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エンパイアウォー㊳~魔軍率いし第六天魔王

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #オブリビオン・フォーミュラ #織田信長 #魔軍転生

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「エンパイアウォーへの参戦に感謝します。リムは現在の戦況を報告します」
 グリモアベースに集った猟兵たちの前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(人間の精霊術士・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「皆様のご活躍の甲斐あって、江戸幕府軍はついに島原に到着。第六天魔王『織田信長』の居城たる魔空安土城は、首塚の一族の呪いによって地に引きずり降ろされました」
 魔空安土城周辺には信長軍の本隊が城を護るために布陣していたが、そちらは全て幕府軍が相手をしてくれている。ここまで猟兵たちが驚異を退け続けてきた結果、損害もなく万全の状態で島原に到着できた成果である。
「よって我々猟兵の役目は、魔空安土城に突入し、今回の戦争の元凶――オブリビオン・フォーミュラたる織田信長を撃破することです」
 カタストロフの発生まで、時間的余裕はまだある。焦らず、油断なく、確実に、詰めの一手をかの第六天魔王に打ち込むのだ。

「織田信長には、秘術『魔軍転生』によって、配下の魔軍将を背後霊のように『憑装』させて戦う能力があります」
 本来ならば8人の魔軍将の力を自在に使い分ける恐るべき敵となっただろうが、この秘術も今は万全の力を発揮しているとは言い難い。寛永三方ヶ原の戦いで武田信玄のオブリビオン化は阻止され、残る魔軍将もその多くが既に撃破されているためだ。
「現在の信長が『憑装』可能な魔軍将は大帝剣『弥助アレキサンダー』と隠し将『豊臣秀吉』、そして不完全ですが甲斐の虎『武田信玄』の3つのみです」
 どの魔軍将を憑装させていても、戦うのは信長本人には違いない。どれを撃破しても彼が復活不可能になるまでの戦力を削れるのは同じである。
「『憑装』した魔軍将によって使用するユーベルコードも変化するようですから、得手不得手を考えて交戦する機会を選ぶのも有効でしょう」
 いずれにせよ相手はオブリビオン・フォーミュラ、誰を憑装していようと恐るべき強敵であることに違いはない。万全の体制と作戦、そして覚悟が必要となるだろう。

「リムの予知によれば、今回の交戦での織田信長は、弥助アレキサンダーを『憑装』してこちらを迎え撃ってきます」
 信長に忠義を尽くす侍にして、渡来人の至宝『メガリス』を操る魔軍将、弥助アレキサンダー。それを憑装させた信長も、彼の所持するメガリスを操る力を得る。
「ただしその使用法は弥助とは異なるようなので、ご注意ください」
 織田信長自身の力に謎めいたメガリスの力までもが加わったこの『弥助装』、撃破するのは容易なことでは無いだろうが、ここまでの戦いを勝ち抜いてきた猟兵たちならば、決して打倒できぬ相手ではない。
「これがエンパイアウォー最後の決戦となるでしょう。どうか、皆様の全力をぶつけてきてください」
 信頼を籠めた眼差しでじっと猟兵たちを見つめながら、リミティアは手のひらにグリモアを浮かべると、魔空安土城への道を開く。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」



 こんにちは、狗です。
 ついに姿を現したオブリビオン・フォーミュラ、第六天魔王『織田信長』!
 形態変化するラスボスは王道ですね。というわけでこちらは魔軍将が一人、大帝剣『弥助アレキサンダー』の力を「憑装」した織田信長との戦いになります。

 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 第六天魔王『織田信長』は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。

 激しかったエンパイアウォーもいよいよ決戦の時です。
 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『第六天魔王『織田信長』弥助装』

POW   :    闘神の独鈷杵による決闘状態
【炎の闘気】が命中した対象を爆破し、更に互いを【炎の鎖】で繋ぐ。
SPD   :    逆賊の十字架による肉体変異
自身の身体部位ひとつを【おぞましく肥大化した不気味な鳥】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    大帝の剣の粉砕によるメガリス破壊効果
自身の装備武器を無数の【大帝の剣型】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。

イラスト:UMEn人

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「遂に来たか、猟兵達よ」

 首塚の呪いによって地に墜ちた魔空安土城、その天守閣にて待ち受けしは、漆黒の戦装束と炎を纏いし威風堂々たる武将。
 サムライエンパイアのオブリビオン・フォーミュラ、第六天魔王『織田信長』。

「もはや儂に万にひとつの勝ち目も無かろうが……億にひとつでもあるのならば、賭けてみるのも一興よ」

 紅蓮の炎の中から現われしは、第六天魔軍将がひとり、大帝剣『弥助アレキサンダー』の幻影。
 秘術「魔軍転生」によりその力を憑装した信長は、弥助が所持する渡来人の至宝「メガリス」を手に猟兵たちを迎え撃つ。

 遠く江戸からここ島原まで。
 長きに渡ったエンパイアウォー、その決戦の火蓋が、ここに切って落とされた。
御劔・姫子
【劔狐】で参加

この人が信長…高祖父様が会った言うてたけど、今はこの世界の敵…
御狐はん、行こう。うちらの世界を守るためにっ!

剣が無数の花びらに…これを凌ぐんは骨が折れそうやけど、御狐はんが援護してくれてるっ!
うちはすり抜けてきたのを【第六感、見切り、武器受け、武器落とし】を使って弾き落とすっ!

【戦闘知識】で隙を見つけたら…御狐はん、やろうかっ!
御狐はんと【手をつなぐ】…そして【劔狐無双】っ!
信長が魔軍将を憑依させるんやったら、こっちもっ!

【ダッシュ、早業】に【激痛耐性】も使って剣の花びらの間をすり抜け、【捨て身の一撃】の【なぎ払い】を叩きこむっ!

うちと御狐はんの絆は…絶対負けたりせぇへんっ!


御狐・稲見之守
【劔狐】で参加

フフ、さすがは第六天魔王。万に一つ、億に一つの賭けを一興とは。行こう、姫子。過去が未来を侵していい道理などない。

姫子の後方に位置、その背中預かるぞ。【オーラ防御】…霊符で己と姫子を囲い結界を張り、攻撃が結界をすり抜ける・破られる場合は姫子の剣で弾いてもらうとする。

姫子が隙を見つけたら――ああ、やるぞ姫子ッ。UC[憑依の術]、【手をつなぐ】ことで姫子に憑依合体。悪いがこちらの賭けの切り札も憑依でな!

姫子に意識を同調させながら【オーラ防御】とUCのダメージ軽減で耐え、姫子の一撃に己の妖力を重ねて刀身に紅蓮の狐火を纏わせる。

この稲見之守と姫子、二人で最強の切り札と勝負じゃ!!



