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エンパイアウォー⑰~いのちのうつわ

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #魔軍将 #安倍晴明

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 「『サムライエンパイア』の戦争は、魔軍将である『百面鬼「風魔小太郎」』、『大悪災「日野富子」』の制圧に成功し、幕府軍はなおも進軍を進めております」
 漆黒の無貌を、猟兵たちへ向け。
 紅白の装束に身を包んだブラックタールの戦巫女、神籬・イソラ(霊の緒・f11232)が、戦況について厳かに話をはじめる。
 イソラが示したのは、地図の西方。
「続いて判明しましたのは、『陰陽師「安倍晴明」』の居所。かの方が出現する地点は、『鳥取城』にございます」
 目を見張るほどの大量の石垣に、亀の甲羅を思わせる球型に積みあげられた巻石垣。
 増改築を重ね、多種多様な築城技術がひとつところに集まる城として知られており、この城でしか見られない石積みも存在する。
「しかし」
 イソラはひと呼吸おいた後。
 ぐるりと猟兵たちを見やり、続ける。
「いくさ続きの戦国時代。この城ではかつて、多くの者たちが飢えによって命をおとしたと聞きます。数か月にわたる、過酷な兵糧攻め。飢え渇き、兵たちが最後に口にしたのは――」
 そこで口元を隠し、かぶりを振る。
「……嗚呼。それはそれは、想像を絶する地獄であったことでしょう」
 イソラはそこまで告げると、手のひらにグリモアを掲げ。
 猟兵たちをまっすぐに見やり、言った。
「怨念渦巻く土地。同じく『まじない』を扱う者として、わたくしもかの陰陽師には直接まみえたいところにございますが……。ここは私情をおして、粛々と皆々さまを案内いたしましょう」
 指先をすいと空にすべらせ、印を描けば、その場を起点に転送陣が完成する。
 逆巻く風に髪をなびかせながら、グリモア猟兵は言った。
「これより、敵地へとご案内いたします。転送陣を護る任がございますゆえ、皆さまに何が起ころうとも、わたくしは助太刀できませぬ。――かの方は、強い方。ゆめゆめ、油断なさいませんよう」


 その男は、鳥取城内をひとり、歩いていた。
 足取りは、悠然にして、堂々。
 城内は点々とあかりが灯っていたが、どうしたことか。
 どこもかしこも、まるで夜を思わせる薄闇に包まれている。
「エンパイアの戦も、佳境の趣でありましょうか」
 うたうようにひとりごちるこの男こそが、信長に仕える魔軍将。
 陰陽師『安倍晴明』。
「此度の私の目的は、ただ『持ち帰る』ことのみ。この世界はよく『似て』おりますゆえ、『業(カルマ)』の蒐集も興が乗りませぬ」
 灯が揺れ、男の影がゆらゆらと壁面を踊りくるう。
 風鳴りが怨嗟の声のごとく男の背にすがったが、晴明は歩みをとめることなく、城の深部へと進んでいく。
「……いえ、そうではありませぬな。不死で、繁殖もできて、生存の為のエナジーも必要としない。それは、賽も振らずに勝つようなもの。斯様な存在に成り果てた私に、私自身が飽いているのでありましょう」
 ひゅうと、風が吹きすぎ。
 切れ長の眼を肩越しに投げ、振りかえる。
 気配を感じたのだ。
 数多の。
 『猟兵』と呼ばれる者たちの、命の躍動を。
 晴明は両手に携えたチェーンソー剣に視線を落とし、口の端をもたげる。
「戯れに、山陰を屍人で埋めてみましょうか。それとも、コルテスが崇める神の偽物でもこしらえて、信長の後釜に据えましょうか。はてさて、それらを全て行ったとして。猟兵とやらの怒りは、果たして、どれほど私の心を動かすものやら――」
 戦場に在りながら、男はたいした熱情もない、といった様子で。
 迫りくる気配に先制攻撃を据えるべく、身構えた。

 生き死にを繰りかえし、興を削がれたように生きる己を。
 はたして、かれらがどれほど愉しませてくれるものかと、待ちわびながら。


西東西
 こんにちは、西東西です。

 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 ●特殊ルール
 陰陽師『安倍晴明』は、先制攻撃を行います。
 これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。

 一方的な質問は敵の愉しみとするところではないため、無意味に終わるでしょう。

 それでは、ご武運を。
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第1章 ボス戦 『陰陽師『安倍晴明』』

POW   :    双神殺
【どちらか片方のチェーンソー剣】が命中した対象に対し、高威力高命中の【呪詛を籠めたもう一方のチェーンソー剣】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    水晶屍人の召喚
レベル×1体の、【両肩の水晶】に1と刻印された戦闘用【水晶屍人】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ   :    五芒業蝕符
【五芒符(セーマン印)】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を斬り裂き業(カルマ)の怨霊を溢れさせ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。

イラスト:草彦

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

花邨・八千代
セイメイちゃーん!あっそびっましょーッ!
カキ氷には良い季節だと思わん?ところでお前の背中の氷みてーだな?
ちょっくら削るのに良いサイズに割らせてくれや。

真っ赤な苺シロップぶっかけてやんよ!

