●未踏宙域の驚異
人類の居住可能な惑星を求める旅の前に立ちはだかる『クェーサービースト』、それはあの銀河帝国すら排除できなかった『驚異』である。そんな驚異の『小さな尖兵』、『キエリビウムJOX』がいま、探査艦の行く手を遮っている。
小さな尖兵と称されているが侮るなかれ。その尖兵でさえなんと小惑星級の大きさ! ……並の火力では太刀打ちできないのだ。そう、ユーベルコードを除いては。
スペースシップワールドの人々がこの未踏宙域へ踏み込むためには、この驚異に立ち向かわなくてはならないだろう。
猟兵の力が今、求められる!
●まずは戦闘機を蹴散らせ!
グリモア猟兵の夕月・那由多(f21742)は生命を与えた創造物で人形劇をしながら先ほどの様なナレーションを入れた。
「――ということらしいんじゃよ」
巨大な探査用の艦の模型のそばにさらに大きなクラゲのような人形が鎮座している。生身では豆粒のようなサイズになりそうだ。
「平たく言うとこいつをぶっ飛ばしてほしいんじゃが……」
那由多はそう説明しながら粘土をこねる。
「このへん、出るんじゃよ」
小型の戦闘機を粘土で作ると生命を与え、艦の模型の側に散りばめた。
「かつてこの辺の探索に乗り出し、生命を落としてオブリビオン化した『銀河帝国外宇宙船団』の戦士達が出るらしいんじゃ。まあ、亡霊みたいなもんでの。小型と言っても生身で戦うには大きすぎる相手じゃ」
粘土で作られた戦闘機はミサイルと思われるものを発射し艦へ攻撃を開始する。
「このように対艦みさいるなるモノをぶっぱする乗り物じゃの。他には前方に装備された角でグサっと攻撃したり、れぇざぁとかいう熱いのチリチリ照射してくるのじゃ」
粘土の戦闘機を潰してかき集めると那由多は再び粘土を捏ね始めた。
「艦の近くにこいつらが近づいておっての、転移したらまずはコイツらが相手じゃ。そして今回は一つ、面白いものがある」
那由多は捏ねていた粘土で、先程の戦闘機より一回り大きい人形を作った。
「オブリビオンを倒し、続けて周辺を探索しキエリビウムJOXとのたたかいに備えるわけじゃが、着てないように感じるほどの超薄型の宇宙服もあるが、生身ではきつかろう」
粘土の人形は足と背にブースターの噴射口がつき、銃と盾を備えている。
「いい感じにユーベルコードがマシンを伝わって発現できる、猟兵用にカスタマイズされた機動兵器がなんやかんやで都合よく開発されとるんじゃ。自前の兵器が無い者はこいつに乗ることが出来るから名乗り出ると良い。生身よりは戦いやすくなるじゃろ。武器も融通が効いて、生身と同じもの持てるみたいじゃよ」
つまりはロボ乗ろうぜ! という話。
「希望者は『もーしょんきゃぷちゃあ』なる技術で身体を動かした通りに操作できるモードもあるらしいので、機械が苦手でも身体が動けば、まあなんとかなる」
本当に都合のいいロボである。
「もちろん自前のものがあれば、乗り慣れた愛機のほうが良いじゃろ。とは言え、生身で立ち向かいたい豪の者もそれはそれで有りじゃな!」
●未知を切り開く楔となれ
「予知の内容はこんなもんじゃ。ここを突破できれば『未踏宙域』の調査も進み、いずれは居住可能な惑星を見つける糸口となるやもしれぬ」
那由多は袖口から小さな鳥居を取り出した。それはみるみる大きくなり猟兵を転移させるための門となる。
「……未知へ挑む心は輝いて眩しいものじゃ。そして強くもある。わらわは転移のため同行できぬ故。お主らの活躍の報告を、ここで楽しみに待っておるぞ」
那由多はそう言って微笑むと、猟兵たちを送り出した。
ウノ アキラ
はじめましての方は初めまして。そしてこんにちわ。
ロボの宇宙戦闘良いよね……。ウノ アキラです。
このオープニングに興味を持っていただき、ありがとうございます。
●お得情報
このシナリオは、書けそうな時に無理なく書いていく方式で進めます。平日は一人採用できるかどうかになるでしょう。そしてソロ描写がメインになる見込みです。
他にもマスター紹介のページは一読頂けると文字数を少し節約できるかもしれません。
●依頼について
スペースシップワールドの【Q】の依頼となります。
一章は集団戦。二章が冒険。三章がボス戦となります。
一章は習熟訓練みたいな感じで戦ったり、逆にベテランのように無双したりできるでしょう。
二章は機体に乗って周囲の残骸や小惑星からの資源の回収。そしてその他、三章に向けた準備になる見込みです。
三章は『キエリビウムJOX』との戦闘になります。ありったけの火力をぶちこみましょう。
一章の戦闘機は全高30m(10F建ての建物)ほど、ユベコ使用可能なレンタル機動兵器は全高150m(東京タワーの半分)ほど、キエリビウムは今回は全高3kmほど(某要塞艦の二倍ほど)で考えています。
余程な『高火力』の参戦でも無い限りは、敵が動かなくなるまで反撃を掻い潜りながら攻撃を加え続ける感じになると思います。
300文字というプレイングの制限もあるため、特に記載が無ければ堅実な量産機に乗って戦う感じになると思います。改造は一言書いてあればなるべく拾います。
モーションキャプチャーは記号の◆、生身で戦いたい場合は記号の▲をプレイングの頭につけて頂けたら対応いたします。
よろしくお願いいたします。
第1章 集団戦
『ミサイルファイター』
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POW : 衝角突撃
【機体前方に装備された対艦衝角】が命中した対象を切断する。
SPD : ファイターレーザー
【速射式レーザービーム】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : スターシップキラー
【レーダー波】を向けた対象に、【対艦ミサイル『スターシップキラー』】でダメージを与える。命中率が高い。
イラスト:雲間陽子
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●格納庫
ビー、ビー、と敵機発見の警報が鳴り響く。
転移終えた猟兵たちは、ある者はカタパルトへ愛機を向かわせ、ある者は乗機のマニュアルを受け取り、ある者は即座に宇宙の闇へ飛び出していく。
バーニアの炎を煌めかせ駆けるは無限に広がる宇宙。やがて向こうからも光がこちらへ向かってくるのが見えるだろう。
――戦いが始まる。
メーティオル・スター
◆
ロボと聞いて馳せ参じたよ!!
よーっし、まずは前座の戦闘機たちだね!
(ロボと聞いてテンションがかなり上がっています)
ロボの武器はハイパー電磁ヨーヨーとウィップとワイヤーを装備して、
そしてオプションでマグネボードをつけてもらう!
カタパルトから飛び出したら、早速ボードに乗って宇宙の海で波乗りだ!
敵がミサイルを撃ってきたら、ヨーヨーを振り回して撃ち落としながら敵に接近して、
ぎりぎりまで引き付けたら電磁ウィップを巻きつけてミサイルを捕まえる!
それでもって、捕まえたミサイルを敵戦闘機に叩きつける!
戦闘機相手に対艦ミサイルなら、十分すぎる威力が出るはず!
●宇宙の波に乗る
「ほんとにオレが動かしてるんだ」
モーションキャプチャー用に換装したコックピットで手足にセンサーを付け、メーティオル・スター(屑鉄漁りの見習い冒険者・f05168)は軽く手足を動かしていた。
コックピットは動きに合わせて揺れ現在の姿勢と同じ傾きになる。モニタに表示される現在の姿勢はメーティオルの動きに追従したものとなっており、手を目の前へ差し出せばモニタにも同様に機体の手が映り込んだ。
「おーい、少年、注文の武器が出来たぞ!」
艦の整備班の班長がメーティオルへ声をかける。艦に備わる巨体な3Dプリンタで金属塊から部品を削り出した部品を元に探査艦の整備士たちが組み立て調整する事でその場の要望に合わせた希望通りのオプションが数分で作成できるらしい。
「『マグネボード』はちゃんと宇宙空間の電磁波で推力を得るようにしてある。理論上はいけるぜ」
「ありがとう、整備班長!」
機体に付属するARゴーグルをつけたメーティオルはゴーグル越しに映し出されるボードを手に取った。すると機体も同様の動きで『マグネボード』を手にとる。
(これで、宇宙を駆けよう)
オリジナルのマシンではないけれど、宇宙を股にかける冒険をする夢がまた一つ近づく。メーティオルの心は弾んでいた。
バシュ、とカタパルトで射出されたメーティオル機は腰にマウントしていた『マグネボード』を手にして足裏に密着させる。すると足裏で『マグネボード』が固定されボードの電源が作動した。
メーティオル機のボードは無数の星々が放つ電磁波を受けて、揺れる。始めは探るようにゆっくりだが次第に波をとらえて加速していった。
「よし、宇宙の海で波乗りだ!」
ロックオンのレーダー波がメーティオル機に向かって照射された。それをセンサーが感知してコックピット内に警告を鳴らすと前方に見えるのはミサイルの光。
「こんなもの……こうだ!」
動きに追従するモーションキャプチャーによる生身とほとんど変わらない動きで、メーティオル機は『マグネボード』で加速しながら『ハイパー電磁ヨーヨー』を操る。
宇宙を飛び交う電磁波の波をとらえて緩急をつけ蛇行する『マグネボード』の動きが敵の攻撃を避け、自在なヨーヨーが迫りくるミサイルをひとつ、ふたつと撃ち落とした。
「見つけた、それっ!」
そして前方に敵機――『ミサイルファイター』の姿を見つけたメーティオルはもう片方の手で『ウィップ』をとりミサイルを絡め取ると、続けて高圧電流――ユーベルコード『電磁ウィップ』によりミサイルの機能を一時的に停止させる。
「戦闘機相手に対艦ミサイルなら、十分すぎる威力が出るはず!」
メーティオルは絡め取ったミサイルをそのまま敵機目掛けて振り回した。この質量を前に急ぎ反転する『ミサイルファイター』達だが、編隊の中央の二機が少し遅れ直撃を受けてひしゃげる。
「へへっ、どうだ!」
敵機の爆発の光を背にメーティオル機はこの場をいちど離脱すると波に乗って加速し、再び敵へ反転。機動力を生かした一撃離脱を繰り返していく。
成功
🔵🔵🔴
赤星・緋色
へーい、久しぶりのスペースシップワールド!
あのデカいなんやかんやを排除すればいいんだよね
その前に戦闘機だけど
うんうん、とりあえずボスの前に色々慣れておかないとかな
視界とか可動域とかレイテンシとか確認しないといけないところ沢山あるし!
あとは限界がどこまでいけるかとかも重要だよね
相手の攻撃が無差別攻撃ってことはデコイを撒いておけば回避率と時間も稼げそう
こっちに飛んできちゃったのは見切りで避けるとして
隙を見て攻撃を撃ち込んで行こう
これって技能も使えるのかな
レーザー相手ならオーラ防御とか使えそうだけど
とりあえず試してみよー
あ、こういうロボって頭にアンテナ付けたり赤く塗ったりすると性能よくなるんだっけ?
