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力の価値

#サムライエンパイア

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#サムライエンパイア


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「皆さん、集まっていただいてありがとうございます。」
 アイリス・ファル(人間のシャーマン・f04666)は一度集まった人達に向けて、一度お辞儀をする。
「先日予知によってオブリビオンの出現を確認しました。世界はサムライエンパイア。場所は日輪村と月輪村の間です。」
 そこまで言うと、アイリスが使役する竜の霊体がサムライエンパイアの地図を咥えて、持ってきた。地図には日輪村と月輪村の周辺が描かれており、その2つの村の間に野原が広がっている。そして、その野原の北の方に丸で囲まれた箇所があった。地図を確認すると、アイリスは一度頭を下げた。
「ごめんなさい。今回はオブリビオンの正体が少しも判明していないんです。実は予知によって視たのはオブリビオンが何かをしているという光景ではなくて…、その、私は始めてみたんですが…城が、突然地面から生えて来るという内容だったんです。そして、その出現場所が地図の丸がついている場所なんです。おそらく、ここがオブリビオンの住処です。皆さんに要請するのは城内にいると思われるオブリビオンの撃破です。それともう一つ、こちらは予知で視た光景を実際にお見せします。」
 すると、今度は竜の霊体によってスクリーンが下ろされる。アイリスがスクリーンに触れると、投影が始まった。映し出された映像には野原のような場所で2つの集団が、互いに向かいあっている。野原にいるのは全員男で、映像からですら殺気が伝わってくるような鬼気迫る空気を醸し出している。すると、突然、両集団が一斉に取っ組み合いを始めたところで、映像は終了した。
「今のは日輪村と月輪村に住む人たちです。元々2つの村は付き合いが長く、仲も良いとのことなのですが、どういうわけか人が死んでしまいそうな程の激しい喧嘩が起きているようなんです。原因は分からないのですが、出現した城の近くの村ですから、影響を受けていたり、何か知っているかもしれません。村同士の喧嘩を止めて、話を聞くことができれば、オブリビオンについて、何かわかるかもしれません。それにこのままではたくさんケガする人が出てしまいますから、先に村の喧嘩を止めてください。村の人たちはかなり殺気立っているようなので、簡単には話を聞いてくれないかもしれませんし、もしかしたら喧嘩に巻き込まれてしまうかもしれません。ですので、ある程度強引に止めるのも必要かもしれません。本当は危ないこととかしないで済むのが一番なんですけどね…。」
 曇り気味の表情でそう呟く。すると、竜の霊体が1枚の符を咥えてアイリスの元に持ってきた。
「あ、そうでした。こちらを忘れていましたね。サムライエンパイアは猟兵達に協力的です。江戸幕府からこちらの天下自在符というものが与えられています。幕府に認められた人にしか渡されない物だそうなので、それを見せれば話を聞いてくれるかもしれません。また、予知に映っていたのは全員男の人でした。もしかしたら、村の中には女の人がいるかもしれません。その人たちにどうして喧嘩が起きているのか聞けば、喧嘩を止める方法が見つかるかもしれませんから、無理に喧嘩に割って入るよりも安全かもしれません。とにかく、まずは喧嘩を止めることから始めてください。傷つく人が増えてしまうのは悲しいですから。
 アイリスは説明を終えると、転移の準備を始めながら口を開いた。
「今回はオブリビオンの正体がほとんど見えないところから始めなくてはなりません。危険な任務になるでしょうから、皆さん十分気を付けてください。よろしくお願いします。」
 その言葉と共にアイリスは転移を開始した。


カルミナル
 皆さん、こんにちは。カルミナルです。今回のシナリオは戦闘メインの比較的わかりやすい流れになっています。その分、謎らしい謎が用意しにくくなってしまうかもしれませんが、何とか工夫しながらやって行くつもりです。プレイングについても皆さんの自由なプレイングを是非楽しみにしております。
 マスター経験が浅く、まだ手探りな部分もありますが、楽しんでいただければ幸いです。
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第1章 冒険 『村同士の諍いを止めろ!』

POW   :    威圧や力ずくで喧嘩を止める

SPD   :    調査によって争いの原因をつきとめる

WIZ   :    仲裁に入り、説得で喧嘩を止める

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

芦屋・晴久
村人同士が死人が出るほどの喧嘩…
確かに少々違和感のある情報ですがここはまず彼等を止めて話を聞く必要がありますねぇ。
先ずはお互いの村のリーダー格を事前に調べておきましょう。【情報収集】
その性格や普段の言動もね。
この件、裏で下手に動けば村人達の信用も失ってしまいます、なれば正面から【言いくるめ】で諭してしまいましょう。
リーダー格を狙うというのは相手側の人数が人数な以上こちらから全員に声が届くとは限らないからです、団結しているというのならば代表者を落とせば周りの勢いも落ちる筈、もしその途中で怪我をしている者が居たら私の術で治療しても良いかもしれませんね。



「まずはお互いの村のリーダー格を事前に調べておきましょうかねぇ。」
 晴久は帽子を抑えながら日輪村の集会所の前に立っていた。集会所の周りにはたくさんの男が慌ただしく動き回っている。
「ふむ、先ほど見てきた月輪村と比べても、村の豊かさも雰囲気もそう大差ないようですね…。すみません。そこの君、ちょっとよろしいでしょうか?」
 晴久はちょうど集会所から出て来た一人の男に声をかける。男は村の中で明らかに浮いた風貌をしている晴久をやや警戒している。
「なんだよ。こっちは今忙しいんだ。大した用じゃないなら別の奴に聞きな。」
「なに、そんなに時間は取らせませんよ。少し聞きたいのですが、この村のリーダーについてお聞きしたいんですよ。その性格や普段の言動についてね」
「はあ?村長について?あの人はいい人だよ。単純に優しいってのもそうだが、何よりも日輪村の事を大事に思ってくれて、村の皆が豊かに暮らせるようにいっつも頭悩ませてよ。それに、俺たちだけじゃねえ。昔から付き合いのある月輪村の奴らにだって同じように考えてるんだ。ほんと人がいいんだよ。多分あの人を嫌ってる人なんざそうそう、いないんじゃねえかな。」
「余程慕われているようですね。」
「おうよ。あの人は日輪村からはもちろん、月輪村からも慕われているぜ。まあ、その辺は月輪村の村長も同じだがな。本当はあんなことがなけりゃあの人達なら絶対うまくやっていけるはずだったんだがな…」
「あんなこと?」
「――っと、そろそろ行かねえと。悪ぃが俺はもう行くぜ。」
 男は晴久に背を向け、走って森の入り口の方まで走って行ってしまった。晴久はすでに調査を終えていた月輪村の様子を思い出す。
(月輪村では村長に会えなかったが、月輪村の村人の評価通りの人物で概ね間違いないようですね。そして、やはり何か喧嘩が起こる事件があったのも共通で認識しているみたいですね。)
 そこまで思案すると晴久は集会所の扉を開いた。集会所の中にいた人間が一斉に目を向ける。
「初めまして。私は芦屋晴久。しがない陰陽師です。この度は皆さんが始めようとしている争いを止めにきました。」
 晴久は恭しく一礼する。すると、身なりのいい中年の男性が前に出て来た。
「君は何者かな?月輪村の者ではなさそうだが…」
「ですから、陰陽師ですよ。まあ、猟兵としてこの地にやってきたのですがね…。私はこれから起きる争いを何とか避けることを提案しに来ました。月輪村との交流についてはあらかじめ聞いています。付き合いの深い隣人と喧嘩なんて――」
「――ああ、私もそう思うよ。だが、これはもう決まってしまったことなんだ。この日輪村を残すために私たちはこうするしかないんだ。」
 村長は晴久の言葉を途中で遮った。争いをやめるという選択肢を切り捨てるかの如く、きっぱりと拒絶の意思を告げる村長の瞳には悲壮ながらも有無を言わせない決意が揺れていた。
「すまないが、晴久君とやらお引き取り願おうか。君の言葉を最後まで聞いてしまったらまた覚悟が鈍ってしまいそうだ。」
「…そうですか、わかりました。部外者が突然こんなことを申し立てて、すみませんでした。」
「いいや、気にしないでくれ。」
 それだけ言い残すと、村長は集会所の奥に戻ってしまった。晴久は仕方なく日輪村の集会所を後にした。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

