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魔女の謎

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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 嗚呼、神よ。私は罪を犯しました。あの美しく優しい魔女が悪いのです。
 宵色の美しい髪、陶器のように白くて透明な肌、薄く色づいた唇、優しい声音。
 全てが私を誘惑し、堕落させるのです。
 神よ、私に慈悲を。

 グリモア猟兵の識神・白は、いつだって物語狂い。きっと物語となり得る依頼を見つけたのだろう。浮かれた表情で猟兵達に説明を始める。
「皆様はミステリーはお好きでしょうか。まるでその舞台のような村があるのでございます」
 それはダークセイヴァーの、とある村。オブリビオンである幽鬼が徘徊しており、村人はそれに怯えながら生活している。ここまでなら、普通の話だ。
「一つ目の謎は村人達の態度でございます。まるで誰も彼もが秘密を抱えているかのように、誰とも目を合わないのです。何かあるに違いありません」
 その上、時計台の鐘がなると、皆、肩をビクッと揺らして怯えた表情をみせるらしい。村長もその一人だとか。何かあるのかもしれない。
「二つ目の謎は魔女の死因でございます。魔女は様々な薬草から薬を作り、村人とも仲良くやっていたそうでございます。ところが、一週間ほど前、突然亡くなったそうなのです。死因は不明でございます」
 その娘もショックからか行方知れずになっているらしい。
「三つ目の謎は教会の神父が行方不明なことでございます。いなくなったのは2、3日前だとか。なんでも魔女の人気を妬んでいたそうでございます」
 魔女の死と何か関係あるのだろうか。
「いずれにせよ、村人達から話を聞かなければなりません。それに、このままでは、いずれ村は崩壊するでしょう。ですから、まずは村人達が協力できるよう、力を尽くして下さいませ」
 白は深々と頭を下げた——ほくそ笑みながら。


問綴
 オープニングを読んで頂き、ありがとうございます。マスターの問綴と申します。皆様の物語を最大限に描けるよう努めさせて頂きます。
 今回のシナリオはミステリー風味となっています。リプレイで徐々に追加情報を出していきますので、ミステリー初心者でも解けるようになっております。そもそもヒントがなくても、答えが分かる方がいるかもしれません。
 1章では、皆様の思いつく限りのアイデアで村人達が仲良くなれるよう力を尽くして下さい。謎解きがあれば嬉しいですが、なくても、村人達が協力的になってくれれば、謎は解明されます。2章は冒険、3章は戦闘となっております。
 複数人のプレイングの方法やプレイング用のキーワードについて、マスターページに記載しておりますので、どうぞご覧下さい。こちらのフォーマットに沿っていなくとも、きちんと判断できるように書かれていれば、対応は致しますので、ご安心下さい。
 皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『村を覆う不協和音』

POW   :    力量を見せて人々を安心させます

SPD   :    村の中を走り回って、不和の証拠を探します

WIZ   :    知恵を絞り、人々を安心させたり、情報を得たりします

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

五條・桜花
そうですね私はこの【医術】と【毒使い】を用いて癒し手として村人の心を開きたいと思います
とはいえ見知らぬ身の上に身を任せるのも難しいでしょうか
ここは味と香りがいい薬草茶をふるまうことからどうでしょう
気持ちが穏やかになり疲れを取りやすくするお茶ですよ
どうですか?これは少しだけ疲れを和らげてくれるのです
気に入られましたら少しお茶をお分けすることもできますし
私は癒し手、どなたかお加減が悪い方がいたら微量ながらお手伝いしますよ

まずは情報収集は意識せずに動きましょう
だって秘密は人を蝕む毒の一つですもの
心が緩めばその毒は少し表に出てきても不思議ではありませんよね
【桜の祈り】も用いて癒しましょう



「大丈夫ですか? 顔色が悪いように見えます。私、こう見えても、癒し手なんです。この薬草茶、凄くいい香りでしょう? 味もいいんですよ。おひとつ如何です?」
 五條・桜花は、立て板に水の如く、一気に村の老女に話しかける。本当は人見知りだが、依頼上、仕方ない。それで頭の中が真っ白になってしまい、つい、まくしたててしまうのが桜花の癖であった。老女は訝しげな顔をするが、体調も悪かったのだろう。家に招いてくれ、桜花の薬草茶を二人で楽しんだ。
「随分いい香りのお茶だね。気が塞ぎ込んでたんだが、少し軽くなった気がするよ。美味しいお茶をありがとうね」
「どこかお加減悪いところはありませんか。きっと治してみせますよ」
「そうだねぇ。旅の人に悪いが、腰を見てもらおうかのう」
 桜花は腰に手を当て、祈りを捧げる。すると、部屋の中に桜の花弁が舞い散り、長らく痛んでいた老女の腰が治ったのだ。老女はあまりの奇跡に目を見開く。
「あんたはもしかして魔女なのかい? 死んだエアの仲間なのかい?」
 怯えた様子で聞く老女に桜花は首を振る。
「私は癒し手であって、魔女ではありません。エアさんという方も知りません」
 少しほっとした顔の老女は心配そうに桜花に忠告した。
「この村は魔女に呪われておるんじゃ。きっと、あんたは魔女と勘違いされてしまう。あんまり力は使わんほうが身のためじゃ。他の村人には内緒にしておくから、お茶だけにした方がよいぞ」
 桜花はこの忠告を聞き入れることにした。そして、老女と別れ、村人達に薬草茶を振る舞った。村人達は癒やされ、村は束の間の安らぎを取り戻したのだった。
 村の人々を蝕む秘密という名の毒。その毒が姿を現す時は近い。

成功 🔵​🔵​🔴​

キアロ・マジェスタス
ははぁん……不穏な話だ
オブリビオンの存在がヒト同士にも疑心暗鬼を生じる
そういう状況のように見えるな

さて村人たちが協力できるように、とのことだが
我輩そんな甘っちょろいことはしないのである
ていうかそっちは他の猟兵がうまくやるであろう

我輩はひたすら『情報収集』に努めるぞ
こう見えて隠密行動は得意なのである

『目立たない』能力や『変装』で村へ紛れ込み
村の建物の屋根の上や天井裏に潜んで『聞き耳』で村人の会話を集めるのだ
【翼ある者】で鐘楼など高所から観察するのもよかろう

