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エンパイアウォー㊳~遺色の緋

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #オブリビオン・フォーミュラ #織田信長 #魔軍転生

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 第六天魔王――ついに追い詰められた織田信長がその背に負うは、気高き紅蓮色に空を染める無数の舞炎。
 それは野望の果てにたどりついた夢の潰える承前の色彩か、あるいは万に一つの血路を照らす導きの灯となるか。

「いよいよ終局が迫ってきたな。サムライエンパイアを乱した野心の焔、幕を引くために最後の力を貸してほしい」
 サク・スミノエ(花屑・f02236)は猟兵たちを見渡すと、準備はいいか、と手短にたずねた。
「第六天魔王率いる本隊は万全の状態で島原へ到着した幕府軍が引き受けてくれている。つまり、彼は既に丸裸の状態だ。我々は彼との戦いだけに専念できる舞台が整っている。とはいえ、その憑装と呼ばれる秘術『魔軍転生』はあなどれない」
 魔軍転生――その名の通り、魔軍将を呼び出してその力を振るう技。それは第六天魔王の力を更に増大させることはなはだしい。

 ここから送り出す皆が対峙するのは、主の背後に付き従いし大帝剣『弥助アレキサンダー』。
 その手に掲げし大剣は無数の鋼花となって戦場に舞い、紅蓮を纏う独鈷所の闘気は炎鎖となって互いを引き結び決闘の舞台へといざなう。十字架の及ぼす変異は禽頭と化して肉をついばみ、血をすするだろう。
「それも、まるでこちらの攻撃を先読みしたかのように先手をとってくる。策なしに特攻すれば間違いなくやられる。いうまでもなく、相手は強敵。そう簡単に倒れてはくれまい」

 それでも往くか、と猟兵たちへ覚悟が問われる。
 グリモアが光を放ち、戦火渦巻く魔空の城へと転移の準備が整った。


ツヅキ
 戦争の最終局面、純戦闘のシナリオとなります。こちらの特殊戦闘ルールをお読みのうえで対策を立ててください。
 こちらのシナリオで使用されるのは『弥助装』です。

 ※第六天魔王『織田信長』は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。

 ※このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 それでは、よろしくお願いします。
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第1章 ボス戦 『第六天魔王『織田信長』弥助装』

POW   :    闘神の独鈷杵による決闘状態
【炎の闘気】が命中した対象を爆破し、更に互いを【炎の鎖】で繋ぐ。
SPD   :    逆賊の十字架による肉体変異
自身の身体部位ひとつを【おぞましく肥大化した不気味な鳥】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    大帝の剣の粉砕によるメガリス破壊効果
自身の装備武器を無数の【大帝の剣型】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。

イラスト:UMEn人

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

大神・零児
第六感・野生の勘・戦闘知識で敵の動きを見切り、咄嗟の一撃・早業・逃げ足・ダッシュ・残像と建物の階段・梁・柱等も地形の利用で用いて回避
回避が無理ならば黒剣「黒鞘」でオーラ防御・武器受けもしくは妖刀「魂喰」を振り炎の闘気を衝撃波で吹き飛ばし

回避又は防御しながらマルチグレードを用いた毒使い・マヒ攻撃、煙幕やスタンモードによる目潰し等で動きを鈍らせ
マルチギアをフル活用し聞き耳・世界知識・暗視で位置を特定しスナイパーの如くユーベルコードで構造物ごと切り裂かれた次元で斬りつける

その他使用技能
2回攻撃
情報収集
範囲攻撃
毒耐性
罠使い
一斉発射
気絶攻撃
スライディング
なぎ払い
念動力
力溜め
投擲
破壊工作

アドリブ共闘可


ジャスパー・ドゥルジー
【ゲヘナの紅】で自分の体熱を上昇させる
剣だろうが殺傷能力があろうが花びらだろ
俺の血に宿ったオウガ……炎を操る魔竜の高熱で焼き切ってやる

それが無理なら避けられるもんは避け
無理なら【激痛耐性】で耐える
――この程度、痛くも気持ちよくもねえよ
負傷すればするほど、俺の【熱】も増す
被弾の少なさよりも敵に届く速さと【倒れない事】を優先し立ち回る
戦場に留まりさえ出来れば
どんなに押されようが巻き返せるさ

あんたも炎使いかい
俺の熱とどっちが強えか試してみようぜ
敵の目を掻い潜る事は考えず真正面からぶん殴る
そも、頭脳戦は苦手なんだよ
突破したら後は俺のやり方でやらせてもらうぜ

絡みアドリブ歓迎


吉柳・祥華
アドリブ・連携等はお任せ
◆心情
いやはや見た目通りにタフなお人のようざんしな…
後ろのアレの所為でありんしか?
信長公も傾奇者と謳われておったと聞きんしたが
大帝剣の彼奴も大層な傾奇者でありんす(特にアフロ!)