●緋色の流星
頭に赤い角のようなアンテナを付け赤く塗られたその機体は、カタパルトを射出されると大きく足を振って能動的な質量移動の反作用で姿勢を変え小さくスラスタを噴かせる。
「視界、可動域、レイテンシとかいろいろ確認よし。良くも悪くも量産型って感じだね」
赤星・緋色(サンプルキャラクター・f03675)はコックピットで操縦桿を手にこの赤い機体を操っていた。
「とりあえずボスの前に色々慣れておかないとかな。限界がどこまでいけるかとかも重要だし」
緋色はツールを取り出すと機体のOSへハッキングする。
「やっぱ色々リミッターかかってるかー。とりあえず限界は確認したいから少し緩めとこ。アラートの閾値はこのくらいで……と」
バーチャルキャラクターのガジェッティアとしてはこの手の電子機器への介入は得意な方である。緋色はOSを自分好みにカスタマイズすると改めて操縦桿を握った。
「よーし、いっくよー。へーい、久しぶりのスペースシップワールド!」
角つきの赤い機体はハードウェア面の限界ギリギリの性能を発揮して加速する。途中のデブリを足で蹴ることが出来るのは一時的に上げた機体レスポンスの賜物。人型である利点を最大に活かしながら加速をする機体は、まるで流星の様だった。
三機小隊の『ミサイルファイター』がこの赤い機体を捉えた。
<こちらゼロスリー、敵機を発見した。シルエットのパターンは人型機だ>
<こちらゼロツー、データ照合完了。皇帝が崩御された大戦の敵軍に似たものがある。データを送る>
<こちらゼロスリー、奴は我々の三倍の速度で接近している! データのやつとは明らかに違う!>
<こちらゼロワン、それが事実なら我々は不利だ。狙わなくていい、ミサイルを目眩ましに撃ち離脱だ。増援を呼ぶぞ!>
緋色が敵を発見した時、すでに対艦ミサイルがこちらへ撃たれた後だった。それは手前で爆発して派手な火球を生み一時的に『ミサイルファイター』の姿を隠す。
そのまま突っ込めば爆発の熱でのダメージは避けられそうにない。しかし緋色は減速しなかった。
「とりあえず試してみよー」
緋色はオーラを纏いながら、一切減速せずに火球へ突っ込む。
「機体ダメージは、と。軽減できてるけどゼロにはできないかー」
モニタで損傷を確認した緋色は機体に取り付けたガトリングを構え前方の敵機へ照準を合わせた。
「ひっさーつ!」
タタタ、タタタ、と連射を抑えて重心の安定を優先した射撃――ユーベルコード『セミオートバースト』による攻撃が『ミサイルファイター』へ浴びせられる。命中した一機は制御を失い煙をあげ爆発した。
残る二機は即座に反転、旋回して反撃のためにレーザーの銃口で緋色の機体を狙う。その速射式レーザービームは捉えた標的をデブリごと無差別に攻撃する――。
「こっち向く前にデコイ撒こっと。確か相手の攻撃って無差別攻撃だよね」
機体の手足を大きく振りその反作用で機体の向きを変えた緋色は、方向転換の減速時に機体の背からバラバラと小さなものをばらまいた。それは風船の様に膨らむとランダムに動いて緋色の機体を隠し、簡素なセンサーではどれが本物か一見して分からなくなる。
二機による無数のレーザーの照射が周囲を焼き払い多くのダミーが炎上した。さらに旋回し緋色を探す二機だがゴミが多すぎて見分けがつかない。
タタタ、タタタタ。一機の『ミサイルファイター』が『セミオートバースト』で撃ち落とされる。
「おっけー、あと一機!」
緋色は身を潜めていたデブリを蹴り加速すると燃えるダミーをシールドで押し退けて残る一機へと迫った。撃たれたレーザーの雨を小刻みに機体を動かして回避し、直撃しそうなものはシールドで防いで減速せずに突っ込む。シールドがレーザーの熱で溶け始めるが接触までの数秒保てば良い。
敵機との接触。緋色は敵の前方の対艦衝角を機体を捻って避けつつシールドを構えたまま『ミサイルファイター』の側面の羽のような構造へ体当たりをした。
衝撃で大きく減速するがそれは相手も同じ。すぐに反転した緋色はガトリングの銃口を残る一機へ向ける。ぶつかった『ミサイルファイター』はコマ状に回転し制御を失いながら漂っていた。
「はい。そんな感じで、まずは見つけた三機はこれで終わりっと」
爆発の火球が角つきの機体を赤く照らす。戦闘を検知した他の機体が間もなくこちらへ向かってくるだろう。
素早く敵の三機小隊を屠った緋色は、狙われない様にこの場を一度離脱した。
成功
🔵🔵🔴
月詠・愛珠
◆
なんやかんやと聞いて参戦、ロボ戦とは…
装備は申請中なのでダガーとウィザードロッドの基本装備、機動力は乏しいので補う推進力は欲しいかな。装甲がパージ出来ると良いかも
それと狙われやすい羽衣の効果も上乗せ
マニュアルをキチンと読んで備え、出撃前に機体の状態を整備士と打ち合わせて緊張感を保ちながら出撃
慣れて無いのは自覚してるので最初無理しない様に遠距離で迎撃、とはいえ乱戦になりそうで接近してくる戦闘機もあると思う。
そこであえて前に出て、装甲をパージ!シーブズ・ギャンビットし始めるてダガーでドッグファイトを仕掛けるね
装甲が減り、狙われやすいからこそ引きつけて素早く倒していければなって頑張るよ
●巻き込まれ系は爪を隠す
「銃は要らねぇのかい!」
「うん、お願いした素材の杖で大丈夫。あとダガーもお願い!」
他の機体より少しだけ着ぶくれした機体が艦の整備班の班長へ返事をした。搭乗するのは月詠・愛珠(月に魅入られる翠の狐娘・f06905)。
愛珠はコックピットの中でマニュアルの電子データを読み返し復習しながら出撃前の機体の最終調整を受けていた。
「ふむふむ、飛ぶ時は進行方向に意識向けると良いんだね。モーションキャプチャーとか脳波スキャンとか、色々凄いなー。なんやかんやと気がつくとロボに乗ることになったけど……これならボクも戦えそう」
巻き込まれ体質の傾向がある愛珠は、断る機会を得られないまま巻き込まれることが良くあり、今回も似たようななんやかんやがあった様だ。
調整を終えた愛珠は緊張した面持ちでカタパルトへ向かう。そのカスタマイズはやや厚めの装甲とそれに合わせた推力の増加、そして右手に杖を左手には盾を持ち腰の背面にはダガーがマウントされ、その姿は甲冑姿の魔法使いという雰囲気を出している。
「ロボ戦はじめてだけど……がんばるぞー」
すでに戦いの火蓋は切られ戦線が形作られつつあった。『ミサイルファイター』は三機小隊を基本とした九機の中隊を組んで連携をとりながら猟兵たちの機体と戦っている。
「ええええ……すっかり混戦状態でこれ、何処から何をしたら良いの!?」
巻き込まれるようになんやかんやで参戦することになり初めてのロボで激戦区に突っ込んだ愛珠は目を白黒させた。愛珠に気づいた敵小隊が牽制と思われる速射式レーザービームを交互に打ち込み愛珠の動きをその場に縫い付けながら仲間と合流し始める。
「うわあっ!? 何だよ! 何だよこの状況……本当にさあ! ボクいきなりピンチっぽいんだけど!」
直撃こそないもののレーザーを次々と浴びながら右往左往しているうちに九機に揃った敵機が再び三つの隊に別れ愛珠へ同時攻撃を仕掛けようとする。
装甲はあちこち焼けシールドもひしゃげており、次の攻撃で装甲が全てダメになることは明白だ。
「ボクはロボの操縦は初心者なんだよもおおおおおお!」
機体の手に持つ棒――ウィザードロッドが光を纏った。
愛珠の咄嗟で必死な風属性の魔法が、大気のない宇宙空間へ風を生み出す。この竜巻で軌道を逸らされた『ミサイルファイター』たちはそのまま一度離脱して旋回した。
それは純粋に魔法で生み出された『魔力で構成された風』。恒星から吹き出すプラズマとも違うそれは敵にとっては未知に近い現象だった。ダメージは無くとも不気味な現象に警戒し攻撃の手が緩む。
「あ、あれ……? もしかして魔法でも意外といける? なら……とりゃーっ」
改めて敵を見据えて愛珠はユーベルコード『ウィザード・ミサイル』を放つ。繰り出される炎の矢は逃げまとう敵機を追い込み二機、三機と撃墜した。
「よーし、いい感じ」
このまま砲台となれば戦果を挙げられそうに思える。しかし敵も直ぐに対策を立ててきた。重装甲の砲撃機と見なされた愛珠へ早期の集中攻撃をかけるべく追加で十五機の『ミサイルファイター』が集まる。
「ねえ、ちょっとこれ、不慣れな初心者相手にこれは無いんじゃないの!?」
四方八方から迫る敵。対する愛珠は――。
「どうせもう装甲も保ちそうにないし……あえて前に出る!」
最も敵の多い方へ飛び出すと、手首のボタンをポチッと押す。その瞬間、背部、そして足、腕、胸部と全身の装甲が弾け飛んだ。
これこそがこの機体の最大の仕掛け。装甲で敵の視界を防ぐと同時に、重さを捨て身軽になった愛珠の機体はその動きを軽やかなものへ変えた。重さを補っていた追加の推力は今、純粋な速度へ還元される。盾を投げ捨てさらに身軽になった愛珠の機体の左手にはダガーが握られていた。
「とりゃあああああっ」
身軽になることで加速した素早い一撃――ユーベルコード『シーブズ・ギャンビット』による一撃が、すり抜けざまに眼前の敵を両断、爆発させた。
左手に短剣を右手に杖を持ち魔法と短剣によるスピードと手数を以って相手を翻弄しながら戦う……それが愛珠の本来得意とする戦い。守りを捨て本来のスタイルへ移った愛珠はここからが本番だと声を上げる。
「装甲減ってなんか狙われやすくなった気がするけど! その分素早く倒して頑張れば大丈夫だよね、ね!」
これまで巻き込まれた困難と同じ様に、きっと今回の困難も愛珠は軽やかに乗り越えることだろう。
成功
🔵🔵🔴
黒曜・鵺
●ほう、私が猟兵活動でこの故郷を離れている間に、このような戦闘兵器が開発されていたのですか。では、私もロボに乗り込んで頑張ってみましょう。
●ふむ、私がコクピットで動けばその通りにロボも動く、と。これは中々に便利ですね。つまり……私の隠密・暗殺技術も活かせる、ということです。
◆カスタムは機体を暗色に塗ってもらうこととステルス機能だけをつけてもらえれば十分。デブリに紛れ【目立たない】ように敵機を待ち伏せ、あるいは【念動力】で機体を動かして静かに接近します。
敵機は…衝角での突撃攻撃ですか。なれば【サイコアーツ・エンド】で突撃を止め、きっちりと動力部をロボパンチで破壊します。
●暗殺機兵…良い響きです。
●歴戦の暗殺機兵
激しい乱戦が繰り広げられる戦場から離れたデブリ群。そこに一機の『ミサイルファイター』が潜み前線で戦う猟兵たちをうかがっている。
よく見ると他の機体に比べてカスタマイズされており射程と火力が増加しているようだ。さながらスナイパーカスタムとでも言えそうなこの強化は機動力を犠牲に照準と出力を高め、その速射式レーザービームと対艦ミサイルのレーダー波をより遠くから放てる様になっている。
第一射。デブリ群から連射された速射式レーザービームは目視範囲を広く焼き途中の残骸を火球へと変えていく。猟兵の機体への直撃は無かったが射程外で隠れながらの攻撃。簡単に見つかることはないだろう。
弾道から位置を特定されないため、放熱を兼ねた射撃位置の変更を行った後に第二射の準備へと入る『ミサイルファイター』のスナイパーカスタム機が、標的を照準に収める。
――しかしその第二射が撃たれることはなかった。その機体のレーザービーム発射の機構が破壊されたのだ。
「ふむ、私がコクピットで動けばその通りにロボも動く、と。悪くない反応速度です」
速射式レーザービームの銃身に突き刺さった機体の指をズシャと引き抜きながら黒曜・鵺(影渡り・f10896)は感触を確認する様に呟く。
その機体は光学センサー対策で背景に溶け込む暗い塗装を塗られており、他にも電磁波や赤外線などのセンサーへの対策もとられステルス性能を高められていた。敵のスナイパーカスタム機も先程の一撃を喰らうまで全く接近に気づかなかったほどだ。
手刀を引き抜くと鵺は続けて動きを制する念動力――念動力と素手による攻撃『サイコアーツ・エンド』によりメキメキと敵のコックピットを潰していく。
「この岩の多い宙域に補給も含め何機か潜んでいることは既に確認済みです。ならば見つからないよう、爆発させず仕留めましょう」
敵機のコックピットを潰して機体はそのままに。鵺はこの敵の残骸が狙撃任務の最中に見える様にこの場を静かに離れた。もちろんそれはこの宙域にいる他の敵機に気づかれずに残りを暗殺するため。
鵺はモーションセンサー操縦におけるスラスターなどの推進装置の自動制御の機能を取り外していた。何故なら自身の念動力である程度動くことが出来るからだ。そして何より火を噴く移動は目立つため彼にとっては緊急時でなければ必要がないものでもあった。
そのため鵺のこの黒い機体は音も光も、一切のエネルギーを発さずに滑るように周辺のデブリを伝い移動をしていく。念動力の使用も最低限にしているため、万が一に念動力を察知するような装置があってもほとんど気づかれないだろう。
「しかし……私が猟兵活動でこの故郷を離れている間に、このような戦闘兵器が開発されていたのですか。これは中々に便利ですね。つまり……」
デブリの影に補給機が停泊している。武装は先程の『ミサイルファイター』と同じだがこちらは補給用のエネルギーや応急処置のパーツの入ったコンテナをつけている。
鵺は恒星の強い光を目くらましとし、光を背に音もなくスッと近づくとコックピットのみをメキと潰す。一瞬で潰されたパイロットは苦しむ間もなくその意識を永遠に失った。
「つまり……私の隠密・暗殺技術も活かせる、ということです」
(さて、あとは護衛のための巡回機のみでしたね)
鵺が自機を近くのデブリへ隠し一度身を潜めると間を置かずに最後の一機が補給機へ近づき、周囲を警戒するように動き始めた。
「敵は思ったより密に連絡を取っているようですね……これは増援を呼ばれてしまったでしょうか」
(異変はあるが、大部隊を投じるほどでもない……そのくらいの加減がだまし討ちを続けるには程よいのですよ。あまり調べられてこちらを知られても厄介ですし)
数が増えすぎても動きにくくなりそうだと判断した鵺は身を潜めたデブリから飛び出すと音もなく敵機へと近づいていく。
鵺の機体は推進剤を利用しておらず、ステルス機能の一つとして熱も発していないため一見すると放棄されたゴミのようにも見える。腕や足を一部折り曲げて角度によっては欠けたように見える姿で敵の方へ流れるように移動した。
狙い通りゴミと勘違いした敵は近づく鵺を避けるように進路をとろうとしたが、機体が思うように動かない。
――念動力だ。
ガッと敵の『ミサイルファイター』に衝撃が走り燃料が漏れ出す。その側面を穿つ手刀を抜いた鵺は二撃目を加えるべく敵機を掴みコックピットを狙って手刀を突き出した。
「これで終わりです」
卑怯卑劣は褒め言葉。この手の心理を交えた戦闘行為はお手の物である鵺は、やがて来であろう追加の敵を待ち伏せるべく再び近くのデブリへ身を潜めた。
成功
🔵🔵🔴
宝海院・棗
◆
女性型の外見(自分に合わせてかわいい感じ)で、体質に合わせて伸縮や変形(球形、車輪、独楽)する機能もあったらいいかなー。武器はレーザー刃がいくつも付いた鎖鉄球やこれまたレーザーで構成されたドリルやチェーンソーがほしいなー。飛び道具は胸パーツに仕込んだレーザーガトリンググレネードはどうかな
移動時は【残像】を使って回避を主体にして、エラスティボディや【範囲攻撃】【薙ぎ払い】【2回攻撃】【串刺し】でまとめて攻撃!
