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エンパイアウォー㉑~海から来た災厄

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #魔軍将 #弥助アレキサンダー #一人称リレー形式

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●グリモアベースにて
「まったく、戦争の前に暑さでヘバりそうだぜ。皆も夏バテしないように気をつけろよー」
 伊達姿のケットシーが猟兵たちの前で甘酒を飲んでいた。
 グリモア猟兵のJJことジャスパー・ジャンブルジョルトだ。
 肉球マークの蕎麦猪口を満たしていた白い液体を飲み干すと、JJは本題に入った。
「さて、夏バテ対策を済ましたら、戦争の話といこうか。ファランクスだのなんだので色々と手間をかけさせてくれた敵将の弥助アレキサンダーの居場所が判ったんだわ。奴がいるのは関門海峡。そう、海の上だ」
 弥助アレキサンダーは、『メガリス』と呼ばれる渡来人の至宝を所持している。そのうちの一つ『闘神の独鈷杵』の力で海面に大渦を発生させ、渦の中心上に浮遊しているのだという。
「それだけでも厄介だっていうのに、手下まで連れてやがるんだよ。まずは毛利水軍。そいつらはオブリビオンじゃなくて、『大帝の剣』っつーメガリスで洗脳された侍たちなんだよ。そこそこ強い連中だが、猟兵の敵じゃねえな。しかし……」
 命を奪うという形で毛利水軍を排除することは難しくない。だが、その場合、江戸幕府の未来に禍根を残すかもしれない。なるべくなら、殺さずに無力化するべきだろう。
「手下は毛利水軍だけじゃねえ。豊臣秀吉という名の犬だかなんだか判らない奴もいる。モフモフな見た目に騙されるなよ。毛利水軍と違って、強敵だぞ」
 メガリス『逆賊の十字架』の力によって、秀吉はスピードと反応速度が強化されている。海上をゴム毬のように跳ね回りながら戦うことだろう。なお、秀吉は『フェン!』と鳴くことしかできないが、なぜか意思の疎通が可能であるらしい。
「そいらを倒さないと、弥助アレキサンダーに挑むことはできねえ。当然のことながら、弥助アレキサンダーは配下たちよりも強い。海の上に浮遊した状態で三つのメガリスを使って戦いやがるんだ。まあ、浮遊っつっても、そんなに高いところまで飛べるわけじゃないようだが」
 秀吉も弥助アレキサンダーも猟兵との戦いにおいては常に先制攻撃をおこなうことができる。それに対抗するための策がなければ、苦戦は必至だろう。また、海上での戦いとなるので、海を移動するための術も必要だ。
「厳しい戦いになるだろうから、気を引き締めてかかってくれや。あ、そうだ。戦場に行く前にこれを飲んで栄養をつけとけ」
 そう言って、JJは猟兵たちに甘酒を配り始めた。


土師三良
 土師・三良(はじ・さぶろう)です。
 本件は「戦争シナリオ」です。従来の戦争シナリオと違い、三章構成なので御注意ください。

●特殊ルールについて
 大帝剣『弥助アレキサンダー』および隠し将『豊臣秀吉』は、先制攻撃を行います。
 これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。

●海上戦について
 すべての章を通して海上での戦いとなりますので、飛ぶ、泳ぐ、乗り物を使う、海水を飲み干す等の手段を用意したほうが望ましいです。いえ、すいません。最後の『海水を飲み干す』は冗談なので真に受けないでください。
 複数の章に続けて参加する場合、「前章と同じ手段で移動」と書けば、字数を節約できるかもしれません。もちろん、一章毎に違う手段を取ることもできますが。

 それでは、皆さんのプレイングをお待ちしております。

 ※章の冒頭にあるPOW/SPD/WIZのプレイングはあくまでも一例です。それ以外の行動が禁止というわけではありません、念のため。

 ※基本的に一度のプレイングにつき一種のユーベルコードしか描写しません。あくまでも『基本的に』であり、例外はありますが。
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第1章 冒険 『毛利水軍を突破せよ』

POW   :    邪魔する船をひっくり返すなど、力任せに毛利水軍を突破します。

SPD   :    毛利水軍の間隙を縫うように移動し、戦う事無く突破します。

WIZ   :    毛利水軍の配置、天候、潮の流れ、指揮官の作戦などを読み取り、裏をかいて突破します。

👑3
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●幕間
 海上に発生した大きな渦の周囲を数隻の軍船が巡っていた。渦に巻き込まれないように距離を取りながら、それでいて離れすぎることもなく。
 船上で武器を手にしているのは軽装の武士たち。皆、屈強な体躯をしているが、目が死んでいる。
 洗脳されて、本来の心を失っているのだ。
 今の彼らの目には猟兵が敵として映ることだろう。
 
クリストフ・ポー
内緒なんだけどさ
泳ぎは余り上手じゃ無いんだよね…
ジャンプと空中戦とパフォーマンス踏みつけ
の技能で何とかならないかな?
そう、義経の八艘飛びみたいに。華麗にね!

そうなれば都合上船の上を渡っていかないといけない
だから途中で会う水軍には
その間海に落ちて貰うのが望ましいね

移動はダッシュ
アンジェリカとダンスの動きでフェイントをかけ
死角から2回攻撃で武器落とし
足を払って落ちてもらう
反撃にはなるだけ動きを見切り、盾受けして
柔よく剛を制すの要領でぽーいっ
戦闘知識と医術の心得があれば
関節のコントロールもお手のものなのだよ
落ちてる武器は海に投げて時間稼ぎだね

ピンチの時は伸びてる海軍兵にUC
僕の替りに殴り合って貰おう


ソラスティベル・グラスラン
ふふふっ、こういう時に翼は便利ですね!

竜の翼で毛利水軍へひとっ飛びです!【空中戦・ダッシュ】
勿論彼らは私を撃ち落とそうとするでしょう…

―――ならば!徹底的に守りを固めるのみ!!

ここに誓うは不退転の意思
勇者とは民を守る為、身を盾とする者!
これがわたしの、勇者理論です!!(防御重視)
【勇気】と【気合】と根性の鎧が危機を遠ざけ、船の上に華麗に着地っ
【盾受け・オーラ防御】で更に守り、突撃です!

毛利水軍は操られているだけ
彼らもまた『勇者』として守るべき無辜の民です!
少々手荒ですが、大斧の側面でべしべしっと気絶して貰います!ごめんなさ~い!

待っていてください、悪を成す過去の英雄たちよ
今勇者が行きますッ!!


シオドリック・ディー
●水への対処
モード、変更ー!(水着イエカの姿へ自身を改造しておく)【メカニック】【防具改造】
これでまあ耐水性はあがるでしょう
足先のスクリューを駆使し水面をスケートのように走り、水軍さんたちの船に飛び乗ります

●戦闘
うーむ、水軍さんたちは操られているのですね…
なるべく命は奪いたくないです

UC展開、武器のコード・インストーラーに装置をつけて…ビームソード!
魔力をほどほどに出力して峰打ちできる程度の刃をつくります【操縦】
身近な水軍さんをズバーッとけちらして無力化させて、数を減らしてきます【なぎ払い】
もちろん海に落とさないように気をつけますよ!
倒したいのは、オブリビオンのやつらですから!



●ソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)
 全体を視界におさめることができないほど大きな渦がぐるぐる回っています。
 その大渦の外縁部に浮かぶ何隻もの軍船。ガレオン船の類なのでしょうか? 帆柱は折りたたまれ、両側から沢山の艪か櫂のようなものが突き出ています。
 サムライエンパイアには舟を模した器があるそうですが、その器の上に同じくサムライエンパイア産の枡という四角い容器を乗せれば、眼下の軍船に似た形になるかもしれません。それというのも、甲板の四方に木製らしき壁が立てられているからです。攻撃を防ぐための装甲なのでしょう。真上にいる敵にとってはなんの障害にもなりませんけどね。
『真上の敵』とは他ならぬわたしのこと。
 そう、わたしは空を飛んでいるのです。こういう時、ドラゴニアンの翼というのは本当に便利ですね。ふふっ。
 空を行くドラゴニアンは他にもいます。わたしの横を飛んでいる大柄な男性。わたしと違って、竜派のドラゴニアンですが。
 もちろん、海上から船団に迫っている人たちもいます。わたしの位置から見えるのは二人。一人は、ボートに乗ったピンクの髪の女の子。そして、もう一人は小さな男の子。
 その男の子――ミレナリィドールのシオドリックさんは船に乗っていません。なんと、海面を走って移動しているんです! いえ、本当に走っているわけではないと思いますが……上空からだと、走っているようにしか見えませんね。

●シオドリック・ディー(チョコミルクミント・f03565)
 今回のにんむに参加するにあたり、足の部分を水上モードに改造したんですよ。足先のスクリューをくしして、スケートをしているみたいな動きで波間をスイスイスイーッ。ほかの人たちには、オレが水の上を走っているように見えるかもしれませんね。
 もうり水軍の船に近付いたところでジャンプ! 船を囲ってる板を飛び越えて、水軍さんたちが沢山いる甲板に着地!
 われながら、キマった……と、思いましたが、キメたのはオレだけじゃありませんでした。どこから飛んできたのか、男の子の格好をした女の子も同時に着地していたのです。花嫁衣装を着た大きな人形をお姫様だっこして。
 その女の子はダンピールのクリストフさん。もしかしたら、『の子』がつくようなトシじゃないのかもしれませんが。
「わ、我らの城も同然の神聖なる船を土足で穢しよって……許さんっ!」
 水軍さんのリーダーらしき人が怒鳴りました(自分たちだって土足のくせに)。ちょっと吃っているのは、オレやクリストフさんがいきなり飛び込んできたことに驚いたからでしょう。
 ほかの水軍さんたちもあっけに取られていたようですが、リーダーの声で我に返り、オレたちにおそいかかってきました。
 すると――
「歓待は結構。どうせ、すぐにおいとまするからね」
 ――クリストフさんが人形と踊り始めました。
 いえ、踊るようにして戦い始めたんです。

●クリストフ・ポー(美食家・f02167)
 アンジェリカ(この人形の名前さ)と一緒にステップを踏み、水軍の兵士たちを翻弄しつつ、素早く死角に回る。そして、鎌を持つアンジェリカの手を糸で操り、敵の武器を時に払いのけ、時に弾き飛ばし、時に叩き落とす。落とした武器をさりげなく蹴飛ばして遠くにやることも忘れない。
 どうだい、優美な戦い方だろう? 揺れる船上でなければ、もっと艶やかに舞うこともできるんだけどねえ。
 言うまでもなく、僕だけじゃなくて、シオドリック君にも水軍は攻撃を仕掛けている。そして、これも言うまでもないことだけど、僕と同様にシオドリック君もしっかり応戦している。小粋なステッキから伸びる光の剣でね。
 更に――
「ここに誓うは不退転の意思!」
 ――ほら、空からも援軍が来たよ。
 人派ドラゴニアンのソラスティベル嬢だ。
「勇者とは、民を守るために身を盾とする者! これがわたしの勇者理論です!」
 大音声を発して降下してくる彼女めがけて水軍は次々と矢を射掛けたが、大半は外れたし、命中した矢もさして大きなダメージを与えたようには見えなかった。おそらく、防御力を上昇させるユーベルコードを使ったんだろうね。『わたしの勇者理論云々』というのがユーベルコードだったのかな?
「少しばかり手荒になりますが――」
 ソラスティベル嬢は華麗に着地すると、オレンジの髪をたなびかせて上体をぐるりと回した。それは見栄えを意識したオーバーアクションじゃない。両の翼の間に背負っていた武器を抜いたんだ。
「――しばらくの間、眠っていただきます!」
 その武器は、青空の色をした大きな斧。
 とても『少しばかり』で済むとは思えないね。いや、『手荒』というレベルでも済まないかも。