◆戦闘
テレポートした瞬間「第六感」使って攻撃方向感知
向かってくる攻撃を金棒に変じた南天で全身全霊を掛けて撃ち返すぜ
力だけだったら俺ァ結構自信があるもんでなァ!
早々負けてやんねーよ!

「恫喝」「挑発」「殺気」で気合入れだ!
んでもって「怪力」乗っけた「なぎ払い」をぶっこんでくぞ!
「2回攻撃」叩き込みつつ、「傷口をえぐる」ぜ。
攻撃を食らったらカウンターでお返しだ、ただじゃやられねーよ!

ぶっちゃけなんかその顔腹立つ!!!




 転移した先は、暗闇。
 真っ先にとらえたのは、揺れる灯に、踊る影。
 足先の感覚。
 床板のきしむ音。
 そして、
 ――ヴヴヴオオオオオォォォン!
 駆動音が響くのと、『第六感』が閃くのは同時。
 感覚は間にあわない。
 だから『視覚』を捨てる。
 眼を閉じる。
 金棒に変じた武器『南天』を、対象の位置を確認しないまま、全身全霊をかけて薙ぎはらう!
 ――ッゴ、ガガガガ!!!!
 金棒を掴む手に、痺れるほどの振動。
 撃ち返すに至らないほどの、重い手応え。
 視界に星が散って。
 それが火花だと悟った時、眉間に、つめたさを覚える。
(「嗚呼」)
 唇に鉄の味。
 皮膚が裂けた。
 血が流れている。
 抑えきれなかったのだ。
 力には自信のあった、この、己が……!
「っ、……ハ!!」
 これまでの敵とは違う、圧倒的な驚異。
 だからこそ、腹の底から、疼くような笑いがこみあげる。
 口の端が、見る間に釣りあがる。
 ――ヴヴォン、ヴヴオオオオオォォォン!!
 二撃目!
「うらァ!!!」
 自らに渇を入れるがごとく、花邨・八千代(可惜夜エレクトロ・f00102)は殺気をはなちながら、金棒を振りあげた。
 般若千手の羅刹門が、燃えるように赤く浮かぶ。
 流れた己の血を糧に、『南天』の殺傷力をさらに高める。
 駆動剣が跳ねるように逸れ、奇襲を仕掛けた陰陽師『安倍晴明』の口が、動いた。
「ほう」
 たった、それだけ。
 眉ひとつ動かさない。
 癪にさわる。
「なんかその顔、――腹立つ!!」
 初撃は凌いだ。
 次は、己の番。
「セイメイちゃーん! あっそびっましょーッ!」
 挑発するように呼び掛けて、怪力を乗せた金棒を叩きこむ。
 一度では終わらない、二度だ。
「カキ氷って知ってるか? お前の背中、ちょっくら割らせてくれや!!」
 傷口を抉るようにして、反撃を恐れず、踏みこむ。
 ――ガゴッ!!!
 陰陽師は、交差させた駆動剣で金棒を受けとめ、
「品のない羅刹にございますな」
 その声音は、背負う水晶のごとく、怜悧。
 羅刹女の渾身の一撃を振りきり、とどめの斬撃を繰りだす。
 それでも、たいくつそうな顔。
(「腹立つ」)
 跳ねた三つ編みが唸る刃をかすめ、黒と赤の髪が、はらり舞う。
 和の城に不釣りあいな、駆動音。
 腹に刻まれる、やけつくような痛み。
「ちっく、しょォ――!」
 苺シロップみたいに。
 真っ赤な血が、闇にはじけた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

クリスティアーネ・アステローペ
(戦闘時の瞳は真紅色)
その名その顔その声、得物
クリスタリアンとは異なる水晶の身に至るまで
なにやら覚えはあるけれど…
失礼。今、ここで見えてる
それ以上の縁は不要よね
さあ、暇つぶしに付き合いましょう

「アステローペの断罪者、クリスティアーネより陰陽師、安倍晴明へ。剣と月の祝福を」
首から上は生身よね?その血、味わわせてもらおうかしら!

・対先制
《残像》《見切り》から斧槍と斬首剣での《武器受け》で初撃を回避
ダメでも《オーラ防御》と《呪詛耐性》《破魔》で追撃に備えましょう

貴方の次の一撃よりは私の詠唱の方が早いわよ
受けなさい、これこそは我等の血潮にして彼等が祈り、顕世を侵す過去への呪詛憤怒
【咎を穿て、赫き杭】!




