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エンパイアウォー㊳~野望は炎の如く

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #オブリビオン・フォーミュラ #織田信長 #魔軍転生 #ID_サーベル

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「ついに決戦だ! 信長ぶん殴る拳は用意できたか!!」
 溢れる高揚感からの咆哮。グリモア猟兵としての使命感でそれをなんとか押し留め、仲佐・衣吹(多重人格者のマジックナイト・f02831)が集まった猟兵の姿を確認する。
 此度はこの世界のオブリビオン・フォーミュラ、第六天魔王『織田信長』との決戦だ。

「ホントは魔空安土城にも「信長軍の本隊」があったんだが、幕府軍が島原まで万全の状態で辿り着いたんで全部相手してくれることになった。猟兵は信長との戦いだけに集中できるってわけけだ!」
 だが信長軍が抑えられたからといって、織田信長本人の実力が低下したわけではない。息を吐きながら一拍置き、それでも口角を上げた鋭い視線のままで、衣吹は続ける。
「信長は秘術「魔軍転生」って妙な術を使って配下の魔軍将を背後霊のように「憑装」させて戦う。今回出現が予知された一体は大帝剣『弥助アレキサンダー』の力で戦う個体だ。突っ込む前にその技をよく確認しておくことだな」

 なぜなら、と続ける。
 信長はこれまで多くの強敵同様、圧倒的実力差から来る先制攻撃を用いる相手。それをどう防ぎ自分の攻撃へ繋げるかが最も肝心なのである。
 更には対応に繋ぎにと複数のユーベルコードを用いようとすれば容赦なく見抜かれ、先制攻撃がも複数回放たれる。ただでさえ強力な力を矢継ぎ早に繰り出されれば、反撃はおろか手も足も出すことなく退場となるだろう。

「知力・体力・時の運、全部使ってコイツを倒すための一撃を叩き込んで来い!! それじゃ、よろしく頼むぜ!」
 興奮を抑えるように己の軍刀をしっかり握ったまま、衣吹は魔空安土城への道を開く。


小風
 小風(こかぜ)です。
 12作目もサムライエンパイアにて織田信長との決戦です。
 よろしくお願いします。

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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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 第六天魔王『織田信長』は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
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44




第1章 ボス戦 『第六天魔王『織田信長』弥助装』

POW   :    闘神の独鈷杵による決闘状態
【炎の闘気】が命中した対象を爆破し、更に互いを【炎の鎖】で繋ぐ。
SPD   :    逆賊の十字架による肉体変異
自身の身体部位ひとつを【おぞましく肥大化した不気味な鳥】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    大帝の剣の粉砕によるメガリス破壊効果
自身の装備武器を無数の【大帝の剣型】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。

イラスト:UMEn人

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ――炎のようだと思った。
 手に入れるということは全てを焼き尽くすことであり。
 新たな空気を求めてどこまでも狂い舞う姿は灼熱の火災旋風のようであり。

 彼はこの世界で唯一人のオブリビオンフォーミュラー。
 新たな地を求める為に、全てを捨てることなど、ましてや考えてもいなかった。
 残らず焼き尽くし、我が物とした後に、次の戦へと進もうというのだ。

 ……渡来人である俺と話すことも、好きだったように感じる。
 これは破壊を望み算段するオブリビオンとしての性質か。
 はたまた信長様生来の性格か。

 どちらでもいい。
 たとえ故郷の侵略者になろうとも。
 この炎の下に仕え、この力がお役に立てるのなら。

『秘術「魔軍転生」。弥助よ、儂に憑装せよ……! 億にひとつの勝ち目に賭けてみるのも、また一興よ。「グリードオーシャン」の天下も、この手で取らねばならぬからな』

 猛炎に包まれる魔空安土城の中、火炎の化身の如き信長様は笑う。

『全ては信長様の為に』

 ――この言葉が心から言える俺であることが、誇りだ。


 第六天魔王・織田信長の背負う赤黒い母衣から渦巻く焔が立ち上がり、それは大帝剣・弥助アレキサンダーの姿となった。
 果て無しの野望と熱い忠義を持つ両名の力を、猟兵は越えなくてはいけない。
音羽・浄雲
※アドリブ、連携歓迎です。

