純白の翼がかすかな音を立てて羽ばたき、そのままひらりと少女めいた美貌の『彼』は地面へと降り立った。
オブリビオン領主である『導師』サッシナスの領地、それも城館の塀の中。当然それに気付いた黒衣の少女オブリビオン達が誰何の声を上げる。
「――ねぇ」
それを意にも介さず、金色の瞳はじっと少女達を見つめた。
「貴方達は、『私の民』ですか?」
「何を言っていらっしゃるの?」
「貴方達は『私の民』なのですか? 私の守るべき、私の大切な、私の愛しい――」
その瞳はオブリビオンの少女達を映し、けれど彼女らを見てはいない。
言葉は届かず、ただうわ言のように繰り返す。
「……同族殺し」
誰かが呟いた言葉に緊張が走る。即座に主の元へと数人が走り、他の者は呪いと怨念の槍を喚び、その白い服を呪いの黒と血の赤に染め上げようとする。
――嗚呼。
薄い唇から溢れた溜息。手に持った果実が輝きを増し、放たれる光がその頬に落ちた水滴を照らし出す。
「では、貴方達は『私の民を殺した者達』なのですね」
殺します。
返事など求めていない。返したとしても聞きはしないだろう。
オブリビオンにすら最も忌まれるオブリビオン『同族殺し』。
狂えるその手の果実から放たれる光線が、黒衣の少女達を灼き払った。
「ダークセイヴァーに『同族殺し』と呼ばれるオブリビオンが発生している。その名の通り、オブリビオンを殺すオブリビオン、であるそうだ」
彼らは完全に狂気の淵にあり、もはやその由来も、なぜオブリビオンを殺すのかも不明。此度現れた『同族殺し』は問いかけめいた言葉を放つようだが、狂えるその心には返答が届いているのかさえわからない。
「とはいえ、強力なオブリビオンの『同士討ち』が起きている以上、これを利用しない手はない。同族殺しのオブリビオンも、一般人に危害を為さないというわけではないようだ。ゆえに、この同士討ちを利用して両方のオブリビオンを倒してもらう、といのが今回の依頼となる」
仙堂・十来はそう猟兵達に説明すると、了解の返事に頷いてグリモア猟兵の力を起動し、猟兵達をダークセイヴァーへと案内する。
「襲撃されている領主の館のすぐ近くに出られるようにしてある。ちょうど『同族殺し』と領主の配下のオブリビオンが接触した直後になるはずだ、……そしてこれは、オブリビオンの悪政に悩まされる村を1つ救うことにもなるだろう」
よろしく頼む、と十来は、改めて猟兵達に頭を下げた。
炉端侠庵
エンパイアウォーお疲れさまでした!
というわけで今回はダークセイヴァーのお話です。
『同族殺し』なるオブリビオン殺しのオブリビオン。何故狂ってそんなことをしてしまうようになったのでしょうか。
オラトリオのような姿をしたオブリビオン『カルポス』とは会話は不可能ですが、もしかするとその動きや言葉から何かを察することができるかもしれません。
けれどともあれその力は、今回のオブリビオン領主を倒すには不可欠。
協力よりはむしろ「利用」とはなってしまいますが、同族殺しと共にオブリビオンの討伐(第1章集団戦、第2章ボス戦)、そしてその後は『カルポス』との戦い(第3章ボス戦)――どうぞよろしくお願いします!
第1章 集団戦
『黒い薔薇の娘たち』
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POW : ジャックの傲り
戦闘中に食べた【血と肉】の量と質に応じて【吸血鬼の闇の力が暴走し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD : クイーンの嘆き
自身に【死者の怨念】をまとい、高速移動と【呪いで錬成した黒い槍】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : キングの裁き
対象のユーベルコードを防御すると、それを【書物に記録し】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
イラスト:シャチ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
セシリア・サヴェージ
支配圏争い等でオブリビオン同士の戦闘が行われる例は何度か聞いたことがありましたが、狂気の果てに……というのは初めてですね。
ですが、結局はどちらも人類に仇なす存在……最終的にはどちらの陣営も殲滅します。
正直、オブリビオンとの共闘など虫唾の走る思いです……『同族殺し』とはなるべく距離を取って戦います。UC【死翔の黒剣】を遠距離から放って『黒い薔薇の娘たち』に対して【範囲攻撃】を仕掛けます。
この黒剣を『同族殺し』にも突き立てたい気持ちもありますが……今は抑えましょう。しかし、なぜ同族殺しなど行うのか……よからぬことの前触れでないとよいですが。
――いかにそれが有利であろうと、決して愉快なことではないのだ。
セシリア・サヴェージにしてみれば『オブリビオンとの共闘』など、オブリビオンの側にはその意識すらないとは言っても虫唾の走る思いであった。そうその身に、纏う黒き鎧に宿る『暗黒』を時に己が守る民にすら忌まれながらも、ただひたすらに全てを守るためその暗黒を操り戦う彼女にとっては、尚更。
(支配権争い等でオブリビオン同士の戦闘が行われる例は何度か聞いたことがありましたが、狂気の果てに……というのは初めてですね)
同族殺しのオブリビオン『カルポス』を視界に収めつつも、距離を取ってセシリアは漆黒の剣を己の周囲に展開する。ユーベルコード『死翔の黒剣』――優に200を超えるそれを、矢の雨の如く黒衣の少女達へと降り注がせる。その中心にて力を振るう、少女達とは対象的な純白の姿にも剣を向け、突き立てたい気持ちをセシリアは抑え込んだ。無論最終的には『同族殺し』も含め、オブリビオンは全て殲滅するのみなのだから、と。
――しかし、なぜ同族殺しなど行うのか。
「『私の民』を傷つける者は、全て、滅ぶべきモノ。許しません。誰一人とて、逃しません。生かしません。認めません。居させません」
無垢な笑みすら唇に浮かべ、白い翼をはためかせて戦う『同族殺し』の姿にセシリアは、「よからぬことの前触れでないとよいのですが」と小さく、呟いた。
大成功
🔵🔵🔵
六代目・松座衛門
「『同族殺し』…。言動から考えると、生前もオブリビオンと関わりがあったのか?」
『同族殺し』に対する分析もそこそこに、転送と同時に人形「暁闇」を担ぐことで、黒衣を纏い暗闇に紛れる。
。〇(とにかく今は、あいつに気づかれずに援護だ。)
茂みに隠れ『カルポス』と『黒い薔薇の娘たち』の様子を伺う。予言通りに戦闘が始まるだろうから、主へ連絡しに行った敵は無視し、『カルポス』と戦っている敵へ奇襲を仕掛ける!
