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其の鰯、滝を昇り龍に臨む

#UDCアース #いわし #デビルズナンバー #雷穹龍グローレール #流しそうめん


●其の鰯(いわし)、滝を昇り龍に臨む
「皆さんは『鯉の滝登り』という故事を知っておりますかの?」
 ――鯉(こい)の滝登り。
 とある急流にどんな魚も登れなかった竜門というのがあり、竜門を登ることができた鯉は、龍になるという。
「UDCアースのとある山奥に隠されたアジトにて、その故事にあやかったような儀式をしようとしている、邪教団が見つかりましたのじゃ」
 ユーゴ・メルフィード(シャーマンズゴースト・コック・f12064)が手の平にグリモアを顕現させると、自然豊かな山間の景色が、周囲の空間へ投影される。
 晩夏を迎えた木々の合間に渓流がさらさらと流れ、一見すると穏やかである、が。
「皆さんには、この邪教団のアジトに直接乗り込み、儀式を止めて欲しいのですじゃ」
 そうゆるりと告げたユーゴは、邪教団のアジトと思われる場所に、映像を切り替える。
 アジトは、渓流の先にある滝と隣接するように作られており、その下層にある滝つぼが、儀式場になっているように見えて……。
 ふと、集まっていた猟兵の1人が眉を寄せると、困惑したように口を開いた。
「見間違いだと信じたいのだが、滝つぼにわんさか溢れている、あの群れは……」
「鰯(いわし)なのですじゃ!」
「なんで川に鰯がいるんだよッ!!」
 正式名称を、『六二五『デビルズナンバーいわし』』という。
 察したくもないのですが、このデビルズナンバーないわしをたくさん滝登りさせて、さらに強い邪神を呼ぼうぜ、という儀式なんでしょうね、きっと!
 そして、儀式を破壊しようと滝つぼに近づいたら、信者たちは妨害のために、いわしをガンガンけしかけてくるんでしょうね!
「いわし自体はとっても弱いのですじゃー。ただ、数が多くてちょっとだけ厄介なのと、ちょっとだけ戦場がいわし臭いのじゃが、皆さんなら大丈夫なのですじゃ!」
「フォローにすら、なってねえよっ!!」
 信者たちは追い詰められると、儀式が不完全でも邪神の復活を強行させようとする。
 なので、現れる邪神を少しでも弱体化させるべく、1体でも多くのいわしを倒して欲しいとユーゴは力強く頷き、グリモアを煌めかせた。
 そこに映された、邪神の姿は――!
「とっても大きな青いウナギ……ではなく『雷穹龍グローレール』なのじゃ!」
「なんだって、イケメン青ウナギの蒲焼きだって!」
「いやいや、どう見たって龍だから! 油断したらこっちが食べられちゃうから!」
 投影された邪神は、おびただしい雷を纏う雷神龍!
 先程とは打って変わって、シリアスだ、マトモだ!!
 その至って硬派な……否、余りにも神々しい姿に、一瞬だけ沈黙が支配し――。
「……もしかしてコレ、いわしが龍になったの?!」
「いや、それは無い! きっと無いと信じたいッ!!」
 ちなみにこの龍、倒したいわしの分だけ、弱体化もとい小さくなるとのこと。
 頑張れば2メートルくらいまで縮むので、小さくしてしまえばこっちのもの、あとは煮るなり、焼くなり、蒲焼きにするなり、ご自由にどうぞである。
「この龍はシリアスに戦い慣れているゆえ、予測しにくいユニークなユーベルコードや攻撃には、動揺して隙を生じやすくなるとのことですじゃ」
 例えば、タライを落としたり、モフモフ塗れにしたり、眼鏡から光線を放つなどなど。
 要は、シリアスブレイクして涙目にしろって、言っているようなものであーる。
「拠点の中心となる邪神が撃破されれば、依頼は完了なのですじゃ! この渓流のさらに上流にある、日本庭園付きの茶屋で流しそうめんを食べれますので、是非戦いの疲れを癒して下さいなのですじゃー」
 邪神を倒せば信者たちは無力化するので、あとはUDC組織に任せてしまって大丈夫!
 晩夏を迎えた山々は蒸し暑さも和らいでいる、美しい日本庭園を眺めながら味わうそうめんは、格別に違いない!
「皆さんの力量なら、負ける相手ではありませんのじゃ、腕試しのつもりで挑んで欲しいのですじゃー」
 ――ある者は己の力を試すため。また、ある者は己の力を高めるために。
 そう、ユーゴは瞳を細め、猟兵たちを邪教団のアジトへ送り出すのだった。


御剣鋼
 御剣鋼(ミツルギ コウ)と申します。

 このシナリオは、終始ゆるゆるな感じで進行すると思います。
 余り難しく考えず、やりたいことにプレイングを掛けてみて下さいませ!
 レベルが低くて…と悩んでいる方も、気楽に参加して頂けますと、幸いです。

●プレイング受付期間
 1章につきましては、オープニング公開から受付を開始します。
 2章以降は、導入文が入り次第、受付開始になります。
 進捗につきましてはマスターページ、ツイッターでもご案内させて頂いております。

●各章につきまして
 1章:六二五『デビルズナンバーいわし』の大群と戦う集団戦。
 アジトの下層にある滝つぼでイワシの大群を薙ぎ倒す簡単なオシゴトです。
 イワシを倒せば倒すほど、2章で戦う邪神が弱体化し、小さくなります。

 2章:邪神『雷穹龍グローレール』との戦い。
 完全復活とは程遠い状態ですが、敢えて正々堂々戦うのも良し!
 さらに弱体化を狙うべく、ユニークな攻撃でシリアスブレイクを狙うのも良し!
 お好みで美味しく頂いて下さい。

 3章:彩の庭園でのんびりまったり。
 渓流の上流にある茶屋(日本庭園付き)で、美味しい流しそうめんと美しい景色を楽しんで下さい。
 浴衣に着替えても大丈夫ですよー。
 またこの章のみユーゴもお邪魔しますので、1人ではちょっと…な方は、気軽にお誘い頂けますと、幸いです。

●同行者について
 単独描写の希望、旅団の仲間と冒険したいなど、
 プレイングにご指定頂ければ、可能な限り対応いたします。

 ご一緒したい方がいる場合は【相手のお名前】を明記して頂けますと助かります。
 グループでご参加の場合は【グループ名】で、お願いいたします。

 皆様のいわしな滝登り日和、心よりお待ちしております!
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第1章 集団戦 『六二五『デビルズナンバーいわし』』

POW   :    悪魔の魚群(デビルフロック)
全身を【「デビルズナンバーいわし」の群れ】で覆い、自身の【群れの大きさ】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    悪魔の犠牲(デビルサクリファイス)
対象のユーベルコードに対し【数十匹のデビルズナンバーいわし】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
WIZ   :    悪魔の共食(デビルカニバリズム)
戦闘中に食べた【犠牲となったデビルズナンバーいわし】の量と質に応じて【悪魔の力が体に凝縮され】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。

イラスト:井渡

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太宰・寿
鰯の滝登りなんて、これを逃したら一生見れないのではという好奇心だけでやって来ました。
でも、これだけ密集しているとなんだかちょっと怖いですね……。

ちなみに、鰯は生姜煮が好きです!!
なので茶色に塗ろうと思います(?)

茶色にセットした虹霓をぶんぶん振り回しながら、鰯を片っ端からペシペシ塗っていきます。
足元にも絵具を撒いて、自分を強化しながら戦います。

えいっ!あっ……柄で殴っちゃった。まぁいっか。
とにかく、次の戦闘のためにも頑張って数を減らします!

うっ、ちょっと臭いに酔ってきました……。


黒木・摩那
やっほー!
イワシの採り放題だ!

イワシは色々な料理に使えて、しかもおいしい。
切って良し、揚げて良し、叩いて良し。
素晴らしい素材です。

さて、イワシ採り。
ここは一網打尽を狙ってみます。

UC【紫電翔剣】を滝つぼに突入して、イワシの群れの周囲を周回させて、
イワシの群れを中心に集めます。
密度みっちりで集まったところを【念動力】で一気に水ごとすくい上げます。



●イワシのタイムセールは、生姜煮色に染まる
 猟兵たちが足を踏み入れたのは、滝に隣接された邪教団のアジト。
 水しぶきに紛れて聞こえる雑音と、人の気配に猟兵たちは五感を研ぎ澄ませ、迷うことなく階下を目指す。
 滝つぼに備え付けられた下層の儀式場には、すでに沢山の信者たちが集まっており、全員が滝つぼに向かって、一心不乱に祈りを捧げているようだが……。
「ククク…弱い魚もとい「鰯」を滝登りさせ、より強力な邪神をお呼びする贄にするのだ。皆のども、一心不乱にいの――」
「やっほー! イワシの採り放題に来ました!」
「「「ぎゃああああああ!!」」」
 まるで、近所のスーパーマーケットのタイムセールにでもやって来ました、というノリで声を掛けた黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)に、揃って悲鳴を上げる信者たち。
 けれど、それも一瞬。
 警戒した様子で摩那をぐるっと取り囲もうとした信者たちは、望まぬ侵入者が彼女1人だけでないことに気づく。
「なんだ、お前は……いや、お前たちは!」
「イワシの滝登りなんて、これを逃したら一生見れないのでは、という好奇心だけでやって来ました」
「観光客、なのか?」
 ……ホントにホント?
 妙な真似をしたら……と、殺気を放つ信者たちに、太宰・寿(パステルペインター・f18704)は人当たり良さそうな眼差しをふわりと返し、滝つぼへゆっくり近づいていく。
「でも、これだけ密集していると、なんだかちょっと怖いですね……」
 寿が滝つぼを覗くと、これでもかという勢いで大量に湧いていたのは、なんと数百匹ものの、デビルズナンバーいわし!
 そのせいか、儀式場には生臭い魚の匂いが充満しており、このままここにいると身も心もイワシ色に染まっていく、そんなデンジャラスな錯覚すら、芽生えそうであーる。
「君たち、ここは観光地ではないから、早急に立ち去っ――」
「イワシは色々な料理に使えて、しかもおいしい。切って良し、揚げて良し、叩いて良し。素晴らしい素材です」
「私は生姜煮が好きです!!」
「おい、少しは我々の話を聞けッ!」
 信者たちの要求はそっちのけに、摩那がマイ唐辛子を持参済みだと調味料ポーチを見せると、瞳を瞬いた寿も同意するように頷き、モップサイズの絵筆をすっと構える。
 なんだか素敵な、ヨ、カ、ン♪
「なので、茶色に塗ろうと思います。……ぽちっと」
「今、とっても不吉な真似を――ぅぎゃああああ!!」
 寿が絵筆の柄に付いているボタンをぽちっと押した瞬間、茶色の絵の具が筆先にじわりと滲み出す。
 そのまま絵筆を勢い良く振り回し始めた寿を押さえ付けようと、信者たちが半ばパニックに陥った刹那、誰よりも早く動いたのは摩那だった。
「ここは一網打尽を狙ってみますか」
 摩那がスマートグラスのレーザー誘導を滝つぼに向けると、刀身にルーン文字が刻まれた細身の細剣が、ふわりと傍らに浮かぶ。
「目標を補足。距離、良し。軸線上に障害物なし……発射!」
 ぶんっと空切る音。
 一迅の鋭さを持って高速飛翔した摩那の細剣は、鋭い軌跡を描きながら滝つぼの中へ吸い込まれ、そして――さらに加速する。
 イワシの群れを取り囲むように細剣はぐるりと周回、滝つぼの中心にイワシの群れをみっちみっちに集めると、水ごとすくい上げるように、大きく剣筋を奔らせた。
「片っ端から生姜煮色に染めていきますね!」
 ――ざっぱあああああん!!
 水と共に巻き上げられたイワシたちが勢い良く地面に叩き付けられるや否や、茶色の塗料に塗れた絵筆をぶんぶん振り回しながら、寿が片っ端からイワシを塗り潰していく。
 え、信者たちの悲鳴が聞こえる? 気にしなければ聞こえないよね!
「やったー! イワシの採り放題だ!」
「ぎゃーやめてストップ! イワシ様も頑張って頑張れええええ!!」
 摩那の眼前にも、びったんびったん飛び跳ねるイワシたちが……!
 けれど、信者たちの声援を受けたイワシたちは犠牲となった同胞を食して悪魔の力を体内に取り込むと、ふわりと宙に飛翔し、弾丸のような軌道を描きながら、猟兵たちに襲い掛かる!
「空も飛べたのね」
 摩那は茶色の眼差しをすっと細め、ひらり後ろへ飛び退く。
 呼吸を少しも乱すことなく細剣を手元に寄せると、1体目を軽やかに剣で受け流し、ほぼ同時に迫り来る2体目を叩き落とすべく、僅かに身を捻った時だった。
「えいっ! あっ……柄で殴っちゃった。まぁいっか」
 ――ゴンッ。
 タイミング良く摩那の目の前でイワシを叩き落とした寿は、そのまま体を横に鋭く回転させて、大きくフルスイング!
 場外ホームランの如く、きりもみ回転で吹き飛んでいく、イワシたち。
 信者たちが悲鳴に似た大きな絶叫を轟かせたのは、言うまでもないだろう……。
(「次の戦いのためにも、頑張って数を減らさないと」)
 そんな阿鼻叫喚を横目に、寿は次なるイワシに備えようと足元に絵具をペタペタとまき散らし、その上に立つ自身の能力を高めようとする、が。

 ――ざっぱあああああん!!

「新手のようね」
「うっ、ちょっと臭いに酔ってきました……」
 50体程倒したところで、滝つぼから新手のイワシがわんさか湧いたのであーる。
「この滝つぼは、イワシ製造機なのでしょうか?」
「あ、いや、あと数百体で尽きるかな、私たちも頑張って祈ったからな!」
 新鮮なイワシの大群をバックに寿が首をかしげ、信者たちはドヤ顔で胸を張る。
 摩那はスマートグラスの端を不気味に光らせると、共に戦う猟兵たちを見回した。
「聞こえた? イワシのタイムセールですって!」
「ちっがあああああううううう!!」
「頑張ってペシペシ塗っていきますね」
「やーめーてえええええ!!」
 気力を取り戻した寿が虹霓を振り回すと、再び信者たちの絶叫が重なるのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フーカ・シャークライト
フカカカカ! オレだぜ!
水場はオレのフィールドだ! 今回の相手は鰯だって?
鰯なんざ鮫の餌だよな! お前の出番だ、来い! ブラックシャーク号!

◆行動
UCを発動。鮫型マシーンを召喚して、脚部パーツと合体させる。
鮫を模したメカにより鰯に【恐怖を与える】ことで鰯の戦意を失わせ、また鰯同士の連携を困難にする。
【水泳】を用いて水中での機動力を生かしてイワシを追い詰め、【一斉発射】でまとめて掃討する。


ミモザ・クルセイル
◎アレンジ・共闘歓迎

「イワシって海の魚じゃなかったんですか?」
それにしても美味しそうですね

【SPD】
滝壺には「空中浮遊」で接近
敵の攻撃に対してUC【鮫騒動】を使用し、味方猟兵の援護になるように
召喚した鮫には敵を文字通り襲って(噛み付いたりして)攻撃してもらいます

戦いは数だと言う話を聞いた事が有りますから、こちらも数で対抗です!
私も空中からの「呪殺弾」や接近しての「先制攻撃」→「零距離射撃」などを使い分けて攻撃に加勢します
後は「敵を盾にする」でダメージの軽減を図る事も狙ってみたり、等


◆抗えない何か
これだけ居るなら少し持ち帰って夕飯にしても許されそう…?
はっ、これは新たな飯テロ(物理)なのでは!?



●ドキドキぱっくんごっくんサメサメパニック
「フカカカカ! イキのいいイワシだな!」
「たしか、イワシって海の魚じゃなかったんですか?」
 滝つぼからこれでもかと湧いて群れ成すイワシのタイムセールは、まだまだ底が見えてくる様子はない。
 けれど、それを残念がるどころか、フーカ・シャークライト(ウォーマシンの鎧装騎兵・f21308)は上機嫌に戦場を駆け抜け、その少し後方でふわりと体を宙に浮かせたミモザ・クルセイル(みもざいく・f00333)は、まるで今日の夕御飯のメニューでも考えるように、ゆるりと首を傾げている。
 しかし、その思考は一瞬。
 目の前を泳ぐイワシたちは、儀式のために選抜された、選りすぐりのもの……。
 どれも鮮度は抜群、胸の内に芽生えた疑問も、3秒で食欲に変わっていきまして――。
「それにしても美味しそうですね」
「イワシなんざサメの餌だよな!」
 薄若葉の瞳を瞬かせてポツリと呟くミモザに、フーカも機嫌良く笑い返す。
 そして、滝つぼから飛び出したイワシの大群を見据えると、桃色の瞳を怪しく光らせた。
「お前の出番だ、来い! ブラックシャーク号!」
 ――どどーん!
 戦場の空気が震えるのと同時に現れたのは、フーカの背丈の倍もある鮫型マシーン!
 強く地を蹴って跳躍したフーカの動きに合わせるように、鮫型マシーンもクルッと大きく軌道を変え、一瞬だけ速度を緩めて。
「フカカカカ! いくぜブラックシャーク号! 合体だ!!」
 そのまま、フーカの脚部パーツと合体ッ!
 凶暴なサメの覇気を纏うが如く戦闘力と生命力を同時に高めるフーカに、前方のイワシが一瞬だけ取り乱し、一糸乱れぬ動きに少しだけ綻びが生じた。
「っ、イワシ様の動きが乱れた、だと!」
「嗚呼、我らの神々よッ! 鎮まりたまえ!」
 サメを模したメカメカしいフーカを前に、戦意を失ったイワシが群れから離れていく。
 その様子に慌てふためいた信者たちは手を止め、イワシたちの制御に入る、が。
「戦いは数だと言う話を聞いた事が有りますから、こちらも数で対抗です!」
 その一瞬の隙を突いて、滝つぼ近くまで接近したミモザが白い髪を靡かせ、天に伸ばした片手を真っ直ぐ振り下ろす。
 そう、イワシたち(と、ある意味信者たちのSAN値も)を襲うサメ的なバッドドリームは、これで終わりではなかったのだッ!
「さめさめマジック!」
 ――その数、43体!
 歌うように響く声色に反して現れたのは、メカではないサメの群れでして……。
 ミモザが呪いを込めた弾丸を放つのと、フーカのユーベルコードを相殺しようとしたイワシたちが弧を描きながら群れを成して飛び交うのは、ほぼ同時!
 絡み合う銀閃。
 呪いを追うように轟々と宙を裂いて飛び交うサメたちが、イワシの群れと激突する。
 そしてそのまま文字通り、イワシの大群に頭から突っ込んだ、サメたちは――。
「やめて、我らの神様を食べないでッ!!」
「いやあああああ!!!」
 ぱっくんばりばり、ごっくんむしゃむしゃ。
 無数のサメさんに食べられていくマイゴット、信者たちの悲鳴がオーマイゴット!
 そんなイワシの阿鼻叫喚、なにラップもどきイワシとんじゃーと、信者たち大絶叫ッ!
「これは、もしかしてチャンスなのでしょうか?」
 信者たちの絶望にも似た悲鳴が、虚しく響き渡る中。
 空中で様子を伺っていたミモザは、群れから離れたイワシ目掛けて、急降下する。
 そのまま一気に肉薄すると、至近距離からの呪殺弾を、勢い良く叩き込んだ。
「フカカカカ! 水場はオレのフィールドだ!」
 その様子を地上から眺めていたフーカも滝つぼに飛び込み、水中での機動力を生かして、水の中からイワシを追い詰めていく。
 背中のジェットパックの出力は最大!
 まるで魚雷のごとく水中を泳ぎ回るフーカは、滝つぼの底でくるっと向きを変える。
 そして。身体に装着した固定砲台とビームキャノンの出力を全て開放、イワシをまとめて掃討するべく、一斉に発射した!
「これだけ居るなら、少し持ち帰って夕飯にしても許されそう……?」
 空中ではミモザのサメたちに噛みつかれ、滝つぼからはフーカの一斉射撃を受けたイワシたちが、次々に水面にプカプカと浮かび上がっては、消えていく。
 その光景に少しだけ残念そうに瞼を落としたミモザは、はっと薄若葉の瞳を見開いた。
「これは新たな飯テロ(物理)なのでは!?」
「違う、絶対に違うからっ!」
「我々にとっては、君たちが召テロ(精神)なんですけどッ!」
 抗えない何かが、ミモザの頭のネジを1本緩めてしまったのだろうか……。
 真剣な眼差しで肩を震わせるミモザに、数人の信者たちが首を横に振った時だった。
「危ない!」
 弾丸のような軌道を描きながら宙を飛び交うイワシたちが、轟と空気を振動させる。
 慌てて身を引くように宙を鋭く蹴ったミモザは、即座に信者たちの――背後に回った。
「「「ぅぎゃあああああ!!」」」
 ズドーンと、きりもみ回転で吹き飛んでいく、信者たち。

 信者たちは……否、イワシたちも知らない。
 この筆舌に尽くしがたい壮絶なる悪夢は、始まりの始まりに過ぎなかったことに――!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

榎・うさみっち
いわしとは漢字でさかなへんに弱いと書く
弱いからこそ群れで行動するわけだが…
ってそれにしてもすげー数だな!
こんだけ居るんだし、いくらか持って帰って晩飯に出来ねーかな!?
色んないわし料理を思い浮かべつつそれをモチベに倒すのだ!!

【かくせいのうさみっちスピリッツ】で
さむらいっちゆたんぽを複製!
なんちゃって板前さん達にいわしをさばいてもらうぜ!
頭を切り!腹を切り!内蔵を取り出し!中を綺麗に洗う!
(文字にするとえぐいですがギャグなノリで)
そしてスパパパーンと三枚おろし!

メジャーな甘辛タレのいわしの照り焼き…
ふわふわ優しい食感のいわしのつみれ汁…
さっぱりと爽やかないわしのマリネ…
ふふふ、夢が膨らむぜ!


駒鳥・了
アジトに潜伏してるくせに鯵じゃなくて鰯なのかー

食べ物絡みの依頼に登場するのはオレちゃんことアキね!
スミちゃんがシリアスブレイク作戦すると自分のやる気もブレイクしちゃうからさ…

さーてそっちが数ならこっちも数ってコトでUCでオレちゃん追加登場!
さあ鰯ちゃんカモーン!
まずオレちゃんがナイフ投擲でとにかく数を迎え打つよ!
相棒にはナイフから逃れた分を日本刀で鯖いて、じゃない捌いていて貰う!
鰯って煮ても焼いてもツミレにしてもいいよねえ
そっちの人らもさー、変なもん作るよりこの食材で美味しいの作って食べよーよ
火を熾してちゃんちゃん焼きでもしよ!
ダメ?
じゃあ食べるの後にしよっか

分量多すぎるけど後で考えよっと


ビスマス・テルマール
●POW
これはまた、新鮮そうな鰯ですね……食べ応えもとい、なめろうにし甲斐がありますし

と言う事でUCでオーマグロを転送して攻撃力重視で装着して

蒼鉛式ご当地(堺打刃物)ビーム砲と、ご当地(種子包丁)キック用ビスマスブレードによる種子包丁キックで『早業』で『属性攻撃(蜂蜜味噌)』を含め『2回攻撃』で『なぎ払い』なめろうに『料理』し

『大食い』で頂きます

余裕があれば、同席した方々にもイワシのなめろうをお裾分け

本当は薬味もあれば良いんですが、これはこれで美味しいですね

たまに『属性攻撃(蜂蜜味噌)』を『属性攻撃(塩麹)』に変えて、イワシの塩なめろうに

コレはコレで美味しいですよ

※アドリブ絡み掛け合い大歓迎



●きりきざんで惨分クッキング
 ――鰯(いわし)とは。
 漢字でさかなへんに弱いと書き、弱いからこそ群れで行動する習性を持つわけだが。
「って、それにしてもすげー数だな!」
「新鮮そうなイワシですね……食べ応えもとい、なめろうにし甲斐があります」
 まるで、ゴキ……否、滝つぼから湧いて出るイワシの群れに、榎・うさみっち(うさみっちゆたんぽは世界を救う・f01902)が青色の瞳を小さく瞬くと、ビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)もまた好奇心で満たされた眼差しを細め、独特な起動音を周囲に響かせる。
 なめろう布教とその文化を護り渡る旅をしているビスマスにとって、眼前の光景はなめろうの良さを広げる、またと無いチャンスでもあった。
「海と沖膾の鮪の覇者は今此処に、オーマグロ転送!」
 ――Namerou Heart Omaguro!
 起動音と同時に宙に突如現れたのは、クロマグロ型水陸両用鎧装オーマグロ!
 それを瞬時に装着、蒼鉛式ご当地ビーム砲と、ご当地キック用ビスマスブレードで攻撃力を高めたビスマスは、滑り込むように敵魚影の真正面から斬り込んでいく。
 その姿を視界の端に捉えた信者の1人が、即座に警告を発しようと口を開く、が。
「総員、儀式を続けるべく、配置にもど――」
「アジトに潜伏してるくせに鯵(アジ)じゃなくて、イワシなのかー」
 ――しーん。
 シリアスさ皆無となった儀式場に吹き荒れる、エターナルブリザード!
 駒鳥・了(I, said the Rook・f17343)――アキの思わぬ一言は、SAN値がゴリゴリ削られていた信者たちに残された精神力を、更にブレイクしたのは言うまでもなく……。
 信者たちが凍りついた一瞬、アキは素早く周囲を見回すと、ボソっと呟いた。
「うーん、分量多すぎるけど、どうしよっか」
 それが何を意味するのかは、この場の猟兵の殆どが察することが出来るもの。
 食べるの後にしよっかとアキが続けると、うさみっちも「そうだなー」と腕を組んで。
「こんだけ居るんだし、いくらか持って帰って晩飯に出来ねーかな!?」
 うさみっちの脳内にほわーんと浮かぶのは、いろーんなイワシ料理!
 甘辛醤油タレが輝くイワシの照り焼き、ふわっと優しい食感のイワシのつみれ汁、暑い夏には最高の逸品!さっぱり爽やかなイワシのマリネなどなど……。
「ふふふ、夢が膨らみ過ぎて、お腹も鳴ったぞ!」
 ――ぐギュルルるううう。
 いろんなイワシ料理を思い浮かべ、それをモチベーションにイワシを料理――否、打倒しようとしたうさみっちの腹の虫が、盛大に空腹を訴えた時だった。
「ここはわたしに任せてください」
 一迅の鋭さを持ってイワシの群れに滑り込んだビスマスは、高速の斬撃を見舞う。
 蒼鉛式ご当地ビーム砲から放たれたビームが鋭い斬れ味を持ってイワシをザク切りにし、薙ぎ払うように繰り出された種子包丁キックが蜂蜜味噌を絡ませ、同時に細かく刻まれたイワシと馴染ませるように叩き上げていく。
 そして、完成したのは――!
「イワシの蜂蜜味噌なめろうです」
 何処から取り寄せた大皿になめろうを盛り付けたビスマスは「頂きます」と手を合わせると、物凄い速さで胃袋に納めていく!?
 そう、材料は新鮮なオブリビオン、すぐに食べないと消えてしまうのだ!
「おおお、これならたくさん捌いてしまっても、問題なさそうだな!」
 思わず拍手を送ったうさみっちが周囲を見回すと、共に戦う猟兵たちのほとんどが、イワシを如何に美味しく調理できないものかと機会を伺っている様子……。
「万年欠食猟兵がいっぱいって感じだな!」
 アキもまた楽しそうに口元を緩め、ビスマスに料理された同胞をモグモグ食ベて力を高めようとしていたイワシたちを、真っ直ぐ見据えた。
「さーて、そっちが数ならこっちも数ってコトで、オレちゃん追加登場!」
 アキは手の中でバタフライナイフを軽やかに一回転、素早く逆手に持ち替える。
 ――その刹那。傍に全く同じ姿をした影が現れ、2人のアキは同時に鋭く地面を蹴ると、戦場の追い風となって駆け出した。
「さあ、イワシちゃんカモーン!」
 十指にナイフを手挟んで駆けるアキは、迫り来るイワシの群れを迎え撃つ。
 煮て良し、焼いて良し、つみれにしても良し!
 アキが力一杯ナイフを投擲すると、その動きに合わせてもう1人の自分が反りの浅い打刀を素早く抜刀、ナイフで撃ち漏らしたイワシをすれ違いざまに一閃する、が。
「よーし、相棒はそのまま日本刀で鯖(さば)いて――じゃない捌いて!」
 ――沈黙、からの絶対零度、再びッ!
 凍えたのは信者たちだけでなく、別人格のスミちゃんのやる気もブレイクしてしまった気もしなくはないけれど、気にしない気にしなーい。
 弾む足取りでシリアスノーセンキューを突き進むアキの背中に、うさみっちもまた軽く腕を捲って見せると、勢い良く羽ばたいた。
「俺も、なんちゃって板前さんたちに、ササッとイワシをさばいてもらうぜ!」
 モチベーションが向上したうさみっちが颯爽と構えたのは、うさみっちばずーか。
 新たに滝つぼから湧いて出たイワシの大群に向けて、砲口を突きつけて――。
「命が宿ったゆたんぽの本気! 喰らえー!!」
 ――ずどーん!!!
 ばずーかから勢い良く飛び出したのは、着物姿の『さむらいっちゆたんぽ』たち!
 うさみっちの念力で操作された48体のさむらいっちゆたんぽたちは一斉に抜刀して宙を駆けるイワシの頭をサクっと落とすと、スパーンと腹を切って内臓を取り出し、中をサササッと滝から流れる清水で綺麗に洗っていく。
 そして、まな板にポンと着地した切り身を別のさむらいっちゆたんぽがスパパパーンと音速の勢いで三枚におろすと、我に返ったばかりの信者たちから歓声が轟いた。
「ブラボーブラボー! ……じゃなかった、おのれ、蛮族どもめ!」
 もはや、泣いたり嘆いたり絶叫するターンは、過ぎ去ったのか。
 猟兵たちに呑まれかけていた信者たちはハッと眼を見開き、わなわなと拳を震わせて。
「イワシ様の恨み、我らが晴らして――」
「そこの人、イワシのなめろうは如何ですか?」
「はい?」
「本当は薬味もあれば良いんですが、コレはコレで美味しいですよ」
 鼻息荒くした信者に、すかさずビスマスがイワシの蜂蜜味噌なめろうをお裾分け♪
 そう、猟兵たちのターンもイワシの乱獲から調理フェーズに入っていたのだ!
「やめろ、やめてくれええええ!!」
「メジャーな甘辛タレのイワシの照り焼きに、ふわふわ優しい食感のイワシのつみれ汁、さっぱりと爽やかなイワシのマリネもあるぜ!」
「そっちの人らもさー、変なもん作るよりこの食材で美味しいの作って食べよーよ」
 頭を抱える信者の周りをうさみっちが飛び回り、最後のダメ押しをするように、アキが両手いっぱいに抱えた新鮮なイワシの切り身を披露する、けれど。
「いや、流石に崇めている神を、食すのは……!」
「くっ、我らを堕落させようとは、イワシ様助けてくださいっ!」
 しかし、信者たちの信仰心は本物だった!
 彼らの願いを聞き届けたのか否か、数十匹のイワシたちが群れを成して2人に襲い掛かろうとするものの、即座にビスマスが動く。
 蜂蜜味噌を帯びたビームと斬撃の属性を塩麹に変え、大きく薙ぎ払うように一閃!
 完成したのは――。
「イワシの塩なめろうができました」
「「ぎゃああああ、我らの神様ああああ!!」」
 知的好奇心と探求心は人一倍!
 さらに大好物のなめろうが絡んで半ば暴走気味のビスマスだったけれど、それはアキとうさみっちも似たようなものであーる。
「火を熾してちゃんちゃん焼きでもしよ!」
「ダメ! ウチは火気厳禁なの、火使っちゃダメなの!」
「ふふふ、夢が膨らまないか?」
「あああああ、夢どころか絶望だけが膨らんでいくんデスけどッ!!」

