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エンパイアウォー㉗~秘剣開眼、我が必殺技を見よ

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー

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「自作の必殺技を見せつけて侍を鼓舞してほしいのよ」
 なんか、またメガネの猟兵が変なことを言い出した。
 そんな感じの視線にも慣れてきたのか、白鐘・耀はふぁっさーと髪をかきあげる。
「あのね、今回は真面目よ。いや今までだって真面目だったけど!!
 みんなが頑張ってくれたおかげで、この世界の侍たちは力と自信を取り戻しつつあるわ。
 最後の決戦に挑むにあたって、猟兵が訓練することでさらに練度を高めようってわけ」
 それで必殺技がどうこう言い出すのはどういうことなんだろうか。
「侍と言えば秘剣でしょ? 私歴史小説で読んだことあるから知ってるわよ!!
 だからこう、なんかみんなのかっこいい必殺技を見せつければいい着想元になりそうじゃない!?」
 やっぱり滅茶苦茶なことを言い出している。猟兵たちの視線は冷たい。

 ……とはいえ、耀の言っていることがまったくの的外れというわけでもない。
 天下の英雄たる猟兵、その強さの所以である絶技妙技を目の当たりにすることは、
 侍たちにとって得難い経験となることは確かだからだ。
 武道においては見稽古、という言葉もある。学ぶための規範は実際重要だろう。
 もちろん直接ユーベルコードなどを見せつけなくとも、なんかこう、
 ぼくがかんがえたさいきょうのひっさつわざ的なものを力説してみせれば、
 侍たちのインスピレーションがアレして、割とやる気になってくれるかもしれない。
「憧れの猟兵と心を近付ける……なんか、そういうアレよ。うん、名案ね」
 あそこでうんうん頷いてるアホなグリモア猟兵はひとまずさておこう。
「まあ別に私が言ったことを守らないで真面目に訓練してあげてもいいと思うけどね!
 ……私が真面目じゃないみたいじゃない!? 真面目よ! 真面目に不真面目よ!!」
 さりげなく罪を自供してはいないだろうか。ともあれ耀は火打ち石を取り出す。
「これから死闘を繰り広げようってんだから、少しは肩の力抜いてあげないとね。
 あんたたちも、リラックスしたほうがいいでしょ。ま、そこそこに頑張りなさい」
 ふっと緊張を解いた笑みを浮かべ、カッカッと火打ち石を鳴らす。
 それが、転移の合図となった。


唐揚げ
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 焼き茄子です。そんなわけでボーナスシナリオとなります。
 力と自信を取り戻しつつある侍たちに、猟兵自ら訓練を施してあげましょう。
 耀はなんかいつもどおりトンチキなことを言っていますが、あくまでこれは一例です。
 侍たちの訓練になるものだと皆さんが思ったことならなんでもOKですので、
 思いついたものを心置きなくプレイングしてみてください。お待ちしております。

 なお、本作は普段よりかなり採用数を絞って、完結を最優先させます。
 おそらく採用人数は最大でも10人前後となります。スピーディにいきましょう。
 その点ご了承の上、ご参加頂ければ幸いです。お待ちしております。

 では前置きはこのあたりにして。
 皆さん、超かっこいい必殺技とか考えながらいきましょう!
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第1章 冒険 『幕府軍の大特訓』

POW   :    腕立てや腹筋、走り込みなど、基礎体力を向上させる訓練を施します

SPD   :    危険を察知する技術や、強敵からの逃走方法などを伝授します

WIZ   :    戦場の状況を把握して、自分がやるべきことを見失わない知力を養います

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵自らの手ほどきと聞き、幕府軍の陣地には多くの侍たちが詰めかけていた。
 戦いを心待ちにする者、
 理由があって重い腰をあげた者、
 密かに戦いを怖れる者――。
 太平の世に慣れ親しんだ侍たちは、生粋の修羅とは程遠い。
 それはとてもいいことだ。だが、此度の決戦においては足枷となろう。
 彼らの心に、死地に赴き帰ってくるための強さを与えるために。
 ……割とちょうかっこいいひっさつわざが見たそうな目キラキラさせてる侍もいるので、なんとでもなりそうだ!
銀山・昭平
おらのユーベルコードで、他の人が使えるように教えられるかもしれねぇのはこれくらいだべな!
というわけで【紅茶の時間】を使って『自分を含めて』周囲の時間をゆっくりにしてやるべな。目の前の物事に集中する事で、敵の攻撃を見切って回避する……そんな技術を教えるべ。
他にもゆっくりとした時間の中で、敵を引きつけきってからの【咄嗟の一撃】を出す方法や、逆に敵に気づかれずに一撃を食らわせる【暗殺】の術を教えるべな。

