6
アイスチョコの国

#アリスラビリンス

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アリスラビリンス


0




●グリモアベース
「ちょっと雪原に行って国を作ってきて下さい」
 唐突にウィルバー・グリーズマン(入れ替わった者・f18719)が妙な事を言い出す。
 何が『ちょっと』なのかは置いといて、取り敢えず話を聞いてみる事にした。

「いえね、まだ誰にも手を付けられていない不思議の国を発見しまして。愉快な仲間達と共に、オウガが来ても大丈夫な鉄壁の国を作り上げて頂きたい」
 その不思議の国と言うのが、まっさらな雪原と言う訳だ。
 愉快な仲間達に猟兵の知恵を貸す事で、迫るオウガを叩き潰す強力な国を作って欲しいというのが今回の依頼となる。
 魔本をぺらりと開いて猟兵達に見せると、茶色の人形の様なものが見えて。
「共に出向く愉快な仲間は『チョコレートマン』という者達です。今回は技術職の方々のみで戦闘力は高くありませんが、その代わりに相当な無茶を言っても何でも作ってしまいます。何かこう……いい感じに指示を出して下さい」
 本当に何でも作るので、無茶苦茶な要求をしてオウガに備えよう。

 ウィルバーは少し考えると、雪原について語り出す。
「雪原にあるものは全て美味しく食べれますよ。雪もそうですし、氷の花……木に生えている実とか、とにかく何でも食べられます。チョコレートマンに頼めばチョコを用意してくれるので、アイスチョコとかも可能でしょう」
 防衛兵器を用意している間に食べるのも良いかも知れない。
 あまり食べすぎると色々とアレだが。

「そうそう、現れるオウガも話して置きましょう。元アリスの少年ゲーマーです……死んだ事を理解できてないのか知りませんけど、現実をゲームに見立てています。全ての女性は自分に惚れ込むって思ってますが、適当にあしらったり利用して倒して下さい」
 そのまま戦えば意外と強かったりするが、防衛兵器によっては一方的に倒せる。

「それじゃ、凄い国が出来るのを期待していますよ」
 ウィルバーは手を振りながら、雪原への転送を開始した。


小強欲
 こんにちは、小強欲と申します。
 詳しい内容はOPの通りです。

 一章と二章では、防衛施設や兵器、国の制作。
 三章では、オウガを迎え撃ちましょう。

 チョコレートマン達は何でも作ってくれます。
 戦闘では兵器をフル使用してオウガを迎え撃つでしょう。

 では、滅茶苦茶なプレイングをお待ちしております。
35




第1章 日常 『アイスな世界の愛すべきアイスパーティ』

POW   :    美味しいアイスをいただきまーす!

SPD   :    早食い勝負に挑戦!

WIZ   :    自分でアイスを作ってアレンジ!

イラスト:V-7

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

暇島・しいま
ひゃっほーっ!一番乗りの足跡付けるっすよーっ!
豹足で雪原をさくさく
寒さは毛皮があるからへっちゃらっす
全部食べ放題って夢みたいな国っすね!?
雪をむっしゃらむしゃら
んまーいっ!チョコがけもおかわりっす!

わ、分かってるっす。防衛も考えるんすよね…
先払いの報酬をいただいちまったんで、その分は働くっすよっ
固い氷なら氷のお城も作そうっすよね
城を囲う氷壁と…
やわらかい雪を使った落とし穴なんてどーっすか?

手もお貸ししやしょーっと、【バトルキャラクターズ】を召喚
冬装備にスコップやつるはし等を持ったキャラクターが
分散したり、合体して力仕事をしたり
チョコレートマンさんを手伝うっす
さって、おいらはおやつの続きを…っ!



 一面、白い世界。
 何処を見渡しても雪しか見えない、とても不思議な国。

「ひゃっほーっ!!」
 
 大きな声を上げて雪の中を走り回るのは、リスの風貌と豹の足を持ったキマイラの暇島・しいま(もぐもぐライフ・f05777)だ。
 彼は雪国へと一番初めに乗り込んで、さくさくと豹の足跡を付けていく。
 そんな彼の後を追う様に走るのは、数人のチョコレートマン。
 1m程の大きさの彼らは、チョコの工具を持って忙しなく走り続けている。

 何もない雪原は中々の寒さだが、しいまは毛皮でへっちゃらで。チョコレートマン達も冷えて少し固まるだけで、特に問題は無い様だ。
「全部食べ放題って夢みたいな国っすね!?」
 しいまは大興奮した様子で、雪の中へとダイビング。
 ぱくぱくむっしゃりと冷たい粉砂糖の様な雪を食べ進めて頬袋を一杯にすると、幸せそうな顔で寝転がって。
「んまーいっ! チョコがけもおかわりっす!!」
 お菓子好きのしいまにとって、この場所はまさに天国の様な場所だ。
 ちらりとチョコレートマン達を見ると、なんとも言えない瞳でしいまを見ていて。
 転がったままハッとすると、慌てて立ち上がって彼等を見る。
「わ、分かってるっす。防衛も考えるんすよね……」
「……え、ええ。是非ともお知恵をお借りしたく」
 チョコレートマンは若干申し訳なさそうな表情だ。
 とは言え、報酬は先払いで頂いている。その分は働かなければならない。

 周囲を見回すと、湖一面がスケートリンクになっている場所があるのを見付けて。
 しいまはすぐにその場へと近付いて、グルメツールでカンカンと叩いてみるが、割れる気配がない。相当に頑丈なようだ。
「例えば、この固い氷を使ってお城を作るってのはどうっす?」
 これ程の固さならば、ユーベルコードはともかく通常攻撃ではビクともしない筈だ。
 なによりも、湖の大きさはかなりの物。材料に困ることもまずないだろう。
「城を囲う氷壁と……ほら、やわらかい雪を使った落とし穴なんてどーっすか?」
「成程! 敵を本拠地に辿り着かせない、と言う事ですね! 素晴らしい案です!」
 まずは防御を固める事から始める。
 さっそくチョコレートマン達は工具や謎の機械を設置して、作業に取り掛かり始めて。
「そうだ、手もお貸ししやしょーっと」
 ――ザッザッザッ。
 しいまの後ろから現れるのは、十体のゲームキャラクター。
 装備は全て冬仕様で、スコップやつるはしを持って、服装は厚着であったりサンタクロースの者もいた。
 それぞれがチョコレートマン達の作業を手伝い始めた事によって、城と落とし穴の完成が早まるだろう。
「さって、おいらはおやつの続きを……っ!」
 頬袋に貯めた雪はもう溶け切っている。また溜め込まなければならない……と考えていると、不意にポンッと背中を叩かれて。
「あちらにチョコを掛けた雪を用意しておきましたので、良ければどうぞ」
「おおおお……っ! ありがとうっすっ!!」
 案を聞いている間に作っていたのか、雪原の一部がチョコでびっしりと塗られていた。
 そうして、しいまはおやつタイムの続きを始めていくのだった。


●現在の国状況
 超硬度巨大城、超硬度氷壁。
 敵のみを感知するセンサー付き落とし穴。

 まだまだオウガ迎撃には足りない、ここからが本番だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ステラ・アルゲン
カガリ(f04556)と

アイスにチョコ……すみません、マカロンアイスはありますか?
いやいや、ちゃんとやることはやるともカガリ
この天国のような場所を守るためにも全力を尽くしますよ!

さて壁などは作られているようなのでバリスタを頼んでみましょう
味方識別あり、敵を発見したら自動発射。飛んでいく矢は自動追尾……なんてことはできますか?

あとは一面を氷の床にしてしまいましょう
ツルツルと滑る氷の床ではまともに立てず滑って転ぶでしょう
そのまま落とし穴やつららの罠に引っかかってくれるかもしれません
もちろん氷の床は味方に影響がないものとします

準備ができたらアイスを貰っていいでしょうか?
カガリ、お前も一緒に食べるか?


