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エンパイアウォー⑲~神そして人間の定義

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●神域を荒らす者
 遠浅の入り江で水に浮かぶように佇む社――厳島神社の回廊を歩く者が一人。
「ふん、神の住処と言う話だが随分と粗末な建物だ」
 その者は『侵略渡来人『コルテス』』。竜を伴い、建物を一つ一つ調べ保管される宝物を見ては期待ハズレだと床へ放り投げ、金で出来た装飾を引き剥がしていく。

「保管されている宝とやらは貧相なものばかりで使えん。建物の装飾は一部黄金だが少ない。そして……ここに居るという三人の女神を大いなる神、偉大なる王、麗しの姫君へ捧げる奴隷にでもと思ったが、この国の神はなかなか出て来んな。全く、この国の民どもは使えん奴らだ……」
 不満を漏らすと『コルテス』は引き連れていた竜――ケツァルコアトルへ乱暴に座る。
「まあいい、この国の民も皆殺しにしてしまえばそのうち女神共も出てくるだろう。そうなればこのケツァルコアトルのように隷属させるまでよ」
 他国の神を隷属させ椅子のように使う侵略者は、続けてぼやく。
「そもそもだ。この世の本当の神など大いなる神のみ、それ以外は全て呼称が似た下等生物に過ぎん。そして大いなる神に寵愛された私達が唯一の人間、それ以外は全て姿が似ているだけの下等生物だ」

●『侵略渡来人『コルテス』』を倒そう!
「集まってくださり、ありがとうございます!『エンパイアウォー』へ参加するみなさんへ、お知らせです!」
 グリモア猟兵のユーノ・エスメラルダ(f10751)はグリモアベースに集まってくれた猟兵たちにぺこりとお辞儀をすると話を続ける。
「『侵略渡来人『コルテス』』の居場所が分かりました! 『コルテス』は現在、山陽にあるおおきな神社、厳島神社に居ます」
 ユーノは持ってきたノートへ、ペンでざっくりした絵を描いていく。それは髭面の男。
「彼はかつていくつもの国を滅ぼして渡り歩き、神すら隷属の呪いで支配する強敵です。ですが今はかなり油断していて『戦闘の仕方を忘れて』います。なので先制攻撃はせず、予想しにくい動きの攻撃はとても当たりやすい様です」
 つまりは初見殺しのような戦術が効果的の様だ。この慢心を利用しない手はない。
「どうやら『コルテス』は自分の力で直接戦ったのは侵略を開始した最初の数回のみで、以降は『侵略して滅ぼした世界の戦力』を利用して安全圏から侵略と虐殺を繰り返してきた様です。長らく直接戦闘をしていないためいろいろ忘れていますが……だからといって本人の能力が低いわけではありません」
 ユーノは赤いペンで、『おなじ こうげき ×』と書き込む。
「本人の能力そのものは高いので、銃口や武器を真っ直ぐ向けるなどの素直な攻撃は見切られるか防御をされて激烈な反撃を行ってきます。またこの戦闘ですでに似た攻撃を受けている場合は『その攻撃は、既に思い出した』と対策をとられた上でやはり激烈な反撃を行ってくるでしょう」
 最後に追加で書き込んだのは、竜。
「最後に、『コルテス』が従えるケツァルコアトルについてです。彼女は『コルテス』がかつて侵略した別の世界の神さまの様ですが『隷属の呪い』と『コルテスが死ぬと自身も死ぬ呪い』がかけられているため、協力してくれることはなく言葉も交わせません」

●尊厳を守るため
「『コルテス』はサムライエンパイアの神社を荒らしています。そして人を人と思わず神すら隷属させ、モノとして扱おうとしています。そこには神や人としての尊厳はありません……。どうか、この侵略者を倒すことに力を貸してください」

 そう言うと、ユーノは猟兵たちを転移する準備を進めながら無事の祈りを捧げる。
「ユーノはみなさんを転移させなければならないので同行はできません。みなさまが無事でありますように……」


ウノ アキラ
 はじめましての方は初めまして。そしてこんにちわ。
 宮島の三女神いいよね……。ウノ アキラです。
 このオープニングに興味を持っていただき、ありがとうございます。


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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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●お得情報
 リプレイの執筆は書けそうな時に勧めますが、今回は金、土、日に主に書き進める形になりそうです。その関係から【プレイングを安定して受け付けられるのが『毎週木曜の8時30分』から『土曜の間』になります】ことをご了承ください。
 他にもマスター紹介のページは一読頂けると文字数を少し節約できるかもしれません。
 よろしくお願いいたします。

●依頼について
 書けそうなタイミングで順にリプレイにしていくため、基本的に順番に入れ替わりながら戦闘する形になる想定です。いつもの戦争シナリオのパターンでいきます。
 今回は書けそうな人数分だけとなります。『書きやすそうな方から採用する』ためプレイングは不採用になる可能性があります。ご了承ください。

