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エンパイアウォー⑰~業の蒐集者、佇む~

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #魔軍将 #安倍晴明

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●陰陽師『安倍晴明』
 エンパイアの戦も、佳境の趣でありましょうか。
 此度の私の目的は、ただ「持ち帰る」事のみ。
 この世界はよく「似て」おりますゆえ、「業(カルマ)」の蒐集も興が乗りませぬ。

 ……いえ、そうではありませぬな。
 不死で、繁殖もできて、生存の為のエナジーも必要としない。
 それは、賽も振らずに勝つようなもの。
 斯様な存在に成り果てた私に、私自身が飽いているのでありましょう。

 戯れに、山陰を屍人で埋めてみましょうか。
 それとも、コルテスが崇める神の偽物でもこしらえて、信長の後釜に据えましょうか。
 はてさて、それらを全て行ったとして。
 猟兵とやらの怒りは、果たして、どれほど私の心を動かすものやら……。

●強敵来りて
「第六天魔軍将が一、陰陽師『安倍晴明』の居所が判明した」
 ロスティスラーフ・ブーニン(ドジっ子ライオン先生・f00470)が真剣な面持ちで、猟兵たちにそう切り出した。
 陰陽師『安倍晴明』。
 第六天魔軍将の一人にして、奥羽地方や山陰道方面に蔓延る水晶屍人を生み出している張本人だ。
 その美麗で端正な顔立ちに反して、やることはまさに陰湿の一言。そしてどこか厭世的な振る舞いをした、稀代の術者である。
「あやつが何を企んでいるのか……そこまでは私には分からぬ。だが、あやつの目的は信長の野望とは別にあるようだな。
 勝とう、という意思がどれほどあるかは分からんが、諸君らの心を踏み躙るようなことは、平気で行ってくるであろうよ」
 そう、唾棄するような口調で話しながら、ロスティスラーフは眉を顰めた。
 安倍晴明が猟兵たちを待ち構えるのは、鳥取城の中で一番広い、畳敷きの大広間。
 首から下を水晶で構成し、サムライエンパイアよりもキマイラフューチャーでありそうなサイケデリックな衣装と、両手に構えたチェーンソー剣を見れば、それが安倍晴明だと一目で分かるだろう。
 そして、厭世的な雰囲気を醸していながらも魔軍将の一人、並大抵の力では敵わないのは当然の流れだ。
「あやつは、諸君らの行動より必ず先んじる。必ずだ。一つの例外もない。
 いずれの攻撃も苛烈で強烈、防ぐ手立てを講じなくては、一撃で戦場から排除されてしまうだろう。あやつの攻撃を防御し、反撃に繋げる手段は確実に必要だ。」
 これまでの大きな戦いで、強力な力を持つ敵が行使してきた先制攻撃。安倍晴明もその例に漏れない。
 攻撃手段は、両手のチェーンソー剣による二連撃と、五芒符による攻撃。符による攻撃は外れても、城の床を切り裂いて怨霊を溢れさせることが出来る。
 また、水晶屍人を多数召喚し、けしかけて攻撃することも可能なようだ。
「間違いなく強敵である。油断と慢心は即、敗北に繋がるであろう。
 余計なことは考えず、ただ目の前の敵を倒すこと、それを念頭に置いて行動してくれたまえ。
 よいな?私は諸君らが、勝利の二文字を掲げて帰ってくることを願っておるぞ」
 そう力強くロスティスラーフは告げて。
 怨念渦巻く鳥取城への道を開いたのであった。


屋守保英
 こんにちは、屋守保英です。
 サムライエンパイアの戦争もいよいよ終盤。
 頑張りましょう、皆さん。

●目標
 ・陰陽師『安倍晴明』×1体の撃破。

●特記事項
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

●特殊ルール
 陰陽師『安倍晴明』は、先制攻撃を行います。
 これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。

●戦場・場面
(第1章)
 戦国時代に鳥取城で餓死した人々の怨念が渦巻く鳥取城の城内です。
 城内の大広間にて、安倍晴明が猟兵たちを待ち構えています。

 それでは、皆さんの力の籠もったプレイングをお待ちしています。
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第1章 ボス戦 『陰陽師『安倍晴明』』

