3
お狐様と冬花火

#サムライエンパイア

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#サムライエンパイア


0




 コンコン、今夜は新年を、迎えて祝うお祭りだ。

 菊に牡丹に垂れ柳、万華が彩る空の原。

 冬の夜空に花咲かす、カウントダウンを始めよう。

 ――――。――――。

 あれあれ、どうした、始まらぬ。

 代わりに浮かぶぞ、火の玉が。

 コンコン、お狐お怒りだ、私の頭をどこやった。

 花火の代わりの狐火で、村は一面焼け野原――。

「冬の花火も、夏とはまた違う風情があっていいよねぇ。」
 実は、夏より冬の方が空気が澄んでて綺麗に見えるだとさ、とグリモア猟兵のメリー・アールイー(リメイクドール・f00481)はグリモアスペースの椅子に座って、地につかない足をぶらつかせながら猟兵達と向かい合う。
「今回はね、サムライエンパイアの村で開催される年越しカウントダウンイベントの大目玉、花火大会がオブリビオン達に襲われちまうのを、あんた達に護って欲しい、っていう依頼さ。」

 予知により、襲ってくる敵は頭部のない妖狐の集団だと分かっている。とある神社に祀られていた妖狐達が何者かにより頭を喰い千切られて命を落としたそうだ。恐らく配下を増やす事を目的とした他のオブリビオンの仕業だろう。怨みのあまり手当たり次第に村を襲うような、周囲に災いを振りまく存在に変貌してしまった憐れな妖狐達を、君達の手で解放してあげて欲しい。

「妖狐達は、昼間は村近くの神社、その境内の床下に身を潜めているらしい。夜の花火大会を中止にしたくはないからね。日が暮れないうちに神社に向かって倒しておくれ。」
 神社の敷地内に猟兵達が赴けば、敵意を察知した妖狐達は姿を現してくれるはずだから、捜索は考えなくていい。テレポートで神社前まで案内するよ、とメリーは説明を続ける。

「妖狐達を全て倒したら、少女の姿をした人型の妖狐が怒ってやってくるはずなんだ。彼女は悲運な同族にひどく同情しているから……仲間を退治した猟兵達を敵と見做して、幾ら正しい言葉を投げかけようと、聞く耳を持たずに戦いを挑んで来るだろう。」
 彼女との戦闘も避けられない、とメリーは目を伏せた。心中渦巻く気持ちを飲み込んで、わざと明るく猟兵達にその後の予定を告げる。

「村を守りきったら、あたし達も花火大会に交ぜてもらおうじゃないかっ。年越しのカウントダウンと同時に夜空を埋め尽くす光の花々、期待しちゃうねっ。出店も一杯並ぶみたいだから、温かいものでも買い食いしながら見物してもいいんじゃないかい。」
 折角だから、村人達やあんた達の友人を誘って一緒に見るのもいいかもね、と笑顔を見せる。

「それじゃあ、よろしゅうに! 皆で協力して、良い年を迎えようね!」


葉桜
 こんにちはこんばんはおはようございます。新人MSの葉桜です。
 今回は新年イベントを含んだ依頼になります。カウントダウンを行う頃には間違いなく新年を迎えておりますがお気になさらずに。
 リアルで年越しイベントを楽しんだ後、こちらでも再び騒げたら二度美味しいでしょう?

 第三章は、戦闘に参加されていないお友達のお誘いも歓迎致します。第六猟兵が始まってまだ1ヶ月も経ちませんが、この辺りでご交流を深めるイベントとしてご利用いただればありがたいです。
 ちなみにメリーは第三章でお誘いをいただいた場合のみ描写致します。

●リプレイに関して
 アドリブ・他のプレイヤーと共闘や協力を行うケースが多いです。どうしても控えて欲しいと言う方は一言添えて下さい。

 それでは、こちらを申請したのは年末ではございますが。あけましておめでとうございます。今年もどうぞ宜しくお願い致します。
106




第1章 集団戦 『憎しみに濡れた妖狐』

POW   :    神通力
見えない【波動】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
SPD   :    鬼火
【尻尾から放たれる怨嗟の炎】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    心眼
【常に相手の思考を読んでいるかのように】対象の攻撃を予想し、回避する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

リーファ・レイウォール
妖狐とオブリビオンは、別物という印象があるのだけど。
まぁ、それはおいておきましょう。

集団戦は、手早く終わらせるために
UC【梨花の暴風】で範囲攻撃。
高速詠唱と全力魔法を重ねるわね。

通常攻撃は、【WIZ】で、魔法主体。
当ててダメージを与えるのは大事だけど
だからこそ、自分の攻撃を当てるだけではなく、味方の攻撃の軌道へ追い込んだり
連携できる部分は、していくつもりね。(アレンジ歓迎)

近づいてきた敵を相手には、なぎ払いでいなして、近づけさせないようにするけどね。
何よりも、村に近づけさせるわけにはいかないんだものね。


五條・桜花
新年祝うために頑張ります!

さて私はどう動くべきか
まず位置どりって重要ですね
以下に囲まれずいけるかですが囲まれたとしてもそこはそれ
数が多いのならば一面桜で埋め尽くしてしまいましょうか
いざ舞い散れ我が桜よ
どなたかと連携できそうならば死角を補うように動きましょう

それにしても狐のトレードマークである耳がないなんてナンセンスです!



●花吹雪のデュエット
 風さえも凍りつきそうな冬の午後、猟兵達は件の神社へと足を運んだ。彼等が鳥居を潜るのを予測していたかのように、すでに数匹の首のない妖狐達が待ち構えていた。首を失う前の妖狐は、人々を護る立場として神社に祀られる存在だったかもしれない。しかし、今となっては怨念に染められた魑魅魍魎のオブリビオンに過ぎないのだ。妖狐達の魂を救済する為にも、まずは二人のオラトリオが挑みかかる。

「手早く終わらせましょう。」
「新年祝うために頑張ります!」
 リーファ・レイウォール(Scarlet Crimson・f06465)と五條・桜花(六花の元に咲く桜・f03321)は、互いに位置取りを重視していた。複数の敵に囲まれないように、そして護るべき村へ敵を近付けさせないように動く必要がある。まずはリーファが色違いの両の瞳で狙いを定め、高速詠唱で全力の『梨花の暴風』を呼び寄せた。

「花の香りに包まれながら猛省しなさい。」
 リーファの梨の花びらは、三匹の妖狐達を巻き込むルートで渦を成す。しかし、その攻撃を心眼にて読んでいた妖狐達は、隊列を組んで全員退避に動く。だがその攻撃を避けられる事すら、彼女達の作戦の内だった。もう1人の人間の思考もキャッチした一匹の妖狐が足を止めるが、もう遅い。

「いざ舞い散れ我が桜よ!」
 待ち構えられる位置に移動していた桜花は、桜の兎と名付けられた魔導書を手に、桜の乱舞で逃げてくる妖狐達を一面の花びらで覆い尽くした。続く様に追尾していた梨の花が共に交ざり合う。美しき、梨花の白と桜の薄紅で彩られた春を呼ぶ嵐――花びらが地に落ちて視界が元に戻ると、三匹の妖狐達もまた地に伏せて、静かな眠りについていた。