「フフ、さすがは第六天魔王。万に一つ、億に一つの賭けを一興とは」
 妖力の籠もった霊符を手に、くつくつと愉快そうに笑うのは童女姿の妖狐。
 織田信長と対峙する御狐・稲見之守(モノノ怪神・f00307)の隣には、緊張の面持ちで愛刀を構える剣豪の娘――御劔・姫子(はんなり剣客乙女・f06748)がいる。
「この人が信長……高祖父様が会った言うてたけど、今はこの世界の敵……」
 オブリビオン・フォーミュラと化し、世界に仇為す存在となった戦国の大武将。
 相対するだけで肌に感じるその凄まじき野望への執念は、おそらくこの世界を全て焼き尽くしてもなお、収まることは無いだろう。

「行こう、姫子。過去が未来を侵していい道理などない」
 友の緊張を解きほぐすように、稲見之守がそっと告げる。
 静かだが力強いその声に籠められたのは、溢れるほどの自信と友に対する信頼。
 それを受け取った姫子は凛とした表情で頷き、斬り祓うべき敵を正面に見据える。「御狐はん、行こう。うちらの世界を守るためにっ!」
 織田信長からエンパイアの未来を救う。今、二人の想いは一つとなっていた。

「良い闘志だ。ならば儂も全力で応えねばならんな……弥助よ、貴様の剣を使うぞ」
 ふっと口元を歪めた信長は、背後霊のように立つ弥助の幻影が持つメガリス、大帝の剣を構えさせると、その刀身に自らの力を籠める。
「メガリスには、このような使い方もある」
 オブリビオン・フォーミュラの力に耐えかねたかのように粉々に砕ける大帝の剣。だが次の瞬間、砕け散った剣の破片はより小さな大帝の剣を模した花弁と化した。

「剣が無数の花びらに……」
 驚いている間もなく、剣の花弁は猟兵たちにその刃を向け、一斉に襲いかかる。
 咄嗟に受け太刀の構えを取る姫子、そしてその後方に位置するのは稲見之守。
「その背中預かるぞ」
 自らの力を籠めた霊符で己と姫子を囲い、結界を張る。ドーム状に広がったオーラの障壁が花弁を受け止め、弾き返していく。
 だが、いかに練達の術士である稲見之守といえど、無数に分裂したメガリスの刃の全てを受け止めることは困難。何十、何百という花弁を防ぐうち、結界には綻びが生じ始める。
「さすがに一人では保たんかの」
「せやけど一人ではあらへんよっ!」
 結界の維持に傾注する稲見之守の表情に焦りはない。その理由を示すように、綻びを突き破ってきた剣の花弁を姫子が迎撃する。
 御劔家に伝わる宝剣『巌太刀』、その頑強さは大帝の剣を打け止めても決して刃毀れることはなく。直感を研ぎ澄ませた姫子の振るう斬撃は、花弁を次々と弾き落としていく。

 初手より苛烈なる信長の攻撃。しかし剣の花弁は無数なれども無限にあらず。凌ぎ続けていれば必ず攻勢に隙は生じる。
 ――そしてその隙を、数多の戦場で磨き上げた姫子の経験は見逃さなかった。
「……御狐はん、やろうかっ!」
「ああ、やるぞ姫子ッ」
 刀を右手に持ったまま左手を伸ばす姫子。それに応えて手を繋いだ稲見之守の身体から、凄まじい妖力が溢れ出す。
「ぬぅ……?」
 瞠目する信長の前で、稲見之守から繋ぎあった手を通して伝わった妖力は、姫子の身体を流れて『厳太刀』の刀身にまで達する。
「悪いがこちらの賭けの切り札も憑依でな!」
「信長が魔軍将を憑依させるんやったら、こっちもっ!」
 稲見之守の【憑依の術】によって、力と意識を同調させた二人は同時に叫び。
 まさしく一心同体の動きで、ドンと力強く踏み込んだ。

「味な真似を!」
 信長は弾かれた大帝の剣の花弁を再集結させると、接近する二人を阻まんと放つ。
 しかし今の二人はただ一緒に戦っているだけではない。稲見之守の妖力妖術と、姫子の武術戦技が掛け合わされた憑依合体状態、その相乗効果は凄まじい。
「一人やと無理でも……二人やったらっ!」
 稲見之守の手をしっかりと繋いだまま、姫子は押し寄せる剣の花吹雪の隙間を風のようにすり抜けていく。全てを躱し切ることはできなくとも、稲見之守の妖力のオーラがダメージを軽減してくれる。
「この稲見之守と姫子、二人で最強の切り札と勝負じゃ!!」
 同調する意識の中、姫子と共に戦場を駆けながら、稲見之守も叫ぶ。
 花弁に斬り裂かれる痛みも、友と分かち合えるなら耐えられる。舞い散る花弁と鮮血を置き去りにして駆け抜けた二人は、ついに織田信長を刀の間合いに捉える。

「やってやれ、姫子ッ!!」
 稲見之守は己の妖力の全てを刀に送りこみ、その刀身に紅蓮の狐火を纏わせる。
 劔狐之友から託された想いと力、決して無駄にはしない。
 護りを捨てた姫子が放つのは、全身全霊を籠めた乾坤一擲の一閃。
「うちと御狐はんの絆は……絶対負けたりせぇへんっ!」
 鍛え上げた体。磨き抜いた技。そして友と繋いだ心。
 心技体が一つとなった【劔狐無双】の一撃が、信長を深々と焼き斬った。

「……人と物の怪が手を取り合うか……愉快なり……そして、見事……ッ!!」
 焼き斬られた身体の傷を押さえながら、苦痛に歪んだ表情で信長は笑う。
 その瞳に燃え上がる闘志は、今だ消えてはいなかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ゲンジロウ・ヨハンソン
○アドリブ歓迎
○連携ご自由に

お、こっちは弥助の旦那か。
先の戦いじゃ世話んなったな、すまんがココでも通せんぼさせて貰うぞ?