●再び、シオドリック
「お、お、臆するな! 小娘一人を倒せぬようでは毛利水軍の名折れぞぉ!」
「おおう!」
 リーダーが大声を張り上げると(また吃ってるし)、ほかの水軍さんたちも大声を出して、ソラスティベルさんにおそいかかりました。
「小娘なんかじゃありませーん! わたしは勇者です!」
 ソラスティベルさんの声も大きいです。
 声の大きさと戦闘力が比例しているのかどうかは判りませんが、ソラスティベルさんのほうが水軍さんたちより強いのは間違いありませんね。次々と繰り出されてくる槍や刀を素早く避けたり、竜の翼みたいな形のバックラーで受け流したりしつつ、勇ましくも申し訳なさそうに大きな斧をブンブン振り回して反撃しています。
 もっとも、命までは奪っていません。斧の側面で頭をべしべし叩いて気絶させているだけです。
「ごめんなさーい!」
 と、謝りながら。さっきの『申し訳なさそう』というのはこういうことです、はい。
 遠くのほうからも『ごめんね!』という声が聞こえてきました。別の船で他の猟兵が水軍さんたちを倒しているんでしょうね。
 とうぜんのことながら、オレも水軍さんたちを殺したりしてませんよ。ガジェット制御用のステッキ『コード・インストーラー』から発生させた魔力の刃で峰打ちにしているのです。

●再び、ソラスティベル
 クリストフさん(と綺麗な人形さん)の戦いぶりには目を見張るものがありますけど、シオドリックさんも負けていませんね。ステッキの光剣で敵をバッサバッサと斬り伏せていく様は、子供とは思えないカッコよさ。
 でも、さすがに――
「――やりすぎじゃないですか?」
 水軍のお侍の方々を『サンダラー』(わたし斧の名前です。雷の竜にあやかったんですよ)で殴り倒しながら、私はシオドリックさんに言いました。
「だいじょーぶ、だいじょーぶ」
 と、ステッキを操りつつ、どこか自慢げに答えるシオドリックさん。
「ちゃんと峰打ちにしていますよ。オレが本当に倒したい相手は水軍さんたちじゃなくて、オブリビオンですからね!」
「……峰打ち?」
「刃を発生させるための出力を抑えているんです」
 またもや自慢げな顔をするシオドリックさん。出力を控えめにすると、峰打ちできるようになる剣ですか……ガジェットとかをあまり扱ったことのないわたしにはちょっと理解できません。
 理解できないといえば、クリストフさんも不思議なことをしています。
「もしもーし! 君、力を貸してくれるかい?」
 と、倒れたお侍の一人に声をかけているのです。
 すると、そのお侍がむくりと立ち上がり、クリストフさんと一緒に戦い始めました。それを見て、わたしにもようやく理解できました。ユーベルコードを使って、気絶したお侍を操っているんですね。

●再び、クリストフ
 一時的に人形化した水軍の兵士(魅力も戦闘力もアンジェリカとは比ぶべくもないけどね)に背後を守らせながら、僕とアンジェリカは戦い続けた。体を大胆に捻って攻撃を躱し、敵の手首なり足首なりを掴んで、装甲の外に向かってポーイ。そして、海にドボーン。
 僕の体は小さいけれど、屈強な兵士たちを投げるのは訳無いよ。相手の勢いを利用し、己の技術を活用すればね。柔よく剛を制すというヤツさ。
「海に投げ落としちゃって、大丈夫ですか?」
 ソラスティベル嬢が心配げに尋ねてきた。いや、大きな斧で頭をガツンガツン殴ってるほうが『大丈夫』じゃないと思うんだけど……まあ、いいか。
「問題ないよ。仮にも水軍なんだから、この程度のことで溺れ死んだりしないって」
『この程度のこと』なんて言い切ったけど、僕は泳ぎはあまり得意じゃないんだよねぇ。これは内緒だよ。
「そりゃあぁぁぁーっ!」
 僕と泳ぎと違って泳ぎ(というか、水上走行?)が得意なシオドリック君がステッキを一文字に薙ぎ払い、複数の兵士をまとめて倒した。もちろん、彼が言うところの『峰打ち』だ。
 さて、あらかた片付いたな。最初に宣言したとおり、おいとまさせてもらおうか。
 僕はアンジェリカを抱え上げると、甲板を強く蹴ってジャンプした。他の船に乗り移るために。これが泳ぎが不得手な僕の移動法。サムライエンパイアには『義経の八艘飛び』なんて言い伝えがあるらしいけど、僕なら八十艘くらい飛び移れるかも。
 短い滞空時間を経て、新たな船に着地。先程と同様、沢山の兵士がいるね。
 少し遅れて、ソラスティベルさんも降下した。
 そして、彼女は兵士たちに突進した。
 この場にはいないオブリビオンたちに向かって。
「待っていてください、悪を成す過去の英雄たちよ! 今、勇者が行きますっ!」
 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

影守・吾聞
洗脳によるコントロール奪取かぁ
…そういうのは、ゲームの戦術に留めて欲しいな!

※SPD

・海上移動
【某配管工の真似】も活用し
船から船へ『ジャンプ』で跳び移って進んでいく

『野生の勘』での危険察知
『オーラ防御』でのダメージ軽減は常に行う

村上水軍とは戦闘せず
可能な限りスルーしていくよ!
…でも、甲冑や盾を足場にしたりはする。ごめんね!

魔法剣は抜いておくけど、あくまで護身用!
主に『武器受け』で攻撃を受け流したり
刃に風を纏わせた『属性攻撃』による『衝撃波』で
遠距離攻撃を叩き落したりに使うよ

攻撃的に剣を振るう場合も
敵の武器だけ狙っての『部位破壊』や
道を開くための『フェイント』に留めるね

※連携、アドリブOK


セゲル・スヴェアボルグ
邪魔なもんは船ごと沈めて退けちまえばいい……と言いたいところだが、
操られている奴等を海の藻屑にしちまう趣味はないんでな。
偶には頭を使うとしよう。
関門海峡と言えば渦潮だな。まぁ、こんなバカでかいのは見たことないが……周りの船が避けているのなら、海底に槍を突き刺し、UCを使って渦に向かって押し流してしまえばいい。
船の対応や大きな揺れがあれば戦うどころではないからな。
むろん、完全に渦に呑まれちまえば、船も乗員も只では済まん。
派手にはやるが、そのあたりは加減してやるとしよう。
隙があれば後は一直線に向かうのみ。
船を使いたいところではあるが、渦に呑まれちゃ意味がない。
飛んでいけば問題なかろう。


フェルト・ユメノアール
大勢の人を洗脳して意思を奪うなんて……
人の心を弄ぶ奴はボクが絶対許さないよ!

小型のボートを用意して進行、なるべく毛利水軍を傷つける事なく突破するよ

相手が人間なら、やりようがあるはず!
『トリックスターを投擲』し、敵の攻撃を迎撃、可能なら武器を破壊すると共に
投擲物の中に『ワンダースモーク』を紛れ込ませ、敵の船上を煙で包んで視界を奪う

さらに、ここでボクの可愛いアシスタントを紹介するよ!
現れろ!【SPキャンドール・フラン】!

いくら屈強な武士でも幽霊には敵わないよね?
フランには配下の霊たちと敵のかく乱をお願い
この複数の作戦で敵を混乱させている間に布陣を突破する



●フェルト・ユメノアール(夢と笑顔の道化師・f04735)
 いろんな方法で海を渡る猟兵たち。
 翼を広げて空を飛ぶドラゴニアンもいれば、スケートでもしているかのように海面を滑っていくミレナリィドールもいるし、そして、ボートを漕ぐ道化師姿の少女――このボクもいる。
 さあ、毛利水軍の船団が見えてきた。
 彼らは排除すべき障害。でも、憎むべき敵じゃない。オブリビオンに洗脳されているだけなんだから。
 あー、もう! そのことを考えるだけで腹が立つ。もちろん、毛利水軍の人たちじゃなくて、オブリビオンに怒ってるんだよ? 人の心を洗脳して弄ぶような奴らは絶対に許せないよね!
「手っ取り早く船ごと沈めちまいたいところだが――」
 豪快な感じのする声が空から降ってきた。
 セゲルさんの声だ。さっきの『空を飛ぶドラゴニアン』とは彼のこと。青い翼をバッサバッサとはためかせている。
「――操られている奴らを海の藻屑にしちまうような趣味はないんだよな」
「俺もそういうシュミはないなー」
 と、別の角度からも声が聞こえてきた。見上げると、そこにいたのはキマイラの吾聞くん。翼はないけど(でも、尻尾はあるよ)、彼も空を飛んでいる。いえ、『跳んでいる』と言うべきかな? 見えない階段を駆け上がるように空中で何度もジャンプしているんだ。たぶん、『スカイステッパー』みたいなユーベルコードを使っているんだろうね。
 あれ? 今、『デデデッデデッデ♪』という軽快な音楽がどこからか聞こえてきたような……気のせいかな?

●セゲル・スヴェアボルグ(豪放磊落・f00533)
 試してみたい戦術があるんだが、高度を下げて実行に移す前に他の連中の様子を少しばかり見ておくとしよう。
 吾聞はあいかわらず空中で連続ジャンプをしているが……なぜだろう? その姿を眺めていると、赤い帽子をかぶった髭面の配管工のイメージが脳裏に浮かぶ。
 まあ、それはさておき、ジャンプの回数は無制限じゃないから、配管工ならぬ吾聞もいずれは地に足をつけなきゃいかん。
 奴が選んだ着地場所は船の上。
 正確に言うと、船に乗っていた水軍の武者の上だ。
「ごめんね!」
 謝りながら、武者を足蹴にして再び飛び上がる吾聞。
「ぶへっ!?」
 無様な声を出して、のけぞる武者。たまったもんじゃねえだろうな。空から降ってきたキマイラの小僧に踏み台にされるってのは。だが、しょうがない。いつの世も戦争ってのはザンコクなもんなんだ、うん。
『ごめんなさーい!』
 どこか遠くから謝罪の言葉が聞こえてきた。どうやら、別の船でも他の猟兵たちが武者をザンコクな目に合わせているらしい。
 もちろん、武者たちもやられっぱなしってわけじゃない。飛び去る吾聞めがけて、矢を放ち始めた。対空戦なんてものには慣れてないだろうし、異世界の猟兵を相手にしたこともないだろうが、追撃の手際はそんなに悪くないな。さすがは毛利水軍。
 しかし、矢は一本も命中しなかった。
 吾聞が空中で展開したオーラの防壁に阻まれたんだ。

●影守・吾聞(先を読む獣・f00374)
 ユーベルコード『某配管工の真似(トレース・ジャンプマン)』を使って、ジャンプ! ジャンプ! また、ジャンプ!
 こういうやり方で移動しているのは俺だけじゃない。人形を抱えた小柄な猟兵も同じように船から船へと飛び移っている。
 もちろん、オーソドックスに船で移動している猟兵もいる。ピエロの格好をしているフェルトとかね。
 何度目かのジャンプをした時、彼女の乗ってるボートが視界に入った。軍船の横をすり抜けようとしている。
 軍船のほうもボートに気付いたらしく、装甲の隙間から矢を飛ばしたけど――
「そんなプレゼントはいらないよ!」
 ――フェルトは短剣を投げ、矢にぶつけて軌道を逸らした。
 そこで彼女は視界から消えた。俺が別の軍船に着地したから。それに乗ってた水軍のサムライたちから攻撃を受ける前にジャンプ!
 空にあがると、フェルトがまた視界に入った。矢を飛ばしていた軍船に向かって、小さなボールを投げている。
「でも、私からはプレゼントをあげる。蚊遣りの代わりにどうぞー」
 そんなことを言いながら。
 その間に俺は新たな軍船に降下して、サムライの一人を踏みつけて(ホント、ごめん!)ジャンプ。
 フェルトと例の軍船がまた見えたけど……あれ? 軍船の様子がおかしい。四角い装甲に囲まれた甲板から煙がもくもくとあがってる。さっきのボールから出てきた煙かな?
「『ワンダースモーク』だよ。本当はステージ演出用の道具なんだけどね」
 誰にともなく解説をしながら、悠々と遠ざかっていくフェルト。
 軍船はもう彼女を追わなかった。いや、追えなかったんだろう。煙のせいで混乱に陥っているから。