ちなみにおらは紅茶よりも緑茶が好きだべ。……侍たちの中に紅茶好きな人が居ればその人だけ早く動けるかもしれねぇがその時はその時だべな。



●あれ? 声が、遅れて……
 侍たちがざわめいている。一体なんだろうか?
「むむ、ひょっとして紅茶がなんなのか、から説明しなきゃいけないべか?」
 そのむくつけき外見にそぐわぬ、やたら乙女チックなティーカップやらを手に、
 銀山・昭平は少々困った様子で首を傾げていた。
 彼の使おうとしていたユーベルコードは、この紅茶が鍵となるからである。
「まあおらは緑茶派なんで、紅茶どうこうは別にどうでもいいんだべけどな!」
 なんで紅茶の時間なんてユーベルコードを習得したんだ。激しく疑問である。
 初めて見る飲み物に、侍たちは好奇の目を惹かれたというわけらしい。
「まあまあ、とりあえずみんなカップを持ってほしいべよ!」
 昭平は慣れた様子で、ティーカップに紅茶を運び一同に配る。
 そして集まった侍たちに一通り紅茶が行き渡ると、おもむろに、
 からくり忍者のレプリカを三体取り出し、自分の向かい側に立たせた。
 そして、自らもカップを手に、ウム! と納得した様子で頷いた。

「さて、おらが見せるユーベルコードは、ずばり『時間を遅くする』ものだべ。
 この紅茶が好きでない人は、みーんな時間が遅くなっちまうんだべさ!」
 なんのこっちゃ、侍たちは首を傾げている。まあ無理もない。
「百聞は一見にしかず、まずはや っ て み  る   べ   さ」
「「「! ? ! ?」」」
 うにょ~ん。急に昭平の声がものすごいスロウリィな感じになった!
 驚く侍たちは思わずカップを手落としそうになるが、スローなので事なきを得る!
 ……ん? 術者の昭平までスローになっては意味がないのではないのだろうか?
「と 、 み ん な お 思 う か も し れ な い っ ぺ よ。
 け ど 、こ う す る こ と で、目 の 前 の 物 事 に 集 中」
 ……声までスローなせいで説明がものすごく聞きづらい! そして読みづらい!!
 超自然的なパワーにより、昭平の声だけは通常の速度にしてみよう。
「……集中することで、敵の攻撃を見切って回避することが出来るべさ!」
 そこで突然、三体のからくり武者レプリカががちゃがちゃと動き始めた!
 しかしあちらも紅茶を楽しんでいない……というかそもそも飲めないため、
 その動きはスロウリィである。忍者である意味がさっぱりなくなってしまった!
「普通なら見切るのが難しい素早い攻撃も、こうすれば落ち着いて見られるべ!」
 しゅばばばっと(普段なら)スピーディな動きも、やけにのろまである。
 昭平は自立稼働するレプリカの動きを、冷静に注視し、回避していく!
 たとえどちらもスロー状態でも、見切りが出来るぶんこちらが上というわけか。
「他にもこうして、引き付けてからとっさの一撃を打ち込んだり……」
 からくり忍者の攻撃をかわした昭平は、レプリカの体に痛烈な一撃を叩き込む。
 さらに吹き飛ぶからくり忍者を隠れ蓑に、二体目に不意打ちを決めた!
「……と、こんな風に暗殺めいた攻撃も出来るわけだべ」
 同時にユーベルコード解除。時間の流れがもとに戻り、レプリカが吹き飛ぶ。
 渾身のドヤ顔。侍たちは立ち上がって一斉に拍手した!
「……ところで昭平殿、この必殺技、紅茶好きには通用しないのでは?」
「そこが難点だべ! まあその時はその時だべよ!」
「なるほど、欠点つきの必殺技……いい!! 実にいい!!」
 名無しの侍のなんかにヒットしたらしい。はしゃいでいた。
「ならば某は痛みがゆっくり走る魔剣を会得するか……」
「逆にめっちゃ速くなる秘剣とか!」
(盛り上がってるべ、割と精神年齢低いべなこの人ら)
 侍たちを眺めつつ、持っていた紅茶をずずず、と呑む昭平。
「うーん、苦い緑茶がほしいべ!!」
 本当になぜこんなユーベルコードを習得したのだろうか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オルハ・オランシュ
ヨハン(f05367)と

慢心は良くないけど自信は力に繋がるからね
どんどん訓練して士気を高めていこう!

まずは、槍を持ってる侍たちに私の必殺技を見せてあげちゃう
即席のだけどいっか

はあああッ!!とまず気合を入れて(攻撃力UP的なパフォーマンス)
石突で敵の頭部めがけるように一突き(守備力を落とすイメージ!)
そのまま槍を返したら多段突き
最後に薙ぎ払ってフィニッシュ

これを5秒でやるの
敵を翻弄するには速さが肝心要!