髪塚・鍬丸
喧嘩を止めるにしても、事情も知らねぇ野郎に知った口叩かれちゃ余計に頭に血が昇るってもんだしな。まずは情報集めとこうかね。

喧嘩に巻き込まれない様に、忍び足の応用で目立たない様に村の中を回ってみる。
喧嘩してる連中がいれば怒鳴りあってる内容を聞いて、事情を推測してみよう。

影響を受けてなさそうな女性を探して事情を聞こう。喧嘩に巻き込まれそうな女性がいれば助けておく。ケガしてれば生まれながらの光で治療する。
天下自在符を見せて「困った事が起きてるって聞いてな。力になれるかもしれねぇ、何であいつらがいがみ合ってるか、知ってる事があれば聞かせてくれねぇかい?」と説得。



晴久が日輪村にいる一方、鍬丸は忍び足で月輪村の中を歩き回っていた。
「集会所の辺りは準備やらで慌ただしかったが、逆にその辺以外は静かなもんだな。」
 あたりを見回していると、水路の近くに一人の女性が立っている。
「なあ、ちょっといいかい?」
「!は、はい。なんでしょうか?」
 鍬丸が話しかけると、女性は明らかに警戒した態度をとる。そこで、鍬丸は懐から天下自在符を取り出し、女性に見せた。
「そう、怪しまないでくれ。困った事が起きてるって聞いてな。力になれるかもしれねぇ、何であいつらがいがみ合ってるか、知ってる事があれば聞かせてくれねぇかい?」
「それは、天下自在符…。失礼しました。私が答えられることであればなんでもお答えします。」
「助かるぜ。それで、日輪村と月輪村の奴らがどうして喧嘩することになったのか教えてほしいんだ。そうなる前になんかおかしなことでもあったのか?」
「……理由は一つしかありません。みんな知っていることです。今は山の方にできた城に住んでいるかつて、戦乱の世において力こそが絶対、それ以外はすべて無価値と教え、数多の人々を導いた最強の宗教指導者、弾宗のせいです。」
「弾宗…僧か。そいつが何か妙なことをしてきたせいで喧嘩をするようになっちまったのか?」
「いいえ、みんな自分の意志で争う事を選んだんです。…城が出来上がった数日後、突然、双方の村に現れ、ある要求を両方の村に突き付けて来たのです。」
「要求?」
「日輪村、月輪村の双方で力尽きるまで戦え。力を示せ。価値を示せ。より強い力を示した村は生き残り、敗れた村は自分が滅ぼす、と。村の人々は震えあがりました。弾宗の強さを、恐怖をみんな知っていたのですから。弾宗の逸話はそれほどまでに有名だったのです。結局どちらの村もこの要求を呑むしかありませんでした。」
「それで、喧嘩を始めるのか…」
「はい、どちらかがもう立ち上がれなくなるまで続きます。そうして、負けた方は弾宗に滅ぼされる。だから、嫌でも争わなきゃいけないんです。」
 その様子は弾宗のことを思い出したせいか、それとも、隣人と戦うことに対する悲しみによって小さく震えている。鍬丸はせめて女性を家まで送り、村を出た。

成功 🔵​🔵​🔴​


猟兵たちが合流して情報を交換している頃、野原には予知の通りに日輪村と月輪村の人々が鬼気迫る表情で向かい合っている。状況の変化を察知した猟兵たちはすぐさま行動を開始した。
星宮・亜希
「オブリビオンが放つユーベルコードが精神に悪影響を与えているってことですかね? 仲のいい人たちが操られて喧嘩するなんてあっちゃいけないことですから止めないと、ですね!」
説得が大事ですがまずは流血沙汰を避けましょう。話を聞いてもらうにもまず興奮を抑えないとですから。何もなければ説得を試みますがもし男の人同士が殴り合いになってたり最悪殺し合いみたいな状態になっていた場合は疾風怒濤と【オーラ防御11】で『結界魔法』を防御強化した上で貼り喧嘩を止めます
「お願いです!皆さん一度落ち着いて話し合ってください!」
効かなかったら【吹き飛ばし4】で怪我しない程度に飛んでもらうか【かばう7】を使用し弱者を守ります


御剣・神夜
やれやれ。村同士の喧嘩ですか
祭りでのぶつかり合いなら見たこともありますし、笑えるのですが、そうは言ってられないようです
少し強引になりますが、力づくで止めましょう

POW行動
村人たちの前に仁王立ちで立つ
「喧嘩がしたいというのでしたら、まず私を倒してからにしてもらえませんか?」
と、野太刀を抜いて立ちはだかる
村人たちがたかが女だと侮って言葉も聞かず突っ込んでくるのなら、野太刀を薙ぎ払って村人たちが持っている武器を壊す
「これで、話を聞いてくれますか?」
と、あくまで穏やかに尋ねる



向かい合っている集団の中の一人の男が目の前にいた男を殴りつける。それを合図に双方の集団が一斉にぶつかり合っていく。少し離れた場所にいた亜希と神夜の目にその光景が飛び込んできた。
「始まってしまったようですね。祭りでのぶつかり合いなら見たこともありますし、笑えるのですが、そうは言ってられないようですね。少し強引になりますが、力づくで止めましょう。」
「わかりました。風よ、私を導いて! ……行くよ!疾風怒濤!」
 亜希は自分の防御力を強化し、その上で、結界魔法を張ったその身で、殴り合いをしている村人の間に入り込む。
「うわ!なんだお前!!」
「邪魔すんじゃねえ!」
「お願いです!皆さん一度落ち着いて話し合ってください!」
 亜希が間に入っても喧嘩を続けようとする村人たちに向けて、強風を吹き起こし、村人たちを吹き飛ばした。
「生き残るために戦うしかなかったのはわかりました。でも、それで、殺し合いまでするなんてだめですよ!私達も力を貸します。だからもう一度話し合って――」
「うるせえ!弾宗に目を付けられたらこうするしかねえんだよ!」
 大の男が少女に吹き飛ばされた光景に驚いていた者もいたが、それでも、喧嘩を止めない男たちの間に再度割って入って同じように吹き飛ばしていく。一方、今度は亜希のいる場所とは少し離れた場所で刀を構えている者もいた。村人が吹き飛んでいくことには驚いていたものの、刀からは手を離さずに、相手を見据えていた。すると、双方の村人たちの間に突然神夜が仁王立ちで立った。
「先程の異常な光景は見えたと思います。時期に彼女はこちらに来ますよ。それでも、まだ喧嘩がしたいというのでしたら、まず私を倒してからにしてもらえませんか?」
 神夜は野太刀を抜く。村人たちは神夜からも感じる普通でない雰囲気にたじろぐが、刀を握り直し、上段に構えて襲い掛かってきた。しかし、神夜は野太刀を薙ぎ払い、向かってきた村人たちの刀を全て折った。
「これで話を聞いてくれますか?」
 一瞬にして自分たちの攻撃手段を奪った穏やかな少女を前に村人たちは全員思わず弾宗に対する恐怖も忘れて、後ずさった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

