エンパイアウォー㊴~終わりの魔王
●サムライエンパイア ~魔空安土城
「遂に来たか、猟兵達よ」
魔空安土城にて座するは織田信長唯一人。
「エンパイアを滅ぼし、渡来人共の『グリードオーシャン』をも侵略する道筋は、これでほぼ絶たれたか。血塗られし彼奴らの神が如何程の物か、確かめてみたかったがな」
未踏の地に想いを馳せるも、魔軍将の殆どは猟兵達に討たれ、自慢の軍も無傷でここまで来た徳川の兵達と合戦中であり、敗れるのも時間の問題だろう。
「さて、もはや儂に万にひとつの勝ち目も無かろうが……億にひとつでもあるのならば、賭けてみるのも一興よ。秘術【魔軍転生】。サルよ、儂に憑装せよ……!」
「フェンッ!!」
ドクンッと信長黒い鎧が鳴動した。
●グリモアベース
「いよいよ、オブリビオン・フォーミュラ『織田信長』との決戦っすね!」
猟兵達にそう話しかけるのはグリモア猟兵のリカルド・マスケラス(ちょこっとチャラいお助けヒーロー・f12160)だ。
「魔空安土城には『信長軍の本隊』も存在したっすが、それらは万全の状態で島原に辿り着いた幕府軍が相手をしてくれるから、みんなは信長との戦いにだけ集中できる状態っすよ」
討つのは信長だけで大丈夫だということだ。
「まあ、その最後の一人が最も厄介ってのが定番っちゃ定番っすけどね。信長は秘術【魔軍転生】によって、配下の魔軍将を背後霊のように『憑装』させて戦うみたいなんすよ」
オブリビオン・フォーミュラは短期間で一定回数倒さないと復活してしまうのだが、リカルドが戦場に送る信長はサルこと隠し武将・豊臣秀吉の力を借りて戦うらしい。
「で、信長はその力で先制攻撃を行うみたいなんで、ユーベルコードを使用しようとすると、その前に何も出来ずに攻撃されちゃうっすよ」
強化・召喚系の能力も魔王の勘なのか、先んじて使ってある状態で攻撃してくるようなので、強化の隙にこちらのユーベルコードを当てるみたいなことは考えない方がいいだろう。
「秀吉の力を借りた信長の能力は3つ。無数の黒槍を放つ攻撃、全身や刀を粘液で覆って戦闘力を上げる技、小型の秀吉を大量に召喚する術っす」
猟兵達の使おうとしているユーベルコートに反応して、それぞれの能力を使い分けるようなので、どのユーベルコードを使用して戦うかも鍵となってくるかもしれない。
「これがエンパイアウォー最後の戦いになるかもしれないっすから、気を抜かないようにするんすよ? それじゃ、頼んだっすよ!」
そう言ってリカルドは猟兵達を送り出すのだった。
麦門冬
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このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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いよいよ最終決戦ですね。マスターの麦門冬(むぎとふゆ)です。気づけばエンパイアウォーは8作目となります。10作以上書いているマスターさん方は本当にすごいと思います。
いよいよ最後は織田信長との最終決戦になります。特殊ルールもありますので、ご確認頂ますようお願いいたします。
●特殊ルール
第六天魔王『織田信長』は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『第六天魔王『織田信長』秀吉装』
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POW : 黒槍殲撃
【秀吉を融合させた鋼鎧から無数の黒槍】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : 黒粘剣戟術
【秀吉の黒粘液で全身から刀まで全てを覆い】、自身や対象の摩擦抵抗を極限まで減らす。
WIZ : シャドウクローニング
レベル×5体の、小型の戦闘用【豊臣秀吉(フェンフェンだけで意思疎通可)】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
イラスト:UMEn人
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ポノ・エトランゼ
(【POW】エルフ・プラント使用)
初めまして信長さん。私はポノ、一戦お相手よろしくね
秀吉憑装の信長戦!
気合い入れていくわね!
黒槍殲撃を放たれたら、風【属性攻撃】を【全力魔法】で展開!
城の遮蔽物も利用して、槍の軌道を少しでも逸らしてみる
信長さんの攻撃などもあるし、槍含め盾のキャヴァリアーズを構え【見切り】回避
エルフの運動能力を活かして回避&逃げまくりたいところっ!
UCを発動させるわ
【竹】
乱立させて場を竹林に
真下から突き刺せれば上等
太刀や槍、信長さんの動きの阻害はできるかしらね?