 異形の頭による噛みつきに、左腕を差し出しあえて喰らいつかせる。
「足りぬ、足りぬぞ上総介!貴様を討つ為だけにあるこの命、今更手足の一本二本が惜しいものか!」
 毒使いであり術士でもある浄雲は喰らいつかれた腕より、呪詛と己が体内に流した猛毒を逆に流し込まんとする。生命力を幾ら吸われたところで、狂おしいほどに思い煩った呪は容易くは破れまい。
「我らが怨み晴らさせてもらうぞ!音羽忍法【鬼火】」
 浄雲の身体が己の命を薪と燃やし、ただ信長を討つ一心で燃え上がる。しかしその怨みの炎、己の身体、その全てを投げ売った本命は見えぬ刃【欺き光秀】による一世一代のだまし討ち。
「その首貰った!」



 無敵と称された魔空安土城。今や地上に降ろされ燃え行くその中で待ち構えるのは、炎を纏った第六天魔王・織田信長。かつて戦国の世で最期を迎えた光景とよく似て慣れているとでもいうのか、肌と目を焼く熱と灯りの中、極めて冷静かつ威風堂々とした態度だ。
「この血この肉この魂の全てを賭しても……」
 対峙するは黒い忍装束の音羽・浄雲(怨讐の忍狐・f02651)。静かな影のような立ち姿だが、反してその目に宿るは激しい復讐の炎。実年齢不詳の妖狐。かつて隠れ里を滅ぼした仇敵が今、目の前に居るのだ。この手で仲間達の復讐を遂げられるまたと無い機会に、磨き研ぎ澄ませてきた殺意がたまらず溢れ出る。

 異国の甲冑を模した黒い鎧。信長が舞のように静かに左腕を伸ばす。途端、それは爆発するように大きな炎を上げて燃え上がる。そして炎を割って飛び出すは真っ赤な目をした鷲の頭部。猛禽類特有の鋭い嘴が浄雲を喰らわんと襲い掛かる。
 対する浄雲も素早く左腕を差し出し、盾としあえて食らいつかせる。巨大な肉食の顎が骨まで砕かんと噛み締め、同時に滴る生命力から毟り取ろうとする。だがそこで怯み腕を引く浄雲ではない。
「足りぬ、足りぬぞ上総介! 貴様を討つ為だけにあるこの命、今更手足の一本二本が惜しいものか!」
 啜り上げられる己の命に乗せるは、狂おしいほどに思い煩った呪詛と猛毒。音羽衆の無念と怨嗟を編み込んだそれらも、浄雲を構成する成分。吸われるより強烈に、鷲の咢を通じ信長へと叩きつけるように流し込む。
『むっ』
 気付いた信長が嘴の食いつきを緩め、呪と毒の流れを断ち切る。その隙に肉がもがれるのも構わない勢いで嘴から腕を引き抜くと、浄雲が唱える。
「我らが怨み晴らさせてもらうぞ! 音羽忍法【鬼火】」
 ユーベルコードの発動と共に浄雲の姿が暗く沈み、青白い陽炎のように揺らめく。己の命を薪と燃やし、ただ信長を討つ一心で燃え上がる怨嗟の劫火。その素早い身のこなしと速度は、目視で捉えることを不可能にしている。時折床を焦がす青白い火は浄雲の技であるが、本命は火炎放射ではない。信長が人魂を思わせる異質な炎を目で追った時が、一世一代のだまし討ちの刻だ。
「その首貰った!」
 浄雲が放つは音羽手裏剣【欺き光秀】。燃え上がる火炎の景色と同化しその刃を晒さない暗殺・奇襲の為に作られた手裏剣だ。光背を思わせる炎の輪を潜り抜け、信長の背後からその首を落とさんと狙う。