「一人ずつ確実に倒す!」
UC「手繰り討ち」で『黒い薔薇の娘たち』の一人を乱戦から引き抜き、反撃に対しては【フェイント】で回避しつつ、人形「暁闇」の抜き手を喰らわせ、少しずつ人数を減らそう。
アドリブ、連携歓迎
「『同族殺し』……言動から考えると、生前もオブリビオンと関わりがあったのか?」
――それにしては幾分『私の民』というオブリビオンの言葉が引っかかる。六代目・松座衛門は軽く眉を寄せ、しばし考えを巡らせた。
このダークセイヴァーという世界では、既に人間がオブリビオンに支配されて久しい。『私の民』という言葉は領主階級であることを思わせるし、領主であるならばその地点でオブリビオンである可能性の方が高い。
ならばこの『同族殺し』はどうして己の民に、そして――己の民を害した相手、に固執するのか。
そこまで考えて、けれど松座衛門はそっと分析に終止符を打った。戦闘用人形『暁闇』を担ぎ、松座衛門自身はその操作を通じて戦う黒子へと徹する。操作板、と呼ばれる人形操りの道具を本性とするヤドリガミたる松座衛門の戦い方だ。
(とにかく今は、あいつに気づかれずに援護だ)
茂みへと隠れた松座衛門は、戦いが始まると静かに様子を伺った。同族殺しのオブリビオン『カルポス』と戦ううち、松座衛門の近くに来た黒い薔薇の娘の1人にさっと糸を仕込み――さらに猟兵達の乱入に気を取られた隙を突く!
「ニノ型『手繰り討ち』!」
「きゃぁっ!?」
人形繰りの糸を辿って瞬時に距離を詰めると、慌てて少女が取り出す黒い槍をひらりと踏み込むかと思えば退いてかわし、そこにすっと踏み込んでは容赦のない抜き手で急所を狙う。ただでさえ硬く、ましてや戦闘用に作られた人形の指先は見る間に黒薔薇の少女を消滅へと追い込んだ。
(一人ずつ確実に倒す!)
再び人形を手元へと戻し、黒衣に紛れた松座衛門はまた鋭い目で戦場の趨勢を見つめに戻る――次の『糸』は、先程仕掛けたばかりだ。
成功
🔵🔵🔴
鈴木・志乃
申し訳ないけど両方オブリビオンなら
両方私の敵
私の夢の為にも潰えて
UC発動
オーラ防御張っておくよ
全ての攻撃、防御に祈り、破魔、呪詛耐性を付与
敵の動きを第六感で察知し見切り、光の鎖で早業武器受けからのカウンター
念動力ロープワークでそのまま何体か纏めて縛り上げたり、足元なぎ払ったりするよ
一緒に戦ってくれるなら
息合わせたいけどねぇ?
隙を見せたり怯んだ所に全力魔法ぶちかます【衝撃波、なぎ払い】
焼き祓おうか、何もかも
しっかし一体何があったのかね
同族殺すことに利益のあるオブリビオンがいたら怖いなぁ
……言ってたら本当になりそうだ
祈りを捧げるように組み合わせた手、ふわりと淡い光の中に黒髪が揺れ、次の瞬間には全身に身を守るオーラを纏う。
その背に背負う翼は白く、けれど『同族殺し』とは対照的に黒い髪と暗色寄りの服装。
「申し訳ないけど両方オブリビオンなら、両方私の敵。……私の夢の為にも」
潰えて。
そう呟くとユーベルコード『祈願成就の神子』で高めた祈りと破魔、そして呪詛に耐える力を纏わせた光の鎖を構えて志乃は乱戦の中へと飛び込んでいった。
漆浮いてでもいるかのような高速で距離を詰めてくる黒衣の少女が繰り出す漆黒の槍を、両手で掴んだ輝く鎖で受け止める。そのままぴんと張っていた鎖を弛ませて体勢を崩させると、その足を払って転ばせたところに追撃、さらに振り回した鎖を念動力で補助し、背後に迫っていたオブリビオン達をまとめて鎖で捕らえ、さらに飛んできた槍をオーラを纏わせた腕で弾き返す。バチリと闇と光が相殺され爆ぜる衝撃に、志乃は軽く眉を寄せた。
その視界の端に入ったのは、猟兵達にも構わず独り淡々と戦う『同族殺し』の姿。
(一緒に戦ってくれるなら、息合わせたいけどねぇ?)
向こうにはどうやら協力してくれるという様子はない。――もしかすると意識にすらほぼ入っていないのかもしれない。
それでも敵の体勢が崩れた好機そのものは認識しているのだろう、その黒薔薇の少女を中心に、黄金色の光が爆ぜた。
タイミングを合わせて、志乃が魔力を解き放つ。全力で叩きつけた衝撃波がまとめて黒衣の少女達を薙いでいく。
「焼き祓おうか、何もかも」
――それが『同族殺し』の望みかなどわからない。けれど今、志乃がやるべきことには違いなかった。
……しっかし一体何があったのかね、と首を傾げた志乃の脳裏を1つの思いつきがよぎる。
「同族殺すことに利益のあるオブリビオンがいたら怖いなぁ……言ってたら本当になりそうだ」
まさに言霊というやつである。
軽く首を振ってその考えをとりあえずは追い出すと、再び志乃は輝く鎖を握り直した。
成功
🔵🔵🔴
七那原・エクル
【ガーデン】で参加するよ
オブリビオン同士の戦闘、なにか不自然だよね。彼らにとって脅威になるボクら猟兵よりも優先して戦闘を仕掛けにくる辺りも
肩に乗せた小さな白竜を試製ガジェットランスに変身させて装備、大型の機械盾デフレクターシールドG2も構えて戦闘態勢へ。機械盾で敵の攻撃を防御しつつ試製ガジェットランスのリーチを活かして突き、薙ぎ払い。こちらが優勢であるなら盾を構えながら槍を突き出し突撃するなどで強気に攻めます。
ユーベルコードを発動する場合は周囲の味方が巻き込まれないように標的がなるべく多く自分に向くように派手に動き回るよ
生ある存在を否定する滅びの咆哮、これをもって終結としよう。
七那原・望
【ガーデン】で参加
お兄様……
同族殺しの方に注意を向け、思わず呟きます。
向こうにはもうわたしのことなんて分からないのでしょうけど、なんだか不思議な感覚なのです。
こうして共闘することになるなんて。
と、今は自分のやるべき事に集中しないとですね。
【第六感】と【野生の勘】で敵の動き方と黒い槍の軌道を【見切り】、回避を試みます。
仕掛けます!