髪塚・鍬丸
さて、落ち着いてくれたんなら話を聞かせて貰おうかな。ケガは生まれながらの光で治しておく。

事情は村で聞かせて貰ったよ。事情を話してくれた姐さんはあんたらを心配してたぜ。こんな事続けてちゃいけねぇよ。俺らに力を貸させちゃくれねぇかい?と、天下自在符を見せながら、事態の解決を目指して貰える様頼む。【コミュ力】使用。

情報収集の続きだ。弾宗とやらのより詳しい情報、アジトの位置と周辺の状況、敵戦力。
戦うのを止めたら奴らが襲ってくるなら俺達が迎撃する。戦力が多くて迎えきれないならこちらからアジトに向かおう。
どっちの村も生き残れる様、皆で話し合ってこれからの作戦を考えよう。荒事は俺達に任せろ。


紫洲川・珠璃
「ここも平和とはいえないけれど、ダークセイヴァーのような重苦しさが無くて気楽ね」

気楽になってばかりもいられないので調査(SPD)しないと
大体理由は判明したようだけど弾宗とやらについてもう少し情報が聞けないかしら
あと、村の存続がかかるなら女性も加勢しそうだけど、参加しないのは何か理由があるのかしら

情報が得られるにしろ得られないにしろ、諍いは止めたいので、
とりあえずの提案として、弾宗とやらが本物かどうかを私達で確かめるから
殴り合うのは少し待ってもらえないかしら
そもそも「かつて」がどの位前なのか不明だけど寿命的に弾宗とやらが存命しているの?
偽物があなたたち(村人達)を唆している可能性は無いのかしら?



 乱入してきた2人の女の異常な力を前に村人たちは喧嘩の手すら止めて困惑していた。すると、突然どこかから光が飛んできて、村人たちの体を包んだ。その光を受けた村人たちの怪我がみるみる小さくなっていった。
「はあ、さて、落ち着いてくれたんなら話を聞かせて貰おうかな。」
 不思議な光景を前にして騒然とする村人たちの前に鍬丸が歩いて出て来た。
「お前たちは一体何なんだ?どうして邪魔をするんだ?」
「俺たちは猟兵ってもんだ。まあ、事情については村で聞いたよ。話してくれた姐さんはあんたらを心配してたぜ。こんな事続けてちゃいけねぇよ。俺らに力を貸させちゃくれねぇかい?」
 そう言いながら、天下自在符を男たちに見せる。
「それは…そうか、あんたたちがうわさで聞いた猟兵ってやつらか。なら、あんたらが弾宗を止めてくれるってのか?」
「ああ、荒事は俺たちに任せときな。ってわけであんたたちが知ってることを教えちゃくれねえかい?」
「その話は私も聞きたいわね。」
全員が声のする方を見ると、そこには一人の女性が歩いてきていた。
「お前さんは?」
「私は紫洲川珠璃。猟兵よ。少し来るのが遅れてしまったけれど。それで、あなたたちの話聞かせてもらってもいいかしら?」
「…わかったよ。あんたらに協力すればこんなことしなくていいんだよな?なら話すよ。」
「助かるぜ。それじゃあ、弾宗について詳しく教えてくれないか?」
「弾宗は戦乱の世においても巨大な体躯に目を見張る強さと圧倒的な人心掌握術を駆使して一揆起こして打ち首にされたんだ。つっても俺たちだって見た事あるわけじゃない。今じゃ昔話なんかでよく話される鬼みたいな扱いだよ。」
「見たこともないのに本物かどうかは分からないんじゃないかしら?」
「ありゃ、本物だよ。間違いねえ。自分で名乗ってたし、言ってることが同じなのもあったけど、何よりも俺たちの村に来た時に感じた雰囲気はとても人間じゃねえ。話通りの化け物って感じだったんだ。弾宗以外考えらんねえ。」
 どちらの村の男たちもその時に感じた恐怖を思い出しているのか全員が震えあがっている。弾宗という暴力の象徴ともいうべき感覚が彼らには染みついているようだった。
「月輪村でもそんな感じだった。きっと幽鬼になってこの世で暴れ回る気なんだ。」
「なるほどな。その弾宗は今どこにいるんだ?」
「見えるだろう?あの城だよ。」
 男が指さした先には野原の先にはそれほど高くはないものの存在感のある城がそびえたっている。
「弾宗は決着がつくまであそこから戦う俺たちを見てるらしい。」
「…それなら、早く行かないといけないわね。喧嘩が止まったのを知ったら何か仕掛けてくるかもしれないし。」
「そうだな。なあ、あの城の中については何か知ってるか?」
「し、城の中か?さあ、誰も入ったことはねえからわかんねえけど、俺たちの村の生き残った方を最初の同志として迎えるって言ってたから中に人は弾宗以外いないんじゃねえかな。
「そう。わかったわ。ところで、一つ気になっていたのだけど、村の存続がかかる戦いになのに女性が加勢していないのには理由があるのかしら?」
「戦いは女が混じるもんじゃねえだろ?あんたら猟兵は別なのかもしれねえが、女は家のことをやって、俺たちが帰ってくるのを待ってるのが仕事なんだ。」
「ああ、なるほど。まあ、辺境の村だし、そんな風習が残っているのもおかしくないのかしらね。」
「ともかく、情報提供助かったぜ。じゃあ、俺たちは行くぜ。」
「ああ。…なあ、あんたら本当に行くのかよ、あんなの化け物みたいな奴の所に。いくら案達が強くてもきっと殺されちまうぞ。それに、弾宗は負けた奴を生かしておくことは絶対にない。あいつにとって負けってのは死と同じ意味なんだ。無駄に死にに行く事なんて…」
「大丈夫よ。私達はこういう修羅場をくぐってこそだから。でも、そうね…案じてくれているなら、殴り合うのは少し待ってもらえないかしら。私たちが弾宗を倒して見せるから。」
「約束するぜ。大船に乗ったつもりでいな。」
 そして、猟兵たちは城に向かって歩きはじめる。村人たちはその背をしばらくぼおっと見守っていた。
「………お前らーー!頑張ってくれー!!」
 猟兵たちの背が小さくなっていくのをみて、村人たちからの心からの声援が一斉に野原に響いた。その声が乱れることは少しもなかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『腐怪の蟲』

POW   :    腐敗の瘴気
【腐敗の瘴気 】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    粘着糸
【尻尾から発射する粘着糸 】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    腐敗の溶解液
【口から発射する腐敗の溶解液 】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を腐らせ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


―ー―ーゴゥン―ー―ー
僧が住むには不釣り合いなほど荘厳な城の扉を開く。扉の先は広間とその奥に一つ会談があるだけだった。他に道などもなく、不気味なほど静かな広間を進み、階段を上る。上りきった先の空間もさほど大きな違いがなかったが、一つだけ違いがあった。その空間はかすかに腐臭が漂っている。すると、突然広間のあちこちに黒い穴が空いた。そして、全ての穴から芋虫のような不気味な生物が這い出て来たのであった。
飯田・柘榴
 バトルロワイヤルではなく多対多の形式で、女子供が参加しなくとも何も言わないとは……力が全てと言う割には随分と有情なオブリビオンですね。
 冗談はさておき、力任せの単細胞と言うわけではなさそうです。配下を残しておくのは危険ですね。

『アレクサンドリアの魔竜』の【範囲攻撃】【属性攻撃】でまとめて薙ぎ払います。さて、虫には何が効くでしょうか。炎、氷、病毒、腐敗あたりは普通に効果がありそうですが……後は適当に【呪詛】を乗せておくとしましょう。
 さてさて、村の皆さんの期待に応えられると良いのですが。