『ギャアー!!』
 獣のようなしわがれた鳴き声と共に落とされたのは――巨大な鷲の首。ゴロリと重たい音と共に十字架の術が解け、残るは黒い籠手を砕かれた信長の腕。灼熱の炎にさらされることとなった肌は一層明るい鮮血で染まっている。
 己に血を流させた浄雲を見遣り、不敵な笑みをこぼす信長。その名を今も轟かす武将にしてオブリビオン・フォーミュラー。此度の戦いに一層熱い火をその目に灯した。

成功 🔵​🔵​🔴​

平良・荒野
…僕の願いは、この故郷を守ること、です。


相手の方が格上であることは、分かっています。
闘気での攻撃は武器で払うのも難しいでしょう
羅刹紋を呼び起こし、「オーラ防御」で爆破の影響を抑えながら、先制攻撃は受けます。

炎の鎖も…弥助アレキサンダーならばともかく、僕ではその熱気に押されてしまうかもしれません。
しかし火傷も覚悟の上、繋がれたことを良しとして。
【羅刹旋風】でその熱気を打ち払い。
接近戦ならば、互いに繋がれているならば、大振りの一撃もかわしにくい筈… いえ! かわさせません、当てます!
「鎧砕き」の勢いを乗せ、錫杖で打ちかかります。


育て、はぐくまねば、炎だって燃える場所がなくなるでしょうに…



「……僕の願いは、この故郷を守ること、です」
 次いで第六天魔王・織田信長の前に立ったのは平良・荒野(羅刹の修験者・f09467)。青年の声を聞き、それは違うと答え向き直る信長。
『守るか攻めるか、それを決めるのはこの儂だ。この国はとうの昔に儂のもの。死後ただ借り受けているだけの者達の意見など聞かぬ。滅びよ、新たな地へと向かう為に』
 戦国の世にて天下統一に一番近付いた彼は、間違いなく天才だったのだろう。しかしオブリビオン・フォーミュラーとしてただ破壊の為に采配を振るう彼は、もはや今を生きる者達の長ではない。
 己の肌を伝う羅刹紋を呼び起こして守りとし、荒野は錫杖を構える。

 強烈な閃光に包まれ信長が爆発する。――否、これが炎の闘気。そして爆発したのは荒野自身だ。片腕を出して熱と爆風から顔を庇ったが、数珠が千切り飛ばされ法衣も肌も蒸発するような衝撃が走る。なんとか耐えたところへ間髪入れず更に腕を焼き切るような痛みが走り、爆心地へ無理やり引き戻される。薄く目を開くと、腕には白く見えるほど熱く焼けた炎の鎖が幾重にも巻かれ、その先は同じく先の戦闘で籠手を砕かれた腕に鎖を巻いた信長がいる。信長が腕を引く度に鎖は短くなり、その間合いは詰まってゆく。
 苦痛に顔を歪めながら、荒野は残る腕で掴んだ錫杖を回す。涼やかな金属音と共に荒野の内から風が吹き、僅かな涼と共に羅刹の力を高めてゆく。腕の痛みが無くなってゆく。火傷を通り越して焼け落ちる一歩手前なのかもしれない。
 荒野の力の高まりを感じても、信長は鎖を引く力を緩めない。挑んだのは決闘だ。そうでなくては面白くない、といったところか。互いの得物の長さギリギリまで待ち……先に動いたのは信長だ。

 黒い長刀から体の中心を狙った鋭い突きの一撃。咄嗟に避けた荒野だが、脇腹を深々と斬り裂かれてしまう。しかしこれで良い。この距離ならば、かわしにくい……いや、当てる!
 鎖がたわみ動かせるようになった腕を添え、遠心力を加えた錫杖頭が狙うは砕かれた左腕の籠手。鎧砕きの力を乗せたそれでひび割れた装甲を更に砕くと、勢いそのままに剥き出しとなった腕を内側から強打した。
『ちっ』
 炎の鎖を消し去り、荒野の腹を蹴って距離を取らせる信長。鞘に手を掛け誤魔化してはいるが手応えからして、もう左腕は満足に使えないだろう。
「育て、はぐくまねば、炎だって燃える場所がなくなるでしょうに……」
 サムライエンパイアで生まれた羅刹からの言葉だ。今この国に全てを灰と化す、戦国の炎は要らない。

成功 🔵​🔵​🔴​

香神乃・饗
誉人(f02030)と共闘
ご飯の時間っす!