ヨハンの必殺技は私も見せてもらおう
いつかみたいにスパルタになってないといいんだけど……

最後は連携技を披露して締めようか?
誰しも独りで戦ってるんじゃないの
信頼できる仲間との阿吽の呼吸、大事にしてね!


ヨハン・グレイン
オルハさん/f00497 と

訓練くらい独力でしろよという気持ちが無くもないのですが
まぁ士気が上がるのでしたらそれも悪くはないですかね……

先ずは彼女の槍術をみせてもらいましょう
速さと的確な槍捌きはやはり見事ですね
俺には出来ないな……とぼんやり思う

……侍に俺の術を見せる意味ってあるんでしょうか
刀が扱えるならまだしも

刀……刀か
黒刃を刀のように象って居合のようなものなど見せてみましょうか
身体を動かす必要がない分、それなりに速さは出せるだろう
読みづらい軌道なども見せておきましょうか
対応出来ないと死にますよ

あとはまぁ適当に……やはり人に見せるのは不得手なので……
連携技にしましょうよ
こうしている方が正直楽だ



●攻撃力がアップ!(くるくる回ってから飛び蹴りする)
 慢心ダメ絶対。しかし自信を持つことはすなわち力に繋がる。
 なによりも重要なのは士気。そうとなればオルハ・オランシュもやる気だ。
「この中で槍を得物にしてる人、どのくらいいるからな!」
 おずおずと手を上げた何人かの侍を、オルハは手招きして呼び入れた。
「槍術を教えるんですか、それにしてもやる気ですねオルハさんは……」
 そんな彼女の傍らに立つヨハン・グレインは、いまいち微妙なテンションである。
 訓練ぐらい独力でやれよ、なんで俺たちが、とか思っているが口にはしない。
 さすがのヨハンも、この場で白けさせるのがマズいことぐらいはわかるのだ。
「だってほら、必殺技だよ必殺技! 紅湖の時を思い出さない!?」
「……そういえばあの時もめちゃくちゃノリノリでしたね……」
 いつかの武術家めいた真似事を思い出して、苦み走った表情になるヨハンであった。

 とはいえ、オルハはそこまで派手な大技を持っているわけではない。
 なにせ稼業として暗殺もするくらいなので、スピードと隠密性重視なのだ。
(でもやったことはあるし、即席の必殺技もそれっぽくできるはず!)
(……とか考えてそうな顔だなあれは、大丈夫だろうか)
 オルハの考えは、ヨハンにはお見通しであった。まあシンプルな娘なので……。
「すぅー……はぁああああッ!!」
 そんな生暖かい目線に気づかないオルハは、早速それっぽい気合を込める。
 いくら即興とはいえ、実戦を幾度もくぐり抜けたオルハのそれは、
 達人の演舞に等しいと言ってもいいだろう。大気がびりびりと震えた。
 そしてオルハはきっ、と眦を決すると、持っているウェイカトリアイナを、
 ぶんぶんと中華棍よろしく回転、石突を順手で構え、上段突きを放つ!
「おお、あれで敵の頭部をまず突くのか」
「最初に相手の動きを封じる、なんと実戦的な動きだ!」
「さすがは猟兵殿……」
 槍を持つ侍たちも、ざわざわとその技のキレにざわめいている。
 オルハは引き戻した槍をすぐさま反転させ、矛を構えて素早い多段突きを打つ。
 頭を打ったあとは両足を突き刺し、そこから中段、そして上段を流れていく。
 人型の敵であれば、たちまち防御も出来ぬまま槍衾となってしまうことだろう。
(こうして見ると……あの速さと的確な槍捌き、やはり見事なものだ)
 戦いの最中では、ヨハンが見るのはオルハの背中であることが多い。
 群衆とともに、それを真横から目の当たりにするのは妙な新鮮味がある。
「せい、やあっ! ……これで、とどめっ!!」
 敵の反撃を警戒して後退りしながら、数度の下段突きを放ち、
 返す刀で喉を突き刺す斜め刺突、そこから踏み込んでの回転薙ぎ払い攻撃!
 ぶわっ! と砂埃が舞い上がり、あたりがしんと静まり返った。
「……ふう、どうかな!」
 汗を拭いながらオルハが一息つくと、たちまち侍たちは歓声をあげた。
 技のキレ、狙い、そして流れ……何よりも速さ。どれをとっても一流の連撃だ!
「この流れを5秒でやるの。敵を翻弄するには、速さが肝心だからね!」
 というオルハの一言には、侍たちも苦笑して頭をかいていたが。
「いや、見事なものにござる」
「若い身空でなんとすさまじい、さすがは猟兵どの!」
「まずは套路を会得するところからでござるなあ」
 それでも、侍たちの瞳には、しっかりと力がこもっていた。