●再び、セゲル
 軍船のうちの一隻が煙を噴いてる。どうやら、フェルトの仕業らしい。
 フェルトが乗ってるボートは、煙まみれの軍船を後にして進んでいく。しかし、その行く手を塞ぐために別の軍船が前方に回り込もうとしているようだ。こいつぁ、加勢したほうがいいかな?
 いや、その必要はなさそうだ。
 フェルトは立ち上がり――
「ボクの可愛いアシスタントを紹介するよ! 現れろ! SPキャンドール・フラン!」
 ――左腕に装着した機械にカードを挿入した。
 すると、ボートの舳先に『可愛いアシスタント』とやらが出現した。燭台を頭に乗せた、青白い顔の女だ。幽霊の類か?
 なにやら面白い見せ物が始まりそうだが、いつまでも眺めてるわけにはいかんな。そろそろ、作戦を始めるか。
 頭を下に向け、翼を折り、海面めがけて急降下。そのまま、海中に突入!
 ……うぉ!? 思ってたより冷たいじゃねえか。JJの奴は夏バテがどうこうとか言ってたが、今が夏でよかった。冬場に同じことをやったら、風邪どころじゃ済まないぞ。
 海上での喧噪が聞こえなくなるところまで潜り、『ギュールグルド』という名の槍を海底めがけて投下。でっかい重りを一つなくしたも同然なんで、俺の体はちょっとだけ浮かび上がった。
 この辺りの海の深さは最高でも五十メートル弱らしい。素潜りでは少しばかりキツいが……なあに、俺自身が限界まで潜る必要はない。
『ギュールグルド』が海底に突き刺されば、それでいいのさ。

●再び、吾聞
 フェルトの姿が見えたのはこれで何度目かな? もっとも、見えたのはフェルトだけじゃない。頭に蝋燭を乗せた女の幽霊もボートに乗ってる……と、思ったら、幽霊の数が増えた!? シーツを被ったようなデザインの漫画っぽい幽霊の群れ! どこから湧いて出てきたんだろう?
「お願いね、フラン」
 フェルトの指示を受けて、『フラン』とかいう蝋燭女は海の上をスーッと移動した。他の幽霊たちを引き連れて。いや、よく見ると、フランが率いている軍団(?)は幽霊だけじゃない。沢山の蝋燭が周囲にふわふわと浮いている。
 幽霊と蝋燭たちは一隻の軍船に取りつくと(念のために言っておくけど、物理的に取りついただけで、『取り憑いた』わけじゃないからね)、装甲を乗り越えて、甲板にわらわらと乗り込んだ。
 サムライたちは大混乱。怒鳴ってるのか泣き喚いているのか判らないほどのヘンな大声をあげて、幽霊たちに斬りかかったり、逆に逃げ出したりしている。
 そして、その間に軍船から距離をあけるフェルト。
 おっと! 仲間たちの奮闘ぶりを観戦している場合じゃないな。自分のことに集中しなくちゃ。
 空中で連続ジャンプして、船に降りて、また空中で連続ジャンプして、別の船に降りて……単調なレトロゲームみたいに同じことを繰り返しているように見えるかもしれないけど、これでけっこう気が抜けないんだよ。船に乗ってるサムライたちのリアクションまでもが同じとは限らないからね。
 俺が次の着地ポイントとして定めた船のサムライたちもそうだ。こっちの接近に気付いて、迎撃の準備をしてる。
「毛利水軍をなめるなぁ!」
 ふーん。『毛利水軍』という言葉を出すからには、自分が何者かということまでは忘れていないんだな。
 まあ、覚えていようが忘れていようが、彼らがオブリビオンの哀れな駒であることは同じ。洗脳によるコントロールの奪取なんてものはゲームの中に留めてほしいよな、まったくもう!

●再び、フェルト
 軍船(フランたちのせいでパニック状態になっているのとは別の船だよ)に向かって降下しながら、吾聞くんは剣を抜いた。ルーンソードなのかな? 刀身がキラキラ輝いている。
「放てぇーっ!」
 軍船から大声が聞こえ、矢が一斉に飛んだ。
 でも、吾聞くんが空中で剣を水平に走らせると、矢は次々とへし折られて吹き飛ばされた。剣に風の属性を付与して、衝撃波を発生させたんだね。
 矢の残骸がばらばらと落ちていく中、吾聞くんは軍船に着地。
 同時に軍船が大きく揺れた。でも、着地の衝撃のせいで揺れたわけじゃないよ。その軍船だけじゃなくて、周りの船すべて(もちろん、ボクの乗ってるボートも)揺れてる。海がいきなり荒れ出したから……というか、奇妙な海流が発生している?
 気になって海面を覗き込もうとしたけど――
「きゃっ!?」
 ――ボクは思わず身を退いた。
 なにかが海の中から飛び出してきたんだ。ウミボーズとかいうサムライエンパイア版クラーケンでも現れたのかと思ったけど……違った。それはドラゴニアンのセゲルさんだった。
「驚かせてすまんなあ」
 セゲルさんはボートの縁に手を置き、『よいしょ!』とばかりに垂直に上昇して、ボクの頭上で滞空した。
「海の底で『溟海ヲ征ク水師(トルカ・ホーブストローム)』を使ったんだ。『ギュールグルド』を突き刺した場所から大波を生み出すユーベルコードさ」
 なるほど。この海流は人為的に引き起こされたものだったんだね。
 海流は船団を渦に巻き込もうとしている。ボクのボートも流されてるけど、なんの問題もない。そもそも、渦の中心が目的地なんだから。
 だけど、軍船のほうは違う。海流から逃れるため、水軍の人たちは必死に操船してるみたい。
「もう俺たちに構う余裕はないみたいだな」
 そう言いながら、吾聞が空からボートに降りてきた。あっちの船から飛び移ったんだね。
「では、秀吉とやらのツラを拝みに行くとするか。もちろん――」
 セゲルさんが体をぶるぶる振って、水飛沫を飛ばした。おかげで下にいるボクもびしょ濡れになっちゃたけどね。
「――ただ拝むだけで終わらせるつもりはないがな」
 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『隠し将『豊臣秀吉』』

POW   :    墨俣一夜城
自身の身長の2倍の【墨俣城型ロボ】を召喚する。それは自身の動きをトレースし、自身の装備武器の巨大版で戦う。
SPD   :    猿玉变化
自身の肉体を【バウンドモード】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    グレイズビーム
【腹部のスペードマーク】から【漆黒の光線】を放ち、【麻痺】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:フジキチ

👑4
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●訂正
 第1章の『再び、クリストフ』の終盤に誤記がありました。

誤:この場にはいないオブリビオンたちに向かって。
正:この場にはいないオブリビオンたちに向かって叫びながら。


●幕間
 毛利水軍の戦列を突破した猟兵たち。
 その前に立ちはだかったのは、犬や猿に似ていなくもない(だが、絶対に犬でも猿でもない)異形の獣。
 いや、『立ちはだかった』とは言えないかもしれない。
 その獣は立ってなどいないのだから。
 ゴム毬のように跳ね回っているのだから。
 時には、海に浮かぶ木片を蹴って。時には、なにも存在しないはずの空間を蹴って。
「頼んだぜ、秀吉殿!」
 渦の中心部の辺りから声が聞こえてきた。弥助アレキサンダーであろう。
「フェン!」
 跳ね続けながら、獣――秀吉が答えた。『承知!』と言ったらしい。
 JJは秀吉のことを弥助アレキサンダーの『手下』呼ばわりしていたが、実際は同じ主君に仕える同胞のようなものだろう。
 もしかしたら、格は秀吉のほうが上かもしれない。
 そう、この獣は侮れないのだ。
「フェン、フェンフェンフェン! フェンフェン、フェンフェンフェンフェーン!」
 けたたましく吠える秀吉。
 その咆哮が猟兵たちの脳内で人語に変換された。
『我らに代わって、骸の海に沈め! そして、そこで信長様の覇業を見ておくがいい!』
 
影守・吾聞
(木片に乗り海上をぷかぷか)

あの毛玉が秀吉?本当に?
俺がプレイした歴史ゲーム、擬人化系だったのかなあ

うわっ!跳ね回るだけじゃなくてすっごい伸びる!?
敵の先制攻撃は『早業』『オーラ防御』『武器受け』でダメージ軽減

でも、木片はきっと無事では済まないよね
【黒竜召喚】でリムを呼んで
背中に『騎乗』して空へ上がるよ!

「邪魔しないでよ、俺は弥助に用があるんだ!」
秀吉を無視してるように見せかけて
リムに空を縦横無尽に飛び回ってもらうね
その間の敵の攻撃は魔法剣での反撃や『衝撃波』で捌くよ

目的は、敵がゴムみたいに伸ばしてくる部位をこんがらがらせること
身体がもつれて動きが鈍ったとこに一撃加えるね

※連携、アドリブOK


クリストフ・ポー
空間操作?不思議な毛玉だな
はげねずみ成分はどこへ行ったのかと…
少しばかり問いたくなるけどね

それでも僕より格上なんでしょ?
なら奴の初撃をかわすか受け切るしかない
襲い掛かり距離を詰める刹那に
フェイントを仕込んで弾道をズラす
掌から血をかけて目潰し
勇気+第六感+尊+殺気と尊大な態度で恐怖を与え
僅かでも気圧されれば技が狂うからだ
その瞬間は全力で身体を折り畳む
躱し切れなければ
オーラ防御とアンジェリカの盾で受け
麻痺は激痛耐性+電撃耐性+呪詛耐性
少しでも早く、早く、早く

空間を使えるのはお前だけじゃない
僕ごとお前を囲う合わせ鏡の鏡地獄
レイアウトは僕の思う侭
鏡の波に飲まれるがいい
迷宮そのものがお前を圧し潰す武器だ


ルベル・ノウフィル
わんわん!(JJ殿、出遅れましたが僕も参戦しますぞ)

対策:
早業でUC:火翔で飛翔状態に
空を飛び逃げ回ります
腹部のスペードマークから光線が来るならば、マークに注視して射線を常に意識しましょう
避け切れぬ時はオーラ防御を夕闇に巡らせしっかり防御です
このマントは光線との相性がとても良い

攻撃は妖刀・墨染で
高速飛翔の勢いを乗せ、全力の捨て身の一撃・鎧無視攻撃を叩きこみましょう

近くに攻撃を避け切れないお味方がいましたら積極的に庇いましょう
なにせ(偶然)光線を消すマント持ちだったものですから、ここぞとばかりに活かしませんと

わんわん(秀吉よ、僕のマントにはその光は通じませんぞ!)
わんわん(僕の鉄壁の護りをみよ)


ナイ・デス
ソラ(f05892)に加勢

【地形の利用】宇宙服で呼吸可能
海中移動(大渦に流され?ソラがお風呂と間違え私を洗濯機へ放り込んだ時思い出しながら)戦場へ

ビームを【第六感で見切り】回避
無理でも魔力【オーラ防御】纏った黒剣で自身を【かばい】受け
【覚悟、激痛耐性】麻痺しても

『イグニッション』変身、です!

秒速68mで飛翔し空へ
【念動力】エネルギー放出し自身を【吹き飛ばし】て更に加速【空中戦、ダッシュ】したり
腕部刃など使い通常より攻撃回数9倍の当たれば【生命力吸収する鎧(毛皮)無視攻撃】で
回避や相殺、攻撃してソラの方へ追い込み

ソラとタイミング合わせ
【暗殺】隠していた【2回攻撃】通常より18倍の必殺連撃、です!


ソラスティベル・グラスラン
ナイくん(f05727)が追いついてくれました!
やっぱり二人揃ってこその『勇者』です!

あれが『豊臣秀吉』さん……少し可愛いですねっ
ですがどんな姿であろうと彼は歴史書に載る大英雄、揺るぎなき強敵です!

反射神経と速度が上がった秀吉さん
その一夜城ロボの動きを【見切り】、全霊の【勇気】を籠め正面から受けて立ちます!
一撃を【盾受け・オーラ防御】を以て全力で受け止め、
持ち前の【怪力】で、弾き返すッ!!