たっぷり死の味をご馳走してやるっす!

香神写しで武器を増やす
誉人を庇いつつ俺自身が闇雲に攻めると言うフェイントをかけ
噛みつき攻撃を誘発させるっす
大口を開いたら死角に潜ませた苦無と剛糸で暗殺する様に口を固定し、その口に誉人と共に力溜めたでっかい一撃を叩込むっす!

苦無を投げたり盾受けしたり、剛糸で縛ってグラップルでかわし致命傷は避けるっす
回復はさせないっす、誉人も俺も暗殺されない様いつどの部位が変化しても良いよう警戒するっす

誉人の為にこの力を役立てられるなら幾らでも尽くすっす!
同じっすかね?
でも、勝つのは俺っす俺の誉人のほうが強いっす!
誉人が黙ってないっす!


鳴北・誉人
饗f00169と共闘

てめえの思惑なんざ知ったこっちゃねえ
この世界の害悪になるンなら黙ってられるか

オーラ纏って武器受けで防御しながら、一太刀でも斬れるなら斬る
饗がわざと暴れて気を引いてるのを利用し刀と脇差の二刀で立ち回る
饗に噛みつきにいったらすかさずUCで反撃
「そいつは食うもんじゃねえ、俺の相棒だ返せよ!(力溜めた咆哮

俺が噛みつかれそうなら受けてたつ
覚悟はできてる
気合も入れた
鳥頭の口ン中に懐刀突き立て(雷属性攻撃)、織田めがけて咆哮をぶちかます
無傷で終わろうなんて思ってないが回復もさせてやらん
今は俺から逃げらンねえからな

饗が危ねえならかばう
俺の相棒だ
守るのは当たり前だろ
あんま饗のことナメんなよ



 倒れた青年の前へ盾となるように、新たな猟兵二名が躍り出る。
「てめえの思惑なんざ知ったこっちゃねえ。この世界の害悪になるンなら黙ってられるか」
 白いシャツに黒パンツという簡素な出で立ちの鳴北・誉人(荒寥の刃・f02030)と。
「ご飯の時間っす! たっぷり死の味をご馳走してやるっす!」
 梅鉢紋を染め抜いた紅半纏、火消しを思わせる装いの香神乃・饗(東風・f00169)だ。
『世を導くのはより優れたもの、新しきものだ。平穏の末、過去の亡霊や来訪者に易々と脅かされるようになったこの国なぞ、新しき世界の流れに耐えられるものか』
 第六天魔王・織田信長が鞘を掴んでいた左腕を、肩から持ち上げるようにしてだらりと伸ばす。寸の間後ろに控え憑装された弥助が目を見開いたように見えたが、それを確かめている余裕も無さそうだ。逆賊の十字架が輝くと同時に信長の腕が炎に包まれる。一本の腕が左右に大きく裂け、現れるは三本指と二本指から作られた大小の猛禽類、巨大な鷲と鷹の頭部だ。

 迫り来る鋭い鷲の嘴に突っ込んで行くのは饗。苦無片手に闇雲に突き立てると見せかけ――口を開いたところで素早く飛び退き転がる。喰い損なった嘴に剛糸を咥えさせた。
「一つが二つ、二つが四つ、香神に写して数数の」
 発動するはユーベルコード香神写し(カガミウツシ)。梅の枝が彫られたいくつもの苦無が炎を映し、舞い散る花弁のように僅かに煌めく。刹那それは剛糸の先を引きながら、城の柱や床に深々と突き刺さる。張られた糸は饗を追って再び喰らい付こうとした鷲の鋭い嘴を、前へ進むほどより大口を開けるよう、ギリギリと締め上げ絡めながら固定した。