「今回のオブリビオン、力任せの単細胞というわけではなさそうですし、配下を残しておくのは危険ですね。」
 柘榴は床から這い出て来た数十体にも及ぶ不気味な蟲を見ても顔色一つ変えず、冷静に敵の戦力の考察を進めていた。個々の戦力はあまり高くないことはなんとなく察せられたが、部屋のあちこちから現れた蟲たちの数はとても無視できるものではなかった。柘榴は各個撃破を諦めるように息をつき、懐から本の様に留められた紙の束を取り出した。柘榴は紙の束に手を添える。
「ここが叡智の終焉。私とあなたが終わる場所です。…【アレクサンドリアの魔竜】。」
 束ねられていた紙が一斉に空中にばらまかれる。紙の1枚1枚には呪文が既に綴られており、文字が発光すると次々と柘榴の周りを覆い始める。柘榴を覆い始めた無数の紙は徐々に形を構成していき、最後の1枚が張りあがると柘榴の身体は倍以上の大きさはある竜に出来上がっていた。
「さて、虫には何が効くか分かりませんからね。炎、氷、病毒、腐敗あたりは効きそうですかね……後は適当に【呪詛】を乗せておくとしましょう。」
 竜の中から柘榴の事もなげな声が響く。一方、突然現れた竜の存在に蟲たちは一斉に体を向け、腐敗の溶解液を飛ばしてきた。
「残念ながらそれは無駄ですよ。」
 竜からはすでに僅かに口を開けるとそこからは収まりきらないというように炎が漏れ出ていた。そして、溶解液が竜に到達する手前で、竜は口を大きく開けた。吐き出された炎は飛ばされた全ての溶解液を飲み込んで、蒸発させ、そのまま止まることなく蟲たちが集まる一角を焼き払った。
「キィィィィィィィィィィィィィィィ!!」
 炎に包まれた蟲たちは奇声をあげながら燃え尽きた。柘榴は変身を解除し、再び床に降り立つ。
「ふむ。予想以上に効果があったようですね。」
 柘榴は3分の1程度の燃え尽きた蟲の遺骸と呪詛を浴びて動きが鈍くなっている蟲を見て、呟いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

髪塚・鍬丸
「坊さんにしちゃ、趣味の良いお出迎えだぜ。お望み通り、俺達の力って奴を披露させて貰おうか」

あの尻尾から出る糸、こちらの技を封じてくると見たぜ。ならば先手必勝、初手から全力で行くしかねぇな。
【降魔化身法】を使用、鎧を纏いつつ【先制攻撃】【ダッシュ】で一気に間合いを詰めて【2回攻撃】【範囲攻撃】、刀とクナイの二刀流で纏めて虫達を薙ぎ払っていく。
乱戦に持ち込み動き続け、【見切り】【第六感】も駆使し周囲の虫達を盾にしてなるべく敵の攻撃を防いでいこう。
糸に捕縛されたら、絡めとられた鎧を自ら引き剥がし離脱(コード封じの演出)、生身で広間の敵を殲滅するまで戦い続けるぜ。


紫洲川・珠璃
「また随分グロテスクなのが出てきたわね」

腐敗には昔から焼却と相場が決まっているのよ
なのでフォックスファイアで攻撃ね。
基本私は主力というより支援かしら。
敵の数が多いので狐火は集約しないで分散のまま可能な限り多くの個体へ攻撃
接近してきた個体には刀で応戦
甲殻には刃が通り辛そうなので、関節などの節を狙って斬るなり、突くなりするわ
溶解液で腐敗した床は狐火で焼き払ったら元には戻らなくても腐敗部分をなんとかできないかしら
もちろん建物まるごと焼き払うような事はしないけれど

※アドリブ、他者連携は可能であれば希望します



「また随分グロテスクなのが出てきたわね。」
「へっ、坊さんにしちゃ、趣味のいいお出迎えだぜ。お望み通り、、俺たちの力ってやつを披露させてもらおうか。」
 突如現れた不気味な生物を前に2人の猟兵が並び立つ。鍬丸は刀と苦無に、珠璃も刀に手を掛け、戦闘の構えをとる。
「私が援護するわ。主力はあなたに頼んでもいいかしら?」
「いいぜ、柘榴のおかげで蟲たちの数は減ってる。この分なら突っ込んでも問題ないからな!【降魔化身法】!!」
 鍬丸の体に人ならざる魔が降りる。手を掛けた刀と苦無を勢いよく引き抜くと同時に、一番近くの蟲を視界に捉える。そして一瞬、鍬丸の姿が部屋にいる者の視界から消失し、次の瞬間、蟲の前に肉薄していた。
「くらえっ!」
 持っていた刀と苦無を蟲に向かって斜めに振り上げると、蟲は粘液のようなものを飛び散らせながら刃の通った軌跡の通りに両断されていく。突然群れのど真ん中に現れた敵の存在に蟲たちの注目は集まり、鍬丸に向けて尻尾を向ける
「させないわよ。【フォックスファイア】!」
 後方に控えていた珠璃が刀を頭上に掲げる。すると、珠璃の背後に十数個の狐火が浮かび上がる。刀を振り下ろすと同時に狐火は1つ1つが個体へと飛んでいき、蟲たちの体に直撃した。狐火に対して無防備な状態になっていた蟲たちは突然の炎に次々とひるんでいく。
「いい援護だぜ!」
 鍬丸は第六感を働かせ、フォックスファイアに当たらなかった僅かな蟲たちが放った粘着糸をバックステップで回避する。そして、着地と同時に再度群れの中へ突進。高速で群れの中を縦横無尽に動きまわり、通り過ぎ様に次々と蟲たちの体に傷をつけていく。蟲たちは鍬丸の姿を捉えきれない事に加え、珠璃からの狐火の援護による妨害と腐敗箇所の消失、そして、先ほど浴びた柘榴の呪詛によってまるで狙いをつけることができず、闇雲に粘着糸を飛ばす乱戦状態に陥っていた。そして、鍬丸が再び6体ほど固まっていた蟲たちの前に姿を現し、苦無と刀を腕を交差させるように構えた。
「らあああああっ!」
 振るわれた2つの刃は最初と同様に蟲たちの体を容易く切り裂き、その体は地面にボトリと落ちていく。姿を現した鍬丸に向けて、再度粘着糸が放たれるも鍬丸は蟲の遺骸を盾にして防ぎ、すぐさま真後ろにいた2体の蟲に一瞬で接近した。鍬丸は構え直すこともなく両腕を振るい、1体を刀で縦に、もう1体を苦無で横に真っ二つにした。
「はあはあはあ、どうした?こんなもんか?」
 鬼の如き強さを見せるその身からは血が流れだしてはいるものの、依然として蟲たちに対して攻撃的な視線を向けていた。
次々と斬られていく同朋を前に2体の蟲たちが標的を変え、珠璃の方に向かって突進し、溶解液を噴射した。
「こちらに来るのね。でも、同じよ!」
 珠璃は狐火を全ての溶解液に直接ぶつけ、蒸発させたところで即座に走り出した。刃が横に向くように刀を持ち、無防備になっていた蟲の目の前に接近すると、甲殻の隙間を縫うように刀を蟲の体に入れ、蟲の先端部分と胴体を切り離した。そして、刀を振った勢いを利用して残りの虫がいる方を向きながら、数個を合体させた大きめの狐火を1つ飛ばす。蟲は狐火の直撃に上体をあげて、体の内側を見せる。ひるんだ隙を突いた珠璃は剣を前に構え、床を強く蹴って、蟲の下に入り込んだ。
「はあっ!」
 ドシュッという音が落ちる。蟲に向かって突き出された刀は甲殻に覆われていない柔らかい体の内側に深々と突き刺さった。蟲の動きが静止し、着いた箇所からはポタポタと体液が零れ落ちる。刀を引き抜き、蟲の下から出るとその体はドスンと倒れ、そのまま動かなくなるのであった。珠璃は刀に突いた体液を払い、未だ乱戦状態の蟲の群れに向き直った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

エスペラ・アルベール
村に争わせて、自分は高みの見物だなんていい趣味だねっ。
力が全てだっていうなら、争うよりもみんな笑顔で力を合わせた方が、ずっと強い力を出せるって見せてやるっ!