【果実変性・ウィッシーズアリス】で召喚したねこさん達の【全力魔法】の幻覚による【範囲攻撃】で出来るだけ多くの敵を惑わし、えくるんや零さんが安全に戦えるようにサポートを。
そしてねこさん達と協力して、敵を【全力魔法】の【範囲攻撃】で【なぎ払って】数を減らします。
天星・零
【ガーデン】で参加
【戦闘知識+情報収集+追跡+第六感】で戦況て弱点や死角を把握し警戒、戦闘
七那原さん達を支援
防御は星天の書-零-で【オーラ防御】
零の攻撃武器はデンジャラス・ゴースト(A)、Ø、グレイヴ・ロウ(B)
Aを突っ込ませ爆発、上がった爆煙を利用して、Bを敵の死角から出して攻撃など臨機応変に戦況を見て戦う
『ジャック、クイーン、キング。ふふ…ジョーカーが足りないですね。では、登場させましょう。おいで僕のお友達。一緒に遊んでくれるってウェビル』
指定ucにも協力してもらい。爆弾やトランプで攻撃してもらう。
クイーンの嘆きは呪詛耐性で対抗
キャラ口調ステシ
UCの口調秘密の設定
ひらり、白い翼をはためかせ、舞うように戦う姿に、七那原・望は目隠しで覆われた顔を向けた。
「お兄様……」
思わず、といった様子で呟いた少女の背には同じ純白の翼が、同じ銀の髪を緩く分けて広がっている。髪に咲くアネモネの色こそ『カルポス』は白、そして望は赤と違いはあれど。
よく似ていた。
望と『カルポス』は。
(もう、わたしのことなんて分からないのでしょうけど……なんだか不思議な感覚なのです)
こうして共闘することになるなんて、と望は忘れもしないその気配をはっきりと感じ取る。『同族殺し』の側にその意志はなくとも、確かに一種の共闘状態ではあった。
少なくとも、今の敵は同じだ。
「けれどなにか不自然だよね、オブリビオン同士の戦闘って」
七那原・エクルの声にはっと望は顔を上げた。
「彼らにとって驚異になるボクら猟兵よりも、優先して戦闘を仕掛けにくる辺りも」
望にとって半身にも等しき彼の声は疑問を宿しつつ続くも、既に肩に乗っていた白き小竜『ヒメ』は試製ガジェットランスへと転じ、大型の機械盾を構える気配もする。そして2人の横をするりとすり抜けて、天星・零の指輪から現れた死霊達が次々に敵陣へと飛び込んでいくひやりとした感触も。
(と、……今は自分のやるべき事に集中しないとですね)
エクルと零、2人の視線を感じて望が頷けば、両方から安心したような微笑みの気配を感じた。
「よし、行くよっ!」
既に零の放った死霊はその身を爆ぜさせ、同じく零の操る武器たるグレイヴ・ロウ――十字の形をした墓石が爆煙と土煙を上げる地面より突き出でていた。攻撃は無論だが撹乱にも十分、そこに盾と槍をしっかりと構え、エクルが飛び込んでいく。仕返しというように放たれた黒い槍は、零が禁書とされた書物から力を引き出して霊の壁を作り出し、それをも抜けた分は望が己の耳と肌で感じる気配を頼りに最小限の動きで避ける――早い話が『勘』だ。それももはや第六感すら交じるほど、特級の。
「仕掛けます! 『わたしは望む……ウィッシーズアリス』!」
そして望のユーベルコード『果実変性・ウィッシーズアリス』に応え、ひらり、ひらりと現れたのはその色も体躯も違う4匹の猫。愛らしい見た目とは裏腹なほどの強力な魔法を、そして猫という種に相応しいような強力な幻覚を操る彼らと共に黒薔薇の少女達へ惑わせの魔法を解き放つ。
「ジャック、クイーン、キング。ふふ……」
そしてかの乙女達のユーベルコードを見届けたかと思えば、零が柔らかに微笑んだ。
「ジョーカーが足りないですね。では登場させましょう――おいで僕のお友達」
ユーベルコード『ウェビル・ジョーカー・オブ・ウィスパー』――それは戯けた姿の霊魂。
「おやっ、宮廷の御歴々が揃ったとなれば確かに道化も御相伴に与らなければ! 道化は王と共にあり、そして王と共に去らん!」
「ああ、一緒に遊んでくれるって、ウェビル」
「なぁるほど、ではプリンセスとはカァドを共に致しましょうか! カァドゲィムは宮廷の一室にて欠かせぬ遊戯でありましょう!」
ぱぁっと投げた1デッキのトランプが、降り注ぐ時には刃となる。望と猫達の呼んだは己達にしか見えぬ敵、降り注ぐトランプは防ぎがたき攻撃、そしてガジェットの槍と盾を纏うエクルは縦横無尽に動き回って重い一撃を着実に入れていく。
そしてさらに。
「ねこさん達、お願いします!」
望の掛け声に愛らしい鳴き声が唱和して、合わせた魔力が一気に黒薔薇の少女達へと襲いかかっていく。視覚は目隠しに塞がれていても、他の猟兵達を巻き込まぬよう制御した魔力がまるで嵐のようにオブリビオン達を薙ぎ払う。
その魔力が、『同族殺し』の放った黄金色の輝きと交わった。
「――っ、」
伝わってくる魔力、その質、その波長――記憶を震わせるようなそれに、息を呑む。
「っと!」
その望に向かおうとした黒衣のオブリビオンを、ばさりとエクルがランスで薙いだかと思えばそのまま味方を巻き込まぬ位置へと身を翻し、ユーベルコードを起動する。
「生ある存在を否定する滅びの咆哮、これをもって終結としよう」
ユーベルコード『デストラクト・ロア』――肉体は崩壊へ、魂は昇華へ。味方の猟兵はその範囲に入らぬままに、敵たるオブリビオンの少女達を足止めできるように。
「ウェビル、彼女達の行く手に爆弾を!」
「ははぁ爆竹、もしくは祝砲! 宮廷には付き物ですな!」
零が指差した地点へと道化が的確に次々と爆弾を放り投げ、彼女達の歩みを引き止める。
そして響き渡る咆哮が収まったその時には。
立っているのは猟兵達、そして『同族殺し』のオブリビオン――『カルポス』のみとなっていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『導師・サッシナス』
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POW : 教団の御業・不惜身命の型
自身に【不可視化する呪詛】をまとい、高速移動と【呪詛を纏った両手の骨爪】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD : 暗殺者の外套
【装備者に同様の効果をもたらす影の外套】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
WIZ : 暗殺者教団
【敵の死角】から【教団の暗殺者】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
イラスト:黒江モノ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「リーヴァルディ・カーライル」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「ふん……ただの独りも残らなかったか」
窓の外から聞こえてきた戦闘の喧騒が止んだ様子に、『導師』サッシナスは軽く溜息をつくと魔導書を閉じ、傍らの机へと放り捨てた。
「仕えるには見目良いが、使うには少々脆い乙女達よな」
無論オブリビオンである以上、人間よりはマシな護衛だが、と肩を竦める。
その姿はとうに呼吸の必要もまたその機能もなく、肩を動かしたところで軽く骨と関節が鳴る程度ではあるが――些細な問題だ。単なる癖でしかないのだから。
まだもう少しは人間に近しかった頃の。
そして猟兵とかいう特別な存在ではあるらしいが、所詮は人間――そう、軽んじるようにサッシナスは鼻で笑う。
けれど。
「――同族殺し、か」
それはまだ彼が『同等の脅威』と認めていない猟兵達よりも、オブリビオンらにとっては忌むべき存在である。
「狂気とあれば如何ともし難い、せめて別々に来れば生贄か材料にでもしてやったものを」
かたり、とローブの奥の骨を鳴らし、肘掛け椅子から立ち上がる。
それは『同族殺し』の白く小さな手が部屋のドアを開いたのと同時のことであった。
六代目・松座衛門
。〇(…! 目の前の骸骨以外にも誰かいる?)