 が、今回相手する鳥は一羽ではない。もう一羽。鷹の頭部が鷲よりも大きく迂回し、苦無を放ったばかりの饗を喰らった。
「がっ!!?」
 咄嗟に忍ばせた苦無を盾として間に挟み、嘴の食い込みは避けた。が、ありえないほど巨大な鳥の頭部だ。食い千切らんと力を込められれば骨まで軋みを上げ、同時に鮮血と生命力を啜り上げられ体が冷たくなってゆくのを感じる。
「そいつは食うもんじゃねえ、俺の相棒だ返せよ!」
 誉人の叫び声が人狼咆哮により増幅され、激しい空気の刃となって鳥の頭部を襲う。ビリビリと空間全体が揺り動かされるような衝撃と共に、緩んだ嘴から饗が落ちる。すかさず己の得物、唯華月代で鷹の嘴を一刀両断。鋭い先を思い切り斬り飛ばすと、なんとも不格好な輪切りにしてやった。鳥の精神的にも衝撃なのか、首だけの状態で暴れ回る鷹。
「あ……ありがとっす誉人」
「饗が危ねえならかばう。俺の相棒だ。守るのは当たり前だろ」
 行けるか、と刀と脇差を隙なく構え目で問う誉人。
 折れていない苦無を確認し、立ち上がることで応える饗。
「誉人の為にこの力を役立てられるなら幾らでも尽くすっす! 同じっすね!」
 戦場の中で笑みを交わし合う二人。そして表情を引き締めると同時に、反対方向へ駆け出した。
「でも、勝つのは俺っす俺の誉人のほうが強いっす!」
 誉人が斬り飛ばした鷹の口から脳天に向かって、一息で仕留める苦無の一撃を放つ饗。
「あんま饗のことナメんなよ」
 饗が剛糸に掛け大口を開く鷲の喉に向かい、雷電の力を帯びた懐刀を突き立てる誉人。
 二つの巨大な鷲と鷹の頭部が貫かれ、弾け飛び同時に絶命する。

『……』
 肉体変異が解け、後に残るは肩から先を失った信長の左腕。
『信長様……』
『構わん。自分で斬り飛ばす手間が省けただけよ』
 その場をほぼ動かず猟兵と相対して来た信長が、今一度構えを直すように足の位置を踏み変える。
『やっと隻腕にしたところで、まさかこの儂を追い詰めたと思い上がってはおるまい』
 信長の立つ大部屋の豪奢な天井が崩れ落ち、煤け炭となりゆく梁があらわになる。一瞬影としか捉えられぬ魔空安土城主の姿は、今なお戦国の世に捕らえられた亡霊に他ならない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ウィルヘルム・スマラクトヴァルト
弥助アレキサンダー…その忠誠は見事です。
ですが、主の野望も、貴方の忠誠も、世界を護るために
ここで終わらせます!
「緑の騎士ウィルヘルム・スマラクトヴァルト、推参!」

先制の炎の闘気は、「第六感」を働かせつつ「見切り」、
緑の大盾で確実に「盾受け」して止めます。
爆風が緑の大盾を抜けてくるようであれば、
「オーラ防御」と「激痛耐性」で耐えます。

炎の鎖で繋がれるのは、白兵戦しか出来ない私には望むところ。
緑の斧槍を振るいつつ、頃合いを見て「ランスチャージ」を狙います。
しかし、これは「フェイント」。
チャージしつつ緑の斧槍を手放し、「怪力」で信長を引き寄せ、
手刀で「両断の一撃」を使用。信長の両断を狙います。



