エンパイアウォー㊴~天下布武を今一度
●復活の第六天魔王
遥か天空に浮かび、天下を睥睨していた魔空安土城が、今まさに地に墜ちんとしていた。
難攻不落を誇った魔空安土城も、巨大な鎖に縛り上げられ、城壁を焼き尽くされては丸裸も同然。
「こうなれば、もはや是非もなし。戦の趨勢は決したというべきか」
魔空安土城の城主にしてオブリビオンフォーミュラたる第六天魔王『織田信長』は嘆息する。
かつて天下をあと一歩の所まで掴みかけた武将の、類まれなる戦略眼が今は、己の敗北を明確に見通していた。
「……で、あるが」
だが、そこで諦めてしまわないのが、信長の第六天魔王たる所以。
「勝ち目が億にひとつでもあるのならば、賭けてみるのも一興よ。サルよ、儂に憑装せよ……!」
秘術「魔軍転生」。
その力を用いて、かつての腹心・豊臣秀吉を己の身に憑依させる。
『フェンフェンフェーン』
「……そうよな、サルよ。儂こそは『織田信長』。このサムライエンパイアを、そして遍く世界を統べるべき者なり!」
●魔空安土城の決戦
「皆さんの活躍で、とうとう魔空安土城を大地に引きずり下ろすことに成功しました」
エルシー・ナイン(微笑の破壊兵器・f04299)は、誇らしげに猟兵達の戦果を称えた。
「おまけに、徳川軍がほぼ無傷で島原に到着したため、織田軍の相手は彼らにお任せできます。皆さんは、オブリビオンフォーミュラたる第六天魔王『織田信長』との戦いに集中できるということです」
だが、オブリビオンフォーミュラたる信長は、単独でも計り知れない戦闘能力を持っているという。
「そのうえ信長は、秘術『魔軍転生』によって、隠し将『豊臣秀吉』の力を『憑装』しています。これによって信長は、秀吉の知恵と力も使いこなせるのです」
信長は、墜落した魔空安土城の大広間にて、猟兵を待ち構えている。
「大広間は墜落の衝撃にもかかわらずほぼ無傷です。広さは充分あるので、心おきなく戦えるでしょう。とはいえ信長は強敵。二人分の力と知恵で、みなさんの行動を先読みしてくるはず。先制攻撃には十分注意してください」
そこまで言ってエルシーは、集まった猟兵達を見回した。
「今回の戦いは、相当厳しいものになるはずです。それでも、皆さんなら必ずや信長を打ち破って、サムライエンパイアに真の太平をもたらしてくれると、ワタシは信じています」
エルシーは祈るようにそう言って、猟兵達を送り出したのだった。
J九郎
こんにちは、J九郎です。
いよいよ長かったエンパイアウォーもクライマックスです。
最後まで気を引き締めていきましょう。
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
また、第六天魔王『織田信長』は必ず先制攻撃します。信長は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
それでは、皆さんの最高のプレイングをお待ちしています。
第1章 ボス戦
『第六天魔王『織田信長』秀吉装』
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POW : 黒槍殲撃
【秀吉を融合させた鋼鎧から無数の黒槍】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : 黒粘剣戟術
【秀吉の黒粘液で全身から刀まで全てを覆い】、自身や対象の摩擦抵抗を極限まで減らす。
WIZ : シャドウクローニング
レベル×5体の、小型の戦闘用【豊臣秀吉(フェンフェンだけで意思疎通可)】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
イラスト:UMEn人
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
加賀・琴
ぐれいずもんきー、あずちじょうかいじん……うっ、頭が!
何故でしょう。彼らが不倶戴天の敵に思えます
いえ、敵には違いないのですが前世の因縁を感じるといいますか、彼らの所為で闇堕ちした記憶が
……だから私は何を言ってるでしょうね?
シャドウクローニングで敵が召喚されたら天女の羽衣の『空中戦、空中浮遊』で飛び上がって包囲されるのと初撃を受けるのを避けようとします
無事それで凌げたら【破魔幻想の矢】を放ちます、そのまま素早く『早業、2回攻撃』で次の矢を番えて2射目の【破魔幻想の矢】を放ちます
合計420になる『破魔』の『祈り』を込めた矢でよく狙って(『スナイパー』)、小型秀吉を射貫いていきますっ!