◆先制
敵が剣の花ならば
凛と咲き乱れる桜で信長公の花道を染めようかのぉ
歌(詠唱)を詠みつつ「舞え、桜華!!」

次の攻撃に備え霊符のに封じられし『朱霞露焔』を解き放ち
敵の動きを鈍らせる術式を籠めた攻撃で捌き
弓等でだまし討ちし
もしくは
毒を施した結羽那岐之(なぎなた)で鎧無視攻撃で鎧砕き串刺して傷を抉ってみたりなどじゃな

回避には
武器受けや武器落とし、残像・見切り・第六感・野生の勘どで対応するのじゃよ


トゥリース・リグル
アドリブ連携歓迎
【SPD】を選択

どこまでやれるかはわかりませんが、全力で行かせていただきますよ

身体の一部を変形させて噛みつかせるという特性上、向こうは間合いは至近距離でしょう
となれば、【錬成カミヤドリ】で複製ダガーを生成、相手を近づかせないように【ダッシュ】で信長との距離を一定に保ち、複製ダガーを飛ばして【鎧無視攻撃】をします
消極的かもしれませんが相手はあの第六天魔王、近づかないで済むならそれに越したことはありません
一応、何があってもいいよう常に【第六感】を研ぎ澄ませます
何か危険を感じたら攻撃より【見切り】による回避を優先
サポートに回る際は相手の回避コースを潰すように複製ダガーを飛ばします


九尾・へとろ
ひょひょ、騒乱の大元締めが天下の大うつけとはのー。
よい。実によい。
亡き一族の名代を背負い、第六天魔王殿に御披露奉ろう。
九尾一族がへとろ。舞うは武舞。脳裏に刻んでおくが良い。

しかしのー、鳥の化物になるとか反則じゃよなー。
武舞の流れにある「ダンス」「舞踊」「暗殺」「挑発」を駆使して跳ねて逸らして屈めて避け舞うとしようかの。
いまだ戦場で傷を得なんだが自慢じゃし?
此度も上手くかわしていきたいのー。

避け切れれば次はこちらの手番よ。
一人では敵わんじゃろうから他の猟兵を使うて目を引かせ、奴の首を獲る。
でなければ、ウチが異能にて色を描き「存在感」を放って囮になろうかの。
要は結果じゃ。倒せればそれで良いからの。


フィロメーラ・アステール
「一筋縄ではいかなそうな相手だな!」
真っ向勝負は分が悪い!
どうにかして隙を突かないと!

【空中浮遊】して【空中戦】を挑む!
花びらは【ダッシュ】で回避を狙う!
でも、避けきるのは難しいだろうな。

そこで【オーラ防御】バリア!
逃げ切れなかったので防御!
という【演技】をする!

トドメのために花びらを集中させてきたら勝負!
バリアを【防具改造】して【グラップル】効果付与!
接触した花びらを捕まえて【武器改造】パワー注入!
【盗み】取り、バリアを補強する壁にする!
この流れで雪だるま式に花びら吸収!

敵が不審や油断で攻撃を緩めたら反撃!
【第六感】と【聞き耳】で敵の居所を把握!
【残像】の速度で【スーパー流れ星キック】だー!


赤星・緋色
出たね大ボス!
と背後のアフロ的な奴
しっかりと仕留めてエンパイアに平和をもたらすのだ

ふふーん、相手の攻撃の弱点はずばり「肥大化した」鳥の頭部ってところ
背景見た感じ室内だし、この時代の日本建築は天井が低いから大きいものを振り回すのには向ていないよ

柱や畳替えし、襖も目くらましに使いつつ技能逃げ足の仕様で逃げ回るよ
相手は噛みつき攻撃だから、ガジェットも使って防御と回避に専念かな
ある程度逃げ回って見晴らしがよくなるころには反撃の時が来てるでしょ

攻撃はガトリング
属性弾は氷をセット
範囲攻撃の凍結弾で進路を狭めつつでいこ
接近される回数を減らせば、攻撃を受ける回数も減らせるはず!

あと一息で決着だしがんばろー


玖・珂
勝ち筋は見えずとも
一縷の望みに賭け打って出る気概は好ましい
……だが
己が野望に無辜の民を巻き込んだ罪は重いぞ

私を狙い来襲するなら剣の軌道は幾らか読みやすい筈だ
早業にて糸雨で迫る剣を絡め取り
其のままなぎ払い他の剣を叩き落とす
捌き損ねた剣はジャンプや第六感も駆使して回避するが
防御ばかりではジリ貧だ