 戦いはまだ始まったばかりだ。境内の床下から続々と姿を現す首無しの妖狐達に対して、互いの死角を補うように背中合わせとなって、彼女達は臨戦態勢を取り続ける。

「それにしても……狐のトレードマークである耳がないなんてナンセンスです!」
 美しかったであろう元の姿を思い浮かべて、桜花は残念そうに正直な感想を述べた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

雨宮・いつき
同族の荒ぶる姿は、見るに忍びありません
謳歌していた日常を無慈悲に蹂躙されたその怨みつらみは、察するに余りありますが…
…ごめんなさい。僕は、僕の御勤めを果たさせて頂きます

囲まれる前に一人ずつを相手取り、素早く決着をつけていきます
常に思考を読んでいるというのなら、【御狐戦隊】!
呼び出した管狐達に個々の判断で今相対している一人と戦うように指示を出します
読まなければならない思考が沢山あれば、相手の判断も鈍るはず
相手が足を止めた所で本命の【フォックスファイア】で全方位を取り囲んで撃ち込みます
望めるならば、他の方とも連携を取りつつ戦闘を

悪鬼魔道へ堕ちた同胞へ、どうか安らかな眠りを


麗明・月乃
やれやれ。めでたい日を迎えようというのにめでたくない事が起きておるのう。
ま、低級妖狐の一匹や二匹。私に任せると良いのじゃ!

・現地
…何かいっぱいおる。これはさすがの私も見抜けなかったのじゃ。
聞いてなかったわけではないぞ?うむ。
よし、ここはあれじゃ。周りの人に押し付け…もとい、分担して協力するのじゃ。
集中攻撃受けたらな?私もな?痛いし。

美味しい油揚げじゃぞーと言って物陰からこう、誘惑して数匹だけ誘導する感じで。
上手くいったら…いや、まあいかなくてもフォックスファイアを全力魔法で撃ち込むのじゃ。
分散させて疑似範囲攻撃にしてみるかのう。
1体に数個割り振って回避した先でどーん!ってなるようにするのじゃ。



●狐と狐と管狐と
「やれやれ。めでたい日を迎えようというのにめでたくない事が起きておるのう。ま、低級妖狐の一匹や二匹。私に任せると良いのじゃ!」
 意気揚々と神社へ向かった麗明・月乃(多分すごい金狐・f10306)は、わらわらと姿を現す首無し妖狐を目の当りにして、目が点になる。こんなにいっぱいるとは、さすがの月乃も見抜けなかった……とのこと。

 自分も妖狐である月乃は名案を思い付いて実行に移した。名付けて、『油揚げで誘惑して数匹だけ誘導する感じで倒しちゃおう作戦』!
「美味しい油揚げじゃぞー。」
 物陰に身を隠し、こっそりと自身の黄金の耳と尻尾を揺らしながら、妖狐達を誘ってみる。だがしかし、一向に釣れる気配はない。……そりゃそうだ、彼等には油揚げを食べる口はおろか、頭が無いのだから。

 誘惑されたわけでなく、単純にその存在に気が付いた妖狐達が月乃を一斉に睨む。集中攻撃を受けたらきっと痛いっ――。月乃の窮地を救ったのは、自分が囲まれる前に先手を打った同じく妖狐の雨宮・いつき(歌って踊れる御狐様・f04568)だった。

「御勤めの時間です。さあ皆さん、出ませい出ませい!!」
 首無し妖狐の数に負けない管狐を『お狐戦隊』で召喚して、今まさに月乃に襲いかかろうとしている妖狐と戦うように指示を出す。読まれなければならない思考が沢山あれば、相手の判断も鈍るはずだ。

「同族の荒ぶる姿は、見るに忍びありません。謳歌していた日常を無慈悲に蹂躙されたその怨みつらみは、察するに余りありますが……ごめんなさい。僕は、僕の御勤めを果たさせて頂きます。」
 管狐に意識を奪われている妖狐達を全方向から取り囲むように『フォックスファイア』を撃ち込んだ。しかし、中にはいつきの思考を読んでいた個体もいたようで、数匹を纏めて焼き払う狐火から逃げ出すように、一匹が炎の輪の中から飛び出した。

「全力で魔法を打ち込むのじゃー!!」
 逃れた一匹に向かって、月乃も『フォックスファイア』を放つ。数個の狐火は妖狐の周りを踊り、更に避けようとする妖狐をハンターのように確実に追い詰め、ついには仕留めたのだった。

「悪鬼魔道へ堕ちた同胞へ、どうか安らかな眠りを。」
 狐火と共に消滅していく妖狐達を目に焼きつけて、いつきは祈りを込めて呟いた。

 大量の妖狐達を倒し終え、残る首無し妖狐は……最後に姿を現した、ただ一匹。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リュヌ・ミミティック
心情:
ん、おー……どうし、て、こん、な、すが、たに?
…ん。どちら、か、と、言えば、被害、者だけ、ど、見過ご、すわけ、には、いかない、から。
「ん。だか、ら、出来る、だけ、痛み、なく、見送る、よ」

さぁ、猫憑き季月、ダフィット、僕に力を貸して。
同胞を、解放しよう。
同胞というからには、狐乃火焔で一気に巻き込むね。
他の皆も攻撃をしているみたいだし、体力が削られたのを確実に倒していくよ。
猫憑き季月とダフィットと、一緒に確実に撃破していくね。
もしも誰か味方が襲われそうなら猫憑き季月で【かばう】よ
「ん、……やすら、か、に……」
痛みのない、優しい世界へ。
……救えなくて、ごめんね。


リーファ・レイウォール
「黒幕が出てくるまでは、残り1匹ね」
で、あるならばと
UC【禍封紫青焔】で敵の動きを封じるわね。
最後の一匹、黒幕を引きずり出すトリガーとなるトドメは、味方に任せるわよ。

基本【WIZ】主体。
UCは【高速詠唱】【全力魔法】【援護射撃】を乗せてね。

※連携・アドリブ歓迎。



●燃え尽きる時
 「ん、おー……どうし、て、こん、な、すが、たに?…ん。どちら、か、と、言えば、被害、者だけ、ど、見過ご、すわけ、には、いかない、から。」
 辿々しい口調とは裏腹に、リュヌ・ミミティック(妖狐の竜騎士・f02038)はいつも彼と共に在る猫の縫いぐるみ「猫憑き季月」を胸に抱き、憐れな被害者を黄泉へ送る覚悟を決めていた。

「……残り一匹ね。」
 戦闘の開幕から首無し妖狐達と相対していたリーファ・レイウォール(Scarlet Crimson・f06465)は、最後まで油断せず最善を尽くせるように、リュヌの隣で大鎌「
Frisches Blut」を構える。握りしめた黒柄の先で、血を欲するように深紅の刃が鈍く光っていた。