 コルテスの予測できない攻撃方法が鍵となるでしょう。また、OPで触れている通りケツァルコアトルはもうどうにもできません。

 敵の台詞や心情描写はただの趣味です。別に意味深なフラグはありません。
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第1章 ボス戦 『侵略渡来人『コルテス』』

POW   :    古典的騎乗術
予め【大昔にやった騎馬突撃を思い出す 】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    マスケット銃撃ち
【10秒間の弾籠め 】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【マスケット銃】で攻撃する。
WIZ   :    奴隷神使い
【ケツァルコアトルの噛みつき 】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。

イラスト:シャル

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

カタリナ・エスペランサ
&&&
「――さーて。準備万端に先制できるのは願ってもないけど」
強化した《視力》で射程ギリギリから討つべき敵の姿を見据え。

攻撃は十分な《力溜め》から《先制攻撃》の利を最大に活かして放つ【世界の不完全証明】による重力崩壊での《スナイパー》で《暗殺》狙い。

(こんなに余裕を持って攻められる初手だし。少しくらい欲を出してもバチは当たらないよね)
この攻撃には《破魔》《封印を解く》も乗せて一応ケツァルコアトルの解放も試みます。

全力の一撃を放てば即座に《空中浮遊》も活用して反撃前にその場を離脱、先に攻撃が飛んでくるならダガーの《武器受け》で防御。もし味方が戦っているなら以後は《支援射撃》でアシストします。



●侵略者の不完全性
「――む、こちらを見ている者がいるな」
 視力の優れた者なら視認できるかという距離の海岸沿い。そこに一人の人物が立っていることに『侵略渡来人『コルテス』』は気がついた。油断しきっているとはいえ、その能力はやはり高い。
「見た所は銃も弓も持っては居ないようだな。ふん、気にするまでもない」
 そう呟くと、『コルテス』は海岸沿いに立つ人物――カタリナ・エスペランサ(閃風の舞手(ナフティ・フェザー)・f21100)を無視してボヤきを続ける。
「建物は石ではなく粗末な木の作りばかり、細工は緻密だが黄金は少なく宝石も見ない、奴隷に良さそうな神もなかなか出てこん。大いなる神や偉大なる王へ捧げる土産が足りんな。麗しの姫君へ捧げる宝石も見つからん。全く……」

「――さーて。準備万端に先制できるのは願ってもないけど……って、今こっち見られた? 気づかれたかな……」
 カタリナは『コルテス』の様子をじっと確認するがケツァルコアトルを椅子代わりにし不満げな顔で何やら呟いているのみでこちらを警戒している様子はない。武器でも向けようものなら即座に反撃をされそうだが……カタリナは武器を手にせず精神を集中し力を溜めていった。
 スゥー、と深い呼吸をするとカタリナは改めて、ピンクの瞳で遥か遠くの『コルテス』を見る。同時に身に宿す魔神の権能を限定解放した。それは力量に応じた距離の『視た』対象の周囲に疑似的な重力崩壊を発生させる――ユーベルコード『世界の不完全証明』。

「さて、富士山の女神のようにこちらも出て来ぬというなら次はどうするかだが……。この国の民どもを使い休ませずに手当り次第に掘り返せば黄金の鉱脈の一つでも――」
 突如、『コルテス』の周辺の空間の重力が歪んだ。目の前の空間が未来永劫、何事も無く安定しているという保証は何処にもない――そんな世界の不完全が魔神の権能によって重力崩壊という形で証明される。
「ぬ……っ! ぬおおおお……っ!」
 突如発生したブラックホールの様な疑似的な重力崩壊は『コルテス』を覆うとメキ、メキとその身を圧殺せんと潰しにかかる。なんとか圧潰に耐えた『コルテス』はマスケット銃へ素早く弾を込めカタリナを狙った。
「この距離で武器を使わずこれだけの攻撃を行うとは……! 下等生物なりにやるではないか。生き残れば褒美に隷属させてやろう」
 即座に離脱しようとするカタリナへ向けて『コルテス』はマスケット銃を撃った。その弾は急所を狙っていたが、カタリナのダガーに防がれ跳弾はカタリナの肩を抉る。しかし直ぐに二発目の弾を籠め射撃体制に入った頃には、既にカタリナは離脱し終え、その姿は無かった。
「逃したか。……痛っ、どこか骨にヒビでも入ったか? 全く忌々しい」

 カタリナの一撃による負傷の痛みから戦い方を一部思い出しながら『コルテス』は狙撃を警戒し本社の本殿へと入っていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

村崎・ゆかり
&&&

神を穢す瀆神の徒。それが異教の神だろうと、その所業は許しがたいわ。
二度と人の世に迷い出る事がないよう、討滅する。
あなた相手に名乗るほどあたしは暇人じゃない。どうせ聞いたところで覚えられる頭じゃないでしょ。