出水宮・カガリ
ステラ(f04503)と

あいすで、ちょこ、と聞いたステラが
とにかくやる気に満ちている
お菓子の国か何かと、勘違いしていないだろうか…
確かに食べられはするが…

既に作られたものが、滅茶苦茶に、すごいものなので
カガリ達もちょっと、無茶を頼んでみよう

兵がいないなら、兵を作ればいい
住人を守り、オウガと戦う兵隊として機能するなら、見た目は問わない
近接部隊と、中距離対応部隊と、偵察部隊辺りがいれば…多いか?
あとは、落とし穴を避けようとした敵が刺さる、地面から生えるつらら草原、とか
普段は出ておらず、そこを踏むと生えてくる仕組み、とか

あいす、食べるなら…カガリもせっかくなので、うん
その辺のものを取ったりはしないぞ



 何もない雪原に作られた、見る者を圧倒させる美しき氷城。
 おとぎ話に出て来る様な巨大で荘厳なそれは、小さな山の上に建てられていて。
 この城そのものが侵入者を阻む防衛施設として機能している。

「これは……滅茶苦茶に、すごいものだな」
 氷城を見上げる出水宮・カガリ(荒城の城門・f04556)は、僅か数時間でこれを作り上げた事に驚いている様子で。
 湖の氷はかなり減っており、ここもまた何か別の仕掛けに利用できる可能性もある。
 チョコレートマン達が謎の機械を操作して、現在は氷壁作成に動き出していた。

 カガリが氷城前に視線を移すと、現場監督のチョコレートマンにステラ・アルゲン(流星の騎士・f04503)が話し掛けているのが見える。
「アイスにチョコ……すみません、マカロンアイスはありますか?」
「マカロン、アイスですか? ええと……」
 現場監督は少しは困っていて、どうすべきかを色々と考えている様子で。
 対するステラはとてもワクワクとしており、やる気も満ち溢れていた。
「ステラ……お菓子の国か何かと、勘違いしていないだろうか……」
 やや呆れた表情でステラに近付いて。
 見た目麗しい二人が城の前に立てば、絵画になりそうな美麗な雰囲気を漂わせる。
 作業中のチョコレートマン達もつい視線を移してしまう程だ。
「いやいや、ちゃんとやることはやるともカガリ。この天国のような場所を守るためにも全力を尽くしますよ!」
 ニコニコと満面の笑みのステラ。
 果たして、どの様な案が出されるのだろうか。

 現在、この雪原には猟兵と技術職のチョコレートマンしか存在しない。
 攻め込まれた時は完全に猟兵頼みと言うのが、少々厳しいものがあるだろうか。
「兵がいないなら、兵を作ればいい。近接部隊と、中距離対応部隊と、偵察部隊辺りがいれば……多いか?」
 自動でチョコレートマン達を守る雪の兵隊。
 倒されても素材に戻るだけで大して痛くはないだろうし、その素材も無限にあると言っても良い。
 ふむふむと頷く現場監督。
 作れはするが武器はどうするかと考えていると、続けてステラの案が。
「氷壁の上にバリスタとかどうでしょう? 味方識別あり、敵を発見したら自動発射。飛んでいく矢は自動追尾……なんてことはできますか?」
「ほう、弩砲ですか。勿論可能です! これで防御も万全に……ふむ、自動追尾」
 現場監督は色々と思考を巡らせている。
 兵はゴーレム、氷壁の上にバリスタ、武器は……、静かにそう口にしていて。
「ゴーレムに弩を持たせるというのもアリですね! こちらも自動追尾で!」
 二人の意見を元に、兵の強化案をその場で思いついてしまった様だ。

「あとは一面を氷の床にしてしまいましょう。もちろん氷の床は味方に影響がないものとします」
 氷城は小山の上にある。こんな場所を氷の床にしてしまえば、まともに歩ける筈もない。滑って転ぶのは間違いないだろう。
 そのまま落とし穴に落ちてしまえば、かなりの時間の足止めが可能。
 とんでもないステラの案だが、チョコレートマン達はそんな物理的な不可能な事もやり遂げてしまう筈だ。
「氷の床の先に地面から生えるつらら草原、とか」
 地面からびっしりつららが突き出してダメージを与える。これから逃れようとしても、その先の落とし穴が敵を襲う。
 言うまでもなく味方には掛からないというカガリの案。
「ここまで来れば防御も盤石ですね! それでは作業を始めましょう!」
 現場監督はそれを聞いて、チョコレートマン達に通達をする為に移動を始めて。
「そう言えば落とし穴に何も仕掛けていませんでした。何か細工をしておきますか」
 更に現場監督は何かを思い付いたのか、罠を強化を施して行くのだった。

 次は何をしようかと考えている二人の前に、調理師のチョコレートマンが現れて。
「試しにマカロンアイス、作ってみたんで。後で感想でもよろしくです」
 ステラ達の話を聞いていたのか、裏でこっそり作っていた様だ。
 雪原にある物も使った試作品らしいが、見た目はよく見るマカロンアイスそのもの。
 調理師はそれが乗った氷のトレイを渡し終えると、かなりのスピードで氷城へと戻って行って。
「は、速い……後でお礼と感想を言いに行きますかね。カガリ、お前も一緒に食べるか?」
 ステラはマカロンアイスを一つ手に取ると、トレイをカガリに向けて。
「あいす、食べるなら……カガリもせっかくなので、うん」
 そう言うとカガリも同じく一つ手に取って。
 二人はパクリとそれを口に含んだ。

 とても冷たくて、それでいて清涼感を感じる素晴らしい味。
 これには甘党のステラは勿論、カガリも大いに満足した様だ。


●現在の国状況
 小山の上に超硬度巨大氷城、超硬度氷壁。
 敵のみを感知する、一面に氷の床。その先はつらら草原。
 敵のみを感知する、センサー付き落とし穴。(チョコレート地雷設置)
 氷結オートバリスタ。(味方識別、自動発射、矢は自動追尾)
 氷結クロスボウ持ちスノーゴーレム軍団。(味方識別、臨機応変、矢は自動追尾)

 もう十分な気もする。
 しかしまだ足りないと思うならば、どんどん追加していこう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

尾崎・ナオ
国を作るって聞くと、法律とか税制とか考えちゃう。ナオちゃん実はそういうの詳しいんだよね。猟兵になった時に色々勉強したから知識は色々あるんですよぅ。

でも今回は物理的に敵を入れさせないって事なら…、あ、城が出来たんなら、城壁脇を深く掘って「お堀」に見立ててはどうかな?戦国時代にあるよね、城の回りを池にして、敵の侵入を防ぐってやつ。あれくらい深く掘るの。で、水の代わりに雪を流しちゃう!やわらか~い雪を、なんだろう、こう、流すの!説明が難しいけど、えっとね、横に流れる「雪崩」みたいな感じで! これなら水より絶対入ってくるの難しいと思うよぉ。

あとは、城の窓から遠距離攻撃(雪玉in石)とか強そうじゃない?



 次々に作られていく防衛施設や兵器。
 現状はただ一人のオウガを撃退するだけに作られていると言うのが驚きだ。

 尾崎・ナオ(ウザイは褒め言葉・f14041)は最も巨大な氷城を見回していた。
 白い雪原に黒い服装の彼女は非常に目立っており、遠目からでもハッキリと分かる。
「国を作るって聞くと、法律とか税制とか考えちゃうねぇ」
 ナオは猟兵になった時にそういった勉強をしており、そういう知識が豊富。
 その為、チョコレートマン達にも法律などはあるのか少しばかり気になっていた。

 それは置いといて、今回は単純に敵を近付けさせなければ良い。
「あ、そうだ。城壁脇を深く掘って「お堀」に見立ててはどうかな?」
「ほほう、お堀ですか」
 現場監督のチョコレートマンにそう告げる。
 氷城の周囲を池にする事で敵の侵入を防ぐ……こういった手法は様々な世界の過去で行われて来たものだ。
 とても物理的な防衛方法で、これが実現すれば盤石な防御が更に強化され、比喩抜きに無敵の国となる。
「しかし、それには水が問題ですね」
 途轍もなく寒いとまでは言わないが、それでもここは雪国。
 通常の水ではすぐに凍り付いてしまうだろう。
「水じゃなくて……やわらか~い雪を、なんだろう、こう、流すの! これなら水より絶対入ってくるの難しいと思うよぉ」
 説明が難しいので、ナオはジェスチャーで伝える事にする。
 腕を組んだ状態から、外へパーッと広げる動作を繰り返して行く。
 半溶けの雪を氷城の内から外に向けて、雪崩の様なものを流すという事なのだろう。 
「ふむふむ、少し時間は掛かりそうですが頑張ってみましょう!」
 お堀を作るのはともかく、それ用の雪を作るにはそれなりに時間が掛かるらしい。
「あとは、城の窓から雪玉とか強そうじゃない? 石とか入れてさ」 
 これでもかと言うレベルの防衛。
 ゴーレムに任せれば人手を割く必要もなく、その強肩から雪玉が投げ続けられる。
「雪玉に石……では、手榴弾の様に着弾と同時に石が飛び出すと言うのはどうです!」
「お、良いねぇ! でも用意するの大変じゃ?」
 雪玉が外れても、破片による追加攻撃が発生する。
 絶対に氷城に近付けさせないという強い意思を感じる。
「それ専用の装置を作ればすぐですよ! 少しお待ち下さい!」
 現場監督は今の話を技師達に聞かせると、十数分ほどで装置が作られた。