 仲間を続々と倒された妖狐は沸き上がる怒りを、尾の先で火力の増した怨嗟の炎へと換えていた。憎しみの込もった鬼火がリーファに噛みつこうとする。

「ん、危ない……。」
 庇うように鬼火を受けたのはリュヌの相棒、猫憑き季月だった。からくり縫いぐるみの猫は体に巻かれた包帯を燃やしながらも、主の指示を受けて炎を振り払う。

「ありがとう。……あなたは、少し炎に灼かれて、反省しましょうねー。」
 リュヌに礼を告げたリーファは、高速詠唱で大鎌の刃に青い炎焔を絡め、『禍封紫青焔』を放つ弧を描く。お返しとばかりに炎の渦中に閉じ込められた妖狐は、まるで無い頭をキョロキョロ振るように戸惑うばかりだ。

「ん。出来る、だけ、痛み、なく、見送る、よ。」
 同胞を解放する為、リュヌは『狐乃火焔』で小さな狐型の炎を次々と妖狐へ送るーー成す術もなく焼かれて焦げた毛玉は、ぴくぴくと残された命を小さく震わせている。
「ん、……やすら、か、に……」
 痛みの無い、優しい世界へ。リュヌは白く気高いドラゴンランス「ダフィット」で妖狐を貫き、静かに幕を下ろした。

 ーーごめんね、もっと早く救ってあげられなくて。 猟兵達のやるせない呟きが冬空に溶けていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『『妖狐』小町』

POW   :    妖狐の蒼炎
【青白い狐火】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    クイックフォックスファイア
レベル分の1秒で【狐火】を発射できる。
WIZ   :    コード転写
対象のユーベルコードを防御すると、それを【巻物に転写し】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠暁・碧です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●怒りの白狐
 首無し妖狐達の終焉を見送った直後のこと。コツコツとブーツの音を鳴らして、猟兵達の前に和装の少女が姿を現した。頭の上では白い狐耳がピンと反らされている。
「貴方達……許さない……あんなに可哀想な狐達に……よくもっ……絶対、絶対、許さないわっ!!」

 本来は妖狐を頭を喰らった元凶となるオブリビオンを倒したい所だが、それはまた別の物語だ。まず今は、同族が殺されて瞳孔の開いた瞳で我々を睨み付けてくる、この白狐を倒さなければならない。
リーファ・レイウォール
出て来たわね。
「そうね。可哀想ね。鎮魂の邪魔をされて、罪の無い人達を『襲わせられた』のだからね」
あの子達に追い打ちをかけたのは他でもない貴女なのよ

UC【エレメンタル・ファンタジア】を
【高速詠唱】【全力魔法】を乗せてお見舞いしてあげるわね
顕現させるのは、ダイアモンドダスト
氷の礫の代わりに紫青の炎だけどね

通常攻撃は【WIZ】で魔法主体
当てることを目的とするときは【全力魔法】
当てるのではなく、味方の攻撃の軌道への誘い込みには【援護射撃】を使うわ
一人で戦っているのではないのだから
当てるだけが攻撃ではないよ

幾度も見ている妖狐・小町の姿に
「貴女も、輪廻の理に還りなさいな」

※連携、アドリブ歓迎。


五條・桜花
ユベールコードのコピーとは嫌な技ですね
でもねコピーでは本物には勝てないって教えてあげます!
さあ我が桜よ、舞い踊れ!
桜の花弁に触れないようにしてください!
ユベールコードの特性は使用者がよく分かってるんですよ
ならば対処方も浮かぶはず

かわいそう、そうかわいそうですね
あなたがそう仕向けたのに
彼らをかわいそうにしたのはあなたですよ!



●パラドックス
「そうね。可哀想ね。鎮魂の邪魔をされて、罪の無い人達を『襲わさせられた』のだからね。」
「かわいそう、そうかわいそうですね。あなたがそう仕向けたのに……彼らをかわいそうにしたのはあなたですよ!」
 首無し妖狐達に追い打ちをかけたのは他でもない貴女だと、リーファ・レイウォール(Scarlet Crimson・f06465)と五條・桜花(六花の元に咲く桜・f03321)は再び共闘体制を組んで、黒幕だと予想する白狐に厳しい視線を向けた。

 しかし、彼女達の主張に対して、白狐の少女は酷く冷たい眼差しを返す。
「はあ?……何を言っているの、貴女達。私はあの子達に何かの指示を出した事なんてないわ。可哀想なあの子達をこの神社で匿っていただけ。ねぇ……あの子達は何か悪い事をしたの?貴方達猟兵という集団は『何かするかもしれない』という理由に、いつも私達を脅かす……っ。」
 そう、現時点では首無し妖狐達は何の悪さもしでかしていないのだ。そしてグリモア猟兵の予知でも、白狐が同胞を討たれた怒りで登場するシーンしか見ていない。白狐が黒幕であるという予想は些か早合点だったようだ。この白狐が憎しみに駆られて暴れるかもしれなった同胞を見過ごしていた事は、果たして罪になるのだろうか……。しかし、オブリビオンはいつか必ず世界を滅亡に導く、倒さなければならない存在だから。私達猟兵はどんな背景を持つオブリビオンでも、出遭ったからには戦い滅する以外に道はないのだ。

「それでも、私達があの妖狐達と戦わなかったら、村は襲われてしまうから……立ちはだかる貴女も、倒さなければならないです!」
 私達は今出来る事をやりきるしかないのだと、桜花は躊躇うことなく魔導書を構えてユーベルコードを放った。
「さあ我が桜よ、舞い踊れ!」
 先程首無し妖狐達を苦しめた桜の花びらが、今度は白狐へ押し寄せる。しかし白狐は慌てる事無く、手に持つ巻物を盾にして全ての花びらを吸い尽くした。巻物には文字の代わりに桜吹雪が浮かび上がる。
「……お返しよ。」
 その美しい絵に目を奪われるのも束の間、転写された花びらが逆流して桜花へ向かう。

「ユーベルコードのコピーとは嫌な技ですね……桜の花弁に触れないようにしてください!」
 自分の攻撃を跳ね返された桜花は、避けるようにと隣のリーファへ声をかけた。コピーでは本物には勝てないと教えてやろうと、再度『桜花の乱舞』を放とうとした桜花を、今はその時ではないと、リーファが片手で静止する。
「大丈夫よ。花なら炎でよく燃えるでしょ?顕現させるは紫青の炎のダイヤモンドダスト……『エレメンタル・ファンタジア』!」
 細氷のように辺りを覆う幻想的な炎は、小さな花びらをひとひらも通す事無く全て燃やし尽くした。

「今よ、桜花さん!」
「はい、もう一度行きます!咲き誇れ、我が分身よ!」
 転写攻撃を封じている今がチャンスと、桜花は再び桜の花びらで白狐を覆う。今度こそ花びらに体を刻まれた白狐は悔しそうによろめいた。

「貴女も、輪廻の理に還りなさいな。」
「……まだ。まだよっ!」
 この程度の傷では怒りを増加させるだけで、白狐を倒すには至らない。まだ戦いは始まったばかりだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