 重傷を受けた羅刹の女猟兵が退く。
 入れ替わるように踏みこんだのは、流れるような黒髪に真紅の瞳を燃やすダンピールの女――クリスティアーネ・アステローペ(朧月の魔・f04288)。
 ――ヴヴォン、ヴヴヴヴオオォォォン!!
 血を吸った駆動剣が唸る。
 斧槍と斬首剣とでオブリビオンの初撃を受けとめるも、その重さは想像をはるかに超え、クリスティアーネはたまらず動きを止めた。
「アステローペの断罪者、クリスティアーネより陰陽師、安倍晴明へ。剣と月の祝福を……ッ!」
 のしかかるように迫る刃に両腕ががくがくと震え、弾ける火花が、複数の術式と呪詛をこめた『執行咒装"ファイノメナ"』を焦がしていく。
 ――ヴヴヴオオオオオォォォン!
 迫る次撃にオーラを展開するも、呪詛をたたえた刃はヴェールのごとき護りを侵し、容赦なく引き裂いた。
 鮮血が散る。
 痛みよりもまず、沸騰するような熱が、全身を襲って。
「ぅ、ぐ……!」
 クリスティアーネは渾身の力を振りしぼり、斬られた腕で長槍戦斧を敵に投げはなち、オブリビオンから距離をとった。
 傾ぐ身体を地につけ、肩で息をする。
 あえぐたびに喉が詰まる。
 血だまりに沈むクリスティアーネを前に、清明は地に落ちた『断頭斧槍"救済者フランツィスカ"』を蹴り飛ばし、
「死舞いといたしましょう」
 擦り足で音なく迫ると、ふたたび神ほふる駆動剣を閃かせる。
 ――その名、その顔、その声、得物。
 ――煌めく水晶の身に至るまで、クリスティアーネには覚えがあったけれど。
(「今、ここで見えてる。それ以上の縁は不要ね……!」)
 奥歯を噛みしめ。
 『その時』を狙い、吠えた。
「これこそは我等の血潮にして彼等が祈り、顕世を侵す過去への呪詛憤怒。受けなさい! ――『咎を穿て、赫き杭(カズィクル・ベグザーディー)』!」
 流した己の血。
 そこに呪詛と祈りが混じりあい、逆巻き、数多の杭となってオブリビオンへと飛来する。
「!」
 攻撃のために繰りだした駆動剣を盾代わりに、清明が杭を振りはらった。
 それでもいくつかの杭はオブリビオンの頬を裂き、水晶の一部を砕いた。
 涼しい顔に、一筋。
 そこに、たしかに残る傷痕を見やり、クリスティアーネは紅眼を細め、笑んだ。
 ――まだだ。
 ――まだ、『暇つぶし』は終わっていない。
 『魔杖斬首剣"慈悲深きエヴェリーナ"』を突きつけるように、立ちあがる。
「首から上は生身よね? その血、味わわせてもらおうかしら!」

苦戦 🔵​🔴​🔴​

火狸・さつま
言葉など無用
ここで討ち倒す

早業・オーラ防御幾重にも纏い防御強化しつつ
初撃、二撃目共に命中されぬ事を第一に第六感で補い敵の動き見切り躱す
躱しきれぬならオーラ防御纏わせた<彩霞>で弾き受け流し
呪詛耐性・激痛耐性にて凌ぐ
体動けば僥倖

すぐさま早業・カウンター
<彩霞>へ炎纏わせ属性攻撃【粉々】
2回攻撃、逃げる隙間なくすように敵周辺範囲攻撃
<雷火>地形さえ抉る雷撃【粉々】

常に敵の動き見切り攻撃躱し隙を突き反撃狙う
負傷はオーラ防御・激痛耐性で凌ぎつつ
動ける限り手を尽くす


帰る事など不可能
何度でもどの世界であろうとも討ち倒される運命だ
さぁまた骸の海へ戻るが良い
呪詛も攻撃に上乗せ一撃でも多く討ち込む




 薄闇の城に、いくつもの影が踊る。

 ダンピールの女が退くと同時に、大きな影が死角から迫った。
 陰陽師はすぐさま駆動剣を振るったが、影は目にもとまらぬ速さで跳ね、その一撃をかわす。
 いや。駆動剣は脇をかすめた。
 しかし裂けたのは、影が目深に被っていたフードの端だ。
 その合間にも、ひゅ、と蛮刀が空を薙ぐ。
 研ぎ澄まされた、するどい殺気。
 息つく間もなく縦横無尽に駆けまわる影を注視すれば、揺れる炎に、青の瞳が煌めくのが見えた。
 ――声なき怒り。
 その若さ、激しさに、清明が口の端をもたげる。
「幼き狐にございますな」
 なにをもって『幼い』と称したのか。
 それを考えることさえ、火狸・さつま(タヌキツネ・f03797)は放棄していた。
 思考を手放せばこそ、野生の勘が冴える。
 敵の動きが視えてくる。
 愛刀『彩霞』に炎を宿す。
 敵と己の姿が、薄闇に浮かぶ。
 はなつのは、相手を粉砕するためだけの、単純で、重い一閃。
 ――ッ、ギイン!!!
 捉えた!
 しかし、砕けたのは背の水晶のみで。
 ――ヴヴォン、ヴヴヴヴオオォォォン!!
 間髪入れず、唸る駆動剣がさつまの胴を薙いだ。
「っ、ハ」
 激痛をこらえ、二撃目を渾身の力で蹴りあげ、身をよじる。
 血が流れる。
 それでもさつまは、止まらない。
 敵に隙を与えまいと、次々に斬撃をくりだし、間合い深くへと踏みこむ。
(「――体動けば僥倖。動ける限り、手を尽くす」)
 逃すまい。
 決して。
「砕け散れ……!」
 声と同時に、尾に文様がひろがり、清明めがけ黒雷がいくつも弾けた。
 直撃を受けた清明の水晶が砕け折れ、ごとり、床に落ちる。
「お見事」
 陰陽師の声が跳ねた。
 わずかばかりの喜色。
 次の瞬間、脇腹への痛烈な衝撃に、さつまは城の廊下を転がっていた。
 蹴りを喰らったのだ。
 唸りをあげ、みたび駆動剣が迫る。
 ――命散らそうとも、最後の最後まで牙を剥く。
 決死の覚悟で清明を睨みつけた、その時だ。
 駆動剣とは別の『エンジン音』が轟き、薄闇の壁面を振動が走り抜けた。