○先制対応
【炎の闘気】の爆破には【盾受け】に【オーラ防御】を重ねて少しでも衝撃を和らげ只管に耐えよう。
【炎の鎖】はあえて結び、その焼ける痛みは【激痛耐性】で堪えるぞ。
さあ、覚悟はいいか信長さんよ。我慢比べ、付き合ってもらおうか。

○攻撃
先制攻撃を乗り切ったら手が焼けるのもお構いなしで、【怪力】で
炎の鎖を手繰り寄せるように近づき、逃さぬようにしっかり鎖を握り込む。
熱いのぅ…じゃがこれが心強い代償となってくれるんじゃよ。
【選択したUC】を発動させマグマ溢れる我慢大会のはじまりじゃ。



「お、こっちは弥助の旦那か。先の戦いじゃ世話んなったな、すまんがココでも通せんぼさせて貰うぞ?」
 信長の背後に立つ幻影を見て、そう声を上げたのはゲンジロウ・ヨハンソン(腕白青二才・f06844)。
 関門海峡の大渦にて立ちはだかった魔軍将は、今は信長に憑装された純粋な力として、主君の動きに合わせて独鈷杵を構える。
「弥助が世話になったか。だが儂が此奴と同じようにいくとは思うなよ」
 先の戦いでは見られなかったメガリス「闘神の独鈷杵」の別種の力。信長と弥助から放たれた炎の闘気がゲンジロウに襲い掛かる。

「ぬう……!」
 左腕のDIYシールドガントレットに自らのオーラを重ね、防御の構えを取るゲンジロウ。直撃した炎の闘気が巻き起こす爆熱と衝撃に、歯を食いしばりながら耐える。
 流石にその威力は凄まじいものだが、耐えきれぬ程ではない。しかしゲンジロウを襲った闘気はさらに一本の炎の鎖となって彼の身体に絡みつく。
「逃しはせんぞ」
 鎖のもう一方の端を握るのは信長。独鈷杵の生み出した決闘状態は、両者の間に一対一の戦いを強制する。地力において猟兵を圧倒的に上回る敵とのタイマンだ。

 しかしゲンジロウは、この不利な勝負を望むところだと言わんばかりに笑う。
「さあ、覚悟はいいか信長さんよ。我慢比べ、付き合ってもらおうか」
 その身が焼けることも厭わずに、絡みつく炎の鎖をがしりと掴む。肉の焦げる匂いと音と共に、痛みには強いはずの彼をしても耐え難いほどの激痛が襲い掛かる。
「ぐおぉぉぉ……!!」
 思わず叫び声を上げながらも、ゲンジロウは決して鎖を手放しはしなかった。
 炎の鎖を手繰り寄せるように信長の元へ近付いていきながら、ありったけの腕力で鎖を握り込む。逃げられないのはお前さんも同じだ、と言わんばかりに。

「そのまま身を焼かれながら、儂に一対一で勝つつもりか? 無謀だな」
 両者の距離が縮まれば、信長より放たれる闘気の熱はさらに強くなる。
 ゲンジロウにとってこの接近は、自ら火中へと飛び込むようなもの。激痛と熱傷はより激しいものとなるが、これこそが彼の勝算でもあった。
「熱いのぅ……じゃがこれが心強い代償となってくれるんじゃよ」
 鎖を掴んだ手の火傷から、紫苑色に燃え滾る溶岩が溢れ出す。それは瞬く間に巨大なヒトガタを形造ると、腕を振りかざして信長に襲い掛かった。
「これは……ぐぅっ!」
 咄嗟に刀を振るって溶岩の拳を受け止める信長。だが直撃を凌ごうとも、炎の闘気にも劣らぬほどの熱量と、触れたところから流れ込んでくる怨嗟の声が、彼の肉体と精神を同時に蝕んでいく。

「さあ、マグマ溢れる我慢大会のはじまりじゃ」
 全身に負った火傷からじくじくと溶岩を垂れ流しながら、ゲンジロウが笑う。
 本体が傷を負うほどに戦闘力を増す、紫苑色の溶岩巨人。それが彼のユーベルコード【怨嗟の鑪】の力。
 ゲンジロウの熱傷を糧としてみるみるうちに膨れ上がっていく巨人の猛攻に、先に耐え切れなくなったのは信長の方だった。
「やむを得ぬか」
 独鈷杵の決闘状態が解除され、互いを繋ぐ炎の鎖が解ける。
 敵を逃す代わりに自由を得た信長は、巨人から受けた火傷をかばいながら、仕切り直しのために後退していく。
「我慢比べは……儂の勝ちじゃな……」
 一方のゲンジロウもこれ以上は限界だった。十分なダメージを負わせたものの、巨人に追撃を仕掛けさせるほどの余力ももう残ってはいない。
 全身に重度の火傷を負った彼は、意識を失う前に前線から後退していくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

バル・マスケレード
先制攻撃はUCの未来視で軌道を読み、回避に専念
幸いにしてここは城内
縮自在のイバラ「久遠の《棘》」を用いた【ロープワーク】で
梁や柱に棘を巻きつけ、伸縮によって縦横無尽に避けきってみせらァ

反撃として狙うべきチャンスはただ一瞬
ガッチリ鎧を着込んでる以上、狙うべきは生身の部分
そう……
あのおぞましい鳥に……つまり生身に変化した肉体、そのものだ!
噛みつきが攻撃手段である以上、口を開く瞬間が必ずある
未来視によって大口開くタイミングを【見切り】
毒の小型爆弾「ノットファイアワークス」を【投擲】して食わせ、起爆
どんなに鎧を着込んでても、内側からの炸裂は効くだろ?
ヒハハッ、腹下しても知らねェぞ、悪食なトノサマよォ!



「ようやく会えたなァ、トノサマよォ」
 後退していく味方と入れ替わるように、前に出たのはバル・マスケレード(エンドブリンガー・f10010)。ヒーローマスクである彼に表情はないが、その言葉には憎悪が――目の前のオブリビオンへの敵意がありありと浮かんでいる。
「覚悟しな。俺達が、テメエの《終焉》だ」
「笑止。儂の終わりは儂自身が決めるものよ」
 対峙する信長の背後で弥助の「逆賊の十字架」が輝く。すると信長の左腕はおぞましく肥大化し、不気味な鳥のような頭部に変化した。

「少々傷を負いすぎたのでな。貴様の血肉で回復させて貰うぞ」
 異形化した左腕を振るってバルに襲いかかる信長。その嘴による啄み攻撃には標的の生命力を奪い取る力があり、一撃でも被弾すればこれまでの形勢が覆りかねない。
 しかしバルは近くにあった柱に伸縮自在のイバラ「久遠の《棘》」を巻きつけると、引っ張られるようにしてその場から飛び退き、怪鳥の嘴を躱す。
「〝視えて〟ンだよ……俺達にはなァ!」
 バルの宿主である女性の瞳には未来視の力が宿る。それを駆使して致命的なエンディングを覆す、それが彼らのユーベルコード【《終焉》の終焉】。
 ここが《棘》を絡める場所の多い城内だったのも、彼らにとっては幸いだった。
 未来視の力で攻撃の軌道を読み、梁や柱に巻きつけた《棘》で縦横無尽に戦場を飛び回る。宿主とマスク、それぞれの能力を活かした一心同体の戦法で、バルは信長の猛攻を躱し続ける。

