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エンパイアウォー㉞~猛虎ともに燃ゆ魔王

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #オブリビオン・フォーミュラ #織田信長 #魔軍転生

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「いよいよここまできた。織田信長の首に手が届く」
 言って猟兵を労い、見つめる紫瞳は真剣に尖る。
「織田は、万に一つも勝ち目はないって言いながら、わずかに勝機を見出してる」
 その源になるのは、秘術の存在だ。
 『魔軍転生』――配下の魔軍将を背後霊のように「憑装」、その力を遺憾なく発揮し猟兵へと牙を剥く。
 織田は猟兵より先んじて、動く。
 その先手に対抗しうる手を講じなければ、負けるだけだ。それも生半可な策では抗いきる前に、こちらが倒されるだろう。
 力には力を。
 速さには速さで。
 術には術を――そうして対抗して初めて反撃できる。
「あとわかってると思うけど、使えるユーベルコードは一種のみよ。二種も三種も使えない。使おうとするたびに織田は先手をとって攻撃してくる。たまったものじゃあない」
 手も足も出せずただただ織田の力を見せつけられて終いになるだけだと、羅刹は続ける。
 連携するにしろ、一人で知恵を絞り心血を燃やすにしろ、織田は隙なく、容赦なく、猟兵の先手をとり、己を強化し猛威を振るうだろう。
「ここまできた。もう勝利は目前だ。みんなで勝ち閧をあげよう」
 羅刹の一本だけ折れた角を補完するようにグリモアが、紫に輝き出す。
 燦然と。煌然と。わずかな欠片も一つ残さず。
 そして、敢然と吐息をひとつ――志崎・輝(紫怨の拳・f17340)は猟兵たちの顔を見て、頷く。
 グリモアが繋いだ先は、魔空安土城。第六天魔王『織田信長』の眼前――屋内の手狭さを微塵も感じさせない広間にて、王は座す。
「アンタらを信じてる」

●第六天魔王『織田信長』
「……信玄よ、貴様の働きに期待する」
 押し寄せる猟兵の姿を見、彼は言う。
 主人の声に応えるよう、その魔将は低い唸り声をあげ、それもまた猟兵を虎の目にて睥睨する。
「儂に万が一にも勝ち目はなくとも、億にひとつでも勝機があるならば、ここで命を賭し燃え尽きるも、また一興」
 腰に佩いた刀を抜く。
「来い、信玄。――さあ来い、猟兵ども。儂の刀の錆にしてくれようぞ」


藤野キワミ
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
====================
第六天魔王『織田信長』は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
====================

第六天魔王とまさしく甲斐の虎との一戦です。
藤野キワミです。
難易度相当の判定になります。その覚悟でいてください。

プレイングは当OP公開直後より受け付けております。
プレイングの採用は、先着順ではありません。
内容いかんで不採用を出す可能性があります。
預けていただけたプレイングを精査の上、プレイング受付に関する再アナウンスをマスターページおよびツイッター(@kFujino_tw6)にて行います。
私事で制限をかけてしまいますこと、ご容赦ください。

それでは、みなさまのカッコよく燃えるプレイングをお待ちしています!
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第1章 ボス戦 『第六天魔王『織田信長』信玄装』

POW   :    風林火山
【渦巻く炎の刀】【黒曜石の全身甲冑】【嵐を呼ぶ樹木の翼】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    甲斐の虎
自身の身長の2倍の【白虎状態に変身した武田信玄】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    武田騎馬軍団
レベル×5本の【武田軍】属性の【騎馬武者】を放つ。

イラスト:UMEn人

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アルトリウス・セレスタイト
終わったものを呼び出すか
まじない師にでも転職してはどうだ
きっと流行るぞ

避け得ぬ先制へは纏う原理――顕理輝光を運用
『天光』『天護』にて確実に捉え、『励起』『解放』で極限まで高めた個体能力で対処
届く攻撃は『無現』『虚影』で往なし、躱す
召喚し、騎乗する所から開始なら僅かなり備える時間はある