特に気をつけるべきは粘着糸と溶解液かな、パイロエクリクスの炎を周囲に配置して、敵の攻撃を【見切って】迎撃しながら戦うよっ
溶解液で腐った場所には注意を払いつつ、接近して虫を斬り捨てる!
虫が密集してる場所があれば、パイロエクリクスを収束、【全力魔法】で吹き飛ばすっ!

(アドリブ他、なんでもOKです)



「炎熱の力、ボクでもこれぐらいは!『パイロエクリクス』!」
 広間に声が響くと乱戦状態の最中にあった蟲たちの近くにいくつも漆黒の炎が突如現れた。蟲たちは階段の方に目を向ける。そこにはユーベルコードの発動を終えたエスペラがフォニックブレイドを引き抜いて、蟲たちに突き付けていた。
「キミたちにはすぐにどいてもらうよ。ボクたちは早く弾宗に会わなくちゃいけないんだ。笑顔を守るために、ね!」
 エスペラが歌を歌い始める。美しく、しかし、活力の溢れる歌声にフォニックブレイドの刀身が白く光を放ち始めた。蟲たちはエスペラを新たな敵と認識し、粘着糸や溶解液を一斉に吹きかけるも、それらをすべて見切り、歌のリズムに合わせた軽やかなステップで回避しながら蟲の群れに接近していく。
「村に争わせて、自分は高みの見物だなんていい趣味だねっ。見てなよ。力が全てだっていうなら、争うよりもみんな笑顔で力を合わせた方が、ずっと強い力を出せるって見せてやるっ!」
 エスペラが1体の蟲の前に立ち、フォニックブレイドを振るう。歌声によって強化されたフォニックブレイドは甲殻を纏った蟲の体を切り捨てた。蟲の体が床に倒れ伏すと同時に今度は設置した漆黒の炎が蟲たちを追い立て始めた。エスペラの斬撃と迫りくる炎から蟲たちは逃げ惑う。そして、混乱の場から抜けた複数の虫が1ヶ所に固められることとなった。すると、全ての炎が漆黒の炎が密集した一団を囲い始め、包囲が完了すると同時に、エスペラが歌を止めた。
「ボクの全力の一撃、くらえっ!」
 エスペラは密集してる場に向けて手を振るう。全ての漆黒の炎が蟲たちの周りを回り、一斉に蟲たちに向かって突っ込んでいく――
――ゴウッ!!!!――
 直撃と同時に爆発が起こった。爆発による煙が晴れていくと、そこにはいくつもの蟲の遺骸が吹き飛ばされ、転がっていた。
「これであと少しだね。」
 数の暴力を表していた大量の虫たちはもう数えるほどしか残っていない。

成功 🔵​🔵​🔴​

御剣・神夜
む、蟲!?
ゴホン、少し取り乱しました。大丈夫です。問題ありません

私の牙龍が溶かされることはないでしょうが溶解液には要注意ですね。
瘴気も特に防ぐ手段が思いつきませんので気にせず突っ込みましょう
ただ粘着糸で絡めとられて瘴気の中に放置されるとちょっと厄介ですね
絡めとられた時は大事をとって距離を取ってから剥ぎ取りましょう
剥ぎ取れたら再び突っ込んで野太刀を振るいます
「このような虫の物の怪もいるのですね。見た目も中身も気持ち悪いですが、それはそれ、これはこれです。一匹残らず両断してあげます!」



 階段下で神夜はすでに自身の愛刀、牙龍を抜き放っていた。上の階から聞こえてくる戦闘音に神夜はわずかに身を緊張させる。
「よし、行くわ。」
 心を戦闘状態に切り替え、一気に階段を駆け上がる。そして、戦場となっている広間に飛び込み、敵の姿を捉えた――
「む、蟲!?」
――目に入ってきた不気味な蟲の姿に神夜は一瞬生理的な嫌悪感を帯びた表情になる。蟲と一口にいっても様々な種類はあるが、視界内の蟲は人間、とりわけ、女性なら特に引いてしまうような外見をしている。神夜もその例には漏れなかったようだ。
「ゴホン、少し取り乱しました。大丈夫です。問題ありません。」
 己を鼓舞するように自分が戦えることを口にすると、再び刀を構え直す。すると、1体の蟲が神夜の方を向いた。生物を認識した蟲は溶解液を吹き出してきた。直線的に飛ばされてきた溶解液を神夜は難なく回避し、蟲との距離を詰めた。
「はあっ!」
 真正面から振り下ろされた力強い一振りは蟲の甲殻をたたき割り、そのまま下にあった本体を両断した。蟲の体液が床にドロリと広がる。
「…このような虫の物の怪もいるのですね。見た目も中身も気持ち悪いですが、それはそれ、これはこれです。一匹残らず両断してあげます!」
 神夜は最初の一刀で斬る手ごたえを理解したようだった。そこからは次々と蟲に接近し、両断していく。蟲たちも抵抗として溶解液を飛ばしてくるものの、最初に溶解液を見られたことで警戒され、少しも命中することはなかった。そうして、蟲たちをもう数体切り捨てたところで、突然刀がうまく動かなくなった。見ると粘着糸で絡めとられている。ようやく動きの止まった神夜に最後の一匹である蟲が溶解液を吹きだしてきた。神夜はそれをバックステップで距離をとって回避し、絡みついている粘着糸をはぎ取った。すると、今度は神夜が離れた隙をついて体を揺らし始めた。その体からは腐敗の瘴気があふれだした。
「これは…早く決めないといけないようね。」
 神夜は再度構え直し、精神を集中させる。そして、一呼吸を置いて――瘴気の中に一息で突入する。瘴気による息苦しさを感じるもそれを無視。神夜の瞳は瘴気を発生させる中心部を捉える。
「天武古砕奥義、流走!!」
 視認すら不可能なほどの速さで刀が振り下ろされる。同時に蟲の体からは瘴気の放出が止まった。そして、ほんの数瞬、時が流れると蟲の体にスゥっと刀の切れ込みが入る――
――ボゴッ!!――
蟲の体が真っ二つに割れ、その真下の地面が蟲の切れ込みと同じ形で抉れる。神夜の振るう高速の剣はその剣圧で地面すらも抉っていた。刀に付いた蟲の体液を払い、そっと刀を鞘に納める。
「コホッコホッ。これで最後、よね。」
 未だ霧散しきっていない瘴気にわずかに咽ながら辺りを見回し、蟲たちの殲滅を確認した。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『仮面の武僧』

