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戦語りは猟兵にお任せあれ

#サムライエンパイア #戦後

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#戦後


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「信長軍を駆逐したとはいえ、即座にサムライエンパイア世界の全てのオブリビオンが消え去る訳じゃない……ま、当然、掃除が必要になるわけだ」
 紫煙をこぼしながら、ジョー・パブリック(名も無き断章・f17003)は語り始めた。
「何でも禍鬼(マガツキ)って悪鬼どもが暴れているらしくてな。しかも、弱い者を狙って襲うから性質が悪い。しかも、ただの禍鬼どもならいいんだが、一体だけ刀を持った妙に強いのもいるんだ。侍だけには荷が重い、そこでお前達の出番だ」
 ジョーはそこまで語り終えると、煙草を消しながら言った。

「お前ら、演劇は好きか?」

 ジョーはしみじみと、キミ達を眺めていった。
「この場合の劇は観劇じゃない。演じる方だ。禍鬼どもが出る場所は大体検討がつくんだが、どこの誰を襲撃するかは運だからな。そこで劇をやってほしいんだ」
 どこをどうたどったら劇を行なう事になったのか? ジョーはしごく冷静に言ってのけた。
「襲撃される宿場町はそこそこ大きい。だから、劇で一箇所に人々を集めるんだよ。これなら、襲撃される場所は劇を行なってる場所――お前達の、いる舞台になる」
 発想の逆転だな、とジョーはしみじみと言うと、ニヤリと笑った。

「劇の演目もな、題して『エンパイアウォー』だ。どうだ、観客が集まりそうだろう?」

 まさに世界の行く末を決めた戦いは、サムライエンパイアの人々にとっては知りたい情報だ。それを、実際に戦った者達が劇として再現して語る――これが盛り上がらないはずがない!

「もちろん、禍鬼どもとの戦いがあるのは忘れてもらっちゃ困るが……せっかくの機会だ。語りたい武勇伝の一つや二つあるんなら、楽しんで演じて来るといい」


波多野志郎
戦語りができるのは、戦った者のみだ――どうも、波多野志郎です。
今回はサムライエンパイア世界の残党狩り……がおまけの劇となります。

一人でエンパイアウォーの活躍を演じるもよし、仲間で集まって演じるもよし! もちろん、敵側を演じたっていいのです!
思う存分、エンパイアウォー語りを楽しんでください。

それでは、皆様の武勇伝をお待ちいたしております。
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第1章 日常 『猟兵、舞台に立つ(サムライエンパイア編)』

POW   :    書き割りの設置など、力仕事なら任せとけ。もちろん、出演もする!

SPD   :    小道具や衣装の製作など、手先の器用さが求められる仕事なら任せとけ。もちろん、出演もする!

WIZ   :    演出や脚本など、センスが必要な役割なら任せとけ。もちろん、出演もする!

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

蛇塚・レモン
【蛇塚わくわく武闘派ファーム】
<WIZ>
とざい、只今、島原「魔空安土城」信長決戦の段
語りまする猟兵は蛇塚レモン、蛇塚レモン!
相勤めまする役人替名っ
ロコメルン・ルケッタ、音羽浄雲!
両名本人役の再現芝居にて御覧に入れまする そのため口上左様っ!
とざい、とーざい!
口火を切って信長、千畳敷の大広間に武田騎馬軍を呼び出し猟兵を蹂躙!
しかし鋼を纏った白き蛇神様が武田軍を受け止めれば、神の御業で瞬く間に同士討ちが始まった!
さぁロコメルン、この機に乗じて騎馬の足を凍結、動きを止めた!
浄雲は蛇神様の御業で寝返った武田騎馬軍に乗じて忍び寄る!
一族の仇の信長の喉へ、浄雲、今、刃を突き刺したぁ~っ!

これにて一件落着!


グロリア・グルッグ
エンパイアウォーを楽しく皆さんに観てもらえるように演出サイドへと回りましょう。
ユーベルコードでもう一人の自分を召喚し、二人分の電脳魔術で臨場感のあるステージを構築します。

出演者と観客を巻き込んで電脳空間を展開すれば、まるで目の前で戦いが起きているかのような圧倒的な体験ができると思います。
私自身は基本的に裏方に徹しているテイで、出演者の求めるシチュエーションを電脳魔術でご提供できればなと思います。

普段はハッキングとか兵器開発を一人で黙々とやっている感じなので、こういったお祭りを裏から盛り上げることができるってのはありがたいですよ。

アドリブなどご自由にどうぞ。


ロコメルン・ルケッタ
【蛇塚わくわく武闘派ファーム】
魔物達にお願いして敵役を
衣装はなるべく忠実に、クラフトを使って再現します
敵役は…武田さんの部隊はケンタウロス達に、信長さんは剣豪の亡霊に
レモンさんの作ってくれた脚本通りに段取りを説明
本番は…あれ?…蛇塚様の同士討ちが全然演技になってない…そんなに仲悪かったの?
慌ててシックラーを地に走らせ魔物達の足を凍らせる。同士討ちを抑えるよ
結果再現みたいになっちゃった。うぅ…上がりそうで隠れてたけど…やるしかない
もう一本のシックラーを投擲させて霧を発生させるよ
適役だったかも…霧と共に憂いを張らそうとする剣豪の亡霊
迫真の演技?に止めなくちゃと、自然に声が出る。2人共、今だよっ


ジャスパー・ジャンブルジョルト
五度の飯より好きな(JJは一日五食)芝居の話とあっちゃあ、黙ってられねえ。
俺が演じるのは敵役の秀吉だ。着ぐるみを纏って、派手に跳ね回るぜ。
「フェンフェンフェーン!(かかってこい! 猟兵ども!)」
ついでに張りぼての墨俣城型ロボを後ろに控えさせておこう。手首のあたりに糸をつけて天井裏でジンクスに操作させりゃ、腕を振り回しているように見えるだろう。
倒されるシーンも派手にいくぜ。攻撃を食らって勢いよく吹っ飛び、ロボを巻き込んで倒れるのさ。
「フェ、フェンフェン……(こ、これが猟兵の力か……)」
もし、他にも秀吉役をやってる奴がいたら、俺は影武者ってことにしとこうか。


※煮るな焼くなとご自由に扱ってください。


音羽・浄雲
※【蛇塚わくわく武闘派ファーム】

 音羽浄雲は演技が不得手であった。忍でありながら演じることが苦手な彼女はいつもの雰囲気とはかけ離れた緊張した面持ちで劇に臨んでいた。
 しかしながら脚本も演者も共に背中を預けて戦った二人。その二人が自分の為にもやってくれようということに水を差すほど彼女は無粋ではない。
「織田上総守、その首もらったァ!」
 あの時の再演。気恥ずかしさを拭い大音声を張り上げた。
 編み上げるは音羽忍法【絡新婦】。信長に見立てた剣豪の亡霊に糸を放って視界を潰せば、繰り出されるのは研ぎ澄まされた牙――【貫き秀次】。
「討ち取ったり!」