【地形の利用】かつ【目立たない】よう、弓矢で首回りを狙う【スナイパー】攻撃
ここに辿り着くため、皆、頑張ってた
あと少し!
ハロ・シエラ
ついに現れましたか、オブリビオンフォーミュラ。
相手は一人……いえ、二人と見ていいですね。
ですがこちらにも剣が二振りあります。
数では負けていませんよ。
まずは先制攻撃。
如何に多くの槍を放たれた所で目標は私一人。
槍の軌道を【見切り】、【ジャンプ】や【スライディング】でどうにか凌いで見せます。
極力回避し、かわしきれない物は【武器受け】【激痛耐性】で何とかします。
敵に近付くほど槍の密度は高まるでしょうから、初めは距離を取り【第六感】でタイミングを計って接近していきます。
近付けば槍に加えて刀も振るってくるでしょう。
そこに【カウンター】でユーベルコードを叩き込みます。
秀吉を宿した鎧ごと、両断して見せます。
●ファーストアタック
「ついに現れましたか、オブリビオン・フォーミュラ。相手は一人……いえ、二人と見ていいですね」
ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)はオブリビオン・フォーミュラ『織田信長』を前にして呟く。
「ですがこちらにも剣が二振りあります。数では負けていませんよ」
そう言う彼女の手にはレイピア『リトルフォックス』と短剣『サーペントベイン』が握られている。それぞれ炎と毒で鍛えられた特殊な武器である。
「儂と秀吉に一振りずつで十分と抜かすか。面白いことを言う娘だ」
「フェンフェンッ!」
などとは言ってはいる信長だが、その様子に油断の様子はない。
「初めまして信長さん。私はポノ、一戦お相手よろしくね」
続いて信長に話しかけるはポノ・エトランゼ(エルフのアーチャー・f00385)だ。信長との戦いに臨むにあたって気合は十分だ。
「ふむ、この国は見ぬ種族。どのような戦い方をするか見せてもらおうか」
ドクンッと黒鎧を鳴動させるとともに信長は鎧から黒槍を無数に生やし、【黒槍殲撃】を二人へと撃ち込む。
「風よっ!」
ポノは風魔法を全力で叩き込み、自分へ向かってくる黒槍を吹き散らし、逸しきれなかったものは回避し、それでも避けきれないものは騎士盾『キャヴァリアーズ』で弾く。
「重っ!」
盾に来る衝撃はかなりのものである。自分に向かってくる槍を減らさなければやり過ごせなかったかもしれない。
一方で、ハロは黒槍に対し、頭から飛び込み自身が槍に晒されるであろう面積を最小限までに減らし、自分に向かってくる槍だけを二刀を振るい、叩き落とす。
「うぐっ」
それでも防御しきれなかった槍が、身体をかすめて傷を作るが、なんとか痛みに耐える。敵の攻撃の第一陣はしのげたようだ。
「ふむ、よく耐えきったものだ」
「ええ。貴方の攻撃も次はすぐには撃てないしょう」
「ぬかせ」
黒槍の第二陣までは少し時間が空くとハロの勘が告げる。今回は距離があったから凌げたが、斬り合う射程で放たれたら、その密度でいなす自信はない。次の発射までが勝負である。
「さあ、お行きなさい」
その時、信長の足元から急に竹が生える。ポノのユーベルコード【エルフ・プラント】である。流石に信長を突き刺すまでには至らなかったが、竹が信長の視界を覆う。
「竹を生やすとは恐れ知らずめ! だが、面白い!」
竹は管理を怠れば周囲の植物をも蝕み繁茂し、生態系を破壊する恐るべき植物である。想像から創造したため、ポノの意志で消すことは可能だが、竹を使うことを選んだ彼女のことを魔王は気に入ったようだ。
「殺(と)った!」
そして、竹に紛れ、ハロが信長の脇腹めがけて二刀による【剣刃一閃】を振るう。
「させるか!」
瞬時に信長も刀を振るい、ハロを斬り捨てようとするが、周りの竹ごと薙ぎ払わなければいけないため、どうして攻撃が遅れる。
「秀吉を宿した鎧ごと、両断して見せ……!」
「フェンッ!」
ハロの刃は信長の黒鎧に届き、そのまま両断すると思われたが、黒鎧に同化した秀吉が刃を受け止め、ガッチリと固定する。
「よくやったサル!」
動けなくなったハロめがけ、信長が刃を振るおうとするが、再び阻まれ、軌道がそれる。
「ここに辿り着くため、皆、頑張ってた。あと少しなんだ!」
それは武器を『エルフボウ』に持ち替え、首を狙ったポノの狙撃だった。矢は信長の首元に突き刺さり、その衝撃で信長の刀の手元が狂い軌道がそれる。ハロの肩口に刃は届くが、まだ致命傷ではない。