界離で時の原理の端末召喚。魔力を溜めた体内に召喚し自身の端末機能を強化

そのまま此方から近接
接触直前に、薄く刃のような時間停止空間を信長と信玄を包むように多重展開
光すら通さぬ不壊の刃で寸断する

仕留めきれねば時間停止状態で直に、『討滅』の死の原理を『再帰』で循環させて撃ち込み追撃




 強い視線が突き刺さる。烈気を漲らせ、覇気を発露させ、屹然と抜き身の刀の鋒鋩をアルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)へと向ける。
「儂にも意地があるでな――来い、信玄」
 白虎へと変じた武田信玄の背へひらりと飛び乗り、虚空を一閃。第六天魔王と甲斐の虎の力の高まりが凄まじい烈気となって立ち昇る。
 凄まじい畏れを顕現し、白虎は唸り声を上げた。
 凶悪な牙を剥き出し、鋭い爪で足元の畳を抉り裂いた。
「覚悟せいよ、猟兵」
「……終わったものを呼び出してまでか」
 アルトリウスは嘆息する。しかし、第六天魔王の姿は油断のならないものだ。
「まじない師にでも転職してはどうだ。きっと流行るぞ」
「戯言を」
 織田は虎を駆る。低く鋭い咆哮を上げて迫りくる猛虎のぎらつく牙がアルトリウスに迫る。
 否、牙だけでない。
 織田の繰り出す刀が、アルトリウスの白磁器のような頬へと奔る。
 ぼわり――アルトリウスの周りに淡青が輝き出す。
 武田の牙は空を噛み、寸でのところで躱せた織田の剣は彼の頬を裂いた。
 血がだらりと流れる。
 しかし、それを気にもとめず、アルトリウスは《顕理輝光》の青の光を身に纏う。
 ありとあらゆる『原理』の光だ。
 アルトリウスの双眼に、淡く輝く青が宿っていた。
「首を掻いてやろうと思うたが、」
「そう簡単にやられてやるつもりはない」
 アルトリウスは頬に垂れた血を、手の甲で拭う。
「顕せ――【界離】」
 その声に呼応するように現れたのは、【時の原理の端末】――アルトリウスの限界まで高めた魔力を内包した時の端末が、彼の力を底上げし、時を司る能力を宿す。
「次は俺の番か」
 疾駆。
 青眼がぎらりと尖る――臆せず肉薄し、織田、ひいては騎乗を許している武田へと幾重にも折り重なった薄刃を展開する。
「この刃、躱せるなら躱してみろ」
「威勢がいいのも大概にせいよ、小僧」
 織田の冷たく低い怒声がした。アルトリウスが展開した不壊の刃に臆することなく、正面から突っ込んでくる。
 激突。
 猛虎の爪、牙が――壊すことはなかったが、その刃を完全に止め落し、相対する織田とて、手に掲げた刀を一閃させ、アルトリウスの攻撃の悉くを潰してしまった。
 鼻を一つ鳴らし、アルトリウスを睥睨する。その厳寒たる視線をしかと受け止め、アルトリウスも目を眇めた。
 一筋縄ではいかないことは分かっている。そのために幾重にも策を講じてきた。
 《討滅》の死の原理を《再帰》で循環させる――それは、無限に訪れる破滅の時。
「滅びろ、跡形もなく」
 撃ち込む楔――淡青の光は織田を照らし死へといざなう。
「笑止!」
 烈声が放たれる。淡青をものともせず、驀地に駆ける猛虎の凶悪な咆哮が上がり、跳躍。万象を見通し未来を照らす光を纏っているアルトリウスだが、強烈な墜撃を躱しきることはできなかった。
 虎の爪が肩へと食い込み、後ろに倒れ込む。背を強かに打ちつけた。それよりも眼前に鋭牙、首を食いちぎらんと大きく開かれたあぎと。それに騎乗する織田の刀身とて狂気に光る――アルトリウスのわずかな舌打ち。
 容赦なく抉られる激しい痛みに集中が途切れるが、これを打開せねばなるまい。
「――諦めんか、小僧」
「むろんだ」
 盾に矛に振りかざすはあらゆる『原理』――時に逆巻かせ時に増長させて、思うままに操る《顕理輝光》の最適な組み合わせは、アルトリウスの頭の中で解となって在る。
「ならば、抗ごうてみせよ、猟兵!」
 轟然と吼える織田の刀が振り下ろされる。
 今まさに食われんとするアルトリウスの周りに青が煌然と漂い、一層輝きを増す。
 鋭く呼気、展開されたのは、光すら通さぬ不壊の刃。時をも裂いて飛翔、二人の時間を止める空間を生み出す――否、それよりも速く、織田の刀の切っ先がアルトリウスの肩を穿った。
「ぬるいわ。儂をおびやかせよ、猟兵」
 言った織田の頬に、一本、赤い線が引かれた――そこから染み出す血潮を見届け、アルトリウスは撤退を決めた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