 SAN値チェックと同時に飯テロに襲われた信者たちに、明日はあるのか!
 そんな中。畳み掛けるように次なる食の刺客たちが、戦場に降臨するのだった――!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シリル・アルバ
川魚は見慣れてるケド
イワシはお初、かなぁ
って、群れるのが思った以上のド迫力なんですケド!
つか、あんなに一糸乱れぬ動きとか、有り得なくない?!

ビビってる場合じゃないってツッコミは分かるけどね、ネムス
アレはコワイよ、ビビるよ!

ちょっと深呼吸してから攻撃しよう
要は、ウィザード・ミサイルでガンガン焼き落とせばイイんだよね
イケるイケる
群れなのに一つの生命体みたいに動くのが不気味だけど
焼けば、焼き魚だもんね、イケるイケる
食えはしないのが残念だけど!

よし、戦闘後は金魚でも見て癒されよう
そうしよう


アルファ・オメガ
「がう、いわしの食べ放題と聞いて!」
いわしかー、今、旬の時期だからきっと美味しいよねー(じゅるり
でも何故だろう、カモネギからつくね弾な香りがするよ!(?)

それはさておき、エレメンタル・ファンタジアで一気にいくぞー!
「てやーっ! 炎ノ竜巻!」
滝壺からいわしを竜巻で巻き上げつつ、絡めた炎でこんがり焼いて、
地面に落ちて来る頃には食べ頃になっているであろう作戦!
完璧なのでは!?
……あれ?なんか知ってるいわしとだいぶ違うような……?
え?オブリビオンなのこれ?
えーこんがり美味しそうなのにお腹壊しそう……

仕方ないなーもー
ぶらっく・せいばーで細切れにして自然(骸の海)にリリースしよう(包丁的な使い方



●こんがりイワシはハートブレイクな香り
「がう、イワシの食べ放題と聞いて!」
 UDCアースでも旬の時期を迎えたイワシは、ここでもきっと美味しいはず!
 ――じゅるり。
 思わず舌なめずりをした、アルファ・オメガ(もふもふペット・f03963)が下層の儀式場に足を踏み入れると、頭の上では生姜煮色に塗られたイワシが無数のサメに追い掛けられ、滝つぼの中は刃や砲撃が飛び交い、地上では瞳をギラつかせた猟兵たちが音速でイワシを捌きまくる、そんなカオスフルと化していた。
「川魚は見慣れてるケド、イワシはお初、かなぁ……ん? 何だろう」
 ――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ。
 頭上を仰いだシリル・アルバ(キマイラの精霊術士・f12861)は、琥珀が嵌った古代樹の杖を両手で持ったまま、硬直。
 その直後、すぐ真上を数百匹のイワシの固まりが、 ウネウネと通り過ぎまして……。
「って、群れるのが思った以上のド迫力なんですケド! つか、あんなに一糸乱れぬ動きとか、有り得なくない?!」
 無数の魚が一体化して泳ぐ不気味な光景に、森育ちのシリルは少しだけ及び腰に……。
 そんな彼の背中を押そうと、琥珀を通して現れた精霊も、頑張れと揺れてみせる、が。
「ビビってる場合じゃないってツッコミは分かるけどね、ネムス。アレはコワイよ、ビビるよ!」
 黒豹の耳と尻尾をピンっと立てて、シリルがイヤイヤと首を横に振る。
 さて、どうしたものかと、精霊もまた、ゆらゆらと身体を揺らした時だった。
「がう、大丈夫?」
「あ、うん、森育ちだからかな、イワシの動きに慣れなくて」
 もう一度、頭上を見上げたシリルに釣られるように、アルファも視線をあげる。
 言われてみれば、イワシにしては、ちょっとだけ大きいかもしれない。
 ……何故だろう。カモネギからつくね弾の香りがしてくる、ような?
「またまた新手かよ、もう嫌だあああああ!」
「こ、今度は……な、何が起きるんだ?」
 矢継ぎ早に立てられるドキドキフラグに、信者たちも脊髄反射で戦慄ッ!
 そんな期待の眼差し(?)を背に受けたアルファは、焦茶色の瞳をキリっとさせると、滝つぼを鋭く見据えた。
「よーし、一気にいくぞー!」
 アルファは暴走も辞さない覚悟で刀の鯉口を切り、口の中で詠唱を素早く転がす。
 膨大な魔力を受け入れたサムライブレイドは、紅々と焔を発すると、鋭く煌めいて。
「てやーっ! 炎ノ竜巻!」
 アルファが真っ直ぐ振り下ろした刃から吹き荒れる焔が、激しい渦を巻き起こす。
 瞬時に滝つぼの真上に到達すると、水中に隠れるイワシを巻き上げ、瞬く間に猛火が絡めとっていき――。
「あ、いい匂い」
 竜巻でこんがり焼かれたイワシの香ばしい香りが、儀式場を包み込んでいく。
 アルファの小さくも頼もしき背中に、張り詰めていたシリルの口元が、ふわり緩んだ。
「焼けば、焼き魚だもんね、イケるイケる」
 シリルは大きく深呼吸すると、ゆっくり息を吐き出す。
 視線をあげると、相変わらず1つの生命体のように蠢くイワシが不気味に飛び込んでくるけれど、もはや迷いはない。
「要は、ガンガン焼き落とせばイイんだよね!」
 シリルが古代樹の杖を高らかに掲げると、その先端に幾つもの灯火が揺れて。
 瞬く間に灯された120の焔が無数の弧を描き、イワシの郡れへと吸い込まれてゆく。
 そして、地面にぽてぽてっと落ちて来る頃には、どれもこんがり食べ頃になっていた。
「がう、完璧なのでは!?」
 パチパチと肉球を叩いたアルファは、こんがり焼けたイワシへ意気揚々と駆け寄る。
 一拍置いて。ふと強烈な違和感を感じたアルファは、ピタリと足を止めた。
「……あれ? なんかボクが知ってるイワシと、だいぶ違うような……?」
 眼前に転がるイワシの大きさは、どれもアルファの倍以上はありまして……。
 不思議そうに首をかしげるアルファに、シリルが申し訳なさそうに声を掛けた。
「コレ、全部オブリビオンじゃない?」
「え? オブリビオンなのこれ?」
「食べれないこともないみたいだケド……」
 シリルが指差した方向を見ると、秒速で調理したイワシを速攻で口に運ぶ猟兵もいれば、イワシもイワシでこんがり焼かれた同胞を食べて、悪魔の力をぎゅぎゅっと体に詰め込んでいますよ、どうします?
「うん、俺はムリ!」
「こんがり美味しそうだけど、お腹壊しそう……」
 シリルが爽やかな笑顔で回れ右をしたのと、アルファが抜刀したのは、ほぼ同時。
「仕方ないなーもー」
 食べられない魚は、自然(骸の海)にリリースするのみッ!
 一迅の鋭さを持ってこんがり焼けたイワシに斬り込んだアルファは、刀を前に突き、横に払い、縦に振り下ろし、瞬く間に細切れにしていく。
「ああ、こんがり焼けたイワシ様の香りが、さらに香ばしくッ!」
「なんて勿体無いこと――いや、俺は何を言ってるんだああ!」
 もはや、リリースというよりも料理?
 SAN値が限界値に達した信者たちも、先ほど見せた信仰心すら怪しさを覚えるレベルであーる。
 ……そんな中。
「わー、渓流でみる金魚は綺麗だなあ」
「ですよねー」
「ワシ、この地獄を乗り越えたら、今度は金魚様を崇めるんじゃ」
 いろんな意味でグロッキーになったシリルは、これまたいろんな意味で限界だった一部の信者たちと一緒に、渓流の隅っこで金魚を眺めるのでした、まる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

杼糸・絡新婦
逢坂・理彦(f01492)と参加。
迫力あるけどシュールな光景。

錬成カミヤドリにて鋼糸・絡新婦を召喚。
イワシ漁といきましょか。
網目のように交差させ、囲い込むように攻撃しつつ、
逢坂の方へ誘導できるよう試みる。
なるべく逃さないようイワシの動きを【追跡】する。
また【敵を盾にする】ことで相打ち狙う。

ちなみに自分は生姜で甘辛く煮付けたのが好きです。
新鮮やったらなめろうもええなあ
・・・あれが喰えるかどうかはともかく。


逢坂・理彦
絡新婦ちゃん(f01494)と。
滝登りをしてるのは鰯…なんだよね…。
鯉の滝登りなら分かるんだけど鰯かぁ…あと淡水だけど大丈夫なのかなぁ?
まぁ、オブリビオンだから大丈夫なのかもだけど…。
とりあえず上の方まで上がってる鰯も退治出来るようにUC【狐神楽】でちょちょいと飛べるようにしようか。
うーん、やっぱり狩衣は慣れないなぁ。

よし、墨染桜で絡新婦ちゃんが集めてくれた鰯を【なぎ払い・範囲攻撃】で一気に攻撃っと。


鰯かぁ、梅煮にしても蒲焼きにしてもおいしいよねぇ…でもこれはオブリビオンだからなぁ。まぁ、戦いが終わったら流しそうめんもあるし頑張ろ。



●清流に張り巡らされた、鋼糸と舞い手
 ――一方、その頃。
 多くの信者たちがSAN値を削られていく中、辛うじて正気を保つ者がただ1人。
 この儀式の首謀者らしき信者、その人であーる。
「おかしい、これだけイワシ様がいるのに、1体も滝登りが出来ていないだとッ!」
 このままでは儀式が不完全になってしまうのは、実に明白ッ!!
 拳をわなわなと震わせていた首謀者の視線が、ふと滝の麓のところで止まった。
「あいつらか!」
 怒りで爛々と輝く信者の双眸に映り込んだのは――2人の猟兵だった。

「イワシかぁ、梅煮にしても蒲焼きにしてもおいしいよねぇ」
 ――でも、これはオブリビオンだからなぁ。
 と、逢坂・理彦(守護者たる狐・f01492)が、捉えどころない素振りで呟きを風に流すと、先の猟兵の攻撃を喰らい、生姜煮色に染まったイワシをぼんやり眺めていた杼糸・絡新婦(繰るモノ・f01494)もまた、自分は生姜で甘辛く煮付けたのが好きだと、にこりと人のいい笑みを返す。
 その身は鋼糸のヤドリガミ。白い着物が絡新婦の白磁色の肌にとても映えていた。
「新鮮やったらなめろうもええなあ……あれが喰えるかどうかはともかく」
「まぁ、戦いが終わったら流しそうめんもあるし頑張ろ」
 絡新婦の意識が、滝つぼの近くでなめろう料理を振る舞う猟兵に、一瞬だけ止まって。
 けれど、すぐに滝の真下に視線を戻した絡新婦は、柔らかく緑色の瞳を細める。
 ――同時に。理彦の柔和な金の双眸もまた、刃の如く剣呑に煌めいた。
「おいでなすったかね」
 へらり笑みを浮かべた理彦が視線で示す先には、滝を登ろうとするイワシの群れが。
 それほど数は多くないものの、血気迫りながら駆け登るイワシは、まさしく――!
「迫力あるけど、シュールな光景やね」
 ふわり洩らした絡新婦の言の葉は、直ぐに水飛沫に掻き消されたけれど、彼はそれに気を留めることもなく、至ってマイペースに鋼糸を手繰り寄せる。
「鋼糸【絡新婦】いざ、参るてな」
 ――錬成カミヤドリ(コウシジョロウグモ)。
 杼に巻かれた光によって4色に変色する絡新婦の鋼糸は、瞬く間もなく50本に複製され、まるで個々が意思を持ったかのように飛び交い、網目の如く交差していく――。
「ほな、イワシ漁といきましょか」
 絡新婦が無数の鋼糸を持って錬成したのは、蜘蛛の巣のようにも見える、漁網。
 強靭な鋼糸を持って形成された漁網は、滝の中腹まで登ってきたイワシをあっという間に取り囲むと、理彦が待つ場所へと誘導していく、が。
「滝登りをしてるのは、やっぱりイワシ…なんだよね…」
 鯉の滝登りならいざ知らず、眼前で一網打尽されたイワシに理彦は小さく苦笑する。
 淡水でも全然大丈夫そうなのは、やっぱりオブリビオンだからだろう、きっと……。
「とりあえず、ちょちょいと飛べるようにしようか」
 柄に墨染桜が描かれた愛用の薙刀を握る手に力を込め、理彦は滝の近くの岩場をトンっと駆け上がると、反対の軸足を鋭く蹴って宙に躍り出る。
 ――そして、淡い金色の光が包み込んだ。
「神楽を奉納しようか」
 ゆるり紡がれた言の葉と共に、理彦の服装が神々しい狩衣姿へと変わってゆく。
 ――同時に。
 手中の薙刀も輝きを増し、凛と鳴り響く鈴の音が理彦の身体をふわりと宙に浮かせる。
 滑るように迫り来る煌々しい舞い手から逃れようと、イワシたちはびったんびったん鋼糸の中で暴れ回ってみせる、が。
「逃がさんよ」 
 イワシの動きを制御するべく絡新婦が鋼糸の網を引いたのと、颯爽と宙を駆ける理彦が敵影を間合いに納めたのは、ほぼ同時。
「うーん、やっぱり狩衣は慣れないなぁ」
 理彦は飄々と口元を緩めながらも愛用の薙刀を隙無く構え、鋭く横一文字に切り結ぶ。
 ――一閃。
 流れるように振った横薙ぎの軌跡は、絡新婦が集めたイワシたちへ狙い通りに届く。
 瞬く間にイワシたちが四散するや刹那、発狂にも似た声色が滝の下から轟いた。
「イワシ様の滝登りを邪魔していたのは、お前たちか!」
 首謀者らしき信者が「行け」と命じると、僅かに残ったイワシたちが鋼糸の網を喰い破り、数十匹のイワシを解き放とうとしていて。
「ちょいとお邪魔させてもらってますわ」
 ――ぐんっ。
 絡新婦が手前の鋼糸を強く引くや否や、1体のイワシがふわっと浮かび上がる。
 ――刹那。鋼糸を突破した、もう1体のイワシと激しく衝突、相打ちをした両者は共に塵と化して消えていった。
「絡新婦ちゃん、ここはおじさんに任せて頂戴な」
「すんませんなあ、お願いします」
 薙刀を軽く振ってみせた理彦の掴みどころのない笑みに、絡新婦もまた口元を緩め、ひらりと後ろへ跳び退く。
 癖のある理彦の茶色の髪が滝上で靡き、少し遅れて空切る音が空間を駆け抜ける。
 倒れた同胞を喰らって力を高めようとしたイワシがいれば、絡新婦が即座に鋼糸で絡め取り、切り刻んでいった。

 清流に張り巡らされた、蜘蛛の如き鋼糸と狐神の舞い手。
 2人は終始息の合った動きで、滝を目指さんとするイワシどもを切り伏せていく。

 ――そして。
 その光景を横目で眺めていた他の猟兵たちは、安心して(?)下層のカオスへと身を委ねていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

火狸・さつま
コノf03130と


いわし!大量…!!
今日の、ごはん?
何作る、の?
わわ、楽しみ!!
おみみもしっぽも、ぴぴんっと立てて
わくわくそわそわっ
いざ『料理』ー!

『早業・先制攻撃』<雷火>の『気絶攻撃』雷撃『範囲攻撃』ぴしゃんっと落として
『2回攻撃』<彩霞>でスパッと三枚おろし

わわ、トビウオでも、ない、のに
このイワシ、お空、飛ぶ、よ!
『オーラ防御』を次々と幾重にも展開し
群れを上手く纏める様に誘導

凍らす、の?

攻撃『見切り』狐姿に変化して躱せば
『カウンター』【しっぽあたっく】
『早業・2回攻撃』しっぽでぺちんぺちん!


あっ!コノちゃんもぐもぐしてる!!
ずるい…!!
俺も……(がぶふ!)
ぅー、俺…料理されたヤツが良い…


コノハ・ライゼ
たぬちゃん(f03797)と

超真剣な眼差しで腕捲り
この量、一匹ずつ対処してちゃ間に合わないネ
イワシはとっても足が速い――ココは一気に凍らせて活〆状態に!
蒲焼に生姜煮梅煮、フライに南蛮漬け……
なんにだって『料理』してあげるわ!

【彩雨】展開
足場が悪けりゃ凍らせて固めておきましょ
鰯へは『スナイパー』で無駄なく、且つ『2回攻撃』で隙なく氷の雨降らし
素早く凍らせるわネ
凍らせ損ねたのは「柘榴」の刃に『マヒ攻撃』乗せすぱっと頭を落としましょ

共食いするってハナシだけど、食べた分美味しくなるのかしらね?
天ぷらにつみれにマリネ……
生食は危なそうダカラ我慢するケド、消える位なら『生命力吸収』
だって勿体ないじゃナイ



●凍らせてシビらせて時には一緒に摘み食いも
「わわ、トビウオでも、ない、のに、このイワシ、お空、飛ぶ、よ!」
 ひらりと空を泳ぐ大漁……ではなく、大量のイワシ。
 まだまだボウフラの如く降って湧いてくるイワシの群れに、興味津々になった火狸・さつま(タヌキツネ・f03797)は、不思議そうに何度も瞳を瞬いて。
 あ、此処からは、全力のカオスによる、フルスロットルでお送りしますねっ!
「この量、一匹ずつ対処してちゃ間に合わないネ」
 十数人ものの猟兵たちが、数百のイワシたちを調理――否、討伐にあたっているものの、まだまだ尽きる様子は見られない。
 コノハ・ライゼ(空々・f03130)は親の仇でも見るかの如く、イワシの群れを射抜くように鋭く見据え、静かに腕をまくる。
 普段はへらり気儘に笑い返すコノハの、超真剣すぎる眼差し……。
 その気迫に何かを察したさつまは、フードの下の狐耳をぴょこんと立てた。
「コノちゃん、今日の、ごはん? 何作る、の?」
「そうね。天ぷらにつみれにマリネ……いえ、生食は流石に危なそうネ」
 期待を胸いっぱいに尻尾をゆらゆら狐耳をぴこぴこ動かすさつまに、コノハもよくぞ聞いてくれましたと返すが如く薄氷の瞳をすっと細め、眼鏡の端を光らせる。
「イワシはとっても足が速いのヨ――そう、つまり」
 説明しよう「足が速い」は、傷み易いとか、腐り易いと言う意味であーる。  
 決して、このイワシに2本の足がついている訳でないことを、付け加えておこう。
「ココは一気に凍らせて、活〆状態にするしかないワネ!」
「凍らす、の?」
 説明以下略、活〆とは魚を速攻でぽっくりさせて、美味しさを保つ必殺技である。
 眼鏡の奥に秘された瞳を鋭く見開いたコノハに、さつまはゴクリと喉を鳴らす。
 一瞬の沈黙、そして。
「それだけじゃないわ、蒲焼に生姜煮梅煮、フライに南蛮漬け……なんにだって『料理』してあげるわ!」
「イワシのごはん、大量…! わわ、楽しみ!!」
 コノハは何時もの獲物を狙う狩人ではなく、完全に料理人の顔になっている。
 耳と尻尾をぴんっと立てたさつまも、わくわくそわそわ落ち着かない様子……!
「わー、次はどんな感じに料理されるのかな、我らのイワシ様」
「どうせなら、イワシの叩き以外でお願いしますうううう」
 SAN値が限界まで削られた信者たちのほぼ全員が、死んだ魚の眼になっている。
 これなら、心置きなく調理しまくっても、文句を言う者はいないだろう、きっと。
「足場が悪けりゃ凍らせて固めておきましょ」
 もたもたしていると鮮度……ではなく、他の猟兵たちに調理されてしまう!
 狙い定めるように双眸を細めたコノハは鉱石のナイフを素早く逆手に持ち替え、口の中で詠唱を小さく転がす。
「煌めくアメを、ドウゾ」
 柘榴の刃が魔力を受け止めた刹那、コノハの周囲に顕現したのは、無数の氷を帯びた針路。
 270本ものの万色映す水晶の針は氷雨と化し、一陣の風となって迫り来るイワシの群れ目掛けて、一気に降り注いだ。
「いざ『料理』ー!」
 その、息継ぐ間もない猛攻の中。
 オーラで護りを固めたさつまがイワシの群れを上手く纏めるように疾走、自身とコノハの間合いにイワシを集め切ると、軸足に力を込めて大きく身を捻る。
 一瞬遅れて、ふわりと舞い上がった尻尾に文様が拡がり、黒雷がパチっと爆ぜて。
「広がれ…!」
 さつまを中心に放たれた闇色の雷が、辛うじて凍結を逃れたイワシを気絶させ、ぴしゃんっと地面に落としていく。
 一拍置いて、先程よりも小さくも鋭さを増したコノハの水晶の針が隙なく降り注ぎ、蛮刀の刃を手元で閃かせたさつまが、すれ違いざまに三枚に下ろした時だった。
「たぬちゃん、後ろ!」
 コノハの警告を耳にしたさつまは、即座にポンっと狐の姿に変える。
 キィン。空切る音。
 次の瞬間、すぐ頭の上数センチを全身をイワシの群れで覆って強化した1体のイワシが、弾丸に似た速度で駆け抜ける。
 さつまは返す刃の如く大きく跳躍すると、鋭い回転を掛けるように、くるりと宙返り。
 ――そして。
 そのまま超高速かつ大威力の一撃を乗せた自慢のしっぽを、ぺちんぺちんと2回叩きつけた!
「教えて…くれて、ありが……あっ!」
 妖狐の姿に変えたさつまの視界に飛び込んだのは、凍らせ損ねたイワシの頭をスパーンと柘榴の刃で切り落としたコノハが、こっそりムシャムシャしている光景でして……。
「コノちゃんもぐもぐしてる!! ずるい…!!」
「共食いするってハナシだけど、食べた分美味しくなるのかしらね?」
 ちょっと待ってくれ!
 そのイワシ、よりによって同胞をデビルカニバリズムった後の、イワシなのかッ!!
「生食、危ないって、いった…!」
「だって勿体ないじゃナイ」
 消えるくらいなら……と、2匹目に手を伸ばす、コノハ。
 そんな相方に、さつまも負けじと「俺も……」と、勢い良く齧り付いてみせる、けど。
 口の中に吹き荒れるのは香ばしさではなく、エターナルブリザードだった。
「ぅー、俺…料理されたヤツが良い…」
 ……不味い云々ではなく、とにかく生臭いッ!
 狐耳とふさふさ尻尾もへちょり、しょんぼり肩を落としたさつまに、コノハはへらり口元を緩めて。
 天ぷらに、つみれに、マリネ……。
 今日の晩御飯は、どうするかしらネと、贅沢な悩みに耽るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

木元・祭莉
【かんさつにっき】でー♪

うっわ、鰯の滝のぼりー!?
やる気満々だね! スッゴイなあ、おいら好きだなあー♪

でも、邪教だから潰すね?(にっぱりきっぱり)(手のひら返し)


普通に、投網かなあ?
川だし滝だし夏だし、おいら追い込み担当やってもいいよ!(水着でウキウキ♪)

滝つぼに向かって浮遊ー♪
幻影の舞扇を召喚、鰯目掛けて投射!(ぱーん)
魚群化したら、如意な棒から広範囲の衝撃波を放ち、鰯を気絶させるよー!