POW   :    末世読経
予め【読経を行う】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    狛犬噛み
自身の身体部位ひとつを【狛犬】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    金剛力士の招来
戦闘用の、自身と同じ強さの【金剛力士(阿形)】と【金剛力士(吽形)】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ほう、俺が呼び出した蟲どもを全て殺したか。なかなか力のあるものが来たようだな。」
 広間の奥にある階段の上から野太い声が響いた。声の主はドスンドスンという足音を鳴らしながら、ゆっくりとその姿を見せる。
「戦う事をやめた弱者どもを鏖殺する前に妙な連中が我が城に来たと思って見ていたが。なるほど、足を踏み入れるだけの価値があるようだな。」
 顔には仮面、手には鉄球のついた錫杖を持った僧のような出で立ち、何よりも決してブレることのない存在として異様な強さを持った者が猟兵たちの前に大樹の様に立ちふさがる。場にいる者すべてが萎縮するような強烈な威圧感が一気にその空間を包んだ。
「俺を狩りに来た者達よ。この弾宗に価値を示してみせろ。」
 暴力の化身とも言うべき武僧は錫杖をシャランと鳴らした。
飯田・柘榴
力こそが正義。まあそれもありでしょう。
しかし、それならばあなたは自ら首を断つべきです。
何せ、あなたはもう負けたのですから。
それすらもできない臆病者であるならば、私があるべき場所に還してあげましょう。

【時計の針は戻らない】を実行します。
対象は弾宗の一揆を鎮圧した軍団。範囲の都合、全てを呼び出すのは無理ですが。リソースの続く限り呼び続けてやりましょう。
【狛犬噛み】で食われて回復されても面倒ですから、遠距離から監視し、食われそうになったものは先んじて消滅させることにしましょう。

※アドリブ、連携可



 柘榴は表情を崩すことなく弾宗の方を向き、自分の足元に時計の模様をした紫色の魔法陣を展開した。
「力こそが正義。まあそれもありでしょう。しかし、それならばあなたは自ら首を断つべきです。何せ、あなたはもう負けたのですから。それすらもできない臆病者であるならば、私があるべき場所に還してあげましょう。」
「ほう、既に俺が負けているというか。随分な自信だな。」
「いえ、自信ではなく事実です。あるべき物は、あるべき場所へ。【時計の針は戻らない】」
 柘榴の目の前に優に200を超える魔法陣が展開される。そして、その魔法陣からは武士の甲冑を纏った兵たちが次々と姿を見せ始めた。
「そやつらは…なるほどな。俺の一揆を鎮圧した軍の者か。確かに俺は負けたな。」
 兵たちは雄叫びを上げながら、槍を構えて弾宗に突進する。しかし、彼らの槍が届く前に錫杖を横なぎに振り払うと、突撃していった兵たちはあっという間に吹っ飛ばされ消滅していく。
「勘違いするなよ。俺が負けたのは軍全体の力だ。間違っても個々の力で負けたわけではない。俺を鎮圧した軍を一部再現した程度で負けるほど、愚かではない。」
「ええ、ですから足りない分はこちらでカバーさせていただきます。」
 冷静に返す柘榴の手には1冊の魔導書が構えられていた。小さく呪文の詠唱を唱えると柘榴の目の前には荒ぶる空気の塊が生成されていく。その塊は柘榴が片手を正面にかざすと弾宗に向かって一直線に飛んでいき、直撃の衝撃は弾宗をわずかによろめかせた。その隙に消滅した分も補充された軍勢は一斉に攻撃を仕掛ける。矢を放ち、刀や槍による突撃が弾宗を襲う。
「でえええええええい!!」
 と、次の瞬間、錫杖を握った手を矢が来る方向に向け、もう片手を近づいてくる兵士たちに向けた。錫杖を高速で回転させることで盾を形成し、飛んでくる矢を次々と弾き飛ばしていく。そして、もう片手は急にゆがんだかと思うと、その手は狛犬の頭となって意思を持ったかのように弾宗の腕を離れて動き始め、近づいてくる兵を妨害し、一人の兵に噛みつこうとした。
「っ!まずい。」
 狛犬の攻撃に慌てて近づいていた兵士を消滅させる。狛犬の牙はガキンと空を噛むことになったものの、結果として傷を負わせることはできなかった。
「俺を殺した軍勢に超常の力…足りんな。まだまだ足りん。その程度で俺の前に立って生きる価値など微塵もない。」
 弾宗は自分を滅ぼした過去などものともしないように泰然と立っている。

成功 🔵​🔵​🔴​

御剣・神夜
戦いの享楽におぼれましたか?
だとしたら、貴方はただの愚者。偉そうに他人に説教を説く資格はありません
貴方の様なのが相手かと思うと少々気がそがれますが、己惚れた者の末路を教えてあげましょう

読経は唱え続けている間隙だらけになるが、その間攻撃力が上がるので攻撃が見切りやすくなるとしても早めに潰す
狛犬噛みは避けれるようならバックステップで間合いを取り、避けれないなら突っ込んで狛犬に変わった部分ごとたたっきる
金剛力士を呼び出されたら武僧を攻撃すれば消えるので無視して武僧への攻撃を優先する
「弱者を脅すことしかできない貴方の説法など聞く気はありません。疾く消えてください」


紫洲川・珠璃
「戦うことを止めた人が常に弱者だとは思わないけれどね・・・」

とりあえずは相手の出方と、手の内を探るために軽く仕掛けるわ
引き続き支援を主として動くけれど
手を抜ける相手ではないので【妖剣解放】した後、接近戦ね
手数で押してなんとか味方の攻撃の機会をこじ開けたいわ

