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新春! 猟兵初芝居! 悪戯狐をこらしめろ!

#サムライエンパイア

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#サムライエンパイア


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「おう熊さん。人んちの前をだまーって行くこたぁねぇじゃねぇか。寄ってけよ。
 えー? どうしたい妙にあちこち見まわして歩いて。探し物かい?」
「よう八つぁん。いや、てぇしたことじゃねぇんだ。
 あすこに随分と人だかりができているようだが、いってぇどうしたい?」
「お、情報通の熊五郎さんともあろうものが、知らねぇのかい?」
「知らねぇよ。知らねぇから聞いてるんじゃねぇか」
「そうかい、そうかい。知らざぁ言ってぇ、ポォン、聞かーせやーしょーう」
「馬鹿だねこいつは、歌舞伎だか芝居だか真似して、ポォンなんて口で言ってやがる」

「花のお江戸は八百八町。雷門の大提灯を抜けた先、天大宗 金隆山 浅蒼寺 観音様のお膝元。
 大入り祈願の劇団が、おこないまする奉納芝居。
 それに集いし見物客が境内の人だかりの、あっ正体なりぃー。
 ……で、オレのはその練習だ」
「へぇー。おめぇとはなげぇ付き合いだが、芝居をやるとは知らなかったな。
 で、なんて芝居だい? 曽我物かい、それとも、ちっと遅いが忠臣蔵かい?」
「知らねぇ」
「え? お前、今、芝居の練習って言ったじゃねぇか」
「ああ。何でもその芝居をどっかの仮名草子の作者が本にするっていうからよ。
 こうやって芝居の練習をしていりゃ、その作者の目に留まって、オレの事を書いてくれやしねぇかと思ってよ。
 ――イヨォーーーーッ!」
「長生きするよ、おめぇは」

「まあいいや、折角だ。初詣がてら、初芝居と洒落こもうじゃねぇか。
 新年のご祝儀に一つ投げ銭でも弾んでやろうぜ」
「あー、オレァちょっと懐の具合が……」
「けち臭いこと言うなよ、みっともない。こんなのは気持ちでいいんだよ。
 ――なぁに、まさか命まで取られやしめぇ」

 さて一方グリモアベースにて、猟兵達へ予知を語ったのはディスターブ・オフィディアン。
「そのまさか、だから困ったものなのですが。――ゴホン。
 今回の舞台は、サムライエンパイア。
 オブリビオンが芝居を装って人を集め、襲おうとしている状況ですね。

 敵の特徴ですね? 大まかにですが分かっています。
 まずは妖魔忍者が十余り、そしてそれを操る首魁が1匹。
 ――どうやら過去に悪事を働き封印された妖狐が人の魂を集めるために、文字通り一芝居打ったようです。

 注意点は二つあります。
 まず見物人を逃がしてはいけないという事です。
 妖狐の狙いはあくまでも人の魂。
 皆さんの乱入で見物客が逃げ出してしまえば、即座に本性を現し見物人たちへ襲い掛かります。
 逆に、皆さんがまるで芝居のように振舞いながら見物客を逃がさないようにすれば、妖狐は見物人には手を出さないでしょう。
 ――裏を返せば、1人でも勝ちきれるだけの自信があるという事でもあります。
 ゆめ油断なさりませぬよう。

 それともう一つは、出来れば妖狐を殺さず生捕りにしていただければと。
 新年早々、お稲荷さま縁の地で狐を手にかけると言うのに待ったが掛かりまして。
 生捕りにさえしてくれれば、後はお稲荷さまの元で責任をもって修行をさせ、根性を直すそうです。

 それと――先ほどの予知でもありましたが場所は有名な観光地ですからね。
 縁日や出店をやっているようですから、妖狐を倒した後は息抜きができるでしょう。  御神籤などもあるようですよ。

 最後になりましたが。神社とは元来神聖な物。
 その神域にて悪事を企み、無辜の人々を手にかけようとは不届き千万。

 どうか皆様のお力で、人々の安寧と新春の言祝ぎをお守りください 」


雲鶴
 今回マスターを務めさせていただく雲鶴と申します。
 さて今回はネタ依頼です!

●1章,2章について
 要するに、なんかすごく格好いい事を言いながら、なんかすごく格好良く戦ってください。
 TWのハイテックなシステムのなんやかんやの結果、なんかすごく格好いいリプレイが出来上がります。
 かがくのちからってすっげー!

 なお文体はOP通りの熊さん八つぁんな落語調ないし講談調です。
 皆さんの活躍に見物客もやんややんやと喝采を送るでしょう。
 地の文。奴は死んだよ、いい奴だった。

 さあ、みんなでオサレバトルをしよう!

●3章について
 こちらは普通に浅草の観音様参りのつもりで参加していただければと思います。
 御神籤、獅子舞、初詣。大道芸に見世物小屋、屋台諸々。
 ぐるっと一回りするもよし、しれっと興行主として参加するもよし。
 お声かけいただければ、ディスターブも大喜びでついていきます。

●執筆ペースに関して
 MSの自己紹介ページで随時記載していきます。
 ご確認いただけましたら幸いです。
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第1章 集団戦 『妖魔忍者』

POW   :    忍法瞬断
【忍者刀】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    忍法鎌鼬
自身に【特殊な気流】をまとい、高速移動と【斬撃による衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    忍法鬼火
レベル×1個の【鬼火】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

蛇塚・レモン
サムライエンパイアは初めて来たよっ!
本物の蛇神様を宿すあたいが、神社で悪事を企てる妖狐にお灸を据えちゃうよっ!

忍者が現れたら「おちおち初詣も出来ないね、この神社はっ!」と言い放って御神木の上からエントリー!
「ドーモ、妖狐=サン。ホワイトナーガですっ!」
合掌して一礼後、【念動力】をあたい自身に使って浮遊しながら軟着陸
あたいの超霊力オーラの神様っぽい演出で注目を浴びちゃうんだよ!

戦闘はユーベルコードで蛇神様と一緒に連携攻撃!
【衝撃波】と【念動力】で炎をまとめて吹っ飛ばして、【オーラ防御】しつつ蛇腹剣で忍者を攻撃!
あとは蛇神様を勾玉で実体化させて、呪縛と締め付けで忍者にハイクを詠ませちゃうんだよっ!



さて、時は兵成31年、新春初詣の参拝客でにぎわう浅蒼寺。
 急場造りの粗末な舞台と、ぐるーっと囲んだ人だかり。
 舞台袖から、尻尾を振り振り妖狐が一匹、壇上へと上がってまいります。
「お立会いの皆様方。新年早々、大変なお運びをいただきありがとうございます。
 さて初物は寿命が延びると申します。こちらにいらっしゃった皆様も、少しでも寿命が延びますよう、頑張ってくださいませ」
 そう言って一礼をいたしますと、舞台袖のほうからドロドロドロドローって鳴り物が響いたかと思いますと。
 妖狐の姿が煙に包まれて消えっちまいます。

 代わりに現れたのは、何やら怪しい黒装束に包まれた、十余りの忍者たち。
 腰に差していた忍者刀をすっぱ抜きますと、そのギラリとしたものを振りかぶって、近くの見物人に振り下ろす!
 ガキイィンッ! っと響き渡りましたる金属音。
 振り下ろされた忍者刀を危ういところで受け止めたのは神木より振るわれた蛇腹刀。
 浅蒼寺、ご神木。樹齢800年と言われる大銀杏の天辺、姿を現しましたのは蛇塚・レモン(叛逆する蛇神の器の娘・f05152)。
 二度三度と蛇腹剣が振るわれるたび、見物人の近くにいた妖魔忍者たちの体が切り裂かれ、倒れ伏してまいります。

