エンパイアウォー㉞~強きこと虎の如し
●彼の王を討て
「とうとう本丸、魔空安土城に乗りこむときが来た」
己のグリモアを通してサムライエンパイアの情景を透かし見ていたプルート・アイスマインドが、ぎゅっとその宝玉を握りしめる。
第六天魔王『織田信長』の居城は、守りきった首塚の一族によって地に落ちた。
安土城には信長軍の本隊も残っているが、そちらは万全の状態にある幕府軍が抑えておいてくれる。猟兵が成すべきところは信長の討滅ただひとつだ。
「決着は近い。しかし相手も魔王、このまますんなりと倒されてはくれないだろう」
信長とて天下に手をかけた男。
戦の趨勢、己に敗北が迫っていることはとうに見通しているだろう。
だがだからこそ、猟兵との戦いには持てる力のすべてを投じてくるはずだ。
戦局をひっくり返すには、それしか道がないのだから。
「信長は秘術『魔軍転生』を用いて、魔軍将『武田信玄』を自身に『憑装』させている。
その力は破格。おまえたちとて下手を打てばたちまち敗れてしまうだろう。
……だが、わかっているよ。それが何だと、おまえたちは言うのだろう?」
声音に笑みを含ませて、プルートがグリモアを放り上げる。
淡い輝きが、猟兵たちの体を包みこんだ。
戦地へ、魔空安土城へ、転移が始まる。
「行ってこい猟兵たちよ。いまだ現世に留まらんとする魔王に、引導を渡してやれ!」
●遊興に笑う
安土城を侵食する炎。
階下に聞こえる剣戟の音、銃砲の音、兵士の裂帛。
第六天魔王『織田信長』は瞑目して、その戦の空気に浸っていた。
まるで歌曲でも楽しむように。
「エンパイアを滅ぼし、渡来人共の『グリードオーシャン』をも侵略する道筋は、これでほぼ絶たれたか。血塗られし彼奴らの神が如何程の物か、確かめてみたかったがな」
つまらなさそうにこぼした信長が、ゆっくりと眼をひらく。
その背後には、軍配を携えた甲冑姿の虎が唸っている。
畏怖すら抱かせる虎の咆哮を聞きながら、信長は狂ったように大笑した。
「さて、もはや儂に万にひとつの勝ち目も無かろうが……。
億にひとつでもあるのならば、賭けてみるのも一興よ」
滅びの足音を感じながら、魔王が腰の長刀をすらりと抜く。
欲するものを掴み取るために。
迫りくる猟兵の気配に、信長はやはり笑うのだった。
星垣えん
武田信玄……動画映えするようになりやがって……。
というわけで、いよいよ戦争も最終局面。
信長を倒し、泰平の世を取り戻しましょう!
しかし戦国ドリームチームだなあ。
プレイングは公開時点から受付です。
それでは皆様のプレイング、お待ちしております。
以下、本シナリオの特殊ルールとか!
◆====================◆
第六天魔王『織田信長』は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
◆====================◆
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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第1章 ボス戦
『第六天魔王『織田信長』信玄装』
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POW : 風林火山
【渦巻く炎の刀】【黒曜石の全身甲冑】【嵐を呼ぶ樹木の翼】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD : 甲斐の虎
自身の身長の2倍の【白虎状態に変身した武田信玄】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ : 武田騎馬軍団
レベル×5本の【武田軍】属性の【騎馬武者】を放つ。
イラスト:UMEn人
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
セプテンバー・トリル
この世界の平和の為、決着をつけましょう!
【WIZ】連携・アドリブ歓迎
まずは【ガイドロッド】で手持ちの重機たちを召喚し【操縦】して、敵の騎馬武者にぶつけますわ。
その後に【全力魔法】と【高速詠唱】の併用で氷の【属性攻撃】魔法を発動。
【誘導弾】として敵の全方位へ魔法をばら撒いて牽制します。
隙が出来たら、UC【剛拳突撃】でナックルダンパーを叩き込みますわ。
私たちは今を護る者。
そして未来への道を切り拓くのが我が使命。
その為にも、過去には退去していただきます!