月隠・望月
織田信長……奴が強大なのは、見ればわかる
けど、わたしの故郷をお前に支配させは、しない。勝つ、必ず
敵の黒粘剣戟術……あれだけ黒粘液に覆われていては、敵の剣を受けることもままならない
だが、摩擦抵抗がほぼ無い、なら敵の剣戟を刀で受けたとき、敵の剣はこちらの刀に沿って滑る、はず。敵の剣を自分から逸らすような方向に刀を構えれば、攻撃を受け流せるのでは、ないか
とはいえ、あの織田信長の剣を何度も受け流すのは難しい。やられる前に【雷遁・霹靂の圏】で反撃。雷なら摩擦の影響は受けない、はず
味方を巻き込まないよう、戦闘前から味方から離れておくなど常に位置取りに注意。念のため、UC発動前に攻撃圏内に味方がいないか確認
●先の一手
「……来たか、猟兵共よ」
大広間へと駆け付けた猟兵達を、第六天魔王『織田信長』は悠然とした佇まいをもって出迎えた。それは覇者の威厳か、強者の余裕か。
(「織田信長……奴が強大なのは、見ればわかる」)
戦闘技術において天才的な才を誇る月隠・望月(天賦の環・f04188)は、それゆえにこそ、一目で信長の実力を見抜いていた。正直、実力差は歴然としている。まともに戦って、勝てる相手とは思えない。
「けど、わたしの故郷をお前に支配させは、しない。勝つ、必ず」
敢えて声に出して、自らを奮い立たせる。
「忍の小娘よ、その心意気や良し。だが、儂とて第六天魔王と呼ばれた男よ。お前如きにむざむざとやられはせん。……サルよ、儂に力を貸せい」
『フェンフェンフェン』
信長の要請に応えるように、『隠れ将』豊臣秀吉が、信長の全身を覆うかの如くその身に覆いかぶさった。たちまちの内に、秀吉の黒い粘液が信長の全身を、そしてその刀までもを覆っていく。
「ぐれいずもんきー、あずちじょうかいじん……うっ、頭が!」
そんな秀吉と信長の姿を見て、思わず頭に手を当てたのは加賀・琴(羅刹の戦巫女・f02819)だ。
「……何故でしょう。彼らが不倶戴天の敵に思えます」
「彼らはオブリビオン、私達の敵。だから当然の事」
望月が淡々とそう指摘するが、琴は頭を横に振った。
「いえ、敵には違いないのですが前世の因縁を感じるといいますか、彼らの所為で闇堕ちした記憶が」
琴は、望月が怪訝そうな顔を浮かべるのを見て、再度頭を振り、あるはずのない記憶を振り払う。
「……だから私は何を言ってるでしょうね?」
「大丈夫? まずは私から、行く」
記憶の混乱が見られる琴を気遣ってか、望月が無銘刀を構え、先に信長に仕掛けた。……いや、仕掛けようとした。
「うつけが。遅いわ」
望月と琴が言葉を交わすのを黙って見ているほど、信長は気が長くも甘くもなかった。望月が動き出すよりも速く、黒粘液で覆われた長刀を構え、望月へと斬りかかる。その迷い無き動きは、正に電光石火。
それでも、瞬時に無銘刀を構え長刀を受けたのは、望月の天才たる所以だろう。
だが、黒粘剣戟術によって摩擦抵抗を極限まで減らした長刀は、無銘刀の刀身を滑り、受け止めきることができない。
「ふんっ!」
信長の長刀が、を受けきれずに姿勢を崩した望月の肩を深々と切り裂いた。
「望月さん!」
琴が、肩を押さえる望月を援護すべく『和弓・蒼月』に矢をつがえる。
「サルよ、その巫女めはお前に任せる」
『フェン!!』
直後、信長の背後に浮かび上がっていた秀吉の姿が消えた。いや、まるで溶けるように無数の小さな秀吉に分裂したのだ。分裂した秀吉達は一斉に、弓を構える琴に殺到していった。
「粘液になったり分裂したり……。グレイズ……いえ豊臣秀吉、どこまでも非常識な存在ですね」
