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エンパイアウォー⑥~操

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー

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●グリモアベース
「はい、どうもお疲れさまですよ。今日の戦争依頼は、関ヶ原です」
 かなり早口でウィルバー・グリーズマン(入れ替わった者・f18719)がそう言うと、すぐに依頼の内容を語り出す。

「大帝の剣……という魔軍将『弥助アレキサンダー』が所持する武器には、広範囲の洗脳能力がありまして、畿内全域の農民を操って幕府軍を迎え撃つ準備を進めています」
 今回の戦場における数は、実に256名……。
 これらをオブリビオンが指揮して、ファランクス陣形を組んで幕府軍を阻んでいる。
「全ての農民が日野富子から徴収したお金で長槍と大盾を装備し、それを指揮するオブリビオン……はい、お分かりとは思いますが、幕府軍は為す術もなくやられます」
 これをどうにかしなければ、半数近くがここで壊滅してしまうだろう。
 ファランクスを突破し、指揮官のオブリビオンを撃破すれば、農民も降伏する筈だ。

 攻守完璧な絶対陣形……しかし、これはあくまで幕府軍に対しての絶対である。
「此方は猟兵ですからね。空を飛ぶなり地面に潜るなり、最悪正面突破でも構いません。農民を避けるか無力化するなりして、指揮官まで突破すると良いでしょう。ただし、農民を殺すのは止めるように。操られてるだけですから……手加減は出来ますよね?」
 あくまでターゲットは指揮官のオブリビオンのみ。農民には罪はないので、殺害してはならない。同様に殺害ギリギリを狙ったりするのも無しだ。
 どうしても致し方無いと言うのならば話が別だが、そんな状況もそう無いだろう。

「指揮官は中々強いですが……そうそう、カウンターが強いらしいですよ!!」
 何故か嬉しそうなのは置いといて、この状態になるとかなり面倒との事だった。

 そうして、話が終わるとウィルバーは転送の開始を始めて行った。


小強欲
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 どうも、小強欲と申します。
 まだ戦争シナリオを出しています。

 詳しい内容はOPの通り。
 ファランクス部隊とボスを無力化します。(要約)
 尚、ファランクス部隊の殺害は止めて置きましょう。
 それでは、テクニカルな戦闘プレイングをお待ちしております。

●他
 プレイングが来たらとりあえずリプレイを書きます。
 4名様以上のプレイングを頂いた後、全リプレイが書き終わり次第に一斉提出してシナリオを終了します。
 また、リプレイ提出時には一度リロードしますが、その際にプレイングが増えていた場合は、そのリプレイを書き終えてから一斉提出します。
 7人目以降は私の執筆力不足により、採用率が下がります。申し訳御座いません。
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第1章 ボス戦 『乱世の名将』

POW   :    八重垣
全身を【超カウンターモード】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD   :    八岐連撃
【一刀目】が命中した対象に対し、高威力高命中の【七連撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    永劫乱世
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【復活させ味方】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。

イラスト:タヌギモ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠犬憑・転助です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

御園・ゆず
彼と顔を合わすのはもう何度目だろう
そういえば今日で丁度1週間か
行ってきます、と目礼して転送
いつのまにか非日常に慣れ切ってしまった

わたし、馬鹿だから
愚直に正面突破するよ
農民の長槍が腹に刺さった所で埒外は死んだりしない
パキン、折ってひた走る

いた
オブリビオン
倒すべき非日常

ぺろりと額から滴る血を舐めとったら、劇の始まり
埒外に目覚め、殺戮開始

撃って
切って
殴って
縛って

血を流せば流すだけ身体が軽くなっていく

可哀想な貴方の命
あたしが救ってあげるね
神様はこの世を見捨てたから

以前祈った神様はもう居ない
守りたい日常の為に戦うたび
わたしが日常から遠ざかる

手にしたFN Five-seveNにそっと唇を落とし、瞠目



 ファランクス部隊。
 盾と槍が規則正しく並び、見るからに落とすのは容易ではなさそうな鉄壁の布陣。
 そんなファランクス陣形をすぐ近くから見ている御園・ゆず(群像劇・f19168)は、転送される際に目礼する程度には心に余裕があった。
 何度か戦争を体験したからか、非日常に慣れ切ってしまった様だ。
「これで一週間だっけ……」
 一週間で色々な事があった……が、そんな事を考えている暇はなさそうだ。すぐ目の前にまでファランクス部隊が来ている。
 軽く準備運動をしてから、ゆずはファランクス部隊に向けて駆け出した。