吉柳・祥華
アドリブ・連携可
◆心情
まさかのまさか…武田の信玄が虎だったとはのぉ
まぁよいこの戦で全てが決まるのじゃな…
織田の世界も見たい気もしたが
◆先制
まずはあの騎馬の足を封じようかのお
「おぬしが虎なら妾は龍なのじゃよ…いや、信長公ならどれも可能かのぉ…」
範囲攻撃でのユーベル使用
「ふふふ、どうじゃ? これで足はでまい…」
まぁ、全ては抑え込むのは無理かのぉ…
※高速詠唱×二回攻撃×衝撃波×なぎ払い×吹き飛ばし等で応戦
ユーベルから抜け出た騎馬には
空中浮遊からのスピリット・レイン・ボウで攻撃、または援護射撃等行う
※クイックドロウ・スナイパー・だまし討ち・部位破壊・2回攻撃等その他もろもろの技能フル回転ざんしよ
「まずは貴様らが相手か」
長刀で風を斬り、信長が泰然と猟兵たちを迎え撃つ。
その立ち姿はまさに威風堂々。
負け戦を悟りながら、しかしその貌には悲壮も諦念も見えはしなかった。
だが、それしきで、怯む猟兵などこの場にはいない。
「この世界の平和の為、ここで決着をつけます!」
縦ロールのツインテールを賑やかに揺らし、セプテンバー・トリルが戦場に飛びこむ。
そのまっすぐに向けられた強気な瞳に、信長は口端を吊り上げた。
「その意気は買ってやろう。しかし儂の邪魔立ては許さぬ」
信長の刀が天にかざされる。
するとどこからか虎の咆哮が響き、同時に突如として何百という騎馬武者が現れた。
「さあ、儂に武田騎馬の力を示せ!」
「来ましたか!」
赤甲冑の騎馬武者たちが大波のごとく迫る。その突撃に抗するべく、セプテンバーは誘導灯――ガイドロッド【赤熊】を構えた。
が、彼女がそれを振るう前に、騎馬武者の進路上に優美な人影が舞う。
「おぬしの治めた天下を見たい気もしたが……まぁ、そう言ってはおれんからのぉ」
羽衣『彩天綾』の七色をなびかせ、騎馬武者の波に立ちはだかるは吉柳・祥華。
両の掌を武田軍の足元に向けて、祥華は微笑んだ。
「おぬしが虎なら妾は龍なのじゃよ……いや、信長公ならどれも可能かのぉ……」
そう告げながら、掌から粘ついた液体を放射する祥華。
手ずから作ったトリモチを含んだ液体は騎馬の脚を見事に絡めとり、先頭の騎馬武者は転倒する馬から放り出されて顔から床に落ちた。さらに後続の騎馬武者も横倒しになった馬や人につまずき、連鎖的に崩れてゆく。
崩壊した武田騎馬の姿を見て、信長が片眉を上げる。
「脚を狙うか……常道よな」
「ふふふ、これで足はでまい……」
「やりますね、祥華さん! では私もひとつお手伝いしますわ!」
祥華の隣にスライドしてきたセプテンバーが、いったん引っ込めていた誘導灯をぐるんぐるんと振り回した。
すると何ということでしょう。
地鳴りのような騒音をあげて、ショベルカーやクレーン車、ブルドーザー等々……セプテンバー所有の重機群【ディビジョンズ】が城の中に召喚されてしまった。
「さあ、武田軍を地ならしですわ!」
「ぐああああっ!!?」
「な、なんだこの物体はぎががが!!」
重機たちが床板をミシミシ鳴らしながら、騎馬武者をぷちぷち潰してゆく。
文字通りすぎる蹂躙だった。
「床が無事であることが不思議に思えるのじゃが……」
「気にしても仕方ないですわ!」
微笑は保ちつつも呆然と立ち尽くす祥華を置いといて、セプテンバーが誘導灯をまっすぐにかざす。
向く先は言わずもがな、信長。
「私たちは今を護る者。そして未来への道を切り拓くのが我が使命。
その為にも、過去には退去していただきます!」
ガイドロッドから新たな重機、ナックルダンパーが飛び出す。猛スピードで突撃したナックルダンパーは、防御に構えられた両腕の上から信長の体を吹っ飛ばした。
後方に飛んでゆく体を、床板の溝を掴んで何とか止める信長。
しかし息をつく暇もなかった。
上方に気配――信長が顔を上げる。
「がら空きじゃぞ? 信長公」
ふわりと舞うのは、やはり羽衣。
己が手で創った弓矢『スピリット・レイン・ボウ』を引き絞る祥華が、そこにいた。
「……儂の上に立つか。不届きな神よ」
「神を下とするとは、天晴よな」
放たれた一矢が、信長の肩を貫いた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
天春御・優桃
塵風、纏い駆ける。
虎が地に伏せるなら、竜は空を駆けるしかねえだろ。戴天空刃、転地鉄塵を展開して、刃にする。
【空中戦】【ダッシュ】【ジャンプ】【ダンス】重ねて攻撃をかわす。床、天井、壁、空中すら足場に【地形の利用】、手足の刃で攻撃だ。
【存在感】【誘惑】で攻撃を誘い、出来るだけ【時間稼ぎ】
こいつは、きっと俺じゃあ倒せない。なら、他の奴が攻撃しやすいよう、好きに動けるよう攪乱してやる。
流石天下人。見抜くか。だが、見抜いた所で、何ができる?
俺を無視するってんなら、構わねえさ。背後には気をつけな。
さて、どう転ぶか。
知らねえが、やりたい事だけはさせてもらうぜ、信長さんよ。
アドリブ歓迎
仇死原・アンナ
アドリブ絡み共闘OK
あれが敵将第六天魔王…
貴様を再び冥府へ送り返す為に
処刑人として[覚悟]を決めて挑もう…!
「処刑執行人が一族、仇死原アンナが相手する…!」
[存在感と威厳]を放ち[パフォーマンス]をして対当しよう
翼の嵐は鉄塊剣を地面に突き刺し盾にして吹き飛ばされないように[地形の利用と力溜め]で耐える
刀による炎は[火炎耐性とオーラ防御]を纏い鉄塊剣での[武器受け]で耐え抜く
無事に耐え抜いたら[怪力、属性攻撃、衝撃波]による【火車八つ裂きの刑】を叩きつけて、その身に纏う全身甲冑を[鎧砕き]で破壊し地獄の炎で八つ裂きにしてやろう…!
地獄の炎に包まれ、冥府に戻るがいい…!