(……俺には出来ないな)
 侍たちに技の手ほどきをするオルハの姿を見ながら、ヨハンはぼんやりと思う。
 もちろんあの槍捌きもそうだが、なにより明るく人々と触れ合うその優しさだ。
 ……オルハの想いに応え、こうしてともに歩むことを決めた今となっても、
 性格がまるっきり変わったわけではない。厭世的なものの見方は相変わらずだ。
 ただ彼女の姿は、闇を見続けた少年にとっては眩しく――。
「ヨハン、次は君の技を見せてほしいってさ!」
「えっ」
 考え事をしていた矢先、オルハの言葉にヨハンは虚を突かれた。
「い、いや、俺は武器を振り回すことは出来ないですし……」
 周りを見やる。ヨハンを見つめる侍たちの目は輝いていた。
 それは彼が達人かどうかではなく、猟兵という規格外の存在に対する、
 尊敬と一種の敬意の眼差しである。ヨハンは居心地悪そうに目をそらした。
「……俺の術を、侍の皆さんに教える意味があるとは思えないんですが」
 オルハはにこにこしている。こういう時は実にやりづらい……。
「……わかりました、俺なりにやってみますよ」
 ため息交じりの少年の言葉に、なぜか少女は嬉しそうに手を叩くのだった。

 さて、とはいえ彼は術師だ。切った張ったの大立ち回りは不得手である。
 そこでヨハンは、自らの操る黒刃を刀めいて形成し、居合のような姿勢を取った。
 正式な手ほどきを受けたわけではない、だが彼もまたひとかどの猟兵。
 見様見真似ながら、その構えと眼光はそこらのなまくら剣士をたやすく超える。
「これが一対一の決闘ならともかく、俺たちがやるのは化け物相手の戦争です。
 つまり、真正面で向かいあって、一二の三、で打ち合うなんてことはありえない」
 居合術の本懐は、不意打ちに即座に対応することにある。その点は同じだ。
 ヨハンは、これまでの戦いで目の当たりにした敵味方の動きを脳裏に想起し、
 出来るだけ体を動かすことなく、かつ読みづらく最速の軌道の斬撃を放った。
 物質的でない黒刃には重さがない。すなわち、その速度はまさに神速である。
 ヒュカッ――と一陣風が吹いた瞬間、遠くにあった木人がごとりと斃れた。
「……とまあこのように、わかりづらい攻撃で初見殺しをされることもあります。
 相手が得物を持ってるからといって、常識的な速度で来ると思わないほうがいいかと」
 逆に言えば、不意打ちを決められればこちらが有利になる。
 ヨハンはそう語りながら、黒刃を消失させ、群衆を一瞥した。
「……と、いう感じ、なんですが……」
「術師でありながらあれほどの鋭さとは」
「やはり潜ってきた修羅場の数が違うのでござるな」
「我ら侍も、武道を修めた者としてより切磋琢磨せねば!」
 と、侍たちは、ヨハンの薫陶を受けて発奮しているようだ。
「ヨハン、すごいね! これからは剣術も学んでみたらどうだろう?」
「やめてくださいよ、ガラじゃないです。付け焼き刃になるのがオチですよ」
 うんざりした様子でオルハに言い返しながら、ヨハンが言う。
「……それよりどうせなら、いつもみたいに連携技をやってみませんか。
 正直、俺としてもそっちのほうが楽ですし、集団戦術を教えられるかと」
「! うん、そうだね! いつもの私たちらしく、だね!」
 何が嬉しいのか、オルハは頬を赤らめながら頷き、振り返る。
「そう、一番大事なのはね、自分ひとりで戦ってるわけじゃないってこと。
 信頼できる仲間との、阿吽の呼吸。私たちが見せてあげるから、大事にしてね!」
 ……これから挑む戦いは、この世界の命運をかけた一大決戦である。
 ひとりひとりが個別に戦うのではなく、大群として力を合わせて戦う。
 それが、強大なオブリビオンに打ち勝つ、唯一絶対の法則なのだ。
「……信頼できる仲間、か」
 かつての己は、そんなものを持つとは思えなかった。
 侍たちに呼びかける少女の横顔、それを見つめる少年の表情。
 それは、どちらも――不思議と、安らかな微笑みを浮かべていたという。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​


●業務連絡
 当作はこの断章を投稿した【19/08/21 15:08】時点でプレイング受付を締め切ります。
夏目・晴夜
『憑く夜身』で適当な人々の影を操り、適当に良い感じに操ってみせます
名前含めてなんかこう強者っぽい感じの格好いい必殺技ですよね、わかる