 農民と猟兵。
 例えどれほど強い農民が束になって挑もうとも、猟兵に勝つ事は不可能。
 ましてや、経験の積んだ猟兵相手ならば、洗脳されようが肉体的な変化がなければ致命傷など与えられる筈もない。
「長槍が腹に刺さった所で……埒外は、死んだりしない」
 故に、ゆずの取った突破方法は、『正面突破』。
 一人の農民の盾に向かって一直線、真正面からの突撃でファランクスを破れば、無理矢理突破を試みて。
 槍の刺突、盾の殴打も全て無視して弾き飛ばし、オブリビオンの元にひた走る。

 幾らかの血が流れながらも、鉄壁のファランクスを力技で通り抜けて、乱世の名将の元にまで辿り着いたゆず。
「いた、オブリビオン……倒すべき非日常」
 額から血が流れる。それが口元にまで達すると、ぺろりと舐めて。これがトリガーとなって、殺戮に特化した『あたし』を呼び起こした。
 それを見ていた名将は静かに佇んでゆずを見ると、構えを取る。
「猟兵か、面倒な」
 ゆずはまず様子見の拳銃『FN Five-seveN』による射撃を行って。名将は動く事はなく、放たれた弾丸をそのまま反射してしまう。銃弾はゆずの頬を掠め、また血が流れて。
 だが、全く怯まずに次はプッシュダガーを手にして斬り掛かる……が、これも反射されて、プッシュダガーが肩を抉って。
 拳を振り上げて鎧に叩き付けようとすれば、それも返されて拳が斬り裂かれる。
「無駄だ、俺に攻撃は通用しない」
 名将は淡々と告げるが、それでもゆずは攻撃の手を止めない。
 物理的な攻撃が聞かないならば、鋼糸を使って縛ろうとする。だが名将はそれは許さないと、構えを解いて八本の刀で斬り掛かる。
 ズシャッ、と刀がゆずの身体を貫くが……その強化された肉体は貫き切れずに、途中で動きが止まってしまう。
「可哀想な貴方の命。あたしが救ってあげるね。……神様はこの世を見捨てたから」
 それはオブリビオンに向けての言葉か、内なるゆずに向けての言葉とも取れるが……何方にせよ、やる事は変わらない。
 夥しい量の血液が流れる事で、更に戦闘能力が上昇すれば、身体の筋肉も共に強化されて行って。突き刺さっている刀を、その強靭な肉体で砕いてしまった。

「何故、そこまでする必要が……?」
 名将は八本刀が完全に折られてしまうが、ゆずのダメージは甚大な物だ。
 ここで特攻を仕掛ける理由が名将には分からず、困惑している。
「以前祈った神様はもう居ない……守りたい日常の為に戦うたび、わたしが日常から遠ざかる」
 静かに拳銃へと唇を落とすと、目を大きく見開いて、名将の腹部に向けて引き金を引いて。
 すぐに構えを取るが、僅かに遅く、その弾丸は腹を撃ち抜いて。
「ぐっ……分からぬな、理解に及ばぬ」
 名将は一つ溜息をつくと、これ以上は戦闘力が高まり続けるゆずを相手にすると不利になるだけだと考えて、その場から移動して行く。
 それを追おうとするゆずだったが、名将を守る様にファランクス部隊が立ち塞がって。
「……わたしは何処まで遠ざかるのかな?」
 そう誰かに呟いて、流れる血を抑えようともせずに、敵陣から離れて行った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鎧坂・灯理
【鎧坂探偵社】
ええ、参りましょうハティ
つまり奴らも後がないと言うこと
我々は確実に追い詰めてきています

己のみの転移であれば『黄龍』の補佐でなんとかなる
ハティが敵前にたどり着いたらその隣へ転移しよう

こんにちはオブリビオン
UC発動、全力の念動力で固定してやる
標本にされた虫のように
私も攻撃は出来ないが、
貴様もこれでカウンターはできまい
己の血肉で血を染めろ