成功 🔵​🔵​🔴​

駒鳥・了
ヒマ潰しに他人の命を弄ぶんじゃなーい!
てコトでオレちゃんことアキ登場!
…名乗りの最中にめっちゃ出るし合体もキショ…
先に片付けよ!

迎え討つため唸れ属性攻撃・氷結嵐!
他の猟兵の為にも目眩ましにもなれば!
攻撃は第六感と残像を駆使で回避
踏みつけ・宙でのナイフ投擲で応戦をしつつ適宜氷結!
機を見てUCでオレちゃん追加
行動は同様で属性のみ爆炎!
鉱石が苦手な温度の落差攻撃で脆くなったらナイフをびしばし打ち込んでって
仕上げは二人で息を合わせて属性攻撃の暴風を織り込み日本刀で薙払い!
白い野郎に屍を叩きつける!

一人はそれを踏み台に
残像で的を絞らせないようにしながら斬り込み!
本命は屍で身を隠し回り込んでの斬撃だ!


オニバス・ビロウ
この身はこの地の守護者であるが、妻を連れて帰るまではこの地に戻るつもりはなかった…
が、呪を扱う敵には恨みがある
我が妻を異境へ誘ったのは貴様ではなかろうよ…だが疾く死ね

電鋸の剣を飛ばしてくるなら先に来る物には段菊…着ている毛皮の外套を投げつけてそれで受ける
次の呪詛の電鋸には脇差の楓を抜いて呪詛耐性を高め、
猟銃の白詰草に込めた呪殺弾を撃ち呪詛を緩和する
楽観はできぬが、上手く行けば武器を落とせるだろうか

受けきった後はただ、一直線に奴の首を斬りにいくのみ


…俺を守護者たらしめていたのは我が妻の存在があってこそ
その面を外されば…命をやり取り、首を刈りとり、血を浴びて喜ぶ俺が居るだけだ
さあ、躯の海に沈め!


パウル・ブラフマン
【WIZ】
▼先制攻撃対策
愛機Glanzに【騎乗】して
城内の【地形を利用】しながら
自慢の【運転】テクを披露!
壁面走行からの【ジャンプ】等
縦横無尽に走行、【野生の勘】も併用して五芒符を躱したいな。

▼反撃
Krakeを展開して仲間の【援護射撃】を。
射程範囲への送迎も任せて♪

晴明がカルマを纏ってる?上等!
弾幕代わりの【誘導弾】を射出したら…UC発動!
―テメェのその『罪』、オレに寄越せ!!
遊び相手がどっか行っちゃったの?
けど寂しいからって
誰かの大切なモン玩んでイイ理由にゃなんねぇよ。

