エンパイアウォー⑱~森羅万象従える軍神~
●軍神再び
「天丼は好きかい諸君」
突拍子もなく異界の天使スフィーエ・シエルフィートは集まってきた猟兵達に語り掛けた。
「私は好きだよ。尤も、同じような事件や戦いばかり予知してしまうのは、物にも依るのだがね……」
苦笑しつつ映し出すのは、信長六魔将が一人、軍神『上杉謙信』の姿。
どうやら既に一度予知をした身なれど、再び予知と相成ったことに奇妙な縁を感じているようだった。
「さぁ語ろうか。舞台はサムライエンパイア、戦争真っ盛り夏の陣だ。君達には信長六魔将が一人、軍神『上杉謙信』を打倒して貰いたい」
謙信公率いる上杉軍は、現在関ケ原にて幕府軍を叩き潰さんとしている。
だが肝心の謙信公も前に出てきた以上、それを猟兵側が叩き潰す好機でもあると語るが、簡単には行かない。
「既に知っていると思うが、強固な防衛陣を展開して復活までの時間稼ぎを行いつつ戦っている」
スフィーエが映し出すのは謙信公を中心に展開される亡霊達の円陣――限りなく防御に特化していながら、攻撃を仕掛けるにも十分な軍集団、名を車掛かりの陣という。
陣の攻略には既に十分な人手があるようなので、肝心の謙信公を倒しに行って貰いたいのだと改めて語る。
「知っての通り、陣の指揮の為に先制攻撃はしてこない。だが強力なことには変わりないからね。改めて解説はしておこう」
陣の対処自体は他の猟兵が行うし、現在攻略が進んでいるから、陣を抜け謙信公の対処に集中すれば良いとも補足しつつ能力の説明を始める。
印象的な周囲に浮かべた刀と持つ刀も含めて十二本、名を「毘沙門刀」といい、一番左上から右上、二段目の左側……といった順に水・光・土・火・樹・薬・風・毒・氷・闇の森羅万象の属性を宿した刀という前提を示し。
力に優れた者には十二本の刀で強力無比な連続攻撃を仕掛ける力。威力、命中力、攻撃回数のどれかに比重を調整できるが、どれか一つに一極化しても、どれもが水準以上の力を誇る。
敏捷に優れた者には周囲の刀に円陣を組ませて高速移動をしつつ、数多の属性の放射を以て猟兵の弱点を突く力……尤も、基本の威力だけで十分な脅威ではあり。
そして魔力に優れた者には属性を合わせた自然現象、その規模と威力は天変地異を起こせる程のそれを行使してくるのだという。
「前回の予知と報告でも感じたが、どれもが圧倒的だ。反撃は苛烈となるだろう」
先制攻撃が無いのは確かだが、反撃が来ない訳ではない――より有利に戦いを進めたくば、いつも以上に反撃を凌ぐ手立ても考えた方が良いだろうともスフィーエは補足した。
「既に戦った者も多いだろうが、やはり十分すぎる強敵だ。気を付けて欲しい」
先制攻撃も無い真っ向勝負、それでも改めて苦戦の免れない強敵に彼女は肩を竦め。
それでも彼女は確かな目で猟兵を見回すと、転送の結界を作りながらこう締めた。
「だが、君達ならそれでも倒してくれると信じている。軍神相手の戦争、どうか華麗に勝利を掴んでくれたまえ」
裏山薬草
●注意!
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
どうも、裏山薬草です。
皆様は天丼は好きですか? 私は穴子の天丼が好きです。
というわけですので、今回も謙信公との戦いをまたまたお送りしたいと思います。
前回参加してない方もお気軽にどうぞ。
今までの強敵のように先制攻撃はありませんが、敵のUCに対抗策があっても不利にはなりませんし、上手いと思えばプレイングボーナスになります。
飽く迄、ほぼ真っ向勝負となりますが、謙信公は強敵ですので相応の判定となります。
苦戦も場合によっては多目になると思うので、承知の上で参加をお願いします。
状況としては、車掛かりの陣を抜け、謙信公に肉薄した状況下から始まります。
陣を抜けるプレイングは不要ですので、謙信公自体への戦い方を書いてください。
疲労しながら陣を抜けた、軽々と抜けていったと説明があれば飽く迄「演出」としては可能なら描写します。
それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
裏山薬草でした。
第1章 ボス戦
『軍神『上杉謙信』』
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POW : 毘沙門刀連斬
【12本の『毘沙門刀』】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 毘沙門刀車懸かり
自身に【回転する12本の『毘沙門刀』】をまとい、高速移動と【敵の弱点に応じた属性の『毘沙門刀』】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : 毘沙門刀天変地異
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。
イラスト:色
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
一目でわかる。こいつ強い。
けど、こいつを倒さない限り上杉軍の侵攻は止まらない。
「行くぞ、シャーリー!」
刀は12本。
単純に手数が多いだけじゃない。謙信自身の指揮能力のおかげでそれ以上の威力を発揮するだろう。
それでも、シャーリーのために道を拓くために押し通る!