右目に翠色の花を開いたなら
剣の花びらが薄い箇所を狙いダッシュで接敵するぞ
致命傷でなければUCと激痛耐性で凌げる

敵の脆くなった部位を情報収集し見極め
怪力のせた長杖の刺突で鎧砕き
焔を高速詠唱する2回攻撃
穿った鎧の内側へ全力魔法を注ぎ
紅蓮さえも呑み込む白き焔を起こそう

欲望尽きぬ其の魂ごと、焼き尽くしてやろう


ヴォルフラム・ヴンダー
貴様らの狙いなど知ったことではない
だが名うての剣豪とあらば、剣交える理由は十分
――いざ


ひるがえしたマントを投げつけ身代わりに
己は「見切り・残像」で回避を試みる

成功・失敗いずれも反撃時に【血統覚醒】を発動
攻撃力の上乗せを狙う

▼回避成功
死角めがけ移動
牽制に「殺気」をはなち、黒剣で渾身の一撃を叩きこむ

▼回避失敗
爆破と炎の鎖を受けつつ「カウンター」
至近距離からドラゴンランスを「槍投げ」
「串刺し」にして敵を縫いとめ、仲間の攻撃へと繋げる

攻撃は「激痛耐性」で耐え
「吸血・生命力吸収」で体力の維持を行う


他の猟兵で一太刀届かず倒れる命運の者があれば
敵からの攻撃を俺が「かばい」受けることにより
その者に機を与える


スナッチ・ベット
【エイリアンツアーズ】の仲間たちと
遅れ馳せながら僕もエンパイアウォーに参戦します!

第六天魔王とその憑装さんも、すごいおっかないけど
故郷(サムライエンパイア)の大事だもの
戦は嫌いだけど、結末は見届けたくて

レプリカクラフトで自分に仕掛け罠を作成
攻撃を受けたら爆発の衝撃で色々突き刺さる系のアレを服やリュックに仕込んで
【地形の利用】しつつ、【見切り】や【逃げ足】を使って
仲間達とは別の角度から敵との距離を詰めていくね
噛みつき攻撃を受ける又は近くまで接敵したら罠を発動
ふふ、第六天魔王の驚いた顔ちょっと見てみたいよね
自分へのダメージは【オーラ防御】で軽減
皆が攻撃に転じる切欠を作れたらって思うよ


パウル・ブラフマン
【エイリアンツアーズ】の皆と参戦!
アルバさん、Glanzの後部座席へどうぞ♪
そんじゃあ第六天魔王☆ノッブの首、頂戴しまァァす!!


▼先制攻撃対策
噛みつき攻撃を警戒してアウトレンジ戦法を。
【運転】テクを駆使して
Krakeの射程に納めるよう留意しつつ
接近された場合は
壁面走行や【スライディング】で躱したいな。

エイツアクルーのピンチには
【誘導弾】を弾幕代わりに発射し目くらましを。


▼反撃
皆が鳥頭の切断を試みる間に
オレは信長本体の方に照準を合わせて【一斉発射】!
首から上は変化しないと踏んでヘッドショット狙い。
次手で十字架を落とせないか挑戦を。
チャンスは逃さず声掛け、せーのでカマすぜ!

※絡み&アドリブ大歓迎!


アルバ・アルフライラ
【エイリアンツアーズ】
*基本名前呼捨て、敵以外には敬語

では、御言葉に甘えまして
パウルが駆る鉄の馬――バイク後部で織田信長を注視
特に鳥の頭部と化した部位の挙動を観察
ある程度第六感にて予測も加え、皆に助言
接近を許した際は高速詠唱の光魔術で目潰しを試みる
彼奴の注意が他に向いているならば
その隙にマヒ攻撃を与えるも手か
攻撃を喰らうにしろ少しでも杖で軌道を逸らし
オーラ防御、激痛耐性で耐える
多少砕かれようとも振り落とされなければ問題ない

触媒たる宝石を眼前に展開
手早く、然し可能な限りの魔力を充填
決して好機を逃さず
確実に当てられる隙を突き【妖精の戯れ】の一撃を

貴様の統べる世は終った
――時代遅れの天魔は疾く失せよ


ヨシュカ・グナイゼナウ
【エイリアンツアーズ】の皆さまと
(呼称:名前の前半+さま。アドリブ連権歓迎です)


既に舞台は幕引き。お仕舞い、お仕舞い。左様なら。


噛みつき攻撃を【見切り】【フェイント】と【残像】を合わせて極力躱し。最低限武器を振るえるならばそれで良い【七哲】を鳥頭に向けて。それだけ大きくなっているのなら狙いを付けるのも容易い筈
全てが当たらずとも、当たりさえすれば攻撃の弱体化に繋がります。そうして弱った頭を【武器落とし】【部位破壊】で、その鳥頭(ぶき)全力で落とさせていただきます。この斬魔を冠する開闢に、斬れないものはきっと無い

頭(ぶき)が落ちたら、わたしの役目はここまで。あとは頼れる仲間が


三条・姿見
SPD/【エイリアンツアーズ】にて

抜刀し敵と相対する。…一筋縄ではいかないだろう。
だが、ここで退くつもりはない。猟兵として任務を全うする。

・先制攻撃対策
…変化する部位が頭部とは限らない。身体を含め、挙動にはすべて注意を払う。
噛みつき攻撃は【残像】を囮に距離をとり、間合いをずらして回避を試みたい。

