エンパイアウォー⑩~財貨の在荷、罪過を為す~
●悪趣味な財貨の果て
「悪銭をこうまで使うとはね。もう滅びてはいるが、一発殴っておけば良かった」
異界の天使スフィーエ・シエルフィートは悪女と名高き存在の写真を取り出し、それを握り潰すと忌々し気に吐き捨てた。
場の猟兵達の視線に気づくと、握り潰した写真を破り捨てながら肩を竦め。
「暴君は滅びても傷跡多しってね。いやはや……」
そう言って秘宝(グリモア)でとある巨大な船を映し出しながら、彼女はいつものように語りを始めた。
「さぁ語ろうか。舞台はサムライエンパイア、場所は嘗ての大海賊が船。君達には怨霊犇めく巨大船に乗り込み、その悪の御旗を下ろしに行って貰いたい」
大悪災『日野富子』――既に猟兵の活躍により滅びはしたが、彼女の悪の財貨が成した計画はまだ続いている。
有り余る財貨によって巨大な鉄甲船を次々と作り出し、南海道方面の海路を往く幕府軍を海上戦で叩き潰す構えなのだそうだ。
「ここで何故船を直接攻めないかという疑問はあるだろう。その答えがこれだ」
この大量の鉄甲船を動かすのは嘗て瀬戸内海を占拠した有名な海賊『村上水軍』の怨霊なのだそうだ。
映し出す歴史に残る者達の霊で船舶を運営すると同時、その加護によって船を直接破壊してもすぐに復元されてしまうのだという。
「そこで直接船に乗り込み、船が掲げる『村上水軍旗』を下ろす必要がある」
秘宝によって映し出すは一つの旗、帆柱にあるそれを下ろせば村上水軍の怨霊は解放され、船舶を破壊することが可能となるという。
ただし、戦闘用の亡霊(オブリビオン)が付いており、それを撃破しなければならないと語り。
「敵はこの『兵器百般』と呼ばれる亡霊だ」
数多の武器がひとりでに意志を持ったかのように飛び回るそれは、下級霊を大悪災が集めた武器に宿らせ自動的な防衛機構としているそうだ。
幽霊船を守る敵としては、ある意味お誂え向きの存在だろう。
戦力としてはそんなに強くないしこの手の存在として数はそう多くないが、一品一品がそれなりの名品なので意外と強い戦力だとも語る。
とはいえ、油断さえしなければ苦戦もないだろうとも改めて補足し語りを続ける。
「ただ申し訳ないことなんだが、敵船へ直接送ることが出来ないんだ。だから君達には直接乗り込んでもらう必要がある」
ここで頭を掻きつつスフィーエは語る。
近くで船を借りていくか、潜水しながら乗り込むか、或いは飛行の技か何かを用いていくか……乗り込むには工夫が必要となるだろう。
だが上手く乗り込み、敵に奇襲をかけたりすれば戦闘に有利になるだろうとも補足する。
「ああ、そうそう。かの怨霊だがね……基本的には、大悪災に脅されて無理矢理働かされた者達だ」
ここで思い出したかのようにスフィーエは、この巨大鋼甲船に居る怨霊の存在を語る。
秘宝が映し出す怨霊の姿は、いづれも大悪災の恐怖に震えているように見えた。
「だから、戦闘の邪魔はしてこない。だからこそ、悪の御旗を下して彼らを解放してやって欲しい」
それが彼らのせめてもの抵抗なのだろう、旗を下ろして一刻も早く成仏させて欲しいと微笑みながら、転送結界を作り上げて彼女はこう締めた。
「悪銭が生んだ悪船、どうか君達の手で叩き潰してやって欲しい。では……準備ができた者から声を掛けてくれたまえ」
裏山薬草
●注意!!
