7
カメラノムコウ

#UDCアース

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#UDCアース


0




●そのスマホは何を見るか
 時は午前2時。その画面には、一人の少女が映っている。その顔はマスクにより下半分は隠されているが、その目鼻立ちなどを考えると17歳ぐらいだろうか。セーラー服を着ていることからも学生なのでは無いかと思われる。
「みなさん、おはよーございまーす……」
『こんばんはー!』
『おはようじゃねえだろw』
『今日も可愛いー!』
 その少女の挨拶に、配信画面にはコメントがなだれ込む。アクセス数は流れるように増えていき、それは3桁、4桁となる。
 その様子を確認し、少女はほくそ笑む。まぁ、その口角が上がった口はマスクに隠されているので、視聴者には笑顔になっているようにしか見えないのだが。
「今日は、廃病院に来ていまーす……!」
 そう言って、少女は手に持ったスマートフォンをその後ろにある建物“だったもの”に向ける。
 それは、ガラスが全て割られ、落書きにまみれた廃病院。中には、わずかに病院で会った面影はあるものの、そのほとんどは朽ち果て、やんちゃな輩が入り込んだりもしたのだろうか、明らかに外から力がかかったような箇所もある。
「実はここ、当時は『入院したら最後、死ぬまで出られない』と噂が立った病院なんですね……。なんでも、人体実験が行われていたとかなんとか……」
 照明などの用意はあるようだが、それをオペレーションしているような人物は見受けられない。廃病院の前に少女がたった一人でいることは、端から見てもミスマッチである。
「それでは、今日はどんなことが起きるんでしょうか……? それでは、行ってきまーす……!」
 そう言って、少女はガラスが割れているドアに手をかけるのであった。

●猟兵達は何を見るか
「こんなことされるとさー! 配信やってる人みんながそうだと思われるから困るんだよ! ね!」
 長峰・モカ(リアルにvirtualなアイドル芸人?・f16136)は、若干ではあるがお冠である。自身が配信出身であることもあり、そう言う所には敏感なのだろう。因みに今は芸人である。
「まず、廃墟みたいなところで配信するのは危ないからね。そういうのもあるから、配信を止めて欲しいんだけど、なんか面倒くさいのがバックにいるみたいなんだよねー……」
 パパ活邪神協会。UDCアースの出会い系事業である【パパ活】の支部であり、邪神教団である。なんでも、この協会の支部長である西島・氷雨が、少女に廃墟や心霊スポットで配信をさせているのだという。少女が、心霊スポットで配信をする様子を男性に見せることで、出会いを産むとか、教団への入団を進めるのだという。
「配信をしている女の子は、本名は分からないけど配信ではエミリスって名乗ってるわ。まぁ、人気が出そうな感じはするわね……」
 エミリスは、マスクで顔の下半分は隠しているものの、少し幼い感じのする顔に、少したどたどしく、護りたくなるようなしゃべり方、そして配信の度に確実に心霊現象に遭遇し、さらに反応が可愛いと評判の配信者である。深夜2時とかに配信を始めたとしても1000人は確実にアクセス数が取れると言われており、かなりの稼ぎ頭であることは確実だろう。
「まず、みんなにして欲しいのは、エミリスを懲らしめ……配信をやめさせることと、西島・氷雨を倒す事。それじゃあ、レッツゴー!」
 みんなを見送った直後、モカのいるところから「私の方がネタとかで言えば面白いはずなんだけどな……」とか聞こえたのは、また別のお話。


おじやしげき
 みなさん、ホラーしてますか? おじやしげきです。

 と言うことで、皆様には今回、深夜の廃病院で行われている配信の妨害、そしてそれを裏で操っていると思われている、パパ活邪神協会の支部長である西島・氷雨を懲らしめて頂きます。

 因みにこの廃病院、潰れたのは数十年前なのですが、入院したら退院できない、入院患者を使って人体実験をしていたという噂が流れています。凄惨な人体実験の末、息絶えた遺体は死体安置所に保管、最期は焼却炉で証拠隠滅がなされていたと言われています。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。

 なお、公序良俗に反するプレイングは不採用にさせて頂く場合がございますのでご了承願います。
9




第1章 冒険 『傍迷惑な動画配信者』

POW   :    威圧や態度、力づくで配信を阻止する

SPD   :    行く先々を障害物で塞いだり配信機器を使用できなくする

WIZ   :    更に怖い噂をでっちあげて怖気づかせる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

政木・葛葉
エンパイアはあたしみたいな化生が身近だからそんなに珍しがられないけど…お殿様も羅刹だし。
ここだと珍しいのかな?妖魔みたいなのは。
ちょっと驚かしてあげよ。

女の子の進行方向に【天翔・荼枳尼天】で召喚した白狐さんを待機。曲がり角で見えるようになる感じがいいかな。
普通にしてれば優しい子だけど、狐火纏って暗がりにいたら怖く見えるはず。
女の子が来たら威嚇してもらう。狐火で回りをちょっと燃やしてもらえば、実害ありの妖魔に見えて怖いかも。
あたしは遠巻きに女の子の後ろについて、隠れて「タチサレ…」とか言って【恐怖を与える】しようかな。
見つかっても、荼枳尼天(天女っぽい)の格好だからかなり異質に見えるはず。



「うーん…… エンパイアはあたしみたいな化生が身近だからそんなに珍しがられないけど、ここだと珍しいのかな?」
 政木・葛葉(ひとひら溢れし伝説の紙片・f21008)は手術室でそう独りごちた。葛葉の生まれたエンパイアは魑魅魍魎も多く、このような怪談話、妖魔のような存在は珍しくない事もあり、一人、真っ暗な診察室にいたとしても平然としている。まぁ、自身が妖狐出あることも関係してるのかも知れないが。
 
「ここを曲がるとー…… 手術室ですかね……?」
 ドアの向こう、エミリスの声がわずかな柄に聞こえてくる。その声はわずかに震えているように聞こえるが、、その声もまたアクセスを稼いでいるのであろうか。
「来た……。お借りします。オン キリカク ソワカ……」
 誰にも聞こえないほどの声で葛葉は詠唱する。それと同時に、召喚された白狐をその曲がり角に送り出す。
「キャッ!? なに、今の……」
 エミリスが足下に気を取られた瞬間。その顔を上げると、目の前にはボウッと鬼火が揺らめく。まぁ、本当は狐火なのだが、それをエミリスには知るよしも無い。
 ヒッ! っと一瞬顔が歪む。しかし、カメラはその目の前にいる狐火を捉えているので、わずかに漏れ聞こえる息を呑む音しか視聴者には聞こえてこない。それだけでも、視聴者にもその恐怖は伝わってきたようで、エミリスを心配する声や、怖すぎじゃね? と心配する声、怖がっている様子が可愛いと言う声など様々ではあるのだが。そんな中。
『……あれ、何か聞こえね?』
 エミリスは、そのコメントに気づいてしまった。いや、本当は、気づきたくなかったと言った方が良いかもしれない。確かに、うっすらと何か聞こえていた。
「……チ……レ……」
 その声は、はっきりとは聞こえないが、それがより恐怖を与えている。
「え、な、なにこれ……」
 勇気を持ち直し、声のする方へその顔を向けるエミリス。恐怖のあまり、一気にその方向を見た瞬間。
「きゃー!」
 そこには、天女のような格好をした人影。灯りも不十分な中、その様子をみてダッシュで逃げ去ってしまう。
「まぁ…… こんな感じかな?」
 葛葉は、ひとまず満足げである。かなりの恐怖を与えたはずである。これでやめてくれればいいのだが……。
『……あれ、まだ何か聞こえね?』
 そんなコメントがあったのは、誰も気づかない。