●演目『エンパイア・ウォー』
 宿場町には、多くの人々が行き交う。そこに住む者、訪れた者、先へ行く者、帰る者。そこが終着であれ、通過する場所であれ、その日その時はそこにいた。

「フェンフェンフェーン!(かかってこい! 猟兵ども!)」

 ジャスパー・ジャンブルジョルト(JJ・f08532)が、宿場町の大広場に降り立つ。その身を覆うのは、猿こと豊臣秀吉を形どった気ぐるみだ。
 ジャスパーが地面に降り立った瞬間、そこを中心に光が展開していく――光はやがて、大海原へと姿を変える。おお、と観客達から上がる感嘆の声、金色魔女(アナザー・ダブル)によって二人となったグロリア・グルッグ(電脳ハッカー・f00603)が展開する電脳魔術による演出だ。
 波雫一つに至るまで計算しつくされた、それこそ実際の冷たさすら感じそうな臨場感だ。観客達も巻き込んだ電脳空間のステージへ、幻影の猟兵達が果敢に飛び込んでいく。

「フェンフェーン!(砕けろ!)」

 ジャスパーが腕を震えば、手首のあたりに糸をつけた天井裏の茶色い老ネズミジンクスが糸を引く。ジャスパーの背後に立ち上がったのは、張りぼての墨俣城型ロボ――ではない。電脳魔術によって映像が重ねられ、本物と同一になった墨俣城型ロボだ。
 墨俣城型ロボの拳が、海原を砕く。その動きに合わせ、幻影の猟兵達が跳んだ。ある者は上へ、ある者は振り下ろされた腕を駆け上がる!

「おお!!」

観客達が沸く。グロリアは二人がかりで演算、上を取った猟兵の一撃が墨俣城型ロボの頭を破壊するとそこに爆発のエフェクトを重ね――!

(「ここです!」)

 ジャスパーが墨俣城型ロボをゆっくりと傾け、倒れさせる。秀吉――ジャスパーまでの道が拓くと、猟兵達が殺到し刀を、剣を、槍を突き立てていった。

「フェ、フェンフェン……(こ、これが猟兵の力か……)」

 ジャスパーが手を伸ばし、墨俣城型ロボの上に倒れる。そのタイミングを見切って、グロリアはホログラムのコンソールを指で叩いた。

「これはオマケです」

 爆発音と共に立ち上がる水柱。そこに描かれた虹の下を、幻影の猟兵達が駆け抜けていった。その演出に、観客達がやんややんやの拍手喝采を上げる。
「どうやら、受けたようで何よりです」
「見世物好きなんですね、この世界の人って」
 グロリア同士、演出係に没頭していたからこそ思う。きっと、彼らも風の噂で猟兵の活躍を聞いていたのだろう、と。だが、通信網の発達していないこの世界では、何から何まで人伝いが基本だ。だからこそ、このような演劇という手段を好むのだろう。

 この世界を救った猟兵とは、何者なのだろうか?

 この日、この宿場町にいた人々は知れるのだ。実際にエンパイア・ウォーを戦い抜いた猟兵達の口から。

●締めくくりは魔空安土城
「とざい、只今、島原「魔空安土城」信長決戦の段! 語りまする猟兵は蛇塚レモン、蛇塚レモン!」
 グロリアの電脳魔術によって虚空に浮かび上がる蛇塚・レモン(黄金に輝く白き蛇神オロチヒメの愛娘・f05152)の姿。レモン自身は広場にある火の見櫓の上で、そのよく通る声を張り上げていた。

「相勤めまする役人替名っ、ロコメルン・ルケッタ、音羽浄雲! 両名本人役の再現芝居にて御覧に入れまする そのため口上左様っ! とざい、とーざい!」

 立体映像のレモンが指し示した方向、火の見櫓の天井に立つのはロコメルン・ルケッタ(幸福の追求者・f15638)の召喚したバトルキャラクターズ、剣豪の亡霊だ。クラフトによって信長の鎧に身を包んだ剣豪の亡霊、その身にさらなる幻影が――まさに織田信長そのものの姿となって、それは刀を抜いた。

『……ならば、参れ、騎馬隊よ』

「お願いしまーす」
 刀の切っ先を虚空へ向けた信長に、ロコメルンが囁く。信長の背後で赤い武者鎧を身につけた白虎――武田信玄が扇を振りかざすとケンタウロス達が走リ出した。そのケンタウロスも幻影が重なり、即座に武田騎馬軍団へと姿を変える!

「口火を切って信長、千畳敷の大広間に武田騎馬軍を呼び出し猟兵を蹂躙! しかし鋼を纏った白き蛇神様が武田軍を受け止めれば、神の御業で瞬く間に同士討ちが始まった!」
 建物と建物、その間から姿を現したのは、レモンの戦闘召喚使役術式・か弱き者を守護せよ、慈愛の鉄蛇(バトルサモンコード・ヴリトラ・リフレクト・ガード)によって召喚された白き蛇神だ。その出現と同時、武田騎馬軍団は同士討ちを始める――のだが。

「……あれ? ……蛇塚様の同士討ちが全然演技になってない……そんなに仲悪かったの?」

 武田騎馬軍団ことケンタウロス達は、手加減抜き本気で戦っていたのだ。演技ではなく本気、それは熱のこもった同士討ちになるのだが、あれでは周囲が壊されかねない。

「うぅ……上がりそうで隠れてたけど……やるしかない」

 ロコメルンがミストシックラーの片方を投擲、バキバキバキ! と武田騎馬軍団の足元が凍りつき、その動きを止めていく。

「さぁロコメルン、この機に乗じて騎馬の足を凍結、動きを止めた!」

 わっ! と観客が歓声を上げる。自分に視線が集まったことを感じて赤くなるものの、ロコメルンは動きを止めずに一気にもう片方のミストシックラーからを投擲させて霧を発生――ロコメルンは、気づく。

(「適役だったかも……」)

 奇しくも、あの時の再現となってしまった。

『ぬう……っ』
「2人共、今だよっ」

 霧と共に憂いを張らそうとする織田信長こと剣豪の亡霊に、自然とロコメルンが声を張り上げる。開放された騎馬軍団が、レモンの指示で織田信長に殺到する――しかし、剣豪の亡霊は横一線の斬撃でその騎馬軍団を切り払い、炎のエフェクトがケンタウロス達を燃やし尽くす……ように、見せかけた。

『儂に楯突く気か……!』

 地の底から這い上がるような、冷たい声。これはただの電子音声ではない、彼らがその場で聞いた声を再現しているのだ。だからこそ芯に迫り、観客の心を鷲掴みにした。

 本当に、こんな相手を倒したのだろうか? そう思わせるだけの、説得力があった。

「浄雲は蛇神様の御業で寝返った武田騎馬軍に乗じて忍び寄る!」

 霧似紛れて跳んだのは、音羽・浄雲(怨讐の忍狐・f02651)だ――浄雲は演技が不得手であった。忍でありながら演じることが苦手な彼女は、いつもの雰囲気とはかけ離れた緊張した面持ちで劇に臨んでいた。
 だが、脚本も演者も共に背中を預けて戦った二人。その二人が自分の為にもやってくれようということに水を差すほど彼女は無粋ではない、ないのだ。

「――好機は今!」

 浄雲の両手から放たれたのは、音羽忍法【絡新婦】の蜘蛛だ。観客達は見る、足元を走る蜘蛛の糸が、騎馬軍団を切り払う織田信長の足へと絡みつくのを。
 そして、糸が織田信長を飲み込んでいく――獲物を取り込んだ蜘蛛は、すかさずその牙を突き立てる。すなわち引き抜いた音羽手裏剣【貫き秀次】を、憎き怨敵へ――!