浮いた浮いたー♪
さあ、網掛けて一網打尽だー。
鰯って、どう食べるのが美味しいの? 梅肉? 大葉和え?
(すちゃっと包丁取り出し)

気絶してる間に、ちゃっちゃと捌いてー♪(ぐさばきどす)
え、食べないの? むー。


木元・杏
【かんさつにっき】
水着着用
滝のぼり……いわしってすごいね、まつりん(祭莉・f16554)(目をきらきら
……お刺身、する
(灯る陽光を刺身包丁に象り)

追い込みはまつりん
小太刀、一緒にがんばろ(こくり
【うさみみメイドさんΩ】
滝つぼ下に向かってごー
数十匹のデビルズナンバーいわし
数と数との勝負
でもメイドさん達は有能
岩場を蹴りジャンプ
いわしには出来ない動きで翻弄
キックやパンチで倒していく

わたしは本体に向かい刺身包丁で真剣勝負
三枚おろしで捌きにかかる

取り逃がしても平気
だって、ほら?
(まつりん見上げ
衝撃波に巻き込まれないよう滝つぼから撤退

ん、食べよ?
お魚は刺身で梅肉がいちば……
ぇ、いわし食べられない?(がーん


鈍・小太刀
【かんさつにっき】

なるほどなるほど
渓流で涼みながら鰯の群れを掴み取りって訳ね、了解よ
…って、水着着るの!?(今更だけど少し恥ずかしそうに

しかしここまで数が多いと
滝登りというより滝そのものみたいだね

祭莉んもウサミミメイドさん達も元気だなぁ
私も負けてらんないね
宙を舞う魚群に黒雨の矢を放つよ
炎属性&串刺しで串焼きに
魚の焼ける匂いが美味しそう♪

お刺身も欲しいよね
杏が料理人の顔だ!

あ、(共食いで大きくなった)大物来た!
動きを見切って…そこだ!
糸雨の苦無を放って一本釣りに
なんかめっちゃ楽しいねこれ

ふふふ大漁大漁♪
味付はシンプルに塩や醤油が好きだけど
なるほど梅も美味しそう
色々試してみたらいいんじゃないかな?



●イワシの掴み取り!畳み掛ける乱獲クッキング!
「滝のぼり……いわしってすごいね、まつりん」
「やる気満々だね! スッゴイなあ、おいら好きだなあー♪」
 イワシたちも信者たちと同様「ぅわ、猟兵ヤバ過ぎる!」と悟ったのだろう。
 押し寄せるように滝に向けて殺到するイワシの群れに、【かんさつにっき】の木元・杏(ぷろでゅーさー・あん・f16565)が、向日葵色の瞳をキラキラ瞬くと、木元・祭莉(サムシングライクテンダネスハーフ・f16554)もまた、一際大きな歓声を、心地良い滝の音と共に響かせる。
「しかしここまで数が多いと、滝登りというより滝そのものみたいだね」
 鮮やかな青色の2ピースの水着。大きめのフリルが入ったスカートが渓流の風を受けて揺れるたびに、鈍・小太刀(ある雨の日の猟兵・f12224)は少しだけ恥ずかしそうに俯くけれど、裏地に入った淡い水色が美しく波のように煌めいて。
 ――と、その時だった。
 何処に隠れていたのか、滝を見上げる3人の横に1人の信者がすっと並んだのは。
「……うう、イワシの滝登りの素晴らしさを、わかってくれる者がいたなんて」
 ドヤ顔から一変し、感嘆の涙を流す首謀者らしき信者に、祭莉もまた満面の笑みを向ける、けれど。
「でも、邪教だから潰すね?」
「はい!?」
 突然のカミングアウト。
 きっぱりと手の平返す祭莉の輝く笑顔に、憐れな首謀者は目ん玉が飛び出しそう。
「……お刺身、する」
「お嬢さんは、見た目と言ってることが違い過ぎるのではッ!」
 黄色と黒の淡いコントラストのワンピース。スカートに細かく入ったフリルがまるで向日葵のようにも見える、愛らしい水着姿なのに、杏は刺身包丁に象った白銀の剣を両手で握ったまま、瞳に殺気を据わらせていますよ、どうします?
「なるほどなるほど、そういうことね」
 料理人の顔と化した杏の後ろで神妙に頷く小太刀とは反対に、首謀者は滝のような汗を流すのが精一杯でして……。
「渓流で涼みながらイワシの群れを掴み取りって訳ね、了解よ」
「いやああああああ!!」
 トドメと言わんばかりに、小太刀が細く丈夫な鋼糸をすちゃっと構えて。
 鋼糸によるトラウマ、再び。
 首謀者の大絶叫は虚しく水飛沫に混じり、そして、か細くなって消えていったという。

「川だし滝だし夏だし、おいら追い込み担当やってもいいよ!」
 戦意を喪失した首謀者や信者たちは岩陰に捨て置き、虎模様の動きやすい海パンに若草色のパーカーを羽織った祭莉は、ウキウキと滝つぼに向かって浮遊する。
 晩夏を迎えたとはいえ、夏の陽射しを受けた渓流は、眩しいくらいに煌めいて。
「普通に、投網かなあ?」
 滝つぼの真上に到達した祭莉は舞扇の幻影を召喚すると、イワシ目掛けて投射する。
 ――瞬間。
 水面が大きく爆ぜ、更に互いを夢色の絆で繋がれて驚いたイワシたちが、一丸となって勢い良く飛び出すものの、祭莉は即座に如意みたいな棒を水面に叩きつける。
 滝つぼに広がる強烈な波紋。
 広範囲の衝撃波に気絶させられたイワシが、瞬く間にプカプカと浮かび上がった。
「浮いた浮いたー♪ さあ、網掛けて一網打尽だー」
 祭莉の明るい銀色の眼差しを受け、コクリと頷いた杏は小太刀にも視線を向ける。
「小太刀、一緒にがんばろ」
 柔らかく口元を緩めた杏はうさ耳付きメイドさん人形を次々複製、滝つぼの下に向かうように命じる。
 ――その数、52体。
 愛らしいメイドさんたちが相手をするのは、衝撃波を逃れた数十匹のイワシたちだ。
「いってらっしゃい」
 数と数が激突する勝負は激しい打撃音と共に始まった。
 迎え撃つイワシたちもまた、メイドさん人形を相殺するように数十匹のイワシを解き放つものの、メイドさんたちは水中の岩場を巧みに蹴って跳躍、鋭いキックとパンチの応酬による、激しい肉弾戦を繰り広げていく。
「祭莉んもウサミミメイドさん達も元気だなぁ」
 ――私も負けてらんないね。
 超負けず嫌いな性格に背中を押された小太刀も、渓流の風にツインテールを揺らす。
 手中に在るのは黒漆塗の和弓。飾り気は少ないけれど機能性に優れた其れを天に向け、ゆるりと宙に蠢くイワシの群れ目掛けて、力強く黒雨の矢を解き放つ。
「戦場に黒き矢の雨を」
 宙高く射抜いた1本の矢は瞬時に240本の炎槍と化し、イワシの群れに降り注ぐ。
 ……と、聞こえは良いものの、要約すると炎の矢でサクっと串刺し、イワシの串焼きの爆誕であーる。
「なんだかとっても、美味しそうな匂いー♪」
 串焼きとなったイワシの香ばしいまでな香りが、祭莉の鼻孔をくすぐっていく。
 けれど、その魅力的な香りに刺激されたのは、猟兵たちだけではなかった!
「あ、大物来た!」
 紫の瞳を大きく瞬かせた小太刀の視界に飛び込んできたのは、串刺しになった同胞を美味しくバリムシャと食べまくって、丸々と肥えてしまったイワシでして……。
 まるで、お代わりを強請るように向かって来た巨影に、杏の瞳が剣呑に光った。
「……あとは、お刺身!」
 叩きに串焼きが揃えば、残るはただ1つ!
 杏は刺身包丁に象った光の剣を手元で閃かせると、滑るように前へ踊り出る。
 交差し合う一閃。
 三枚おろしで捌きに掛かった鋭い斬撃は辛うじて避けられてしまうものの、杏は余裕に満ちた眼差しを真っ直ぐ向ける。
「取り逃がしても平気、だって、ほら?」
 杏が見上げた先で躍動するのは、双子の兄の祭莉。……追い込みは彼の役目だ。
 祭莉と目と目が合った杏は衝撃波に巻き込まれないように、ひらりと後方に跳び退く。
 ――瞬間。轟と空気が振動し、衝撃で大きく飛び跳ねた巨影が地面にびたんと叩きつけられるや否や、しなやかに小太刀が動いた。
「…そこだ!」
 お刺身を恋しく思う気持ちは3人とも同じ。
 小太刀は先端に苦無が付いた細く丈夫な鋼糸を、イワシの口目掛けて真っ直ぐ伸ばす。
(「なんかめっちゃ楽しいねこれ」)
 鋼糸を通して腕に浸透する重みに、小太刀は思わず笑い声を洩らしそうになるものの、ぐっと堪えてみせると、一本釣りの要領で一気に引き寄せた。
「イワシって、どう食べるのが美味しいの? 梅肉? 大葉和え?」
 すちゃっと包丁を取り出した祭莉は、巨影が気絶してる間にサクサクと捌いていく。
 時折何とも言えない物騒なスプラッター音が響くけれど、気にしない気にしなーい。
「味付はシンプルに塩や醤油が好きだけど、梅も美味しそうね」
「お魚は刺身で梅肉がいちば……」
 ――大漁大漁♪
 イワシの串焼きを両手一杯に抱えた小太刀が楽しそうに頷くと、杏もどれどれと串焼きに手を伸ばす、が。
「ぇ、イワシ食べられない?」
 目の前ですぅと消えていく串焼きに、杏はショックで硬直してしまう。
 材料はオブリビオン、早めに食べないと消えてしまうのだ――!
「色々試してみたらいいんじゃないかな?」
 小太刀が周りを見ると、他の猟兵たちも消える前に速攻で食べたり、すぐに食べれるレシピに切り替えたり、少しでも長持ちさせようと凍らせたり、いろいろ創意工夫をしている様子……。
 と、その時。岩陰でグロッキーとなっていた信者たちが、むくりと起き上がる。
 どう見ても、タイミングが悪すぎであーる。
「うぅ、状況はどうなって――ぎゃああああ」
「あああああイワシ様ああああ!」
 視界一杯広がるお刺身やら串刺しに、信者たちが揃って卒倒したのは言うまでもなく。
 祭莉と杏は顔を見合わせると、不思議そうに首を傾げて。
「え、食べないの? むー」「ん、食べよ?」

 まだまだイワシはたくさんある(はず)!
 瞬く間に平らげた3人は再び滝つぼの前に立つと、湧き出る新鮮なイワシを根こそぎ狩り取っていく。

 後日、グリモア猟兵が暇つぶしに全員の討伐数を計算したところ、3人合わせた釣果が抜きん出て凄かったと言うのは、また別の話♪

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィクトル・サリヴァン
わー鰯の滝登りなんて珍しいねー。
なんかもう聞いただけでアレなんだけど邪神完全復活阻止の為に頑張らないとね。
鰯臭いのはまあ、海住みだから問題ないし。
…多分、いいごはんになるだろうしね。

UCで空シャチを召喚。
滝壺ぐるぐる回って中心に追い立てるようにれっつごー。
シャチの食性はタイプによって違うけど魚メインのタイプもいるし。
中心に集まったら踊り食いの時間、好きなだけどうぞ。
鰯が群れてもシャチに勝てるとでも?

もし滝登ってる個体居たらそっちを追いかけて貰おう。
元々空飛べるから滝のサイズで登れなーいとかの問題もないしね。
俺自身はこっそり群に紛れて水の魔法で逃げ難いよう水流操作するかな。

※アドリブ絡み等お任せ



●空を泳ぐモノたちの狂宴
「ここからが正念場かな、邪神完全復活阻止の為に頑張らないとね」
 惨分クッキングもとい、戦いは終盤に差し掛かっている。
 滝を登ろうとしたイワシたちが、麓で待ち構える猟兵たちに、サクッと料理されていく様子に、ヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)は、つぶらな瞳を柔らかく細めて。
 というか、なんかもう聞くだけでアレだし、敵も味方もいろんな意味であってはならない行動のオンパレードだけど、相手はオブリビオンだから、仕方ないよねっ!
「イワシ臭いのはまあ、海住みだから問題ないけれど……」
 ヴィクトルが周囲を見回すと、辺りはイワシの生臭さと、こんがり焼かれた香ばしさが混在するという、中々フローラルな現場と化している。
 オブリビオンでなかったら、いいご飯になっていたのかもしれない、が。
「あばばばば、我らの神がががが」
「ぅううううう」
 信者たちの殆どが気を失っており、動ける者もうわ言を呻く置物と化していて。
 彼らから視線をそっと外したヴィクトルが滝つぼを覗くと、その中で湧き出るイワシたちも、始めの時より随分と減っていた。
「あともうひと押しするだけで、いけそうだね」
 ヴィクトルが頑丈で重量感のある三又銛を掲げると、頭上の空間がぐにゃりと歪む。
 イワシの香ばしさ漂う中、次から次へと召喚されて、宙を泳ぎ始めたのは――。
「海ばかりと思ってたら痛い目見るよ」
 その数、なんと42体ものの、空のシャチ。
 尾ビレの腹側に1と刻印された戦闘用の空中を泳ぐシャチは、さらに合体ッ!
 刻まれた刻印が42となった大シャチは宙を一度だけ旋回し、勢いを乗せたまま、豪快に滝つぼへと突っ込んでいく。
「ぐるぐる回って中心に追い立てるように、れっつごー」
 滝つぼに飛び込んだ大シャチはヴィクトルの合図のもと、水中を何度もぐるぐる周り、残った全てのイワシを中央へ追い立てていく。
 イワシたちが滝つぼの中心に集まった刹那、大シャチは深く潜水し、そして!
 ――ざっぱあああああん!!
 中央目掛けて一気に浮上した大シャチは、そのままイワシたちを飲み込んだ。
「イワシが群れてもシャチに勝てるとでも?」
 この大シャチは魚が好物なのだろうか。
 嬉しそうに踊り食いを続ける大シャチに、ヴィクトルも口元を緩めた時だった。
「「「全てのイワシ様よ、どうか滝の方へ!!」」」
 もはやこれまでと悟ったのか。
 首謀者らしき信者の激昂が響き渡り、残るイワシたちも一斉に滝の方へ向きを変える。
 その数は僅かだったとはいえ、ヴィクトルは即座に大シャチに呼び掛けた。
「滝に向かった個体も、好きなだけどうぞ」
 温厚で紳士的に微笑むヴィクトルに、大シャチは嬉々と向きを変えて、滝の方へ!
「なんだとッ、シャチも空を飛べて滝を登れるなんてッ! 信じられんッ!」
「わー、イワシの滝登りも珍しいと思うけどねー」
 驚愕の余りに大きく瞳を見開く首謀者らしき信者の反応に、ヴィクトルは完全なる棒読みで応えると、自身もそのままザブーンと水中へ飛び込み、逆走する。
 少しでも逃げ難いように水の中からも妨害するヴィクトルに続けて、十数名の猟兵たちが滝を取り囲むように集まり、一斉放火を仕掛けていく。
「こ、このままでは……不完全な状態で、邪神様が降臨してしまう!!」
 数の暴力と食欲のバイオレンスの相乗効果、なんて恐ろしい子ッ!!
 首謀者が両膝を落とすのと、最後の1体が霞となって消えたのは、ほぼ同時。

 ――そして。
 香ばしいイワシのフローラルな香りが漂う中、かの『雷穹龍』が降臨する!

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『雷穹龍グローレール』

POW   :    雷霆光輪
【超高熱のプラズマリング】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    撃ち砕く紫電
レベル×5本の【雷】属性の【破壊光線】を放つ。
WIZ   :    ドラゴニック・サンダーボルト
【口から吐き出す電撃のブレス】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。

イラスト:小日向 マキナ

👑11
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※マスターより
導入文とプレイング受付開始は【8月31日(土)9時頃】を予定しております。
以下、覚書きになりますが、プレイングの参考にご利用くださいませ。

邪神の大きさ:198センチ。
邪神の強さ :平凡。イワシよりは強いです。
その他   :シリアスブレイクされるとさらに弱体化します(プレイングボーナス盛り盛りになります)が、シリアスで挑んでも強化されることはございませんので(単にプレイングボーナスが少なめだと思って頂ければ)、お好みの雰囲気でどうぞです。
 
●雷穹龍、渓流に降臨す
 滝つぼの上に顕現した雷穹龍グローレールは、辺りの異様な光景に眼光を見開く。
 鼻孔を刺激するのは、鉄錆と血臭さ……ではなく、イワシ料理やらイワシがこんがり焼けた、とっても香ばしいイイ香りでして。
『……グルルル!!』
 雷穹龍が注意深く周りを見回せば、自身を召喚したと思われる信者たちはブクブクと泡を吹いて卒倒し、残っている者といえば、目を据わらせた猛者ばかりで。
 ……否、これまで戦ってきた戦士たちとは、別の意味で面構えが違う!
 なんだか、闘志とか殺意やらというよりも「よっ、待ってました!」という、ゆるゆるっとした、空気感なのかもしれない……。
 誰かが「メインディッシュだ」とごくりと喉を鳴らせば、別の誰かが「いや、油断大敵と言うし、全力で殴りにいくか」と、ぼそっと呟く。
 この空気感に不慣れと思われる雷穹龍は、戸惑いを浮かべたまま滝つぼの上に滞空していたけれど、ハッと居住まいを正すと、威厳を届かせるように咆哮した。

 ――ゆるい、ゆるすぎるッ!! 

 我を前に何という体たらくだと龍は吼え、同時に己に起きている異変に気づく。
 自身の目線が彼らと同じ(約198センチ)で、とってもコンパクトな大きさになってしまっていることに。
 そして、それだけではなく、破滅の力を帯びた雷光も、周囲にバチンと弾ける程度に、弱体化してしまっていることにも、だ。
『……』「……」
 両者の間に、何とも言えない、気まずーい空気が流れる。
 一拍置いて「あ、儀式が不完全だったのやも」と悟った雷穹龍は、自分を取り囲む猟兵たちに、黙したまま視線を送った。

 ――帰っていいかな、と。

「一応メインディッシュなので、蒲焼きになってくれないと困るんですが」
「試したいユーベルコードがあるので、それを全部食らってくれたらいいですよー」
「ただし、還る場所は……骸の海、一択だけどな!」
 オブリビオンに慈悲はないと、嬉々と迫りくる猟兵たち。
 迎え撃つ雷穹龍もまた、何処かヤケクソ気味に「もう、どうにでもなれ!」と、咆哮を轟かせるのだった。
ビスマス・テルマール
コレの何処が青い鰻なんでしょうか?

生食可な穴子と違って、鰻は火を通す必要あるとは言え、なめろうに出来るのに……

まぁ……ドラゴン肉もフィクションだと最上級食材と言われる事は多々ありますし

この際……

●POW
『早業』でUCを攻撃力重視発動

『属性攻撃(土)』と『オーラ防御』を付与した『残像』ばら蒔き

鰻モドキごとき(雷穹龍)のUCを『盾受け』

隙見て『ダッシュ』で懐に潜り込みディメイション・チョップスティックをパイルバンカーモードに切り替え『属性攻撃(日本酒)』を付与し刺して注入

種子包丁キックで『早業』で捌き蒼鉛式堺打刃物ビーム砲に『属性攻撃(醤油麹)』を込めなめろうに『料理』

※アドリブ絡み掛け合い大歓迎



●ウナギもどきは酒と醤油麹の香り
「コレの何処が青い鰻なんでしょうか?」
 滝つぼに鎮座する青き龍の、角の先端から尾の末端までじっくり眺めたビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)の唇から漏れたのは、溜息混じりの呟きでして……。
 なめろうを愛するビスマスが落胆するのも、無理もない。
 眼前に在るのは生食が可能なアナゴでもなく、火を通す必要があるけれど、なめろうに調理出来る、ウナギでもないなんてッ!
『誰が青いウナギだー!!』
 其れの正体は、雷穹龍グローレールと呼ばれる、神格級の邪神。
 けれど、完璧に近い形で儀式を阻止された邪神のサイズは、2メートルあるか否かと思うくらいにコンパクトに収まっており、周囲を取り囲む猟兵の殆どが「全員分ある? 大丈夫?」と心配してしまうほど、誰の目から見ても、大きく弱体化している。
「まぁ……ドラゴン肉もフィクションだと最上級食材と言われる事は多々ありますし」
 そんな、ゆるっとした空気の中。
 身を覆うクロマグロ型水陸両用鎧装オーマグロ鎧装と、各武装の攻撃力を高めたビスマスは、先陣を切って疾走する。
 残像をばら撒くように距離を詰めるビスマスに、迎え撃つ雷穹龍も居住まいを正し、怒り狂った咆哮を轟かせた。
『易々と貴様らの糧になるような我ではない! ――!!』
 雷穹龍の全身が雷光に包まれた、その刹那。
 超高熱のプラズマリングが雷穹龍の前方から広がり、瞬く間にビスマスを飲み込む。
 ――だが、しかし。
 視界内全てのものを無差別に狙う電撃を、ビスマスは容易く盾で受け止めてみせる。
 そして。絶好の好機とも言えるタイミングに促されるような迅速さで、ビスマスは雷穹龍の懐に滑り込んだ。
「この際……」
 一迅の鋭さを持って邪神に肉薄したビスマスは、グルメツールを取り付けたガントレットをパイルバンカーモードに切り替えると、零距離から勢い良く突き刺し、ねじり込む。
 痛みに耐えかねて身をよじらせた雷穹龍は、ふと鳩尾に感じた違和感に一瞬だけ動きを止め、鼻孔を研ぎ澄ませた。
『……ッ! 何をした、猟兵ッ!』
 自身の鳩尾から、ふわりと漂ってくるのは、日本酒の香り。
 動揺した雷穹龍が、思わず身体をしならせようとしたのも、時既に遅し!
 ビスマスはキック用に取り付けたブレードで、大きく薙ぎ払うように、身を捻らせた。
「鰻モドキを美味しくなめろうにしてみせます!」
 目にも留まらぬ速さで繰り出されたキックが、鋭い弧を描く。
 さらに、醤油麹を乗せた蒼鉛式堺打刃物ビーム砲を重ね、美味しく絡めていくと――。
「青鰻モドキの醤油麹なめろうです」
『だから、我はウナギもどきでは、なあああああいッ!!』
 涙目の雷穹龍をそっちのけに、ビスマスは何処から取り寄せた大皿に盛り付けたなめろうを、音速の勢いで口に掻き込んでいく。
 鳩尾をごっそり抉られても動ける雷穹龍も大概だけど、上には上がいるものであーる。
「なめろうというよりも、ユッケでしょうか。卵があれば更に良いんですが……」
『我はオブリビオンだから! 卵はムリだから!』
 開始早々、ビスマスのペースに乗せられている雷穹龍に明日は……ないかも?
 ……そして、そんな中。
 固唾を呑んで様子見していた数人の猟兵たちが「ユッケ、だと!」と瞳を大きく見開かせたのは、その時の雷穹龍は知る由もなかったのだった。
 ――合掌。

大成功 🔵​🔵​🔵​

火狸・さつま
コノf03130と

ごっはっん~
ごっはっん~♪

前、食べた、竜お肉美味しかた、けど…
龍、は、どう…かな?
ね、コノちゃ……ふらいぱん!!?
おめめきらっきら
しっぽ振りたくる
これは!確実に!美味しのが、食びれる!!

俺、ミディアムウェル位が好き!
もうちょい、焼いとく?
【燐火】で火力UP!

に、しても…
思ってた、より…小さい、ね…?
俺より、ちょこっと、大きい程度!
ほら、ほらほら!おみみ、ぴんってしたら、おんなじくらい!
ねっ?ねっ?と
大きく見せるべく両手も万歳して
ぴょこぴょこ
…しながら攻撃見切り躱す

お味、どうかな…ちったくても、味、変わらない?
かぷっと味見!生命力吸収

あ!俺のも、まーぜて!
雷火の雷撃合わせて放つ


コノハ・ライゼ
たぬちゃん(f03797)と

ようこそメインディッシュサマどーぞごゆっくり!

UDCの龍は初めてだねぇ
すちゃりと【焔宴】で料理の支度
丸焼きにしてからカッティングする?
炙りつもふと思いついて『2回攻撃』『スナイパー』で頭部狙い
焔の中思い切りフライパンを振り抜く
ホラ脳震盪でも起こせば鮮度保てると思ってぇ
さ、たぬちゃん
注文細けぇンだから後は自分で調節しなさいな

うーん長さから考えると巨大蛇くらい?
少し食いでが無いかもねぇ
電撃は『オーラ防御』で威力抑えフライパンに受け止める
イイわよ、雷だって料理してアゲル
にそり笑い「氷泪」の雷をフライパン上で合わせ混ぜ電撃のお返し
あ、『生命力吸収』するトコは残しておいてよネ



●焔火と青狐火の宴
 開始早々、瞬く間になめろうにされた雷穹龍に、猟兵たちの間に戦慄が奔る!
 神格級の邪神らしく体力が高めだったのが幸いとはいえ、あっという間に無くなってしまいそうなのは、ほぼ全員が感じている危機感でもあった。
「に、しても…思ってた、より…小さい、ね…?」
 火狸・さつま(タヌキツネ・f03797)が「俺より、ちょこっと、大きい程度!」と、狐耳をぴんっと立てると、コノハ・ライゼ(空々・f03130)も、UDCアースでは珍しい龍と言う食材を、如何に美味しく調理しようかと考えていたらしく、少しだけ真剣な眼差しを返す。
「うーん長さから考えると巨大蛇くらい? 少し食いでが無いかもねぇ」
「ほら、ほらほら! 万歳、したら、俺の方が、高い、よ!」
 神妙に薄氷の瞳を細めた相方に、さつまは自身を大きく見せるように「ねっ?ねっ?」と、両手を目いっぱい掲げて万歳、ぴょんぴょんと跳び跳ねた時だった。
『思い上がるな猟兵よ、本来の我はこの十倍はあるのだッ!』
 どうやら、さつまのぴょこぴょこは、雷穹龍の海よりもさらに深く、山よりも高すぎるプライドを傷つけたようでして♪
 脊髄反射の勢いで飛んできた雷穹龍は一瞬の予備動作すら見せず、自身が纏っていた超高熱のプラズマリングを、さつまに向けて解き放つ。
 雷穹龍中心に無差別に広がる雷は、傍らで料理の支度をしていたコノハも一緒に巻き込んだ、けれど。
「コノちゃん、ごはん、来た! ごっはっん~ ごっはっん~♪」
「ようこそメインディッシュサマ、どーぞごゆっくり!」
 ぴょんぴょん飛び跳ねたまま、さつまは軽く身を捻るだけで電撃を避けてみせ、即座にオーラーで護りを固めたコノハに至っては、満面に近い笑みを向けている!?
 揃って余裕を浮かべているというより、間近な食材にテンションが爆上がりしている、そんな感じなのが、とっても恐ろしい。
「前、食べた、竜お肉美味しかた、けど…龍、は、どう…かな? ね、コノちゃ……!」
 ミディアムにする、それともウェルダン?
 ちらっと視線を動かしたさつまの視界に飛び込んできたのは、右手にフライパンを持ち、左手に蒸留酒の瓶を握り締めた、相方でして。
「ふらいぱん!!?」
「ホラ脳震盪でも起こせば鮮度保てると思ってぇ」
 へらり笑い返したコノハはフライパンを軽く振ると、鋭く地を蹴って加速する。
 ――同時に。蒸留酒の香りがふわり漂うと、さつまの青色の瞳は瞬く間に輝き、ふさふさ尻尾も左右180度の勢いで、自然とブンブン揺れてしまっていて。
 ――これは! 確実に! 美味しいご飯が! 食べれる! 予感しかないッ!!!
「美味しく料理してアゲル」
 そんな相方の気配と期待を背中で受け、コノハは雷穹龍と相対する。
 お腹部分もといバラ肉部分は、なめろうにされていたけれど、ネックやロース、ヒレ肉モモ肉は、至って健在。
 フライパンに蒸留酒を注ぎながら更に速度を上げたコノハは、鈍器を振り上げるように、大きく身を横に捻った。
「たんと召し上がれ」
 ――瞬間。フライパンの上に激しく渦巻く、月白のフランベ。
 焔と熱で轟々と燃え上がるフランペに蒸留酒の香りを乗せたまま、コノハは雷穹龍を炙るように、思いっきりフライパンを叩きつけた。
『またもや面妖な攻撃を!』
 横殴りの強烈な一打!
 思わぬ一撃を至近距離で受けた雷穹龍は半歩後退し、一瞬だけ動きが止まる。
 けれど、惨分クッキングは終わらない。
 熱したフライパンで炙りながら、ふと何かを思いついたように瞳を瞬いたコノハは、雷穹龍の頭部に然りと狙いを定めた。
「丸焼きにしてからカッティングした方が良さそうネ」
 焔と熱の中。
 コノハは強く地を蹴って跳躍すると、フライパンを大きく振り上げ、振り下ろす。
 脳天に重い一撃を受けてぐらりと身体を傾ける雷穹龍。着地すると同時に磨かれた鉱石の刃の柄に触れると、後方から「待って」と、さつまが迅速に距離を狭めた。
「俺、ミディアムウェルくらいが好き! もうちょい、焼いとく?」
 止めるんじゃなくって、さらに焼くんかーい!
「ミディアムウェルなんてマニアックな焼き方、良く知っているわネ」
 絶妙な焼き加減を嬉々と求めるさつまに、コノハは軽く肩を竦めてみせて。
 そして。鉱石の刃を僅かに下げると、入れ替わるように、後方へ跳び退いた。
「さ、たぬちゃん、注文細けぇンだから後は自分で調節しなさいな」
「やった! コノちゃん、ありがと!」
 態勢を立て直した雷穹龍を真っ直ぐ見据え、さつまは、とん、と足を踏み鳴らす。
「ちょいと遊ぼうか」
 足元から、わらわらと溢れ出したのは、愛らしい仔狐形の蒼炎たち。
 じゃれつくように雷穹龍へぴょんぴょん押し寄せていく狐火が、モフモフならぬ蒼火でふわりと包み込んでいく様子は、まるでグリルのよう!
『なんだこれはッ!!』
 わらわらと飛び付いてくる狐火を振り払おうと、雷穹龍は何度も身を捩らせる。
 ――その時だった。
 中腹辺りに鋭い痛みが奔った雷穹龍がよくよく見ると、狐火に紛れるようにしがみついていたのは、さつまだった。
「お味、…ちったくても美味しい、かも?」
「あ、アタシが生命力吸収するトコも、残しておいてよネ」
 味見だと称したさつまが程よく焼けた中腹をガブガブすると、コノハも嬉々と傷口を抉るように鉱石のナイフを突き立てて、ギュルルっと生命力ごと貪っていく。
 絶妙な焼き加減の龍肉は淡白ながら、とっても上品な味わいだった!
『我は食料ではなーいッ!』
 半ばヤケクソに似た咆哮を轟かせた雷穹龍は、容赦なく雷撃のブレスを解き放つ。
 コノハは身に纏うオーラを高めると両足に力を込め、フライパンを身体の前に真っ直ぐ構える。
 ――瞬間。戦場の空気が激しく鳴動、強烈な衝撃がフライパンを通して腕にまで浸透した。
「イイわよ、雷だって料理してアゲル」
 しかし。にそり笑ったコノハは静かに口端を上げ、唇を軽く舌で湿らせる。
 ――氷泪。右目に深く刻まれたシルシが雷を纏い、フライパンで堰き止められた雷穹龍の白に近い雷と混ぜ合わさった青き雷は、さらに薄い薄いアオへと遂げていく。
「あ! 俺のも、まーぜて!」
 青白く輝くフライパンを然りと見据え、さつまも合わせるように大きく身を捻る。
 一瞬遅れて、くるっと弧を描いた尻尾に淡い文様が拡がり、放たれた漆黒の雷がフライパンの上にバチンと弾けた。
「お裾分けのお返しネ」
 戦場にガツーンと響く、激しい打撃音。
 合わさった薄氷と闇色の雷が戦場を激しく照らし、雷穹龍の右肩が大きく爆ぜる。