私は腕力があるほうではないので、
代わりにこうして操った影に敵の足を掴ませたりしてます
これと同じ事ができなくても、悪と戦う時は足止めする事が肝要だと思いますよ
足首や腱の部分を斬るとか【目潰し】するとかして

そうしたらこう、ゆっくり歩いて近づいて行っても
ゆっくり【串刺し】しに行っても逃げられないんですよね
その時の敵の顔といったら想像するだけで内心マジ爆笑モノですよ

足止めしても敵が武器を持っていたら近づくのは危ない?
じゃあ武器を持つ手も斬り落としたらいいんじゃないですかね



●必殺の技ではありますけども
 侍たちは慌てふためいている! まるでマリオネットめいて踊りながら!
 だがその動きに反して、彼らの表情は切迫し蒼白に染まりきっている。
 無理もない……彼らは踊りたくて踊っているわけではないからだ!
「い、猟兵どの! これは一体!?」
「ああ、言い忘れてましたね。これが私の必殺技、"憑く夜身"ですよ」
「「「ツクヨミ……!!」」」
 踊りながら、ぱぁあああっと顔が明るくなる侍たち。割と男子マインドである。
 影から糸を放ち相手を自在に操るユーベルコード……夏目・晴夜はそれを解除し、
 ようやく侍たちに身体の自由を取り戻させてやった。
「いい名前でしょう? このハレルヤにふさわしい強者の必殺技と言えますね!」
「ま、まあ名前はたしかに」
「しかし体を操るというのは……なあ?」
「うむ……」
「え? なんか言いました?」
「「「いいえなんでも!!」」」
 この猟兵の機嫌を損ねたらヤバいと直感した侍たちは、声を揃えてごまかす。

 そんな晴夜だが、必殺技というならには何かかっこいい使い方があるのだろうか。
「私は腕力があるほうではないので、こうして影を操って脚を掴ませたり」
「あ、脚を……」
「あとは腱とか足首をぶった斬ったり、目潰ししたりですねぇ」
「め、目潰し……」
「悪と戦う時は足止めすることが肝要だと思いますよ。だってほら、
 そうすればこうやってゆっくり歩いて近づいても逃げられないですし?」
「そ、それがしの脚を止めてにじり寄るのはやめてくださらぬか!?」
 怯える侍の目の前までわざわざゆっくりやってくると、晴夜は満面の笑みを浮かべる。
「で、そうやって怯える敵を、こうゆっくりと串刺しにしてですね」
「「「串刺し!?」」」
 ちゃきっ。自慢の妖刀を取り出してちらちら突きつける晴夜。震える侍。
「その時の敵の顔といったらもう、想像するだけで内心爆笑モノですよ。
 こないだなんて、わざわざ相手の得物で相手をぐっさりやらせてですねぇ」
「「「も、もうそのへんで十分でござる……」」」
 ニコニコと無邪気な笑みを浮かべてゴアい話を始める晴夜に、
 完全に気圧された……というか、疲れ切った様子の侍たちであった。

 晴夜の加虐趣味はさておき、敵を倒す上で容赦してはならないことは事実だ。
 オブリビオン相手に慈悲を見せたところで、なんら世界に益はないのだから。
「しかし、もしも相手が武器を持っていたらどうするのでござろうか」
「え? 武器を持つても切り落としたらいいんじゃないですかね」
「「「アッハイ……」」」
「まあこのハレルヤは、その武器を利用して相手を」
「「「その話はまた今度で!」」」
 がっかりそうな顔をする晴夜であった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ルーナ・ユーディコット
逃げる事
埒外にあったら、逃げて
一目散に
あなたたちに家族がいるのなら、人であるなら