領主の館の中では、UC「黒雨」を発動して空中を駆ける。そして、『導師・サッシナス』がいる部屋に突入したら、すぐさま部屋中に糸を張り巡らせ、部屋の中央、天井近くに居座る。
「どこからでも来るがいい!」
『導師・サッシナス』の相手は『カルポス』に任せ、自分は『教団の暗殺者』の迎撃に集中する。
「そこか! 出てこい!」
常に自分の死角を人形「暁闇」で【かばう】ことで、暗殺者からの攻撃を【武器受け】し、自分が多節棍「双爪丸」や大型銃「玲瓏」で反撃する!
もし、自分を無視して暗殺者が『カルポス』や他の猟兵へ向かっても上から割り込んで、攻撃しよう。
アドリブ、連携歓迎。
迷いなく館の廊下を進んでいく『カルポス』の後を、ひらりと戦闘用人形『暁闇』は、そして六代目・松座衛門は空を切って駆け抜けた。暁闇の姿は人間のシルエットから、四足の獣に似たものへと変わっている――そしてその白い手ががちゃりと無造作にドアノブを捻って叩きつけるように開いた瞬間、松座衛門はぞわりと悪寒に似た直感を得て虚空を睨んだ。
(……! 目の前の骸骨以外にも誰かいる?)
一気に部屋の中に糸を張り巡らせると、天井近くにふっと浮く。
「どこからでも来るがいい!」
既に同族殺しは導師を名乗るオブリビオンと戦いを繰り広げ、他の猟兵達もそれに続こうとしていた。それを見下ろす位置から松座衛門は、その『直感』に、そして確かに感じる何者かの気配に集中する。
じりじりとした緊張感が頂点に達した、瞬間。
「そこか!」
松座衛門が振り向いた時には、既に暗殺者の刃を人形『暁闇』が受け止めていた。松座衛門が大型銃の引き金を引き、その銃声も消えぬうちに鉤爪付きの多節棍で襲い掛かる。どちらも『暁闇』の装備でもあるが、無論操り手である松座衛門とてその扱いに遅れを取るつもりはない。
暗殺者が横を抜けようとしてもするりと回り込み、強烈な連撃を見舞いながら立ち回る。――そして暗殺者は導師・サッシナスを助けるという役割を果たすこともなく、響いた重い銃声に吹き飛ばされたのであった。
大成功
🔵🔵🔵
鈴木・志乃
……………………。
UC発動
【祈り、破魔、呪詛耐性】を籠めた
【全力魔法】の【歌唱】の【衝撃波】でその呪詛ごと【なぎ払う】
敵攻撃は【第六感】で【見切り】破魔系統の技能を乗せた光の鎖で
【早業武器受けからのカウンターなぎ払い】
【オーラ防御】常時発動
………………。
目には頼らない
第六感に身を任せる
そして呪詛なら破魔と祈りである程度中和できる筈
必要に応じて念動力で周囲の器物を巻き上げ盾や攻撃に転換
同族殺しの動きにもよく注目しておこう
あのどくろがどこにいるかの指針になるかもしれない
………………。
私命を適当に扱う人めっぽう嫌いなんだよね。
凪いだようにすら見える表情で、鈴木・志乃は黙り込んでいた。
ローブを纏っただけの骨、といった風体がその見た目とは裏腹に素早く動いて姿を消すのに合わせて、感覚を溶け込ませるかのように視覚よりも第六感を働かせる。そのまま志乃は、静かに唇を動かした。
夢の中で空を歩く 真下に広がる命数えて
今日を明日を素直に生きてる その顔に微笑み浮かばせたい
静かに歌い上げられる歌詞は『女神の歌』と名付けられたユーベルコード、無機物であってすらも戦意を奪い罪悪感を膨れ上がらせるその歌に、不可視ながらも感じる戦意がふっと力を失ったように思った。
――同族殺しは動きを止めはしない。
元より炙り出せば構わないとでも考えているのか、変わらず手に持った黄金の果実から光を放っては無造作に全てを灼いていく――けれどそれが一点に集まった瞬間、歌を止めぬまま咄嗟に志乃は厚みのある魔導書を念動で『その場所』と自分の間に放り投げた。
木板を使った重い装丁が骨の槍に似た爪に貫かれる。残った2本の爪を志乃は光の鎖を絡めるようにして受け止めると、そのまま鎖の先端をやはり『同族殺し』が光を集める場所に向けて振り抜いた。
砕く、手応えがした。ぐぅ、と呻き声を上げて、ローブの男が再び姿を見せる。
祈りを込め、破魔の力を宿した歌は、もはやそのものが呪詛に対して身を守るオーラに近い。――そして。
私、命を適当に扱う人は、めっぽう嫌いなんだよね。
今この唇に乗せて歌う、全生命を愛し意志を重んじる慈愛。それは既に死した親友の歌。
正面から『導師』サッシナスの呪詛と己の祈りをぶつけ合う戦い、幾度となく不可視となり繰り出される骨爪の放射に、けれど志乃の歌は決して止むことはなかった。
成功
🔵🔵🔴
セシリア・サヴェージ
必要以上の接近はしていないとはいえ、『同族殺し』にとって私たちは眼中にないようですね。
ならばまずはこちらの骸骨男に集中するとしましょう。
不可視化したならば【第六感】で【見切り】ます。姿が見えなくとも音や気配を感じ取れれば【咄嗟の一撃】を放つことは可能です。
予めUC【闇炎の抱擁】で炎を剣に纏わせておけば、一撃を与えた時に炎が燃え移り、それが消えるまでは感に頼る必要もなくなるでしょう。
さて、『同族殺し』はどう動くのでしょうか。骸骨男の攻撃が私に向くうちは対処しますが、『同族殺し』を狙うようなら静観しましょう。
(必要以上の接近はしていないとはいえ、『同族殺し』にとって私たちは眼中にないようですね)
セシリア・サヴェージは冷静にそう『同族殺し』の動向を観察する。よく見れば多少は猟兵達の攻撃の射線が通るようさりげなく避けたりしていることはあり、全く意識に入っていないというわけではないのだろうが、少なくとも連携を取るという気はないように見える。
ならばまずはこちらの骸骨男に集中するとしましょう、とセシリアは剣を構え直す。広幅の大剣を舐めるかのように暗黒の炎が這い上がり、刃を覆う。
ひたすらにオブリビオンを狙う同族殺しの方に多くの注意を割いてはいても、骸骨男こと『導師』サッシナスは猟兵達を無視する気はなく攻撃を繰り出してくる。呪詛を纏い不可視となるのは、多数の敵を相手に確かに有効とは言える――けれど。
「ふっ!」
視覚に全てを委ねぬならば気配を感じ取ることはできる。放たれた骨爪の風切り音に即座にセシリアは床を蹴った。横薙ぎの大剣で爪を払い、軌道の先にいるサッシナスが逃れる前に返す刃を叩き込む。
「ガァアッ!」
