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エンパイアウォー㉞～四菱棚引く風

作者：幾夜緋琉

●エンパイアウォー㉞～四菱棚引く風
「みんな。とうとう織田信長が現れたんだ！」
　双葉・翔は、周りの猟兵に、急ぎ声を掛ける。
「オブリビオン・フォーミュラ「織田信長」、彼らの周りには「信長軍本隊」と共に居る。しかし、皆のお陰で、万全の状態で島原に辿り着いた幕府軍がそれらを相手出来るようになったんだ。つまり、猟兵の皆は「織田信長」との戦闘に全力を傾ける事が出来るって訳！」
「でも、織田信長は秘術「魔軍転生」という能力を持っている。この能力は、配下の魔軍将を背後霊の様に「憑装」させて戦う事が出来る様なんだ」
「皆が対峙する時の憑装は、どうやら甲斐の虎「武田信玄」。長篠の戦いで対峙した強将が合わさるという事からも、かなりの強敵であるのは間違いない」
「でも、武田信玄を憑装した「織田信長」を倒さない限り、例え信長軍本隊を倒せたとしても、彼の力の前に押しきられかねない。他の皆も、様々な憑装した織田信長と対峙する事になるけど、一つ一つ、しっかりと退治し、決着を付けてきて欲しい」
「織田信長と言えば、風林火山。織田信長に憑装した上で、この旗印の下力を振るって来る事は間違いない。今まで以上に強敵であるのは間違いないから、皆も決して油断しない様に気を引き締めて戦って欲しい」
　と、そこまで言うと共に、翔は。
「第六天魔王の名を冠した織田信長……武田信玄の疾風迅雷の行動と合わさる事で、かなり危険な戦いになるとは思う。でも……猟兵のみんなで力を合わせて、確実に仕留めよう！！」
　と、拳を振り上げるのであった。

第1章 ボス戦 『第六天魔王『織田信長』信玄装』

POW   :    風林火山 【渦巻く炎の刀】【黒曜石の全身甲冑】【嵐を呼ぶ樹木の翼】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。 SPD   :    甲斐の虎 自身の身長の2倍の【白虎状態に変身した武田信玄】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。 WIZ   :    武田騎馬軍団 レベル×5本の【武田軍】属性の【騎馬武者】を放つ。 イラスト：UMEn人 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

　第六天魔王『織田信長』、そして甲斐の虎『武田信玄』。
　憑依せし強敵が目前に立ち、猟兵達に対し強烈な覇気を示し、対峙している。
「ついに決戦ね！　今こそ、ネミさんのスゴイ＝エンパイア＝ウェポンの出番ね！」
　と、そんな二人の強敵を前にして、ネミ・ミミーニーズが、握りしめた十手をぶんぶん振るう。
　それにバスティオン・ヴェクターラインと、ウィンディ・アストレイは。
「虎退治か……これは骨が折れそうだ」
「ええ。『甲斐の虎』と呼ばれた末に、本当に虎になるとは。何とも雑な話ですね……」
　確かに纏いし『武田信玄』の姿は、甲胄に身を包んだ……虎。
「例え姿形が虎だとしても、彼の戦果は素晴らしいと聞くし、織田信長と一心同体となると、中々厳しい戦いになりそうなのは間違いないかな」
「ああ。だが俺達『全世界サイボーグ連盟』の力でしっかりと対抗すれば、絶対に勝てる筈だ。諦めずにいこうぜ！」
　リズ・ルシーズに、アーサー・ツヴァイクが拳を振り上げる。
　そして河原崎・修羅雪姫とクネウス・ウィギンシティも。
「そうですね。背後に構えるは武田の虎。武田騎馬軍団攻略と言えば、長篠の戦い、ねぇ」
「そうですね。柵の次は、銃ですね。それも大量の」
「ふふ。まぁ、柵は仲間の皆が作ってくれるわぁ。私達は、後ろからしっかり撃ち抜くわよぉ」
　と不敵な笑みを浮かべる。
　そして、フィッダ・ヨクセムが。
「どこかケモノの、匂いがすんのな……まぁ、いいか。んじゃ、皆、行くぜ！」
　と、『織田信長』と『武田信玄』に向けて、疾風怒濤の進軍を開始するのである。