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
どうも、裏山薬草です。
金にものを言わせた暴力って嫌ですよね。
今回も張り切っていきましょう。
今回は日野富子の計画を阻止すべく、巨大鉄甲船に乗り込み、中枢を守るオブリビオンを撃破する集団戦となっております。
水軍旗を降ろし、船を乗っ取るのは決着がついた後に自動で行うので、皆様は船に乗り込む方法と配下相手の戦闘をプレイングにお願いします。
海を渡ったり、船に上手く乗り込む方法があればボーナスが発生しますので、狙ってみてください。
巨大鉄甲船は全長200m程度、全幅30m程度となります。
村上水軍の怨霊は船を動かすのに注力しております。
戦闘中は猟兵の皆様を妨害してはきませんが、協力を得ることも不可能ですし会話も原則できません。
決着がつき、旗を降ろす際にお礼を言ってくると思いますので、その時に一言返す程度ならば構いません。
それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
裏山薬草でした。
第1章 集団戦
『兵器百般』
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POW : 騒霊カミヤドリ
【纏っている妖気の色が血のような赤】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD : ひとりでに動く武器
【念動力で浮遊すること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【自身が持つ武器としての機能】で攻撃する。
WIZ : 武器の知恵
技能名「【武器攻撃】【武器受け】【戦闘知識】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
イラスト:童夢
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ルルティア・サーゲイト
ふん、今の妾なら戦艦とて真っ二つよ! 異形化した巨大な凶鳥の翼を鉄甲船に叩き付けてくれるわ! 破壊しても再生される、しかし攻撃されれば無視は出来まい。船員が戦わないのであれば向こうから出てくるより他はない。
この手の輩と閉所で、しかも人柱がある場所で戦うのはちと骨が折れる。相手から出てきてもらった方が楽と言う事じゃ。
「妾の武器も妾の肉体の一部、ある意味では同類かもしれぬが……斬ってきた相手の数が違うぞ!」
この凶鳥の翼の頑丈さは伊達ではない。刃同士をぶつけても刃こぼれなどせん。それに、相手が刀なら横から殴った方が早い。武器受けじゃと? 受け切れるの物なら受けてみるのじゃな、その細腕でのう!
●その身を武器とし
全長二百米、全幅三十米……鋼鉄で作られたその巨体が悠然と海を闊歩する。
数多の力無き民の血税を吸い上げた地獄船は、それでも沈むことなく幕府軍の勇士達を逆に沈めんと海を渡る。
だが突如として、鋼の要塞が如きその艦が、水飛沫飛び散らせ黒鉄のその丈夫な体に嫌な罅を入れて大きく揺らいだ。
「ふん、今の妾なら戦艦とて真っ二つよ!」
それを行ったのは、刃の如き翼、一言で言うなれば合成魔獣そのものの娘が、その片翼を盛大に船に叩き付けていた。
娘ルルティア・サーゲイト(はかなき凶殲姫・f03155)はその隙に船へと乗り込む――船に入れた裂傷は水軍の霊が直ちに修復しにかかっているが、だからこそだ。
甲板に足をつけ、探るは大きく掲げられた旗、それを下ろす――とは行かず。
「雁首揃えて良く来たのぉ……その方が楽というものじゃ」
ルルティアの前に現れたのは、青白い光を纏った刀や槍、弓矢や金棒……どれもが一級品と呼べる品々。最下級の霊魂を宿され防衛機構と為された動く武器を前にルルティアは異形の翼をゆるりと揺らめかせ。
一斉に飛来する刃を、その鋼の如き刃の翼で真っ向から受け止める――激しい金属音と火花が散りて、空中に金属の欠片が舞う。
「妾の武器も妾の肉体の一部、ある意味では同類かもしれぬが……斬ってきた相手の数が違うぞ!」
――無論、それはルルティアの翼に非ず。
