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エンパイアウォー㉙~ 災禍の輪廻

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー

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 暗く昏い木々の間の底道なき道を、女が走る。
 ――ああ、神子じゃ。
 下駄の花緒が切れようと、艶やかな着物の裾が枝で擦り切れ襤褸になろうと。女は奔る。
 ――産まねばならぬ。次の神子を、次の主を、次の、次の……
 腹に手を当て、何かを守るように女は奔る。魔を宿し、次の災禍の種を育む為。

「……その、皆。お疲れ様」
 猟兵としての暮らしも少しずつ慣れてきたのか弱弱しく、だがはにかむように笑って猟兵達を迎える日ヶ丘・美奈(リトルマスター・f15758)。そんな彼女が予知したのは、次のオブリビオンフォーミュラが生み出されるかもしれないという大事件。
「えっと、女の人のオブリビオンがオブリビオンフォーミュラの、赤ちゃんを産む……みたい?」
 赤ちゃんって結婚しないと生まれないんじゃないの?と、まだ6歳の彼女は思っているが、彼女が生命の神秘に触れるのはまだ先の話であり、オブリビオン等という超常的な存在にそのような定命の常識を用いるのもまたナンセンスという物だろう。
 ともあれ、陰陽師『安倍晴明』が施した、魔軍将の力やコルテスが持ち込んだ神の力を胎内に宿し、人為的にオブリビオンフォーミュラを産みだそうという恐るべき実験『偽神降臨の邪法』。胎内に宿りしオブリビオンフォーミュラの種は、今すぐに育つものではないが時が立てば必ずこのサムライエンパイアに災禍をもたらすだろう。その前に。
「……その、倒してきてほしいの」
 対象となるオブリビオンは、放棄された安倍晴明の実験施設を抜け出し近くの山脈に潜伏しながら逃走中の所、予知により居場所が判明した。オブリビオンフォーミュラを産むという目的の為か、偽神降臨の邪法の対象は皆女性型オブリビオンしかおらず見つけ出すのは容易だろう。
 今ならば母体となっているオブリビオンを滅すれば、問題ないとの事。
「絶対、逃がさないで。お願い」
 そう、祈るように少女は猟兵達をテレポートで送り込む。
 禍つ神の子、いずれのオブリビオンフォーミュラ。それらを滅するために。


風狼フー太
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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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 いや違うんです。別にR指定とかそう言うのじゃなくて、本当にこういうシナリオなんです。あ、皆様初めましてorまたお会いしました風狼フー太です。
 ですからRで18な描写はできませんよ。弾くからね。

 さて、そんなわけで後々のオブリビオンフォーミュラになりそうなモノを育てようとしているオブリビオンを倒していただきます。行動原理としては、自身に宿っているオブリビオンフォーミュラの子を全てにおいて優先して守ろうとします。その思考からするであろう行動を読んでプレイングに対策として書くとプレイングボーナスが出ます。

 今はまだ種。ですが咲く花は歴史を枯らす。その種を未然に防ぐため、プレイングお待ちしております!
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第1章 ボス戦 『椿』

POW   :    傀儡の骸
自身の身長の2倍の【骸骨の巨人】を召喚する。それは自身の動きをトレースし、自身の装備武器の巨大版で戦う。
SPD   :    コンバートゴースト
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【ゾンビやスケルトン】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
WIZ   :    ネクロマンス
【レベル×1体の武将】の霊を召喚する。これは【槍】や【剣】で攻撃する能力を持つ。

イラスト:えな

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠暁・碧です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アーサー・ツヴァイク
※何でも歓迎、🔵過多なら不採用可

巨大な骸骨の巨人に対し、ハンマーモードのバスターホーンを構えて【ダイナミック・ストライク】をぶちかます。だいぶ大きな奴だろうが、骨だしな。切り刻むよりはぶっ叩く方が効果的だと思うぜ。
…このオブリビオンは、多分腹を守るような動きをする…腕か何かで。その腕をぶっ叩いて、【部位破壊】で相手の動きを阻害しよう。

…オブリビオンは過去の異物…どんな姿であれ、それは今のものじゃない…
だが、オブリビオンを母体として新たに生まれる存在は、果たして過去の物と呼べるのだろうか…
放っておけば必ず禍根となる…わかってはいるんだ、やらなきゃダメだってこと位は…さ