可能ならスペシャルエボリューションスピンも使い、超高速回転を活かした攻撃も
また、【武器落とし】でPOW技、【敵を盾にする】でSPD技やWIZ技にそれぞれ対処
●可愛いく可憐なクラッシャー
女性的なフォルムの機体が足と背にあるブースターから火を噴き宇宙を飛んでいく。
この宝海院・棗(もち・ぷに・とろり。・f02014)の機体は彼女のユーベルコード『エラスティボディ』によりゴムのような柔らかい性質を得ることで柔軟な見た目の加工を可能としていた。
「いい感じにユーベルコードがマシンを伝わって発現できるって聞いてたけど、やってみたら案外できるものなんだね」
機体の手足の動きそのものは体につけられるモーションキャプチャーによる補助だが、さらにコックピット内には棗の形状を認識するためのセンサーもつけられ、簡単な形状ならユーベルコード的なあれこれも加わって機体に反映されるようだ。整備班がんばった。
動きを阻害しないよう武器や盾を持っていないように見える棗の機体はその外見も合わさり戦闘用には到底見えない。戦場へ近づく一輪の花はその場違いな見た目から即座に遠距離攻撃をされなかった。
<何だあの機体は!?>
<ここは未踏宙域の近くだぞ、あいつは敵ではないのか>
<いずれにせよ我々銀河帝国の邪魔をするなら撃ち落とすまでだ、いくぞ!>
すこしの間を置いた後、九機の『ミサイルファイター』で編成された一つの中隊が棗へ襲撃を仕掛け始める。速射式レーザービームによる連射は射程内のものを無差別に貫こうとするが、しかし――。
「おっと♪ 変幻自在に避けちゃうよ!」
棗の機体は、ぷるんと震えたかと思うと水滴のようにその姿を丸め、または細く伸び、ドーナツ状に自ら穴を開けレーザーを回避していく。この機動兵器の常識を超えた挙動を前に敵は驚きのあまりに思考が止まった。
「動きがとまった? じゃあ、そこだーっ」
人型に戻った棗の機体は柔らかいボディの中から鉄球を取り出して指と接続すると指を伸ばしながら鉄球をぐるりと振り回す。接続部から送られたエネルギーが鉄球にレーザー刃を形成させ切断能力を持つトゲが生えた。
棗はその質量を『ミサイルファイター』へぶつけ、一機がレーザー刃のトゲに貫かれ爆発すると我に返った敵機は慌てて散開して回避行動をとりはじめる。
「まだまだ、逃さないよー!」
棗の機体の胸部の膨らみがパカッと開いた。そこからせり出してきたのはレーザーガトリング。一つにつき四本の銃身が冷却とエネルギー装填の時間を補いならビビビと交互にレーザーが放たれる。
両胸から放たれたレーザーの雨は一機を穿つが直撃とはいかず、反転を終えた敵部隊が再び攻撃に転じてきた。
「お次は、素敵な私の特技を見せてあげる!」
棗は片手にハンマー、もう片手には同じ様に内部から取り出したチェーソーを持つと両手を広げバレエの踊りの回転のようにぐるぐると舞い回転を重ねだす。
その回転――ユーベルコード『スペシャルエボリューションスピン』は回転を高めて超高速となり、手にした武器の威力を高めていった。そして『エラスティボディ』によりゴムのような柔らかい性質を得ている棗の機体は高速で回転したまま腕を伸ばす。
「さらにびょーんと伸ばすよー!」
武器が棗を中心にぐるりと回る。コマか嵐の様にぐるぐると一心不乱に回って踊る。
その回転にレーザー刃が光を彩ればまるで花弁の舞う嵐――この戦いを遠目に見たならば、宇宙の闇にふわりと丸く花が咲いたように見えただろう――が広がった。
レーザーを纏う武器による回転は周囲の敵機を広く薙ぎ払った。大きな牡丹の花が咲き終わると続けて一回り小さめの火球が次々と輝いて花火となる。
「あれ、鉄球の方なんかおかしい」
振り回しすぎたのか鉄球からレーザー刃が消えた。電装系がどこか壊れたようだ。
「まあいいか、まだ武器はあるし」
棗はボディからナックルガードのようなものを取り出し手に嵌めるとレーザー刃のドリルがブィンと形成されギャギャと回転する。
「よーし、もうひと頑張りだー」
可愛らしいフォルムの機体は両手にチェーンソーとドリルを持ち、次の敵を求め戦闘の光へと飛び込む。
成功
🔵🔵🔴
エルシー・ナイン
巨大ロボですか。ウォーマシンのワタシがロボットに乗り込むとは、なんだか妙な気分ですね。
カスタマイズとしては、ミサイルを搭載可能なだけ積み込んでもらいましょうか。白兵戦用の武装は外してしまって構いません。どうせ使いませんし。
巨大ロボに乗ろうが乗るまいが、ワタシの戦闘スタイルに変わりはありません。
敵戦闘機群の動きを『見切り』、搭載したミサイルを『範囲攻撃』で『一斉発射』です。避けられても『誘導弾』で追尾させて当てに行きますよ。
敵が突撃してきたら『残像』を残してギリギリで回避しつつ、『零距離射撃』でミサイルを叩き込みましょう。
あくまで本命はクェーサービースト。前座にはとっととお引き取り願いましょう。
●ミサイルの暴風
宇宙を駆ける巨大な戦車のような固まり。コンテナを一つ引いて飛ぶソレは先端に一機の機体が収まっていた。
見た目はほぼ輸送機か何かのようなこの機体に乗るのはエルシー・ナイン(微笑の破壊兵器・f04299)。
「コンテナとの連動、問題無しですね」
エルシーは戦地へ向かいながら機体のチェックを進めていく。
搭載可能なミサイルを全て積み込んだこの機体は、ミサイルを打ち切った後はコンテナをパージして身軽になりさらにミサイルを打てるようになっていた。
「牽引するコンテナブロックに四つの垂直発射のクラスターミサイルのブロック。そこにそれぞれ20発が三回で合計240発……弾数に異常なし、システムチェック完了。オールグリーン」
武器管制システムの最終確認を終えたエルシーは操縦桿を改めて握る。間もなく敵機が見えるはずだが……。光学センサーで遠方に光が見えたかと思うと対艦ミサイルが発射されてきた。
「探索機器は向こうが上ですか」
エルシーは敵の弾道を計算するとそのデカいコンテナを牽引しながらも、上へ下へと機動を変え的確な回避機動を行っていく。
「距離が離れ着弾に時間がかかるほどシミュレートも容易いものです。しかし、ウォーマシンのワタシがロボットに乗り込むとは、なんだか妙な気分ですね」
戦地での動きそのものはフルアーマーモードに近いのだが、操縦桿を握るという間接的な操作になっている状態である。そして、敵の戦闘機でさえ10mほど、さらにその次のクェーサービーストの尖兵は3kmほどとなれば、この150mはある巨大ロボットは扱えたほうが良いだろうとの判断でエルシーはこの機体に乗り込んでいた。
「巨大ロボに乗ろうが乗るまいが、ワタシの戦闘スタイルに変わりはありません。あくまで本命はクェーサービースト。前座にはとっととお引き取り願いましょう」
速度を落とさずミサイルを最小限の動きで回避したエルシーの機体はそのまま敵地へと突撃していく。続けて降り注ぐレーザーの弾道も即座に演算し最も被弾が少ない方向へ回避すると残りの数発は『サイキックフィールドジェネレーター』によるサイキックエナジーの力場で軽減していく。
「コンテナブロックのクラスターミサイル、ロック解除。対象を完膚なきまでに殲滅します。オールウエポン、フルファイア!」
牽引するコンテナから一斉にクラスターミサイルが発射、その数80発。
エルシーは立て続けに次の標的をロックオンすると、最初の発射分が着弾する前にさらに次弾を放っていく。
ユーベルコード『LC式全武装一斉射撃』により一瞬で放たれた総計240発のクラスターミサイルは標的の手前で更に8発のミサイルへと分離して標的を追った。あらゆる逃げ場を埋め尽くすミサイルの暴風――1,920発の火球がエルシーの周囲を埋め尽くす。
この宙域の数十km範囲の『ミサイルファイター』はこの一瞬で訳も解らないまま全滅した。
「このあたりは片付きましたね。では向こうの方も手伝ってきましょうか」
コンテナのミサイルを一瞬で使い果たしたエルシーはコンテナの武器管制を行っていた機体をコンテナからパージした。ガシュ、という気圧ロックの音とともにコンテナからスラスターのある部位が切り離されると、そのスラスターの部位の装甲が開いて中からエルシーの乗る機体の本体が出てくる。
その機体も四肢や肩や背面にミサイルが積み込まれ火薬庫の様な見た目をしていた。その機体にはシールドや銃など白兵戦のための武器は一切搭載されてない。
「白兵戦用の武装は、どうせ使いませんし」
そう呟くとエルシーはパージしたコンテナからミサイルランチャーを取り出し機体の両手に持たせる。
「これで合計120発……このまま一度くらいなら継続戦闘が可能でしょう」
残弾を確認したエルシーは別の戦地へと向かった。
成功
🔵🔵🔴
ブリッツ・エレクトロダンス
電子戦装備を用意してくれ。
それとリモートハッキング用のモジュールもだ。
火器は大口径のサブマシンガンとハンドガンでいい。
デバイスドライバは俺の方で組み上げる。
ブリッツ・エレクトロダンス。出るぜ!
んでもって攻性プログラムも展開!
対艦ミサイルはデコイ代わりの攻性プログラムの幕を張って逸らしつつ…ハック仕掛けて敵のデータリンクのプロトコルをじっくり調べさせてもらおうか。
OK、構造も脆弱性もだいたいは理解した。
後は…よう操(f12510)、ちょっとそのレーザー弾幕どうにかするから撃破任せるぜ?
FCSハック開始、誤情報をたっぷり"プレゼント"してFCSをめいっぱい攪乱してやんぜ!
三千院・操
へぇ! 巨大ロボット! 1回乗ってみたかったんだよね~!
操縦方法教えて貰えばあとは完璧! だっておれ才能あるし!
よ~し、それじゃあ張り切って蹂躙するぞ!
主武装は大鎌! 副武装に呪詛で構成したファンネルでもつけてみようかな!
機体名をつけるなら『メフィストフェレス』なんてどう?
あ! ブリッツ(f01017)くん! おっけー! 任せてよ!
きひひ! 沢山群れてて撃ち落としがいありそう!
【指定UC】を使って反射の呪詛を撃ちまくるよ! この呪詛の性質は鏡! 受けた攻撃をそっくりそのまま跳ね返しちゃうんだからね!
※アドリブ歓迎です
●毒蛇と黒豹のCooolな関係
「すっげ〜! でっけ〜!」
格納庫で三千院・操(ヨルムンガンド・f12510)は目をキラキラさせて機体を見上げた。それはUDCアースにある東京タワーの半分、高層ビルの40階〜45階ほどの高さはある。
「 巨大ロボット! 1回乗ってみたかったんだよね~! あっ、整備のおにーさん、操縦方法教えてよ! このエレベーターみたいのに乗って登れば乗れるんでしょ!」
体格からは想像し難いはしゃぎ方をする操。まるで子供のような距離の詰め方に整備班の人は思わず萎縮しつつもマニュアルを手渡した。
「操、あんまし整備の人を困らせんなよ?」
操をたしなめながらもフッと笑みを漏らすのはブリッツ・エレクトロダンス(限定★4:真夏のクロヒョウ・f01017)。楽しそうな操のワクワクが移ってきたのかブリッツもどことなく楽しそうに見える。
ブリッツはマニュアルを受け取るとふわりと昇降機に飛び乗り整備班へリクエストを投げた。
「それじゃ、俺の機体は電子戦装備を用意してくれ。それとリモートハッキング用のモジュールもだ。デバイスドライバは俺の方で組み上げる」
「おれは鎌! 大鎌ねー!」
「ほら行くぞ」
ブリッツに改めて首根っこを捕まれた操は子犬のように引きずられながらブリッツと共に昇降機に乗りコックピットの乗り場まで移動していった。
そして約15分後――。
「あいつ先に外に出やがった。まだプログラムが途中だが……まあどうせ敵にハックかけてプロトコルを調べないといけないからな」
ブリッツは出撃のため機体を移動させた。
「さぁて、操のやつが飽きる前に合流して敵のとこに向かうとするか。ブリッツ・エレクトロダンス。出るぜ!」
加速Gを身に受けて宇宙へ出ると視界が開けて周囲は煌めく星々に色とりどりの星雲。そして目が回りかねない程のアクロバティックな起動で動きまくる大鎌を持った操の機体が目に入る。
ブリッツは操の姿を確認すると電子戦装備の索敵用のレーダーを高出力で展開した。
「流石の感度だぜ、敵の位置が良く分かる」
その分、電子戦装備を背負う機体は一回り大きくなり他の武装に割くエネルギーも少なくなってしまうが、この機体はブリッツの希望に近いスペックを発揮してくれていた。
「よう操、待たせたな。敵の位置を送るぜ」
「あっ、ブリッツくん! これだね? よ~し、それじゃあ張り切って蹂躙するぞ!」
操縦桿を握る操の笑顔が先ほどまでの無邪気なものから、殺意に溢れる邪気へと替わる。二機は標的を定めると、真っ直ぐに宇宙を突き進んだ。
●舞えや踊れ
「ミサイル、来るぞ!」
ブリッツはユーベルコード『攻性プログラム・展開』により戦闘用の攻性プログラムを放つと『ミサイルファイター』が放った先制のミサイルの迎撃を開始する。
「こんなの当たらないよ!」
攻性プログラムとミサイルの応酬の中を操はまっすぐに突き抜けていく。
「OK。通信の信号、見つけたぜ。敵のデータリンクのプロトコルをじっくり調べさせてもらおうか」
ブリッツは敵が操と攻性プログラムに気を取られている隙にその送受信の構造の解析を開始した。突撃していく操が数におされてしまう前に次の手を打たなければならない。
「みつけた、いくぞ『メフィストフェレス』」
操は『ミサイルファイター』を目視すると自ら名付けた自機の名を呼び、ユーベルコード『光を愛せぬ者』を発動させる。操の機体から呪詛が膨れ上がり闇に包まれたかと思うと、そこから闇の固まりが分離し機体に随伴していく。
「この呪詛の性質は鏡! 受けた攻撃をそっくりそのまま跳ね返しちゃうんだからね!」
その呪詛は『ミサイルファイター』の放つミサイルやレーザーをそのまま反射し敵を混乱させた。
「とりゃーっ!」
一機を放った呪詛に任せ操は対艦衝角を向け突撃してきた一機を大鎌で切り裂く。
「完璧! だっておれ才能あるし!」
続けて敵を追おうとする操だが、ブリッツの放っていた攻性プログラムによる撹乱の動きが解析され始めて敵が元の動きを取り戻し、攻撃の密度が増していく。呪詛の鏡も反射するものだとわかれば敵は反射角を意識して攻撃をするようになってきた。
「うわっ!」
広範囲に隙間なく放たれる速射式レーザービームを前に逃げ場を失っていく操。放った呪詛を呼び戻して機体の周囲に呪詛の面を作らせバリアにして凌ぐが呪詛は少しずつ攻撃のエネルギーで消耗していく。
「――このくらいでーっ」
強引に攻めようと操が機体の出力を上げようとしたときだった。操にブリッツからの通信が入る。
「よう操、ちょっとそのレーザー弾幕どうにかするから撃破任せるぜ?」
ブリッツは次なる攻撃を開始した。
「OK、構造も脆弱性もだいたいは理解した。FCSハック開始するぜ!」
ブリッツはセキュリティを突破して侵入済みだった敵の通信機器の内部へ一つのプログラムを送り込んで実行した――それは通信の正しさをチェックする『Frame Check Sequence』の改竄を行うプログラム。
このプログラムにより本来は各所で自動で弾かれるはずの異常データが全て正しいフリをして届き、逆に正しいデータが異常として弾かれてしまうようになる。つまり敵機のコックピットでは映し出される情報の全て――自機の情報も含めた全て――が正しくない表示であふれ返ってしまったのだ。
「誤情報をたっぷり"プレゼント"してFCSをめいっぱい攪乱してやんぜ! ついでにイケてるBGMもプレゼントだ!」
さらに敵機のコックピットにブリッツの持ち込んだダンスミュージックが大音量で流れた。この混乱の中で互いの位置すら分からなくなった『ミサイルファイター』たちは目隠しに近い状態で宇宙を彷徨い衝突や誤射による同士討ちを始めていく。
この狂乱のダンスホールでまともに動ける敵は一人もおらず、そこには一方的に狩られる『玩具』が転がっていた。
「おっけー! 任せてよ! きひひ! 沢山群れてて撃ち落としがいありそう!」
操は満面の笑みで大鎌を構え、ひっくり返った玩具箱へと飛び込んだ。
成功
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スピレイル・ナトゥア
ちょうどロボットに乗りたいと思っていたところです
乗らせてください!