「全力魔法」炎の「属性攻撃」の不動明王火界咒の符をコルテスを中心に社殿全域にばらまいて、建物ごと焼き殺す。
あたしは「オーラ防御」「火炎耐性」で防ぎ、自分の周りに寄ってくる炎はそもそも消し去るけど。

本命は炎に紛らせた黒鴉召喚の式に符を加えさせ、コルテスの間近で火界咒を炸裂させること。
「全力魔法」炎の「属性攻撃」に加え「衝撃波」を頭の至近で発動させるわ。

コルテスが目覚める前に火を消して撤収。



●信仰のカタチ
 本社の本殿で襲撃者に備えて待ち構える『侵略渡来人『コルテス』』。その侵略者に村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)は対峙した。
「神を穢す瀆神の徒。それが異教の神だろうと、その所業は許しがたいわ」
「ふん、子供か。労働力としては直ぐは使えんな。物好きには売れるかもしれんが」
 相手をモノとして見る『コルテス』に対し、ゆかりは白紙のトランプのような『霊符『白一色』』を取り出す。
「あなた相手に名乗るほどあたしは暇人じゃない。どうせ聞いたところで覚えられる頭じゃないでしょ」
 そう言うとゆかりは『コルテス』本人ではなく周辺へその霊符を放った。
「ノウマク サラバタタギャテイ――」
 霊符から放たれた絡みつく炎が本殿を焼いていく。
「ここは貴様らの神の聖域ではないのか? ここを出るぞ、走れケツァルコアトル!」
 火に包まれぬよう『コルテス』はケツァルコアトルに飛び乗ると本殿を飛び出しそのまま浅瀬の海へと飛び降りる。
「大いなる神以外は神とは認めないが……よもや自分たちの信仰する神の住まいへ火を放つとは……つくづくこの国は野蛮なのだな」
 呆れながら振り返る『コルテス』だが、あれだけ火の手がまわっていた本殿は少しの焦げを残し既に火は鎮火していた。
「どういう事だ……あれだけの火がもう消えたというのか?」

 襲撃を受ける最中に『コルテス』は襲撃者ではなく鎮火した火に気を取られていた。その油断により、続けて襲いかかる鳥形の式神――ユーベルコード『黒鴉召喚』がくわえる霊符に気づくのが遅れる。
「ノウマク サラバタタ――」
 真言の詠唱が響くと『コルテス』の直ぐ頭上で絡みつく炎――ユーベルコード『不動明王火界咒』が再び、今度は社ではなく敵へと放たれる。しかし――。
「いつの間に! ……だが、この炎は先程も見たぞ!」
 放たれた炎は衝撃波も伴い『コルテス』へと襲いかかるが顔の一部と防御に使われた片腕を焼くのみに留まった。
「バカに出来ない火力だ。……防げなければ反撃すら出来ぬところだったな」
 受けたダメージを確認した『コルテス』はケツァルコアトルへ跨ると不敵に笑む。
「思えばこうして私自ら戦うのは何年ぶりか。かつては馬を駆り兵を率いて勇猛に突撃したものだ。行くぞ、この戦いは大いなる神へ捧げるため!」
 大昔に行った騎馬突撃を思い出し戦いの勘を少しだけ取り戻した『コルテス』はケツァルコアトルを駆ると、平舞台へ飛び乗り一気にその距離を詰める。
「先程の鳥の様な使い魔にはしてやられたぞ! その借りを返させてもらう、異教徒の下等生物め!」
 ケツァルコアトルの噛みつきが反応する暇もないままゆかりを襲う。しかし先程の火傷の影響か、顔を歪めた『コルテス』が姿勢を崩しケツァルコアトルもバランスを崩して狙いが外れた。その牙は噛み付くには至らず腕に傷をつけるに留まる。
「調子が悪そうね。無理しないことを勧めるけど」
 この隙にゆかりは敵から距離をとり態勢を整えた。

「ええい、腕にいつもの力が入らん!」
 対する『コルテス』も腕の火傷の痛みを振り払うように腕を振りながら態勢を整えるため距離を離す。

成功 🔵​🔵​🔴​

彩波・いちご
&&&
他の神への敬意の欠いたその所業、猛省していただきますね?

