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エンパイアウォー⑨~病魔昏々、狐火熱波コンコンと

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー

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「やっぱり、島原まで遠いよなぁ」
 地図を眺めながら、ぽそりと呟く各務・瞳子(七彩の聴き手・f02599)。その指先は、山陽道を辿っている。
「上手く関ヶ原を突破出来たら、その先は山陽道、山陰道、南海道の3手に別れて進軍する事になるんやけど。案の定、それぞれにも信長軍が待ち構えとるって寸法や」
 山陽道の担当は、侵略渡来人『コルテス』とでも言おうか。彼は幕府に叛意を持つ長州藩に付け入り、長州藩士を生贄にして骸の海から数多のオブリビオンを喚び寄せた。
「その迎撃作戦っていうんがな……『山陽道周辺の気温を極限まで上昇させ、進軍してくる幕府軍を、熱波によって茹で殺す』っていう、エライえげつないもんなんよ」
 既に、山陽道の平均気温は夜間でも35度を超えている。このまま、コルテスの儀式が進めば、平均気温が50度を超える殺人的な暑さとなるだろう。
「それだけやのうてな。同時に『南米原産の風土病』も蔓延させとるって話や」
 本来、サムライエンパイアに有り得ぬ病は、容易く幕府軍を壊滅に追い込むだろう。
「けど、幸いな事に、この風土病のウイルスは『極度の高温でなければ死滅する種』なんやて」
 つまり、『熱波を生み出しているオブリビオン』さえ撃破すれば、熱波地獄が収まり風土病蔓延も阻止出来る訳だ。
「皆に倒して貰いたいんは、『憎しみに濡れた妖狐』の群れや」
 かつては神社や社に祀られていた高位の妖狐だったが、その頭部を何者かに喰われ、オブリビオンと化してしまったという。
「狐火を燃やして熱波を煽り、病魔を振り撒いとる。戦いになったら、鬼火と神通力を操ったり、思考を読んできたりするようやね」
 山陽道のオブリビオンらは『富士の噴火のエネルギーを蓄えた霊玉』を用いて儀式を執り行っている。稲荷神社にいる妖狐の群れも例外ではない。掃討後、この霊玉は砕いて欲しい。
「そろそろ、8月も半ば。倦まず弛まず、脅威は除いていかんとな……皆、頑張ってな!」


柊透胡
 こんにちは、柊透胡です。
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
 エンパイアウォー6作目。今回は「⑨山陽道熱波地獄」です。

 山陽道に拠点を置く侵略渡来人『コルテス』は、幕府に翻意を抱く長州藩の藩士を生贄に、多くのオブリビオンを骸の海から召喚しました。
 『憎しみに濡れた妖狐』の群れもその1つであり、「山陽道周辺の気温を極限まで上昇させる」儀式を行う一方で、「南米原産の風土病」を蔓延させようとしています。
 儀式の場は山陽道沿いにある稲荷神社で、小高い丘の上にあります。御社までの道のりは、石階段と石畳で整えられているので、足場に困る事は無いでしょう。
 御社の中に、儀式の動力源とも言える『富士の噴火のエネルギーを蓄えた霊玉』が隠されていますので、オブリビオン掃討後、霊玉も破壊して下さいね。

 それでは、猟兵の皆さんの熱いプレイングをお待ちしています。
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第1章 集団戦 『憎しみに濡れた妖狐』

POW   :    神通力
見えない【波動】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
SPD   :    鬼火
【尻尾から放たれる怨嗟の炎】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    心眼
【常に相手の思考を読んでいるかのように】対象の攻撃を予想し、回避する。

イラスト:すずめもち

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

勘解由小路・津雲
 この暑い中、小高い丘に登らねばならんのか。ふうむ、いくらヤドリガミとて……(ぶつぶつ)

【戦闘】
 配置的に、こちらは石階段の下、相手は上にいるはず。周りに仲間がいない、もしくは十分離れているのを確認してから【氷術・絶対零度】を使用。
 氷の刃は石階段を駆け上るように発動し、周囲にまき散らすのは冷気のみにして、環境の破壊を最小限に抑える。