 ――雷穹龍の月白と漆黒のフランベ。
 戦場に瞬く間に漂う上品な香りが、周囲の猟兵たちの食欲を刺激していく。
 そしてそれが、さらなる業火の宴へと、繋がっていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

生浦・栴
【壁】で邪魔をする
過食部分的に1体を1~2グループ程で消費出来そうだが
追加はないのか?(角から尾の先まで眺め
此れでも一応育ちざかりなのでな
素麺の前菜と思うとするか

調理方法は美味ければ良いので塩焼きで構わぬのだが塩は振ったか?
そして団長のシリアスUCとは(振り返る
成程、では此方もシリアスUCで火を用意して焼く事としよう
食欲の落ちかねぬBGM付きだが気にする者も居るまい
…居らぬよな?(視線を感じたような
だがしかし団長は待って欲しい
レモンは戦争が勃発しかねない危険なアイテムでもあるので
自分の皿に取るまではかけてはいけない
因みに俺は柚子胡椒が好みだ

そうそう、敵の攻撃はオーラ防御で避けておこう


桜田・鳥獣戯画
【壁】旅団のメンバーだ!

流し素麺という初秋最強の四字熟語につられ邪魔したわけだが!
その前になんというかこの、ちょっと屈んだら電車に乗れるほどのサイズの邪神…
栴! 胃の調子は良いな!?

フフハハハハ安心せい雷穹龍!この桜田、シリアスUCしか持っておらぬ!!
貴様のシリアス力(ぢから)を存分に駆使し、全力で迎え撃つがよい!!

UC使用! 現われたもう一人の私が見る間に薪を組み上げ火を用意するであろう!!
何? 火がつかない? そうだな…火起こしは上級スキルだからな…がんばれ…

あの龍はビジュアル的に絶対!塩焼きが!美味い!!
レモンも用意せねばならんな…
残さずいただくので座して待つがいい!!アドリブ好きです



●猛る焔炎と闇炎、弾ける柑橘系は危険な香り
「栴! 胃の調子は良いな!?」
 赤黒いコートを颯爽と靡かせて、ザ・ウォール――通称【壁】の生浦・栴(calling・f00276)と共に意気揚々と戦場に足を踏み入れた桜田・鳥獣戯画(デスメンタル・f09037)は、ぐるり周囲を見回す、けども。
「雷穹龍がおらんな……まさか、流し素麺という初秋最強の四字熟語につられ邪魔した、私の魂胆が見破られたのでは!」
 あるいは、爆速の勢いで猟兵たちに食べられてしまったのかもッ!
 むぅと赤茶色の双眸を細める鳥獣戯画に、栴は小さく首を横に振ると、静かに真正面を指差した。
「団長、目の前で酒の匂いを漂わせて、程よく焼けているのが、邪神だ」
「なんというかこの、ちょっと屈んだら電車に乗れるほどのサイズなのが、邪神……」
 角の端から尾の先までじっくりと眺めた栴が重い溜息を風に流すと、鳥獣戯画もまた残念を通り越した生温かい眼差しを、青鰻モドキ……ではなく、雷穹龍に返す。
 それは呟きに似た言葉だったけれど、トラウマは良く聞こえるもの。
 雷穹龍は360度ぐるっと首を回すと、物凄い険相で2人に向かって銃弾の如く飛んで来たのは、言うまでもない。
『きぃーさぁーまーらああああ!!!』
 もはや、サイズに関してはトラウマすら超えたのか。
 只ならぬ剣幕を漂わせる雷穹龍に栴は半歩歩み出ると、昂然たる口ぶりで告げた。
「過食部分的に1体を1~2グループ程で消費出来そうだが、追加はないのか?」
『我は神格級だ、おいそれと代わりを準備されてたまるか!!!』
 雷穹龍の言い分は最もだけど、栴が周囲を見回すと多くの猟兵たちが集まっている。
 全員が食べようとしている訳ではないが、先陣を切った猟兵たちの火力と食い気っぷりを見ていると、不安を覚えるのも致し方がない状況でもあった。
「此れでも一応育ちざかりなのでな、素麺の前菜と思うようにしよう」
『あ”あ”あ”! もう何でそんなに態度が大きいのッ!!!』 
 栴に他意は全く無い、そんなゆるーい空気になり掛けた時だった。
 鳥獣戯画の自信に満ちた太い笑い声が、辺りに突然響き渡ったのは――!
「フフハハハハ安心せい雷穹龍! この桜田、シリアスUCしか持っておらぬ!!」
「「「なんだって!!!」」」
 強い眼力で威風堂々と宣言した鳥獣戯画に、周りからもざわめきが広がっていく。
 まさかの、シリアス勝負ッ!?
 雷穹龍は喉の奥で押し殺すように「クックッ」と低く嗤うと、鋭く双眸を細めた。
『――笑止、我は数多の戦いを得てきた邪神なるぞ!』
 雷穹龍の瞳に灯った眼光は警戒を濃くしながらも、何処か嬉しそうでもあって。
 龍は身に纏った無数の雷光を一気に凝縮、超高熱のプラズマリングを生成すると、身体をうねらせて攻撃態勢に入った。
 先程とは違って剣呑さを増す雷穹龍、鳥獣戯画は鋭く口端を上げ、彼を嘲笑う!
「貴様のシリアス力(ぢから)を存分に駆使し、全力で迎え撃つがよい!!」
 血の色にも似た赤茶色の瞳をギラつかせた鳥獣戯画は、高らかに片手を上げる。
 ――瞬間。背後に只ならぬ気配を感じた栴は、誰よりも早く後方を振り返った。
(「団長のシリアスユーベルコードとは」)
 栴の視界に飛び込んできたのは、現われたもう1人の鳥獣戯画が瞬く間に薪を組み上げ、火を起こそうと奮闘している絵図……これは、シリアス、なのか?
 いろんな意味で茫然自失となった雷穹龍が口をあんぐりと開けたまま膠着する中、栴はオリジナルの鳥獣戯画に向けて、静かに口を開いた。
「団長、火が付かないようだが?」
「何? そうだな…火起こしは上級スキルだからな…がんばれ…」
 前門の鳥獣戯画、後門にも鳥獣戯画、このままでは時間だけが過ぎ去ってしまう。
 そう、確信した栴は、闇い水を紅い縛魔の呪で練ったオーブを胸の前に掲げると、手元に魔力を凝縮する。
「成程、では此方もシリアスUCで火を用意して焼く事としよう」
 栴が詠唱を紡ぎ始めると、シリアスの気配を感じた雷穹龍もハッと目を見開くものの、けれど時は既に遅し。
 龍の双眸に映るのは、魔力を導く詠唱に導かれた、41の闇色の炎。
 それが、不気味に唸り上げながら宙を旋回している、呪詛にも似た光景で……。
「疾うに失せし胸を未だ焦がすその呪詛、その怨念。我が声に応え現世にて晴らして見せよ」
 ある炎は、闇色の矢となり。
 ある炎は、複数集まって鬼火と化し、雷穹龍を呪い焼き殺さんと業火で包み込む。
 ――同時に。大音量で響き渡るBGMモドキもとい強烈な呪詛の嵐に、雷穹龍は裸足で逃げ出しそうな勢いで「ぎゃああああ」と、身をくねらせた。
『我が言うのも難だが、明らかに味方の食欲が減退するのでは……!』
「フ、この万年欠食猟兵らの中に、この程度で気にする者は居るまい」
 ――本当か、本当に大丈夫?
 敵である雷穹龍にすら本気で心配される中、ふと栴は大切なことに気付く。
「団長、俺は塩焼きで構わぬのだが、塩は振ったか?」
「そう言えばそうだ! あの龍はビジュアル的に絶対! 塩焼きが! 美味い!!」
 調理方法は美味しければ手段は問わないと言う栴に、もう1人の自分と2人掛かりで火を起こすことに成功した鳥獣戯画も頷き、一瞬だけ動きを止める。
「レモンも用意せねばならんな…」
 外はパリっと中はふっくらの塩焼きに、レモンの酸味は何という至福の極み!
 だがしかし、その素晴らしい策に「待った」を掛けた者がいた。――栴である。
「レモンを掛けるのは待って欲しい、それは戦争が勃発しかねない危険なアイテムだ」
 其の戦いは、某きのこたけのこ戦争にも匹敵すると、言われているという。
 特に、初手の対応を見誤ったら最後、平和は失われて、焦土と化すだろう、と……。
「自分の皿に取るまではかけてはいけない。もしくは「レモンを掛けていいですか?」と先に呼び掛けるのが、暗黙の掟だ。因みに俺は――柚子胡椒が好みだ」
 しーんと沈黙が落ちる。
 それは、レモンは不要と言っているようなもの。普段は人の話を右から左へ聞き流す鳥獣戯画すらも瞳の端を鋭く光らせ、言の葉で噛み付いた。
「塩焼きならレモンだ! レモン!」
「自分の皿に取り分けてからかけるのが筋だろう」
『煩い、貴様ら纏めてドラゴニック・サンダーボルトで吹き飛ばす!』
「大切な話をしているところだ、少し黙ってくれないか」
「残さずいただくので座して待つがいい!!」
『あ゙ー???? 誰が待つかッ!!』
 再び青白き雷撃やら食欲が落ちかねない漆黒色のBGMが戦場に響きまくる中、ふと視線を感じた栴は周囲を見回す。
 そして、何事もないことを確認すると、再び意識を戦場へと戻すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

御伽・柳
姉さん(f12987)と

なんか、いつになくユルユルな知り合いたちが見えるような……
(【壁】の人たちは知人ですが、今回柳は別枠参加です)

で、姉さんは張り切ってるみたいだけど、姉さんのコントロール力じゃ丸焦げになったらマシってクラスじゃ?
はいはい、分かった分かった、ちゃんと俺も手伝うから上手く焼いてくださいよ
とりあえず近付いて……おーい龍さーんこっち向いてください
向いてくれたら猫騙しします
いやーこんなんで【過食癖】が発動したら拘束が楽になんですけど……まさか、ねえ?
UC発動したら俺は距離取ります、攻撃は……まあ【見切】れるでしょう、多分

あ、ちょっこのバカ姉貴!!
そんな火力で焼いたらやばいだろ馬鹿!


御伽・彼岸
弟の柳(f12986)と一緒に

ん、知り合いもいたのか?
気にすんなって?ああそう……
ところであたしさぁ……今年忙しくて鰻食ってねえんだわ
だからさ、ぜってぇ逃がさねえ、焼く、美味しく焼く
はぁぁぁ???加減くらいできますけどぉ????
姉ぞ?我姉ぞ??

柳が上手いこと拘束してくれたら、その間に【属性攻撃(炎)】でちまちま焼く……んだが……
あ゙ー!めんどくせえ!!やっぱ高火力でドーンと焼かなきゃつまんねえ!!!
【焔の溶解】!こんな程度で炭になったらお前が悪いんだからな!!



●渇望と焔花の爆炎狂想曲
「なんか、いつになくユルユルな知り合いたちが見えるような……」
「ん、知り合いがいたのか? 柳、どうする?」
 前線から聞こえる見覚えのある笑い声やらBGMに、御伽・柳(灰色の渇望・f12986)は生温かく藍色の瞳を細め、御伽・彼岸(焔花・f12987)は不思議そうに首を傾げて。
 姉弟の視線の先には、雷穹龍そっちのけで「レモンを掛けるか否か」で盛り上がっている(?)2人の猟兵がいますけれど、如何します……?
「気にしなくていいよ、きっと気のせいでしょう」
「ああそう……」
 なんとなーく、ここは他人のフリをした方がいいのかも……。
 続けざまに高火力で香ばしく焼かれた雷穹龍のせいで、周囲には美味しそうな香りがこれでもかと充満している。もはや、カオス色は避けられないだろう。
 ふと、何かを思い出した柳は「聞きたいことがある」と、彼岸の方へ振り向いた。
「で、姉さんは張り切ってるみたいだけど、何かあった?」
「ん、あたし?」
 不意打ち気味に声を掛けられた彼岸は、一瞬だけ弟と同じ色の瞳を大きく瞬く。
 けれど、すぐに軽く咳を払うと、少し遠くを見つめるように、ゆるめに双眸を細めた。
「あたしさぁ……今年忙しくてウナギ食ってねえんだわ」
「あ、もう全部わかっ――」
「だからさ、ぜってぇ逃がさねえ、焼く、美味しく焼く!!!」
 ――ぐるるるぅぅぅぅ。
 こんがり焼かれた雷穹龍の香りが魅力過ぎて、彼岸の腹の虫も低く静かに抵抗中♪
 これで蒲焼きのタレなんて掛けられてしまったら、万死に値する勢いであーる!
「張り切ってる理由はわかったけど、姉さんのコントロール力じゃ、丸焦げになったらマシってクラスじゃ?」
「はぁぁぁ??? 加減くらいできますけどぉ???? 姉ぞ? 我姉ぞ??」
 こんがり焼きまくってる上に、さらに強力な焔を重ねようとしている、だとッ!!
 億が一にでも、ここで消し炭にされてしまった場合、餓えた猟兵たちにフルボッコにされてしまうことも考えられる。
 ……つまり、これは、とても不味い状況なのかも、しれないのだッ!
「はいはい、分かった分かった、ちゃんと俺も手伝うから上手く焼いてくださいよ」
 ここは、自分がしっかり彼岸の手綱を握っておかないと……。
 そう腹を括った柳は、こんがり焼かれた雷穹龍に、そろりそろりと近づいていく。
 雷穹龍の表面は香ばしく焼かれていたけれど、まだまだ余力は十分残っている様子。    
 柳は内心で小さく安堵を洩らすと、意を決して、雷穹龍に呼び掛けた。
「おーい龍さーん、こっち向いてください」
 ……しかし、返事はない。怒り狂っているからか?
 否、雷穹龍の意識が自分たちにも向けられているのは、先程のトラウマを抉った猟兵たちへの脊髄反射に匹敵する対応をみる限り、ほぼ間違いないはずだ。
(「もしかして、敬語じゃないから、振り向かない、とか……?」)
 なんて面倒臭いんだッ!!
 彼岸も数に入れた場合、なんと面倒臭さが、2倍だあああッ!!
 一瞬の沈黙の後。唇を湿らせた柳は、今度は丁重に呼び掛けてみる、と。
「すみません、こちらを向いてくれませんか」
『うむ、何用だ猟へ――!!』
 ――ばちんっ!
 雷穹龍が振り向くのと同時に、柳は龍の眼前で両手を突き出し、掌を合わせる。
 まさかの猫騙し!
 相手の目を瞑らせることを目的とする戦法の1つだが、柳の目的はそれだけではない。
(「……まさか、ねえ?」)
 僅かでも「驚き」の感情を与えたことを確信した柳は、後方に大きく跳躍する。
 ――瞬間。彼が居た場所に闇色の染みが滲み、質量を持つ影の塊となって、大きく膨れ上がった。
「ほら、ご飯だ……これを食って、黙ってろ」
 いやーまさかこんなんで発動するなんて、拘束がとっても楽ですね!
 と、いう言葉が喉から出かけるものの、柳はぐっと堪えると更に半歩だけ下がる。
 知識を喰らう触手に捕縛されてもなお、雷穹龍は容赦なく雷撃のブレスを浴びせようとしていたからである、が。
(「姉さんは上手くいっているのか」)
 拘束された雷穹龍のすぐ側では、魔力を高める杖を掲げた彼岸が約束通り、加減に加減を重ねた炎を、ちまちまと龍にぶつけている。
 けれど、彼岸の炎は徐々に激しくなっていき、只ならぬ予感を感じた柳の背中に、どっと嫌な汗が流れた時だった。
「あ゙ー! めんどくせえ!! やっぱ高火力でドーンと焼かなきゃつまんねえ!!!」
 弟の嫌な予感は虚しく的中♪
 案の定、発狂した彼岸は腰を落として両手の拳をぐっと固めると、鋭く地を蹴って前へ前にと飛び出してしまう。
 焦茶色の髪が、颯爽と戦場を駆け抜ける。
 そのまま勢いを乗せて大きく跳躍、雷穹龍の顔面を射貫くように見据えた彼岸は、重心を乗せるようにして、拳を叩きつけた!
「こんな程度で炭になったら、お前が悪いんだからな!!」
 鬼気迫る超弩級の一撃!
 彼岸の拳が雷穹龍の横っ面にめり込むと同時に、拳から溢れた爆炎が灼熱の業火と化して、雷穹龍の全身を赫々と飲み込んでいく。
「あ、ちょっこのバカ姉貴!! そんな火力で焼いたらやばいだろ馬鹿!」
「はぁ?? あたしが使える魔法は炎だけなんですけどぉ???」
 瞬く間に血の気が引いた柳とは反対に、彼岸のキレ味はドンドン増していくばかり。
 姉弟の言い合いに巻き込まれた形となった雷穹龍は、大きく咆哮した!
『もう許さんッ! 貴様ら姉弟も纏めて消し炭にしてやるッ!!!』
「いいですよ。……まあ、見切れるでしょうから、多分」
「やってみろよ?? 次は塵すら残してやんねえからな???」
『あ゙ー????』
 このままでは、雷穹龍含めて、あっという間に周りが焦土と化してしまうッ!
 そう悟った猟兵たちは互いに頷き合うと、思い思いの調理方法を雷穹龍にぶつけるべく、武器の鯉口を素早く切るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シリル・アルバ
見なよ、ネムス!
敵は一匹だ!
それにサイズが優しいよ! 何よりカッコいい!!
ありがとー、やったー!!!

って、感涙に咽いでる場合じゃなかった

あ、かば焼きとかは考えてないから安心して
って、それよりさ、ネムス
折角だし新技の披露にはうってつけだと思わない?

カッコいいボスに映える新技!
コワイ鰯の魚群と比べると、俄然、張り切るってモンだよね
fragorの炎は一つに纏め、全力魔法も乗せて、狙いすまして叩きつける!

共闘する人が居る場合は勿論タイミングを見計らって連携を心掛け
連携だし、共闘だから
かば焼きにしたいって奇特な人が居ても……うん、邪魔は、しない
え、火加減の調節は無理かもだけど!


黒木・摩那
イワシの次はウナギ……と思ったら、龍なのですね。
食べられないじゃないですか!(逆ギレ)

この龍、電気でピリッと来るので少々やっかいですね。
ここはじっくり攻めましょう。

UC【暗黒球雷】を使います。
周囲にエネルギー吸収球を展開して、相手の攻撃の電撃を吸収します。
吸い取ったエネルギーは謎原理でリサイクル。

相手攻撃の吸収で、いい感じになるまで、
相当時間がかかりそうですから、適当なところで
ヨーヨー『コメット』にそのエネルギーを上乗せして、
お返しします【先制攻撃】【属性攻撃】【衝撃波】。



●青雷を穿つは暗球と焦熱
「イワシの次はウナギ……と思ったら、龍なのですね」
 未だに儀式場周辺にイワシ料理のフローラルな香りが残る中、黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)は拳を震わせたまま一瞬だけ瞼を伏せ、カッと大きく瞳を見開く。
「常識的に食べられないじゃないですか!」
 拳を解いてビシっと雷穹龍に指を突きつけた摩那は逆ギレしてるようにみえる、が。
 ――否。目の前でなめろうに調理されたり、こんがり焼かれていたりするけれど、オブリビオンって普通は食べるモノじゃないので、摩那さんが正しいですッ!!
「見なよ、ネムス! 敵は1匹だ! それにサイズが優しいよ! 何よりカッコいい!! ありがとー、やったー!!!」
 シリル・アルバ(キマイラの精霊術士・f12861)に至っては、感極まって感涙に咽いでおりまして……。
 先程のイワシの魚群の方が余程ショックだったのか、諸手を挙げて喜ぶ勢いのシリルに、傍に浮かぶ精霊が肩を竦めるように揺れ、格好いいと言われた雷穹龍(黒焦げ)は、ドヤってますよ、どうします?
 そんな中。皆の良心もとい摩那は、鋭く射抜くように、雷穹龍を睨みつけた。
「消し炭になる前に、さっさと骸の海に帰って下さい」
『あんな倒され方のまま、終わりたくはないわッ!!』
 雷穹龍の主張は最もだと摩那は同意しつつ、頭の中では入念に思考を重ねていく。
 弱体化したとは言えど、雷穹龍が吼えるだけで周囲の空気が激しく振動し、軽く身じろぎをするだけでも、頬を掠っていく静電気が、何とも煩わしい……。
「この龍、電気でピリッと来るのが少々やっかいですね」
 ――ここはじっくり攻めましょう。
 摩那が静かに茶色の双眸を細めると、我に返ったシリルの瞳と一瞬だけ絡み合う。
(「正攻法で狙うなら、連携した方がいいよね」)
 相手は弱体化したとはいえ、曲がりなりにも神格級の邪神……。
 シリルも視線だけで同意すると前を見据え、琥珀が嵌った古代樹の杖を構え直した。
「あ、かば焼きとかは考えてないから安心して」
『貴様もかああああ!』
 ――ブルータァス、お前もかッ!的な?
 シリルの一言に「我に味方は皆無」と悟りに達した雷穹龍は脊髄反射の勢いで、電を帯びたブレスを勢い良く吐き出す。
 地を舐めるように奔る電撃がシリルを狙うけれど、その間に迅速に割って入ったのは――摩那だった。
「励起。昇圧、反転。空間転移を確認」
 電撃ブレスの真正面に立った摩那は両足に力を込め、手のひら大の無数の暗球を展開すると、素早く口の中で詠唱を転がしていく。
「変換良し……散開!」
 眼前に迫り来る雷の束が、轟々と空気を振動させた、その瞬間。
 無数の暗球が1つに収束、エネルギー吸収球となって摩那の全身を覆う。
 ――同時に。電撃ブレスが激しく衝突した!
『むう、面妖な真似を!』
 おびただしい雷撃が、戦場を青白く照らす。
 徐々に縮小する雷とは反対に、その力に比例したエネルギーが吸収球を通じて、摩那の身体に流れ込んでいく。
 身に浸透するエネルギーと生命力を感じながら、摩那は不敵に口元を緩めた。
「いい感じになるまで、相当時間がかかりそうですね」
 ――時間稼ぎが必要かもしれない。
 そのままエネルギーを吸収し続ける摩那の意図を察したシリルは、傍らで心配そうに揺れる精霊に「わかっている」と、飄々とした眼差しを向ける。
 ――カッコいいボスに映える、新技がある、と。
「折角だし新技の披露にはうってつけだと思わない? ネムス」
 強敵に新しい技を披露するのは、恐れに似た感情があるのも事実……。
 けれど、先程のイワシの大群に比べたら全然マシで、俄然、張り切るものがあった。
「大丈夫。連携だし、共闘だから。え、火加減の調節は無理かもだけど!」
 ――全力魔法。もとより加減する気は、これっぽっちもない。
 シリルは古代樹の精霊の名を冠した杖を高らかに掲げると、意識を研ぎ澄ませる。
「ネムスの守護シリルの名において、火精霊よ、来たれ」
 魔力を集中した時の一瞬にも似た沈黙が落ち、全ての音がふっと掻き消される。
 唇から紡がれた詠唱に導かれた27つの炎が宙に瞬き、1つに収束する。
「その息吹、滴る紅蓮にて焼き尽くせ……fragor!」
 シリルは全力で練り上げた魔力を帯びた炎を、然りと狙い定めて宙に解き放つ。
 一丸となった炎は火精霊の息吹となって吹き荒れるものの、雷穹龍は体をうねらせて、それに激しく抵抗して見せて。
 けれど、シリルに焦りは見られない。――何故ならば!
「この力、リサイクルさせて貰います」
 その一瞬の隙を突くようにエネルギー吸収球を解いた摩那は、ヨーヨー「コメット」にエネルギーを上乗せし、勢い良く回転を掛けて、宙に放つ。
 雷を帯びた高速回転が雷穹龍の肩越しに向けて急激に加速、激しく火花を散らした。
『ッ! たしか、相当時間が掛かると、言っていたはず!』
「もともと、適当なところで切り上げるつもりでしたから」
 袈裟懸けに斬られた雷穹龍の体がぐらりと揺れる中、摩那はにっこり微笑む。
 そして「後に控えている人たちがいますので」と告げると、シリルも愛想がいい笑みを向けながら、そっと言葉を付け加えた。
「かば焼きにしたいって奇特な人が居ても……うん、邪魔は、しないから」
『フン、そのような戯言を我が真に受けると……ぬおッ!!』
 生温かい眼差しで見守るシリルを捨て置き、周囲を見回した雷穹龍は驚愕する。
 ここまで来て、まだ己と戦ってすらいない猟兵が、約半分くらい残っているなんて!!
 さらに地の文でもトドメを刺すと、実はこのパートが唯一のシリアス回でして……。

 一瞬で過ぎ去ったシリアス、いらっしゃいませコメディー。
 周囲に漂う只ならぬ空気に雷穹龍は戦慄、逆ギレに似た咆哮を轟かせるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

逢坂・理彦
絡新婦ちゃん(f01494)と。
鰯の滝登りを阻止できたから結構弱体化できてる感じかな?
俺は料理出来ないけど。他の猟兵さんがやる気まんまんだから…その頑張って。

さて他の猟兵さんが猟兵さんが料理しやすいように下準備と行こうか。
…俺も使いたいUCがあるから使っていい?
無差別攻撃になっちゃうから少し離れてねー。
UC【日照雨・狐の嫁入り】っと。
なかなか試す機会がなかったから助かったよー。


杼糸・絡新婦
逢坂・理彦(f01492)と引き続き参加。

・・・こりゃあれやな、
ちょっとでかい鯉のぼり。
もう未来見えてるけど、
それでも頑張るその姿勢や良し!
ところでふと、11匹のネコが巨大な魚を捕まえて食べてまう
絵本を思い出した。
(ゲームデバイス構え)
バトルキャラクターズでにゃんこをレベル分召喚。
51匹召喚したらええ具合に
にゃんにゃんもふもふなるやろ。
あ、料理するらしいから喰ったらあかんで。
(逢坂の言葉聞いて)
了解、ほな一回離れるついでに全部合体させて、
待機させて・・・
お見事、ほなこっちももうひと頑張り行こうか。
竜虎ならぬ竜猫相対すてやつや、ほらちょっとシリアス、多分!