ナイくんのあの姿……ふふふっ、ついに完成したのですね!
見せてください、黒き聖騎士の力を…!
ナイくんの神速の連撃からの逃げ道を塞ぐ、刹那貫く蒼き雷
我ら、覇道を討つ正道の光!今こそ共に!!


フェルト・ユメノアール
ここからが本番だね
キミに恨みはないけど、ここを通させてもらうよ!

前章と同じく小船で秀吉と対峙
不安定で狭い船上じゃ圧倒的に向こうが有利……
なら、ボクの打つべき一手はこれだ!

『トリックスターの投擲』で秀吉を牽制、最小限のステップで攻撃を防御、回避しつつ
『ワンダースモーク』を足元で使用し、敵の視界を塞いだ所でUCを発動!
現れろ!【SPマーメイジ】!

美しい人魚の魔力で脚部を魚の尾びれに変え、そのまま海中に潜行
相手は能力からして中距離のヒット&ウェイ戦法が得意と予想
なら、攻撃の届きにくい海中から近づいて攻撃を仕掛ける!
相手が水面を蹴る波紋を目印に、一気に接近
海上に飛び出し、トリックスターで相手を切り裂く


セゲル・スヴェアボルグ
まぁ、飛べるのだから、わざわざ足場にこだわる必要もなかろう。
向こうさんはデカイ図体なら相応の重さがあるだろうし、
下手に海上でジャンプでもしようなら自らが沈みかねん。
それなら、上空の方が尚のこと安全だ。
武器らしい武器を持ってるようには見えんが……
遠距離攻撃があると厄介だな。
大概のものは躱せるだろうが、まぁ盾受けの準備もしておこう。

制御さえ奪えればならこっちのもんだが、少しばかり動きを止めれれば問題い。
相手は機械だ。ちょっくらハッキングでもしてやろう。
機能さえ止めてしまえば、所詮はでくの坊。不安定な海上なら小突くだけで海の藻屑だ。
秀吉を巻き込めれば良し、そうでなくても本体を直接たたけばいいしな。



●フェルト・ユメノアール(夢と笑顔の道化師・f04735)
「さあ、ここからが本番だね」
 ボートを漕ぐ手を止めて、ボクは秀吉を睨みつけた。
 でも、傍目にはキョロキョロしてるようにしか見えないかも。
 だって、秀吉は――
「フェン! フェン! フェーン!」
 ――あっちからこっちへ、こっちからそっちへ、そっちからあっちへと跳ね回っているんだから。
「サムライのくせして、落ち着きのない野郎だな」
「でも、ちょっと可愛いですねっ!」
 翼をはためかせながら、上のほうでセゲルさんとソラスティベルくんが言葉を交わしてる。
「あの毛玉が秀吉? 本当に?」
 と、首をかしげているのは吾聞くん。さっきまではボクのボートに同乗してたんだけど、今は波間に浮かぶ木片に乗ってる。
「俺がプレイした歴史ゲームにも秀吉が出てたけど、あんなのじゃなかったなぁ。あのゲームってば、擬人化系だったのか?」
「いや、本来の秀吉は人間の姿をしているはずだよ。少なくとも、僕はそのように認識している」
 そう言いながら、人形を抱いたクリストフくんが吾聞くんのとは別の木片に着地した。
「あの毛玉に訊いてみたいね。ハゲネズミの成分はどこへ行ったのか、と……」
「フェンフェーン!? フェンフェンフェン!」
『誰がハゲネズミか!? その異名で俺を呼べるのは信長様だけよ!』と怒鳴りながら(なぜだか判らないけど、なにを言ってるのか理解できちゃった)、秀吉が飛びかかってきた……あ? 違う。飛びかかってきたんじゃなくて、体がゴムみたいにうにょ~んと伸びたんだ。驚異的にして脅威的な技!
『ハゲネズミ』という禁句(?)を口にしたのはクリストフくんだけど、ゴム化した秀吉が突進した相手は吾聞くんだった。クリストフくんのところまでは届かなかったのか、秀吉とクリストフくんとの間に吾聞くんが位置していたからか、秀吉が猟兵を判別していないだけなのか……なんにせよ、吾聞くんは焦った。
「うわっ!? そんなに伸びるのぉーっ!?」
 でも、猟兵たる者がただ焦るだけで終わるわけがない。吾聞くんは目にも止まらぬスピードで剣を構えた。あのキラキラと輝く剣。輝きが増しているように見えるのは、防御用のオーラを纏っているから?
「えい!」
 気合い一閃、オーラ付きの剣でゴムの一撃を受け止める吾聞くん。
 その足下でバキッという嫌な音がした。
 木片が衝撃で壊れちゃったんだ。
 対毛利水軍戦で披露したジャンプのユーベルコードを発動する間もなく、吾聞くんは海に――
「行くぞ、リム!」
 ――沈まなかった!
 体長三メートルほどの黒いドラゴンが海中から現れ、吾聞くんを乗せて飛び上がったから。
『リム』という名前らしきそのドラゴンを駆り、吾聞くんは渦の中心に向かっていく。秀吉をスルーして、弥助アレキサンダーを狙うつもりなのかな? だけど、それはいくらなんでも無理だよ。秀吉が通してくれるはずないもん。
「フェン!」
 ほら、『行かせるものか!』と叫びながら、ゴム状の体で次々と攻撃を仕掛けてくる。
「邪魔しないでよ! 俺は弥助に用があるんだ!」
 吾聞くんは剣から衝撃波を放ってゴムを捌き、リムも縦横無尽に翔けて躱しているけれど、回避するだけで精一杯。とても弥助アレキサンダーのところには行けそうもない。
 ……ん?
「フェン!?」
 秀吉が奇声を張り上げた。伸ばした体がちょっと絡まってる。リムを追いかけ回して、複雑に動いたせいで。
 ははーん。これが吾聞くんの本当の狙いだったのか。やるね!
「この時を待ってたんだ!」
 得意げな吾聞くんの声に合わせて、リムが反転して急降下。
 きらきらと輝く剣が秀吉の体の一部を斬り裂いた。

●セゲル・スヴェアボルグ(豪放磊落・f00533)
「おまえを本気でスルーするわけないだろ」
 と、吾聞が秀吉に言った。
「『弥助に用がある』という言葉に嘘はないけど、中ボスを倒さずにラスボスのところに行けるなんて思っちゃいないさ」
「フェン、フェン!」
『やるな、小童!』と叫びながら(なぜだか判らんが、なにを言ってるのか理解できた)、絡まった体を解いて元に戻る秀吉。
 そして、新たな攻撃を繰り出して……くるかと思いきや、なにもないはずの空間を蹴って飛び退り、距離をあけた。
 海面を内側から突き破って、新たな猟兵が姿を現したからだ。
 ちょいとメカニカルな外見をした猟兵だが、ウォーマシンじゃない。黒い宇宙服を着ているんだ。それを水中服の代わりにして、ここまで来たんだろう。
「待ってましたよ、ナイくん!」
「ソラのご期待に、添えるように、頑張ります、です」
 ソラスティベルの嬉しそうな声に応じて、新手の猟兵は宇宙服のヘルメットのバイザーを開けた。
 現れ出たのは、赤い瞳をした小僧の顔。
 ヤドリガミのナイだ。
 そして、別の小僧も戦場に現れ、浮かんでいた木片の一つに降り立った。
「わんわーん!」
 と、吠え猛りながら。
 それは人狼のルベルだった。今の『わんわーん』は『遅ればせながら、ここに推参!』みたいな意味だと思うが……何故にわんわん語? 秀吉のキャラに合わせてるのか?
「フェーン!」
『小癪な!』と吐き捨てて、秀吉がまた攻勢に転じた。跳ね回ってジグザグの軌跡を描きながら、襲いかかってくる。狙いはルベルらしい。
「わんわんわーん!」
 秀吉を迎撃すべく、ルベルが木片を蹴って跳躍した。
『わんわん』と鳴く人狼の小僧と『フェンフェン』と鳴く奇妙な毛玉との戦いというのはシュールなシチュエーションではあるが、当然のことながら、当人たちは真剣だろう。その証拠にルベルは勇ましい面構えをしているし、秀吉も……いや、こいつの表情はよく判らんなあ。小さな白い点のような眼が二つ並んでるだけだから。
「フェーン!」
 秀吉の腹部だか胸部だかにあるスペード型(と呼ぶには無理のある形だが、他に良い例えを思いつかんのでな)の文様から漆黒の光線が発射された。
 すると、ルベルは――
「わんわん!」
 ――『僕の鉄壁の守りを見よ!』という言葉とともにマントを翻し、それで光線を受け止めた。
 普通なら、光線はマントをたやすく貫通してルベルを傷つけるだろう。しかし、『普通』ではないことが起きた。光線が消えたんだ。マントに吸い込まれたかのように。
 光線が命中する寸前にルベルはマントにオーラを巡らせたようだが、手品の種はそれだけではあるまい。おそらく、マントそのものに特別な力が宿っているんだろう。そういえば、ルベルがあのマントを翻している様を以前にも見たことがある。UDCアースでオブリビオンと戦った時に。
「わんわーん! わんわんわんわん!」
「フェ、フェーン!?」
 あー、今のは――
『秀吉よ! 僕のマントにその光は通じませんぞ!』
『な、なにぃ!?』
 ――ということらしい。

●クリストフ・ポー(美食家・f02167)
 光線を防いだルベル君。
 でも、彼がいる場所は空中。セゲル君やソラスティベル嬢のように翼を持っているわけではないから、そのまま海に真っ逆様……とはならなかった。
「今こそ、盟友より授けられし火精霊の力を借りる時でございます!」
 初めて『わんわん』以外の言葉を口にして、ユーベルコードで変身したからだ。
 炎の翼を有した騎士の姿に。
 そして、その翼から沢山の火の粉を散らして飛翔し――
「わんわん!」
 ――黒い刀で秀吉に斬りかかった。
「フェ、フェーン!?」
『へ、変身だとぉ!?』と驚きながらも(なぜだか判らないけど、なにを言ってるのか理解できたんだ)秀吉は身を躱そうとしたけど、その前にルベル君が懐に飛び込んだ。
「フェーン!?」
 斬撃を浴びて体勢を崩し、落ちていく秀吉。でも、海面にぶつかる前にまた空気の壁を蹴って、跳ね上がった。空中で体がぐにゃりと変形し、体がゴムのように伸びる。最初に吾聞君に放った、あのユーベルコードだ。
 今度の標的は、ボートに立つフェルト嬢。
「おっと!」
 派手な装飾が施されたダガーがフェルト嬢の手から飛んだ。
 牽制の意図があったのかもしれないけど、秀吉の動きが鈍ったのはほんの一瞬。
 でも、その一瞬を見逃すフェルト嬢じゃない。
「アンコールに応えて、あのマジックをもう一度!」
 道化師の衣装に似合う軽やかなステップを踏んでゴムの攻撃を躱しつつ、ボールを船底に叩きつけた。毛利水軍との戦いの際にも使った『ワンダースモーク』とかいうアイテムだね。
 たちまちのうちにボートは煙幕に包まれた。
 秀吉は少しばかり怯みながらも、ゴムのように伸びた体の先端を煙幕の中に何度も突き入れる。
 でも、フェルト嬢には命中しなかったようだね。悲鳴や苦鳴は聞こえてこなかったから。
 それらの代わりに聞こえたのは、ユーベルコードの詠唱らしき元気な声。
「逆巻く水の魔術師よ! その魔力を以て、世界に新たな理を示せ! 現れろ! SPマーメイジ!」
 そして、フェルト嬢が煙幕の奥から飛び出し、海に飛び込んだ……いや、本当にフェルト嬢だったのかな? あのシルエットは人間のそれではく、人魚のようだった。一瞬にして海の中に姿を消してしまったので、よく判らなかったけど。
「フェン、フェーン!」
『逃げるか、小娘!』と苛立たしげに怒鳴りながら、秀吉は体を戻した。
 その時――
「逃げたりしないよ!」
 ――海中からフェルト嬢が飛び出した。
 さっき、彼女が人魚に見えたのは錯覚じゃなかったみたい。なぜなら、脚部が尾鰭に変わっているから。たぶん、ユーベルコードの作用によって。
 人魚化したフェルト嬢はダガーで秀吉に斬りつけ、また海に戻った。
「フェ、フェン!」
『く、くそっ!』と毒づきながら、近場の木片に降りる秀吉。その途端、水面からダガーの切っ先が突き出て、モフモフした体を抉った。
「フェン!」
 秀吉はその場を素早く飛び退いた。弧を描いた後に海面を蹴って、また弧を描き……といった具合に跳ね回るつもりだったんだろう。でも、海面を蹴った瞬間、またもやフェルト嬢が飛び出し、ダガーで突き刺した。
「すごいな、フェルト」
 感嘆の声を漏らす吾聞君。
「どうやって、秀吉の動きを読んでるんだろう?」
「おそらく、読んでいるのではなく――」
 ナイ君が口を開いた。
「――見ているのでしょう。秀吉が海面に触れる度に生じる波紋を目印にしているのだと思われます、です」