琴は津波のように押し寄せる小型秀吉軍団から逃れるために、宙へと舞い上がった。秀吉軍団は琴の落下を待ち構えるようにその足元に群れ集うが、琴は空中に浮かんだまま、いつまで経っても落ちてはこない。
琴の纏う『天女の羽衣』は、身に纏った者に天を舞う身軽さを与えると伝えられている。それは決してただの伝説などではなく、実際に琴に空中浮遊の力を与えていた。
宙に浮かんだまま琴は、『和弓・蒼月』を眼下の小型秀吉達に向け構える。
「遠つ御祖の神、御照覧ましませ」
そして放たれた破魔の矢は、空中で210本の矢に分裂、一斉に小型秀吉達に向けて降り注いでいった。
『フェン!? フェンフェンフェン!!』
分裂した代償として耐久力は無きに等しい小型秀吉達は、破魔の矢に射ち抜かれて次々と消滅していく。それでも三分の一ほどの小型秀吉は辛うじて矢をかわし、今度は跳び上がって琴に襲い掛かろうとしたが、
「まだ終わりではありませんよ。破魔の祈りを込めたこの一撃で、射貫いていきますっ!」
琴は、秀吉に反撃の隙を与えない。機械のように正確な早業で再度矢を番えると、即座に狙いをつけて、もう一射。
再び降り注いだ210本の矢が、今度こそ完全に、小型秀吉軍団を消滅させていった。
「む? サルめが、苦戦しておるのか」
そして、信長の気が、一瞬だけ逸れた隙を望月は見逃さなかった。肩の痛みを堪えて、無銘刀を構える。
(「……とはいえ、あれだけ黒粘液に覆われていては、敵の剣を受けることもままならない」)
そのことは、先程の一撃で経験済みだ。しかしそれを理解した上で、望月は敢えて信長へと斬り込んでいった。
「まだ来るか。懲りぬ忍びよ」
信長が、望月の斬撃が届くより前に長刀を振るう。望月が無銘刀でその斬撃を受け止める。そこまでは、ほぼ先程と同じ展開だ。
だが、
(「摩擦抵抗がほぼ無い、なら敵の剣戟を刀で受けたとき、敵の剣は先ほどと同じようにこちらの刀に沿って滑る、はず」)
望月は敢えて信長の長刀を無銘刀に沿って滑らせ、自分への軌跡から逸れるように誘導した。受け止めるのではなく、受け流す。果たして信長の長刀は、望月を逸れて虚しく空を斬った。
「ほう。少しは物を考える頭があったようだな。しかし!」
信長は驚異的な膂力で長刀の軌道を強引に変え、再度望月を切り裂こうとする。
「けれど、今度はこちらが速い。《雷》《領域》――悉く撃ち滅ぼす」
信長の長刀が届く前に、望月は【雷遁・霹靂の圏】を発動させていた。轟音と共に、望月を中心に雷光が荒れ狂い、至近距離にいた信長をも飲み込んでいく。
「ぬおおおっ!!」
たちまち信長の全身を雷が駆け巡り、その身に纏っていた黒い粘液を焼き払っていった。
「……なるほど。魔軍将共が手を焼いたわけよ。猟兵の力、侮れぬな」
長刀を杖代わりに雷撃に耐えきった信長は、言葉とは裏腹に、愉快そうに獰猛な笑みを浮かべたのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
鳳鳴・ブレナンディハーフ
・終始主人格
仏敵・織田信長!
第六天魔王などという名乗りは実に耳障り
かつて貴様に殺された僧侶達の分まで……
拙僧が調伏してくれるわ
だがその前に目障りな猿を
火照・火威で灼滅する!
UC使用を最優先、使用する機会を得られるまで防御に徹する
UCで召喚した火の鳥の上に乗り飛行
召喚された秀吉達を分断するように炎で地形を包み集団行動を妨害する
その後、秀吉を炎の羽根で直接攻撃し数を減らす
飛行するなどして近寄ってきた秀吉は武器で凪払うぞ
遠距離攻撃で狙われないように常に移動する
本能寺のように焼き払ってくれよう!