「せやあっ!!」
止められた刃をなんとか振り抜き、信長と距離をとるハロ。両断は出来なかったものの、かなりの手傷は与えたはずだ。
「なるほど、儂等に二刀で十分と抜かしたのはあながち嘘ではないようだな」
首に矢が刺さり、脇腹を深く斬られたものの、信長は平然として立っている。これが、オブリビオン・フォーミュラと言ったところか。だが、確実に負傷は負わせたはずだ。
黒棗の第二陣が来る前に二人は撤退することにした。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
アルトリンデ・エーデルシュタイン
相手は第六天魔王。油断せず臨みましょう。
人は人として。過去の夢に呑まれる訳にはいきませんから。
反撃の準備が整うまでは防御を主体に。
負傷は戦闘が継続できる程度に抑えられれば。
致命傷だけでも防ぎ、【聖浄成すは堅信の祈祷】を使うまでもたせます。
UC使用後は祈りを力に変えて戦います。
我が祈り、そしてこの戦いの勝利を願う者たちの祈りも此処に在り。
どれだけ傷を受けようとも、その祈りが私を鼓舞し、戦う力を与えてくれます。
小型秀吉は散らした破魔の羽根で討ち、守りは聖鎧のオーラ防御に。
破魔の力、祈りのすべてを乗せて聖剣の一撃を信長に。
どのような信念、忠義が有ろうとも。
今の世の泰平を望む祈りを砕く事は出来ません。
ディスターブ・オフィディアン
第二人格で行動
「億に一つ、ね。悪いが拾わせるわけにはいかないね」
先制攻撃対策として天井に鉤付きロープをかけて跳躍し初撃を躱す
二発目が来る前にUCを発動し、豊臣秀吉の幻影を纏おう。
狙いは”彼らの注目を集めて戦闘能力を強化すること”――偽物が紛れ込もうとすれば、嫌でも注目せざるを得ないだろう?
ま、ブラフとして敵に化けての奇襲狙いと見せかけておこう
「このボクの幻影、見破れるものなら見破ってみたまえ。フェンフェンフェ――ン!」
ある程度強化できれば信長へ鉤付きロープを投擲して攻撃
出来れば周囲の柱にひっかけることで軌道を曲げて騙し討ちだ
「どこを見るかが分かっている観客はね、奇術師にとってはいいお客なのさ」
●秀吉の猛攻
「人は人として。過去の夢に呑まれる訳にはいきませんから」
アルトリンデ・エーデルシュタイン(神なき祈り・f00243)は油断なくオブリビオン・フォーミュラ『織田信長』を注視する。
「億に一つ、ね。悪いが拾わせるわけにはいかないね」
ディスターブ・オフィディアン(真実を 暴く/葬る モノ・f00053)も彼女に続いてそう語る。今の彼の人格は虚飾を好む第二人格となっている。
「ふむ、渡来人にもそなたらのような格好のようなものが確かいたか。儂の夢を止められるならば止めてみるが良い」
信長はマントを翻すと、猟兵達を見定める。
「お主等にはサルの相手でもしてもらおうか」
「フェン!」「フェンフェン!」
気づけば二人は【シャドウクローニング】で呼び出されていた小型の秀吉達に囲まれていた。その数、200や300では済まない量である。
「おっと! 流石にこれは相手するのは骨だね」
まともに相手していられないとディスターブは天井に鉤付きロープをかけて跳躍し、小型の秀吉達からの攻撃をやり過ごそうとするが、
「フェン!」「フェンフェン」
無数にいる秀吉達がいるのは床だけではない。まさに猿の如く天井の梁に掴まっている者や、他の秀吉を足場に高さを稼ぎ、飛びかかってくる者までいる。
「ステージ上の演者にお触りするのは御免被りたいところだがね」
イカサマ仕込のゲームカードなどを投げて迎撃するが、それでもこの数を捌き切るのは骨だ。
「待っていてください! 今、助けますから!」
アルトリンデも聖剣『エクスシア』を振り回して敵を牽制し、小型の秀吉達から致命傷を受けないよう防御主体の立ち回りで戦うが、
「天よ秘蹟を授けたまえ。天と聖霊の御名に依り……くっ」
「フェンフェン!」「フェンフェンフェン!」「フェンッ!」
地上にいる分、ディスターブよりも相手にする数は更に多く、次々と襲いかかる敵の攻撃にユーベルコードのための祈りの言葉を続けられない。ユーベルコードとしての相性も悪かったが、それ以前に敵の攻撃を凌いでユーベルコードの使用に繋げるには対策が不十分だったかもしれない。
「このままでは……」
ユーベルコードを発動させるまもなく大量の秀吉に押しつぶされてしまうかもしれない。
「レディ、君が敵を減らしてくれたおかげで私も奇術が見せられる」
第二陣を召喚される前に手を打っておきたい。ディスターブはぶら下がっているワイヤーから飛び降りざまにユーベルコードを発動させる。
「このボクの幻影、見破れるものなら見破ってみたまえ。フェンフェンフェ――ン!」
ユーベルコード【マジシャンズ・ドリーム】はその身に幻影を纏うユーベルコード。長身のその身を小型秀吉へと変え、秀吉達の中へと飛び込む。
「フェン!?」「フェンフェン!?」
突然の事態に狼狽する小型秀吉達。自分たちでも見分けがつかないようだ。だが、
「狼狽えるな、サル」
信長は落ち着いた様子で秀吉に語りつける。そして、静かに言い放つ。
「鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス」
「フェン!?」
信長の言葉にざわつく秀吉達。
「まずはそこの娘を仕留めよ。その後、紛れている男諸共城から身投げすれば良い」
いくら術で作られた分体とはいえ、敵諸共命を断つように命令する信長。その決断は魔王らしい冷酷さを垣間見せるようなものだった。
「天よ秘蹟を授けたまえ。天と聖霊の御名に依りて、遍く闇を祓う灯を我が身に分け与えたまえ」
だが、この少しの間がアルトリンデに時間を与えた。祈りの言葉を完成させ、【聖浄成すは堅信の祈祷】を発動させる。浄化の光を纏う天使の姿へと姿を変えたアルトリンデの周囲に浄化の羽が舞う。
「フェンッ!?」
その羽根に触れた小型秀吉達が破魔の力により、身を消滅させる。
「どのような信念、忠義が有ろうとも」
アルトリンデは聖剣を構え、信長へと飛び込んでゆく。
「今の世の泰平を望む祈りを砕く事は出来ません」
そして、祈りの力を込めた一撃を魔王へと叩き込む。
「なるほど、これが祈りの力というものか」
アルトリンデの一撃を受け、信長はそう呟き、刀を鞘に収める。
「だが、儂に届くまでいささか摩耗しすぎたようだな」
祈りの力が傷ついた身体を鼓舞し、アルトリンデに力を与えていたようだったが、それでも、それまでに秀吉達の攻撃に体力を削られていたのが痛かった。
「さて、残るは……」
「こちらを見ようとしてくれないのは、奇術師にとってやりにくいお客だね」
突如として聞こえるディスターブの声。そして、それとは別の方向から鉤付きロープが信長めがけて飛んでくる。
「む?」
咄嗟に腕で受けるが、そこから力を吸われる感覚がある。声をした方を見れば、鈎付きロープを放ったディスターブがいる。周囲の柱に引っ掛けて自分のいる方向とは別方向から攻撃を仕掛けたのだ。
更に、ディスターブの【マジシャンズ・ドリーム】は幻影を纏うだけでなく、相手から驚愕と注目を浴びることで戦闘力と生命力吸収能力を増強させる。信長は早々に偽者を見分けることを放棄したため、思った以上に注目を集められなかったが、秀吉から驚愕や奇襲を警戒する多少なりの注目である程度は力を得ることは出来たと思われる。
「いかがだったかな? 私の奇術は」
「ああ、悪くなかった」
ディスターブの問いかけに信長はそう答えると、オブリビオン・フォーミュラとしての、強靭な膂力でロープを引き、ディスターブを己の手元へと引き寄せる。
「故に褒美をくれてやる」
そしてそのままディスターブを一刀のもとに切り捨てようとする。
「楽しんでいただけたようで何より」
だが、ディスターブは不敵に笑う。
「それでは、本日のショーはここまで。お付き合いいただきありがとうございました」
そう言うと、刃がディスターブに届くか届かないかのところでシルクハットを残して、彼の姿がかき消える。
「ふむ、逃がしたか」
「フェン……」
多少なりと手傷を負わされた信長に秀吉が心配するように声をかける。
「案ずるな、サル。この程度では儂を止めることはできん」
「フェン」
信長はそう返すと、次の猟兵の襲撃に備え、しばし身を休めるのだった。
苦戦
🔵🔵🔴🔴🔴🔴
ウィルヘルム・スマラクトヴァルト
この戦争もいよいよ最後の戦い……。
何としても勝ってこの世界を守り抜きましょう。
「緑の騎士ウィルヘルム・スマラクトヴァルト、推参!
貴方を討ち、この戦争を終わらせる!」
無数の黒槍は、「第六感」も働かせて「見切り」、
緑の斧槍による「武器受け」と緑の大盾による「盾受け」で止めます。
鎧から発射されるならこれで止めきれるはずですが、
万一被弾した場合は「オーラ防御」と「激痛耐性」で耐えます。
先制攻撃の後は、緑の斧槍を振るいつつ、頃合いを見て
「ランスチャージ」を狙います。しかし、これは「フェイント」。
チャージしつつ緑の斧槍を手放し、「怪力」で信長を引き寄せ、
手刀で「両断の一撃」を使用。信長の両断を狙います。
真宮・奏
織田信長・・・発するオーラだけで魔王に相応しい強者だとお見受けしました。
最大の敬意を持って相対します。いざ、参ります!!
黒槍の攻撃は【見切り】【第六感】で回避を試みます。回避出来なかったら【オーラ防御】【武器受け】【盾受け】【拠点防御】で被害を防ぎます。
もし受けきれないと判断したら、【衝撃波】【範囲攻撃】で槍を吹き飛ばす事を考えます。槍を凌ぎきったら、【衝撃波】を牽制に撃って接近、【シールドバッシュ】で体勢を崩してから、追撃として【属性攻撃】で雷を纏わせた上で【二回攻撃】を併せた全身全霊の信念の拳で思いっきり殴ります!!
メイスン・ドットハック
【SPD】
秀吉も憑依しても厄介じゃのー
でも地獄への供なら適任じゃのー
先制攻撃に対し粘液に対しスピードやトリッキー度が上がっていると思うので、電脳魔術によるホログラムデコイで撹乱
さらに電脳地雷【罠使い】もセットにして、爆発による【足止め】を狙う
それでも止まらなければ電脳防壁で一時的な防御をし、【第六感】【視力】による回避行動をとる
先制攻撃後は、UC「汝は元素、その鎖を断ち切ろう」を発動
空間【ハッキング】による【情報収集】により、秀吉の粘液を分析
解析したデータで秀吉の粘液を溶解する毒ガスを放射し、無効化
味方の攻撃チャンスを作ると共に、自身も電脳ドリルで信長本体を攻撃する
アドリブ絡みOK
●相まみえるは何度目か
「秀吉も憑依しても厄介じゃのー。でも地獄への供なら適任じゃのー」
どこかけだるげに喋るのはメイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)、アメジストのクリスタリアンの少女である。
「この戦争もいよいよ最後の戦い……。何としても勝ってこの世界を守り抜きましょう」
この世界を守る決意を言葉にし、エメラルドのクリスタリアン、ウィルヘルム・スマラクトヴァルト(緑の騎士・f15865)は信長に向き直る。
「緑の騎士ウィルヘルム・スマラクトヴァルト、推参! 貴方を討ち、この戦争を終わらせる!」
「何度見ても全身が宝石でできた人間とは面白い。ますます外の世界を侵略してみたくなるというものよ」
その様子を興味深げに見ていた信長は刀を抜く。
「織田信長……発するオーラだけで魔王に相応しい強者だとお見受けしました。最大の敬意を持って相対します。いざ、参ります!!」
マジックナイトの少女、真宮・奏(絢爛の星・f03210)は『エレメンタルシールド』を構え、信長に相対する。この言葉を信長に言うのは一体何度目だろうか。奏含め彼女らは何度も信長と戦ってきた歴戦の猟兵たちである。
「そうであるか。ならば、この儂を討ち取ってみよ、猟兵よ!」
信長はその時の戦った記憶を全開から引き継いでいるかどうかはわからない。彼は黒鎧を鳴動させ、【黒槍殲撃】を放つ。無数の黒槍がウィルヘルムと奏に襲いかかる。
「これは……」
ウィルヘルムと奏の第六感が告げる。たとえ盾で防いでも、このまま全弾受けるのはマズイ。そのため、ウィルヘルムは無数の黒槍をハルバード『緑の斧槍』で打ち払い、残りをラージシールド『緑の大盾』で防ぐ。奏も『エレメンタルシールド』から衝撃波を飛ばし、槍を散らすことで盾で受ける槍の数を減らす。一方で、
「粘液に対しスピードやトリッキー度が上がっているけーの。防がせてもらうけー」
秀吉の黒粘液を全身に纏い、【黒粘剣戟術】により、滑るようにしてメイスンに向かってゆく信長。まるでスピードスケートの僭主を思わせるその動きは、メイスンの電脳魔術で生み出した電脳地雷の起爆を素早く通過し、メイスンが張った電脳障壁すらも空気抵抗による摩擦をゼロにすることで繰り出される刀の鋭い一撃に切り裂かれる。
「外の世界の術はこの程度のものか。もっと儂に見せるがいい」
そう言って信長はメイスンを斬り裂くが、空気のような手応えとともにメイスンの姿がかき消える。
「ぬ? 幻術か!」
それはメイスンが作り上げていたホログラムによるデコイ。
「撹乱させてもらうけーの」
「なるほど、それでこそよ! 先程の奇術も良かったが、これも面白い! なれば幻影ごと全て切り捨てるか!」
「ただまー、こっちの準備は終わったけーの」
メイスンの実体が現れたかと思うと、身体から目に見えない『何か』を噴出する。
「万物を解析できることは、万物を壊せるということじゃけーのー」
「これは……!」
信長の身体を覆っていた黒粘液がみるみる粘度が薄れ、サラリと崩れ、消えてしまう。その正体はメイスンのユーベルコード【汝は元素、その鎖を断ち切ろう】だ。人や物体を空間ハッキング解析する電脳領域を展開することで、解析した物質や遺伝子を破壊するガスを作り出すことを可能とする。
「そのような手を使えるのか!」
信長はメイスンに斬りかかるが、ガスを高速噴射することでいち早く刀の間合いから離れる。
「ただ、攻め手にかけるのも事実じゃけーの」
電脳魔術でドリルを作り出して攻撃するも、それは信長に簡単斬り伏せられる。ガス以外の攻撃能力は特に強化されていないので、オブリビオン・フォーミュラと渡り合うにはいささか火力不足。
「まー、僕が攻撃する必要はないけーの」
メイスンの相手をしている間に、既に黒槍の攻撃は完了している。防ぎきった猟兵達が信長へと迫っていた。
「来たか!」
奏は衝撃波を出して信長の動きを牽制し、シールドバッシュが信長の体勢を崩す。
「これは私の意志です!!喰らえ~!!」
ユーベルコード【信念の拳】が信長を打ち据えようとする。
「その拳はもう喰らわん」
「フェンッ」
まるでタイミングが分かっていたかのように、秀吉が憑依している黒鎧が動き、信長の体勢を強引に戻す。そして、奏の一撃をかわし、鳩尾に左拳を叩き込む。
「ぐっ!」
あまりの衝撃に身体を折りそうになりながらも、二発目を打ち込もうとするも、刀で斬り捨てられてしまう。少なくとも過去に三度、信長を打ち据えてきた拳は、今回は届かなかったようだ。
「勝負だ、信長!」
奏に続かんとウィルヘルムが斬り込んでくる。
「来るがいい、宝石の騎士!」
信長も刀を振るい、その攻撃に応戦する。斬り合うこと数合。信長が刀を振り切ったあとに僅かな隙を見せる。
「行くぞ!」
ウィルヘルムのはその隙を逃さず、斧槍で突撃を仕掛ける。以前もこの突撃で信長の黒鎧を打ち砕いたのだ。
「貴様もたわけか!」
「フェン!」
だが信長が作った隙は、そう装った誘い。黒鎧が鳴動したと思うと、穂先を捉え、絡め取ってしまう。あとは動けなくなったウィルヘルムを斬り倒せばいい。だが、
「なんだと!?」
鎧が穂先を絡め取った時には、すでにウィルヘルムは手から斧槍を離していた。ウィルヘルムはそのまま信長の腕を掴み強引に引き入れ、刀の間合いより内側に潜り込む。
「私の渾身の一撃、食らうがいい!」
手刀から放たれる【両断の一撃】が黒鎧を斬り裂き、信長の胴を振り抜く。
「その手が……あったか」
ゴボリと血を吐く信長。今の手応え、胴をほぼ両断できたはずだ。
「サ、サル!」
「フェ、フェン」
だが、信長は秀吉に呼びかけると、黒鎧が再び動き出し、強引に信長の傷口を縫い止め、繋ぎ合わせる。
「儂は、まだ倒れるわけにはいかぬのだ」
どこにそのような力が残っていたのか。至近距離で黒槍を撃ち出す信長。
「くっ!」
咄嗟に大盾を構えて味方ごと身を守るウィルヘルム。向こうも咄嗟の攻撃だったようで、最初ほどの威力はない。
「逃がしたか」
攻撃が止んだ時には信長の姿はなかったが、あのダメージではもう長く保たないだろう。
三人は後を他の猟兵達に託し、戦場を後にするのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
シャーリー・ネィド
【かにかま】
残念だけど、あなたの道楽にも無念にも付き合うつもりはないよ
ボク達はこの世界の未来を守るために、あなたを倒す!