猟兵に押し付けて逃げて
人と化け物の混じる戦いの先が、あなたたちの本当の戦場

……で、訓練だけど
埒外に勝てないことを思い知ってもらう
その先になにを見出すかは、私にはわからないけど
全員の足腰が立たなくなるまでは相手をするよ

私が見せられるのは埒外の力の一端、殺さないよう気をつけるけど、勝てそうな空気に浮き足立ってゆるい真似をするなら
骨一本は覚悟して

私はあなたたちの訓練に、命を賭けて取り組もう



●命を賭ける、という言葉の意味
「逃げること」
 "あなたたちのように戦い抜くには、何を心がければいいか?"
 ……そんな問いかけに対し、ルーナ・ユーディコットはきっぱりと答えた。
 もっと勇ましく威風堂々とした答えを期待していた侍たちは、
 その後ろ向きな語彙と、突き放すようなルーナの表情にうろたえた様子である。
「私たちが相手にするのは、いわば"埒外"の存在。常識の埒外、生命の埒外。
 "そういうもの"に出会ったなら、逃げて。一目散に、脇目もふらずに」
「し、しかし……」
「……ねえお侍さん、あなたに家族はいる?」
 問われた侍が困惑した様子で首肯すれば、ルーナはその隣の侍を見やる。
「あなたは?」
「父はすでに戦で……今は母と、身重の妻がおります」
「そう。他の人たちもそうでしょう。家族がいる人、居ない人、様々だと思う。
 けどあなたたちに家族が、あるいは同じぐらいに大事な仲間や友人がいるなら――」
 ルーナは一同を見渡し、はっきりと言った。
「"人である"なら、埒外の存在の戦いは、猟兵(わたしたち)押し付けて逃げて。
 人と化け物の混じる戦いの先が、あなたたちの本当の戦場なんだから」
「本当の、戦場……」
 ルーナは頷く。
「私たちができるのは、この世界の外側からやってくる奴らとの戦いだけ。
 この世界を立て直して未来を切り開くのは、この世界の住人にしか出来ない」
 そう。戦争が終わったとしても、全てが綺麗サッパリ終わるわけではない。
 失われたものの痛みを癒やし、これからを築き上げるのはその世界の人々の仕事だ。
「――それは、生きていなければ出来ないことなんだ」
 目を伏せたルーナの瞳には、あの日の光景がよぎっていた。

 しかし、そうはいってもこれは訓練。講話で終わらせるわけにもいかない。
 何か生き延びるために必要なことを教えてくれ、と言われたルーナは、
「だったら、"勝てない"ってことを思い知ってもらうよ」
 と、謎めいたことを言い出した。
「どうして埒外の存在から逃げ出さないといけないのか。言葉で言われても、
 実際にその状況になったら、意地や信念が勝って立ち向かう人もいるでしょう」
 ルーナは頭を振る。
「それではダメ。あなたたちを弱いと言うんじゃない。そういうことではないの。
 ……私が言ってることの意味を、あなたたちの心と体でしっかり理解してもらう」
 ぞわり。ルーナの体から、ほの青白い闘気が立ち上る。
「これから私が見せるのは――見せられるのは、"埒外"の力の一端。
 今から私は、あなたたち全員を足腰立たなくなるまで叩きのめしてみせる」
 立ち上る闘気、そのプレッシャーとルーナの言葉の圧迫感に、侍たちは息を呑む。
「武器を取って、構えなさい。もちろん、殺したり再起不能にはしない。
 けど、勝てそうな空気に浮足立って、ゆるい真似をするなら――」
 瞳が細められた。獣のように。
「骨の一本二本は覚悟して」
「……承知いたした」
 ごくり、と唾を飲み込み、侍たちは身構える。ルーナは頷く。
「私はあなたたちとの訓練(たたかい)に、"命を賭けて"取り組んでみせる。
 だからあなたたちも、これからの命を賭けて――生き残るという決意を見せて」
 これはきっと、どんな憎悪に引きずられた戦いよりも意味のあることだ。
 その先に彼らが何を見出すのか、ルーナには予測すらもつかない。けれど。
「それが、人としての私に出来ることだから」
 ルーナ自身にとっても、未来を掴むための大きな一歩となるはずだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

パーム・アンテルシオ
お侍さん達の訓練になる事、かぁ…
うーん、私が直接手合わせするわけにもいかないし…
…っていうか、刀とかで戦うなら、きっとお侍さん達の方が強いし…
あっ。じゃあ、武器を使わないものを相手にした訓練…とか、どうかな。

ユーベルコード…極楽鳥火。
相手の想定は、空から襲ってくる妖の大群。
金属とか溶かしちゃう温度じゃ危ないから、ちょっと抑え気味にして…
きちんと、刀でばっさり倒せるぐらいに。
でも、危ないと感じるぐらいの強さは、維持して。

この世界は…人の世界。
戦いが終わった後も、きっと、ずっと、人じゃないものと戦っていかないといけない。
知ってもらおう、人じゃないものを。
戦ってもらおう。人の為に。人に群がる脅威と。