「アイサツの前のアンブッシュは、一回だけ。ドーモ、妖狐=サン。ホワイトナーガですっ!」
 言い終わるや否やレモンへ向けて放たれる鬼火の数々。逃れるようにくるりっと身を翻し、レモンは神木から飛び降ります。
 すわ、大惨事、っと見守る見物人の目の前で、レモンの体はごくゆっくりと宙を漂い、あっけにとられる一同の前で地面に降り立ちます。
 
「初詣に集まった人たちを芝居と騙して、忍者をけしかけるなんて、許せない。
 さあ蛇神様を宿すあたいが、神社で悪事を働く妖狐にお灸をすえちゃうよ!」
 そうレモンが見得を切りますってぇと、空中に描かれた魔法陣の中から白い蛇神様が現れまして、あたりの忍者たちへ向かって威嚇するようにシャーーッとやりましたから、見物人も大喜び。

「おい見たかよ、今の。ありゃ流行りの、わいやぁあくしょんってやつかい」
「あの子も若いのにいい見得切るじゃねぇか。こりゃ大物になるぜ。
 ――イヨォッ音羽屋ッ!」
 なんてんで呑気な歓声をあげております。

成功 🔵​🔵​🔴​

アルミィ・キングフィッシャー
さて皆様、檸檬嬢の働き如何だったか?
え?
足りない?
そりゃそうでしょうとも。ならば不肖この川蝉が別の技をご覧に入れましょう。

そうそう我々働くにはそれなりのお気持ちが必要で…、おっとありがたい。
それでは一肌脱がしていただきましょう。

殺陣の一つや二つ、できなければ芸人の名が泣きます。
(ダガーを抜いて)
さて、お目にかけましょう。

派手に刃を打ち合い、フックつきロープで相手の足元をすくってみせたり、時折相手の刀を盗んでそれで攻撃したり。とりあえず魅せ技重視だ。
もし相手の決定打が来そうになったら鎧を脱ぎ捨ててシーブズ・ギャンビットで突撃。

一肌脱ぐと言ったろう?
まだまだ次の演目はあるんだよ?



頭を抱えましたのは、煙とともに姿をくらまし、観客に紛れ込んだ妖狐、明日香。
 初めの企みが破れた以上、正体を現して見物客を襲うべきか。
 しかし後から後からずーっと見物人が集まってまいりまして、これを途中で諦めてしまうには、あまりに惜しい。
 うーん、なんて物騒な悩みを抱えておりますが、脇の見物人のほうはそんなことは知りやしません。
「どうしたい嬢ちゃん。さっきから頭抱えて。風邪でも引いたかい?
 おう八公、半纏あんだろ。この嬢ちゃんに貸してやれよ。さっきから体調が悪そうで、かわいそうじゃねぇか」
「え、えーっとありがとうございます、こん」
「あいよ。ほい、これでも着ときねぇ。おっ。
 見ろよ熊さん。こんどは、またえらい別嬪さんが出てきたぜ」

 次に舞台に上がってまいりましたのは、アルミィ・キングフィッシャー(人間のシーフ・f02059)。
 バンダナでまとめました青い髪に、橙の皮鎧も凛々しい艶姿。
 芝居がかった口調で見物客へと向かって喋り始めます。

「さて皆さま、レモン嬢の働きいかがでしょうか。
 え? まだ足りない? ならば不肖この川蝉が別の技をご覧に入れましょう。
 ごほん。……そうそう我々働くにはそれなりのお気持ちが必要で」
 なんて言っている間に、アルミィの背後に忍び寄る妖魔忍者一人。
 背後から振り下ろされた手をとりますてぇと、相手の肩を踏み台に真上に跳び上がります。
 空中でパシッと何かを取りますと、忍者の背後へと着地しまして、右手の中、たった今受け取ったおひねりを見物客へ見せつけます。

「おっと、ありがたい。それでは一肌脱がしていただきましょう」
 アルミィもまたスラリと短剣を抜き放ち、妖魔忍者たちとチャンチャンバラバラ切り結びんで参ります。

「すごいね、殺陣の合間に空中でおひねり受け取ったよ。俺も一つ放ってみよう」
 見物人のほうも面白がって、次から次へとおひねりを投げ入れます。
 アルミィの方も鉤付きロープや敵の武器まで使いながら妖魔忍者を一体、二体と切り倒す。
 その合間に十も二十もおひねりを受け取っております。

 さて、妖魔忍者も馬鹿じゃありません。
 アルミィがおひねりを取る隙を狙ってやろうと待ち構える忍者が一体。
 その目の前で、ポーンとひときわ高く放られたおひねりにアルミィの視線が上へ行きました。
 今だーっ、とばかりに突き出される忍者刀!
 ゾブリという音とともに、皮鎧に忍者刀が突き刺さり、その切っ先が鎧の背後まで突き通す!
 仕留めたりーっ、とほくそ笑む忍者の瞳に映ったのは、脱ぎ捨てられ空っぽの皮鎧だけ。
 皮鎧一つ脱ぎ捨てて、身軽になったアルミィはといえば、うろたえる忍者の真後ろに回っておりまして。
 短剣一閃、すぱりと忍者の首を落とします。 

「一肌脱ぐといったろう?」
 そういったアルミィの手には、先ほどのおひねりが握られていたのでございました。

成功 🔵​🔵​🔴​

麗明・月乃
ふぅむ。
要は私の高貴なオーラで観客を魅了しながら戦えば良いという話じゃな?
なるほど、では……。
「新年の祝いじゃ。そなた達に本物の妖術を披露してやろう」

手にするは私の武器である扇。
『誘惑』するように流し目を観客に送り優雅に扇を回して。
高貴な妖狐(のじゃロリ)『属性攻撃』で皆を魅せる…といったとこかの。
「花は花でも、今から舞うのは妖狐の花びら。迂闊に踏み込めば火傷するぞえ?」
舞うように忍者達へ踏み込んで【妖花演舞】で『全力魔法』 『範囲攻撃』を撃ち込むのじゃ。

……ああ、生々しい倒れ方してる気絶してる奴や死体はチキン・アゲイン】で鶏に変えてしまうかの。
「そなたらは優雅さも、ユーモアも足りぬのう」



「やれやれまったく。そなたらには優雅さもユーモアもたりぬのう」
 次に舞台に出てまいりましたのは麗明・月乃(多分すごい金狐・f10306)。
 彼女が倒れ伏した妖魔忍者へパチリっと指を鳴らしますと、連中の死体が残らず鶏に変わっちまいます。

「おい、八つぁん。もう目ぇ開けて大丈夫だぜ。さっきの死体はなくなっちまった」
「本当かい? なんだかやけに真に迫ってるし、おっかなくってさぁ。
 あれっ、なんだいあの鶏。どっから出たの? さっきの死体が? 鶏に変わった? 見たかったなぁ。
 ……教えてよ」
「おめぇが勝手に目ぇ瞑ったんじゃねぇか」