「緑の騎士ウィルヘルム・スマラクトヴァルト、推参!」
 深く鮮やかな緑色を湛えるエメラルド。その色合いを全身に宿すウィルヘルム・スマラクトヴァルト(緑の騎士・f15865)が崩れゆく城内へ進む。
『ほぅ』
 戦いの最中ながら、信長が僅かに目を輝かせる。異国の甲冑を纏い、この国には見られない透明かつ緑の肌と髪。新しく珍しもの好きな性格は伝承と変わらないようだ。
「弥助アレキサンダー……その忠誠は見事です。ですが、主の野望も、貴方の忠誠も、世界を護るために、ここで終わらせます!」
 分厚く重たい、こちらもまた宝石を思わせる艶やかな緑の大盾を掲げるウィルヘルム。
『俺がついぞ辿り着かなかった世界の果て。この方ならば、いかなる世界でもその先へ迷わず進むだろう。この進軍、邪魔はさせん!』

 弥助の持つ独鈷杵が輝き、周囲の炎が小さく静まる。そして信長がそのカガチのような眼を見開いた瞬間、炎は一層高く燃え立つ。襲い来るは強烈な熱風と爆発だ。
 即座に大盾を焼けた畳に突き立て、身を低く構え熱と炎の嵐に耐えるウィルヘルム。続け様に来た爆発にも飛ばされぬよう体重をかけながら、衝撃を盾で全て受け止めた。
 ふいに支えが無くなり、体が前へつんのめるウィルヘルム。視線を上げると目の前で構えていた大盾が舞い上がり、天井へと飛ばされていた。原因は炎の鎖。それは闘気を受け止めた緑の盾にのみ巻かれ、信長が思い切り引いたことで盾が奪われたのだ。
 大盾を後方へ投げ捨て、床に刺していた長刀を右腕で持ち構える信長。白兵戦は望むところ、ウィルヘルムも緑の斧槍をとる。互いの得物を見つめ、じりじりと間合いを詰める両者。
 先に動いたのはウィルヘルムだ。チャージが満ち、いつでも穿てる状態にした斧槍を――何の気なしに、空中へ置くように手放した。戦闘放棄か、予想外の動きに目を見張る信長だが、否と気付いた時には遅かった。素手のウィルヘルムはもう己の懐へと入り込んでいた。

「私の渾身の一撃、食らうがいい!」
 ユーベルコード両断の一撃。近付いて分かる、その黒く堅牢な鎧の弱点。繋ぎ目はどんな形になろうと脆いのだ。自在に軌道を変えられる手刀にて、腕のない左側より、狭く小さな脇腹の隙間を撃つ!
『ぐっ……!』
 撃たれながらも刀を返し、柄にて殴りつける信長。エメラルドの欠片を僅かに散らしながら、倒れた方向へそのまま飛び退くウィルヘルム。すぐに反撃するわけでもないようだが、信長が再び刀を床へ突き立てているのが見えた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ロベリア・エカルラート
アドリブ歓迎

●対策
出来る限り防御を固める
黒き竜翼の帳で体を覆い、その下に呪いの茨を巻きつけて炎の闘気を防御
間違いなく大ダメージを負うけど、効いていないように【演技】
弱みは見せない

●戦闘
装備のマイクで声を拡散
【演技】【鼓舞】、それに【歌唱】の応用で戦場に声を届けるよ

私は威厳のある、力強い猟兵を演じる

「聞け!勇敢なる幕府の忠臣たち!」
「今まさに織田信長は、我々が追い詰めた!お前たちの力、後少しだけ我々に貸してくれ!」
幕府軍の士気を引き出し、UCでそれを力に変えて反撃だ