●ルベル・ノウフィル(星守の杖・f05873)
「おまえさんだけじゃなくて、フェルトまでもが変身するとはなあ」
 眼下の海を見てらっしゃったセゲル殿がお顔を上げ、僕のほうに視線を向けられました。
「若い猟兵の間では変身が流行っているのか?」
「年齢や流行り廃りは関係ありませんぞ、セゲル殿。変身に燃えるのは普遍的な嗜好なのでございまーす!」
「普遍的ねぇ……」
 いまひとつ合点がいかぬようなお顔をして、視線を海に戻されるセゲル殿。
「キミに恨みはないけど――」
 フェルト殿がまた海から飛び出され、秀吉にダガーの一撃をお見舞いしました。
「――ここを通させてもらうよ!」
「フェーン、フェン!」
『えーい、くそ!』と毒づきながら(なぜだか判りませんが、なにを言ってるのか理解できたのでございます)、秀吉は左右の空間を交互に蹴るようにして、高度を上げました。海面の近くにいるのは不利だということを悟ったのでしょう。
「それにしても、なにもない空間を蹴りつけて移動するというのは、実に不思議な技だね」
 と、仰られたのはクリストフ殿。
 そのお言葉に反応したのかどうかは判りませんが、秀吉は空中で体勢を変え、胸にあるスペードのような模様をクリストフ殿に向けました。あの奇っ怪な光線を放つもりなのでしょう。
 私はマントを広げて(この『夕闇』というマントは一切の光を遮ることができるのですぞ)クリストフ殿の盾になろうとしましたが、間に合いませんでした。
 いえ、秀吉の攻撃ではなく、クリストフ殿の行動に対して間に合わなかったのです。
「ほーら! 撃ってみなよ!」
 恐れる様子を微塵も見せず、秀吉めがけてジャンプされるクリストフ殿。
「フェン!?」
 いきなり間合いを詰められて驚きながらも、秀吉は光線を発射。
 一瞬の後、クリストフ殿に光線が直撃……したかと思いましたが、さにあらず。クリストフ殿は落下したものの、重い傷は負ってないようです。お抱きになっていた人形を操り、その人形が持っていた盾で光線を防がれたようですな。
 一方、攻撃した側であるはずの秀吉もまた落下していました。しかも、眼の周辺が血塗れになっております。
 あれはクリストフ殿の血。僕は確かに見ましたぞ。クリストフ殿が瞬時に自分の掌を傷つけ、秀吉の顔に血をおかけになった瞬間を。血をかけるだけでなく、表情や雰囲気で威圧されたようですが、そのあたりのことはよく判りません。
 なんにせよ、そのせいで秀吉の攻撃のタイミングと照準に狂いが生じたのでしょう。でなければ、盾だけで攻撃を防ぐことはできなかったはず。
 さて、先程も述べたようにクリストフ殿と秀吉は落下していたのですが、両者ともに海面に叩きつけられるようなことにはなりませんでした。
 鏡で出来た広い床が海の上にいきなり出現したからでございます。
「空間を使えるのはおまえだけじゃないんだよ、ハゲていないハゲネズミ君」
 くるりとお体を回転させて、鏡の床に着地されるクリストフ殿。いえ、それを『床』と呼べたのはほんの数秒の間のこと。あちこちから次々と壁が盛り上がり、天井が空を覆っていきます。
「僕ごとおまえを囲う合わせ鏡の鏡地獄。レイアウトは僕の思うまま……鏡の波に飲まれるがいい。迷宮そのものがおまえを圧し潰す武器だ」
 と、クリストフ殿が秀吉に語りかけているうちに二人の姿は視界から消えてしまいました。僕らの目の前にあるのは、神秘的な建造物。そう、鏡の迷宮。クリストフ殿のユーベルコードの産物でしょうか?
「うつし世はゆめ。よるの夢こそまこと……なんてね」
 クリストフ殿の冗談めかした声が迷宮の奥から聞こえてきました。
 そして、秀吉の絶叫も。
「フェーン!?」

●ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)
 世にも美しい音を立てて、鏡の迷宮が、崩壊しました。
 無数の細かい破片が、キラキラと光を反射しながら、四方に飛び散り、海に降り注ぎ……などと言うと、大惨事のようですが、私たちは、傷つきません、でした。破片群は、なにかに接触する前に、消えてしまいましたから。泡のように。
 もっとも、無傷で済んだのは猟兵だけ、です。再び姿を現した秀吉は、傷だらけ、です。迷宮の中で、攻撃を受けていたのでしょう。おそらく、迷宮そのものによる攻撃。
「『鏡地獄』は知ってるかい、ハゲていないハゲネズミ君?」
 クリストフ殿が海面の木片に降り、肩を、すくめてみせました。腕に抱いた、人形と、同時に。
「いや、知ってるわけないか。サムライエンパイアでは、かの人はまだ生まれていないだろうからね」
「フェーン!」
『わけの判らぬことを!』と怒り狂いながら(なぜだか判りませんが、なにを言ってるのか、理解できました)、上昇する秀吉。
 その前方に小さな城が……いえ、城を模したロボットが出現しました。『小さな』と付けましたが、それは本物の城と比べた場合の話、です。体長は秀吉の二倍ほどあります、です。
「変身の次はロボットと来たか。外連味たっぷりの戦場だな」
 牙が剥き出た口を、苦笑に歪ませて、セゲルさんが翼を力強く動かしました。ロボットへと向かっていきます。
「フェンフェンフェーン!」
『墨俣城型ロボをなめるな!』という怒号を発して、右腕(右前足?)を突き出す秀吉。
 その動きを忠実にトレースして、パンチを繰り出すロボット。
「なめられたくなけりゃあ――」
 セゲルさんは、盾を、体の前に構えました。両手で保持することも難しそうな、超大型の盾、であるにもかかわらず、片手で扱っています。
「――もっとマシな名前とデザインを考えろ」
 ロボットの拳が盾に命中。重い音が響き、火花が散りました。盾は少しばかりひしゃげてしまいましたが、なんとか防ぎ切ることができたようです。
 しかし、間髪を容れず、もう片方の拳が迫ってきました。
「わんわんわーん!」
『ここは僕にお任せを!』とパンチの射線に割り込んだのは、ルベルさん。
 その勇猛果敢な行為の代償として、彼は、弾き飛ばされましたが――
「わんっ!?」
「今度は私にお任せを!」
 ――ソラが受け止めてくれましたにゃん。
 あ、いけない。ルベルさんのわんわん語につられて、猫とばかり話していた頃の語尾になってしまいました、です。
 閑話休題。
 ルベルさんによって軌道を逸らされた上に、勢いを削がれたため、第二のパンチはセゲルさんに届きません、でした。
 秀吉/ロボはすかさず三打目を放とうとしましたが、セゲルさんがいつまでも守りに、徹しているわけが、ありません。
「秀吉よ。おまえさんも乱世に生きていたのなら、よぉーく知っているだろう? 城の主ってのはコロコロと変わるもんだってことを」
 セゲルさんは眼光鋭くロボットを射竦めつつ、自分の口の端を牙で噛み切り、そこから流れる血を吹きつけました。
 次の瞬間、ロボットの体の一部が爆発、しました。
 しかし、セゲルさんのユーベルコード(なのでしょう)はそれで終わりというわけではないようです。ロボットの動きがおかしくなりましたから……というか、動いていないのです。
「フェン!!」
『いったい、なにごとだ!?』と動揺しながら、秀吉は何度もパンチの動作をしますが、ロボットは無反応、です。
 その様子を見ながら、セゲルさんは、ニヤリと笑いました。
「ちょっくら、ハッキングさせてもらった。今から俺がこの墨俣城の主だ」

●ソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)
「フェン! フェン! フェン!」
『動け! 動け! 動け!』と同じ言葉を繰り返しながら(なぜだか判りませんが、なにを言ってるのか理解できたんです)、左右の腕を交互に突き出す秀吉。
 でも、セゲルさんにハッキングされた墨俣城型ロボはウンともスンともいいません。
「機能さえ止めてしまえば、所詮は木偶の坊だな」
 墨俣城型ロボに近付き、頭部を指先で弾くセゲルさん。その所謂『デコピン』が彼の新城主としての最初で最後のお仕事。墨俣城型ロボは体をぐらりと傾けたと思うと、浮遊力を失って(そもそも、どんな原理で浮いていたのでしょう?)海に落ちました。
 大きな水柱。
 そして、虹。
「ちょっと! 粗大ゴミを落とすなら、事前に一声かけてよぉ!」
 人魚化したフェルトさんが水面から顔を出して抗議の声をあげましたが、わたしたちにリアクションを返す余裕はありませんでした。
 虹が残る空中を秀吉がまた跳ね回りながら、胸の変なマークから光線を発射したのです。
「フェンフェーン!」
 伸び行く光線の先にいるのはナイくん。
 でも、ナイくんは慌てず騒がず――
「……見切りました、です」
 ――そう呟いて、黒い剣を構えました。他の人たちと同じように、剣にオーラを纏わせながら。
 そして、光線が剣に接触。金属を削るような音が空気を震わせて、オーラの粒子が舞い散りました。
 それから数秒も経たないうちに光線は消失し……同時に黒い剣がバラバラになってしまいました! 光線の威力に耐えられなかったんでしょうか!?
 あ? よく見ると、違います! 剣は壊れたんじゃありません。寄木細工のパズルのように展開して、別のものに変形しているんです。
 そう、全身鎧に!
「イグニッション! 変身です!」
 声を限りに叫ぶナイくん。
 その小さな体を全身鎧が包み込み、両者は融合しました。変身のユーベルコード……完成していたのですね、ナイくん。
 変身後の彼の体にもう『小さな』は付きません。細身ですが、身長は二メートルを超えています。そして、背中には翼があります。
 さあ、見せてください。黒き聖騎士の力を!
「やっぱり、変身するのが流行ってるんじゃないのか?」
「いえ、普遍的な嗜好ですぞ」
 そんなやりとりをしているルベルさんとユベルさんの横を翔け抜けて、黒騎士のナイくんは秀吉に突っ込んでいきます。ものすごいスピード。時速二百キロメートルを軽く超えているんじゃないでしょうか?
「食らえ、です!」
 瞬く間に秀吉へと肉薄し、甲冑の腕についている刃を閃かせるナイくん。
 一見、無造作な攻撃。でも、わたしにはナイくんの意図が判りました。掛け替えのないパートナーですから。
 パートナーならば、意図を汲むだけでなく、期待に応えなくてはいけませんよね。
 お任せください。渾身の力を込めた勇者の一撃を叩きつけてやりますとも。
 歴史書に載る大英雄――揺るぎなき強敵たる秀吉に!

●影守・吾聞(先を読む獣・f00374)
「必殺連撃、です!」
 容赦なく連続攻撃を浴びせるナイ。
「フェーン!?」
 秀吉は堪らず後方に逃げた。
 とはいえ、ナイからすれば、それは『逃げられた』ってことじゃないと思う。『追い込んだ』とか『誘導した』とか、そういう表現のほうが正しいんだ。
 だって、秀吉が飛び退った地点にはソラスティベルが待ち受けていたんだから。見事な連携。この二人、協力型のゲームとか得意そう。
「我ら、覇道を討つ正道の光! 今こそ、ともに!」
 決め台詞みたいなのを口にして、大きな斧を構えるソラスティベル。でも、それが振り下ろされるよりも秀吉が動くほうが速かった。さすが、魔軍将。
「フェン、フェン、フェン!」
『出でよ、墨俣城型ロボ弐號!』という雄叫び(なぜだか判らないけど、なにを言ってるか理解できたよ)に応じて、城型のロボが秀吉の前にまた現れた。
「フェーン!」
 足を蹴り上げる秀吉をトレースして、ロボがキックを放つ。
 だけど――
「見切りました、でーす!」
 ――さっきのナイの言葉を真似て、ソラスティベルはキックを正面から受け止めた。もちろん、自分の体で受け止めたわけじゃない。斧を持ってないほうの手で翼型のバックラーを勢いよく突き出したんだ。お約束のオーラを纏わせて。
 バックラーだから、大きさは知れたもの。ロボのパワフルな蹴りを受け止められるはずがない。でも、ソラスティベルはやってのけた。
「これぞ、我が勇気の証明! 来たる戦渦の最前線!」
 足を引こうとするロボの頭上を飛び越え、ソラスティベルは秀吉に迫った。体当たりせんばかりの勢いだけど、攻撃の手段は体当たりなんかじゃない。そう、あの大きな斧だ。
「今こそ応えて、蒼雷の竜よ!」
 斧の刃が青い電光を帯び、そして、秀吉の頭のてっぺんに叩きつけられた。
「ブェェェーン!?」
 濁った悲鳴を撒き散らす秀吉。
 脳天に食らったダメージの影響かどうか判らないけど、ロボが消えた。それによって生じた空間をナイが翔けて、秀吉にまた連続攻撃。
 そこに別の猟兵も加わった。その猟兵とは俺のこと。リムに乗って秀吉に素早く接近し、『天狼の剣』の名を持つルーンソードで斬りつける。勝利を目前にした俺の心に反応しているのか、『天狼の剣』の刃はいつも以上に輝いている。
 そして、ついに――
「……フェ、フェーン」
 ――秀吉は飛び跳ねる力を失い、海へと落ちた。
 俺は追撃しなかった。その必要はないから。
 秀吉が海面にぶつかり、水柱が上がった。セゲルがロボットを落とした時ほど大きくはないね。
 水柱が収まると、一度は海に沈んだ秀吉の体が浮かび上がってきた。
 そして、人魚に変身したフェルトも。
「これは――」
 ダガーを振り上げるフェルト。
「――洗脳されて駒として扱われていた毛利水軍の人たちの分だよ!」
「フェン、フェェェェーン!」
 ダガーを突き立てられる寸前、秀吉は叫んだ。俺の耳には(たぶん、他の猟兵の耳にも)『すべては信長様のためにぃぃぃーっ!』と聞こえた。
 信長様のため、か……忠誠心が篤いのは結構なことだけど、仕える相手は選んだほうがいいと思うな。
「さよなら、ハゲていないハゲネズミ君」
 と、息絶えた秀吉にクリストフが言った。
「骸の海で待ってるがいいよ。おともだちの弥助アレキサンダー君をね」
 それに信長もな。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『大帝剣『弥助アレキサンダー』』

POW   :    大帝の剣
単純で重い【両手剣型メガリス『大帝の剣』】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    逆賊の十字架
自身の身体部位ひとつを【触れた者の闘志を奪う超巨大肉塊『視肉』】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。
WIZ   :    闘神の独鈷杵
自身からレベルm半径内の無機物を【無尽蔵に破壊の雷槌を放つ『闘神の渦潮』】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。

イラスト:みやこなぎ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●幕間
 アフロヘアの偉丈夫が渦の中心部に浮遊していた。
 弥助アレキサンダーである。
 渦の流れに乗って回りながら、あるいは空を飛びながら、猟兵たちは彼を見据えていた。
 一方、彼は猟兵たちを見ていない。
 猟兵以外のものも見ていない。
 その目は閉じられているのだから。
「秀吉殿……」
 巨躯に似合わぬ小さな呟きが猟兵たちの耳に届いた。
 暫しの間を置いて、閉じられていた目がゆっくりと開かれた。
 殺気に満ちた目。
 追悼の時は終わったらしい。
「すべては信長様のために!」
 再び、猟兵たちの耳に声が届いた。
 今度のそれは巨躯に相応しいものだった。
 
ルベル・ノウフィル
仲間を想う気持ちをお持ちの様子
そちらが信長公のためならこちらはJJ殿のために!…あれ?
まあ、参ります

◆防御
早業・念動力で体を浮かせて空高く跳び、同時に敵が操作する渦潮自体に念動力で働きかけ、敵が操作する方向のと逆方向に動かそうとして動きを少し鈍らせる
下から追い縋る攻撃は三分の一の鏡盾で防御
盾が限界を迎えればオーラ防御を小さな盾のようにして盾受け
負傷すれば痛悼の共鳴鏡刃を投げましょう、僕の痛みに高揚しておりますぞ

◆反撃
UC:写夭(シャヨウ)自身からレベルm半径内の無機物を【敵のみに対象を限定した雷槌を放つ『闘神の渦潮』】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。

「――お返ししますとも!」


影守・吾聞
弥助も秀吉も、信長に対する忠誠MAXだね
でも、俺達も後には退けないんだ!
いこう、リム!

※海上移動
前章より【黒竜召喚】継続
リムの背に乗った状態

弥助の先制攻撃は…変異?
仲間が巻き込まれたら大変だ!
リム、『オーラ防御』を展開して
正面から受け止めて『時間稼ぎ』をお願い!

何だこれ…闘志が消えてく感じがするけど
ん、視肉?今、肉って言ったよね?
ということは、もしかして食べられる?
闘志は消えても、湧き上がる食欲には抗えないなぁ
俺もリムも『大食い』だもん!

リムに弥助を抑えてもらってる間に
俺は視肉へ『ジャンプ』『クライミング』
剣を突き立てて『部位破壊』を試みるよ!
上手に『料理』してあげるね!

※連携、アドリブOK


ソラスティベル・グラスラン
弥助さん……諦めては、いただけないのですね
ここで最後ですよ、ナイくんっ(f05727)
今こそ勇気の御旗を掲げ、決着をつけましょう!!

筋骨隆々たる彼の力、刃を交えずとも理解できる剛力!
【オーラ防御】で軽減、【盾受け】を構え【怪力】で防ぎます!
竜の翼で飛び、【空中戦】で受けさらに衝撃を軽減
あえて海に落ち、水中から【ダッシュ】で飛び出し、奇襲です!

正真正銘、力のぶつかり合い
とてつもない速度で攻め立てるナイくんと共に、只管に攻めます

敵はこの世界の英雄!正しく猛将、時代を切り開いた『勇者』なれば!
わたしもまた今代の『勇者』として!
己の力と意思、―――【勇気】の全てを懸けて貴方を越えていきますッ!!



●弥助アレキサンダー
 背に担いだ『大帝の剣』の柄に手をやり、俺は敵兵たちの顔を見回した。
 向こうも俺を睨みつけている。
 それにしても、おもしろい面子だ。狼だか犬だかの耳と尻尾を生やした小僧、竜に乗った小僧(こいつにも尻尾があるが、狼のそれじゃない)、竜人の男女(男は竜寄りで女は人寄りだ)、パリャーソの扮装をした小娘、人形みたいな小僧に人形を抱いた小僧……いや、あれは小娘か?
 見た目だけで判断するなら、竜人の男以外は若い。幼いと言ってもいいだろう。
 だが、侮れない。
 毛利水軍を退け、秀吉殿まで倒した連中だからな。
 できれば……こういう強い奴らとは、面倒な大義名分のない純粋な戦いをしたかった。勝敗なんか気にせずに。
 しかし、そういうわけにはいかないんだよな。
 俺は勝たなくちゃいけない。
 信長様のために。
 そう、信長様のために。
 すべては信長様のために!

●影守・吾聞(先を読む獣・f00374)
 海面すれすれを滞空しているドラゴンのリムの背の上で、俺は呼吸を整えた。
 しょっぱい飛沫がひっきりなしに体にかかってくる。下の方で大きな渦がものすごい勢いで回ってるから。
 その渦の中心のところでフワフワと浮いているアフロヘアの大男が今回のラスボス(戦争全体で考えると、中ボスだけど)。
 弥助だ。
 下にアレキサンダーがつくんだっけ? 大層な名前だよね。でも、名前負けはしてない。古強者って感じの雰囲気を漂わせてる。
「手強そうだね」
 と、俺は仲間たちに語りかけた。
「パラメーターが数値化されてるゲームだったら、あいつはどの値もバカ高く設定されてるんだろうな。きっと、いちばん高いパラメーターは『忠誠心』だ。確実にMAXに達してるよ」
「敵とはいえ、その点は実に天晴れですな」
 横に浮かんでいたルベルが言った。さっきまでと違って、炎の翼は生えてない。それなのに、なんで浮いてるのかというと……よく判らない。
「また、信長公ばかりでなく、仲間を想う心もお持ちの様子。武士の鑑ですな。感服いたしました」
「うん」
「しかしながら、仲間を想う心の強さならば、僕らも負けてはおりませんぞ!」
「そのとおりだ!」
「あちらが信長公のためなら、僕らは――」
「誰のために?」
「――JJ殿のためにぃーっ!」
 ……いや、それはどうかと思うなぁ。ていうか、言った当人であるルベルも『あれ?』とばかりに首をかしげてるし。
 まあ、とにかく、ここは気を取り直して……。
「さあ! かかってこい!」
 あ? 気を取り直すまでもなく、弥助がこっちに叫んできたぞ。
 真っ先にそれに答えたのは、リムの斜め上にいたソラスティベルだ。
「弥助さん……諦めてはいただけないのですね」
 その呟きを聞いて俺が顔を上げた時には、ソラスティベルの姿はそこになかった。
 慌てて視線を弥助のほうに向ける。今度は見えた。ドラゴニアンの翼を使って突進していくソラスティベルが。
「今こそ、勇気の御旗を掲げ……」
「どんな御旗だろうと、へし折ってやるぜ!」
 ソラスティベルがすべてが言い終える前に弥助は大きな剣を振り下ろした。あれが『メガリス』とかいうアイテムの一つか。まともに食らったら、一溜まりもなさそうだ。
 だけど――
「海の藻屑になりや……」
「藻屑になんかなりませぇーん!」
 ――さっきとは逆にソラスティベルが弥助の言葉に割り込んだ。
 そして、自分の背丈ほどもありそうな剣を受け止めた。秀吉のロボのキックを防いだ時と同じように翼型の小さなバックラーでね。バックラーがオーラを纏っているのもロボの時と同じ。
 やるじゃないか……と、思ったけど、そこからの展開はさっきと同じじゃなかった。
「おっとっ!?」
 ソラスティベルは剣を力任せに押し返そうとしたけど、空中で姿勢を崩した。
 その隙をついて、また素早く剣を振る弥助。
 長い刃が唸り、ソラスティベルに命中したように見えた。でも、紙一重で避けたようにも見えた。どっちかは判らないけど、避けたとしても、衝撃波かなにかを受けたのは間違いないと思う。
「うわぁぁぁーっ!?」
 悲鳴だけを残して、ソラスティベルは海に落ちてしまったから。

●ルベル・ノウフィル(星守の杖・f05873)
「うわぁぁぁーっ!?」
 ソラスティベル殿の悲鳴の語尾にバシャーンという音が重なり、渦巻く海原に水柱が立ちました。
 そして、海中のソラスティベル殿に追撃すべく、弥助アレキサンダーも海に……飛び込むかと思いましたが、その場から動きませんでした。いえ、動く暇がなかったのかもしれません
 なぜなら――
「突っ込め! リム!」
 ――ドラゴンのリムを駆り、吾聞殿が攻撃を仕掛けられたからでございます。
 もちろん、弥助アレキサンダーが棒立ちになっているはずもありません。すぐに反応し、スキップでもするかのように右膝を腰の辺りまで上げました。
「視肉を食らうがいい!」
 弥助アレキサンダーが咆哮を響かせると、彼の首から下げられた十字架が発光しました。
 そして、右膝から下の部分が一気に肥大化し、野袴や脚絆を内側から破り、脛当ても内側から砕いて、大人一人分の大きさはあろうかという黒い肉塊となりました。しかも、ただ肥大化しただけではありません。表面にいくつかの裂け目が生じて眼らしきものが覗き、生気のない瞳を吾聞殿とリムに向けています。
「気持ちわるっ!?」
 さすがの吾聞殿も動揺されているようです。
 しかし、リムのスピードを緩めたりはなさいませんでした。
「忠誠度MAXとなれば、退くに退けないんだろうけど――」
 輝きを放つルーンソードを吾聞殿は馬上ならぬ竜上でお構えになりました。
「――俺たちだって、退けないんだ!」
「ならば、ここで死ね!」
 肉塊と化した足が突き出され、リムに直撃しました。
 いえ、あの小さいながらも(といっても、人間よりは大きいですが)勇敢なドラゴンはあえて正面から受けたのでしょう。
 当然、吾聞殿もリムも無傷では済みませんでした。しかし、重傷は負っておられない様子。おそらく、オーラを展開して防御したのだと思われます。攻撃を受けた瞬間、きらきらしたものが見えましたから。
「ぐるおぉーっ!」
 猛々しく(かつ可愛く?)吠えながら、リムが弥助アレキサンダーに組み付こうとしました。
 弥助アレキサンダーは体を反転させて、それを回避。
 しかし、回避できないものもありました。
 吾聞殿ですぞ。
「そりゃあー!」
 リムが弥助アレキサンダーの気を引いている隙をついて、吾聞殿は肉塊に飛びかかり、おしがみつきになられました。文字通り『肉迫』されたわけです、はい。
「な、なんだ、この肉? 触っただけで、闘志が消えてく感じがするぅ……」
 視肉とやらの魔力でしょうか? 吾聞殿は弱気な声を出されました。
 しかし――
「でも、これのことを『視肉』って言ったよね? 肉ってことは食べられるの? あ! そういえば『食らうがいい』とも言ってたっけ。じゃあ、やっぱり、食べられるんだ」
 ――片手で肉塊にお掴まりになったまま、もう片方の手でルーンソードを構えられました。
「闘志は消えても、食欲までは消えないんだなぁ。俺もリムも食いしん坊だからね!」
 肉塊の表面にルーンソードを突き立て、料理でもなさるかのように解体作業を始められる吾聞殿。
「うぉ!? やめろぉーっ!」
 さすがの弥助アレキサンダーも動揺を隠せず、視肉の足を激しく動かしました。肉を切り刻んでおられる(幸いなことにまだお食べになってはいません)吾聞殿を振り落とすつもりなのでしょう。しかし、リムに邪魔され、上手くいきません。
 そして、弥助アレキサンダーをもっと動揺させるかもしれないことが起きました。
 海の中からソラスティベルが飛び出してこられたのです。

●ソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)
 海面を突き破り、一直線に急上昇。
 その途中で、降下していく吾聞さんとすれ違いました。視肉から振り落とされたのでしょう。でも、大丈夫。リムがキャッチしてくれるはず。
 真上にいる弥助アレキサンダーを見据えて、わたしはユーベルコード『勇者理論(ブレイブルール)』を発動し、自分を強化した。
 相手はこの世界の英雄。時代を切り開いた勇者なれば、わたしもまた今代の勇者として――
「――すべてを賭けて、貴方を越えていきますっ!」
 いつの間にか、心の中で唱えいていたはずの言葉が叫びに変わって、口から飛び出していました。
 その叫びを追い越すような勢いで弥助アレキサンダーに接近!
 叩きつけるは戦斧『サンダラー』の一撃!
 命中!
「……うっ!?」
 呻きを漏らして、体勢を崩す弥助アレキサンダー。ダメージの影響か、本人の意思によるものか、肥大化していた足が萎んで元に戻っていきます。
 それによって身軽になったであろう彼から反撃を受ける前にわたしは後退し、距離をあけました。
 逆に近付いていく人もいます。
 ルベルさんです。
 なぜか、体が浮かんでいますね。
「そうか。やっと、判った」
 と、下のほうから声が聞こてえました。見下ろすと、そこにいたのは吾聞さん。予想通り、リムにキャッチしてもらったようです。
「なにが判ったんですか?」
「ルベルが飛んでる方法だよ。たぶん、念動力みたいなもんを使って、自分の体を浮かべてるんだ」
 なるほど。
 見えない力で自分の体を持ち上げて、ルベルさんは弥助アレキサンダーに向かっていきます。
「ご覚悟を!」
「覚悟するのはおまえのほうだ!」
 ルベルさんの叫びに叫びで答え、弥助アレキサンダーは左手を振り上げました。
 そこに握られているのは、両端から刃のようなものが突き出た柄。あれが『ドッコショ』という神具でしょうか?
「三つめのメガリスの力を見せてやるぜ!」
 ドッコショが光を放つと、ルベルさんの前方の空間が歪み、水もないのに渦潮が生じました。ドッコショは無機物を渦潮に変換できると聞いていましたが……実際に見ると、本当に摩訶不思議。
 当然のことながら、その渦潮はただぐるぐる回るだけの代物ではありませんでした。
 中心部から雷光が迸ったのです。ルベルさんめがけて。
 しかし――
「はい! 見せていただきました!」
 ――ルベルさんは身を躱しました。
 だからといって、目にも止まらぬスピードで動いたというわけではありません。敵の攻撃が遅かった……というか、タイミングが狂ったように見えました。
「念動力で渦潮に干渉して、ちょっとだけ逆回転させたのですぞ!」
 種明かしをして、ルベルさんは黒い刀を横凪ぎに払いました。敵がまだ間合いに入っていないにもかかわらず。
 いえ、間合いに入る必要はなかったのです。
 それは斬撃ではなく、ユーベルコードを発動させるための動作だったようですから。
「見せていただいたものをお返ししますぞ!」
 黒い刀が光を放つと、弥助アレキサンダーの前方の空間が歪み、水もないのに渦潮が生じました。
 そして、その中心部から雷光が迸りました。
 なるほど。敵の技をコピーするユーベルコードだったのですね。
「……うっ!?」
 弥助アレキサンダーは顔面に雷光を食らい、わたしの攻撃を受けた時と同様に呻きを漏らして、体勢を崩しました。
 それでもすぐに剣とドッコショを構え直したのはさすがといったところでしょうか。
「思った以上にやるじゃないか」
 わたしたちを睨む弥助アレキサンダーは殺意に満ちていました。でも、悪意は感じられません。
「だが、俺は負けない! 絶対に負けない!」
 いいえ、絶対に負かします。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クリストフ・ポー
渦潮は雷槌はオーラ防御と
アンジェリカの鎌を外し
避雷針代わりに使う武器受け
避け切れない分は
電撃耐性+激痛耐性で耐える
…いい加減ボロボロだよ

でも余裕の演技は崩さない
弥助の信長に対する忠誠は揺るがない
それは過信と表裏なのさ

信長はもう死ぬよ
君、こんな処で僕等の相手してていいの?

情勢から信長が負けを悟っているのは違い無い
合理的な人物だからね
それを知る弥助自体はどうかなぁ…
解っていても
衝動を抑え切る、割切れるとは限らないのだよ
今度は首やらを守る必要なんて無い
なのにまた君は取り残されるのか
秀吉を悼める心を持つ弥彦の未練を引掻く言葉を吐く
これは呪詛を込めた精神攻撃だ
心が揺れれば疑念は生じる

奇しき薔薇は咲けり!


フェルト・ユメノアール
キミがどれだけ強い力を持っているとしても
この世界の……みんなの笑顔を守るため、ボクたちは絶対負けられないんだ!

まずはみんなの援護をしつつ相手の隙を窺う
船上を飛び回りながら『トリックスターを複数投擲』する事で雷槌をそちらに誘導、攻撃を回避
そして、味方の攻撃で相手に隙が出来た瞬間、UCを発動する

さあ、夢幻の射手のご登場だ!現れろ!【SPトリックシューター】!

チャンスは1度、雷槌を掻い潜って弥助に接近し、攻撃を仕掛ける!
という『演技(フリ)』をして相手の迎撃を誘い、トリックシューターの誘発効果を発動

相手の放った雷槌を吸収、その威力を自身の戦闘力に変換し、相手に矢として打ち返す!
ライトニングアロー!


セゲル・スヴェアボルグ
ふむ。あれが雷であるなら避雷針でも設置しよう。
ちょうどよい槍が俺にはあるのでな。
無論、あいつに近づかれては意味がないので、
常に距離は測っておかんとな。
例え破壊されても出し続ければいいだけの話よ。
そういえば、奴さんは無機物を変換するんだったか?
それなら、槍を有機物に書き換えてやろう。
硬さ的にもちょうどいいもの……鰹節か?
さながら、避雷槍【カツオブシ】と言ったところか。
そっちに雷が向いてしまえばあとは接近して叩くのみ。
例えはずれても地形がえぐれればこちらのもの。
いや、地形というものがあるか微妙だが海ごと抉ってやればいい。
空中戦と洒落込もうじゃないか。


シオドリック・ディー
わああ…あの渦のなかにいるのが…
なるほど、大きくてとても強そうです…
でも、ぜったいに負けられませんから!ここで倒します!

◆水上歩行方法は前々章と同じく

●弥助への対抗策
WIZ
人工皮膚による【電撃耐性】【激痛耐性】と、UCを傘のように展開し【オーラ防御】で雷槌が解除されるまで正面から耐えます
攻撃が終わった隙をつき攻撃へ転じます

●攻撃
武器も大きいですし攻撃威力重そうなので小回り機動力を重視して、物理な攻撃が当たらないようヒットアンドウェイ
UCの剣で足元や武器をもつ腕を【なぎ払い】し少しでも体勢を崩させます
他の猟兵の攻撃に繋がれば!



●シオドリック・ディー(チョコミルクミント・f03565)
 足を水上モードにしたまま、渦の流れに乗っているオレ。
 らせんを描くようにしながら、そのらせんの中心点にいる弥助アレキサンダーに近付いているのです。
 何度も攻撃を受けて、弥助アレキサンダーは傷だらけになっていますけど(とくに肉塊化していた右足はひどい有様になってます)、まだ倒れそうにありません。それどころか、最初の時よりも闘志をはげしく燃やしているように見えます。
「思った以上にやるじゃないか」
 オレたちをにらみつけて、弥助アレキサンダーは吠えました。
「だが、俺は負けない! 絶対に負けない!」
 すごい迫力です。
 でも――
「――オレだって、負けられませんから!」
「そう! ボクたちは絶対に負けられないんだ!」
 オレが思わず叫ぶと、フェルトさんも大声を張り上げました。彼女はさっきまで人魚みたいな姿に変身していのですが、今は元に戻って、ボートに乗っています。
「この世界の……みんなの笑顔を守るためにね!」
「やれやれ」
 と、苦笑したのはドラゴニアンのセゲルさん。翼をはためかせて、空に浮かんでいます。
「若い奴らは暑苦しくてかなわんな」
 額にかけていた防風眼鏡型の電脳ゴーグルを目の位置にまで下ろし、セゲルさんは高度を上げ始めました。長い槍を片手に持って。
 その動きに危険なものを感じたのか、弥助アレキサンダーは左手のドッコショとかいうものを掲げました。
 ドッコショが光り、弥助アレキサンダーの周囲にうずしおが出現して(正確には、出現したのではなく、空気がうずしおに変わったのでしょうけれど)雷撃を発射。もちろん、ひょうてきはセゲルさんです。
「落ちろ、竜人!」
「落としてみろよ、死人!」
 二人の叫びに雷鳴が重なり、次の瞬間、セゲルさんは黒こげに……あれ? ぜんぜん焦げてませんね。その代わり、セゲルさんの手にしていた槍がバチバチと帯電して、海に落ちていきます。
「避雷針だ。いくらでもあるぞ」
 セゲルさんが右の篭手(どうやら、電脳ゴーグルと連動しているようです)に指を走らせると、新たな槍が実体化しました。
 少し遅れて、第二の雷撃がその槍/避雷針に命中。それがまた帯電して落下していく間にセゲルさんは第三の槍を生み出しました。でも、今度は避雷針として使うためじゃなかったようです。雷撃が飛んでくるよりも早く、その槍を手にして弥助アレキサンダーに向かっていきましたから。
「おまえさんは無機物を妙な渦潮に変えることができるらしいから――」
 よく見ると、セゲルさんが持ってる槍は先の二本とは微妙に色合いが違います。
「――念のため、この槍は電脳技術で有機物に書き換えておいた」
「有機物?」
 弥助アレキサンダーが聞き返すと、セゲルさんは飛行速度を上げて、一気に間合いを詰めました。
「そう、有機物。かたーい鰹節さ」
「そいつぁ、いい出汁が取れそうだ」
 弥助アレキサンダーは右手の大剣を勢いよく振り回しました。冗談めかした言葉に反して、顔は真剣。大剣の一薙ぎもなまなかな威力ではないでしょう。
 でも、当たらなければ、なんの意味もありません。セゲルさんは翼を巧みに動かして斬撃を躱し、弥助アレキサンダーの背後に回り込みました。
 そして、振り返る隙を敵に与えることなく、突き入れました。
 かつおぶしの槍を。

●フェルト・ユメノアール(夢と笑顔の道化師・f04735)
 弥助アレキサンダーめがけて、叩きつけるかのように槍を繰り出すセゲルさん。
 凄まじい一撃。海上での戦いでなかったら、足下の地面が破壊されてるかも。
 敵の脇腹を刺し貫いた槍から惜しげもなく手を離し(どうせ、新しいのをすぐに実体化できるもんね)、セゲルさんは猛スピードで離脱した。
 軽口を叩きながら。
「じしん、かみなり、かじ、セゲル……と来たもんだ」
 四つめがいちばん怖そう。
「四つめがいちばん怖そうだねえ」
 ボートに同乗してるクリストフくんが呟いた。ボクの心を読んだ? ……というわけじゃなくて、たんに同じことを思っただけみたい。
 たぶん、シオドリックくんだって『セゲルさんがいちばん怖い』と思っただろうけど、確かめることはできなかった。弥助アレキサンダーから離脱したセゲルさんと入れ替わるようにして、飛び出したから。毛利水軍の相手をしてた時と同じように海面スケート・モードで。
「じしん、かみなり、かじ、オレです!」
 うーん……あんまり怖そうじゃないかな。でも、頑張って。
「地震と火事は俺の献立にはないが――」
 弥助アレキサンダー(ちなみに鰹節の槍が刺さったままの状態だよ)がまたもやドッコショを構えて、渦潮を出現させた。どうでもいいけど、メガリスに頼りすぎじゃない?
「――雷なら、腹いっぱい食わせてやれるぜ!」
「うぁぁぁーっ!」
 渦潮から放たれた稲光を受けて、絶叫するシオドリックくん。
 でも、それは悲鳴じゃない。痛みに耐えるための気合いの叫び。
 その証拠に弥助アレキサンダーへの進撃は止まってない。
「言ったはずですよ!」
 シオドリックくんが持っているステッキから光の刃が伸びた。毛利水軍との戦いでも使っていた武器。
「『オレだって、負けられません』ってね!」
 光の刃が傘みたいに展開した。その傘を体の前に突き出し、敵の稲光をなんとか防ぎながら、シオドリックくんは進んでいく。
 やがて、稲光は消えた。
 ほぼ同時にシオドリックくんがジャンプし、光の刃を閃かせる。
 もう一つ、他にも閃いた物があるよ。ボクが咄嗟に投げた『トリックスター』の刃。あ? 『トリックスター』っていうのは、ボクが愛用しているダガーのことだからね。
 弥助アレキサンダーは体を捻るようにして『トリックスター』を躱したものの――
「隙あり!」
 ――シオドリックくんが振り下ろした光の刃までは躱せなかった。
「……っ!?」
 肩を斬り裂かれて、大きな体をよろめかる弥助アレキサンダー。ボクの援護射撃ならぬ援護投擲が功を奏したのかどうかは判らないけど……まあ、結果オーライということで。
「やってくれたな、小僧!」
 弥助アレキサンダーは体勢を直して、大剣を振り下ろした。
 シオドリック君の体が縦に真っ二つ!
 もっとも、そのシオドリック君は残像だけどね。本体は瞬時に後退してる。そして、これまた瞬時に再突撃した。
「ヒット! アンド! ウェーイ!」
 光の刃が『ぶおん!』と独特の音を発して、弥助アレキサンダーの腕を斬り裂いた。
 もちろん、その弥助アレキサンダーは残像じゃないよ。

●クリストフ・ポー(美食家・f02167)
「くそっ!」
 またもや大剣を振るう弥助アレキサンダー。
 でも、刃はむなしく空を切った。『ヒット・アンド・ウェイ』の宣言どおり、シオドリック君は退避していたからね。
 そうやって翻弄されているうちに、弥助アレキサンダーはフェルト嬢と僕が乗るボートに背を向ける形となった。
 その機を見逃すことなく、すっくと立ち上がるフェルト嬢。装飾過多とも思える派手な短剣を投擲せんと身構える。
 だが、敵もさる者。ダガーが手を離れるより先に殺気に気付いたらしく――
「させるか!」
 ――振り返りざまに独鈷杵を光らせた。
 空気の一部が渦潮に変わり、電光が走った。
 だが、フェルト嬢もまたさる者。そう来るのは予想済みだったらしく――
「させるもんか!」
 ――相手の言葉を真似て、ダガーを放った。攻撃ではなく、防御のために。
 ダガーはデコイというか避雷針の役割を果たし、フェルト嬢に向かっていたはずの電光を誘導して、己が身で受けた。
 そのわずか数秒の攻防の間にシオドリック君はまたもやヒット・アンド・ウェイを仕掛けていた。弥助アレキサンダーはなんとか回避。でも、ちょっとした隙が生じた。おそらく、それこそがシオドリック君の目的だったんじゃないかな。
 彼の意を汲んだのか、フェルト嬢が新たな動きを見せた。今度は防御ではなく、攻撃のためだろうね。
「さあ、夢幻の射手のご登場だ! 現れろ! SPトリックシューター!」
 フェルト嬢の姿が陽炎のようにゆらめく。なにやら不思議なフィールドで全身を覆ったらしい。
 だけど、シオドリック君が作ってくれた隙は、そのフィールドを発生させている間に消費されてしまった。弥助アレキサンダーがフェルト嬢に向き直り、独鈷杵を構えたんだ。
「妙な手品を使ってんじゃねえ! パリャーソめ!」
 メガリスを使った攻撃のほうがよっぽど『妙な手品』だと思うけどね。まあ、それはさておき、渦潮が発生して電光が飛ぶという見飽きた光景がまた展開された。
 だけど、その後に続く光景は新鮮だったよ。
 フェルト嬢に命中したはずの電光がフィールドに吸収されて――
「ライトニングアロー!」
 ――光の矢に変わり、撃ち返されたんだ。フィールドを発生させている間に隙が消費されてしまったと思っていたけど、さにあらず。フェルト嬢は攻撃されるのを待っていたんだね。
「ぐおっ!?」
 胸板に矢を突き立てられ、弥助アレキサンダーは苦鳴を漏らした。
 一度ならず二度までも自分自身の技を(一度目はコピー系のユーベルコードで、二度目は反射系のユーベルコードで)食らい、さすがの彼もグロッキーのようだ。
 かく言う僕も(そして、時に武器となり、時に盾となってくれたアンジェリカも)対秀吉戦のせいでボロボロなんだけどね。それでも、最後の最後まで余裕のある態度で臨むつもりだよ。
「すべては信長様のために!」
 傷ついた体に力を注ぎ込むかのようにおなじみの言葉を叫び、弥助アレキサンダーは大剣と独鈷杵を構え直した。
『最後の最後』がすぐそこまで迫ってることに気付いていないようだね。
 いや、気付いていない振りをしているだけかな?

●セゲル・スヴェアボルグ(豪放磊落・f00533)
「信長様のためとかなんとか言ってるけど……君、こんなところで僕らと遊んでていいの?」
 クリストフが弥助アレキサンダーに語りかけた。人形の手から鎌を外しながら。なにか企んでやがるな。
「こうしている間にも信長は破滅に近付いてるっていうのにさ」
「そんなことはない!」
「ないわけないだろ。信長はもう死ぬよ。きっと、本人もそれを悟ってる。合理的な人物だからね」
「黙れ!」
 弥助アレキサンダーの怒号に呼応するかのように独鈷杵が光った。大きな渦潮が回る海面の一部が小さな渦潮に変わり、雷撃を放つ。変換元が空気から海水に変わったとはいえ、いいかげん、この技も見飽きたな。
 もっとも、見飽きたからといって、威力が低下するわけじゃない。まともに食らえば、かなりのダメージを受けるはず。
 そう、『まともに食らえば』な。
 雷撃は上に向かって伸びた。敵が怒号すると同時にクリストフがボートから飛び上がったからだ。しかし、伸びきった先にいたのはクリストフじゃなかった。
「すまない、アンジェリカ。君の武器を使わせてもらったよ」
 空中でクリストフが人形に詫びた。彼女が先程まで掴んでいたはずの鎌が海に落ちていく。あれを避雷針代わりにして雷撃を避けたんだろう。皆、考えることは同じか。
 鎌が海中に没し、数瞬の間を置いて、クリストフがボートに着地した。すかさず、弥助アレキサンダーに反撃……するのかと思いきや、揺さぶりをかけ始めた。
「君がここでどんなに奮闘しようと、信長は死ぬよ。間違いなく死ぬ。最初に死んだ時と違って、彼の首やらなんやらを守る必要はないだろうね。でも、君が取り残されるという点は変わらないかな」
「――」
 弥助アレキサンダーが口を開きかけた。先程と同じように『黙れ!』とでも叫ぶつもりだったのかもしれない。
 だが、クリストフのほうが先に動いた。
「心が揺れれば、疑念が生じる。奇しき薔薇は咲けり!」
 クリストフに操られた人形が腕を優雅に伸ばすと、鎌を失った手に白銀の薔薇が咲いた。そこから荊が伸び、弥助アレキサンダーの体に絡みついていく。もしかしたら、『信長は死ぬ云々』と言って揺さぶりをかけていたのは、このユーベルコードに必要な行程だったのかもしれんな。
「ぐぁ……!?」
「もう一回、言うよ。きっと、信長は君よりも先に滅ぶ。君は――」
 苦しみもがく弥助アレキサンダーにクリストフは語りかけた。無邪気な笑みを浮かべて。いや、よく見ると、『無』は付いてないな。邪気でいっぱいだ。
「――また取り残されるんだ」
「ふずぁ……っ!?」
「とりゃあーっ!」
『ふざけるな』と言おうとしたであろう弥助アレキサンダーにシオドリックが斬撃を浴びせた。例のステッキのビームサービルで。
 満身創痍な上に荊に絡まれた弥助アレキサンダーがそれを躱せるはずもない。
 当然、次の攻撃も躱せなかった。
「もうおしまいだよ!」
 フェルトによるダガーの一突き。
 他の猟兵たちも次々と攻撃を加えた。俺も槍を新たに生成して、刺し貫いた。もちろん、今度は鰹節製じゃないぞ。
 そして、皆の猛攻の結果、弥助アレキサンダーの体はだらりと弛緩し――
「……」
 ――海に落ちた。
 おなじみの『すべては信長様のために』の叫びは無し。言葉を発する前に息絶えたのか。それとも……。

 やがて、大渦が消え、海に静けさが戻った。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月29日


挿絵イラスト