・反撃
回避後はすぐさま反撃を。早業で【撃剣】を複数抜き放ち【投擲】、
【範囲攻撃】でカウンターを仕掛ける。
刃には【マヒ攻撃】の薬を仕込む。…嵌れば僥倖。
動きを鈍らせ、仲間の追撃に繋げたい。

好機は決して逃さない。仲間と全力で臨む算段だ。
刀を構え【封切】解放、【2回攻撃】を叩き込む。

※二人称:名前呼び捨て


ヴィクトル・サリヴァン
いよいよ最後、第六天魔王か。
手勢は大体いなくなったとは言っても油断はできない。
ここできっちり仕留めて勝利で飾らないとね。
…炎はちょっと苦手だけども、頑張る。

可能なら他猟兵と連携。
高速詠唱で水の魔法を使用。
水の壁、できれば俺の全身包める位の水球を、信長が炎の闘気放ってる間は沸騰防止に内から新しく作り続ける。
炎の闘気の直撃とそれによる爆破、そして水の沸騰を防ぐ。
可能なら水壁を銛に氷の属性纏わせ突いて水を冷却凍結、爆風防ぐ助けにする。
炎の鎖については好都合、鎖の先に信長がいる。
UC発動できるようになった瞬間、銛を鎖の先に向け奇襲気味に投擲しUC発動。
水のシャチを喰らいつかせる!

※アドリブ絡み等お任せ


重松・八雲
王手にして正念場――いざ大勝負の大舞台へ
戦禍の象徴の如きその焔を、天下に広げる訳には行かぬ!

気概を絶えず胸に、隙あらばUC即使い戦闘・機動力強化
全身に激痛・火炎耐性備えた上でオーラ防御は急所に集中
野生の勘や見切りで敵の動きや攻撃の筋探り、致命傷防ぐよう警戒
UC飛翔間に合えば最速で飛び回避図る
が、不可能・回避が逆に危うい時は武器受けで少しでも威力削ぐべく構え、裂帛の気合や覚悟を以て闘気に抗う
繋がれても逆に敵を逃さぬ好機と捉え反撃へ
怪力で一気に鎖引き体勢崩しや距離詰め狙い、渾身の一刀で鎧砕きを

その野望を絶たねば、儂の野望が叶わぬ――楽隠居等と言うておれぬでな!
貴殿も隠居するが良い、骸の海の底へと!


吉城・道明
魔王の威風も、将の忠義も、流石――然れどその天下布武を許す訳には行かぬ
野望と戦火が再び燃え広がる前に、鎮めねば

完全回避は困難と割切り、下手な動きは控え防御に専念
オーラ防御と激痛耐性を全身に重ね、耐久の足しに
動かぬ分、全意識を敵の動作観察に集中――致命傷だけは防ぐよう見切りで攻撃の流れを読み、意識と急所絶たれぬよう武器受けの構えを
後はこの刀と意志を貫き通す覚悟で以て、闘気に挑む
此処は、譲らぬ
その血路は――覇道は、必ずや断ち斬る

