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エンパイアウォー㉛~大航海へのきざはし

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #鉄甲船

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●グリモアベース
「ふふふ、おつかれさま」
 バラの花びらを振りまきながら、小さなフェアリーが優雅に皆を労う。
「皆の活躍で、南海道の海路を妨げていた、超巨大鉄甲船はすべて海に沈んだわ」
 幕府軍も無事関ヶ原を抜け、魔空安土城の島原までもう少しというところまで来ている。被害もほとんど出ていない。予定通りに進んでいる状況を説明して、さすがね、と微笑む。
「もちろん、まだエンパイアの戦いは続いているから、気は抜けないけれど――」
 幕府軍が島原に着けば、魔空安土城を巡ってさらに熾烈な戦いが待ち受けているだろう。でも、少し《良い話》があるの。と、小さなフェアリー――ロサ・エグランテリア(薔薇の主・f17447)は、楽しそうに猟兵たちに語りかけた。

「瀬戸内海で沈んだ巨大鉄甲船を引き揚げるという話があるのだけれど……」
 この巨大鉄甲船は、日野富子がその巨万の財を投じて建造した船で、その大きさ『全長200m、全幅30m』のとても贅沢な船だ。確かに再利用できれば、エンパイアにとってとても大きな利益となるだろう。しかし――、ロサはひらりと飛んで、でも驚くのはそこではないの、とアピールする。
「実はね、その船を外洋船に改修して航海に出るという話があるみたいなの」
 それを聞いて、グリモアベースがざわつく。それも当然だろう、エンパイアは海に覆われた列島で『海の向こうには何もありません』とされているのだから。
「ふふふ、夢があってとてもいいわね♪」
 海の向こうに何があるのかしら。とても気になるわね、驚いたかしら? ロサはまわりを見渡して、猟兵たちの様子に満足そうに頷く。
「そこで、皆にはその沈んだ巨大鉄甲船の1隻を引き揚げてほしいの」
 使い道は、引き揚げた数に応じて、幕府などが協議して決めるらしい。だから、少しでも多くの鉄甲船を引き揚げてほしいというのである。

「でも、大きな船だから工夫しないと引き揚げるのも大変ではないかしら。しっかり準備して行くことをお勧めするわ。もちろん、方法は色々あると思うから、それは皆に任せるわね」
 ふふふ、皆なら問題はないと思うけれど、とロサは微笑む。

「よろしくお願いするわね♪」


千石まつり
 ご覧いただきありがとうございます、千石まつりです。
 今回は、サムライエンパイアの戦争『エンパイアウォー』から、㉛巨大鉄甲船引き上げ作戦のシナリオをお届けします。このシナリオは戦後のサムライエンパイアに益をもたらすシナリオです。このシナリオの結果で戦争が有利になることはありませんのでご注意ください。

 工夫を凝らしつつ、瀬戸内海に沈んだ巨大鉄甲船を引き揚げてください。大航海に想いを馳せたりするのもいいでしょう。巨大鉄甲船を引き揚げられるかどうかは皆様次第です、好きにプレイングして頂いて、サムライエンパイアの世界を自由に楽しんでください。

 それでは、皆さまのプレイングを楽しみにお待ちしております。

 がんばって参りましょう!

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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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第1章 冒険 『巨大鉄甲船引き上げ作戦』

POW   :    重量のある船体部分などを中心に、力任せで引き上げる

SPD   :    海底を探索し、飛び散った価値のある破片などを探し出して引き上げる

WIZ   :    海底の状況や海流なども計算し、最適な引き上げ計画を立てて実行する

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

エルシー・ナイン
ワタシの故郷・スペースシップワールドでは、船こそが人の生きる大地そのものでしたが、この世界では船がまだ見ぬ世界への先導役となれば素敵ですね。
出来る限りの協力はさせて頂きましょう。

【銀河帝国製試作兵器】で反重力装置を召喚し、これを『メカニック』能力で鉄甲船に取り付けます。ワタシはウォーマシンですので水中でも呼吸の必要はありませんから、問題なく作業できるはず。
反重力装置といえどさすがに船一隻を浮かべるほどの出力はありませんが、船を軽くするくらいの効果はあるはずです。皆さんが引き上げるのに、少しは助けになるでしょう。
後は、『怪力』を活かして船を押し上げたり、他の猟兵のお手伝いをするとしましょうか。


御形・菘
世界は平らで端がある、なんて説があったのう
それが本当なら、是非とも世界の果ての光景を見てみたいものよ!
そのためにもまずは、この沈没船をどうにかせんとな

力仕事は任せておけ!
潜水具を身に着けて海底まで潜っていこう
どうするのかって? そのまま持ち上げるに決まっておる!
無茶は承知の上! しかーし、だからこそ!
これを丸ごと動かせたら、凄くて超カッコ良いではないか?
カメラ(水中仕様)の前で無様も見せられんしな
妾ならできる! ふんぬー!