肩を押さえた信長が、突き立てられた矢を抜く。
「なるほど強い。だがこれしきで儂の大望、阻ませはせぬわ!」
信長の気炎に応じるように、長刀が炎の渦を纏う。
同時に全身甲冑は黒曜石のような輝きを発し、背部には翼を象ったような樹木が生えて、信長の戦闘力が高まってゆく。
息苦しいプレッシャー。
だがその中で、仇死原・アンナは一歩も退かない。
むしろ、床に禍々しき大剣『錆色の乙女』を突き立て、仁王立ちしてみせた。
「処刑執行人が一族、仇死原アンナが相手する……!」
「ほう、堂々としたものよ。だが!」
にやりと笑った信長が、樹木の両翼を羽ばたかせる。
途端、豪風が吹き荒れた。
城ごと飛ばしかねない風力にアンナの体が晒される。しかしアンナは錆色の乙女を盾にして風を凌ぎ、その場に留まりつづけた。
「この程度か、第六天魔王……」
「死を望むならば、そうしてくれよう」
長刀に渦巻く炎が爆ぜる。炎は翼が生む風に溶け、瞬く間に赤い大蛇と化した。
アンナの無骨な板金鎧がみるみる焦げてゆく。
「ぐっ……!」
「そのまま鎧の中で焼け死ぬがいいわ」
炎熱で赤々と色を変えた鎧を見ながら、高笑いする信長。
しかしその背後――一陣の風が、吹いた。
「女の相手ばかりしてねえで、俺も構っちゃもらえねえか?」
軽口を告げて現れたのは、天春御・優桃である。
手足に塵鉄を巻きこんだ風を武器として纏った神が、その刃でもって信長の首を刈り取らんと踵を振り下ろす。
だが信長は振り返ることもなく横転してかわすと、魔王の瞳で優桃をねめつけた。
「信玄よ。次は彼奴を討つぞ」
そう呟くや否や、傍らの空間が歪む。
そして次の瞬間には、現出した巨大な白虎が恐ろしい咆哮をあげていた。
「噛み殺してくれようぞ。男神」
信長を乗せた白虎――信玄が優桃めがけて猛然と駆けてくる。
その速度たるや、尋常ではない。まともに地上で応戦しては勝ち目はないと判断した優桃は、手足にまとう風を吹かし、その体を浮遊させた。
『グァァァァァ!!!』
白虎の牙が優桃の体に肉迫する。
が、牙は空振りし、互いにかち合っただけだった。
優桃の体ははるか上、天井に移動していた。
「それで俺を喰えるか?」
天井を蹴った優桃が壁に飛び移る。そしてまた対角の壁へ。
右へ左へ。
上へ下へ。
それはまるで乱反射する光のように、滅茶苦茶な軌道で信長を翻弄する。
「俺が見えるか、信長さんよ」
「……愚問」
信長が長刀を振るう。
すると刀身が何かとかち合う。
優桃の手だ。
鉄風をまとった彼の手が、信長の刃を喉元寸前のところで止めていた。
「……流石天下人。見抜くか」
「当然よ」
ただ一言、信長はそう返していた。
しかし、首を落とされかけた優桃の顔には、冷や汗ひとつなかった。
「忠告をくれてやるぜ」
「……儂に忠告?」
「背後には気をつけな」
その言葉を聞いた瞬間、信長の背後に燃え上がるような熱が昇る。
振り返った信長が目にしたのは――錆色の乙女を両の手で振りかぶる、アンナ。
信長の炎を耐え抜いた処刑人の剣は、己が地獄の炎で燃えていた。
「貴様……ッ!」
「冥府に戻るがいい、第六天魔王……!」
一閃。
全力で振りぬかれた大剣が真一文字に宙を裂き、扇状に炎の嵐がひろがった。
突き抜けた炎は信長を呑みこみ、辺り一帯を火の海と変える。
しかしそれでもなお、信長は愉しげに笑っていた。
「この焦熱、まさに儂の最期よ! ここを越えてこそ、新しき儂の世が始まるというもの!」
魔王は未だ、倒れていない。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
織部・樒
ザフェルさん(f10233)と行動
オブリビオンとはいえ名だたる武将方と相見える事になろうとは
人として生きていると実に数奇な事が起きるのですね
信長公が白虎に騎乗したら、此方も大神さまを呼び出します
厳しい戦いになりそうですが、どうか宜しくお願いしますね
敵の先制攻撃はいなし、少しでもザフェルさんに注意が
行かないよう、出来れば挑発気味な動きでヒットアンドアウェイ
白虎からの攻撃は基本大神さまに一任、私は信長公と
ザフェルさんの行動に留意して必要に応じ大神さまに
動きの指示を出します
可能なら機動力を妨害したいので後脚を狙うなど工夫します
ザフェルさんの攻撃時はぎりぎりまで引き付けて咄嗟に一時離脱
ザフェル・エジェデルハ
樒(f10234)と連携
アドリブ等OK
いよいよボスのお出ましか
敵とはいえ最後まで戦い抜く姿勢は感服するものがあるな
全力で挑ませてもらおう!
戦場に着き次第【力溜め】をし、敵の攻撃に対して即座に
防御体勢を取れるよう意識を集中する
敵の動きを察知したら【武器受け】や回避行動で攻撃を防ぎ
防御に成功したら【カウンター】攻撃や【吹き飛ばし】ての
間合い確保からUCを撃ちこみ攻撃に転じる
攻撃時も常に【力溜め】を意識
樒のUCに敵が意識を逸らした隙などを活かし
攻撃が最も当たりやすいと感じた箇所の【部位破壊】や
【鎧砕き】を試みながらダメージを与えていく
ここはお前のいるべき世界じゃねぇ
骸の海に帰ってもらうぜ!!