「オラぁ、野望なんぞ知ったことか！　停まれよ暴走軍の総大将サマよぉ！！」
　と、先陣を切り、『終点を告げる遠吠え』にて召喚した鬣犬『バス』に乗り、そのまま特攻を仕掛けるフィッダ。
『……来たか、猟兵達よ」
　と静かな言葉と共に、その太刀筋で迎撃。
　かなりの迎撃一閃を喰らい、決して小さくないダメージを喰らったフィッダ、だが。
「白虎に乗るてめェは、精々威を狩る狐か？　爪、牙、はたまた刀かァ？」
　と、更に相手へ罵倒気味の言葉を投げかける。
　……しかしそんなフィッダの言葉に、織田信長は。
『……力を借りる？　ふむ……お主らにはそう映るのかもしれん。が、儂の力を舐めてかかれば、お主らを仕留める事など造作も無い事』
　と刀の切先を突きつける。
　それに、何処か緊張感無くネミが。
「でもでも虎を憑依しているじゃない。虎を憑依ってことはアレね！　虎といえば猫科！　信長先生って猫派だったのね！」
　十手をぶんぶん振って、小さい身体で猛アピール。
『猫派……何を言うているか訳が分からぬな。お主も、この刀の錆となるがいい」
　と刀を一閃。
　その振り抜く間に、『苦い花』の花粉を噴射。
「この花粉吸い込むとめっちゃくしゃみ出るんだぞー！」
　とネミは言うが、織田信長は片腕で鼻口を覆い、その花粉を回避。
　ただ、太刀筋は少々逸れ、ネミはひょいっと回避。
「……中々に素早い様だな。面白い」
　その動きに、少し興味を持ったかの様に笑う。
　そして、その言葉と共に背後に憑依せし『武田信玄』が、唸りを上げる。
　その唸り声は、恐怖に心を揺らす音色。
（「それだけ殺気があれば、狙う箇所は読めそうなもんなんだが……」）
　とフィッダは挑発しつつ、敵の動きを見据える。
　が……表面上はそれを見せない様に。
「その獣の唸り、縄張り争い……実に狭い箱庭の戦いに見えらァな！」
　と言いつつ、再度『バス』を召喚。
「おい、知ってるか、鬣犬ッつーのはなァ……狙った奴にしつこい攻撃を仕掛け続けるモンなんだよ！」
　と、声を張り上げる。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

　そんなフィッダとネミの行動に対し、リズら『全世界サイボーグ連盟』の面々は。
「取りあえず、バスティオンの城壁が建つまで時間を稼がないとね」
「ええ。私達で牽制と参りましょう」
「了解よぉ」
　頷き合い、作戦を確認。そしてバスティオンは。
「団長、騎馬団の封鎖を御願いします」
「はぁい♪」
　と笑いながら修羅雪姫が宇宙トライクで一気に接近。
　敢えて囮になり、攻撃を誘導……それに対し、『織田信長』は、大量の『武田軍騎馬武者隊』を召喚し、放つ。
　それを。
「ほらほら、こっちよぉ！」
　と挑発しながら踵を返し、敵陣を誘い込む。
　その間に、リズは地面に『光学迷彩』で『罠使い』によって張ったワイヤートラップを発動。
　足元を掬われた武田軍騎馬部隊は次々に転倒……先陣を切っていた半数程度が消滅。
　数匹の騎馬軍が、罠を仕掛けたリズの方向に向きを変えるが、近づいてくる間に疑似刻印によるレーザー光の攻撃を放つ。
　そうしている間にも、クネウスは。
「援護します」
　後方からマシンガンで援護射撃。
　一方、高空の方角からは、ウィンディが。
「告死の舞、ご堪能下さい」
　と、48個に複製したバスターライフルを念力で操作し、トップ・アタックを『織田信長』に放ち、同時にアーサーも、槍形態を取ったライドランを『槍投げ』で飛ばし、牽制の一撃を加える。