武器としての格を見定められぬ、哀れな武器群自身のその身体――悠然とルルティアは翼を一つ揺らし、受け止めた武器群を弾き。
続いてより鋭く、より苛烈に――船を斬り裂いた刃にも劣らぬ瞬撃を見舞おうとし。
「受け止めるつもりか!? やれるものならやってみるのじゃな」
例え一斉にその武器群達が、身を寄せ合い受け止めようとしても。
「……その細っこい身体でなぁ!!」
――強大な魔獣の、圧倒的な格の違いは砕かれる鋼の破片と、掠り傷一つ無き異形の翼が物語る。
成功
🔵🔵🔴
霧沢・仁美
あのおばさん(大悪災)は倒されたけど、その恐怖は未だ消えず…ってとこかな。
…なら、尚更早いところ解放してあげなきゃね。
鉄甲船の近くまでは舟を出してもらうか借りるかして接近。同じ手段で接近する猟兵がいれば乗り合わせてもらおうかと。
そこから、サイキック・ワイヤーロープを鉄甲船の縁とかに引っ掛けて【クライミング】で乗船。
敵を見つけたら念動電光球で攻撃。
こっちに気付いてる敵がいなければ、手近な相手にひとつに合体させたプラズマ球をぶつける。
気付いてる敵がいるなら、その数に合わせてプラズマ球を分けて攻撃。
敵の攻撃はワイヤーロープの【ロープワーク】を駆使して防御するよ。
●幽魂、源流似たりといへど
巨大な鉄甲船のその近く、鉄船に比べてあまりにも儚き小舟が近寄っていった。
その上に乗る少女は、鉄船に漂う沈んだ暗い空気と、それを企て、とうに滅びた大悪災を思い出した。
「あのおばさんは倒されたけど、その恐怖は未だ消えず……ってとこかな」
ある種この状況下に似合う、水兵風の女学生服眩しき霧沢・仁美(普通でありたい女子高生・f02862)は縄を取り出し、その念力を以て先端の鉤爪を縁に引っ掛けて。
「……なら、尚更早いところ解放してあげなきゃね」
仕込まれた巻き上げ機構を以て甲板へ乗り込めば、辺りに見える嘗ての海賊の霊。
邪魔はしてこないようだが、特有の寒気のようなものは漂う――解放するには、あれだ。
激戦の始まっていた水軍旗と、それを守る武器群達――幸いにして気付いていないのならば、先手は此方に在り。
「プラズマ展開……行くよ!」
念動力を集約し、第四の状態の光球を解き放つ。
放たれたそれは、仁美の接近に気付いていなかった鉞を一撃で消滅せしめる――だがその攻撃は、他の武器群にも彼女の接近を知らせるも同じ。
反撃に飛来してきた刀と槍の一斉の刺突を、手近の帆柱に念力を以て操る縄の、その先端の鉤爪を引っ掛けると巻き上げの機構を以て跳躍することで躱し。
先ほど鉞を消し飛ばした火球を、今度は二つに分けると帆柱に突き刺さり動きを止められた刀と槍を横から殴りつけるように圧し折り。
続いて飛来してくる金棒の殴打を、帆柱をぶら下がったまま帆柱を蹴りつけて遠心力を働かせることで躱し。
翳した掌より放つ新たな火球が、金棒を逆に叩き落す。
そうして縄を操り、再び甲板に着地し、働かされている怨霊を一目見やり決意する。
(待っててね。すぐに解き放ってあげるから)
――今は例え声が届かなくても。
望まぬ仕事をさせられる怨霊達を解放する為に……一説に霊魂の正体とも称される、念動力の火球を武器群へ放っていくのだった。
成功
🔵🔵🔴
シーザー・ゴールドマン
【POW】
しかし、鉄甲船を操るのが村上水軍か。
鉄甲船に滅ぼされた彼等にそれを操らせるとは趣味の悪い事だね。
『ウルクの黎明』を発動。
オド(オーラ防御)を活性化して、空を飛んで巨大鉄甲船へ。
オーラセイバーを破邪の太刀(破魔)に変えて振るう。
(先制攻撃×怪力×鎧砕き)(フェイント×2回攻撃×鎧無視攻撃)など
敵の攻撃は回避あるいは受け流しからのカウンター
(第六感×見切り×カウンター)
敵POWUC対策
発動を見切って、大きな鉄の鳥を創造(属性攻撃:鉄×全力魔法)
それを高速で上空に飛ばして敵を引き付け(念動力×全力魔法)
超耐久力を超える一撃を放って滅ぼす。
(衝撃波×属性攻撃:炎×破魔×範囲攻撃×全力魔法)
●因果なれど断つものは
「しかし、鉄甲船を操るのが村上水軍か」
その身に真紅の奔流を身に纏い、ほの暗く身の毛もよだつような死霊の気配を物ともせずに半魔の偉丈夫シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)は呟いた。