「では、試しに投げてみて下さい!」
 ナオの拳の二倍程の大きさがある雪玉を手渡される。
 ゴーレム用なのでやや大きく、妙に重いのは大量の石が入っているからだろう。
「よしっ、記念すべき一投目……そぉれっ!!」
 鋭く投擲された雪玉は、真っ直ぐな軌道で遠くの雪原に落ちて。
 ――ズドンッ。
 雪玉が当たる音とは思えない破裂音。
 周囲に飛び散る石は遠目からでもよく見えて、その勢いも本物の手榴弾の様に凄まじい。至近距離であれが当たれば……しかもあれが連射されるのだ、恐ろしい以外にどう形容すべきか。
 予想を遥かに上回る威力に、ナオはゴクリとつばを飲み込んで。
「あ、ちゃんと味方を識別していますよ! 当たってもダメージはないので安心して下さいね!」
 雪玉自体に不思議な力が働いているのだろう。猟兵に当たっても全く問題はない。
 楽しそうな声の現場監督には、あはは……と、やや引きつった笑顔で返した。

 しかしこれが敵にのみ命中するならば、心強い事この上ないのは確かだろう。
 雪玉の確認が終われば、ナオは暫くの間はお堀の様子を観察するのだった。


●現在の国状況
 小山の上に超硬度巨大氷城、超硬度氷壁。
 氷城周辺に大きなお堀、半溶け雪による雪崩による防御。(味方識別)
 氷城からスノーゴーレムが、石入り手榴弾タイプ雪玉を投擲。(味方識別)
 敵のみを感知する、一面に氷の床。その先はつらら草原。
 敵のみを感知する、センサー付き落とし穴。(チョコレート地雷設置)
 氷結オートバリスタ。(味方識別、自動発射、矢は自動追尾)
 氷結クロスボウ持ちスノーゴーレム軍団。(味方識別、矢は自動追尾)

 もう地上防御に関しては完璧と言っても良い。
 次は対空も万全にすれば、防御に関しては言う事はなくなるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

宝海院・棗
食べたいアイス:メロン味でチョコチャンク入りの、イチゴ味でチョコチップクッキー入りの

普通にチョコも食べたいし、ラムネ味の木の実みたいなのも・・・まぁ程々で抑えるけど

オウガ対策には、磁力で連結するタイヤローラーみたいな重機とか、4本のアームを持つショベルカー(それぞれ回転ノコギリ、クラムシェル、マグネット、鋏)っぽいのだったり、あと電磁レールマシンガンを搭載した戦車やオウガにだけ反応するトラバサミ(ワイヤーで引きずり回しのおまけ付き)とかもどうだろう



 氷城内部は特殊な細工で幻想的な輝きを放っている。
 更には、通常攻撃では傷付けられない頑丈なものに仕上がっていて。

 そんな氷城よりも輝く身体を持つクリスタリアンの宝海院・棗(もち・ぷに・とろり。・f02014)は、城内に生えている氷の木を見ていた。
「メロン味でチョコチャンク入りの、イチゴ味でチョコチップクッキー入りのアイスを一つ!」
 棗の近くを通り掛かったコック帽を被った調理師チョコレートマンに注文をすると、急ぎ足で調理師は厨房へと向かっていく。
 そして氷の木に生えた木の実……と言うよりは氷の実を一つだけ口に含んでみて。
「……! ラムネ味!」
 爽快感のあるそれをモグモグと食べながら、棗は様々な機械を製作したチョコレートマン技師達の場所へと向かい始める。

 ある程度の機械は作り終えたのか、彼等はそこそこ暇している様子で。
「おや、また別の仕事ですかい?」
 技師のリーダー的なチョコレートマンが棗の元に近付いてきて、話を聞き始める。
 彼女のオウガ対策、それは……かなり滅茶苦茶な事だった。
「まずは磁力で連結するタイヤローラーみたいな重機でしょ?」
「ふむ、磁力……ん? まずは?」
 顎に手を当てて技師が考えていると、何かに気が付いたのか顔を上げて。
「4本のアームを持つショベルカー。あ、アームには回転ノコギリ、クラムシェル、マグネット、鋏を装備しててぇー」
「はいはい、ショベルカーのアームに四種の装備と」
 技師は急いでチョコレート製のメモを取り出すと、棗の言葉を記し始める。
「で、電磁レールマシンガンを搭載した戦車!」
「電磁レールなんてあったかな……まあ多分何とかなるでしょ」
 少しペンでカリカリと頭を掻くが、とりあえず書けるだけ書いてしまう。
「あとはオウガにだけ反応するトラバサミってのはどうだろう、ワイヤーで引き摺り回すタイプの!」
「無茶を言いますねぇ……いいでしょ、我らチョコレートマン技師の本気、見せたげますよ」
 こんな無茶も言えば通る様だ。
 技師リーダーは急いで他の技師に伝えると、慌ただしく兵器開発を始める。

 城内の窓から外を見れば、雪原でそれらの兵器を作り出している技師達が見えて。
「は、早い、もうあんなに出来てる……」
 まだ三十分も経っていないのに、最初の重機が完成しようとしている。
 複数存在する重機は磁力によって、まるでロボット変形の様にガシャンガシャンと繋がって、巨大な重機に合体。
 これは見ているだけで楽しく感じてしまうだろう。
 兵器内部はチョコレートマン特有の難しい操縦方法となっており、敵の利用は不可能。
 更にはゴーレムによる操縦と言う、例え突破されても何の問題もない強力兵器だ。
 窓から身を乗り出して満足そうにそれを眺めている棗に、声が掛けられて。
「先ほど頼まれたものです、どうぞ」
 最初に頼んだアイスだ。
 注文通りの完璧な品…… ふわりと感じるメロンとイチゴの風味が、心地の良い感覚を棗に与える。
 盛り付けも凝りに凝っており、まるで一つの芸術作品の様で。
「すっごい……」
 思わず見惚れてしまう程の美しさ。
 調理師は頭を下げると、素早く調理場へと戻って行って。
 そうして、棗はアイスを片手に技師達の様子を見守るのだった。


●現在の国状況
 小山の上に超硬度巨大氷城、超硬度氷壁。
 氷城周辺に大きなお堀、半溶け雪による雪崩による防御。(味方識別)
 氷城からスノーゴーレムが、石入り手榴弾タイプ雪玉を投擲。(味方識別)
 敵のみを感知する、一面に氷の床。その先はつらら草原。
 敵のみを感知する、センサー付き落とし穴。(チョコレート地雷設置)
 氷結オートバリスタ。(味方識別、自動発射、矢は自動追尾)
 氷結クロスボウ持ちスノーゴーレム軍団。(味方識別、矢は自動追尾)
 磁力連結型重機が複数。
 四本腕特殊装備ショベルカー、電磁機銃砲搭載戦車。(スノーゴーレム操縦)
 雪原に大量のトラバサミ。(ワイヤー引き摺り回しタイプ)

 そろそろオウガが可哀想になって来たが、容赦の必要はない。
 しかし兵器に限らず、国に必要そうな物を重点的に開発すると良いだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 日常 『スイーツ・オブ・チョコレート』

POW   :    チョコレートは大好物! 沢山食べる!

SPD   :    涼しさに癒されながら、チョコレートを楽しむ。

WIZ   :    チョコレート使って腕を振るう。お菓子に料理に創作三昧。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 チョコレートマン達は巨大な氷城と氷壁に守られている。
 徹底的に防衛施設と兵器を強化した結果、地上からの侵入はまず不可能となった。

 次は何をやるべきか……。
 もう防御に関しては空中以外は必要ないだろう。
 新たな攻撃用兵器を制作して、オウガを完全に叩き潰す為の布石を打つのも良いか。

 国造りに必要な有用拠点などの開発しても、戦闘で何らかの効果を齎す筈だ。
 チョコレートマンと会話するのも良いし、何なら好きに食べ歩いても問題ない。

 ここまで来れば戦闘準備は十分とも言えるので、好きにやろう。
アニー・ピュニシオン
【WIZ】
こんなにたくさんのチョコレートがあるなら、
持ってきたクッキーに溶かしたチョコをつけるだけで、
美味しく頂けそうなのだわ。

ついでに、
皆で食べる為のチョコレートケーキも作りましょう。

地上の方は十分だという事で、
何でも作れるチョコレートマン方の腕を見込み、
今、流行っているらしいお空の方に空飛ぶお城を作りましょうね。
お城が二つや三つあるなんて豪華で楽しそうかもしれないわ。
それに、空飛ぶお城は女の子の夢な所あるし…。
大変だと思うから【もっと愉快な仲間達】も手を貸してあげてね。

…え、兵器的な観点により例の如く爆発するようにしたですって?
うふふ。
じゃあアニーはケーキ作るから後は任せたわよ(現実逃避)