連携歓迎
信長への攻撃は味方に任せたいが
誰もいなければ秀吉を残り五体以下まで減らした後、空中から切り込む
アルトリウス・セレスタイト
忠臣に恵まれたな
避け得ぬ先制は纏う原理――顕理輝光を全力で運用し対処
『天光』『天護』で攻撃を確実に捕捉
『超克』で”外”から汲み上げた魔力を用い『励起』『解放』で個体能力を一個の生物の極限まで引き上げ、『無現』『虚影』で捌きつつ行動
界離で時の原理の端末召喚。魔力を溜めた体内に召喚し自身の端末機能を強化
自身を信長が討たれた後の時間に置いて全ての行動の影響を回避する
攻撃は近接しての打撃戦
『天光』『天冥』にて逃すことなく捉え、『討滅』の死の原理を乗せて「触れる」
摩擦が無くとも問題はない
界離で自身の時間を何億と重複させてその回数分を撃ち込み、『再帰』で撃ち込んだ死の原理を無限に循環
一度で仕留めに行く
●原理と信仰と
「仏敵・織田信長! 第六天魔王などという名乗りは実に耳障り。かつて貴様に殺された僧侶達の分まで……拙僧が調伏してくれるわ」
駆け付けるなり信長にそう言い放ったのは、剃髪した僧侶姿の鳳鳴・ブレナンディハーフ(破戒僧とフリーダム・f17841)だった。
「ふん、坊主がこのようなところまでやってきおったか。貴様如き、儂が相手をするまでもない。サルよ、任せた」
『フェン! フェンフェン!』
先程までの戦いでいったんは蹴散らされ一体に戻っていた秀吉が、再び小型の秀吉へと分裂していく。秀吉軍団は汚名を返上しようとするかのように、一斉に鳳鳴へと飛びかかっていった。
「心頭滅却すればこの程度の攻撃、耐えきれぬものではない!」
対する鳳鳴の策は単純明快。それはひたすらに耐えきる事。数々の苦行に耐えてきた僧侶だからこその荒業といえるだろう。
「この目障りな猿は拙僧がなんとかする故、信長めは任せたぞ」
「わかった、可能な範囲で協力しよう」
そう返したのは、共に大広間へとやってきたアルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)だった。
「織田信長――忠臣に恵まれたな」
「ふん、それこそが天下人の資質というものよ。サル、儂に今一度力を貸し与えよ」
分裂していた秀吉軍団の何体かが即座に信長の下へと駆け寄り、信長の全身を黒粘液で覆い尽くしていく。
「冥土への土産に、我が黒粘剣戟術、受けてみるがよい!!」
そして目にも止まらぬ速度で、アルトリウスへと斬りかかっていった。
「避け得ぬ攻撃といえど、原理――顕理輝光を用いれば」
対するアルトリウスは、世界が構成される前の法則『原理』を用いて、信長の攻撃を防がんとする。
まずは、万象を見通す瞳となる全知の原理『天光』と、望む全ての未来を照らす標となる希望の原理『天護』でもって信長の攻撃を捉え。
最古の理が尽きぬ力を生む創世の原理たる『超克』をもって”外”から汲み上げた魔力を用い。
存在に眠る威を呼び覚ます嚆矢となる創造の原理『励起』と、境界を超え全を己とする道となる自由の原理『解放』をもって自らの能力を極限まで引き上げる。
「ぬう?」
予想外に初撃を捌かれた信長が、顔をしかめる。
存在を覆う繭となる否定の原理『無現』と、誰にも捉えることを許さぬ影となる流転の原理『虚影』。この2つを用いれば、捌けぬ攻撃はないはず。
だが、
「愚かなり! 儂は織田信長。第六天魔王にして、世の理すら超越した存在よ!!」
信長が、捌かれた長刀を返し、第2撃。
「む……」
さらに矢継ぎ早に繰り出される長刀の前に、次第にアルトリウスの守りに綻びが生じ、その全身に無数の切り傷が刻まれ始める。
「どうした猟兵よ。その程度の実力で儂に挑もうとは、片腹痛し!」