「織田上総守、その首もらったァ!」

 あの時の再演。気恥ずかしさを拭い張り上げた声は、宿場町の隅々まで届いた。

『……ごふっ。見事だ……』

 喉を貫かれた織田信長、剣豪の亡霊が崩れ落ちる。

「討ち取ったり!」
「一族の仇の信長の喉へ、浄雲、今、刃を突き刺したぁ~っ!」

 ドォ! と割れんばかりの喝采が、宿場町を揺るがした。ロコメルンも一緒になって拍手する。あの時の光景を、まざまざと思い出したからだ。

「これにて一件落着!」
 レモンの声と観客達の熱狂を聞きながら、ジャスパーは小さく髭を揺らす。宿場町へ忍び込んだ無粋な気配に、気づいたからだ。
「来たみたいですね」
「そのようだ」
 グロリアの声に、ジャスパーは気配の方向へ視線を向ける。この宿場町でもっとも人の集まった場所――この演劇の舞台へと迫る、無粋な禍鬼(マガツキ)達にご退場願うために、猟兵達は行動を開始した……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『血肉に飢えた黒き殺戮者・禍鬼』

POW   :    伽日良の鐵
【サソリのようにうねる尻尾(毒属性)】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    欲欲欲
【血肉を求める渇望】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
WIZ   :    鳴神一閃
【全身から生じる紫色に光る霆(麻痺属性)】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。

イラスト:ヤマモハンペン

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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●血肉に飢えた黒き殺戮者

 ――おかしい。

 最初にソレが感じた違和感は、何故人が一箇所に集まっているのだろうという事だった。何か集まる理由があったのか? そこに疑問を抱いても、ソレは考察をそこで止めた、止めてしまった。
 一箇所に集まっているのなら都合がいい、まとめて皆殺しにしてしまおう。血肉に飢えているからこそ、ソレ――禍鬼(まがつき)はそれ以外の選択肢がなかった。

 いや、あるいは少し考えたとしても変わらなかったのかもしれない。強い者も弱い者も、一箇所にいるのだから仕方がない。立ち塞がるのならば、殺すのみだ。

 禍鬼達は、駆け出す。一路、人の集まる戦場へ、と――。
ビスマス・テルマール(サポート)
スペースシップワールドの南国コロニー船生まれのビスマス結晶のクリスタリアンの少女

なめろう布教と文化を護り渡る旅を続ける
ご当地ヒーロー志望のなめろう猟兵

ヒーローネームは
ロードビスマス

基本的に大人しくお人好しだが、知的好奇心と探求心は人一倍、なめろうが絡むと尚更で暴走ぎみに

割と天然

好物は『なめろう』料理全般

戦闘は

属性攻撃で任意の属性を付与して他の攻撃技能と組み合わせる事が多いです

残像をオーラ防御で
覆い『実体のある残像』を作って撹乱も良くやります

ユーベルコードや武装はお任せします


戦闘以外に、なめろう布教の余裕があるなら、持参したクーラーBoxから、真空パックしたなめろうを取り出し、布教に勤しみます



●観劇になめろうはいかがでしょうか?

「演劇の観劇に、なめろうはいかがでしょうかー! 美味しい美味しいなめろうですよー!」

 ビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)の声が、演劇で賑わう人混みの中で響き渡る。持参したクーラーBoxから、真空パックしたなめろうを取り出し、布教に勤しんでいたビスマスだが、ふと感じた気配に顔を上げた。

「来ましたか」

 バタン、とクーラーBoxを閉じてしっかりと仕舞うと、ビスマスは盛り上がる劇に背を向けて走り出す。宿場町の多くの人々が劇に出向いているのだろう、離れればどんどんと人気はなくなっていく――ビスマスは不意に足を止めた。

「シャア!!」

 建物の屋根から、一体のオブリビオンが金棒を手に舞い降りてくる。振り下ろしと同時に鳴り響く雷鳴――鳴神一閃が、ビスマスを襲った。
「――チッ」
 しかし、ビスマスは止まらない。

「『Dimension Namerou Breaker!Change Sakura!』沖膾の隠し玉、今此処で披露を」

 チェンジディメイション・サクラケンタ――機械音を鳴り響かせ、鎧装を桜肉のなめろうモードのサクラケンタへと変形させたビスマスが、なめろうフォースセイバーを横一閃に振り抜いた。オブリビオン――禍鬼は紙一重で受け止め、サソリの尾を返す。

「させません!」

 しかし、ビスマスの残像をオーラ防御で覆った『実体のある残像』が、尾の一撃を受け止め――。
「ぐ――」
「美味しくいただいてください!」
 ディメイション・チョップスティックをパイルバンカーモードへと変形させたビスマスの一撃が、禍鬼を刺し貫き、消し飛ばした。

「次ですね」

 ビスマスは、止まらず駆け出す。なめろうを普及した人々を、宿場町の人々を、守るために……。

成功 🔵​🔵​🔴​

譲葉・秀幸(サポート)
「オブリビオンを放置するわけにはいきませんからね」
戦いはあまり好まない方ですが、猟兵として依頼を受けた以上、役目はキッチリと果たします。

「戦いはあまり得意ではないのですが……猟兵として、なすべきことはなしますよ」
ユーベルコードは指定した物のなかで、その敵に対して一番有効そうな物を使用します。
メイン武器は藤切丸(日本刀)です。

性格は穏健派、割と物静かな方で、強面ですが最低限の愛想はあります。
一人称は「僕」、口調は「~です、でしょうか?」等の丁寧な口調です(敵・味方問わず)。
どうぞよろしくお願いします。



●裏に潜み、禍つを断つ
 禍鬼達が人々の元へ向かう、その最前線は足止めを余儀なくされていた。
「……読んでいたか」
 宿場町の路地、一直線に劇へと向かう事ができるはずの道で禍鬼達は進む事が出来なかったのだ。