POW   :    双神殺
【どちらか片方のチェーンソー剣】が命中した対象に対し、高威力高命中の【呪詛を籠めたもう一方のチェーンソー剣】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    水晶屍人の召喚
レベル×1体の、【両肩の水晶】に1と刻印された戦闘用【水晶屍人】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ   :    五芒業蝕符
【五芒符(セーマン印)】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を斬り裂き業(カルマ)の怨霊を溢れさせ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。

イラスト:草彦

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

エミリオ・カリベ
安倍晴明。
僕たちの世界では10世紀頃に活躍した日本の術者。
妙な既視感の正体は分からないけど……
ここで取り逃がしちゃいけない相手だってことだけは確信出来るよ。

晴明の先制攻撃は直撃を受ければ致命傷、躱せば晴明の強化へと繋がる。
となれば僕に取れる策は一つだけ。
<高速詠唱>で≪ウィザード・ミサイル≫。
発動が間に合わないのは承知の上だよ。
発生した魔法の矢を呪符の威力を僅かにでも削ぐ障害物に出来ればそれで十分。
襲い来る余波は<オーラ防御>と<呪詛耐性>で耐え凌ぎ……
立て続けの<高速詠唱>で<全力魔法><2回攻撃>の≪ウィザード・ミサイル≫!

エンパイアは断……僕の大切な人の故郷だからね?
好きにはさせないよ。



●大膳大夫・安倍益材あるいは淡路守・安倍春材の子とされる
 安倍晴明。
 UDCアースの歴史においては10世紀頃、西暦950年頃から1000年頃に活躍した、日本の術者。
 年若い頃から占いの才能は貴族社会で認められており、陰陽師としては日本随一の知名度を誇る。
 そんな彼に、首から下を仄かに水色がかった水晶で構成した身体を持つ彼に、エミリオ・カリベ(星空と本の魔法使い・f07684)は妙な既視感を抱いていた。
 相対するのは間違いなくこれが初めて。案外、UDCアースの街中で似た顔立ちの男とすれ違ったりしていたのかもしれないが。
 それでも。
「ここで取り逃がしちゃいけない相手だってことだけは確信出来るよ」
「そうでありましょう、そうでありましょうとも、そこの若き人。
 私を取り逃がしたら、一体どれ程の命が露と消えましょうか。この山陰が死屍累々の地獄絵図と化しましょうか。
 ああ……想像するだけでも心が震えますな」
 そう、嘯いて見せながら。傾いた服装の美丈夫はふわりと右手を持ち上げた。
 その何気ない動作だけで、エミリオに向かって五芒星の描かれた護符をまっすぐに、何枚も放ってみせる晴明。
 エミリオはぐ、と奥歯を噛み締めた。ノーモーションに等しい先制攻撃、その規模が予想以上に大きい。
 止めきれるか。否、止めるのだ。
 飛来する護符に向けて、まっすぐに真鍮製の杖「エスフェラ・セレステ」を構える。詠唱はとにかく早く、簡略に。
「飛べ!」
 声を張るや、生じた魔法の矢が前方へと放たれた。百本弱の矢を前方の狭い範囲に、後から後から追いかけるように。
 刹那の間を置いて、炎属性の魔法の矢と五芒符がぶつかり合った。矢に貫かれてぶすぶすと穴を開けられていく符。先頭を飛ぶ一枚は焼け落ちるものの、護符は一枚のみあるものではない。
 而して、二度目の詠唱に入っていたエミリオの胸元へと、吸い寄せられるように飛来した護符が。
 ひどく硬質な音を立てながら彼の体表で炸裂した。
「……かっ、は……!」
 胸元に強い衝撃を立て続けに受け、後方に吹き飛ばされたエミリオの口から、鮮血交じりの唾が飛び散る。
 がく、と頽れるように片膝をついた彼へと、晴明の冷たい視線が突き刺さる。
「哀れ、哀れ。猟兵とはかくも、勇気と蛮勇を履き違えるものでございましょうか」
「いつつ……防御を固めていても、やっぱり一撃が重いね」
 自らを哀れむ晴明を見つめ返して、エミリオはゆっくりと立ち上がった。再び杖を構えて、自らの周囲に魔法の矢を浮かび上がらせる。
「エンパイアは断……僕の大切な人の故郷だからね?好きにはさせないよ」
 そう自らを奮い立たせながら、彼は再び自らの魔法を紡ぐ。
 晴明の酷薄な笑みを浮かべた顔面目掛け、小さな音を立てて炎の矢が放たれた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