筒石・トオル
SPD
正直、敵の先制攻撃を完全に回避出来るとは思っていない。
ただ僅かでも直撃を避けられれば、反撃の機会があるかもしれない。
『オルタナティブ・ダブル』に【フェイント、見切り、第六感】を駆使して、敵の先制攻撃発動と同時に出来る限り距離を取り回避する。
発動は他の味方とタイミングを合わせて。
例え攻撃を避けきれずに自分が倒れたとしても、それで味方への攻撃が届かず反撃に繋がるのなら、自分が役に立てたと思えるから。
先制攻撃後、まだ戦えるのであれば、熱線銃で【援護射撃、スナイパー、早業】で援護するよ。
刀の錆でも、敵の攻撃手段を鈍らせるのであれば、それでも十分だと思わない?


香神乃・饗
でっかくなったら当たり易くなるっす遠慮なくぶっさしてやるっす!
(速さや力が倍増してるはずっす食い下がってみせるっす
油断なく全力で戦う

香神写しで武器増やし
一瞬動きを鈍らせるのを狙い苦無で全身を切り裂く様に攻撃
これをフェイントにし
剛糸で足を縛り跳べない様にし
腹や喉など体の下に滑り込んで力溜めた苦無でぶっ刺し暗殺を狙う
ここが死角っす!
苦無2本は手放さないっす、盾にし刀等を受け流す
爪を喰らっても退かないっす覚悟を決め突っ込む

億に一つもない
全ての勝機を叩き潰しに来たっす!

世界を壊す事が新しい世界、未来を創る事だと言うなら
世界の理さえ壊してやるっす!
俺はこのサムライエンパイアを護るっす!俺の大事な世界を!