「オブリビオンを放置するわけにはいきませんからね」

 それを成したのは、譲葉・秀幸(アストロフェル・f03775)だ。音もなく藤切丸を抜き、先行していた禍鬼達の前に立ち塞がる。
「もうすぐ劇も終わります。少なくとも、あなた達さえここで止めれば劇が終わるまでは保つでしょう?」
「……ッ」
 眉を潜める禍鬼の反応こそ、秀幸の言葉が事実である事を証明していた。四体の禍鬼が秀幸を囲むように展開する――眼鏡の奥で目を細め、秀幸は告げる。
「戦いはあまり得意ではないのですが……猟兵として、なすべきことはなしますよ」
「ほざけ!」
 四体の禍鬼が、同時に動く。二体の禍鬼が繰り出すサソリの尾を、秀幸は左右に細かく刻んだステップで回避。残り二体が時間差で放つ鳴神一閃を――。

「――――」

 ブラッド・ガイストにより自身の血で刀身を覆った藤切丸を下段から切り上げ、ズザン! と雷霆を切り裂いた。

「次はこちらのターンですね」

 その動きのまま、秀幸は振り上げた藤切丸を袈裟懸けに振り下ろす! 退ききれず切り裂かれた一体の禍鬼が、そのまま崩れ落ちた。
「チッ」
「逃しません」
 残り三体へ秀幸は言い放ち、追撃する。牽制のサソリの尾も、素早く引き戻された藤切丸に弾かれ、薙ぎ払う金棒を振り下ろした柄頭の一撃で叩き落された。

「たかが一人に……! ここを抜くぞ!」
「させません」

 猛る禍鬼達の叫びを、秀幸は短く拒絶する。劇が終わったその後も、秀幸は宣言通りその道から禍鬼達を通す事は、一歩としてなかった……。

成功 🔵​🔵​🔴​

グロリア・グルッグ
鬼退治の時間ですね! 張りきって参りましょう!
星の海で鍛えられた騎兵の技、とくとご覧あれ!

私は空から仕掛けるのが得意なので騎兵走法で上空に陣取りましょう。
宿場町なので足場となる建物には困らないでしょうね。
対応してきた敵が巨大化したらいい的ってやつですよ。

電脳魔術で操る二翼の電子鳥に武器改造を施し、電撃耐性や破魔の属性攻撃を付与することで鬼を攻撃します。
歩数に余裕があれば敵の近くを飛び回って注意を引き付け、民間人への被害を抑えましょう。
見たところ雷属性での攻撃は微妙っぽいですし、私自身は呪殺弾を放つことで確実にダメージを入れていきますよ。

アドリブなどご自由に。


蛇塚・レモン
<WIZ>
【蛇塚わくわく武闘派ファーム】
まんまと誘き寄せられたみたいだねっ!
それじゃあ、やっつけよっか!
浄雲さん、コメッタちゃん、よろしくねっ!!

咄嗟の一撃からの蛇神様召喚っ!
霆を撃たれる前に先制攻撃だよ!
蛇神様の視界に入った瞬間、あたいのユーベルコードは即時発動するよっ!
仮に撃ち込まれても、オーラ防御と電撃耐性で耐え抜くよっ!
麻痺しても、視界さえ確保できればユーベルコードの発動は可能っ!

蛇神様の呪縛で敵ユーベルコードと身動きを封じたら、仲間2人に攻撃をまかせるよっ!
あたいが動けるようなら、蛇腹剣クサナギを怪力任せに奮って生命力吸収しながら薙ぎ払っちゃうよっ!
あたいたちの連携、見せてあげるっ!


音羽・浄雲
※アドリブ歓迎です。
【蛇塚わくわく武闘派ファーム】
 漸く取り戻した安寧を脅かす影に浄雲は静かに怒った。
「欠片も残しません」
 浄雲が懐から取り出したのは欺き光秀と貫き秀次と呼ぶ2種の手裏剣だった。それらを宙に投げると印を結び、ただ一言。
「音羽忍法【付喪神】」
 二人との連携に言葉はいらぬ。それは浄雲にとっての最大限の信頼。
 レモンと蛇神様による神通力、ロコメルンの召喚と体捌きには幾度と無く救われてきた。故に、言葉は、要らない。
「舞え。我が牙」
 ロコメルンによる陽動と観客の避難、レモンによる敵の拘束。なれば自らのすべきは殲滅。
 動きを止められ、的と化した禍鬼を1匹足りと逃がすまいと刃が踊る。


ロコメルン・ルケッタ
【蛇塚わくわく武闘派ファーム】
ここに来るってことは、皆来てくれたみたい
でも、ここからが大変かも…
集まってくれた皆が驚いて逃げちゃったら、後続に捕まっちゃう
そうならないためにも、敵の接近に気が付いたら直ぐ前に出るよ
皆に安心してもらわないと。UCでスライムを召喚するよ
合体してもらってスクリーンになってもらおう
これなら、安心して見られるかな?

いきなり前に行くって無茶だけど。きっと大丈夫
何度も一緒に戦ってきたから。皆が、カバーしてくれる
スライム達も、何時もなら動きが遅くて戦いに向かない。けど
皆が一緒なら、大事な戦力になれる
だから、ぼくも

敵の攻撃を飲み込みながら、皆が止めてくれた敵を飲み込んでもらうよ


ジャスパー・ジャンブルジョルト
にゃははははー!
なんだよ、あいつら? 尻尾なんか生やしちゃって、ちょっと可愛くね? 禍鬼なんて名前だから、すんげー凶悪っぽい見た目の奴らなのかと思ってたんだけどよー。こりゃあ、たいしたことないわー。楽勝だわー。(と言いつつ、ビビりまくって尻尾が膨らんでる)
この分だと、俺様が前に出るまでもないな。後方支援に徹するぜ。いや、ビビってるわけじゃねーから。
皆の後ろでどっしり構えて(訳:皆の背に隠れるようにして)ツィターを演奏して、傷を癒しまくろう。稲妻攻撃でマヒっちゃった仲間もこの音色で解呪してやるぜ。(なお、自分が麻痺した時のことは考えていない模様)

※似るな焼くなとご自由に扱ってください。



●禍々しく集うモノたち
 拍手喝采が、舞台に鳴り響いていた。エンパイアウォー、自分達の世界を救った戦い。それを実際に戦場を駆け抜けた者達によって語られたのだ。サムライエンパイアに生きる人々にとって、感動も一入だった。
 そして、舞台に立っていた猟兵達もその気配に気付く。明確な殺意をもって、迫る者達を。

「にゃははははー! なんだよ、あいつら? 尻尾なんか生やしちゃって、ちょっと可愛くね? 禍鬼なんて名前だから、すんげー凶悪っぽい見た目の奴らなのかと思ってたんだけどよー。こりゃあ、たいしたことないわー。楽勝だわー」