斬撃は重く、そして黒き炎がその身を覆う。肉体は不可視でも燃え上がる炎はセシリアのもの、ゆえにその位置を示す標となる。昏くも相手を炙り出す炎――ユーベルコード『闇炎の抱擁』
「招かれざる者よ、闇に抱かれ骸の海に還るがいい」
闇炎で縁取られたシルエットに、迷うことなくセシリアが連撃を加える。その刃を再び爪を飛ばして隙を見て距離を取る――けれど姿を現したかと思えば『同族殺し』がその背後へと迫り、チィと舌を鳴らすような音を立てて召喚した暗殺者を盾代わりに距離を取るも、肉なき骨の顔ですらわかるほどの焦りと疲弊が『導師』サッシナスの表情に滲みつつあった。
成功
🔵🔵🔴
天星・零
【ガーデン】
『ふふ…オブリビオンを攻撃するのは心が痛みますね』
装備enigmaで別人格の夕夜、自分と七那原さん達の4人で背中合わせ、死角がないよう
【戦闘知識+情報収集+追跡+第六感】で弱点死角を把握警戒
星天の書-零-で【オーラ防御】
零
武器はデンジャラス・ゴースト(A)、Ø(B)、グレイヴ・ロウ(C
Aを無数に突っ込ませ爆発、上がった爆煙を利用しCによる死角からの一撃など地形や武器による副効果を利用し攻撃
夕夜
Punishment BlasterやB、Cを使い零と連携
「ほら、もっと俺達と楽しい時間を過ごそうぜ!」
指定UCで敵を引き寄せ。壁などに叩きつけ、味方の攻撃範囲に入れたりする
キャラ口調ステシ
七那原・望
【ガーデン】で参加します。
軽んじられてますか。まぁ、良いですけどね。
慢心してくれる方が、やりやすいですし。
わたし達と夕夜さんの4人でお互いの背中を守り合うように陣形を組みます。
【愛唱・希望の果実】を【全力魔法】で【歌って】みんなのユーベルコードを強化するのです。
【第六感】と【野生の勘】で暗殺者の出現や敵の攻撃をしっかり【見切り】、最速の対処を心掛けます。
暗殺者は影園・オラトリオによる【咄嗟の一撃】で先に【暗殺】して撃退を。
生憎ですけど、わたしにシカクはないのですよ。
【念動力】で遠隔【操縦】する機掌・プレストに銃奏・セプテットを持たせ、【零距離】【一斉射撃】で確実に敵を仕留めましょう。
七那原・エクル
【ガーデン】で参加するよ
ヘッヘッヘ~お宅に死をデリバリーしにきたぞい。おとなしく受け取りやがれ。そして骨の髄までたっぷぅーりと、しゃぶしゃぶしてやるぜぇ!
仲間と背中合わせで陣形を組んで死角からの敵に備えるよ
ボクはデフレクターシールドG2を構えて迎撃準備
ハイドフェザーを召喚。追跡対象はボク自身、ハイドフェザーにボクとまわりの死角を監視してもらい視覚を共有。ボクが対応できない死角から出現した場合は搭載した熱戦砲で迎撃、対応できそうなら【盾受け】で攻撃を防御、そのまま【シールドバッシュ】で盾で殴りかかる。ハイドフェザーにはサッシナスか教団の暗殺者に追跡対象を変更
ハイドフェザー、アタッーク!
元来『導師』サッシナスは邪教と言うに相応しい忌まわしき教団の幹部であり、敵する者は暗殺者を子飼いとして屠り、無辜の民を生贄に捧げる――外見と相違なく、死を招く存在であった。
それが。
「ヘッヘッヘ~お宅に死をデリバリーしにきたぞい、おとなしく受け取りやがれ!」
デフレクターシールドG2を構えて飛び込んできた七那原・エクルの言葉は、それに対する痛烈な皮肉となっていた。
「そして骨の髄までたっぷぅーりと、しゃぶしゃぶしてやるぜぇ!」
そう――人の命を道具と見なしてはばからぬオブリビオンへの。
それでも己は命を弄ぶ側だということを疑いもしないのか、『カルポス』の動きに注意を割いたままのサッシナスは一瞥とて向けることなく「人間如きが」と吐き捨てた。
「軽んじられてますか。まぁ、良いですけどね」
見えずともその気配を感じ取り、七那原・望が小さく息をつく。ふっと一度その顔を『カルポス』へと向けたが、すぐに戦いに集中するように向き直った。
「慢心してくれる方が、やりやすいですし」
暗殺者の襲撃に備え、背を守り合うように立つ。望、エクラ、――そして。
「ふふ…オブリビオンを攻撃するのは心が痛みますね」
もう一方の人格である『夕夜』を実体化させた天星・零、すなわち4人。背を合わせることで死角をなくし、さらに零が戦いの経験と知識、戦場勘を駆使して警戒しつつ、オーラの霊壁を張り巡らせる。
その間にすぅ、と望が息を整えた。その唇から柔らかに歌が溢れる。
『La~♪ La la la~♪ La la la la la~♪』
祈るような全力の魔法を込めた歌、ユーベルコード『愛唱・希望の果実』。歌に心を添わせた存在の力を高め、そのユーベルコードを強化する旋律が響く。
「偵察せよ、ハイドフェザー」
その歌に耳を傾けながらエクラがユーベルコードで呼び出すのは『灰鉄巧・霞鳥』――偵察を得意とする鳥型のメカ。機巧の翼を羽ばたかせ、エクラの頭上で軽くホバリングするように周囲を見張りその見たものをエクラへと届ける。
そしてその時には、零が呼び出したゴースト達が飛び出し、その身を爆ぜさせて炎と煙で部屋を満たしていた。
「ほら、もっと俺達と楽しい時間を過ごそうぜ!」
極力消した気配、けれど押さえきれぬ殺気を感じた瞬間、零のもう一つの人格たる夕夜が霊術を乗せた指先を向けた。襲い掛かろうとしていた暗殺者が急にがくりと膝を付き、かと思えば引きずられるようにエクラの前へと送り込まれ、キャッチするように大盾が暗殺者へと叩きつけられた。
流れるような連携であっという間に暗殺者の1人が地へと伏す――夕夜のユーベルコード『Karmic Retribution』、その意が示すは因果応報。犯した罪に合わせて伸し掛かる重力は、敵を床や壁へと伏せさせ叩きつけるだけでなく、重力の方向を帰ることで連携をも可能にする。
そして仲間の死すら恐れぬ様子でさらに現れる暗殺者に、望の背後から生成りに近い色の影が現れてその首を薙いだ。
「生憎ですけど、わたしにシカクはないのですよ」
元から目隠しで視覚を封じられているがために、望の他の感覚はそれでも戦いにすら不自由しないほどに研ぎ澄まされている。そのまま念動にて操る機掌・プレストが巨大なアサルトウェポン、銃奏・セプテットを握り、その銃口をサッシナスへと向けた。
