エンパイアウォー㉙~子恋し歌う子守歌
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「みんな、緊急依頼だー!」
開口一番、ミーナ・ペンドルトン(中学生妖狐・f00297)はどことなく楽しげにそう告げる。
緊急ってなんかお祭りっぽくていいよねとよく分からない言葉と共に、さっそくとばかりに状況説明を開始した。
奥羽地方にて水晶屍人の残党狩りをしていた武士から、魔将軍・陰陽師『安倍晴明』が拠点と使用していたと思しき研究施設発見の一報が入った。
施設そのものは既に廃棄済みであったが、残されていた物品から施設内にて重要な役割を持つオブリビオンが匿われていた可能性があるとのことだ。
そのオブリビオンの役割とは、魔軍将の力やコルテスが持ち込んだ神の力を宿らせ、その胎内で神を育て出産させる偽神降臨の邪法の実験体である。
『偽神降臨の邪法』
それは、新たなオブリビオンフォーミュラとなるべき『偽神』を産み出す転生の邪法だ。
この邪法によってオブリビオンフォーミュラが発生する可能性は高くはない。 だが、それでなくとも強力なオブリビオンになることは間違いない。
邪法が完成するには十月十日の月日を要するため直ちに害はないが、これを取り逃せば後顧の憂いとなるであろう。
「で、キミたちに担当してもらうオブリビオンは現在森の中を逃走中。 相手は蜘蛛型オブリビオンだから、自分のフィールドに逃げ込んだって感じだね」
かのオブリビオンは自身に宿る神の子を至上の存在だと思い込んでいるため、なにがなんでも生き延びようとしているのだ。
戦闘中であろうと隙あらば逃げ出そうとするほどに。 十月十日を生き延び、神の子を産み落とすために。
それが生き残れば、時限式の大きな厄災となるだろう。
「相手はオブリビオン、手心加えちゃダメだからね? それじゃあ、気を付けていってらっしゃい」
神坂あずり
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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戦争シナリオ4本目、神坂(こうさか)あずりです。
このシナリオはボス戦ですが、特殊なルールはありません。
ただし、逃走する可能性があるのでそこには注意してください。
ご参加お待ちしております。
第1章 ボス戦
『オモイデククリ』
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POW : フイノアイジョー「抱きしめたげる☆」
【直前の記憶を失う呪いの糸】が命中した対象に対し、高威力高命中の【無数の穿脚で抱くような刺突】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : カナシミムスビ「かーわいいー♪」
自身が【嗜虐心】を感じると、レベル×1体の【悲嘆の毒蜘蛛】が召喚される。悲嘆の毒蜘蛛は嗜虐心を与えた対象を追跡し、攻撃する。
WIZ : アマイキズグチ「もっと遊ぼ♡」
【穿脚による刺突で苦痛】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【歓喜の毒蜘蛛】から、高命中力の【苦痛を快感や安らぎに連結する毒糸】を飛ばす。
イラスト:朝日奈臣(あさひな おみ)
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「浅倉・恵介」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
伊美砂・アクアノート
【WIZ 水毒香・迷光死水】
…機動力を削ぐとしよう
足が鈍れば、囲んで終わりだ
【早業18、投擲10、毒使い10】で毒香水の小瓶を投擲。幻覚毒で足を鈍らせる。次いで、【スナイパー20、2回攻撃10】でショットガンによる散弾のフルオート射撃。弱れば弱るほど逃げ足は遅くなり、流れた血で追跡も容易になるじゃろ……ま、これだけ恨まれて呪われたら、アタイも碌な死に方もできなそうだねー。【第六感8、暗視5、地形の利用5、視力5、聞き耳5】で、見失わないように追跡。敵の蜘蛛糸は焼夷手榴弾で焼き払い、【投擲10】で鎖分銅を投げつけて蜘蛛足を絡め取るのを狙う。……ボクを恨むなら御随意に。ただ、此処で道は通行止めだよ
レフティ・リトルキャット
※詠唱省略やアドリブOK
にゃ、逃がさず退治すれば良いんにゃね。
ここは探知能力を優先するかにゃ。足が速い人と組めれば、そう簡単には逃げられないにゃよ。
レフティは蒼い子猫に変身し、善行・悪行の匂いを嗅ぎ分ける25代目様の力【デモノイドキャット】で敵を探知。善行の匂いは猟兵、悪行の臭いが強いのは敵本体や神の子だろうにゃあ。接敵前の範囲外探索は動物会話で情報収集するにゃね。
戦闘では嗅覚と髭感知で動きを見切り、刺突を盾たる肉球や武器たる爪で受け捌き、爪や肉球バッシュで反撃すると共に、強化された毒性で侵すにゃあ。避けれれば良いけど、呪いの糸不可避の時は「自身の毒性で呪いの糸を溶かす」賭けに出るにゃ。
四季乃・瑠璃
緋瑪「敵とはいえ、お腹の子を狙うっていうのは気が引けるけどねー」
瑠璃「逃がすと確実にロクな事にはならないからね…きっちり仕留めよう」
「「さぁ、私達の破壊を始めよう」」
【破壊の姫君】で分身