 そう言ってのけたのは、ジャスパー・ジャンブルジョルト(JJ・f08532)だ。ただ、言葉の内容に反して尻尾が膨らんでる――ビビっている証拠だった。
「ここに来るってことは、皆来てくれたみたい。でも、ここからが大変かも……」
 ロコメルン・ルケッタ(幸福の追求者・f15638)は、今だ沸き続ける人々を見回した。集まってくれた皆が驚いて逃げ出せば、後続に捕まってしまうだろう――そうなる前に、動かなくてはならない。
「まんまと誘き寄せられたみたいだねっ! それじゃあ、やっつけよっか! 浄雲さん、コメッタちゃん、よろしくねっ!!」
 蛇塚・レモン(黄金に輝く白き蛇神オロチヒメの愛娘・f05152)の言葉に、音羽・浄雲(怨讐の忍狐・f02651)は小さくうなずく。

「欠片も残しません」

 そこに込められたのは、漸く取り戻した安寧を脅かす影への静かな怒りだ。喝采の中、猟兵達は禍鬼を迎え撃つため、動き出した。

●演じるのではなく、本物を――
「鬼退治の時間ですね! 張りきって参りましょう! 星の海で鍛えられた騎兵の技、とくとご覧あれ!」
 グロリア・グルッグ(電脳ハッカー・f00603)が、地面を蹴る。騎兵走法(ラン・アンド・ガン)――星の海に生きる鎧装騎兵にとって、空こそが主戦場だ。電脳魔術で操る二翼の電子鳥サイバーホークとサイバーイーグルに武器改造を施し、グロリアは振り上げた右手を振り下ろした。
 ヒュオ! と二翼の電子鳥が、禍鬼へと迫る。先頭の禍鬼が金棒を振り下ろし、鳴神一閃で迎撃。しかし、サイバーホークとサイバーイーグルは紫色に光る霆を、怯むことなく突っ切った。
「電撃耐性は対処済みです!」
「が!?」
 二翼の電子鳥に弾き飛ばされ、先頭の禍鬼を吹き飛ばす! 禍鬼達の動きが鈍ったそこへ、ロコメルンは迷わず駆け込んだ。

「カァ!!」

 しかし、ロコメルンがたどり着くより、一瞬だけ禍鬼が立て直す方が速い。鳴神一閃がきらめく――その直前、レモンが動いていた。

「紹介するね! こちら、あたいの親友の蛇神様だよ! お願い、蛇神様っ! あいつ、悪い奴だから懲らしめちゃってっ!」

 レモンの眼前に浮かび上がる光の魔法陣、そこから姿を現したのはレモンが心を通わせた巨大な白き蛇神の霊体だ。刹那で間合いを詰めた蛇神様は、紫色の雷霆を食いちぎる――戦闘召喚使役術式・来たれ、母なる白き大蛇神様よ(バトルサモンコード・ホワイトナーガ)が、鳴神一閃を食い止めたのだ。
「お願い、スライム!」
 ロコメルンが召喚したバトルキャラクターズ、スライム達が合体。津波のように、禍鬼達を飲み込んだ。
 その瞬間、浄雲が音羽手裏剣【欺き光秀】と【貫き秀次】を同時に抜く。それらを宙に投げると印を結び、ただ一言浄雲は唱えた。

「音羽忍法【付喪神】」

 自身が装備する【音羽手裏剣】を大量に複製する術だ。疾走をフォローしたレモンと、その助力を活かし禍鬼達の動きを止めてくれたロコメルン――二人との連携に言葉はいらぬ。それは浄雲にとっての最大限の信頼だ。
 だからこそ、絶妙なタイミングで浄雲の音羽手裏剣の群れが、足が止まった禍鬼達へと降り注いだ。

「舞え。我が牙」

 ヒュガガガガガガガガガガガガガ! と棒手裏剣と周囲の景色に同化して見えずらくなる様に術を掛けられた暗殺・奇襲用の手裏剣が、禍鬼達へ降り注ぐ! 防御は間に合わない、突き刺さり、貫かれ、禍鬼達は落下していった。
 その光景を、観客達が見る事はない。ロコメルンのスライムが、壁となって隠したからだ。
「この分だと、俺様が前に出るまでもないな。後方支援に徹するぜ。いや、ビビってるわけじゃねーから」
 圧倒的だな、とジャスパーはどっかと腰掛け、黄金の竜の象嵌が施された赤いツィターを爪弾いた。皆の後ろでどっしり構えて――皆の背に隠れるようにして――ツィターを演奏して、傷を癒しまくろう。稲妻攻撃でマヒっちゃった仲間もこの音色で解呪してやるぜ、うんそれがいい、それでいい……ジャスパーが、そう心に決めた、その時だ。

 ズン……! と地響きが、宿場町を揺るがした。

「欲欲欲」
 血肉を求める渇望の感情を爆発させた一体の禍鬼が、巨大化したのだ。これだけの数を前に、渇望が抑えきれなかったのだろう。その巨大さを見上げ、ジャスパーは笑って言った。

「あ、ま。こんなもんかな?」

 何がこんなもんなのか、ジャスパー自身が教えてほしかった。

●巨大なる鬼を討つ

「う、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 叫びながら、ジャスパーが走る、走る、走る。振り向こうとは、思わなかった。何度もすぐ背後で突風と踏みしめる衝撃が鳴り響いたからだ――ようするに、止まったら踏み潰される。その事だけは、すぐに理解できた。
 宿場町の人々は、それに感心したような喝采を送る。その光景に、火の見櫓に降り立ったグロリアが合点のいったように呟いた。
「あれ? もしかして、劇の続きだと思われてます?」
「それはそれで、好都合だね」
 レモンもその可能性に思い至り、納得する。あれだけ精巧な舞台演出だったのだ、この戦いが劇に見えても不思議はなかった。
「なら、思い切りいけるね」
 ロコメルンは心配事の一つが減って、安堵の息をこぼす。なら、後は敵を討つ――それだけだ。

「戻ってきますよ」

 浄雲の指摘に、猟兵達は見る。Uターンしてきたジャスパーが、巨大禍鬼を引き連れて戻ってきたのだ。

「時間稼ぎはこれぐらいでいいにゃ!? いいって言ってにゃ!?」

 ズサァ! と仲間達の背後へと回り込んだジャスパー。それと同時に、グロリアが火の見櫓を蹴って空を駆けた。
「巨大化したらいい的ってやつですよ」
 グロリアが放った渾身の呪殺弾が、巨大禍鬼の眉間を撃った。ぐらり、と大きくのけぞった巨大禍鬼、その両足にロコメルンのスライムが絡みつき、強引に動きを止める――!
(「きっと大丈夫。何度も一緒に戦ってきたから。皆が、カバーしてくれる。スライム達も、何時もなら動きが遅くて戦いに向かない。けど――皆が一緒なら、大事な戦力になれる。だから、ぼくも……」)