繋がれようとも、構わぬ
其は敵を掴む標ともなる
逆手にとって早業とカウンターで即攻勢へ転身
鎖の先へ迷わず刀を
残る力の全てを尽くし、鎧砕きの剣刃一閃を

願わくは、泰平の世こそを――



●終焉の獄地へ
(「なんて、禍々しい炎の闘気だ――」)
 大神・零児(人狼の妖剣士・f01283)は其処に居る男の身から燃え盛る紅蓮の放つ魔気から目を逸らさぬまま、跳躍。
 服の先を掠め、背後の柱に接触した炎が瞬時に弾けた。強靭な脚で天井の梁を蹴り、乱舞する炎の余波を己の気を纏わせて盾と変えた黒剣で振り払う。
「煙幕か? ――小癪な」
 低く嗤う声と同時に、炎が一斉に燃え広がった。
「その台詞、そっくりそのまま返そうか」
 零児は着地と同時につぶやき、手にした妖刀で襲いかかる炎から身を守ると再びマルチグレードを炎渦の中心部めがけて投げ込んだ。
 ――ドンッ!!!
 傍若無人たる爆風に身を晒すヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)の周囲に集まった水の粒子がいつしか見上げるほどの水壁となって第六天魔王の周囲を取り囲んでいる。
「……絶対に諦めないその野心の強さだけは尊敬するけどね。ここできっちり終わりにさせてもらうよ」
「うむ。戦禍の象徴の如きその焔を、天下に広げる訳には行かぬ!」
 畳を蹴って飛翔――ヴィクトルの水壁を越えて信長の頭上に舞い踊った重松・八雲(児爺・f14006)はその身に受けた火傷の痛みを殺し、裂帛の気合を発した。
「きぇぇええええい!!」
「――なに!?」
 迎え撃つ第六天魔王は、己の炎を突破されたことに驚愕の声を上げる。
「その野望を絶たねば、儂の野望が叶わぬ――楽隠居等と言うておれぬでな!」
 ぐるんと身を回転させて直撃を見切った八雲の喉を狙う炎の残滓は、急所へと重点的に纏った気功によって呆気なく綻んだ。
「ちぃっ、この水壁が邪魔か!」
 更なる闘気を発して押し返さんとする炎とヴィクトルの体を包み込む水球が相剋し、水蒸気が破裂した。呼吸器を灼くほどの高温に熱された中を黒き鎧に身を包んだ無彩色の男が進撃する――その名を、ヴォルフラム・ヴンダー(ダンピールの黒騎士・f01774)。
「!?」
 第六天魔王の闘気が彼を捉えたと思った刹那、黒いマントの残骸が爆風に千切れて視界を横切った。
「儂の野望を邪魔するつもりか、異国の騎士よ?」
「貴様らの狙いなど知ったことではない」
 孤高に言い捨て、目にもとまらぬ電光の疾駆を見せるヴォルフラムの両目が赫々と底光る。その身に秘めし血統による潜在能力の発露と殺気による牽制。僅かに第六天魔王の背後に取り憑いた弥助アレキサンダーの動きが鈍ったその隙をヴォルフラムは見逃さない。
「――いざ」
 それは剣豪としての矜持。
「ふっ、ならば御相手致そうぞ!」
 第六天魔王の唇が笑みに歪み、闘気を纏わせた刀と黒剣が激しく鍔迫り合った。
「ぐぬぬ……ぬ……!!」
 足元に炎が龍の如く渦巻き、更なる地獄を現世に降臨せんとするその光景。
「――否」
 だが、と吉城・道明(堅狼・f02883)は拒む。
 彼の武人としての克己心は千度万度の熱にも溶かすことは不能。刀を構え、微動だにせず道明は耐え続ける。死角から狙いをつけた炎の舌を僅かなすり足のみで躱す瞳は第六天魔王のみを見据えていた。
「此処は、譲らぬ」
 眉一つ動かさぬまま激痛に耐え、勝機を待つ。
「ほう」
 第六天魔王が嗤った。
「儂の野望の果てに逢いまみえた者たちよ。その身を炎に焼かれながらも儂の夢を絶たんとするその心意気、とくと受け取った。ならば弥助よ、こちらも全力で向かい撃たねばなるまいな?」
「はい、信長様! うおおおお……――ッ!!」
 弥助アレキサンダーの力を得て、第六天魔王の右腕がめきめきと音を立てながら巨大化。尖った先端が唾液に濡れながら割り開かれ、『カァ』と不気味な鳴き声を上げた。
 