麗明・月乃
ああなった妖狐に救いなどないじゃろうに。
私達に怒ってもしょうがないと思うが。まあ、そのような事を言っても通じぬか。
…しかしこう、なかなか迫力があるの。目が怖いのじゃ。

首があるし今度こそ油揚げ…はちと無理そうじゃの。
ならば真の姿。自身及び身に付けた指輪の『封印を解き』【九破魔狐の印】を結んで尻尾を九つに変化させる。
「出し惜しみは無しじゃ。同情はするが、情けはかけん」

四『属性攻撃』を『全力魔法』で撃ち込むのじゃ。
蒼白い炎が見えれば水流にて相殺を。
そうでなければこちらは紅い炎を撃ち込むとするかの。

打ち倒せぬ。やはり私の秘められた力全てを解放できるわけではないか。
…が、私一人ではないからの。十分じゃ。



●属性連環
「ああなった妖狐に救いなどないじゃろうに。私達に怒ってもしょうがないと思うが。まあ、そのような事を言っても通じぬか。……しかしこう、なかなか迫力があるの。目が怖いのじゃ。」
 おお怖い、と。瞳孔の開いた白狐の瞳からは目を逸らしつつ、麗明・月乃(夜明けを告げる金狐・f10306)は各属性の力を秘めた指輪の封印を解き、『九破魔狐の印』を結んだ。

「遂に私の封印を解く時がきたようじゃな!」
 月乃は自身の真の姿を解放して九尾の狐へと変化してみせた。彼女の周囲をくるくる回る妖の星や金色のオーラが周辺の魔力を集めていく。更に七色に光る虹色狐石で各属性の力を増しつつ、大いなる自然を味方に付けられるように四大元素を制御する数珠を鳴らした。

「出し惜しみは無しじゃ。……同情はするが、情けはかけん。」
 強化に強化を重ねた火・水・風・土、四属性の魔術が盛大に放たれる。対して白狐は長く広げた巻物を構えて、舞踊のような所作で丁寧に自身を護る。激しい炎を巻き取って、盆に乗せるように水を受ける。風は流れのままに絡め取り、土は地に返す様に覆ってみせた。一つの動作を誤れば、どれかの攻撃を受けていただろう。完璧に魔術を受け切った巻物には四色の嵐が描かれている。
「同情も情けもいらないわ。貴方達から受けとるものなんて、何もない……っ。」
 転写された四属性の魔術がそのまま月乃へと返される。しかし、属性には全て相性が存在するものだ。月乃は再び同じ魔術を放つと、器用に操作をして敵の火には水を、水には土を、土には風を、風には火の力をぶつけていく。敵の転写技を喰らい尽くした残り火達は、白狐の周りに落ちると辺りに砂埃を立たせた。

「打ち倒せぬ。やはり私の秘められた力全てを解放できるわけではないか。……が、私一人ではないからの。十分じゃ。」
 月乃は真の姿から元に戻ると、反動によって一気に圧し掛かる疲労感に膝に手をつく。しかし、体力や精神力を削られたのはお互い様だ。砂埃がおちつくと、同じく疲労を隠せずに肩で息をしている白狐が見える。後は任せるぞと、月乃は他の猟兵にバトンタッチをした。

成功 🔵​🔵​🔴​

リュヌ・ミミティック
ん、おー……おなじ、同じ、おき、つね、さん。
気持ちは、わかる、とって、も、わかる。
それでも。
「ん、僕に、も、譲れ、ない、もの、ある、から」
だから、早急におわらせ、よう。

「ん、おー…僕は、リュヌ、って、いう、よ。貴女、の、名前、は?」
同じお狐様の炎。どちらが強いか勝負しよう。
狐乃火焔を全部統合させて、妖狐にあてるね。
「ん、猫憑き季月、ダフィット、力、かし、て、ね」
猫憑き季月とダフィットにも助けてもらって、とにかく集中的に攻撃しよう。
今の僕に出来ること、それは、これ以上血を流させないことだよ。
ここで終わりにしよう
この元凶のオブリビオンは、必ず、見つけて倒して見せるよ
だから…ゆっくりと、休んで。



●狐の涙
「ん、おー……おなじ、同じ、おき、つね、さん。気持ちは、わかる、とって、も、わかる。」
 妖狐であるリュヌ・ミミティック(妖狐の竜騎士・f02038)は哀しそうに何度も頷く。同胞を傷つけられた痛みは分かる……それでも。
「ん、僕に、も、譲れ、ない、もの、ある、から。」
 だから、心まで痛むこの戦いを早急に終わらせようと、ぐっと覚悟を決めて前を向いた。

「ん、おー……たっぷ、りと、遊ん、で、おい、で!」
 リュヌは十数個の小さな狐の形の炎を白狐へ向かわせる。その走路の途中で狐達は次々と統合され、彼女の元に飛びかかる頃には大きな個体へと変化していた。白狐はその大きな狐型のの炎をも、巻物の中へと飛びこませてしまう。

「分かってもらっても、どうしようもないでしょ……いらない、いらない、皆、帰って!!」
 拒絶された炎はリュヌに返される。それならば何度でも、全く同じ『狐乃火焔』を放とう。同じお狐様の炎、どちらが強いか勝負だ。同様の動きで大きくなっていく炎はお互いがお互いを喰らうように噛みつき合う。

 白狐にはもう仲間は誰もいなかった。しかしリュヌには共に戦える仲間がいる。
「ん、猫憑き季月、ダフィット、力、かし、て、ね。」
 リュヌは白狐が炎に気を取られている隙に間合いを詰めた。まずはからくり縫いぐるみの「猫憑き季月」が目隠しをするように彼女に飛びかかる。慌てる彼女の片手が巻物から離れた瞬間、ドラゴンランスのダフィットが巻物と彼女の体を貫いた。真ん中に穴を開けられた巻物は、彼女の鮮血によってじわりと染められていく。これで、巻物を利用した技はもう使えないだろう。
 今の自分に出来る事はこれ以上争いの血を流させない事だ。しかし、悲劇の続きを止める中で、流さなければいけない血がここにある。早く、早く、終わりにしたい。

「ん、おー……僕は、リュヌ、って、いう、よ。貴女、の、名前、は?」
 同胞を傷つけた元凶のオブリビオンを、必ず見つけ出して倒してみせるよと。だからゆっくり休んでと。リュヌは白狐に向けて優しく語りかけた。憎しみに染まっていた彼女の目が一瞬泳ぐ。

「……私は、小町。妖狐の小町。ありがとう、リュヌ。……でも、ごめんなさい。私はもう、止まれないの……っ。」
 小町は名を訊ねて自分と向き合い、仇討ちを約束してくれた猟兵の言葉に一筋の涙を零した。それでも無理なのだと、腹の傷を押さえながらゆっくりと首を振る。怨念が籠り過ぎた魂を鎮める方法など、もう自分自身でも分らないのだ。身を護る盾を失った小町は、青い狐火を携えて猟兵の前に尚も立ち続ける。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雨宮・いつき
憎まれることなんて分かりきってた
覚悟してここに来たつもりだった
けど…これ以上は、駄目だ
だって彼女は、ただの優しい妖狐なんだから