轟々と燃える地獄の中で、タガが外れたように大笑する魔王。
それを炎陣の外から見ていたザフェル・エジェデルハは、小さく口笛を鳴らした。
「敵とはいえ、最後まで戦い抜く姿勢は感服するものがあるな」
過去の亡霊たるオブリビオンゆえか。それとも織田信長という将の器ゆえか。
己の終わりも意に介さぬ胆力に、ザフェルは率直に感心していた。
「オブリビオンとはいえ名だたる武将方と相見える事になろうとは、人として生きていると実に数奇な事が起きるのですね」
ザフェルの隣、置物のように静かに立っていた織部・樒が感慨をこぼす。
ヤドリガミとして目覚めなければ、今でも天下の変遷を傍観する茶碗でしかなかった。そう考えると、今、自分が彼の天下人の前にいることは不思議だった。
……だが思い耽るばかりではいられない。
「それじゃ俺たちも出陣と行くか。頼むぜ、樒」
「ええ、役目はこなしてみせます」
ザフェルの大きな手に背を叩かれた樒が、炎陣の中に駆けこむ。元は窯で焼かれた陶器の身、火が肌を撫でようとも彼は平然と信長の前に躍り出た。
信長は即座に、白虎を駆る。
「駆けよ信玄! 彼の者を滅してやろうぞ!」
「……大神さま。どうか宜しくお願いしますね」
虎を駆る魔王に抗するべく、樒も巨大な狼を召喚する。美しき白金色の毛並みをひと撫ですると、樒はひょいと大神さまに跨り、迫る白虎の牙をかわした。
「ほう、虎の一撃をかわすか。ならば!」
「させません」
すれ違いざま、繰り出された長刀の一振りを錫杖で防ぐ樒。
追撃を振り払った樒は大神さまを走らせて距離を取り、離れたところで反転する。
「儂の初撃を凌ぐとはなかなかのものよな。器のくせにやりよるわ」
「ただの器ではありません。あなたを滅する器です」
「滅するか。ならば滅してみせるがいい、この儂を!」
信長の脚が白虎の横腹を蹴った。
床を砕くほどの勢いで飛び出した信玄の巨大な爪が、横に跳んで避けようとした大神さまの後ろ脚を抉る。生命力を共有した樒の脚にも灼熱に似た痛みが走った。
しかし、樒とてただ脚を刈られただけではない。
「……どうした、信玄よ!」
バランスを崩す白虎に、信長が問いかける。
見下ろして様子を確認すれば、信玄の後ろ脚に護符が貼り付けられていた。込められた樒の呪力に脚を蝕まれ、信玄は苦しげに唸りつづけている。
樒は、炎陣の外へ声を張った。
「ザフェルさん、今です!」
「待ちわびたぜ、樒!」
高く燃え立つ炎を飛び越えて、ザフェルが重い音を立てて信長の後ろに降り立った。
振りかぶる得物は戦斧。
古代竜語が刻まれたそれを握る手には、有り余る膂力が込められている。樒が信長との交戦を引き受けてくれたおかげで、ザフェルは万全の攻撃態勢を作ることができていた。
「小細工を弄するものよ。だが簡単に儂を斬れると思うな!」
白虎の背を斬り、ザフェルへ向けて体を翻らせた信長が長刀を振るう。
刀身に渦巻く炎が燃え上がり、炸裂してザフェルの体を呑みこんだ。業火がザフェルの衣を焼き飛ばし、逞しい体躯に蛇のように絡みつく。
「さすがは親玉……だがな!!」
その身を炎に巻かれながら、ザフェルは一歩を踏みこんだ。
重い一歩が地を鳴らし、振り上げた戦斧が信長の炎を切り裂く。
「ここはお前のいるべき世界じゃねぇ。骸の海に帰ってもらうぜ!!」
「ぬおおおっ……!!」
全力で振り下ろした刃が、信長の肩を捉えた。
黒曜石の甲冑が砕け、その下の信長の肉体が赤い血を噴かせるのを見て、ザフェルと樒はしてやったりと微笑むのだった。
苦戦
🔵🔵🔴🔴🔴🔴
鎹・たから
教科書に何度も出てきた織田信長
甲斐の虎を宿したあなたは
きっと強いでしょう
ですが、たからは負けません
駆ける白虎を可能な限り【残像、ダッシュ】で避けます
躱しきれぬダメージは甘んじて受けましょう
どんな武将の一撃にも
この身体が折れることはありません
この身に幽鬼を宿します
あなたをほろぼすために
亡くなったいくつもの人々の力を受け継ぎます
【勇気、覚悟】
接近して小柄な身を活かして姿くらまし
腕や脚を狙って手裏剣とセイバーで斬撃を繰り返し機動力を落とします
何度も繰り返した先
空いた背中や懐へ飛び込んで一気にトドメを
【ダッシュ、暗殺、早業、2回攻撃、鎧砕き、部位破壊】
こども達の未来のために
あなたを、ほろぼします
ルエリラ・ルエラ
【アドリブ改変・連携歓迎】
あともう少しだね。
信長を倒してエンドだよ。
虎の信玄を召喚するらしいので、初手は回避する事に集中しよう。
まずは『メカ・シャーク号』を使って〈見切り〉<第六感>に頼って隙ができるまで逃げの一手。加えて『私の戦闘服』に魔力を込めて障壁を最大展開。<オーラ防御>も全開だね。
シャーク号が捉えられそうになったら、『私のブーツ』や『ワイヤーフック』を使って<空中戦>の要領で矢で攻撃。周辺の地形を破壊して砂ぼこりを沢山発生させながら逃げよう。私の<逃げ足>なら、なんとか<時間稼ぎ>できるはず。
砂ぼこりがいっぱい発生したらその中に飛び込んで姿を隠すよ。
そして【アインス】で貫くね。
猟兵との戦いの中で、初めて信長の声に苦しみらしきものが滲む。
炎の戦場に飛びこんできたルエリラ・ルエラと鎹・たからは、そう感じた。
「良い調子みたいだね」
「ですが油断はできません」
たからの無機質な瞳が、血に濡れた信長を見やる。
肩を押さえて表情を崩すその姿からは、泰然とした魔王の威風は薄れてきている。