●死魂を啜る嘴と研ぎ澄まされた無数の刃花
「来た――……!」
 これまで猟兵たちが与えた傷を癒させてなるものかと、トゥリース・リグル(刃を為すモノ・f00464)は数重ものダガーを眼前に錬成。
「九尾さん、赤星さん! 気を付けてください」
「ひょひょ、地獄を流れる溶岩の如き炎の美しき。眼福よのー」
 指先が蝶のようにしなり、着物の裾が炎を躱して翻る。九尾・へとろ(武舞の姫・f14870)の鋭い流し目が第六天魔王を捉え、唇に笑みが浮かんだ。
「九尾一族がへとろ。亡き一族の名代を背負い、第六天魔王殿に御披露奉ろう」
「ほう。よほどの自信があるらしいな――では、試させて頂こうぞ!」
「ふふーん、やれるもんならやってごらんよ!」
 最も手近な場所にいた赤星・緋色(サンプルキャラクター・f03675)に飛来する獰猛な嘴は、しかしすんでのところで盾のように返された畳を激しく食んだ。
「よ、っと! こっちこっち、捕まえられるかな?」
 相手が真っすぐにこちらを追跡してきたのを心得てから、柱に手をかけて急カーブ。見事、手前の襖に鳥頭が突っ込んでいく。
「隙あり!」
 頭蓋を穿つ音を立て、トゥリースのダガーが襖越しに命中。
「なんの!」
 第六天魔王が腕を振るうと、しなやかな鞭のような弧を描いて鳥頭が戻ってくる。
「近づけさせません……!」
 トゥリースは再びダガーを呼び出しつつ、大きく後ろへ跳躍して嘴を避けた。脚が床を蹴るごと、その後を追った嘴が何度も床を穿つ。
「おそいのー、ほら、こっちじゃこっち。ウチの武舞。脳裏に刻んでおくが良い」
 へとろが踊る軌跡を猛然とそれは追ってゆく。もう少しで嘴が届くというところで、残念でしたと言わんばかりに指を引いた。
「それっ!」
 跳び箱の要領で軽やかに鳥頭を飛び越えた緋色は空中で回転しながら呼び出したガジェットで余波を防ぎ、音も立てずに着地。
「やるではないか!」
 第六天魔王が再び鳥頭化かした腕を振るいかけた時、憑依した弥助アレキサンダーが叫んだ。
「信長様、新手です!!」
「舞え、桜華!!」
 心酔する主の身を憂う声と重なったのは、凛と澄み渡った吉柳・祥華(吉祥天龍・f17147)の紡ぎあげる儚き歌。
「ぬ……!?」
 鋭い刃と化した桜華が嵐のように襲いかかる。
 刹那、弥助アレキサンダーの手にある剣型のメガリスが甲高い音を立てて砕け散った。それらはひとつひとつの欠片が一枚の花弁となり、更にそれが一輪の花となって猟兵たち目がけて降り注ぐ。
「――剣だろうが殺傷能力があろうが、つまるところはただの花びらだろ?」
 口元をにやりと歪め、ジャスパー・ドゥルジー(Ephemera・f20695)はひと羽ばたきするとバレルロールの要領で背面越しに回避する。
 掠るほどの至近距離を通過する際、花びらの表面が陽炎のように歪んだのは彼の血が発する魔竜の高熱によるものだ。
 ピッ、と頬の皮膚が裂け、血が滲む。
 伝い落ちた血を享楽的な舌先が舐め取った。
 この程度、鬼とも悪魔とも呼ばれ続けたこの身には痛くも気持ちよくもない。ジャスパーと入れ違いで進み出た玖・珂(モノトーン・f07438)が素早く指先を繰った途端、時間が停止したかのように花弁が動きを止める。
「勝ち筋は見えずとも、一縷の望みに賭け打って出る気概は好ましい……だが」
 再び指を動かすと、見えない鋼糸に絡め取られた花弁が一斉に地へと落ちた。花屑を踏み越え、残る他の花弁を身軽な伸身の跳躍で躱し尽くす。
「己が野望に無辜の民を巻き込んだ罪は重いぞ、信長よ」
「ふっ……もとより極楽へ行けるとは思っておらぬ。それにどうやら、儂の命運もここで尽きたようだ……」
 数多の猟兵たちの攻撃を受け続けた第六天魔王の体はいつしか体という体の部位から出血し、その顔色は血の気が引いてどす黒く変異している。
「だが」
 それでも、彼の声から力は失われない。
「下天での最後の宴、せいぜい盛大に羽目を外そうではないか!!」
 叫び猛けり狂う男の元から数えきれないほどの花弁が鋭い刃となって降り注ぐ。炎の空を金色の光がジグザグに飛び回り、合間を縫うように飛翔した。
「一筋縄ではいかないとは思ってたが、往生際の悪いやつだぜ――げっ!?」
 フィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)は、勢い余って激突しそうになった花弁から身を守るためにオーラを展開。
「さらばだ!」
 動きを止めたところへ、駄目押しの第二波が迸る。
「――と、見せかけてー!」
 なんと、防御に使われていたオーラが形を変えて受け止めていた花弁を盗み取り、フィロメーラの身を守る盾へと姿を変えてしまった。
「なんという発想……!」
「へっへーん! この調子でじゃんじゃんいただくぞ!」
「くっ……」
 ほぞを噛む弥助の肩を飛来した矢が貫いた。振り返った先には、唇に霊符を挟んだ祥華が残身を晒している。
「この音は――?」
 最期まで信長を守るため、彼を庇うように両手を広げた弥助アレキサンダーの耳に届いたのはサムライエンパイアには似つかわしくないエンジン音だった。

