド・メイズ・メイカーがそう唱えると、二人の前へ幻のようにスチームゴーレムの大群が現れた。即座に戦闘体勢へ入る彼らに、急がず慌てずアリスが杖の形をした端末を向ける。
「いでよ! ぼくの分身!」
その声に呼応するように、ぽんっぽんっ、とコミカルな音を立ててちびアリスたちが召喚される。アリスをそのままデフォルメしたような可愛らしい姿のちびアリスたちはきゃいきゃいと自由に、スチームゴーレムたちへ向かっていく。
「かれらはおまかせー」
「わなはっけん。かいじょえんざんかいし」
「がんばるぞー」
ちょこちょこ動き回るちびアリスたちにスチームゴーレムは手を焼いているようだ。銃を撃っては仲間に当ててしまったり、狭い迷路のせいで体を互いにぶつけたりと右往左往している。
「あーれー」
それでもやたらめったらに撃たれれば小さなアリスたちは簡単に爆風で、もしくは迷路内の蒸気で吹き飛ばされてしまうわけで。見かねた桂悟はまとめて援護せんと杖を掲げる。
「凍てつく白銀の世界をここに! 凍結領域!」
冷気によって迷宮内が凍てつき、床を氷に変える。噴き出す蒸気が若干緩和され、足元がおぼつかなくなったことでスチームゴーレムたちの動きも酷く鈍った。また冷気は機械の身を蝕む毒のようなもの。関節を凍り付かされ、蒸気をあげるための機構が固まって支障をきたす。そんななか、スケートの要領で自由に滑りまわるちびアリスたちは自由だ。
「つるつるー」
「わーい、がったいだー」
「よーし、ぼくも分身たちには負けないぞ!」
スチームゴーレムたちは完全にちびアリスたちに任せられるだろう。二人の猟兵は標的、マッド・メイズ・メイカーへ狙いを完全に絞った。
「火、水、風、土……それとも光か闇かな? キミの弱点を教えてよ!」
同時に演算され撃ち出された様々な属性の魔法がマッド・メイズ・メイカーを襲う。なんとか避けようと彷徨いながらもダメージは積み重なっていき、桂悟の誘導弾が度々被弾する。欠けた部品を宙に散らせながらも、マッド・メイズ・メイカーは往生際が悪く足掻き続けた。
「金属やその類は温度の影響を受けやすい。極限まで冷たくなった金属に熱湯を注ぐと簡単に割れるという話があってな?」
「なーるほど、じゃあ今のキミの弱点はこれだ☆」
アリスの端末の先へ巨大な火球が生み出される。邪魔されることなくしっかりと狙われたそれは桂悟の援護射撃をともなって、一直線にマッド・メイズ・メイカーへ迫っていく。冷気によって存分に冷やされたマッド・メイズ・メイカーの体が、一気に温められて悲鳴をあげた。
「めめめ、めいきゅう、いじ、ふふふ、ふかの、う……」
合成音声の最後の一言はそれだけだった。最後に放たれたアリスの純エネルギーの魔力弾が、既に砕けかけていたマッド・メイズ・メイカーへとどめを刺した。露出したコアの内部構造へぶつけられた魔力弾は、それを滅茶苦茶に砕き、破壊する。完膚なきまでにコアを壊されて、マッド・メイズ・メイカーはついに、その形を失っていった。
パッパカパーン、パッパラー!!
気の抜けるような音声が迷宮内に響き渡り、それぞれ散った猟兵たちが足を止める。と、その途端、皆を悩ませていた迷路が一瞬で消え失せ、元の、扉以外なにもないただっぴろい空間へと戻っていた。お互いの無事を喜び合流する猟兵たちの後ろで、静かに災魔の扉は開かれた。
その先はまだまだ続く。しかし彼らの活躍によって、最深部へ進むための障害が、またひとつ、除かれたのだった。
大成功
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