さらにエクルの側に現れた暗殺者には振り向いて刃を止めると同時に体重ごと盾を叩きつける。暗殺者を葬ったエクルはハイドフェザーの追跡対象をサッシナスへと変え、搭載した熱線砲の照準を合わせるよう命じる。
零が十字の墓石を、夕夜が槍に似た骨を床や壁から突き出させ、動ける範囲を着実に狭めていく。夕夜がØと名付けられた刃を虚空から引き抜いた。ちらりと零と視線を交わしてうなずき、夕夜がその指先をサッシナスへと向ける。暗殺者達を差し向けて、同族殺しとの戦いの間を凌ごうとしていたその企みを、挫いて。
「俺と楽しい時間を過ごそうぜ! お前には――」
犯した罪の重さは、暗殺者にも劣るまい。いや、彼らを育て使っていたなら、その合計でもおかしくはない。
奇怪と思えるような悲鳴を上げて壁に縫い付けらえたサッシナスに向けて、カルポスが小さな手で黄金色の果実を差し出し、光り輝かせる。機械の手に支えられて飛び出した銃奏・セプテットが骨の額に銃口を押し当て、エクルがハイドフェザーへと高らかに命じる。
「ハイドフェザー、アタッーク!」
銃声が爆ぜる。
骨の砕ける音、同時にローブすらも闇に溶けるかのように消え――そこには、何も残らなかった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『カルポス』
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POW : Lux kardia
【手に持つ果実から無数の光の帯】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : 守護者の意思
自身に【アネモネの花びらと光のオーラ】をまとい、高速移動と【手に持つ果実から光の帯】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : 正しきセカイの在り方
自身の【庇護下にいる村人達】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
イラスト:水瀬るか
👑8
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「七那原・望」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
――そして。
黒薔薇の乙女のオブリビオンを倒し、漆黒のローブを纏った邪教の導師たるオブリビオンを倒し。
そこに残ったのは、白きオブリビオン『カルポス』――同族殺し。
振り返る表情はあくまで穏やかで。
瞳に宿る淀みはあくまで――剣呑で。
「貴方達は、『私の民』ですか?」
愛らしいとも思える仕草で首を傾げると、彼はそう猟兵達に問うたのであった。
オルヒディ・アーデルハイド(サポート)
『ジャンク(フード)にしてあげる』
オウガブラッドのプリンセス × アリスナイト
年齢 6歳 男
外見 98.7cm 藍色の瞳 銀髪 乳白色の肌
特徴 女性と間違われる 特徴的な声 特徴的な髪型 女性のような服装 実はいつもハラペコ
口調 男の娘(ボク、キミ、だ、だね、だろう、だよね?)
お腹が減ると 変わりなく(ボク、キミ、ね、よ、なの、なの?)
六代目・松座衛門
「いいや、君の民ではないよ。ただ、君の敵だッ!」
静かに『カルポス』本人だけを狙っていることを告げつつ、多節棍「双爪丸」を人形「暁闇」に組付け、4本腕に変化させてから戦闘に移る。【真の姿】
基本戦法は、人形で接近戦をしつつ、自分は大型銃「玲瓏」で【援護射撃】! 相手のUCによる「果実からの光の帯」が自分に向けられたら、人形の黒衣で遮りつつ、相手の周りを旋回させて、操作糸で拘束する!【武器受け】【敵を盾にする】【ロープワーク】
拘束が成功したら、UC「疾風」を発動。渾身の連続攻撃を喰らわせる!
「自分の領民の顔を覚えていないのか?」
動揺を誘うために、『私の民』のことを指摘してみよう。
アドリブ、連携歓迎
数秒の沈黙と共に交錯したままの視線。
それはもはやオブリビオンという存在であることすら超えて『戻れないもの』と感じさせるに十分であった。――少なくとも、六代目・松座衛門にはそう思えた。
「いいや、君の民ではないよ。ただ――」
静かに語りかけながら、普段は多節棍としても用いる『双爪丸』を、松座衛門は戦闘用人形『暁闇』の副腕として取り付けた。それは『暁闇』の、そして松座衛門の真の姿に他ならぬ――四つ腕にて戦う『鬼猟流 人形操術』の対異形用人形。
そして打って変わって、松座衛門ははっきりと告げた。
「君の敵だッ!」
操作糸を操れば、暁闇が滑るようにカルポスへと近づき四つ腕を器用に使って攻撃を仕掛ける。細身の容姿と純白の翼に見合う身軽さでそれを避けつつも、これまでの戦いでの疲弊か、それとも防護自体は然程得意としてはいないのか、掠るようにではあってもその身には傷が刻まれていく。
そして暁闇を相手取るその後ろには、音もなく空中を雲のように駆ける乗騎『フワリン』に跨った小さな影がびしりと美しい白銀の槍を突きつける。
白銀の髪、ふわふわひらひらの少女めいた衣装のフリル、明らかに幼げな表情――『カルポス』とある意味では似ていたが、健康的で柔らかそうな頬や藍と青紫の仄かに色の違う瞳にはどこかオブリビオンとは異質な無邪気さが感じられる。
「愛と勇気と希望の名のもとに、プリンセスナイト・オルヒディ参上っ」
具体的に言うとこういうとこである。
『カルポス』の印象が可憐なれど悲壮、だとしたらプリンセスナイトことオルヒディ・アーデルハイドは愛らしくもパワフル。黄金色の果実から溢れる光を白銀の槍で薙ぎ払い、オウガの力を宿した左腕でぐっとカルポスの体を掴むとそのままぶんと腕を振るって投げつける。受け止めるように4つの腕で掴み、そのまま攻撃を加えるのはそれを待ち受けていた暁闇だ。さらに動きが止まった隙を逃さず、松座衛門が自ら手にした大型銃『玲瓏』の引き金を引く。
すっ、と果実と同じ色のカルポスの瞳が、後方で人形操作と援護に専念していた松座衛門へと向けられた。どこを見ているともつかなかった視線が一点に向くと同時に、無軌道に拡散していた光もまた一筋の帯となる。白い花びらがその身体から後光のように差す輝きと共に舞い上がる。
無論、その一条の光が狙うは松座衛門!