●日照り雨に竜猫相対す
「俺は料理出来ないけど、下準備は焼いた後にする感じなのかな?」
 やる気満々な他の猟兵たちが、料理しやすいように……と、愛用の薙刀を構えた逢坂・理彦(守護者たる狐・f01492)は、思わず苦笑する。
 雷穹龍は始めの荘厳な青色から、焼肉屋さんでちょっと焼き過ぎちゃった炭火色に変貌しており、遠くからみると、なんちゃって黒龍のようにもみえて。
「……こりゃあれやな、ちょっとでかい鯉のぼり?」
 青色は子供だけど、黒になったから、お父さん鯉のぼりなのかも?
 緑色の瞳を細めながら、杼糸・絡新婦(繰るモノ・f01494)が紡いた言の葉が、とても的確すぎて、小さく吹き出した理彦は、へらり掴みどころのない笑みを返す。
「そうだね。イワシの滝登りを阻止できたから、結構弱体化できてる感じかな?」
 邪神召喚の儀式もといイワシの滝登りは、完全に阻止したと言っても過言ではない。
 けれど、弱体化していたとはいえ、その雷光と雷撃は後方に下がっている猟兵たちにも、僅かに届いているのは、事実……。
「見掛けとは反して、雷穹龍はまだまだ余裕があるね」
 ゆるゆるっとした空気の中、金の瞳で隙無く観察していた理彦は気付く。
 表面上はこんがり焼けているようにみえても、内部的なダメージに関しては、雷穹龍は辛うじて避けている。
 絡新婦もそれに気付いていたのだろう、口の端を緩め、小さく頷き返す。
「もう未来見えてるけど、それでも頑張るその姿勢や良し!」
 猟兵たちの空気に飲まれながらも、矜持だけは失わず、雷撃を返す雷穹龍。
 彼と相対しようと、自身の本体でもある鋼糸に手を伸ばそうとした絡新婦は、ふと何かを閃いたのか其の手を止め、別のものを手に取った。
「ふと11匹のネコが巨大な魚を捕まえて食べてまう、絵本を思い出した」
 絡新婦がマイペースに構えたのは、レトロな携帯ゲーム機。
 基本は、自身が面白いと思ったゲームを適当に突っ込んでいる、ゲームデバイスだけど、立派な武器の1つであーる。
「絡新婦ちゃん、面白いこと考えるねー」
「折角やし、にゃんこをレベル分召喚したら、どうなるんやろなと思って」
 横からヒョイっと顔を覗かせた理彦に絡新婦は悪戯っぽく口元を緩め、ボタンを押す。
「ぽちっとな」
 その瞬間♪
 ミャー、ニャア、ニャア、ミャー、ニャア、ニャア、ニャア!!!
 ニャア、ニャア、ミャー、ミャー、ニャア、ニャア、ニャア、ニャアー!!
 と、ゲーム機から大量に湧いて出る、愛らしいフワモフにゃんこたち♪
『何だ、あれはッ!!』
 その数、51匹にもなるにゃんこたちは雷穹龍へじゃれつくように一斉に駆け出すと、揃ってぴょんぴょんと跳躍した!
『クッ、またもや面妖なのをッ――ギャアアアア!!』
 ニャアニャアと纏わりつくにゃんこたちを振り払おうと、無数の紫電を宙に奔らせようとした雷穹龍が、不意に悲鳴を轟かせる。
 羨ましそうに眺めていた他の猟兵たちも目を見開く中、絡新婦が滑るように前へ出た。
「あ、料理するらしいから喰ったらあかんで」
 鱗に牙を立ててカリカリしている三毛猫さんやらブチさんやらサビ猫さんを、絡新婦がむんずと掴んで引き離していく中、理彦は腹を抱えて笑っていて。
 ふと、空を仰げば晴天。時間はもうお昼頃、自分がやることは自ずと浮かんでくる。
「絡新婦ちゃん……俺も使いたいUCがあるから使っていい?」
「了解、ほな一回離れるんよ」
 理彦の言葉を耳にした絡新婦は、即座に51匹のにゃんこを全て合体させる。
 瞬く間に、ぐぉおおおおんと顕現する、巨大にゃんこ(210センチ)。
 絡新婦が待機するように命じると、ねこさんも「承知しましたにゃ」と、妙にエコーが掛かった、野太い鳴き声で応えてみせて。
「無差別攻撃になっちゃうから、少し離れてねー」
 その間に理彦は周囲の猟兵たちにも声を掛けると、射抜くように龍を視界に捉える。
 先程まで皆が羨むモフモフにゃんこ塗れとなって、ゲッソリしていた雷穹龍だったけれど、シリアスな雰囲気になった途端に、妙にイキイキしてますね!!
『ほう、我を相手に試すのか、猟兵よ』
「なかなか使う機会がなかったから助かったよー」
 片腹痛しと嗤う龍に狐の描かれた扇を隙なく構えた理彦は、ふっと口元を緩めて。
「雨が降りそうだね。傘が必要かな?」
『雨、だと……?』
 一瞬だけ空を仰ぎ見る雷穹龍。理彦は雨乞いを願うように、ひらりと扇を振う。
 ――刹那。何の前触れもなく無数の姿無き雨のような矢が降り注ぎ、雷穹龍を中心にして一気に包み込む。
 針よりもずっとずっと細く、けれど強靭な鋭さを持った日照雨に、龍は激昂する。
 ――実に、面白き技だと。
『ムゥ!』
 雷穹龍も視界無き雨を相殺せんと、一瞬の動作すら見せず雷撃のブレスを吐き出す。
 拮抗する実力。僅かに雷穹龍の方が勝っているのか。
 猟兵たちも固唾を飲んで見守る中、白い着物をふわりと靡かせて、絡新婦が動いた。
「お見事、ほなこっちも、もうひと頑張り行こうか」
 ――ずしーん、ずしーん。
 絡新婦が合図すると同時に雷穹龍と理彦の間に割って入ったのは、巨大にゃんこ!
 つぶらなお目目で威圧感マシマシの、2メートル級のにゃんこさんに、雷穹龍(198センチ)がメンチを切りまくっている様子は、竜虎ならぬ竜猫相対す、的な?
「ほらちょっとシリアス、多分!」
『どこがシリアスだああああああああ!!! ――んがががっ!!!』
 その瞬間、集中力が途切れた雷穹龍に、無数の日照り雨が炸裂ッ!
 同時に、一気に距離を狭めた巨大にゃんこさん。そのまま勢いを乗せた巨大猫パンチを雷穹龍の顔面にメリッと見舞うのは、特撮映画もびっくりなシリアスさである。
「他の猟兵さんもやる気まんまんだから…その頑張って」
 錐揉み回転で吹き飛んでいく雷穹龍の先行きを少しだけ願うように、理彦はそっと手を合わせる。
 
 ここまでは「生で食す」から始まり「焼く」「下拵え」が終わっているに過ぎない。
 まだまだ「切り刻んで串焼き蒲焼き」という、内部的ダメージ必至な工程が後にびっしりと控えていたことに、その時の雷穹龍は知る術もなかったのだった。
 ――合掌!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

太宰・寿
イワシが滝を登り、巨大ウナギ(?)に……?

ウナギだとしたら、かば焼きしか食べたことがないんですけど、調べたら卵とじも美味しいと聞きました!
とりあえず、黄色にしましょう(虹霓のボタンをぽちり)
イワシの時と同じように、足元を塗りながら自身も強化し、卵色に染めていきます。
他の猟兵さんが蒲焼き派でしたら、茶色にチェンジします。

距離を取られるようなら、Polarisを構えます。
確実に当たるようタイミングを重視しつつ、二連続射撃&クィックドロウで手数勝負です。
口からの電撃に警戒して、正面に立たないように意識して立ち回ります。
私、筆を振り回すだけじゃありませんよ(きりっ)


ミモザ・クルセイル
●心情
鰯達の上司(?)は邪神竜でしたか!
…何故か小柄な気がしますが
それでも私より大きいのです!

これ、開いて蒲焼きに出来たりしませんか?(わくわく)

アドリブ・協力等歓迎

【SPD】
静電気系のビリビリな雰囲気ですね
あっ、水掛けたら感電するとかは?

「オーラ防御」と「電撃耐性」で被ダメージ軽減を
「見切り」で回避を狙いつつ
攻撃のタイミングを図る

靴は一応…滝壺から少し離れた所にポイっと!
「ダッシュ」の加速(+相手が空中なら「空中浮遊」「空中戦」も)を上乗せして
仲間の攻撃に追撃する感じでUC【斥候の一撃】を放ちます

「いっそ串焼きにするのも良いですね…」(お腹が空きそう)
この儀式はやはり飯テロ(物理)なのでは?


ヴィクトル・サリヴァン
うーんこのサイズじゃ食いでがちょっとなー。
いや俺より長いから十分ではあるんだけどもこれだけばいおれんすな皆がいるとね。
実力はともかくサイズはでかいままに出来なかったのはちょっと惜しい?
ま、ある分はきっちり美味しく、ね。
…帰っちゃだめだよ遊ばなきゃ。
おままごとで俺達は料理人、キミは料理の役ね!

プラズマリングに対し銛投げで本体狙い、命中と同時にUC発動。
狙うのは頭部、皆さん色々料理やりたいみたいだし頭からぱっくりやっちゃおう。
出来るなら水シャチに熱の属性加えるかプラズマリングの熱で熱湯シャチに。
鰻の滑り取りには熱湯がいいと聞くし、さっと丸呑みして熱湯に包み下拵えしちゃおうか。

※アドリブ絡み等お任せ



●下拵えは卵とじ色と蒲焼き色に染めて
「うーん、やっぱりこのサイズじゃ食いでがちょっとなー」
 味方の攻撃で軽々吹き飛ばされた雷穹龍は、後続の猟兵たちにも良く見える。
 食料としては、自分よりも長い(190.1センチ)なので、基本的には十分基準は満たしているはずだけど……。
 一瞬だけ思案に耽けた、ヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)は、顔をあげると、ゆっくり周囲を見回してみる。
「イワシが滝を登り、巨大ウナギに……?」
「これ、開いて蒲焼きに出来たりしませんか?」
 こんがり黒焦げに加えて訳あり商品(傷付き)と化したとはいえ、あのイワシたちの上司(?)なら、美味しく頂けるはず!!
 太宰・寿(パステルペインター・f18704)は、ずっと期待に満ちた眼差しで雷穹龍を眺めてるし、ミモザ・クルセイル(みもざいく・f00333)もまた、自分(114センチ)よりも大きな獲物もとい蒲焼きの材料に、ワクワクが止まらない様子でして……。
 どう見ても、味方の言動と食欲の方が、バイオレンスな香りであーる。
「ま、ある分はきっちり美味しく、ね」
 そんなヴィクトルも、サイズだけは大きいままに出来なかったことを、こっそりひっそり惜しみながら、頑丈で重量のある金属製の三又銛を構えた時だった。
「あっ、水掛けたら感電するとかは?」
 黒焦げ傷塗れでぐったりしていてもなお、雷穹龍の雷は離れていても伝わってくる。
 ミモザの提案に、ヴィクトルは「元からそのつもりだよ」と、ゆるり穏やかな笑みを返すと、雷穹龍の背面へと素早く回り込んでいく。
「ウナギだとしたら、かば焼きしか食べたことがないんですけど、調べたら卵とじも美味しいと聞きました!」
 態勢を立て直そうとする雷穹龍を茶色の瞳に捉えた寿も、モップサイズの絵筆を手に取り、ヴィクトルとは逆の方向へ疾走する。
「とりあえず、黄色にしましょう」
 敵影はすぐ目前、思考は一瞬。
 寿は迷うことなく絵筆の柄に付いたボタンをポチると、筆先にじわり滲むのは黄色。
 そして、その上に立つ自身も強化するように筆先を強く地面につけると、そのまま雷穹龍目掛けて一気に速度を上げ、さらに加速する。
「卵色に染めますね!」
 足元を塗りたくるように迅速に前に前へと疾走した寿は、地面を強く蹴って跳躍。
 雷穹龍の背に足を引っ掛け、そのままとんっとんっと登るように駆けていくと――。
「凄い、イワシたちの上司が美味しそうな卵色に!」
「うわぁ、これはまた違う意味で、ばいおれんすな光景だ、ね」
 同時に。ぎゅるるると主張する、ミモザとヴィクトルの腹の虫。
 黒焦げ傷塗れの背中が瞬く間に美味しそうな卵色に染められた雷穹龍は、耳を裂くような咆哮をあげ、尾を強く鋭く地面に打ち付けた。
『蒲焼きか卵とじにするか、何方かにし――否、貴様も万死に値する!』
「えぇ!?」
 もはや、猟兵たちだけでなく、雷穹龍の脳内もカオスに染まっている様子♪
 素早く大きく身体を捻った雷穹龍は寿を瞳に捉えると、即座に口から激しい電撃のブレスを吐き出す、が。
「私、筆を振り回すだけじゃありませんよ」
 ――けれど、それもまた、計算の内。
 瞳と同じ色の髪を靡かせた寿は、滑るように背中から降りると、素早く跳び退く。
 正面に立たないように。塗ることだけにも、決して固執しないように――。
 そう意識して立ち回り、戦場を翻弄するように動き回る寿に、雷穹龍の集中力が散漫となった時だった。
 雷穹龍が繰り出す電撃の余波を躱しながら、虎視眈眈と攻撃のタイミング伺っていた、ミモザが動いたのは――。
「駆け抜けてみせます!」
 クロスボウを構えたミモザは己の機動力を高めるべく、履いていた濃青と白のブールを滝つぼから少し離れた所に、ポイっと放り投げる。
 僅かであるものの、重みから解放されたミモザは、更に加速!
 一迅の鋭さを持って雷穹龍の眼前に滑り込むと、そのまま地面を軽く蹴り上げて、大きく宙へ躍動した。
「私は、蒲焼きと卵とじの両方に一票です!」
 雷穹龍の身体にべっとりと塗られた食欲そそる卵色に追撃するように、ミモザはクロスボウから強烈な一撃を撃ち出す。
 弾丸の如く放たれた、一閃。
 その軌道から逃れようとした雷穹龍は、背中に只ならぬ気配を感じて振り向く。
 そこに立ち阻むのは自分とやや同じサイズで、横にも広いシャチのキマイラだった。
「…帰っちゃだめだよ、遊ばなきゃ」
 強烈な一撃を躱し切れなかった雷穹龍の左肩が大きく穿つ中、絡み合う視線。
 柔和な表情とは反対に、ヴィクトルは隙無く金属製の三又銛を構え、対する雷穹龍も、もとより不退転であると告げるように、鋭く双眸を細めて――。
「おままごとで俺達は料理人、キミは料理の役ね!」
『その言の葉、そっくりそのまま返してやろう』
 身に纏った雷鳴とともに、雷穹龍は怒り狂った咆哮を轟かせる。
 同時に。熱を帯びたプラズマリングを生成した雷穹龍に対し、ヴィクトルは三又銛を銛投げの要領で構えると、大きく肩を引き、力任せに投擲した。
「さあ、追いかけて、齧り付いて――喰い千切れ」
 狙うのは頭部。
 投擲した銛が雷穹龍の左こめかみに刺さるや否や、それに促されるような迅速さで召喚された「水で象った巨大なシャチ」が、力強く宙を駆け抜ける、が。
『熱ッ! これは水ではない……熱湯かッ!!』
 巨大シャチから跳ね上がる水飛沫に激しく抵抗する雷穹龍に、ヴィクトルは口の端を僅かに上げてみせて。
「ウナギの滑り取りには熱湯がいいと聞くし、水シャチに熱湯の属性を加えてみたのだけど、どうかな?」
『我はウナギではなーい!!!』
 身長とウナギはトラウマ級と言いますか、もはや勝手に反応するレベルなのか。
 ドヤっと胸を張ってみせるヴィクトル。脊髄反射のごとく咆哮を轟かせた雷穹龍が態勢を立て直そうと、後方に退避しようとした時だった。
 ――パンッと、一筋の弾道が雷穹龍の右足に奔ったのは。
「距離は取らせませんよ」
 先程までの人当たりが良い雰囲気とは打って変わり、星の名前を冠した拳銃を構えた寿は、真剣な眼差しで素早く二撃目のトリガーを引く。
『小癪な真似を――!』
 雷穹龍の全身が雷光に包まれた刹那、紫雷を纏った無数の破壊光線が寿――では無く、攻撃のタイミングを伺っていた、ミモザを襲う。
 けれど、焦りから予備動作が大きかったのが災いしたのか、ミモザは即座にオーラを高めて守護の力を強化すると、紫雷の動きを見切るように、素早く跳び退く。
 電の余波を受ける形となったヴィクトルと寿に至っては、その攻撃方法も看破し、身体を僅かに逸らすだけで、流れるように避けてみせて。
「お返しです」
 即座に畳み掛ける銃声音。
 寿がタイミング良く撃ち出した幾つもの銃弾が雷穹龍の動きを鈍らせると、その僅かな隙を付くように、ヴィクトルが素早く動いた。
「さっと丸呑みして熱湯に包み、下拵えしちゃおうか」
 後に控えた猟兵たちも、やりたいことが色々あるという表情を向けている。
(「もう少しで下拵えが終わるから待ってて」)
 彼らに温厚で紳士的な笑みを向けたヴィクトルは、直ぐに前を見据える。
 強く鋭く命じると同時に、巨大熱湯シャチは雷穹龍の頭からぱっくりいくように飛び上がる。そして、大きく口を開けたまま下降し、一気に呑み込んだ!!

「この儀式は、やはり飯テロ(物理)なのでは?」
『その言葉だが、そっくりそのまま返させてくれない、か……?』
 真顔で告げるミモザに、熱湯シャチに茹でられてゲッソリとヤツれた雷穹龍は、物理に精神とカオスも付けるべきだと、何故か頭が可笑しい感じで追加注文する。
「いっそ串焼きにするのも良いですね……」
「蒲焼きと串焼きがお好みでしたら、茶色にチェンジしますね!」
 お腹が空きそうだとミモザが呟くと、寿は即座に茶色の絵の具へ、ポチっとチェンジ!
『もう、どうにでもなれええええ!!!』
 こんがり焼けて刻んで貫かれて茹でられて下拵えされた雷穹龍の上に、寿はさらに美味しそうな蒲焼き色を、たっぷりと重ねていくのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鈍・小太刀
【かんさつにっき】

なるほどデンキウナギ
なら漁法は、電撃出して疲れた所を狙うのが良さげ?

周囲へ鋼糸を展開し、避雷針にして紫電対策に
美味しそうな鰻…敵の様子を観察するよ

ふふふ、鰻といえば蒲焼ね
串打ち三年、割き八年、焼き一生
職人技目指して精進あるのみ
美味しく食べ…もとい、オブリビオンを倒す為
祭莉んと杏と連携して調理…攻撃するよ

鰻の動きを見切ったら
片時雨で一気に腹を割き
『美味しくなあれ』の願いを込めて
うねる体に真白の串(矢)を打つ!

『炎』と『タレ』は宜しくね
ああ、美味しそうな匂いが♪

おっといけない
大事な事を忘れるところだったわ
調味料の袋を宙に投げ、鰻と共に一刀両断
仕上げはやっぱり『山椒』の属性攻撃で!


駒鳥・了
ち、ちっちゃ……!
コレ食べたら大きくなれる?(残ってる下し済み鯖のをわさっと出す
だってでっかいのを豪快に捌きたかったじゃん

ところで味は鯖なんだろーねー原料鯖だし
形状的にはやっぱかば焼きかなっ

このUCはスミちゃん口調になっちゃうけど、まーいっか
動きを封じて日本刀で行くよー動かれると斬りにくいからね!
真っ二つにするとかば焼きじゃなくて下しになっちゃうからさ!
相手からの電撃は第六感とか残像とかで避けてこっと
こういうのは踏みつけらんないからやりづらいんだけど
ガンガンいくよー!

そういえば素早く料理しなくちゃいけないんだっけ
タレはきっと誰かが持ってるだろーと期待しとこ!

共闘やアドリブは歓迎だよ!


木元・杏
【かんさつにっき】の3人で

めいんでぃっしゆ、降臨
…………思ってたより小さい
ん、でもめげない
先ずは情報収集
うさみみメイドさん(30センチ程の人形)、GO
めいんでぃっ……じゃなかった、邪神を殴ってみて?鱗、削いだ方がいいか確認(こくん、と頷き)

ん、蒲焼きする?なら血抜き
灯る陽光をレイピアにしてお腹をぷすぷす刺す
そして鱗情報を元に【鎌鼬】
鱗多いならすぱっすぱっと削ぎ落とし、ついでに身も削いでみる

でも(龍の姿見て)
……輪切りで煮付けもおいしそう
鯉みたいにね?
しってる?鯉、とても、おいしい……
(うっとりと、おいしい目で龍も見る)

うさみみメイドさん、たれつけるの手伝お?(たれ入れるバケツとヘラ持たせて)


木元・祭莉
【かんさつにっき】ー。

えーと。邪神さん、だよね!

ねーねー、滝登ったのいつごろー?
やっぱ、元は鰯だったのー?
そこまで頑張れたのは、誰のおかげですかー?(ひーろーいんたびゅー)

信者の人たち、お休み中みたい。残念だねー?
代わりに、おいらたちがお相手しまっす!
ヨロシクーっ♪(ひゃっはー)

えーと、かばやき。
照り焼きみたいなかんじかなあー。
よっし。(棒しゃきん)
属性攻撃! 『タレ!』

甘辛いかんじのー。ザラメ醤油っぽい属性って、どうやったらいいのかなぁ?
むー。無理なら仕方ない。
浮かべた舞扇で仰ぎながら、『火』属性の衝撃波!
えんせきがいせん? なにそれ??