 ロコメルンが、次々にスライム達をけしかける。足だけではなく腕も絡め取り、大きくバランスを崩させ――。

「あたいたちの連携、見せてあげるっ!」

 レモンが蛇腹剣クサナギを力任せに振るった。ジャラララララララララララララ! と蛇腹の刃が黒き蛇のように走り、巨大禍鬼を切り裂いていく――そこへ、浄雲が跳んだ。

「降り注げ、我が牙」

 浄雲の音羽忍法【付喪神】の念力で豪雨のように降り注ぐ音羽手裏剣が、巨大禍鬼を貫いていく。

「が、あ、あ……」

 禍鬼の巨体が、崩れ落ちる。しかし、轟音も振動もそこにはなかった。ただ、黒い霧のように霧散するのみだ。

 その光景に、ワっと観客達の歓声が宿場町を揺るがす。称賛と感嘆、それが万雷の拍手となって猟兵達に降り注いだ……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『御神刀』

POW   :    不可侵の神域
全身を【囲う注連縄を強固な結界】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD   :    神剣の加護を望む者たち
【レベル×1人までの、御神刀を信奉する剣士】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ   :    魂振カミヤドリ
【『刀剣』に分類される器物だけに響く刃音】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。

イラスト:烏鷺山

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠田抜・ユウナです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●神なる刃を持ちて

 その万雷の拍手が、一瞬にして掻き消えた。

 その原因がした事は、簡単だ。巨大禍鬼が消えた場所に、ただ降り立った――それだけだ。
 そこに現れたのは、ただ一体の禍鬼だった。外見的な差異は、他の個体とない。違いがあるとすれば、その手に握られた一本の刀だ。

 その刀の圧は、夢見心地を打ち砕くのに十分だった。御神刀――神に捧げられたはずの刃は骸の海へと沈み、そして帰って来たのだ。

 全てを斬る、そのために。

「お、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 声を持たない刀を代弁するように、禍鬼が吼えた。そこに込められた殺意に動ける者は、戦う術を保つ者だけだった……。
上月・茜(サポート)
『殺し屋?いややわぁ、誰からそないな事聞きはったん?』
人間の化身忍者 × 咎人殺し
年齢 17歳 女
外見 153.7cm 漆黒の瞳 漆黒の髪 色白の肌
特徴 長髪 柔和な表情 実は野心家 由緒正しい血筋 月が好き
口調 上月さん(うち、あんた、どす、はる、おすやろ、どすえ?)
戦闘中は 頭目・茜(拙者、貴殿、ござる、ござろう、~でござろう?)


挾間・野菊(サポート)
『いい剣だね……もらうよ。』
人間のシーフ × 剣豪
年齢 18歳 女
外見 154.6cm 黒い瞳 黒髪 色白の肌
特徴 声が小さい 口数が少ない 不健康な顔立ち 凶暴 実は可愛いものが好き
口調 陰気(アタシ、アナタ、言い捨て)
機嫌が良いと 少女の欠片(自分の名前、アナタ、ね、よ、なの、なの?)




●神剣の加護と対峙する
 宿場町が、御神刀の殺意で塗り潰されていく。まるで深海のように重い空気、その中で動ける者は極々一握りだった。

「お、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 禍鬼の咆哮と共に現れたのは、剣鬼の群れだ。神剣の加護を望む者たち――御神刀を信奉する剣士達が溢れ出し、宿場町へと散ろうとした。

「いい剣ばかりだ、ね……もらうよ」

ゆらり、と姿を現したのは挾間・野菊(血泥に咲く花・f04250)だ。贋作・菊一文字を抜いた野菊へと、剣士達が迫る。最初の剣士は鞘に納めた刀の柄へ手を伸ばし、居合の一閃を放った。野菊の首元に迫る刃、その刃が大きく軌道を変えて逸れる。

「――――」

 野菊の繰り出した下段からの切り上げが、剣士の胴を断ち切ったのだ。大の男の太い胴を断ち切る斬撃――そのまま構わず、二人目の剣士が跳躍し、三人目の剣士が低く滑り込んだ。
 跳んで大上段からの振り下ろしと、低い体勢からの足を薙ぐ斬撃。しかし、野菊は素早く贋作・菊一文字を納刀して――返す!

「……まだ、動く」

 放たれるのは居合の一閃。先程自分に放たれた斬撃を、盗剣技・戦場作法(トウケンギ)によって盗んだのだ。三人目の剣士が野菊の居合に断ち切られ、地面を転がり横を通り過ぎていく。
 それでも、二人目は確信していた。返しの刃は間に合わない、自分の大上段が先に届くと――だが、野菊は視線も送らない。その刃が自分へ届かないと知っているからだ。

「――させぬでござるよ」

 その剣士を背後から忍者手裏剣の投擲で断ち切ったのは、上月・茜(月下の華・f20243)だ。
 茜が建物の屋根から降り立ち、野菊の隣に立つ。投擲した忍者手裏剣が手元に戻ってくるのを受け止めると、改めて茜は告げた。
「ここから先には、行かせないでござるよ」
 剣士達に茜の言葉は届かない。次々と迫る剣士達へ、即座に茜は忍者手裏剣を投げ放った。ギュオッ! と唸りを上げる金色の巨大十字手裏剣が、剣士達を薙ぎ払う!
「……盗み放題、ね」
 そして、野菊が低い体勢で剣士達に迫る。地摺りの一撃が、剣士達の足を斬り飛ばした。それでも、剣士達の勢いは止まらない。それぞれが神に捧げた、練り上げた剣技で野菊を迎え撃ち、野菊もその技を余すことなく盗んでいった。

「来るでござるよ。人々には、指一本触れさせぬでござる」

 音もなく疾走した茜が、次々に放っては戻ってくる忍者手裏剣を投げ放っていく。時折、回り込もうとする剣士へは拷問具による拘束で、行く手を防いだ。その動きに迷いはない、殺しや諜報を行う忍びの一族――その頭目としての茜だからこその手際だ。

 野菊と茜が、神剣の加護を望む者たちを蹴散らしていく。それは、まさに町を襲う濁流を阻む堰のように、剣士達が宿場町へと雪崩込んでいくのを防いだ……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ビスマス・テルマール
この個体が禍鬼のボスでしょうか?あの刀は厄介そうですし……無敵には無敵で対抗しましょうか

●POW
真の姿を解放し
アリスタートル・ナメロウ・イマジネーションを発動

代用海亀なめろう鎧装を装着し
なめろうフォースセイバーに『オーラ防御』を張り『怪力』と『鎧無視攻撃』と『範囲攻撃』を込め

注連縄ごと全身に刃を浴びせる感じで『2回攻撃』を『早業』で打ち込み続け

相手からの攻撃も攻撃時の技能を乗せて『激痛耐性』を備え、刀に『部位破壊』する要領で『カウンター』気味に『武器受け』します

●対SPD
召喚された剣士ごと『範囲攻撃』で『なき払い』

●対WlZ
『属性攻撃(真空)』を武装に込め凪いで妨害

※アドリブ絡み掛け合い大歓迎


グロリア・グルッグ
カタナのオブリビオンとは奇妙なこともあるものですね!
邪悪に染まったその刃をへし折り、骸の海へと還してあげましょう!