12本の刀を目標に『飢龍炎牙』を放ち、迎撃させる。
もちろん単純に撃ち落とせるとは思えない。
それでも、敵の注意を逸らす事が出来れば上出来だ。
多少のダメージは覚悟の上でその炎に紛れて謙信に肉薄し、炎の『属性攻撃』を乗せた大包丁の『鎧砕き』を『二回攻撃』で叩き込む。
「これで終わりと思うなよ? 本命は、この後だぜ!」
シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
「ちょっと!勝手に突っ走らないでよ!」
もちろんそれが最適解だって事はわかってる
でも、それはそれとしてパートナーが傷つくのは見たくない
【エクストリームミッション】を発動させ、先行するウィーリィくんを狙う刀を【援護射撃】+【スナイパー】で撃ち落としていく
ウィーリィくんがUCの炎の竜を放ったら、それに乗じて低空飛行で反対側に回り込み挟撃する形で突撃
そしてウィーリィくんの攻撃に重ねる形で【零距離射撃】を連射しながら【吹き飛ばし】の体当たり!
敵を倒したかどうかよりも先にパートナーの安否確認
「ちょっと、大丈夫?無茶しちゃダメだよ!」
●越後の竜、炎の竜、そして宇宙鮫
竜巻のように轟音挙げて唸る円陣、守りと攻めを兼ね備えながら一切の淀みなき陣を指揮するその難度。
その上で伺える圧倒的な強者の気配、一目で分かる――ウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)は謙信公に武者震いしながらも闘志を奮い立たせる。
「行くぞ、シャーリー!」
だが倒さねば未来はない――相棒たる少女シャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)に一声かけると謙信公目掛けて駆け出す。
「ちょっと! 勝手に突っ走らないでよ!」
作戦は聞いているし、自分達にできる最適解ということは分かっている。
だけど――それはそれとして、相棒が傷つくのは見たくない複雑な心境。
その身に鮫の如き外装を纏い、背中より激しき奔流を噴き出して駆け出すウィーリィの後を追う。
「一番手は貴殿らか。年若きと言えど容赦はせぬ」
当然、二人の闘志に気付いたか謙信公は両手の白黒の大太刀と、周囲に浮かべた十の刀の切っ先を一斉に二人へと向ける。
「望むところだ! 喰らい尽くせ、炎の顎!」
切っ先が向けられただけなのに全てが突き刺さってきたような身震い――それでも、心を振るい立たせウィーリィは大包丁を振るうと、膨大な熱量を誇る炎の竜を嗾ける。
謙信公も負けじと、雄叫び一つ白黒の二刀と浮かべた刀を嗾ける――手数と命中を重視しているようだが、それでも威力はウィーリィの死力を尽くした炎と抗うに足る。
だがその炎の撃墜を許さないのはシャーリーが放つ熱線銃の光が、その勢いを緩めていく。
相棒が傷つくのは見たくない――その一心は迷いにならず、強き心は外装の力を高め熱線銃の威力を謙信公の剣を遮れるほどに高めていた。
熱き火竜が吠え、謙信公の刀と抗い熱と衝撃の競合いを続けている間に、シャーリーは背の気流を噴き上げ密かに謙信公の背後に回らんとし。
そしてそれを紛らわすべく、嗾けた竜の間を潜ったウィーリィが竜にも劣らぬ炎を纏った大包丁を振り上げる。
「でやああああ!!」
「ふぅん!! ……良い太刀筋だ。成程、見た目より戦場を潜り抜けているな」
白黒を交差させ、烈しい金属音と火花を散らしウィーリィの苛烈な剣戟を称えつつ。
交差させた白黒で大包丁をかち上げ反撃を見舞おうとしても、覚悟を決めたウィーリィの力強い振り下ろしが大太刀を力強く叩き落し、我武者羅に振るわれる横薙ぎが謙信公の脇腹を大きく裂く。