リアルロボット、スーパーロボットの分類って、いったい誰が最初に始めたんでしょうね?
なにが言いたいのかというと、大量の土から生成したレベル50の巨大ゴーレムをスーパーロボットだって言い張って参戦します
コックピットはたぶん頭部です
両腕を交差させた防御姿勢で連射式レーザービームに耐えて、そのまま接近して敵機を格闘で殴り飛ばします!
「行け! 巨大ゴーレムさん……じゃなくって、巨神ロボ!」
そうだ。ミサイルファイターさんを掴んで、他のミサイルファイターさんたちに向かって投げつけちゃいましょう!
え、ロボットってこういうことじゃなくって……?
●こういうロボも大アリだと思います
「行け! 巨大ゴーレムさん……じゃなくって、巨神ロボ!」
スピレイル・ナトゥア(蒼色の螺旋の巫女姫・f06014)の号令に合わせて巨大な人型のソレは拳を振り上げる。
もし大気があればゴウと風をきり唸りを上げたであろう、豪腕の一振りが一機の『ミサイルファイター』を打ち砕いた。
その巨大な体躯には関節や駆動部に当たる部位が見当たらない。それはそうだ。何故なら土の精霊を宿したゴーレムなのだから。
このゴーレムはスピレイルが近くにあった小さい小惑星を核として周辺の岩石の群れにユーベルコード『土の精霊は集う』を使用し合体させた機動兵器だ。
精霊の何割が元からこの宇宙にいて何割がスピレイルが持ち込んだものなのか細かいことはさて置いて、元が元だけにこのゴーレムは非常に大きい。『額の文字が50』になるまで周辺の岩を寄せ集めたため、最終的には探査艦の格納庫に収まらない全高600mものゴーレムとなっていた。
ちょっとした小さい山ほどある600m級のこのゴーレムは動きこそ鈍いものの、戦闘宙域でまさに巨神の如き猛威を振るっている。
「ふふ、ちょうどロボットに乗りたいと思っていたところだったんです」
頭部の内部に作られた空間に宇宙服でちょこんと座るスピレイルは光の精霊が映し出す映像越しに外を眺めてご満悦。
「ゴーレム! 防御です!」
的が大きいだけに敵の攻撃を受けやすいが機械と違って精霊が動かす巨大な鉱物の固まりであるゴーレムには、砕かれることはあれど故障という概念はない。『ミサイルファイター』たちの放つ対艦ミサイルや速射式レーザービームはゴーレムの表面を削り抉っていくが両腕を交差させて守れば被害は腕だけに留まり、その腕も周囲に散った破片を集めて再び再生していく。
この土の精霊による神の如き巨神ロボを打ち倒すには『ミサイルファイター』の火力は明らかに不足していた。
周囲を飛び回りスピレイルの巨神の表面を懸命に削る『ミサイルファイター』の姿はこのサイズ差では羽虫の様でさえある。
「そうだ。ミサイルファイターさんを掴んで、他のミサイルファイターさんたちに向かって投げつけちゃいましょう!」
スピレイルの機体はつきまとう敵機を払い除けるように腕を振り、再び近づいてきた一機を鷲掴みにした。そして捕まえた敵機をそのまま旋回中の別の敵めがけて投げつける。衝突した二機は紙細工のようにひしゃげて爆発した。
「ふふ。超カッコイイ突撃銃での戦闘も良いですが、こういうのも楽しいですねぇ」
まるで過去の鬱憤を晴らすかのようにスピレイルは敵を蹂躙した。
近くにあった小さめの小惑星(300m)を掴み敵の群れへぽいっと投げ新たな花火を作りながらスピレイルはふと疑問を口にする。
「そういえば、リアルロボット、スーパーロボットの分類って、いったい誰が最初に始めたんでしょうね?」
当方このあたりあまり詳しくはないのですが、兵器運用としての設定や描写が多い作品が増え始めたあたりからじゃないですかね……? どうなんでしょう。
●
猟兵たちの活躍によりオブリビオン化した『銀河帝国外宇宙船団』の戦士達は大損害を被り撤退を開始した。これでしばらくこのあたりは平和になるだろう。
この後は『キエリビウムJOX』との戦いに備えた準備をすることになる。
成功
🔵🔵🔴
第2章 冒険
『宇宙航路開拓作戦』
|
POW : 探索や転移の障害となるデブリなどを取り除く
SPD : 周辺の警戒を行い、敵襲に備える
WIZ : 宙域の地図データを作成する
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●キエリビウムJOXに備えて
やがて探査艦は、過去の銀河帝国の支配域になかった未踏の宙域へと到達した。
目撃のあった『キエリビウムJOX』の位置までまだしばらく距離があるためさらなる機体の改修や補給を行うなら今のうちだ。また周辺の地形を利用するため詳しく調べ地図データを作成したり戦闘の邪魔になりそうなデブリの排除をするのも良いだろう。
●特にやることがなければ
「鉄が足らんのです」
探査艦の艦長が帳簿を片手に猟兵たちへ語りかける。
「皆さんの活躍によりまずは驚異を退けることが出来ました。お礼を申し上げます」
敬礼を一つ行い、頭を下げた艦長は『その上で、お願いが……』と話を続けた。
「当艦はこのままこの宙域を進み皆さんを『キエリビウムJOX』の元へお届けします。整備班もその戦闘に向け急ピッチで修理やさらなるご要望の改修を進めているところです。ですが……」
話によると資源が少し足りないらしい。幸い周辺には先程の戦闘の残骸や大小様々な小惑星もある。
「この1km級の小惑星などは掘り進めれば多くの鉱物に加えてヘリウムや水素などが採掘できそうです。我々も人員を割いて補給のための採掘を進めておりますが……もしお手隙でしたらお手伝い頂けると助かります」
●格納庫
一方、格納庫は一種の戦場と化していた。
「ミサイル減った分作るぞ! 材料とっとともってこい!」
「こりゃ関節が駄目だ。どんな動きをしたらこうなるんだ? 全とっかえやるぞ!」
「あんなにもぐにゃぐにゃ動いたらそりゃな……中で回路が断線してる、こいつも取り替えるぞー!」
「あはははは! 我が艦の技術力は宇宙一ぃぃぃ! どんな注文も仕上げてやるぜぇ!」
猟兵たちの各機体は次の戦いに備えさらなく改修や修理が進められていた。もし外に出るなら別の機体を借りることになるだろう。
●
今回は『キエリビウムJOX』との戦いに備えた準備をする章にしています。
一章でのカスタマイズはそのまま三章に引き継がれます。またこの二章でカスタマイズを指定するとその内容で上書きして三章に引き継がれます。
それにより三章は戦闘にのみプレイングを割くことが出来るでしょう。
外の探索や資源回収などの冒険をする場合は、宇宙服または作業用ポットで外に出て作業をすることになります。敵機の残骸を改修して自機のパワーアップに使ったり、手に入れた資源で新たな武器や罠を作るのも良いかもしれません。
カスタマイズの内容にしか触れていない場合は整備の人と一緒に自機を改造する描写になります。
スピレイル・ナトゥア
「たのもー!」
私は、前回の戦闘で私のロボに足りないものに気づきました
それは遠距離武器(と自爆装置)です!
なので、私のロボが装備できる手持ち式のキャノン砲を製造してください
右手用と左手用、それと予備の3門ほど作成していただけると嬉しいです
格納庫に入りきらない大きさの私のロボは、きっと体育座りの姿勢で探査艦にワイヤーで曳航してもらっていると思うので、採寸して完成したら(自爆装置も一緒に)装備させておいてください
……私、なんでこんな大きなゴーレム作ったんだろう?
あ、それじゃあ、私も新しいゴーレム作って資源採掘してきますね
大量のゴーレムを作って数の力で効率良く採掘を進めます
全部採り尽くしちゃいますよ!
●大きさはパワー
「たのもー!」
スピレイル・ナトゥア(蒼色の螺旋の巫女姫・f06014)は艦の格納庫の門戸を叩く。それは600m級ゴーレムへさらなる武器を持たせるため。その武器とは――。
「私のロボが装備できる手持ち式のキャノン砲を製造してください」
ザワ……ザワ……。
ざわつく整備班の面々。
「あ……あの巨大ゴーレムに、キャノン砲……?」
「はい。私は、前回の戦闘で私のロボに足りないものに気づきました。それは遠距離武器です!」
あの巨体と質量だけでも『キエリビウムJOX』と渡り合えそうな機体が、さらにその体にふさわしい巨大な武器を所望している。
しかも動力は集まった精霊……つまり戦艦並みの巨体に積み込めるエネルギーを全て純粋に攻撃にまわせるということ。
「一体どれ程の……破壊力のキャノン砲になるというのだ……!」
整備班の面々は一様にワクワクを抑えきれない笑みを浮かべて、ざわめく。
「右手用と左手用、それと予備の3門ほど作成していただけると嬉しいです」
スピレイルは注文のラフスケッチを手渡すと資源採掘のために新たに作った小さめのゴーレムと共に船外へ出ていった。
「全部採り尽くしちゃいますよ!」
宇宙では比較的手に入りやすい土や鉱物の元となる小惑星。それは数mから数十kmの範囲のものが多く、特に数百mクラスが最も多いと言われる。
それらの中から手頃な100m前後の土の塊を元にゴーレムを50体作り、合体させて生み出された600m級の巨神は非常に多くの土の精霊と質量を宿していた。しかも関節への負荷や排熱など細かいことを考えなくても良さそうとなればこれは、好き放題に武器が作れるということ――早速開発担当による会議が始まる。
「戦艦クラスのジェネレーターを一つ……いや、二つ積めるか?」
「それでは被弾した時の誘爆の被害が大きいのでは? 一発で壊れないようにしたい」
「バッテリーはどうだろう」
ワイワイと意見交換が行われる中、一つの発言が静寂を生み出す。
「……精霊。……『光』の精霊」
ザワ……ザワ……。
発言主はファンタジーRPG好きな整備班開発担当のAさん。
「宇宙に降り注ぐ恒星たちが放つ光……あれにも精霊は居るはず……たくさんいる精霊からエネルギーを借りれば、比較的頑丈かつ高出力に作れるのでは……? それにあの機体は土の精霊……機械との相性もあるかも……」
続いて転生ファンタジーモノの小説が好きな整備班若手のBさんが案を強化する。
「恒星はどちらかと言うと火です……燃えています……。確かに明るい以上は光の精霊も居るでしょう……ですが間接的なもののはず。もう一つなにか欲しい……そう、例えば……『闇』」
ザワザワ……。
「宇宙に偏在する多くの闇……そこにも精霊はきっといます……我々の文明では観測できていませんが……いまこうして現に土の精霊で動くゴーレムがある。ならば……」
「光と闇を合わせる、というのか……!?」
今ここに相反する力を組み合わせる危険なキャノン砲が開発されようとしていた。
完成品はおそらくエネルギーチャージ率100%で撃つと大爆発の『自爆』を引き起こす試作品が、右肩と左肩とそして着け外し出来る予備として腰に一つの合計3門となるだろう……だがこの無限の宇宙に無数に存在する光と闇……あと恒星の火とか電磁波の雷とか土とかの精霊を集めて放つキャノン砲は大きな威力を発揮しそうだ。
「ふう、けっこう採掘が進みましたね」
小型のゴーレムを多数召喚して小惑星の一つをゴリゴリ掘り進めていたスピレイルはその穴からぴょこりと出た。後ろには成果物をたくさん抱えたゴーレム達。
スピレイルは小惑星から見える探査艦を見る。居住区画を含めると全高300mほど、全長1kmほどあるこの探査艦の横には体育座りの姿勢のスピレイルの巨神ロボ(600m級)がワイヤーで繋がれ曳航されている。
ロボの額には、ゴーレム――近場にあった小惑星群を素材にした――を合体させた証である『50』の文字。
「……私、なんでこんな大きなゴーレム作ったんだろう?」
スピレイルは眩しそうに目を細めると、マイペースに呟いた。
成功
🔵🔵🔴
●訂正
手持ち式のキャノン砲が、両肩と腰についているイメージです。取り外して手に持てます。
黒曜・鵺
●ふうむ、資材が足らないのですか。でしたら私もお手伝いいたしましょう。
先ほど戦った戦闘機の武装、少なくとも私が屠った機体のものは健在でしょうしね。
●やることとしては【サイコキネシス】や「念動力」で残骸を艦まで引っ張ってくることでしょうか。使えそうな武装が残っている物を優先的に。時間が許す限り集めていきますよ。ミサイルやレーザー兵器は設置型トラップに使えそうですね。
●自分の機体のカスタムは…色やステルス迷彩はそのままに取り外したバーニアを再度取り付け。後は敵機から拝借した衝角を背負えるだけ背負わせてください。私のサイコキネシスなら、それらをファンネルにすることも可能でしょう。
