エンパイアウォー㉙~オペレーション ベイビーキル
●グリモアベース 作戦会議室
別段緊迫した状況でも、ましてや戦争は順調と言える状態だ。
そうだと言うのに、この男は笑っていない。
「さぁ、仕事の話を始めよう。始めに言っておくが、女は帰った方が良い。こいつは差別ではなく、忠告だ」
そして、それでも残った猟兵達に言う。
「お前達は正義という大義の元に、如何なる行為。その一切を後悔無く遂行する覚悟はあるか?」
しばしの沈黙の後、ユウキは躊躇無く続ける。
「お前達には母殺し。そして、子殺しの任を遂行してもらう。もちろん相手はオブリビオンだ……だが、お前達にその覚悟があるか?」
ただ、静かにユウキの顔を見た猟兵達を見て、ユウキは詳しい概要を語り始める。
「奥羽地方……あの場所で、安倍晴明が拠点としていた研究施設が発見された。発見した時には既にもぬけの殻。だが、慌てて撤退したのか、そこで行われていた研究の資料が断片的に発見されたらしい」
その研究というのが……【偽神降臨の邪法】。
「人為的にオブリビオン……いや、オブリビオンフォーミュラを産み出す研究だ。方法は至って単純。母体に適したオブリビオンに、魔軍将及びクソコンキスタドールが持ち込んだ神の力を注ぎ母体に神の子を孕ませる……孕ませられたのがオブリビオンだという事が唯一の救いか。これがもし人間や……或いは万一、何かの拍子に捕縛された猟兵に施されたと思うと反吐が出る」
ふと「まぁ、猟兵が捕縛されるなどまずあり得ないが」などと笑うその眼は真剣そのものだ。
「もちろん、それが成功したとして、オブリビオンフォーミュラが生まれる確率は高いとは言えないだろう。そんな簡単にオブリビオンフォーミュラが生まれるなら、今頃UDCやダークセイバー辺りは猟兵の手に負えなくなっている筈だ」
少し黙って、話が逸れた。と話題を元に戻すユウキ。
「資料から、何体かのオブリビオンに対し、儀式を行った事が判明しており、その内の一体が発見されている。それが……いや、その母体と中身の胎児が今回の撃破目標だ」
そう言って、発見されたオブリビオンの資料を見せてくる。
そこに写るオブリビオンは……。
「言っとくが、見た目だけだ。見た目は餓鬼でも、中身はこの儀式に選ばれるほどの強力な悪鬼。そして、この孕まされた胎児を【至高の存在】孕まされたことを【最上級の名誉】と捉え、この胎児を産む事を最優先に行動しようとするだろう。戦闘よりも、退避を優先する筈だ」
少し長い間を置くと、ゆっくりと息を吸うユウキ。
「間違っても情けなど掛けるな。どんな手を使おうと、腹の餓鬼は確実に殺せ。それが最優先目標だ」
それだけ言って、ゲートを開く。
「赤子殺し作戦(オペレーション ベイビーキル)の開始を宣言する。各員解散。」
そしてユウキは、猟兵達を送り出す。
ユウキ
胸糞展開ですね。大好物です\(^q^)。
そんな訳で皆さんには、晴明の研究成果の隠滅を依頼します。
場所は判明しているので、探す必要はありません。
容赦無く倒してください。
今回は……優しさは仇になりますよ?
それでは詳しい説明などはマスターページにて!
「それでは皆さん、良い狩りを……」
第1章 ボス戦
『『無邪気な封魂鬼鏡』鏡輝』
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POW : 暴力は、いけないんだよ!
【生命力を奪う双眸からの純粋な視線】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD : もっとあたしとお話ししようよ!
【敵である事を疑う程の無邪気な言動と共に】【照らした者の生命力を強力に奪う手鏡の光と】【捉えた者の生命力を奪う双眸からの視線】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ : ずうっと鏡輝と「お友達」でいましょ?