【高速詠唱、全力魔法、情報収集、ハッキング】で探知術式と土地そのものに魔力でハッキングを掛けて地形情報と敵の位置を把握。
他の猟兵にも共有しつつ、空中から二人掛かりで敵の潜む一体を【範囲攻撃、早業】接触式ボムによる絨毯爆撃で全て焦土にしてなぎ払い、隠れ場所を潰して炙り出すよ。
後は敵の糸や攻撃を【見切り、残像】で回避しながら空中から引き続きボムによる攻撃を加えて行き、最後はジェノサイドノヴァで消し飛ばすよ
アリス・イングランギニョル
さてさてさて
偽神降臨の邪法、ね
ボクとしてはそれが成功した場面にも実に興味を惹かれる所なのだけれど
今のボクはこちら側に立っているのでね
素敵に愉快に邪魔させて頂くとしようか
逃げられたら面倒だ、ということで交戦が始まった姿を確認したら
マッチ売りくんに敵さんを囲むように森に火を放ってもらおうか
ああ、勿論余計に燃え広がらないように勢いと範囲は調整しよう
そして、炎が見せる幻で【精神攻撃】
無事に逃げ切って子を産み落とした光景でも見せてあげようか
あ、ボクは戦闘している間は安全そうな離れた場所で身を隠しているのであしからず
【アドリブ、他の方との絡みは歓迎】
ヴィクティム・ウィンターミュート
へぇ、神の子を孕んだオブリビオンか…
そりゃ放置できねぇな?しかし悪趣味なこと考えやがる
──まぁ、母子共々フラットラインだ
慈悲?ハッハ…勝利の前じゃゴミにも等しいね
隙あらば逃げ出す?オイオイ、それじゃあ俺がプレデターになる必要があるか?
セット『Ferryman』
俺の【追跡】は誰も逃がしゃしねえぜ…どこに逃げても、何で逃げても微細な痕跡から居場所を割り出す
極まった【忍び足】は走っても気づかれやしない
一気に距離を詰めて【暗殺】だ、しかも【毒使い】の猛毒付きでな
毒は神の子にも回るのかね?まぁどっちでもいい──腹ぶっ刺して諸共殺せばいいだけだ
慈悲も情けもかけてやらねえ
耳も貸さねえ
無意味に死ね、過去の骸
マリン・ラピス
これ以上強敵が増えたらいくら私達猟兵でも対処が難しくなりそうですね。
今ここで確実に仕留めておきましょう。
森の中ならむしろ好都合です。
私の得意とするのは不意打ち、奇襲。正面からの戦闘は避けたいですからね。
ひとまず【不可視の奇跡】で姿を消して少しずつ距離を詰めていきます。
【第六感】と【聞き耳】を駆使して常に警戒しつつ慎重に。
【忍び足】で音を消し、【殺気】も殺して空気のように。
それと同時に瑠璃の鎖を張り巡らせて少しずつ囲っていきましょう。
狙うは敵が逃げようとするその一瞬。
その隙を狙って薙刀で一撃。
仕留め損なっても怪我と事前に用意した鎖で逃げ切れはしないでしょう。
追いかけっこは終わりにしましょう?
■
木々が生い茂る深い森を進む。
普段であれば動物や虫の声で満ちた深い森の中は、抗うことのできない脅威に怯えひっそりと静まり返っていた。
がさり、がさり……と下草を踏みしめる足音だけが静寂を打ち破り響く。
足元を確認しながら歩いていたヴィクティム・ウィンターミュート(impulse of Arsene・f01172)は、森の中にぽっかりと空いた広場で足を止め小さく嘆息する。
「痕跡が完全に途切れたか」
「こんな何もないところでですか? でも、どうやって……」
周囲を見渡したマリン・ラピス(禁忌に生み出されし姉妹・f08555)の視界に映るのは樹木ばかりだ。
上を示したヴィクティムに従い、小首を傾げながら視線を向けると、「なるほど」とラピスは首肯した。
そういえば敵は蜘蛛型オブリビオンだ。 糸を使い、木から木への移動など造作もない。
恐らくは追跡を撒くために樹上を移動し始めたのだろう。
しかも、なかなかに隠蔽術にも長けているらしく、痕跡を残していないようだった。
「にゃら、ここからはみえない跡を探すにゃ」
「逃がすと確実にロクな事にはならないからね……きっちり仕留めよう」
子猫の姿をしたフェアリーがひげを揺らし、双子のようによく似たふたりの少女がそれに続く。
子猫は引くりと鼻を動かす。 その鼻は、人の善業と悪行を嗅ぎ分ける能力を持つ特殊な鼻だ。
大気中の善悪を嗅ぎ分けたレフティ・リトルキャット(フェアリーのリトルキャット・f15935)は、思わずぞわりと全身が総毛立たせる。
その時、彼にとっては想定外のことが起こっていた。
ごく至近距離から発せられる、むせかえるほどの濃密な悪行の気配に背筋が凍り付いたのだ。
まあ、善悪の価値観など観測者によって如何様にも変わるものだが……猟兵にも決して善人とは呼べない人間もいるのだ。
固まっているレフティを他所に、痕跡を探る者がもう一人いた。
探知術式を行使した四季乃・瑠璃("2人で1人"の殺人姫・f09675)を中心に魔力が波のように迸り、周辺の地形情報を読み取る。
「大体の方向は分かったにゃあ。 ついてくるにゃ」
「逃がしゃしねえぜ……どこに逃げても、何で逃げても追いつめて母子共々フラットラインだ」
刻一刻と変化する魔力の流れを読み取り、猟兵達はオブリビオンを追い込んでいくのだった。
■
森を分け入り奥深く。 偽装や罠を潜り抜けた先にその場所はあった。
大きな木には、人一人はいれるかどうかといった小さなうろに、穴を隠すように立て掛けられた緑壁。
そこには、女性の上半身を持つ蜘蛛型オブリビオン、オモイデククリがせっせと巣作りをする姿。
彼女の視界の隅にチカリと光が点った瞬間、轟音と共に土砂を巻き上げる爆発が起こる!