竜を引き裂く力の前で、立っていられるものなど居まい
お疲れ様でしたハティ
戻ったらご飯にしましょうね


ヘンリエッタ・モリアーティ
【鎧坂探偵社】
手の込んだことをするわよね
それだけ本気なのでしょうが
いきましょうか、灯理

【黄昏】で強化した体を使って目的地まで行くわ
農民たちとかち合うと殺しそうなんだもの
樹や大きな岩などを蹴ってさっさと飛び越えちゃいましょう
洗脳の上書きとかは私の得意じゃないの、ごめんなさいね

お前を殺しに来たわ
絶滅よ。絶えて死ね
死樹の篭手を装着した腕で殴り掛かりたい、ところだけど
私の威力で撃ち合うと私も壊れるからね
――灯理、出番ですよ。よろしくどうぞ
発動する前に止めておけば――打ち砕けるわよね
さあ、歯を食いしばれよ
せめてサムライらしく「手刀」でいきましょうか
ご飯……今日はよく動いたから
いっぱい食べたいわね



 ヘンリエッタ・モリアーティ(犯罪王・f07026)はファランクス部隊の上を跳んでいる。
「……手の込んだことをするわよね。それだけ本気なのでしょうが」
 激憤と憎悪を代償に自らの戦闘力を向上して、手頃な岩を見付ければそれを蹴って、一気に名将の元にまで向かう作戦。
 それはあまりにも容易くファランクス部隊を無視して、名将の前にまで辿り着いて。
「いきましょうか、灯理」
 すぐ隣を見ていると、そこに現れるのは鎧坂・灯理(不退転・f14037)。
 形而上力増幅機環『黄龍』を用いた瞬間移動。己のみに限って言えば、こうして転移が可能なのだ。
「ええ、参りましょうハティ。つまり奴らも後がないと言うこと……我々は確実に追い詰めてきています」
 名将に視線を移すと、全く同時に歩き出した。

 二人を見ても名将の態度は全く変わらず、実に冷静。
「またか、しつこい奴等だ」
 少しだけ首を振りながら、この面倒な状況に辟易して、大きく溜息をついた。
「こんにちはオブリビオン」
「お前を殺しに来たわ……絶滅よ。絶えて死ね」
 流れるように二人は言葉を繋げて、名将への殺意を増大させて行く。
 ヘンリエッタの攻撃力は、今や通常時の数十倍。そこに存在するだけで強烈な威圧感を放っており、空気がビリビリと振動している。
「大層な力だ。げに恐ろしき怪物よ」
 そう言って、構えを取ろうとするが……。
 構えるよりも前に灯理の目が見開いて、名将を視界に入れると動きを止めてしまった。
「貴様もこれでカウンターはできまい……まぁ、もう聞こえていないか。竜を引き裂く力の前で、立っていられるものなど居まい」
 全神経を、名将を止める事だけに使った念動力。灯理も同じく動けないが、これで構えは防いだ。
 ヘンリエッタは圧倒的なパワーとは裏腹に、静かな足取りで名将へと近付いて行って。
「さあ、歯を食いしばれよ……聞こえているならね」
 まるでサムライの様に身を屈めると、右の手刀を左の拳で押さえ付けて力を溜めて……。
 そこから放たれる一閃。黄昏の一撃は、名将の鎧に向けて放たれた。

 辺りに響き渡る爆音。
「くっ……!?」
 灯理は目の前から発生する風圧で倒れそうになるが、しっかりと足に力を込めて転倒を防いで。
 すぐに前を見れば、片膝を付くヘンリエッタと、同じく片膝を付いた名将。
「俺の、八重垣が、破られた……? いや、今のは、構える前に衝撃が……!」
 名将の鎧は砕けて、肉を大きく抉り取られて、裂傷が走っている。
 彼にしてみれば、何時の間にかダメージを受けていたと変わらない。
「構えていなかった筈。何故、返された……?」
 しかし、同じ様にヘンリエッタも混乱していた。
 竜すら屠る一撃は無防備な名将の鎧に命中し、その攻撃力で消滅させる筈だった。
 だが、攻撃は通ったものの威力の数割は相殺されて、幾らかは反射して右手を負傷してしまった。