●戦いの終わったあと
 猟兵は世界を越えて戦う。だが、結局の所は――それゆえに――世界の異物だ。
 当然だ。彼らは未来を護る祝福されしモノとはいえ、生命の慮外。
 尋常の法則から逸脱した力を操る者であり、ゆえに普通ではいられない。
「……だから、ね。私たちが戦って、悪い奴らをやっつけても。
 その先のこと……この世界の未来(あした)は、あなたたちが作るの」
 パーム・アンテルシオは、幼いながらも柔和な笑みを浮かべて言った。
 その周囲を、鳥の形をした優美な狐火たちが躍る。いや、羽ばたいている。
「そして人が生きていくなら、人でないものと関わらなきゃいけない。
 仲良くできれば、それが一番。でも、それだけじゃないのを……知ってるよね」
 妖怪。かつてオブリビオンでないモノたちはこの世界にあったという。
 もしもこれから先、オブリビオンの脅威が去っていったあと。
 また闇の住人たちが戻ってきたとして、人々はどうするのだろうか。
 オブリビオンと同じだと決めつけて、刃を握るのか。
 はたまた、厄災を糧に手を取り合うことが出来るのか。
「……それは、本当に出会った時にならなければわからないことだけれど。
 でもね、これだけは、覚えておいて。……人は、人でないものと相容れない」
 その表情は、達観しているようでもあり、憂いを帯びたようでもあり。
「いつか、どこかで。あなたたちは、人でないものと戦うときが来る。
 それはこの世界で生きていくなら、おそらくずっと待っているのだと思う」
 人は生きるために山を切り開き、闇を退けてきた。
 闇に住まう人でなき者どもとは、根本的に相容れないのかもしれない。
「だから、私が教えるのは、オブリビオンじゃなくて……"そのあと"の戦い方」
 鳥の狐火を指先で撫でながら、パームは言う。
「人(あなたたち)が、人でないものを知り、戦っていくために」
 狐火に照らされるその笑顔は、どこか妖しく、そして恐ろしく。
「……戦わなくて済む未来をつかめるかもしれない、その時のために」
 それでも、瞼を伏せるさまはたしかに幼い少女で。
「あなたたち以外のモノのことを、もっと深く知ってもらいたいんだ。
 ……この鳥たちは、その象徴。あなたたちを襲う、"よくわからないもの"」
 未知とは恐怖であり脅威である。
 だがそれを知れば、対策を練ることも出来るだろう。
 あるいは、そう。戦わずに手を取り合うことも、出来る。
「きちんと見ていてね。人じゃないものの、この輝きを――」
 招くように、慄かすように、逃げるように。
 舞い飛ぶ狐火の影で、パームは暖かく、祈るように微笑んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

杜鬼・クロウ
アドリブ連携◎

戦場でいかに大切なのは何か
情報?
力?
それもある
だが一番は
誰かを護りたい、その意思
誰かを救いたい、その気持ち
想いは必ず応えてくれる

あァ、勿論だからといって研鑽を積まなくてイイってワケじゃねェよ
犬死なんかゴメンだろ
勇気と無謀を履き違えンなよ
お前らが出来る最善を尽くせや

侍達の胸にこつんと拳当て顔色や目真っ直ぐ見る
【無彩録の奔流】使用
剣を変形し必殺技見せる
五の型、刃光(デスティニーブレイク)
概要お任せ

運命を切り拓く勇敢な武士達へ
未来永劫あれ
勝利への活路をこの手に

軽く手合わせ
弱点等を指導

息抜きがてら握飯振る舞う
具材色々
侍達の趣味など雑談に花咲かせ

目の前に女がいたらまずどこ見る?
やっぱ胸だろ


鳴宮・匡
教えられるのは【戦闘知識】くらいかな
戦闘慣れしていない若い……成人してないくらいの人間を中心に
「死なない」ための知識を伝える
必要なら組手もするよ

敵と戦う時の動き方、相手の攻撃の見切り方とか
捌いたり、受け流したり、「うまく」受ける方法とか
身を守るための術が主かな

直接的な戦闘のための留意点だけでなく
身を隠す方法とか、罠の作り方とか、食べられる野草とか
まあサバイバル知識に近いけど
とにかく「生き抜く」ための方策を伝えていくよ

……死ぬなよ
お前らには、ちゃんと未来があって
これから、ずっと守っていきたい場所ができるはずなんだから
教えたことは、その為に使いな

…………
殺すことしかできない、
はずだったんだけどな



●秘剣開眼、我が必殺技を見よ
 体力的にも最盛期を迎えたであろうサムライたち……ではなく、
 鳴宮・匡が訓練を課す相手に指名したのは、それよりも若い衆だった。
 UDCアースで言えば、ちょうど学生に当たる、いわゆる"前髪"の若者だ。
「……こんな感じで、避けるために大きく動いたらそのあとが続かない。
 だから攻撃を回避する時は、捌くか、受け流すか……まあそれも出来ないなら、
 "上手く受ける"。多分、それが一番……生き延びやすい選択肢だと思う」
 戦いに挑めば、無傷ではいられない。匡はそれをよく知っている。
 体はもちろん、心もだ。ある意味ではそちらのほうが重篤なのだ。
 人は意思があるという点で獣と異なる。それは強みであり弱みだ。
 筆舌に尽くしがたい戦場の、地獄めいた環境は、体よりも心を先に折る。
 ……それを避けるには、ただ機械のように冷徹に、
 あるいは海のように揺らぐことなく、在り続ければいい。
 ああ、それはたしかに生き延びる上では最善で、合理的な選択肢だろう。
「……痛いのは怖いか?」
 致命的でない部位で攻撃を受け止める方法を教えていた途中、匡は言った。
 伏し目がちな若者たちは、やがて匡の言葉におずおずと頷く。
「まあ、そうだな。怖くていいんじゃないか。怖くないほうがヤバいだろ。
 慣れるのもよくない。痛覚っていうのは、色んな危険信号のサインだし……」
 言葉がまとまらない。匡は頭を掻いた。
「……とにかく、慣れないほうがいいんだよ、"こんなの"はさ。
 その怖い、痛いって気持ちを持ってれば、咄嗟の時も体が動くはずだろ」
 それでも、死ねば終わりだ。だから、生き延びねばならない。
 身を隠し、時には罠を仕掛け、食事や睡眠、気温への対処法。
「生き抜くってのは、苦しいことなんだよな」
 ひとりごちたその言葉は、誰に向けたものであろうか。