「さて、織田信長からみて私の演説はどうだったかな?」

高速飛行で鎖を振り切って、大鋏で白兵戦
生命力吸収を併用して体力を回復しながら戦う



「此度のサムライエンパイア公演は、悲劇かしら? 喜劇かしら?」
 その振る舞いは常に気高く。ロベリア・エカルラート(花言葉は悪意・f00692)が舞台に幕を下ろす為に降り立った。
 刹那の閃光、次いで爆炎がロベリアを襲う。巻き付く炎の鎖が、更にその身を焦がし灰と化さんとする。
「――っ!! 生ぬるいよ!」
 膝をつかない、顔を歪ませない、弱みなど見せない。常に高貴であれとその矜持の下に演ずれば、信長も鎖を縛る手を一層強くする。守りを託した黒き竜翼の帳と呪いの茨がマント下の負傷を隠し、焼ける代わりに棘がその身に深く食い込んでゆく。
 相次ぐ激しい戦闘と爆風により、狭間戸が堅格子まで吹き飛び開け放たれているのを確認すると、ロベリアは飾り釦型のマイクでその声を最大音量に引き上げる。
「聞け! 勇敢なる幕府の忠臣たち! 今まさに織田信長は、我々が追い詰めた! お前たちの力、後少しだけ我々に貸してくれ!」
 演じるは威厳ある猟兵。燃え上がり崩れゆく城の中、今我々は優勢であると説けば、信長軍を相手取っていた幕府軍からにわかに応える声が上がる。場内の様子を知ることかなわぬ彼等にとって、この知らせと声は間違いなくその士気を高めた。

『――!』
 今まさに己が劣勢なのに何を。そう思っていた信長の目の前で、ロベリアの姿がスポットライトに照らされたように浮かび上がり、その力が高まってゆくのが見て取れる。そのユーベルコードは、月下の舞台に夢を(アドミラシオン・エトワール)。自身の言動で観客が正の感情を抱き向ければ、それは舞台の主演であるロベリアの力となる。
「"私たちは夢と同じモノで作られ、この命は眠りと共に終わる"。……さあ、夢が覚める前に、この輝きをキミに届けてあげる」
 腕を振るえば自身を拘束していた炎の鎖は掻き消え、手には得物の大鋏ロメオジュリエッタ。軽く爪先で板の間を蹴れば、その靴音が聞こえるよりも早く、信長の喉元へ迫る!
 さしもの戦国武将、五感で捉えるより早く刀を振るい、両者必殺剣の出し合い避け合いが始まる。鋏で受け、掠れば即座に生命吸収をして打ち合うロベリア。――彼女がこの近距離で撃ち合い続けるから、そして優れた演者であるから気付いた。第六天魔王・織田信長もまた、この戦いで強者を演じていたのだと。

『――――がはっ!!』
 炎に囲まれながらなお赤黒い肉片の混じった血を吐き、信長の動きが止まる。
 幾度の猟兵の攻撃を受けて、本当に片腕の損傷だけで済んでいるわけがなかったのだ。
 呪詛と猛毒がその身を蝕み、折れた血肉からは体温と毒素が流れ出し、変異した腕が受ける雷電も負傷も己に伝わり、急所を突かれれば最早気合で立っているしかなかった。僅かに残る生命力も奪われ続ければ、それらを隠すことも叶わない。
 億にひとつの勝ち目に賭け最後まで戦ったのは、戦国の世を生きた総大将として逃げ恥じぬ為。オブリビオンとしての破壊尽くす望みの為。……そして自身の願いの為。

 ロベリアは手を止め距離をとった。もう反撃も逃げることも出来ないだろうが、次は彼の見せ場であると思ったからだ。自嘲的な笑いを一つ突き、身を起こすと信長は言う。
『見事なものだ……新たな世界を駆ける者よ。その力を称え、この一勝、くれてやろう。だがこの信長の首、易々と拝めると思うな』
 言うやいなや、自身の刀を脇腹に差し込む信長。
 思わず一歩踏み出したロベリアの前に炎の膜が広がる。
 否、ただの炎ではない。憑装した弥助だ。
 信長の纏う長い母衣をひるがえし自身も激しく燃え消えることで、目隠となったのだ。

 後に残るのは黒く焼け落ち、炎も治まりつつ魔空安土城の一室。
 そして信長の一体が確かに倒されたという知らせ。
 猟兵の勝利が告げられた。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年08月28日


挿絵イラスト