「億に一つもない――すべての勝機を叩き潰しに来たっす」
 猟兵に馬乗りになった、白き虎をも睨みつけるのは、香神乃・饗(東風・f00169)だ。
 血に濡れた刀を一振りし、鮮血は抉れ裂けた畳に花弁を散らす。
「儂から勝機を奪うとぬかすか、小僧――先のやつといい、貴様といい、威勢のいいことを」
「威勢がいいのは元からっす。世界を壊すことが新しい世界、未来を創ることだと言うなら、世界の理さえ壊してやるっす!」
 言って苦無を構える饗の、強固な覚悟を映した双眸が尖る。
「油断なくいきましょう、支えます」
「またお願いするっす」
 筒石・トオル(多重人格者のマジックナイト・f04677)のクールな一言に、先日の戦いの記憶が蘇り、饗は返事をした。
 織田の殺気は先刻より濃厚に噴き上がる。それは純粋な畏怖を呼び起こす――背筋がぞわりと粟立ち震える。
 二人の黒い双眸に映るのは、多くの魔軍将を束ねた第六天魔王と、蘇った甲斐の虎の、勇猛たる姿。
「それにしても、でっかいっす――攻撃、当たりやすくなってるんじゃないっすか」
 だとしても、それは織田の力が増長されている証しでもある。それは呟いた饗とて分かっている。
 低く低く、獰猛な唸り声――もはや言葉を失った白虎の吶喊が響く。
 猛然と驀地に走りくる白虎の鋭い爪が畳を抉り、凶悪な爪を振りかざしてくる。瞬間、トオルが二人に増える――【オルタナティブ・ダブル】による効果だ。それに不意をつかれた織田だったが、その集中を途切れさせることはなく、刀をくるりと返す。
 もう一人のトオルは、織田との間に入り込みトオルに距離を置く時間を捻出する。
(「保って。できるかぎり――僕にも、香神乃さんにも攻撃が届かないように」)
 分身は、勘を頼りに白虎の動きを見切り、囮となるべく足止めを遂行する。
 刹那、ずらりと展開される数多の苦無――分身へと迫る白虎、織田の凶刃――すべてが交錯するとき、苦無の猛襲が虎の巨躯へと解き放たれる。
(「さあ、どうするっすか」)
 織田はトオルの分身を斬り捨てるために一刀を振る、虎の巨躯にすべての苦無の切っ先が向いて驟雨のごとく奔る。
 全方向から放たれる刃だ。どこにも逃げ場はあるまい――否、饗は一か所だけ穴を開けた。
 織田は巧みに虎を駆る。その穴――頭上へと向かって、虎はしなやかに跳ねた。
「そこしかないっすよね」
 饗の放つ鋼糸が虎の足に絡みついたのは、その言葉の意味を理解したときだったろう。
 バランスを崩しはしたものの、倒れ伏すまではいかなかった白虎は、熾烈な視線を饗へと注げども、彼は臆することなく渾身の力で虎の足を縛り上げる。
 【香神写し】で複製した苦無の猛攻を隠れ蓑にした捕縛の一手。
「信玄、引き千切れ」
 主人の冷徹な声音に虎は、膂力を発揮させて饗の糸を凄まじい力で引く――それに対抗してやることはしない。
 一時だけ力を張ってから、緩める。バランスを崩しにかかる。その隙に饗は虎の懐に潜り込む。手にあるのは、使い慣れた苦無。研ぎ澄まされた刃は銀の線を引き、
「ここが死角っす!」
「見えておるわ!」
 振り下ろされる刀を苦無で受け止める。が、その力の重いこと。力比べをすれば勝ち目はないが、それをする必要はない。
 その力を利用して、負傷する覚悟を決めてするりと虎の足元へ転がりこむ――そこへ、鋼糸から抜け出した虎の爪が迫った。

「ぐううぅ……!!」

 唐突な虎の呻き声がして、饗は目を瞠った。そうして仲間の存在に俄かに笑む。
 もう一度、熱線が虚空をさいて燃やし奔る。
 トオルの分身と、饗が織田を足止めした時間――わずかだったが、それだけの時間があれば、トオルの間合いは完成する。
 トオルの極限まで高められた魔力は、織り込まれ練り込まれ編み上げられる。
 強烈な力の奔流は《熱線銃》から放出される!
 虎のこめかみへと突き刺さり、その意識外からの猛攻に白虎は、織田を投げ出し倒れた。
「刀の錆でもなんでも、こうして地に落とすことができるなら、十分だと思わない?」
 トオルの声に、素早く立ち上がった信長の視線が突き刺さる。
「もう一人の僕に気を取られた結果だけど、どう?」
「存外、効いた」
 地獄の底から響いてくるような、静かな怒声を饗の苦無が遮る。
「だったらそこでひっくり返ってるっす――今から俺がぶっ刺してやるっす」
 トオルの銃口は織田から外れない。僅かな視線の動きを見逃さず、彼はもう一度火線を引いた。が、それも、先の苦無も織田に届かない。一閃された刀の衝撃と、流れるような足捌きで素気なく躱された。
 しかし、二人の猛攻は止まらない。
 せめて一撃――もう一撃――この強敵を追い詰めることができるならば、いまは負傷することを恐れる瞬間ではない。
 トオルがトリガーを引く。撃たれまいと足を摺りヒラリと躱す。その先に苦無を持ち特攻する饗。刀が一閃され苦無の斬撃は防がれる。即座にトオルの発砲――饗の巧みに隠した鋼糸が織田の足に絡みつく。
 さらなる正確無比な熱線が放たれ、それは織田の鎧を激しく焦がす。
「俺はこのサムライエンパイアを護るっす! 俺の大事な世界を!」
 烈声。渾身の力で振われた苦無は、いよいよ織田の鎧を砕き、翻ってもう一閃!
 その奥の腕が血潮を噴く。
 グリードオーシャンだかなんだか知らないが、故郷を失っていい理由にはなりえない。
 トオルは隙なく、《ブラスター》を構え、銃口は織田から逸らされることはない。
 饗は決して手放さなかった二本の苦無の、片方の梅は赤い花を咲かせ鈍く輝く。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