クソッ…胸糞悪ィな…



「神子、神子じゃ……神子じゃ」
 いったいどれほど走ったのであろうか。既に足元は泥にまみれ、下駄の片方は無くなっている。それでも、なお走ろうとした女の元に。
「そこまでだ、オブリビオン」
 立ち塞がったアーサー・ツヴァイク(ドーンブレイカー・f03446)。巨大なハンマーに変形させたバスターホーンを両手で構え、過去からの脅威を摘み未来を築こうとする彼の表情は、どこか重い。
「なんだ貴様……邪魔をするな……我が子、我が神子、我が主を産むのだ……産むのだぁァ!!」
 声から、目から。感じるのは崇拝、狂気。だが確かにそれは子を守ろうとする母の姿に、見えなくもない。その狂想に答えるように姿を現した巨大な躯は、目の前の障害を取り除くべくその拳を握り締めアーサーを押しつぶさんと叩きつける。
(オブリビオンは過去の異物……どんな姿であれ、それは今のものじゃない)
 足捌きで拳を躱し、薙いだ骨の腕をバスターホーンで迎え撃ち。その中で首を振り、胸の中に生まれる迷いを振り切ろうとするアーサー。だが、過去の存在から生まれる存在とは果たして過去の存在であると言えるのであろうか?今、生まれようとすモノは果たして――
「……ッ!クソッ!!」
 その答えを見る為には、目の前の脅威を見逃す事。そのような事、出来るはずがない。彼もまた、未来を守るために猟兵の道を選んだのだ。全身全霊の力をもって放たれたバスターホーンの一撃はオブリビオンの腹を目掛け一直線の軌道に叩きこまれようとしていた。
「あ、あああ!?神子、我らが神子!!」
 その一撃を、巨大な骨の両腕でもって防ぐオブリビオン。その代償は、両の骨の巨腕。砕け散った腕で相殺してなお、オブリビオンにまで届いた衝撃は、やすやすと彼女と彼の間の地面にヒビを入れ、砂ぼこりを上げる。
「ああ……逃げねば……守らねば……」
 その砂煙に紛れるようにオブリビオンは姿を隠す。
「……放っておけば必ず禍根となる……わかってはいるんだ、やらなきゃダメだってこと位は……さ」
 手心は加えたつもりは無い。単純に実力の差であったのだろう。確かに大きなダメージは与えたはずだと。その想いを裏付ける為、オブリビオンを狩る為。アーサーは闇が潜む暗闇の中へと歩を進めるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

鈴木・志乃
※人格名『鈴木・志乃』で参加
……吐きそうだ
どうして清明はこんな惨いことができる?
志乃、どうか起きないで、貴女には見せられない

【第六感】で居所をある程度当たりをつけ【見切り】、周囲と自武器に幾つか足止めとなりそうな罠を仕掛けておく【罠使い】
私の得手は鎖、縄……【ロープワーク】で足払いになりそうなものも仕込まなくちゃ
とにかく逃走させる訳にはいかない
可能なら【念動力】で逆茂木を仕込んだり、周囲の器物で壁を作ったりする
UCで捕縛、絞め殺す

敵攻撃は第六感で見切り、破魔、祈りを籠めた光の鎖で武器受けからのカウンター衝撃波攻撃
オーラ防御常時発動
あの骨、壊しましょう
アルダワ産ピコハンを念動力で操り鎧砕き!!


緋薙・冬香
「悪趣味にも程がある。イヤね、女をこんな風に利用するなんて」
同じ女として共感は出来ても、猟兵として協力はできない
だからね?
せめて私が殺してあげるわ

UC『人の『闇』を狩る者』を使う
その子は貴女自身が生み出した闇(災い)では無いかもしれない
それでも世界に零れ落ちる闇(災い)なら
「覚悟してね?」
フェアトラークで仕掛ける
狙うのは子じゃなくて椿
相手の反撃を食らっても気にせず
距離を詰めることを重視
至近距離まで近づけたら本番よ
フェアトラークを囮にしてナールでのだまし討ちによる、暗殺
「冬の香りがもたらすのは、貴女の夢の終わりよ?」
一撃必殺にはならないでしょうけど
致命傷になればラッキーね


バルドヴィーノ・バティスタ
UCで作った罠を敵の退路周りに<地形の利用>と<早業>で複数設置、
んで…<ロープワーク>で捕まえたゾンビやスケルトンを罠のひとつにかからせてやる。

ああ。見ての通りだぜ、そこらに設置したのは落とし穴、足を絡めとる罠…
要は転ばせるのに特化した仕掛けの数々だ。
<目立たない>うえ仕掛けられるだけの数仕掛けたから避けて通るのは骨が折れるぞ?
無理に通るとしても母体のテメェは転んだくらいで死ぬヤワな体してねェだろうが…腹ン中のガキはどうだろうな?

