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エンパイアウォー㉛～沈没船引き上げ作業員募集～

作者：ナイン高橋

●沈没船引き上げ作業募集の項目
「皆さん！お宝引き上げをしてガッポガッポ儲けましょう！」
　そうなかなり残念そうな事を言って君達を迎えたのはシェーン・キララ（"伝説の勇者の剣"のヤドリガミ・f18023）だった。
「大悪災『日野富子』が金にモノを言わせて建造していた『超巨大鉄甲船』の大船団は皆さんのお陰で全て撃破できました」
　オブリビオンを乗せた巨大な船を猟兵達が撃破。
　それによって幕府の南海道方面軍を守り通す事が出来たのだ。
「で、この船なんですが……鹵獲しましょう！」
　猟兵達によって粉砕破壊された『超巨大鉄甲船』ではあるが……そこは金に糸目を付けずに最高峰の船を用意しただけあり、まだまだ使える所は残っている。
　日野富子の巨万の私財によって建造された巨大鉄甲船はこのサムライエンパイアでは破格の性能だ。
　再利用できれば、戦後のサムライエンパイアにとって、大きな利益となる。
「ただし、時間がありません」
　潮が引いたタイミングのみ、引き上げが可能になるが……残念ながら今からテレポートしても作業できるのは1~2時間が限度という所だ。
　それ以降は潮が満ち、船の残骸を攫っていき海の藻屑となるだろう。
「残念ながら、通常のお侍さん方では引き上げ作業を十分にこなす事は難しそうです」
　しかし猟兵であれば、話は別である。
「皆さんのユーベルコードや技能を駆使して、海に沈んだ巨大鉄甲船を引き揚げてください！」
　お宝とは船の事だったのだ！
「もし引き上げる事が出来れば、きっと商船や軍船として再利用したり、外洋船に改修して冒険の旅に出る事が出来るかもしれません……海の向こうには私を引き抜く事が出来る人がいるかもしれませんしね！」
　引き上げ船の修復や使い道などは、引き上げる事が出来た隻数に応じて、幕府などが協議して決定する事になる。
　今回の依頼ではとにかく短い時間の内に、超巨大な鉄鋼船の引き上げ作業を如何に行うかを考えて欲しい。
「財は一代の宝と言います。この機を逃しては、チャンスは来ません。皆さんが頼りです。頑張ってください」
　そうしてヤドリガミの少女は猟兵を送り出すのだった。

第1章 冒険 『巨大鉄甲船引き上げ作戦』

POW   :    重量のある船体部分などを中心に、力任せで引き上げる SPD   :    海底を探索し、飛び散った価値のある破片などを探し出して引き上げる WIZ   :    海底の状況や海流なども計算し、最適な引き上げ計画を立てて実行する 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

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「……アーク・ハインド海賊団、今回の任務はあの船の死を略奪することっす」
　アーク・ハインド（沈没船・f03433）はユーベルコードによって呼び出した勝ての海賊船の船乗り達の霊に号令をかける。
（正直、戦争には興味がなかった、敵の舟にも興味はなかった、でも……これは、見捨てられない。自分と同じ末路をたどる船は少なければ少ないほどいい）
　此度の戦で破壊、沈没した巨大鉄甲船。
　このまま潮が満ちていけば、この船は海の藻屑となって朽ち果てるのみだろう。
　かつて海にその身を沈めたガレオン船のヤドリガミであるアーク。かつての乗組員の海賊の衣装を身に纏う彼女が、沈みゆく船をそのまま放っておけるはずもなかった。
「野郎共っ！作業開始っすよ！」
　召喚された船員達はアークの声に散り、各々の作業を開始する。
「任務、鉄鋼船の引き揚げ。任務了解だよ」
　唐草・魅華音（戦場の咲き響く華・f03360）もまた巨大鉄甲船の引き上げ作業に協力する。
　その場でぱっと服を脱ぐと肌も眩しい水着姿になって水中にドボン。
「持ち上げるには力が最も必要だけれど、力の使いどころが悪ければ効率は悪くなる……まずは調査」
　ユーベルコード：深識長慮の流法によって展開したドローンと共に船体の状況状態を解析していく。
　そしてその情報をアークの呼び出した船員達にも伝えていき、情報を共有する。
　船員達は流石は海の男達であり船長の幽霊を筆頭に海流や船の修繕のし易さも含めた引き上げ作業計画がなされていく。
「あんたはまだ海を走れるっす、絶対走れるようにしてやるっす。だから、絶対あきらめるんじゃないっすよ……！」
　アークもまた船員達に混ざり一心不乱に引き上げ作業を手伝っていく。
「このポイントを動かすよ。お願いマメット」
　船の底の部分で魅華音は共生している愉快な仲間の豆の木『マメット』を取り出して、その伸縮吸着性をもって持ち上げの主軸としようとする。
　ぎゅるるるると見る見る内に伸びていき巻き付くマメットは沈没した鉄鋼船を覆って陸地に居る船員達に引っ張られていく。
「でも、こんなに力づくでいいの？壊れない？」
「脆い所は壊れるっす。……でもいいんすよ。大部分が残っていればあとで修繕出来るっすから」
「そう……マメット、サボるな」
　二人の猟兵の活躍によって巨大鉄鋼船の引き上げ作業及び修繕作業は着々と進んでいく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