光の奔流を空に残し、空中を優雅に舞いながら鉄船に近づきつつ、それを運用させられている嘗ての水軍の霊を見て思う。
「鉄甲船に滅ぼされた彼等にそれを操らせるとは、趣味の悪い事だね」
増してその鉄甲船を指揮したのは、よりにも依って此度の戦の亡霊頭、織田信長だったのだから――歴史とは因果なものだ。
我儘放題の性悪女の趣味の悪さに辟易しつつも、シーザーは優雅に激戦を繰り広げている旗の周りに降り立つと、一斉に戦意を向ける武器群達に鼻を軽く鳴らし宣言する。
「その憂さ晴らしぐらいには、楽しませて貰おうか」
手に光り輝く剣を具現すると同時、名刀と称される物達が風を斬りシーザーの元へ飛来する。
それを緩やかに、金属音一つ立てぬ柔き剣技を以て受け流すと、人間であれば数回宙を回転させるかのように刀を掬い上げる様に光剣を流し。
制動を揺るがされ、宙で震える隙を目掛け破邪の力を宿した閃きが宿された下級霊ごと刀達を綺麗に断つ。
彼の力量に本能的な恐怖を感じたか、一際大きな槍が血塗られたかの如き輝きを帯びて、その強度をいや増すと。
シーザーは咄嗟に空中に鋼で出来た鳥を生み出し、烈しく空に舞踏を躍らせる。
超絶的な切味と強度と引き換えに、理性を失った槍は幾度となく鋼の鳥を突くも、それはシーザーの思惑通り。
纏う真紅の奔流を以て高く跳躍しつつ、その光剣に激しき炎を噴き上げさせて。妖気ごと焼き払う聖なる炎を宿した剛剣の一撃が盛大に叩き付けられる。
「ふむ、超耐久力とは聞いていたが……聊か期待外れだね」
塵一つ残さず消え去った大槍に肩を竦め溜息一つ。
尤も、この一撃を受けて耐え切れる方が逆に珍しいのではあるが。
成功
🔵🔵🔴
サリー・オーガスティン
【POW】
■船への乗り込み
【武器改造、メカニック】でジェイク(バイク)を水上バイク仕様に変更
【追跡、操縦、騎乗、ダッシュ、情報収集】で追跡、甲板に乗り上げさせる
(もし他に、移動手段がない猟兵がいたら、タンデムで行くよ>スペアのヘルメット持ち出しながら)
戦闘中は、戦場全体や仲間の状態に常に気を配ります。
■戦闘
「騒霊カミヤドリ」に対し、「ヴァリアブル・ウエポン」を使うことで、超攻撃力と超耐久力に対抗
攻撃回数強化して、弾数を増やし、速く動く物に反応させスキを生ませます。
【第六感、2回攻撃、スナイパー、誘導弾、なぎ払い、零距離射撃、援護射撃、火炎耐性、一斉発射】で攻撃するよ
※連携、アドリブ共に歓迎
レフティ・リトルキャット
※詠唱省略やアドリブOK
旗取り合戦かにゃ?まずは船に近づくことからにゃね。翅で飛ぶのは苦手にゃから、ここもご先祖様の力を借りるかにゃ。
それに敵も飛び回るみたいだから29代目様の力【白炎狼猫】で、あのカッコいいシーン(複雑な軌道を描くミサイル、逃げる敵)に似た体験も出来そうにゃね。
狼の様な子猫に変身し、オーラの様に纏った白き炎の放出による飛翔で船に接近。敵の動きを見切り、まるで大量のミサイルが複雑に絡み合った航跡と残像を生み出しながら更に加速。
スピード感のある追撃と回避に心躍らせ鼓舞、盾たる肉球で受け捌き、押し返す肉球バッシュや白き炎の放出で反撃。
●駆け抜けて焼く
「我が魂を以て、眠れる『畏れ』を纏う。私は「白き炎」にして空を駆ける者。もはや私を縛めるものは我が呪いのみ――それが白き炎の幻獣種」
巨大といふにも烏滸がましき規格外の鉄甲船での戦は激しさをより増していく。
その中に新たに鉄船目掛けて疾走する二つの影があった。
一つは海上に水飛沫を盛大に断たせ、鋼鉄の馬が如き単車を駆りて海上を鋭く切り分けるように駆けていく者。
もう一つは、最初の呟きと共に姿を展示させ、白き炎を噴き上げて掛かる飛沫を蒸発させながら並走するように飛翔する者。
「乗ってくかい?」
「気持ちだけ受け取っておくにゃ」
単車を駆る者、サリー・オーガスティン(鉄馬の半身・f02199)は並走する炎を噴き上げる者、レフティ・リトルキャット(フェアリーのリトルキャット・f15935)に気さくに声を掛けた。
レフティは狼のようなその姿とは裏腹に、猫科の持つ可愛らし鳴き声一つ微笑んで返す。
「じゃあ……お先に。行くよ、ジェイク!」
「……にゃっ!」
駆動を引き上げ、車輪を烈しく回転させて海上をより速く駆け。