 さて月乃と対峙しました妖魔忍者達、臨兵闘者皆陣列在前っと印を結びますと、ぐるーっと彼女を取り囲むように鬼火の輪を生みだします。
「忍法といえば聞こえがいいが……子供だましじゃな。新年の祝いじゃ。そなた達に本物の妖術を披露してやろう」
 言って広げた2つの扇、その一方を月乃は空中へと放り投げますってぇと、もう一方の扇をくるりと回して舞踊を始めます。
 観客席に向けられる悩まし気な流し目に、初めは子供のやること、と微笑ましく見守っていた観客ですが、誘惑の技術を鍛えた彼女の技に、食い入るように見とれてまいります。
 一方、妖魔忍者はといえば見とれるような相手ではございません。
 二度三度と鬼火を月乃へ向けて放ちますが、舞の所作でもって振るう扇に叩き落されます。
 ええいこのままではらちが明かない、ってんで鬼火を一斉に放とうとしましたところで、月乃が口を開きます。

「花は花でも、今から舞うのは妖狐の花びら。迂闊に踏み込めば火傷するぞえ?」
 その言葉を皮切りに、始まりましたる真っ赤な炎の花吹雪!
 先ほど月乃が放りあげた扇が、狐を象った無数の炎の花びらとなって、踊る月乃の周囲を彩り、妖魔忍者達に頭上から襲い掛かります。
 一瞬にして燃え尽きる忍者を後目に、月乃は炎の花びらの中で存分に舞い。
 二本の扇を手にして一礼をするのでありました。

成功 🔵​🔵​🔴​

稲荷・恋狐
「人を愛する妖狐として、見捨てちゃおけないこの事態!
お稲荷様に代わって、この稲荷恋狐。悪い妖狐を懲らしめるために助太刀いたしますっ!」
と、大きな声で言いながら人混み潜りぬけてぴょこんと登場ですっ!

戦闘前に【誘惑Ⅰ】を使って忍者の気を惹けるか試しますっ!
気を惹けたら見物に来た人への危険減らせそうですしっ。
「忍者さん、恋狐と一緒に遊びましょ? でも……近づきすぎはやーですよ♪」

戦闘時は忍者との距離に気をつけながら【狐火】で応戦しますっ!
冬の寒さも吹き飛ばすあつーい戦いといきましょー!
距離を詰められた時だけ【神霊体】に変身して【なぎなたの衝撃は】で吹き飛んでもらいますねっ!

(アドリブ大歓迎ですっ!)



「人を愛する妖狐として、見捨てちゃおけないこの事態!
 お稲荷様に代わって、この稲荷恋狐。悪い妖狐を懲らしめるために助太刀いたしますっ!」
 なんてぇことを言いながら人込みをかき分けかき分けやってきたのは稲荷・恋狐(おてんば桃色狐・f06130)。
 狐火一つ浮かせながら、近くにいた妖魔忍者達に向かいまして、甘えた声で誘惑を始めます。
「ねーぇ、忍者さん、恋狐と一緒に遊びましょ?」
 恋狐もまた子供といっていい歳でございましたが、先ほどの舞いにあてられましたか、はたまたそういう趣味でも持っていたのか。
 ふらふら~っとおびき寄せられ手を伸ばす妖魔忍者たち。

「でもぉ……近づきすぎは、やーですよ♪」
 迫る忍者の手を、恋狐がするっと躱しますと、彼女の背後にあったのは大きな狐火。
 しまった、っと思う暇もあればこそ、たたらを踏んだ妖魔忍者の手が自ら狐火の中へ突っ込みまして、込められた破魔の霊力でもって一瞬で全身が塵に返されます。

 その姿を後目に恋狐はいたずらを成功させた子供のように笑っております。
「忍者さんこちら、手のなる方へ♪」
 なんて囃し立てながら、忍者達を誘い込み、狐火でもって反撃してまいります。
 大の大人の妖魔忍者達が寄ってたかって、子供一人に揶揄われて、手玉に取られているんでありますから、あたりの観衆も大盛り上がり。
 妖魔忍者がずっこけて、恋狐が身を翻す一挙一動に笑い声や歓声が上がります。

「おーい、お嬢ちゃん気を付けろぉー! 後ろだ後ろー! ああっとあぶねぇー」
 さぁて明日香の方ではそれどころではございません。先ほどの恋狐の口上を聞いて顔を真っ青にしております。
 お稲荷様といえば、日本の狐の総元締め。
 その名のもとに、同族が彼女を追ってきている訳ですから、とても心穏やかじゃいられません。
 彼女の方では知る由もありませんでしたが、浅蒼寺のそばには、京都伏見稲荷神社の分社、被官稲荷神社というものがございまして。
 警視庁の食堂で食い逃げをするようなものですから……逃れられるわけがございませんな、これは。
「うーん。お稲荷様……。捕まったらお仕置き……。こーん」
「ダメだね。芝居に夢中になってら……。油揚げ食べるかい?」
「こんこん、いただきますっ!」
 なるようになれってんで腹ァ括りまして、周りの見物人からおすそ分けを貰って猟兵と妖魔忍者の戦いの見物に回っちまいました。

成功 🔵​🔵​🔴​

枯井戸・マックス
「レモン嬢に呼ばれたからには、乗り遅れるわけにはいかないな」

「星辰の導きに従い来たれ。サモンアーマー・カプリコーン!」
 一跳びして壇上に登り、本体である仮面を顔に装着。
仮面の瞳がキラリと光れば、たちまちその姿は依り代が宿す山羊座の属性の鎧騎士に早変わり。
悪魔の如き大角を振りかぶって大見えを切る。

「お立合いの内にご存じの方もございましょうが、枯井戸屋二代目・マックスとは!あっしの事でぇござんす!…なんてな♪」
 衆目に一礼がてらその場でくるりと一回転して忍に回し蹴り。
その後も山羊の崖登りが如き跳躍から、跳び蹴り、回し蹴り、反転蹴りと軽業師も真っ青なアクロバティックで攻め立てる。

※アドリブ歓迎です



次に参りました枯井戸・マックス(サモナー・ザ・アーティファクト・f03382)。
 ひとっ跳びで舞台に上がりますと、切りかかってくる妖魔忍者をひょいっと素手でいなしまして、とんとーんっと後ろへ飛んで距離を取ります。
「おいおい、変身前に切りかかってくるのは反則だろ?」
 なんてぇおちゃらけたことを言いながら、本体の仮面を付けますってぇと、その仮面の奥の瞳がきらりっと輝きます。

「星辰の導きに従い来たれ! サモンアーマー・カプリコーン!」
 たちまち変じる鎧姿、頭に備えた二本の角も猛々しく、山羊座、磨羯の宿星の力を宿した鎧騎士。
 切りかかってきた妖魔忍者の忍者刀を、受け流しながらかわしまして、勢いのままに後ろ回し蹴り。
 もつれあった忍者二人を追いかけるように跳び込みますと、くるりとトンボを切って忍者たちの体を空中へけり上げます。

「お立合いの内にご存じの方もございましょうが、枯井戸屋二代目・マックスとは!
 何を隠そう、あっしの事でぇござんす! ……なんてな♪」
 着地して見得を切ったマックスの後ろにドサドサーッっと落っこちる忍者たち。

 その後も全身甲冑をまとったまま、舞台狭しと跳び回り、忍者たちを蹴り倒す姿にあちこちから声援が上がります。
「イヨォッ! 枯井戸屋!」
「熊さん、枯井戸屋って聞いたことある?」
「いやぁ初めて聞くが、新しく旗揚げしようってんだろ?
 鎧甲冑着ての軽業ってぇのも面白れぇじゃねぇか、一つ応援してやろうぜ」
「こんこん、甘酒貰いましたけど、お二人も飲みます?」
 もはや明日香は当初の予定を投げ捨てっちまって、とにかくこの場をごまかして逃げ出すことしか考えておりません。

成功 🔵​🔵​🔴​

リト・クルル
見物人を逃がさないようにしながら、妖狐は生け捕りか
おれにそんな器用なことが出来るのかどうか
んま、依頼とあればめいいっぱい頑張るけどよ?