魔女の自宅&教会と牧師館に『鍵開け』で侵入
怪しい物や痕跡を調べておきたい

魔女は普通に葬られたのであろうか?
特に死亡前後の状況が知りたいものだな



(ははぁん……不穏な話だ。オブリビオンの存在がヒト同士にも疑心暗鬼を生じる——そういう状況のように見えるな)
 話を聞いたキアロ・マジェスタスは、冷静にそう分析した。だが、不穏な村の状況の改善をすることより、浪漫を追うキアロの知的好奇心が勝った。
 目立たぬ場所で何度か空中ジャンプし、鐘楼へと入り込む。鐘楼から村の様子を眺め、比較的、人の出入りの多い食堂に目を付けた。そして、食堂の屋根まで滑空し、小声で話し合う村の人々の声を盗み聞く。
「神父は絶対あの魔女に惚れてたよな」
「村長も相当お熱だったぜ!」
「それを言うと、俺達もだけどな……」
「なんで死んじまったんだろ。死ぬ1日前に薬もらったけど、元気だったぜ」
「神父のせいだろ。魔女がヴァンパイアの手先だ、なんて言い出して!」
「1ヶ月ほど前だったよな。何があったんだろ」
「魔女が死んだ後、傷一つなかったらしいしな」
「それに、魔女が持ってた、あの真っ黒な禁忌のローブ……」
「……しっ、どこで聞いてるか、分かんねぇぞ」
 それ以来、声は聞こえない。帰ってしまったようだ。
 キアロは魔女の自宅に向かうことにした。魔女の自宅は鍵が開いたまま。強盗でも入ったかのように荒れている。緑の粉末が床に散らばっていて、靴跡から3名はいたことが分かった。一人は靴が小さいから魔女の娘だろう。他の二人は争っていたことが分かった。だが、同時に娘と二人がいたかまでは分からなかった。男達が話していた黒いローブは見当たらなかった。
 教会には鍵がかかっていた。それをキアロが器用に開ける。争った跡はなく目立つものも見当たらない。
 牧師館には鍵がかかっていなかった。扉は原型を保たないほどに、大きく破壊され、中は争った形跡だろう——大きく抉れた家具が見える。一体ここで何があったのか……。

成功 🔵​🔵​🔴​

リアナ・トラヴェリア
まずは情報の整理をすべきだよね。

この真相に大きく関係してそうなのは、村長、魔女、魔女の娘、そして神父。この4人。

時系列に並べ直すと一週間前に魔女が亡くなって、その娘が行方不明。そこから4・5日後に神父が行方不明、と。
魔女に神父は嫉妬してたと言われてるけど、じゃあ魔女の娘にはどうだったんだろう?
二人共行方不明になってるのには意味があるのかな。

…あと、気になったんだけど時間の経過が関係してるよね。時計塔の鐘の鳴る時間も気になるかな。
村長と村人は何かを共有している、のかな。

とりあえずこの状況なら「神父と魔女の娘」との関係を聞いてみたほうがいいかな。その前の神父が魔女に嫉妬していたって話も含めて。



リアナ・トラヴェリアは考えを巡らす。真相に大きく関係していそうなのは、村長、魔女、魔女の娘、そして神父の4人。時系列で考えると、一週間前に魔女が亡くなって、その娘が行方不明。そこから、4、5日後に神父が行方不明。
 村の女に疑問をぶつけてみることにした。女は桜花のお茶の効果もあり、比較的、容易に家へと迎え入れてくれた。まるで村人より旅人の方が信用できる、とでもいうように。
「神父さんは魔女さんに対して、嫉妬してたって本当なのかな?」
「本当も本当よ。魔女さんは、いつだって嫌な顔しないで、まるで魔法みたいに病気を治す薬をくれるんだもの。殆どタダでよ? だけど、神父様は、いつだって説教から始まるんです。だから、神父様のところより、魔女さんの方へ行くことが多かったわ。神父様は魔女さんを妬んで、いつも意地悪ばっかり言ってたわ」
 真実らしい。そして、神父はあまり付き合いたくないタイプのようだ。
「魔女の娘さんに対しては、どんな態度だったの?」
「そうね……。無関心というのが相応しいかしら。殆ど声をかけることもなかったわね。ただ、魔女さんに対する態度が酷いでしょ……? だから、魔女さんの娘さんは神父様は敵って態度をしてたわね」
 無関心。魔女には関心が強いのに、娘には興味がないのか。それが指す意味とは。
「魔女の娘さんと神父さんが、二人共、行方不明になってるのには意味があるのかな?」
「……どうなのかしら。……私には分からないわ。ただ、言えるのは多分二人は一緒なんじゃないかしら……。多分ですけどね……」
 女は怯えた表情を浮かべて、そう誰に答えるでもなく、そう呟いた。神父は娘に無関心だったというのに、何故。
「時計塔は何時になるの?」
「……夜の7時よ。……それがどうしたのかしら?」
「ちょっと気になっただけ。ありがとう」
 疑るような瞳を向ける女に別れを告げて、他の村人にも聞いてみる。答えは皆一緒だった。

成功 🔵​🔵​🔴​

セリオス・アリス
魔女が1週間…神父が2、3日
魔女を殺した誰かが懺悔しに来たのを聞いた神父が敵討ちにいって返り討ち…なんて
適当な筋書きを組み立てるにも情報不足だな

さてどうやって情報を集めるか…
殴る…訳にはいかないし…?

旅芸人のふりして
歌声で『誘惑』するように
子供が喜ぶ歌
恋の歌
それと、別れを惜しむような歌
【シンフォニック・キュア】
を密かに発動
歌を聞いて気分が良くなったと勘違いさせられれば御の字だ

歌い終わったら礼をして
話す相手を『第六感』で選ぼう
熱心に聞いてたおしゃべりそうなヤツがいい

新しい歌を作りたいんだが
何か知ってる話はないか?
例えば…この村であった些細な恋の話や
あの鐘にまつわる話とか
『誘う』ような声色で聞く



(魔女を殺した誰かが懺悔しに来たのを聞いた神父が敵討ちにいって返り討ち……なんて、適当な筋書きを組み立てるにも情報不足だな)
 セリオス・アリスは悩む。殴って解決したいところだが、それは村人の心を更に閉じるだけだ。セリオスは悩んだ末、旅芸人を装うことにした。
 村の外は、人も疎らで、誰も彼もが早足で家の中へと帰っていく。それでも、漆黒の羽根をひろげ、セリオスが子供向けの曲を甘い声で囀れば、玄関先から子供達が愉しげに音楽に合わせて体を揺らす。その曲に治癒効果があることも知らずに。続けて恋の歌、別れの歌を奏でれば、いつの間にか、多くの人が遠巻きに彼の曲に聞きほれていた。丁寧に礼をすれば、多くの拍手が帰ってきた。
 熱心にセリオスの曲を聴いていた老人が家の中へとセリオスを招く。セリオスは口の軽そうな、その老人の招きを、渡りに船とばかりに受ける。
「素晴らしい歌じゃった。まるで身体も軽くなったような気分じゃ」
「そいつはよかった。新しい歌を作りたいんだが何か知ってる話はないか? 例えば……、この村であった些細な恋の話やあの鐘にまつわる話とか」
 甘い声でセリオスが囁けば、老人は声を潜める。
「外では言えない話じゃがのう。村長さんは、随分魔女さんに惚れておってのう。殺鼠剤を頼んでは、よく魔女さんの家に通っておった。そんなに収穫もないのに関わらずじゃ。魔女さんは気だてもよく誰に対しても優しかったし、魔女さんも村長さんも独り身からのう。じゃが、村長さんの求愛を断っておったようじゃぞ。なかなか恋というのは難しいもんじゃ」
 そうぼやいて老人はお茶を啜る。
「あの時計塔の鐘は象徴的だな。何か面白い話があるんじゃないのか?」
「鐘のう。村自慢の逸品ではあるのじゃが……」
 そう言って老人は渋い顔をする。
「教えてくれたら、もう一曲披露してもいいぜ」
 セリオスの曲の誘惑に、娯楽に飢えているらしい老人は一瞬目を輝かせる。しかし、すぐに鈍い瞳で話始める。
「……そうじゃのう。……おぬしの曲が葬送曲というのも悪くない。鐘の鳴らし方で毎日お知らせを流しておったわ。カンカーンカンで緊急事態発生とかな。今は毎日……犯人出てこい、じゃ……。……なんのことだか、分からぬがのう……」
「きっと葬送曲にはならないだろうよ。じゃあ、存分に聴いてくれ」
 セリオスは頭の中で情報を整理しつつ、老人を慰め、お礼の歌を披露するのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