「これで終わりと思うなよ? 本命は、この後だぜ!」
「何……!?」
呻く謙信公が気付いた時には既に遅く――気流の音に気付き目を向ければ。
「史上最大の凶暴すぎる竜巻――貴方の覚悟ごと、吹き飛ばしてあげる!」
引き金を壊しかねぬ程に幾度となく連射する熱線を、銃身を壊しかねぬ勢いで謙信公へ押し当て幾度となく熱線を超・至近距離で浴びせ。
残弾を撃ち尽くした後に、気流を噴出し亜音速に達する速度と衝撃を伴った体当たりを盛大に打ち付ける。
「がはっ……!!」
幻の大鮫牙が如き突進に吹き飛ばされて地面に叩き付けられ、身体を僅かに痙攣させる敵を後目に、決死の覚悟で飛び込んだウィーリィを諫める様に肩を掴み。
「ちょっと、大丈夫? 無茶しちゃダメだよ!」
「……すまん」
流石に無茶が過ぎたか――下唇を噛み締めるウィーリィと、心配そうに見つめるシャーリーの元に響く声。
「友情か愛情かは知らぬが……敵はまだ生きているぞ」
「一旦逃げるよウィーリィ君! これ以上は危ないから!」
「っ……だな!」
シャーリーに捕まり、空を飛翔しつつ逃げるウィーリィ。流石に後は他の猟兵に任せるべく勇気ある撤退を決意する彼ら。
「ふっ……、ぐはっ……!」
軍神と言われた自身を戦術で上回り、尚且つ激しき一撃を下した二人を追うことも無く。
撤退する彼らを見送ると、与えられた打撃に膝を着き胸を掻き毟り謙信公は血を吐き出した。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
レフティ・リトルキャット
※詠唱省略やアドリブOK
弱点属性にゃ?ぱっと浮かぶのは「マタタビの嵐」…樹属性かにゃ?
ここは現れては消える、一撃離脱の死神(暗殺者スタイル)、18代目様の力【スカルキャット】かにゃあ。
正体看破されなければ弱点属性を絞り込めないだろうし「にゃ」も封印にゃね。
子猫に変身し、召喚した頭蓋骨を被って装備。
髭感知で動きを見切り、肉球で足音を消し、更に頭蓋骨の特性「装備者と共に発見され難くなる」で隠密性を高め、「五感の共有」による二重五感で回避能力を補強、標的を見失わない様に「追跡能力」でロックオン。斬鉄爪で陣や周囲に紛れた死角からの奇襲攻撃。
広範囲で避け切れない攻撃は陣を盾にしたり、肉球や爪で受け捌く。
●天性の狩人
――起動(イグニッション)・死神猫(スカルキャット)
レフティ・リトルキャット(フェアリーのリトルキャット・f15935)は小さな子猫のような姿に転じると、その上からとある被り物を被っていた。
天性の狩人とも称される猫科の、肉球は迫る音を消し柔軟な身体は僅かな隙間ですらも容易く潜り込む。
さりとて気配は見失わない、何故ならばその髭は僅かな空気の振動すらも感じ取り、敵である将軍の動きを感じ取り、死角より爪の一撃を見舞う。
頭部に被ったものは髑髏――レフティの十八代目の祖にあたる者の力、音もなく命を狩る死神の力は、限りない隠密性を発揮し、既に幾度となく鉄すらも裂くその爪で謙信公を裂いていた。
「……そこかっ!」
「……!!」
――されど未来を予知していたかのように振るわれる白太刀。
髭の振動が無ければ回避敵わず真っ二つになっていただろう――ただの一太刀でも規格外の実力者だった。
(樹の刀から木天蓼とか出された日にゃあ敵わないしにゃあ……)
だからこそ声も殺し、姿も周囲の乱戦極める陣に隠す。
猫の姿を見破られれば、樹木の刀より猫の弱点を突かれることは想像に容易くない――この姿なき狩人に、謙信公はそれでも刀を広げると。
「荒れ狂え毘沙門刀!」
宣言と共に荒れ狂う雹の嵐が飛び交う。