おれは羅刹旋風を使うぜ
武器を回してまるで芸をしているかのように周りを翻弄しつつ
戦闘力の増強を目的とする
動きが見破られやすいっつーなら、
【スナイパー】を使ってしっかり当たるように意識する
そーだ
もし使えるなら【おびき寄せ】も使いてーな
相手がこっちに来てくれたら楽じゃね?
こっちに来たら来たで【恫喝】を使って
ドS風のセリフを言って演技をしてみる
へへ、いい案だろ?

アドリブ・絡みは歓迎だ


杜鬼・クロウ
アドリブ歓迎

「レモンから要請もらったんでな。
猿芝居かと思えば予想外に面白ェ事になってんなァ。
見物人が逃げないようにどれ、いっちょ乗ってやっか。愉しんだモン勝ちだ」

黒衣纏う
妖魔忍者側にどさくさに紛れる
背後から敵を玄夜叉で一刀両断

「ハッ名乗るほどのモンじゃねェ。通りすがりの流離人だ。
いいから続きヤろうぜ?俺の玄夜叉がさっきから疼いて仕方ねェんだわッ!」

正体がバレたら決めポーズ
剣の刃を艶めかしく手で拭い妖笑
【トリニティ・エンハンス】使用。状態異常力重視
剣に炎を宿す

忍法鎌鼬と忍法瞬断のコンボに注意
一定の距離保つ
殺陣の動きで【フェイント】入れて【2回攻撃】
軽やかに敵を斬り格好良く一回転
敵の腹部に回し蹴り



妖魔忍者の数も随分と減ってまいりましたが、猟兵の方はといえば攻めの手を緩めることはありません。
 次に舞台に躍り込みましたのは、日焼けした肌に黒い角、緋色の髪も鮮やかな羅刹の少年リト・クルル(羅刹のシーフ・f06517)。
 右手で短剣を抜き放ちますってぇと、行き掛けの駄賃とばかりに近くの妖魔忍者に切りかかります。
 リトの方は身軽さを生かし、ギラリとした切っ先で恫喝するように相手の顔面に突き付ける。
 忍者の方はその素早さにたじたじになりながらもそれを刀を上げて受けとめます。
 一回二回と繰り返し、三回目、リトは右手で顔面に突きつけた短剣をひょいと左手に投げ渡しますと、ゾブリッっとお留守になっていた下から上へと切り上げます。
「ガキだと思って甘く見るから悪いんだぜ」
 切り捨てた忍者が倒れるのを後目に言い捨てて、再びリトが駆け出しました。

 さぁて勢いに乗ったリトがまた別の忍者に切りつけますと、今度の忍者は黒い大剣でもってこれを受け止めてのけます。
 二度三度と切り結ぶ合間に、忍者がボソっとリトへと何事かつぶやきかける。
 すると両者一時に後方へと飛び退りますってぇと、リトの方では短剣を剣舞のように振り回し、集中力を高めてまいります。
 迎え撃つ忍者の方でも刃渡り六尺もの大剣を青眼にぴたりと構えまして、剣全体を怪しい炎で包み込みます。
 2人の緊張感にあたり一面のまれまして、見物客全員がシィーンとかたずをのんで見守る中、誰かが足元の小枝を踏む音がパキリッと響いた。
 イヤァーッ! と二人が弾かれたように駆け出しますってぇと、すれ違いまして一刀両断!
 お互いに刃を向けることなく、向かった先の妖魔忍者を切り捨てます。

「こぉんっ!? 裏切ったのですか!?」
 っと思わず明日香が声を上げると、大剣を持った忍者が覆面の下で、にやりと笑いまして。
「裏切ったんじゃねぇ、表返ったのさ!」
 バサリッと忍者装束を脱ぎ捨てますと現れましたる美丈夫、杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)。
「――、一体何奴っ!?」
「名乗るほどのものじゃねぇ、通りすがりの流離人だ」
 そう言って抜き身の大剣の切っ先をぴたりと明日香へ向けまして。
「見つけたぜ、黒幕の狐さんよ」
 慌てて口を押えますがもう遅い。他の猟兵たちの視線も、とうに彼女の方を向いております。

「こぉん! 妖魔忍者たち、やっちまえーっ、なのです!」
 彼女の言葉を合図にぐるりと二人を取り囲む妖魔忍者たち。
 これにひるむような二人ではございません。リトとクロウ、背中合わせに得物を構え、そろって不敵な笑みを浮かべます。
「いいぜ、来いよ。たっぷり可愛がってやるぜ」
「さっさと続きヤろうぜ? 俺の玄夜叉がさっきから疼いて仕方ねェんだわッ!」

「「さぁ、死にてぇ奴から、かかってきやがれっ!」」
 ってんで美男子二人が、見得を切りましたから、あたりの見物人から黄色い歓声がキャーッ!っと上がります。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『『妖狐』明日香』

POW   :    妖狐の炎
レベル×1個の【妖狐の力 】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
SPD   :    野生の開放
【真の妖狐の力 】に覚醒して【九尾の狐】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    スコールシザーズ
自身が装備する【鋏 】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠暁・碧です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

蛇塚・レモン
クロウ(f04599)君とマックス(f03382)おじ様と一緒に頑張るよっ!
他の人との連携も歓迎だよ!

実はこっそりと観客として紛れて見物してたあたいだよっ!
目の前で明日香さんが2人の攻撃に気を取られている時がチャンス!
明日香さんの背後に魔方陣を生成して、ユーベルコードからの【だまし討ち】で蛇神様をけしかけちゃうっ!
そしてあたいの勾玉の力で蛇神様を実体化!
明日香さんを締め上げて、呪縛もオマケして動きを止めちゃうよっ!
あたいも蛇腹剣で切り刻みながら雁字搦めにしつつ【生命力吸収】で明日香さんを弱らせちゃう!
飛んでくる鋏は【衝撃波】と【念動力】と【オーラ防御】と【勇気】で敵へ弾き返してみせるんだよっ!


アルミィ・キングフィッシャー
はてさて。ここいらで佳境となります。

この演目の中心である妖狐の明日香嬢に登っていただきましょう。
これまでの忍者以上の動きをきっと魅せてくれることでしょう。
(炎っぽい書割をレプリカクラフトで生み出しつつ)

(小声で)……というわけで逃げるなよ?見物人は惜しいだろ?(しれっとデュエリスト・ロウの手袋を相手の懐に仕込みつつ)

さて、一枚目と二枚目が来た所で、アタシは少し黒子に回るかね。相手のスコールシザーズで客席に飛びそうなものがあれば回収して回っとく。こいつが催しものであるって思われるように余裕は崩さねえ。

美味しいところを持っていくのは男役の方が良いだろう?