カナカナ・リッタリア
「色の無い村、って感じだなぁ」

村人達は何に怯えているんだろう?まずはその原因を調べたいなぁ
【SPD】で時計台を調べてみよう
その場所に何かあるのか、鐘の鳴る時間に関係しているのか

魔女の死因、神父の失踪も別々の話に見えて
繋がっている気がするんだよね
その件も踏まえた上で手がかりを探したいな
時間があれば教会や魔女の家も調べてみたい
村の人から話を聞いた仲間がいれば、連携しながら探索したいよね

「この物語の結末は、一体何色になるんだろうか」

それはこれからの僕等の行動次第なのだろうけれど


エンジ・カラカ
【SPD】

アァ……奇怪な場所だ。
手始めに目立たないを使って村に紛れ込む
情報収集や聞き耳なんかも使って目立たないように情報を得る。
ヒトの多い場所に情報は集まるだろうなァ…
このままだと目立つ…

追跡で隠れながら後ろを追いかけて行けば
ヒトの集まる場所にゆけるだろうか
なるべく見つからないように証拠を探す
誰かに見つかりそうになったら素早く隠れる
息を潜めるのは得意なんだよなァ

誰かと合流して情報が共有できたら
もっと早く手掛かりが見つかるかもしれないなァ…
情報を得たら味方と合流、得なくても合流はして損はなさそうダ
ソッチは何か見つけたか?



「色の無い村、って感じだなぁ」
 村を見て、カナカナ・リッタリアは、そんな感慨を抱く。それも致し方ないだろう。村の人々の顔は疑心暗鬼に染まっていて、誰も彼も村人が信じられないといった顔をしている。自由を愛する赤い薔薇のような彼女と比べれば、色がないも同じであろう。
 カナカナは村の中では目立って立派な時計台に目をつける。他の猟兵達からの話では、時計台の鐘は夜7時に鳴り、お知らせを流すらしい。そして、最近のお知らせは『犯人出てこい』。
 実際に時計台へ行くと、時計台は——建物十階分ぐらいだろうか——かなりの高さがあった。その入り口は怪物でも通ったかのような破壊のされようだ。その前には警備の為か村人が立っている。その村人は何故か青ざめて、時計台の方をしきりに気にしている。カナカナはその村人に挨拶し、声をかけてみる。
「随分、立派な時計台だね。その中に何かあるの?」
「……な、な、何もない! ……ただ、鐘があるだけだ……」
「ふーん、この時計台は誰が鐘を叩くかな?」
 村人は、その質問に逡巡し、目を白黒させながら、答える。
「……だ、だ、だれだっていいだろう! 村人が順番に叩くんだ!」
「そっか。ありがとう」
 カナカナは話を切り上げる。これ以上、この村人からは情報を引き出せそうにない。
 魔女の家に入ったカナカナは落ちていた薬草の瓶のラベルを読んでみた。『解毒剤』。この争った跡は解毒剤を取り合ってできた跡なのだろうか。だとしたら、魔女の死因は毒殺? 神父の家はまるで怪物に襲われたかのような有り様だった。魔女を殺した人物と神父を攫った人物は別なのかもしれない。

 エンジ・カラカは潜む。
(アァ……奇怪な場所だ)
 村の暗くてどんよりとした雰囲気は、かつていた牢獄のよう。檻などないのに、まるで檻にとらわれたかのような有り様だ。
 村の男数人が黙り込んだまま、食堂へと向かっている。それを密かについていく。目立たないようにしても、外に人が多い訳ではない。食堂なら、情報を集めるのにも有用だろう。渡りに船というところだ。
 食堂で酒を頼んだ男達は次第次第に口を開き始めた。それを食堂の隅でエンジは聞き入る。
「……時計台の鐘をついてたのが、黒いローブを着てたって聞いたか……?」
「……あぁ、聞いたよ……。黒いローブって、魔女さんが持ってたやつじゃないよな……?」
「……なんでも、あのローブを着ると、異能の力が得られるとか……」
「……時計台の入り口とか、牧師館の様子なんか見てると、あのローブが関係してるんじゃあ、って思っちまうのよ……」
「……ああ、俺も、つい連想しちまう……。そんなことあるわけないよな……? ハハ……」
 男達は乾いた笑いを浮かべる。酒を呑む気すら失せたようだ。会計して帰っていく。

 カナカナとエンジは村の外れで情報を共有する。この村には不穏な話が多すぎる。そして、情報を集約すると、時計台には黒いローブの誰かがいること、その誰かは魔女殺しの犯人を探していること、その誰かはおそらく神父を攫った犯人であることが分かる。だが、魔女を毒殺した犯人は一体誰なのか……? 黒いローブの人物とは一体誰なのか……? 
「この物語の結末は、一体何色になるんだろうか」
 カナカナは時計台を見ながら、そう呟くのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

桜雨・カイ
死因不明の死に加え行方不明が2人…
もしかするとさらに増えるかもしれない

村人に行方不明の魔女の娘さんについてきいてみましょう
(村の人は本当にショックによる行方不明と思っているのでしょうか?)

神父さんも娘さんも行方不明なら、捜索はされたと思いますが
他に探していない場所はありますか?
幽鬼のことはご心配なく、対処しますから

事情はどうあれこれ以上の事態は防ぎたいです
(行方不明が自らの意思か、誰かの連れ去りかは分かりませんが)すでに数日経過しています、早く見つけないと。
それにまた同じ事が村人にも起こるかもしれない
食い止める為にも解決に協力して下さい、お願いします



(死因不明の死に加え、行方不明が2人……。もしかすると、さらに増えるかもしれない)
 桜雨・カイは蒼い瞳を細めて、村を見つめる。
 カイは、村の男に聞いてみることにする。
「魔女の娘さんはどこにいったか、ご存知ですか?」
「……旅の人がなんでそんなことを気にするんだ」
「事情はどうあれこれ以上の事態は防ぎたいんです。すでに数日経過しています。早く見つけないと。それにまた同じ事が他の村人にも起こるかもしれないんです。食い止める為にも解決に協力して下さい。お願いします」
 カイの熱意に、村の男は目を泳がせて、やがて決心したように、頼み込む。
「旅の人にそんな義理もねぇのに、すまねぇ……! お願いだ! この事件を解決してくれ! 時計台に黒いローブのやつがいるらしいんだ。魔女さんは禁忌の黒いローブをずっと保管してたんだ。きっと魔女の娘さんはその黒いローブを着て、神父様を攫って時計台に立てこもってるに違いないんだ! じゃなきゃ、神父様が消えてから時計台の鐘は毎日『犯人出てこい』なんて、鳴るわけねぇんだ!」
「何故分かっているのに、あなた達は見てみぬふりをするんですか?」
 ついカイは村人を責めるようなことを言ってしまう。だが、村人はカイの怒り以上に苛立っていた。
「俺だって口惜しいさ! 魔女の娘さんも神父様も今どうしてるかわかんねぇ。だけど、村長さんが村でも強い男共を時計台に登らせたんだ。だけど、翌日には時計台の下に落ちて死んでたんだ……。それも、『ハンニンデテコイ』って傷が付いてたんだ……。そんなことするの、魔女の娘さんしか考えらんねぇ」
「もしかして、村人の皆さんは魔女を殺した犯人が分からなくて、疑心暗鬼になっていたのですか?」
「……そうだ。でも、誰だかわかんねぇんだ……」