山梨・玄信
【SPDを使用】
何と!200体以上の水晶屍人を一気に召喚して来るとは…流石は魔将と呼ばれるだけはあるのう。
じゃが、狭い場内で呼ぶとはアホじゃな。

オーラを全身に纏い衝撃波を足元に放って高くジャンプし、三角蹴りの要領で天井を蹴って敵のど真ん中に飛び込むぞい。
屍人から攻撃されるじゃろうが、それはオーラで受け激痛耐性で我慢じゃ。

気弾を体の周りにリング状に作り、気の放出の要領でそのまま広げて一気に屍人を殲滅するのじゃ。狭い室内に押し込められているなら、避ける事も出来まい。生き残りがいるなら、2回攻撃でもう一発リング状で撃ってやるぞい。

残った晴明にはダッシュで接近して、至近距離から気弾をお見舞いするのじゃ


備傘・剱
陰陽師がチェーンソー、ね
もしかしてあれか?
お前も、巫術(物理)って言い張る輩か?

なんにしても、チェーンソーで抉られるのはちょいと勘弁って事だな
どちらのチェーンソーが当たるかはわからないが…
オーラ防御を薄く、しかし硬く全身に纏わせ、接近する
当たった瞬間、体制を変えず、自分の体を念動力で真後ろに思いっきり引っこ抜き、回避する

その後、ダッシュで近づき、呪殺弾と、衝撃波をけん制に、誘導弾をチェーンソーに当て、攻撃を封じ、黒魔弾をぶつけてやる

一度、死んだら、普通は其のまま、おとなしくくたばるのがルールって奴だぜ?
もう二度と、こっちの世界に来たいと思わない様にしてやらないとな

アドリブ・絡み、好きにしてくれ


高柳・零
POW

美麗で端正…気障で嫌味ったらしいの間違いでは?

「聖騎士の守り、簡単には崩せませんよ」
敵の先制攻撃は見切りで敵の肩の動きを見て武器で腕の動きを邪魔して剣の勢いを抑え、オーラを全力で纏わせた盾で剣の握りの部分を受け止め、無敵城塞で弾きます。
一撃目の受けを失敗したらオーラを全身に回し、そのまま無敵城塞で二撃目受け、激痛耐性で耐えます。

敵の二撃目が終わった瞬間UCを解き、体勢を立て直す前に鎧砕き付きの2回攻撃で斬ります。
「自分の得意技は後の先です。先に攻撃出来るから有利だと思ったら大間違いですよ」