白狼の如き猫もまた、炎をより苛烈に噴き上げて飛ぶ――図らずとも一寸した競争の様子を呈し。
競争はほぼ互角、サリーの駆る単車の車輪が強烈な摩擦を以て鉄船を駆けあがる横を、レフティが炎を噴き上げ上昇していく。
そうしてサリーの単車が盛大に甲板へ降り立てば、烈しい振動と単車の排気音が響き渡り、同時に舞うように現れたレフティの白炎が戦場に踊る武器群の注意を向けた。
(っと、加勢にはこれを倒さないと行けないようだね……)
立ちはだかる様に切っ先を向ける武器群と、その遥か後方で激戦を繰り広げている猟兵達の様子を見てサリーは思案する。
レフティと二人、加勢に行くには壁のように立ちはだかる武器群をどうにかしなければならない……が、裏を返せばその分だけ敵は戦力を分けていること。
倒せば問題はない――サリーとレフティは目を合わせ頷き、一斉にこの武器群達を払うべく行動を開始する。
初手を斬り出したのは宙に浮かぶ武器群――文字通り風を切るかのような勢いで向かうは、大小様々なる刀達。
銘までは伺い知ることは出来ないが、財貨に物を言わせた名品なのだろう、紙一重の所で躱しても、刃物とすれ違う時に感じる特有の鋭い冷たさは、その切味を伺わせる程に背筋に嫌な寒気を走らせる。
さりとて、その寒気が戦意を喪失させるかというとそうではない――寧ろ、その冷たさが逆に纏う炎をより滾らせるように。
レフティは己を追う数多の刀達に、臨場感を超越した高揚感を感じつつ、その刀達の隙間を擦り抜ける様に飛翔し、時にその肉球で横殴りに刀を弾き飛ばす。
「流石は二十九代目様の御力にゃあ!」
弾き飛ばされた刀へ、烈しい炎を噴き上げれば白き高熱に包まれた刀が次々と甲板に落ちて砕け散っていく。
その一方でサリーが武器群に呑み込まれている筈もない――携行砲台と骨董じみた竜騎兵の扱うが如き銃を解き放ち、数と質を備えた武器群を圧倒的な火力で押していく。
奇襲をかけてくる刀が合っても、新人類が如き超感覚は即座に単車の駆動を噴き上げ躱させ、振り向かずに銃より放つ弾丸は吸い込まれるようにその刀へ叩き付けられていく。
流石に痺れを切らした刀が妖気を解放し限りない耐久力と攻撃力を得ても、それは既に予測済み――冷静に重視する要素を切り替える。
それは弾丸を解き放つ頻度と速度――間を数えるのも馬鹿げた速度の弾丸に、妖気解放の強化の代償に識別性を失ったが終いか。
自ら引き寄せられるように、サリーの放つ高速の弾丸の暴風雨に刀達は身を置き、その身体を弾丸に打ち据えられ、耐久の上昇分を帳消しにするように身体に罅を入れていき。
やがては妖気が潰えた刀を飲み込むのは白き業火と、火力を重視した数多の火砲による蹂躙だった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
シェーラリト・ローズ
「おおーすごーい」
シンセンだけど、オシゴトオシゴト
【空中浮遊】で海面ぎりぎりを飛んでくよー
接近したら【聞き耳】で【情報収集】、戦闘がはげしー箇所へ移動、甲板の高さへ上昇する間に【高速詠唱】で【セイクリッド・ランス】を【全力魔法】で撃つよー(マヒ攻撃・鎧無視攻撃・鎧砕き・破魔の属性攻撃付与)
「どかーん」
撃ったらすぐ甲板に降りて、周囲のじょーきょーカクニン
フリーの敵そのままにしちゃいけないから、フリーの敵と戦うよー
敵の動きは目と耳、カンで見切っていくつもりだけど、避け切れなかったらオーラ防御でがんば
基本【高速詠唱】【全力魔法】だけど、敵の動きが速い場合は【高速詠唱】【2回攻撃】で手数重視にへんこー
ユエイン・リュンコイス
アドリブ連携歓迎。
瀬戸内海の水深は平均約30m。よし、いけるね。
UCを起動、真正面から突入しよう。これなら上半身は海面より上に出るはず。接近したら挨拶がわりに殴りつけて、敵の陣形を崩そう。
流石に乗ったままでは小回りが効かないので、初手で派手に立ち回った後は、機械神を足がかりに船へと突入。
機人を前衛に【グラップル、カウンター、フェイント】で格闘戦を行い、ボクは後方から『観月』による【援護射撃】を行い、兵器の群れを蹴散らして行こう。
相手の圧力が弱まったら、機人に『月墜』を装備させ、村上軍旗を【スナイパー】にて狙い撃つ。
戦争も佳境だからね、済まないが手早く終わらせよう。そちらもその方がいいだろう?