 そこへ、やつれきった男がふらふらと広場に入ってくる。村人は「村長さん」と口々に言って駆け寄る。
「犯人は俺だ! 俺が! 俺が! 魔女さんを殺したんだ! 俺が悪いんだ! 俺が振られた腹いせに殺鼠剤をお茶に混ぜて飲ませたんだ! でも、死ぬなんて! 死ぬなんて! 思わなかったんだ! うっうっ! すまない! 皆すまない!」
 村人達は一瞬信じられないといった顔で村長を見る。だが、次の瞬間には、口々に罵詈雑言をかけ、石を投げつける。犯人が分からないせいで、ここまで村人達の間に広がった疑心暗鬼は、怒りへと変わる。目に余った猟兵達が村長を背にして守る。猟兵達は村人の敵ではない。村人の攻撃の手は緩む。だが、村人の怒りは、この程度で済むものではない。村人達は、村長へ時計台に上り、異端の力を手にした魔女の娘に謝ってくるよう、要求するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『時計塔』

POW   :    大胆に進む

SPD   :    慎重に進む

WIZ   :    アイテムを活用

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


事件の真相は分かった。村長が魔女を毒殺、魔女の娘が禁忌の黒いローブを着て、神父を人質に時計台に立てこもっている。そして、村人達は、村長に時計台に登り、魔女の娘に謝るよう、要求するのだった。だが、魔女の娘は今、異端の力をもっているらしい。魔女の娘の異端の力がオブリビオンかどうかが気になるし、村長を見捨てるわけにもいかない。猟兵達も村長と共に時計台を上るのだった。 
 時計台の中は古く、一歩上る程に階段が軋む。段には腐ったものもあるらしく、踏み抜かないように気をつけなければならない。また、オブリビオンの幽鬼もうろうろしている。場合によっては撃破しなければならないだろう。時計台を気をつけて上れ!
カナカナ・リッタリア
【WIZ】でアイテム(技能)を活用する

提案だけど
村長は僕の【フェアリーランド】で壺に入って貰うのはどうだろう
【物を隠す】で壺を目立たなくして皆で運べればベストかな

入口等の証跡を見ると魔女の娘は相当お怒りに見えるし
この塔に上ってきた者=犯人と考えて問答無用で攻撃して来たら怖いしね
村長を怖がらせない様そこまでは口にしないけれど
逃げちゃうかもしれないしね

「大丈夫、僕等と一緒に行こう」

安心できる様に微笑んで言うよ

燃えるような恋は、時に人の心を狂気に変える、か…
けれど、できれば悲劇のまま終わらせたくはないよね


リアナ・トラヴェリア
事実は分かったけど、まだ分からない事があるんだよね。
それは本人に聞くしか無いかな。

それはともかくまずは時計塔を登らないとね。
ランタンをもって足元を照らしながら登るよ。
うっかり腐った板を踏まないように慎重に。

途中の幽鬼って戦ったことは無いけど、剣通じるのかな?
エンチャントしておけば大丈夫かな。

あと皆で登れれば私は前に立つね。学園で習った隊列って言うの。
行動に時間がかかったり、射程が長い人が内側だよ。私はそういうの得意じゃないから。幽鬼の攻撃を受け止めたりするね。その時も足場に注意するよ。

気になってる事って、神父さんはなぜ殺されてないのって話だよ。
嫌われてるし一番疑わしいのになんでだろうと思って。


エンジ・カラカ
魔女かァ…
アァ……どんな力を使うのか楽しみだ。
足手まといにならないでくれよ。

腐った部分もあるなら慎重に進まないと真っ逆さま
後始末はしたくない。各々気を付けてもらわないとなァ
先に進んだヒトを見ながら安全な場所を歩こうか
ホーラ、こっちこっち。
敵サンもいるかもしれないって話だったかァ?

敵サンが現れたら暴れて
床が抜けてしまわないように立ち回ろうか…。
こんな場所で派手に暴れるのは好きじゃないんだ
愛用の拷問器具、辰砂は賢い君。
ここでの戦い方も知っているだろうなァ…
咎力封じを使って封じよう
でかい攻撃は他のヒトに任せた


五條・桜花
アイテム駆使しましょう
まず私はオラトリオなので飛んで起きます
これなら床は私は踏み抜かない
その上で足元注意となればこれ
古典的ですが11フィート棒です
この棒でつついて危険な足元を事前に察知します
オビリオンが襲ってきたのなら危ない足元に誘導したら落ちていかないかしら