狛犬は噛みつこうとして開けた口に対して斬撃の衝撃波と刺突で攻撃

※引き続きアドリブ、他者連携は可能であれば希望します

妖剣解放詠唱句
「我、此処に解き放ちたるは、死して尚現世に留まらんと欲す者達の怨嗟。
亡者の鬼哭を以て、いざ此処に力顕せ!虚鐵!!」



「ぬるいな、貴様らの力はそんなものか。矮小な存在がこの世に立つなど愚かしいにも程がある。」
「愚かなのはあなたですよ。」
 柘榴と弾宗の間に神夜が立つ。神夜は刀を構え、冷たい目で弾宗をにらみつけていた。
「戦いの享楽におぼれましたか?だとしたら、貴方はただの愚者。偉そうに他人に説教を説く資格はありません。貴方の様なのが相手かと思うと少々気がそがれますが、己惚れた者の末路を教えてあげましょう」
 神谷は冷たく言い捨てると、弾宗までとの距離を一息に詰め、上段から斬りかかった。刀は錫杖によって受け止められる。鍔迫り合いの状態となった互いの手が相手を押し切ろうと震える。
「ふん、女の割にはなかなかできるようだな。ならば!」
 弾宗は神夜を弾き飛ばすと、錫杖を思い切り地面にたたきつける。すると、地面から【金剛力士(阿形)】と【金剛力士(吽形)】が姿を現した。
「こ奴らがいると俺は満足に動くこともできんのだがな、だが、こういう時には十分に役に立つ。」
 そして、弾宗はおもむろに数珠を持ち、読経を始めた。すると、弾宗の力がみるみる増大していくことが肌で感じられる。放置しておくことをまずいと感じた神夜は金剛力士を無視して攻撃しようとするも、2体の像がその道を阻み、神夜を叩き潰そうと、阿形が拳を振り上げた。
「くっ、邪魔な――」
「―-なら、そいつらは私が退かすわ。」
 阿形を迎撃しようと刀を構えた神夜の横を何かがすり抜けた。
ガキン!
 金属と硬いものがぶつかり合う音が響く。その音源には阿形の拳を刀で受け止める珠璃が立っていた。
「我、此処に解き放ちたるは、死して尚現世に留まらんと欲す者達の怨嗟。亡者の鬼哭を以て、いざ此処に力顕せ!虚鐵!!」
 拳を受け止めた刀から禍々しい怨念があふれ出した。刀身から伝わる怨念は珠璃の全身に回り、体に妖刀との契約を示す紋様を刻み付ける。珠璃は顔を苦痛に歪ませるも、阿形の攻撃をいなし、斬撃の衝撃波によって阿形を吹き飛ばした。そして、即座に吽形の方に向き直り、目にもとまらぬ速さで接近する。弾宗と同じだけの力をもっているとはいえ、動きそのものが単調な金剛力士は珠璃の剣に対応しきれず阿形と同じ様に吹っ飛ばされた。
「今よ、行って。」
 珠璃に促され、神谷は一気に弾宗との距離を詰め、一文字に斬りかかった。
「はあっ!」
 神夜の攻撃に読経の中断を余儀なくされ、弾宗は振るわれた刀に錫杖を振るう。金属同士がぶつかり合う音が部屋中に響き、神夜の剛剣と弾宗の錫杖の間に激しい火花が散る。わずかな時間でも読経を行っていたため、その力はさらに強さを増し、先制を取った神夜の剣と互角以上の衝撃を与えたのだ。すると、今度は弾宗の手が狛犬に変化する。先ほど打ち合った衝撃で若干腕がしびれていた神夜は一瞬反応が遅れてしまう。
「まずは一人!村人の様に戦わぬもの、そして、俺に敗れる者。全ての弱者は死すべきだ!」
 変化した狛犬は神夜に迫り、神夜が狛犬を叩き斬ろうと刀を構えた瞬間、狛犬に神夜の後方から飛んできた斬撃がぶつかった。突然の攻撃に狛犬は斬撃が飛んできた方向を向く。直後、高速で接近してきた珠璃の刀がその勢いのまま、開かれた狛犬の口に突き刺さり、そのまま頭まで刺し貫いた。
「ぐおおお!」
 変化した手を貫かれたことで、たまらず弾宗は苦悶の声を上げた。
「私は戦うことを止めた人が常に弱者だとは思わないけれどね…」
 珠璃は刀に付いた血を払い、そうつぶやいた。そして、今度は神夜が弾宗に向き直る。
「少なくとも、弱者を脅すことしかできない貴方の説法など聞く気はありません。疾く消えてください。天武古砕奥義、流走!!」
 神夜は下段に構えた刀を傷ついた手の側の方に向けて振り上げる。刀が通った軌跡の先にある床が抉れる程の高速の剣は弾宗の片腕を切り落とした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

髪塚・鍬丸
「あんたみたいな分かりやすい考え方は正直嫌いじゃねぇが、嫌がる連中に押し付けるのはいただけねぇなぁ」
こういう相手は、小細工で倒すとかえって後が面倒そうだな。
見くびるつもりはねぇが、たまには真正面から真っ当に戦ってみるか。

【求蓋の外法】使用。「自身がこれから先修行を重ねて至れるかもしれない境地」の可能性を召喚、身を委ねる。…さて、こいつ相手にどこまで通用するか。
【先制攻撃】【2回攻撃】【戦闘知識】【見切り】【フェイント】、刀とクナイの二刀流で勝負を挑む。
クナイで攻撃を受け流しつつ右手の刀で攻撃。攻撃の主体は刀と目を慣らさせておいて、隙を付いて【暗殺】でクナイを急所に打ち込む。こっちが本命だ。



「ぐぅぅ、なるほど。これが猟兵か。なかなかの力だ。怯えるだけだった村人共よりも余程骨がある。」
 切り落とされた肩を抑えながらも、弾宗は嬉しそうに声を上げた。そこに鍬丸が姿を現した。
「あんたみたいな分かりやすい考え方は正直嫌いじゃねぇが、嫌がる連中に押し付けるのはいただけねぇなぁ。」
 鍬丸は印を結び、精神をある境地に向けて集中し始めた。
「臨む兵、闘う者、皆 陣列べて前を行く。【求蓋の外法】!」
 瞬間、鍬丸が纏う雰囲気が変化する。気さくでやや俗によった雰囲気から超然めいた雰囲気を醸し出しながら、クナイと刀を抜いた。
「君がこの世界を乱すものだね。なら、斬らせてもらうよ。」
 鍬丸は弾宗に真正面から接近し、刀で袈裟懸けに斬りつけた。その一閃を弾宗は錫杖で受け止める。初撃を受け止められるものの、鍬丸は構わず、刀で次々と切りつけていく。正確に相手の防御の薄い部分を見極めて攻撃をしてくる鍬丸に徐々に押され始め、とうとう弾宗は頭を狛犬に変化させ、噛みついてきた。突然の変化であったが、鍬丸はそれを見切り、体をそらして、紙一重で回避する。しかし、その回避にわずかな隙が生じる。
「死ねぃ!!」
 錫杖が振り下ろされる。人を容易く砕くであろう一撃は外れることなく鍬丸の体を捉える、はずだった――突如鍬丸の右手が動き、錫杖の側面を思い切り刀で叩いた。ガキンと甲高い音が響く。錫杖がその衝撃にぶれることはなかったが、鍬丸の体は違った。鍬丸は錫杖をたたいたことで発生する反作用を利用して、刀を軸に胴体を若干に右に移動させるだけでなく、錐もみに回転することで、錫杖の直撃を避けた。
「馬鹿なっ!!!」
 鍬丸は着地をするとクナイを構え、驚愕する弾宗の胸を狙って突き出した。
「こっちが本命だよ。」
 刀に気を取られ、クナイの存在を忘れていた弾宗は再度頭を変化させ、迎撃しようとするも時すでに遅し。クナイは弾宗の胸に突き刺さる。そして、それを引き抜き距離を取ると同時に胸からあふれ、弾宗は胸を抑えながら、片膝をついた。明らかな急所への直撃。しかし、それを受けて、なお、弾宗の目には嬉々とした色が浮かんでいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アレクシア・アークライト
 あいつは戦いそのものを楽しんでいる。
 私達が勝ったとしても、あいつはきっとこの戦いに満足して死んでいくだろう。
 そんな終わり方にしたりはしない。

「貴方は正面から殴り合いをするのが好きみたいね」
「それじゃ、手の届かないところから、見えもしない、聞こえもしない攻撃を一方的にやられるのはどう?」
「力で蹂躙するのが好きなんだから、蹂躙されるのももちろん好きよね?」