 ……そうして匡のサバイバル教室が、若者たちに開かれていた折。
 なにやらひとりの美丈夫……杜鬼・クロウが、のそのそとやってきた。
「サバイバル術、なァ。あァ、たしかにそいつは大事だな」
 しばらく遠巻きにそれを眺めていたらしいクロウは、腕を組んで言う。
「犬死なんざゴメンだ。勇気と無謀を履き違えねェで生き延びねェと、意味がない」
「……それだけじゃ足りない、って言いそうな顔してるけど?」
 匡の言葉にクロウは片眉を釣り上げつつも、にやりと笑う。
「伝えようとしてンのはわかンだよ。けどもどかしくてな」
 そう謎めいて答えれば、クロウは匡の隣に立って若者たちを見渡した。
「戦場で一番大切なモンはよ――"意思"だ」
 匡は何も言わない。
「誰かを守りたい。誰かを救いたい。そういう意思、気持ち、想い。
 ……そいつを胸に抱いておけば、必ず。絶対に、応えてくれるってモンだ」
 クロウは隣の匡をちらりと見やる。匡は、続けてくれと身振りで示した。
 そうだ。心が死んでしまっては意味がないのだ。
 人でなしのような心に成り果てて、何をも意味がないと斬り捨てて、
 それでは、生き延びたとしても意味がない。死んでいるのと同じだ。
 人として生きるなら。どんな敵にも敗けずに生き延びるなら。
「生き延びて、勝つ。その根性を、絶対に忘れちゃならねェ。……な?」
「……ああ」
 クロウの眼差しを受け、匡はぽつりと言った。
「死ぬなよ。お前らには……ちゃんと未来があって、今言われたとおり。
 守りたい場所が、誰かがいるんだろ。だから……まあ、なんていうか」
 言葉がまとまらない。どうしてだろうか。簡単な話なのだ。
 ……自分もまだ、それを学んでいる最中だからだろうか。
「俺が教えたことは、そのために使いな。……生きてりゃ、それでいいんだよ」
「ハ! 技術の教え方は立派だったのに、精神論になると語彙力低いなァ!」
「悪いかよ。そもそも慣れてないんだよ教えるとかさ……」
 やれやれと言った様子の匡にくっくと笑い、クロウは言った。
「まあその埋め合わせ代わりだ、派手な秘剣の一つや二つも見とけや!
 生き延びていりゃあ――いつか、お前らもこんなことが出来るようになるぜ」
 巨大な黒魔剣を軽々と抱えたクロウ、ユーベルコードを発動する。
 螺旋を描く剣にその形を変貌させ、己の魔力を渦巻くように剣に纏わせた。
「――五の型、刃光(デスティニーブレイク)、ってな!」
 ごおうっ!! ひねりを込めて突き出された螺旋剣から光が放たれる!
 はたして槍のように彼方へ飛んでいったそれは、地平線の山を軽く削り取った。
 意志力を収束させることによる、"遠くにあるものを斬る光の刃"。
 若者たちから歓声が上がる。匡はなんとも言えない表情だ。
「……そういう派手なの、俺には出来ないからな」
「なンだ? 銃使いかよ?」
「そうじゃなくてさ……」
 己の技術は、得たものは、すべて殺すためのモノだった。
 ……そのはずだった。それが、"死ぬな"と願うとは。
「なンか暗い顔してんなァ! こういうときは愉しいハナシしようぜ?
 ほら、おっぱいのハナシとかよ! お前、きょぬー派? ちっぱい派?」
「…………は???」
 豆鉄砲を撃たれたような顔の匡に、クロウも、若者たちも笑い出す。
 やはりまだ、わからないことが多い。傭兵は、頭をかいて首を傾げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月25日


挿絵イラスト