小さな【手鏡へ、一気に生命力を奪う鏡から放つ妖光】に触れた抵抗しない対象を吸い込む。中はユーベルコード製の【既に魂の「お友達」を幽閉する一面鏡の部屋】で、いつでも外に出られる。
イラスト:るひの
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「渡辺・紅牙」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
大神・零児
母子殺しをやれと
了解した
猟兵になる前
最初に転移した場所
ダークセイヴァーで見せ付けられた光景を『この手で』
(銀河帝国攻略戦⑬~いつかみた悪夢を越えて:この内容です)
風上からマルチギア機能を駆使し追跡しながらマルチグレネードをばら撒きゴーストウルフ49体も使いながら逃走経路を制限しつつ追い詰める
グレネード種類
催涙
光を吸収する煙幕
金属片混入
炸裂弾
電気プラズマ
ナパーム
毒ガス各種
追い詰めたらゴーストウルフ残り一体を敵の胎内に出現させ内と外から焼きながら炎の全てを合体させてフェンリルに
戦闘知識・恐怖を与える・第六感・地形の利用・情報収集・見切り・範囲攻撃・マヒ攻撃・属性攻撃・毒使い・メカニック・ダッシュ
●人狼の記憶。
その仕事を聞いて、男はただ淡々と答えた。
「母子殺しをやれと⋯⋯了解した」
相手はオブリビオン。
何も気にすることなど無い。
⋯だが一瞬、古い記憶が蘇った。
ダークセイヴァーの村⋯訳も分からず転移した先で、こんな魔獣と変わらない姿の自分を暖かく迎えてくれた村人たち。
⋯でも、みんな死んだ。
そう言えば、目の前で腹を食い破られた女が居た。
⋯そうだ。そうしてやろう。
あいつらにも⋯彼女の苦しみを味わわせてやる。
大神・零児の心に、何か黒い物が溢れ始めた。
だが⋯彼はそれを理解しているだろうか⋯?
● 母殺し 薄暗い狂気。
なんと名誉なことか。
自分の中には、新たな神が宿っている。
愛しい我が子。
我らオブリビオンの未来⋯いや、過去を背負った愛しき神童。
この子を⋯神を産まねばならぬ。
私はその為に⋯
「産ませると思うか?」
どこからか聞こえた男の声。
女は構わずに逃げる。
戦えば腹を傷つけられるかもしれない。
愛しき神⋯我が子を⋯
どこからか聞こえる破裂音。
風上から風に乗ってやって来る煙を吸えば、のどに焼けるような痛みが走った。
――毒!?――
黒い煙が辺りを覆い、数m先の道すら見えなくなった。
⋯やみくもに走る。
息が苦しい。
だが、下手にこのガスを吸えば、我らが神に⋯
後ろから迫る足音に振り返れば、ちらちらと光る何かがこちらを追ってきている⋯
捕まれば死ぬ。
いや⋯私が死ぬのならば構わない。
この子だけは⋯何としてでも⋯!!
「捕まえた⋯⋯」
突如現れた人狼は少女の髪を掴み吊し上げ、その腹を睨む。
「やめて! この子だけは⋯お願いします⋯この子だけは!!」
悲痛なオブリビオンのなりふり構わぬ懇願も、今の彼には届かない。
いや、むしろ心地良い囀りでしかなかった。
腹に手を当て、後ろから追わせていた狼と同じものを生み出そうとする。
オブリビオンの腹の中に⋯⋯
零児の顔には、恐ろしい笑顔が張り付き、いつの間にか追い付いてきた狼たちが。そんな彼らを見つめていた。
⋯早くそのオブリビオンを⋯餌をよこせ⋯⋯
そんな声が聞こえた気がして、オブリビオンは滅茶苦茶に手鏡を振り回して抵抗する。
「⋯ッ!?」
その手鏡が零児の牙にあたり、とっさの痛みにオブリビオンから手を放してしまう。
再び逃げるオブリビオン。
追い立てる焔の狼に食いつかれようと、それを必死に振り払いながら逃げていく。
そんなオブリビオンの少女を眺めながら、
零児の口元には縫い付けられたかのような笑みがこべりついていた⋯⋯⋯⋯
成功
🔵🔵🔴
レイチェル・エルダン
エンパイアに来るのは初めてですが…なかなかの外法があるものですわね
女は帰った方が?身重の女性が敵…との事、遣り難かろうとのご配慮に一応感謝しましてよ
おそらく男の方の方がこういう敵にはナイーブなのでしょう
身重でも子供でも敵に違いありませんわ
戦闘は未熟ですが私も戦氏族の娘、敵を前に容赦致しません
たとえ聖痕が敵の痛みを感知したとしても【覚悟】
敵を見つけ次第、初手+近接するまでUCで攻撃し
黒剣を槍へと変化させつつ接近し串刺し、なぎ払い、咄嗟の一撃を組み合わせ腹か足を狙う
私の技量で倒れる敵ではありませんが
せめて纏いつき敵をこの場に留めます
しかしあの手鏡には触れぬよう注意
ご存じ?猟兵は貴女方より残酷ですの
● 猟兵として 葛藤と決意
転移してきた先で、レイチェル・エルダンは呟く。
「なかなかの外法があるものですわね⋯」
サムライエンパイアに来るのは初めてではあるが、やはりこの世界もオブリビオンに脅かされているのだということを痛感する。
しかし、あのグリモア猟兵の「女は帰れ」といった気遣いには一応感謝しておこう。
邪法の内容を考えれば、こういう依頼には男の方が向いているというのも分からない話でもない。
「ですが⋯身重でも子供でも敵に違いありませんわ⋯⋯ご存じ? 猟兵は貴女方より残酷ですの」
そう言って、目の前にいる少女に語り掛けた。
服が所々焦げ付いているのは、おそらくすでに他の猟兵と戦ったのだろう。
「⋯お願い⋯⋯見逃して⋯この子を⋯殺さないで⋯⋯」
少女はそう言いながら涙ぐんだ眼でレイチェルを見る。
「この子が生まれたら⋯⋯私はどうなってもいいから⋯お願いします⋯おねがい⋯⋯⋯⋯」
聖痕がズキズキと痛む。
植え付けられた感情⋯⋯邪法で孕まされた我が子でも、この少女の我が子を想う心は本物だということだろうか?