古来より色恋沙汰は手に負えないと言いますが
村長さんあなたは忘れてはいけないのです
誰かの命を己が手で殺めたことを

しかし上にいるのは本当に魔女の娘なのかしら
魔女の娘であって欲しいけどそうでないなら謎は深くなりますね



五條・桜花とリアナ・トラヴェリア、エンジ・カラカ、カナカナ・リッタリアの4人は、まず作戦を立てることにした。リアナが提案する。
「隊列を作っていこうよ。アカデミーで習ったんだ。行動に時間がかかったり、射程が長い人が内側だよ。私はそういうの得意じゃないから、前に立つね」
 桜花が棒を掲げて言う。
「私も先に行くよ。ほら、この長い棒で階段を叩いていけば、危ないところが分かるから」
 桜花が持つのは11フィートほどの長さの棒。村人に頼んでもらったものだ。つづいて、エンジが口を開く。
「なら、俺ァ、後ろがいいなァ。足手まといにならないでくれよォ、特にあんた」
 エンジが村長を見る。村長は悄然とうなだれる。
「……あの、俺はどこにいればいいでしょう……」
 カナカナは村長に提案する。
「村長さん、信じられないかもしれないけど、この壺を触ってもらえれば、壺の中に入れるの。この壺の中はフェアリーランドと繋がっているから安全だよ。フェアリーランドは、こことは別の世界で幸せな花園みたいなところなんだよ」
「別の世界……? まるで天国みたいだ。俺死ぬんですか。でも、死ぬのは困る……。あの娘が村人を全員殺してしまうかもしれない。せめて、俺で終わりにしないと、村人に申し訳がたたない!」
「入っても死なないよ。大丈夫、僕等と一緒に行こう」
 優しい笑顔でカナカナが村長に微笑みかける。決して、魔女の娘があなたを見るなり襲いかかってくるかもしれないから、とは言わない。村長が逃げるかもしれないからだ。そこに桜花が念を押す。
「古来より色恋沙汰は手に負えないと言いますが、村長さん、あなたは忘れてはいけないのです。誰かの命を己が手で殺めたことを」
「……はい、仰る通りです。決して忘れません」
「まぁまぁ、村長さんを責めるのは後にしよう。じゃあ、壺に触って」
 そういってカナカナが村長に壺を差し出すと、村長は覚悟を決めたかのように壺に触れる。村長はまるで神隠しかのように一瞬で皆の前から消え失せた。今頃はフェアリーランドで腰を抜かしているところだろう。
「できれば、みんなの間に入って壺を隠したいな」
「それなら、私と桜花さんが先頭で、カナカナさんは真ん中、エンジさんは後ろね。じゃあ、みんな行こう」
 リアナが作戦を締め、皆で時計台を登り始める。時計台は木造の素朴な造りで、黴の匂いが鼻をうつ。随分高いらしく、階下からは、最上階にある鐘の間は全く見えない。
 桜花が棒で階段を一段一段叩きながら、慎重に進む。そのたびに月のような優しい光を纏ったヴェールが揺れる。腐っているものは棒が突き刺さったり、折れたりした。そういう場所は避けて通る。リアナは、桜花の横で、村人に借りたランタンで暗い時計台の中を照らす。エンジは、その後ろを注意深く、そろりそろりと歩きながら、内心、胸が高ぶっていた。
(魔女かァ……。アァ……どんな力を使うのか楽しみだ。娘も少しは歯ごたえがあるといいんだがなァ)
 絶望と希望とが混じった牢獄にいた頃と比べれば、なんという、愉悦だろう。なんという、お遊戯だろう。
 階上から突如、複数の半透明な人型——幽鬼が襲ってきた。幽鬼の動きをエンジ愛用の拷問具『辰砂』が封じる。幽鬼が暴れぬよう、床が抜けぬよう、賢く立ち回る。リアナは桜花に声をかける。
「下がって!」
 桜花が後方へ下がると、リアナは、事前に炎、水、風の魔力を纏わせた黒剣を振るう。一閃。エンジが捕らえた幽鬼共は、啼くような呻き声を残して消えていく。リアナにとって、ここは過程に過ぎない。魔女の娘に会って聞きたいことがあるのだから。
 ——神父さんをなぜ殺さないの
 魔女の娘に嫌われていて、一番疑わしいのは神父だ。リアナの疑問は最もだろう。だが、魔女の娘以外にそれを知るものはいない。リアナの知的好奇心を満足させるためには前に進むしかないのだ。
 こうして皆で協力し、時計台を慎重に進んでいく。だが、進むにつれ、桜花の胸に一抹の不安が過る。
(上にいるのは本当に魔女の娘なのかしら。魔女の娘であって欲しいけど、そうでないなら一体誰がいるのでしょう……)
 一方、カナカナは、この迷路のような状況下にあいっても、胸に希望を抱く。
(燃えるような恋は、時に人の心を狂気に変える、か……。けれど、できれば悲劇のまま終わらせたくはないよね)

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

栖夜・鞠亜
グリモア猟兵から、話聞いた。
オブリビオンがいるのなら、手を貸す。


時計台に登るしかないみたいだけど、他の猟兵は大分進んでる?
ユーベルコードでメイドさんを召喚。 ランタンを持たせて先導してもらう。
お願い、ヘンリエッタ。 なるべく急いで、でも油断も、ダメ。

内部はあまり広くなさそう。 荷物が重すぎて床が抜けても困るし
ガンケースからKar98kだけを武器として持っていく。
幽鬼はきっと、ある程度倒してくれてる、はず。
屋内で狙撃銃は不利かもしれないけど、逆に考えれば近ければ近いほど当てやすい。
弾丸がすり抜けてしまうかも知れないから属性攻撃を付与した弾丸で、撃つ。

オブリビオンには、消えてもらう。



ランタンをもったメイドは足早に主人——栖夜・鞠亜——を案内する。足元には、当然、細心の注意をして。
「お嬢様、そちらはお足元が悪うございます。どうぞ、こちらをお通り下さいませ」
「ありがとう、ヘンリエッタ」
 鞠亜は、あくまで優雅に軽やかに上へ上へと進んでいく。揺れるランタンの明かりに照らされて、歩くたびに、金色のツインテールが美しいグラデーションをみせる。
 普段は何丁もの愛銃を専用のガンケースに入れて持ち歩く鞠亜であるが、今回は脆い床を踏み抜かぬよう、狙撃銃一丁だけだ。
 鞠亜の紅い瞳に影が映る。狙撃銃を構える。木でできた銃身が頬に冷たい感触を伝える。照準をつけ、引き金に指をかける。——刹那、幽鬼は鞠亜へと肉薄する。鞠亜は冷静に零距離で幽鬼を撃つ。属性付与された銃弾は幽鬼を確実に捉え、その存在をかき消す。ボルトハンドルを回して、空薬莢を排出しながら、次の獲物へと照準を合わせ、撃つ。強い決意をもって。
 ——オブリビオンには、消えてもらう

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリア・ヴェルフォード
救援要請を受け来てみましたが・・・先発隊はもう少し先みたいですね。
早く追いつかなくては!
(という感じで後追いします

【POW】
ゆっくり進んでいては間に合いませんね、後姿が見えるまでは【ダッシュ】で大胆に走っていきます
腐った階段を踏みこんでは真っ逆さまですが・・・そこは自分の【第六感】と【見切り】能力を信じましょうか
幽鬼がでたら剣に光の【属性攻撃】を纏わせた『剣刃一閃』で斬り捨てて浄化させていきます
(アドリブ歓迎です



アリア・ヴェルフォードは焦っていた。先発隊はかなり先にいっているようで、時計台を見上げてもどこにいるのか分からない。
 故に、アリアは時計台を駆け上がる。自分の第六感と剣で鍛えられた見切りを信じて。その超人的な感覚はアリアを一度として階段から落とすことなく前へ前へと進めさせた。トレードマークのアホ毛を揺らしながら。
 そんなアリアの目前に幽鬼の群れが襲いかかる。
「食べても美味しくないオブリビオンは、みんな、滅殺だよ!」
 駆けながら、白い手袋を外す。この手袋はマジックボックスとなっていて、X次元にモノが収納できるのだ! 凄い! お買い得! 
 中から出てきたのは、聖剣Xカリバー。聖光を纏い、あらゆる魔を滅ぼす剣だ。聖剣Xカリバーに、更に光を纏わせ、幽鬼へと躍りかかるようにジャンプ。上段から一気に振り下ろす。一瞬で幽鬼は浄化され、消え去っていった。
 だが、背後から襲われる。アリアはその程度、問題でもないかのように、聖剣Xカリバーを振り下ろした勢いを殺さないよう、下からそのまま、斜め上へ振り投げる。後ろにいた幽鬼も浄化され消えていく。剣を壁から抜いて、肩にかける。
「次は誰からかな?」
 アリアは、こうして幽鬼の群れを浄化しつつ、駆け登っていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ゼラの死髪黒衣』

POW   :    囚われの慟哭
【憑依された少女の悲痛な慟哭】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    小さな十字架(ベル・クロス)
【呪われた大鎌】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ   :    眷族召喚
レベル×5体の、小型の戦闘用【眷族】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は吾唐木・貫二です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