(反撃として狙うべきチャンスはただ一瞬)
 少しでも未来を読み違えるか反応が遅れれば、怪鳥の嘴は即座にバルを貫くだろう。僅かな気の緩みも許されない状況の中で、彼はじっと好機を待ち続けていた。
 敵が重厚な鎧をがっちりと着込んでいる以上、有効打を与えるために狙うべきは露出した生身の部分。
(そう……あのおぞましい鳥に……つまり生身に変化した肉体、そのものだ!) 
 何度も攻撃を避けられ続けるうちに焦れた信長が、隙の生じる大振りな一撃を繰り出す。その未来が彼らにははっきりと"視えて"いた。
「小癪な……ッ!?」
 嘴を大きく開いた怪鳥が獲物に喰らいつこうとした瞬間、バルは自らの魔力で編み上げた小型爆弾「ノットファイアワークス」を放り込んだ。

「どんなに鎧を着込んでても、内側からの炸裂は効くだろ?」
 怪鳥が爆弾を呑んだのを確認してから、パチンと指を鳴らす。それが起爆の合図。
 信長の体内で弾けた爆弾には、オブリビオンにすら有毒な猛毒が仕込まれていた。
「がは、ッ!!? 貴、様、やってくれたな……!!」
「ヒハハッ、腹下しても知らねェぞ、悪食なトノサマよォ!」
 顔色を青ざめさせて苦悶に呻く信長。急いで怪鳥の口から毒を吐かせても、一度体内に巡った毒の全てを除去することはできない。
 よろめきながら膝をつく敵を見下しながら、バルは愉快そうに笑うと《棘》を伸ばして前線から離脱していくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

駆爛・由貴
アドリブ・連携歓迎

ったく…往生際が悪ぃぜ!
オッサン!

エヴァー・トラッシュに魔力を通し身軽になったら
不意を付くようにダッシュで接近してベロボーグで斬り付けるぜ

テメーがバケモンを出す前に一気に切り刻んでやるぜ!
この田舎侍がよ!

と挑発しながら敵UCをおびき寄せる
敵がUCを発動して噛みついてきたらこっちもカウンターでUCを発動
鳥の口の中に焼夷手榴弾や破片手榴弾を投げ込んだら爆発する前にダッシュで退避だ

どーよ!特製のキャンディーの味は!
ちっとばかし刺激が強いかもなー!

退避したらミストルティンに装備を切り替え
オンモラキ・バサンと共に一斉射撃だ

テメーの腐った野望もここまでだぜ!
大人しく骸の海に還りやがれ!


レイ・キャスケット
いよいよ大将戦、魔王様のお出ましだね
たかが「魔王」に怯んでるようじゃアルダワの「大魔王」相手になんてしてられないっての

剣の花びらは風魔法の【属性攻撃】で威力を削ぎ【二回攻撃】の飛ぶ風の魔力刃で可能な限り到達前に撃ち落として対処
そっちだって二人で一人な戦法なんだし、こっちが同時攻撃しても文句はないよね?
他の猟兵と連携をして雷撃や地の棘、炎弾といった様々な【属性攻撃】で気を散らせるように援護をするよ

とはいえ攻撃するだけが闘いじゃない、強敵相手だからこそ傷ついた味方をUCで後方から癒して回るのも重要なオシゴトだからね
自分の怪我を治療するよりも味方の治療を優先して行う

※連携希望



「いよいよ大将戦、魔王様のお出ましだね」
 そう言ったのはレイ・キャスケット(一家に一台便利なレイちゃん・f09183)。
 立ち向かう相手は間違いなくこのエンパイア最強の敵。だが彼女の表情に恐れの色はまるでない。
「たかが『魔王』に怯んでるようじゃアルダワの『大魔王』相手になんてしてられないっての」
 世界にオブリビオンが発生する元凶である、オブリビオン・フォーミュラ。
 いつの日か故郷を災魔の手から救おうと望むなら、いずれは超えねばならぬ敵なのだから。

「この儂を差し置いて大魔王とはな……いずれその世界も侵略してみたいものだ」
「お断りだね」
 少女に襲い掛かるのは信長に砕かれたメガリス「大帝の剣」の破片。戦場を乱舞する花弁の嵐を、レイは風の魔法による突風で迎撃しようとするが、それだけでは勢いを落とすのが精々。
 しかし彼女が唱えた魔法は同時に2つ。突風に合わせて放たれた風の魔力刃が、威力の削がれた剣の花弁を次々に撃ち落としていく。
「妖術使いか、器用な真似を……ゴホッ……」
 血を吐きながら花弁を操る信長。彼がこの戦いで負ったダメージは既に小さくはない筈だが、戦いの動きに精彩を欠く様子はまるで見られない。
 全方位より降り注ぐ花弁の猛襲にレイはじりじりと追い込まれていき、細かな刃に切り裂かれた肌にはじわりと血が滲みだす。

「ったく……往生際が悪ぃぜ! オッサン!」
 だがその時、信長の横手から風のように迫る一人の猟兵がいた。
 パンクスジャージに両刃の短剣という身軽な装備をした駆爛・由貴(ストリート系エルフ・f14107)は、その俊敏さを最大限に活かして信長に不意打ちを仕掛ける。
「テメーがバケモンを出す前に一気に切り刻んでやるぜ! この田舎侍がよ!」
 彼の着用する「エヴァー・トラッシュ」には、魔力を通すことで着用者をより身軽に加速させる力もある。並大抵の相手であれば、その奇襲に反応さえできなかっただろう。
 だが――今回の敵は決して並大抵ではない。
「良い動きだが……奇襲するならば黙ってやることだ」
 逆賊の十字架の力により一瞬で異形化した信長の左腕が、まるで別個の生き物のように由貴の接近に鋭く反応する。
 おぞましい怪鳥の頭が鎌首をもたげ、不意をついたはずの少年に逆襲を仕掛けた。

「やっぱりこうなるよな」
 不意打ちは失敗。だがその裏にあった真の狙いである、挑発による攻撃の誘導に成功した由貴はにやりと笑う。
 怪鳥に喰らいつかれるまさにその瞬間、【グレネード・パーティー】を発動。隠し持っていた焼夷手榴弾や破片手榴弾を、目にも留まらぬ早業で敵の口内に投げ込む。
 怪鳥が手榴弾を呑み込むのと、怪鳥の嘴が由貴を捉えるのはほぼ同時だった。
「ぐっ……痛ぇ……けど!」
 肩に深々と食い込んだ嘴が、血肉と生命力を啜り取っていく。激痛に顔をしかめながらも目的を達成した由貴は、無理やり嘴を引き剥がしてその場から退避する。