だがこちらを捉えた彼の眼は、まだ獣のような力強さを覗かせていた。
さすがに天下に名を馳せる将だと、たからは思った。
「ですが、たからは負けません」
「負けぬか。だがそれは儂もよ!」
脚を傷めた白虎を炎で呑みこみ消滅させると、信長が新たに万全の信玄を召喚する。負傷を感じさせぬ身のこなしで軽やかに跨ると、次の瞬間には平然とした顔で虎を走らせた。
「喰らい尽くせ、信玄!!」
「甲斐の虎の力、きっと強いでしょう」
「ならここは逃げの一手だね」
顔を見合わせると、たからとルエリラは散開するように真横に走り出した。
たからは羅刹の脚力でもって韋駄天と化し、ルエリラは宙を浮くサメの乗り物『メカ・シャーク号』に乗って、信玄の爪牙から逃れるべく駆ける。
「すばしこく動きよる。だが捉えることはわけなかろう、信玄?」
『グァァァァァァァ!!!!』
信長の試すような問いかけに、獰猛に唸り返す信玄。
途端、速力を増した白虎がたからとルエリラに襲いかかる。残像すら生む速度で駆けていたたからの横っ腹に体当たりして吹き飛ばすと、返す刀で逆側に突進し、メカ・シャーク号に鋭い爪を振り下ろした。
――が、爪は床板を紙きれのように破り裂いただけだった。
捉えるべきメカ・シャーク号は、ルエリラは天井に突き刺したワイヤーフックに引っ張られて、ふわりと信玄の上方に舞い上がっていた。
「さすが私。そしてこれからすることもすごい」
ルエリラが愛用の弓を絞り、矢を放つ。
飛んでゆく先は信長と信玄……ではなく床だ。突きたった矢は爆裂し、板の破片と粉塵を巻き上げる。
「これは……目くらましか」
「そのとおり」
見上げてくる信長ににやりと笑ったルエリラが、矢の雨を降らせた。そのすべてが床を、壁を崩し、吹きあがった粉塵が濃霧のように信長の視界を覆い隠す。
そこまでしてから、ルエリラは忽然と気配を消した。
身を隠し、遠隔から射るつもりか。
信長が粉塵の向こうに目をこらし、身構える。
だが次の瞬間、背後から尋常ならざる気迫が信長に迫った。信長が反射的に体を横にずらすと、鉛玉のような速度で手裏剣がすぐそばを過ぎ去り、粉塵の向こうで壁に突き立つ音をあげた。
「危うく背を貫かれるところだったわ」
「さすがは織田信長。ですが、次は当てます」
後方の粉塵からゆらりと影が近づき、たからがその姿を信長の前に晒す。信玄の体当たりで強かに壁に激突した彼女だったが、それで気を失うわけもなく、密やかに機会を窺っていた。
たからの双角がぱきりと気を爆ぜさせ、雪の結晶を作り出す。
徳川によって放たれた炎、アンナの炎で安土城は地獄のような熱気だというのに。
「凄まじい冷気よ。それが貴様の力か」
「たからに宿るのは、思い半ばに亡くなった人々の力です」
言下、たからが信長の懐に滑りこむ。
戦国の世で散った者たちを、幽鬼を宿して超強化された力が信長の喉元を掠めた。
「儂の首を狙うとは。欲深な鬼よ」
「ええ、たからは欲深いです。こども達の未来のために、あなたを、ほろぼします」
たからの瞳に迷いはない。
その真っすぐな欲は自分に届きうる刃となる――そう思った信長の手は、考えるまでもなく長刀を振り下ろした。
しかし刃は空を切る。曲芸のように鮮やかに翻ったたからは刀身を避け、その小柄な体を未だ満ち満ちる粉塵の中に潜ませたのだ。
どこに、と信長が左右に首を振る。
その刹那、一条の光が信長の脚部を貫いた。
「ぬっっ!?」
「残念。私もいる」
天井の隅から魔力の矢を撃ちこんだルエリラが、呑気な声にドヤ感を滲ませる。息を潜めていた弓使いは、やはり先程のたから同様に射るべき一瞬を見定めていた。
そして当然、たからも斬るべき一瞬を見逃さない。
「たからは、魔王を討ちます」
粉塵の中から飛び出したたからが懐に潜り、剣を抜いた。
振り上げた剣――玻璃の花は、魔王の胴を縦一文字に切り裂いていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
リヴェンティア・モーヴェマーレ
【華麗なる西風】全部で3人です
アドリブ大歓迎です
Wiz
「…ハム田十勇士…でスか…?」
(キリッとした顔立ちでコクリと頷く甲冑などを被ったりそれっぽく武装したお供の小動物達)
「わかりましタ…では…お願いしますネ」
UCで動物さん達が乗れる馬風の機械兵器を召喚
それに勇ましく乗る動物達
オーラ防御で拠点のような防御壁を作り、そこから援護射撃でハム田十勇士の援護
十勇士は焔さんのガトリングと連携しながら出来るだけ騎馬武者を撃ち落としたり自分達が乗っていない機械兵器を騎馬武者に仕向けたりし先制攻撃を対処
危険が及ぶ場合はオーラ防御内に無理せず撤退
「いのち大事にデス!」
敵に隙が見えたら全力攻撃で畳かけますネ
神薙・焔
【華麗なる西風】
ブッダの軍勢はタイガーに騎乗するという―天台座主沙門に騎乗する第六天魔王とは、なんと冒涜的、アンタイブディズム的であることか―
事前に『ウイングド・ビート』飛行モード。空から攻めれば虎に騎乗されても有利よね、あたしのガトリングガンは魔導機構と胸の焔の動力で、連射力は対戦車機関銃並みよ、敵がタイガーだけに、ね。
…ガトリングが騎馬軍団にもよく効いているよう…そうか、【武田軍】属性には鉄砲が特効なのね(冷静で的確な判断力)、織田信長、あなたの「長篠」現象(ナガシノ・フェノメノン)、利用させてもらうわ。
よーし、仲間たちの力もあって敵は崩れた、リッティちゃんのハム田十勇士も、総攻撃よ!