成功 🔵​🔵​🔴​

ルトルファス・ルーテルガイト
(アドリブ連携絡み歓迎)
…怖い物見たさなのか、単にそのエミリスが見たいだけなのか。
…後者なら、別にこの動画を止められても問題ないだろうな。

(POW)
…さて、怖い物見たさで来てる以上…恐怖で攻めても薄いな。
…此処はキッパリ立ち入り禁止である事を伝えるぞ。
…廃病院で色々乱雑してる上に倒壊の恐れだってある、そんな場所…ホラーでなくとも危険この上なかろう。

…興味本位でツッコむべきでない、と言ってやるが
それだけでは止まらないだろうから、隙を見て【選択UC】をエミリスに発動。
『引き返せ、廃病院の奥に進むな』と宣告するぞ。

……そのバックに付いてる支部長とやら、俺も用が有る身なのでな…手早く済ませるぞ。



「えっ、なになに、今のなに!?」
 カメラを自分に向け、実況を続けるエミリス。その反応から見ても、今までの恐怖とは比べものにならなかったのだろう。
『え、これマジで大丈夫な奴?』
『流石にここまでの奴はひくわー』
『エミリスちゃん可愛いー!』
 ……ごくわずかに変わらないコメントはあったが。そのほとんどの視聴者にも、今回の異様さは伝わっているようだ。
「ま、まぁ気を取り直して、手術室に……」
 ぼすんっ。
「……大丈夫か?」
 ルトルファス・ルーテルガイト(ブレード・オブ・スピリティア・f03888)は、その目の前に飛び込んで来たエミリスにそう語りかける。
「えっと、あの、その、だ、だいじょう、ぶ……です……」
 急に人が出てきて、少々テンパるエミリス。しかし、さっきの事もあり恐怖、というよりは少し安心しているように見えなくも無い。
「こんな所で何をしているんだ? ここは立入禁止だろう」
「あ、えっとですね、これ、配信をしてまして……」
 立入禁止なのだから、入ってはいけない。かなり真っ当な主張である。しかし、エミリスも負けじと自分の主張を繰り返す。まぁ、どう見てもルトルファスの主張が正しいのだが。
「ここは廃病院だ。色々乱雑してるし、倒壊の恐れだってあるんだ。こんな場所、ホラーで鳴くとも危険この上なかろう」
 怖い物見たさでここに来ている以上、恐怖で攻めるのはあまり効果が無いのでは無いか……。そうルトルファスは考えていた。ここが、純粋に危険であると言うこと。それを伝えることで止めよう、と言うのだ。
「で、でも見てる人が……」
 しかし、エミリスもひかない。まぁ、ここまで来てやめますとは言えないのだろう、仕方ないことである。
「これは警告だ。興味本位でツッコむべきではない」
「きょ、興味本位ではないので……! ご忠告ありがとうございます!」
 明らかに声が震えているが、ルトルファスの正論に反論するエミリス。カメラを自分に向け、何やらしゃべり出す。配信に戻って視聴者のコメントに答えているのだろうか。
「警告したんだがな……」
 そうつぶやき、手袋を投げる。その手袋はエミリスに向かって弧を描き、その肩に当たる。
「……引き返せ、廃病院の奥に進むな」
 えっ、なに? とエミリスは気にもしないで前に進んでいく。しかし。
「きゃあぁあぁあああっ!?」
 その目の前にあった棚がエミリスに向かって倒れてくる。そのダメージは大変な物だろう。
「だから言っただろう?『引き返せ』とな……ん?」
 ルトルファスは、自分の身体が少し濡れていることを感じつつ、その場を立ち去っていったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

千崎・環
アドリブ歓迎!

廃墟は危ないし、帰ってもらわないとね。

【WIZ】
あのー…大丈夫ですか?
通報があったから来てみれば…怪我してません?

来てみれば配信者発見。
引っ張りだしてあげつつ、普通にお説教だ。
警察官だし!

え、止めない?どうしても?
うーん仕方ない。では配信が終わるまで私も同行します!

と配信に同行したら、小芝居を始めよっ。

…知ってます?昔、この病院の噂を間に受けた婦警が居たんです。
彼女は何度追い返されても病院を調べようとして、最後には彼女を邪魔に感じた医者に捕まって殺されたんですって。
嘘怪談で[恐怖を与える]!

あれ、何でしょう?

明後日の方向に気を逸らした隙に隠れて姿を消すよ!
怖がってくれたらいいけど



「むー……。なんなのこれー……!」
 エミリスは、棚の下敷きになってそうつぶやいた。幸いにもそこまで大きい怪我はしていないようだが、流石に結構な重量のある棚がのし掛かってきたのだ。動くことが出来ないのか、棚の下でうーうーうなっている。それでも、スマホを離さないのは配信者のプライドだろうか。
「あのー……。大丈夫ですか?」
 棚に下敷きになっている少女に、千崎・環(正気度の危うい婦警さん・f20067)は声をかける。
「通報があったから来てみたんですが…… 怪我してません?」
 あくまでも、親切に、丁寧に対応する。そのテンションと正義感は健在である。
「よ、い、しょ……っと!」
 棚をなんとか持ち上げ、引っ張り出されるエミリス。ありがとうございます……と素直に感謝の言葉を述べることが出来るぐらいにはちゃんとしているようだ。
「もう、こんな危ない所に来ちゃダメでしょ?」
 さすが警察官。丁寧ながらも、しっかりと説教を進める。
「でもー、やめられないですよー」
「どうしても?」
「どうしてもですねー……」
 やめるやめない問答が続く。
「うーん…… 仕方ないですね。では、配信が終わるまで私も同行します!」
 まさに名案! と言わんばかりにそう提案する環。
「えー……。でも、視聴者さん達はそれは嫌なんじゃ……」
『新しい子キター!』
『二人だと新しい感じになりそう!』
『エミリスちゃん可愛いー!』
 ……ついに視聴者すらもこの意見に賛同してしまった以上、エミリスとしても認めざるをえない。
 決まりですね! とエミリスの後ろに付いていく環。それでも、最初は少し嫌がっていたエミリスではあったが、二人でいる、と言うことで少し安心したようだ。
「……そういえば、この話って聞いたことあります?」
 それは、さっきと同じような口調で。エミリスも、人体実験の話ですかー? と軽く返す。
「昔、この病院を真に受けた知り合いの婦警がいるんですけどね……。その子、何度追い返されても、この病院調べようとしてたんです……」
 エミリスがあれ? と思ったときにはもう遅い。その口調は重々しく、低い声で話を続ける。
「それで、ある日、急にあるお医者さんが、その噂について、話すから深夜にここに来てくれって呼び出したんですね……?」
 話が進むにつれ、少しずつ寒くなっていく気がする。スマホを片手に持っているから、両耳も防げない。
「最期、彼女がこの病院から出て来ることは無かったんですって……。……あれ? あれは……?」
 環が指を差したのは廊下の天井。
「え? えー……。な、なにもないじゃ……」
 エミリスが指さした本人に一言言おうとした瞬間。
 そこには“誰もいなかった”。
「ひっ……!」
 エミリスの中で何かが全て繋がったのか、ダッシュでその場を離れてしまう。
「怖がってくれたから良かったかな……?」
 嘘階段を披露したかいがあったと言うものである。
 そう言って、自分の仕事を全うしたとして環は帰路につくのであった。
 
 エミリスに触れたその手は、少し濡れていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ニーヤ・カト
【心情】まったく…若い娘を一人でこんな所に来させるとか危ないしろくな奴らじゃないにゃ…仕方ない、おいらが一肌脱いで怖がらせるかニャー

【作戦】レプリカクラフトを使ってリアルな化け猫を作るニャー!そこをおいらがアフレコして怖がらせるかニャー
「タチサレ…タチサレ…タチサレ…タチサレニャアアア!!」って驚かすにゃ
(アドリブ・絡みOK)


双代・雅一
幽霊医師を演じて軽く脅かしてやるのも良いかな。
ふふ、楽しそうじゃないか。

少女の進む先、薄暗い診察室の気温は夜とは言え背筋が凍るレベル。
氷属性で室温を冬並に下げ、診察室の壊れた机で彼女を待とう。
白衣に聴診器を首にかけ、手はメスを弄び。

ああ、患者が訪れるなんて久方ぶりだ。
そこの椅子にかけて。悪い所は…いや、言わなくても解る。
まずはその瞳を抉り、脳味噌を取り替え――。
考えながらメスをちらつかせつつ微笑み立ち上がり。

「おや、逃げるのか?」
「ただで帰れるとでも?」

オルタナWで喚んだ弟の手は後ろから少女の首筋に触れ。
同じ顔がもう一人。この状況じゃ驚くかな。
気絶か外に逃げるかしてくれれば良いけども。



「まったく……若い娘を一人でこんな所に来させるとかろくな奴らじゃないにゃ……」
 ニーヤ・カト(猫の冒険家・f17782)はその金の瞳を光らせながらそうつぶやいた。
「ふふ、まぁ、楽しそうじゃないか」
「まぁ、おみゃーはそうかも知れないけどにゃ……?」
 こういうシチュエーションでも冷静に、少し楽しんでいるようにも見える双代・雅一(氷鏡・f19412)に、肩をすくめるニーヤ。ここは、廃病院の診察室。ちょうど、エミリスの行く先にある診察室である。

「……と、気を取り直して……。ここは、診察室でしょうか……?」
 エミリスの目の前には、診察室と書かれたパネルがかかった扉。その文字も消えかかっており、入ろうとする人を拒む雰囲気を醸し出している。
「……おや」
 そのドアの向こう、ゾクッと背筋を冷やすその部屋の中には、一人の白衣の青年。その首には聴診器がかかっており、壊れた机の前でその青年は佇んでいた。
「ああ、患者が訪れるなんて久方ぶりだ。そこの椅子にかけて」
 物静かにエミリスに語りかける双代。目の前の状況を咄嗟に理解が出来ず、アワアワしているエミリスだが、促され双代の前に置いてある丸椅子に座る。
「さて、今日はどうした?」
「え、ええと…… わたしは診てもらいに来たんじゃ無くって……」
「……ああ、悪い所は……いや、言わなくても解る」
 いや、そうじゃなくて…… と言いたげなエミリスを余所に、双代は話を進めていく。タダでさえこんな所に人がいると思ってなかった上に、夜とは言え夏なのに異様に冷えているこの部屋から一刻も早く抜け出したいエミリスであったが、一種の金縛りを受けたかのように、その足は脳内の命令を受け付けず。時折聞こえる低く響き渡るネコの鳴き声のようなうめき声もエミリスを恐怖させるには十分だった。
「えーっと、ですね…… 今日はですね……」
 口ごもるエミリス。色々と言いたいことはあるようなのだが、上手く口が回らない。ここまでの恐怖と、緊張と、この真冬のように寒い部屋のせいだろうか。まぁ、こんなに冷えているのは、双代が自分の属性で室温を下げているからなのだが。
「……ひっ!?」
 確かにエミリスの瞳に映った。それは、まるで猫のような。化け猫、と言うのが一番適切だろうか。
(にゃっにゃっにゃっ、怖がってるにゃー)
 ニーヤ謹製化け猫レプリカ。これを、ちょうどエミリスがふと視線をずらすと見えるポジションにセットしておいたのだ。一見すると本物と見紛うばかりのこのレプリカは、エミリスの身体を一気にゾクッと冷やす。
「……サ……タ……レ…」
 化け猫のうめきは完全には聞こえないが、エミリスを恐怖に支配するには十分すぎるものだった。
「あ、あの…… あ、あそこに何かいませんか……?」
 その恐怖を少しでも薄めようと。何もいませんよ、と否定してくれれば気のせいだったと思い込める。何かいますね、と肯定されれば自分だけが見えているわけでは無い。同じ物を見ている人がいるというのは心強いものだ。とにかく安心が欲しかったのだ。
「そうか…… 目も悪いのか……。なら、まずはその瞳を抉り、脳味噌を取り替え……」
 しかし、帰ってきたのはそのどちらでもなく、つぶやき。目の前の医師は微笑みながら立ち上がる。その手には、メスをちらつかせながら。
「え、あ、その、し、失礼します!」
 そう言うのが精一杯で。震える足を押さえつけ、無理に立ち上がるエミリス。
「おや、逃げるのか?」
 双代の声が氷のように冷たくその鼓膜を揺らす。その冷たい目に睨まれたエミリスは、その足が止まってしまう。
「そ、それは、その……」
「タチサレ……タチサレ……」
 エミリスの耳に響くその声は、彼女を拒絶するもの。その声は徐々に大きくなってきて。先ほど見えていた化け猫のシルエットも徐々に近づいてきている。
 脱兎。その最後の勇気を振り絞り、エミリスは背を向けた。この部屋から出なければ。それしか考えていなかった。
「……ただで帰れるとでも?」
 不意に、エミリスの首筋に何かが当たる。いや、絡みついていると言った方が良いかもしれない。ゆっくりと首筋に視線を移す。それは、指。
 見たくない。
 一瞬、エミリスはそう思ったはずだった。しかし、本能はそれを許さなかった。その指の持ち主に向け、その顔を向けていく。その刹那。
「きゃぁぁああぁぁぁああああぁ!」
 甲高い音がエミリスの喉から奏でられる。それと同時に、エミリスの足は一気にその身体を診察室の外まで連れ出す。
 エミリスは、確かに見たのだ。自分の背後にいた人物の顔を。それは、自分の目の前にいた、双代雅一のものと全く同じであった事を。
「タチサレニャアアア!!」
 脱兎の如く駆けだしたその先に、リアルな化け猫がエミリスを待ち構える。ニーヤの声が、エミリスを半狂乱に陥らせ。その身体は壁に何度か衝突しながらも一気に廊下を駆け抜けていったのだった。
 
 その通った道すがら、水滴のような物が転々と続いていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

テニエ・ミスチヴァス
◎アドリブ連携歓迎

悪戯して驚かせればいいんだね
任せて、そういうの大好き!

って、なんか既に凄い事になってないかな?
大丈夫……?まぁ手は抜かないけど

■行動
【UC】を使用、効果は変身と透明化!

まずはエミリス本人に変身し目の前に出現、無表情で「逃げて……」とか警告する
その後は血涙を流しながら泣き声で「家に帰りたい」とか意味深な事を
呟いてビビらせるよ
暫くしたらハッと何かに気付いた感じで「早く逃げて!!」と叫び消滅(透明化)

予めそこから近い出口は出られなくしておいたんだけどね

外へ出られずに焦っているところを後ろから【忍び足】で近づき
医者のゾンビに変身してから、肩にポンと手を置いて一言「ツ カ マ エ タ」



「ふーん……、悪戯して、驚かせればいいんだね! 任せて! そういうの大好き!」
 テニエ・ミスチヴァス(変幻自在の虹縞猫・f20445)は、そう言って虹色の長髪を煌めかせる。その目は好奇心に輝き、これから対峙するであろうエミリスに対してどういう悪戯をしてあげようかワクワクしている。
「おっ、来た来た…… ってあれ?」
「え、ええと…… こ、ここはぁ……?」
 その遠くからやってくるエミリスの様子に、少し首を傾げてしまう。その姿は、まさに満身創痍。口から何やら緑? の液体のような物が垂れていたり、足を引きずっていたり……。息も絶え絶えである。この状況でもまだ続けているのはプロ根性なんだろうか。
「なんか既に凄い事になってないかな? 大丈夫……? まぁ、手は抜かないけど!」
 そう言い残し、ミスチヴァスは姿を消す。ミスチヴァスがいたはずの場所には、エミリス……と同じ姿のミスチヴァスが立っていた。
「さ、思う存分、惑わされていってね」
 
 一方その頃。その配信画面は上下に大きく揺れていた。画面の向こうに流れるコメントにも、エミリスを心配する声が次々に流れてくるが、それに反応する気力も無いのか、配信を続けることが精一杯のようだ。
 一瞬だけ、その背筋がゾクッと。目の前に、見たくないものが見える。白い人影のような物。ここまでの流れから、決して見たくは無い物が。
「……げて…… 逃げて……」
 聞き覚えのある声が、エミリスの耳に届く。その声は、画面の向こうにいるであろう人にも聞き覚えが有り。
「ひっ!」
 目の前に、“自分”が立っている。その瞳からは、真っ赤な涙が流れ出し。小さく「家に帰りたい……」と聞こえてくるその声も自分の声で。
(驚いてる驚いてる……!)
 ここまで綺麗に驚いてくれるとミスチヴァスとしても内心大満足である。この調子で続けよう。
「……早く逃げて!」
 血涙を流している瞳を大きく見開き。エミリス本人にそう叫ぶ。次の瞬間にはその姿が見えなくなり。次の瞬間には、スマホを握りしめてエミリスはダッシュ。
「ねぇ! 開けて! なんで開かないの!?」
 目の前のドア。恐怖で手がおぼつかないのか、ミスチヴァスは物理的に開かないように細工をしておいたのか。半狂乱の状態のエミリスはドアを叩きながら、助けを求める。
 トン。
「ツ カ マ エ タ」
 エミリスの肩には、血塗れになった手。白衣を着たそのゾンビがエミリスの肩に触れ、耳元でつぶやく。
 次の瞬間、エミリスの手からスマートフォンが滑り落ちる。恐怖のあまり、口から緑色の液体のような物を吐いて倒れていく……。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『不定形少女』

POW   :    あたまはこっちにもあるよ
自身の身体部位ひとつを【自分が擬態している少女】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
SPD   :    みんなとかしちゃうよ
【触手状に伸ばした腕】が命中した対象に対し、高威力高命中の【衣服を溶かす溶解液】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    いっしょになろうよ
【全身を不定形に変形させて】から【相手に抱きつくために伸ばした身体】を放ち、【少しずつ溶解させていくこと】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 口から、緑色の粘液を吐きながら倒れるエミリス。それと同時に、エミリスの身体が一瞬原型を保てなくなり、粘液だまりができあがる。
「モウ、ミンナ、ユルサナインダカラ……!」
 足下に出来た粘液だまりは、エミリス“のような”姿を再度形成する。しかし、その本性を現したように明らかにスライム的である。全身緑の粘液状である。
 エミリス、いや不定形少女はその身体を自由に変形させ、その身体を少しずつ溶解させていく。因みに、スマホは真っ先に溶解している。
「コワカッタンダカラァ!」
 その一言と共に、目の前のスライム少女は猟兵達に襲いかかるのだった。
 口から、緑色の粘液を吐きながら倒れるエミリス。それと同時に、エミリスの身体が一瞬原型を保てなくなり、粘液だまりができあがる。
「モウ、ミンナ、ユルサナインダカラ……!」
 足下に出来た粘液だまりは、エミリス“のような”姿を再度形成する。しかし、その本性を現したように明らかにスライム的である。全身緑の粘液状である。
 エミリス、いや不定形少女はその身体を自由に変形させ、その身体を少しずつ溶解させていく。因みに、スマホは真っ先に溶解している。
「コワカッタンダカラァ!」
 その一言と共に、目の前のスライム少女は猟兵達に襲いかかるのだった。
ルトルファス・ルーテルガイト
(アドリブ連携絡み歓迎)
…とうとう本性を現したが…、人間どころか…不定生物・スライムとはな。
(…さっき濡れてたのは、コレのせいか)
…どっちが恐怖の対象なのやら判らんが、論ずる必要はない。

…精霊剣を抜き、『属性攻撃』で応戦するが…粘体ゆえに今一つ効きが悪く見える。
…触手の腕も触ると危険だが、奴を倒すにはこれしか無かろう
と、伸ばした触手の腕をつかみ…その状態で、『選択UC』を発動。
…掴んだ腕を介して、エミリスと名乗るスライムの『生命力吸収』を行う。
(代償は寿命でも良いが、払っても構わない対象がいればその人に)

…貴様を扇動した幹部は何処にいる、さっさと答えろ。
…でなければ、此の儘命を奪うだけだ。



(……さっき濡れてたのは、コレのせいか……)
 ルトルファス・ルーテルガイト(ブレード・オブ・スピリティア・f03888)は、その身体を軽く拭って誰にも聞こえない声でそう独りごちた。エミリスに手袋を投げてから、独自でこの廃病院を調べていたが、さっきの騒ぎを聞き戻ってきたのだった。
「……とうとう本性を現したか……。人間どころか不定生物、スライムとはな」
「オマエハ……! スゴイイタカッタ!」
 目の前に姿を現したルトルファスを見て、怒りを露わにするエミリス。スライムなのに痛いのか、と一瞬思ったが擬態化してるときは痛いのだろう。多分。
「遊んでいる暇は無いのでな。いくぞ」
 その手には、精霊剣が握られ。
「……ヒャクバイガエシデオカエシシテアゲル!」
 その緑の身体から伸びる無数の触手は、ルトルファスへ。精霊の加護で具現化されたその刀身はその触手を時には払いのけ、時には斬りつける。しかし、その触手はベチャリと刀身を汚すに過ぎない。なんとか受け流し、クリティカルにダメージを受けることは無いが、その触手がかすったのだろうか、所々その服が溶けてしまっている。
「ホラホラホラホラァ! コンナモノナノカシラァ?」
 その触手は速度を増し。少しずつその身体に加わるダメージも多くなってくる。ジワリジワリとその服は溶けていき、じわりと赤いシミが滲むところも出て来る。
「マダマダマダマダァ!」
 その触手の一本が、ルトルファスの顔面に向かって最高速で飛び込んでくる。
「……「アカネ」、悪いが……お前の生命を借りるぞ」
 顔面までおよそ数センチ。その触手はルトルファスの右手によってその速度を零にする。その右手は熱を持ち、少しずつその身を痛めつける。
 しかし、それと同時。
「グ、フファ……! ナ、ナニヲシタ……!?」
 邪神アカネの生命を宿したその黄金の片瞳が瞬く。それと同時に、明らかにエミリスの動きは重くなる。その生命力はルトルファスに吸収され、動くこともままならない。
 
「……貴様を扇動した幹部は何処にいる、さっさと答えろ」
 動けなくなり、へたり込んだエミリスを見下ろし、ルトルファスはそう告げる。
「言わなければ…… 此の儘命を奪うだけだ」
 その冷たい瞳がエミリスを震えさせる。
「エ、エエト…… 氷雨サマハ…… シタイアンチシツニイルトオモウワ……」
 その言葉を聞き、ルトルファスは握っていた触手を叩きつけこの場を離れるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

政木・葛葉
いやいや、そんなぶにょぶにょしながら怖かったんだからーとか言われても!
今のキミのその格好の方が十倍怖いよ!?

うーん、どろどろしてて物理攻撃は素通りされそうだなぁ。
接近したらやばそうな雰囲気。
【夜光野狐夜行】で遠距離から狐火をいくつかけしかけてみるよ。
液体ならじゅわってなるはず。じゅわって。

いくつか……全部じゃないっていうのが肝で、最初に飛ばすのは牽制。
牽制でも、距離が維持できるならそのままじゅわじゅわさせて削ればいいし……焦ってこっちに向かってきたら残りを全力で燃やして挟撃にするんだ。決まれば結構重たい一発になるはず。

相手の攻撃は避けに集中。着替え、白狐さん喚ばないとできないし……。



「いやいやいやいや! そんなぶにょぶにょしながら怖がったんだからー、とか言われても!」
 目の前のぶにょぶにょに対して思わずツッコむ政木・葛葉(ひとひら溢れし伝説の紙片・f21008)。
「モウ、ホントウニコワカッタンダカラネ!」
「今のキミのその格好の方が十倍怖いよ!?」
 目の前のエミリスことスライムがぶにょぶにょしながら怒りながら、その身で葛葉を包み込まんとその身体を引き延ばす。その発言に対してもっともなことを言いながら、その迫り来る粘液に対し、軽い身のこなしで回避し、その距離を離していく。まずは、暴れているエミリスの攻撃を回避することに集中していた。着替えは白狐さんを喚ばないと出来ないのだ。溶かされるわけにはいかないのだ。
「うーん、どろどろしてて物理攻撃は素通りされそうだし、接近したらヤバそうな雰囲気だね……」
 大量に責め来る緑の粘液を回避しながら、葛葉はその作戦を考えていた。真夜中の廃病院、その足音が響く。
「ドコニイッタ……!?」
 葛葉を見失ったエミリスが、廃病院を徘徊する。さっきまで響いていた足音はその鳴りを潜め、静寂がその場を支配する。階段の踊り場、エミリスはその周辺を見回す瞬間。
 じゅわっ。
「アッツゥ!?」
 エミリスの身体が一瞬、わずかながらに蒸発する。上階から飛ばれる狐火は、エミリスの粘液の身体を貫通していく。
「効いたね……!」
 牽制に成功した葛葉は、そうつぶやく。あの身体がもし液体なら、火を与えたらじゅわっ、となるはず。そう想定したとおりになったのだ。
「……ソコカ!?」
 己が身体を焼く狐火の降り注ぐ元を探すエミリスが葛葉の姿を確認するのは一瞬。その身体を大きく変化させ、葛葉の胸元に飛び込まんと突撃する。
「来たっ!」
 その粘液が身体に付着するわずか数秒前。自身に残っていた全ての狐火を全力でぶつける葛葉。さっきの狐火とは比べものにならない火力でその粘液を焼きこがしていく。
「ギャァアアっ!」
 その身が蒸発する断末魔が、廃病院の階段に響き渡るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニーヤ・カト
【心情】にゃにゃにゃ!?可哀想な少女かと思ったらおみゃー自身がオブリビオンかにゃ!?正直ビビったけど負ける訳にゃいかないのにゃ!

【作戦】攻撃は【見切り】で回避。【傷口をえぐる】と【咄嗟の一撃】のネコパンチをくらわせてやるにゃ!あの姿に効くかわからんけどやるしかないにゃ!もし無理そうなら【逃げ足】で退避にゃ!(アドリブ・絡みOK)



「にゃにゃにゃにゃにゃ!? まさかおみゃーがオブリビオンかにゃ!?」
 ニーヤ・カト(猫の冒険家・f17782)は、その身を潜ませ、目の前を通過するぶにょぶにょに対して思わずそう口走った。純粋に、ただの可哀想な少女だと思っていたエミリスが、あんな姿になってしまうとは。正直少しビビっている。
「まぁ、負けるわけにゃいかないのにゃけどにゃ」
 意を決して、その身をエミリスことスライムの前に表す。
「オマエハアノトキノバケネコ……!?」
 つい先ほど、自分を脅かしてきていた化け猫に対し、少しビビりながらも対峙するエミリス。二人とも少しずつビビってる。
「アノトキハ…… アノトキハヨクモ!」
 そのときの恐怖、怒りをその頭部に込めて放出される。エミリスの頭部はそのままニーヤの胸元に飛び込まんと突き進んでくる。この絵面だけ見るとそこそこのホラーである。
「……こっちにゃ!」
 その動きを完全に見切ったニーヤはその華麗な身のこなしで回避する。飛び込んで来た頭部は、ニーヤの後ろにあった棚に激突する。例えスライムとはいえ、急には止まれないのだ。スライム急に止まれない。
「よっし、いくにゃよ!」
 突撃をかわしたその身体をくるっとくねらせ、エミリスの背後を奪取、その背中に高速でネコパンチを繰り出す。
「グニュウ…… イ、イタイィ……!」
 咄嗟の一撃ではあったものの、エミリスが頭から棚にぶっ込んだその傷口を抉る一撃は、確実にエミリスにダメージを与えたようだ。
「あ、き、効いてくれたにゃ……!」
 正直、この攻撃が上手くいくかは半信半疑だった。そもそもあの身体だし、効かないときのことも考えてはいたが、効いてくれて一安心である。
「ヨクモヤッテクレタナァ……!?」
「っと、これはもう退散するにゃ! じゃーにゃ!」
 復活してきたエミリスに対し、確実にダメージを与えた上で、これ以上は難しいと考えたのか自慢の逃げ足で対比していくニーヤであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

双代・雅一
成る程、スライム(slime)を逆でエミリス(Emils)か。
安易だけど気付きもしなかったな。
君は愛嬌はあるけど…有名なゲームの様に仲間になる訳でもないか。
槍に変じたラサルハグェを手に微笑み問いかけよう。
君の選択肢は二つ。逃げるか俺達の経験値になるかの二択だ。

近付かれる前に蒼氷の矢を放つ。
ほぼ水分で構成されているその身体なら凍ってくれるだろう。
動きも少し止まってくれると良いけども。

悪いがハグされる程、親しいつもりもない。
男の服を解かした所で喜ぶ趣味の奴がいるとも……いや、一部の女子は好むらしいけど、君はどうなんだ。

凍り付いて固形化した所から突き刺して砕き壊す。
逃げるならば、まぁ俺は止めないさ。



「成る程……。気がつかなかったな」
 双代・雅一(氷鏡・f19412)は、一人その名前に関心していた。確かに、良く出来た名前である。
「オマエハアノトキノイシャカ……!? コワカッタンダゾ……!」
 双代の目の前には、明らかにその存在の方が怖いエミリス。かなりぶにょぶにょである。その目は明らかに双代を睨み付け、戦闘態勢を崩さない。
「君に与えられた選択肢は二つ。逃げるか……、俺達の経験値になるかだ」
 その顔は微笑みを浮かべ。その手には槍にその姿を変えたラサルハグェを握り。
「コノォ…… ナメルナァ!」
 その腕と身体を引き延ばし、双代を抱きかかえんと迫りかかる……が。
 わずかなうめき声と共に、エミリスはその動きを止める。その腕には何本もの蒼氷の矢が突き刺さっている。
「少し頭を冷やして差し上げようか?」
 矢が突き刺さったところから、エミリスの身体はその硬度を上げていく。身体の大部分が水分で出来ているスライムことエミリスに取って、その身体が凍結することは、その動きを止めることを意味する。
「グッ…… ガッ…… コノォ……!」
 身動きが取りにくくなったエミリスが、苦しそうにうめく。必死に動こうとその身をよじらせるが、わずかに動くだけでその柔軟性は失われていた。
「悪いが、ハグされるほど親しいつもりは無いのでな」
 まぁ、あと男の服を溶かして喜ぶ趣味の奴もいるとは思えないし、とは思っていた。みんな興味無いだろう。うん。
「さて……。それじゃあ、ソロソロ終わらせようか」
 ラサルハグェを改めて構え。身動きの取れないエミリスに対峙する。
「クソ、クソクソクソォ!」
 少しずつ歩を進める双代に対し、動かない身体をわずかによじらせて避けようとするエミリス。
 次の瞬間、その身が割れるような痛みに襲われる。正確には、本当に割れていた。が。
 割れた身体の一部が結集し、同じようなスライムとなってその場を離れる。しかし、その身体の一部は破壊したようで、そのダメージは相当のものであろう。
「君は愛嬌はあったけどな……」
 ふと、そう独りごちる双代であった。

成功 🔵​🔵​🔴​

テニエ・ミスチヴァス
◎アドリブ連携歓迎

あ~、びっくりした!
いきなり溶け出すから何かと思ったよ!
人間だと思ってたけど逆に驚かされちゃったなぁ

こうなった以上倒さなきゃだけど、散々怖がらせたうえで倒すとか
少し罪悪感、ごめんねー

■戦闘
とはいえ物理攻撃とか効くかな……
うおっと、危なっ!触手につかまるのはごめんだし、攻撃を【見切り】つつ
【UC】による真空の刃で触手を切断して回避

うーん……ここはもうヤケだ!真空の刃を高速連射!
少しでもダメージが通ればよし、コアみたいな物があれば当たればいいな!

後は【地形の利用】で、廃病院に残って放置されてる
毒物や劇物、薬物を見かけたら適当に【投擲】してみるよ
通用すればいいけど……(【毒使い】)



「もー! いきなり溶け出すから何かと思ったよー!」
 テニエ・ミスチヴァス(変幻自在の虹縞猫・f20445)は、少し悔しそうにそう言いながらエミリスと対峙する。エミリスはその身体の一部を失い、身長が少しちんまい事になっている。
「フフフ…… コワカッタデョウ……!」
 なんかエミリスもまんざらじゃ無いのは怪異だからだろうか。
 なんて朗らかな感じがしなくも無いが、その空気は張り詰めている。まさに一触即発。
「コワガッタツイデニ、コイツモクラッチャエ!」
 その両手から繰り出される触手は、ミスチヴァスの足下を掬わんと地面を這う。間一髪その身をかわすが、その触手は途切れることなく。
「よっ、はっ、ほっ、そいやっ!」
 触手を上手く見切り、そのフォークやナイフから解き放つ真空の刃は、その触手を切り刻みつつミスチヴァスの行き先を作っていく。
「よーし……、こうなったらっ!」
 それは、一瞬の隙を突いて。エミリスの身体に向けて、そのナイフとフォークから繰り出される真空の刃が襲いかかる。不定形のその身体は瞬時に切り刻まれる。切り刻まれる瞬間は痛いのか、わずかながらにそのうめき声がエミリスから漏れる。しかし、それは決定打にはならず、切れた粘液達が寄り集まり、またエミリスの身体を構築して行く。
「フフフ、コンナモンカ?」
 薬品棚の前にその身を移したミスチヴァスに、エミリスはそう言いながら追い詰める。不適な笑みを浮かべながら、一歩一歩とその距離を詰めていく。それは、ホラーのワンシーンのように。か弱い少女が、モンスターにやられてしまうワンシーンのように。
「サァ、カクゴシナサイ!」
 その触手が、ミスチヴァスの身体へ向けられたその瞬間、ある瓶が宙を飛ぶ。瓶の蓋は空中で開き、中の液体がエミリスに向かって飛んでいく。
「グァァアアァァァッ! ナ、ナニヲ……!?」
 その液体が触れると同時。エミリスはその身体を維持することが出来なくなり、断末魔と共に“ただの液体”に。
 酢酸。スライムを溶かすと言われているその薬品を、薬品棚から見つけることが出来たのが大きかった。因みに、なんで溶けるのかは調べてみよう。
 
「これで、終わったのかな……?」
 散々怖がらせた上に倒さないと行けなかったことに少しだけ、罪悪感を感じつつその場を後にした。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『『パパ活邪神協会・支部長』西島・氷雨』