「やられたか。だが逃さぬ……っ!?」
 まんまと一杯"食わされた"信長は、背を向けた敵に刀を振りかざすが、そこに飛来した雷撃が彼の目を眩ませ追撃を妨害する。
「そっちだって二人で一人な戦法なんだし、こっちが同時攻撃しても文句はないよね?」
 敵の注意が由貴に逸れたことで、どうにか剣の花弁を凌ぎきったレイ。今度はこちらが援護する番だと、地の棘や炎弾といった様々な属性魔法で信長の気を散らす。
「ありがとな!」
「おのれ……ッ、がぁぁぁぁっ!!!!?」
 無事に退避に成功した由貴の後方で、怪鳥が呑んだ手榴弾が爆発する。
 体内を焼かれながら破片にズタズタにされる苦痛。さしもの信長の口からも絶叫がほとばしる。

「どーよ! 特製のキャンディーの味は! ちっとばかし刺激が強いかもなー」
 得意げな笑みを浮かべながら、由貴は装備を短剣から化合弓「ミストルティン」に切り替えて狙いをつける。しかし相打ちで貰った肩の傷は思いのほか深く、矢を番える手は微かに震えている。
「ふわふわふわ、風にのせて運びましょう。あなたに宿せ、ボクの華」
 そこでレイが唱えたのは【純白の輝きは生命を運ぶ】。淡い光を放ちながらふわりと舞うタンポポの綿毛が傷口に触れると、由貴の肩の傷は一瞬のうちに癒えていた。
「おー、痛みが消えちまった! やるな!」
「攻撃するだけが闘いじゃない、強敵相手だからこそ傷ついた味方を癒して回るのも重要なオシゴトだからね」
 自らも浅からぬ傷を負っているにも関わらず、味方の治療を優先させたレイ。
 痛みや疲労をおくびにも出さず笑う彼女を見て、由貴もその期待に応えんと弓矢を番えなおし、左右に展開した自律ポッド「オンモラキ」「バサン」に合図を送る。

「テメーの腐った野望もここまでだぜ! 大人しく骸の海に還りやがれ!」
 ありったけの力を籠めて放たれたミストルティンの矢、そしてオンモラキのビームとバサンのガトリング弾の一斉射撃。体内爆破で痛烈なダメージを負った直後の信長に、避けきれるものではない。
「ぐ、おぉぉぉぉぉ……ッ!!」
 胸に突き刺さった矢、そしてビームと銃弾の嵐に晒され、信長の鎧が穿たれていく。
 だが、漆黒の鎧を血で染め上げながらも、その瞳はまだ死んではいなかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

トリテレイア・ゼロナイン
魔王信長……エンパイアに住まう人々の為、貴方に億が一の勝機を与えるわけにはいきません
その野望、人々の為剣を執る異邦の騎士として阻ませて頂きます

(事前に●防具改造●破壊工作で偽装甲冑装甲を自ら爆破、パージ可能に)
放たれる炎の闘気は温度変化をセンサーでの●情報収集で●見切り、●盾受けで防御。爆発は盾を犠牲に防ぎます

余波の炎の鎖で捕縛されるでしょうが、自身の装甲を爆破しパージすることで捕縛を解除。パージの爆炎で●目潰しを行いつつUCを発動

爆炎の中から向上した機動力で飛び出し、●怪力での●武器受けで切り結ぶと見せかけスラスターを吹かして●スライディング
足払いで転倒させ●踏みつけ剣で刺し貫きます



「魔王信長……エンパイアに住まう人々の為、貴方に億が一の勝機を与えるわけにはいきません」
 言葉は冷静に、しかしてその胸の内には熱い使命を宿し、魔王の前に進み出たのはトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)。
 儀礼用の剣と大盾を構えるその様は、まさしく悪しき魔王に立ち向かう騎士の姿。
「その野望、人々の為剣を執る異邦の騎士として阻ませて頂きます」
「ふ……異邦の騎士か……面白い。だが儂の覇道に立ちはだかる者は、誰であろうと滅ぼすのみよ」
 傷ついた信長の身体から、再び炎の闘気が燃え上がる。
 それと呼応して、背後に立つ弥助の幻影が闘神の独鈷杵を掲げた。

「さあ、心ゆくまで死合おうぞ!」
 雄叫びと共に放たれた闘気は、荒れ狂う灼熱の波動となって戦場を吹き荒れる。
 熱センサーによって戦場の温度変化をキャッチし、攻撃の瞬間を見切ったトリテレイアは、即座に大盾を掲げて闘気を受け止める。
 爆発、そして衝撃。凄まじい強度を誇る重質量大型シールドが、一撃で歪むほどの威力。だが盾を犠牲にした甲斐はあり、トリテレイア自身に大きなダメージはない。
「凌いだか。だが捕らえたぞ」
 弾かれた闘気の余波は炎の鎖へと形を変え、騎士のボディを縛り上げる。
 全く動けないほどではないが、この強敵を相手に行動を制限されることがどれほど不利であるかは自明の理であった。

 だがこの瞬間、予めトリテレイアがこの戦いに備えて追加した機能が発揮される。
「次はこちらの番です」
 炎鎖の絡みついた偽装甲冑装甲を自ら爆破し、装甲ごと捕縛を解除。トリテレイアの姿は爆炎に覆い隠され、パージされた装甲はまるで散弾のように吹き飛ぶ。
「自ら鎧を捨てるとは!」
 潔い判断に驚嘆する信長であったが、トリテレイアが捨てるのは鎧だけではない。
 炎の中に身を隠しながら、彼が起動するのは【鋼の騎士道】。
「格納銃器強制排除、リミット解除、超過駆動開始……」
 ボディ各部の格納銃器を強制パージし、全てのリソースを近接戦闘に割り振り。
 機動性、運動性を爆発的に向上させた真の機械騎士は、剣を手に猛然と爆炎の中から飛び出した。

「速い……っ!!」
 リミッターの解除に加え、重い装甲さえも捨て去った機械騎士の急加速は、信長も思わず瞠目するほどだったが、彼とて驚いてばかりではない。
 彼我の間合いが詰まった瞬間、信長は刀を一閃。トリテレイアは得意の怪力を活かして切り結ぶ――かと見せかけて、刀と剣が触れる寸前でスラスターを吹かす。
「こちらです」
「何と……ぐおッ!?」
 スライディングで斬撃を避けながら、体勢の崩れた信長を足払いで転倒させる。
 起き上がる間を与えずに踏みつけ固定すると、あらん限りの力を籠めて剣を振り上げ――。
「これが私の騎士道です……!」
「ぐおぉぉぉぉぉぉッ!!?」
 儀礼剣に深々と刺し貫かれた信長の絶叫が、魔空安土城に響き渡る。
 戦いの終わりは、刻一刻と迫りつつあった。

成功 🔵​🔵​🔴​

フレミア・レイブラッド
第六天魔王…相手にとって不足無しね!吸血姫の全力を見せてあげるわ!