あ、火力は均等に。いい位置探して、ぐるぐる回るねっ♪



●みんなで蒲焼き串焼き〜甘辛タレを添えて
「あ、アキいた」
「やっぱり! さっきの戦いでちらっと姿が見えたから、来てるんじゃないかなーって思ってたら、オレちゃん大正解だねー!」
 向日葵色の瞳をぱちくりと瞬く木元・杏(ぷろでゅーさー・あん・f16565)に、駒鳥・了(I, said the Rook・f17343)――アキは、元気良く手をブンブン振ってみせて。
 アキと【かんさつにっき】の3人は顔見知りというのもあり、揃って蒲焼き色に染まった雷穹龍(黒焦げ訳あり(傷付き)下拵え済み)に臨もうとする、けれど……。
「えーと。邪神さん、だよね!」
 木元・祭莉(サムシングライクテンダネスハーフ・f16554)の目の前でぐったりんごしている雷穹龍は、既に万策尽きたように、まな板の青ウナギと化しておりまして……。
「ち、ちっちゃ……!」
「めいんでぃっしゆ、降臨…………思ってたより小さい」
 アキと杏が揃って地雷な言葉を洩らしてしまうものの、雷穹龍から反応はなく。
 小さい上に覇気もない。只の鮮度が落ちた、しかばねのようだった。
「なるほどデンキウナギ。なら漁法は、電撃出してさらに疲れた所を狙うのが良さげ?」
 鈍・小太刀(ある雨の日の猟兵・f12224)は、その隙に周囲へ鋼糸を展開、避雷針にして紫電対策を施すと、もう一度美味しそうな青ウナギ――否、雷穹龍を観察する。
 体力的というよりも精神的にグロッキーなのか、このままでは歯応えが無くて鮮度が急激に落ちた青ウナギを、皆で頂くことになってしまいそうで……。
「ねーねー、滝登ったのいつごろー? やっぱ、元はイワシだったのー?」
『誰がイワシだ、そしてこの台詞は何度目だッ……!』
 あたかもヒーローインタビューの体で、祭莉がマイク代わりに如意みたいな棒の先を向けると、雷穹龍の曇りに曇っていた双眸にぽぅと光が灯る。
「そこまで頑張れたのは、誰のおかげですかー?」
『それは――貴様らのせいだあああああ!!』
 畳み掛けるような祭莉のインタビュー(?)によって、雷穹龍はしょんぼりモードから、なんと鮮度抜群、激オコモードにヒートアップッ!!
 良薬口に苦しとは、実にこのことかもしれない、が。
「ねえねえ、コレ食べたらもっと大きくなれる?」
 アキが僅かに残っていた下し済みのイワシをわさっと差し出すと、雷穹龍は「貴様もか!」と瞳を見開き、凄まじい咆哮を轟かせる。
『敵に塩を送るような真似をだとッ! うう揃いに揃って我をコケにしおって……!』
「だって、でっかいのを豪快に捌きたかったじゃんー」
 身体をブルブルと震わせる雷穹龍に、アキがぷくぅと頰を膨らませるプチ龍虎絵図。
「ふふふ、ウナギといえば蒲焼きね」
 そんなゆるゆるっとした空気の中。
 威勢を取り戻した雷穹龍に小太刀は内心で安堵を覚え、邪神のサイズにしょんぼり肩を落としていた杏も唇をきゅっと横に結び、立ち直ろうとしていて。
「ん、わたしも……めげない」
 まずは、情報収集が先決。
 真っ直ぐ視線をあげた杏は、手にしたうさみみメイドさん人形(30センチ程)に、そっと呼び掛ける。
「うさみみメイドさん、めいんでぃっ……じゃなかった、邪神を殴ってみて?」
 その声は囁きに似たものだったけれど、うさみみメイドさんはコクン、と力強く頷くと、雷穹龍の足元へトコトコと歩いていく。
『なんだ、このヘンテコな生き物は――ぅおッ!!』
 予想外の“拳(グー)”
 面と向かって悪態付いた雷穹龍の尻尾を、唐突にうさみみメイドさんがブン殴るッ!!
 特に理由がなくても初対面の人(?)に悪口を言ってはいけません。相手がウサギの皮を被ったヒグマだった場合、このようにボキッと尻尾が変形してしまうからですね。
「ん、鱗、削いだ方がいいみたい」
 重く響く打撃音にしっかり耳を研ぎ澄ませていた杏が、ぽつりと呟く。
 その不穏な声は雷穹龍の耳にも入っていたのだろう、ビクッと背筋を震わせた龍に、祭莉もまた、とってもいい笑みを向けた。
「信者の人たち、お休み中みたい。残念だね」
『ムゥ……』
 祭莉と雷穹龍が周囲を見回すと、先程と変わらず信者たちは、揃って卒倒中……♪
 否、良く見るとタヌキ寝入りしている者が殆どで、雷穹龍を助ける気は無いようです。
『……くっ、使えぬ者ばかりめッ!!』
「大丈夫、代わりに、おいらたちがお相手しまっす! ヨロシクーっ♪」
『もう、全員纏めて帰れよ!!』
 ヒャッハーと先陣を切って飛び出した祭莉は、如意みたいな棒を頭上でぐるんと旋回。
 視線だけは雷穹龍を真っ直ぐ見据えたまま、ふと何かを思いついた祭莉は一瞬だけ思案に耽る。
「えーと、かばやき。照り焼きみたいなかんじかなあー」
 ――よっし!
 と、気合いを入れた祭莉が棒に纏わせたのは、なんと蒲焼きのタレ!
 甘くてフローラルな香り。誰もが待ち望んでいたと思われるそれに、周囲の猟兵たちもどよめき、瞬く間に歓声へと変わった!
「よっ、待ってました!」
『今日は我の厄日か何かか?』
 アキの期待に満ちた眼差しとは反対に、雷穹龍の双眸は絶望色に染まっております、どうします?
 嬉々とタレ付きの棒を振り回す祭莉を視界に捉えた小太刀は、負けず嫌いの性格が駆られたかのように、古びた日本刀の鯉口を鋭く切った。
「祭莉んと杏、炎とタレは宜しくね」
 周りに視線だけ送って一振りの刀を手にした小太刀は、真っ直ぐ雷穹龍と向き合う。
 見た目は美味しくなっているものの、元は神格級と言われている、邪神ならば――!
「串打ち三年、割き八年、焼き一生、職人技目指して精進あるのみね」
 全ては美味しく食べ……ゲフン、もとい、オブリビオンを倒すため!
 仲間と連携して調理……ではなく、戦場を駆け回る小太刀を見習うように、アキも自分のペースで疾風となった。
「オレちゃんも形状的にはやっぱ蒲焼きかなっ」
 イワシを媒介に完全復活を遂げようとしただけあって、味もイワシかも?
 それを確かめるべく、アキは反りの浅い打刀の鯉口を瞬時に切ると、更に前へ踏み込むように疾走する。
「動かないでよー、動かれると斬りにくいからね!」
 刃を手元で閃かせたアキは、刀の刃先ではなく、敢えて反りの方を雷穹龍に向ける。
 真っ二つにすると蒲焼きでなくなってしまう。あくまで自分は動きを封じることに留めなければと、アキは無駄にキリッと真顔で決めてみせて。
「生物でも機械でも、時に理解不能な行動を起こす。それも己の不利になる事をね」
 普段は別人格のスミちゃんが使うセリフに、アキは内心で笑いを堪えつつ。
 刹那。指先で生成された不可視のプログラムが、柄を通じて刃に浸透していくのを感じながら、アキは刀を横に引く。
 ――軽く一閃。
 鋭い斬撃は雷穹龍の左脇腹に吸い込まれると同時に、傷口から入ったプログラムが雷穹龍の精神や駆動へ干渉していく。
『くっ、動かぬ!!』
 雷穹龍は口から電撃のブレスを辛うじて吐き出したものの、その威力は乏しい。
 残像を残すように軽やかに回避したアキが後方に跳び引くと、入れ替わるように小さな影が躍動した。
「ん、蒲焼きする? なら血抜き」
 灯る陽光をレイピアに変えた杏は、一迅の鋭さを持って邪神の懐へ斬り込んでいく。
 そして、そのまま鳩尾に狙いを定めると、ぷすぷすと高速で突き刺していく、が。
『ハッ、全く痛くも痒くもないわッ!』
 嘲笑う雷穹龍の声が頭上から降って来るものの、杏は気に留めず全て受け流す。
 彼女が集中すべきことは、ただ1つ。
(「鱗の数、とっても多い」)
 先ほどの鱗情報とレイピアから伝わる肉質を頼りに、杏はうさ印の護身刀を抜刀。
 鱗を一気に削るべく半歩下がって間合いを取ると、只ならぬ気配に「!」となった雷穹龍の視線と一瞬だけ絡み合った。
「逃げないで?」
 雷穹龍の動きに合わせて一歩、深く踏み込んだ杏は、刃を大きく横に奔らせる。
 ――同時に。うさみみメイドさんも一緒に攻撃に回り、さらに攻撃速度を上げた杏は、雷穹龍の鱗をすぱっすぱっと削ぎ落とし、ついでに身も削いでいく。
 鱗がぽろりぽろりと剥がれ落ちる。たちまち肉身のジューシーな香りが辺りを包み込み、その場にいた猟兵たちの何人かが、ゴクリと喉を鳴らした。
「甘辛いかんじのー。ザラメ醤油っぽい属性って、どうやったらいいのかなぁ?」
 やっぱり、ザラメ醤油のまま?
 極上の食材を前にうーんうーんと唸っていた祭莉は、すぐに前向きに切り替えると、舞扇の幻影を呼び出した。
「まずは焼いてから考えようっと」
 宙に浮かべた舞扇を祭莉が勢いよく仰ぐと、炎を帯びた衝撃波が奔る。
 少し置いてどかーんと爆ぜる爆発音。炎の中からこんがり焼かれた雷穹龍が姿を現し、怒りを乗せた超高熱のプラズマリングを解き放った。
『今の我はとても繊細なので、遠赤外線の如くじっくりゆっくり労流がいい!』
「えんせきがいせん? なにそれ??」
 もはやツッコミと化した雷輪を、何処か楽しむように祭莉はひょいひょいっと躱す。
 そして、返す刃の如くザラメ醤油を乗せた棒をガツーンと脳天に見舞い、その傍らでツインテールを靡かせていた小太刀も、雷光の軌道を良く見、素早く跳び退いた。
「残念ね、ウナギの動きは既に見切ったわ」
『だから我はウナギではないとッ!!』
 刃を手元で閃かせ、攻勢に転じた小太刀は、再び雷穹龍へと肉薄する。
 そのまま懐に潜り込んで鋭い刃先を横に奔らせると、パクリと空いたハラワタを見据えて「美味しくなあれ」の願いを込めながら、真白に光る破魔の矢を零距離から撃つ。
「白き矢よ、射貫け!」
 うねる身体を穿つのは 真白の矢……ではなく、串でして。
 痛みに抵抗する雷穹龍の咆哮が空気をビリっと振動し、紫電が間近を掠めていく。
 けれど、味方が受ける紫雷の傷は浅い。あらかじめ小太刀が張っていた紫電対策が功を奏したのか定かではないけれど、味方の背を後押ししたのは、事実!
「ガンガンいくよー!」
 蒲焼きのタレで美味しく塗られていく中、アキは動きを止めることに専念する。
 別人格のシリアスUCを使うのは抵抗が無くもないけれど、問題ない問題なーい♪
 本来の使用者であるスミちゃんのやる気は、さらにブレイクしたかもしれないけれど、それはそれ、これはこれであーる。
『全員纏めて帰ってくれぬなら、我が帰るッ!!』
 万年欠食猟兵たちと関わったことが運の尽き。
 そのことに雷穹龍はようやく悟ったものの、首を縦に振ってくれる猟兵はいない。
 雷穹龍の姿をじーっと眺めていた杏が、ぽつりと呟いた。
「……輪切りで煮付けもおいしそう、コイみたいにね?」
 ――またの名を、鯉(コイ)のうま煮。
 調理方法は至って簡単、内臓ごと輪切りにしたコイを、醤油、酒、砂糖、みりんでじっくりと強火でコトコト煮込んでいくだけの、素晴らしい料理であーる。
「しってる? コイ、とても、おいしい……」
『貴様、この場の猟兵の中で、一番目が据わっているのは、分かってるのか?』
 うっとりと美味しそうな眼差しを向ける杏に、雷穹龍がジリジリと後退したのは言うまでもなく。
「火力もいい感じだねっ♪」
 なるべく表面に付けた蒲焼きのタレを中心に炙るように、舞扇を手にした祭莉が雷穹龍の周りをぐるぐると回り始めると、他の猟兵たちも均等に火力を調整していく。
 この料理……否、戦いも終盤に差し掛かっているのは、明白。
 あとは、どれだけ雷穹龍を美味しく調理していくのか、その1点につきるだろう。
「ああ、美味しそうな匂いが♪」
 辺りにふわりと漂い始める、香ばしい甘い香りのハーモニー。
 食欲をさらに刺激する甘い匂いに小太刀は紫色の瞳を細め……すぐにはっと見開いた。
「おっといけない、大事な事を忘れるところだったわ」
 小太刀は調味料の袋を取り出すと、雷穹龍の頭上へ向けて、高らかに放り投げる。
 ひらりと宙を泳ぐ、調味料。
 斬り込むように加速した小太刀は雷穹龍まで迫ると、強く地を蹴って跳躍する。
「仕上げはやっぱり山椒ね」
 ――同時に。刃先に山椒を纏わせた小太刀は雷穹龍共々調味料を一刀両断するべく、刀を真っ直ぐ振り上げ、振り下ろした。
「そういえば、素早く料理しなくちゃいけないんだっけ」
「わたしたちも、たれつけるの手伝お?」
 蒲焼きに似た香ばしい甘い香りに、山椒と調味料の上品な香りが溶け込んでいく。
 その香りにアキは口元を緩め、杏はうさみみメイドさんにタレが入ったバケツとヘラ持たせると、さらに美味しく雷穹龍を塗りたくるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

榎・うさみっち
ぴゃー!見た目はめちゃくちゃ格好いいドラゴンが来たぜ!!
本来なら猟兵達と手に汗握るシリアスな
戦いが繰り広げられたであろうに
俺らと出会ってしまったのが運の尽きだぜ!!

夏の終わりにぴったりなこいつらが相手だ!
いでよ【きょうふときょうきのせみっちファイナル】!!
約250匹近くものせみっちの大群がまとわりつくぜ!
そしてジジジジとけたたましく鳴きまくる!
視覚的・聴覚的・精神的とトリプルコンボな攻撃!
敵のブレスには大量のせみっちのうち何匹かに盾になってもらう
他にもやられたフリをして地面にポトッと落ち
そしてまた突然動き出すというせみ的不意打ちも喰らわせる

それにしても龍肉ってどんな味なんだろな!(わくわく)


アルファ・オメガ
「がう、いわしの後処理(切り刻んでた)してたら、だいぶ出遅れた!」
急いで行かないと鰻を食べ損ねる…!
あっでもおっきな青い鰻って聞いたし大丈夫かなー?
よーし、鰻を食べに行くぞー!

(遠目からグローレールを見かけて)
「がう…?」
あれ、なんか小さくない?
これ、ボクひとりでも食べ切れるのでは?
とりあえずもふり倒してから考えよう
すーぱー・もふもふぱわー!
「溢れ出るもふもふとともに、貴様ももふもふにしてやろうか!」
そんな感じで鰻をもふもふぱわーで包みます
何故もふもふかって?
やだなーもふもふは戦闘力だよ?その証拠に、ボクはもふもふぱわーで飛べます
そのまま頭から突撃だー



●夏の終わりのもふもふセミファイナル
「がう、イワシの後処理してたら、だいぶ出遅れた!」
 ――急いで行かないと、メインディッシュの青ウナギを食べ損ねてしまう!
 急ぎ足で真っ直ぐ戦場に戻ったアルファ・オメガ(もふもふペット・f03963)が見たのは、十数人ものの猟兵たちによって美味しく調理された、雷穹龍グローレール(蒲焼き)の姿でして……。
『まーだーいーたーのーかー! ――もうヤダ!!』
 なめろうにされてフランベ風味に殴られ、畳み掛けるようにこんがり焼かれて黒焦げ黒龍になったところ、モフニャーと穴だらけに下拵えされて、息継ぐ間もなく刻まれ茹でられ卵色になり、ウロコを削がれて蒲焼き串焼き(タレ&山椒付き)になった、雷穹龍の双眸は、もはや虚ろに近いものがあーる。
「ぴゃー! 見た目だけはめちゃくちゃ格好いいドラゴンだったのによ!!」
 本来ならば、猟兵たちと手に汗握るシリアスな戦いが繰り広げられていただろうに、傾向が変わるだけで、その末路が蒲焼きになってしまうなんて!
 同じく少し遅れて合流した榎・うさみっち(うさみっちゆたんぽは世界を救う・f01902)が生温かい眼差しを雷穹龍に向けると、アルファは不思議そうに「がう…?」と、首を傾げた。
「あれが雷穹龍? でも、なんか小さくない?」
 ――自分が聞いていた邪神の姿は、おっきな青いウナギですが……?
 ――この大きさだったら、自分1人でも食べ切れてしまうのですが……?
 焦茶色の瞳に捉えた物体と、想像していた雷穹龍がチグハグになり、アルファの頭の中が洗濯機のように、グルグルと回る〜〜。
「ま、俺らと出会ってしまったのが運の尽きだな!!」
 さてさて、どうやって料理しようかと、うさみっちが軽く羽ばたいた時だった。
 まな板の鯉もとい、まな板の青ウナギ状態だった雷穹龍が「ククク」と、喉の奥から低い声を響かせたのは――。
『我をここまで脅かすとは心底恐れ入った。ならば……我も最後に足掻くべきか』
 雷穹龍も、いよいよ己の最期の刻を悟ったのだろう。
 己に残された力を。そして、自身の矜持と命すら捧げる凄まじい咆哮を轟かせるッ!
『食われるくらいなら――どっかーんしてやるいッ!!!』
「自爆かーい!!」
『この場にいる全員、纏めて消し炭にしてやる――ッ!』
「よせやめろ、UDCアースに龍という貴重な食材を食べる機会が、失われてしまう!!」
 これまでの大惨事を受け、シリアス担当は大崩壊。
 満身創痍の雷穹龍(198センチ)が逆ギレるのを、うさみっち(17.6センチ)がその周りをぐるぐる飛び回って諌めようとするものの、無数の雷が雷穹龍の周りに生成、その余波は遠くの猟兵にも届いて、頰をチリチリと掠めていく。
「がう! とりあえず、もふり倒してから考えよう」
 この臨海状態では、雷穹龍に飛び掛かって味わうこともままならない。
 毛並みに奔る静電気に耐えながら、アルファが魔力を高めた瞬間、愛らしい表情が昔懐かしい劇画調グラフィックに、キリッと変貌する。
 ここから3秒間は、劇画調でお楽しみ下さい♪
「溢れ出るもふもふとともに、貴様ももふもふにしてやろうか!」
「何だとッ!!」
「マジか! あいつやりやがったぜ!!」
 アルファ(劇画調)の低く野太い声に雷穹龍(劇画調)が戦慄、うさみっち(劇画調)もノリノリでこのウェーブに乗っかると、あっという間に3秒経過。
 ぽふんっと何時もの愛らしいふわもふなケットシーに戻ったアルファの全身を、不思議なもふもふぱわーが覆っていく。
 ここからは何時もの感じで、お送りいたします。
『その姿で我と斬り結ぶ、だと?』
「やだなーもふもふは戦闘力だよ? その証拠に、ボクはもふもふぱわーで飛べます」
 余裕に満ちた言の葉に反して、静かに絡み合う視線。
 鋭さを増した双眸で威圧する雷穹龍に対し、アルファのもふもふは正義と信じる心が、柔らかな毛並みをさらに上昇させていく。
 そして、上質なもふもふとなって飛翔能力を得たアルファが、宙に浮いた時だった!
「その前に、夏の終わりにぴったりなこいつらが相手だ! いでよ!!」
 うさみっちの激昂の気合いと共に現れたのは、総勢250匹にもなる、せみっちたち!
 その姿は、リアルなセミ形態うさみっち。
 ――きょうふときょうきのせみっちファイナル!!
 そのユーベルコードの名の通り、瞬く間に雷穹龍を襲った250のせみっちたちは、満身創痍の龍に貼り付くと、凄まじい音量でけたたましく鳴き始めるッ!!
 ジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジ!!
 ジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジ!!
 ジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジ!!
『――!! ――――!!!』
 視覚と聴覚、さらに精神的なトリプルコンボを至近距離で喰らった雷穹龍は、声にならない絶叫と共に、勢い良く雷撃のブレスを吐き出す。
 その雷撃は一瞬で通り過ぎる。
 何匹かのせみっちが盾になるように射線に立ち阻み消滅し、その余波を受けたのか、周囲のせみっちたちも、ポトッポトッと地面へと落ちていく。
『ハアハア、何てヒドいユーベルコー……ん?』
 息も絶え絶えな雷穹龍がうさみっちを見ると、その表情は余裕で(廿x廿U)のまま。
 同時に。足元から感じるのは、只ならぬ気配……。
 雷穹龍が即座に地面に視線を移すと、それはモゾモゾと動き出して――!
 ジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジ!!
 ジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジ!!
 ジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジと、一斉に起き上がったあああッ?!
「死んだと思ったかばかめ! 夏のふーぶつし、せみっちファイナル喰らえー!!」
 やられたフリをして地面に落ちたせみっちたちが、一斉に大合唱!
 凄まじい不意打ちを受けた雷穹龍は動転、反撃も忘れて大きく後ずさった時だった。
「もふもふだって戦えるんだ!」
 その好機を逃さず、もふもふぱわーで包み込むように、アルファが飛翔する。
「くらえー!」
 そのまま勢い良く頭から突進、アルファと雷穹龍の額がぶつかり合う!
 予想外の“頭突き”
 それが決定打となり、一瞬だけ宙に身体を大きくうねらせた雷穹龍は、糸が切れた人形のように落下、地面にドスンと叩きつけられる。
 そして、二度と動くことはなく、皆の夢と期待を一身に受けた『雷穹龍の蒲焼き』が完成されたのだった。

●番外編 試食タイムもセミファイナルな香り
「よーし、ウナギを食べるぞー!」
「それにしても龍肉ってどんな味なんだろな!」
 相手はオブリビオン、倒した後は速攻で食べないと消えてしまう存在でもあーる。
 アルファが急ぎ足で、うさみっちも期待を胸いっぱいに抱きながら羽ばたいて、料理に近づくと……。
「おうおう、どうしたんだ! 皆早く食べようぜー!」
 辺りを支配するのは歓声ではなく、沈黙でして……。
 ユーベルコードとはいえ、未だ250匹近くものせみっちの大群が纏わり付いており、さらに足元には地面に落ちたまま突然動き出す、セミ的な不意打ちも健在……!
 気まずーい静寂に、けたたましいセミの鳴き声だけが響く。
 猟兵たちの沈黙にも似た視線がゆっくりと、うさみっちへと集まっていき――。
「「「うさみっちいいいい!!!」」」
 絶叫にも似た猟兵たちの叫びが轟き、少し遅れてうさみっちの楽しそうな笑い声が、ケラケラと飛び交う。
「がう、いただきます!」
 そんな中。アルファを含めたセミ的トラップを搔い潜った一部の猟兵たちは、せみっちを避けるように、甘辛のタレが絡んだ肉身を、手早く口の中にかきこんでいく。

 初秋を迎えた山間の中で味わう、雷穹龍。
 始めはワイルドな味わいが甘辛く口の中に広がり、次に舌の上できめ細かい肉質がゆっくりと溶けていく、とても繊細で高級感がある味わいだったという。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『彩の庭園』

POW   :    庭園を散策し、四季折々の風景を楽しむ

SPD   :    茶屋で美味しいものを食べる

WIZ   :    美しい景色を眺めてのんびりと過ごす

イラスト:シロタマゴ

👑5
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●初秋の彩りと流し素麺
 崇める邪神が「ごちそうさま!」されてしまった信者たちは、揃って卒倒ッ!
 完全に無力化された信者たちをUDC組織のエージェントたちが「うん、相手が悪すぎたな」「御愁傷様」などなど、どこか同情を帯びた眼差しで、次々とタンカに乗せていく。
 ここはUDC組織に委ねてしまって問題なさそうだ。
 その様子を静かに見届けた猟兵たちは、揃ってアジトのさらに上流にあるという、日本庭園付きの茶屋を目指した。

 初秋の彩りを迎えた山間は、仄かに涼しい。
 さらさらと心地よく響く渓流の音色に耳を傾け、足取り軽く向かう猟兵たちの視線に、一軒の大きな茶屋と、ふわりと風に揺れる大きな幟が飛び込んでくる。

 ――流しそうめん営業中、浴衣でもお気軽にどうぞ♪

 茶屋のすぐ隣に設置された流し素麺の台は、だいたい20メートルくらい。
 上流に人が殺到しないよう、経路の途中からも素麺が出てくる造りになっており、お茶や和菓子と一緒に、終始のんびりまったり楽しめる空間が広がっている。
 もちろん、それだけではない。
 茶屋をぐるっと囲むように造られた日本庭園も、少しだけ柔らかくなった陽射しを浴びて青々と煌めく池も、実に見応えある情景を醸し出していて。
 若草色から暖色へ。
 晩夏から初秋に移る彩り豊かな色彩を堪能しながら、池で優雅に泳ぐ錦鯉たちと戯れるのも、また趣があるだろう……。

 もちろん、いずれも浴衣で過ごすことができる。
 店先には、浴衣姿の見覚えのあるグリモア猟兵が、両手をブンブンと振っていて。
 美しい日本庭園を眺めながら味わう初秋の彩り、貴方はどう過ごしますか?

※マスターより
 プレイングの受付は【9月19日(木)9時】からになります。
 それより前日に頂いたものは再送前提になりますこと、ご了承頂けますと幸いです。

 また、全てを堪能するよりも、やりたいこと1つか2つに絞って頂きますと、より濃厚なリプレイをお届けできるかと思います。
黒木・摩那
【SPD】
やっとまともなものが食べられます。

せっかくイワシやウナギが食べられると思ったのに、
イワシは消えちゃうし、ウナギに至っては詐欺だったし。
食べ損ないばかりでストレスMAXです。

ここは流しそうめんを心ゆくまで味わいたいです。
清流で程よく冷えたそうめん。

がんがん食べますよ。


ビスマス・テルマール
●SPD:流しそうめんは此方で良いんですよね?

先程のなめろうにしたオブリビオン、もう少し持つのなら、そうめんの上に乗せて、冷たい麦茶で割って、なめろうそうめんにして食べれたんですけど……こうなっては仕方がないので

そうめんが落ちるタイミングを『第六感』で『見切り』『早業』でキャッチして、そうめんの麺を幾つか貯めたら

持参してる『ハワイアンなめろう』をそうめんに乗せて、軽く『料理』

材料の中のバナナも、バナナを使うサラダそうめんもありますし、ハワイアンなめろうの作り方の関係上、めんつゆとも相性は悪くない筈

ちょっと食べてみて美味しかったら、皆さんにもお裾分けをしましょうか。

※アドリブ絡み掛け合い大歓迎



●初秋の陽光となめろうの薫り
「流しそうめんは此方で良いんですよね?」
 涼やかな山々の風が告げるのは、初秋の訪れと食欲の秋。
 竹筒で造られた流しそうめんの前に立った、ビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)の鼻孔を、仄かな竹の香りがふわりと刺激する。
 半分に割られた竹筒の中を流れる清流のせせらぎに耳を傾けた、瞬間。
 心地よい水流の音と共に、幾つものそうめんの束が、さあっと流れていく。
「やっと、まともなものが食べられます」
 さらさらと清流の中を泳ぐそうめんが、お昼時の陽光を受けて煌めいて。
 野鳥のさえずりに初秋の訪れを感じながら、黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)は、その一筋を素早く箸で掬い上げる。
 このそうめんは、紛れもなく食料。
 先の戦いではイワシやウナギを食べれると聞いていたものの、無数にあったイワシは消えてしまうし、ウナギに至っては何と龍でしたという、詐欺レベルのものッ!
 食べ損ないばかりで、ストレスMAXだった摩那の口元が緩むのも無理もない、が。
「先程のなめろうにしたオブリビオン、もう少し持つのなら、そうめんの上に乗せて、冷たい麦茶で割って、なめろうそうめんにして食べれたんですけど……」
 摩那とは反対に、ビスマスは少しだけ残念そうに、俯いていて……。
 でも、こうなっては仕方がないとすぐに気持ちを切り替えたビスマスは、流れるそうめんの動きを見極めるように双眸を細め、音速の速さでしゅんっと箸を動かす。
 ひらりと清流に泳ぐ絹糸が、瞬時に消える。
 鋭い動きが連続し、最後にビスマスが横に払うように箸を振った瞬間!
 ビスマスのお椀の中に幾つものそうめんが落ち、周囲からわっと拍手が湧いた。
「私もがんがん食べますよ」
 ここまで来たならば、あとは流しそうめんを、じっくり堪能するまで……!
 大きな歓声を耳にした摩那も眼鏡の端を隙なく光らせると、清流で程よく冷えたそうめんを、口に運んでいく。
 最初に唇から伝わってくるのは、絹糸のように細くて繊細な感触。
 けれど、喉越し良くするっと摩那の口に入ったそうめんは、カツオの出汁が良く効いためんつゆと舌の上で絶妙に絡み合い、あっという間に胃袋の奥へと消えてしまう。
「これは美味しいですね」
 ――マイ唐辛子や薬味を入れたら、もっと引き立つかもしれない。
 摩那の胃袋がまだまだ物足りないと告げるように自然と箸が進んでいく中、その傍でそうめんを一口だけ味わったビスマスも舌鼓を打ち、ぴたりと手を止めた。
「このめんつゆなら、なめろうとの相性もよさそうですね」
 ビスマスが何処から取り出したのは、なんとハワイアンなめろう!?
 それをそうめんの上に乗せて軽く混ぜ合わせると、摩那も茶色の瞳を瞬かせて。
 ほぼ同時に。
 料理人の血が騒いだのか、ユーゴ・メルフィード(シャーマンズゴースト・コック・f12064)も、ぴゅーんと飛んで来て、ひょいっと顔を覗かせた。
「材料はマグロとアボガドかの? 他にもフルーツの香りがしますのじゃー」
 三つ葉に、オリーブオイル、レモン汁に醤油、あとは何だろう……?
 不思議そうに首を傾げるユーゴに、ビスマスは「バナナです」と力強く応える。
「バナナを使うサラダそうめんもありますし、ハワイアンなめろうの作り方の関係上、めんつゆとも相性は悪くないはずです」
「確かにバナナは何でも合いますのじゃ、あとでわしにも少しだけ味見させて下さいなのですじゃー」
「あ、美味しかったら私も食べて見たいです」
「いいですよ、まずはわたしが味見してみますね」
 見た目もネギトロに近くて香りも良し、どう転んでも正解にしか見えない逸品。
 ユーゴと摩那の期待と好奇心に似た視線が注がれる中、ビスマスはハワイアンなめろうを絡ませたそうめんを、口に運んでいく。
「……もぐもぐ。――ん!」
 シンプルなそうめんに絡み合うなめろうだけでも絶品なのに、後から追い掛けてくる涼しげでフルーティな味わいが、実に絶妙ッ!
 余りの美味しさに、ビスマスの箸も音速に近い勢いで進んでいく――!
 瞬間。ぺろりと平らげてしまう直前で辛うじて箸を止めたビスマスは、ユーゴと摩那に自信に満ちた視線を向けた。
「これはいけますね、皆さんにもお裾分けをしたいのですが、如何です?」
 知的好奇心に満ちた青色の瞳を輝かせながら、ビスマスがにこりと微笑む。
 笑顔が告げる幸せなお裾分け。大食いなユーゴと摩那が断る理由は、何処にもなかった。
「わーい、いただきますなのじゃー」
「ありがとうございます、丁度薬味が欲しかったところです」
 2人が揃って差し出したお椀の上に、ぽんっとハワイアンなめろうが登場!
 その様子を見た他の猟兵たちも、どれどれと変わり種を楽しもうと集まるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィクトル・サリヴァン
いやーナイス蒲焼だったね。
憂いもなくなったし秋の山をのんびり楽しもうか。
…流しそうめん?
暫くやってないなー…うん、行こう。

浴衣に着替えのんびり。できたらユーゴ君(f12064)とご一緒に。
がっつりゆっくり食べるのもいいけどこっちは集中力と正確さ…詫び寂び的なの感じられていいよね。
箸の使い方は慣れてるけれど、流れる素麺のキャッチ中々難しいよねー。
油断してるといきなり来ちゃうし。
ユーゴ君って箸の扱い結構上手な方なのかな、ちょっと気になる。
コックと聞くけど和食はどうなの的な意味で。
もし手こずっても、周りの初秋の景色見てたら慌てても仕方ない気がしてくるかも?
…落ち着いて、それっ!