こうして、カナカナ・リッタリアによって村長を壺の中に隠しながら、猟兵達は鐘の間に着くことができた。
 鐘の間は異様な雰囲気だった。ローブを目深にかぶった少女に、両手足が切られた神父らしき人物。
神父らしき人物の切り口はきつく縛り付けられていて止血されているようだが、顔色は真っ青で、自力で動くことは不可能そうだ。少女が口を開く。
「あなた達、犯人じゃないでしょ。村の人じゃないもの。あたしはお母さんを殺した犯人を連れてこいっていってるの!」
 少女はやはり魔女の娘のようだった。リアナ・トラヴェリアは敢えて嘘をついてみる。
「犯人は神父じゃないの?」
「違うわ! そうかもしれないって思って、連れてきたけど、こいつには犯行は不可能なのよ! そのとき、こいつは死んだお爺さんの葬儀をしてたんだもの!」
「じゃあ、どうして、他の人みたいに殺さないの?」
 そう聞かれてると、少女はニタァと薄気味悪い笑顔を浮かべながら答えた。
「……だって、こいつ、ずっとお母さんに意地悪してたんだもん。何年も何年も何年も。だから、あたしも意地悪するの。こいつは苦しんで、苦しんで、苦しんで、死ぬのがお似合いだからよ!」
 神父らしき人物も神父で間違いないようだ。カナカナは少女を痛いものに触れるかのように見てしまう。神父もこのままだと死んでしまうだろう。悲劇にしかならないのだろうか。五條・桜花は、つい壺をみやる。村長がもし聞いていたら、彼はどうしたのだろう。
 高笑いしていた少女が突然呻き声をあげる。そして、茫洋とした瞳になって猟兵達をみやる。
「……貴方達、邪魔者ね? この娘は、もう、わたくしのモノなの。邪魔しないで頂けるかしら?」
「……ローブさんも、あたしの邪魔しないで! あたしは犯人を殺すの! 復讐するまで助けてくれるって約束でしょ!」
「……約束なんて、いつだって破られるものよ。覚えておきなさい! ただの、わたくしの媒介に過ぎない小娘が!」
「……煩い! そんなこと言うと、すぐ燃やしてやるんだから!」
「……今すぐ乗っ取ってやる!」
「……ま、ま、まだよ! あ、あたしはやることがあるのぉ!」
 少女の中に二つの人格があるようだ。本来の少女の人格と、ローブの人格の二つ。そして、今にも少女の人格は乗っ取られそうということ。
「犯人を知らないなら、あんた達全員殺してやる!」
 エンジ・カラカ は愉しそうに嗤う。栖夜・鞠亜 とアリア・ヴェルフォード はオブリビオンの気配をローブに感じて、敵意を強める。
 この戦いは楽ではないだろう。村長が壺から出てくれば殺される可能性が高い。神父はいざとなれば盾として使ってくるだろう。少女本人を狙えば、少女が傷つき、最終的に死んでしまうかもしれない。少女の着用しているローブだけを狙えれば、オブリビオンだけ倒せるだろう。どのような選択をするのも猟兵の自由だ。この物語の結末は猟兵の行動によって大きく変わる。猟兵よ、選択せよ!
リアナ・トラヴェリア
「私達は犯人を知っているかもしれないし、知らないかもしれないよ?
「その服を壊すのを手伝ってくれたら調べてきた事をあなたにも教えるよ

とりあえず相手の攻撃を武器で受けながら言葉で揺さぶってみるね。

「あなたのお母さんは神父さんを殺したいって言っていたの?
「じゃあなんて言っていたの?

「少なくとも真犯人を見つけるならそのローブは邪魔だから、脱ぐのは手伝ってあげる。だから私達に協力して、ね?

武器に炎を乗せてローブだけ狙ってみるよ。
これの経緯も気になるけど。

「事件を追って知ったんだけど、あなたのお母さんは色んな人に慕われてたよ。その娘のあなたが誰かを殺してしまったらその事を汚しちゃうんじゃないかな?


栖夜・鞠亜
まりあは闖入者だから、どうするかは周りに任せる。


ローブのオブリビオン? 珍しいけど、もしかして誰かに着てもらわないと何もできない、とか? まさかね。

まりあは銃を使うから、ローブだけ狙うの難しい。
近づいてはぎ取るのも、危険そう。
少し距離置いて、銃にユーベルコードの炸裂弾を装填。
大鎌を振りかぶって刃が床に突き刺さった時か大振りで隙があった時、狙う
属性攻撃駆使した魔法で床と大鎌をまとめて凍らせて一時的に止める
そこをすかさず炸裂弾で狙撃。
大鎌を破壊か、衝撃で少女の手から離れればいい、けど。


カナカナ・リッタリア
ローブを狙いオブリビオンのみを倒し、娘さんを説得したいな
村長を壺から出すのはその後だ
どうか少しでも良い結末を迎えられるよう【祈り】を

戦闘:サポートメイン
【七つの薔薇の抱擁】で少女の動きを止めて、ローブを狙いやすくしたい
傷ついた仲間がいれば【生まれながらの光】で癒すよ
神父から少女を引き離せるようにできれば彼の傷も即座に癒そう
攻撃は他の皆に任せるから、治療に全力を尽くすよ

魔女は…君のお母さんはきっと
悲劇を起こさない為にそのローブを保管していたんだろう?
なら今の君を見たら悲しむんじゃないかな

優しい魔女の、その娘さんなら
きっと分かってくれると思うんだ


アリア・ヴェルフォード
少女ごとローブを斬り裂くなら簡単ですが…まだ少女が死ぬほど大罪を働いた訳でもないと思いますし!
私細々としたの苦手なのでローブは他の猟兵に任せましょうか!
私は皆さんの補佐に回りましょうかね!

【WIZ】
『混沌閃光』による光属性の魔法の槍で生み出される眷属を一掃して猟兵の皆さんとローブへの道を切り開きましょう!

そして私は神父の奪還を優先しましょうか!
【残像】で自分の位置を誤認させつつ神父へ接近、【怪力】で回収して【ダッシュ】で離れましょう
離れたら【祈り】で神父の怪我を癒やし、その後は再び『混沌閃光』で皆さんの援護に回ります!

(アドリブ・共闘歓迎です


絢辻・幽子
楽しそうな事になっていますね?

あら。咎人殺しの私よりやり方がえぐいですねぇ、あなた
好きですよそういうの。

なぁんて。お道化てる場合ではない感じでしょうか
とりあえず、ローブが悪い子?
……どうやらあんまり燃やされたくないご様子
なら、燃やしてあげますね
足元から、じわじわと

できるだけ少女に熱さが行かないように
お人形さんでローブを捕まえて、引っ張れるとよいのですけど
熱いなら脱いでくださいね
それにこれ、あなたのお母さんのモノなのに
ボロ雑巾みたいに燃やされていいんでしょうか?