・先制対策
水と氷属性の魔力弾【高速詠唱、誘導弾】と【念動力】で牽制。
【見切り、第六感】で相手の動きを読み、【残像、ダッシュ】で回避か【念動力】の防御膜と【怪力、早業】を活かした【武器受け】による防御態勢でガード。

先制を凌ぎ、UC発動可能時点で即座に【覚醒】。
覚醒の魔力で強化した攻撃・捕縛魔術【属性攻撃、誘導弾】と【念動力】で二重に拘束を掛けながら超高速を活かして連続攻撃を仕掛け、最後に全力で隙を作った後、全魔力を魔槍と自身の身体強化に回し、自身を魔力の槍とした渾身の突進による最大の一撃【怪力、串刺し、早業、鎧砕き】で貫くわ!



「ぐぅ……ッ、見事……見事なり、猟兵よ……この逆境、戦国の世を思い出すわ……!」
 胸に突き刺さった剣を引き抜き、立ち上がった織田信長は修羅の如き笑みを浮かべる。確実に追い詰められていながら、身に纏う覇気には些かの衰えもない。
 そこに立ちはだかったのは、真紅の魔槍「ドラグ・グングニル」を構えたフレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)。
「第六天魔王……相手にとって不足無しね! 吸血姫の全力を見せてあげるわ!」
 エンパイア最大の強敵を前にしてもその表情に恐れはなく、楽しげに微笑み。
 力強く槍を握り締めながら、水と氷の魔力弾を展開して距離を詰めていく。

「面白い……ならば儂も全力でそれに応じようぞ!」
 弥助の幻影が独鈷杵を掲げ、燃え盛る闘気が信長を中心として荒れ狂う。
 フレミアは牽制の魔力弾と念動力を放ちながら戦場を駆け、第六感を活かして敵の動きと気の流れを読む。炎の闘気が焼き払うのは、駆け抜けた吸血姫の残像のみ。
 されど城内に命中した闘気は凄まじい爆発を起こし、衝撃と熱風の余波を周囲に巻き起こす。フレミアは即座に全身を念動力の膜で覆い、魔槍による防御態勢を取る。
「さすがに一筋縄ではいかないわね」
 風車のように槍を回転させ余波を振り払っても、熱気で額に汗がにじむ。
 そう何度も防ぐのは難しいだろう。ならば、ここで一気に攻勢に転じるのみ。

「我が血に眠る全ての力……今こそ目覚めよ!」
 信長の先制を凌いだフレミアは【吸血姫の覚醒】を発動し、真の姿を解放する。
 十代前半から半ば程だった外見は17、8歳程に成長し、背中には吸血鬼を思わせる4対の真紅の翼が生える。そして爆発的に解き放たれた真祖の魔力は、信長の放つ炎の闘気と拮抗し、激しい火花を戦場に散らす。
「さあ、ここからが本番よ!」
「来るがいい……!」
 撃ち出される魔力弾の威力も、これまでの牽制とは比較にならない。
 警戒を一段と深めながら魔力弾を切り払う信長。だが、水と氷の弾丸が刀身に触れた瞬間、籠められていた魔術が刃を凍り付かせる。
「これは、捕縛魔術か!」
「ご明察ね」
 攻撃用の魔力弾と拘束用の魔術弾を織り交ぜた弾幕を放ちながら、目にも留まらぬ速さで城内を飛び回る。剣技においても尋常ではない腕前を誇る信長も、刀一本で全ての弾を凌ぎ切ることはできない。
 そこに畳み掛けるようにフレミアは全力の魔力弾と念動力を放ち、敵の動きを一気に封じ込めに掛かった。

「ぬぅぅ……っ!!」
 念力と氷の縛めに捕らわれ、ほんの僅かな間ではあるが、信長が完全に静止する。
 この瞬間こそが千載一遇の好機。残された全魔力を魔槍と自らの身体強化へと回し、真紅の輝きに包まれたフレミアは、持てる全てを籠めて信長に突進する。
 瞬間移動と見紛うほどのスピードで、己自身を一本の魔力の槍とした吸血姫は、今の己に繰り出せる最速にして最大の一撃を放つ。
「これがわたしの全力よ……!!」
 戦場を翔け抜けた真紅の槍は狙い過たず、信長の鎧を穿ちながら胸の中心を貫き、大きな風穴を開けながら突き抜けていった。

「―――ッ!!!!!!」
 燃え盛っていた炎の闘気が、揺らめきながら消えていく。
 吸血姫の魔槍に貫かれた信長は、声にならぬ絶叫を上げて、よろめく身体を刀で支えていた。
「見事なり……貴様の全力、確かに見せてもらったぞ……!」
 口から漏れる賛辞は惜しみない本心からのもの。常人ならばとうに即死であろう傷を負いながらも、彼の目にはまだ光が宿っている。
 だが――その光が消える時もそう遠くないことを、フレミアは確かな手応えと共に感じ取っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

雛菊・璃奈
この世界を乱すおまえだけは許さない…!織田信長…おまえだけは、全てを賭けてここで倒す…!!

WIZ対策
黒桜の呪力解放【呪詛、衝撃波、なぎ払い】で花びらを迎撃し威力を弱めつつ、アンサラーの【呪詛、オーラ防御、武器受け】で攻撃を反射…。

先制を乗り切り次第【九尾化】…。
敵の花びらを無限の魔剣を顕現して撃ち落としつつ、神速と凶太刀による高速化を併せた超神速で接近…。凶太刀と神太刀による【呪詛】を込めた神速の連続斬から【呪詛、力溜め、鎧砕き】のバルムンクの剛剣の一撃で敵の刀や鎧ごと両断する勢いで切り砕き、零距離で無限の魔剣顕現による一斉斉射…。そして最後に凶太刀による全力の一刀…その首、落とさせて貰う…!