敵の死角に【スライディング】で回り込んでから
火力を宿したKrakeで【一斉発射】をお見舞いするね。

※絡み&同乗&アドリブ歓迎




 ――フオオオオオォォン!
 駆動剣とは別の『エンジン音』が轟き、薄闇の壁面を振動が走り抜ける。
 ――尾を引く蒼き光線。
 『それ』が清明とすれ違った瞬間、
「ヒマ潰しに、他人の命を弄ぶんじゃなーい!」
 『降ってきた』声へ向け、清明はすぐさま場を水晶屍人で満たした。
 援護射撃とおもしき弾幕とともに、床を鳴らし着地したのは駒鳥・了(I, said the Rook・f17343)――もとい、多重人格のひとり『アキ』。
 闇から出でる存在は、次から次へと現れては融合し、新たに現れた猟兵へ手を伸べる。
「って、オレちゃんが名乗る前にはじめんなよ! うわ、めっちゃ出てくるし合体もキショ……!」
 巨大化していく屍人を見やり、闖入者(ちんにゅうしゃ)たるアキが賑やかに声をあげ、近づこうとした屍人を次々に蹴り飛ばす。
 片手にバタフライナイフ。
 片手に直刀の魔法剣を構え、屍人をけん制しながら、アキは声をはりあげた。
「おい、真っ白野郎! 来いよ! オレちゃんが相手になってやる!」
 挑発を耳にしながら、清明は先ほどすれ違った『モノ』への警戒を続けていた。
 ――ひとを乗せて走る『モノ』。
 ――『彼ら』はそういった『モノ』を、なんと呼んでいたか。
 重傷を負わせたさつま(f03797)の気配が消えたのも、そのためか。
「なるほど。これはまた、一興」
 清明が猟兵の狙いに気づいた瞬間、
「唸れ、属性攻撃・氷結嵐!」
 ごうと凍りつく嵐が巻き起こり、アキの攻撃が水晶屍人と清明の視界を奪った。
 その時だ。
 薄闇の中をあの『エンジン音』が迫りくる。
 弾幕代わりの誘導弾をかわしながら、清明が中空に五芒符を顕現させる。
「させるかよ……!」
 アキがユーベルコード『オルタナティブ・ダブル』を発動。
「オレちゃんことアキ、追加で登場ッ!!」
 妖刀『無銘蛇目貫』を手に、『もうひとりのアキ』が陰陽師へ向け爆炎の嵐を見舞った。
 しかし、巨大化した水晶屍人に阻まれ、攻撃は届かない。
 ――廊下の奥から迫る、蒼き光線。
 ふたたびすれ違おうとする『それ』を仕留めるべく、清明が五芒符を放とうとした、その時だ。
「っ!?」
 ふいに投げつけられた『何か』を駆動剣で引き裂いた瞬間、
「――覚悟せよ」
 パン、と、味気ない音。
 オニバス・ビロウ(花冠・f19687)の猟銃『白詰草』が、己の投げつけたファー付マントごと、清明の水晶を撃ちぬいたのだ。
 呪殺弾を受けた水晶が砕け、ごとりと床に落ちる。
 古典的な。
 実に古典的な手段ではあったが。
 そのオニバスが、キマイラの猟兵パウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)の駆る宇宙バイク『Glanz』に同乗しているとは、かの安倍晴明も予想はできなかった。
 戦闘機エンジンを積んだバイクは、突風のごとく廊下を駆けぬけて。
 点々と灯る灯りを蹴散らし、テールランプが線を描く。
 廊下の端を折り返し、鈍色の閃きが、ふたたび迫る。
「しかし、カラクリがわかればこちらのもの」
 構える清明に、同乗するオニバスが猟銃を構える。
 己をこの地の守護者たらしめていたのは、妻の存在があってこそ。
 だが今、妻が戻らぬまま、この地に戻ってしまった。
「死線にあって守護者の面を外せば、血を浴びて喜ぶ俺が居るだけだ。――さあ、躯の海に沈め!」
「「 やっちまえー、タコ坊主!! 」」
 オニバスの呪殺弾が清明を狙い、ふたりのアキによる氷結と爆炎の嵐が、水晶屍人の群れごと戦場をかき乱す。
 ――その一瞬、清明の判断がゆらぎ。
「テメェの生、テメェの悪意、絶望、罪、その総て――……オレに、寄越せ!」
 清明が五芒符をはなつよりはやく、パウルのユーベルコード『Sympathy for the Devil(アクマヲアワレムウタ)』が発動する。
 遅れて命中した五芒符の火力は、そのまま固定砲台『Krake』に宿った。
「上等!!」
 パウルはフルスロットルで清明の死角にスライディングし、
「遊び相手がどっか行っちゃったの? けど寂しいからって、誰かの大切なモン玩んでイイ理由にゃなんねぇよ!」
 歯を見せて、笑んだ。
「くらっと、け!」
 ――ド、ゴォン!!!
 常以上の反動に、パウルが宇宙バイクごとひっくり返った。
 砲撃は、陰陽師の腹を抉り、穿っている。
 己のはなった攻撃を、そのまま、身に受けたようなものなのだ。
「これは異なこと。よもや、猟兵にこのような力があるとは……!」
 信じられぬといった様相で、砕け散った己の身体を見おろす。
 オニバスはバイクが倒れるより早く飛び降り、清明に迫った。
「我が妻を異境へ誘ったのは貴様ではなかろうよ。……だが、呪を扱う敵には恨みがある。疾く死ね!」
 己と同じ名を冠する打刀で、一直線に首を斬る。
 しかし、渾身の一撃は駆動剣に阻まれ、涼やかな顔に今一歩、届かなかった。
「そう。この高揚。この感覚。振られた賽は、出目が分からぬから面白いのでございます」
 それまでとはうってかわって、喜びをあらわにした清明は。
 さらに迫る猟兵の命の躍動に気づき、場を満たすだけの水晶屍人を召喚したかと思うと、それぞれに迎撃を命じた。
 この城には。
 おあつらえ向きの『死』で、満ちているのだから――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ベリル・モルガナイト
貴方の。することは。好きには。なれない。わね
死者を。冒涜する。その。行いは

私は。盾
私の。後ろには。守るべき。人たちが。居るの
だから。貴方は。ここで。止める。わ

城の。壁や。床を。【其れは誉れ堅き薄紅の城塞】で。盾に。変えて
五芒符を。構えた。【煌宝の盾】と。共に。近くに。居る方を。【かばう】ように。【盾受け】。する。わ
私の。盾は。【オーラ防御】も。併用
なるべく。宝石の。盾は。重ね。合わせ。耐久力を。高める。わ
攻撃が。終わった時に。盾が。残って。いれば。【シールドバッシュ】の。要領で。叩き。つける