●戦場とは『作る』もの
「色やステルス迷彩はそのままで。取り外したバーニアを再度取り付けてください」
この後に控える『キエリビウムJOX』との決戦に向けて黒曜・鵺(影渡り・f10896)は整備に入った自機の調整を整備班に頼んだ。その後、探査艦の艦長からの要請を受け極薄型の宇宙服で外へと出る。
「ふうむ、資材が足らないのですか。でしたら私もお手伝いいたしましょう。」
鵺は自身の念動力で宇宙をスゥと移動すると先ほどまで戦闘をしていたデブリ群へと向かう。そこにあるのはコックピットのみを貫かれ殆どの原型を留める、『暗殺』された『ミサイルファイター』。
「これならほとんどの部品が再利用できそうですね。これらを資材として持ち帰りましょうか」
手をかざした鵺はサイキックエナジーを放って30mほどの大きさはある『ミサイルファイター』を捕らえると、その念動力――ユーベルコード『サイコキネシス』で探査艦まで引っ張っていく。
「使えそうな武装が残っている物を優先的に持ってきました。資材として使えそうですか?」
「こりゃあ……銀河帝国の戦闘機、『ミサイルファイター』か……!? しかもこれは特殊任務の船団仕様……航行距離と継続戦闘能力を強化した派生機。まさか実物を目にすることができるとは……」
整備班の一人がやや興奮気味に語りだす。
「規格は古いが、十分すぎるくらいだ」
鵺が持ち込んだ『ミサイルファイター』は早速解体され部品ごとに仕分けされていく。
「それは良かった。では時間が許す限り集めていきますよ」
鵺は再び宇宙へ出ようとして、ふと思いついたカスタマイズを追加で注文する。
「ああ……それと、この回収した敵機の対艦衝角を私の機体に背負えるだけ背負わせてもらえますか。『サイコキネシス』などで操って武器にしたいので」
これから戦うことになる『キエリビウムJOX』は小惑星級のサイズの大型の敵、今回戦うものは小さい方とはいえ、それでもこの探査艦を大きく上回るサイズであるため攻撃の手段は少しでも多く持っておきたい。
鵺の機体は弾帯のように帯状に連なった対艦衝角をマフラーのようにはためかせる姿となった。足や肩、背面には移動のためのスラスターなどの推進装置も付け直され宇宙での素早い加速が可能となっている。
再びデブリ群へ赴いた鵺は、ジェネレーターも含め殆ど機能している『ミサイルファイター』の残骸を見てふともう一つの『手段』を思いついた。
「……ミサイルやレーザー兵器は設置型トラップに使えそうですね」
例えばこの宙域に漂うデブリ――多くは小惑星の破片などの小天体だが、遠くから流れ着いたであろう古い船の残骸もある――に発射機構を設置し遠隔操作で作動できるようにしたら……? 数百mもの小惑星の表面に罠を取り付けて戦闘前に宙域に向けて流しておくだけでも、一見するとただの漂流してきた小惑星……不意を打つ攻撃になるかもしれない。
「トラップと遠隔操作の装置の作成も依頼しましょうか」
顎に手を当てふぅむと罠の構想を練りながら、鵺は戦闘機の残骸を『サイコキネシス』で回収していく。
成功
🔵🔵🔴
エルシー・ナイン
ふふふ、こんなこともあろうかと、秘蔵の兵器を用意していたんですよ。
【銀河帝国製試作兵器】で、ドリルミサイルを取り寄せてロボに搭載してもらいましょう。
これは、対象物を掘り進んで内部で爆発する特殊なミサイルです。元々は小惑星破壊用兵器ですが、小惑星並みの大きさのあるキエリビウムJOXにもきっと有効でしょう。
もちろん、『メカニック』の技術と『怪力』を活かして搭載作業は手伝わせてもらいますよ。整備の人達が過労死してしまっては大変ですからね。
余裕があれば、宇宙空間で適当なデブリに向かって試し撃ちもしておきたいですね。デブリの排除も出来ますし一石二鳥というものです。
●試作兵器の表舞台
各機の修理やカスタマイズが進み喧噪に包まれる格納庫。
そこにエルシー・ナイン(微笑の破壊兵器・f04299)は降り立つと整備や武装の補充が進む自機――全身にミサイルを搭載する弾薬庫のような機体と、その機体を火器管制として搭載したうえで、大型のミサイルを240発を詰めて大型のスラスターで宇宙を飛翔する武装コンテナ――の前に降り立つ。
「どうした? もっとほかの武器にでもするのかい?」
エルシーに気が付いた整備半の一人が話しかけてくる。それに対しエルシーは笑顔を崩さずに回答をした。
「ふふふ、決戦に備えて秘蔵の兵器を用意してきたんです。取り寄せるので、ぜひワタシのロボに搭載してください」
機械ゆえに声色の感情に乏しく淡々と話すのが常であるエルシーだが、この時ばかりは少し感情が言葉に現れている様だった。
「……ひ、秘蔵……!?」
整備班に緊張が走る。
「銀河帝国製の正式採用されなかった試作兵器、その遺物、使いこなして見せましょう!」
ユーベルコード『銀河帝国製試作兵器』により銀河帝国の試作兵器の一つが今、召喚される。それは――。
「対象を掘り内部で爆発する小惑星破壊用の兵器……ドリルミサイルじゃないか! あの、『戦艦相手には貫通力が高すぎるしエネルギ―シールド相手には効率が悪い、小惑星に限定させる意味がよく解らない』などの散々な評価で試作のまま終わったあの……!」
兵器好きな整備班の一人が早口でまくし立てる。
「よくご存じですね。そう……これは、対象物を掘り進んで内部で爆発する特殊なミサイルです。元々は小惑星破壊用兵器ですが、小惑星並みの大きさのあるキエリビウムJOXにもきっと有効でしょう」
構想のみで消え去ったロマンと夢を積んだアイディアを凝らした数々の試作兵器……その歴史から零れ落ちた力の一つが今、この特殊な局面において光を浴びようとしている。
「搭載作業は手伝わせてもらいますよ」
エルシーは2mを超える身長通りの怪力を発揮しその特殊ミサイルをひょいと担ぎあげた。
「コンテナの大型ミサイルの格納スペースを通常のものに差し替えれば4発ずつ……480発は入りますね」
現在のミサイル発射口とのサイズ差を確認し、付け替えるための作業を開始するエルシー。そこへ整備班の一人が話かける。
「宇宙にばらまいて点火する多弾頭型のミサイルに改造した方がたくさん積めませんか? 先の戦闘のように大型ミサイルから8発ずつばらまけますが」
「手を加えすぎて動作が不安定になっても本末転倒ですしそのままでいきましょう」
やり取りを重ね安定性と最大火力のバランスをとりながら、試作機ゆえの特殊な規格を吸収するための装置の作成などが進められていく。
「ロボの本体のほうはこれで撃てそうですね。武装コンテナの方は……あとで考えましょう。試し撃ちをしてきます」
改修を終えたエルシーの機体が探査艦のカタパルトからゆっくりと外に出る。
ふわりと漂うその機体は四肢や肩や背面にミサイルが積み込まれている。その数は腕に片方5発ずつ、足に片方10発ずつ、肩に片方5発ずつ。そして背面に20発。全身に搭載した合計60発に加えで10発を3回撃てるミサイルランチャーを両手に持ち合計120発。
「あれを砕けば資源の回収やデブリの排除も出来ますし一石二鳥そうですね」
エルシーは探査艦の管制室とやりとりをして許可を取ると遠方に見える2km級の小惑星を見据えた。
「ドリルミサイル、ロック解除。照準セット。オールウエポン、フルファイア!」
機体から同時に発射される120発のドリルミサイル。それは2kmはある小惑星へ着弾すると唸りをあげ表面を削り奥へと進んでいく。そしてそれぞれ300mほど掘り進んだかというあたりで炸裂をする。
ガゴッという鈍い爆発音とともに小惑星が火を噴きながら亀裂を作った。内部から直接伝わる衝撃は亀裂を生み擦れ合う岩盤の摩擦は火花を産み出して百メートル前後の比較的小さな塊へ分割していく。内部での爆発は確かなダメージを小惑星に与えたようだ。
「なるほど」
銀河帝国製試作兵器のドリルミサイルの効果を確認したエルシーは試し撃ちの結果をデフォルトの笑顔で分析する。
成功
🔵🔵🔴
月詠・愛珠
せっかく増やした装甲勝手にパージしちゃって申し訳ない…あ、ところで装備追加もお願いしたい
平謝りしながらもペンダントにもしている「月詠の証」を追加して貰うね(機体に銀の三日月をペイントしてもらう)
装甲は…念の為パージした分戻してもらおう、何が起きるかわからないからこそ備えすぎということも無いし
後は、整備班に食事の差し入れをしてから周辺警戒に出るよ
危ないのは承知だけど整備は本職に任せてボク自身の出来ることをしなくちゃ
という訳で先に交戦した戦闘機の残りが居ないか気にしつつ、目的地までの方向を警戒がんばるよ
大凡把握、もしくは危険が迫ってる状況になったら【指定UC】使って急いで戻るよ
指定先は整備班の所で
●運命との対峙
「せっかく増やした装甲勝手にパージしちゃって申し訳ない……」
ぺこぺこと謝る月詠・愛珠(月に魅入られる翠の狐娘・f06905)。愛珠の機体はイイ感じに周囲から狙われたようであちこちレーザーで焼かれひしゃげていた。しかし機体のフレームや中心部が無傷だった所になんやかんやと戦闘センスの良さが垣間見える。
「パイロットは生き残るのが仕事だ。無傷で戻ってきてくれた方が確かに楽だが、まあ気にするな」
整備班のベテラン技師は損傷個所をチェックしながらたばこを取り出し火をつける。
「ここは火気厳禁だよね!?」
「気を付けてるから大丈夫だよ」
「気を付けてるって何を!?」
思わず注意をする愛珠に苦い顔でたばこの火を消すベテラン技師。燃料補給や整備のための可燃性の高いものが多い場所での火は危ないので皆さんは真似をしないでください。
「あ、ところで装備追加をお願いしたい」
愛珠は自分の機体の追加のカスタマイズを要望した。
「ええと、この証……ペンダントと同じ銀のペイントが欲しいんだ……」
この銀の三日月の文様は愛珠にとって特別な意味を持っている。それは出奔した家の名に由来する『月詠の技』を使うのに使用する文様……。
愛珠は効果を引き出すためペイントに必要な塗料の素材まで指定していく。これで強大な敵とも十分に戦えるだろう……戦いに向けた備えが整っていく。
「あと、念の為パージした分の装甲も」
愛珠はいちど食堂へ戻りサンドイッチの差し入れをすると、周辺警戒に出た。
「ノーマルの機体だとほんとに癖がないんだね、でもちょっと遅く感じるかも」
愛珠は先に交戦した戦闘機の残りが居ないか気にしつつ探査艦の進路上の警戒を行う。
「……何が起きるかわからないからこそ備えすぎということも無いし。『月詠』の技も使えるようにしておいて損はないよね……」
この後に控えている『キエリビウムJOX』との戦いのことを考えながら、愛珠は宇宙空間をぼんやり見回した。敵機は見当たらず、『キエリビウムJOX』と思われる巨大な影も見当たらない。
「かなり大きいみたいだから、遠くにちょこっと見えたりしないかな」
コックピット内のカメラを望遠に切り替えようとする愛珠。しかし、ここで格納庫から通信が入った。
「嬢ちゃん、早く来てくれ。頼――」
ブツッと通信が途絶えた。
「まさか危険が迫って……!」
愛珠は常時携帯している銀の三日月のアクセサリを手に握った。
「間に合え……満ちて導け、ボクの半月!」
愛珠の掌に淡く光る銀の半月が浮かび、愛珠は機体ごとテレポートをした。
そしてテレポート先の格納庫は――。
「おお、早かったな。サンドイッチのお代わり頼む」
「――え?」
愛珠は『あまりに何事もない』状況に思わず固まった。
「だって通信が途中で……」
「あー、言うこと言い終わったんでバサッと通信切った時の事か?」
そう、全くもって何事も無かったのだ。
「その位、自分でやりなよぉおおお!」
「食堂にこの汚れた整備中の格好じゃ入れなくてなぁ、困ってたんだ。思ったより早く来てくれて助かったぜ。ガハハ」
「もーっ! 今回だけだからね!」
頼まれると最終的に断りきれない愛珠は、食べ終わった皿を回収すると追加のサンドイッチを取りに再び食堂へ向かった。
成功
🔵🔵🔴
ブリッツ・エレクトロダンス
さて、サルベージ作業と行くか…
作業用ポッドを一台借りるぜ。
さーてファイターの残骸にお目当てのは………っと、あった!まだ使えそうな対艦ミサイル!
制御システムをハックして…っと、よし、使い捨ての対艦ミサイルランチャーゲットだ!
対艦ミサイル用の照準レーダーを準備するには時間が足りないから無誘導状態でぶっ放すしかねえ…
さて、対艦級の火器で小惑星級の化け物にどこまで通じるか…やってみるしかねえな。
●D.I.Y.