それを空中から見下ろすふたつの影が言葉を交わす。
「きっちり仕留めれたかな?」
「瑠璃、それはフラグじゃないかなー?」
魔導機械によって飛翔する瑠璃と緋瑪は、広域爆撃用のボムを準備しながら朦々と土煙に覆われた地上を見下ろし言葉を交わす。
そして、事は緋瑪の予想通りに推移する。
土煙を押し割り、煙の尾を引きながらオモイデククリが飛び出す!
かのオブリビオンは猟兵達の存在を無視して逃げ出そうと、糸を巧みに操り木から木へと絡ませ高速移動し始めた。
猟兵の包囲網を突破するかと思われたその時、オモイデククリの行く手を阻み炎が立ち昇る。
轟々と酸素を消費し燃え上がる焔は、アリス・イングランギニョル(グランギニョルの書き手・f03145)が召喚したマッチ売りの少女によるものだ。
その炎は勢いよく燃え上がりながらも周りに延焼することなく、戦場を隔離するように円形に囲ってゆく。
アリスとしては儀式が成功した状況にも興味を惹かれるのだが、逃げられるのはそれはそれで面倒だと猟兵達に協力していた。
……まあ、当の本人は戦闘をマッチ売りの少女に任せ、炎で囲まれた戦場の外側の安全な場所に潜んでいるのだが。
「悪いね。 素敵に愉快に邪魔させて頂くよ」
「此処で道は通行止めだよ」
一瞬動きを止めたオモイデククリに、水飛沫と共に横殴りの暴力が襲い掛かる。
割れた幻覚毒の香水瓶の破片と共に、無数の散弾が細い身体を打ち据えた。
硬い前足で防ごうにも、数多の小さな弾丸は完全には防ぎきることが出来ずに、薄青い透明な血を散らしながら着実にその体力を削っていく。
浴びせられた毒香水の効果もあってか、くらりとよろけながらもオモイデククリは頭を振って強引に姿勢を立て直す。
幻覚毒はその身を侵し、失った体力によって徐々に動きが鈍る。
装填の隙を狙って反撃しようとするも、狙ったかのようなタイミングで白い子猫レフティが隙を埋めるように妨害する。
不味い、このままでは大事な子を失ってしまうとオモイデククリは視線を巡らせ、包囲が手薄な場所目掛けて突進する!
行く手を阻むアリスの炎の壁をものともせず突き破り、一直線に逃げるため身を沈ませ……しゃらりと脚に絡みついた鎖によって急制動を掛けられた。
それは不可視の奇跡によって姿を消し、ひっそりと張り巡らされていた瑠璃の鎖だ。
「オイオイ、フェリーマンからは簡単には逃げられないぜ」
「今ここで、確実に仕留めさせてもらいます、追いかけっこはここで終わりにしましょう?」
逃げるつもりがラピスの鎖に誘い込まれたオブリビオンに、無慈悲な暗殺者の凶刃が迫り。
――どぽり。
濁った水音を立てながら、一直線に裂かれた腹部からはらわたが溢れ出す。
それは、押さえても押さえても止めどなく指の隙間から零れ落ちる。
神に慈悲などない。
ゴツリ。 硬い銃口がオモイデククリの額に押し付けられた。
「……ボクを恨むなら御随意に」
蜘蛛に呪われたら、アタイも碌な死に方もできなそうだと思いながら伊美砂は引き金に指をかけ……。
――唖然としたままの顔を、散弾が吹き飛ばした。
斯くして、未来への禍根は断ち切られたのだった。
大成功
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