さっと暁闇がその黒衣を翻し、松座衛門へと向かう光を遮る。容赦なく金色の輝きは衣を灼くも、松座衛門がさらに人形を繰る時間を稼ぐには十分だ。くるりとカルポスの周囲を回れば、丈夫な操作糸がその細い身体の自由を奪う。その上で、暁闇の繰り出す『演目』は――、
「その身に刻め! 演目『疾風』!」
ひらりと旋回の動きからそのままに、まさしく風の如き素早さで繰り出す一撃、二撃、三、四――目で追うことも、数えることもできぬほどの連撃に襲われて、か細く喉から呻きが溢れた。それでも、再び光によって己にまとわりつく操作糸を灼き払い、すらりと地に降り立ったカルポスの瞳に宿る色は、変わらない。
「自分の領民の顔を覚えていないのか?」
思わず松座衛門は問うた。それは『同族殺し』の動揺を誘うためであったが、事実それが疑問として胸を過ぎったのも確かだったように思えた。
さらりと首を傾げたことで、アネモネを咲かせた白い髪が流れる。
「――何故ですか? 守ることさえできれば、それでいいのに」
再び苛烈な輝きが戦場を舞う。守るためには誰が自分の民なのかわからなければならないはず、その道理すら通じないのは、もはやオブリビオンとしての価値観の違いですらなく――。
哀しい姿だ、と思った。正面から尋ねた松座衛門も、光を槍で弾き再びカルポスと距離を詰めたオルヒディも。
(ボクが戦いのあとですっごくおなかが空いてるより、ずっと……空っぽなのに、何も食べたくないみたいな顔……)
オウガの力を使うことは、オルヒディに飢餓にすら近い空腹を代償としてもたらす。今でも既にふらつくほどに腹ぺこだと体は訴えている。けれどそんな自分と少しだけ近くて、そして根本から違うものだ。カルポスの中に宿っている――あるいは『宿っていない』ものは。
それでも戦い続ける小さな姿に、絆深き乗騎のフワリンを、真の姿たる暁闇を、繰ると再び容赦できぬ戦いへと彼らは身を投じたのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
鈴木・志乃
オブリビオン
過去の存在
その全ては今を殺す為にある
……悲しいなぁ
初手全力魔法の衝撃波
攻撃よりは視界をホワイトアウトさせる為の一手
光量多めで思い切り
その後入れ替りでUC発動
庇護下にいる村人達の幻想を生み出し広げていく
さて少しでも目を欺けるとよいんですがね
上手いことUCが効いていたら
もう一度全力魔法の衝撃波に念動力で巻き上げた周囲の器物込みで一切合切をなぎ払う
一応敵の攻撃は第六感で見切り
光の鎖で早業武器受けするよ
捌ききれなかったら逃げ足で回避
オーラ防御展開
猟兵達とカルポスの間で交わされた言葉は、鈴木・志乃の耳にも届いていた。
「オブリビオン、過去の存在、その全ては今を殺す為にある……」
悲しいなぁ、と口の中で呟く。けれど――否、だからこそ躊躇はなかった。全力の魔力をエネルギーへと転換する、光へ、そして衝撃へ。それを発動動作からそのままの勢いで、志乃は『カルポス』へとエネルギーの全てを叩きつけた。
あ、と小さく漏れ聞こえた呻きに構わず、間髪入れずに次の魔法――ユーベルコードの発動へと移る。奪いたかったのはその動きよりも視界、なぜなら。
「今一時銀貨の雨を降らせる、世界の祈りの風よ……」
志乃の周囲に転がっていた本やペン、インク、それにナイフといった器物が、柔らかな風へと姿を変えて、さらりと髪を撫でるほどの心地よさで吹き抜ける。
……そして。
「……え?」
目の前に広がる光景に、『同族殺し』として容赦も躊躇も一切見せぬ苛烈さで光を操りオブリビオン達を倒し、今は猟兵達と対峙する『カルポス』は、初めてその表情に動揺を浮かべた。
『領主様!』
『お疲れ様でございます、領主様』
『あっおやかたさまのおもどりだぁ』
『こら、領主様ってちゃんとお呼びなさい!』
それは、幻想でしかない。
志乃のユーベルコード『流星群』が生み出した単なる幸福な幻想に過ぎない。
それでも、領主と呼ばれたカルポスは動きを止めた。止めずには、いられなかった。
そして志乃が再び魔力を収束させ解き放とうとしたその時に、銀の長い髪をなびかせた小さな体は『幻想』を守るかのように、決然と腕を広げて飛び出していた。
「っ!?」
いかに広く全てを薙ぎ払おうとした魔法であっても起点となるのは志乃だ。その全力の魔法を、衝撃の殆どをその体1つで受け止める姿に、魔力の源である志乃自身が息を呑んだ。
吹き飛んだ白い体は壁にヒビを入れて叩きつけられるも、そのまま倒れることなくすとんと床に降り立った。黄金の果実が、目を灼くほどの輝きを放つ。咄嗟に盾のように両手で伸ばした光の鎖と纏わせた魔力に、黄金の光が合わさって爆ぜるような音を立てた。捌き切れないと察して、そのまま横へと跳び一気に距離を取る。既に元いた場所を通り抜けた光が、反対側の壁を貫き隣の部屋まで大穴を開けていた。
志乃の角度からは見えないが、もしかしたら外まですらも貫通しているかもしれない。
「――そんなにも、か」
既に幻想の領民達は掻き消えているけれど、もしかしたら『カルポス』の目にだけは。
その狂気にだけは、映ったままなのかもしれない。守るべきものは存在せず、ただ守るという意志だけが、揺らぐことなく真っ直ぐに、だからこそ歪んでそこにある。
再び奔る閃光を、志乃はまた光の鎖と魔力を盾にして受け流しつつ跳びのく。その視線を幼き姿の『領主』から、逸らすことはなく。
「いいよ、おいで。……気が済むまで」
ならば守るべきものを喪ったままの怒りも、気勢も、受け止めよう。『カルポス』という存在の最期まで――この悲しい狂気を。
はっきりとそう覚悟を決めると、志乃はまた魔力を己の鎖へと宿して真っ直ぐに『カルポス』と向き合った。
大成功
🔵🔵🔵
七那原・エクル
【ガーデン】で参加します
あの同族殺しの姿はどこか望に似た面影を感じる
望の攻撃がカルポスに届く距離まで援護するよ
ユーベルコードで召喚するのは十二連装多段ミサイルキャノン×2機、もともとは対ウォーマシン用兵器として製造された代物だから破壊力は保証付きさ!めっちゃ重いから易々とは動かせないけれどね。
カルポスが攻撃してきたタイミングでボクらを狙うすべての無数の光の帯を対象に捕捉してミサイルキャノンを発射して攻撃を撃ち落とすよ。
発射後はデフレクターシールドを床に突き立てバリケードに、そこからガンダルヴァ・G2の掃射射撃でカルポスの行動を邪魔したりして望の攻撃を援護するよ
やっちゃえ、望ーー!!!
七那原・望
【ガーデン】で参加
……貴方の民、かどうかはわからないですけど……もう疲れたでしょう?