残骸となって宇宙を漂う多数の『ミサイルファイター』の残骸……その残骸の間を行き来する一つの作業用ポッドがあった。
「さーてファイターの残骸にお目当てのは……っと、あった! まだ使えそうな対艦ミサイル!」
作業用ポッドに乗るのはブリッツ・エレクトロダンス(限定★4:真夏のクロヒョウ・f01017)。
先の戦闘では敵機をハッキングし混乱の状態に持ち込んだため、敵は弾薬を殆ど消費していなかった。そして戦闘不能となった『ミサイルファイター』の残骸の多くは共に出撃した仲間の大鎌による最小限の攻撃で、推進装置とコックピットを的確に射貫かれ切り裂かれている。
戦闘において行われたくない厭なこと――移動手段の無力化と兵器の回収と再利用――を狙った今回の相方の攻撃が今、ブリッツが『キエリビウムJOX』へ挑むための準備の要となっていた。
ブリッツは残骸となった『ミサイルファイター』の対艦ミサイル付近にあるメンテ用のハッチから有線の回線を繋ぐと、持ち込んだ演算装置とキーボードを操作して制御システムに侵入した。
「制御システムをハックして……っと」
ブリッツがキーを叩くと残骸のミサイルやレーザーの照準が動き始める。システムの掌握成功の証だ。
「よし、使い捨ての対艦ミサイルランチャーゲットだ! あとは簡単な無線の送受信装置も取り付けて……と」
ブリッツは作業用ポッドのアームを器用に操作すると有線の回線を無線の送受信機へ付け替える。
「無線は最低限のやり取りが出来りゃいい……よし、テスト用の送受信は問題ないな」
ブリッツは宇宙空間で残骸のハッキングとミサイルランチャーとして運用するための工作を進めて、作業用ポットのワイヤーに括り付けて曳航していった。
(問題は沢山あるこいつらをどう使うかだ)
この宙域に多く漂う残骸のシステムを掌握し武器とするには回収するたびに探査艦に戻っていては時間が足りない。だがこのまま宇宙で直接作業を進めたなら間に合うだろう。
これらをどこか手近な小惑星にでも配置して一個ずつ使い捨てるか、推進装置をつけて特攻させるか……考えられる利用方法は多そうだ。
「いずれにせよ、対艦ミサイル用の照準レーダーを全部準備するには時間が足りないから無誘導状態でぶっ放すしかねえ……」
賭けのある運用ではある。だが相手は非常に巨大なため外すことはないだろう。ならばあとは迎撃されないように着弾させられるかどうか……それらを全て上手くやってみせたなら、それはなかなかにクールな事だろう。
「さて、対艦級の火器で小惑星級の化け物にどこまで通じるか……やってみるしかねえな」
ブリッツはミサイルの運用を頭の中でシミュレートしながら、牙から覗く舌で唇をペロリと舐める。
一つ一つ細かい調整や部品の取り付けに工作まで、全て自分の手で創作したこの武器たちはブリッツ自身が一番よく仕組みを知っている。ならば敵に合わせた臨機応変な使い方が出来るだろう。
成功
🔵🔵🔴
メーティオル・スター
SPDで判定。
本職がジャンク屋だし、オレとしては格納庫の手伝いに回ろうかと思ったけど。
鉄火場にいきなり飛び込んでも邪魔になりそうだし、大人しく外の探索でもしてようかな。
ああ、そうそう。
機体の装備構成には特に不満はないけど、ボードの出力をもう少し上げても大丈夫そうだったな。
仕様上はまだ余力があるみたいだったし、リミッターの設定変更だけで対応できそう。
宇宙に出る前に、この辺りの調整だけお願いしておこうかな。
作業用ポットで出たら、まずは宇宙船の周りをぐるりと一周。
周囲の状態を把握したら、デブリや小惑星の陰に敵とか隠れてないか、注意してみようかな。
●夢へ
「劣化した油の差し替え終わったな、デブリから保護する関節のシートも忘れんなよ!」
喧騒が飛び交う格納庫。ここでは今、急ピッチで修理、整備、改修などが進められており整備班の技術者たちの熱量はまさに火を噴くかの如しだ。
そんな彼らの仕事を、メーティオル・スター(屑鉄漁りの見習い冒険者・f05168)は邪魔にならない様に格納庫二階の細い通路から見下ろしていた。
(本職がジャンク屋だし、オレとしては格納庫の手伝いに回ろうかと思ったけど)
実際に機械やロボの整備、そして開発まで行ってしまう一流の集団の仕事を見てメーティオルは息をつく。
(……鉄火場にいきなり飛び込んでも邪魔になりそうだし、大人しく外の探索でもしてようかな)
メーティオルが作業用ポッドを借りようと移動しているときだった。整備班の一人がメーティオルへ声をかける。
「少年、ここに居たか!」
艦の整備班の班長だ。忙しい中わざわざ探しに来たということは、ボードなどの特殊な装備の話だろうか?
「少年の機体も性能上げられそうなら上げとこうと思ってな。物足りないところあったら言ってくれ」
「特に不満はないけど……」
メーティオルは先ほどの戦いをいくらか思い出し、書くものを出すといくつか図や式を書きながら考えをまとめていく。
「ボードの出力をもう少し上げても大丈夫そう。リミッターの設定をもうすこし……係数このくらいかな? 機体の反応の制限を緩くしてもらえたら、波に対するボードの推力の反応も3割ほど敏感にしても操れると思う」
技術屋同士だから伝わる正確で短いやり取りで調整の要望を出すメーティオル。
「なるほど……この敏感さでもいけるってんだな。よしっわかった!」
「よろしく!」
「任せな!」
再び鉄火場へと戻っていく班長を見送ってから、メーティオルは周辺の警戒のために宇宙へ出た。
探査艦はデブリや小惑星の群れに沿い、身を隠すように航行を続けている。
作業用ポッドで出たメーティオルは先ほど遭遇した『ミサイルファイター』のような敵が万が一にも潜んでいないかと、大きな天体物の物陰に気を付けながら探査艦の周囲をぐるりとまわった。後方には巨大なゴーレムが曳航され、艦の右手には小惑星や漂流してきたゴミたちのデブリ群。そしてそのデブリ群の向こうには恒星が輝いてこの宙域に光をもたらしている。
(ここが未踏の宙域……)
見た感じでは今までの宇宙と特に代わり映えはしないように見える。しかしここは既にこの目で直接見て調べる以外に知る方法が無い場所なのだ。メーティオルは今、スペースシップワールドの歴史上でも稀有な冒険の旅の先端に居ることになる。
メーティオルは目を細め、探査艦の進路方向を見た。
(この探査の旅が進んだら、そのうち新しい惑星も見つかるのかな。その時はその冒険にオレも加われるかな)
5km級のひときわ大きい小惑星の向こうからガス星雲の輝きが見え、遅れて恒星の光が差し込んで影から出た探査艦を再び照らした。その恒星の光に、小さな影。
「あれは――」
米粒のような、非常に遠くにある小惑星と思われる物体。しかしよく見ると細い紐のようなものを揺らめかせている。
成功
🔵🔵🔴
赤星・緋色
ロボで限界まで動いてみた感じの不満点とかをまとめておいて
そこら辺を重点的に強化できたらいいかな
よーっし、材料をなんやかんやで集めてくるからメンテはお願いする感じかな!
敵の残骸を集めて、ニコイチ、サンコイチ
使えそうな武器とか落ちてるとといいよね
鹵獲兵器を使えば技術の進歩スピードがなんやかんや
余った外装とかも利用して、デコイとかも作っちゃう?
燃料とか足りないならそれも取ってきてあげよ
宇宙空間だとガス類の採掘って大変そうだね!
あ、優秀な機体って金色に塗ればいいんだっけ?
でも宇宙で金色って光反射して凄く目立ちそうだよね
やめとこ!
機動力重視に調整したいかなー
大きい相手って小さく素早いの苦手そうなイメージ
●原石は新たな宝石へ
限界近くまで稼働した赤星・緋色(サンプルキャラクター・f03675)の機体は外から見たダメージこそないものの、リミッターを緩めたうえで関節を酷使する動きをしたことで内部はほぼ部品の総取り換えとなるボロボロの状態になっていた。
「もっと機動力重視に調整したいかなー。大きい相手に素早く動くイメージ。せっかく余裕持たせて作ってるんだからリミッターもっと緩めて、関節も摩擦をどうにかしてもっと早く――」
ロボで限界まで動いてみた感じの不満点とかを並べていく緋色、これらを聞いた整備班の面々は頭を悩ませた。
一点特化するならまだ容易いのだが、出てきた要望は安価で量産しやすい量産機だからこそ存在する非常に基本的な設計や素材レベルの細かい点であったからだ。
「とりあえず材料になりそうなものだいたい集めてきてるからこれでなんとかなるかな」
緋色は回収してきた鉱物や『ミサイルファイター』たちの残骸も示す。
少し型落ちしている古い時代の機体とは言え、これらはかつてスペースシップワールドを支配していた銀河帝国の戦闘機、その素材は一級品のものが使われている……この鹵獲兵器を使えば技術の壁も突破できるかもしれない。
「どうかな? できそう?」
眉をハの字にしすこし残念そうな顔をする緋色を前に、メイン担当者は拳を固めた。
「――どうせ全とっかえやるんだ。これだけ良い材料を用意されて出来ないなんて言った日には後で他の艦のやつらに笑われちまう。みんな……やろうぜ!」
その声に周囲の整備班たちも次々と頷いた。その瞳に宿るのは情熱の火。
「この材料を使って一点モノのエース専用機、作ってやろうじゃないか!」
沸き立つ熱に緋色は手をポンと叩き嬉しそうに笑う。
「やったね。じゃあ私は燃料とかも取ってくるよ」
こうして緋色の監修の元に量産機をベースにした専用機が作られていった。基本設計は元の量産機をベースに素材を敵機と同じにしてより硬く柔軟に。関節は電磁気で包み磁力による反発力で関節の摩擦係数を下げる。そして電装系もより伝導率の高い純金へ――。
完成した機体は外側は所々が量産機と同じだが中身は全く別物になっていた。
脚部と背中のスラスターはフレキシブルに向きの変更が可能となり、さらに背中のスラスターは猛禽類の大きな翼を想起させるような大型の形状でその下部にはプロペラントタンクが配置されている。
関節も強化され、電装系の強化と合わさって今までの限界値よりさらに2割速く動くその四肢はより細やかに動かすことが可能。さらに乗り手のバーチャルキャラクターの特性を生かした思考操縦システム『バーチャルキャラクター・インテンション・システム』を独自実装……量産機という拡張性の原石を極限まで磨いたこの機体は、どちらかというと実験機に近い出来となっている。
武装も強化され、バズーカに加えて『速射式レーザービーム』を元に発展させた、ビームライフルとビームソードも装備している。
「おー、なんやかんやで速そうなのができたね。ありがとー!」
やり切った顔の整備班たちへ礼を言うと緋色はカラーリングをどうするか悩んだ。
「うーん、色どうしよう? あ、優秀な機体って金色に塗ればいいんだっけ?」
宇宙を駆ける金色の機体を想像する。
「でも宇宙で金色って光反射して凄く目立ちそうだよね。やめとこ! このまま赤と黒でいいかなー」
心無しかテンション高めに緋色はカラーリングを考えていった。
成功
🔵🔵🔴
第3章 ボス戦
『クェーサービースト・キエリビウムJOX』
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POW : JOXクリアビス
【物質分解波動を帯びた触手による殴打】が命中した対象に対し、高威力高命中の【触手を巻き付けての圧壊攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : JOXストリミド
【高速回転しながら、物質分解波動の連射】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : JOXリガリアム
【触手】を向けた対象に、【頭部の水晶体から放たれる物質分解光線】でダメージを与える。命中率が高い。
イラスト:傘魚
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●通信
探査艦および宇宙へ出ている各機へ緊急の連絡が通知された。
――全員へ通達。本艦は『キエリビウムJOX』を捕捉しました。各員戦闘態勢に入り待機を願います。
●キエリビウムJOXとの戦い
「先ほど全艦放送があったように、本艦は『キエリビウムJOX』を発見しました。小惑星と混同することなく先に見つけることが出来たのは僥倖であります」
探査艦の艦長がモニタへ付近の地図を映し出して猟兵たちに説明をする。
「敵との距離は数百kmほどです。ここからでは米粒のように小さいですが、接近したら3kmはあるその巨体が眼前に迫ることになるでしょう」
UDCアースで例えると富士山ほどの全長となる。
「本艦は安全のためここに留まります。皆さんには本艦から出撃後、そのまま敵へ接近してもらい撃破をお願いする形です。この距離なら最高速度で2分ほど飛行したら有効射程に敵を収められるでしょう」
探査艦の艦長は説明を終えると再び敬礼を一つ行い、頭を下げた。
「猟兵の皆さん、どうかご武運を。そしてよろしくお願いいたします」
●
一章および二章でのカスタマイズがそのまま三章に引き継がれます。
それによりカスタマイズ済みの方は三章は戦闘にのみプレイングを割くことが可能です。
●『驚異』との戦い
人類の居住可能な惑星を求める旅の前に立ちはだかる『小さな尖兵』、『キエリビウムJOX』……その大きさは小惑星に匹敵する。
今回現れたのは3km級、振り回す触手は2kmもの長さとなり本体へダメージを加えるには、この射程の差を何とかしなければならない。
またこの『キエリビウムJOX』をはじめとする、『クェーサービースト』たちはかつてあの銀河帝国すら排除できなかった『驚異』……。並の兵器では太刀打ちできず、その攻略には猟兵たちの使うユーベルコード――世界の法則すら一時的に捻じ曲げる超常能力――が必要だ。
猟兵たちは『いい感じにユーベルコードがマシンを伝わって発現できる、猟兵用の機動兵器』または『ユーベルコードを伴う自分自身の機動兵器』に乗り込みこの『キエリビウムJOX』へと挑む。
黒曜・鵺
●ふうむ、実物は初めて目にしましたが…何とも巨大ですね。しかも、これで小型の尖兵クラスとは。興味は尽きませんがこちらに敵意を持つ相手に変わりはありません。さて、どう戦いましょうか。
●まずは楔を。機体のステルス機能を用いて接近し、背中に取り付けた衝角を【サイコキネシス】をもって打ち込みましょう。あちらとしては豆鉄砲にもならないものでしょうが、だからこそ着弾させやすい。
打ち込めたら傷口をえぐるように衝角を敵体内に侵入させ、暴れさせ……できうるなら敵の核や急所を探り当てたいですね。
●後は先に作っておいたトラップゾーンに誘導し、私はもちろん、味方の合図一つでレーザーやミサイルが撃てる状況にしましょう。
メーティオル・スター
※アドリブ歓迎です。
SPDで挑戦!