決意が揺らぎそうになるのをグッとこらえた。
⋯⋯それでも逃がすわけにはいかない。
「其の魔、蒼白きはぐれ星の紋を通り、ここへ!」
右腕を突き出し、これ以上決意が揺らぐ前にと攻撃を開始する。
瞬間的に形成された魔法陣から眩い彗星の如き光弾が放たれ、オブリビオンを襲った。
突然の攻撃に驚き、避けることも出来なかったオブリビオンは、せめて腹の子だけは守ろうと、その可愛らしい顔が傷つくことも構わず両の手で腹をかばう。
「ユニコルヌスッ!!」
レイチェルの攻撃は、オブリビオンを傷付けはするものの、致命傷となるような威力ではなかった。
だがそもそも、レイチェルは自身の技量でとどめを刺せる相手だとは思っていない。
だがせめて、その腹の子供だけでも刺殺させてもらう。
槍へと変形したユニコルヌスを左腕に掴み、光弾を放ちながら少女へと接近する。
「はぁッ!!」
渾身の刺突。
狙うは腹部。
突き出された穂先は、ぎりぎりで回避した少女の左腹部を抉り、少女の腹が裂ける。
咄嗟に少女がかざした手鏡の妖光を避け、再び少女の居た位置を睨むと、少女は忽然と姿を消していた。
「⋯逃がしてしまいましたか⋯⋯」
だが、落胆する反面、レイチェルは自身の中に安堵の感情が湧いてくるのを感じる。
たとえオブリビオンでも、無辜の赤子に手を掛けずに済んだ⋯と。
成功
🔵🔵🔴
鹿村・トーゴ
いやー晴明て奴ァホント鬼畜だよ、いけ好けねー
あの手合いにヒトの情けは期待しねーがそれ利用する知識はある訳だろ
感情の制御は苦手だがまあ出来るぜ
「あれは故郷の禍の種、幼母子と思わず屠るべし」
って任務なんだしなー
身篭った母親ってのは否応なく子に全てを与えちまう
標的はそれに理由付けまでして狂信してるんだろ
フツーに考えて手強くて厄介
過去は同族か…とか諸々情を挟むとこっちが殺されるな
【追跡/暗殺/忍び足/投擲/だまし討ち/念動力】
目視をなるべく避け物陰・背後からの攻撃を
囮ではあるが全力に近い勢いでのクナイ・手裏剣を投擲
最接近時にUC空嘴を叩き込む
こン時ばかしは敵の視線も気にしない
この一撃入れば御の字だ
● 同族狩り
安倍晴明の邪法。
それを聞いた鹿村・トーゴの顔に呆れたような笑顔が浮かぶ。
「いやー晴明て奴ァホント鬼畜だよ、いけ好けねー」
あの手合いに情など期待するべくもないが、それを利用する知識はあるわけだ。
⋯⋯⋯⋯実に厄介で、胸糞の悪い事この上ない。
とはいえ、こちらも感情の制御は苦手ではあるが、出来ないわけではない。
「⋯⋯あれは故郷の禍の種、幼母子と思わず屠るべし」
そう言ってトーゴは手に持つ暗器をじっと見つめた。
母親というものは強いものだ。
愛する我が子の為であれば、どんなものでも差し与えようとするだろう。
ましてや晴明の手によって理由付けまでして狂信していると来たものだ。
そして⋯
「いいや、やめだやめだ。」
過去は同族か…
そう思って芽生えかけた情を無理矢理振り払う。
情を挟めば、こちらが殺されてもおかしくはないほどに、相手は厄介な存在なのだ。
転移した先で、トーゴは目標の追跡を始めた。
対象を発見するのは容易だった。
ポタポタと不自然な血痕が延々と続き、それを追った先に彼女は居た。
何者かに切り裂かれた腹部を押さえ、止血しようと治療しているのが分かる。
暗器を投擲し、隙を窺うべきか。
或いは一気に接近し必殺の一撃を叩き込むべきか。
彼女は今、こちらには気づいていない。
暗器を投擲し、こちらの位置を知らせれば、彼女は必ず警戒するだろう。
であるならば、治療中の隙をついて一気に接近し、彼女のUCが発動する前に一撃を叩き込んで勝負を決めるしかない。
一気に飛び出し、少女との距離を詰めるトーゴ。
「貰⋯⋯ッ!?」
その瞬間、トーゴを視界に捉えた少女は言い放つ。
「近づかないで!!」
全身に激痛が走る。
それはあまりにも単純で簡単に守れるルールでありながら、すでに少女への接近を開始していたトーゴにとっては致命傷にすらなりうる攻撃だった。
そのまま倒れ込んだトーゴを見つめながら生命力を奪おうとする少女に、軋む身体にありったけの力を込めて暗器を投擲する!!