粘液でブラスターの熱線が弾かれても諦めず【スナイパー】で「熱線が垂直に当たる」様に狙いを定める
そこを見定めたら【クイックドロウ】でピンポイントで集中攻撃!
ダメージだけでなく熱線を一点に集中させ続ける事で全身を覆っている粘液を加熱し蒸発させる!
そして守りを失ったところへ一斉攻撃!
在原・チェルノ
【かにかま】
信長に加えて秀吉の力まで…!
でも、あたし達だってウィーリィくんとシャーリーちゃんとで三人よ!
そして絆の強さならあなた達に負けていない!
先制攻撃のシャドウクローニングが来たら手裏剣の【範囲攻撃】でやっつけながら【迷彩】でその群れに紛れ、信長があたしを見失ったところで【暗殺】で死角から【雷刃無尽】を鎧の継ぎ目を狙って【鎧無視攻撃】
驕れる何とかは久しからず…ってこれは違ったっけ?
ウィーリィ・チゥシャン
【かにかま】
この状況で尚も己の勝利を信じ、それに賭けられるなんてな。
断言できる。こいつ、「強い」。
けど、それでも俺達は勝たなければならない。
敵の先制攻撃を承知の上でシャーリー達とタイミングをずらして突っ込み、敵の黒槍の狙いを俺一人に集中させる。
襲いかかる槍を『盾受け』や『二回攻撃』の『武器落とし』で凌ぎながら多少のダメージは覚悟の上で信長の元を目指し、そして『神火の竈』の炎で『属性攻撃』。
思い出せ、お前が焼かれた炎を!
そしてもう一度その中に還れ!
●おわりの魔王
「この状況で尚も己の勝利を信じ、それに賭けられるなんてな。断言できる。こいつ、『強い』」
ウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)達の目の前にいる男、第六天魔王『織田信長』……すでに多くの猟兵達と戦ってきたからか、その身は既に満身創痍でその足元には血溜まりができている。だが、その瞳はまだ死んでいなかった。
「けど、それでも俺達は勝たなければならない」
大包丁『三昧真火刀』を構え油断なく信長を見据えるウィーリィ。
「のう、サル。また猟兵、異国の者共だ」
「フェン?」
現れた猟兵達を姿を見て、信長は秀吉に語りかける。
「今日は様々な異国の、異世界の者共と出会う日だ。まるで世界の方から儂に来たみたいではないか」
「フェンフェン」
「ああ、そうだ。まだ見ぬもの触れたこともないもの、それら全てを見てみたい手中に収めてみたい。その為にも儂はここで終わるわけにはいかぬ」
「フェン、フェンフェンフェン」
「うむ、行くとしよう」
信長の身体が秀吉の黒粘液に覆われる。
「信長に加えて秀吉の力まで……!」
その様子に在原・チェルノ(流星忍姫チェルノ・f06863)は慄きそうになるが、その場に踏みとどまり、手裏剣を構える。
「でも、あたし達だってウィーリィくんとシャーリーちゃんとで三人よ! そして絆の強さならあなた達に負けていない!」
「残念だけど、あなたの道楽にも無念にも付き合うつもりはないよ。ボク達はこの世界の未来を守るために、あなたを倒す!」
シャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)がチェルノに続き、熱線銃『シューティングスター』を構える。
「粘液も、熱線で蒸発させれば……」
「来るぞ!」
ウィーリィは仲間に注意を促すとともに、大包丁と鉄鍋をそれぞれの手に突撃する。まずは自分に黒槍を集中させようという算段だ。
「行くぞ、サル」
「フェン!」
信長は【黒槍殲撃】により、黒鎧から無数の黒槍を飛ばす。
「させるか!」
ウィーリィは大包丁で飛んでくる黒槍を打ち払い、鉄鍋で防ぎ、降り注ぐ黒槍に耐える。
「お主はなかなかやるようだ。だが、そこの娘たちはどうかな?」
「何?」
「きゃあっ!」