…そうやって涙を流せるなら、貴女はまだ堕ちきってない!
どうすればいいか分からないなら、分かるまで一緒に考えます!
だから、だからもうやめて下さい!
僕は、小町さんまで手にかけたくありません!
例え言葉が届かないとしても、そう言わずにはいられない

それでも小町さんが止まってくれないなら、止めるために戦います
彼女の攻撃全てを【フォックスファイア】で迎撃、相殺
彼女が疲れ切って倒れるまで、唯ひたすらそれを続けます
彼女が動けなくなったら、すぐに駆け寄って傷の応急治療を試みます



●消えない炎
(憎まれることなんて分かりきってた。覚悟してここに来たつもりだった。けど……これ以上は、駄目だ。だって彼女は、ただの優しい妖狐なんだから。)
 涙で頬を濡らしても血で着物を染めても、立ち止まれない小町を前に、雨宮・いつき(歌って踊れる御狐様・f04568)は戦意を保てずにいた。爪が皮膚に食い込むほど握りしめた拳が小刻みに震える。猟兵である自分には役割がある、それでも……ずっと噛みしめていた唇を開き、持て余す感情のまま非対称に歪めた顔で小町に語りかける。

「……そうやって涙を流せるなら、貴女はまだ堕ちきってない!」
 彼女を倒さずにに彼女を救う方法、そんなやり方を思いついたわけではない。
「どうすればいいか分からないなら、分かるまで一緒に考えます!」
 ただひとつ、声をかけること。それしか出来ないちっぽけな自分が、もどかしくて悔しくて。
「だから、だからもうやめて下さい! 僕は、小町さんまで手にかけたくありません!」
 それでも、例え言葉が届かないとしても、そう言わずにはいられなかった。

 猟兵という存在も憎んでいる小町は、何故彼らの中に自分の名を呼ぶ者がいるのか、理解が出来なかった。呆然と目を見開く中、あまねの叫びが小町の胸を痛めつける。優しさだけでは覆せない事実……自分が過去の怨念から生まれた存在、オブリビオンであると彼女自身も分かっているのだ。
「……昔々、私が私になる前に、出逢えていたら良かったのかしらね。でも、それは叶わない夢だから。」
 一瞬だけ彼女の頬が緩んだように見えた。けれども、私達は言葉を交わすだけでは終われないのだと、小町はすぐさま表情を引き締める。召喚していた狐火を分散させて『クイックフォックスファイア』を放った。

 対するあまねも『フォックスファイア』を召喚した。個数的には劣っていたが、体力の残りが少ない小町よりもあまねの方が集中力は勝っている。あまねの操作によって自由に宙を舞う狐火は、主人を狙ってくる小さな狐火を素早く、そして次々と飲み込んでいった。

 小町は自分の狐火が無くなれば、即座に新しい炎を呼ぶ。そして同じように攻撃を続ける。何度防がれても、何度でもくり返す。あまねは彼女が疲労で倒れたら回復を試みようとしていたが、そんな甘さは彼女自身が赦してはくれなかった。
 彼女の胸に灯る炎を消さない限り、戦いは終わらないのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

犬憑・転助
俺のユーベルコードは超嗅覚、キナ臭さだってかぎ分けるぜ

キナ臭ぇとは思って来てみれば……。
女が悲しむのは好きじゃねーが、どうやらこの臭い……手前ぇはもう、止まれねーんだな。
いいぜ、俺が、俺達が……止めてやるよ

戦闘時は二刀流で戦う

俺はキナ臭い場所が解るのよ、来ると思ったぜ(かばうったり避けたり)

手前ぇの弱点はココだろう? 俺の鼻が、そこだって言ってんのよ

戦いが膠着したら、頭脳派な仲間の指示に従う。またはやろうとしてる作戦をフォローする

俺は「転んでも助ける」って書いて転助だ
コロ助じゃねー! てん助だ!

※見切り・追跡・第六感・野生の勘……は全て超嗅覚で解った事にする

※アドリブ歓迎、他PCと絡み希望


モッチ・モチ
オブリビオンは過去の存在。帰るべき場所にお帰りくだサイ
【グッドナイス・ブレイヴァー】起動。動画撮影ドローンを展開させ、戦闘力あっぷ!
能力は真似出来ても視聴者人気は真似出来ないはず!あ、でも妖狐の小町さん可愛いから人気出てしまったらどうしよう。
と、とりあえず相手の足止めや注意を引きつけるためにヒットアンドアウェイで戦いマス。
人の身長ほどある大型ナイフ(グルメツール)で防御も攻撃も行いマス!
そうすることで他の人が攻撃できる隙を作れたらいいデス

アドリブ、共闘お任せします



●世界に届け
「キナ臭ぇとは思って来てみれば……。」
 犬憑・転助(孤狼の侍・f06830)の鼻は特別性だ。血と涙の臭いが漂う戦場と重症の少女、そして攻撃の手が止まっている少年を前にして、瞬時に状況を嗅ぎ分ける。
「女が悲しむのは好きじゃねーが、どうやらこの臭い……手前ぇはもう、止まれねーんだな。」
 優し過ぎる少年の視界に暗い藍色の侍装束が揺れた。選手交代だと、頭を雑に撫でられる。
「いいぜ、俺が、俺達が……止めてやるよ!」
 転助は吠える。そして駆ける。この哀しい戦いの幕を引く為に。

「えー、テステス!サムライエンパイアのみんなと、猟兵のみんなー♪元気デスカ?ワタシは元気デスヨ。現在ワタシ達は戦闘なうデス!あんまり元気じゃない白狐さんとの戦いをお届け致しマス!」
 緊張感が走る戦場には不釣り合いなほど、明るく元気にモッチ・モチ(ボス専門バスター・f09023)の声が響いた。モチは『グッドナイス・ブレイヴァー』で召喚した動画撮影ドローンを空に放つ。
「あちらは白狐の小町さんデス!可愛いですねーっ、ワタシ達より人気が出て、応援が取られてしまったらどうしマショウ!?……でもワタシ達も頑張りますので、是非とも応援お願いしマス!」
 それでは解説実況をお楽しみ下サイ!と、モチも人の丈ほどある大型銀製ナイフを構えた。

 立つのもやっとに見える小町は、襲い掛かってくる二人に向かって淡々と『クイックフォックスファイア』を放つ。転助の二振りの愛刀「白狼刀」と「妖刀鬼哭丸」が次々と攻撃を弾く一方で、モチも大型ナイフを盾にして受ける。攻勢に転じようとするモチを横の死角から強襲する狐火を、いち早く察知したのは転助の『超嗅覚』だった。
「俺はキナ臭い場所が解るのよ、来ると思ったぜ。」
「おおーっと! コロ助さん、ファインプレーデス!」
「コロ助じゃねー! てん助だ!」
 全ての狐火を打ち落とした彼等は、軽口を叩けるほどの余裕を見せる。それでも小町は先程の戦いと同様、何度でも狐火を呼ぶのだ。