そもそも場所の悪条件が一番の問題、そこそこ浮上させたら皆も手出しが楽になるであろう
さすがの妾でも、海面まで持ち上げるのは難しい!
ある程度頑張ったら仲間のヘルプを期待するぞ!



●海底のとある配信
「うーむ、この辺ではないかのう……」
 潜水具を付けて、身体を豪快にうねらせながら泳ぎ突き進む、御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)は、周りを見渡して何かを探していた。
「むむっ……これはっ! どこかで見たことのある船ではないか!」
 しばらくして、見つけたのは……沈んだ巨大鉄甲船。そう、日野富子が巨万の財を投じて建造し、村上水軍の怨霊と共に瀬戸内海に沈んだ、あの巨大鉄甲船であった。
 見れば、巨大鉄甲船はズシリと重そうに、海底の土砂に深く沈んで埋まっている。
「はっはっはっ。これ、ホントに引き揚がるのかのう?」
 それを見て苦笑いしながら、湧き上がる逆境魂とかなんとかの熱を感じて、菘は気合を入れた。(おっと、録画も忘れんとな。そっとドローン(天地・水中仕様)に視線を送る)

(●REC)
「皆、見ておるか?」
 沈んだ巨大鉄甲船の全景を見渡せる位置に浮かんで、菘は挨拶すると説明を始めた。
「此度は――この巨大鉄甲船を引き揚げることに挑戦するぞ!」
「ん、見たことある? んんっ――であるな!」
 いやー妾も、妾たちが沈めた船をまた引き揚げることになるとは思わなかったのうー。はっはっはっ、とおどけながら、分からない人向けに動画へのリンクを示す。

「それで、どうするのかって? そのまま持ち上げるに決まっておる!」
 しかし、カメラを通しても十分に分かるほどに、海底に土砂を被って倒れている船。
 これは半端ない! いやいや無理でしょ!――(視聴者もきっとそう思っているに違いない)。
 しかーし、無茶は承知の上! だからこそ! 菘はフフンと不敵に笑ってカメラにアピールすると、巨大鉄甲船へと取りついた。
 そして、力を入れる。
(む? まったく持ち上がらんぞ……)
 菘の背中に冷や汗が流れる。カメラの前で無様も見せられんし……。
 いやいやいや、これを丸ごと動かせたら、凄くて超カッコ良いではないか? 頭の中にイメージを描く。
『逆境とはすなわち視聴者をドキドキさせる山場! 無視して逃す理由などまったく無いわ!』
 妾ならできる! ふんぬー! 菘はあらぬ限りの力を込めた。

 ――ゴゴゴゴゴゴゴ。微かに船が揺れ始めた。

●海底の羽ばたき
 ワタシの故郷・スペースシップワールドでは、船こそが人の生きる大地そのものでしたが――、エルシー・ナイン(微笑の破壊兵器・f04299)は、見つけた土砂に埋もれて横たわる巨大鉄甲船に、故郷のスペースシップの姿を重ねる。その姿は、故郷のそれとは全く違うものではあったが、船というものは……変わらないのだと。懐かしむかのように。そして、そんな自身の心に少し戸惑いながら、わずかに笑みをこぼす。

 そして、巨大鉄甲船に視線を向ければ、
 その船体をわずかに震わせて、その振動で土砂がパラパラと少しずつ海底へと落ち、徐々に船体の姿を現してきていた……しかし、まだ引き上げるには時間がかかりそうに見える。
「お困りですね。ワタシもお手伝いしましょう」
 巨大鉄甲船に取りついていた猟兵――菘と一瞬だけ視線を交わして、エルシーは手助けを簡潔に伝えると、小さな円盤のような装置――銀河帝国製の正式採用されなかった試作兵器――をどこからか取り出して、素早く巨大鉄甲船の露出した船体に設置してゆく。水中を滑らかに無駄なく泳ぎ、それでもその動きが鈍らないのは、さすがはウォーマシンといったところだろう。そして――、
「銀河帝国製試作兵器(デンジャラス・プロトウエポン)! 起動(ドライブ)!」
『用途不明の銀河帝国の遺物、使いこなして見せます!』
 素早く起動されたそれは――点から点を結んで面となって広がり、光り輝くフィールドが傘のように、鉄甲船を覆ってゆく。それは、反重力フィールドであった。
 さすがに船一隻を浮かべるほどの出力はありませんが、船を軽くするくらいの効果はあるはずです。と、エルシーは、菘に視線で問いかけた。