うへー、聞いてはいたけどでっかーい…。
ダメージとか通るのかな。…ま、とりあえずやってみるか!
高速回転しながらの連射、避けにくけど…それって何処に飛んでくるか分からないからだよね。
ユーベルコード「局所的近未来予測システム」を起動。
連射でハチの巣にされる未来を視て、波動の飛んでくる場所を見切る!
…何度やってもなれないけど、今回は特にしんどいな…。(自分が致命傷を受けるのを見るのは)
波動をかいくぐったら水晶体に接近して、ハイパー電磁ヨーヨーで攻撃!
ただぶつけるんじゃなくて、「犬の散歩」の要領でヨーヨーを転がして削っていく!
…にしても、効いてるのかよく分かんないな…
エルシー・ナイン
キエリビウムJOX……実際に目の当たりにすると想像を絶する大きさですね。
こんな相手に出し惜しみはしていられません。頭部っぽく見える部分目掛けて『一斉発射』でドリルミサイルを撃ち込み、内部からの破壊を試みますよ。
物質分解光線の直撃を受けるわけにはいきませんので、射線を『見切り』回避します。それでもかわしきれない場合は武装コンテナをパージして盾代わりにしましょう。
全てのミサイルを撃ちきったらロボから降りて、ミサイルが空けた穴に『高火力制圧用重装形態』で突入、全武装を『範囲攻撃』で『一斉発射』です。いくら大きくても、内部からの攻撃には弱いはず。
ロボ自体は質量爆弾として敵に突っ込ませましょう。
赤星・緋色
出たねクラゲっぽいボス敵!
あ、先兵だからボスじゃないんだっけ?
なるほどね、回転して波動を連射する攻撃かー
それなら相手の攻撃発動見てから頭の方向に避けてみよ
頭の部分は光線技だけっぽいしね
相手の攻撃に合わせて引き付けつつ見切り技能を使って回避
スカイステッパーとスラスターを組み合わせた高速移動で一気に接近かな
硬い敵とか大きい敵を狙うときは間接とかの隙間を狙うのがセオリーだけど
水晶体と周りの金色の境界あたりを狙ってみよー
そこに相手の回転力と私の速度をのせたビームソードの一撃でサクッと
相手が一周回ったらダメージ個所に合わせてバズーカとライフルをドーン!
相手の攻撃が終わるタイミングに合わせて一気に離脱かな
●高機動チーム
猟兵たち――敵意を持った『外敵』の接近を検知した『キエリビウムJOX』がぐるりとまわり始めた。見える動きはゆっくりだがそれは距離が大きく離れているため……実際にはもしこの場に大気があればその一振りで轟音が鳴り衝撃が発生していただろう。
そんな重い回転は見る間に速さを増し高速回転となっていく。
センサーが異常を検知し警告を鳴らした。回転から放たれた『何か』が空間の塵を文字通り消滅させながら猟兵たちへ雨のように降り注いでくる。
「…! 何だ!?」
ユーベルコード『局所的近未来予測システム』により自身がハチの巣にされる未来を視たメーティオル・スター(屑鉄漁りの見習い冒険者・f05168)は咄嗟に機体を傾けて放たれた『物質分解波動』を回避した。『マグネボード』で電磁波をとらえ、宇宙空間の波間を泳ぐように避けてく。
接近する異常を見切り赤星・緋色(サンプルキャラクター・f03675)もまた状況を分析しながら『物質分解波動』に対して回避行動をとる。
「なるほどね、回転して波動を連射する攻撃かー」
まるでそこに壁があるような慣性を無視した機動――ユーベルコード『スカイステッパー』による宇宙空間を蹴ったジャンプと脚部と背中のフレキシブルなスラスターによる機動――で稲妻のように避けた緋色はその赤い機体の残像を残しながら一度敵の頭部側へと飛び射線から外れた位置へ移動した。
攻撃を終えた『キエリビウムJOX』が第二射のために頭部側だった方向へと向きを変えていく。
「流石に宇宙だと上下とかも関係ないかー。このまま水晶体に向かって行ったらすぐ第二射撃たれそうだねー」
「でもこれで相手の攻撃方法も解ってきたし、このまましばらくオレたちで引きつけられそうだ」
「あ、そっか。トラップとかミサイルとかあるんだっけ」
「……! 次が来るよ!」
「おっと」
高速回転を始めた『キエリビウムJOX』から再び物質分解波動が連射された。この波動に触れた岩は一瞬で分解されそこに初めから何も無かったように消滅をしていく。
「あ、通信。準備できたみたい、じゃ一気に突撃してかく乱しよー。次の攻撃来たら一気にいくよー」
「じゃあオレが前に出て誘うよ。なんたってオレには『局所的近未来予測システム』があるからね! 任せて!」
軽口を叩きマグネボードを踏み込んでメーティオルの機体は電磁波による波に乗って加速していく。事前の改修で上がった反応速度は未来予想にも十分についていけていた。この機体ならきっと出来る――。
●未来を選び、掴む
眼前の『キエリビウムJOX』へ接近するに従いその巨大な姿が眼前に迫る。
「うへー、聞いてはいたけどでっかーい……。……ま、とりあえずやってみるか!」
狙い通りに『キエリビウムJOX』は前へ突出してきたメーティオルへと向きを変え
、山のような巨体で再び回転を始めた。その予備動作に合わせてメーティオルへいくつもの局所的な予測される未来が『視え』始める――ある未来では高速回転の触手に潰され、ある未来では物質分解波動に貫かれる。連続攻撃を避けきれず追い詰められていく。そういういくつもの未来――。そして予想されたどの未来にも属さない回避ルートは……。
「視えた……っ!」
メーティオルは超高速連続攻撃の隙間を縫うように体を捻り手足を巧みに動かして
攻撃を避けていく。モーションキャプチャーの特性も生かしたパフォーマンスのような早業の動きはまるでダンスの様でさえあった。
物質分解波動が機体の左腕を消し飛ばすがメーティオルは止まらない。
「まだだーっ!!!」
物質分解波動の連射を掻い潜りその攻撃範囲から抜けたメーティオルだが、局所的な未来予想で自分が致命傷を負うのをいくつも視たことでかなり精神的な消耗をしていた。
「――はぁ、はぁ……。……何度やっても慣れないけど、今回は特にしんどいな……」
続けて仲間の追撃に合わせるためにメーティオルは移動を開始した。
休んでいる暇はない。この巨大な敵を倒して未来を……未知への航路を掴むために。
●攻撃への狼煙
メーティオルが『キエリビウムJOX』を引き付けた隙に緋色は一気に水晶体の上へ取りついていた。
「いくぞークラゲっぽいボス敵! あ、先兵だからボスじゃないんだっけ?」
高速回転中の『キエリビウムJOX』へ近づき、淵の水晶体と金色の部分の隙間へと機体のビームソードを差し込むとぐるりと傷を入れていった。
「硬い敵とか大きい敵を狙うときは間接とかの隙間を狙うのがセオリーだからねー」
緋色は続けてバズーカとライフルを傷口へ打ち込むと高速回転の終了に合わせて離脱のため距離を離していく。
頭部の部分だけでも1km近いサイズに対し搭乗機体は150mほど。巨大なロボのおかげでその差は4倍程度に収まっているが、さすがに十分なダメージとは行かないようだ。
「ユーベルコードじゃないとちょっと効きが悪いかー」
血のような体液を出しながらもビームソードは表面を切り裂くに留まった様子ではある。そしてこの攻撃は『キエリビウムJOX』の気を引くのに十分な傷となった。
大小様々な触手による通常攻撃の打撃が緋色の進行方向を包むように襲う。
「わっと、わかってたけどやっぱ次はこっち来たかー」
緋色はユーベルコード『スカイステッパー』による宇宙空間の蹴りとカスタマイズで増設された脚部と背中のスラスターを駆使して時に触手自体を足場としながら、思考操縦システムによるレスポンスも利用した複雑な軌道で回避をしていく。
細い触手はビームソードで斬り、太い触手は蹴りで機体の軌道を変え、他の触手を盾に利用しつつ避けていくが徐々に追い詰められてとうとう機体の右足が触手に捉えられて動きを止めらてしまう。そこへ一気に串刺しにせんと触手が迫りくる。
「このくらいで私は止められない!」
緋色は咄嗟に掴まれた機体の足を自身のライフルで打ち抜き、拘束から逃れると残る左足で空間を蹴って背中のスラスターを最大出力にした。加速のGに耐えながらもビームソードを持った手を回転させて攻防一体のシールドにし、オーラ防御を展開しながら触手を突破する。
「大体の触手は上に来たね。へーい、火力はよろしくー」
緋色は待機していた仲間へ通信を入れると触手の追撃を受けない様にすぐさま有効射程外へ離脱した。
●楔を打ち込む
二人の攻撃により注意を引かれた『キエリビウムJOX』は頭部のように見える水晶体へとその触手を集中させていた。
遠目にその姿は巾着のようになっており、下部に大きな隙が出来ている。そこへ計算されたかのように数百mほどの小惑星が多数漂流し、その小惑星に紛れて『キエリビウムJOX』の下部へ一機の機体が高速で接近していた。
武装コンテナで着ぶくれし見た目はほぼ輸送機か何かのようなこの機体は、機動力はそこまで高くないが大型のスラスターにより最高速度は非常に高い。放たれた矢のごとく飛翔するその機体に乗るのはエルシー・ナイン(微笑の破壊兵器・f04299)。
「キエリビウムJOX……実際に目の当たりにすると想像を絶する大きさですね」
頭上には一つの街がすっぽり収まるほどの空間が見える。それだけの広さにびっしりと大小の触手が生えており、それらの触手は仲間の引きつけによりほぼすべてが水晶体の方へ向かっていた。
「こんな相手に出し惜しみはしていられません。打てる手は全て使いましょう」
エルシーはコンテナブロックに積んだ480発のドリルミサイル――事前のカスタマイズの時にユーベルコード『銀河帝国製試作兵器』で召喚したもの――を一斉に発射した。
それらは全て『キエリビウムJOX』の水晶体を狙い飛翔する。下から接近した敵に気づいた『キエリビウムJOX』は下部に残った少しの触手で応戦を始めるが数が多くドリルミサイルを全て迎撃しきれない。
さらにエルシーは機体の武装コンテナをパージした。ガシュ、という気圧ロックの解除音とともにスラスターのある部位が切り離され、装甲が開いて中から機体の本体が出てくる。コンテナをパージするとエルシーは立て続けに機体の四肢と装備する両手のミサイルランチャーに積み込まれた追加のミサイル120発を水晶体をターゲットとして発射。
合計600発ものドリルミサイルが『キエリビウムJOX』の下部から水晶体を襲い、緋色により誘導された大半の触手をも巻き込んでいく。そのドリルは触手をえぐり、水晶体へ傷をつけ表面を削っていった。
頭部の水晶体から放たれる物質分解光線がドリルミサイルをさらに迎撃しようとするが数が多く対処がしきれていない。そして水晶体からの物質分解光線は自分自身の触手すら分解していく。
●攻勢へ
この触手を巻き込んだドリルミサイルの雨と、そのドリルミサイルを迎撃しようとした物質分解光線による同士討ちで『キエリビウムJOX』は触手の過半数を失った。
「だいぶさっぱりしたなぁ」
メーティオルは触手がほとんど失われたのを見ると水晶体へと接近してドリルミサイルで傷の入った部位へ『ハイパー電磁ヨーヨー』を放った。機体の片腕は消し飛ばされたが片腕があれば攻撃をするには十分。電磁力で操るそのヨーヨーで水晶体の傷を削っていく。
「……大きすぎて、効いてるのかよく分かんないな……」
緋色も同様に水晶体へ最接近し残る武器による攻撃を叩き込んでいった。
「ダメージ個所に合わせて、バズーカとライフルをドーン!」
ダメージそのものは大きくないがこれらの攻撃は傷ついた『キエリビウムJOX』の表面をじわじわと削り、脆くしていく。
この攻撃で広がった傷へ『ミサイルファイター』の対艦衝角と思わしきものが人知れず入り込んでいった……それは黒曜・鵺(影渡り・f10896)の機体に付けられユーベルコード『サイコキネシス』で操作されたもの。
このサイコキネシスで操作された対艦衝角は小さな傷口へ侵入すると内部をえぐりながら進んでいく。
一方で、『キエリビウムJOX』は標的をエルシーに変えて打撃を与えようと残る触手を振り回してきた。しかしエルシーと共に『キエリビウムJOX』の下部へもぐりこんでいた数百mほどの多数の小惑星が一斉にミサイルやレーザーを放ち触手の迎撃を始めた。
この小惑星たちはただ身を隠すためのものではなく、鵺が用意したトラップでもあったのだ。小惑星の表面にはコックピットのみが貫かれ残りの機構が生きたままの『ミサイルファイター』の残骸が多数括り付けられており、鵺からの遠隔操作で攻撃が行えるようになっている。先のドリルミサイルで受けたダメージで脆くなっていたものからこの攻撃でボロリと千切れていき、『キエリビウムJOX』は過半数を失ったその触手の残りをさらに減らしていく。
「ふうむ、実物は初めて目にしましたが……何とも巨大ですね。しかも、これで小型の尖兵クラスとは」
ステルス機能を生かし小惑星の一部となって接近していた鵺は触手を遠隔操作によるミサイルやレーザーで迎撃しながら『サイコキネシス』で対艦衝角を操作して『キエリビウムJOX』の内部を探っていく。
(さて、急所のようなものはあるでしょうか……)
この弾幕の中でエルシーはコックピットから出て機体を乗り捨てた。
「ロボ自体は質量爆弾として突っ込んでもらいましょう」
機体がそのまま『キエリビウムJOX』の下部へぶつかるようにオート操縦をセットするとコンテナブロックを盾として生身で宇宙へ出たエルシー。続けて『高火力制圧用重装形態』へ移行する。
「フルアーマーパーツ装着、全装備火器のリンクを確認。これより、高火力制圧モードに移行します」
間を置かずオート操縦の機体が『キエリビウムJOX』の下部へぶつかり触手をさらにいくつか根元から千切っていく。
この爆発でさらにデブリが多数飛び散る中へエルシーは飛び出した。150mのロボが全長3km級の敵と戦い、数百mもの小惑星も漂う中で2mほどの小さな破壊兵器がデブリの隙間を縫って飛翔していく。
それはドリルミサイルが傷を作った水晶体――その傷口から内部へ侵入し攻撃を加えるため。
●急所
鵺が侵入させた対艦衝角で内部をえぐっていくと『キエリビウムJOX』が苦しむように触手をうねらせる部位があった。
「む……」
暗殺の知見から何かの臓器に当たる部位だろうと予想できる。小惑星から触手の付け根を見上げ、外からもその位置を確認した。
(急所と思われる場所は見つけましたが……小さな武器でえぐるだけでは時間がかかりそうですね。位置的にもだいぶ深い……外部からここへダメージを加えるにはもっと大きなエネルギーが必要そうですね)
鵺は探り当てた急所と思われる位置を通信で仲間の猟兵たちへ伝える。
「皆さん。サイコキネシスで打ち込んだ衝角で『キエリビウムJOX』が苦しむ挙動をする部位がありました。触手の付け根に少し盛り上がっている部位があります。その奥です」
そこは、待機する探査艦から見てやや左側に寄った位置となる。鵺は探り当てたおおまかな座標の情報を通信で送り共有した。
「ただ非常に深い場所なのでそのまま水晶体から攻撃を続けても届くでしょう」
猟兵たちの攻撃により『キエリビウムJOX』は触手の多くを失い頭部の水晶体も徐々に傷が広げられている。しかしその表面はまだ固く、傷から体液を流しながらもしぶとく抵抗を続けている。
攻撃の密度が減ったとはいえまだその威力は高く油断はできない状態だ。しかしあと一息、威力の高い攻撃を加えることでとどめを刺すことが出来るだろう。
成功
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月詠・愛珠
事前に交戦データがあれば確認と
後は整備班に以下の伝言
今度はお代わりの為に呼ばないでよ?…帰ってきたら用意するから
それじゃあ生きて帰る為に頑張るぞー…っと対峙するけどサイズ差あり過ぎて腰が引けそう
でもね、ここまで来たらとっくに「覚悟」は決まってる、攻撃を「見切り」つつダメージは与えていく
サイズ差の暴力に手持ちの火力差に一か八か【指定UC】をぶっ放すけど、逆に読まれてピンチ
生命の危機を感じ、それでも絶対に生きて帰る為に真の姿!