それを円陣の中に隠れ、時に数多の亡霊自身を盾とし、時に雹の殴打をその爪で斬り伏せてレフティは凌ぐ。
「陣に隠れたか……が、自らも弾く腕前。中々にやる……!」
関心する謙信公に再びその背後より飛び掛かり鉄すらも斬り裂く爪を振るい、彼の背に血の翼を咲かせ。
だが過去より想定していたかの如く、黒太刀を突き出せば流石のレフティも髑髏面を引っ掛けられて落とし。
「何ッ……まさか、猫だとッ!?」
「……にゃっ」
大分斬り裂いたが、正体が判明してしまえば頃合。
置き土産代わりに驚く謙信公の肩を深く抉り、仔猫はいづこへと去っていくのだった。
成功
🔵🔵🔴
ベスティア・クローヴェル
※アドリブ歓迎
小細工無しの真っ向勝負、か
ただ殴り合えばいいのだから、楽なもの
とはいえ、油断は禁物
気を引き締めて、塵に変えよう
お互い近接同士、焦って近付く必要もないだろう
こちらからは何もせず、攻撃タイミングを「見切る」事に集中
流石に12本全ては避けきれないだろうし、ある程度の被弾は覚悟のうえ
バックラー状にした『Griffon』で攻撃を逸らしながら、
『Skoll』で「武器受け」して被弾は最小限に
そして攻撃の勢いが弱まった所で反撃開始
UC「炎巨神の反撃」で拘束してパイルを構え、
「捨て身の一撃」で「串刺し」にしてカウンターを叩き込む
ヴィクトリア・アイニッヒ
軍神『上杉謙信』。
私は既に一度相対していますが、今回は今回。別人と対している、と考えるべきでしょう。
…此度の戦いで、この名高き名将を止められれば良いのですが。
UC『神威の光剣』を使用。
無数に降り注ぐ光の剣で、謙信の対処能力を飽和させ、『毘沙門刀天変地異』の妨害に動く。
本来、この光剣は悪意持つ者の四肢を穿つ事で行動を縛る物です。
ですが、相手の力量を考えれば。簡単に四肢を貫けるとは思えません。
…ですから、今回はとにかく物量作戦で。無数に降り注ぐ光剣で、攻撃に出る余裕を失わせるのが目的です。
私はあくまで、他の皆さんが攻撃に出る為の布石、黒子役に徹しましょう。
※アドリブ歓迎です
リリスフィア・スターライト
強気で近接戦闘が得意なピンク色のポニーテールが特徴のリリスと
丁寧で援護が得意な銀髪のツインテールが特徴のフィアを呼び出して
連携で上杉謙信に挑むよ。他の猟兵達とも積極的に協力し合うね。
私自身は2人に行動してもらうことに専念するから
フィアには防御魔法で私とリリスを謙信の攻撃から
守る事に専念してもらって、リリスには剣による
接近戦で攻撃に専念してもらうね。
謙信の多彩な武器と攻撃に惑わされず防御も一転集中が基本だね。
「私が防ぎますから今のうちに攻撃してください!」(フィア)
「2人の分まで、やってやるわよ!」(リリス)
●嗚呼、嗚呼、軍神よ
混戦を極める戦場に、甲高い金属を打ち鳴らす音が響き渡る。
軍神の携える十二の刀の内、その半数を小型盾と鉄塊の如き剣と打ち合わせる音色と、もう半数を緋色の輝きを帯びた魔剣とぶつかり合う音色だった。
十二の刀の全てを己一人で受け切ることがなかったのは、真っ向から打ち合った二人の少女にとっての僥倖、多少の被弾は覚悟の身の上なれど無きに越したことはない。
暫くの剣戟の応酬、二人がかりの熟達した戦士を前に一歩も引かぬのはこの謙信公の実力故か……魔剣を白で受け止め、鉄塊剣を黒で受け止め衝撃を逆用し引きつつ、謙信公は肩を竦め戦場に集まった女達を見やる。
「女に手を挙げたくはない……などと無粋なことは言わぬ」
人狼族の少女ベスティア・クローヴェル(諦観の獣・f05323)と、多重人格者であるリリスフィア・スターライト(プリズムジョーカー・f02074)より別たれた人格、桃色の髪の剣士リリスは圧倒的な謙信公の前に揺るがぬ戦意を見せる。