【アドリブ、他の方との絡みは歓迎】


色採・トリノ
まぁ。とっても綺麗な体、ね?
でも、悪いことはだめ
だから、あなたを止めましょうね

さて、どの子を…あら、どうやら、あなたと遊びたい子がいるみたい
変わるわね?
あの方と遊びたい子、遊びたい子、いらっしゃい
(人格切替、瞳は藍色に。アイと名乗る泣き笑いの人格へ)

哀しいね、悲しいね
こんなところまで来ちゃったの
それじゃあ、いっしょに遊ぼうね
アイは、痛いのいらないよぉ
それうるさいから、音で距離や方向が分かるね
お城の中で鬼ごっこ
柱をみがわり
当たってあーげない

アイは離れてても当てっこできるよ
耳を塞いでも聞こえるでしょう? アイの唄(UC)
ね、届くよね? アイの声
もっと遊ぼう
たくさんアイして
アイと貴方が果てるまで


犬飼・一茶
腹立たしい
死者を冒涜する所業が
…全てを諦めたような、その瞳が

【焚陀】で刃を迎え撃つ
仇為す意図を喰らい、徒花と咲けよ
傘でも往なしつ
なお負った傷は、呪詛は焚陀に灼かせる
反攻は焚陀を纏った狼の爪
安倍の
無為に膿む其方を榾に、明日という意味を熾ろう

…済まぬな。痛かろうな、一茶よ
それでも知って欲しかった
生きるの痛み
その涯に命を燃す、尊さを

*

なんて
彼女が考えていることが、おれに察せられるように
おれがその意に沿えぬ『ひとでなし』であることは、彼女も解っているだろうに

ただ、少し興味が湧いたよ
安倍
きみは、或いは凡人でなかったおれの鏡だ
死を超えてなお生に飽くと言うのなら、
おれたちは何に意味を見出だせばいいのだろうね


イリーツァ・ウーツェ
【POW】
先制攻撃。あの手に持った機械で攻撃してくるのか。
良いだろう。受けて立つ。
先の機械を《怪力》で殴り飛ばし、次いで飛んでくる物をUCで殴り砕く。
巨岩を微塵と化す拳だ、幾ら頑丈とはいえ機械の一つが砕けぬ物か。
後は怪力で踏み込み、奴の体を片端から《部位破壊》していく。
膝を蹴り砕き、腕を圧し折り、腹を杖で串刺し、顔面を頭突きで潰す。
己の損傷など恐れない。
爪で牙で拳で足で尾で翼で角で、ただ目の前の敵を破壊する。
殺すのではなく、破壊する。