「ここで皆さんには、小町さんをご紹介したいと思いマース!」  
 転助が狐火の対応をする最中、モチは撮影ドローンの向こうの視聴者に向けて語りかけた。
「この小町さんはとっても可哀想なオブリビオンだと分かりマシタ。彼女の同胞の妖狐の頭を食べちゃったオブリビオンがいるのデス! 妖狐が美味しいのか、気になりマス!……それは置いておいて!」
 モチは今回の戦闘の理由について説明した。その上で小町は倒さなけれならない存在なのだと。
「猟兵の皆さん、その元凶であるオブリビオンを見かけたら倒して下サイ! 彼女達の仇は、ワタシ達が討つのデス!」
 モチの掲げた大型ナイフが輝く。それは視聴者が彼女の訴えに賛同し、猟兵達から応援が送られていることを示していた。

「……聞いてたか?」
 二射目の狐火連射も危なげなく打ち払った転助は、濡れた瞳を揺らして口を真一文字に結んだ小町と向かい合う。自分はせめて彼女をこれ以上苦しめないように、確実に仕留めさせてもらうだけだ。

 小町が残りの力を振り絞って狐火を作ろうとすると、モチの大型ナイフが彼女の手を打ち遮った。隙を逃さずに彼女の懐に潜りこんだ転助は、そのまま体重を乗せるように、白狼刀で真っ直ぐに貫く。
「……手前ぇの弱点はココだろう? 俺の鼻が、そこだって言ってんのよ。」
 そこは小町の左胸、人間の急所と同じ心臓だった。口の端からも零れる鮮血……その口元は心なしか上がっていた。
「……猟兵。どうか……。」
 彼女の最期の言葉は風に攫われてしまう。しかし、この場にいる猟兵にも実況を観ている猟兵達にも、彼女の想いは確と届いただろう。
「オブリビオンは過去の存在。帰るべき場所にお帰りくだサイ。」
 これにて実況終了デス、とモチは静かに戦いの終わりを告げた。

 小町や首無し狐の亡骸を弔うかどうかは、猟兵達に任せるとする。少しでも安らかな眠りにつけるようにと、そして彼女達の仇を討つと、願いや誓いを手向けにしてもよい。
 全てを終えた頃には夜を迎えているだろう。祭りに参加する者達はそろそろ移動する頃合いかもしれない。
 新年はもうすぐそこだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『花火を楽しんで』

POW   :    花火を楽しむ。たーまやー

SPD   :    出店や料理を楽しむ。

WIZ   :    村人や友人との交流を楽しむ。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●新年迎える冬花火
 ――3、2、1。花火玉の笛の音に、どどんと夜空を叩く音。
 カウントダウンが終わると同時に、大輪の花が雲一つない空へと打ち上げられた。

 新年を祝う祭りは村総出で行われる。朝まで止まない祭り囃子に心を躍らされ、延々と赤提灯と共に連なった屋台は、夏祭りに馴染みのものから変わり種まで目移りするものばかりだ。猟兵の君達も歓迎されているので、遠慮なく楽しませてもらうといいだろう。
 特等席で冬花火を独り占めするのも、屋台巡りをするのも、また友人達を誘って赴くのも、君達の自由だ。
 年を越す瞬間に何をしていたか、またその後朝が来るまで何をするのか。ここに記録させてもらうとしよう。
 君達の色とりどりの思い出を、どうか聞かせておくれ。
リーファ・レイウォール
「そういえば、なんでお酒ではないのに『甘酒』なのかしら?」
花火の見える店で、頼んだ料理が運ばれてるのを見つつ
そんな疑問を抱く。
ソフトドリンクのメニューに記載があるので頼んでみたり。

お一人様なのでカウンターに通されるも、頼んだ料理の数から
テーブル席に移動になったりしました
ご飯のおかずになりそうな、肉や魚の料理は、一通り全て注文
気に入った料理は、追加
味濃いめの辛い料理が好み
控えめに注文して5人前

河岸の初売りまでの在庫を無くさんばかりに、注文したものはぺろりと完食(特徴の方の大食い)

そんな中で打ち上がる花火に
「冬の方が、綺麗に見える物なのね」
料理だけでなく、メインイベントもしっかり愉しんでいました


雨宮・いつき
簡素な無縁塚になってしまいますが、妖狐達は弔おうと思います
村で打ち上がる花火の音と光を背に、
【天狐の横笛】で鎮魂の曲を手向けに捧げます

…どのような境遇であれ、オブリビオンへと堕ちたなら、それは倒すべき敵
きっと彼女達はいずれまた、骸の海から蘇ってくるのでしょう
その度に、また今日のような思いをしなければならないかもしれないというのは…
やはり、やるせないです

でも、それが僕達の使命なのだから
前を向いて、ただ御勤めを果たすしかないのですね…

けど、今だけは、彼女達のひと時の安らかな眠りを一心に願いたいです
そうしないと、自分の気持ちに区切りをつけれなさそうだから


五條・桜花
冬の花火ですか
どんなものなのでしょうね、楽しみです

無事に守れた村人たちと御一緒に楽しみたいです
ええ、空に輝く花も綺麗ですが、こうやって微笑む人の顔も綺麗な花ですからね

せっかくですから【世界知識】をフル活用して、子供たちに花火にまつわるお話でもしましょうか
遠い遠いどこかの世界では、花火というものは……

そうそうどこかお加減の悪い方とかいたら【医術】の知識で治療でも

のんびりゆっくりできないのは性分でしょうか

明日からまた日々の暮らしが始まってせわしなくなったとしても
こうやって皆さんと花火を見上げたことひと時はとても幸せな時間ですね
時に、この花火にあわせて何か名物でも作って、新しい収入源でも……


出水宮・カガリ
マレーク(f09171)に誘われて

新たな年を迎える、賑やかな祭り
何者にも脅かされない、人の暮らしだ
とても、とても、いいものだ

まれ、まー…まる(※マレーク・名前を覚えてない)
カガリを食いたいのか?
仮初の肉体だしなぁ、これ
味の保証は無いし痛そうだが、本体が無事なら…ああ、後にしろよ?

(蕎麦の店の前で止まり)
…なぁ。カガリが妖狐を憎む理由を聞きたいか
猟兵として向かった依頼でな
オブリビオンの妖狐が、蕎麦屋の看板娘に化けていた事があった
客の男の首を、得物の鋏で、子供の遊びのように
…あれは命を、ものを、弄ぶものとしてしか見ない
人を守り、守られた、城門のヤドリガミとして
あれだけは、決して許せないものなんだ


マレーク・グランシャール
戦闘も終わったし奢るから花火を見て何か食べて帰ろうと俺から出水宮・カガリ(f04556)に声をかけた
カガリは戦闘に不慣れな俺を庇いつつ冷静に助言してくれるが、妖狐に対してだけは熱くなる
過去に何かあったのか、今後も一緒に戦うなら聞いておいた方がいいだろう

何か食べたいものはあるか?
俺は食べられるものなら何でもいいが、其処の蕎麦にでもするか?
正直に言えば俺は蕎麦より妖狐よりカガリが食べたい
ヤドリガミは本体壊れなければ平気とは言ってくれるが、今此処で喰うのはさすがに自粛しておく

俺が食べることに執着するのは何故だろう?
俺には記憶がないが、戦いの記憶も、食べた記憶も、今年から思い出が増えていくのだろうな


麗明・月乃
無事に終わったのう。
あまりすっきりしない結果だったようじゃが。
そういうのは置いて…それはそれとして、新年は笑顔で迎えぬとな。

早朝、日の出を見る人々が集まる場所に行くかの。
暗いならフォックスファイアを灯り代わりに。
【鶏の頂点に立つ少女】を使用。適当に軽く放って分裂させる。
「ほーら、鶏じゃぞー。縁起が良いぞー。人懐っこいのじゃー」
子供に鶏を抱えて見せびらかして呼び寄せる。
鶏は明けの鳥。新年の日の出と共に一番に鳴く神鶏じゃからな。
存分に触れあって眠気を覚ますのじゃ!