杜鬼・クロウ
アドリブ怪我◎

…気なんか抜けるかよ
僅かな隙が命取りだ(殺気にひりつき武者震い
最強が掛け合わさるか

杜鬼クロウ
お前を倒す者の名だ

敵の攻撃は風宿した玄夜叉で城内の床を削り取り目晦まし
爆風起こし相殺(属性攻撃
一瞬怯めば上々
低姿勢で滑る様に白虎の股の下へ移動し敵背後へ
【杜の使い魔】使用
八咫烏で白虎へ体当たりし騎乗

敵の攻撃を空中で回避(見切り・第六感
勢いよく降下し集中砲火
中盤、八咫烏と刺し違えても信玄の胴を串刺し
危うい時UC解除

信長の剣を持つ腕狙って斬る(部位破壊
地道に戦力削ぐ
炎宿した剣で足狙うと見せかけ、虹駆の靴で跳び大将の首を狩る(フェイント

お前は本当に強い
只それ以上に俺達が強かった
其れ迄だ

城ごと灼く


揺歌語・なびき
虎の威を借る狐か?
所詮魔王も人の子だなぁ
ああ違った
――お前は、残骸だ

白虎の動きをよく観察
手鞠に潜ませた鋼糸で白虎の動きを狭めつつ
勘を頼りに可能な限り躱す
躱しきれなきゃ耐えるだけ
多少の痛みは覚悟してる
【情報収集、第六感、野生の勘、見切り、激痛耐性】

その程度か魔王!
虎をあやした程度じゃおれを殺せないよなぁ

挑発しているうちに手鞠を静かに操り
そこら中に転がして
【誘惑、催眠術、コミュ力、目立たない】

一気に魔王へ手鞠を集めて爆破
その時はおれ自身を巻き込んでも構わない
狩り損ねなきゃいいだけなんだから
【罠使い、だまし討ち、敵を盾にする】

あの子のふるさとを
お前ごときが汚すなよ
骸の海で溺れて、しんでしまえ


音羽・浄雲
※アドリブ、連携歓迎です。

「甲斐の虎とまで呼ばれた男が三郎に尻尾を振る甲斐猫に堕ちたか。貴様に恨みはないがまとめて屠ってくれようぞ」
 虎退治と洒落込むかと言わんばかりに取り出したのは【詭り久秀】を編み上げた細身の縄。
「布留部由良由良由良由良止布留部一二三四五六七八九十!縊れ【詭り久秀】!」
 虎に向けて縄を放ちその首を締め上げようとする。虎と化した信玄や信長が縄に対して何かをすれば縄はほどけ糸となって広がり、時には網、時には縄と千変万化の様相で襲い掛かる。
「畳みかける!音羽忍法【絡新婦】!」
 浄雲の手からさらに糸が放たれる。次なる糸は搦めとる魔性の糸。切り裂く糸と絡める糸、二本の糸が乱れ飛ぶ。
 