守勢に追い込まれたアルトリウスと、小型秀吉の群れに飲まれ姿も見えなくなった鳳鳴を相手に、勝ち誇る信長だったが。
「仏敵は……この火照火威で否定する!」
秀吉軍団の中心で鳳鳴の声が響き渡ると同時。秀吉達を吹き飛ばしながら、炎で形作られた巨大な鳥が飛び出した。
その背には、秀吉達の攻撃にひたすら耐え抜き全身傷だらけの鳳鳴の姿。
『フェン? フェンフェン!!』
そして、ざわつく秀吉軍団を分断するように、畳を割って炎が噴き上がっていく。
「さあ、本能寺のように焼き払ってくれよう!」
鳳鳴がそう叫べば、火の鳥が大きく羽ばたき、触れた小型秀吉達を焼き払った。秀吉達も負けじと体を毬のようにして跳び上がり、火の鳥とその上に乗る鳳鳴を打ち落そうとするが、
「仏敵退散!!」
鳳鳴は逆に近寄ってきた秀吉を『本連数珠本水晶供仕立』をもって叩き落していく。
鳳鳴と火の鳥の猛威の前に、いつしか小型秀吉軍団は、一体も残さず炎の中に消えていった。
さらに、
「顕せ」
アルトリウスがただ一言そう呟けば。その身の内に召喚された『時の原理の端末』が、アルトリウス自身の端末としての機能を強化。
「うぬ?」
一方的に斬られ続けていたアルトリウスに攻撃をかわされ、信長が目を見開く。
「貴様、これはどういうカラクリだ」
「言っても理解はできぬだろうよ」
――自身を信長が討たれた後の時間に置き、全ての行動の影響を回避する。
『原理』を知らぬ信長には、到底理解できないはずだ。
さらにアルトリウスは、見定めた未来を手繰り寄せる腕となる因果の原理『天冥』をもって信長の動きを捉え、相対する者の破滅を告げる兆しとなる死の原理『討滅』を己の手に乗せて信長の腹部に触れた。
「ぬうっ!? これは!!」
途端に、信長が腹部を押さえ苦しみだす。だが、アルトリウスの攻撃はこれだけでは終わらない。
「『触れる』だけなら摩擦も関係ない。死の原理をその身に直接叩き込んでやろう」
【界離】で自身の時間を何億と重複させ、その回数分を信長の身にそのまま撃ち込み、無限を為す礎となる循環の原理『再帰』で撃ち込んだ死の原理を無限に循環させていく。
恐らくアルトリウス以外に理解できるもののない理論をもって、信長を骸の海へと返さんとしたアルトリウスだったが、
「小賢しい! 儂は一度死して骸の海より蘇りし者。死の理を超えた存在よ。億の死を迎えようと、億の復活を遂げてくれようぞ!」
信長もまた、死の限界を超えた力をもって、死の理を押し返したのだった。
苦戦
🔵🔵🔴🔴🔴🔴
フィリオ・グラースラム
敵の総大将さんだけあって
攻撃を当てるのも簡単ではなさそうですの
ここは最大火力の1撃をお見舞いしてみせましょう
黒槍が飛んで来たら、後方に飛び退きながら
『属性攻撃』で雪ちゃん(ドラゴンランス)の穂先に氷を纏わせ
突撃槍のような形にしますわ
突撃槍の形になったら
それを構えて、突撃ですのよ!
フィオは体が小さ…あまり大きくありませんから
当たる槍は多くないはず
突撃槍で黒槍を弾き飛ばしながら
弾けないものや致命傷になりそうなものだけ『見切って』
駆け抜けますの
何があっても足は止めません
もしも穂先の氷が砕けたのなら
その氷片を目くらましに
雪ちゃん本体で『串刺し』ですわ
(UC発動)
フィオたちの全力をくらうといいにょです!
彩瑠・理恵
豊臣秀吉、あれがですか?
初撃の黒槍はバベルブレイカーを盾にして致命傷を避けます
バベルブレイカーはこの際、壊れても構いません!ですが、この後反撃する余力が残るよう少しでもダメージを避けますっ
初撃を凌げたらダークネスカードで防御力重視で【闇堕ち】です
朱雀門制服と鮮血槍と鮮血の影業に変わるわ
ハハッ!秀吉がグレイズモンキーなのに信長は安土城怪人じゃないのね!