他とかぶりそうにない攻撃……私の場合はやっぱりこれですかね?
全力全開で【異界の抱擁】の触手召喚をします!
「そんなに新たな神が欲しいのなら、異界の邪神の慈悲を受けるがいいですっ」

コルテスの足元に召喚用の影を伸ばし、そこから触手の海といえるくらい全力で大量に!
「触手の海に溺れなさいっ!!」

そのままうねうねと蠢く触手の中に落として、全力で絡みつけ、そして縛り上げて締め上げていきます
締め上げてそのまま絞め落せればよし、そうでなくても触手で絡むことで動きは束縛できるでしょうから、あとは他の人の攻撃に任せてもよし、ですっ



●神の抱擁
 いちど態勢を整えようとする『侵略渡来人『コルテス』』の足元へ影が伸びてきた。
「それで不意をついたつもりか!」
 影を察知すると跨がるケツァルコアトルを飛び退かせて影を回避する。
 しかしそれはあくまで『影を』回避するための行動。影からさらに指向性のある触手が放たれる事までは想像していなかった。
「ふんぐるいふんぐるい……」
 影から異界の触手が放たれる。影から放たれたものが直線的な動きをするなら払い落としたり迎撃するなどの対応も出来ただろう。しかし自在に蠢き伸びるそれを相手にするには、飛び退く速度も距離も遅く短い。そこには『コルテス』の慢心があった。
「何だこれは、悪魔の眷属か!?」
 絡みつく触手に引き込まれないようその場に踏みとどまる『コルテス』、先の戦闘の負傷もあり咄嗟に力が入らず直ぐには引き千切れずにいた。そんな彼へ影の主が語りかける。それは少女に見える可憐な男の娘。
「他の神への敬意の欠いたその所業、猛省していただきますね?」

 土地神様の化身として育てられた彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)にとって、『コルテス』の神をモノのように扱う言動は愉快なことでは無かった。
「その格好、踊り子か何かか? 見た目は悪くない。大いなる神、偉大なる王、麗しの姫君への贈り物が足りぬところだったのだ」
 いちごを値踏みするように見た『コルテス』は両腕に力を込め触手をようやく引きちぎる。しかし即座に次の触手が絡みつきその自由を許さない。
「そんなに新たな神が欲しいのなら、異界の邪神の慈悲を受けるがいいですっ」
「この滑る蔓の性質や動きは把握してきたぞ。もう通じぬ……、ぬおっ!?」
 いちごの影から大量の触手が放たれた。それは洪水のように一気に広がり海原の無限の水のように周囲を満たしていく。一つや二つなら対応が出来てもその数が一気に増えれば対処法はまた変わる。
「――星海の館にて微睡む我が眷属よ! 触手の海に溺れなさいっ!!」
 いちごの放つ触手の海――ユーベルコード『異界の抱擁』に対して『コルテス』は二つ三つと避けて引きちぎり銃で撃ち抜くが、蠢く眷属は対象へ絡みつこうと幾度も襲いかかり行動を阻害しながら広がっていく。時間と共にその襲撃は四方八方からのものになりついには『コルテス』を捕らえた。
「なんと気色が悪い……おいこいつ、服へ入るな! ケツァルコアトル、何とかしろ!」
 ケツァルコアトルも同様に絡め取られたうまく動けずにいる。『コルテス』は触手に嬲られながらもメキ、メキと絞められていく。
「ぐぁぁぁっ……このまま絞め殺す気か。ケツァルコアトル、私が死ねば、お前も死ぬのだぞ……。何とか……しろ!」
 なんとか抜け出したケツァルコアトルが触手の追撃を躱しいちごへ襲いかかる。
「……っ!」
 咄嗟に『マイクロッド』で防ごうとするが相手の方が速い。その顎はいちごの腕へ噛みついて動きとユーベルコードを封じた。

「良くやった、ケツァルコアトル。気色の悪いあの悪魔の眷属どもは、そのまま封じさせてもらうぞ」
 心底嫌そうな顔で『コルテス』は乱れた服を直す。触手の締め付けで膝を痛めたのか、すこし歩きがぎこちなくなっている様だ。
 戦闘の仕方を多く忘れている事と慢心から非常に隙だらけではあるが、本人たちの能力は相応に高い。さらに戦う度に思い出して戦闘センスを取り戻していく『コルテス』だが、しかしここまでの攻撃で確実にダメージは蓄積し動きは鈍くなってきている。

成功 🔵​🔵​🔴​

無銘・サカガミ
「神」すら隷属させる、ねえ…その発想は無かったな。ただ殺すだけとしか思ってなかったが…。いや、それにしても柄ではないな…。

まあいい。勝手に慢心して変人と、ついでにその「神」も討ってやるとしようか。

錆びた刀を抜きコルテスに迫る。
そのまま刀で斬りつける…とでも思ったか?
いいや、今回の俺の武器は…「髪」だ。
十分な距離まで近づいたら刀を投げ捨てる。
烈火のごとく燃え盛り、歌舞伎の連獅子の如く、しかしてより長くなる髪を振り回し殴り付ける。