月鴉・湊
トドメ希望

さあて大将首、頂くとしますか。
悪いが死に様は選ばせてやれないんだ。すまないね。

対策として奴が変形し始めたら糸を使い早業で即座に距離を取る。
主役は俺じゃないんだ。お前を殺るのは。だが俺がやられるわけにはいかないんでね。

そしてUCを使用。
信長に恨みを持つ者達を呼び寄せる。

おいおい、信長、お前恨み買い過ぎじゃないか。
俺が想像してたよりも大勢集まってくれてるじゃないか。
中には見たことある坊さんやお前に骨を杯にされた武将とかもいるじゃあないか。
さあ、やってみろ。こいつらは既に死した者。
生命力などあったものじゃあない。噛みついても治療などできないだろう。

信長、こいつらの恨みに飲まれてしまえ。


ヴィクティム・ウィンターミュート
ここがテメェの覇道──その終着点だ
最後に勝つのは猟兵ってことを教えてやる
0.1%だって、勝率を残してやらねえ

まずは先制攻撃の対処
【ハッキング】で自己サイバネを一瞬の限界突破
【ダッシュ】【早業】【見切り】【第六感】で鳥の頭部による攻撃を紙一重で回避する
勝負は、2回目からだ

鳥の頭部が再度出現したら、『Balmung』をセット
大脳サイバネ『Wintermute』にアクセス
【覚悟】を決め、タイミングを合わせて意識をシャットダウン、強制脱力
同時に設定したRebootタイマーにより、即時意識を強制起動
無効化し、吸収──54倍に膨れたエネルギーを【カウンター】でぶち込む

テメェの力で、テメェを討つ
──終わりだ



「流石に……血を流しすぎたか……」
 猟兵との戦いで夥しいほどの傷を負い、まさに満身創痍と成り果てた第六天魔王。
 砕けた鎧に代わって全身を朱に染め上げながら、自嘲するように口を歪めて呟く。
「ここで儂は終わるのか……?」
「ああ、そうだ」
 そう言い放ったのはヴィクティム・ウィンターミュート(impulse of Arsene・f01172)。その口の端を皮肉げにつり上げ、鋭い眼差しで信長を睨み付ける。
「ここがテメェの覇道――その終着点だ。最後に勝つのは猟兵ってことを教えてやる」
 彼だけではない。同時にこの戦場に姿を現した気配は、さらに2つ。
「さあて大将首、頂くとしますか。悪いが死に様は選ばせてやれないんだ。すまないね」
 飄々とした雰囲気と黒衣を纏い、咎人の血の糸で編まれた「紅露」のマフラーをたなびかせる、月鴉・湊(染物屋の「カラス」・f03686)。
「この世界を乱すおまえだけは許さない……! 織田信長……おまえだけは、全てを賭けてここで倒す……!!」
 故郷たるこの世界を護るべく数多の魔剣・妖刀の類を携え、静かな表情の裏に激しい怒りと決意を秘めた、雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)。
 三者三様の想いで立つ猟兵たちに共通するのは、ここで決着を付けるという意志。
「0.1%だって、勝率を残してやらねえ」
 絶対に、確実に、引導を渡す。
 ヴィクティムの宣言通り、今の信長に彼らを同時に撃破する余力は無いはずだ。

「ふ……なるほど。確かにこれは本能寺の時よりも分が悪いか」
 三人の殺気に晒されながら、血塗られた手で刀を構える織田信長。
 その背後では弥助アレキサンダーの幻影が、大帝の剣と逆賊の十字架を掲げる。
「だが、ここで潔く討たれてやるほど、儂の往生際は良くはない……この第六天魔王の首、欲しくば命の覚悟をしてもらうぞ!」
 まさに"魔王"と呼ばれるに相応しき裂帛の気合と共に、粉砕される大帝の剣。
 砕け散った破片は無数の剣の花弁に変成され、全てを切り刻む破壊の嵐と化した。

「呪力解放……!」
 魔王の先制攻撃を迎え撃つために前に出たのは璃奈。手にした呪槍・黒桜から解き放たれた黒い桜のような呪力の花弁が、剣の花弁と激突しその威力を弱める。
 その間に湊は城の天井の梁に素早く血の糸を巻き付けると、敵の攻撃が届かない位置まで即座に距離を取る。
「主役は俺じゃないんだ。お前を殺るのは。だが俺がやられるわけにはいかないんでね」
 蜘蛛のような糸さばきで天井に昇った湊はユーベルコードを発動するために、妖刀「影楔」を抜いて意識を集中していく。

「その程度か、猟兵! 我が覇道を阻む者共よ! 儂の首はここにあるぞ!」
 剣の嵐の中心で血反吐を吐きながら哄笑する織田信長。死を決意したが故のその闘志は凄まじく、死力を注ぎ込まれたメガリスの刃はより一層激しく荒れ狂う。
 黒桜の花弁でもその勢いは相殺しきれず、呪槍を振るう璃奈に無数の刃が迫る。
 しかしその瞬間、少女は呪槍を手放すと、代わって魔剣アンサラーを抜き放つ。
「おまえの力……そのまま返すよ……」
 剣に籠められた応報の魔力をオーラのように全身に纏い、剣の花弁をその身と剣で受け止める。アンサラーの力は「敵の攻撃の反射」――璃奈に突き刺さったはずの刃は、使い手である信長の元へ跳ね返される。
「何だと……ッ!!!」
 思わぬ逆襲を受けた信長は、自らの攻撃の威力をその身で味わうことになる。
 無数の花弁に全身を切り刻まれ、花弁のような血飛沫が戦場に散る。

「―――まだだッ!!」
 それでも、信長は倒れない。逆賊の十字架を輝かせ、片腕を異形化。おぞましい怪鳥の頭部を振り上げて、剣の花弁の中を疾走する。
「今度は、俺に任せてくれ」
 迎え撃たんとする璃奈を制して、駆け出したのはヴィクティム。ハッキングによって全身のサイバネティクスを限界突破させた彼は、その知覚力・身体能力・反射神経を飛躍的に向上させる。
 無論、正規の設計を無視したリミッターの解除など長く保つはずがない。だが、一瞬でも発揮できれば十分――。
「喰らうがいいッ!!」
 怪鳥の嘴による刺突を、ヴィクティムは刹那のうちに見切ると、紙一重で躱す。
 ここまでは狙い通り。だがここでハッキングによる限界突破の効果が切れる。
(勝負は、2回目からだ)
 肝心なのはこの先を凌ぎながら反撃へと繋げる手段――少しでもタイミングを誤れば、死ぬのは彼の方だ。

「オォォォォォ――ッ!!」
 既に限界を超えている信長は、それでも異形化を解除せず追撃の構えを取る。
 それを見たヴィクティムは【Reuse Program『Balmung』】をセットすると、大脳に埋め込まれたサイバネ『Wintermute』にアクセスする。
 準備するコマンドは、自らの意識のシャットダウン――作戦のうちとはいえ敵の目前で無防備に気を失うのは、彼にとっても勇気のいる決断だった。
(だが、俺ならやれる)
 あえて強気な笑みを浮かべながら、覚悟を決めてタイミングを見計らい――怪鳥の嘴が命中する瞬間に自らの意識を絶ち、強制的な脱力状態に入った。