ケツァルコアトル如きを竜と呼ぶ貴様等に、私は心底腹が煮えている。
竜の暴威を魂に刻んで滅せよ。




 城内を水晶屍人で満たした清明は。
「不死者操りに長けた私の眷属を前に、かように戦ってみせるとは……。『猟兵』の力、実に興味深い」
 方々に散り、屍人を次々と撃破していく猟兵たちを見やり、紅の眼を細め嗤っていた。
 ――賽を振るまでもなく、ただただ、永らえるだけの生命。
 繰りかえしの生と死に、心はしだいに色褪せていった。
「それが、どうです!」
 ――どれだけ十全に仕込みを施したところで、『何とか』してしまう。
 『ただ生きているだけで、世界に波乱の渦を呼ぶ』者たち。
 かれらであれば。
 己を、『賭け』の壇上に導くやもしれない。
「この時を、待っていたのですよ……!」
 それは、いかな『こころの動き』であったろうか。
 砕け、倒れた屍人の水晶が足元に幾重転がろうと、陰陽師は眼もくれず、猟兵たちの攻防を追っていた。
「腹立たしい」
 短く吐いたのは、狐面頬の『朱毬』。
「死者を冒涜する所業。全てを諦めたような、瞳。――其れが、喜色に満ちることも」
 人狼青年、犬飼・一茶(余生録・f01857)の身体を借り受け、朱毬は呼吸を整える。
 蠢く屍人たちの合間を俊敏な動きでかいくぐり、蹴散らし。
 とどめに朱い番傘をばん!とひらき、群体をはねのける。
 視線の先には、水晶を背負うた陰陽師。
 笑んで居る。
「腹立たしい」
 しゃがみ込み、深く身体を沈ませ、跳ねる。
 ――ヴヴォン、ヴヴオオオオオォォォン!!
 唸る駆動剣に、片腕を喰らわせる。
 着物が裂け。
 骨肉が砕け。
 血紅の華が散る。
 二撃目が迫る!
「安倍の」
 ぽつり呼ばわった瞬間、ユーベルコードを発動する。
 和綴じ本『独客風聞』を門として。
 この世に招いたのは、文字によってかたちつくられた平面の大蛇『焚陀(フンダ)』。
 それは、あらゆる「意味」や「定義」を焼失させるモノ。
 蛇の吐いた白炎は駆動剣を灼きつくし、仇為す意図を喰らい、一瞬で徒花と化した。
「なるほど。『意味』ごと喰ろうたのでございますか。しかし――」
 剣は二振り。
 一本が使い物にならなくなったとて、攻撃の手は幾重にもある。
 清明は『殺傷物としての意味を喪失』した駆動剣を投げ捨て、ふたたび場を水晶屍人で満たした。
 入れかわり、たちかわり、猟兵たちの攻撃が繰りだされるなか。
 朱毬は先に受けた腕の傷の『意味』もろとも大蛇に灼かせ、身体を借り受けている人狼青年へと胸中で詫びた。
(「……済まぬな。痛かろうな、一茶よ」)
 それでも、知って欲しかったのだ。
 ――生きることの痛み。
 ――その涯に命を燃やす、尊さを。
 ゆえにこそ、退かず。
 ゆえにこそ、幾度も喰らいついた。
 白炎を纏わせた狼の爪を閃かせ、
「無為に膿む其方を榾(ほた)に。『明日』という意味を熾ろう」
 願いこめ、声とともに渾身の一撃を叩きこむも、清明の腹に穿たれた穴をわずかに広げるに留まった。
 唸る刃はなおも迫り、
(「――やむを得ぬ」)
 さらに腕を喰わせねばならぬかと朱毬が身構えた、その時だ。
「死者を。冒涜する。その。行いは。――好きには。なれない。わね」
 凛と響いた声音に、燦然とかがやく盾が刃を受けとめた。
 あわい赤紫色のきらめきが、薄闇のなかにあって、まばゆく光る。
「呪詛をも通さぬ……。魔導の力による障壁でございますか」
 陰陽師の口の端が、つり上がる。
 防いだ駆動剣の剣尖に続き、五芒符が飛来して。
 顔の半分を白い仮面で覆ったクリスタリアンの女――ベリル・モルガナイト(宝石の守護騎士・f09325)はとっさに人狼青年、もとい狐面頬『朱毬』の前にかばい立った。
 青年と狐面頬の「ふたり」に攻撃を通させはせぬと、唱える。
「ここに。立つは。幾度。砕けようとも。立ち上がる。煌めきの。守護」
 ――『其れは誉れ堅き薄紅の城塞(モルガナイト・シタデル』。
 無機物を盾へと変えるユーベルコードの発動を受け、城の廊下に並んでいたふすまや床板が、一斉に薄紅色の宝石と変じ、動いた。
 陰陽師は城塞と化したふすまを駆動剣で叩き斬ろうとしたが、『煌宝の盾』にオーラを重ね、より耐久力をあげたベリルの護りは、まさに鉄壁。
 そんな盾の影から、ひょっこりと顔を覗かせたのは、多重人格者の少女、色採・トリノ(光に溢れ・f14208)だ。
「あなた、とっても綺麗な体、ね」
 うつくしいものを愛する少女の眼に、陰陽師の水晶はまばゆく映る。
「でも、悪いことはだめ。だから、あなたを止めましょうね」
 ミルキーオパールのごとき乳白色の瞳が、まばたきをする間に、藍色へと変わる。
 後方支援として立ち、傷ついた八千代(f00102)やクリスティアーネ(f04288)、さつま(f03797)に癒しを施していたトリノの内で。
 藍色の瞳の泣き女『アイ』は、この時を待っていたのだ。
 トリノの許しを得たアイは、その身を譲り受け、言の葉を語る。
「哀しいね、悲しいね。……こんなところまで、来ちゃったの」
 たえず大粒の涙を零しながらも、女は微笑みを浮かべたまま、歌うように嘆いて。
 藍色の瞳をみひらいて、嗤った。
「それじゃあ、いっしょに遊ぼうね?」
 ――ヴヴヴオオオオオォォォン!
 不穏を察した清明が、アイめがけ駆動剣を振りかぶる。
 だが、
「アイは、痛いのいらないよぉ」
 ――ギィン!!
 硬質な音が鳴りわたり、駆動剣が弾かれた。
 煌宝の盾を構え泣き女をかばったのは、モルガナイトのクリスタリアンだ。
 薄闇を裂くきらめき。
 そう。この場には、仲間を守り抜く守護騎士がいる!