・空中から念動力で攻撃する。
・精神感応で最後まで相手が嫌がる戦い方をする。

「そこいらの野犬に喰われるなんて最期はどうかしら。特別サービスで服は脱がせてあげるわよ」

・自殺などできないように動きを封じる。

「この記憶を抱いて、骸の海に帰りなさい」



 弾宗は胸元を抑えながら再び立ち上がる。その表情にはひどく楽しげな笑みを浮かべていた。しかし、その体は度重なるダメージによって動きが非常に鈍くなっていた。
「さあ、俺はまだ生きているぞ。かかってこい!」
 とても重傷を負わされたとは思えないほど溌溂と言葉を紡ぐ。瞬間、弾宗の体が何かに殴られたかのように横に吹っ飛ばされた。即座に弾宗は体勢を立て直し、キッと階段の方をにらみつけた。そこにはアレクシア・アークライト(UDCエージェント・f11308)が手を前にかざしながら、弾宗をにらみつけていた。
「まだいたのか。珍妙な技を使う小娘だが。ククク、これほど強きものが現れるとはな。」
「生憎、私はあなたを満足させる気なんてないわ。貴方は正面から殴り合いをするのが好きみたいね。それじゃ、手の届かないところから、見えもしない、聞こえもしない攻撃を一方的にやられるのはどう?力で蹂躙するのが好きなんだから、蹂躙されるのももちろん好きよね?」
 アレクシアは弾宗の言葉に冷ややかな言葉を投げかけながら、再度サイコキネシスを発動させる。姿の見えないエネルギーが次々と弾宗を襲い、徐々に後ろに後ずさっていく。
「ぬうっ!それは違うな。蹂躙することをすいているのではない。力あるものが蹂躙することがこの世の摂理だ。無論、貴様たちが俺を超える力をもつなら思うがままに蹂躙するがいい!!」
 その言葉をきっかけに弾宗は念動力による攻撃の嵐の中、無理矢理前に走り始めた。体中にボコボコと衝撃が打ちつけられるも、それを無視し、アレクシアに迫っていく。
「こんな力では俺を止められんぞ!!」
「ッ!でたらめね。ならあなたの言う通り、蹂躙してあげるわ!」
 アレクシアは振るわれた錫杖を飛び込み前転の要領で回避すると、今度は念動力で拘束した。弾宗がその場で硬直する。
「その記憶を抱いて骸の海に帰りなさい。」
「ま…だま…だ、こんなものでは…ぬるいぞおおおおおお!!」
 その拘束を気合だけで無理やり引きちぎり、その体に自由を取り戻す。しかし、その息は上がりきっていた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

紫洲川・珠璃
引き続き妖剣解放で高速移動しつつ、斬衝撃波で牽制、切り落とされた腕の方から
近づきつつ手数重視の接近戦を仕掛けるわ

一太刀交えたので、初回よりも【見切り】がうまくできるはず。
見切って攻撃をかいくぐりつつ接近し、【フェイント】を交えて【2回攻撃】

【フェイント】は本体に攻撃を仕掛けると見せつつ、弾宗の持つ錫杖を本命に狙う
うまく武器を潰せれば流れは俄然こちらに傾くわね

危険な賭けだど、読経するようならあえてさせたうえで、見切りやすい攻撃をさせ、それを回避、
発生した隙をに攻撃を仕掛けられないかしら



 息が上がりながらもアレクシアのことを警戒する弾宗。しかし、その状態は周囲に対して警戒を避けるほどの余裕はなく、大きな隙が生まれていた。その隙に高速で珠璃が切り落とされた腕の側から肉薄し、斜めに切り上げた。不意を突いた一太刀に対応しきれず、弾宗の脇腹の辺りに切り傷を作り、弾宗は後ずさる。
「…浅かったわね。」
 珠璃は小さくぼやくも、再び高速で走る。迎撃の為に錫杖が振るわれるも、一度剣を交え、弾宗の攻撃を覚えた珠璃は迫りくる錫杖を次々と見切っていく。
「今度こそ、斬らせてもらうわ!」
 珠璃は斬衝撃波を放ち、弾宗を一瞬ひるませると、一気に刀の届く範囲に捉えた。そこから流れるように刀を振るい、攻防を繰り広げていく。そして、僅かな隙をついて、珠璃は弾宗の胸に向けて、剣を突き出した。
「貴様の狙いはわかっておる!」
 しかし、その切っ先の先に錫杖が挟まれ、攻撃が阻まれ――
「残念だけど、それは外れよ。」
――ることはなかった。珠璃は初めから分かっていたかのように刀を即座に引っ込め、弾宗が持つ錫杖の持ち手に剣が向けた。そして、目にもとまらぬ速さで斬り上げ、斬り下ろされる。二度振るわれた刀は正確に同じ場所を斬りつけ、錫杖を真っ二つにした。錫杖がおられることが完全に予想外だった弾宗の体が僅かに硬直する。その隙をついて今度こそ刀を鍬丸が付けた傷に向けて、真一文字に刀を振るう。傷口から鮮血が飛び散る。
「ぐおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
 あまりの激痛に弾宗は数歩後ずさり、その場にうずくまった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

飯田・柘榴
真の姿を解放:手帳に記録された術式を燃やし、魔力に変換する。

何か勘違いしているみたいですが。個々の力がどうとか、価値がどうとか言う以前に、貴方はもう終わった存在なんです。
何を思って残骸が生きているふりをしているのかは知りませんが、早々に正しい場所へ還るが良い。

【アレクサンドリアの魔竜】を発動。普段竜の姿の構成や飛行、防御に使っている処理領域を全て攻撃に回し、【範囲攻撃】【属性攻撃】だけを放ちます。魔力の供給は十分ですから【2回攻撃】といわず何度でも消し飛ぶまで撃ち込んであげましょう。



 切り裂かれた傷口の深さを見るに瀕死であることは一目瞭然。そうなってなお、弾宗の口元には笑みが浮かんだ。
「ふふふ、ふはははははははははははははははは!たった数人でこれ程追い詰められるとは…ふふ、そうだ。この世は弱肉強食。より強い力を持つものこそがこの世に立つにふさわしい価値を持つ!!さあ、俺よりも価値があるならば俺を殺しつくして見せろ!!この世は力こそが無二の価値であることを、生の証であることをこの俺に示して見せろ!!」
 弾宗からは嬉々とした雰囲気が伝わってくる。体はボロボロで武器もない、最早まともに戦える状態ではない。それでもなお、弾宗は嬉しそうに笑う。それは自分より強いものがいることへの喜び、そして、強い者が自分が導くよりも良い世界に導くことのできるというその先の破滅にも気づかない歪んだ未来への希望を感じていたのだ。柘榴は狂気的なまでの力への憧憬に嘆息する。同時に手に持っていた手帳に記録されていた術式が燃え出した。
「何か勘違いしているみたいですが。個々の力がどうとか、価値がどうとか言う以前に、貴方はもう終わった存在なんです。何を思って残骸が生きているふりをしているのかは知りませんが、早々に正しい場所へ還るが良い。」
「…生きている…ふり?」
 柘榴の言葉に突然、弾宗から楽しげな雰囲気が消えた。柘榴の体からあふれんばかりの魔力がたまっていく。解放された真の姿は弾宗を完全に打ち滅ぼすための魔法を放つための準備に入る。
「ここが叡智の終焉。私とあなたが終わる場所です。【アレクサンドリアの魔竜】。」
 柘榴の周りに呪文の書かれた紙が殺到する。全身が紙に覆われ、それは徐々に巨大な竜の形を構成した。蟲の時に召喚された時よりもはるかに強い力を感じさせるそれは大きく口を開け、呆けたように立ち尽くす弾宗に向けて呪詛の乗ったブレスを吐き出した。炎、氷、雷、腐敗といった様々な属性のブレスが魔力が尽きるまで弾宗に浴びせられていく。そして、ブレスの雨がやみ、柘榴が【アレクサンドリアの魔竜】を解除すると、目の前に弾宗が大の字になって、仰向けに倒れていた。仮面はすでに原型をとどめないほどにひび割れている。弾宗は誰に向けるでもなくつぶやき始めた。
「俺が…生きているふり…。力あるはずの俺が、今まで生きていなかった…。生の証を、持ちながら、生きていない…。ならば、力、とは一体…」
 その疑問を最後に弾宗の体は紫の靄となって霧散していった。弾宗は死んだ後に、初めて力の価値に疑問を持った。しかし、それを理解することはできなかった。それは力に対する異常な憧憬を持った者の末路であった。

 弾宗消滅後、村の近くに突如現れた城は崩れ去り、そのまま跡形もなく消滅した。残骸すらも残らない奇妙な現象に村人たちは不思議に思ったものの、結果的に争う必要がなくなったことに満足していた。日輪村と月輪村の人々は和解し、以前の様に手と手を取り合う関係に戻ることができたのである。村人たちは猟兵たちに礼を述べ、帰っていく猟兵たちを見送るのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年01月27日


挿絵イラスト