 相手の炎はこの冷気と氷の刃で撃退。防ぎきれなかった場合などは「火炎耐性」の結界をはって防ぐとしよう。

「どうだい、少しは涼しくなったろう?」

 可能なら霊玉も「属性攻撃」で氷結の力を込めた錫杖で破壊を。



「ふうむ……この暑い中、小高い丘に登らねばならんのか。いくらヤドリガミとて……」
 単身、ぶつぶつ呟きながら稲荷神社の石階段を上る影――勘解由小路・津雲(明鏡止水の陰陽師・f07917)だ。
 陽炎で、視界がゆうらり揺らめく。熱に焙られた石階段の所為で、体感温度はもっと高そうだ。
「……この辺りで、良いか?」
 もう少しで上りきるという所で立ち止まる津雲。石階段の周囲に敵味方の影はなく、恐らく、オブリビオンは境内にいるだろう。
(「半径50m……御社は巻き込むべきか否か」)
 熱波地獄を引き起こす儀式の要、霊玉は御社に隠されているようだが、そちらはまた後で壊せば良い。
 過分の破壊を避けるべく、石階段にて玄武の錫杖を構える津雲。
「氷帝招来、破っ!」
 ――――!!
 錫杖で突いた点を中心に、激しい冷気と氷の刃が迸る。石階段を駆け上るように氷刃を奔らせ、環境の破壊は最小限に抑えたい所だが……氷術・絶対零度は、無差別攻撃のユーベルコード。指向性に関しては、気休め程度なのは仕方ないだろう。
 コンコン、コーン!!
 狐の悲鳴があちこちで。階段の際まで駆けてきた首無し妖狐が、再燃させた尻尾の怨嗟の炎を浴びせ掛けてきたが、火炎耐性の結界に掻き消された。
 結界の中で、津雲は何処か得意げに言い放つ。
「どうだい、少しは涼しくなったろう?」
 ちなみに、同じ気温でも、湿度の高低で体感は相当に変わってくる。
 適切な打ち水は体感温度を下げるが、昼間に撒くと水分がすぐに蒸発してしまい、湿度上昇で逆効果、もあり得るのだ。
 つまりは、津雲の氷が熱波で溶けて蒸発する前に――さあ、ここからは速攻といこうか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

三上・チモシー
アドリブ連携歓迎
35度くらいならわりと平気

うーん、来る戦場間違えたかも
お湯とか炎で攻撃する奴が来ちゃダメな所だよね、ここ
……来ちゃったのはしょうがないし、早めになんとかしよっか

見えない波動をかわす手段は残念ながら自分には無さそうだから、多少のダメージを受けるのは覚悟
波動でこちらの動きを阻害されたなら【怪力】で強引に振りほどく
落ち着いて三鈷剣を構え、【不動火剣】を発動
【破魔】の力を加えた炎で敵を焼き払う
……周囲の気温上がっちゃったらごめんね


ウルイアラン・ヴァラドゥール
※アドリブ、絡みOK

嘗ては神に使えし狐と聞くが
憎しみゆえに害在るものに成り下がるとは
どれ、哀れなる小さきもの
焔王たる吾が本当の地獄を見せてやろう

ふん…見通しの良い場とはいえ
遠巻きからの攻撃とは小賢しい
戦闘知識を用い接近を試みる
死角を狙われたらオーラ防御で凌ぎ
研ぎ澄ませた野生の勘――心眼とやらで見切れるか?

近寄ること叶えば此方のもの
フォースオーラを纏った肉体こそ吾が武器よ
四肢の何処かでも掴めば怪力で離さぬ
ふはははっ!【王の威光】を篤と受けよ!
焔王の御前で狐如きが何するものぞ!
その身を蝕む怨嗟ごと食われるがよい!