「私は。盾。私の。後ろには。守るべき。人たちが。居るの。――だから。貴方は。ここで。止める。わ」
 退こうとした瞬間、宙を泳ぐ骨身の魚たちが、群れとなって清明を襲った。
 ふりはらえば砕け落ちるような、もろく、はかないいのち。
 その群体がまるで泳ぐように、アイを追っていく。
「ね。アイたちと鬼ごっこしよう? お城の中で鬼ごっこ!」
 目くらましのごとく泳ぐ骨魚を薙ぎはらえば、背後から殺気が迫った。
 狐面頬『朱毬』の招いた大蛇だ!
 肩をかすめた白い炎に、さすがの陰陽師も肝を冷やした。
「あの炎には、そう幾度も灼かれとうはございません」
 しかし、今は『鬼ごっこ』の真っ最中。
 猟兵たちは、陰陽師に息つく暇をあたえはしない。
「アイも、離れてても当てっこできるよ」
 無邪気な声音は、薄闇から響いた。
 姿は見えない。
 狙いを絞り駆動剣を振るうも、
「当たってあーげない」
 剣はふたたび宝石の盾に阻まれ、通らなかった。
 骨身の魚が視界を覆う。
 剣を薙ぐ。
 一瞬、深海を泳いでいるかのような、錯覚に襲われて。
 ふいに、耳元でうたうようなささやきが、聞こえた。
『ね、もっと遊ぼう。たくさんアイして。――アイと貴方が果てるまで』
 ――『愛し哀され逢の唄(アイネ・クライネ・ナハトムジーク)』。
 泣き女の声音はそれ自体がユーベルコードであり。
 陰陽師は己の虚(うろ)を揺さぶられたかのごとく、生じためまいにたたらを踏んだ。
 この身に成り果てた頃から、すっかり遠のいていた感覚。
「この私が、斯様な有様になるとは。解せませぬ、解せませぬ。――しかしこれこそが、求めていた『こころの動き』であるならば。滅ぼさねばなりませぬ」
 掴んだ感覚を喪わぬためにも。
 眼前の、猟兵たちを!
 ――ヴヴォン、ヴヴヴヴオオォォォン!!
 戦場に、幾度目かの唸りが響く。
「貴方の。好きには。させない。わ」
 清明の攻撃を阻んだのは、盾を手にしたベリルだ。
 突進と同時に盾ごと叩きつけ、全身で動きを封じる。
 狙いが防御ではないことは、清明も察した。
 ベリルの背後で、これまでとは違う気配がふくれあがるのが、わかったのだ。
「――!」
 ふたたび駆動剣を振るった時には、もう遅い。
「近付いたな、私に」
 広き竜の翼をひろげ告げたのは、ドラゴニアンのイリーツァ・ウーツェ(盾の竜・f14324)。
 その両拳が左右から迫ったかと思うと、駆動剣がへし折れる。
「なんと、出鱈目な……!」
 これまでの猟兵を。
 そして、己の想定をはるかに超えた怪力に、陰陽師が絶句する。
「巨岩を微塵と化す拳だ。幾ら頑丈とはいえ、機械の一つが砕けぬものか」
 剛毅朴訥、無味乾燥。
 理性的だが思考回路が人外のイリーツァは、丁寧に解説を添えて。
 さらに踏みこみ、長き竜の尾を振るった。
 それは、しかと陰陽師の身体をとらえて。
 ガシャンと、硝子の砕け散るような音を響かせ、陰陽師を粉砕していく。
 膝を蹴り砕き。
 腕を圧し折り。
 戦杖で腹を串刺し。
 パリン、パリンと、そのたびに砕け散る水晶を見やり。
 クリスタリアンのベリルが、たまらず眼を伏せた。
 鉄壁を誇る宝石の守護騎士の盾であっても、ユーベルコードを解放したイリーツァの怪力は、受けとめきれまい。
「哀しいね、淋しいね。鬼さん、つかまっちゃった」
 もはや遊びの時間は終わったのだと、アイも泣き笑いながら見守る。
 うつくしい身体が。
 竜人の怒りに触れ、粉々に散っていく。
「ばいばい、セイメイ」
 ――せめて骸の海の底では。心躍るような、夢を。
 呼びかけたアイの言葉も、もはや清明には聞こえていない。
 顔面を頭突きで潰され、うめき声をあげることさえ叶わず。
 それでも、イリーツァは動きを止めなかった。
「ケツァルコアトル如きを竜と呼ぶ貴様等に、私は心底腹が煮えている」
 閃く爪で。
 鋭き牙で。
 硬き拳で。
 強き足で。
 長き尾で。
 広き翼で。
 曲る角で。
 ただ、ただ。
 目の前の敵を『破壊』していく。
 ――『殺す』のではなく、『破壊』する。
 イリーツァの怒りの理由は、清明にしてみればとばっちりも良いところではあったが。
 竜人が聞く耳をもちそうにないことは、薄れゆく意識にあって、理解していた。
 ――もはやあがくまい。
 この生命(セイメイ)が終わりを迎えるならば。
 また、次の清明(セイメイ)を生きれば良いことだ。
 掴んだ『こころの動き』を喪わねばならぬのは、口惜しいけれど――。
「竜の暴威を、魂に刻んで滅せよ」
 固めた拳が、陰陽師の心臓と、頭蓋を砕いて。
 竜人の言葉どおり、『それ』が魂に刻まれることを願いながら、いのちの名を冠した男の魂は、骸の海へと還っていった。
「安倍」
 もはや語らぬ狐面頬をよそに、人狼青年・一茶が、言葉を投げる。
 清明本人に聞こえていようが、いまいが、構いやしない。
「きみは。或いは、凡人でなかったおれの鏡だ」
 駆動剣に砕かれ、すでに元通りとなった腕を撫で、うつむく。
 朱鞠はこの痛みをもって、生きる意味を己に伝えようとした。
 ――己がその意に沿えぬ『ひとでなし』であることは、彼女も解っているだろうに。
 しかし、それでも。
 たしかに少し、興味が湧いたのだ。
「なあ、安倍よ。死を超えてなお、生に飽くと言うのなら。おれたちは、何に『意味』を見出だせばいいのだろうね」
 さて、かの陰陽師であれば、どう答えたであろうか。
 答える者は、もはや砕け散り。
 猟兵たちは、数多の水晶片が散乱する鳥取城を、急ぎ後にした。
 
 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年08月25日


挿絵イラスト