甲斐・ツカサ
【華麗なる西風】
あんたいぶでぃ…焔ちゃんは難しい言葉を知ってるんだねー
ハム田十勇士も可愛いながらも頼もしいし、この子達が頑張れるようにサポートしないと!
向こうが虎ならこっちは竜!
空から攻める焔ちゃんと連携するように黒銀の竜めいた宇宙バイク"Ray-GuSTAR"で駆け回って信長の注意を惹きつけよう!
勿論ただ逃げ回るだけじゃなく、ワイヤーを信玄に放ったり通路に設置したりして、信玄と騎馬隊の足止めを。
これと鉄砲が加われば武田軍の弱点をつけるはず!
攻勢に転じたら、突撃形態に変形!
光の刃を槍のように伸ばし、星の海を翔ける宇宙バイクで全速前進!
騎乗突撃はそっちだけの専売特許じゃないのさ!
いざ、竜虎激突!
戦場を覆う炎と粉塵が勢いを弱めてゆく。
信長はその身に縦に刻まれた傷に触れると、わずか顔を強張らせた。
「儂を追い詰めるか……この地で討ってみせるか……」
猟兵の力は、想像を超えていた。
それは認めざるを得ない事実だ。
だがなればこそ――魔王は役者じみた仕草で、ドン、と床を踏み鳴らした。
「面白いぞ!! 猟兵よ!!!」
信長が振るった手に軍配の影が乗る。するとけたたましい馬蹄の音が響き、現れた武田の騎馬武者たちが猟兵たちへ突っ込んできた。
神薙・焔と甲斐・ツカサは突撃に備えて、武装を展開する。
「あれが有名な武田の……」
「厄介だね……」
「ええ。どうすれバ……って、皆さん?」
二人の言葉に頷いたリヴェンティア・モーヴェマーレが、足元で騒ぐ何かに気づいた。
甲冑の群れだ。
リヴェンティアのお供を務める小動物たちが、ミニチュアのような甲冑に身を包んで刀とか槍とか旗を振りかざしていた。
何か言ってくるので、じっと聞いてみるリヴェンティア。
「……ハム田十勇士……でスか……?」
キリッとして一様に頷く小動物たち。
その顔に映るのはまさに武将の覚悟である。
戦地でなければ撮影して動画を残しておいたのに、とリヴェンティアは涙を呑んだ。
「わかりましタ……では……お願いしますネ」
リヴェンティアが両手をひろげる。大量の馬っぽい戦闘機械が召喚されると、ハム田十勇士はそれを駆って武田騎馬軍に立ち向かった。
ちょこちょこ走ってくハムスターたちを見て、焔はツカサと目を合わせる。
「ハムちゃんたちは勇ましいけど、サイズ感から見ても勝ち目はないわ」
「そうだね。頼もしいけど可愛らしいし……」
「皆さん! 危なくなったラ日陰に!」
焔のド直球な判断に、真面目に頷くツカサ。しっかり聞いていたリヴェンティアはオーラで防御壁を作り、子供の運動会を見守る母親の気持ちで叫びました。
「サポートするわよ、ツカサちゃん!」
「わかった! 騎馬武者を攪乱してやろう!」
ハム田十勇士を援護すべく、焔とツカサが揃って飛び出す。
だが信長も機敏にその動きを察知し、白虎を駆って二人に襲いかかる。
「何をするつもりか知らんが、好きにはさせぬぞ」
「そうでしょうね。でもそれも計算済みよ!」
「そっちが虎ならこっちは竜!」
肉迫する白虎の爪――だが次の瞬間、二人はその鋭利な刃を鮮やかにかわしていた。
焔は信長と信玄の頭上、インラインスケート『ウィングド・ビート』を飛行モードに転じて、己が心臓を燃やした動力で一気に天井まで飛び上がっていた。
一方のツカサは竜の姿にも似た黒銀の宇宙バイク『Ray-GuSTAR』に跨り、光のような瞬間加速で信長の後方にすり抜けている。
急速な動きの変化に、さしもの信玄の爪も獲物を捉えられなかった。
焔とツカサは互いに不敵に笑ってみせると、目線を武田騎馬隊に向ける。
空を駆ける焔が差し向けたるは……スマートガトリングガンMk.Ⅲの銃口だった。
「あたしのガトリングガンの連射力は対戦車機関銃並みよ、敵がタイガーだけに、ね」
パチンとウインクしてみせて、焔は容赦なくガトリングガンをぶっ放した。無慈悲な弾雨は騎馬隊もろとも床に孔を開け、次々に殲滅してゆく。
まるで歴史の一幕を再現したかのような光景に、焔は小さく呟いた。
「織田信長、あなたの『長篠』現象(ナガシノ・フェノメノン)、利用させてもらうわ」
降りそそぐ鉛玉によって、騎馬武者たちは大混乱に陥った。
少しでも標的にならぬようにと右に左にと騎馬を走らせる者も出てくる。だが不思議なことに、一団を離れようとした騎馬は揃いも揃って転倒してしまう。
「どうした、騎馬武者よ!」
信長が武田騎馬隊に視線を向け、そこで気づく。
彼らを包囲するように、極細のワイヤーが張り巡らされていたのだ。ちょうど馬の脚に引っかかるような低い位置にあるそれは、馬上の武者たちの視界にはまるで映らない。
宇宙バイクを走らせるツカサが、設置していたのだ。
「今だよ、リヴェンティアさん!」
「ハム田十勇士、総攻撃よ!」
「ハイ!!」
ツカサと焔の目配せに、こくりと首を振るリヴェンティア。
同時にちょこちょこと床を駆け回っていたハム田十勇士も、騎馬隊に仕掛ける。ある者は火縄銃を駆使して武田武者を馬上から撃ち落とし、ある者は無人の戦闘機械を騎馬に激突させて足を奪う。
騎馬武者も反撃を試みるものの、ハム田十勇士は尽くそれらを回避してみせた。すばしっこい上に小さい彼らを捉えることは、いかに精強な武田軍とて簡単ではなかったのだ。
武田騎馬軍は、瞬く間に瓦解してしまった。
「なんと。世に名を馳せた武田の騎馬が鼠ごときに……」
「ハム田十勇士でス!」
驚きを隠せない信長を見据え、ドヤっと胸を張るリヴェンティア&十勇士。
ツカサは黒銀の竜を反転させて、蒼い光刃『AZ-Light』を槍のように長く変形させた。
全速。
信長へと突進する。
「騎乗突撃はそっちだけの専売特許じゃないのさ!」
突撃形態の『Ray-GuSTAR』が、信長とすれ違う。
ツカサの携えた蒼い槍は甲冑を突き抜け、魔王の横っ腹を見事に抉っていた。
大成功
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ダンド・スフィダンテ
・対抗策
槍で受け流す!