「キャッ!?」
短い悲鳴と共に左目を切り裂かれた少女が逃げ去っていくのを目で追いながら、トーゴの意識は遠のいていった。
苦戦
🔵🔴🔴
アリス・セカンドカラー
逃がすなってことなので、ワンダーラビリンスを展開☆罠使いで一定の条件を満たした上で正しいポイントを順番に辿らないと振り出しに戻される無限回廊トラップを、出口付近にも目立たないよう『振り出しに戻る』トラップを仕込んでおくわ。
この迷宮は私の精神世界なので触手トラップにまみれているというか迷宮が触手そのものですが私の頭は大丈夫です。
鏡輝ちゃんを大食いの貪欲さで徹底的に貪りながら薄い本みたいな酷い目にあわせるわ。触手で串刺しにしてトンネル掘りで激しく掻き回してあげる♡
大食いな念動力による盗み攻撃での生命力吸収で母体もろとも赤子をエナジードレインするわよ☆
さぁ、気持ちよーく逝かせてあ・げ・る♡
● やっぱり少女は自重しない。
目を切り裂かれた出血と痛みから来る涙で、上手く前が見えなかった。
やみくもに走った先で、何か柔らかいものにぶつかった少女はそのまま転倒する。
「な⋯に⋯⋯ひッ!?」
目の前に広がる光景に、少女は小さな悲鳴を上げた。
先程まで目の前にあった道は消え、目の前に広がる極彩色の蠢く肉の群れ。
まるで意思を持つかのように蠢くその群れが、眼前の空間に広がっていたのだ。
「お気に召したかしら?」
鈴を転がすような少女の声が背後から響き渡る。
振り返っても、そこには誰も居ない。
「あらあら、みんな早く貴女を食べたいって言ってるみたいよ♪」
再び、同じ声が響いたのは耳元だった。
舐めるようなねっとりとした音声に驚いた瞬間、何かに腕を掴まれ、その場に拘束される。
極彩色の肉塊⋯触手の群れが、幼い少女を縛り上げ、その肢体を舐め上げるように蠢いた。
「ふふふ⋯あなたもろとも⋯⋯あなたの中にいる赤ちゃんも⋯たっぷり搾り取ってア・ゲ・ル♪」
そんな声と共に迫りくる紫色の触手。
オブリビオンの少女は、全力で自身の手足を縛る触手を引き千切った!
「ウソ!?」
自身の精神世界。その中の触手が、いとも簡単に引き千切れる様を見て、アリス・セカンドカラーは驚きの声を上げた。
というか、精神世界までピンクなのだろうか、この少女は⋯
「私の頭は大丈夫です」
⋯さいですか。
迫る触手の群れを薙ぎ払いながら、駆け抜けていく少女。
かなりの高度を持つはずのそれをいとも簡単に破壊しながら駆け抜けていく様は、まさに鬼と言った所か。
「油断しちゃったかしら?」
そう言いながらも、アリスの口元は笑っていた。
苦戦
🔵🔴🔴
ニレ・スコラスチカ
不公平だとは思いませんか?