……ですが、眷属が邪魔ね
私の糸はお人形さん用だけじゃないので
そちらで、お前らの首を狙ってあげましょうね。

神父を盾に使うようなら火を消す


エンジ・カラカ
どう戦うのか最適解か――
ローブを何とかするのが良いだろうか。でも……
アァ……どんな戦いかたをしようが
敵サンの攻撃を封じるまで。壺は守りきれよ。

先制攻撃で少女自身を封じるために息を潜めて背後に回る
少女を傷付けないようにあくまで動きを封じる程度。
神父がでしゃばってくるならそっちも封じないとなァ

辰砂、辰砂、今回ばかりは気をつけてくれ
代わりにこの血をくれてやるからあいつらは傷付けないようになァ……
左手の薬指の傷口を噛み、血を賢い君に分け与える。
ホーラ、封じている間にローブを何とかしてくれよ

敵サンの攻撃には見切りを、そして近付きすぎないようにしておく


ルベル・ノウフィル
アレンジ・アドリブ・連携歓迎
WIZ 星守の杯

被害が最小限でありますよう祈りをこめ
癒しの技で皆様を支援いたしましょう

範囲を最大限としまして、金平糖は人命の救助のため、そして戦う仲間の方々のために

あわせてリザレクトオブリビオンで騎士と蛇竜を召喚し、護るべき命のため身を差し出す盾といたしましょう
彼らは死者でございます
崩れてもまた呼ぶことがかないます

しかし、失われればもう戻らぬ生命もあるのです
僕はそれを、知っているのです

だから、守りたい
そう思うのでございます

とシリアスしつつ、攻撃の矛先が自分に向いたら尻尾をまるめてキャンキャン言いながら逃げ回り
「み、皆様! ご無事ですか! あとは、お任せしまし……」


五條・桜花
真の姿:白い翼が生え、キラキラと煌めく桜吹雪をまとっている

なるほど、少女一人が行うには、と思いましたがまさかそうだったということですか
村長さんを壺に隠していただけたのは本当に幸いでしたね

ローブのみを倒すように動きたいのですがどうすれば
……私のユベールコードは確か「指定した対象」を攻撃できるはず
普段なら調整難しいかもしれませんが真なる姿の私ならば!
我が桜よ、彼女の身にまといし衣のみを切り刻め!
一人では難しくても皆さまの力を合わせれば
死んでいなければ私のユベールコード【桜の祈り】で回復かもしくは【医術】で癒します
もしも服毒しそうでも【毒使い】で解毒して見せましょう

死で償わせるなんて甘いと思うのです



 リアナ・トラヴェリアの紅い瞳は、魔女の娘の瞳をまっすぐに捉える。
「私達は犯人を知っているかもしれないし、知らないかもしれないよ?」
「知ってるなら、教えなさいよ!」
「その服を壊すのを手伝ってくれたら調べてきた事をあなたにも教えるよ」
「それは……できない……。絶対あたしの手で復讐しなきゃいけないんだから! 教えてくれないなら、力ずくで聞くだけよ!」
 少女は大鎌を回転させる。それをリアナは黒剣で受け止めながら、悲しい瞳を浮かべる。復讐など何も生み出さないというのに。それでも、言葉を連ねる。少女が思いとどまってくれることを祈って。
「あなたのお母さんは神父さんを殺したいって言っていたの?」
「そんなこと一回だって言わなかった! いつも仕方ない人ね、って言ってた。だけど、あたし知ってるもん。お母さんが夜中に一人で泣いてたの!」
 その会話と剣戟の隙にアリア・ヴェルフォードは神父へと接近を計る。風のように疾走し、神父を担ぎ上げ、猟兵達の元へと戻ろうとする。それに少女が気がついて、神父ごとアリアを切り裂く。だが、それは残像。瞬足で猟兵達のところまで神父を連れていくことにアリアは成功した後だった。
「どこを斬ってるんですか? 私なら、ここですよ」
「なによ! あんた! そいつは、あたし達の玩具なのに!」
そこへリアナが口を開く。
「少なくとも真犯人を見つけるならそのローブは邪魔だから、脱ぐのは手伝ってあげる。だから私達に協力して、ね?」
 アリアに気を取られている隙を縫って、リアナの黒剣が焔を纏って鉤爪状に変形し、少女のローブだけを貫き、灼く。少女は呻き苦しみながら、大鎌を滅茶苦茶に振るう。
「……うぅ……! それだけはできない。ローブさんがいないと、あたし復讐する力なんてないもん……。……うぁああ!」
 そのとき、ずっと隙を狙っていた栖夜・鞠亜の凍結魔法が少女の手足を縛る。
「吹き飛べ」
 そして、間をおかずに炸裂弾が大鎌に命中する。鞠亜の狙い通り、大鎌が大破する。鞠亜は冷静だった。銃でローブのみを狙うのは難しい。かといって、武器が銃メインの鞠亜にとって、力ずくでローブを脱がすのも難しい。それ故の大鎌狙いだった。狙撃銃に炸裂弾を装着し、じっとスコープを覗きながら、時を待っていたのだ。たった一発の銃弾に願いを込めて。
 鞠亜には、これまでの事情はよく分からない。だから、少女の生殺与奪の権利なんて、自分にはないと思っている。ただ、鞠亜にあるのは、純然たるオブリビオンへの憎しみだけ。ただ今回のオブリビオンに対しては少し疑問に思う。
(ローブのオブリビオン?  珍しいけど、もしかして誰かに着てもらわないと何もできない、とか?  まさかね)

 神父の状態は酷いものだった。カナカナ・リッタリアは眉をしかめながら、床に落ちていた腕と足を神父の手足と繋げるようにして聖なる光を当て続ける。少しでも、少女の罪が減るように。少しでも、この物語の結末がハッピーエンドへ近づくように。祈り続ける。ルベル・ノウフィルも癒やしの力を宿す金平糖を降らし神父へと食べさせる。カナカナとルベルの力で神父の手足は、なんとか繋がり、神父は命の危機を脱した。ただ精神までは上手くいかない。
「……ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」
 神父はただただ少女を見て怯え、謝り続けるのだった。

「……やっぱり小娘なんかに任せておけないわ」
 少女の瞳が虚ろになり、口調が変わる。少女の人格がローブの人格に乗っ取られたのだ。
「我が眷属よ、顕現せよ!」
 ローブは眷属を呼ぶ。その数、約二百。鐘の間から、はみ出す程にびっしりと。眷属達は猟兵達の足を縛り、攻撃を仕掛ける。
「杯を逆さに、高虚より降り注ぐは夢の星粒」
 空から金平糖が降ってくる。甘い香りが漂ったかと思うと身体が癒えていく。ルベルだ。さらに猟兵達を護るために、死霊騎士と死霊蛇竜を召喚する。死者への冒涜であろうとも、失えば決して取り戻せない生命を護るため、何度でも呼び出す。それはルベルに護れなかった生命があったが故に。同じ哀しみは決して繰り返さない。その決意を胸にルベルは生命を必ず護り抜く。
「……ぼ、僕も守って下さいね!! ……た、高いところは何処でございますか? ……う、う、もう、ここ自体が凄く高いじゃないですか?! もしかして、落ちたら真っ逆様でございます?! まだ死にたくないです! 誰か助けて! (ノTДT)ノ」