「甲斐の虎とまで呼ばれた男が三郎に尻尾を振る甲斐猫に堕ちたか」
 音羽・浄雲(怨讐の忍狐・f02651)は、大きく肩を落として傷まみれの織田を見やる。
 その後ろ、巨躯をふらふら揺らめかせる武田を見る。
 織田につき従うさまは、主人に骨抜きにされた飼い猫のようだ。
「貴様に恨みはないがまとめて屠ってくれようぞ」
「ふん、戯言を」
「そう思うならば、貴様こそわたくしを屠る覚悟で来い」
 これより虎退治としゃれこむかといわんばかりに、浄雲が取り出したのは《詭り久秀》――瞬間、武田は低い唸り声を洩らし、次いで大きく咆哮を上げ、軍配を振りかざした。
 その声に呼応して、織田の足元から無数の騎馬が現れる。
 数え切れない。まさに軍勢だ。
 浄雲は、手にした《詭り久秀》で細い縄を素早く編み上げるが、騎馬武者どもはいくらも容赦することなく浄雲へと、駆けてくる。
 蹄の轟音で地は鳴り、大きく揺れ響く。
 猛然と迫りくる数の暴力、そして一騎一騎に携えられた刀――光る刀身は狂気に濡れて浄雲へと振り上げられる。
「布留部由良由良由良由良止布留部一二三四五六七八九十! 縊れ【詭り久秀】!」
 その剣筋をひらりと躱し、浄雲は口早に詠唱――迫りくる騎馬どもの首を締め上げんと、縄を展開する!
 馬の嘶きは波状となって浄雲を翻弄する。それでも、ただ向かってくるだけの騎馬の軍勢だ。
 いくら数は多くとも、そのすべてはひしめき合いながら浄雲へと殺到する――まるで統率がとれていない。
「言の葉を失うとは、哀れなことだな!」
「大口を叩くなよ女。それは、儂に一太刀でも入れてみてからにせい」
「――そう。ならばそうしてやろう!」
 吼える。
 展開し、張った縄に騎馬武者が突っ込んでくる。瞬間、それは勢いよくほどけて糸となって、一面に広がった。
 まるで投網漁だ。一本一本が、鋭い切れ味を誇る刃の糸だ。触れたものを切り刻んで、あたり一面が血の海と化す。
 返り血を浴び、それでも隙なく、第二波に備える。《蜘蛛糸》は、まるで意志をもったように縄へと収斂し、吶喊を上げ浄雲へ迫る一騎の首へと巻きつき、縊り落とす。
 翻って、縄から網へ――大きく広げて頭上からの攻撃、しかし、その瞬間を待ち望む単騎が駆けて来る。
 地を蹴る力強さは、多くの騎馬隊の中にあって鮮烈だった。
 咆哮のような烈声を噴き出して、それは刀を振り抜く!
 寸でのところで躱す、続けざまに突き込まれた槍に、浄雲は肩を貫かれた。
 この喧騒に背後に近寄られていたことに気付けなかった。
 痛みが俄かに襲いくる。