 甚大なダメージを受けて、名将は立つ事も出来ない様子。しかし彼の頭は冷静で。
「……あの構えは、追撃の為のものだ。八重垣の力は、俺の意思次第で変化する」
 息を荒くして声も途切れ途切れだが、確実に言葉を出す。
 八重垣は名将が反射を行うと思えば発動し、そうでなければ発動しない。今の場合は発動したての状態で彼の時間が止まった為、中途半端に反射されてしまったのだ。
 あと数秒静止するのが早ければ屠れただろうし、逆に遅ければ返り討ちにされていた。
「ならば、もう一度……」
「二度目は、ない」
 再度、灯理は名将を見ようとするが、そこにファランクス部隊が現れて名将の姿を隠してしまって。
 歯軋りをして瞬間移動で追い掛けようとするが……立ち上がったヘンリエッタに肩を叩かれて。
 振り向けば、ヘンリエッタが静かに首を振っている。
「あの傷では長くはないわ、ここまでにしましょう。ご飯……今日はよく動いたから、いっぱい食べたいわね」
 ダメージは十分に与えた。それに味方もいる。
 ファランクス部隊を飛び越えて、渾身の一撃を放って、更にはカウンターも受けたのだ、ヘンリエッタはかなり疲弊している。
 少しふらふらの身体で灯理の背中に寄り掛かって。
「分かりました。お疲れ様でしたハティ、戻ったらご飯にしましょうね。……いや、怪我の治療が先か?」
 ヘンリエッタを背負いながらも首を傾げて、帰ったらどうするかを考えて行く。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

二天堂・たま
オブリビオンの元へたどり着くため、まずは農民たちの先へ行かねばな。
UC:アルダワ流錬金術で地面という無機物を操作し、モグラのように地下を進んでいく。
敵のUCも”死亡あるいは気絶中”の者を味方に変えて操るからな。
倒して無力化するより、やり過ごした方がいいだろう。

オブリビオンの元に着いても同UCを利用する。
農民たちが操られないよう、もしくはワタシやオブリビオンの攻撃に巻き込まれないよう鉄の壁で戦場を仕切るのだ。

攻撃には”ケットシーの肉球”を用いる。
ワタシの肉球は魔性の肉球…。具足の上からでも負の感情を浄化するのだ。
戦場で様々な敵と対峙しただろうが、おそらく初めてじゃないか?


フィオレッタ・アネリ
お百姓さんたちを操って戦争に巻き込むだなんて…
そんなひどいコト絶対止めなきゃ!

こんなときのために、誰も傷つけない力があるの

《花霞》の効果を【精神攻撃】で強め
【範囲攻撃】で部隊すべてを包むように発動
なるべく広い範囲を深い眠りに落とすよ

そしたら奇跡《カルペ・ディエム》で
戦場すべてを花園にして溶け込み
敵将のところまで【目立たない】ように渡る

カウンター…つまり反撃できるような攻撃じゃなきゃいいんだよね
花園に姿を消したまま、精霊魔術《メリアデス》で
こっそり手足に蔦を這わせ【全力魔法】を込めて強力に拘束

動けなくなったら【属性攻撃】で強化した小さな樹の砦で敵を囲い
それをどんどん小さくして押し潰しちゃう!



「お百姓さんたちを操って戦争に巻き込むだなんて……そんなひどいコト絶対止めなきゃ!」
 フィオレッタ・アネリ(春の雛鳥・f18638)はファランクス部隊の前に立って、一刻も早く指揮官を倒さなければならない、と思っていた。
 農民達は虚ろな目で、しかし全てがフィオレッタを見ており、徐々に近寄って来ている。洗脳されていると一目で分かってしまう。
 オブリビオンに会うには、まずはここを通らなければならない。フィオレッタは指を組むと、静かに言い放つ。
「やさしく甘い春に抱かれて――おやすみなさい」
 この力の名は『花霞』。誰も傷つけない優しい力。
 辺りに漂う花の匂い。とても微かなその香りを農民が吸えば、くらくらと目を回して倒れてしまい、すぐに眠りに就いて。
 それが部隊全体を包むように範囲を広げて行けば、農民達は次々と深い眠りに落ちてしまった。
「奇跡の花園よ……」
 続けて、フィオレッタの神性《カルペ・ディエム》によって、可憐な花が戦場に現れて。
 花群に溶けて消えてしまい、敵将の元へと静かに向かって行った。