●兵ども、辺境の果てから参上する
 その惨状が目に入った時、パウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)の駆るバイクの後部に跨ったアルバ・アルフライラ(双星の魔術師・f00123)は思わずつぶやいていた。
「おやおや、まるで現世の地獄。さながら獄界の王といったところでしょうかね」
 炎風に髪をたなびかせながら渦巻く炎を従えた第六天魔王の右腕を見やり、優雅に目を細める。視線に気づいた凶鳥の腐ったような眼窩がぎょろりと動いたかと思った刹那、戦場へと乗り込んだ【エイリアンツアーズ】の面々を目がけて巨大な嘴が開かれた。
「右へ避けてください」
「まァァかせて!!」
 ギュゥルン、とアクセルを吹かしたパウルは倒れていた柱を利用して飛び上がるとそのままの勢いで壁を駆け抜ける。
 標的を見失った狂鳥は首を高く上げて周囲に視線を巡らせた。
 その目が通路に佇むヨシュカ・グナイゼナウ(一つ星・f10678)を捉え、方向転換。頭を傾げたヨシュカの唇が童歌のようにある言葉を繰り返す。
「お仕舞い、お仕舞い。左様なら」
 なぜなら、既に幕は引かれる時間だから。
「還りましょ。在るべき場所へ」
 勢いをつけて眼前に迫る嘴がぶつかる寸前、ヨシュカの大きく開いた袖口から一斉に飛び出した暗器の数々が鳥頭を粉砕すべく躍りかかった。
「――ョエエエェェ!!」
 激しい衝突で軌道を変えた頭が宙を舞う。
「三条さま。そちらに」
「承知した」
 鳥頭の落下する先には抜刀した三条・姿見(鏡面仕上げ・f07852)が待ち受ける。くゎっと大きく嘴を開いた凶鳥は彼を頭上から丸呑みにしようとするも叶わず、ただその残像だけを抉って床へと激突した。
「かかったな」
 無事だった姿見が短く告げる。
「悪いが、この戦いは俺たちの勝ちだ。その身が成した悪業の返しを今ここで受け取ってもらうぞ。――覚悟!」
 彼の手元が閃き、幾つかの手裏剣が鳥頭へと飛来する。羽毛が裂け、骨が砕ける。眼窩にそれを突き刺したまま頭をもたげるも、ぐらりと傾ぐ。よし、と姿見は僥倖に感謝した。刃に塗っておいた麻痺の薬が効いたらしい。
「ギョエッ、ェッ!」
 痙攣しながら鳴き声を立てる鳥頭の残されていた方の目を、今度は激しい閃光が容赦なく潰した。アルバの高速詠唱による光魔術である。完全に両目を破壊された凶鳥は雄叫びを上げて手あたり次第に暴れ始めた。
「抜き足差し足忍び足っと……」
 その時、倒れた襖の影や柱に隠れてそそくさと回り込んでいたスナッチ・ベット(Vulpes et uva・f03519)がついに至近距離にまで到達。
「うわ、近くと見るとほんとおっかな……! でも、僕もこの世界の生まれだもの。この手で守りたいし、結末も見届けたい。だから!」
 気配を察した鳥頭が嘶いてスナッチに狙いをつけた。
「――なに!?」
 凶鳥の狙うがままに彼を襲わせた第六天魔王は、両者が接触するまさにその瞬間、思いもよらぬ爆発が起こったことに目を見開いた。
「皆、行って!」
 衝撃で尻もちをつきながら、スナッチが叫ぶ。
 ラジャ、と軽快な声が承った。
「そんじゃあ第六天魔王☆ノッブの首、頂戴しまァァす!!」
 爆風をスライディングで避けたパウルはバイクに積んだ砲身を一斉に本体へと差し向けた。即座に凶鳥が差し向けられるが、アルバはこれを咄嗟に杖で軌道を逸らすことに成功。勢いをつけて突進していた相手は正面から脇にあった柱に激突した。
「せーの!」
 パウルの掛け声を合図に、アルバの視界に展開されていた宝石が一層美しく輝いた。魔力を充填されたそれは瞬く間に精緻な魔法陣を発動して膨大な攻撃魔法の奔流を生み出す。
「貴様の統べる世は終った。――時代遅れの天魔は疾く失せよ」
「ぐ……ッ!」
 爆発によって四散した罠が突き刺さり、身動きのとれない第六天魔王を逃げ得ない弾幕と魔法の塊が蹂躙する。
「さあ、年貢の納め時ってやつだね。こういう時、この世界じゃなんて言ってくれるのがお約束なのかな。例えば俺の故郷なら――Jesus? ははッ、ちょっと古いか!」
 パウルの指先がとっておきの発射ボタンを押して、放たれたショットが真っすぐに第六天魔王の顔面へと飛翔。頭は変形しまいという目論見通り、頭部を狙われた敵は金切り声を上げてのたうち回った。
「させん……させはせん……!」
 ぐぐ、と魔力を振り絞り、再び鳥頭を甦らせんと試みる。
「それはこちらの台詞だな」
「な――」
 代償としてその身から血を流す姿見の手には黒煙燻る業の刃。隙のない構えから繰り出される神速の剣閃が2度、第六天魔王を襲った。
「ぐああああッ!!」
 命を吹き返しかけた鳥頭がぐらりと宙で揺らめいた時、ひどく生々しい斬音がした。近くに居た者たちの視線が一点に集中する。
「この斬魔を冠する開闢に、斬れないものはきっと無い」
 ぽつりとヨシュカが告げる。
 その背後で、断首された鳥頭がごとりと地に落ちた。