終わらせましょう?全部。
【第六感】と【野生の勘】で同族殺しの動きとユーベルコードの軌道を【見切り】、最小限の動きで回避。躱し切れない分は【オーラ防御】と【武器受け】で捌いて対処していきます。
共達・アマービレで呼び出したねこさん達に魔法で【援護射撃】をしてもらって、同族殺しの動きを牽制します。
背中の翼を用いて【空中戦】、同族殺しに近付いて【Lux desire】を【零距離射撃】、一撃の攻撃力に力を集中させ、【全力魔法】で全ての因果に終止符を打つのです。
……今までありがとう、お兄様。……おやすみなさい。
天星・零
【ガーデン】で参加
基本的な行動は二章と同じ
【戦闘知識+情報収集+追跡+第六感】で戦況て弱点や死角を把握し警戒、戦闘
七那原さん達を支援
防御は星天の書-零-で【オーラ防御】
『アッシュ、お願い。彼等に君の魔法を』
味方の体力が減らないように、指定UCで回復させる。
また、グレイヴ・ロウや夕夜のPunishment Blasterでの攻撃で逃げ場を限定させて、味方の攻撃範囲内に誘導したりする
UC口調秘密の設定
キャラステシ参照
思えば、初めて『カルポス』と向き合ったのではないだろうか。
(あの同族殺しの姿は、どこか望に似た面影を感じる――)
七那原・エクルはそう感じ取っていた。肩を並べて、とすら言えぬような共闘ではあったが、向き合う相手が同じ敵であった時は自然、見つめ合うような形になることはなかった。
今、輝きを増した果実を手にした『カルポス』と、よく似た容姿の七那原・望はじっと向かい合っていた。この屋敷に、戦場に赴いてから、初めて。
まるで見つめ合っているようだと天星・零には、そしてその別人格たる夕夜には感じられた。力を封じるため施された目隠しゆえに『見る』ことこそできずとも、確かに望と『カルポス』は、その存在を感じ合っている。
それは動き続ける戦場の中で、決して長い時間ではなかった。
『カルポス』が望の存在を認識してはいても、それが彼の中にどのような思いを引き起こしたのか、それは誰にもわからなかった。
――数呼吸、なのにどこか永遠にも思われた沈黙を破ったのは、望だった。
「……貴方の民、かどうかはわからないですけど……もう疲れたでしょう?」
答えは――応えは、ない。
ただ、その右手にある黄金の果実が、輝きを増した。
そして、望の手の中にある果実――『真核・ユニゾン』も、やはり黄金色に、輝く。
「終わらせましょう? 全部」
その言葉を合図に、戦場が再び激しく動き出す。
「援護するよ望、カルポスに届くところまで!」
エクルがユーベルコードを起動し、巨大なガジェットの召喚を開始する。軽く別人格同士で視線を交わしてから、2人合わせて4色の瞳が望を見つめて。
「任せて」
「任せろ」
僅かに違う響きが、けれど同じ意志を宿して重なった。
「お願い、します」
小さく頷けば、その髪に咲くアネモネの花弁がひらりと揺れた。カルポスの果実から溢れた輝きが無数の光の帯となり、数多の方向から狙うのを見定めて。
「狙って狙ってー……フォイエル!」
エクルのガジェットが全ての光を迎撃すべく、一気に火を噴いた。
十二連装多段ミサイルキャノンというとんでもない武装が2機、本来はウォーマシンの装甲を貫くための兵器を一斉掃射する『砲雨の鎮魂歌』は、その火力を防御へと向けたことで凄まじいまでの迎撃性能を示してみせた。光とミサイルが相殺し、数多の爆発を生む。その爆音と閃光の中、エクルは思い切りデフレクターシールドを床に突き立ててバリケードとして展開する。己にとっての大切な存在を全て守れるだけのサイズと強度に、守り抜くという意志を乗せる。
それでも繰り返される光の連撃が、軌道を捻じ曲げられてしまえば防御が間に合わぬこともある。許された視覚以外の感覚を全て駆使し、魔力を盾にして受け止め、いなし、それでも狙い撃とうとした光にエクルが身を割り込ませた。
――盾となれるのは装備したシールドだけではなく、バリケードを突破された程度で守る意志までは砕けない。
そして防御の隙間は、カルポスの攻撃の癖を読んだ零が禁書の魔術より産んだ霊壁を用いて埋めていく。
「アッシュ、お願い。彼等に君の魔法を」
『もちろんにゃ、零。生命を繋ぐなら、このアッシュにお任せにゃ』
そしてユーベルコード『生命を愛した赤い目の黒猫の魔法』――それは生きたいという願いを、そのまま生命力へと変える力を持つ黒猫の霊。
その癒しの力、生命を繋ぎ留める力はエクルの傷を塞いでいく。治りが速いのはまさに、エクル自身の生命が持つ意志ゆえだ。生きていなければ、誰が大切な人を守れるのか、という決意だ。
もはや痛みもなく完治したエクルが砲弾に魔力壁を纏わせたガトリング砲、ガンダルヴァ・G2の掃射で、そして零が魔力と霊を操る間に夕夜が呼び出した頭蓋骨型の砲具、Punishment Blasterの4ユニット連携しての弾幕で、カルポスの動きを妨げる。光による遠距離攻撃を主体とするためなのか、無理に砲弾の雨に身を晒そうとしないカルポスに、それは有効な足止めとなっていた。
さらには後ろに逃れる隙すらも、グレイヴ・ロウ、自由に床や壁から生やし扱える十字の墓石を操り、改めて足止めへと加わった零が食い止める。
――今だ。
エクルが思い切り息を吸い込んだ。望がその背に純白の翼を広げる。
「やっちゃえ、望――――!!」
純白のタクト『共達・アマービレ』によって召喚された魔法を操る『ねこさん』達が、飛び立つ望を狙う光を魔法弾によって撃ち落とす。それでも抜けた光を僅かな動きでかわし、一度高度を上げた望はそのまま真っ直ぐに同族殺し――カルポスの懐へと飛び込んだ。
「全ての望みを束ねて……!」
真核・ユニゾンに集まる膨大な魔力は、一気にその黄金色の表面から溢れる光を強めていく。ユーベルコード『Lux desire』――願いを叶えるという黄金の果実、そこに籠められた無数の願望が持つエネルギーを、ただ一点に、ただ1人に望は向けた。攻撃というには優しすぎるような触れ方でカルポスへと触れた真核・ユニゾンから、全てのエネルギーが光となって、そこに望自身の魔力すらも乗せて。
全ての因果に、終止符を。
光の奔流が収まった時、鏡写しのようにその場所に存在した『2人』は――望だけに、なっていた。
「……今までありがとう、お兄様。……おやすみなさい」
そう呟いた次の瞬間、かくりと力の抜けた体を予測していたかのように後ろに来ていたエクルが支える。心配そうに覗き込んだ零と夕夜にも、そっと、望は頷いてみせた。
戦いの余波で崩れかけた屋敷に、こっちからなら大丈夫、と確かめた猟兵達の声がする。誰もが立ち去ったこの屋敷に、『領主』は――もう、いない。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2019年09月20日
宿敵
『導師・サッシナス』
『カルポス』
を撃破!
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