 場面は変わって、アリアは白手袋を投げる。それは決闘の合図。少女を乗っ取ったローブは不敵に嗤い、それを受け取る。
「一体一の決闘かしら。わたくし、そういうの嫌いじゃないわ」
「どうとっても構わないよ」
 手にした聖剣の切っ先を少女を乗っ取ったローブの目に向けて構える。正眼の構えだ。
「集え聖光! カオス・レイ!」
 そして、少女を乗っ取ったローブに向かって光の槍を放った。それは、眷属達を貫き、少女への道をつくる。白手袋は注目をローブを守る眷属から離れさせるためのブラフだったのだ。少女ごとローブを剣で切り裂くことはそう難しいことではない。だが、アリアはそれを選ばなかった。少女を殺さなければならないほど、少女の罪が重罪だとは思わなかったからだ。少女は既に大人二人を殺し、神父を嬲り殺そうとしたが、生きていれば、何かしら罪は犯すものだ。罪の大小は勿論あるが。アリアにとって、死んでもいい重罪は食べ物を粗末にすることぐらいだ。食べられるなら、オブリビオンも良いオブリビオンだ。

 アリアの聖剣が道を切り開いた瞬間、五條・桜花は真の姿を顕現する。その背からは白い翼が生え、煌めく桜吹雪がその身を護るかのように桜花の周りを駆け廻る。
「我が桜よ、彼女の身にまといし衣のみを切り刻め!」
 桜花の聖痕が、魔導書が、ベールが、桜の花弁となり、ローブだけを包み込み、浄化する。それは、桜花の強い意志。少女だけでできる犯行ではなかったのだ。それはローブが唆したものに違いなかった。そして、少女を生かして罪を償わせるのが桜花の出した答え。
「ぎゃあああああああ! わたくしを、わたくしを、誰だと思ってますの!」
 少女は醜い叫び声をあげた後、がくりと首を傾げた。そして、ゆっくり見渡す。
「お母さんを殺したのは誰……?」
 少女はローブの人格から解放されたようだった。

 桜花の攻撃により生まれた隙をついて、エンジ・カラカは辰砂を己の血で操り、手枷と拘束ロープで少女から言葉と動きを封じる。エンジは最初から密かに少女の背後に忍び寄り、時を待っていたのだ。大鎌はよく観察して避け続けて。そして、時が来た瞬間、小指の傷を噛みきって辰砂に祈りと願いをかけて、少女へと放ったのだ。エンジは少女を救いたい。エンジには、どれが最適解か、なんて分からない。だけど、このままでいいなんて思わない。どうするかは後で考えればいい。そんなことより、命は、命だけは、護らなければならない。生きていれば楽しいことはあるものだ。どんな絶望に陥ったとしても、だ。ローブという牢獄から少女を救って、少女と笑いたい。
「ホーラ、封じている間にローブを何とかしてくれよ」

 エンジが少女の動きを封じたのとほぼ同時に、カナカナの両手に乗った虹色に輝く種が急激に芽吹き、茨が少女を拘束する。その茨からは薔薇が咲き誇り薔薇の園へと変化する。それはカナカナが着る真っ赤な薔薇のドレスのように。
「魔女は……君のお母さんは、きっと悲劇を起こさない為にそのローブを保管していたんだろう? なら今の君を見たら悲しむんじゃないかな」
 少女は目を見開く。カナカナの言葉に合わせるように、リアナが少女に呼びかける。
「事件を追って知ったんだけど、あなたのお母さんは色んな人に慕われてたよ。その娘のあなたが誰かを殺してしまったら、その事を汚しちゃうんじゃないかな?」
 絢辻・幽子の人形が、少女が火傷を負わないよう、ローブを少女から引き離す。そのローブを桜花が桜吹雪で浄化し、リアナは焔を纏う黒剣をローブに刺し、幽子がローブに十七個全ての狐火を集中させて、燃やす。
「あなたのお母さんのモノなのに、ボロ雑巾みたいに燃やされていいんでしょうか?」
 少女は口枷をされているために、燃えていくローブを見て、ただ悲しそうに泣くだけだ。幽子は嗤う。咎人殺しだって真っ青な拷問を神父にあんなに愉しげにしていたというのに。ローブを取り上げられただけで、まるでただの子供だ。神父への拷問なんて、幽子の好みぴったりだというのに。ローブは燃やされたくない様子だったから、轟々と燃やしてやったのだ。なんと痛快なことだろう。ざまあみろだ。クマの残る幽霊のような姿でひっそりと嗤う。黒いドレスをくるりと回して踊り出したいような気分だ。
 燃えるローブの上に青白い霊体のようなモノが現れる。
「……よくも、わたくしの怨念が籠もった、わたくしの美しい黒髪で作ったローブを、よくも、よくも燃やしてくれましたわね! 必ず、必ず、同朋が貴方達を殺してくれますわ! 必ず、必ず! みてなさい……!」
 霊体のようなモノはそのまま叫び声と共に消えていった。ローブはその残滓すら残っていない。

 ローブが消え失せたので、枷や茨を外して少女を出してやる。少女は気を失って真っ青な顔をしている。ここ、2、3日、オブリビオンと精神を乗っ取られるかどうかのせめぎ合いを続けていたのだから、無理もない。桜花が診察したところ、瀕死状態だった。桜花は死んで罪を償うなんて甘いと思っている。たとえ、ローブに唆されていたとしても、罪は罪だ。桜花は、煌めく桜の花びらの幻影を落とし、カナカナは聖なる光を当て、ルベルは癒やしの金平糖を降らし、少女に食べさせる。少女の顔色は徐々によくなって、移動させても問題ない状態まで回復した。

 少女を担いで、苦労して登った時計台を皆で注意しながら降りていく。そして、自宅に寝かせてやった。
 そして、少女が目覚めたとき、ベッドの傍らには心配した顔の猟兵達が居並んでいた。
「……あの……ごめんなさい……。それから、助けてくれてありがとうございます……。うっすらだけど、暖かい光、覚えてます」
 桜花が釘を刺す。
「必ず生きて罪を償いなさい。それが死ぬことより辛くても」
「……はい、必ず」

 村長は少女が起きたという知らせを聞いて駆けつけ、すぐさま額を地面に擦らんばかりに頭を下げた。
「俺がお母さんを殺したんだ。どれだけ詫びればいいか、分からない。それだけの事はしたという自覚はある。死ねと言われれば、死んだっていい!」
 少女は村長を平手打ちする。
「本当は殺したい! だけど、死ぬより生き続けて罪を償う方がもっと辛いって教えてもらったから、生きて、あたしの罪を償う手伝いをして! あたし、お母さんみたいにみんなを助ける魔女になるから! それがあたしの罪の償い方!」
 最初は少女の薬を信じてくれる人は、いないかもしれない。でも、きっと、いい薬を作り、皆に慕われる魔女になれるだろう、母親のように。

——後日、リアナは魔女の娘を訪ねた。気になることがあったからだ。
「あのローブは一体どこから手にいれたの?」
「うーん、あたしもお母さんから伝え聞いた話だけど」
 
そう前置きされた話を要約すると、危険なヴァンパイアの森に綺麗な薔薇が咲いていて、それを取りに行った男の子があのローブを被って帰ってきたらしい。ローブを被ると変な声がするというので、魔女に預けられたようだ。ローブを渡したのは大人の女の人らしいが、何者なのだろうか。しかも、その人は女の子にあげるよう伝えたらしいが。村人達はそれをヴァンパイアだと信じきってヴァンパイアからもらったローブなんて禁忌のモノに違いないと口々に言っていたらしい。
 まだ、この事件は終わってないのかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月10日


挿絵イラスト