麗明・月乃
随分とお間抜けな妖狐じゃな。
…が、なるほど。忍び達よりは幾分かやるようじゃ。これは骨が折れそうじゃの。
――今の姿のままでは。

「偉大なる妖狐、麗明月乃の一世一代の大妖術をご覧入れよう」
自身と指輪の『封印を解く』真の姿になると同時に【九破魔憑の舞】を使用。
扇で舞いながら指輪を光らせ、九尾の姿へ変化。
偉大な私の姿を目に焼き付けると良い!
…くふふっ、何か楽しくなってきたのじゃ。
おっと、観客は巻き込むよう注意するぞえ。

「お主も九尾のようじゃが。どちらの方が魅せられるかの?」
氷の『属性攻撃』である吐息で狐火を相殺、鮮やかな炎の軌跡を『全力魔法』描いて爪を敵に叩きつけるのじゃ。
さあ、演目はまだ終わらぬぞ?


稲荷・恋狐
■真の姿
童の姿から妖艶な成人へと変化じゃ。

■明日香へ
ちと……悪戯が過ぎたようじゃのう。子狐。
同族のよしみじゃ。大人しくお稲荷の元へ行くなら手荒な真似はせぬ。
が……。抵抗する気でいるならば……。相応の覚悟はせよ?

■戦闘
あまり抵抗されても面倒じゃ。【殺気】で【恐怖を与え】怯みでもすればその隙に七星七縛符で自由を奪ってやるとするかのう。
「言うたじゃろ?相応の覚悟をせよと……。さぁ……仕置きの時間じゃ。」

■明日香の捕獲
余は加減とやらが苦手ゆえな。子狐の捕獲は他の者に任せるとしようかの。
うっかり殺めてしもうては……元も子もなかろう?

(アドリブ・他者との絡みは大歓迎じゃ)


杜鬼・クロウ
アドリブ〇
レモンや他猟兵との連携意識

「随分、お粗末な黒幕もいたモンだぜ。後はテメェだけだ。
なぁに、命まで取りゃしねェよ。大人しくお縄に…つかねェか。
なら少し痛い思いしてもらうぜ!可愛い面を歪ませるのは良心が痛むがなァ!」

【挑発】して玄夜叉を構え【先制攻撃】
【トリニティ・エンハンス】使用。防御力重視
命を取らないよう鋏を払い落す
芝居がかった動作で敵を追い詰める

仲間のピンチには自ら【かばう】
水を宿した剣で【2回攻撃】
尻尾を切り裂く
その隙に懐に忍ばせてた数珠で捕縛

「芝居して魂集める作戦は考えたな。
けど度が過ぎてンぞ。改心しろやアホ狐(デコピン)
稲荷サンとこに行ったら俺がたまーに遊んでやっからよ(ニィ」


枯井戸・マックス
レモン(f05152)と合流し共闘するぜ。
レモンが騙し打ち戦法をとるなら、俺が隙を作ってやろうじゃない。

敵の眼前まで特攻し跳び蹴りを仕掛ける。
敵からの反撃は折り込み済み。
むしろその衝撃を利用して鎧をパージし、敵の視界を遮ってやる。

「今だ嬢ちゃん!」
レモンの不意打ちで敵が体制を崩したらすかさず連携の準備だ。
俺の本体である仮面がアーマーを伴ってレモンに飛び移り、レモンの蠍座の属性を強化する鎧として変形装着。
鹿角は虚空に搔き消え、代わりに現れるは蠍尾を思わせる長鞭。
「早変わりも舞台の花ってな?サモンアーマー・スコーピオ!」
憑依した後は息を合わせた変幻自在な蛇蝎の毒攻撃で攻め立てる。

アレンジ歓迎



「ぐぬぬ」
 杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)や枯井戸・マックス(サモナー・ザ・アーティファクト・f03382)、他の猟兵達に次々に返り討ちにされる妖魔忍者達。
 それを見て歯噛みをする明日香の手を、アルミィ・キングフィッシャー(人間のシーフ・f02059)がぱっと捕まえ芝居がかった口調で口上を並べます。
「さぁて、演目もこれにて佳境。妖狐の明日香嬢に舞台に登っていただきましょう。これまでの忍者以上の動きをきっと魅せてくれることでしょう」
 慌てて逃げ出そうとした明日香の懐へ差し入れられる手袋一つ。耳元に寄せられたアルミィの口から、ぼそりっと一つのルールが宣告されます。
「――逃げるなよ? 見物人は惜しいだろ?」
 何のことやら逃げるに決まってるってんで明日香が踏み出した途端、びりびりーっと全身を電撃に打たれたような衝撃が走ります。
 実は先ほどアルミィが持たせました手袋には一つまじないがかかっておりました。
 異国では男と男、誇りをかけて決闘をする際には、手袋をぶつけて宣戦布告をし、規則の定まった決闘に臨む決まりになっております。
 アルミィの手袋にもこれと同じ、規則の定まった決闘に相手を引き込むまじないがありまして……一度『逃げるな』と言われてしまえば、もはや逃れることはできません。

 明日香の方では、そんな事とは露とも知りませんが、ともかく自分が罠に捉えられた事は分かりました。
 目の前の猟兵たちの戦力と自身との戦力を計算し、勝ち目としては五分と五分。
 しかし、今ここで見物人の魂の一つ二つでも食らっちまえば六分四分、七分三分にも持ち込めるってんで、お得意の鋏を取り出して近くの見物客に向けますが。
 目の前にいたのは先ほど半纏を貸してくれたり、なにくれと世話を焼いてくれた二人組。
 世話になった恩を仇で返す、そんな人間みたいな真似はできない、ってんで別の見物客へ目を向けますと先ほど甘酒をくれたご隠居さん。
 元々は取り殺すつもりの相手ではございましたが、一言二言言葉を交わしちまいますと情の湧く物でございます。

「こんっ、こうなったら丁半博打!」
 ってんで見物客を襲うのをあきらめまして、アルミィに鋏を向けて振り下ろそうとしますと、びたりっとその手が止まります。
 それどころかまるで蛇に睨まれた蛙のように、指一本動かせない。
「明日香さんってば気が早いなぁ。ここじゃお客さんを巻き込んじゃうよ!」
 明日香の背後から声を掛けましたのは蛇塚・レモン(叛逆する蛇神の器の娘・f05152)。
 呼び出しました蛇神を引き連れまして、その霊力でもって明日香を金縛りにしております。
 真っ白い姿の蛇神様、明日香の襟首を咥えますとひょいっと自分の頭に乗せて、見せつけるようにぐいーっと鎌首をもたげて明日香を差し上げます。
 たまらないのは明日香の方、全身金縛りで身動きもできないところへ、屋根より高く持ち上げられましたから、わずかに動く体でもって落っこちないように必死でしがみつきます。
 そうしてレモンの合図でもって動き出しました蛇神様。まるでお披露目でもするかのように、明日香を頭に乗せたまま舞台の真ん中へずるーりずるりと這ってまいります。
 見物人の方では、さあこれからどんな出し物が始まるのかってんでかぶりつきで見ております。

 舞台の真ん中で待っていたのは明日香の同族、麗明・月乃(夜明けを告げる金狐・f10306)と稲荷・恋狐(おてんば桃色狐・f06130)。
「随分とお間抜けな妖狐じゃな」
 と月乃が頭を抱える横で、恋狐が頭に桃の葉を乗せてくるりとトンボを切ると、たちまち変ずるその姿。
 先ほどまでのあどけなさが消え、吐く息、視線も悩ましく、妖艶な美女に成長しましたから、見ていた男たちはたまりません。
「佳~い女だねぇ。女は化けるってぇいうけど本当だなぁ」
「化けるはずだよ。妖狐だもん」
「何言ってやがんでぇ、化粧と妖術をまちげぇてやがる」
 なんて感嘆の声があちこちから上がります。