親は子を選べないと言います。
ですが、親は生まないことを選ぶことができる。
対して子は生まれるかどうかを選べない。境遇を選べない。オブリビオンであることすら……選べない。
わたしはその子を救います。生まれ落ちて罪を犯す前に。
散弾銃の照準を常に腹へと向けながら【追跡】します。これで敵は銃へ意識と防御を割く必要があるはずです。
【視力】を共有する生体拷問器を駆使して敵の視線と鏡の前に立たないように注意しつつ、【フェイント】と【カウンター】で隙を作り出し【磔刑】で拘束を。
…どれか一本でも当たれば磔です。【呪殺弾】を散弾銃に装填して発射。そして【傷口をえぐる】。
どうか、安らかなまま。
テリブル・カトラリー
子供が相手…か…
…必要なら殺る。オブリビオンなら、なおさらだ。
機関銃で弾幕を張り、マズルフラッシュで敵の視界を遮り、
ブーストで自身を吹き飛ばし接近。
クイックドロウ、自動拳銃に持ち替え敵の機動力を奪う為、
足を狙い(スナイパー)銃撃。至近距離に持ちこむ。
早業、拘束制御布を片手で敵の顔に押し当て
生命力を奪われつづけないよう視界を遮る。
暴力か…私はその為にいるようなものだ。
宣告されたルールが戦う事、傷つける事等を制限する類なら、
戦う事が私の存在理由である以上、守る事はできない。
【換装・邪神腕】発動。
邪神の力を得、肉腕の怪力で敵の腹目掛けて貫手を放ち、
母体も胎児も、纏めて止めを刺す為生命力吸収を行う。
相手は子供。
そして、最優先殲滅対象は、その腹に居る胎児。
⋯⋯必要なら殺すだけ。
⋯⋯オブリビオンならば尚の事。
「お願い! もうやめて!! もう見逃して!!」
⋯⋯難しいルールだ。
「それは出来ない⋯私はその為に⋯⋯お前たちを殺すためにいるようなものだ」
テリブル・カトラリーはただ淡々と事実を告げる。
それが彼女の存在理由。
その生命力を奪う魔眼を今までの戦いでほぼ失い、まして悲痛な叫びすらその存在理由を否定されてしまう彼女には通用しない。
「不公平な物ですね」
そう言いながら現れたのは、ニレ・スコラスチカだった。
「⋯ッ!!」
咄嗟にニレを見ようとしたオブリビオンの頭部を、ブーストを吹かして一気に接近したテリブルが、手に持った布切れで顔面を押さえつけるように地面へと引き倒した。
「放してッ!!」
もはや視線は遮った。
少女の魔眼もUCも、発動することはない。
「"木にかけられたものは全て呪われている"」
ニレの言葉と共に放たれる骨釘が、少女を地面へと縫い付けた。
テリブルが素早く布を⋯聖骸布を改良した拘束制御布で目元を縛り付ける。
「やめて!!ひぐぅ!?」
心臓に突き刺さる最後の骨釘。
「⋯執行完了」
静かに告げるニレ。
オブリビオンは、息も絶え絶えに言葉を紡ぐ。
「どう⋯して⋯? わたし⋯わたし⋯は⋯」
「親は子を選べないと言います」
ただ淡々と、告げる。
「ですが、親は生まないことを選ぶことができる。対して子は生まれるかどうかを選べない。境遇を選べない。オブリビオンであることすら……選べない⋯不公平だとは思いませんか?」
確かに子供には⋯生まれる胎児に罪は無いかもしれない。
「わた⋯しは⋯この⋯⋯子⋯⋯⋯愛して⋯ガァッ!?」
それ以上の言葉を許さぬと言わんばかりのテリブルの貫手が腹を貫き、オブリビオンと⋯その退治の生命力を奪っていく⋯⋯
「やめてぇえええええええええええ!!おねがい!!おねがいします!!この子だけは!!!!この子だけは殺さないで!!!!!なんでもします!!!!!なんでもします⋯んんんんんんんんんんッ!?」
騒がしい悲鳴を上げる少女の口を押さえつけ、テリブルは静かにその生命力を吸収していく。
拘束している釘から逃れようと暴れる手足が裂け、地面に血だまりを作っていった。
獣の咆哮の様な悲鳴と、血や涙や鼻水やらを撒き散らせながら暴れていた少女が徐々に静かになっていき、完全に動かなくなったのを確認すると、テリブルはゆっくりとその腕を引き抜いた。
先程までただ祈りを捧げていたニレが、光を失い虚ろな目で虚空を眺めていた少女の顔を拭い、その目をゆっくりと閉じさせる。
「気にする必要はありません。あなたはその子の魂を救ったんです」
立ち去ろうとするテリブルの背に、一言声をかけた。
「お気遣い感謝する。だが、私はこれが存在理由だ。気にしてなどいない」
そう言って歩き去るテリブルを見送り、ニレは地面に横たわる母親の亡骸に静かな最後の祈りを呟いた。
「どうか⋯安らかなまま⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
大成功
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