「望むところ」
「やってやるわ!」
そうして再び剣戟の応酬を始め、互角以上にやり合う姿を見、後方で控えていた白銀の髪の乙女ヴィクトリア・アイニッヒ(陽光の信徒・f00408)は戦慄する。
「やはり強い……!」
既に一度戦ったことのある彼女だが、改めてその強大さを感じる。
前は前、今回は今回、別人と割り切って入るが強大さへの戦慄は変わらない。
(……此度の戦いで、この名高き名将を止められれば良いのですが)
自分は黒子、この敵将を相手に出来ることは時間を稼ぐこと。
戦場の青空を見上げ、燦然と輝くそれに祈りを捧げると。
「主の威光よ、悪意を祓い給え!」
命に従い降り注ぐは、太陽の輝きそのものを具現したような眩き光の剣――数えるのも馬鹿げた、正に無量大数が如き光の剣が謙信公に降り注ぐ。
「闇と毒の暴力よ、神の威光を過去と還せ」
しかしそれでも、謙信公は白黒の大太刀で切り結びながら、背に浮かべる毒と闇の剣を妖しく輝かせ。
「私が防ぎますから今のうちに攻撃してください!」
「有難うございます。──『神威の光剣』よ!」
――眩き太陽の刃を掻き消さんとする昏き暴力の波動を障壁を以て止めたのは、リリスと同様に別たれた人格、銀の二括りの髪をしたフィアなる人格の化身。
隣に立ち援護を同様に行う存在に礼を一つすると、ヴィクトリアは更に更にと光の剣を降り注がせ謙信公を追い立てる。
「二人の分まで、やってやるわよ!」
「私もいる」
「ぐっ……!」
追い立てられた謙信公へ向かうのは、リリスとベスティア。
鉄塊の如き剣の殴打を五つの刀を集約し受け止めても、その勢いは逆に彼の身を揺るがせて。
揺らいだその先に鋭く切り込まれるのは、緋色の軌跡――妖しくも美しきその輝きの前には、軍神の目すらも惑わし斬撃は体に吸い込まれるように刻まれていく。
熟達した二人の正に力と技の剣の二重奏の前に、流石の軍神も疲労が見え始めてきたのだろうか。
休む暇もない連続攻撃を振り払おうと、十二の毘沙門刀の力を高め天変地異を起こそうと、一瞬の力を高めても。
「それは撃たせませんよ。この剣が続く限り」
「そしてその剣は私が防ぎます!」
ヴィクトリアが絶え間なく降り注がせる光の剣――元来悪意ある者の四肢を貫くそれさえも、謙信公は容易くは貫かせてはくれない。
されど物量にものを言わせる作戦は功を奏し、広範囲を一気に薙ぎ払われるという一番取られたくない反撃の猶予を奪う。
さりとてヴィクトリアの剣を叩き潰したくとも、フィアが専念する防護術による障壁が巧みにそれを守る。
「……厄介だ。どれを潰そうとしても、どれかが容赦なく襲ってくる。隙がない……が」
「そっちにだって、手は出させないわ!」
かといってリリスとフィアを操る本体であるリリスフィア――当のリリスフィア自身は遠く離れ、被弾を避けつつ戦況を見据える指揮官として動いていた――を潰そうとしても、結局無駄に終わり、フィアの障壁に阻まれた隙にリリスの魔剣が謙信公の腱を斬り裂き。
「太陽の如く……焼き尽く、せ!」
その隙を見逃すベスティアに非ず。
小細工抜きの真っ向勝負、真正面から殴り合うだけ――油断なく機を伺ってきたその力を今振り絞る時。
塵に変えてくれよう――捨て身の覚悟で杭打ちを構え、太陽の如き業火を纏わすと、白黒で断ち切らんとしたその斬撃目掛け、逆に迎撃を仕掛ける様に杭を深く打ち込む。
漸く決まった決定打、呻く謙信公目掛け更に深く、より激しく業火は盛り杭は深く差し込まれていく。
だが謙信公も筋肉を引き締め、杭打ちを捉えると、刺違える覚悟でベスティアの首を目掛け氷の刀を――