行動は敵から距離を取り、大きく離れた位置で大技の準備にかかりますよ。
サイバーホークとイーグルを呼び戻し、武器改造を施します。
それらを一体の電子鳥に統合し、高速詠唱で雷の属性を付与します。
さらに全力魔法で魔力を注ぎ込み、ユーベルコードを発動。
伝承にて語り継がれる巨大な雷の精霊鳥へと昇華させます。
制御しきれないほどの電撃は耐性で耐えるとしましょう。
何とか安定させたら、荒ぶる雷の精霊鳥を敵へと放ちます。
「コード・サンダーバード! 我らの前に立ちふさがる者どもを蹴散らしなさい!」


ジャスパー・ジャンブルジョルト
舞台で跳ね回ったり、外を駆け回ったり……疲れた。
てゆーか、腹へった。
腹へった。
腹へったよぉ~~~ん!(敵のお株?を奪って、むくむく巨大化)
ハイパーJJ、見参! でっかくなったら怖いものなーし!(前章の「巨大化したらいい的」という発言は聞こえていなかった模様)
召喚された剣士どもをモフモフ尻尾で払いのけて一掃し、本体を攻撃。くぬやろ! くぬやろ! くぬやろ!(猫パンチ連打)
結界を張られても気にしない。敵が動けずにいる間に仲間たちが攻撃準備を整えるはずだかんな(信頼という名の他力本願)。

●戦闘後
腹がへりすぎて動けない。
観客の皆様、おひねりよりもおにぎりを……。


※煮るな焼くなとご自由に扱ってください。


蛇塚・レモン
【蛇塚わくわく武闘派ファーム】
あれが禍根だね……っ!
浄雲さん、コメッタちゃん!
全力で行くよっ!

刃音、もしかしたらあたいの蛇腹剣も対象かも?
戦闘力が増強されたらラッキーだねっ!

念動力で空中浮遊+空中戦
敵の上空で神楽舞(ダンス)
鉾先神楽鈴と蛇腹剣クサナギの二刀流(2回攻撃)で衝撃波を敵にぶつけちゃうよっ!
(範囲攻撃+鎧無視攻撃+生命力吸収+破魔+誘導弾)
上空からの連続攻撃に、近接武器持ちの敵は手出しが出来ないはず!

結界を張られたら、あたいの念動力で敵を囲う注連縄を吹き飛ばしてみるよ
敵の結界の注連縄が外れれば、無敵じゃなくなる筈っ!

浄雲さんとコメッタちゃんのピンチは衝撃波で割り込んでガードするねっ!


ロコメルン・ルケッタ
【蛇塚わくわく武闘派ファーム】
凄い殺意…仲間を還されたから?…それだけじゃないよね
レモンさんが空に向かうのを見て、マフラーを向かわせるよ
両刃に変形したマフラーには、レモンさんの攻撃に合わせてもらうよ

UCで合体したミストシックラーを召喚するよ
この大きな魔物の体内には、無数の刃虫が潜んでる
前線で戦ってもらって、魔物が負傷したり部位が斬り離されたら、部位を投擲させたり、ポータルで遠くの足場に設置させたりして、冷気の罠を作るよ
刀を持った禍鬼までの道を開かなきゃ

レモンさんの衝撃波が見えたら、吹き飛ぶような位置に出現させて一斉攻撃を狙うよ
浄雲さんが禍鬼まで接近したら、禍鬼の回りに罠を一斉転移、逃がさないよ


音羽・浄雲
※アドリブ歓迎です。
【蛇塚わくわく武闘派ファーム】

「どこまでも無粋ですね。後顧の憂いはここですべて断たせていただきましょう」
 腰に差した刃を抜けば、残る左手で印を結ぶ。一切の憂いをここで断たねば真に安寧は訪れない――故に彼女は燃え上がる。たとえその身そのものが薪とくべられようとも。
「音羽忍法【鬼火】」
 横目にレモンの衝撃破とロコメルンの冷気の罠を捉えた浄雲は躊躇うことなく駆け出した。
 まともに切り結べば如何な猟兵の身と言えどただでは済まないだろう。しかし彼女には信ずる仲間があった。
 恐れる必要はない、為すべきことを為せ。二人の攻撃に重ねるように蒼炎が踊り、【謀り長慶】が煌めいた。



●堕ちたる神刀
 溢れるように生み出される神剣の加護を望む者達を従え、禍鬼は歩を進める。その禍鬼の姿に、ビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)が告げた。
「この個体が禍鬼のボスでしょうか?」
「凄い殺意……仲間を還されたから? ……それだけじゃないよね」
 四方八方に向けられる殺意に、ロコメルン・ルケッタ(幸福の追求者・f15638)が呟いた。それは生きる者全てに向けられる、怒りと憎悪が根源にある――現在を否定する、過去から戻りしモノの殺意だ。
「カタナのオブリビオンとは奇妙なこともあるものですね! 邪悪に染まったその刃をへし折り、骸の海へと還してあげましょう!」
 グロリア・グルッグ(電脳ハッカー・f00603)が言い放ち、後方へ跳ぶ。その動きを視線で追う禍鬼に、蛇塚・レモン(黄金に輝く白き蛇神オロチヒメの愛娘・f05152)が言い切った。

「あれが禍根だね……っ! 浄雲さん、コメッタちゃん! 全力で行くよっ!」

 その瞬間、キン――! と『刀剣』に分類される器物だけに響く刃音が響き渡る――その魂振カミヤドリに強化され、剣士達が猟兵達へと迫った。

「どこまでも無粋ですね。後顧の憂いはここですべて断たせていただきましょう」

 迫る剣士達に、音羽・浄雲(怨讐の忍狐・f02651)は右手で腰に差した刃を抜き、残る左手で印を結ぶ。そして、浄雲は青白い火炎に身を包む――たとえその身そのものが薪とくべられようとも、一切の憂いをここで断たねば真に安寧は訪れないと悟っているからこそ。

「音羽忍法【鬼火】」

 浄雲が地面を蹴る。振り下ろされる、剣士達の刃。だが、浄雲は動きを止めずその中へ飛び込んだ。

「レモンさん!」

 ロコメルンが投擲したヴァリアブルマフラーが、刃となってレモンに付き従う。そして、キン――! と白蛇神の鋒先神楽鈴の刃を鳴らし、レモンは空中で神楽を舞った。

「いっくよ――!」

 鋒先神楽鈴と蛇腹剣クサナギの舞が繰り出す衝撃波が、剣士達を薙ぎ払う! それを横目に駆け抜け、浄雲は禍鬼へ迫り――ガキン! と注連縄の強固な結界に刃を止められた。
「あの刀は厄介そうですし……無敵には無敵で対抗しましょうか」
 ビスマスが、己の真の姿を写したカードを手にアリスタートル・ナメロウ・イマジネーションを発動をさせる。