 氷城の厨房。
 ここには様々な食材……特にチョコレート関係の材料が存在しており、猟兵達にも使用が許可されている。

 窓の外では雪が降りだして、幻想的な世界を白く彩り始める。
 幻想世界にピッタリな風貌の少女、アニー・ピュニシオン(小さな不思議の国・f20021)はチョコレートを一つ手にとって。
「こんなにたくさんのチョコレートがあるなら、持ってきたクッキーに溶かしたチョコをつけるだけで、美味しく頂けそうなのだわ」
 チョコレートマンは当然ながらチョコレートを専門とする国の出身だ。
 当然、この場にあるものも非常に質が高く、一般世界のそれとは一線を画している。
 アニーは自前で用意したクッキーもそうだが、祝賀会用にチョコレートケーキを作るのも良いだろうと考えていて。
「……っと、先に案を出しに行こうっと」
 まずは現場監督のチョコレートマンを探し出して、新たな拠点開発を行う事にした。

 氷城の上層部。
 果てしなく広がる白い雪原は、世界が如何に壮大かを見る者に教えてくれるだろう。
 城の周囲では様々な防衛兵器の開発が進んでおり、今まさに自分達の手で国を作っているのだと実感ができる。
「地上の方はもう十分だという事で、アニーは空飛ぶお城を提案しますっ!」
「空を飛ぶ、城ですか。これは驚きましたね……」
 現場監督はやや驚いたような声色でアニーの言葉を聞く。
 不可能ではないが、まさかこの城以外に城を作るというのは盲点だった様子。
 今、流行りの空中城……実用性は勿論として、アニーもまた女の子。空飛ぶお城には夢というものがある。
「流石に空に作るとなると時間が掛かりそうですが、お任せ下さい!」
「あっ、じゃあこの子達も手伝わせるよっ。 お願い皆、手を貸してあげてね」
 そう言うと、アニーの周りに四十体程度の陽気な小人達が現れて。
 彼等は各種採掘用の装備をしており、うずうずとして作業命令を待っている。
「おお、これだけいればすぐに出来上がりそうですね……では、少々お待ちを!」
 現場監督はすぐに技師達の元に向かって、それに小人達も続いて。
 そしてアニーは、厨房に行ってお菓子作りに励むのだった。

「できたー!」
 暫くして、元気の良い声でアニーは目の前にあるチョコレートケーキを見て。
 まだ飾り付けはされていないが、とても綺麗にでき上がっている。
 ケーキは厨房内にとても心地の良い香りを漂わせて、調理師達も気分が良さそうな表情だ。
 そこに、現場監督が現れて。
「おお、素晴らしいケーキですね! ちょうど、空城の方もでき上がりましたよ!」
「ええっ!? 早いっ!」
 現場監督が指を示すと、窓の外に煌めく氷の城が見える。

 世界を更に幻想的にする空に浮かぶ氷城。
 技師が開発した浮遊装置によって、巨大な城を浮かび上がらせる事に成功した。
 これも一つの防衛拠点であり、ここからゴーレム達による超遠距離狙撃が展開される。
「すごーい……」
 アニーもこれには驚きを隠せず大きな口を開けて、思わず手をぱちぱちと。
 現場監督もまた、とても自信がありそうな声で。
「ええ、傑作ですよ! 美術的観点から見ても良いですが、小人さん達の活躍によって雪玉爆撃も可能となりました! そして何と言っても自爆機能付きですッ!!」
 その美しさは見れば分かるが実に神秘的……しかし何やら不穏な言葉が聞こえて。
「え、自爆?」
「はい! 小人さん達が是非作ってくれとッ!」
 言ってしまったらしい。
 アニーと良からぬ映像でも見てしまったのだろうか。
「…………うふふ。じゃあアニーはケーキ作るから後は任せたわよ」
「まだ作るのですね! いやあ、勝利パーティが楽しみですよ!」
 現実逃避するアニーに対して、現場監督のチョコレートマンは実に楽しげだ。
 勝利は目前と言っても良いのだから、当然といえば当然なのだが。
 アニーは次のチョコレートケーキを作る為に、頑張って調理を続けて行った。


●現在の国状況
 小山の上に超硬度巨大氷城、超硬度氷壁。
 氷城周辺に大きなお堀、半溶け雪による雪崩の防御。(味方識別)
 氷城からスノーゴーレムが、石入り手榴弾タイプ雪玉を投擲。(味方識別)
 敵のみを感知する、一面に氷の床。その先はつらら草原。
 敵のみを感知する、センサー付き落とし穴。(チョコレート地雷設置)
 氷結オートバリスタ。(味方識別、自動発射、矢は自動追尾)
 氷結クロスボウ持ちスノーゴーレム軍団。(味方識別、矢は自動追尾)
 磁力連結型重機が複数。
 四本腕特殊装備ショベルカー、電磁機銃砲搭載戦車。(スノーゴーレム操縦)
 雪原に大量のトラバサミ。(ワイヤー引き摺り回しタイプ)

 空に浮かぶ氷城。(爆破機能付き)
 空城から雪玉爆撃、超遠距離タイプのバリスタ狙撃。(味方識別、矢は自動追尾)

大成功 🔵​🔵​🔵​

出水宮・カガリ
ステラ(f04503)と

城の防衛は、結構(アイデアを)頑張ったので…あとはまあ、カガリ達も(戦闘を)頑張れば

調理師が頑張ってくれたり、他にもいろいろな菓子があるようなので
手ごろな、面白そうなのを、ステラにあげてみよう
ステラ、ステラ、口を開けてほしい
(幸せそうに食べてくれると自分も嬉しくなる)
…こちらはどうだろう
これは?(興味の向くままあげてみる)
ステラ、…ああ、そんなにチョコ塗れになってまで…
(他意は無く、彼女の口に付いたチョコに口付けて)
……? どうしたステラ、腹いっぱい、なのか?
お前は空腹も満腹も無い、と聞いていたが…
ちょっと楽しかった、かもしれない
(新たな楽しみに目覚める百余年+19歳)


ステラ・アルゲン
カガリ(f04556)と

……防衛装置はもう十分そうですね
でもオウガを油断してはならない
その為に腹ごしらえとして甘いものを食べまくろう!

私はヤドリガミです。空腹も満腹もないので好きなだけ食べられます!
色々と食べ物があるようですね
さぁどれから食べ……えっなんだカガリ?
あーんって待ってくれ!
場所を考え、いや要らないわけじゃない。た、食べるよ!
おいしい……ちょっと恥ずかしいけどいつもよりおいしい気がする
もう一口、また一口
これ一体いつまで続くんだ?

口にチョコ?
キスで取るなよ…本当に場所を考えてくれ…(周りが気になって恥ずかしい)
いや、もうお腹一杯だから十分で…くっこれは断れない!(結局食べ続ける)



 甘い香りが漂う氷城の厨房は、戦闘前の今が最も忙しい時間だ。
 調理師によって作られた様々な料理。
 お菓子は勿論、肉や魚などの料理も存在し、祝賀会の準備の真っ最中。
 また、戦闘前に食べる用の料理も作られており、給仕に声を掛ければそれらが運ばれて来る事だろう。

 氷城の一室にて、ステラとカガリは椅子に座って窓の外を見ていて。
 現在、地上ではオウガ撃退用の兵器。空中では新たなる氷城の開発が行われていた。
 この様な国造りは中々お目に掛かれるものではなく、実に珍しい光景だ。
「……防衛装置はもう十分そうですね」
 ステラの言う通り、やりすぎと言っても良いレベルの防衛力。
 皆が頑張りすぎた結果がこれで、オウガの未来は惨い物になると確信させてくれる。
 しかし油断も禁物である。戦闘準備を万全にする為にまずは腹ごしらえ。
 既にチョコレートマンの給仕に声を掛けて、大量の甘いものを部屋に運んで貰うように伝えてある。
「結構頑張った、うん」
 アイデアは限界まで出し切った、残るは戦闘のみ。
 紅茶を飲みながら、カガリは高速で出来上がる浮遊城を見て時間を潰して行く。

 暫くして、給仕が様々なお菓子を部屋に運んで来る。
 ヤドリガミであるステラは空腹も満腹もなく幾らでも食べる事ができる為、戦闘が始まるまで食べ続ける気でいた。
「さぁどれから食べ……えっなんだカガリ?」
 どの甘味を食べようかと考えていると、対面の席からカガリがスプーンに掬ったアイスを突き付けていて。
「ステラ、ステラ、口を開けてほしい。あーん」
 アイスは水色に染まっており、どんな味なのかが想像し難い。
 しかし何の味かを考えるよりも、ステラはじっと自分を見詰めているカガリの方が気になってしまって。
「あ、あーんって待ってくれ!」
 慌てた様子のステラに対して、カガリは冷静にスプーンを突き出して。
「場所を考え…………いや要らないわけじゃない。た、食べるよ!」
 今も給仕が部屋を行き来しており、この状況を見られるのはステラは少々恥ずかしい様子。
 しかしカガリがちょっと悲しそうな顔をすれば断れる筈もない。アイスを甘んじて受け入れる。
 スッと感じる冷気と、爽やかな味。これはラムネのアイスか。
 その様子をちらっと見ている給仕。気恥ずかしさはあるが、いつもよりおいしい気もする。
「……こちらはどうだろう」
 カガリは続けて串付きの黒団子を手にして、同じ様にステラに食べさせようとして。
 あむっとそれを口に含めば、良い食感の黒胡麻が口に広がって。
「これは?」
 お次はチョコバナナ。保存方法はキッチリしているのか、固まってはいない様だ。
 シンプルながらも非常に美味しく、調理師の腕の良さがよく分かる。
 そうして、ただただ興味の向くままに菓子を与え続けるカガリ。
 何度も何度も繰り返されて、ステラは一体いつまで続くのだろうかと考えていた。

 あれからかなりの時間が経って、されるがままに菓子を食べさせられるステラ。
「ステラ、……ああ、そんなにチョコ塗れになってまで……」
「ん、え?」
 どうやら大量に食べさせたチョコレートによって、口の横に少し付着した様子。
 おもむろにカガリがテーブルから身を乗り出し、そのチョコへと口を近付けて――。

「…………。キスで取るなよ……本当に場所を考えてくれ……」
 恥ずかしさからか、両手で顔を覆うステラ。
 給仕もそれを見ていた様だが、無言でお菓子を置いて行く。
 一切触れないのは優しさなのだろうか。
 そんなステラに、またもやお菓子が突き出されて。
「いや、もうお腹一杯だから十分で……」
「……? どうしたステラ、腹いっぱい、なのか? お前は空腹も満腹も無い、と聞いていたが……」
 首を傾げるカガリ。
 ステラの事はよーく知っている様で、しっかりと突っ込みを入れて。
「くっ……」
 これ以上誤魔化そうとしても無駄だ、もう断る等という選択肢はない。
 それならば、もう諦めて食べ続けるのみだ。
「これは、ちょっと楽しい……かもしれない、な」
 新たな楽しみに目覚めてしまったカガリは、戦闘が始まるまでステラにお菓子を与え続けて行くのだった。

 ――そして給仕は何とも言えない表情のまま、二人の空間に入らない様に甘味を運び続けて行く。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

暇島・しいま
チョコレートマンせんぱあい!お疲れーっす!
いやー…ほんとすげーっす。ごいすーっす。
あんな無茶ぶり案を全部作っちまうなんて
めっちゃ尊敬するっすよ!
あとは…いや、もう…十分じゃないっすか?十分っすよね??

てな感じで声かけて、働き者の皆さんに一休みしてもらうっす
一緒にいかがっすか?
ハンバーガーのバンズをいっぱい取り出して
皆で好きなアイスの具を挟んで、アイスバーガーを作りやしょう!
確か氷の花や実もあるんすよね?どんな味なんすかっ
具材の上にはチョコレートシロップもお願い出来れば…
この国にある美味しいものを詰め込んだスペシャルバーガーの完成っす!
味は当然…頬袋がとろけそうになる美味しさっすよねっ



 小山の麓にある作業場ではチョコレートマン達が大忙しで働いている。
 技師と作業員による力作業。現在は戦車の電磁レールマシンガンに着手している所だ。
 周囲に存在する兵器の全てがただ一人のオウガに向けられる物……若干、同情してしまいそうになる。

「ようしっ! お前ら、一旦作業止めっ! 休憩にするぞッ!!」
 技師のリーダーが大声でそう言ってパチパチと手を合わせると、チョコレートマン達は作業を中断して集まって来る。
 一旦、氷城に戻って食事にしようかと話していると、その氷城から凄い勢いで走って来る者が一人。

「チョコレートマンせんぱあい! お疲れーっすッ!!!」

 ――ダダダダダダッ。
 技師リーダーよりも大きな声を出して駆けて来るのは、しいまだ。
 キキッとブレーキを掛けると、雪を滑りながらチョコレートマン達の目の前でピッタリと止まって。
「いやー……ほんとすげーっす。ごいすーっす。あんな無茶ぶり案を全部作っちまうなんて、めっちゃ尊敬するっすよ!!」
 辺りの兵器を見回して見れば、それがどれ程に凄いのかが一目で理解できる。
 地上も上空も十分と言っても良い兵器や罠の数々。
 特に防衛兵器の徹底っぷりは凄まじく、どんな怪物でも突破は至難の業と言えよう。
「はっはっは、ちょいとばかし張り切り過ぎたかもしんねぇな!」
 大笑いする技師リーダー。
 誰がどう考えても張り切り過ぎである。
「折角の何でも食べられる雪原っす、アイスバーガーでも一緒にいかがっすか?」
 何処からかハンバーガーのバンズを大量に取り出すと、チョコレートマン達に手渡して行って。
「んん? 一体どこから……?」
 手元から次々に現れるバンズだが、取り出している場所が分からない。
 しいまはニッコニッコと笑うだけ。どうやら企業秘密の様だ。
「それじゃあ、皆で好きな具を挟んで、アイスバーガーを作りやしょうっ!」
「アイスバーガーか、面白そうじゃねえか! 俺はどの花を使おうかねぇ……!」
 所々に生えている色取り取りの氷の花。
 どの様な味がするのだろうと、しいまは黄色の花を取って口に含んでみる。
「おっ、これはチーズっす! 甘いの以外にもこんなものが……」
 それでいて、他の甘い花や雪との食い合わせが悪い訳でもない。
 この雪原に存在する物は全て相性が良い食材なのだろうか。どう食い合わせても、心地良く感じた。

 チョコレートマン達の声を聞いてみれば、オレンジ味、トマト味などが聞こえる。
「トマト味まであるんすかっ! 本物のアイスハンバーガーもできそうっすね!」
 どこかに肉味なんて物があれば、別世界で市販されているハンバーガーに似たような物も作れるかも知れない。
 しかしそれは後にして、今は美味しそうな色を大量に詰め込んだスペシャルバーガーの試食と行くべきだろう。
「うおっ! すげぇ物を作ったな!」
 サイズはチョコレートマン達の物の数倍近くある、巨大バーガーだ。
 だが、これでもまだ完成ではない。
「えぇと、少しいいですか、せんぱぁい……」
 やや申し訳なさそうな顔をして、何かを言い出そうとするしいま。
 言い出すよりも早く、技師リーダーが何処からかチョコレートシロップを取り出して、具材の上にそれを掛けて。
「特製のシロップだぜ、ゆっくり味わってくれよ!」
「あっ、ありがとうっす! ……ところで、どこからシロップを?」
 彼はニカッと笑うだけ。
 別に先ほどのお返しと言う訳ではないが、此方も企業秘密の様だ。

 割と何処から出したのかが気になっていたが、全てのチョコレートマン達がアイスバーガーを完成した様で。
「それじゃあ、リスの兄ちゃんに感謝して……頂きますっ!!」
 技師リーダーがそう言うと、チョコレートマン達が一斉に食事の挨拶をし始めて。
 少し気恥ずかしさはあったものの、しいまも頂きますと大きく挨拶をして。
 そして、巨大アイスバーガーをまずは一口、ガブリッ!
「――っ!!!」
 言うまでもなく、その味は素晴らしい。それこそ頬袋がとろけそうになる程に。
 具材もそうなのだが、シロップがその味を極限にまで引き上げている。
 油断すれば意識が持っていかれそうな、甘味の楽園。
 ガツガツとそれを一気に口に含んで、一番大きいのにも関わらず最初に食べ切ってしまった。
(「す、凄いっす……何かもう、凄いっす……」)
 頬袋もパンパンに膨れ上がって、そちらも凄い事になっていた。
 大満足で食事を終えたしいまは戦闘が始まるまでの間、チョコレートマン達と共に時間を過ごして行くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

尾崎・ナオ
(ナオちゃんのプレイング送信前に3人の参加者…。一体どんな防衛になるんだろう…?なんか敵が可哀想になってくるぅ。)

しかし、空中か~。ナオちゃん空中戦判らんのよ。種族的に飛べないし。弓矢撃つくらいしか思いつかないなぁ。もうバリスタ狙撃あるっぽいし…浮かばない。

甘い物は大量に食べられないタイプ。苦い板チョコをもそもそ食べながら。
国の基盤でも作る?法律とか税制とかどう?関税もあると潤うよ。法人税とか……、ってアリスラビリンスには向かないか。

手にしたチョコ見て思ったんだけど、敵にチョコぶつけたりは出来ないかな?色が付くから氷城で目立つし、熱いチョコならすぐ冷えて動きに制限掛かるし。目に入れば儲けもの。