「リリス! フィア! 二人ともお願い!」
「OK任せて!」
「援護しますね!」
しかしそれを阻むは、リリスフィアの声に反応した人格達。
フィアが氷の刀を炎の障壁で防ぎ、反撃を凌げば、リリスが即座にすれ違いざまに謙信公の脇腹を薙ぎ追撃を掛け。
筋肉の捕縛緩んだ隙に、ベスティアは左拳からの超高熱を纏った業火の拳に依る追撃で楔を引き抜く。
そうして一斉に距離を取る彼女達に、修羅の如き形相で毘沙門刀より天変地異を引き起こさんとするも。
「主よ、その威光を今再び! 戦友(とも)を守るために!」
弱り切ったその四肢ならば、封ずることも叶うだろう――降り注ぐ光の剣が間髪を入れずに軍神の四肢を穿ち地へと縫い付けて。
来るであろう苛烈な反撃すらも封殺し、乙女達は戦いの形勢を一気に徳川葵の側へ決するのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
上泉・祢々
なるほど……12の刀を自在に操り隙がない、と
まぁなければ作ればいいだけのことですし
いざ、参りましょうか
今回は不必要に受けることはせず
浮いている刀、その手で振るわれる刀の動きを見切り
緩急をつけた歩法と共に間を外しながらその周囲に纏わりつきましょう
まぁうざいと私自身思いますがそういう作戦ですので
この身体が動く限りは纏わりつきます
多少傷がついた所で気にしません
刀の動きに慣れてきた所でこちらもちょっかいを出しましょうか
こちらの回避の動きに合わせて蹴りを入れていきましょう
回避しながらのヒットアンドウェイを続けます
最後は回避を捨てて太刀筋を見切り動きを盗んでその頭に回し蹴り
はい、お疲れ様でした
●剣聖、軍神を下す
鬼気迫る形相と覇気は、自然死を待つ猶予もない――白黒の大太刀を手に、森羅万象の十刀を浮かべるその姿、一切の隙はなく。
――まぁ無ければ作ればいいだけですが。
「いざ、参りましょうか」
上泉・祢々(百の華を舞い散らす乙女・f17603)は軍神目掛け、そのしなやかにして鋭く、緩急の不規則な見切り難き歩を以て距離を詰め。
浮かべた刀が矢継ぎ早に次々と飛来していくのを、後方へ華麗に跳躍し、時に逆に前へ踏み込み躱しつつ謙信公の懐に潜り込み。
白の大太刀が力強く薙がれるのを、上体を後方へ優雅に逸らして躱す――艶やかな黒髪の数本が犠牲になれど、逆に顎へその勢いで刃の如き蹴りを繰り出し。
「……素手とは」
「この手、この足が私の刀です」
寸での所でそれを躱すも、そのあまりの鋭さは謙信公の胸部を深く裂き。
滅びの近き軍神の体を更に追い立てつつも、反撃の黒太刀を振り下ろす。
それを片足を軸に独楽のように軽く回っては避け、裏拳を叩き込まんとする。
「鬱陶しいな」
「私自身思いますよ」
「ふっ……だが、効果的なようだ、な……」
纏わりつくが如き祢々の動きを忌々し気に称える軍神の白太刀は、彼女の裏拳が寸でのところで止まり罅が入る。
刃の如き鋭さを持つ拳も強度は変わらず、寸での所で止めてもその刃は手の甲に浅い傷を残し。
「覚悟の上ですので」
「……であろうな」
その勢いで黒太刀を突き出し穿たんとするそれを、身を低く屈め滑るようにして躱し。
背後に回り込むと、立ち上がると同時に放つ回し蹴りが横から罅を入れた白太刀を圧し折り。
「はい、お疲れ様でした」
一斉に反撃として嗾けられる十刀、その軌道の悉くは既に見切り、紙一重で躱しつつ。
追撃に強く打ち降ろされる黒太刀を両掌で真っ向から受け止め、横に受け流し――鞭の如く振るわれ、刃の鋭さを備えた蹴りが、軍神の頭部を打ち据えて。
軍神と呼ばれる存在を、剣聖の名を持つ少女が討つのだった。
成功
🔵🔵🔴