「女を刺してご機嫌か、虫唾が走る」

 吐き捨てる男声が介入した瞬間――浄雲を刺した騎馬武者は崩れ落ちる。
 それの背後にいたのは、杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)だ。
 左右で色の違う瞳を眇めて、《玄夜叉》を肩に担ぐ――宿らせた風の力で漆黒の髪が揺らめく。
「まったくだ」
 なびく灰緑の長髪に、冷たく尖らせた桜色の瞳の長身の男もまた、浄雲から敵意を逸らすように声を上げる。
「虎の威を借る狐か?」
「ほお、儂をキツネ呼ばわりするか」
「どう違う? 虎の力を借り、おれたちと渡り合ってるつもりなんだろう? 所詮、魔王も人の子だなぁ」
 薄ら笑みを浮かべて、揺歌語・なびき(春怨・f02050)はついっと顎を上げる。
 その瞳の温度は下がっていく。視線に内包された怒りは、なびきの桜瞳を凍らせる。
「ああ違ったな――お前は、残骸だ」
 数多に割れた魂、記憶の残骸だ。なびきの言葉に、しかし織田は反応を示さない。
「信玄、」
 ごうっと虎は吼える。
「大口をたたく猟兵よ、儂は貴様の憂さを晴らしてやるほど優しくないぞ」
「そんなことは期待していない」
「ならば気合をいれよ、猟兵」
 背後霊のごとく織田の後ろで軍配を振う武田は、その身を雄々しき白虎へと変じさせる。
 しなやかな肢体へ織田は身軽に跨れば、白虎は咆哮を轟かせた。
「……気なんか抜けるかよ」
 思わず呟いたクロウは、噴き上がる殺気に肺を引き攣らせ、背筋を粟立たせた。
 剛毅な姿は傷にまみれようとも、威圧的であることに変わりなく、白き猛虎の吶喊は腹の奥に響く。
 魔王と虎が一体となり、力を増して迫りくる。僅かな隙が命取りになるだろう――否、そんなことは百も承知だ。ここにきて隙を見せてやるクロウではないし、なびきでもなかろう。
「杜鬼クロウ。お前を倒す者の名だ」
 クロウは、《玄夜叉》のルーンを発揮させ、風の精霊の力を纏繞させる。
「その名になんの意味がある」
 厳然たる烈声が迸り、巧みに虎を駆る織田は一瞬のうちに、クロウとの距離を詰める。
 その動きを油断なく観察するなびきの視線に気づいていないわけでもない――のは、織田の視線で理解すれども、それでもなびきは手鞠を弄ぶ。
 白虎の爪がクロウへと迫る。
 クロウの鋭い呼気――《玄夜叉》に宿る風が猛然と逆巻く。突如として現れた竜巻は畳を大きく削り抉って、跳びかかってくる白虎の巨躯を押し返す。
「覚えとけよ、損はないだろ!」
「必要ない」
 織田の意識から完全に外れたわけではなさそうだが、それでも、眼前のクロウに集中し始めているのをなびきは読みとる。
 ならば、この好機を逃すわけにはいかない。
 ころん。
 手鞠を転がす。
 もうひとつ、転がす。
 畳をぼろぼろに傷つけ、その欠片を目くらましにして派手に立ち回るクロウへと、虎は躍起になって襲いかかる。
 四十には満たないが、それでも多くの手鞠がなびきの意志に従って、織田の、虎の死角へころころと転げていく。
 そのとき、白虎の猛襲にクロウはたたらを踏んだ。僅かにバランスを崩された隙を虎は見逃さなかった。
 クロウの腕に白虎の牙が深々と突き立てられた。
 奥歯を噛み締める、鋭い痛みは体中を駆け巡り、ぼたぼたと血が零れる。
「いつまで……!」
 噛みついているつもりだ――クロウは剣をくるりと翻し、白虎を斬りつけんと振り下ろす!
 瞬間、白虎はクロウの腕を放して跳び退った――そこで待ち構えるは、長身の人狼。
「第六天魔王と呼ばれているのに、その程度か!」
「なにを、」
「虎を手なずけて、良い気になって、おれを意識からはずす程度じゃ、おれを殺せないよなぁ」
 言った瞬間、手元に一つだけ残していた手鞠から、鋼糸が放たれる。
 剛き糸は虎の下肢を縛り上げ、それに騎乗する織田の自由をも制限する。
「あの子のふるさとを、お前ごときが汚すなよ」
 散らばらせ準備していた手鞠が、一斉に織田へと転がってくる。
 ここは、ひとを救い愛すあの子のふるさとだ。あの瞳が悲しみの涙でとけるところを見たくはない――貌に走る傷跡が、いっそう凄味を増させる。念じれば、手鞠はなびきの手足のごとく動く。
 なびきは自損覚悟で、寄り集まってきた手鞠を一気に起爆させた。

 ――ドオォッ…!