信長の声が聞こえた方向にウィーリィが振り向くと、そこには信長の刀で斬り伏せられたシャーリーの姿が。
信長の黒粘液を剥がそうと【クイックドロウ】にて熱線銃を放とうとしていたのだが、【黒粘剣戟術】……粘液で滑るように高速移動する信長の動きを捉えきれず、先制攻撃を許してしまったようだ。
「まずは一人……そして」
「フェンフェン」「フェン」「フェンフェンフェン」
チェルノがいたあたりにはいつの間にか【シャドウクローニング】によって召喚されていた500を超える小型秀吉達が群がっていた。
「二人共っ!?」
「あそこの娘も時間の問題であろう。これで二人。そういえば、サルに飲まれた娘が『絆の強さなら負けない』とは言っていたようだが、お主一人になってしまったようだな」
「信長ァッ!!」
ウィーリィが大包丁より【神火の竈】を解き放ち、身を焼き尽くさんばかりの業火が信長を焼く。
「思い出せ、お前が焼かれた炎を! そしてもう一度その中に還れ!」
「できぬ相談だな」
だが、信長は炎にその身を焼かれながらもウィーリィへと斬り込む。
「本能寺を、あのときの炎も乗り越え、儂は再び道を進む!」
その斬撃をウィーリィは受け止めるが、ジリジリと押されてゆく。その時だった。
「驕れる何とかは久しからず…ってこれは違ったっけ?」
そんな声とともに、小型秀吉達を吹き飛ばして稲妻の手裏剣が信長へと襲いかかる。その数は200に届こうとしている。
「ぬうううううぅぅぅ!」
ウィーリィとの鍔迫り合いで身動きをが取れない信長めがけて襲いかかる。鎧の継ぎ目や戦闘で作られた傷口を狙った手裏剣は的確に突き刺さり、雷撃にてその身を灼く。雷撃に巻き込まれぬよう間合いをとったウィーリィは手裏剣の飛んできた方向を見る。
「チェルノ!」
「娘、サルにやられたはずでは」
「残念でした! やられた振りして紛れていたんだよ!」
雷撃の手裏剣【雷刃無尽】を放ったチェルノは秀吉の毛皮に質感の似た布を羽織っていた。どうやら今まで秀吉達に紛れて攻撃の機会を伺っていたようだ。
「そうか、そのような忍びの技で。儂も焼きが回ったようだ」
「これが、ボク達の、絆の力だよ」
そう信長に語りかけるのはフラリと立ち上がったシャーリーだ。
「二人が頑張ってるのにボクだけ寝てるわけにもいかないからね」
その手にはフォースカトラスが握られている。
「みんな、一斉に行くよ!」
「おう!」
「うん!」
ウィーリィは大包丁を、チェルノはフォースセイバーを手に信長を囲む。
「来るがいい、猟兵達よ。我は第六天魔王『織田信長』である。その最期、とくとその眼に刻むがいい」
信長が目の前の猟兵へと斬りかかろうとするも、三人の流れるような連続攻撃が信長の身体へと届く。狙いは猟兵達から攻撃を受け、一度は断ち切られた胴だ。
「……見事」
今度は繋がることもなく、完全にその身体が上下に分かたれる。
「すまぬな、サル。此度も天下を取れなんだ」
「フェンフェン……」
信長が討たれたことにより、残っていた小型秀吉も散ってゆく。
「また地獄からやり直しである……な……」
そう言って信長はその身を崩れさせ、塵となって消えていった。だが、短期間に何度も討たれた身。オブリビオン・フォーミュラと言えど地獄……骸の海から舞い戻ってくることはないだろう。
「ようやくこれで終わりかな?」
そう言ってチェルノが振り向くと、今にも倒れそうなシャーリーに肩を貸してるウィーリィの姿。一番ダメージが深刻なのはシャーリーだが、三者三様にボロボロである。
「うん、終わったんだね」
「ああ。帰ろう」
これをもってエンパイアウォーは幕を閉じるのだった。
成功
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