意外か?だがこれもまた、俺にかけられた「神」からの呪いだ。
大いなる「神」なんてちっぽけなやつよりも…あいつの方が、ずっと性悪さ。



●神に抗うもの
 ケツァルコアトルに騎乗し操る『侵略渡来人『コルテス』』。その戦い方を緑色の瞳が観察していた。
「『神』すら隷属させる、ねえ……その発想は無かったな」
 知られている神話では太陽神または農耕神とされ蛇神とも言われるケツァルコアトル。しかし目の前のその姿は『コルテス』による呪いによってただの道具と成り下がっている。そんな『神』の姿に無銘・サカガミ(「神」に抗うもの・f02636)は少々思う所があった。
 故郷を『神』と名乗る化物に滅ぼされ、自身の体にも幾重もの呪いを刻み込まれた彼にとって『神』は滅する対象でもある。しかし目の前のコレは滅する以上の侮辱なのではないだろうか。
「ただ殺すだけとしか思ってなかったが……。いや、それにしても柄ではないな……」
 復讐の手段として一度は選択肢に考えるが、サカガミはその考えを打ち消して『錆びた刀』を抜いた。それは自身に宿る呪いを流し込むことで自壊するまでの短時間だけ業物と化す使い捨ての武器。
「まあいい。勝手に慢心している変人と、ついでにその『神』も討ってやるとしようか」
 味方の攻撃に巻き込まれないタイミングを計るとサカガミは錆びた刃を手に『コルテス』へ駆け寄っていく。

 乱れた服を直した『コルテス』は武器を手に駆け寄るサカガミに気がついた。
「その錆びた鉄棒で挑むか。しかもそのような愚直な動き、対処が容易いな」
 向かい来るサカガミへマスケット銃の銃口を向ける『コルテス』だったが、サカガミの『武器を捨てる』という突飛な行動で動きが止まった。
「そのまま刀で斬りつける……とでも思ったか?」
「血迷ったか。いや、奴の武器は拳か? まて、こういう時は……!」
 先程までの戦いを思い出した『コルテス』は頭上や足元からの不意打ちを警戒する。だがこれらの予想は全てがハズレだった。そうする間にもサカガミは迫ってくる。銃の間合いが槍の間合いへ、そして剣の間合いへ。ここまで詠唱も予備動作も無く、サカガミの手には一切の武器がない。
「やはり、拳か!」
 拳の間合いへ入る前に『コルテス』はサカガミを大きく蹴り上げようとした。その時、視界に燃える髪が映る。
「いいや、今回の俺の武器は……『髪』だ」
 相手の手の内を知らないまま拳と決めつけ隙の大きい動作で対処に動いた『コルテス』の慢心にサカガミのユーベルコード『八百万の呪い・灼髪乱舞』が襲いかかる。
「意外か? だがこれもまた、俺にかけられた『神』からの呪いだ」
 サカガミの漆黒い髪が赤く染まり火の粉をまといながら鞭のようにしなりつつ広がった。それは『コルテス』の足へ絡みつき動きを阻害して焼いていく。
「このくらい、引き千切って……ぐぬっ!」
「逃すと思うか? ……あぁぁぁぁああ!」
 しかしサカガミは即座に歌舞伎の連獅子の如く、髪を振り回した。この動きにより『コルテス』は足を絡め取られたまま転倒し、足から解た髪が幾度と打ち据えられていく。

 防戦一方となり反撃できずにいる『コルテス』は燃え盛る髪を打ち据えられながらも立ち上がると防御をしながら逃亡を計った。
「下等生物が……調子に乗るなよ! 大いなる神に祝福された私達に勝てると思うな! 来い、ケツァルコアトル!」
 本殿を出ようとする『コルテス』の捨て台詞に、サカガミは呟く。
「大いなる『神』なんてちっぽけなやつよりも……あいつの方が、ずっと性悪さ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

オブシダン・ソード
【紳士と剣】
モノをモノとして扱うのはいいけどね
相互の信頼って知ってるかい?

器物の剣をジェイクスの手に
さあ、行こうか相棒。僕が君の剣になr

……何で投げるかなぁ、傷付くなあ
とはいえ必殺技感は出させてもらうよ、炎の属性攻撃で尾を引くジェット噴射みたいな演出しながら飛んであげる

天井だか柱だか、飛んでった先に突き刺さって待機
コルテスが調子乗ったあたりで仮初の人の身体を顕現させようか
剣を引き抜きながら落下
頭上から襲い掛かれるならそれで、無理なら竜の上を駆けて接近
ユーベルコードで蹴り飛ばしてあげよう

調子こいてる君が悪いよ
蹴り落とせたらジェイクスと一緒に追い打ちをかけに行こう
敵将、討ち取ったり、ってね!