※アドリブ絡み等お任せ


シリル・アルバ
心洗われるってこういうコトだよね、ネムス!
いやまぁ、一番落ち着くのはネムスの森だけど
風も心地いいし、んー、頑張った甲斐があったな!

あ、ユーゴが浴衣?とかいうの着てる
お面は可愛いし、涼しそうでイイね、似合ってる!

今回さ、鰯の迫力が……群れ怖かった
だから、ゆったり泳ぐ錦鯉とか庭園のまったりした空気とか
マジで癒やされる、うん
あ、鰯の次の竜はね格好良かった!
まぁ一番凄かったのは猟兵の皆さんの食欲だったけども

俺はオブビリオンには食指が全く動かなかったので!
ここで、目一杯食べてこうと思います!

そうめんはね、箸とやらの扱い厳しそーだから
団子とかでユーゴのおすすめあればイイかなって
折角だし、ユーゴも食べなよ!



●初秋の情景に浮かぶ、海の色と森の色
「いやー、あれはナイス蒲焼だったね」
 全ての憂いが綺麗さっぱり無くなった今、浴衣に着替えたヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)は、眼前に広がる優美な初秋の山々に、ゆるりと瞳を細めて。
 紺地に青海波が一面に入った浴衣はヴィクトルに良く似合っており、アクセントの明るめの青が入った帯と足元が、さらに華やかさを醸し出している。
 柔和な風貌に浮かぶ、穏やかで深い海の色合い。
 そして、その少し後方では、大きく背中と島梟の羽根を伸ばす、森の香りが1つ……。
「心洗われるってこういうコトだよね、ネムス!」
 背筋を伸ばして大きく深呼吸した、シリル・アルバ(キマイラの精霊術士・f12861)の肺に、澄み切った森の空気が流れ込んでくる。
 一番落ち着くのは故郷の森だけど、先程のアレやコレを味わった直後は何といいますか、全ての森という森が理想郷のように思えてしまうのは、無理もないだろう……。
「風も心地いいし、んー、頑張った甲斐があったな!」
 ほっと一息ついたシリルに寄り添う精霊も、何処か安堵したように揺れている。
 ふと、流しそうめんの前でウロウロしていた、ユーゴ・メルフィード(シャーマンズゴースト・コック・f12064)を視界の端に捉えたシリルは、腕を大きく振りながら、マイペースな顔馴染みを呼び止めた。
「あ、ユーゴが浴衣? とかいうの着てる!」
「ありがとうございますなのじゃー、照れますのじゃ」
「うんうん、お面は可愛いし、涼しそうでイイね、似合ってる!」
「仕立屋さんがとっても素敵な浴衣と小物を届けて下さった、お陰なのですじゃー」
 感極まったユーゴがくるっと回ってみせると、浴衣に散りばめられた星々が煌めいて。
 ……と、その時だった。
 ずんっとヴィクトルの大きな影が2人に伸び、「やあ」と紳士的に呼びかけたのは。
「できたらご一緒にどうかな?」
「わーい、お誘い感謝なのじゃ、シリルどのも如何かの?」
 2人の様子を穏やかに見守っていたヴィクトルがお椀と箸をひょいっと持ち上げ、ユーゴも嬉しそうにくるくると回ってみせる、けれど。
「箸とやらの扱い、俺には厳しそーだから、団子とかでお薦めがあればイイかなって」
 どうやら、シリルは箸の使い方に、とても自信が無さそう……。
 けれど、ヴィクトルは穏和な笑みを浮かべると「問題ない」と、力強くサムズアップ!
「なるほど、それなら俺がレクスチャーしよう。箸の使い方は慣れているからね」
「おお、助かりますのじゃ、実はわしも箸の使い方は余り得意ではありませんのじゃー」
「え、ユーゴも?」
「はい、なのですじゃー」
 何処か恥ずかしそうにユーゴが小さく頷くと、シリルは青色の瞳を大きく瞬いて。
 先のオブビリオンに全く食が動かなかった青年にとって、ここで本物の初秋の幸を目一杯食べたいという思いは、間違いなく本音だったから。
「なら、決まりだね」
 3人は流しそうめんの前に立つと「まずはお手本に」と、ヴィクトルが半歩前にでる。
「流しそうめんは暫くやってなかったけれど……うん、問題なさそうだ」
 座ってがっつりゆっくり食べるのも趣があるけれど、流しそうめんの場合は集中力と正確さ…何処か詫び寂び的なものを感じると、ヴィクトルは穏やかに微笑む。
「なるべく箸を寝かせて引っ掛けるようにしたら、あとは落ち着いて、それっ!」
 箸の持ち方を問わない方法を用いて、見事そうめんを掬い上げたヴィクトルに、ユーゴとシリルは同時にパチパチと拍手!
 この方法なら自分たちにも出来るかもしれないと、早速2人もチャレンジ!
「あ、少しだけ取れた! ユーゴはどう?」
 初心者でも取りやすいように、長めのそうめんを流しているのだろう。
 コツを掴めば箸を水面に軽く添えるだけで、するりとシリルの箸に絡みついてくる。
 弾む心を抑えながら顔をあげると、柔和な笑みを浮かべたヴィクトルと、慌てふためくユーゴの姿が飛び込んできた。
「ハッ! 景色に見惚れてたら、全部取り逃してしまいましたのじゃー!」
「中々難しいよねー。油断してるといきなり来ちゃうし」 
 まごまごするユーゴに、ヴィクトルは綺麗な景色に見惚れてしまうのはとても良くわかるからと、温厚な笑みでフォローしていて。
 そしてその時、ふわりと疑問が浮かび上がった。
「コックと聞くけど、和食を作る時はどうしてるのかな?」
「わしの手に合った菜箸を使ってますのじゃが、難しい場合はトングを使いますのじゃ」
 彼が言うトングとは、洋食などでパスタやパンを挟んで掴むためのもの。
 ヴィクトルは「なるほど」と頷き、シリルは「じゃあ…」と茶屋の方へと姿を消す。
 余り間を置かず、弾む足取りで戻ってきた、青年の手にあったのは――。
「折角だし、ユーゴもこれ食べなよ!」
「おお、これは――!!」
 シリルがユーゴの顔前に掲げてみせたのは、みたらし団子が積み重なったお盆。
 ぱちぱちと瞳を瞬いたのも一瞬。ユーゴはみたらし団子の串を次々と指の間に挟むと、そのまま器用にお椀を持ってみせて!?
「手元がいっぱいと思ったら大間違いなのじゃー、全部食べるのじゃー!」
「うわぁ、ちょっと欲張り過ぎない?」
 食欲に対しては凄まじい腹黒さと器用さを発揮する、ユーゴ。
 腹を抱えて吹き出しそうになったシリルの青色の瞳が、ふと日本庭園の方に止まる。
 青々と煌めく池の中でゆるりと泳ぐ錦鯉たちが、ここからでも良く見えたからだ。
「今回さ、鰯の迫力が……群れが怖かった」
 だからこそ、ゆったり泳ぐ錦鯉や、庭園の穏やかな空気に癒されているんだ、と。
 そう神妙に瞳を細めたのも一瞬、シリルは慌てて手をバタバタさせた。
「あ、鰯の次の竜はね格好良かった! まぁ一番凄かったのは、猟兵の皆さんの食欲だったけども」
 シリルが大きく肩を竦めると、ヴィクトルも小さく口元を緩め、ユーゴは羨ましそうにつぶらな瞳をキラキラと瞬かせて。
「それは間違いはないね」
「わしも、イワシさんと青ウナギさんを、いっぱい食べたかったのじゃー!」
 さらさらと流れる心地よい清流の音に、穏やかな笑い声が響き、重なっていく。
 初秋の風も踊るように庭園と山々を駆け抜け、さらなる彩りを添えていくだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

逢坂・理彦
絡新婦ちゃん(f01494)と
俺も新しい浴衣(イェーガーカード参照)を仕立てたしそれを着て行こうか。
そうだね…鰯も龍も美味しくいただかれちゃったし。さっきまでの戦闘の衝撃が強すぎてなんていうかまだ不思議な感じ。
素麺て普通に食べられる物だったよね(混乱中)
茶屋に日本庭園…日本庭園の方に行ってみようかな。ちょっと鯉を確認しておきたい。

錦鯉。綺麗だねー。
…お前さんたちは食べられるんじゃないよ…


杼糸・絡新婦
逢坂・理彦(f01492)と。
せっかくやし浴衣(イェーガーカード参照) で
流れてくる素麺捕まえて、ツルツルしとる。
逢坂の浴衣は貫禄?あってええねえ。

・・・あの竜より流しそうめんの台の方が長いな。
ええ景色で素麺楽しみに来たはずやのに、
さっきまでの戦闘のインパクトでかすぎやろ。
まあ、祭り後を楽しむのも一興か。
後で茶屋か日本庭園の方でも行く?
普通の鯉を観るのもええかもね。
ハハ、流石に池の鯉まで食わへんやろ・・・
てか喰ったらあかんやろ。



●初秋の幻影と水面の彩り
 緑色から黄金色へと移り変わりゆく、涼やかな初秋の景色。
 清流のせせらぎと彩り豊かな日本庭園に囲まれて味わう、流しそうめん。
 それを眼前にして紡ぐ言の葉には、時にはカオスティックな響きが混じることもある。
「……あの竜より、流しそうめんの台の方が長いな」
「そうだね…鰯も龍も美味しくいただかれちゃったけどね」
 素晴らしい景色の中で、ゆっくり流しそうめんを楽しむはずだったのに……。
 杼糸・絡新婦(繰るモノ・f01494)のちっとも心穏やかでない発言に、逢坂・理彦(守護者たる狐・f01492)もこくりと小さく頷き、何処か遠い目を浮かべてしまう。
 何時もの理彦だったら、さらりと受け流すことが出来たかもしれないけれど、つい先程までが衝撃的過ぎると言いますか、インパクトでかすぎるとも言いますか……。
 シリアスブレイクだけでなく、美麗な情景もブレイクする魚類依頼、恐るべし――!
「絡新婦ちゃん、気を取り直して素麺食べようか?」
「まあ、祭り後を楽しむのも一興か」
 けれど、理彦と絡新婦は揃ってベテランの領域に達している猟兵。
 すぐに気持ちを切り替えた2人は流しそうめんの前に立つと、さらさらと流れてくる絹糸のようなそうめんに、自然と口元を緩めていく。
 20メートル近くある流しそうめんの台は、早くも万年欠食猟兵たちに、ぐるっと取り囲まれていたけれど、竹筒の途中からもそうめんが出てくる仕組みになっているため、上流側に殺到する気配は、今のところは見受けられない。
 今なら、美しい景色と共に、ゆるりとそうめんを味わうことが出来そうだ。
「この麺、ツルツルしとる」
 絡新婦の浴衣は、いつもの白地の着物とは一転し、黒に近い落ち着いた紺色。
 アクセントカラーの赤色を、帯と下駄の鼻緒と半襟に入れて、何処か華のある雰囲気に纏めた絡新婦は、その居住まいに相応しい美しい所作で、そうめんを口に運んでいく。
 一見すると、絹糸のようなそうめんは、ひ弱な感じにも見える。
 けれど、その喉越しと食感は舌の上で存在感を醸し出しており、程よくめんつゆと絡み合って胃袋の方へしっかりリードしていく感覚は、まさに内助の功。
 すぐに2杯目を求めようと、絡新婦が流しそうめんに箸を伸ばした、その時だった。
「素麺て普通に食べられる物だったよね」
 理彦に至っては1杯目も手付かずのまま、まだまだ混乱している様子♪
 清流から流しそうめんを難なく掬うものの、お椀の中に納めたそうめんを口に運ぼうとした瞬間、先程のイワシやら龍やらの幻影が次々と重なってしまって硬直。
 ぴたりと箸を止めてしまった理彦に絡新婦はクスクスと笑みを零し、対照的な白地の浴衣を真っ直ぐ見つめた。
「逢坂の浴衣は貫禄? あってええねえ」
「んー、新しく仕立ててみたから、そう言われるとおじさん嬉しいねぇ」
 理彦の浴衣は、白地に墨色の竹の模様が巧みに描かれた、実にシンプルなもの。
 けれど、アクセントカラーとして帯や下駄、小物に黒色を取り入れ、黒の着流しを肩に羽織り、朱い刀身の妖刀を帯に挟んださまは、へらりとしていて隙がない理彦の貫禄を、更に色濃くしているようだと絡新婦は思う。
「後で茶屋か日本庭園の方でも行く?」
 折角の機会。
 浴衣姿でゆっくり散策してみようかと続けた絡新婦に、理彦は一瞬だけ思案に耽る。
 そしてすぐに顔をあげ、何時もと変わらぬ掴み所のない笑みを、へらりと返した。
「それなら日本庭園に行ってみたいかな。……ちょっと鯉を確認しておきたい」
「普通の鯉を観るのもええかもね」
 ――ん? ちょっと待て。
 一瞬、穏やかに頷きかけた絡新婦の思考がぴたりと停止し、緊張に似たものが奔る。
 先程の様子を見る限り、理彦は先の戦いの混乱から、抜け切れていない様子……。
 ハッ、まさか、鯉を食べようとしているのではッ――!
「いやいや、おじさんそこまで混乱していないよー」
 絡新婦の些細な変化に勘付いたのか理彦は苦笑し、柔和な笑みを浮かべてみせて。
 ふと、金色の眼差しが日本庭園の方に止まる。
 視界一面に青々と煌めく池が広がり、その中で優雅に泳ぐ錦鯉たちの彩りが、ここからでも良く見えた。
「錦鯉。綺麗だねー」
 そのまま少しだけ目尻を緩めた理彦は、不意にぼそっと剣呑に呟く。
「…お前さんたちは食べられるんじゃないよ…」
 一瞬だけ、周りをちらりとみる。
 参加者の9割が流しそうめんの方に集中しており、その心配はなさそうだけど……。
「ハハ、流石に池の鯉まで食わへんやろ……てか喰ったらあかんやろ」
 軽く笑みを浮かべた絡新婦も、先程のアレやコレやを目の当たりにしたのもあり、それが冗談だと思えなかったのは、同じのようでして……。
 ――バシャッ!
 水面を低く飛ぶトンボ目掛けて、1匹の大きな錦鯉が水面から勢い良く跳ね上がる。
 食欲の秋は、まだまだ始まったばかり♪
 最後は神妙な表情を見せた絡新婦に、理彦も苦笑で返すのが精一杯だったという。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

太宰・寿
浴衣でお邪魔します。
お茶と和菓子をいただきます。

庭園の彩りに目を細めつつ、よろしければユーゴ(f12064)さんもご一緒にいかがですか?と声をかけます。

こういう風景とは和菓子が合いますね。
和菓子自体も季節を感じられて好きです。
そういえば、ユーゴさんってお料理が上手って聞きました!もっと寒くなったらシチューが恋しい季節がきますね。
お菓子はどんなもの作るのが好きですか?

私にも作れるものがあるかなぁ、と興味津々で話を聞きます。
普段は風景などをスケッチしに行くところですが、今日は食欲の秋みたいです。


アルファ・オメガ
「がう、惜しい鰯と鰻を亡くした……」
とっても美味しかった(味とリアクションの二つの意味で)のに……
でも生きていくということはお腹が減ることなんだ!
というわけで、ユーゴご飯食べよう?(まだ食べる気

あんまりがつがつ食べる気分じゃないので縁側に座ってお茶と和菓子とをいただこうよ
といっても縁側に座るとボクは身長が低すぎて足がつかないけども!
「はー、つかれたー」
ユーゴもいつも予知お疲れ様
今回はなんか色々弾けてたのでユーゴの頭の中も大変だったのでは?(汗)
こういう時はやっぱり甘いものだよねー
練り切りとかお饅頭とか
餡子が優しいとほっとするよ
ユーゴはどう?
あったかいお茶を二人で揃ってずずーと飲んでみたくなるね



●初秋の温もりと季節の彩り
「ユーゴさんも、ご一緒にいかがですか?」
 和気藹々と賑わう流しそうめんから少し離れたところでも、ゆるりと寛ぐ者は多い。
 茶屋の縁側に腰掛けて秋色に移り変わりゆく庭園の彩りに瞳を細めていた、太宰・寿(パステルペインター・f18704)は、指の間に団子の串を幾つも挟み、そうめんが入ったお椀を両手で抱えた、ユーゴ・メルフィード(シャーマンズゴースト・コック・f12064)に気付くと「ここなら空いてますよ」と、小さく手招く。
 寿の浴衣は淡く薄い黄色地に、藤色の花がふわり浮かぶ、可愛らしいパステル調。
 アップで纏めた髪に飾られた煌びやかな花飾りも、初秋の風を受けて気持ち良さそうに揺れている。
「ありがとうございますなのじゃ、丁度座りたいと思っておりましたのじゃー」
 ぺこりと下げた頭を上げたユーゴは、寿の両手に添えられていた温かなお茶の椀をじーっと見つめる。
 この時期は、冷たい麦茶から温かいお茶が恋しくなる季節。
 ユーゴはカランコロンと下駄の心地よい音を奏でると、ドスンと縁側に腰を下ろした。
「寿どのの浴衣は、フルーツケーキみたいで素敵なのですじゃー」
「ふふふ、ありがとうございます」
 語彙力だけでなく、女性への褒め言葉も残念なユーゴに対し、寿は人当たりのいい笑みで柔らかく返すと、涼やかにお茶を口元に運んでいく。
 温かいお茶が五臓六腑にほんのりと広がり、身体の芯と内側をゆっくり温めていく。
 その温もりを感じつつ、寿は季節の移り変わりを堪能しようとした、その時だった。
「はー、つかれたー」
 2人のすぐ側で零れ落ちたのは、アルファ・オメガ(もふもふペット・f03963)のちょっとだけ重めの溜息でして……。
 声がした方向に寿が視線を動かすと、ユーゴのずんぐりむっくりな影に隠れるように縁側にちょんっと腰を下ろしたアルファが、宙ぶらりんとなった足を持て余すようにして、ブラブラと揺らしている。
「がう、惜しい鰯と鰻を亡くした……」
 食いしん坊なアルファなのに、どうやら珍しく食が進まない様子。
 お茶受けに添えられていたウサギ型の練り切りを竹楊枝でツンツンと突きながら、アルファはもう一度、溜息に似た言の葉を漏らす。
 寿とユーゴは無言で顔を見合わせると、小さくコクリと頷き、ほぼ同時に口を開いた。
「たしかに、惜しい方々をなくされましたね」
 ええ、味とリアクションの2つの意味合いで。
「なんだか色々凄かったみたいですじゃの、わしも同伴したかったのですじゃ!」
 そうですね、味とリアクションの2つの意味合いで!
「がう、でも生きていくということは、お腹が減ることなんだ!」
 神妙な流れっぽいですけど、とても美味しかったのに、何で消えてしまったんだっ!
 ――と、いうことですね♪
 食欲に正直なアルファたちにとってはまさに死活問題、シリアスになるのも頷ける。
 ……うん。たぶん、きっと!
「というわけで、ユーゴ食べよう?」
「はいなのですじゃー、いっぱい食べますのじゃー」
 まだまだ食べる気満々のアルファに、ユーゴも嬉しそうに頷いてみせて。
 揃ってお茶をずずっと飲み干していく2人の動きは、まるで孫とお爺ちゃんのよう♪
 ぷはーっと一息ついてリラックスしたアルファに、寿は安堵に似た笑みを小さく零し、再び指先を温めていたお茶に視線を戻す。
 お茶受けとして添えられていた一口サイズの和菓子のイメージは、お月見。
 丸型、兎型、お団子型などなど……。
 練り切り1つ1つにも職人の拘りと季節の彩りが込められ、風流が感じられて。
 ――もっともっと寒くなったら、シチューが恋しい季節がやって来る。
 そう思った瞬間。寿の視線は得意料理がシチューだというユーゴを自然と見上げており、唇からも滑るように言葉が溢れ出した。
「ユーゴさんってお料理が上手って聞きましたけど、お菓子はどんなもの作るのが好きですか?」
 もしかしたら、自分にも作れるものがあるかもしれない。
 そう、興味津々で訪ねた寿にユーゴは「たくさんありますのじゃ!」と嬉々と告げ、脳内に溢れたレシピを整頓するべく、一瞬だけ思案にふける。
「夏の間は材料が痛みやすいので、焼き菓子を作ることが多いのですじゃ。逆に寒くなるとバターを溶かすのがとっても大変なので、ケーキやチョコ菓子を作ることが多いかもしれませんのう。今はどっちも作りやすいので、沢山作ってしまいますのじゃー」
「まさに食欲の秋、ですね!」
「がぅ、こういう時はやっぱり甘いものだよねー」
 相槌を打ちながら寿が手にしたのは、普段は風景などを描くスケッチブック。
 その上にすらすらと描かれるマフィンやケーキに、アルファは焦茶色の瞳をぱちくりと瞬き、感極まったユーゴも早口でレシピを告げていく。
 もうすぐハローウィン。自然とレシピはクッキーやマフィンに偏っていくものの、どれも初心者が作りやすいラインナップだ。
「練り切りとかお饅頭とか、餡子が優しいお菓子もほっとするよ」
 スケッチブックに次々と浮かび上がるお菓子とレシピは、まるで魔法のよう。
 アルファは先程まで食が進まなかったウサギ型の練り切りに視線を止めると、一口。
 ぱくん……もぐもぐ。 
 一拍置いて。口の中にふわっと広がる優しさに、アルファの瞳が大きく見開いた。
「がう、美味しい! ユーゴはどう?」
「わしも和菓子は大好きなのですじゃ! 和菓子はコツがいりますので専ら食べ専なのじゃが、いつか和菓子も作れるコックさんになりたいのですじゃー」
「ユーゴ、いつも予知お疲れ様」
「アルファどのも、お疲れ様なのですじゃー」
 アルファの言葉に自身への労いを強く感じたユーゴは笑みを返すと、不意にププッと嬉しそうに両手で口元を抑えてみせて。
「こうやって同業者――グリモア猟兵同士でお話するのも、最高なのですじゃー!」
 寿とアルファが「あっ」と声をあげたのは、ほぼ同時。
 温かいお茶と季節を彩る和菓子をお供に、3人のグリモア猟兵は時間を惜しむように。
 そして、とても楽しそうに、談話の華を咲かせていったという――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

コノハ・ライゼ
たぬちゃん(f03797)と
ユーゴちゃん(f12064)誘いに

浴衣に着替え、両手ぶんぶん振り返し
大きな流しそうめんの設備に目を輝かせる
オレ、ホントに流れるヤツ初めて!
二人は?
気付けば既に食べる準備万端花より団子
いざ箸捌きも滑らかに

そうめんと言えばさあ、鯖そうめんっての食べた事あるケド
アレ鰯でやっても美味しそうよネ(もぐ)
トッピングに鰻ってのもよく見るし(もぐー)
持って来れば良かっt……冗談ヨ
そういえばお腹膨れてきたら気をつけた方がイイわよ、ユーゴちゃん
狸がデザートにマンゴー色の美味しそうなの狙って……冗談ヨ
――冗談よね?

あ、おねーサンこっちに和菓子くださぁい


火狸・さつま
コノf03130と

わーわー!ユーゴ君f12064ー!
おてて振り振り振りたくり
ゆかた!凄く似合ってる、ね!(おいしそ!)
二人共、風流。すてきすてき!!

流しそうめん!びゅっ!ってきたやつを、びゃ!!って取るんだ、よ!
器と箸構え準備万端!ばっちこい!
早業・見切りに野生の勘を駆使して
びゅっ!てきたやつをビャ!!もぐ!!!!!
…おいし!ね!!(ぱぁあ)
ん。消えて無ければ、良いトッピングになったのに、ね
お素麺、椎茸のふくめ煮乗せても美味し、よね

お腹満たされてきた頃合いから
じーぃ…とユーゴ君見つめる(良い色合い!)
…ん?うん(甘そう!!)……うん(マンゴ…蜂蜜…)
た、たべない、よ???

和菓子!俺にもー!!!