POW   :    身も心も、私の『虜』にしてあげる…❤
技能名「【誘惑】【快楽責め】【生命力吸収】【篭絡】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
SPD   :    君にピッタリの子を斡旋してあげるわ
戦闘力のない、レベル×1体の【対象の性癖に合致する『パパ活』登録者 】を召喚する。応援や助言、技能「【グラップル・串刺し】or【誘惑・快楽責め】」を使った支援をしてくれる。
WIZ   :    イヤラシイ男(女)ね、君も…♪
【全てを見透かしそうな黒い眼差し】が命中した対象に対し、高威力高命中の【対象が犯したイヤラシイ過去を再現する幻影】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ルトルファス・ルーテルガイトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ふぅん……? あの子、やられちゃったの。中々見所があるんじゃ無い?」
 西島氷雨は、死体安置所でそう独りごちる。
 全ては、猟兵をここにおびき寄せるため。その準備をここまで進めてきたのだ。エミリスが倒されることはある意味で想定内。そう、力のある猟兵を籠絡するため……。
ルドルフ・エルランゲン
※アドリブ歓迎

支部長さんですか。お若いのにご立派ですね。
申し遅れました。私こういう者です(リクルート部隊所属猟兵の名刺交換)
支部長さんともなると、部下と本部長の板挟みになって大変でしょう?、いかがです?
そうなんですね、いつもお疲れ様です。

実は協会の噂を小耳に挟んだのですが、パワハラが酷かったりサビ残が多かったり相当ブラックなんですって?(調査報告書による【破魔】)
惜しいな、西島さんほど有能な方が将来を奪われてしまうなんて…(【恐怖を与える】)

…ってカンジで精神的に揺さぶりをかける

■詭道の計(wiz)
視線?、合わせませんよ。口元や鼻を見て話してます。なので目から内心を見透かされる事は無いのです。



「失礼致します」
 死体安置所の扉が叩かれると同時、その扉が横に動く。
「あら…… いらっしゃい。いい男じゃない?」
 机に座っていた氷雨は、その扉を開けて入ってきたルドルフ・エルランゲン(黄昏に抗う白梟・f03898)に、そんな言葉を投げかける。その目は相手を見定めるように。
「ねぇ、私と遊ばな……」
「ああ、支部長さんですか。お若いのに本当にご立派だぁ。申し遅れました、私、こういう者です」
 差し出された名刺を前に、あぁ、コレはどうも……とついついその名刺交換に応えてしまう氷雨。こういう所は案外真面目にやってしまうのだ。なぜなら支部長だから。
「支部長さんともなると、部下と本部長との間で板挟みになってしまって大変でしょう? 如何です?」
「そうなのよねー…… あのセクハラ上司がねぇ……」
 もはや愚痴を聞く会になってしまっているような気がするけど、気にしてはいけない。
「それでも…… あなたが癒やしてくれれば、楽になるんだけどなぁ……?」
 決まった。……筈だった。全てを見透かしそうな黒い眼差しが、ルドルフの過去を再現する筈だった。そう、筈だったのだ。
 ぷいん。ルドルフの視線は氷雨の口元や鼻へ。その瞳から内心を見透かされないように。その対策はバッチリだった。半分ハッタリだったのだが。
「いやね、実は教会の噂を小耳に挟んだのですが、実はパワハラが酷かったりサビ残が多かったり……、相当ブラックなんですって?」
「え、わ、わたしはそんなにだと思うわよ……?」
 口ではこういっているものの、明らかに目は泳いでいる。自分の色目に引っかからない上に、ここまで内情を言い当てられてしまうとは。明らかに動揺している。流石ルドルフの用意した調査報告書である。
「いやぁ、本当に惜しいな。西島さんほど有能な方が将来を奪われてしまうなんて……」
 ルドルフのその言葉に、ついに言葉が出てこなくなってしまう氷雨。目の前にいる男が、えもいわれぬ恐怖の対象になってしまう。そこにいるのは、普通の男の筈なのに。
「それでは、失礼しますね」
 ルドルフが去っていった直後、氷雨は一瞬ではあるが腰を抜かしていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

テニエ・ミスチヴァス
◎アドリブ連携歓迎
支部長自ら出陣とはお疲れ様だね
ただ色気より食い気だからなぁ、私
相手が悪かったね、さっさと倒させてもらうよ

■戦闘
召喚?一体どんな人物が……
って、肉屋さんに魚屋さんにお菓子屋さん、有名シェフまで!?
登録者層、幅広いなぁ!ていうかそっちの誘惑もありなの!?

いけないいけない、心を強く持って誘惑は跳ね除けて……
戦闘力が無くてもこの数は厄介かも、邪魔だし一般人?に危害は加えづらいし

ここは【UC】で身体を猫に変化、透明化もして登録者達の足元を
掻い潜って移動していくよ
西島の元へ着いたらそのまま飛び掛かり、渾身の猫パンチに連続引っ掻き
更に変身解除してから不意打ちのナイフ攻撃をお見舞いしてあげる


ニーヤ・カト
【心情】ふーふー…なんとか退散したけど倒されてるといいにゃー。…んにゃ!?まだ誰かいたのかにゃ!おみゃー…ぱっと見いい女にゃけどオブリビオンだにゃ!?おみゃーが黒幕かにゃ!ちょーどいい!ここで倒してやるにゃ!
おいらはケットシー!人間なんかにゃ興味は…興味はないにゃ!おみゃーみたいな巨乳で良い尻の娘とか全然興味ないにゃ!

【作戦】仲間と連携。氷雨の攻撃は【見切り】で回避にゃ!召喚した娘は…【怪力】で相撲のように向こうに押し出すにゃ!嬉しいけど我慢にゃ!クイッククローを使うにゃ!