火傷なんかは負うだろうし、風圧なんかは喰らうだろうけど、それはそれ!気合いで耐えるぞ!
一撃入れられれば、それで良いんだ。
・反撃
強化されたなら好都合!
肉薄されたなら尚結構!
貴殿が強大である程に、この槍は強くなる!
はっはっはっ!
避けてくれるなよ偉大な魔王!
成功したにしろ失敗したにしろ、貴殿の事は尊敬する。
立派な臣下に恵まれ、忠義を尽くされた者だ。さぞ輝いた、先を行く者だったんだろう。
……けれど今を生きる民の為、何がなんでも退いて頂くぞ!
なぁに、猟兵が諸手を挙げて派手に送るが故!楽しんで召されよ!
・それはそれとして
いだだだ、誰か回復出来る者居ない?
居ない……?……そっかーー!
「儂の腹を抉るとは、小癪な……!」
「旗色が悪いようだな! 魔王! だが俺様が来たからには、もっと痛い目に遭ってもらうぞ!!」
血をこぼす甲冑の孔を押さえる信長に突っこんだのは、ダンド・スフィダンテだ。
その軌道は――一直線。
真っ正直な、一直線だった。
「儂に真っ向から挑むとは、見上げたものよ」
愚直と言うほかない突進を見せるダンドに、信長は長刀の切っ先を向ける。
炎。
迎え撃つ巨大な炎の渦が、ダンドの視界を覆い尽くした。
目を開けるのも叶わぬような熱量。
しかしダンドは、怯む素振りも見せなければ、脚を止めることもない。
「いざ勝負!」
長い金髪を馬の尾のようになびかせたダンドが、体の前に竜槍『アンブロジウス』を構えた。そのまま猛然と回転させ、柄を伝わらせて炎を後方へ逸らしてみせる。
だが完全に防ぐことはできていない。
回転する槍の隙間を縫った炎が、ダンドの体を炙ってゆく。
「さすがは偉大な魔王……だがそれで結構! 貴殿が強大である程に、この槍は強くなるのだからな!」
その胸に火傷を負いつつも、ダンドはついに、信長の眼前に到達していた。
たどり着くとは思っていなかったのか、信長は瞠目した。
「貴様……!」
「成功したにしろ失敗したにしろ、貴殿の事は尊敬する。立派な臣下に恵まれ、忠義を尽くされた者だ。さぞ輝いた、先を行く者だったんだろう」
くるりと回したアンブロジウスを、天高く振りかぶるダンド。
その眼に浮かぶのは偽りない敬意だった。
そして同時に、その奥には揺るぎない覚悟が灯っていた。
「……けれど今を生きる民の為、何がなんでも退いて頂くぞ!」
竜槍がまっすぐに、振り下ろされる。
その一撃は防御にかざされた長刀を打ち払い、黒曜石の甲冑を切り裂き、その下の肉をぱっくりと穿っていた。
「ぐ……ぬうっ……!」
信長が、膝をつく。
それを見て、ダンドは大らかに、笑った。
「なぁに、猟兵が諸手を挙げて派手に送るが故! 楽しんで召されよ!」
苦戦
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アマニータ・ビロサ
武田騎馬軍団に対し、先ずは全身の封印を解くことでこの身を菌糸に変え(変装)て地面へと潜航(地形の利用、水泳、物を隠す)します。そして、胞子(呪殺弾)を生成し誘導弾として一斉発射して範囲攻撃のカウンターを行います。
無事騎馬軍団をやり過ごせたら、猛毒キノコ(毒使い、ドーピング)や寄生キノコ(ハッキング、マヒ攻撃)等のやべぇキノコで出来たいーとみぃ♪ラビリンスを展開します。迷宮そのものがトラップ(罠使い)、猛毒キノコの胞子(呪殺弾、呪詛)が飛び交い知らず知らずにその身を蝕みやがて寄生キノコの養分(生命力吸収)になるでしょう。
この身は子実体なのでヤられても菌糸や胞子が残っていれば再生できます。
アリス・セカンドカラー
五行思想の属性攻撃にて、金気で雷を生み金剋木で【嵐を呼ぶ樹木の翼】を撃ち、金生水で雷から雨を生み水剋火で【渦巻く炎の刀】の火勢を弱めようと試み、水生木で雨から植物の根を生み木剋土で【黒曜石の全身甲冑】を侵蝕しようと試みるわ。
アリスズワンダーワールドでメルヘンなカートゥーンアニメな夢想世界を想像し創造。雷雲さん、雷光さん、暴風雨さん、トレントさんとカートゥーンでメルヘンな愉快な仲間達を創造して、先程の先制攻撃対策を強化しましょう。
大食いな念動力による盗み攻撃も乗せて熱量を奪い喰らい、トレントさんの突き刺した根を通じて生命力吸収もするわ。
受けたダメージはカートゥーンアニメ的なギャグ補正で回復するわ
「年貢の納め時……まさか儂に訪れるとはな……」
片膝をついた信長の体が、荒い呼吸で上下に揺れる。