ジェイクス・ライアー
【紳士と剣】
小物ほど、よく舌が回るものだ
オブシダンを構え敵の前へ躍り出る

神速による撹乱、指輪から鋼糸を射出し竜の体を拘束、距離を取る

これで終いだと
剣をくるり回し、刃研ぎ澄ます大見得切り
敵に目掛け正確無比な直線コース
剣たる男からすれば不本意かもしれないな
だが火花を散らす様は打ち合わせもしていない割には気の利いた演出だ

愚直な投擲
回避されるところまでは予測済み

さあ狙え、武器を手放した私の愚行を嗤うがいい
回避、防戦、不利に転じた戦況
その中で誘導を

モノにもモノの意思がある
反逆くらいは覚悟しているのだろうな?

地に待つのは鋼糸の檻
蹴り上げ爪先の凶刃を振り下ろす
縦一文字
私を一人と侮ったのがお前の敗因だ



●戦場に立つ紳士
「下等生物が……調子に乗るなよ! 大いなる神に祝福された私達に勝てると思うな! 来い、ケツァルコアトル!」
 ケツァルコアトルを呼び戻した『コルテス』は逃亡のため本殿を出ようと試みた。その行く先を阻む青い瞳の人物が一人。ジェイクス・ライアー(驟雨・f00584)は鈍く輝く一振りの黒耀石の剣を手に佇んでいた。

「私達に似た姿の下等生物、そこを退け」
「断る」
 ケツァルコアトルに跨った『コルテス』は出入り口を塞ぐ存在を見下ろしながら命令するがジェイクスは即答で断った。
「言葉が理解できんのか? 退けと言ったのだ。今の私はお前と遊んでいる暇はない」
「確かに逃亡に忙しい様だ。モタモタしては追撃を受け、下等生物である私たちに倒されてしまうからな」
 ジェイクスは落ち着いた振る舞いで棘を包んだ言葉を返す。この余裕のある言葉と態度が『コルテス』を苛立たせた。
「大いなる神に寵愛された私達人間の偉大さを、この良く似た下等生物に思い知らせねばならない様だな……」
 怒りを表した『コルテス』はジェイクスへマスケット銃の銃口を向ける。だが――。
「小物ほど、よく舌が回るものだ」
 だが、先に動いたのはジェイクスの方だった。神足で敵に接近し近接武器による素早い一撃を放つユーベルコード、『不倶戴天』。だが対する『コルテス』もジェイクスの素早い接近を捉えていた。
「速いだけか、やはりお前たちは下等な生物だな!」
 ジェイクスの持つ黒耀石の剣を警戒しマスケット銃で受け流そうとした『コルテス』。だが、ジェイクスの攻撃は剣ではなく指輪――『Ring』に仕込まれた鋼糸。
「ぬっ!」
 武器を持っていなければこれまでの戦闘から何かしらの暗器を警戒しただろう。しかし武器を持ったまま鋼糸を繰り出したため『コルテス』は対処をすぐに思い出せず反応が遅れた。『コルテス』は乗っていたケツァルコアトルを盾にするように蹴り、乗り捨てて飛び上がることで回避、盾にされたケツァルコアトルは鋼糸に絡み取られた。
「これで終いだ」
 鋼糸を避けて飛び上がった敵へ黒耀石の剣が投擲された。黒耀石の剣は炎を纏い、尾を引くように標的へ真っ直ぐ飛んでいく。
「ぬぅっ!」
 それを『コルテス』は持ち前の能力の高さで空中で身を捻り回避した。黒耀石の剣はそのまま天井の梁に刺さる。この攻撃が外れたことでジェイクスは主な武器を失った。
「剣を失ったか! お前の武器の残りはその指輪の糸だったな、その武器も理解した。終わりなのはお前の方だ!」

●黒曜石に願いを託し
 ジェイクスが手に持っていた黒耀石の剣……それには意思があった。その正体はヤドリガミであるオブシダン・ソード(黒耀石の剣・f00250)。仮初めの肉体を隠し剣の姿になったオブシダンはジェイクスへその身を預け、切り札として敵の不意をつくため一つの武器として振るわれている。
 ジェイクスの狙いと誘導の通りにケツァルコアトルは鋼糸に絡み取られ、『コルテス』は空中へ飛び上がった。いくら油断と慢心にまみれているとはいえ、こうも手のひらで踊らされているとは当の『コルテス』も思わないだろう。
「これで終いだ」
 空中で自由に動けない『コルテス』へ向けジェイクスはオブシダンを持ち上げた。邪魔なケツァルコアトルが封じられたことで、しばらくは剣が活躍することだろう。
(さあ、行こうか相棒。僕が君の剣にな――)
 グンッといつもと違う加速が身体にかかる。これは――。
(……何で投げるかなぁ、傷付くなあ)
 一度も剣として使われないまま投擲されたオブシダン。ちょっぴり傷心になりながらも『コルテス』を騙すために技っぽく振る舞う。投げられたオブシダンは黒耀石の刀身に炎を纏い空中に炎の尾を描いた。『コルテス』に回避され天井の梁に突き刺さったオブシダンは下を見下ろし成程と思う。
(ここから斬れって訳ね)