【その他】敵の誘惑には、「お、おいらにはそんなもん効かにゃいにゃ!効かにゃ…ふにゃあ…(誘惑される)」と籠絡されそうになる



「ふーん、支部長自ら出陣とはお疲れ様だね」
 目の前にいる氷雨に、テニエ・ミスチヴァス(変幻自在の虹縞猫・f20445)はそう言い放つ。
「うーん、女の子にはあまり用がないのだけど……。その隣にいるネコちゃんは大歓迎だけど」
「にゃにゃ? おいらかにゃ!?」
 氷雨の色目に少々反応してしまっているのはニーヤ・カト(猫の冒険家・f17782)。思ったよりも反応してしまっているのはご愛敬である。
「ほら、わたしたちに協力してくれたら、い・い・こ・と、してあげるわよ?」
「うーん、ただ、色気より食い気だからなぁ、私」
 食い気派だったミスチヴァスには、こんな誘惑には屈しない。キリッと身構えている。
「おいらはケットシーにゃ! 人間なんかにゃ興味は……興味はないにゃ! おみゃーみたいな巨乳で良い尻の娘とか全然興味ないにゃ!」
 ……それに対して、明らかに反応してしまっているのがニーヤである。すごくわかりやすい。ネコといえども男である。まぁ、仕方の無いことなのかも知れない。
「あらぁ、本当にぃ? ずっと視線、感じてるんだけどなぁ……」
 スッとその胸元をかくしながら、氷雨は甘い視線をニーヤに投げかける。大抵の男ならコレでイチコロだろう。
「お、おいらにはそんなもん効かにゃいにゃ! 効かにゃ………にゃ……ふにゃあ………」
 ゴロゴロとその喉を鳴らしながら、氷雨の所に飛びつかないように必死に耐えていた。耐えていた。飛びつかずに、その場で目が半分ハートになっているぐらいで済んでいるのが、耐えた証拠であろう。
「……ほら、ちゃんとやるよ☆」
「痛ったいにゃあ!?」
 一番適切な擬音はプスッ、であろうか。ミスチヴァスの手に握られているフォークが、ニーヤのお尻の部分にちょこっと刺さる。流石に少しイラッとしたのだろうか。まぁ、正気を取り戻させるには一番手っ取り早い方法ではある。
「相手が悪かったね。さっさと倒させてもらうよ」
「あら、彼らを前にしても、そんなこと出来るかしら? さぁ、いらっしゃい?」
 ぞろぞろと現れるのは、まずは妙齢の女の子達。戦うスキルは無いものの、氷雨を崇拝しているのか氷雨を護るようにニーヤに向かい飛びかかる。
「ここはおいらに任せておみゃーは氷雨の所に行くにゃ!」
 ミスチヴァスにその道を空けるため、ニーヤはその身を女の子達に投じる。少し嬉しそうにしているのはきっと気のせいだろう。うん、気のせいだと思う。
「ほらほら、押し出してやるにゃ! うふふ…… お、押し出してやるにゃ!」
 自慢の怪力が、少女達に炸裂する。それはまさに相撲のように。次々に襲いかかる少女達をバッサバッサと押し倒し、時には、その自慢のクイッククローで一筋。少女達を退け、氷雨への道筋が見える。
「よっし、じゃあ行くよ!」
 ミスチヴァスが、大地を蹴り、氷雨に向かうその瞬間。その目の前に現れたのは。
「……ええぇええぇ?」
 ミスチヴァスが驚くのも無理は無い。現れたのは商店街のお肉屋さんやお魚屋さん、お菓子屋さんに洋食屋さん、果てはとある有名シェフまでがその目の前に立ちはだかったのだ。しかも、ご丁寧に自分たちが用意した料理も一緒である。お肉屋さんのチャーシューとかすごいジューシーだと思う。
 ジュルリ。自分が思わずよだれをたらしそうになっていたことに気づき、その身を引き締める。
「ふー、危なかった! それじゃ、行くよ!」
 その次の瞬間。ミスチヴァスの身体はヌルリと猫に化ける。その上で透明になったその身は、召喚されていた料理人達の足下をひょいひょいと掻い潜り、氷雨との距離を縮めていく。因みに、猫になる様子をみていたニーヤが「おみゃーもネコだったのにゃ!?」と驚いていたのは内緒である。
「うにゃにゃにゃにゃにゃー!」
 氷雨がミスチヴァスの居場所に気づいたのは、その声を聞いたときだった。その言葉と同時、大きくジャンプしたその猫は氷雨の顔面にその爪を立てる。その顔面にはいくつも真っ赤な線が生まれ、そこからじわりと血が滲む。
「っと、これはおまけ☆」
 顔面を踏み台にして大きく飛び出したミスチヴァスは人間の姿に戻り、氷雨の背後からそのナイフを突き立てる。ぐふっ、と口から血を吹き出し、その両膝を立てる氷雨。
「こんなもんかな☆」
 両膝をつく氷雨を見て、ミスチヴァスとニーヤはハイタッチ。死体安置所を後にした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルトルファス・ルーテルガイト
(アドリブ連携絡み歓迎)
(LastAttack)
…見つけたぞ、氷雨。(その視線は明確な憎悪、明確な敵意)
…貴様の名は知っている、「アカネ」を殺し…邪神に仕立てた女の名前。

(一方、【「私の子」(邪神)を孕む青年】【思わぬ収穫】と
嬉々とする氷雨は、絶対に連れて帰るとばかりに「アカネ」の顔に
似た女学生らを呼び出して篭絡を狙って来る
それに対し、【UC】を発動して殺さない程度に【生命力吸収】
その後、氷雨に対しては快楽主義者には似合とばかりに
肉体の限界を超えた快楽を与え、塵になる迄奪い尽くす)

…お前を殺しても「アカネ」は帰ってこない、だが…これ以上「アカネ」の命を冒涜するなら、そうなら俺は…容赦しない。



「……見つけたぞ、氷雨」
 ルトルファス・ルーテルガイト(ブレード・オブ・スピリティア・f03888)の冷たく輝く黄金色の片瞳には、不敵な笑みを浮かべる西島氷雨の姿が映る。氷雨を突き刺すその視線は明らかに視線の先の存在を恨み、憎悪し、敵であると見なしている。
「ふぅん、あなた、いい目をしてるじゃない。特に、その黄金色の瞳が、ね」
 ねっとりと絡め取るような視線がルトルファスに向けられる。獲物を仕留める蛇のように。絡みつく視線は離さない。
「…… 貴様の名前は知っている。アカネを殺し…… 邪神に仕立てた貴様の名はな」
「なるほど……。通りで。ますます気に入ったわ。『私の子』を孕むにはピッタリ……ね」
 氷雨は、舌舐めずりを一つ。そして、パチンと音がする。その音と同時。死体が安置されている棚がガタガタと揺れ出し、遺体収納袋を突き破り、その手が、足が、身体がルトルファスと対峙する。
「……!」
 その手に持った精霊剣を強く握り直したその刹那。それは、“目の前にいるはずの無い顔”。“ここに存在するはずの無い顔”。
「驚いたでしょう? あなたのために、用意したのよ?」
 遺体収納袋から出てきた少女は、ルトルファスに向かってゆっくりと、しかし確実にその身を近づけてくる。
「アカネ…… 彼女はダメね。私の子、として活躍してくれると思ったのだけど、とんだ期待外れだったわ」
 ケラケラと笑いながら、氷雨は側にあった机に腰掛ける。それは、遊び飽きたおもちゃを捨てるように。用済みになった道具を何のためらいもなく捨てるように。冷たい笑いが死体安置所に響く。
「でも……。あなたは、私の子を孕むにふさわしいわ。絶対、連れて帰ってあげる……」
 氷雨が指を鳴らす。それと同時に、ルトルファスの目の前にいた少女は、彼に抱きついてくる。その黄金色に輝く瞳は軽く湿り気を帯び。何かを求めるように同じ色の瞳を見つめていた。
「…… ふん」
 ルトルファスのその手は、少女の頭の上に。そして、その少女の頭蓋骨を握りこむ。その手からは生命力を吸収していく。
「……お前を殺しても『アカネ』は帰ってこない。だが……これ以上、その命を冒涜するなら……」
 その言葉は、目の前の少女に対してではなく。その先にいる氷雨に向けて。黄金色の殺意の視線も氷雨に突き刺さる。
「……俺は容赦しない」
 生命力を吸収し、弱っている少女を地面に投げ。その足がリノリウムから離れると同時に、その精霊剣は氷雨の太ももに大きく赤い線を生み出す。
「行け」
 氷雨に対して背を向けて。そのとどめは刺さず、窓ガラスを通して外を見ていた。さっきまで漆黒の闇が広がり、黄金色の瞳がはっきりと見えていた窓ガラスは、日が昇り始め外が見えるようになる。日はまた昇る。
「アカネ……」
 その瞳から流れた涙は、窓ガラスからは見えなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年09月25日
宿敵 『『パパ活邪神協会・支部長』西島・氷雨』 を撃破!


挿絵イラスト