まぁスキュラやグレート定礎の部下だった安土城怪人じゃフォーミュラとは呼べないものね!
黒槍に対して鮮血の影業から血の杭を伸ばして迎撃し、あるいは鮮血の影業を盾にしてある程度被弾覚悟で突っ込むわ!
接近したら鮮血槍で突くわ
慄け咎人、今宵はお前が串刺しよ!
ユリウス・リウィウス
そろそろ宴もたけなわってやつだ。あんたの夢もここで終わりだよ、魔王。
「見切り」「武器受け」「盾受け」で、初手の黒槍による攻撃を可能な限り受け流す。そして「カウンター」として、「生命力吸収」「精神攻撃」「鎧無視攻撃」「鎧砕き」をのせた虚空斬で牽制する。
こちらの番だな。「生命力吸収」「精神攻撃」「恐怖を与える」死霊の霧を展開。
亡霊騎士団を喚起し、霧の中を彷徨わせて、人影で奴を惑わせる。自身は霧に紛れて、信長に再び虚空斬を叩き込む機会を伺う。
「精神攻撃」の悪意の怨霊を放ち、更に信長の混乱を助長する。
信長が屍人に攻撃を仕掛けた瞬間を狙って、こちらも虚空斬を撃ち込む。攻撃の瞬間こそが一番無防備だからな。
●無数の槍を超えて
「むう。よもやこの儂が、これほどに傷つけられるとは」
腹部を押さえながら、信長が呻く。これまでの猟兵の攻撃を悉く退けたとはいえ、受けた傷は決して浅くはない。加えて、憑装した秀吉の力も大分弱まってきており、背後に浮かぶその姿も一回り小さくなっていた。
「豊臣秀吉、あれがですか?」
想像していたものとは大きく異なる秀吉の姿に、彩瑠・理恵(灼滅者とダークネス・f11313)が戸惑ったような声を上げ、
「随分と盛り上がってたようだが、そろそろ宴もたけなわってやつだ。あんたの夢もここで終わりだよ、魔王」
ユリウス・リウィウス(剣の墓標・f00045)が、どこかかったるそうに信長に宣告する。
「笑止。手傷を負ったからとて、まだまだ貴様らに後れを取るこの儂ではないわ」
信長は、鋭い視線を猟兵達に向けると、ゆったりと長刀を構えた。
「敵の総大将さんだけあって、攻撃を当てるのも簡単ではなさそうですの」
その構えに、フィリオ・グラースラム(煌氷の刃・f10324)が猫のようなその小さな体をぶるっと震わせる。
「もはや語るべきことも無し。まとめて串刺しにしてくれん!!」
信長は、秀吉を融合させた禍々しい鋼鎧から無数の黒槍を生み出すと、猟兵達が反応するよりも速く、一斉に解き放った。放たれた黒槍は、超高速をもって猟兵達目掛けて飛来する。
この攻撃に対し、理恵は巨大な杭打ち機である『バベルブレイカー』を盾代わりに構えて、受け止めた。バベルブレイカーに次々と槍が突き刺さり、その本体に幾重にも亀裂が生じていく。
「バベルブレイカーはこの際、壊れても構いません!」
この後反撃する余力を、少しでも残せるように。理恵は可能な限り自身へのダメージを軽減するように立ち回る。
「ああ、かわすのも受けるのも面倒くせえ」
同じように、ユリウスもショルダーアーマーやマントを駆使して身を守っていた。それでも防ぎ切れない攻撃は、両手に構えた黒の双剣『ソウルサッカー』と『ライフイーター』で可能な限り受け流していく。
「雪ちゃん、出番ですのよ」
フィリオは後方に跳んで槍をかわしつつ、ドラゴンランスの雪ちゃんこと『ユーキオーングランオルム』の穂先に氷を纏わせ、突撃槍のような形に変えていった。フィリオはその間にも、小柄な体を活かして槍と槍の間を縫うように次々と槍を避けていく。
3人とも、それでも防ぎ切れない槍で全身に傷を負っていくが、どのみち長期戦は想定はしていない。今は、反撃を繰り出せるだけの力を残すことだけに集中する。
「とはいえこのままじゃきりがない。そろそろこちらの番といこう」