コレで怯んで止まれば…ああクソ、構わず突っ切るってんなら心おきなくやれたんだがよ…!
隙は隙だ、『ブラッディヴァルチャー』、諸共喰らいつくせ…!

(アドリブ・連携歓迎)


笹塚・彦星
【SPD】
晴明もえげつない事するよなぁ。普通さ、母子殺すなんて出来ねぇけど。生憎俺ァ容赦しねぇぜ。

敵のSPDUCに対してこちらもUC幻影剣飛ばしつつ、逃がさないように逃げる先を開けた方へ誘導したい。
ゾンビやらスケルトンは持ってる刀とUCで切り捨てたり、【なぎ払い】で粉砕したほうが効きそうさね。

他の猟兵がどうだか知らねぇけど、悩んでたり気が引けたり一瞬でも躊躇ってたら俺が代わりに母子へとどめをさす。
鬼畜だなんだ言われたっていい。俺が背負う業が増えただけ。旅してた頃の方が今より地獄見てきたしな。
地獄で先に待ってりゃいいよ。どうせ遅かれ早かれ、追い付く。


(他の方との連携、アドリブ歓迎です)


響・夜姫
こちらから敵が見えたら、武装展開。
「悲しいけど。これって戦争なので。いきなりふぁいやー」
【先制攻撃】として【誘導弾/2回攻撃/範囲攻撃/一斉発射】。

分かり合えない異種族との、戦争なので。
母親だとか、生まれてくる命だとか……
「あ。オブリビオンだから命とは違うかも?」
まぁ、関係ないかー。
きっと母親になれない椿さんに告げる。現実は、常に無慈悲。
「虚構兵装・嵐の砲火。せーぞんせんりゃく、ふぁいやー」
椿とか神子とかゾンビとか周囲の木とか森とか怨念とか神の力とか全部まとめて力業でズドンする。
敵の攻撃は防御用ビットの【オーラ防御/武器受け】で対処。

ふりーだむシリアスブレイカー。
火力脳筋。
苦戦OK。



 女は、走っていた。僕を引き連れ、自らを守らえながら走っていた。
 そしてその僕が文字通り、宙を飛び交う斬撃によって物言わぬ骨へと還る。一人の猟犬から逃げきろうとした彼女は、再び別の猟犬に見つかりこうして追われていた。
「ああ、神子……神子や……」
 お守りいたす。お守りいたす、と。暗闇の中を走り抜ける者がいる。足がもつれ、倒れこみ。着物を泥に染めようと、彼女は立ち上がりまた走る。倒れ、立ち上がり、僕が宙を舞う刀に切り裂かれ、再びこの世へ立ち返り。女が倒れ、立ち上がる。その度に腹を庇うように倒れる女は、気が付いた。
 この森はおかしい、と。そして、その答えを証明するように。
「……ああ、吐きそうだ」
 起きるな志乃、貴方には見せられないと。鈴木・志乃(ブラック・f12101)が独り言ちる。その中に込められたのは生命をへの冒涜を唾棄する思い。そして、この森に施されたものは。
「罠……か!」
「ああ。その通りだぜ」
 木々の影、闇から姿を現したバルドヴィーノ・バティスタ(脱獄狼・f05898)と志乃によって至る所に張り巡らされたトラップの数々。その全ては、女の足を止める為だけに作られた物ばかり。魔の宿る森に足を踏み入れればそうやすやすと帰ってはこれないとは言うが、この場所はまさに人食い――いや、過去を食らう森へと変貌していたのだった。
「ま、そういうこった。ここまでご苦労さん」
 そして、その森の中に幻影の剣をもって彼女を導き、そして退路を塞ぐように笹塚・彦星(人間の剣豪・f00884)が立ち塞がる。
「おとなしくすれば、その首一つで終いだ。諦めろ」
 刀を椿に構え彦星は言う。これ以上は苦しむだけだと。
「誰が!者共……であえ!」
 だが、それは届かない。何が彼女をここまで駆り立てるのか等というのはわかりきっている事。どの狂想がどれだけの比率でという様な事はあれど、それを確かめるのも意味はなく。
 物言わぬ屍の群れが、肉を失い骨として戦働きを強いられた者が、体を失い忠義か、はたまた隷属かを強いられたもののふの霊が女の術によって呼び起こされる。
「妾を守り、道を拓くのじゃ!」