 ようやく兵器製造が終了に近付いているのか、作業はスローペースになっている。
 もう兵器などに関しては十分だと、各々の時間を過ごしている者も多い。
 そんな中、気紛れなナオは氷城にある転移装置から、浮遊氷城にまで来ていた。

「いい景色だなぁー……いや、それにしても」
 浮遊氷城からの眺めも素晴らしいものだが、周辺を見てみるとここにもチョコレートマンの技師がいる。
 更には、大量に存在する雪のゴーレムがバリスタや雪玉を構えて待機していて。
 果たしてどの様な防衛になるのか、今の時点でも可哀想に思えてくる。
「しかし、空中か~」
 ナオは種族的に飛行できず、空中戦はよく判らない。
 考え付くのは弓矢を撃つ位だが、既にバリスタ狙撃がある。
 何か無いかと色々と思考を巡らせるが、特には思い浮かばなかった。

 厨房から貰ってきた苦い板チョコをパキンッと砕いて、もそもそと食べながら適当な椅子に腰掛けて。
「国の基盤でも作るかな? ……って、アリスラビリンスには向かないか」
 チョコレートマン達にも法律や税制などはあるのか、等と考えて。
 食材などは無限に存在するし、そもそもお金などの概念はあるのだろうか。
「……チョココインとか」
 あるとすれば、貨幣や紙幣も食べられそうな気もしてくる。
 しかし、工具や兵器は普通の金属を使っていた物もあった。
 聞いて見るのも手か……などと考えていると、ふと手にしたチョコを見て気付く。
 このチョコレートをオウガにぶつければ、かなりの妨害が出来るのではないかと。
 案を思い付くと、すぐに近くにいたチョコレートマンの技師の元へと歩き出した。

「つまり、チョコでオウガをコーティングすると言う事ですな?」
「そうそう、そういう事っ!」
 恰幅の良いチョコレートマン技師に案を伝えるナオ。
 まずは溶かした熱いチョコレートを敵に満遍なく塗り付ける。
 この雪原の寒さならばすぐに固まるので、これで動きを阻害するという計画だ。
「あの色ならどこに居ても目立つし、視界もかなり塞げると思う。ついでに目に入れば儲けものだね」
 雪原は勿論、仮に氷城の中に侵入されても非常に目立つ。
 ついでにチョコの匂いで隠れてもすぐに見付かってしまうだろう。
「相手が刃物や射撃武器を使うならば、それも使い難くする事が可能でしょうしな」
 刃物の場合、コーティングで切れ味を大きく落とす事が可能。
 射撃武器は銃口や仕掛けを塞いで使用不可も狙える筈だ。
「ふむ……チョコレートを塗るだけならば装置を作る必要もありませんな。私めがオウガが来た瞬間にそれを行ってみましょう」
「えっ、大丈夫なの?」
 流石にオウガの前に住民を出すのは危ないのでは……と考えて。
「はは、ドローンを操縦するだけですよ。安全圏から手痛い一撃を与えてみせましょうとも」
 それでは、と技師は仕掛けを作る為に、地上の氷城へと向かって行った。

 ナオはする事もなくなったのでチョコを一欠片だけ口に含んで、地上を見回して。
「んー、お腹一杯だなぁ。しっかし、ほんといい眺めだわぁー」
 食事は程々にして、暫くはオウガの索敵ついでに雪原の国を見て楽しむ事にした。


●最終結果
 小山の上に超硬度巨大氷城、超硬度氷壁。
 氷城周辺に大きなお堀、半溶け雪による雪崩の防御。(味方識別)
 氷城からスノーゴーレムが、石入り手榴弾タイプ雪玉を投擲。(味方識別)
 敵のみを感知する、一面に氷の床。その先はつらら草原。
 敵のみを感知する、センサー付き落とし穴。(チョコレート地雷設置)
 氷結オートバリスタ。(味方識別、自動発射、矢は自動追尾)
 氷結クロスボウ持ちスノーゴーレム軍団。(味方識別、矢は自動追尾)
 磁力連結型重機が複数。
 四本腕特殊装備ショベルカー、電磁機銃砲搭載戦車。(スノーゴーレム操縦)
 雪原に大量のトラバサミ。(ワイヤー引き摺り回しタイプ)

 空に浮かぶ氷城。(爆破機能付き)
 空城から雪玉爆撃、超遠距離タイプのバリスタ狙撃。(味方識別、矢は自動追尾)
 技師のドローンによるチョコレート爆撃。(先制攻撃)

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『力に溺れた少年』

POW   :    ドラゴンの力を秘めた、無双の魔剣
無敵の【魔剣『ドラグカイザー』】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD   :    魔法創造
無敵の【魔法】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
WIZ   :    魅了の魔眼
【両眼】から【レベル10未満の女性だけを魅了する呪詛】を放ち、【自身に対して、強い恋愛感情を抱かせる洗脳】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:テル

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はフェル・カーモルトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 戦闘準備は整った。
 猟兵とチョコレートマン達は各々の配置に付いて、オウガを待ち受ける。


 ――ザクッ、ザクッ。

 吹雪の雪原を歩く男が一人。

 彼こそは元アリスにして、現オウガの少年。
 新たに生まれた国を全滅させる為、魔剣を手にして。
「クク、この先だな。愚鈍な民衆に思い知らせてやるとしよう、この俺の強さをな」
 そんな事を自信満々に言い放っているが、この先は絶望だ。
 どれ程に強くても、決して突破できない真の絶望。

「さぁて、ハイスコア更新と行くとしようか。……ゲームスタートッ!!」

 兵器やトラップを存分に駆使して、好き勝手に遊んでやろう。
 それではゲームスタートだ。徹底的にやれ。
アニー・ピュニシオン
【SPD】
(浮遊城さえあればこの世界を支配出来るのでは?)
…覇道を持つものはアニー、ただ一人いれば良いの。
うふふ。
この世界とチョコレートマンはアニーが支配するのだわ!

というわけで、邪魔な少年ちゃんには骸の海にお帰り願うわね。
初手にドローンによるチョコレート爆撃で相手に目印をつけて、
空城からのバリスタ狙撃でお出迎えさせてもらいます。
ついでにアニーのUC「Love※Crime」も投げてあげちゃうわ。
氷城が損傷しても水を流しこんで凍らせて復旧させてあげてね。

唯一の欠点は自爆装置が何なのか、アニーには分からない事。
だが、それを差し引いてもこの浮遊城には魅力があるわ…っ!
さぁ私の覇道の礎になるが良い!!




 雪原の吹雪は勢いを増して、辺り一帯を完全な白に染め上げる。

「鬱陶しい雪だ。魔剣よ、吹き飛ばしてしまえ」
 少年のオウガは魔剣ドラグカイザーを掲げると、強烈な波動魔法を発生させて。
 その波動は吹雪の勢いを弱めて、これにより周囲の様子が確認できるようになる。

 オウガは歩みを止めて、前方に見える巨大な氷城を見て。
「ほう、立派な城だな。愚民には勿体無い、この俺の新たなる拠点としてやろう」
 そう言ってニヤリと笑うと、氷城まで一気に駆け抜けようと脚に力を込める。
 だが、突如として周囲が暗くなって。
「何事だ……?」
 右、左と視線を移しても特に異常はない。
 だが、上を見た瞬間にオウガは驚愕の声を上げてしまう。
「な、なあああぁぁッッ!?」
 オウガの真上には浮遊する氷城……いや、彼の目には氷の塊しか見えていない。
 唐突に現れた巨大な氷の塊に、驚きを隠せない様子だ。


 浮遊氷城内の玉座。
 目の前のモニターに映されたオウガの様子を見て、アニーはホットミルクを片手に。
「……覇道を持つものはアニー、ただ一人いれば良いの」
 どこぞの王が言いそうな自信満々の発言。
 ズズッとミルクを一口。身も心も、そして闘志も温まる。
「うふふ。この世界とチョコレートマンはアニーが支配するのだわ!」
 慌てふためくオウガを見て、笑顔でそう言い放つ。
 様々な兵器を見てテンションが上っているのか、かなり悪ノリしている様子。
 此方と相手の戦力差を知っていれば、そうなるのも不思議ではないのだが。
 ちなみに、チョコレートマン達はそんなアニーを温かい目で見守っていた。

 そして、チョコレート技師がドローンを操作。
 ゴーレム部隊もバリスタ狙撃準備を行い、アニーもまた四十本近い『光剣プニツィオーネ』を創り出して。その全てをオウガに向けて発射。
「というわけで、邪魔な少年ちゃんには骸の海にお帰り願うわね。ぶっ潰せーっ!!」
 大分キマっているが、アニー達は先制攻撃を仕掛け始めるのだった。


 最初にオウガへ飛来するのは、大きなバルーンを装着した二機のドローン。
 真っ直ぐに向かう物と、不規則に動き回る物の二つだ。
「チッ。俺も舐められたものだな、この程度ッ!」
 魔剣を勢い良く振り被って、先に来たドローンを見事に一刀両断。
 しかし彼の剣撃でバルーンが割れると、そこから溶けた熱い液体が出てきて。
 声を上げる間もなく、ドロドロの……そう、チョコレートに飲み込まれてしまう。
 更に二機目のドローンもバルーンを投下し、完全にチョコ塗れに。
「ぐおぉっ……な、何だ……!? これは……チョコレートだとッ!!?」
 すぐにチョコレートは固まってしまい、全身がそれにコーティングされてしまう。
 その姿は、まるで人間大のチョコレートマンだ。

 チョコレート塗れになっても攻撃の手は休まらない。
 大量のバリスタによる槍に加えて、アニーの光剣が迫る。
「おのれ、愚民共がァ……!」
 先程のように魔剣で斬ろうとするが、コーティングされた魔剣でそれを斬り裂く事はできない。それどころか固まったチョコレートにかなり動きを制限されていて。
「グオッ! グハァッ! ガアアッッ!!」
 魔法で防御をしているものの、一方的に殴られるサンドバッグ状態となってしまう。
 威力の高い自動追尾の槍と、実体がなく魔剣で打ち落とせない光剣。
 真っ白な雪原にチョコレート色は非常に目立ち、浮遊氷城からの全ての攻撃が彼一人に集中してしまう。
「ぐぅぅぅぅ……ふざ、けるんじゃねぇぇぇぇッッ!!!」
 オウガは無敵の魔法と自負する最強魔法、超巨大な炎球を創造。
 チョココーティングされていても魔法に関しては発動可能な様で、それを頭上の浮遊氷城に向けて放った。


 ――ズドォンッ!

 炎球が氷城に命中し、僅か一撃で二割近くを溶かしてしまう。
 モニターに映るチョコレートオウガは笑みを浮かべている様にも見えて。
「お水っ! 急いでーっ!」
 そこにチョコレートマンとゴーレム達による修復作業。
 ポンプで水を、制作段階で愉快な仲間達が掘った大量の穴へと流し込む。
 すると、溶かした分の氷を僅かな時間で復旧させてしまって。
 あれだけ自信満々だったオウガは見る影もなく、驚愕の表情を浮かべている。
 即座に修復されてしまう浮遊氷城に対しては、彼の魔法ではあまりにも無力と言わざるを得ない。彼の力ではどう足掻いても破壊不可能なのだ。
「自爆装置の意味は分からないけれど、この浮遊城には魅力があるわ……っ!」
 何故作ったのかは置いといて、その他の武装は非常に強力。
 先制攻撃で途轍もないダメージをオウガに与えている。

「さぁ私の覇道の礎になるが良いッ!!」

 アニーが高らかに告げると、問答無用の連続攻撃がオウガを襲って行くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ステラ・アルゲン
カガリ(f04556)と

もう全部浮遊城に任せてよいのでは?
いや我々猟兵もやるべき事をやりますとも!
先程あれだけ甘い物を食べましたからね、気合も魔力も十分ありますよ
気持ち的にも色々満たされましたが…なんでもない!

魅了の魔眼?
ふふ、確かにあなたの自身に満ちたその目は素敵ですね
ずっと見ていたいですよ
だから私を見てくださいよ。ほら目を逸らさずに、ねぇ?
と言って相手の魅了に掛かったフリをして逆に魅了し返しましょうか【誘惑・演技・存在感】

私を魅了しようだなんて百年早いですよ、少年
見惚れている内にバリスタと【流星雨】を撃ちます

ちょっとカガリ!?(確保される)
……本当にずっと見ていたいのはカガリだけだから


出水宮・カガリ
ステラ(f04503)と

いや、はや…城があそこまで、強いと。城門はいらないな…?
城もそうだが、強いものを作り過ぎてしまったな、はっはっは
ああいや、オウガの相手は頑張るぞ
ステラも元気なようで何より

魅了の呪詛か…魅了なら、ステラの方が上手のように思うが
思う…のだが…(作戦とわかっていても口説き返している姿に何だかもやもや)
…ステラへの呪詛なら、間に合っている
(【大神の神眼】の無駄遣い・視力、呪詛、誘惑)
ステラに逆に魅了された敵をじっとりしっかり、視界に捉えるぞ

見惚れている間に攻撃するだけなぞ手緩いぞ
スノーゴーレム軍団に氷の床へ追い立てさせ、つらら草原へ向かわせる
二度と来るなよ(ステラを確保)



 浮遊氷城はオウガを執拗に追い続ける。
 チョココーティングで鈍った身体では逃げ切れる筈もなく、サンドバッグ状態だ。


 食事を終えて気合いも魔力も十分。そして気持ち的にも満たされていたステラ。
 その様子を見て何よりと、カガリも満足気に。
 二人は大きく開いた地上の氷城門前より、オウガが足掻く様子を眺めていた。
「もう全部浮遊城に任せてよいのでは?」
 ステラは遂に口にしてしまった。この戦闘の真理を。
 浮遊氷城の攻撃だけでオウガの魔力は大量に削られ、肉体ダメージもかなりの物だ。そこに畳み掛けるようにスノーゴーレム軍団のクロスボウ攻撃。
 更には至る場所に仕掛けられた罠を踏んで吊るされたりと、実に可哀想な状況。
 もはや、城門の必要性もほぼ皆無であろう。
「城もそうだが、強いものを作り過ぎてしまったな、はっはっは」
 からからと笑うカガリ。
 隙のない防衛力によって、オウガが移動するだけでも絶大なダメージを与えている。
 おまけに城には近付けないと、相手からしてみれば無理ゲーもいい所だろう。
「いや我々猟兵もやるべき事をやりますとも!」 
 どうやら容赦は無い様だ。
 放置しても倒せる気もするが、ここはやはり確実に撃破するべきか。
 二人は、吊るされつつもクロスボウを撃たれているオウガの元へ向かって行く。

 ――ズビシッ、ズシャアッ。
 身動きの取れないオウガに放たれる大量の矢。
 機械的で躊躇のない急所への連続射撃。虐めと言われても仕方がないだろう。
「ウ オ オ オ オ オ ッ ! !」
 だがオウガはまだ生きている。
 渾身の炎魔法でスノーゴーレムを焼き尽くし、甘い水へと変えてしまう。
 尤も、ゴーレムは幾らでも量産される。僅かばかりの時間を稼いだに過ぎない。
 息を荒くして罠から逃れるが、コーティングは溶けない。熱への耐性もある様だ。
 そんな彼の前に、ステラが静かに現れて。
「あ、新手だと……だが、俺の前に出たのは迂闊だったな……! 受けてみよ、魅了の魔眼をッ!!」
 ギラリと輝くオウガの両眼。
 それは一般人ならば容易に洗脳してしまう、魅了の魔眼。
 しかし悲しいかな、それは猟兵に効果はない。どんな猟兵にも一切通用しない。
「ふふ、確かにあなたの自身に満ちたその目は素敵ですね。ずっと見ていたいですよ」
 それを受けたステラはニコッと笑って、効いている――フリをする。
「はははッ、そうだろうッ! いい駒が手に入ったな……これで殲滅を……」
 何処からそんな自信が来るのか。
 魔眼が通じたと確信しているオウガは、一気に侵攻しようと考えていた。
 そこにステラが距離を詰めて、間近にまで迫って。
「な、何だ……」
 それに動揺したのか、少し距離を取りつつ顔も少し逸して。
 どうやら、オウガにそういった経験はまだ無い様子。
「私を見てくださいよ。ほら目を逸らさずに、ねぇ?」
 ズイッと顔を近付けるステラ。
 その眼は青く揺らめいて、吸い込まれてしまいそうな輝きを放っていて。
「うっ……な、何だこれは……」
 オウガの心拍数が跳ね上がる。
 何が起こっているのかオウガには理解できない様だ。

 その頃、カガリは二人から離れた場所に待機していた。
「………………」
 それはもう、物凄い目でオウガを睨んでいた。
 敵は魅了の呪詛を使うとの事なので、逆に魅了してやろうというステラの作戦。
 それは見事に成功し、オウガを魅了してしまった。
 だが、婚約者たるステラが敵に惚れられるというのは好ましい物ではない。
 例え作戦でも、ステラがオウガに口説き返している姿を見れば心がもやもやする。
「……ステラへの呪詛なら、間に合っている」
 ギラリと大神の神眼を向けてオウガを視界に捉えると、強い呪いで蝕んで。
 悶え苦しむ彼と、愛しき婚約者の元へと近付いて行く。