槍を払いのけつつ、ユリウスが双剣から放ったのは周囲を覆い尽くす霧だった。それは、室内で発生したことを除けば何の変哲もない霧。だが、信長の意識を逸らすには十分だった。
「おのれ、目くらましを」
信長の槍の攻撃が、一時的に止む。
その隙にダークネスカードを取り出した理恵は、
「リエ、この身を貴女に委ねます」
【闇堕ち】し、もう一つの人格であるリエと入れ替わった。
同時にその身に纏う制服が10年以上前に廃校になった朱雀門高校のものに変わり、合わせて先程までの黒槍の攻撃で出来た傷から流れ出た血を『鮮血槍』へと形作り、手に構えた。
「ハハッ! 秀吉がグレイズモンキーなのに信長は安土城怪人じゃないのね! まぁスキュラやグレート定礎の部下だった安土城怪人じゃフォーミュラとは呼べないものね!」
人格が入れ替わったと同時にリエが放った言葉は、あいにくとユリウスとフィリオには理解できなかった。それは信長も同様だったらしく、
「女、貴様が何をさえずっておるのか、儂には皆目分からぬわ。貴様の言葉に比べれば、まだサルやそこなネコの鳴き声の方が意味が分かるというもの」
長刀を振り回して霧を払いつつ、嘲るような声を上げる。
「むー、褒められてる気がしないんですの」
フィリオは頬を膨らませると、突撃槍の形になった雪ちゃんを構え、突撃を開始した。
「来るか、猟兵。この黒槍にて殲滅してくれん」
信長が、再び鋼鎧から生み出した黒槍を撃ち放った。フィリオは小さな体を活かして槍の間をすり抜け、或いは突撃槍で弾き飛ばし、どうしても弾けないものや致命傷になりそうなものだけを見切って、駆け抜けていく。何本かの槍がその小柄な体を掠め、血が滲んでも、フィリオは決して足を止めない。
「さあ、この世界の信長の力、どれほどのものか試してあげるわ!」
リエも、飛んでくる黒槍を足元の血だまりから血の杭を伸ばして迎撃し、或いは血の盾としながらフィリオの後に続いた。リエもまた、防ぎ切れない黒槍に体を裂かれても、足を止めることはしない。
「俺一人出遅れってわけにもいかんな、これは」
ユリウスが、霧を放ちつつ二人の後に続く。その霧に再び包まれた信長は、
「儂に同じ手が何度も通用すると思うたか!」
真っ先に背後に迫ってきた影目掛けて、長刀を振り抜き、切り裂いた。しかし、見ればそこには誰の姿もない。
「うぬっ、これは!!」
「俺の精神攻撃が効いたようだな」
信長がユリウスの放った亡霊の幻影に惑わされている間に、フィリオが信長の懐に飛び込んでいた。
「さあ、雪ちゃんで串刺しですわ!!」
フィリオが渾身の一撃を繰り出すが、
「で、あるか!!」
信長は恐るべき速度で長刀を振るい、雪ちゃんの穂先に纏わせていた氷を粉砕した。粉々に砕け散った氷は無数の氷片となって信長に振り注ぐ。信長が、一瞬その氷片に気を取られた隙に。
「フィオたちの全力をくらうといいにょです!」
フィリオが力の限り突き出した『ユーキオーングランオルム』が信長の腹部を貫き、
「慄け咎人、今宵はお前が串刺しよ!」
リエの『鮮血槍』が、信長の胸を貫いていた。
「……もはや是非もなし。なればせめて、貴様達だけでも道連れとしてくれよう」
死を悟った信長が、口から血を吐きながらも長刀を振るう。その一撃は、飛び退こうとしたリエを袈裟切りに切り裂いたが、致命傷には程遠い。そして、
「攻撃の瞬間こそが一番無防備だからな。禍太刀の一閃だ。喰らっとけ」
信長が長刀を振り抜いた瞬間にユリウスが横薙ぎに振るった双の黒剣が、信長の銅を鋼鎧ごと真っ二つに切り裂いていた。
「所詮は此度の戦も、夢幻の如くであったか……」
そんな呟きを残して。
第六天魔王『織田信長』はそのまま、物言わぬ骸と化したのだった。
成功
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