●執念を断ち切るための意思
 既に勝敗はついていた。弥助装のみならず、他の兵装を相手取る戦場においでも猟兵たちは圧倒的な力を見せつけている。だが、それならなぜ第六天魔王の殺意は衰えぬのか。
 それは強き意思である。
 例え終わりを知ろうとも、潰える緋色に呑まれようとも、最後の最後まで足掻いて見せる――。
「くくく……この儂がここまで追いつめられるとはな。だが、おとなしく逝くとは思わぬことだ。黄泉路への道は道連れよ!!」
「よい。実によい。天下の大うつけはそう来なくてはのー」
 紅蓮に咲く黄金は蠱惑の微笑を浮かべたへとろの瞳と揺蕩う髪の色彩。ほう、と色香のある吐息が唇からこぼれる度にその足取りは軽くなり、より一層、敵の目を惹く囮となる。第六天魔王が失った腕の断面がもこりと盛り上がり、再び鳥頭が再生せんと試みているようだ。
「間に合えー!」
 ガトリングガンを構えて立ちはだかる緋色の照準が、へとろに気を取られている第六天魔王の胸をロック・オン。
「ひとしきり暴れたおかげで随分と見晴らしがよくなったからね。外しはしないよ」
「ッ――!!」
 凍結弾が霰の如く撃ち出され、敵の動きを妨げる。
「ちぃッ……」
「残念、そこは読まれていますよ」
 トゥリースの手元を離れたダガーが、彼の退路を断つべく先回りしていた。脚を穿たれた第六天魔王の唇から呻きが上がる。
「ぐああ、ああ……ッ!!」
 唸り声と共に魂の全てを炎へと変えるが如く、火柱が立った。ジャスパーは鼻で笑い、肩をそびやかして堂々と敵の眼前へと躍り出る。
「さあ、俺の熱とあんたの炎。どっちが強えか試してみようぜ」
「望むところよ!!」
「いい返事だ。それでこそ俺の血に宿ったオウガの熱も沸き立つ……ッ!」
「おっとっと」
 ジャスパーと第六天魔王が殴り合う余波で生まれた爆風を氷化した水壁でしのいだヴィクトルは、とててっと助走をつけて銛を投擲。
 炎の鎖を道標に投げられた銛が到達した途端、透明な水で象られたシャチが牙を剥いた。
「むッ――」
 奇襲気味のそれに第六天魔王の気が逸れる。
「好機!」
「ぬおッ!?」
 ぐっ、と八雲がその丹力で炎鎖を引っ張った途端、敵は呻きを上げてたたらを踏んだ。
「ぬかったな、魔王よ」
 その鎖を逆手に取り、道明が刀を抜き。
「道を開く」
 一歩早く投擲の体勢に入っていたヴォルフラムの、表情一つ変えずに激痛を耐える横顔より放たれた竜槍――その穂先が敵の肉を穿いた途端、躰を満たす生気に吐息が漏れる。
「ぐあッ――!」
 開いた懐へと身を割り込ませた道明と八雲の振るう渾身の一撃が鎧を砕き、心臓に達する急所を露わにした。
「願わくは、泰平の世こそを――」
 胸に去来する祈り。
「貴殿も隠居するが良い、骸の海の底へと!」
 最後通牒を言い放つ決意の怒号。
「いくらタフなお人のようでざんしも、さすがに効いたようでありんすな」
 ころころと鈴が鳴るように微笑み、祥華は両手に捧げた薙刀を振るった。主を守る傾奇者の兵装と本人の纏う鎧をまとめて砕き、串刺し、その体内へと丹念に毒を塗り込んでいく。
「ぐああ、あああッ……!」
「信長様、信長様――!!」
 次第に弱まる悲鳴を聞きながら、零児は駆ける。フィロメーラの小さな耳がぴくぴくと震え、その背を追いかけた。
 マルチギアと第六感によって敵の位置は特定完了。
「逃げ場はない。次元ごと、――たたっ斬る」
「くらえ、スーパー流れ星キックだー!」
 ドロップキックの要領で利き足を突き出したフィロメーラが額を蹴り付け、お星さまが回ると同時に炎の鎖がその猛威を失った。時空が歪む――炎と煙によって作られた死角より零児の繰り出した直線状の攻撃は斜めにスパッと文字通り切り裂いた。
 周囲の空間、城の構造物ごと真一文字に斬られた第六天魔王の胸から真っ赤な血が噴き出す。
「緋……――」
 視界を染める色に、彼はうわごとのようにつぶやいた。
 その鮮烈な色彩の一部分に真反対の翠色が花開く。珂は既に距離を詰め切っていた。気づけば、残る鎧ごと砕いた杖先がその背を貫いている。
「欲望尽きぬ其の魂ごと、葬り去ってやろう」
 直接、体内へと注ぎ込まれた魔力を火種とした白き焔が一瞬でその身を包み込んだ。神々しき輝きが全ての獄炎を塗り替え、やがてそれが収まった頃――勝利を悟った猟兵たちはそれぞれの想いを抱いてこの幕引きを見届ける。
 第六天魔王を失ったサムライエンパイアに、正常な刻が戻ってきていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月31日


挿絵イラスト