「がああああッ!!?」
 カガリの憤怒と嫉妬が混ざり合った呪いを受け、痛みで身体が倒れそうになって。
 それでもステラに見惚れているのか、熱のこもった視線を向ける。
「私を魅了しようだなんて百年早いですよ、少年」
 ステラがニコリと微笑むと、静かに剣をオウガに向ける。
 オウガはすぐに後ろへと下がるが、突如として天に魔法陣が描かれて。
 そこから降り注ぐは流星の雨。更に、浮遊氷城からバリスタも同時に発射された。


 もう魅了や呪詛などを気にしている場合ではない。あれに当たればヤバい。
 オウガは全力で逃げ始めるが、ここでもコーティングが効いて、動きを制限される。
「うおあああああああッ!!」
 残り僅かな魔力を使用して防御魔法で防ぎながら逃げようとするが、逃げる先にはカガリが待機させていたスノーゴーレム軍団――殺意が凄い。
 すぐに大量の矢を発射されて、オウガを追い立てて行く。
「ひいいいいぃぃぃぃッッ!!!!」
 つるりとオウガが転んだと思えば、氷の床で滑り始めて。
 そして、その先にはつらら草原……。
「ぎゃああああああああああああッッッ!!!!!」
 チョコに塗れて、流星の雨とバリスタに穿たれて、矢に射たれて。
 つららに刺されて、呪われて、ついでに振られた。
 ――とても可哀想な男がここに居た。


「……二度と来るなよ」
 流星が落ちる先を見て、カガリは一つ呟く。
 そして、直ぐ側にいるステラを抱き寄せて確保。
「ちょっとカガリ!?」
 急な事にステラも驚くが、カガリは無言でじっとステラの事を見ていて。
「本当にずっと見ていたいのはカガリだけだから。ええと……その、だな……」
 離して欲しいと言うつもりだったが、どうやらカガリは離す気はない様子で。
 そうして二人は暫くの間、その状態のままで過ごすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

暇島・しいま
『おいらが美味しくいただいちまいやしょう!』
『後はお任せするっすよ!』(バトルキャラクターズ使用時)
『ひょええぇぇ!?』(コミカルに逃げ回る)

見ての通り食いしん坊キャラっす。
色気より食い気。シリアスよりコメディが好みっすね。

オブリビオンも美味しそうなヤツならいただくっす!
食用じゃなさそうな敵の時は『エンドレスバーガー』や『肉焼きおにぎり』を食べるっすよ…おいら、グルメなもんで。
持ってる食用アイテムはお裾分けOKっす。
自分が戦い難い相手の時や、直接向かうのがめんどい時は
バトルキャラクターズのお助けキャラに丸投げっす!

これはサポート&おまかせプレイングっす。
ヨロシクお願いしやっす!


尾崎・ナオ
ひー!間に合った!!

ごめんごめん、のんびりしすぎてたわ、今どんな感じ?敵さんまだ生きてる??防衛だけでやっつける事もできそうだが…。

棒付きの、氷の飴玉(チョココーティング)を食べながら攻撃しましょ。といっても、ナオちゃん棒飴とナイフ持ってるから、両手が塞がってるんだにゃあ。あ、ナイフはアイデンティティとして持ってるだけでっす☆

かなり後方、敵がゴマ粒に見えるかどうかくらいの距離から【指定UC】を発動。ここからでも届くんだよなぁ。前衛さん居れば、その隙に行動どうぞ♪

この国はもう安泰だろう…。他の国にも技術提供してあげたら良いんじゃないかな?



 言ってしまえば、やり過ぎた。
 あまりにも強力な防衛兵器の他、猟兵達も居る。
 その上、今回のオウガの実力はそこまででもない。
 ――結果は火を見るよりも明らかだった。


「ひー! 間に合った!!」
 慌てた様子で、氷城の会議室まで駆けてくるナオ。
 浮遊氷城でのんびりし過ぎて居たのか、少し遅れての登場だ。
「今どんな感じ? 敵さんまだ生きてる??」
 ナオがそう聞くと、チョコレートマン達は一斉にモニターを見て。
 そこに映る黒いボロボロのズタズタの無惨な物体――。
「……えっ、何あの汚れた雑巾みたいなのは」
「オウガです」
 即答するチョコレートマンの技師リーダー。
 防衛兵器、そしてゴーレムと猟兵による攻撃。
 それに直撃してしまった結果、ああなったとの事だ。
「あ、まだ生きてますので遠慮なく攻撃しちゃって下さい」
 容赦のないチョコレートマン達。
 とは言え、相手がオウガなので仕方がない。それにしても殺意が満々だが。
「お……おっけおっけ、ナオちゃんに任せときな……!」
 彼等の殺意の高さに若干引き気味だが、攻撃の準備に入っていく。


 その頃、しいまは浮遊氷城内にてアイスバーガーを食べていた。
「んー!! うまいっすーっ!!」
 地上には肉の味がする食材が見付からず、転移装置でこの場所まで来ていて。
 手当り次第に探すこと十数分。空を流れる雲の味こそが牛肉と酷似していたのだ。
 そうして出来上がったのは、白いフカフカの雲が挟まったアイスのハンバーガー。
 普通のハンバーガーよりも歯応えがあって、食感が心地良い。
 王の間に設置されたモニターに映るオウガを見ながら、美味しそうに味わっていた。

 とは言え、ただオウガを見ているだけではない。
 先程召喚したお助けゲームキャラ達に武器を持たせて、敵の元に向かわせている。
 そして、その様子を見ながらお食事タイムという訳だ。
 そもそもの話、後は防衛兵器に任せて置けば十分とも言える。
 更には敵が食用でない以上、しいまにとって旨みがないのだから当然とも言えよう。
「食材さえあれば幾らでも作れる……最高の世界っすねっ!」
 しいまは大量に確保した食材で、次々とアイスハンバーガーを作り続けて行く。
 兵器遠隔操作中のチョコレートマン達にお裾分けをしながら、戦闘の補助をして。
 しいまは何だかんだで食事と戦闘、どちらにも全力を尽くしていたのだった。


 氷城の一室にて、ナオは棒に付いた氷の飴を舐めている。
「うん、チョココーティングがいい感じぃ!」
 齧るのは好みではないので舐め続けているが、飴の冷気も中々の物だ。
 口に含んだり離したりと、手元がかなり忙しそうで。
 そして逆の手に持つのはナオのお気に入りのナイフ。
 しかしオウガに使う訳ではなく、ナオのアイデンティティなので持っているだけだ。
 では何を使うのかと言うと――。

「さてと、始めるかなー」
 ナオは飴を咥えると、猛毒を塗った弓矢を構えて。
 視線の遥か先にはオウガであろう黒いゴマ粒……。
 十秒間の集中の後、致命の矢を解き放った。


 どうしてこうなったのか。
 キルスコアを伸ばす為に意気揚々と国に向かってきたオウガ。
 しかし今では後悔しかない。
「……何なんだ……あの機械は……」
 どう攻撃されたかの詳細は省くが、機械兵器に身体を更にボロボロにされている。
 爆撃やら狙撃を受け続けて、スノーゴーレム達にも常に攻撃をされていて。
 要はもう死ぬ直前だ。
「あ、有り得ん……この俺が……ん?」
 ――ドドドドドッ。
 地面が揺れる。
 音の先を見てみれば、大量の冬服を着た者達。中にはサンタの格好をする者も。
「あっ……」
 もう大体理解したようだ。『詰んだ』、と。

 後はもう、とにかく惨かった。
 バトルキャラクターズに囲まれてボコボコのギタギタに。
 殴られ蹴られ斬られ撃たれ、そして打ち上げられて。
 そこに飛来するのは、ナオが放った致命の矢。
 見事にオウガの肉体を捉えて、絶命させてしまった。


●氷のチョコレートの国
「この国はもう安泰だろう……。他の国にも技術提供してあげたら良いんじゃないかな?」
 氷の飴を食べ終えて、気分上々のナオ。
 国同士の交流はない様だが、技術が他国に伝われば――考えるだけで恐ろしい。
 だが、この技術を使えば無敵の国になるのは間違いない筈だ。
「こんな不思議な食材がある国、広めないと勿体無いっすからねッ!」
 しいまはしいまで、食事に関しての方が重要な様子。
 全ての物が食べられる氷の国など、他を探してもそうそう見付からない筈だ。
 飢えという概念のない、この国の食材を広めるのも良い案だろう。

 氷の国の防衛力は凄まじい。もう攻められる事はない筈だ。
 もしもオウガが攻めて来たのならば、恐るべき兵器がまた動き出す。
 ――そんな日が来れば、また惨い光景が見られるのだろうか。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年09月12日


挿絵イラスト