 気温が35度となれば、猛暑とも酷暑とも呼ばれるそうだが、鉄瓶のヤドリガミである三上・チモシー(カラフル鉄瓶・f07057)は割と平気。
(「うーん、来る戦場間違えたかも……お湯とか炎で攻撃する奴が来ちゃダメな所だよね、ここ」)
 境内に駆け込み、首を巡らすチモシーだが。
「……あれ、大丈夫そう?」
 先だっての猟兵の氷嵐攻撃のお陰で、熱波の最中にあちこちがまだ凍結の呈だ。
「よし、早めになんとかしよっか」
「うむ、哀れなる小さきもの共に、焔王たる吾が本当の地獄を見せてやろう」
 猟兵としては初陣ながら、ウルイアラン・ヴァラドゥール(焔王・f05717)も居丈高に言い放つ。
 ケーン! ケーン!
 憎しみに濡れた妖狐の数は、まだそれなりに。首のない身で何処から声を発するのか、御社の前に陣取る数体が鋭く鳴く。
「……っ!」
 まるで、全身を鷲掴みされたような圧迫感に、チモシーは息を詰まらせる。
「……く、このっ!!」
 全身に力を込めて、無理矢理に振り解いた。
「ふん……遠巻きからの攻撃とは小賢しい」
 ウルイアランは忌々し気に吐き捨てる。
「嘗ては神に仕えし狐が、憎しみ故に害在るものに成り下がるとは」
 人狼の王の眼にも、嘆かわしく映ろうものだ。
 ともあれ、まずは攻撃が届く間合いまで、接近するのが先。
「ま、負けないんだから!」
 多少のダメージは覚悟の上。正面から強引にでも駆け寄ろうとするチモシー。
「……ぐっ!?」
 ウルイアランの戦闘知識や野生の勘を以てしても、神通力の波動総ては防ぎきれなかったが、王の風格は膝突く事を許さない。
「ふはははっ! 『王の威光』を篤と受けよ!」
 とうとう、妖狐の前脚を掴むウルイアラン。神通力で御社の瓦をぶつけられたが、更に力を込めてけして離さない。
「吾が身を裂きし焔にて燃え尽きる光栄に咽ぶがよい!」
 胸の傷から噴き出た紅蓮が、妖狐に喰らい付き燃え上がる。
「焔王の御前で狐如きが何するものぞ! その身を蝕む怨嗟ごと食われるがよい!」
 懸命に身じろぐ妖狐を全身のオーラを漲らせて捻じ伏せ、人狼の青年が高らかに哄笑する。
 一方、ヤドリガミの少年は粛々と三鈷剣を構える。ピンクゴールドカラーが愛らしくとも立派な法具だ。
「不動明王に帰命し奉る。一切障碍を滅尽したまえ」
 不動火剣の浄化の炎は、魔を破してオブリビオンを焼き払う。
(「……これで、又気温上がっちゃったらごめんね」)
 そりゃあ、2人掛りで燃え盛れば……御社への延焼だけは気を付けよう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ファン・ティンタン
【WIZ】頭無しに読めるものか

信長は亡霊どころか狐畜生まで遣うんだね、余程“人”望が無いとみえる
この後も色々と行事が控えてるからね、パパっと片付けさせてもらうよ

【精霊使役術】
鎌鼬兄弟、仕事だよ
いつもより多めの魔力供給で、彼ら本来の形、姿無き気流の刃として仕事をしてもらおうか
…ま、不可視・非実体化はオマケのようなもの、真髄は彼らの気紛れさにあるよ
呼び出した私でさえ読めない乱気流の如き彼らの思考と攻撃行動、予測出来るかな

あ、私も傍観者じゃないからね?
適宜、魔【力溜め】した【天華】を狐目掛けて【投擲】
あえて直線的な軌道で【フェイント】をかけつつ、【念動力】で変則的に【なぎ払い】を仕掛ける【2回攻撃】