 戦場は、まさに混沌としていた。
 至る所に仕掛けられた罠は、椿の呼び起こした死者の僕の足を止めその身を地に堕とす。その先に待つ末路は猟犬達に狩られるか、後ろより来たる同じ僕たちに足蹴にされるかの二つに一つ。だが、その度に仕掛けられた罠は確実に数を減らしていく。
「悲しいけど。これって戦争なのでー」
 その中で、響・夜姫(真冬の月の夢・f11389)の引き金は鈍ることなく屍達を土に還していた。曰く、分かり合えない異種族との戦争。母親だとか、生まれてくる命だとか、そんな物は自分には関係ないと。
「あ。オブリビオンだから命とは違うかも?」
 過去の存在である彼らは命であるのか?……やはりどうでもいいと。今この場に最も必要であったであろう、無関心をもって等しく戦場の敵を塵へと返していく。
 その、弾丸で出来た道を一つの影が縫うように走る。
「イヤね、女をこんな風に利用するなんて」
 ほんと、悪趣味であると。緋薙・冬香(針入り水晶・f05538)が手に持つ、契約の名を冠為す光の刃が椿へと迫る。女として共感はできる。だが、協力はできない。ならばせめて、自らの手で殺すのがせめてもの情けであると彼女は走る。突き出した光の刃は袈裟を切るように振り下ろされて
「舐め、るなァ!!」
 椿の右腕によって弾き落とされた刃。椿の顔がにやりと笑い、まずは一人と左の腕で止めを刺そうとして。
 目の前にいたはずの女がいない、と。
「――冬の香りがもたらすのは」
 背中から、激痛が全身へと駆け巡る。何かで刺されたのだと本能がそう叫んでいた。命の終わり、夢の終わりを告げる為、契約の刃を餌に愚者の短剣が心の臓へと突き立てられていた。
 それでも、だ。
「ま、まだじゃ……まだ、まだまだ、まだ!!」
 背中にいた冬香を振り払い、他者の死を司る事に長けた彼女は動きを止めない。彼女の起こした屍達は、確実に道を作っていた。その身をもって罠にかかり、穴を埋め、絡める紐を引きちぎっていた屍達の道を辿り、誰にも見つからない、誰にも邪魔されない所へと――
「おい」
 声が響く。バティスタという男の声が響く。
「まだ罠は残ってるぞ」
 それがどうしたと。そんなもので妾は死なぬと。死なぬのだと。
「お前はそうだろうな。だがよ」
 ――腹ン中のガキはどうだろうな?
「……あ……あ?」
 それは耳に響いたが最後の罠。絡みついて離さない言葉が作り出したのは一瞬、だが大きすぎる隙。そして、言葉は鎖となって椿の足に絡みついていた。
「……捉えましたよ」
 志乃の作り出した破魔と浄化の力を持つ無数の光の鎖が、逃がさんとばかりに椿の全身を絡め取り、動きを封じる。もう動くな、囀るなと。破魔の力が肌を焼き、もがき苦しむ彼女は、志乃の言葉にもあきらめた様子はなく。
「あ、ああ!守れ、わ、妾を……」
 兎にも角にも時間を稼ごうと、配下の死者たちを壁にする。
「虚構兵装・嵐の砲火」
 だが、壁にするということはひとつの場所に集まるという事。つまるところ射線もとりやすくなる。仲間を巻き込むことなく、なんの気兼ねもなく。
「せーぞんせんりゃく、ふぁいやー」
 気の抜けるような響の声から放たれた、両手と彼女の背にある浮遊兵装からの全放火。森を焼き、邪気を払わんと火力という力技を以て彼女を焼き道を拓く。
 その道を、二人の男と一人の女が走った。一人の男が目で言う
 ――俺がやるぞ、と。
 どうせ自分は地獄行きだ、一つぐらい業が増えた所で構いはしないと。その、言葉に。
「……諸共喰らいつくせ!ブラッディヴァルチャー!!」
 もう一人の男、バティスタは血肉を食らう生きた外套で椿の左腕を持っていき、答える。ここまで来て引けるかと。引けるわけがないと。……構わず突っ切れば、心置きなくやれた、と。
 冬香という女は、無言で答える。別に構いはしないと。いつも通り、他人からこぼれた闇を刈り取るだけだ、と。仕事として夢の終わりを見せる為、愚者の短剣が再び椿の身を貫く。
「あ……あ……神子……」
「もう喋るな」
 問いかけた男は、刀をもって首を落とす。彼女を冠為す、その花の名の様に。
「地獄で先に待ってりゃいいよ」
 彦星という男は、地に堕ちた物言わぬ花にそう告げる。どうせ遅かれ早かれ、追い付く身だと。
 未来をむしばむ種はここに潰えた。もうこの災禍が咲くことはないのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年08月25日


挿絵イラスト