●海底より甦る
「まあ妾だけでも、もう少しというところではあったが――」
 そう言葉では言いながらも、エルシーに感謝する菘であったが、そう言っている間に、少しの息苦しさを感じて気付く。(くっ、そろそろ時間ではないか!)
「はーっはっはっは! まさに逆境。追い詰められたという感じではないか!」
「ワタシも押し上げます。きっと持ち上げてみせます!」
 エルシーも気合を入れる。菘は心を落ち着かせると、ふと思い出してつぶやいた。
(世界は平らで端がある、なんて説があったのう。それが本当なら――)
「――是非とも世界の果ての光景を見てみたいものよ!」
「そうですね。この世界では――船がまだ見ぬ世界への先導役となれば素敵ですね」
 船が大海を渡り、果ての見えない、まだ見ぬ世界へ旅立つのであれば。
「うむ。そのためにもまずは、この沈没船をどうにかせんとな」
「ワタシも、出来る限りの協力はさせて頂きましょう」

 その一歩を踏み出すために――。

 何気ない掛け合いであったが、自然と心が据わった。
 そして――二人はすべての力を込めると、最後の挑戦が始まった。
 エルシーが巨大鉄甲船を押し上げると、土砂が少しこぼれ、巨大な船が大きく鳴動する。
「ま、まだ動かぬか! だがこの状況が、妾の魂を燃え上がらせる!」
 埋まった船体がせり出して、さらに土砂がこぼれて船体が露わになってくる。そして、そのようなことが幾度か繰り返されたあと、ついに、
「これがワタシの全力です!」「ふんぬー!」
 光り輝くフィールドがひときわ大きく羽を広げると、船が海中へとガコンと飛び出したのだった。

「やりました! どうでしょうか!」
「はっはっはっ。皆、見ておったか。妾にかかればこの通りじゃ!」
 そして二人はその船を見て、ドローンに向けて良い顔でポーズを取るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シェーラ・ミレディ
海の向こうか。中々浪漫があるじゃないか!
まだ見ぬ景色や、知らぬ知識や財宝や! いやぁ心が躍るなぁ!
是非、外洋に出る時には供をしたいものだ。
……さて、そのためにもまずは船を引き挙げねば。

とりあえず、人手を集めればいいだろうか?
『艶言浮詞』。海に潜って邪魔な瓦礫を精霊に変換し取り除き、重い積荷も精霊に変換し陸に揚げる。ついでに引き揚げ作業も精霊に任せる。海中での酸素供給や移動も、精霊を使えばいいだろう。
僕は精霊を監督しなければならないからな、全体を見渡せる位置で指示を出すぞ。
……精霊を酷使しすぎだろうか。これは、後で労わねばなるまいなぁ。

※アドリブ&絡み歓迎


鈴木・志乃
※人格名『昨夜』で参加
戦いも佳境ですが、……正直に申し上げます、疲弊しました
いつもとは違う依頼で羽を伸ばすと致しましょう

UC発動
【念動力、第六感、世界知識、見切り、ロープワーク】
さて、UDCアースでしたかね、てこの原理で戦争後の船を引き揚げたのは……

念動力で少し浮かばせた所に、てこの原理を利用できる何かしらを突っ込みます
原典と同じく滑車が理想ですが、まぁ、あればで
ポイントは第六感と世界知識(数学知識)で割り出します

何かしら引っ掛かったら念動力で動かし軌道修正
力業が必要ならロープワークで引っ張りあげましょう

……お腹が空きましたね
後でおにぎり、頂けないでしょうか



●海上にて船釣り
 瀬戸内海をゆっくりと進むのは、小さな漁船。
 エンパイアの港によくあるような漁船であったが、少し違うのは滑車が付いていたことだろうか。
「戦いも佳境ですが、いつもとは違う依頼で羽を伸ばすと致しましょう」
 その船の上で、身体を伸ばして海風に当たり、少し表情を和らげるのは、鈴木・志乃(ブラック・f12101)――なのだが、今その身体を操るのは彼女に憑依する女霊、昨夜であった。
(……正直に申し上げます、疲弊しました)
 そう感じるのもそのはず、彼女たちは、エンパイアウォーにて100を超える戦場を渡り歩いて来たのだから。そしてこれからも、また戦いへ赴くのだろう。であれば、少し羽を伸ばすのも悪くはない。もっとも、釣るのは魚ではなく、鉄の船なのだが……それは、些細な事であろうか。