●御旗を折りて
……縮尺のせいと一言で言ってしまうのは容易い。ああ容易い。
冷静に考えてみれば、全くそのようなことはないのだが。
というのも、全長二百米はあろうかという超巨大鉄甲船目掛けて進軍するのは、全長五十米はある巨大な鉄の人型であった。
平均して水深三十米の瀬戸内海に、腰より僅かに上回る程に漬かり歩いていく様は海を渡るというより深めの川を往く姿にも似て。
それに乗るのは、千年人形ユエイン・リュンコイス(黒鉄機人を手繰るも人形・f04098)であった。
「おおーすごーい」
その横を、巨人が歩む速度に合わせて海面を滑るかのように飛んでいく少女シェーラリト・ローズ(ほんわりマイペースガール・f05381)は感嘆した。
その鉄巨人の歩く様もではあるが、自身と巨人らが向かう先の超巨大船を見て。
巨人は機械神と称されており神と共に、神の御使いたる天使が怨霊の待つ船へ乗り込む――これもまた奇妙なる縁といふものか。
「ちょっと探ってくるねー」
そうこうしている内に乗り込むべき鉄船が、より身近へと迫る様になれば。
シェーラリトは静かに耳を立て激戦を繰り広げる個所まで広げた翼で滑り込むように行けば、甲板へと高度を上げていく最中に唇は忙しなく。
「太陽、月、星……生者の味方の光よ、滅びの運命を貫き、砕き───彼らに安息を与えたまえ!」
――激戦を繰り広げる甲板に天使が現れるや否や。
「どかーん!」
突き出される指先は、悍ましく舞う武器群を指し示し降り注ぐ聖なる輝きは鉄船の薄靄を吹き飛ばす程に苛烈に輝き。
天使の閃光と破邪の祝福宿せし神討ちの槍が武器群を揺るがしながら。
「――叛逆の祈りよ、昇華の鉄拳よ。破神の剣<拳>は我が手に在り」
天使の閃光に揺らぐ武器群を目掛け隕鉄の如く繰り出されるは、古代桃源郷の魔神が如き鉄拳。
ユエインの駆る鉄神の剛拳が、一応は規則正しく立ち並んでいた武器群の陣形を盛大に打ち崩す。
「メインはそっちみたいだからー、わたしはフリーの敵を叩くねー」
「分かった。ボクは主力を片付けよう」
そうして鉄神を足掛かりに着地するユエインは、普段の相方と言って相応しき機甲人形を前に出す――流石に巨大な鉄神はここで立ち回るには厳しい。
盛大に打ち崩された武器群が、いっそのこと遊撃に走らんとすることを察知したシェーラリトは、それに走る武器群へ矢継ぎ早に聖なる槍を降らせ。
陣形を崩されて尚、手数の多き武器群を、ユエインの機甲人形がその頑丈な掌で刃ごと引っ掴むと、その握力を以て刃を砕き。
ユエイン自身が操る機構より放たれる数多の火が、進軍も抵抗も許さぬ程に武器群を包み押し込めながら。
黒鉄の機人が飛来する刀を受け流し、また刃を引っ掴むと見せかけて、柄を捉え別の武器へと叩き付け互いに砕き散らし。
そうして着実に武器群の大壁を削っていくことを実感しつつ、その瞳が見据えるはこの船の錦の御旗。
「戦争も佳境だからね、済まないが手早く終わらせよう」
そう言って機甲人形に持たせるは一つの携行砲――取り回しに難あれど、その威力には申し分なき逸品。
「……そちらもその方がいいだろう?」
「……そうだねー!」
ちらりと、ユエインの瞳が行く先はただ黙って船を動かす嘗ての怨霊の姿。
解放に繋がるであろうと信じ、遊撃の相手を粗方片付けていたシェーラリトは頷くとその唇を手早く動かし、空気の振動による媒介を作り上げ。
指先を向けた先に控える、僅かな生き残りの妨害を完全に封殺すべく聖なる輝きの槍を降らせ。
「……ただ然るべき眠りに。さぁ、在るべき処へ還れ」
静かに聖句を奏でるように囁き一つ。
黒き鉄人が構えた砲が火を吹きて、この世ならざる怨霊を縛る楔<御旗>を撃ち抜き。
糸が切れたように墜ちる御旗が甲板に潰れていくように下れば、何処までも死人らしく殺されていた表情の霊は――漸くに、安堵の表情を以て召されていくのだった。
大成功
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