…ボクを、この姿をさせたな…!?
白銀髪にケープは深緑色のマフラーマントに変質、機体も三日月は消失して変わりに銀色に光を放ち宇宙空間でマントを翻し【指定UC】で絶対倒してやる!
スピレイル・ナトゥア
まさか、こういうキャノン砲が出来上がるとは……
もうちょっと実弾チックなのを想定していたんですが、コレはコレでアリですよね
両手のキャノン砲で味方を【援護射撃】しながら、巨大生物に接近……って、キャノン砲が爆発した!?
もしかして、本体じゃなくてキャノン砲のほうに自爆装置つけちゃったんですか!?
とんだ欠陥兵器じゃないですか……もー
そんなことしてる間に間合いを詰められちゃいましたね
こうなったら、限界までチャージしたキャノン砲を全部敵に刺して、炎の精霊を宿した拳で巨神ロボごと自爆します
「キャノン砲全部食べたいんですか? まったく、卑しん坊ですね!」
ありがとう、巨神ロボ
さようなら、巨神ロボ
また会う日まで!
●後続の参戦
宇宙空間を精霊エネルギーの奔流が二、三と走る。戦艦による艦砲射撃にも似たエネルギーによる狙撃は『キエリビウムJOX』に残る大きい触手を焼いていった。
射撃の元は50体ものゴーレムを一つに合体させた全高600mのゴーレム巨神ロボ。土の精霊の力で動くこの巨神は精霊の力を打ち出していく。
「まさか、こういうキャノン砲が出来上がるとは……もうちょっと実弾チックなのを想定していたんですが、コレはコレでアリですよね。ところでなぜ100%で撃ってはいけないのでしょうか?」
両手に持つキャノン砲で最も大きい触手を狙った味方の援護射撃をしながら、ゆっくりと『キエリビウムJOX』へと接近していくスピレイルの巨神。
その巨神に随伴するように月詠・愛珠(月に魅入られる翠の狐娘・f06905)も移動していた。こちらは機体に合わせたサイズのウィザードロッドを持ち重装甲を思わせる厚めの装甲をまとっている。
「今度はお代わりの為に呼ばないでよ? ……帰ってきたら用意するから」
整備班の面々と通信でやりとりをしていた愛珠。ぎりぎりまでおにぎりやお茶など飲食物の配膳を頼まれていた様だ。
「おかげで少し出遅れちゃったよ。それじゃあ生きて帰る為に頑張るぞー」
先行した面々からの通信を聞くに『キエリビウムJOX』へ十分な打撃を与え弱らせることに成功している様だった。
遠くからもその巨体から生える無数の触手が千切れその数が減っているのが見える。
●抵抗は激しく
「あ、弱点わかったんですか? ふむふむ」
ゴーレム製の巨神ロボの内部にちょこんと座るスピレイルはいろいろ精霊を通して通信を受け取り位置を確認する。
「ここから狙えますでしょうか、100%までチャージしたら十分な威力で届くと思うんですよねー」
そうつぶやくとスピレイルの巨神ロボはキャノン砲を一つ背に戻して、残る一つを固定して持つと狙撃の体制に入る。
宇宙空間に広がる光と闇……その中にたぶん居る精霊を集めてその力を撃つキャノン砲はほぼ試作のプロトタイプの状態。そのキャノン砲に理論上は可能であるエネルギーを充填して、発射。
キャノン砲から吐き出された光と闇のエネルギーの螺旋はそのまま正確に『キエリビウムJOX』の水晶体の側面へ当たりその表面を薄く溶かした。
「いい威力が出るじゃないですかー」
スピレイルが目をキラキラさせた矢先だった。少し遅れて先ほど撃ったキャノン砲が恒星かと見間違うような熱量を放ち爆発する。
「……って、キャノン砲が爆発した!?」
ノウハウのない技術を用いて相反しそうな属性を詰め込むという無茶をしたキャノン砲である。威力と引き換えに十分な制御を行えていない状態なのだ。
この爆発で巨神ロボは自爆ダメージで片腕が砕けるものの、土の精霊が頑張って飛び散った腕を集め再生させていく。
「もしかして、本体じゃなくてキャノン砲のほうに自爆装置つけちゃったんですか!?」
『遠距離武器(と自爆装置)』とカッコの中の記述だったのでセリフに含まれていないと思い、自爆は偶然発生する解釈をとりました……。
「とんだ欠陥兵器じゃないですか……もー」
フルスペックで使うと爆発する武器は間違いなく欠陥です。
キャノン砲による攻撃が止まった隙に巨神ロボへ物質分解波動を帯びた触手が振り下ろされた。スピレイルの巨神ロボはそれを手で掴んで止める。触手のパワーからくる衝撃が巨神ロボを構成する土に伝わり、腕から小さく火花が飛び散った。そこへ続けて複数の触手が巨神ロボに巻き付いて締め上げていく。
物質分解波動を帯びた触手に触れている手は精霊によるゴーレムの再構築とスピレイル自身のオーラ防御でなんとか形を留めていた。圧殺しようと巻き付く触手もジワジワと巨神ロボの体を締め上げるがこちらも同様に耐え、再び殴打しようともがく触手をその巨体とパワーで抑え込む。
「そんなことしてる間に間合いを詰められちゃいましたね」
振り下ろされた二つ目の触手ももう片方の腕で受け止め、巨神ロボはそのまま『キエリビウムJOX』の触手と組み合った。
「わあ、なんだかすごくスーパーロボットって感じですー。ところでこれ私の巨神ロボは耐えきれるんでしょうか?」
●銀の時
ゴーン、ゴーン。
時間を告げる時計の鐘のような音が響いた。振動を伝える手段の少ない宇宙では音はほぼ伝わらない……そんな空間で響いたこの音はそれが神秘の力によるものだと告げる。
続けて時計の針を思わせる炎に象られたものが出現した。それはスピレイルの巨神ロボと組み合う巨大な触手を挟み込むように現れ、時間と共にその隙間を狭めていく。
その時計の長針短針……それらの軸のあたりに居たのは愛珠。腕を掲げ、機体を通してユーベルコード『愛珠の狐火時計・零の時』を発動させていた。
「懺悔は針が重なるまでに、時間厳守でお願いするね。……といっても懺悔するような言葉も意志もなさそうだけど」
ザクッ――時が刻まれ、時計の針は触手を切断する。
「どうだ! ボクだってやればできるんだからね。このまま三枚におろしてやる!」
再びユーベルコードを放ち今度は『キエリビウムJOX』の頭部を直接挟み込もうとする愛珠。そこへ再び残る触手が放たれた。
「うわあーっ! 攻撃モーション中は攻撃やめて!?」
物質分解波動を帯びた触手は直撃したなら愛珠の機体を追加装甲ごと抉り取るだろう。急いで装甲をパージして回避を……と焦る愛珠へ巨体が覆いかぶさる。
「先ほどは助かりました。ありがとうございますー」
スピレイルの巨神ロボが触手を掴んで止めていた。
「あっ」
しかし巨神ロボは再び触手に巻き付かれ動きを封じられてしまう。続けて再び愛珠の機体へ物質分解波動を帯びる触手が振り下ろされた。
「うわああっ!」
愛珠は装甲をパージして機動力を上げようとするがパージが間に合わず機体の左肩が盾ごと抉られ消滅した。続けて襲い来る触手を装甲パージで軽くなったことでなんとか回避するも立て続けに襲ってくる触手に追い詰められていく。
(ヤバいヤバいヤバい! でも、ここまで来たらとっくに覚悟は決まってる……! 絶対に生きて帰るんだ!)
物質分解波動を帯びた触手が愛珠の機体の胴体を抉ろうとした瞬間だった。機体にペイントされていた三日月がまばゆく輝き愛珠の機体は銀色の輝きに包まれて、この真の姿を開放する一瞬のエネルギーが触手を弾く。
輝きが収まるとそこにいるのは銀の機体。深緑のマントは真の姿が機体にも影響を与えているのだろうか。
●そして『尖兵』は沈む
ドゴォと『キエリビウムJOX』の水晶体で火が吹き上がった。水晶体に取り付き戦っている猟兵たち、そして、内部から攻撃をしていた猟兵たちにより『キエリビウムJOX』の水晶体の一部が砕け散ったのだ。
「このおおおおおっ!」
銀の機体――愛珠の機体がユーベルコードで生み出した時計の長針を手に剣のように振るい、その片腕で触手を切り払いながら『キエリビウムJOX』へと迫っていく。
「……ボクを、この姿をさせたな……!?」
コックピット内の愛珠も真の姿となったことでその髪は白銀になっている。
「絶対倒してやる!」
愛珠の銀の機体が触手を斬り道を作る後ろをスピレイルの巨神ロボが続いた。向かうは攻略の糸口……仲間たちが砕いた頭部の水晶体――。
砕けた水晶体の部位……『キエリビウムJOX』の頭部ではその穴へ向け全員が火力を集中させ攻撃していた。
苦しむように暴れる『キエリビウムJOX』の動きに振り落とされないよう、そして振り回される触手に当たらないよう、それぞれ取れる手段をとり攻撃を進めている。ここへようやく愛珠とスピレイルも到着した。
「皆さーん。これから自爆するので離れてくださーい」
ここでいきなりスピレイルからのほほんととんでもない攻撃手段が提示される。
「自爆ぅ!? ちょ、えっ」
慌てる愛珠を横目にスピレイルは残るキャノン砲二門を巨神ロボの両手に持ちエネルギー充填を開始しながら砕けた水晶体の裂け目へ移動する。600m級の巨神ロボが内部へ入るにはまだ砕けた穴は小さい。だが……両腕を突っ込むくらいなら可能そうだ。
「キャノン砲全部食べたいんですか? まったく、卑しん坊ですね!」
と言いながらスピレイルは巨神ロボの両腕へと炎の精霊の力を凝縮させる。するとそれをさせまいと残る触手が一斉に物質分解波動を帯びて巨神ロボへ向かってきた。
「邪魔はさせない! 自爆もどうかと思うけどそれはともかく!」
だがこれらは愛珠の振るう時計の長針による斬撃で防がれる。
「じゃあいきますよー。そーれ、バーニングナッコォッ!」
巨神ロボは精霊キャノンのキャノン砲を持ったまま両拳を『キエリビウムJOX』の頭部の水晶体の裂け目へと突っ込んだ。同時に炎の精霊の力を対象に流し込みながらトリガーを引く。
巨神ロボの背面からスピレイルが脱出すると一拍おいて『キエリビウムJOX』のあらゆる傷から炎の柱が噴出した。
「わー……小惑星級の巨大ロボの自爆って見応えあるね」
脱出したスピレイルを回収し爆発の範囲から離脱する愛珠はしみじみと呟いた。スピレイルもまた自身の愛機の最後を感動的に見つめてその最後を見送る。
「ありがとう、巨神ロボ……さようなら、巨神ロボ……また会う日まで!」
暴走した精霊キャノンの爆発に加えユーベルコードによる凝縮した炎の精霊の大爆発はマグマのように巨大なビーストの尖兵を内側から焼き尽くす。
そのマグマはそこに取り付いた巨神ロボもろとも炎の中へ飲み込んでいった……。
●
猟兵たちの活躍により『未踏宙域』に現れた第一の脅威、『小さな尖兵』の『キエリビウムJOX』は排除された。これにより新航路の探索がまた一歩すすむことだろう。
この世界の惑星は全てが破壊されてしまったのか、れとも他に居住可能な惑星がどこかに存在するのか……。
答えはこの未踏宙域の探査の先にある。
成功
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