●初秋の彩りよりも団子?
「わーわー! ユーゴ君も、ゆかた! 凄く似合ってる、ね!」
 喉まで出掛けた「おいしそ!」という言葉をぐっと飲み込んだ火狸・さつま(タヌキツネ・f03797)は、ブンブンと手を大きく振りまくって、ユーゴ・メルフィード(シャーマンズゴースト・コック・f12064)を呼び止めていて。
「ありがとうございますなのじゃー、浴衣はとっても涼しいのですじゃー」
 ユーゴもまたお手手をブンブンと振り返すと、カランコロンと下駄の音を奏でながら駆け寄り、キョロキョロと周囲を見回す。
「コノハどのは一緒でありませんのかの?」
「コノもゆかた、着替えてる! もうすぐ、出てくる! はず!」
 さつまが茶屋に視線を動かしたのとほぼ同時に、浴衣に着替えたコノハ・ライゼ(空々・f03130)が、暖簾の奥からふわりと姿を見せて。
 紺色と紫色が優美に織り成された浴衣は初秋の風景に溶け込み、浴衣と同じ色合いのキャスケット帽が、コノハのセンスの良さを色濃く映し、醸し出している。
 初秋の風が柔らかに頬を撫でる。
 2人が並んでいたことにコノハは一瞬驚くものの、すぐに薄氷の瞳をゆるりと細めた。
「待たせたわネ、さっそく行きましょ」
「とっても素敵な浴衣なのですじゃー、お花がふわっと咲いた感じなのですじゃー」
「ユーゴ君も、コノも、風流。すてきすてき!!」
 語彙力はアレでも、パチパチと手を叩くユーゴは、とっても嬉しそう。
 頷くさつまの耳もぴんっと立ち、ふさふさ尻尾も、ブンブンと大きく揺れていて。
 そんな2人に小さく礼を述べたコノハも、茶屋に隣接された20メートル級の流しそうめんの設備を見た瞬間、興奮を抑え切れない様子で、瞬くように瞳を輝かせた。
「オレ、ホントに流れるヤツ初めて! 二人は?」
 思わず手をブンブンと振り返すコノハに、2人も習うように両手を振ってみせて。
「わしも初めてなのですじゃ、嬉しくて何度もくるくるしますのじゃー!」
「コノ、びゅっ! ってきたやつを、びゃ!! って取るんだ、よ!」
 ユーゴとさつまが掲げた手には、既にめんつゆが入ったお椀と箸がスタンバイ中♪
 気付けば3人とも食べる準備は万端、花より団子とはまさにこのことか。
「よーし、ばっちこい!」
 上流から、ひらり泳ぐ白線の一筋。
 それが数メートルに迫るや否や、唯一の経験者だと思われるさつまの箸が動く。
 水流に奔る箸先。
 その瞬間、弾くように箸を大きく引くと猛スピードで打ち上げられたそうめんが、お椀の中にどさっと積み重なっていく。
「…おいし! ね!!」
 そのままするっとそうめんを口の中に運んださつまの表情が、ぱぁああと輝いて。
 見た目は繊細だけど、その一筋一筋に小麦の味がぎゅっと詰まっており、力強いコシとめんつゆの清涼感が舌の上で絡み合いながら、すっと喉の奥へと消えていった。
「たぬちゃん、少しは手加減してよネ!」
「なのですじゃ!」
 3人揃って万年欠食猟兵。もはや、加減なんて期待できなく。
 最初は間合いの取り方に少し戸惑ったものの、水面を奔るコノハの箸捌きは滑らかなものに変わり、ユーゴも器用に箸にそうめんを絡ませて、お椀へと運んでいく。
 慣れた頃には、3人のお椀はわんこそばのごとくリズミカルにそうめんが盛られ、思わず吹き出しそうになったコノハは「そう言えば」と、一瞬だけ箸を止めた。
「そうめんと言えばさあ、鯖そうめんっての食べた事あるケド、アレ鰯でやっても美味しそうよネ」
「ん。消えて無ければ、良いトッピングになったのに、ね」
 周囲を見回すと、そうめんの上に持参したなめろうを乗せて、味わう猟兵もいて。
 再び口をモグモグと動かしたコノハに、さつまはコクコクと相槌を打つ。
 ならば、自分の場合は……。自身のお椀へ視線を戻した時、自然と口元が緩んだ。
「お素麺、椎茸のふくめ煮乗せても美味し、よね」
「とってもわかりますのじゃ、醤油ベースの具材は鉄板だと思いますのじゃー」
「そうネ、トッピングに鰻ってのもよく見るし、持って来れば良かっt――」
「持ってきちゃ、ダメ!」「なのですじゃっ!」
「えー、……冗談ヨ、冗談」
 さつまとユーゴに揃ってダメ出しされたコノハは、すっと視線を逸らしてモグモグ。
 ……本当に、冗談なのだろうか?
「コノ、本当に本当?」
 ちょっとだけ怪しいコノハの背中に、さつまはじーぃと目を据わらせたまま。
 ふと、視界の端に陽光を受けて琥珀色に煌めくユーゴが映り、そのままぴたりと視線を止めた。
(「甘そう!! マンゴー……蜂蜜!!」)
 すぐ目の前にあるのは、とっても美味しそうな色合いの、常夏マンゴー色♪
 美味しいそうめんでお腹を満たしたあとは……やっぱり、デザートですよねっ!
「さつまどの、どうしましたのじゃ? わしの顔に何か付いておりますのじゃ?」
「…ん? うん……うん??」
 じーっと見つめたまま動かぬさつまに、ユーゴがまごまごし出した、その時。
 箸を止めたコノハがすうっと顔を上げ、薄氷色の双眸を怪しく細めたのは――。
「気をつけた方がイイわよ、ユーゴちゃん。狸がデザートにマンゴー色の美味しそうなの狙って――」
「――なんですとおおお!!!」
 このマンゴーコック、色々思う所がありすぎるのだろう。
 琥珀色のたてがみに大量の冷や汗を浮かべ、脊髄反射の勢いで振り向く、と……。
「じーぃ……」
 視界に捉えたさつまは、一見するとのんびりマイペースな省エネモード。
 けれど、その青色の瞳は何と言いますか、食の求道者的な意味で、キラキラと眩しいくらいに輝きまくっている、ような?
「わしは食料じゃありませんのじゃ! でも食べるのでしたら、叩き意外でよろしくおねがいしますのじゃー!!」
「た、たべない、よ???」
 まごまごとパニックに陥るユーゴに、ハッと我に返ったさつまは、ブンブンと首を横に振って、全否定!
 カオスがコンニチワしそうな雰囲気5秒前を打破すべく、コノハが口を開いた。
「ユーゴちゃん、冗談ヨ! ね、たぬちゃん?」
 ――うん、冗談よね?
 と、コノハが相方の顔を伺うと、さつまは変わらぬ眼差しでユーゴを見つめている。
 ……不味い。このままでは、本当に蜂蜜をぶっかけられて、齧られてしまうッ!!
「あ、おねーサン、こっちに和菓子くださぁい」
 ――ヤバいなら、脱線して切り替えてしまえ、ホトトギス?
 無駄に両手を大きく振って店員を呼び止めるコノハに、さつまとユーゴも「あっ!」と、同時に声を揃えて。
「和菓子! 俺にもー!!!」
「わしにも、みたらし団子と練り切りと、饅頭をくださいなのじゃー!」
 初秋の彩りよりも、食欲の秋。
 3人の旬の食材への追求は、まだまだ始まったばかり――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鈍・小太刀
【かんさつにっき】

流し素麺ってあれだよね
如何に素早く麺を取るかを競う競技で、色付きの麺が高得点!
祭莉んも競走したいって?
しょうがないなぁ、その勝負受けて立つわ!(お箸を構え、にんまり

動体【視力】で流れる麺の軌道を【見切り】
美味しそうな獲物(色付き)に狙いを定めたら
【スナイパー】の様に素早く箸を入れ、堰き止めるように掬……ふわ!?
横から飛んできた麺を顔面キャッチ
まーつーりーんー?(笑顔で睨み

色々ありつつも素麺を口に運べば
口に広がる小麦の香りとつゆの旨み
そしてつるつるとしたのど越しが堪らない
うん、美味しいね♪

ふふふ、杏も頑張れー!
ユーゴも勝負する?
ほらほらアキも、早く食べないと全部食べちゃうよー♪


木元・祭莉
【かんさつにっき】ー!

待ってました、流し素麺ー♪
なんか、狩猟本能が呼び覚まされるよね!
(獣の目で素麺を追う少年)

あ、コダちゃん。お箸使うの得意?
じゃあ、どっちがいっぱい捕まえられるか。競争しないー?(にぱ)

ルール。
自分が流れるのは……ダメ?(きゅーん)
色付きのは、ピンクが10点、緑が5点ね!

よーい。ドン!
慌てて箸動かすと、ダメなんだよね!
どっしり構えて……堰を作って……そぉれ!(掬い)
あっ。(勢いつきすぎて飛んだー!?)

……さ、食べよ食べよー♪(なにもなかったかお)
素麺つゆは、鰯出汁? 鰻!?
おネギやワサビはつんとするから……あ、錦糸卵と胡瓜とハムー♪

ハイ、みんなの分もー。
へへー。美味しい?


木元・杏
【かんさつにっき】&アキ(f17343)

流しそうめん、初めてだったかな
おそうめん流れてる……
鰯は、流れてない?(少し残念そうに)
(お椀とお箸持って)
ん、いただく(こくり)

皆は勝負ね?わたしはひとりで集中
ここに来る前に調べてきた
流れるそうめんを頂く極意

お箸は、こう
(ちゃきっと30度位傾け)
腕の角度は……(くっと上げて)これ位で
少し前のめりになって、お椀を持つ腕は流れに平行になるように、前へ

……(流れそうめんに精神集中)

こうっ!
(ばしゅっとお箸を流れるそうめんへ)
(一本、取れた)

………………………………
…ん、もう一度

うん、取れてる(※一本)
アキの呼び掛けに無意識に応え
また真剣におそうめんと向き合う


駒鳥・了
【かんさつにっき】に合流!

流しそうめん!
うん、流していいのは麺だけだよ
双子の身長に合わせて下方の低いあたりで食べよっか

鈍ちゃんと祭莉くんは勝負かー
一人3~5分の持ち時間で行く?
スマホでストップウォッチ準備!
鈍ちゃんの気合いがハンパなーい
祭莉くんのは何てゆーか…たーまやーってカンジ?
コレは決して逃さない鈍ちゃんの闘志の勝ちかな?(めっちゃ笑い転げ

杏ちゃんは取れて…ないな…
あっユーゴさーん、薬味のある場所しらなーい?
あとつゆ入れも追加で!
食べられてない子用に流れてないとこから麺も貰ってこよー

ってオレちゃんも全然食べてなくない?
よーし普通に流れてるトコから取るよ!
質(色)より量だ!



●初秋の狩猟本能、告げるは闘いの始まり
「待ってました、流し素麺ー♪」
 清流の中を泳ぐそうめんは、時に狩猟本能を呼び覚ますと言うとか、言わないとか。
 眼前を流れるそうめんを、じーっと視線で追い掛ける【かんさつにっき】の木元・祭莉(まっきーにはふわ耳と尻尾があった・f16554)の瞳は、まるで獣のよう……。
「おそうめん流れてる……鰯は、流れてない?」
 木元・杏(料理(物理)の達人・f16565)にとっては、初めての流しそうめん。
 ここに来るまで予習をこなし、静かに闘志の炎を燃やしていた杏は、少しだけ残念そうだった、けれど。
「うーん、普通は……流れてないかな……」
 そう申し訳なさそうに応えつつ、自分よりも背が低い双子に合わせて下流の方に位置を取った駒鳥・了(I, said the Rook・f17343)――アキに、杏もまたすぐに気を取り直すと、めんつゆが入ったお椀と箸を手にして、こくりと頷く。
「ん、いただく」
 さらさらと流れるそうめんは、絹糸のよう……。
 ここに来る前に調べてきた極意を反芻しようと杏が向日葵色の瞳を細め、少しだけ後方に下がって見守っていた鈍・小太刀(ある雨の日の猟兵・f12224)も「皆、準備万端みたいね」と、自信に満ちた笑みで半歩前に出る。
「流し素麺ってあれだよね、如何に素早く麺を取るかを競う競技で、色付きの麺が高得点だったけ?」
 さっと流れゆくそうめんの中に時折混じる、ピンク色と抹茶色。
 そして、宣戦布告にも似た言葉。
 シュッシュッと宙で箸を動かす小太刀の視線が、祭莉の銀色の視線と絡み合う。
「あ、コダちゃん。お箸使うの得意?」
 余裕に満ちた笑みを返す祭莉に、負けず嫌いの小太刀の闘志がメラメラと燃え上がったのは、言うまでもなく。
「おっ、鈍ちゃんと祭莉くんは勝負かー、1人3~5分の持ち時間で行く?」
 対岸まであちちっと燃えてしまうような激しい闘争心に、アキはスマホのストップウォッチ機能をオン。そして、親の仇を見るが如く流しそうめんを鋭く見据える杏にも、念のため声を掛けてみる、けれど……。
「杏ちゃんは?」
「ん、わたしはひとりで、集中してみる」
 どうやら、杏は1人孤高という名の修羅の道を選んだ様子……。
 杏子の双子の兄でもある祭莉は「そうかそうか」と神妙に頷き、再び小太刀に向けてめんつゆが入ったお椀を、ビシっと突きつけた。
「じゃあ、どっちがいっぱい捕まえられるか。競争だー!」
「しょうがないなぁ、その勝負受けて立つわ!」
 どちらも仕方がないなあという素振りですが、余裕の笑みでにぱっと笑う祭莉と、隙なく箸を構えてにんまり微笑む小太刀は、既に龍虎の如く激しい火花を散らしている。
 ふと、雨に濡れた子犬のごとく、祭莉は上目遣いできゅーんと、アキを見つめた。
「自分が流れるのは……ダメ?」
「うん、流していいのは麺だけだよ」
 旅団で流しそうめんをする時は気をつけよう、そう心に決めたアキでした♪

●初秋のそうめんと勝負の秋
「改めてルールだけど、色付きのは、ピンクが10点、緑が5点ね!」
 ――よーい。ドン!
 祭莉の合図と同時に、そうめんもまたタイミング良く流れてくる。
 けれど、両者揃って1つめと2つめに流れてくるそうめんに、手を付ける様子はなく。
(「まずは、しっかり動きを観察して――」)
 小太刀は紫色の瞳を射抜くように細め、まずは然りとそうめんの軌道を見極める。
(「慌てて箸動かすと、ダメなんだよね!」)
 同じ考え方の祭莉も、どっしり構えるように腰を落とし、じっと箸を構えていて。
 そのまま2人とも、3つめ4つめもやり過ごす。
 5つめに流れてくるそうめんの中に、一筋のピンク色がキラリと煌めいた。
「それっ!」「……そぉれ!」
 狩人の如く狙い定めた小太刀と祭莉が水面を刺すように箸を入れたのは、ほぼ同時。
 その動きは僅差。最初に制したのは――小太刀だ。
「すごい! 鈍ちゃんの気合いがハンパなーい!」
 アキが緑色の瞳を大きく瞬く中。
 小太刀が間近に迫るピンク色のそうめんを、堰き止めるように掬い上げた時だった。
 横からべちょりと飛んで来た何かが、彼女の顔面にヒットしたのは――。
「あっ」
 勢い余って飛んで来たのは、なんとそうめん!?
 最初の競り合いで弾かれた祭莉の箸先が起動を逸れ、そのすぐ直後に流れてきたそうめんを勢い良く突っ込み掬い上げた結果、アイキャンフライしたそうめんが顔面に着地してしまった、そんなところですね。
「……さ、食べよ食べよー♪」
 口をぽかーんと開けたまま、祭莉は何事もなかったかのように、くるりと踵を返す。
 けれど、そうは問屋が卸さないというのが、人生というものであーる。
「まーつーりーんー?」
 ずるりと小太刀の顔を滑ったそうめんが、ぽちゃりとお椀の中に落ちていく。
 現れたにっこり笑顔で般若の如く睨みつけるさまは、オブビリオンよりも怖い……!
「何てゆーか……たーまやーって、カンジ?!」
 辛うじて笑いを押し殺していたアキも、小太刀の箸先にくるんと絡むピンク色の一筋を見るや否や、堰が切れたようにゲラゲラと笑い転げてしまう!
 ――まさに執念!
 転んでも決して勝利は逃さないという、小太刀の闘争心と粘り勝ちだった。
「お箸は、こう」
 そんな面白可笑しな空気の中、杏は1人流しそうめんの極意を追求していて。
 すっと持ち上げた箸を傾けた杏は、腕の角度も箸に合わせて念入りに調整を入れる。
「……」
 少し前のめりになり、お椀を持つ腕が水の流れに平行となるよう、杏は半歩前へ。
 流しそうめんに五感を集中させると、周囲の音が、光が、すっと消えていく……。
 沈黙に似た世界。
 孤独に似た深淵に達した杏の箸が、瞬時に動いた――!
「こうっ!」
 ――ばしゅっ!
 水流に差した箸を素早く引くと、びよーんと箸先に絡んでいたのは、1本のそうめん。
 杏の周りを、重すぎる沈黙が支配したのは、言うまでもなく……。
「…ん、もう一度」
 気を取り直して、テイク2……も、やっぱり1本だけ。
「うーん、杏ちゃんは取れて…ないな…」
「うん、取れてる」
 様子を見に来たアキに杏はほぼ無意識にコクンと頷くと、再び真剣な眼差しを流しそうめんに向けて。
「ふふふ、杏も頑張れー!」
 色々ハプニングはあったものの無事に勝利を手にした小太刀は、その余韻に浸りつつ、そうめんを口元に運んでいく。
「うん、美味しいね♪」
 舌の上で広がる小麦の香りと、めんつゆの旨味を堪能するように、モグモグ。
 見た目に反してコシが効いたそうめんをしっかり咀嚼すると、最後までつるつるとした喉越しを楽しむように、ごくんと飲み込んだ。
「素麺つゆは、鰯出汁? 鰻!?」
 上品な醤油に香ばしさが混じった食感は、魚を使っているのは間違いない、けど。
 お椀に入っためんつゆをしげしげと観察する祭莉に、何処から現れたのか、ユーゴ・メルフィード(シャーマンズゴースト・コック・f12064)がひょいっと顔を覗かせた。
「どうやら、カツオだしなのですじゃー。定番でとっても美味しいのですじゃー」
 嬉しくなると回りたくなるのか、くるくると縦回転するユーゴに、アキが「あっ」と、手を大きく振って、顔馴染みを呼び止める。
「あっ、ユーゴさーん、薬味のある場所しらなーい? あとつゆ入れも追加で!」
「薬味もつゆ入れもここにありますのじゃ、そちらに持っていきますのじゃー」
 アキの注文にユーゴは快く頷き、お盆に薬味とつゆ入れを幾つかのせていく。
 長い指先がネギとワサビに伸びた瞬間、今度は祭莉が「あっ」と、口を開いた。
「おネギやワサビはつんとするから……」
「了解なのですじゃ、錦糸卵と胡瓜とハムも持っていった方がいいかの?」
「錦糸卵と胡瓜とハムー♪ おいらも運ぶの手伝うよ!」
 弾む足取りでユーゴの手伝いを買って出た祭莉に、アキも余り食べれていない人たちのために、そうめんだけが入ったお椀を、店先に頼もうとした時だった。
「って、オレちゃん全然食べてなくない?」
 はっと目を見開いたアキが自分のお椀を手にすると、未だめんつゆしか入ってない。
「ほらほらアキも、早く食べないと全部食べちゃうよー♪」
「…ん、アキもいっしょに、食べよ?」
 小太刀がふわり口元を緩め、ある程度そうめんを収穫して合流した杏もコクリと頷く。
 アキが杏のお椀の中をひょいっと覗くと、量はお椀の半分も満たしていなかったものの、その殆どがピンクや抹茶色のそうめんだった!
「おお、杏ちゃんすごい!」
「このままだと、ダントツでアキが最下位ね」
「あっ、本当だ!」
 このままでは、楽しい思い出が残念な結果で終わってしまう!
 ここで名誉挽回しなければと、アキもまた張り切って流しそうめんの前に立つ。
「よーし普通に流れてるトコから取るよ!」
 色もとい質より量!
 アキがお椀と箸を構えたのとほぼ同時に、お盆いっぱいに薬味を積んだ祭莉がユーゴと共に合流、「ハイ、みんなの分もー」と広げてみせて。
「へへー。美味しい?」
 祭莉からの幸せのおすそ分けの中には、お椀に入ったそうめんも……。
 杏は瞳をぱちぱちと瞬くと、色とりどりのそうめんに、白雪色を織り交ぜていく。
「ユーゴも勝負する?」
「もちろんなのですじゃ、わしもフードファイターの箸くれなのですじゃー!」
 小太刀の誘いに、ユーゴもつぶらな瞳の奥にメラメラと闘志の炎を燃やして。

 食べて遊んで勝負もして。
 かんさつにっきの初秋もまだまだ終わりをみせる様子はなく、楽しい笑い声と共に、次々と思い出に彩りを添えていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

桜田・鳥獣戯画
【壁】でお邪魔する!
…大音声も憚られるような雅さではないか。何このギャップ。
サンディの浴衣も、本人の穏やかな雰囲気とこの情景によく合っている。栴も来年は仕立てるのだよな?

ほう二人とも団長の私を立てて下流に位置取りしてくれるのかさすがだな!(早口)

竹を流れる流水、そして庭園の池の鯉の水音もまた風流なものだ。水音萌えなのでしばし聞き入ってしまう。そして素麺を逃す。

…ほう、二人とも箸は苦手か。無理せずとも私の予備のカトラリーを使うといい。
箸の使い方か…そうだな、二本のうち上だけを動かせばよいと考えれば武器の扱いと大差ないぞ。
二人が応じてくれるようであればレクチャーしよう! そして素麺を逃す。


生浦・栴
【壁】で

愉快な邪神と仲間達の潜伏地近隣とは思えぬほど優雅であるな
アレが遡上して破壊されずに幸いであった

ノックスの先日の催事の衣装は庭園に合うておるな
興味は無かったが人が着ておると気になるものだ
当然団長も来年は仕立てるのだろう?

カオスは半分(以上)此方で作っていた気もするが
片付いたので安心して欲しい

矢張り花より団子ならぬ素麺だろうか
漸く落ち着いて食…
(目の前を流れて行くか上流でかっ攫われ
そうか、ノックスのも苦手か
いっそ網でも仕掛けたい気にもなるが
フォークの予備などは…無…あるのか(団長を見る
停止したものならば充分摘まめるのだが
文明の利器は使うに限る
さもなくば誰も喰えぬ様相を呈して来たぞ


サンディ・ノックス
【壁】で参加
旅団員からソウメンのことを聞いて、最近ユカタ仕立ててもらって似合う場所に行きたいとも思っていたので合流した
ユカタ似合ってる?ありがとう
栴さんも来年どう?

こういう…フーリュウ?な雰囲気は好きだな
近所にカオスな場所があったそうだけど、ここの雰囲気に悪影響が出る前に潰れてよかったよ
なんだ、カオスは同業者の仕業か
同業者なら仕方ないね

ソウメンが流れてくる、それを箸でとって食べる、だね
…箸か(以前から練習しているが使えないので表情が少し硬くなる)フォークってレンタルないのかな?
ふふ、ここで漁業は怒られちゃうかもね
鳥獣戯画さん、予備持ってるんだ、さすがだね
箸使うのも上手そうだなあ(期待の眼差し)



●初秋の箸捌きはカオスフルな味わい?
「これは……大音声も憚られるような雅さではないか!」
 桜田・鳥獣戯画(幽霊部長・f09037)の視界いっぱいに広がるのは、先程のカオスフルとは打って変わって、至って平和な初秋の情景だった。
 周りをみると、先の戦いでカオスの一片となっていた猟兵たちも、今は大自然の中の流しそうめんを、一般客と同じようにゆるりと堪能している。
「何このギャップ!」
 鳥獣戯画が驚愕を帯びた血液色の瞳をギラつかせる中、【壁】の仲間から流しそうめんのことを聞きつけ、最近仕立てた真新しい浴衣姿で合流した、サンディ・ノックス(闇剣のサフィルス・f03274)は、店をぐるりと囲む初秋の景色を興味津々に見回す。
「俺はこういう…フーリュウ? な、雰囲気は好きだな」
 僅かに蒸し暑さが残っているものの、頰を撫でる山の風は、とても居心地いい。
 灰色のストライプが入った浴衣は色彩り豊かな風景に溶け、紫色の帯と携帯する黒剣を包む布地がアクセントとなって、浴衣と景色に彩りを添えていて。
 ――カランコロン。
 サンディの下駄が奏でる涼しげな音色に風流を感じたのだろう、生浦・栴(calling・f00276)は妙に達観した目尻を、少しだけ緩めた。
「たしかに、愉快な邪神と仲間達の潜伏地近隣とは思えぬほど、優雅であるな」
 イワシやら青ウナギが遡上する恐れが無くなったのは、実に僥倖。
 何食わぬ顔で景色を眺める栴。穏やかに頷き返したサンディが、ゆっくり口を開く。
「ここの雰囲気に悪影響が出る前に、潰れてよかったね」
「ああ、全て片付いたので安心して欲しい」
 大方のカオスは、自分たちも含めた猟兵側が作っていた気もする、が……。
 と、付け加えた栴の一言で、粗方理解してしまったサンディもまた「同業者なら仕方ないね」と、柔和な笑みを向けた、その時だった。
「ほう二人とも団長の私を立てて下流に位置取りしてくれるのかさすがだな!」
 その一瞬の隙を突いて早口で捲し立てた鳥獣戯画は、ちゃっかり上流をキープ♪
 もはや風物詩と呼ぶべきか、慣れてしまったとも言うべきか、互いに顔を見合わせた栴とサンディは、迷いなき返事を返す。
「好きにするがいい」
「箸が滑って迷惑掛けるかもしれないし、俺も下流でいいよ」
 自分たちよりも2倍近くもある年上相手に、見事な大人の振る舞いをみせる若者たち。
 対して、キラーンと眼光鋭くした鳥獣戯画は、さらに上流の方へ位置取ると、竹筒の中を流れる清流に耳を傾け、すぐに池の方にも忙しなく視線を動かした。
 ――パシャッ。
 錦鯉が水面を元気よく飛び跳ねる音も、また風流。
 初秋の風景に折り重なる水音の心地良さに、鳥獣戯画は血色の瞳を細めて――。
「団長、そうめんが全く取れていないが」
「あっ!」
 栴の警告に鳥獣戯画がハッと瞳を見開くと、幾つものそうめんがすり抜けていく。
 何とも言えぬ気まずさを感じた栴の視線も宙を泳ぎ、ふとサンディに止まった。
「ノックスの先日の催事の衣装は庭園に合うておるな」
「ユカタ似合ってる? ありがとう」
 自分自身が着るには興味が無くても、人が着ているものは気になるもの。
 栴の賛辞にサンディがはにかむと、鳥獣戯画も強い眼力のまま、然りと頷いた。
「サンディの穏やかな雰囲気と、この情景によく合っているぞ!」
「ありがとう、2人も来年はどう?」
 そう、にこりと微笑むサンディに栴と鳥獣戯画はほぼ同時に思案し、顔を見合わせる。
「ほう、栴は来年は仕立てるのだな?」
「ならば、当然団長も仕立てるのだろう?」 
 年上の鳥獣戯画が相手でも栴は上下関係を勘案せず、強気な態度で応戦する。
 それは、何時もの【壁】の日常でもある。
 そのことを実感しつつ、再び流しそうめんへ向き直った栴は、隙なく箸を構えた。
「矢張り花より団子ならぬ素麺だろうか、漸く落ち着いて食――」
 ひらりと泳ぐ一筋。
 その動きに合わせて何度か箸を滑らせるものの、全てするっと抜けていく!?
 これは、まるで、先程の団長と全く同じ、阿鼻叫喚地獄絵図ではないかッ!!
(「ノックスはどうだ?」)
 隣をちらりと見た栴の視界に入ったのは、以前から練習はしていたものの、箸が上手く使えず少しだけ表情が硬くなった、サンディの横顔でして……。
「ソウメンが流れてくる、それを箸でとって食べる、だよね?」
 突き。薙ぎ。打ち。払う。
 左から捻れば右へと抜けていき、右から回せば二度と戻らぬ方向へ逃げ去っていく。
 まるで、新手のオブリビオンのよう。サンディの表情がこわばるのも、無理もない。
「そうか、ノックスのも苦手か。いっそ網でも仕掛けたい気にもなるが」
「ふふ、ここで漁業は怒られちゃうかもね」
 ――箸(はし)。
 それが、2人の目的を妨げている最大の障害であることに、間違いはなく。
 もう、迷いなど無かった。
「…箸か、フォークってレンタルないのかな?」
 表情を曇らせたまま、サンディがぽつりと呟いた、瞬間。
 待ってましたと言わんばかりに何かを手にした鳥獣戯画が、颯爽と立ち上がった。
「…ほう、二人とも箸は苦手か。無理せずとも私の予備のカトラリーを使うといい」
 ――ぱんぱかぱーん!
 某タヌキ型ロボットの要領で鳥獣戯画が高らかに掲げたのは、カトラリーセット!
 陽光を受けて煌めくフォークを、栴とサンディはまじまじと見つめてしまう。
「フォークの予備が……あるのか」
「鳥獣戯画さん、さすがだね」
 まさに、地獄に降ろされた蜘蛛の糸もとい、希望の光明ッ!
「必要であれば箸のレクチャーもしよう!」
 自信満々に太い笑い声を響かせる鳥獣戯画に、けれど栴は首を横に振ってみせて。
「いや、文明の利器は使うに限る」
 停止したものならば充分摘めるのだが。と、ぽつりと零し、栴はフォークをとる。
 色々思うところはあるものの、このままでは全員がお預けという虚しい思い出しか残らない、そんな気がしたからだ。
「鳥獣戯画さんは、箸使うのも上手そうだなあ」
 対して、サンディは箸を手にしたまま、ちらっちらっと視線を送っていて。
 快く頷き返した鳥獣戯画は箸を目線近くまで持ち上げ、軽いレクチャーを始めた。
「二本のうち上だけを動かせばよいと考えれば、武器の扱いと大差ないぞ」
「なるほど、まずはその持ち方でやってみようかな」
 レクチャーを終えたサンディは穏やかに微笑み、再び流しそうめんに向き直る。
 目の前にそうめんが来るまで、数十センチ。
 その横(もちろん、サンディよりも上流)に並んだ鳥獣戯画も揃って五感を研ぎ澄ませ、2人はほぼ同時に箸を動かすッ――!
 そして。全力でそうめんを――逃した。
「本気で誰も喰えぬ様相を呈して来たぞ」
 水流の中を踊り、翻弄する一筋は、するりするりと2人の箸をすり抜けていく。
 揃ってそうめんを逃しまくる現実は、まさに地獄絵図ッ!
 ――もはや、手段なんて選べない。
 無言で目を据わらせた栴は、カトラリーセットから一番大きなフォークを選択したという。

●彩りと実りの秋
 楽しい時間は、あっという間にすぎていく。
 陽が傾き始めると山々は黄昏色に染まり、色彩は濃く、青々とした池の水面も、流しそうめんの水流も、小川の清流も、同じ黄金色となって、キラキラと瞬いて。
 踊るように山々を駆ける風がふわりと頰を撫で、本格的な秋の訪れを優しく告げる。
 ――彩りと実りの秋。
 温かな色合いに食欲を刺激された猟兵たちは、時間一杯使って楽しいひとときを紡ぎ、彩り豊かな思い出をたくさん描いていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年09月30日


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#UDCアース
#いわし
#デビルズナンバー
#雷穹龍グローレール
#流しそうめん


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠神楽火・皇士朗です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト