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エンパイアウォー㉑~瀬戸の激流

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #魔軍将 #弥助アレキサンダー

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●隠し将と大帝剣
 グリモアベースにて、貼った戦況図を前にグリモア猟兵のアゼリア・リーンフィールド(空に爆ぜた星の花弁・f19275)が猟兵たちへ一礼した。
「みなさま、次は大帝剣、弥助アレキサンダーさんの居場所が判明いたしました。彼は本州と九州の間、関門海峡にいらっしゃるようです」
 地図の一部を杖で指す。海上での戦闘になるようだ。
「アレキサンダーさんは、三種類のメガリス……ええと、強力な能力を持った武器を自在に操ることが出来るということです。そして、その能力によって一般の方もこの戦いに巻き込まれてしまっています」
 弥助アレキサンダーの持つメガリスの一つ、『大帝の剣』の能力により一般人である毛利水軍が猟兵を敵だとみなしているということだ。毛利水軍は関門海峡を封鎖するように位置し、弥助アレキサンダーを守ろうとしている。アゼリアは悲しげに目を伏せた。
「彼らは、猟兵であるわたしたちの力をもってすれば殺してしまうことも容易いです。しかし、それはとても悲しいことですから、わたしはおすすめいたしません。戦争が終わった後の禍根は残したくありませんでしょう?」
 毛利水軍は何らかの方法で無力化するか、どうにかして通り抜けなければならないだろう。
 そして、杖の先端をつーっとずらす。毛利水軍を突破しても弥助アレキサンダーにはまだたどり着かない。
「次です。豊臣秀吉さんが居ます。彼もメガリスの力によって身体能力を一部強化されています」
 豊臣秀吉といっても黒い毛玉のような見た目の化け物だ。フェンフェンとしか聞こえない声だが、なぜか何をしゃべっているか分かる。彼もまた弥助アレキサンダーを守る存在だ。
「豊臣秀吉さんは、海の上にも関わらず縦横無尽に飛び回って弥助アレキサンダーさんを守っているのです。先に彼を撃破しないことには、弥助アレキサンダーさんに指一本触れられないでしょう」
 豊臣秀吉が行うと予測される攻撃方法は、巨大化、伸縮自在な肉体による素早い攻撃、そして麻痺効果のある遠距離攻撃だ。
 そして、今度は杖でぐるぐると渦を描く。
「豊臣秀吉さんを打ち倒してようやく、弥助アレキサンダーさんとの戦闘になります。彼は三つのメガリスの力を駆使して応戦してくるでしょう。どうも、関門海峡の大きな渦の上に浮いていて、何が目的かメガリスの力を高めているようで……なんにせよ、打ち倒さねばいけない存在ですね」
 最後に、とんとん、と渦を叩いた。
「場所は海の上になります。何らかの方法をもって海上戦を行うことは必須です。もしかしたら、その状況を利用して戦闘を有利に進めることも出来るかもしれません。また、豊臣秀吉さんと弥助アレキサンダーさんはとても……強力な相手です。わたしたちが攻撃するより先に行動をされてしまうでしょう。その対策も必ず考えて挑んでくださいね」
 そしてアゼリアは一礼して、猟兵を海の上へと送り出した。


蜉蝣カナイ
 ふたたびのボス戦をお送りします。蜉蝣カナイです。

 今回は各章の成功設定数が低いため、頂いたプレイング全てを採用できるかお約束ができないことをご了承ください。
 なるべく早くお返しするつもりでいますが、おそらく間違いなく夜は跨ぎます。

 当戦争シナリオは三章編成となっており、毛利水軍を突破するための一章、豊臣秀吉とのボス戦である二章、弥助アレキサンダーとの決戦となる三章となります。
 途中からの参加も大歓迎ですし、逆に前の章に参加されていてもタイミング次第で次の章に参加できない可能性もあります。重ねてご了承ください。

 また、先制攻撃を行うボスたちになります。下記注意事項を念頭に置いてプレイングを頂けると幸いです。

 では、みなさまの素敵なプレイングをお待ちしております。

====================
 大帝剣『弥助アレキサンダー』および隠し将『豊臣秀吉』は、先制攻撃を行います。
 これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
====================
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第1章 冒険 『毛利水軍を突破せよ』

POW   :    邪魔する船をひっくり返すなど、力任せに毛利水軍を突破します。

SPD   :    毛利水軍の間隙を縫うように移動し、戦う事無く突破します。

WIZ   :    毛利水軍の配置、天候、潮の流れ、指揮官の作戦などを読み取り、裏をかいて突破します。

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

七那原・望
軍を相手に殺すな、ですか。
とっても無茶ぶりされてる気がしますけど、頑張ってみるのです。

【果実変性・ウィッシーズアリス】で召喚したねこさん達を【念動力】で遠隔操縦の機掌・プレストに乗せることでねこさん達も空を飛べるようにします。
わたし自身は背中の翼で【空中戦】です。

ねこさん達と協力して【全力魔法】の幻覚で毛利水軍の認識を阻害し、上空を飛ぶわたし達に気付かないようにします。
可能であれば大帝の剣による洗脳を幻覚によって打ち消したいですね。

【第六感】と【野生の勘】を活用して、豊臣秀吉の位置を探り、不意打ちを受けない、少しでも有利な位置取りができそうな所を目指して進みます。

さて、ここからが大変なのです。


御形・菘
はっはっは、尊大な妾が、軽くノせるような相手をマジ殴りするはずがなかろう?
兵どもは無視して、船をガンガン無力化していってやるとしよう!

上半身に潜水具を装着してこっそりと海中から接近、乗り込んだら早速攻撃開始!
高く跳び上がり、翼で滑空
周囲に人が居ない着弾地点を調整して……ブッ潰れろ、楽土裁断!
船底までブチ抜く勢いで叩き込む!
あくまで人的被害は避けるので、狙いが微妙でも仕方あるまい
別に一隻につき一発しか使えんわけではないしな!
航行に支障が出る程度ボコったら、泳ぐなり跳ぶなりで次の船に移るぞ

兵どもの攻撃は邪神オーラを全身に纏って防御よ
殺気を込めて威嚇してやれば、戦意を喪ってはくれんかのう?
きしゃー!


フィロメーラ・アステール
「戦わないように行けばいいんだなー」
通り抜けるだけなら難しい話じゃない!
隠れるのは得意技だぜ!

【迷彩】魔法の【物を隠す】効果を使って姿隠し!
これで姿を隠していけば基本的にバレることはないと思う!

【空中浮遊】していけば海には痕跡が現れないし!
【忍び足】技術を応用して静かに飛べば完璧!

不意のトラブルがあったら【月の庇】に頼るかな?
迷彩を超える透明パワー発動で突っ切る!



●空から海から何が降る?
 ふわりふわりと羽根が舞う。ざばんざばんと鱗が跳ねる。きらりきらりと真昼の星が輝く。
「軍を相手に殺すな、ですか」
 むむ、と思案するのは七那原・望(封印されし果実・f04836)。目隠しをされながらも危うげなく海の上をその白い翼で渡っていた。武力を行使するであろう相手に対して命を奪うなとは、無茶ぶりも過ぎるところだが彼女は意気込んでいた。
「はっはっは、まあ良いではないか! あ奴ら矮小な者共など……尊大な妾が、軽くノせるような相手をマジ殴りするはずがなかろう? 我らの余裕というものを見せてやろうではないか!」
 ノリノリで波を掻き分け進んでいる御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)が堂々と笑い声をあげた。ハリのある黒く二対の翼と蛇のように長大な下半身は黒く鱗に覆われている。その邪神めいた華やかな外見だが……頭にかぶっているのが角まで入る大きな丸い窓付きの球体なのが何ともミスマッチ、否ギャップ萌えである。
「ふんふーん、ようするに戦わないように行けばいいんだなー」
 その二人の真ん中あたりを飛ぶ金色の光の筋。手のひらサイズのフェアリー、フィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)だ。その軌跡が流れ星のように尾を引いている。小さいながら今のところ存在感は抜群だ。
 海の上で三人の猟兵。彼女たちは同じ目的を前に意気投合していた。
「まあいいでしょう、頑張ってみるのです」
「兵どもは無視して、船をガンガン無力化していってやるとしよう!」
「通り抜けるだけなら難しい話じゃない! 隠れるのは得意技だぜ!」
 ……意気投合しているのか?

 どんぶらこ、どんぶらこ。
 何隻もの木造船の上、屈強な海の男たちが凛々しく力強く周辺をにらんでいる。かのお方に近づく者は虫一匹とて逃がさないという気迫で。
 ――その一隻の真横に、激しい破裂音と共に黒く水の柱が上がった。
「はーっはっはっは! 蛇神の裁きの下に潰れて果てるが良い! ブッ潰れろ、楽土裁断!」
 翼を大きく広げて天に舞い上がった菘。かぶっていた潜水ヘルメットを折り投げる。太陽を背に加速度を反転させると、まさに砲弾の如く急降下した。
「なんっ、うわあああ!?」
 今まで一切の気配を感じさせなかったその存在にぽかんと口を開けていた水兵たち。彼らのど真ん中に強烈な蛇の尾の一撃が降りかかった。激しく揺れる船、衝撃でそれを構成していた木片が宙へと飛び散り……それが猫になった。
 木片が転じた猫は、船底まで大穴を開けて沈んでいく船から吹っ飛ばされた仲間を救出すべく近寄った別の船へとわらわら集まっていく。猫が、宙を飛んで、わらわらと。
「なんでこんなところに猫が居やがるんだ!」
「助けてくれェ、俺はちっせえ動物ダメなんだよ!」
「ば、化け物だ! 蛇と猫の化け物だ!!」
 慌てふためく多くの水兵たちを目下に、望は少し頬を膨らませた。
「猫さんたちを化け物とは失礼な。こうなったら、もっともっとたくさん見せてやりましょう」
 そう、その猫は望の能力で作り上げていた魔法の幻覚だった。実体があるのは彼女の周りに浮遊する機械の掌に乗っている色とりどりの四匹だけ。りんりんりん、と猫たちの首についている鈴が鳴り、指揮棒を振る望といっしょに、歌うように体を揺らした。ちょうど菘が二隻目の船を破壊している。吹き飛ぶ破片がまた猫へと変化していった。
 もはやパニック状態の誰もが、空中にいる望の事に気が付かない。
「やー、ここまで派手に暴れてもらえると隠れるのも楽だぜー」
 そんな阿鼻叫喚の隙間を縫って悠々とフィロメーラが進んでいく。自身の身体には周辺の景色に紛れるように見える魔法をかけ、スピードは落ちるものの慎重に羽根を動かせばフィロメーラを見つけることなど不可能だろう。こんなカオスな状況ならなおさらだ。
「でもすごいなー、にゃんこ。にゃんこ対水軍。勝つのはどっちだ」
 完全に傍観者である。もう鼻歌を歌いながら飛んでもバレないのではないだろうか。そんなフィロメーラめがけて猫が飛んできても避けるのは余裕である。
「あっ」
「あっ?」
 猫を見送った先にいた水兵の一人と目線が合う。いやバレていないはず、とちょっと上昇する。水兵の目線は確実にフィロメーラを追っていた。
「曲者だーっ!!」
「戦略的撤退だぜーっ!?」
 ……猫に対応する迷彩は無かったのだ。実際猫は木材なのだから。
 捕まえようとする水兵の手をかいくぐりびゅんっと一気にスピードを上げるフィロメーラ。もう気配なんて言っていられない。
「迷彩がダメならそれを超える透明パワーで突っ切ってやる!!」
 すぐさま自身のユーベルコードを発動すれば、彼女の姿は先ほどと比べ物にならない程景色に溶け込んだ。最初からこうすれば、と思わなくもないが、これを行うと疲労感が半端ないのだ。ならば温存以外ありえないだろう。

「む、あっちが騒がしいな?」
 少し離れた位置にいた菘が力づくでびたんばしんと船を殴っていた尾を止める。改めて見ればすごくファンシーなことになっているではないか、へっぴり腰でこちらに武器を向けている水兵が近景なのが残念だが。
「弥助様と、ひ、秀吉様へは近寄らせないぞ!!」
「威勢だけは褒めてやらんことも無いが」
 菘が彼らを一睨み。それだけで取り囲む輪が広がった。
「妾にたてつくとは……葬られる覚悟はあるのだろうな!!」
「ひゃあああああああ!!」
「お助けええええええ!!」
 見開かれる爬虫類めいた瞳は禍々しく、口からは牙と長い舌が覗く。きしゃー!! とその喉から爬虫類の声が強く発せられた。
まさに蛇ににらまれた蛙。強大な威圧感に襲われた水兵たちはひとりまたひとりと武器を捨てて自ら海へと飛び込んでいった。邪神パワーの効果絶大である。これならば菘に近づく者も居ないだろう。彼女は満足げに笑うと、船を飛び移った。進むのもだいぶ、楽になったものだ、と。

別の船では何名かの水兵が猫にめろめろになっていた。
「幻覚の力をもってしても、メガリスの能力を完全に打ち消すことは不可能ですか……」
 試しに猫を消しても、水兵ははっと我に返って再び殺気立ってしまった。しかし第一の目論見である目くらましは完璧だ。望は空中で落ち着いて周辺の様子を探ることに成功していた。
「豊臣秀吉は……あちらでぴょんぴょんしている黒い塊がきっとそうですね。死角が少なそうですが、太陽を背にすれば……もしくは風向きが変わりそうですから……」
 ばさり、望が翼をはためかせる。傍らの猫たちがにゃあ、と鳴いた。
「さて、ここからが大変なのです」
 強敵を相手に、少しでも有利に戦いを進めることが重要なのだから。

 三人の猟兵が去った海の上。残されたのは何隻かのボロボロの船と、木片にしがみついてぽかんとする水兵たちだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『隠し将『豊臣秀吉』』

POW   :    墨俣一夜城
自身の身長の2倍の【墨俣城型ロボ】を召喚する。それは自身の動きをトレースし、自身の装備武器の巨大版で戦う。
SPD   :    猿玉变化
自身の肉体を【バウンドモード】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    グレイズビーム
【腹部のスペードマーク】から【漆黒の光線】を放ち、【麻痺】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:フジキチ

👑4
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●豊臣秀吉
 ぽよんぽよんと毛玉が飛ぶ。
「フェンフェン!」
 よくぞここまでたどり着いたな猟兵よ。
「フェン、フェン!」
 しかし弥助の元へそう易々とたどり着けると思うでないぞ。
「フェン……フェンフェンフェン!!」
 この豊臣秀吉がお相手つかまつろう!
 ……何故だか、猟兵たちにはその黒い毛玉がそう言っている事が理解できた。すごい勢いで動いているので少し首と目が忙しいが。
 兎角、弥助アレキサンダーを打ち倒すにはまずこの黒い毛玉、もとい豊臣秀吉を退けなければならない。
 黒い毛玉、もとい豊臣秀吉、もとい黒い獣は、猟兵たちへとその鋭い爪を向けた。
御形・菘
気高き献身と忠義、インパクト大のビジュアル、そして巨大ロボ! 完璧ではないか!
つくづく惜しいぞ、もしキマフュに生まれていたら、妾と動画再生数を競う良き宿敵になっていたかもしれんな!

本体から判断するに、ロボの攻撃も殴打や突撃・衝撃系であろう?
攻撃方向を判断して頭部は左腕で確実にガード、ダメージを和らげるために勢いに任せ吹き飛んでしまうぞ
妾は、地上を這うより水中を泳ぐ方が移動が速い!
一旦海中深く潜り身を隠し、動きが止まった瞬間を見計らい……全速急浮上!
そのまま左腕の爪撃を全力でブチ込んでくれよう!

普段は右手で細かく制御する邪神オーラであるが、此度は左拳に纏って巨大化強化よ
顎の如く、噛み付く一撃だ!


フィロメーラ・アステール
「むむむ……コイツ、できる!」
……気がする!
正面からやり合うのは危険かな!

まず、光の【オーラ防御】バリアを展開し海に潜る!
【念動力】で周囲の水を操作!
【迷彩】魔法を水に付与して、光線屈折作用を高める!
これで敵ビームを拡散し、無効化もしくは軽減!

最悪、身体が麻痺しても、水操作で移動できるはず!
敵のモフモフは水中には不向きだし、追撃は控えめと思いたい!

切り抜けたら【錬成されし対の双星】だ!
あたしの分身を呼び出すぞ!

あたし本体は、水中から光のバリアで存在をアピール!
分身は、その隙に空中へ上がってもらう!
【忍び足】の音を立てない動きで静かに水面から浮上!
敵の死角から【気合い】の【踏みつけ】キックだー!


七那原・望
えくるん(f07720)と一緒に参加なのです。

そんな事言ってたのですか。
と、こんな所で足止めされるわけには。

……えくるん?来てくれたのー?力を貸して、えくるん。

背中の翼で【空中戦】を。
煙幕の中でも問題なしです。【第六感】と【野生の勘】で敵の動きや攻撃を【見切り】、特に敵の麻痺の光線はしっかり躱していきます。

そして【果実変性・ウィッシーズホープ】を発動です。
えくるんとも協力して回避を続けながらユーベルコードによる強化を重ねます。


十分に強化を受けたら穿奏・ヴィヴーチェに全力魔法を込め、【暗殺】するつもりの【スナイパー】で、可能なら【零距離射撃】で撃ち抜きます。

えくるんのお陰でなんとかなったの!


七那原・エクル
七那原・望と一緒に参戦するよ

よしっボクと望のコンビネーション見せてやろうよ

浮遊する2機のクンバンダG2を脳波で操作して足場にするよ。

デフレクターシールドG2に装着された発射筒から浮袋を付けた煙幕弾を自分のまわり発射して煙幕を展開、敵からの視界を遮断するよ。ボクの姿が煙幕で隠れたタイミングで片方のクンバンダG2に盾を持って飛び乗りもう片方を遠隔操作で囮としてつかいます。ボクと距離を置いて煙幕の薄い箇所で物音を立てるなどして存在感をだします。見破られた場合は光線の弾道を【見切り】回避行動、同時に上空の衛星砲から【全力魔法】の砲撃で光線を撃ち落としにかかるよ。ユーベルコードは煙幕の中で発動します



●黒き獣と猟兵たち
「フェン、フェーン!!」
 豊臣秀吉がその不思議な響きの声で咆哮を上げる。現れよ墨俣城、我が力よ! とかそんなことを言っているのがはっきりと認識できた。認識できたと同時に豊臣秀吉の背後に巨大な城が現れる。それはふわりと浮き上がると……ずごん! と音を立てて城の外観そのままに手足を生やした。二倍の身長ということは、単純計算で体積は八倍であるということ。それは猟兵たちが想像していた以上の大きさを印象づけた。
「フェーーーーン!!」
 墨俣城ロボ、見参である! と口上が決まった。後ろでロボは両手を突き出して決めポーズだ。
 一瞬の沈黙。波の音がやけに大きく聞こえる。
「か、完璧ではないか!!」
 海から上体のみ覗かせていた御形・菘が興奮に体を跳ねさせた。
「気高き献身と忠義、インパクト大のビジュアル、そして巨大ロボ! 完璧ではないか!」
 気持ち早口になっているのは興奮ゆえだろうか。長い下半身の尾がべしんべしんと水面を打つ。それはつまり、加速だ。菘は真っ先に豊臣秀吉に対して突っ込んでいった。
 海から翼を広げて飛び上がった菘が繰り出した拳が墨俣城の腕に受け止められる。カウンターで繰り出された蹴りは長い尾でいなしすかさず回転を乗せて鞭のように打つ、それは掌で弾かれそのまま横からのフックが襲い掛かる。尾の反動と翼で高度を上げて躱した。
「つくづく惜しいぞ、もしキマフュに生まれていたら、妾と動画再生数を競う良き宿敵になっていたかもしれんな!」
「フェンフェンフェン!!」
 再生数は知らぬが貴様に負けるつもりはない、と豊臣秀吉が言う。菘とロボの激しい肉弾戦は次の瞬間終わった。ジャブからのストレート、とどめのフック! 墨俣城の拳が菘の胴体を捉えて大きく横へと吹き飛ばした。
「ぐぬぅっ!」
 黒い残像をもって菘が激しく海に叩きつけられる。白く水柱を上げて彼女は浮き上がってはこない。
「むむむ……コイツ、できる!」
 どういう点でできてるのかは正直カンである。たぶんである。と水面すれすれを飛び回りながら激しいやり取りの隙を伺っていたフィロメーラ・アステールは素早く方向転換した。この様子では正面からの突撃は危険以外の何物でもない。
「流石強力ですね……しかしこんな所で足止めされるわけには」
 同じく少し高い所から援護の機会を伺っていた七那原・望も緊張にごくりと唾を飲んだ。
 上下に別れている二人のうち、豊臣秀吉が先に狙いを定めたのは望だった。墨俣城が、豊臣秀吉がシンクロした動作で彼女を見据えると、二体の中心部が闇を集めたように暗くなり……
「ひゃあっ!」
 太く黒いビームが望めがけて撃ち出された。とっさに高度を下げた望。ビームが彼女の翼すれすれを通り抜けていく。続けて二発目が正確に彼女を撃ちぬこうと迫った。
「望、危ない!」
 次の瞬間、望の体がベクトルを変えて浮き上がる。
「フェンっ!」
 新手か! そう、新手だ。浮遊する掌を模したメカに乗った七那原・エクル(ダブルキャスト・f07720)が、その機動力で望を抱えて高く浮き上がった。
「……えくるん?来てくれたのー?」
「うん、大丈夫?」
「大丈夫。ねえ、力を貸して、えくるん」
「もちろんだよっ!」

 そんなやり取りを横目、いや、位置的には上目だろうか。見上げていた豊臣秀吉(と墨俣城ロボ)がおもむろに視線を海面へと移し即座にビームが放たれる。
「ひょあっ! だめかー!」
「フェンフェン!」
 この隙に接近しようとしていたフィロメーラだった。距離はあと少しだったが……狙いが自分に移ったことを察した即座に彼女は輝く光を球状に纏うとどぼんと海へと潜り込む。連射されるビームは海だろうと関係ない。特に光っている相手なら狙いもつけやすいものよ、と雨のように降り注ぐ。
「わわわわわわー! こえー!!」
 それでもビームはフィロメーラには届かない。
「ビームはつまり光! こう、いい感じに屈折させちゃえば届かないんだぜ!!」
 屈折率をもつ海水を球状に操り、その上光を操る魔法を乗せたのだ。黒いビームはプリズムのごとき光の球に次々軌道を逸らされる……ちょっとびりびりするが。
 海中の光に気を取られていた豊臣秀吉。彼が異変に気付くのには時間がかかった。
「フェンッ!?」
 いつの間に、海の上に霧とは違う、白い煙が充満しているではないか。
「よしっ、ボクと望のコンビネーション見せてやろうよ!」
「行くのです!」
 フィロメーラが光で気を引いている隙にエクルが大量の煙幕弾をまき散らしていたのだ。彼が構える盾から無数の弾が上空へと射出され、それらは煙を発しながらゆっくりと降下する。
「わたしは望む……ウィッシーズホープ!」
 望が翼を広げて加速した。手に持つタクトが果実を頂く長杖へと変化し、金色の輝きを放つ。
「フェンフェンフェン!」
 そんな小細工など効かぬわ! 豊臣秀吉が叫ぶ。煙の中に見える影に手当たり次第ビームを放ったが……多い。明らかに二人の質量ではない。
 すぐそばまで近づく、風を切る音にビームを向ける。破裂音と共に墜落する飛行機械だが、そこに乗る者は無い。さらに弾幕めいたビームは上空からの全く別物の白い光線に軌道を逸らされるではないか。
「フェン!」
 どこだ!
「答える義理はないね!」
 煙の中、いつの間にか豊臣秀吉(と墨俣城ロボ)は無数の小さな気配に囲まれていた。
「撃て! ハイドフェザー!」
 広がる機械の翼たちが一斉に豊臣秀吉めがけて熱線を放つ。墨俣城ロボが腕を振り回し機械の鳥を破壊するが、攻撃は間違いなく豊臣秀吉本体にも通っていた。
「行くの!」
 ビームの合間をすれすれで通り抜けた望が肉薄する。その手には赤い花が彩られた精霊銃。振り回された腕を躱すことで、彼女の力はさらに高まっていた。
 三メートル。腕をくぐった。
 二メートル。急降下。
 一メートル。銃に全力の力を籠める。
「ここは通してもらうの」
 ゼロ。精霊銃、穿奏・ヴィヴーチェの銃口が輝いた。
 その威力に、豊臣秀吉は墨俣城ロボをシンクロさせて大きく後ろへと吹き飛んでいく。しかし、
「あたしを忘れてもらっちゃ困るぜぇ!!」
「フェンフェン!?」
 突如その足元から現れるフィロメーラに、虚を突かれた豊臣秀吉は目をむいた。
 サッと海を確認する。光の球は未だ海中。ならばこのフィロメーラは何だ?
「まさかのダブりキャラ登場! ってね!」
 つまり、魔力で構成された分身である。精巧な分身だって彼女にとっては防御しながら操ることも容易い。それだけの練度があるのだ。
「とりゃああああ!!」
 その小さな体で、フィロメーラは豊臣秀吉を蹴り上げる。膝をばねに、飛行の勢いを乗せて、そして気合を込めて。
 反動が吸収され……しかし豊臣秀吉は上空へと大きく飛んでゆく。どこにそんな力があったのかと思う程度の威力で飛んでいく。フィロメーラの分身は反動で水の中へとドボンしていたが分身なので痛くも痒くもないのだ。

 そして煙幕の層を抜けて加速度が反転するころ、豊臣秀吉は下から追うように上昇してくる黒い影を見た。
「油断したな豊臣よ!!」
 それは序盤に撃破したと思っていた菘だった。彼女はすでに豊臣秀吉の高度を超えている。
「フェン!!」
 貴様なぜ無傷なのだ!
「いいや痛い一撃であったぞ! 妾の方が一枚上手だっただけだがな!」
 そう、菘はあえて吹き飛ばされることで直撃のダメージを受け流していたのだ。完全ではないが、ついでに片付いたと思わせずっと海の中で息を潜め、機を伺っていたのだ。
菘が左腕を振りかぶる。赤黒くオーラが渦巻いて、それは巨大な爬虫類、いや、龍の顎と化していく。海を抱く邪神の如き姿。その一撃が豊臣秀吉の頭上から下った。
「これが妾の全力よ!!」
 巨大な顎が豊臣秀吉へと噛みつき、空中で一回転、勢いをつけて墨俣城ロボへと叩きつけられる!
「フェン! フェン!」
 砕ける瓦、飛び散る壁。そして膨らむ黒い煙。
「フェンーーーー!!」
 墨俣城と共に、豊臣秀吉は砕け散った。
 ――弥助アレキサンダーの名を叫びながら。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『大帝剣『弥助アレキサンダー』』

POW   :    大帝の剣
単純で重い【両手剣型メガリス『大帝の剣』】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    逆賊の十字架
自身の身体部位ひとつを【触れた者の闘志を奪う超巨大肉塊『視肉』】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。
WIZ   :    闘神の独鈷杵
自身からレベルm半径内の無機物を【無尽蔵に破壊の雷槌を放つ『闘神の渦潮』】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。

イラスト:みやこなぎ

👑5
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●弥助アレキサンダー
 男が海の上に立つ。
「秀吉殿を下したか」
 大きな渦の上、彼は三つの力をその身に浮かび上がっていた。
 海をもものともせず、波をもものともせず。
「いいだろう。猟兵よ、かかってこい!!」
 ――彼こそが、この場を統べる主だとでも言うかのように。
レナータ・バルダーヌ
連戦お疲れ様です!
日も高くなってきたので、お昼をお持ちしました!

片手でも食べやすいように『ゴボウの五目おむすび』を作ってきたので、一緒に【愉快なゴボウさんディナー!】です!
上空にいる方にはわたしが炎の翼で飛行して、海上付近にいる方には謎のゴボウ生物の亜種『愉快なゴボウさん』が包帯をロープ代わりに降下してお届けします。
今日は戦いにきたつもりはありませんけど、攻撃されたらサイキック【オーラで防御】し、防ぎきれないダメージは【痛みに耐え】て凌ぎます。

あっ、ちょっと潰れちゃってます……。
食べ物を粗末にしたらいけないんですよ!
1個はわたしが食べますから、もう1個はアフロさんが責任もって食べてくださいね!


御形・菘
アフロは絶対強者、世界(主にキマフュ)の真理であるな!

如何なる力押しにも退かん、覚悟を決めて攻撃は受け切る!
更にインパクトの一点を判断し、邪神オーラを凝縮させた左腕での全力防御だ!
当然ダメージの影響を顔に出すなんてカッコ悪い真似はせんよ
海中へ素直に沈んで衝撃は逃がすが…素直に海面に上がり、右手で渦をコンコンっと

はーっはっはっは! 真にこの場を統べるのはこの妾よ!
安心せい、この花畑には罠など無い!
足場で踏ん張りは十分、あとはひたすら真正面で、攻撃力を爆上げした尻尾と右拳を全力でブチ込み続ける!
砕けた左腕でも、防御できんわけではない!
ああ、全てがエモくて素晴らしすぎる! 妾は最っ高の気分であるぞ!


七那原・望
えくるん(f07720)と一緒に参加なのです。

わたしの役割は囮。敵を引き付けながら【空中戦】で戦います。

織田信長?なんだかあんまり強そうな名前じゃないですね。
弥勒なんて大層な名前の人が忠義を尽くす相手としては、ちょっと役不足過ぎません?

敵を挑発して自身に注意を向けます。
敵の攻撃や動きを【第六感】と【野生の勘】で【見切り】、捌きます。

【果実変性・ウィッシーズラブ】に最愛の夫、えくるんへの惜しみない献身を込めて。

【全力魔法】も惜しみなく使い、相手の注意を逸らさないように。

【念動力】で遠隔【操縦】の機掌・プレストに銃奏・セプテットを持たせ、【援護射撃】を。

全ては、えくるんの攻撃を確実に当てるために。


七那原・エクル
七那原・望と一緒に参加

敵大将のお出ましだね

先の戦闘で破壊されたクンバンダG2に(予備機)と墨俣城ロボの残骸を【メカニック】の知識を活かして使えるパーツを組み合わせてジェットパックを製作、これを【防具改造】で身体に装着できるようにするよ

大帝の剣で切りかかってくる瞬間を【見切り】って水中に潜行させていたグンバンダG2(1号機&2号機)を海上へ飛ばし装備させていた鋼糸を射出して敵の周囲を高速で旋回、鋼糸で身体を縛って行動を阻害するよ。動きが鈍ったタイミングで剣の攻撃範囲から離脱、その後ユーベルコードで攻撃します。間に合わぬ場合は上空の衛星砲の【全力魔法】でビーム砲撃、できる限り剣の軌道を逸らしてみる


フィロメーラ・アステール
「なんだか身体がうまく動かないぜ……!」
くっ、秀吉の麻痺が今頃になって!
……というのは【演技】だ!

手負いの【パフォーマンス】で攻撃を誘う!
【第六感】でタイミングを読み【オーラ防御】バリア展開!
地形破壊で海が吹っ飛ぶ水飛沫と、バリア破壊の光を【迷彩】や【目潰し】にして「やったか!?」状態に!

身体の魔力も吹っ飛ぶので実際ピンチだが!
【気合い】の【激痛耐性】で意識を保ち【星霊憑依】だ!

大帝の剣に憑依し【念動力】で【盗み】取る!
敵は、武器を奪われないよう踏ん張るはず!
でもそれはブラフ!

この武器は物理的に奪わなくても、できる事がある!
【全力魔法】で洗脳能力を利用し【精神攻撃】だ!
こいつでチャンスを作る!



●海上に咲く光
 大きな渦の上、弥助アレキサンダーが両手剣を構えた。なんの変哲もないように見える武骨な剣だが、肌をちりつかせる威圧感はただの業物ではないということを猟兵たちに確信させた。
「織田信長様の邪魔はさせぬ!」
「織田信長? なんだかあんまり強そうな名前じゃないですね。弥勒なんて大層な名前の人が忠義を尽くす相手としては、ちょっと役不足過ぎません?」
 透き通った少女の声に、海の上は静まり返った。きょとんと、心から不思議ですというように首をかしげて、七那原・望が容赦なく言い放ったのだ。
「貴様! 信長様を愚弄するか!」
 先ほどまでの悠々とした身のこなしから一転、怒りに表情を険しくした弥助が上段に大帝の剣を振りかぶり目にもとまらぬ速度で望へと迫る。
 その筋骨隆々な外見に違わぬ力強い一撃が望へと叩きつけられる。周辺の海が激しくしぶきをあげた。
「だってそうじゃないですか? 名は体を表すといいますし、実際あなたはこの一撃でもその強さを表しているではないですか」
「預けられたこの至宝こそ信用の証! 我が恩義が貴様に図られてたまるものか!」
 すれすれで手にする大鎌で一撃をいなす望だが、その手は衝撃でしびれるようだった。しかしそんな様子をおくびにも出さずに挑発を続ける。
 まずは視線を釘付けにする。それが彼女の狙いだった。
 再び望へと襲い掛かる剣。その軌道が不意に横から飛び込む黒い塊に押され、空を裂く。
「ふふ、はーっはっはっは! アフロは絶対強者、世界の真理であるな!」
「それキマフュで聞いたことあるぜ!」
 弥助の足元が波に揺れる。海中からその身を生かしたスピードで飛び出した御形・菘の拳がその剣を打ったのだ。さらにフィロメーラ・アステールの魔力が質量を持つ光として放たれる。
 取り囲むように布陣した三人を一瞥して弥助は闘志をその目に燃やす。
「まずは貴様らからだな!」
「ふんっ!」
「かかってくるのです」
「行くぜー!」
 弥助の剣を菘が拳で受ける。打ち付けるように一発、二発、カウンター気味の尾の一撃は掴まれたがその手は望が放つ魔法に弾かれた。さらに目もくらむ星のきらめきが刺すように輝く。
 三人による物理と魔法による波状攻撃だが、あと一歩弥助には届かない。
「なんだか身体がうまく動かないぜ……!」
 特にフィロメーラの攻撃は少しぎこちない。彼女は何かに気付いたかのようにハッとした顔をした。
「まさか……くっ、秀吉の麻痺が今頃になって!」
「隙あり!!」
 その機を見逃すほど弥助は甘くない。言葉として発していたからなおさらだ。まさに狙ってくれと言っているようなものだ。
「うわぁー!!」
「フィロメーラさん!」
「ふんぬっ!」
 インパクトの瞬間放たれた強い光が海面へと叩きつけられる。さらに弥助はその勢いのまま大帝の剣を振り上げ、フィロメーラへと手を伸ばす望も吹き飛ばす。
「望っ!」
 宙へと飛んだ望の体は七那原・エクルがしっかりと受け止めた。今まで足場として使っていた機械掌はなく、その背には白い漆喰塗りの塊が機械に混ざって装着されていた。先ほど交戦した秀吉の墨俣城ロボの脚部を回収して、そのブースターをジェットパックへと短時間で改造したのだ。
「ありがとう、えくるん。わたしは大丈夫」
「……分かった、無理しすぎないでね」
 二人が手をぎゅっと握り、放す。この信頼が、愛があれば彼女は飛べるのだから。
 その二人の様子と、吹き飛ばされたフィロメーラの様子をみた菘は合点がいったというように不敵な笑みを浮かべた。
「ほう、なるほどな! そういうことならば妾に任せるがいい!」
 何をとは言わない。それは無粋というものだ。菘はだんだんと気分が高揚していくのを実感していた。
「ふん、訳の分からぬことを!」
 剣と拳が激しくぶつかり合う。覚悟と覚悟の視線が熱く、至近距離で爆ぜた。
 弥助が大帝の剣を振りかぶる。来る。今まで十分なくらいその動作を見ていた菘が、丹田に力を入れて黒くオーラを纏う。
「どりゃああああ!」
 邪神のオーラで膨れた菘の左腕がまっすぐにその一撃を受け止めた。いや、ぴき、と嫌な音がする。
 まるで爆弾を落としたかのように、ひときわ大きな波がその場を隠した。

 それが晴れた時、そこは一面の花畑と化していた。

「な、なんだ!?」
「ふふ、ははは、はーっはっはっは!」
 響く菘の高笑い。邪神めいた姿が海中からその上に舞い降りる。彼女は動く右腕だけを大きく広げた。
「真にこの場を統べるのはこの妾よ!」
 その姿に弥助は警戒をあらわにした。なぜならこの花畑、遠目は花に見えるが……よく見ると色とりどりのイソギンチャクなのだから。
「安心性、この花畑には罠など無い!」
 懸念は正直そこだけではないのだが、混乱仕掛けた弥助に対してダメ押しのように空から新しい声が降ってきた。
「連戦お疲れ様です! 日も高くなってきたので、お昼をお持ちしました!」
「ごぼー!」「ごぼー!」「ごぼー!」「ごぼー!」
 ぽてん、と花畑に着地したのは、ゴボウ、っぽい生物。つぶらな瞳で周辺を見まわすと、菘の姿を認めると手に持っている包みを渡そうと、その短い足をばたつかせた。
「な、なんだ……!?」
 見上げれば、エクルと望にも何かを渡そうと急接近する姿があった。レナータ・バルダーヌ(復讐の輪廻・f13031)だ。垂れる包帯にはまだまだゴボウがしがみついている。
 あれを渡されてはまずい。本能でそう判断した弥助は花畑を蹴り飛び上がる。
「邪魔をするな!」
 構えた腕はみるみるうちに膨れ上がり、腕とは思えぬ肉塊へと変化していた。サイキックエナジーで構成された障壁を易々と砕き、レナータを花畑へと突き落とす。
 イソギンチャクの花弁が舞った。いや、触手だろうか……
「う、うう……でもこれしき……皆様に食べてもらうために作ってきたんです、ゴボウの五目おむすび……」
 よろよろと起き上がるレナータの体を菘が支えた。
「うむ! その心意気気に入ったぞ!! 片手で食べやすい心遣い、そして何より美味い!!」
 すでに彼女は愉快なゴボウさんから受け取ったおにぎりをもぐもぐと咀嚼していた。その満足げな表情を見れば痛みなんて何のその、だ。ついでに、彼女は戦いに来た訳ではないのだ。失う戦意もない。
「そうなんです! ゴボウはポリフェノールと食物繊維がたっぷりなんです! ああ、あのお二人にも渡してこなければ!」
 レナータが炎の翼を広げて飛翔、その先では望とエクルが弥助と交戦していた。ちょうど、望が三度剣にその体制を崩し、そしてついにエクルへと大帝の剣が迫っていた。
 エクルがジェットパックを巧みに操作して距離を取る。しかしこの距離間では避けきれない。
 しかしその瞬間、剣が弥助に反発するように不自然な動作を見せた。
『ふっふーん、大帝の剣はあたしが占拠したぜー!』
 剣が明るい声で喋った。フィロメーラの声だ。さすがに手元の剣が話すなど夢にも思っていなかった弥助の動作が一瞬止まった。
「今だ! 射出!!」
 海が盛り上がる。銀糸の如き金属の糸がネットのように弥助を囲んだ。エクルが操る機械掌が急浮上、そして旋回。いくらかはその筋肉に引きちぎられてしまったが、確実にその鋼糸は弥助を拘束する。
「ぬうっ」
 弥助の体がぐらついた。金属の糸を引きちぎろうとした体が硬直する。
「ぐわあああああ!」
『自分の武器に攻撃させる気分はどうだ!』
 大帝の剣に憑依したフィロメーラは、その剣が持つ能力を遺憾なく発揮した。そう、精神攻撃だ。さすがに至宝の洗脳を再現することはできなかったが、逆にその中途半端な力が弥助に混乱を生んでいた。
 筋骨隆々な巨体が花畑に落下する。なんとか、という体で彼は体を起こすが、もうその目の前には頭の上にゴボウさんを乗せた菘が迫る。
「アフロさんのせいでおにぎりがちょっと潰れちゃいました! 食べ物を粗末にしたらいけないんですよ!」
 後方でレナータがぷんすか声を上げているがそれどころではない。上から叩きつけられる尾を防御しようとした腕が、明らかに間に合わない。
 それはゴボウの五目おむすびを食べていないせいだ、ということが弥助に分かるはずがなかった。
「はーっはっはっは! エモい! エモいぞ!! 愛と献身、身を挺した予想外の攻撃、そして極上の食事! 全てがエモくて素晴らしすぎる!」
 この邪神(自称)、ノリノリである。
「行くよ! 伏せて!」
 背後からの声もさらに感情を昂らせる。彼女にとってはこの場のシチュエーション全てがロマンに満ち溢れている。
 さて、素早くその上体を伏せた菘の上を大きな破裂音と共にまばゆい稲妻が走る。それは鋼糸に吸い寄せられるように、身動きもままならない弥助へと直撃する。
「エレクトリックサージ・ランス――ジェットランスパニッシャ!!」
 だんだん高くなるモーターの駆動音。エクルが構えていた機械槍に内蔵された推進器が小さく雷を放つ。
 アンダースローで放たれたその槍は、雷よりも速い。
 雷が弥助の胸を貫く。
 その体が揺れ……どさり、仰向けに倒れると、穴が開いた部分からじわじわ黒く消えてゆく。

「……終わりましたか」
「望、大丈夫?」
「うん、えくるんの一撃は外せないから……頑張ったよ」
「妾は最っ高の気分であるぞ!」
「ああ、アフロさんに潰れてしまったおむすびの責任を取ってもらおうと思ったのに……」
「それならあたしが食べたいぜー……」
 方々から花畑の上に集まる猟兵たち。望に抱えられた満身創痍のフィロメーラがレナータの言葉に手を挙げた。確かに彼女だけおむすびを食べていない。未だぐるぐると目が回っているようだが、食欲がある程度には無事の様子だった。
「ふむ、連戦だった故な、まだおむすびは余っているか?」
「はい! 皆さん、召し上がってください!」
 戦争の一幕、それでも休憩は必要である。
 海の上、刹那の花畑に少しの間、笑い声が残っていた。

苦戦 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年08月22日


挿絵イラスト