半壊した全身甲冑からは剥き出しの肌が見え、樹翼は片方が力なく折れていた。刀に巻かれた炎も消え入りそうな灯と化し、その身に残された力が多くないことを物語っている。
「束の間の夢を楽しめただけ、良かったんじゃない?」
介錯人のように信長の傍に立ったのは、アリス・セカンドカラーだ。
血のように赤いダンピールの瞳を見上げて、信長は鼻を鳴らした。
「夢幻で満足するほど、儂も耄碌しておらぬわ」
力強く刀を床に突き立てて、立ち上がる信長。
己に発破をかけるように気合を放つと、甲冑が再び全身を覆い、樹翼が羽ばたく。
長刀には、紅蓮の炎が逆巻いていた。
「まだ儂は死んでおらん。この身が朽ちぬ限りは、儂の野望も朽ちぬ!」
「そう。なら朽ちさせてあげるわ☆」
幼女のように無邪気に笑ったアリスが、指を弾く。
すると空気中の金気が反応を起こし、中空に雷光が爆ぜた。生じた雷撃は、嵐を起こそうとしていた信長の樹翼を貫き、一瞬で消し炭にしてしまう。
「儂の、翼を……!」
「五行思想よ。金は木に剋つ。そして水は火に剋ち、木は土に剋つ」
続けてアリスの指が鳴る。
雷を転じさせた雨雲が滴を降らし、水気が床に木の根を生む。床を這う根は信長の脚まで伝って黒曜石の甲冑を侵蝕し、雷雨は紅蓮の炎をも静めてしまう。
「この……まとわりつきおって!」
「さて、それじゃ反撃ね」
木の根を払おうともがく信長へ、アリスの追撃。
脳内に浮かべた世界――『アリスの不可思議な世界』が現実に重なる。信長を取り巻く世界が瞬く間に、カートゥーンのような支離滅裂な姿を取った。
それは景観ばかりではない。
雲が、雷が、雨風が、木の根が、続々と人型に変性してゆく。
「雷雲さん、雷光さん、暴風雨さん、トレントさん。一斉攻撃よ」
『おおーっ!』
愉快な仲間と化した現象たちが、アリスに呼応して信長に殺到する。
「き、貴様らぁ……!」
信長が防戦するも、勢いは止められない。トレントさんが体に突き刺してきた根を通じ、アリスに生命力を奪われた信長はもう立つこともやっとの状態である。
柱の陰からこーっそり戦況を見つめていたアマニータ・ビロサは、今だと思った。
「これはチャンス! 信長さんを倒しちゃおう!」
てててて、と白ドレス姿で戦場を横断するアマニータ。
その目立つ格好がスルーされるわけもなく、信長はアリスの仲間たちに組みつかれ動けぬ状態ながらも別のユーベルコードを発動した。
「まだよ……まだ儂は負けぬ! 蹂躙せい、武田騎馬よ!」
「き、気づかれないままとはいかなかったわね……」
わかってはいたけどアマニータはちょっぴり肩を落とした。その間も何百という騎馬武者がドドドドと粉塵をあげて、こちらを叩き潰しにきている。
「でもこっちにも備えはあるわ!」
騎馬隊に相対したアマニータが自身の封印を解き、その姿を消散させた。
キノコの菌糸に変身したのだ。菌糸は染み入るように床板に潜伏し、武田騎馬隊は少女が忽然と消えた空間をただ虚しく走り去る。
しかもそれだけではない。アマニータが巻き上げた胞子に取りつかれたことで、武者は呪いに蝕まれ、流行り病にかかったかのように次々と倒れた。
「何が、起こったのだ……!」
信長の顔に狼狽が浮かぶ。
菌糸は目に見えぬ。だから信長の目には、武田騎馬隊が突然に動かなくなったようにしか見えなかった。
そして信長には思考を巡らす時間もなかった。
「いーとみぃ♪」
少女の嬉しそうな声が、響く。
そう感じた瞬間には、辺りの光景は一変していた。木造りの空間は幻のように失せ、そこかしこに色鮮やかでド派手な茸たちがみっしり生えていたのだ。
アマニータの作り出した毒キノコの迷宮に、完全に囚われていた。
「こ、これは……!」
己の手を見下ろした信長が、目を見開く。
白いキノコが無数に、その手に寄生していたのだ。キノコは信長の生命を養分として成長し、肌の上をひろがってゆく。
しばらくもすれば、信長の半身はびっしりとキノコに覆われていた。
「……儂の最期が、このようなものになろうとはな……」
「安心して、信長さん。あなたの命で育ったキノコは、きっとエンパイアに根付くよ!」
「……根付くか」
信長が笑う。
その体はもう、侵蝕され尽くしたのか、ボロボロと風化を始めていた。
「望むらくは、海の向こうまで旅してほしいものよ」
遠く、エンパイアの外まで。
その願いを風に溶かして、魔王は骸の海に消えていった。
大成功
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