 轟く爆音、吹き荒れる爆風、追って放たれる熱波、なるべく織田へと爆発が集中するように手鞠を操作し、織田を盾にすることで、なびき自身へのダメージはいくらも軽減できた――が、無傷とはいかなかった。
 それでもこの程度の傷だ。想像してきた、覚悟をきめてきたものとは比べ物にならない。
「骸の海で溺れて、しんでしまえ」

「それはわたくしも同感だ!」

 浄雲の烈声。
「畳みかける! 音羽忍法【絡新婦】!」
 鮮烈な宣言とともに浄雲の両の掌から、強い粘性の糸が解き放たれる。
 それは爆破の衝撃に狼狽を隠せていない白虎へと絡みつき、自由を絡め取って地に倒す。
 【絡新婦】の糸と、《詭り久秀》――封じる糸と切り裂く糸が浄雲によって繰られる。
 穿たれた肩の傷は痛む。当たり前だ。しかし、それがどうした。ここで踏ん張らなければ嘘になる。
「屠ってみせると、先刻、貴様に言ったはずだ」
 無数の切り傷が織田に刻まれていく。それでも、織田の双眼からは力が失われることはない。この状況において、まだ光を宿している。
「……少しは、動揺しても良いぞ」
「誰にものを言っている、女」
「お前もだぜ、織田信長」
 ぞっとするほどの気迫を漲らせる織田へクロウは吐き捨てる。
「来たれ!――【杜の使い魔】!」
 喚び寄せると同時に、八咫烏は白虎へと強烈な体当たりをぶちかます。
 否。
「信玄!」
 織田の一喝が飛び、武田は大きく咆哮して、八咫烏の首へと噛みつく――果たして八咫烏は体当たりを諦め、大きな翼で空気を掻き混ぜて、クロウの元へと飛んでいく。
 その背にひらりと乗ったクロウは、黒い羽をひと撫で、空中へと飛び立つ。
「いくぞ、」
 急上昇から、直下――その勢いのまま、織田を落とし、白虎の腹に風穴を開けんと奔る。
「――」
 低い織田の声。なにを呟いたか判然としない。長大な刀がぎらりと光る。ならば、クロウとて受けて立つ。
 八咫烏はそのまま突撃させ、クロウ自身は飛び降り、織田へと《玄夜叉》を振りかざす。
 墜ちてくる八咫烏を織田は一刀両断に斬り捨てる――生命力をともにするカレが斬られた。クロウにもダメージは降りかかってくる。
 しかしこれに屈するわけにはいかない。
 大将の首はすぐ目の前にあるのだ。
 浄雲の捕縛の糸が解き放たれる。
 なびきの手鞠から煌めく鋼糸が伸びて、織田に巻きつく。
「多勢に無勢――などと戯言を吐くなよ」
 浄雲は言い放つ。
「狩り損ねるわけにはいかないんだ」
 なびきの言葉はいよいよ冷徹さを増す。
 刀を持つ腕に炎を噴く《玄夜叉》が落ちる!
「ぐうッ」
 衝撃。感触。噴き上がる鮮血。
 着地直後、クロウは返り血を浴びながら、《虹駆》の力を発揮させ、すぐさま跳ぶ。浄雲の糸が織田を雁字搦めにした。一呼吸の間に、クロウは回し蹴りを放つ!
 凄まじい威力に、織田は成すすべなく吹っ飛んでいく。
 壁にしたたか体を打ちつけ、どうっと倒れ、動かなくなった。
 呼吸をひとつ。
 ふたつ。
 織田は動かない。その輪郭がぼやりと滲み始める。
「……お前は、本当に強い。ただ、それ以上に、俺たちが強かった――」
 大きく吐息して、《玄夜叉》をその場に突き立てる。
 刀身を通して、畳がじわりと熱を帯び、やがて炎を上げた。


 黒の鎧は力なく伏したまま。
 白虎の姿はすでにない。
 揺らめく炎の奥で、魔王の姿は薄らぎ、消えた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年08月27日


挿絵イラスト