●意思の重み
「剣を失ったか! お前の武器の残りはその指輪の糸だったな、その武器も理解した。終わりなのはお前の方だ!」
 空中で落下に転じながらマスケット銃を構える『コルテス』。他にも武器を隠し持つことを考え、ジェイクスの挙動に注意を払いながら狙いを定める。対するジェイクスは激しい運動でズレた首元のスカーフの位置を直していた。
「モノにもモノの意思がある。反逆くらいは覚悟しているのだろうな?」
「何?」
 シャッとよく磨かれた石と木が擦れる音が微かに響く。それは、天井に刺さった黒曜石の剣が引き抜かれる音。仮初の身体を顕現させたオブシダンは自身の本体である黒曜石の剣を天井から引き抜き構えた。
「モノをモノとして扱うのはいいけどね。相互の信頼って知ってるかい?」
 そのまま天井を蹴り『コルテス』の背後となる、より上方の空間から刃を振り下ろす。
「ぐああぁぁっ!?」
「調子こいてる君が悪いよ。敵将、討ち取ったり、ってね!」
 オブシダンに背をバッサリ斬られた『コルテス』は、続けてユーベルコード『問答無用蹴り』により蹴り飛ばされた。
 蹴り飛ばされ落下する先に待ち受けるのは張り巡らされた鋼糸の檻。落下した標的は細く丈夫な金属の糸へ叩き込まれ全身を裂かれて悲鳴をあげた。さらに追撃を加えるべくジェイクスは標的を蹴り上げる。
「かはっ……」
 蹴り上げられた箇所から血が流れていく。『コルテス』を蹴り上げたその革靴――『Oxford shoe[Ⅱ]』のつま先にある仕込み刃が、その腹部へ深々と刺さっていた。
「私を一人と侮ったのがお前の敗因だ」

 オブシダンも加わり『コルテス』へ止めが刺されようかという時だった。ケツァルコアトルが大きな声をあげ自身を絡める鋼糸を強引に引きちぎって脱出する。
 抜け出したケツァルコアトルは続けて鋼糸の檻へ突撃した。『コルテスが死ぬと自身も死ぬ呪い』をかけられているケツァルコアトルにとって『コルテス』の消滅は自身の消滅でもある。ケツァルコアトルは『消滅したくない』という自身の意思により、鱗が剥がれ血を流し肉を裂きながら『コルテス』を救出してこの檻を抜け出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

霧島・絶奈
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◆心情
慢心により身を亡ぼす…まるで寓話です
指揮官ですら無くなった政治屋に勤まる程、戦場は甘くありません
ねえ隷属する価値も無き者よ

◆行動
『暗キ獣』を使用し軍勢を展開
「鉄床戦術」にて敵を【範囲攻撃】
…と見せかけて本命は別にあります

【目立たない】事を利用し、軍勢に紛れて行動
【罠使い】として罠を仕掛けつつ接近
軍勢と連携し、【二回攻撃】する【範囲攻撃】で【マヒ攻撃】しつつ罠に誘導
軍勢、罠、私自身の攻撃
これらの複合戦術は、耄碌した「叡智」に対策される程、安い手ではないと自負しています

知恵を持つ者が感じる最高の恐怖
「未知」を以て【恐怖を与える】としましょう

負傷は【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復



●屍者と屍獣の軍勢
 ケツァルコアトルは『侵略渡来人『コルテス』』を救出すると、逃走した。それは信頼でも忠義でもなく単に『コルテスが死ぬと自身も死ぬ』からでしかない。ケツァルコアトルは『恐怖』により縛られていた。
「良くやったぞ……ケツァルコアトル。呪いをかけておいたのは、正解だったな」
 満身創痍な状態の『コルテス』はケツァルコアトルの背に力なくしがみつく。このままケツァルコアトルが恐怖を原動力に逃げ切れば助かる。そう考えていた『コルテス』だが……本殿の拝殿を抜け東廻廊へ出たところでケツァルコアトルの足が止まった。
 そこには廊下を――いや、廊下の外の浅瀬の海や近くの島の岸壁にも――槍を持つ屍者の軍勢と疫病を纏う屍獣の群が埋め尽くしていた。