アドリブ、絡み歓迎です。



●各種史書では竹取物語にもその名が登場する右大臣阿倍御主人の子孫とする
 次いで晴明の前にその姿を見せたのは、山梨・玄信(ドワーフの破戒僧・f06912)、備傘・剱(絶路・f01759)、高柳・零(テレビウムのパラディン・f03921)の三人だった。
 心の友で盟友たる三人、付き合いは人の思うよりも長い。故にこの戦いに参加するとなった際、自然と足が同じ所へ向かっていた。
 三人が並び立って自らと相対する様子を、晴明はなんとも言い難い微笑を浮かべて眺めていた。
「ああ、なるほど。共に歩む者同士、並び立って私を滅そうとする……実に美しい友情の姿でございます」
「本当に、気障で厭味ったらしいですね」
「全くじゃ。その顔をぶん殴ってやりたくて仕方がなくなるわい」
「だなぁ……無性に腹が立ってくるぜ」
 零がそのテレビ画面に怒り顔を映し、玄信が露骨に眉を寄せ、劔が忌々し気に溜め息を吐き出した次の瞬間には。
 彼らの視界を大量の、それこそ大広間に溢れんばかりの水晶屍人が埋め尽くしていた。
 そのあまりにも膨大な人数を一度に召喚して見せたことに、玄信が目を見張る。
「なっ……こんな室内でこの数、アホじゃろ!」
「これは異なことを。戦とは常に阿呆の為すものでございましょう」
 そんなことを嘯きながら、晴明が屍人の間を疾駆した。両手に構えたチェーンソー剣がエンパイアには不似合いな駆動音を高く響かせる。
 下段から振り上げられる一撃を、念動力で自身の肉体を後方に引っこ抜くことで躱しながら、劔が晴明の剣先をまっすぐに見つめながら口を小さくとがらせた。
「物量で攻め、自らも武器を持って前線に……あれか?お前も巫術(物理)って言い張る輩か?」
「さて、術とは得てして現象を為すもの。その現象が物理でないと、どうして言えましょう。屍人の召喚など、物理の際たるものでございます」
 躱されたことを意に介さぬように、もう片方の手に握ったチェーンソー剣を腰に構える晴明。その剣が一閃、横薙ぎに振るわれる瞬間に、飛び込んでくる小さな影。
「リーダー!」
 飛び込んできた零が、チェーンソー剣が当たる直前に無敵城塞を発動させる。しかしてあらゆる攻撃に対して無敵と化した零の身体を刃が切り裂くことはなく、無情にも弾かれた剣の反動で晴明の身体がぐらりと傾いだ。
「人の心とは、結びつきにより頑丈となるもの……激しい暴力と理不尽に晒されても猶、境遇を共にする者さえいれば、人は存外耐えられる。よく言ったものですな」
「……何処かで聞いたような台詞を!」
 一瞬のうちに無敵城塞を解除した零が晴明へとその手の剣で斬りかかる。
 零の得意分野は相手の攻撃を防いでからの後の先の一撃。この手の先手を打ってくる相手は得意分野だ。
 体勢が崩れたところを狙って一撃。晴明の水晶の身体に、ピシリと切り傷を走らせた。
 続けざまにもう一撃、としたところで、晴明と零の間に身体をねじ込ませてきたのは一体の水晶屍人だ。
「生憎、仲間の盾となるのは貴方がたの専売特許では、ないのでございますよ」
「心にも思っていないことを言ってくれますね……!」
 割り込んできた水晶屍人を切り倒しながら零が吐き捨てる。
 しかし、三人である自分たちに対して相手は二百を超える数。一人の屍人を倒したとして、後から後から寄って来る。
 普通なら、歯噛みしたところだろう。しかし零は諦めない。
「仲間っていうのは――!」
「互いを思いやり、互いの存在を忘れぬ者が言う言葉じゃ!」
 束の間、大広間の床を揺らす衝撃が響き渡る。
 屍人の群れの只中に、オーラを全身に纏った玄信が飛び込んだのだ。
 一気に、後方へと振り返る前方の屍人。手近なところに立つ屍兵の攻撃の標的が玄信に向くが、オーラを全身に纏った玄信は歯を食いしばって耐え忍ぶ。
 そして、その身に宿ったオーラが気弾となって彼の周囲にリングを描いた。それを高速で回転させながら、どんどん広げていく。
 気弾に薙ぎ倒されるようにして、群れの内側から屍人がどんどん倒され、空間を広げていった。
「次々に召喚しては使い捨てる、貴様のそれは仲間とは呼ばぬ!」
「だな。仲間ってのはそう言うもんじゃないだろ」
 他方では劔が衝撃波と誘導弾を駆使して、次々に屍人を打ち倒しては晴明に迫っていった。
 仲間とはただ庇い合い、守り合うだけのものではない。ある時は攻め、ある時は守り、ある時は共に退き、互いが互いを大事に思いやることが何よりも大事だ。
 目の前にいる安倍晴明に理解できるとは思えない。理解してもらおうとも思わない。
 一気に距離を詰めて晴明に肉薄し、その顔が目の前いっぱいに見えるところまで顔を近づけながら、劔はにんまりと笑った。
「一度、死んだら、普通は其のまま、おとなしくくたばるのがルールって奴だぜ?」
「何を……!」
 一瞬だけ目を見開いた晴明の後頭部を、強い衝撃が襲う。
 振り向く必要はない。劔にはその姿が見えている。屍人の集団を蹴散らし、距離を一気に詰めてきたうえで全力の気弾を放った、玄信の姿が。
「マスター、今じゃ!」
「ありがとな、山梨!」
 気弾に打たれ、僅かに前方に振られた晴明の顔面に。
 劔は容赦なく黒魔弾の一撃を叩き込んだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

大崎・玉恵
【尾沙木神社】
安倍晴明。……貴様の名を聞くと胸が疼く。
貴様、藻女(みくずめ)の名に聞き覚えはあるか?
あれば、これほど愉快な事もないが……なくとも、まぁよい。
お主はここで殺す。神の宣告じゃ、偽りはないと思え。