 ――しばらくして。
 海面に、ポコッポコッと水泡が浮かんでは消えるのが見えると、昨夜は船を止めてロープを掴む。
 そしてボコボコッっと大きな泡立ちが起こると、
「さて、UDCアースでしたかね、てこの原理で戦争後の船を引き揚げたのは……」
『Ms.Yesterday(ミズ・イエスタディ)』
 小さくつぶやいてロープを海へと放り入れた。
 そして、昨夜の髪が白く染まり目は夕焼けの色を映すと、より強く感じる念動力で巧みにロープを操りながら、先の猟兵たち――エルシーと菘がわずかに浮き上がらせた巨大鉄甲船の船体を絡めとる。そう、ここは巨大鉄甲船が沈んだ場所であったのだ。
「手ごたえはありましたね」
 昨夜は滑車を通したロープの方に持ち替え、引き揚げるために力を込めて引いた。

●海上へと運ぶ精霊の声
(あれ? 重……くない??)
 驚きながらも、するするっとロープを軽々と引いてゆく昨夜。
 掛ける力も滑車により小さくなってはいるが、さすがにゼロにはらない。ましてや、この巨大鉄甲船は『全長200m、全幅30m』のとても大きな船だ。それが沈んでいるのだから、それを引き上げるのは一筋縄ではいかないはず。で、昨夜もそう覚悟していた。
「これは…………」
「もちろん、僕の精霊の仕業さ」
 ざぱっと海の中から現れて、乗せて貰っていいかい? と言いながらも、許可する間もなく漁船に上がってくる、ミレナリィドールの少年――シェーラ・ミレディ(金と正義と・f00296)が答える。
「かなり楽になっただろう?」
 金に煌めく鮮やかな水着から水を払いつつシェーラが問うと、ええと昨夜は頷いた。

 それに満足したのか、
「海の向こうか。中々浪漫があるじゃないか! まだ見ぬ景色や、知らぬ知識や財宝や! いやぁ心が躍るなぁ!」
(ふふっ。是非、外洋に出る時には供をしたいものだ)
 シェーラは顔を輝かせて語ると、そのためにもまずは船を引き挙げねば。と、昨夜へ促す。
「さあ、さっさと引き揚げてくれ」
「……いいでしょう。私もそのために来たのですから」
 この機会を逃すわけにはいかないと、昨夜が少しずつロープを引いてゆく。引くたびにカラカラと滑車が勢いよく周り、次第により引く速度も速まってゆく。
「も、もう少しです!」
 手ごたえを感じて歓喜の声を張り上げると、ザパンッと跳ねるように、巨大鉄甲船が海面へと勢いづいて飛び出してきた。それは、勢い余って船に積まれた物品や載っていた瓦礫が飛び出してしまうほどに。
 その様子に、失敗したと思ったが、大丈夫とばかりにシェーラは手振りで示す。

『おいで、僕に手を貸してくれ。』
「彩色銃技・口寄せ・艶言浮詞(アトラクティブガンアーツ・フラート)」
 シェーラが口ずさむと、飛び散った船に積まれていた物品、埋もれる瓦礫、そして、船内に浸かる水が、無邪気に戯れる透明な妖精――精霊となって消えてゆく。まさに幻想的な現象が繰り広げられたのだった。
「ふふっ。これでどうだろう」
 多くの精霊と戯れながら、シェーラは自信満々に見せつける。
 そして、巨大鉄甲船はやや頼りなく揺れながらも少し滑空して海の上に着水すると、役目を終えたとばかりに光り輝くフィールドがフッと消えた。

「――何はともあれ、成功でしょうか?」
「僕が来たのだから、当然だな」
 少し興奮したような感じで、二人は笑顔で答えた。

●海から陸へ
 そして、二人は漁船でゆっくりと巨大鉄甲船を牽引して港まで戻って来る。
「ふっ、終わったな」
(――精霊たちよ、感謝する)
 シェーラは精霊を解き放つと、元の物品や瓦礫となってドサリと落ち、水はシャワーとなって降り注ぐ。精霊たちは、無邪気にはしゃいで楽しそうに別れを告げて消えていった。
「……お腹が空きましたね」
「なんだ、おにぎりでも欲しいのか?」
 物欲しそうな昨夜のつぶやきに、シェーラは、おにぎりを手渡すと、悪戯っぽくクスリと笑って言葉を添える。
「だが高くつくぞ」
「!!」
「ふっ、冗談だ。今回は、君も素晴らしかった」
 昨夜が少し警戒しながらおにぎりを食べるのを見て、シェーラは楽しそうに眺める。
(……精霊を酷使しすぎだろうか。これは、後で労わねばなるまいなぁ。それに比べれば――)

 そして、二人はそれぞれに、これからのことに想いを巡らせるのだった。

 この船がどのようにエンパイアの未来に影響を与えるのか、それは、まだわからない。
 しかし、猟兵たちは確実に一歩を踏み出したのだ。まだ見ぬ世界へと。

 了

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月26日


挿絵イラスト