成功 🔵​🔵​🔴​

　そして、次の刻。
　……構築されたバスティオンの城壁が、仕掛けてきた武田軍騎馬武者隊の進路を妨害する。
『ぬ……？』
　妨害されたのに気付いた『織田信長』及び『武田信玄』は、猟兵達を見据え直す。
　しかしその間に、クネウスが。
「CODE:CYCLOPS。単眼の狩人よ、出番ですよ」
　と、バスティオンの城壁の銃眼にセントリーガンを設置し、狙いやすくする。
「ん、準備はいいのかしらぁ？」
「はい、問題無いですよ」
　修羅雪姫の言葉に頷くバスティオン。
　そして、彼女は。
「それじゃあ、皆さん、行くわよぉ！　さぁそのユーベルコード、置いていけぇ！」
　と、武田軍騎馬武者隊へ『肉を切らせて骨を断つ』で斬りかかる。
　その一閃は、武田軍騎馬武者隊を蹴散らし、それ以上召喚する武田信玄の一能力を封じ込める。
　更にリズが。
「反撃の時間だよ、行くよルシーズ！」
　と、量産型ルシーズを召喚し、城壁の上に並ぶ。
　そして、それを見たリズが。
「大丈夫です。タイミングは合わせます」
　と、クネウスが、バスティオンの城壁の砲台に誘導弾を込め、織田信長の背後に浮かぶ武田信玄をターゲットに収め、砲撃弾雨を降り注がせる。
　その砲撃を誘導弾として、リズのルシーズ達が疑似刻印のレーザーを一斉掃射。
　更にウィンディが高所からの観測結果をベースに、無線で連絡を取り合い。
「アーサーさん。そちらの攻撃を援護します！」
　と通知、それに頷いたアーサーは。
「ああ、了解。取りあえず……」
　銃眼の一から麗シューターを左手に構え、射撃開始。
「『誘導弾』で信……って、あいつマジもんの虎かよ、サムエン半端ねぇな。とりあえず信玄を撃って足止めしねえと！」
　と、アーサーが集中し、射抜く。
　そんなアーサーの攻撃を補助する様に、ウィンディは先程複製してあるバスターライフルを様々な方向に分散させ、それぞれが攻撃し、敵の注意を散らせる。
　……そんな『全世界サイボーグ連盟』の攻撃を補助する様に、ネミは織田信長の近くでちょこまかと飛び回り、フィッダは『バス』を突撃させて、の繰り返し。
　勿論、『織田信長』はただ攻撃を受けるだけでは終わらない。
　渦巻く炎の刀に、黒曜石の全身甲冑、更に嵐を呼ぶ樹木の翼を纏い、自分自身の大幅強化。
　その刀により、猟兵達の攻撃に返す刀に反撃、猟兵らへの確実なダメージを叩き込む。
　……でも、唇を噛みしめ、決して後には退かない不退転の気持ちで抵抗。
　三刻、四刻、と時が刻み、大量に出現していた武田軍騎馬武者隊は全てが撃ち滅ぼされる……。
「第一陣の討伐完了、ですねー。では、行きますよ！」
　と、再度ネミの魔除けを織田信長の顔の辺りでぶちまけ、視界を覆い隠す。
「オッケー！　ほら、鬼さんコチラってな！」
　そしてネミはフィッダのバスに乗って、あえて分かるように、バスティオンの城壁に向けて逃げていく。
『……逃す訳にはいかん……！　儂を傷付けた罪を後悔させてやるわ！』
　それを織田信長は僅かに声を荒げ、武田信玄と共に追跡。
　当然、近接距離となれば、動けぬバスティオンにも攻撃の機会が生じる様になる訳で。
「ふふ。飛んで火に入る夏の虫、かしらぁ？」
　声を上げて嘲笑う修羅雪姫、そしてリズも。
「そうだね！　第六天魔王とか言ってるけど、所詮その程度のつわもの、って事なだね！」
　城壁の上から笑い、注意を惹きつける。
　……その間にウィンディは更に高空へと飛翔……敵の動きをつぶさに観察しながら、その動きを誘導するかの如く、ライフルを掃射。
　渦巻く炎を轟かせ、ライフルの砲弾を誘爆させて回避……が、それで攻撃の手を使ったところに、アーサーが城壁からジャンプ。
　今迄に加算手来ていた力溜めをその手に纏い。
「マッハ8.5の一発、受けてみやがれっ！」
　『織田信長』の顔めがけて、『ブーステッド・ソニックアーム』をぶちかます。
　流石に全身税例、渾身の一撃を食らった『織田信長』は、一端、その場で体勢を崩す。
　体勢を崩した所へ、更にバスティオンが右義腕からグラップルの殴り掛かりを、纏う信玄の足に叩きつけ……その足を叩き潰す。
　すると、纏う炎が少し弱まり、信玄の憑依の加護の効果が薄れつつある。
「効いていますね……アーサーさん、バスティオンさん、ナイスです」
「ウィンディのサポートのお陰さ。こちらこそサンキュ！」
　アーサーはサムズアップでウィンディを労う。
　……そして、『織田信長』が立ち上がるよりも前に、『全世界サイボーグ連盟』六人と、ネミ、フィッダの追い打ち攻撃。
　反撃されるよりも一足早く、猟兵達が連携攻撃する事で、彼の特殊能力の被害を最小限に抑える工夫。
　……そして、城壁へと織田信長が接近して、十数分。
「さぁてと……そろそろ、トドメ行きましょうかぁ」
　と修羅雪姫の言葉。
　その言葉に、猟兵達は一気阿世に攻め入る。
『ぐ……！！』
　その刀による防御をするが……猟兵の勢いを止める事は出来ず。
　疾風迅雷の攻撃により、織田信長は崩れ墜ちた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

最終結果：成功 完成日:2019年08月26日