「そら、もうすぐ陽が昇るぞ。一緒に叫ぶのじゃ」
せーのっ。
「あけましておめでとうー!」
(こけこっこー!!)
うむ、良い一年になりそうじゃ!


ルベル・ノウフィル
POW
通りすがりの僕は打ち上げ花火を見ながら尻尾をぱたぱたさせて喜んでいます
手には夜空に煌めく星を集めたような金平糖。とても甘いです
周囲の人々にも金平糖を振舞いましょう

戦闘(にコッソリ目立たず参加してたことになるのか、終わってからちゃっかり混ざりに来たのかはMS様にお任せします)を振り返ります
他の猟兵様のご活躍ぶりを讃え、仲睦まじそうな猟兵の方々がいらっしゃればその楽しい気持ちが伝わり、見ているだけで自分まで幸せな気持ちになりました

良い思い出になりますね

視線をあげれば、ひときわ美しい火の華が夜空を飾り
やがて花火は終わり、人々が帰っても
余韻を楽しむようにその場にずっと留まっているのでありました。



●其々の年明け

 妖狐達と戦った神社に雨宮・いつき(歌って踊れる御狐様・f04568)はひとり残っていた。彼と共に首無し妖狐達と小町の無縁塚を作って弔った猟兵達は、皆祭り会場へと足を運んだようだが、彼だけは彼女達を思い遣る心のまま、此処で新年を迎えることを選んだ。
 どのような境遇であれ、オブリビオンへと堕ちたなら、それは倒すべき敵である。きっと彼女達はいずれまた、骸の海から蘇るのだ。何度でも何度でも……。

「……やはり、やるせないです。」
 ぽつりと零れた一言がいつきの本心なのだろう。何度でもオブリビオンを討ち払うのが自分達猟兵の使命だ。前を向いてただ勤めを果たすしかない。例えまた今日のような思いをしなければならなくても。……分かってはいる。しかし、理解していても納得出来るとは限らない。

(今だけは、彼女達のひと時の安らかな眠りを一心に願いたい。そうしないと、自分の気持ちに区切りをつけられなさそうだから。)
 いつきは無縁塚近くの大きな木の枝に腰掛ける。花火が打ち上がる音が背に響き、光に照らされた自分の影が一瞬だけ地に映っては消える。祭を背にしたまま、いつきは懐から取り出した天狐の横笛で優しく暖かい鎮魂の曲を彼女達の手向けに捧げた。
 どん、どん、と。彼の背中を花火が叩く。

 妖狐達のとの戦いを終えたマレーク・グランシャール(ドラゴニアンのグールドライバー・f09171)は、自分が奢るから花火を見ながら何かを食べて帰ろうと出水宮・カガリ(荒城の城門・f04556)を誘って、屋台が並ぶ道を共に歩いていた。舞台裏で花火の準備が滞りなく進む中、既に村は隅から隅まで祭一色に染まり、賑わう屋台からは呼び声が飛び交って活気に溢れている。
「新たな年を迎える、賑やかな祭り……何者にも脅かされない、人の暮らしだ。とても、とても、いいものだ。」
 人々の灯りに照らされて、カガリはしみじみと頬を緩めた。

 たこ焼きいか焼きお好み焼き、焼きそばたい焼きじゃがバターにベビーカステラ。自己主張激しく混ざり合った祭り独特の匂いがマレークの食欲を容赦なく擽ってくる。
「何か食べたいものはあるか?俺は食べられるものなら何でもいいが……ああ、其処の蕎麦にでもするか?」
 祭りの品々はどれも魅力的だが、今夜は大晦日だ。カガリと共に健康長寿を祈って年越しそばを食べるのもいいかもしれない。
「……正直に言えば俺は蕎麦よりカガリが食べたい。」 
 異論なく蕎麦の屋台の長い列に並んだカガリは、自分の名を出したマレークの呟きを拾う。
「まれ、まー……まる。カガリを食いたいのか?仮初の肉体だしなぁ、これ。味の保証は無いし痛そうだが、本体が無事なら……ああ、後にしろよ?」
 割と物騒なことを言われたにも関わらず、当の本人は今じゃなければ良いと言わんばかりにけろりとしている。城門のヤドリガミであるカガリの本体は、城門の鉄門扉を加工した愛用の盾だ。本体が本体だけに仮初の体の美味しさに自信はないが、お前がそうしたいならと傷が残る顔の表情を変えずにマイペースに答えた。ちなみにカガリは長く城門と過ごしていたせいか物覚えが悪く、人の名前を覚えるのが苦手なようだった。

「俺はマレーク、だ。……いいのかよ。ああ、勿論今此処で食うのは流石に自粛しておく。」
 マレークは何故こんなにも食べることに執着するのか、自分でも分からない。過去の記憶を持たない自分は現在を食い繋いで生きる事だけが全てだ。敵も味方も食らえるが、好ましく感じる相手ならより一層食べたいと願ってしまう。戦闘に不慣れな俺を庇いつつ冷静に助言をしてくれるカガリには少なからず好意を抱いているから、先程のような発言が漏れてしまった。食べるか否かは後々考えるにしても、拒否されなかったという事実はマレークの飢えをほんの少しだけ満たしてくれた。あれ、そういえばカガリは……。

「マレーク、マレーク。……なぁ。カガリが妖狐を憎む理由を聞きたいか。」
 確かめるように二度名を呼んで、カガリが訊ねた。思い返してみれば彼は妖狐に対してだけは熱くなる。今後も一緒に戦うなら聞いておいた方がいいだろうと思っていた矢先の質問に、マレークは静かに頷いた。
「猟兵として向かった依頼でな。オブリビオンの妖狐が、蕎麦屋の看板娘に化けていた事があった。客の男の首を、得物の鋏で、子どもの遊びのように……あれは命を、ものを、弄ぶものとしてしか見ない。人を守り、守られた、城門のヤドリガミとして、あれだけは、決して許せないものなんだ。」

 カガリが秘めていた熱い想いをマレークが受け止めた頃、調度蕎麦を買う順番が来た。それぞれが温かい蕎麦のお椀を手にして、落ち着ける場所に移動しようとすると、年越しを知らせる花火が打ち上がる。
 マレークの真っ白な思い出帳には、戦いの記憶も食べた記憶も、今年から徐々に増えていくだろう。隣にいてくれるカガリと共に。
「あけましておめでとう。今年も宜しくな。」