【巫覡載霊の舞】で身体強化し初撃をやり過ごした後、維持したまま【2回攻撃】で攻め立てる。奴の呼んだ怨霊が残るならば、【破魔】の力を使い奴の力となる前に吹き散らす。
大量の屍人が奴を攻める妨げとなるならば、【範囲攻撃】で葬ってやろう。

見よ、異形の陰陽師よ。貴様を殺すためにわらわの同胞がこれほどまでに揃った。
悠久の時を過ごすは飽いたであろう、引導を渡してやろう。


ナターシャ・フォーサイス
【尾沙木神社】
セイメイを名乗る哀れな魂が生命を弄ぶ…何という皮肉でしょう。
人として許しがたい所業ですが、使徒として赦し、祓い導きましょう。

真の姿の一端、機械仕掛けの天使となりましょう。
天使達を呼び、皆様の助けとなる結界を張るのです。
先制し符を仕掛け、外れても己が力とするようですが、それは外してこそ。
天使達の身をもって防げば、彼の者の力となることもないでしょう。
水晶屍人へ数で当たることもできますし、剣に対しても壁となってくれるでしょう。

光を以て彼の者の罪と闇を祓い、聖句を以て楽園への道行きへ誘うのです。
仇成すのなら光が護ってくださるでしょう。
どうか楽園への道行きに加わる貴方にも、幸あらんことを。


ティノ・ミラーリア
【尾沙木神社】
高名な術師って聞いたけど…この晴明は違いそう…

到着時点から『鎖、眷属』を展開し「世界知識、情報収集」で周辺把握。
「第六感」で敵の攻撃を察知し『眷属』で視線を遮り自身を「物を隠す」「迷彩」し回避。
回避不可なら巡らせた『鎖』の「地形の利用、拠点防御」、『眷属』の「かばう」で防御。
『眷属』が残れば仲間の支援にも使用。

攻撃を凌いだら【断罪執行】で強化した武器を使い分け反撃。
近距離は『処刑人の剣』での「怪力、力溜め、鎧砕き」
遠距離は『猟銃』の「呪殺弾、スナイパー、援護射撃、鎧砕き」
間を繋ぐように『操血』の「串刺し、鎧砕き」で変則攻撃。
技術はそこそこにヴァンパイア由来の身体能力で圧していく。


ルード・シリウス
【尾沙木神社】

敵の初手攻撃は残像で軌道を逸らしつつも、攻撃を受ける事を前提に考えて攻撃の瞬間を見切り、暴食剣と呪詛剣の二刀で攻撃を受け止める。受ける負傷は仲間のUCで軽減し全力で耐え凌ぐ。
凌ぐ事が出来たら、【鮮血暴君の魔剣】発動で強化。水晶屍人は任せ晴明へと接近。怪力込めた二刀による連撃で、接近戦による斬り合い削り合いに持ちこむ
受けた負傷は自身の攻撃による捕食能力(吸血&生命力吸収)で傷を癒し、継戦能力と戦線維持。一歩も退かず、獲物を狙う獣の如く喰らいつく様に