「殺った……!!」
 無防備なヴィクティムの心臓を異形の腕が貫く。少なくともその瞬間、信長はそれを確信したはずだ――だが、彼の表情はすぐに愕然としたものに変わる。
「――いや、違う?!」
 手応えがない。まるで綿布団の中に拳を突き入れたように、繰り出した一撃の威力も勢いもどこかに吸い込まれてしまった上、異形化した左腕も元に戻っている。
 ヴィクティムのユーベルコード『Balmung』は、敵のユーベルコードを無効化してエネルギーを奪うシステム。その起動条件が完全なる脱力化だったのだ。
「悉くを切り裂く剣も、万物を撃ち貫く銃も持ってねぇよ。だけど、それでいいのさ」
 同時に設定したRebootタイマーにより、意識を強制起動した少年の体内には、たった今吸収した第六天魔王のエネルギーが、何十倍にも増幅されて満ちている。
「テメェをブッ殺す武器は――テメェ自身から奪えばいい!」
 握りしめた拳にエネルギーを収束。敵の爪牙を以てして敵を貫く刃を作り上げる、それがヴィクティム・ウィンターミュートの竜殺し(Balmung)――否、魔王殺し。

「いかん…………っ!?」
 尋常ならざる量の力がヴィティムの拳に集まっていくのを悟り、間合いを引き離そうとする信長。だがその時、突如として出現した"何か"が彼の足をがしりと掴む。
「何だ、これは……?」
「見えるかい? それがお前が買ってきた怨みの数だ」
 梁の上から湊が告げる。信長の足を掴んだのは、妖刀「影楔」の力で集められた死者の魂。【咎は身を以て知らねば許されぬ】――湊のユーベルコードによって顕在化した怨霊たちが、一斉に怨敵へと牙を剥いたのだ。

 だがそれにしても、この光景は――術者である湊でさえ思わず呆れたように呟く。
「おいおい、信長、お前恨み買い過ぎじゃないか。俺が想像してたよりも大勢集まってくれてるじゃないか」
 何人から何十人といった程度ではない。何百、何千、あるいはそれ以上の怨霊が今も続々と、この戦場どころか魔空安土城を埋め尽くさんばかりの勢いで溢れ出す。
 戦国の世において波乱を巻き起こした生前の信長。オブリビオン・フォーミュラとしてこの世界を滅びの危機をもたらした現在の信長。2つの時代において暴虐を成し続けた第六天魔王に怨みを抱く者は、それこそ星の数ほどいよう。
「中には見たことある坊さんやお前に骨を杯にされた武将とかもいるじゃあないか」
 湊の言うとおり、史書や講談にも名が上がるような偉人から、名もなき農民や足軽まで。織田信長に人生を狂わされた全ての者達の怨念が、ここに結集していた。

「さあ、やってみろ。こいつらは既に死した者。生命力などあったものじゃあない。噛みついても治療などできないだろう」
「この……ッ、離せ、雑兵めらが……!!」
 妖刀からなおも魂喚びを続ける湊の眼下で、怨敵にまとわり付く怨霊たち。
 逆賊の十字架による再度の異形化を無意味と知らされ、ならばと信長は大帝の剣の花弁を以て彼らを薙ぎ払わんとするが――。
「我が眼前に立ち塞がる全ての敵に悉く滅びと終焉を……封印解放……!」
 鈴の鳴るような声が戦場に響くのと同時。虚空より顕現した無数の魔剣が、全ての花弁を吹き飛ばす。
 無限の魔剣の中心に立っていたのは【九尾化・魔剣の媛神】を発動した璃奈。
 九尾の姿へ変化した彼女から放たれる莫大な呪力は城内を徐々に崩壊させ、その手には二振りの妖刀・九尾乃凶太刀と九尾乃神太刀が握られていた。

「おまえを許さないのは、死者だけじゃない……」
 たん、と踏み込んだ璃奈のスピードは神速の域を超え、瞬きするほどの間もなく信長の懐に飛び込むと、嵐のような斬撃斬りを放つ。纏わりつく怨霊に身動きを封じられた信長は、為す術もなく呪詛を帯びた妖刀に切り刻まれる。
「ッ―――!!!!」
 璃奈の猛攻はまだ止まらない。次に彼女が抜いたのは竜殺しの魔剣バルムンク。
 この大剣の鋭さの前には、生半可な護りは意味は為さない。辛うじて受け太刀の構えを取る信長の前で振り下ろされた剛剣の一撃は、刀や鎧ごと魔王の腕を両断する。

 ついに全ての武器を失った信長に、璃奈はすっと手をかざすと、呪力を籠めた詠唱を紡ぎ。
「全ての呪われし剣達……わたしに、力を……!」
「ぐ、おぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!?」
 零距離から発射される、終焉の力を宿した無限の魔剣の一斉斉射。吹き飛ばされた信長の身体は城内の壁に叩き付けられ、突き刺さった魔剣の刃によって磔となる。
 これでもう、信長は完全に身動きが取れない。そこにゆっくりと近付いていくのは、右腕に禍々しき輝きを宿したヴィクティム。
「待たせちまったな」
 ただでさえ強大な織田信長の――オブリビオン・フォーミュラの力を操るのは彼の技量を以てしても骨が折れた。しかし時間こそかかったものの、増幅された魔王の力は今、彼の拳の中にある。

「テメェの力で、テメェを討つ――終わりだ」
 叩き込まれる魔王殺しの拳。54倍に増幅された魔王のエネルギーが、魔王の体内で炸裂する。
 それとタイミングを同じくして、閃光のごとく踏み込んだのは魔剣の媛神・璃奈。
「その首、落とさせて貰う……!」
 神域に達した剣技を以て振るう凶太刀の一閃。それは今の彼女の持ちうる全てを籠めた、全力の一刀であった。

 ――直後『Balmung』に打ち砕かれた魔王の身体は跡形も残さず爆散し。
 魔剣の巫女によって刎ねられた魔王の首が、戦場を舞った。

「………見事なり。儂の完敗よ」
 荒れ果てた魔空安土城の床に転がった信長の首は、猟兵たちに静かに告げた。
 信長を怨む数多の怨霊たちは、ついに報復を果たせると、まるで洪水のように彼の元に群がっていく。
「信長、こいつらの恨みに飲まれてしまえ」
「くく……儂の黄泉路の水先案内がこやつらとはな……」
 冷たく告げる湊の前で、皮肉げに笑った魔王の首級が、怨霊に引き裂かれていく。
 骸の海より這い出でし覇道の亡者が、その覇道の犠牲となった亡者の手によって、再び骸の海へと引きずり込まれる――これこそまさに因果応報であった。

「人間五十年を超えても、天下は遠いか……だが……いつの日か……必ず……」

 サムライエンパイアに動乱を巻き起こした第六天魔王『織田信長』は、かくして怨霊の渦に飲み込まれ、この世から消滅したのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年08月25日


挿絵イラスト