 リーファ・レイウォール(Scarlet Crimson・f06465)はよく食べる。それは彼女の前に積み上げられた空の皿の山が物語っていた。
 妖狐を討伐してから村に訪れたリーファは、その足で花火が良く見えると評判の小料理店に向かった。初めはお一人様なのでカウンターに通されて、ご飯のおかずになりそうな肉や魚の料理をあれもこれもとメニュー表を全て制覇する勢いで注文をした。控え目にみて五人前……いや、それ以上になるだろう。小柄な体躯にそんなに入るのかとハラハラする店主の心配を余所に次から次へとペロリと平らげ、こってり味の旨煮や肉じゃがなど、彼女の好みに合った品は更に追加注文されていく。皿がテーブルに乗り切らない為、大きな団体様用の席へ移動をお願いされた。そこは一番花火がよく見える特等席らしくリーファにとっては幸運だった。気を良くして更に唐辛子マシマシ年越し蕎麦と辛子明太子茶漬けも注文だ。

「そういえば、なんでお酒ではないのに『甘酒』なのかしら?」
「製造過程がほぼ同じだから、昔は日本酒も甘酒も一緒に作っていたらしいですよ。酒屋で販売される甘い飲み物っていう理由みたいですね。」
 初売り用の在庫まで食べ尽くさないで下さいねと苦笑されながら追加の料理が届けられると、甘酒の名前の由来まで教えてくれた。ではそれもお願いしますと、当たり前のように笑顔で注文する。

 そんな彼女を大したものだと笑うように、夜空で大きな花火が咲いた。
「冬の方が、綺麗に見える物なのね。」
 甘酒を片手に美しい冬空のアートを目に焼きつけて、食も花火も最大限に満喫したリーファだった。

「あら、大丈夫ですか?お加減が悪いようでしたら、どうぞこちらへ。」
 祭りの熱気に当てられたのか人混みの中フラリとよろめく村人を看護していたのは、五條・桜花(六花の元に咲く桜・f03321)だった。共に人波を抜けて腰掛けに座るように村人へ促し、水を差し出す。症状を聞くと、医学の観点からもただの人酔いだと判断し、少し休めばすぐに体調は良くなるだろうと村人を安心させるように微笑んだ。戦いの後も色々と周囲に気を回してしまい、完全にのんびりゆっくり出来ないのは彼女の性分なのだろう。

 回復した村人を送り出した頃には、此処は花火が綺麗に見えるスポットなのだと、村の子ども達とその家族が続々と集まってきた。折角だからと花火が上がるまでの間、桜花は自分の持つ知識から花火にまつわる話を子ども達に語り始める。
「遠い遠いどこかの世界では、花火というものは夏のお盆の時期に、ご先祖様の霊を慰める為の鎮魂として打ち上げられていたそうです。他にも大飢饉や大病に苦しめられた魂の鎮魂や残された人々への悪霊退散の願いを神様に届けるように花火を捧げたという話もありますよ。」
 冬花火は新年の厄払いにも調度良いですねと語りながら、妖狐達の鎮魂にもなるだろうと今日の戦いをそっと思い返していた。

 どーん、と空に大きな花火が上がる。花火に照らされる人々の表情はどこもかしこも明るい笑顔ばかりだ。
「こうやって皆さんと花火を見上げる、このひと時はとても幸せな時間ですね。」
「本当に、良い思い出になりますね。皆様の笑顔を見ていると僕まで幸せな気持ちになります。」
 夜空の花を楽しみに来たルベル・ノウフィル(星守の杖・f05873)は、神社での戦いお疲れ様ですお見事でしたと、共に戦った仲間の活躍ぶりを讃えた。
「ええ、空に輝く花も綺麗ですが、こうやって微笑む人の顔も綺麗な花ですからね。」
 彼らの笑顔を守れて良かったですと笑う桜花の顔も輝いている。暫くは会話を交わして共に花火を楽しんでいたが、この花火に合わせて何か名物でも作り新しい収入源にするのはどうかと閃いてしまった桜花は、村人達に提案すべく彼らの輪の中へと消えて行った。

 オレンジ色の火の粉を引いて大きく花開く菊花火。赤や青、緑に色づく牡丹花火に、金の稲穂が垂れ落ちるしだれ柳が夜空に舞う。
 残ったルベルは尻尾をぱたぱたとご機嫌に振りながら、花火に心を満たされていた。同じように瞳に光をキラキラと映す子ども達へ、ちょっとしたプレゼントを贈ろうか。
「一緒に、お星様を食べませんか?」
彼の開いた手のひらで、夜空に煌めく星を集めたような金平糖が、花火のように様々な色に染まって子ども達を待っていた。甘い甘いお星様は人々の笑顔を更に増やして溶けていく。

 沢山の小さな彩色花火が四方八方で花畑のように咲いた。そして柳が連続で折り重なり空一面を眩い光で埋め尽くす。一際美しい火の華が夜空を飾ると、立て続けに鳴り響いていた音が止んで静寂が訪れた。ひとりふたりと人々が帰路に着く中、ルベルは余韻を楽しむように最高の舞台を終えた夜空をいつまでも見つめ続けていた。

 夜通し行われた祭りの終盤、麗明・月乃(夜明けを告げる金狐・f10306)は日の出を見る人々が集まる村近くの高台へ訪れていた。花火を終えた道は暗闇に覆われていたが、フォックスファイアで足元を照らして歩いたので、村の人々も安心して移動することが出来た。

 月乃は新年の日の出を迎えるひと時を、より一層めでたいものにしてやりたかった。ユーベルコード『鶏の頂点に立つ少女』で召喚した鶏を近くの木に放つと、分裂した鶏達がコケッコケッと辺りを埋め尽くして跳ねまわる。
「ほーら、鶏じゃぞー。縁起が良いぞー。人懐っこいのじゃー。」
 びっくりして興奮の声を上げる子ども達に抱えた鶏を見せびらかして呼び集める。明けの鳥と呼ばれ、新年の日の出と共に一番に鳴く神鶏と存分に触れ合って、ご利益を得ながら眠気を覚ますのだ。

 今日の神社での戦いは猟兵に怪我人を出すことなく、無事に終わった。どんなに同情しようとも倒すしか道のないオブリビオンとの戦闘はすっきりしない結果ではあったが……それはそれとして、新年は笑顔で迎えないといけない。月乃は大きな声で村人達に呼びかける。

「そら、もうすぐ陽が昇るぞ。一緒に叫ぶのじゃ。せーのっ。」
「「「あけましておめでとうー!」」」
(こけこっこー!!)

 ゆっくりと地平線から日が昇る。どんな夜もいつかは明ける。明けさせてみせる。
 そう信じて前を向き、猟兵達は世界を救う覚悟を改めて胸に抱くのだ。
「うむ、良い一年になりそうじゃ!」

【お狐様と冬花火~END~】

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月09日


挿絵イラスト