 直接戦闘については多くを忘れている『コルテス』だが、忘れているのは戦士としての個々の『戦闘の仕方』の話。兵の動かし方や運用といった戦術や戦略など指揮官としての能力については別となる。そしてそれ故にこの布陣は直ぐに見抜かれた。
「二つに分けた挟撃……鉄床戦術か」
 このまま戦力をぶつけるだけなら単調な雑兵の攻撃は何の驚異にもならない。『コルテス』は『これまでの戦闘を思い出して』さらなる驚異を予想していく。
 武器を用いない狙撃、目立たない存在による不意打ち、遠距離から伸ばしたものからの召喚と自在に動く細長いものによる攻撃、手に持たない暗器による不意打ち、そして『誘導』からの複数人による不意打ち――。
「進軍の動きに、誘導しようとする意思があるな……何処かに指揮官が居るはずだが……ともかく、突破するならあの辺りか」
 滅ぼした世界の戦力を運用してきた経験から軍勢の弱い点を見抜き『コルテス』は逃走するための経路を組み立てる。
「私は、大いなる神、偉大なる王、麗しの姫君へ贈り物を捧げるためにも下等生物どもに負けるわけにはいかんのだ。ここを突破するぞケツァルコアトル。私の指示通りに動け」

●誘導の失敗
「軍勢と罠が、見切られた……?」
 自身のユーベルコード『暗キ獣』により生み出した軍勢に紛れ、その存在を目立たなくした霧島・絶奈(暗き獣・f20096)は軍勢に紛れながら『媒介道具』などを用いUDCを利用する罠を仕掛けていた。
 罠を仕掛けながら軍勢と自身の攻撃で罠へ誘導していくつもりでいたが、屍者と屍獣の軍勢による通常の攻撃は『コルテス』には効いておらず、逆に蹴散らされて絶奈や罠から離れる方向へ進まれている。
(この複合戦術は、耄碌した『叡智』に対策される程、安い手ではないと自負していましたが……)
 絶奈はランスの『【Innocence】』を手にした。
「……まだ見つかっては居ないはず。ならば……逃げられる前にこの軍勢に紛れたまま直接戦闘を仕掛けましょう」

●恐怖と慢心
「雑兵で私を止められると思うな」
 騎馬突撃のようにケツァルコアトルを駆り、マスケット銃を撃ちながら『コルテス』は屍者と屍獣の軍勢を退けていく。絶奈はその軍勢に紛れて『コルテス』へ接近した。敵を十分な間合いにおさめた絶奈は『【Innocence】』を突き出す――目立たないことによる不意打ちである。しかしその不意打ちは既に経験済みで読まれていた。
「その攻撃は、既に思い出した」
 ランスを避けた『コルテス』は絶奈の姿を確認した。その姿はユーベルコードにより変化した異端の神々の似姿。
「お前が指揮官か……なんとおぞましい」
 その姿へケツァルコアトルが噛みつくと絶奈のユーベルコードは封じられ、屍者と屍獣の軍勢は消えて絶奈の姿も元に戻った。

「くっ……」
 絶奈へマスケット銃を向ける『コルテス』。その顔に見えるのは『未知』なる異端の姿への恐怖。そして――。
「ここまでのようだな、悪魔め」
 ケツァルコアトルに噛みつかれ動けない絶奈へマスケット銃の銃弾が撃ち込まれた。大量の血を流し体に穴を開けながら、絶奈はなんとか意識を保つ。
「ただでは殺さんぞ下等生物。一匹くらいは隷属させ戦力も確保しなければ大損だ」
 わざと『コルテス』は急所を外していた。その顔に見えるのは、恐怖と慢心――負けるはずが無いという慢心。そして隷属は成功するという慢心。
「お前のあの姿は私の趣味ではないが、力は役に立つ。ケツァルコアトルと同じ呪いをかければ私に逆らうことも無いだろう」
 呪いを与えようと『コルテス』はケツァルコアトルを降りて絶奈に近づく。その接近に絶奈は、笑った。
「クク……フフフ」
「……気でも狂ったか?」
 絶奈の笑いに不気味さを感じ『コルテス』は足を止めた。
「恐怖は視野を狭めます、そして慢心も」
 足を止めた『コルテス』の足元に『媒介道具』が仕掛けられていた。それは絶奈が直接戦闘を行う直前の接近した際に仕掛けたもの。この『媒介道具』を通し形容し難い何かが具現化され『コルテス』へ纏わり付いた。
「これは、何だ、くそっ」
 具現化された何かは『コルテス』の傷口から内部へ入った。そして獲物を生かしたまま中から喰らっていく。
「があああっ! か、神よ、大いなる神よ……!」
 生きたまま中から喰われた『コルテス』は、為す術もないケツァルコアトルの前でしばらく苦しみ息絶えた。

 意識が途切れそうな程の苦痛の中で絶奈はケツァルコアトルと共に消滅していく『コルテス』を見る。
「慢心により身を亡ぼす……まるで寓話です。ねえ隷属する価値も無き者よ」


 猟兵たちの活躍によりこの場の『侵略渡来人『コルテス』』は倒された。

 そして、他の戦場の攻略もありエンパイアウォーの主戦場は『魔空安土城』へと移っている。残すは『大帝剣『弥助アレキサンダー』』と『第六天魔王『織田信長』』。
 最後の決戦が行われている。

苦戦 🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年08月25日


挿絵イラスト