さぁ存分に殺り合おうぜ陰陽師…っ
お前の血肉と命を喰らい、俺は更なる高みを目指す
だから、敢えて言うぜ…。お前の命喰わせろっ



●晴明が死んだ11世紀の内に、早くも晴明は神秘化されていった
 顔面に痛烈な一打を浴びた晴明の身体が、ぐらりと傾ぐ。
 その最中に生まれた隙を、【尾沙木神社】の四名は見逃さなかった。
「セイメイを名乗る哀れな魂が生命を弄ぶ……何という皮肉でしょう」
 ナターシャ・フォーサイス(楽園への導き手・f03983)が哀れむようにその水晶の身体を見やっては。
「高名な術師って聞いたけど……この晴明は違いそう……」
 ティノ・ミラーリア(夜闇を伴い・f01828)がその感情の籠もらない瞳で相手を見つめる。
「稀代の陰陽師か……面白い、お前の血肉と命を喰らい、俺は更なる高みを目指す」
 ルード・シリウス(暴食せし黒の凶戦士・f12362)が好戦的な視線を晴明に向けると。
「安倍晴明……貴様の名を聞くと胸が疼く」
 三人の前に立つ大崎・玉恵(白面金毛・艶美空狐・f18343)が、憎々し気な瞳で晴明の端正な顔立ちが痛みに歪むのを見た。
 一歩を踏み出し、額を抑えて頭を振る晴明へと、玉恵が鋭い声を飛ばす。
「貴様、藻女の名に聞き覚えはあるか?あれば、これほど愉快な事もないが……なくとも、まぁよい」
「はて。私の没した後、幾年も経った後に名の知られるようになった者など、私の知るところではありませんな」
 飄々と、言ってのけては口元を歪めて玉恵を見つめる晴明。その視線と視線をぶつけながら、玉恵は強い口調で言ってのけた。
「そうか……分かった。お主はここで殺す。神の宣告じゃ、偽りはないと思え」
「……神。神と申されますか。
 これは正しく荒唐無稽、コルテスめが神を足蹴にするこの世において、人を罰することを為せる神など、どうしておりましょうや!」
 そう、嘲るような色の笑い声を高らかに響かせて。晴明が両手のチェーンソー剣をしっかと握って地を蹴った。
 接近しながらその周囲に五芒符を浮かべて、広範囲にばらまくように発射する。
 その異形の身体よりも先に近づいてくる護符を前に、玉恵とナターシャが同時にその身を翻した。
 巫覡載霊の舞。そして召喚:楽園の結界。
 二人がそれぞれ、神霊体と大天使に変身しながら護符を受け止めつつ、ナターシャの張った結界がその場に立つ四名の力を底上げする。
 周辺にばらまかれた護符の全てを防ぎきるには至らないが、幾らかの護符はナターシャの召喚した天使がその身を挺して受け止めた。
 そしてその残り。大広間の畳の上に落下した五芒符が畳を裂き、怨霊を溢れさせるその中で。
 怨霊の立ち上るそこに飛び込もうとしながら、晴明が高らかに笑った。
「身を削り、攻撃を受け止めるだけが神の力と申されましょうか!神とはもっと、人に一片の容赦も無い存在でございましょう!」
「人の道を外れておきながら、神を語るとは不遜の極みじゃ」
 後方にぐっと押し込まれるように吹き飛ばされながら、玉恵は薙刀を振るった。薙刀の切っ先から発せられた衝撃波が畳の上を走り、晴明が今まさに飛び込もうとした怨霊の渦を消し飛ばす。
「なに……!」
「神は、光を以て彼の者の罪と闇を祓い、聖句を以て楽園への道行きへ誘うのです。仇成すのなら光が護ってくださるでしょう」
 怨霊を破魔の力の宿った衝撃波で飛ばし散らされて瞠目する晴明に、ナターシャの澄んだ声が届いた。
 其方を向く頃には、玉恵が次いで放った衝撃波がその身に迫り、それを追うようにしてティノとルードが各々の武器を手に接近しつつある。
「其の存在は罪……判決は死刑」
「さぁ存分に殺り合おうぜ陰陽師……!」
「おのれ……小癪な真似を!」
 チェーンソー剣を交差させて衝撃波を受け止めつつ、その切っ先をルードに向けた晴明が剣を振り抜くと。
 手にした二振りの巨剣で剣閃を受け止めたルードの身体が、威力に押し負けてその身から血を撒き散らす。
 しかし、その二撃を受けても猶、ルードは口元の笑みを崩さなかった。
「こいつを抜かせた以上、飢えが満たされるまで存分に喰わせて貰うぜ」
 途端に、血で濡れた巨剣が真紅に塗れた。同時に立ち上る強大な剣気に、晴明が僅かにたじろぐ。
 そこに飛び込んできたのは処刑人の剣を構えたティノだ。その身の細さに似合わぬ膂力を以て振り抜いた剣が、同時に四方から振るわれた吸血鬼の血が、晴明の水晶の肉体を砕き、穿っていく。
「何と……口惜しいことか……!」
「見よ、異形の陰陽師よ。貴様を殺すためにわらわの同胞がこれほどまでに揃った。
 悠久の時を過ごすは飽いたであろう、引導を渡してやろう」
 玉恵がゆるりと、驚愕を顔に貼り付けた晴明に微笑みかけた次の瞬間に。
 ルードの振るった大剣が、晴明の首と胴体、腰の上下を綺麗に断ち割った。
「おお……この私が、この安倍晴明が、かくも追いつめられるとは……猟兵とは、これほどまでに……」
 そう、掠れていくような声を残しながら。
 青白い水晶の肢体が、パァンと音を立てて、弾けて消えた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年08月15日


挿絵イラスト