 恋狐はつかりつかりと明日香の元へと歩み寄りますと、ぴたりと護符を突き付けます。 
「ちと……悪戯が過ぎたようじゃのう。子狐。
 同族のよしみじゃ。大人しくお稲荷の元へ行くなら手荒な真似はせんぞ?」
「こぉん、誰が……また数百年も封印されるものですか!」
 ケェーーーーンッと甲高い鳴き声を上げますってぇと、明日香の周りにヒューッドロロッと狐火が集まりまして、現れましたのは一丈五尺の九尾の狐!
 あたりに狐火と鋏をいくつも浮かせ、毛を逆立てて威嚇する姿のその凄まじさ!
 観衆からわーっと悲鳴とも歓声とも付かぬ声が上がりますが、妖狐二人は落ち着いたもの。
「抵抗する気でいるならば……。相応の覚悟はせよ?」
「なるほど。忍び達よりは幾分かやるようじゃ。これは骨が折れそうじゃの。――今の姿のままでは、のう」
 言って始まる月乃の舞。させる物かと放たれた狐火を恋狐が護符で撃ち落とす。
 ならばと巨大な鉤爪を振りかざした所へ、横っ腹にザクリッと突き刺さる黒い剣!
 悲鳴と共に飛び退った明日香に不敵な笑みを浮かべてクロウが見得を切ります。 
「後はテメェだけだ。なぁに、命まで取りゃしねェ。……が、少し痛い思いしてもらうぜ!」

 玄夜叉の血糊を一振りで払うと、上段・霞に構え駆けだすクロウ。
 近づかせてなるものか、ってんで明日香の神通力で浮かびあがった無数の鋏がクロウに襲い掛かる。
 玄夜叉に流れる水をまとわせてクロウは真っ向からこれを迎え撃ちます。
 切っ先を向けられる傍から鋏を玄夜叉で切り落し、そうして刃を揮うそのたびに、刀身から零れる水しぶきがクロウの顔を濡らします。
 水も滴るいい男が本当に水に濡れましたからたまりません。観客の方から再び黄色い歓声が上がってまいります。
 明日香の方はって申しますと、玄夜叉の刀身に目が吸いついて離れません。
 いかに自分が一丈五尺、巨大な体になったといえど、玄夜叉の刃渡り六尺でございますから、あれで切られればただでは済まない。

 とにかく近づかせないようにってんで意識が地にいるクロウへ向かったところへ、頭上からとびかかる鎧騎士。
 マックスが自慢の跳躍力でもって明日香の頭上をとりまして、その横っ面へ跳び蹴りを仕掛けます。
 ガツーンっと鉄の塊のぶちかまし、さすがの明日香もこれにはたまらず、ぐらりっとその巨体が揺らぎましたが、仕返しとばかりにその鉤爪でマックスの鎧を引き裂きます!
 霊力を失って四散する山羊座の鎧、マックスの肉体も吹き飛ばされ力無くその場に崩れ落ちる。
 はっと息をのむ群衆たちの目の前で、再び響き渡るマックスの声!
「いまだ嬢ちゃん、オレを使いな!」
 爆風に紛れて飛んだマックスの本体の仮面。それを掴みとったレモンが自分の顔に装着すると、仮面の奥の瞳がきらりっと輝く。

「「星辰の導きに従い来たれ! サモンアーマー・スコーピオ!」」
 呪文と共に四散していた鎧がレモンの体に次々と装着されてゆき、たちまち現れる蠍座天蝎宮の鎧!
 蠍の姿をかたどった鎧の右手に握られたのは、毒尾の如く棘を持った一振りの鞭。
 猪口才なっとばかりに降りかかる狐火や鋏をかいくぐり、あるいは鎧の防御力に任せて一歩踏み出しまして、ビシリッっと振るわれた鞭が、明日香の毛皮にめり込み、毒針が突き刺さります。
 ギエェーっととどろく悲鳴の中、どこからどうしたものか、鎧から紡がれるマックスの声。
「早変わりも舞台の花ってな?」

「同感じゃ、さあ偉大な私の姿を目に焼き付けると良い!」
 と答えたのは月乃。舞によって高めた霊力を手にした四つの指輪に注ぎ込んでまいります。

――我は偉大なる守護者。怒りは猛き焔に。
 指輪の一つに灯りましたのはボウッと燃え上がるような輝き。

――悲しみは白き凍気に。嘆きは轟く嵐に――
 扇子が翻り、指輪に宿る稲光の如き蒼い輝きと、北極星のごとき白い輝き。

――痛みは震える大地に。我が全霊を持って愛し子の敵を滅ぼさん!
 四つ目の指輪に溶岩の如き光がともりますってぇと、四つの指輪が眩いばかりに光り輝く!
 それを目の当たりにした明日香はキェーーイっと大銀杏よりも高く飛び上がり、頭上から降りかかるように鉤爪を振り下ろす!
 ガキィンッとその鉤爪を跳ね返し、光の中から現れましたのは炎と氷を身にまとった九尾の狐。
 開いた口から月乃の声が響きます。
「お主も九尾のようじゃが。どちらの方が魅せられるかの?」
 明日香が放った狐火や鋏を氷の吐息で凍てつかせ、炎の軌跡も鮮やかに月乃は鉤爪でもって襲い掛かる!

 猟兵と明日香、共に全ての札を切りまして、いよいよ戦いは佳境に入ってまいります。
 舞台狭しと暴れまわる月乃・明日香の九尾の狐。2人が肉弾戦をしているところにレモンが呼び出した蛇神様がシャーッと言いながら乱入し、押さえつけたところにアルミィとクロウが切りかかる。
 放たれる狐火、鋏に2人が退きますも、恋狐の護符が明日香の追撃を封じ、マックスとレモンが振るう毒尾の鞭が明日香の体に食い込みます。
 初めの内こそ猟兵が劣勢ではございましたが、だんだんと明日香の体の動きが鈍り、浮かび上がる鋏の数も減ってまいります。

「くっどうして……」
「知らなかったかい嬢ちゃん。蠍の尻尾には毒がつきものさ」
 そう言ってマックスが振るった鞭を明日香がひらりと躱しますが、鞭から飛び出た数滴の毒液。
 それらがじわじわと明日香の体力を奪っておりました。
 一か所に踏みとどまり、猟兵たちを一掃しようと鋏と狐火を浮かび上がらせる明日香。

「見ぃつけたっ!」
 そう言ってアルミィが鋏の一つを短剣で貫きますってぇと、たちまち他の鋏も同じように砕けてしまいました。
 元はといえば一つの鋏を、明日香が神通力でもって複製し操っていたのでありましたが、大元の鋏が壊されてしまえば、いくら複製しても砕かれた鋏にしかなりません。
 さすがに慌てる明日香にクロウが駆け寄りまして、彼女の尻尾へ玄夜叉を突き立てる!
 ギェーッっと叫んだとたん浮かんでいた狐火がふっと消えました。

 すべての飛び道具が消えましたから生け捕りをするのにこれほど都合のいい時はございません。
 再びレモンが蛇神様を呼んで明日香の体をからめとり、月乃が九尾の姿のまま伸し掛かります。
 何とか逃れようともがく明日香へ声をかけたのは恋狐。 

「余り暴れるなよ、余は加減が苦手故な。殺められたくはなかろう?」
 甘い声に込められた殺気に身を凍らせた明日香の前で、恋狐は呪縛のための術を仕掛けます。
「貪狼、巨門、禄存、文曲、廉貞、武曲、破軍――北斗星君の名のもとに、疾く我が命の如くせよ。急急如律令!」
 そして手にした七枚の護符が放たれ、明日香の体に張り付くたびにその体が小さくなっていき――最後にクロウが放った数珠が人型に戻った明日香を縛り上げます。

 何とか一仕事終えたと息を吐く一行へ、降り注ぎまする見物客たちからの拍手喝さい!
「イョォッ! 枯井戸屋っ!」
「正月からいいもの見せてもらったぜっ!」
「こいつぁ確かに寿命がのびらぁ」
 そんな中、恋狐がクロウの元へ歩み寄りそっと耳元へ囁きかけます。
「――礼を言うぞ。……危うくやり過ぎてしまうところであった」
 彼女の手の中で最後の七枚目の札が狐火に包まれてボウっと宙に返っていきました。

 ほどなくしてお稲荷様のお使いがやってまいりまして、一行は明日香を引き渡します。
 その後、猟兵たちは、次の冒険に出かける者、また初詣の人ごみに混じる者。
 思い思いの正月を過ごしましたが、なんとなんと!

「――丁度、時間でございます。
 この続きは、御席改めまた口演。
 『新春! 猟兵初芝居! 悪戯狐を懲らしめろ!』
 抜き読みの一席でございました」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『お祭りのお手伝い!』

POW   :    全力で楽しむ!

SPD   :    お手伝い開始!

WIZ   :    屋台を出すよ!

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


一騒動終わりました天大宗 金隆山 浅蒼寺。あいも変わらず、騒々しいものでございまして。
 僅かばかりですがとお稲荷様から金子を渡された猟兵たちの目の前には、きらびやかな着物に身を包んだ初もうでの御客さんでごった返しております。
 あちらを見れば獅子舞や厄払いのにぎやかな声。
 チャリンチャリンと響き渡るお賽銭の音。
 御神籤の結果に一喜一憂する人々の姿が。

 また向こうの方からは屋台でもって作っているのでしょうか。
 お雑煮汁粉の良い匂いがぷぅんと漂ってまいります。
 遠くの広場の方では誰か子供が遊んでいるようで、寿と書かれた凧が風に乗って飛んで参ります。

 被官神社の方へと向かえば明日香と何か言葉を交わせるかもしれません。

「折角一番にぎわう時期に来ましたからね。新年早々の依頼でゆっくり出来なかった分、どうぞ息抜きをしてください」
アルミィ・キングフィッシャー
…思いの外儲かったな(おひねりの重さを確かめて
やっぱここは酒処でパーっと使うべきだな。

こんだけ出店があるんなら、それくらい一つや二つあるだろう。
よう親父、こんだけ積むから応じた分だけ参拝客に振る舞ってやってくれないかい?
ああ、もちろんアタシの分も含めて。余るようならそこの汁粉屋にでも渡しとけ。折角の正月だ、景気よく行こうぜ。男も女も大人も子供も。
何最初からあぶく銭よ、なら使っちまった方が世のため人のためになるってもんよ。

(お猪口をぐいっと)
いやあ、一仕事の後は美味いねえ。
おう、そこの道行く人も一杯どうかい?
今ならタダ酒だぜ。

肴の辛味も人の絡みも歓迎だ。荒れない程度に騒ごうや。




「……思いの外儲かったね。やっぱりここは酒処でパーっと使おうか」
 おひねりを手にアルミィ・キングフィッシャー(人間のシーフ・f02059)が向かいましたのは、縄のれんに新春飾りをぶらさげた、いわゆる居酒屋でございます。
 えいらっしゃいっと応えた店主の前に、ざらっと先ほどのおひねりを全部出してしまいます
「こんだけ積むからあたしの分の他に参拝客に振る舞ってやってくれないかい?」
「そりゃぁ構いませんが……宜しいんで?」

「なぁに最初からあぶく銭。なら使っちまった方が世のため人のためになるってもんよ」
 運ばれてきた紅白なますに黒豆、数の子を肴に、燗を付けた日本酒をお猪口でもって、グイッと一息に飲み干します。
「いやぁ一仕事の後は美味い」
 なんていいながらちびちび飲んでおりますが、誰か通りかかる度に声を掛け、徳利を揺らして見せます。
「おう、そこの道行く人も一杯どうかい? 今ならタダ酒だぜ」
 ご相伴にあずかる人数が一人増え二人増えしている内に、店主がやってまいります。
「お客様、勘定の件でございますが……。
 いえ、足りないんじゃありません。余るんでございます」
「そうかい。なら隣の汁粉屋にでも渡しとけ」
 差し出された金を払いのけるように手を振りますと、アルミィはからりっと笑いまして。

「折角の正月だ、景気よく行こうぜ。男も女も大人も子供もさ」

成功 🔵​🔵​🔴​

稲荷・恋狐
(子供の姿に戻って活動しますっ!)

■お祭りパートでの行動
【WIZ】
同族として明日香さんの事も気になりますが……。お稲荷様に預けることできましたし、大丈夫と信じて、恋狐は戦闘に巻き込んでしまったみなさんに少しでも【恩返し】の為に屋台を出してみます!

屋台は恋狐の数少ない作れる料理。いなり寿司で勝負です!
いなり寿司の屋台を【誘惑】【おびき寄せ】【コミュ力】を活かして盛り上げていきますよー!
「稲荷が作ったいなり寿司!味はさておき、縁起が良いのは保証しますよー♪」

それと!ディスターブさんがもし恋狐の屋台に来てくれたら大サービスしちゃいますねっ!

(アドリブ・他の人との絡み大歓迎ですー♪)




「少しでも、巻き込んでしまった人たちへのお詫びと恩返しをするのです!」
 ってんで稲荷・恋狐(おてんば桃色狐・f06130)は、屋台に手製の稲荷ずしを並べて客引きを始めております。

「さぁさ、稲荷が作ったいなり寿司! 味はさておき、縁起が良いのは保証しますよー♪」
「お、狐の嬢ちゃん。えらいねぇ、売り子の手伝いかい?」
「はい! おじさまぁ、お土産にお一ついかがです?
 御利益満点! 持ち帰って娘さんに食べさせてあげると、親孝行の美人に育ちますよっ!」
「ははっ、そいつぁありがてぇ。それじゃ二つばかり貰えるかい?」
「はーい。……こちらがお釣りです! ありがとうございましたっ!」
 恋狐はコミュ力をはじめとした技術で客を呼び、たちまち屋台に長蛇の列が並びます。

――明日香さんの事も気になりますけどお稲荷様に預けましたし、きっと大丈夫ですよね。

 と同族の行く末を案じながら、お客さんをさばいておりますと、今回のグリモア猟兵、ディスターブが客の列から声を掛けます。
「いやぁ盛況ですね。ボクにも一つ頂けますか?」
「あっディスターブさん! はいっ、どうぞ。……ディスターブさんも無理をせず、息抜きをしてくださいね?」
 目を逸らして咳払いをするグリモア猟兵へ、一つ多くいなり寿司を詰めた包みを渡し、恋狐はまた別の客への応対を始めます。

「おーい、お嬢ちゃん、こっちにもいなり寿司一つ」
「はい、どうぞ! ――あなたの新年が良いものでありますように!」
 桃色の尻尾と耳をぴょこんと揺らして一礼し、恋狐は満面の笑顔を浮かべておりました。

成功 🔵​🔵​🔴​

麗明・月乃
やったー、終わったのじゃー!
今からは遊びの時間じゃ!