 別のファランクス部隊の近くにて、二天堂・たま(神速の料理人・f14723)は地面に手を付けていた。
「さて、行くとしようか。少し息苦しいが……何とかなるだろう」
 地面をサクッと手で掘ると、そのまま地中を潜って行って。
 まるでモグラの様にすいすいと掘り進めて、ファランクス部隊の真下を通り抜けて行く。
 これが、たまの『アルダワ流錬金術』。地面を楽に掘れる物質に変化させて、強い力を入れる事もなく楽々と通過してしまう。
(「死体や気絶した者を味方にするらしい。倒すより、やり過ごした方がいいだろう」)
 時間は掛かるが、これなら確実だ。急いで地中を掘り進める、たまだった。

 深手を負った為、胡座をかいて傷を癒やしている名将。
「傷の治療には、支援が必要か……伝令を出すか」
 そう呟いていると、辺りに花が咲き乱れて、何かを言う前に周囲一帯が花園となってしまう。
 何事かと思って立ち上がると、手足に蔦が纏わり付いて。
「これは、一体……?」
 それを引き千切ろうとするが、かなりの強度で簡単には千切れない。
 ましてや大きな傷を受けたこの身体では、力を入れるのも難しく、刀も折られている。……だが、血が流れるのを厭わずにやれば、引き千切れる可能性はある。
(「一気に拘束しないと、破られるかもね……」)
 精霊魔術《メリアデス》。
 フィオレッタに喚び出された樹精は、蔦絡みの力で手足を拘束して、更には樹の砦で名将を囲ってしまう。
「くっ、農民よ、急行せよ……!」
 そう言うと、ファランクスの部隊が此方に向かって来るのが見えて。
 花霞はほんの少し前に使ったばかりで、まだ発動はできない。どうすべきかと考えていると……。
 四方に巨大な鉄の壁が現れて、ファランクス部隊の行く手を遮った。

「こ、これはッ!?」
 流石に予想外の事だったのか、名将は驚いて辺りを見回して。
 次の瞬間に地面から現われるのは、土だらけの、たま。
「花畑なのは驚いたが……どうやら、詰みの様だな」
 どうにかして蔦や樹の砦から逃れようとする名将だが、徐々に狭まって行くそれには抗えず……。
 ならば衝撃を反射しようと八重垣を発動するが……。
「あ、危なそうだけど大丈夫っ?」
 姿は見えないものの、心配そうに、たまに声を掛けるフィオレッタ。
 たまは声の方向に一つ頷くと問題ないとばかりに、樹の砦の間から手を伸ばして、ぽふっ、と仮面に肉球を押し付ける。
 少し反射して押し戻されたが、特に問題はないようで、ぐいぐいと力を入れて。
「な、何をする気だ……ぐうぅ……!」
 名将が気付くと、自らの力が消えて行く事に気付いた。
 そう……たまの肉球には、触れた者の負の感情を浄化する力がある。負の感情とは、即ちオブリビオンそのものを指す。
 鎧の上からでもその力は発揮されて、名将の存在を浄化して行く。
「ふむ。具足の上からは、おそらく初めてじゃないか?」
「わわっ、暴れないで! もう終わりだよっ!」
 暴れまわる名将の蔦と樹の砦に力を込めて、フィオレッタは全力で抑える。
 そうして、残る負の感情も完全に浄化され、光の粒となって消えてしまった。


●降伏
 指揮官のオブリビオンが浄化された事で、ファランクス部隊は武器を捨てて投降を始める。まだ洗脳は解けていないが、此方に逆らう事はなくなるだろう。

 洗脳の元凶、大帝剣『弥助アレキサンダー』。
 更に隠し将『豊臣秀吉』も現れた事だ、彼等を倒して洗脳を完全に解いてしまおう。

 それに他にもやる事は山積みだ。
 急いで、次の戦場に向かうとしよう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月15日


挿絵イラスト