●
　勿論、先の二人以外の猟兵もこの引き上げ作業には参加している。
「……時間は有限……手早く……迅速に」
　電脳魔術士、中村・裕美（捻じくれクラッカー・f01705）はなんと沈んでる船を、海中でそのまま修繕してしまおうという逆転過ぎる発想できた。
「……潮が満ちても……沈まなきゃ大丈夫……でしょう」
　海賊船員達やドローンの集めた情報や修繕作業のデータをインプットすると、ユーベルコードを起動。
「……あとは……現実の船に……このデータを上書きする」
　リアリティハッキングで現実世界の船に電脳魔術でアクセス。
　修繕後のデータを重ねていっていく……が。
「水が入ったままじゃ沈んだままだ！」
「……はっ！？」
　船とは浮力で浮かすのだが、既に沈んでいる船には内部に海水がたっぷり侵入してしまっている。
　そのまま直しても浮くかどうかはまた別問題なのだ。
「いやぁ、村上水軍と戦ってる最中はまったく壊れる素振りを見せなかったのに意外と脆かったんだね、この船」
　そこへ現れたのは妖精のフルム・サーブル（森林の妖精さん・f03354）である。
　体長約30cm。森と花々を始めとする美しいものが大好きで、儚い存在……との自称だが、海賊船員数人がかりで運んでいた部品を一人でひょいともって飛んでいく。
　そう、フルムは超超パワー型ファイター！
「妖精さん大金星で大物を狙うから、僕が持ってもなるべく壊れないように鎖で結んできてくれないか？」
「はいよ。フルムが引き上げやすいように鎖で縛るか」
　一緒に来たのはミロ・バンドール（ダンピールの咎人殺し・f10015）である。
　ミロが得意とするのはパワー系ではないとの事で、鎖を取り出すとジャラジャラジャラジャラ……と只管武器改造しながら伸ばしていく。
　そのままユーベルコードを起動してロープワークや罠使いの技能を一気に引き上げると、海にどぼん。
　海中で伸ばした鎖をぐりんぐりんと沈没した鉄鋼船に縛り付けていく。
「頑張ってー」
「……いやあの、誰でも出来るような括り付け作業は手伝ってくれて構わないんだぞ……？」
　フルムが陸地から部品運びを手伝いながらもミロを応援するが、ミロはどうにも巨大な船相手に悪戦苦闘。
「僕みたいなか弱い妖精が、そんな荒波の中にいったら流されてしまうだろう？」
「そのか弱い妖精がこの船引き上げるんだろうが」
　軽口を叩き合いながらもなんとか鎖の配置を完了する。ミロ。
　船の構造データを予め集めていた裕美の電脳魔術による指示が効いたようだ。
「……海の中での修繕が出来なくても……やりようは……あるわ」
　裕美は集めたデータを展開して地上での補修作業を手伝ったり引き上げの際に補修補強したり何処に鎖を通していくべきかの指示を出したりと大忙しだった。
　ドラゴンエナジーを呑んで何とか披露を誤魔化して作業を続ける。
　この1~2時間が勝負なのだ。
「よし、フルム！引き上げてくれ！」
「任せたまえ！大きければ大きいほど、引き上げ甲斐があるというものだ」
　ここで遂にフルムのユーベルコードが起動される。
　裕美の指示でミロが伸ばした鎖を沈没した鉄鋼船に巻き付け、それを陸地のフルムが掴む。
　フルムのユーベルコード、それは自身と対象の大きさの差の分だけ、能力が上がるユーベルコード。
　体長30cmの妖精と、金にモノを言わせて作った鉄鋼船ではその大きさのサイズ差は非常に大きい。
「フン！ハァーっ！！！」
　フルムの恐るべき怪力によって鉄鋼船が一気に持ち上がっていく。
　しかしそんなに一気に力を加えてしまうとどうしても弊害は出てしまうもので。
「……とは言っても、やっぱり鎖が耐えられない所もあるか」
　バキバキと鎖や鎖を巻き付けた鉄鋼船側のパーツが軋みを上げたり弾けたりしているのを確認したミロは素早く補修に走る。
　裕美の電脳魔術によるサポートもあり、引き上げが不能になるような損害は出ないようにしていけた。
　陸地では海賊の幽霊船員達もフルムと一緒に鎖を引っ張ってる。
　そして見事。この場の鉄鋼船は一本釣りのようにして陸地に回収されたのだった。

「……とりあえず……１～２時間は寝かせて」
　色々無理をした猟兵がぶっ倒れる事にはなったが、無事に任務を完了したのだった。

【鉄鋼船、回収完了！】

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2019年08月26日