しかしなかなかどうして、見物客が多くて楽しかったのう。
ふふっ、あんな歓声を浴びたのは初めてなのじゃ。
何か礼をせねばならぬな。

御神籤…は、普通にやると仕事を奪いそうじゃ。
じゃあ鶏くじじゃな。
【鶏の頂点に立つ少女】を使用。邪魔にならん広い所を借りてぽいっと。
で、くじを分裂した鶏の首にくくって……と。
「さぁ、偉大なる妖狐印の鶏くじじゃー!逃げる鶏を捕まえてくじをゲットするのじゃー!」
いけー!って走らせる。
あ、子供にぶつからないようにするのじゃぞ!

……ああ、楽しいのう。
誰も死ななくて。皆楽しんで新年を迎えておる。
今回みたいな事件ばかりなら良いのにな。




「さぁ、偉大なる妖狐印の鶏くじじゃ! 逃げる鶏を捕まえてくじをゲットするのじゃー!」
 麗明・月乃(夜明けを告げる金狐・f10306)の合図で、コケーッ!っと駆け出す無数の鶏とわーっと追いかける見物客。
 鶏一匹一匹、首に御神籤が括ってありまして、『捕り手の運勢に応じた鶏がその手に飛び込んでくる』なんてぇ触れ回り。
 また捕まえた鶏を放してやれば放生会のように功徳を積める、ってんで面白がった見物人が広場の中で鶏を追いかけまわしております。
 
 その一角で鶏がやたらと騒ぐ。見ると中心にいるのは一人の少年。
 息せき切ってやたらと駆けまわり、とうとう捕まえられずにへたり込んでしまいました。
 そこへ月乃はとてとてと歩み寄り、起き上がろうとするのを留めます。
「そのまま息を整えておれ。運をモノにしようというなら、もっとどっしり構えるものじゃ。
 ……そら、きたぞ。そーっとな」
 月乃の助言に頷きまして、少年は寄ってきた鶏に静かに手を伸ばして、ひょいと捕まえます。
 そして開いた御神籤はってぇと。
「あっ、大吉!」
「おおっやるではないか! お主、今年一年は良い年になるぞ!」
 やったぁっとはしゃぐ少年を月乃は笑顔で見送ります。

「ふふっ、あの歓声の礼のつもりじゃったが、楽しんでもらえてなによりじゃ」
 言って月乃はベンチにぽふりと腰掛け、しばらく周囲の喧騒を眺めております。
「……ああ、楽しいのう。誰も不幸にはならず、皆楽しんで新年を迎えておる。
 こんな事件ばかりなら良いのになぁ」

成功 🔵​🔵​🔴​

蛇塚・レモン
他の猟兵のみんなとの掛け合いアドリブ大歓迎!

オルタナティブ・ダブルでオロチヒメ(蛇神様)と一緒に見て回るよ~っ!
端から見たら双子に見えるかも?
(あたいは目が琥珀色、蛇神様は目が深紅)
被官神社の方へと向かって明日香さんのロ様子を見に行こうかな?
途中の出店で甘酒とお汁粉を買って、冷めない内に差し入れしてあげたいな。他の猟兵のみんなとも食べたいっ!
レモン「やっほーっ!蛇神様を連れてきたよ!」
蛇神様「少しは頭を冷やしたか?ほれ、差し入れであるぞ」
レモン「また悪さしたら、あたいたち猟兵が飛んでくるから、悪さはめっだからねっ!?」
蛇神様「しかしながら、此度の『芝居』、余は楽しめたぞ。大儀であった」



蛇塚・レモン(叛逆する蛇神の器の娘・f05152)が2人で向かいましたのは、明日香が預けられた被官稲荷神社でございます。
 浅蒼寺の喧騒が嘘のように、打って変わって静かな境内。あちこちに狛犬ならぬ狐の石像が立ててあります。
 そのうちの一つを丹念に磨いている妖狐の姿。今回の事件の黒幕、明日香でございます。

 そこへ2人のレモンが声を掛けます。
「やっほーっ!明日香ーっ!」
「ほれ、差し入れであるぞ」
 明日香の方はってぇと一瞬怪訝な顔をしましたが、そのうちの一人、紅い瞳をしたレモンに目を向けます。
「こん。その眼力、先ほど金縛りにしてくれた蛇神様ですね」
「ほう。貴様、余の正体がわかるかぇ」
 言って唇からのぞかせた舌先が、さながら蛇のように二又に割れますが、見とがめたものはおりません。
「勿論。どうしてあなたみたいな強力な方がポンポン出てくるのかと思ったら、器でしたか」
「器ではない――余の自慢の娘じゃ」
 なんて言っている二人をよそに、もう一人のレモン、琥珀色の目をした少女は抱えてきた荷物を広げております
「はいこれっ、甘酒に御汁粉に、イナリ寿司。冷めないうちに食べよ!」

「こんっ、ご馳走様でした」
「うんっ! あたいたちはこれで帰るけど、また悪さしたら飛んでくるからね。悪さはめっだからねっ!」
 もう懲り懲りです、という明日香の言葉に頷くレモン。そこへ蛇神様が口を開きます。

「しかしながら、此度の『芝居』、余は楽しめたぞ。大儀であった」
 くつくつと笑う蛇神様に、もうっ! とあきれた声を上げるレモンでありました。

成功 🔵​🔵​🔴​

琥珀川・れに
【POW】
「お祭り?この世界のお祭りは鼓笛隊のパレード的なものではなく、祭壇のある敷地へ向かって色々あるのを見て回る感じだな」

(食べ物の屋台が多い気がする。お土産に持って帰れないものも多そうだ。つまり、僕が食べるしかないなあ…♪)

「おみくじ。フォーチューンクッキーの中身だけみたいなものか。
神様のおひざ元だ、ご利益があるかもしれない。」
さてさて結果は…



「これがこの世界のお祭りか。鼓笛隊やパレードはないんだね」
 なんてことを言いながら祭りの風景を眺めているのは琥珀川・れに(男装の麗少女 レニー・f00693)。
 故郷の祭りと違いを見比べるように、あちらこちらを見て回ります。
「ふぅん、祭壇のある敷地へ向かって色々あるのを見て回る感じだな」

 そうしてまた彼女の目に止まりましたのは、あちこちで飲み食いをする子供たちの姿。
 綿あめ、リンゴあめ、べっこうあめ。たい焼き、たこ焼き、今川焼き。
 あんまり美味しそうに食べているものですから、どれお土産に一つ買っていこう、ってんで適当な屋台に声を掛けます。
「すみませーん。一つ貰えますか」
「あいよっ! 冷めねぇうちに食べとくれよっ!」
 っと、受け取りましたのはアツアツのたい焼き。
 お土産にしようかと思っておりましたが、冷めないうちにと言われてしまえば仕方がありません。
 僕が食べるしかないなあ♪ っと頭からかぶりつきます。
「熱っ! うん、美味しい。ケーキに比べると甘味が控え目かな」

 と、れにがたい焼きを頬張りながら歩いておりますと、何やら妙な風景に出くわしました。
 横にはられた縄に無数に結ばれた小さな紙。
 見ると1人の男性が巫女さんから何やら紙を受け取りまして、縄に結んでおります。
「アレは何ですか? おみくじ? ああ、フォーチューンクッキーの中身だけみたいなものか」
 さぁて、神様のおひざ元だ、ご利益があるかもしれないってんで、れにが御神籤を引いてみますと。

――『大吉』でございました。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月07日


挿絵イラスト