(「信長は亡霊どころか畜生まで使うんだね、余程『人望』が無いとみえる」)
 内心で皮肉を呟きながら、ファン・ティンタン(天津華・f07547)は左目も眇める。
「この後も色々と行事が控えてるからね、パパっと片付けさせてもらうよ」
 熱波の最中、それでもまだ儀式が成就していなければ、精霊もまだあらゆる所に息づいている。
「森羅万象に宿る精霊達よ、私の声を聞いて頂戴――鎌鼬兄弟、仕事だよ」
 口調の最後が一気に砕けたが……ビョウと駆け抜けた突風に、ファンの唇はうっすらと笑みを刷く。いつもより魔力マシマシ、彼らには本来の形で仕事して貰おう。
 そう、鎌鼬――姿無き気流の刃の真髄は、精霊の気紛れに在る。
(「呼び出した私でさえ予測出来ない彼らの思考、乱気流の如き行動を、頭無しが読めるものか」)
 それに、ファンとて傍観者ではない。己が本体たる一振りに魔力を込め、妖狐目掛けて投擲する。
 ブンッ!
 直線的な射線を唐突に念動力を以て曲げ、変則的に薙ぎ払わんと。
 その実、念動力の操作がファンの『思考』に由るものならば、妖狐の心眼によって回避される事も少なからず。
 ギャン――ッ!
 だが、ファンの攻撃そのものがフェイントとなり、無秩序な気流の刃が次々と妖狐に引導を渡していった。

成功 🔵​🔵​🔴​

愛久山・清綱
35度。俺は一応平気だが、人間には耐えがたいかもな。
50度になったら猶更厳しい……どころの話ではない。
一刻も早く食い止めなば……
■闘
妖狐の憎しみを祓うため、刀に【破魔】の力を宿す。

先ずは放たれる鬼火の軌道を【見切り】つつ、【オーラ防御】を
纏った【武器受け】で振り払う。

攻撃を振り払ったら妖狐の集団を目視しつつ居合の構えを取る。
そこから【破魔】の力を込めて【鎧無視攻撃】となった【心切】を
放ち、その憎しみを切り伏せる。
攻撃が【範囲攻撃】になるよう、可能な限り多くの敵を目視する。

■後
敵を全て倒したことが確認出来たら社に入り霊玉を探し、
発見したら【怪力】を込めた一太刀で破壊を試みる。

※アドリブ・連携歓迎



 猟兵達の奮闘で、妖狐は着実に数を減らしていく。
 いよいよケリを付けんと、愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)は今刀に破魔の力を宿す。
(「この程度の気温なら、俺は一応平気だが……耐え難い人間もいよう」)
 それが50度ともなれば、蚊すら生息出来ず、吹き抜ける熱風が触れれば火傷を起こす。干ばつや山火事で厳しいどころの話ではない。
「一刻も早く食い止めなければ……」
 ――――!!
 数を減らし続けて尚、憎しみに濡れた妖狐の怨嗟が爆ぜる。
「はっ!」
 数を増やして襲い来る鬼火を次々と斬り払いながら、じっと機を窺う清綱。
 その怨嗟の炎撃が途切れた瞬間を逃さず、居合の構えを取る偉丈夫に清廉な霊力が漲っていく。
「秘伝……心切」
 それは『心』を断ち切る、痛みなき慈悲の太刀。居合の動作のみで『気魄』と『霊魂』を断つ、不可視の一太刀。
 ――――。
 その心に巣食う魔を、魂魄に塗れた憎悪を、直截に斬り祓う。
 数拍を置いて、パタリパタリと倒れ伏す狐の身体は、霞のように儚く消えていく。
「後は、霊玉だな」
 徐に御社へ近付くと、果たして中の祭壇に、禍々しく赤熱する霊玉が鎮座されていた。
 改めて、愛刀を正眼に構え――膂力に任せ、剛刀一閃!
 ――ビシリ。
 清綱の目の前で、霊玉に亀裂が走る。
 ビシリ、ビシ――バキャッ!
 忽ち幾筋にも罅割れ、鈍い音を立てて破砕する。
 その瞬間、御社に、冷涼なる風が吹き抜けたように感じた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月17日


挿絵イラスト