『Namerou Hearts Alice Turtle』
「紛い物でも、なめろうは全てを受け入れる」

 ガシャン! と代用海亀なめろう鎧装を装着。ビスマスはなめろうフォースセイバーにオーラを込めて、薙ぎ払った。
 ドォ!! という衝撃が、剣士達を打つ。壮絶な衝撃波の連続攻撃を耐え抜きた剣士達が、なおも迫った。
 そこにゆらりと立ち塞がる小さな影があった――ジャスパー・ジャンブルジョルト(JJ・f08532)だ。

「舞台で跳ね回ったり、外を駆け回ったり……疲れた。てゆーか、腹へった。
腹へった。腹へったよぉ~~~ん!」

 叫びと共に、ジャスパーはむくむくと巨大化していく。JUMBO JUNKIE(ジャンボ・ジャンキー)によって巨大となったジャスパーは大きく尻尾を逆立たせた。

「ハイパーJJ、見参! でっかくなったら怖いものなーし!」

 ゴォ! ともふもふ尻尾が剣士達の飲み込み、蹴散らしていく。ずしんすしん、と怪獣がごとく暴れまわるジャスパーを建物の屋根の上から見て、グロリアはサイバーホークとサイバーイーグルを召喚した。

「さぁ、大技いきますよ!」

 グロリアは二羽の電脳の猛禽類へ、武器改造を施していく。戦況を切り開く、その時のために。

●刃の果てに――

「くぬやろ! くぬやろ! くぬやろ!」

 ジャスパーが禍鬼へ、猫パンチを連続で繰り返していく。しかし、それは禍鬼へと届かなかった。不可侵の神域――注連縄を強固な結界を前に、歯ではなく爪が立たないのだ。
「くぬやろ! くぬやろ!」

 それでも、ジャスパーは止まらない。猫パンチ、猫パンチ、猫パンチ――さながら猫じゃらしに反応する猫のごとく、パンチを連打する。これでいいのだ、この間に仲間が剣士を蹴散らし、攻撃の準備を整えれば。
 他力本願と言いたくば言え、これは仲間への信頼なのだ。

 だが、ジャスパーは忘れていた。このシチュエーション、どこかで見た事はないだろうか? そう、例えばついさっき、巨大化した禍鬼はどうなっただろうか?

「くぬや――あふん!?」

 そう、的が大きくなれば攻撃が当たりやすくなる――それを、剣士達にやり返されたのだ。大振りな力任せの一撃に、大きくのけぞるジャスパー。追撃と言わんばかりに迫ろうとした剣士達は、しかし、不意の雷撃に消し飛んだ。

「コード・サンダーバード! 我らの前に立ちふさがる者どもを蹴散らしなさい!」

 グロリアの電脳禁術・雷招く伝承の大鷲(コード・サンダーバード)によって雷属性を帯びたサイバーホークとサイバーイーグルが、飛翔する! 一瞬でも気を緩めれば、暴走する――グロリアは細心の注意の元、全精神力を持って二羽の荒れ狂う雷鳥を飛ばした。

「ここ――!!」

 グロリアが突き出した両手を、強く握りしめる。ズドン! と二条の雷撃となって結界へ落ちた二羽の雷鳥に、ズズ……と禍鬼の巨体が後方へ圧された。無敵の結界さえ軋みを上げる、それが可能なはずの魔力を込めるだけの時間をジャスパーに稼いでもらったのだ。グロリアが、その一撃にすべてを込める!

「――ッ!!」

 ビキリ! と結界にひびが入る。それでもなお注連縄に力を込めようとした御神刀に、ビスマスが迫った。

「応えてください、なめろう! ――なめろう、フォースセイバーッ!!」

 全力を込めたビスマスの一撃が、注連縄を断ち切る! その瞬間、結界が破砕音と共に砕け散った。禍鬼は即座に、御神刀をビスマスへと振るった。
 自身へ迫る刃を、ビスマスは切り返すなめろうフォースセイバーで迎え撃つ。狙いは禍鬼ではない、振るわれる刃そのものだ。
 ザン! と刃となめろうが空中で交差する。クルクル、と断たれた御神刀の切っ先が、宙を舞った。
「が、は!」
 そして、時間差で雷撃が禍鬼を貫く。たまらず後方跳ぼうとする鬼へ、ロコメルンが召喚したミストシックラーを投げ放った。

「逃さない!」

 ヒュガ! と地面に突き刺さる巨虫の大腕鎌。それを中心に、バキバキバキ!! と地面を氷が覆っていく――その氷の罠は、宙を跳んだ禍鬼の足を捕らえた。

「今だよ!」

 ロコメルンの声に、浄雲が駆ける。青白い軌跡を残し駆ける浄雲に、禍鬼は御神刀で応え――なかった。

「が、ああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 クルクルと落下してきた、断ち切られた切っ先。それを手に取ると、浄雲へと放ったのだ。タイミング、軌道、狙い――そのどれもが、必殺だった。己だけであそこに帰らない、その執念が見せた一撃だ。
 だが、浄雲は構わない。何故なら、信頼する仲間がいるからだ。

「させない!」

 キン! と鉾先神楽鈴を鳴らし、レモンの繰り出した衝撃波が放たれた切っ先を吹き飛ばした。そして、レモンの周囲で舞っていたロコメルンのヴァリアブルマフラーが飛び、禍鬼を刺し貫いた。

「ぐ、が……っ」
「終わりです」

 浄雲の繰り出した妖刀【謀り長慶】が、禍鬼を斬った。霞となって消えていく禍鬼、その手からこぼれ落ちた御神刀が地面に突き刺さり、バキリと亀裂が入り砕け散っていった……。

●これにて、一件落着

 宿場町に、やんややんやと喝采が響き渡る。それは演劇への称賛ではない、今行われた戦いへの歓声だ。
 オブリビオン、戦国時代の猛将達の復活。その絶望を知ったからこそ、サムライエンパイアの住人に必要だったのは、猟兵という希望だった。

 ――例え過去が蘇ろうと、猟兵がいる。

 その事実こそが、絶望を断ち切る心の刃となるのだ。
「観客の皆様、おひねりよりもおにぎりを……」
 ジャスパーが、寝転がる。腹が減って、もう一歩も動けない。そんなジャスパーを胴上げするように、人々は飯屋に運んでいく。今度は食べ過ぎで動けなくなるのだが、それはまた別の物語だ。

 猟兵達を称える歓声は、夜遅くまで続く。完全なる平穏はまだ遠くとも、サムライエンパイアの人々の心に曇りはない。
 その事を、猟兵達は強く知る事となった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年09月25日


挿絵イラスト